(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145102
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】画像生成装置、動作確認システム、画像生成方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
H04N7/18 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052390
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 嘉夫
(72)【発明者】
【氏名】森 智彦
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FE09
5C054FE14
5C054HA19
(57)【要約】
【課題】ハイスペックな装置を用いなくとも、現場において火災が発生しているかのように見える画像を生成する。
【解決手段】対象領域が撮像された対象画像を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記対象画像に煙画像を合成した合成画像を生成する生成部と、を備え、前記合成画像は、前記対象領域に設けられた煙検出装置であって、画像に基づいて前記対象領域に煙が発生しているか否かを判定する煙検出装置が正しく動作するか否かを判定するために用いられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象領域が撮像された対象画像を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記対象画像に煙画像を合成した合成画像を生成する生成部と、
を備え、
前記合成画像は、前記対象領域に設けられた煙検出装置であって、画像に基づいて前記対象領域に煙が発生しているか否かを判定する煙検出装置が正しく動作するか否かを判定するために用いられる、
画像生成装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記対象画像の画素値と前記煙画像の画素値に所定の倍率を乗算した値との加算値を、画素値とする前記合成画像を生成する、
請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記煙画像を白煙として表現するときに前記所定の倍率を正の値とし、前記煙画像を黒煙として表現するときに前記所定の倍率を負の値とする、
請求項2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記対象画像、及び火災の発生源とする物体に応じた煙の色を案内するガイドを表示する表示部と、
ユーザによる操作が入力される入力部と、
を更に備え、
前記生成部は、前記入力部に入力された操作により指定された色の煙画像を前記対象画像に合成した前記合成画像を生成する、
請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記対象画像には、前記対象領域の奥行を示す奥行情報が含まれ、
前記生成部は、前記奥行情報に応じた大きさの煙画像を前記対象画像に合成した前記合成画像を生成する、
請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項6】
対象領域が撮像された対象画像を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記対象画像に煙画像を合成した合成画像を生成する生成部と、
前記合成画像を用いて、前記対象領域に設けられた煙検出装置であって、画像に基づいて前記対象領域に煙が発生しているか否かを判定する煙検出装置が正しく動作するか否かを判定する判定部と、
を備える動作確認システム。
【請求項7】
コンピュータである画像生成装置が行う画像生成方法であって、
取得部が、対象領域が撮像された対象画像を取得し、
生成部が、前記取得部によって取得された前記対象画像に煙画像を合成した合成画像を生成し、
前記合成画像は、前記対象領域に設けられた煙検出装置であって、画像に基づいて前記対象領域に煙が発生しているか否かを判定する煙検出装置が正しく動作するか否かを判定するために用いられる、
画像生成方法。
【請求項8】
コンピュータである画像生成装置に、
対象領域が撮像された対象画像を取得させ、
前記取得された前記対象画像に煙画像を合成した合成画像を生成させ、
前記合成画像は、前記対象領域に設けられた煙検出装置であって、画像に基づいて前記対象領域に煙が発生しているか否かを判定する煙検出装置が正しく動作するか否かを判定するために用いられる画像である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、動作確認システム、画像生成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像を用いて火災を検出する火災検出システムがある。このような火災検出システムは様々な現場に設置される。火災検出システムを設置した場合、その現場において火災検出システムが正しく動作するか確認できる方がよい。しかし、現場で実際に火災を発生させ、その様子を撮像した画像を用いて動作を確認することは困難である。このため、実空間上に火災を再現させる方法として、例えば、特許文献1では、非火災時の画像と3次元形状の煙モデルを仮想空間に配置し、煙モデルの向きを変えながら不自然に見えない向きに煙画像が配置された合成画像を生成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では3次元形状モデルを用いるため、処理負荷が大きくハイスペックな装置でなければ合成画像を生成することが難しく、また場所に応じた適切な火災状況を再現するためには試験者に火災に関する知識が要求されるという課題が生じていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ハイスペックな装置を用いなくとも、現場において火災が発生しているかのように見える合成画像を生成することができる画像生成装置、動作確認システム、画像生成方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一実施形態は、対象領域が撮像された対象画像を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記対象画像に煙画像を合成した合成画像を生成する生成部と、を備え、前記合成画像は、前記対象領域に設けられた煙検出装置であって、画像に基づいて前記対象領域に煙が発生しているか否かを判定する煙検出装置が正しく動作するか否かを判定するために用いられる画像生成装置である。
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一実施形態は、対象領域が撮像された対象画像を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記対象画像に煙画像を合成した合成画像を生成する生成部と、前記合成画像を用いて、前記対象領域に設けられた煙検出装置であって、画像に基づいて前記対象領域に煙が発生しているか否かを判定する煙検出装置が正しく動作するか否かを判定する判定部と、を備える動作確認システムである。
【0008】
また、本発明の一実施形態は、コンピュータである画像生成装置が行う画像生成方法であって、取得部が、対象領域が撮像された対象画像を取得し、生成部が、前記取得部によって取得された前記対象画像に煙画像を合成した合成画像を生成し、前記合成画像は、前記対象領域に設けられた煙検出装置であって、画像に基づいて前記対象領域に煙が発生しているか否かを判定する煙検出装置が正しく動作するか否かを判定するために用いられる画像生成方法である。
【0009】
また、本発明の一実施形態は、コンピュータである画像生成装置に、対象領域が撮像された対象画像を取得させ、前記取得された前記対象画像に煙画像を合成した合成画像を生成させ、前記合成画像は、前記対象領域に設けられた煙検出装置であって、画像に基づいて前記対象領域に煙が発生しているか否かを判定する煙検出装置が正しく動作するか否かを判定するために用いられる画像である、プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、この発明によれば、ハイスペックな装置を用いなくとも、現場において火災が発生しているかのように見える合成画像を容易に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る画像生成装置10が適用される火災検出システム1の構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る画像生成装置10の構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る動作制御装置20の構成例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る画像生成装置10が表示する対象画像TGの例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る画像生成装置10が表示する合成画像GGの例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る画像生成装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】実施形態の変形例1に係るマーカMを説明する図である。
【
図8】実施形態の変形例1に係る画像生成装置10が表示する対象画像TGの例を示す図である。
【
図9A】実施形態の変形例1に係る画像生成装置10が表示する合成画像GGの例を示す図である。
【
図9B】実施形態の変形例1に係る画像生成装置10が表示する合成画像GGの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(火災検出システム1の構成について)
図1は、実施形態に係る画像生成装置10が適用される火災検出システム1の構成例を示す図である。火災検出システム1は、例えば、カメラCAと、画像生成装置10と、動作制御装置20と、煙検出装置30を備える。
【0014】
カメラCAと、画像生成装置10及び煙検出装置30は、SW1を介して通信可能に接続される。また、動作制御装置20と煙検出装置30は、SW2を介して通信可能に接続される。
カメラCA、画像生成装置10、動作制御装置20、及び煙検出装置30の互いの通信は、例えば、通信ネットワーク、無線LAN(Local Area Network)などを用いた近距離通信、或いはUSB(Universal Serial Bus)ケーブルなどを介して行われる。また、カメラCAと煙検出装置30が一体に備えられるものであってもよい。すなわち、カメラCAが煙検出装置30に内蔵されていてもよい。
【0015】
火災検出システム1は、火災検出モードと、動作確認モードを有する。
火災検出モードは、画像に基づいて火災を検出するモードであり、カメラCAと煙検出装置30を用いて実現される。この場合、カメラCAと煙検出装置30がスイッチSW1で接続される。
動作確認モードは、煙検出装置30が正しく動作するか確認するモードであり、カメラCAと、画像生成装置10と、動作制御装置20と、煙検出装置30を用いて実現される。この場合、カメラCAと画像生成装置10がスイッチSW1で接続されると共に、煙検出装置30と動作制御装置20がスイッチSW2により接続される。
【0016】
対象領域Tは、火災検出システム1が監視する対象となる領域又は物体である。対象領域Tは任意に設定されてよい。例えば、対象領域Tは、車道、トンネル構内、建物、建物構内等である。
【0017】
カメラCAは対象領域Tを撮像する。カメラCAは、動画を撮像してもよいし、静止画を撮像してもよい。カメラCAは、撮像した画像を動作制御装置20によるスイッチSW1の制御にしたがい、画像生成装置10又は煙検出装置30出力する。具体的に、火災検出モードにおいて、カメラCAは、撮像した画像を煙検出装置30に出力する。一方、動作確認機能モードにおいて、カメラCAは、撮像した画像を画像生成装置10に出力する。
【0018】
画像生成装置10は、コンピュータであり、例えば、PC(Personal Computer)、サーバ装置などにより実現される。画像生成装置10は、動作確認モードにおいて、対象領域Tが撮像された対象画像TGをカメラCAから取得し、取得した画像に、煙画像(煙が示された画像)を合成した合成画像GGを生成する。画像生成装置10は、生成した合成画像GGを動作制御装置20に出力する。画像生成装置10が生成した合成画像GGは、煙検出装置30が正しく動作するか否かを判定するために用いられる。画像生成装置10が合成画像GGを生成する方法については後で詳しく説明する。
【0019】
動作制御装置20は、コンピュータであり、例えば、PC(Personal Computer)、サーバ装置などにより実現される。動作制御装置20は、スイッチSW1、SW2を制御することにより火災検出システム1を火災検出モード又は動作確認モードにて動作させる。
【0020】
動作制御装置20は、動作確認モードにおいて、画像生成装置10が生成した合成画像GGを煙検出装置30に出力する。そして、動作制御装置20は、煙検出装置30による火災が発生したか否かを示す判定結果KKを取得する。動作制御装置20は、合成画像GGと判定結果KKとに基づいて、煙検出装置30が正しく動作するか否かを判定する動作確認を行う。
【0021】
煙検出装置30は、コンピュータであり、例えば、PC(Personal Computer)、サーバ装置などにより実現される。煙検出装置30は対象領域Tに設けられる。煙検出装置30は、火災検出モードにおいて、対象画像TGをカメラCAから取得し、取得した画像に煙が示されているか否かを判定する。また、煙検出装置30は、動作確認モードにおいて、合成画像GGを動作制御装置20から取得し、取得した画像に煙が示されているか否かを判定する。煙検出装置30が画像に基づいて煙を検出する方法については任意の方法が採用されてよく、本実施形態ではその詳細な説明を省略する。
【0022】
(画像生成装置10の構成について)
図2は、実施形態に係る画像生成装置10の構成例を示すブロック図である。画像生成装置10は、例えば、画像取得部100と、生成部101と、入力部102と、表示部103と、出力部104と、画像情報記憶部105とを備える。
画像生成装置10が備える機能部(画像取得部100と生成部101)は、画像生成装置10がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
【0023】
画像取得部100は、カメラCAにより撮像された対象画像TGの画像情報を取得する。画像取得部100は、取得した画像情報を生成部101に出力する。
【0024】
入力部102は、例えば、マウスやキーボード、タッチパネル、トラックボール、ゲームコントローラなどの入力装置を含む。入力部102は、ユーザの操作入力等により入力された情報を取得する。入力部16は、取得した情報を生成部101に出力する。
【0025】
表示部103は、例えば液晶ディスプレイなどの表示装置を含み、表示制御部(不図示)の制御にしたがい画像を表示する。例えば、表示部103は、対象画像TG及び合成画像GGなどを表示する。また、表示部103は、ユーザが合成画像GGを生成する操作を支援するツール、例えば、後述するガイドGD(
図4参照)等を表示する。
【0026】
出力部104は、生成部101により生成された合成画像GGの画像情報を、動作制御装置20に出力する。画像生成装置10と動作制御装置20がケーブル等で通信可能に接続された場合、出力部104は当該ケーブルの出力ポートである。画像生成装置10と動作制御装置20が通信ネットワーク等で通信可能に接続された場合、出力部104は通信ネットワークを介して動作制御装置20と通信を行う通信モジュールである。
【0027】
画像情報記憶部105は画像情報を記憶する。画像情報は、対象画像の画像情報である。画像情報には、対象画像TG、煙画像及び合成画像GGの画像情報が含まれる。また、画像情報には、合成画像GGを生成する際に適用されたパラメータ、例えば、後述する係数Aなどを示す情報などが含まれていてもよい。
画像情報記憶部105は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0028】
生成部101は、対象画像TGに煙画像を合成した合成画像GGを生成する。これにより、生成部101は、煙検出装置30が設置された現場を対象領域Tとして撮像された対象画像TGから、現場において火災が発生しているかのように見える合成画像GGを生成することができる。以下、合成画像GGを生成する方法について詳しく説明する。
【0029】
生成部101は、対象画像TGに、煙画像を合成することにより合成画像GGを生成する。生成部101は、合成画像GGの画素値を、以下の(1)式を用いて算出する。
【0030】
IGG=IBG+A×Ismoke …(1)
但し、IBG:対象画像TGの画素値
Ismoke:煙画像の画素値
A:係数
IGG:合成画像GGの画素値
【0031】
(1)式において係数Aは任意に設定されてよい。例えば、係数Aは-1から+1までの実数である。
係数Aの符号により煙の色を設定することができる。例えば、係数Aを正の値とすると、白い煙(白煙)が合成される。係数Aを負の値とすると、黒い煙(黒煙)が合成される。
係数Aの絶対値により、煙の色の濃さを設定することができる。例えば、係数Aを0(ゼロ)に近い値とすると、薄い煙が合成される。係数Aの絶対値を最大値(例えば、1)に近い値とすると濃い煙が合成される。
【0032】
ここで、αブレンディングについて説明する。αブレンディングは、2つの画像を係数(α値)により合成する技術である。αブレンディングは、例えば、キャラクタなどが背景に透過して見えるように配置された画像を合成する用途に用いられる。背景画像と物体画像を合成した合成画像を生成する場合、αブレンディングでは、以下の(2)式を用いて、合成画像の画素値が算出される。背景画像は背景が示された画像である。物体画像はキャラクタなどの物体が示された画像である。
【0033】
IGG=(1-α)×IG1+α×IG2 …(2)
但し、IG1:背景画像の画素値
IG2:物体画像の画素値
α:係数
IGG:合成画像GGの画素値
【0034】
(2)式において係数αは、例えば、0(ゼロ)から+1までの実数である。透明に近い薄い物体画像を合成する場合、係数αに小さい値が設定される。濃くはっきり見える物体画像を合成する場合、係数αに大きい値が設定される。また、係数αの設定値に応じて、背景画像の画素値が調整される。
【0035】
(2)式に示すように、αブレンディングでは、係数αに応じて背景画像の画素値が調整される。背景にキャラクタなどの物体がなじんで見えるという効果が期待できる。
【0036】
これに対し、本実施形態では、生成部101は、(1)式に示すように、背景画像としての対象画像TGの画素値について、あえて、係数Aに応じた調整を行わない。キャラクタなどの物体とは異なり、煙は半透明であることが通常である。このため、本実施形態では背景画像の画素値に(1-A)を乗算しないことにより、あたかも対象領域Tに煙が立ち上っているかのように見える違和感のない自然な合成画像GGを生成できることが期待できる。
【0037】
(応用例1)
応用例1として、生成部101は、画素によって一律の係数Aを用いて合成画像GGを生成するようにしてもよい。
【0038】
(応用例2)
応用例2として、生成部101は、クリッピング処理をするようにしてもよい。クリッピング処理は、(1)式により算出した値が、画素がとり得る上限値(例えば、255)を超過した場合に、(1)式により算出した値を上限値に固定する処理である。また、生成部101は、下限についてもクリッピング処理をしてもよい。すなわち、生成部101は、(1)式により算出した値が、画素がとり得る下限値(例えば、0)を超過した場合に、(1)式により算出した値を下限値に固定するようにしてもよい。
【0039】
例えば、生成部101は、合成画像GGの画素値を、以下の(4)式、又は(5)式を用いてクリッピング処理をする。
【0040】
IGG=IMAX (IGGC>IMAX)
IGG=IGGS (IGGC≦IMAX) …(4)
但し、IMAX:画素がとり得る上限値(例えば、255)
IGGC:クリッピング前の画素値
IGG:合成画像GGの画素値
【0041】
IGG=IMIN (IGGC<IMAX)
IGG=IGGC (IGGC≧IMIN) …(5)
但し、IMIN:画素がとり得る下限値(例えば、0)
IGGC:クリッピング前の画素値
IGG:合成画像GGの画素値
【0042】
(応用例3)
応用例3として、生成部101は、煙画像の濃度、つまり係数Aの絶対値に応じて、背景画像の画素値を調整するようにしてもよい。これにより、濃い煙を合成する場合などにおいて、背景に煙がなじんで見えるように合成することができる。
【0043】
例えば、生成部101は、合成画像GGの画素値を、以下の(7)式を用いて算出する。
【0044】
IGG=B×IBG+A×Ismoke …(7)
但し、IBG:対象画像TGの画素値
Ismoke:煙画像の画素値
A、B:係数
|A|≧閾値TH
B≦(1-A)
IGG:合成画像GGの画素値
【0045】
(動作制御装置20の構成について)
図3は、実施形態に係る動作制御装置20の構成例を示すブロック図である。動作制御装置20は、例えば、合成画像取得部200と、火災判定結果取得部201と、動作判定部202と、画像情報記憶部203とを備える。
動作制御装置20が備える機能部(合成画像取得部200と、火災判定結果取得部201と、動作判定部202)は、画像生成装置10がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
【0046】
合成画像取得部200は、画像生成装置10により生成された合成画像GGの画像情報を取得する。合成画像取得部200は、取得した画像情報を動作判定部202に出力する。
【0047】
火災判定結果取得部201は、煙検出装置30により判定された判定結果KKを取得する。火災判定結果取得部201は、取得した判定結果KKを動作判定部202に出力する。
【0048】
動作判定部202は、合成画像GGと判定結果KKに基づいて、煙検出装置30が正しく動作したか否かを判定する。例えば、動作判定部202は、煙が示された合成画像GGに基づいて火災が発生した旨の判定が煙検出装置30によりなされた場合、煙検出装置30が正しく動作したと判定する。一方、動作判定部202は、煙が示された合成画像GGを煙検出装置30に出力した場合において、煙検出装置30により火災が発生していないと判定された場合、煙検出装置30が正しく動作していないと判定する。動作判定部202は、煙検出装置30が正しく動作したか否かを判定した結果を動作確認結果として、動作制御装置20の表示部(不図示)に表示するようにしてもよい。
【0049】
画像情報記憶部203は画像情報を記憶する。画像情報は、対象画像の画像情報である。画像情報には、合成画像GGの画像情報が含まれる。また、画像情報には、合成画像GGを生成する際に適用されたパラメータ、例えば、係数Aなどを示す情報などが含まれていてもよい。画像情報記憶部105は、記憶媒体、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、RAM、ROM、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0050】
(対象画像TG、及び合成画像GGについて)
ここで、
図4及び
図5を用いて対象画像TG、及び合成画像GGについて説明する。
図4は、対象画像TGの例を示す図である。
図5は、合成画像GGの例を示す図である。
【0051】
図4に示すように、例えば、画像生成装置10は、カメラCAから対象画像TGの画像情報を取得すると、取得した画像情報を用いて表示部103に対象画像TGを表示する。この場合、画像生成装置10は、対象画像TGと共に、支援ツールを表示するようにしてもよい。支援ツールは、ユーザが所望の合成画像GGを生成する操作を支援するツールである。
【0052】
画像生成装置10は、支援ツールとして、例えば、スライドスイッチSW、チェックボックスCB、及びガイドGDを表示する。
スライドスイッチSWは、煙の濃さを設定するスイッチである。スライドスイッチSWのスライド量は係数Aに連動し、スライド量に応じた係数Aの値が設定される。
チェックボックスCBは、煙の色、つまり黒煙を合成するか、白煙を合成するかを設定するチェックボックスである。チェックボックスCBにチェックされた項目が係数Aの符号に連動し、係数Aを正の値とするか負の値とするかが設定される。
【0053】
ガイドGDは、火災の発生源とする物体に応じた煙の色を案内する表示である。
例えば、ガソリンなどが燃焼した場合には、黒い煙が発生することが多い。また、電気機器等の温度が異常に上昇した場合などには、白い煙が発生することがある。
しかしながら、煙検出装置30を設置した作業員や、煙検出装置30が設置された現場の担当者が、このような、火災の発生源に応じて色が異なる煙が発生するという知識を有していない場合も想定される。このため、合成画像GGを生成するユーザに対し、このようなガイドGDを表示することにより、物体に応じた煙の色が設定されるように支援する。これにより、実際に火災が発生したとすれば観察されると思われる色の煙が発生している違和感のない自然な合成画像GGを生成することが可能となる。
【0054】
例えば、ユーザは、表示部103に表示された対象画像TGを視認し、対象画像TGに撮像された物体群から、煙を発生させる物体を選択する。この図の例では、対象画像TGに、車両、信号などが撮像されている。例えば、ユーザは、車両をマウス等でクリック操作することにより選択した車両を、煙を発生させる物体として選択する。
次に、ユーザは、チェックボックスCBにチェックする操作を行うことにより、黒煙にするか白煙にするかを設定する。この際、ユーザは、ガイドGDに表示されたメッセージを視認し、物体に応じた色を選択する。例えば、車両を選択した場合、黒煙を選択する。
そして、ユーザは、スライドスイッチSWをスライドさせる操作を行うことにより、合成する煙の濃さを設定する。画像生成装置10は、例えば、スライド操作と連動した濃さの煙を、対象画像TGに合成して表示させる。
【0055】
このような操作が行われることにより、
図5に示すような、合成画像GGが生成され、表示部103に表示される。
【0056】
(画像生成装置10が行う処理の流れ)
ここで、画像生成装置10が行う処理の流れを、
図6を用いて説明する。
図6は、実施形態に係る画像生成装置10が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0057】
画像生成装置10は、対象画像TGの画像情報を取得する(ステップS10)。画像生成装置10は、取得した対象画像TGをガイドGD等の支援ツールと共に表示する(ステップS11)。画像生成装置10は、スライドスイッチSWのスライド量に基づく係数Aを設定する(ステップS12)。画像生成装置10は、設定した係数Aを用いて、合成画像GGの画素値を、例えば、(1)式を用いて算出する(ステップS13)。画像生成装置10は、算出した画素値が、画素がとり得る上限値を超過した場合、クリッピング処理を行うことにより、画素値を補正するようにしてもよい(ステップS14)。画像生成装置10は、生成した合成画像GGを表示させる(ステップS15)。
【0058】
以上説明したように、実施形態の画像生成装置10は、画像取得部100と、生成部101と、を備える。生成部101は、非火災時の対象領域Tが撮像された対象画像TGを取得する。生成部101は、対象画像TGに煙画像を合成した合成画像GGを生成する。合成画像GGは、煙検出装置30正しく動作するか否かを判定するために用いられる。
【0059】
これにより、実施形態の画像生成装置10では、煙検出装置30が設置された現場の画像を用いて、動作確認を行うことができる。煙検出装置30が設置された現場が対象領域Tとして撮像された画像に煙画像を合成することができる。このようなリアルな合成画像GGを用いて動作確認を行うことができ、より高い確度で煙検出装置30が正しく動作するかどうかを確認することが可能となる。また、3次元形状モデルを用いたり、仮想空間を形成したりする必要がなく、実際の現場で撮像された対象画像TGを用いて合成画像GGを生成することができるため、ハイスペックな装置を用いなくとも、現場において火災が発生しているかのように見える画像を生成することが可能である。
【0060】
また、実施形態の画像生成装置10では、生成部101は、対象画像TGの画素値(IBG)と煙画像(Ismoke)の画素値に所定の倍率(係数A)を乗算した値との加算値を、画素値とする合成画像GGを生成する。これにより、実施形態の画像生成装置10では、煙が半透明であることが通常であるという特性を利用した、より違和感のない自然な合成画像GGを生成することができる。
【0061】
また、実施形態の画像生成装置10では、生成部101は、煙画像を白煙として表現するときに所定の倍率(係数A)を正の値とし、煙画像を黒煙として表現するときに所定の倍率(係数A)を負の値とする。これにより、実施形態の画像生成装置10では、係数Aの符号を正の値とするか負の値とするかという簡単な設定により煙の色を制御することができる。
【0062】
例えば、画素値を、0から255までのRGBを用いて表現する場合、白色は(255、255、255)、黒色は(0、0、0)となる。このような性質を利用して、本実施形態では、例えば(1)式において、係数Aを正の値とすることにより、合成画像GGの画素値の数値が大きくなるようにして白色に近づくようにした。また、係数Aを負の値とすることにより、合成画像GGの画素値の数値が小さくなるようにして黒色に近づくようにした。
【0063】
また、実施形態の画像生成装置10では、入力部102と、表示部103を更に備える。表示部103は、対象画像TGと共にガイドGDを表示する。ガイドGDは、火災の発生源とする物体に応じた煙の色を案内する表示である。入力部102には、ユーザによる操作が入力される。生成部101は、入力部102に入力された操作により指定された色の煙画像を対象画像TGに合成した合成画像GGを生成する。これにより、実施形態の画像生成装置10では、ユーザの操作により、より違和感のない自然な合成画像GGが生成されるように支援を行うことができる。
【0064】
また、実施形態の火災検出システム1は、画像取得部100と、生成部101と、動作判定部202とを備える。火災検出システム1は「動作確認システム」の一例である。動作判定部は、「判定部」の一例である。動作判定部202は、合成画像GGを用いて、対象領域Tに設けられた煙検出装置30であって、画像に基づいて対象領域Tに煙が発生しているか否かを判定する煙検出装置30が正しく動作するか否かを判定する。これにより、実施形態の火災検出システム1では、煙検出装置30が、現場において正しく動作することを、現場が撮像された画像を用いて確認することができ、煙検出装置30の信頼性を向上させることが可能となる。
【0065】
(実施形態の変形例1)
実施形態の変形例1について説明する。本変形例では、対象画像TGに撮像された空間の奥行に応じた大きさの煙画像を合成する点において、上述した実施形態と相違する。
【0066】
本変形例では、対象領域Tに目印となる物体、例えば、マーカM(
図7参照)を設置することにより、対象画像TGに撮像された空間の奥行を検知する。
【0067】
図7はマーカMを説明する図である。マーカMは、例えば、
図7に示すような規定の長さを有する物体である。
例えば、マーカMは、両方の端部に球体が接続されたポールのような形状を有する物体である。このようなマーカMを撮像方向に沿って設置しておき、マーカMが設置された空間がカメラCAによって撮像されるようにする。
或いは、事前にマーカMを設置したテスト画像を撮像し、撮像したテスト画像に基づいて、奥行に応じた複数の空間OY(
図9A参照)を形成し、形成した空間OYに応じた大きさの煙画像を合成できるように、合成画像GGを生成する際に使用するパラメータとしてあらかじめ設定するようにしてもよい。
また、マーカMは
図7の例に限定されることはない。マーカMは、少なくともマーカであることと、対象画像TGにおいてマーカの大きさが確認できるものであれば、任意の形状であってよい。例えば、マーカMは、二次元コードなどで構成され、プログラム等でマーカの位置が自動的に検出されるとともに、その大きさが検出されるものであってもよい。
【0068】
ここで、本変形例で奥行に応じた大きさの煙画像を合成する方法について、
図8及び部9(
図9A,
図9B)を用いて説明する。
図8は、実施形態の変形例1に係る対象画像TGの例を示す図である。
図9は実施形態の変形例1に係る合成画像GGの例を示す図である。
【0069】
図8に示すように、本変形例では、1又は複数のマーカM(この図では、複数のマーカM1~M5)を含む対象画像TG(或いはテスト画像)が撮像され、表示部103に表示される。
図9Aに示すように、画像生成装置10は、マーカMの配置された位置に基づいて、空間の奥行を検知し、検知した奥行に応じた複数の空間OY(空間OY1~OY5)を形成する。それぞれの空間OYは、対象画像TGにおいては異なる大きさに見えるが、実空間においては同程度の大きさを有する空間である。
図9Bに示すように、画像生成装置10は、ユーザが選択した物体が、何れの空間OYに存在するかに応じて、合成する煙画像の大きさを決定する。例えば、画像生成装置10は、撮像方向に対して手前側(カメラCA側)にあり比較的大きく見える空間OY5にある車両に煙画像を合成する場合、比較的大きい煙画像を合成する。一方、画像生成装置10は、撮像方向に対して奥側にあり比較的小さく見える空間OY2にある車両に煙画像を合成する場合、比較的小さい煙画像を合成する。これにより、同じような規模の火災を想定した場合において、火災が発生した場所に応じて対象画像TGに撮像される煙の大きさが異なる状況をよりリアルに再現することができる。
【0070】
以上説明したように、実施形態の変形例1に係る画像生成装置10では、対象画像TGには、対象領域Tの奥行を示す奥行情報、例えば、既知の長さを示すマーカMの画像情報が含まれる。生成部101は、奥行情報に応じた大きさの煙画像を、対象画像TGに合成した合成画像GGを生成する。これにより、実施形態の変形例1では、対象画像TGに撮像された空間の奥行を特定することができ、特定した奥行に応じて、その奥行に対応する空間に存在する物体に合成する煙画像の大きさをリサイズすることができる。したがって、対象領域Tにおいて、いずれの場所で煙を発生させようとする場合であっても、実際に発生する煙の大きさに近い合成画像GGを生成することができる。
【0071】
(実施形態の変形例2)
実施形態の変形例2について説明する。本変形例では、合成画像GGを避難訓練に用いる点において、上述した実施形態と相違する。
避難訓練では、実際の火災に近い状況を作り出し、参加者に実際に火災が発生したらどうなるか、どのように避難すればよいかを体験させることが重要である。
通常の避難訓練では、火災報知器などに疑似信号を与えることにより、火災警報などを出力させるなどして、実際の火災に近い状況を作り出すことが行われている。
本変形例では、避難訓練の際に合成画像GGを表示する。これにより、参加者に、参加者の身近にある空間が炎に包まれた様子を視認させることができる。したがって、実際に火災が発生したらどうなるか、参加者によりリアルに体験させることが可能となる。
【0072】
上述した実施形態における火災検出システム1、画像生成装置10及び動作制御装置20の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0073】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0074】
1…火災検出システム(動作確認システム)
10…画像生成装置
100…画像取得部
101…生成部
102…入力部
103…表示部
20…動作制御装置
202…動作判定部(判定部)
30…煙検出装置