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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145111
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】MIMOアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/28 20060101AFI20231003BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20231003BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20231003BHJP
   H01Q 9/28 20060101ALI20231003BHJP
   H01Q 9/26 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H01Q21/28
H01Q21/24
H01Q9/16
H01Q9/28
H01Q9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052402
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000165848
【氏名又は名称】原田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【弁理士】
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 淳
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AB03
5J021CA03
5J021HA05
5J021JA07
(57)【要約】
【課題】広帯域にアンテナ間の干渉を抑制すると共に小型化が可能なMIMOアンテナ装置を提供する。
【解決手段】MIMOアンテナ装置は、表側ダイポールアンテナ10と、裏側ダイポールアンテナ20とからなる。ホットエレメント用長辺給電部12,22は、給電点11,21に長辺で接続される。グラウンドエレメント用長辺給電部14,24は、給電点11,21に長辺で接続され、ホットエレメント用長辺給電部12,22の長辺に平行に所定の間隔を設けて対向する。グラウンドエレメント15,25は、ホットエレメント13,23に対して給電点11,21を中心に点対称且つオフセット配置される。そして、表側ダイポールアンテナ10及び裏側ダイポールアンテナ20は、上面視で給電点11,21が概ね重なるように配置されると共に、表側長辺給電部が裏側長辺給電部と直交するように配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間多重伝送を行うMIMOアンテナ装置であって、該MIMOアンテナ装置は、
表側面上に配置される表側ダイポールアンテナと、
表側面に対向する裏側面上に配置され、表側ダイポールアンテナと同一周波数帯用の裏側ダイポールアンテナとを具備し、
前記表側ダイポールアンテナは、
表側給電点と、
前記表側給電点に長辺で接続される表側ホットエレメント用長辺給電部と、
前記表側ホットエレメント用長辺給電部から延在する表側ホットエレメントと、
前記表側給電点に長辺で接続される表側グラウンドエレメント用長辺給電部であって、その長辺が表側ホットエレメント用長辺給電部の長辺に平行に所定の間隔を設けて対向する、表側グラウンドエレメント用長辺給電部と、
前記表側グラウンドエレメント用長辺給電部から延在し、表側ホットエレメントに対して表側給電点を中心に点対称且つオフセット配置される表側グラウンドエレメントと、
からなり、
前記裏側ダイポールアンテナは、
裏側給電点と、
前記裏側給電点に長辺で接続される裏側ホットエレメント用長辺給電部と、
前記裏側ホットエレメント用長辺給電部から延在する裏側ホットエレメントと、
前記裏側給電点に長辺で接続される裏側グラウンドエレメント用長辺給電部であって、その長辺が裏側ホットエレメント用長辺給電部の長辺に平行に所定の間隔を設けて対向する、裏側グラウンドエレメント用長辺給電部と、
前記裏側グラウンドエレメント用長辺給電部から延在し、裏側ホットエレメントに対して裏側給電点を中心に点対称且つオフセット配置される裏側グラウンドエレメントと、
からなり、
前記表側ダイポールアンテナ及び裏側ダイポールアンテナは、上面視で表側給電点と裏側給電点とが概ね重なるように配置されると共に、
前記表側ホットエレメント用長辺給電部及び表側グラウンドエレメント用長辺給電部が、前記裏側ホットエレメント用長辺給電部及び裏側グラウンドエレメント用長辺給電部と直交するように配置される、
ことを特徴とするMIMOアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のMIMOアンテナ装置において、
前記表側ダイポールアンテナは、その表側ホットエレメント用長辺給電部及び表側グラウンドエレメント用長辺給電部の対向する長辺の長さによりインピーダンス整合がされ、
前記裏側ダイポールアンテナは、その裏側ホットエレメント用長辺給電部及び裏側グラウンドエレメント用長辺給電部の対向する長辺の長さによりインピーダンス整合がされる、
ことを特徴とするMIMOアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のMIMOアンテナ装置において、
前記表側ダイポールアンテナは、表側ボウタイアンテナからなり、
前記裏側ダイポールアンテナは、裏側ボウタイアンテナからなる、
ことを特徴とするMIMOアンテナ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のMIMOアンテナ装置において、前記表側ボウタイアンテナ及び/又は裏側ボウタイアンテナは、表側面と裏側面の間の側面に表側ボウタイアンテナ及び/又は裏側ボウタイアンテナから延在するアンテナ性能調整用の側面エレメント部を有することを特徴とするMIMOアンテナ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のMIMOアンテナ装置において、
前記表側ダイポールアンテナは、表側面から裏側面へ延在する表側折り返しエレメントを有し、
前記裏側ダイポールアンテナは、裏側面から表側面へ延在する裏側折り返しエレメントを有し、
前記表側折り返しエレメントは、裏側面内で裏側ダイポールアンテナの配置されていないエリアに配置され、
前記裏側折り返しエレメントは、表側面内で表側ダイポールアンテナの配置されていないエリアに配置される、
ことを特徴とするMIMOアンテナ装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載のMIMOアンテナ装置において、前記表側給電点及び裏側給電点にそれぞれ接続される同軸ケーブルが、表側面と裏側面の間にそれぞれ配線されることを特徴とするMIMOアンテナ装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載のMIMOアンテナ装置であって、さらに、前記表側面と裏側面の間に配置され、表側給電点を有する表側基板と、裏側給電点を有する裏側基板と、を有することを特徴とするMIMOアンテナ装置。
【請求項8】
請求項7に記載のMIMOアンテナ装置において、前記表側基板と裏側基板は、1枚の基板の表面と裏面からなることを特徴とするMIMOアンテナ装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載のMIMOアンテナ装置において、前記表側ダイポールアンテナ及び裏側ダイポールアンテナは、直方体のケース内で、対角線上にそれぞれ配置されることを特徴とするMIMOアンテナ装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9の何れかに記載のMIMOアンテナ装置であって、さらに、
表側面上に配置され、表側ホットエレメント用長辺給電部から延在する第2表側ホットエレメントと、表側グラウンドエレメント用長辺給電部から延在する第2表側グラウンドエレメントと、からなり、表側ダイポールアンテナとは異なる周波数帯用の第2表側ダイポールアンテナであって、前記表側ダイポールアンテナに交差するように配置される、第2表側ダイポールアンテナと、
裏側面上に配置され、裏側ホットエレメント用長辺給電部から延在する第2裏側ホットエレメントと、裏側グラウンドエレメント用長辺給電部から延在する第2裏側グラウンドエレメントと、からなり、第2表側ダイポールアンテナと同一周波数帯用の第2裏側ダイポールアンテナであって、前記裏側ダイポールアンテナに交差するように配置される、第2裏側ダイポールアンテナと、
を具備することを特徴とするMIMOアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMIMOアンテナ装置に関し、特に、小型且つ広帯域なMIMOアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近来、自動運転を目指す自動車において、携帯電話網を用いる広域通信ネットワークは、通信する情報の大容量化・高速化等が進められている。例えば、大容量化・高速化を図るために空間多重伝送を行う技術として、MIMO(Multiple Imput Multiple Output)技術が知られている。複数のアンテナ素子を用いるMIMOアンテナ装置においては、一般的にアンテナ素子間を離して設置することでアイソレーションを確保する必要がある等、設計上の制約が多い。また、近年自動車の車両内部のアンテナ搭載スペースは、エアバッグ等の他の機器により制約される傾向にあり、車両内部に搭載可能な大きさまで小型化するのは難しかった。
【0003】
このような車両に搭載可能とするためのMIMOアンテナ装置として、本願出願人と同一出願人による特許文献1が知られている。特許文献1には、第1ダイポールアンテナと第2ダイポールアンテナを表裏面で交差するように配置することで、広帯域にアンテナ間の干渉を抑制すると共に小型化が可能なMIMOアンテナ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-72626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
5G通信の高速大容量伝送に用いられるMIMOアンテナ装置においては、アンテナ装置に要求される項目として、相関係数の低減がある。この相関係数の低減のためには、2つのアンテナ間の相互結合量(アイソレーション)を十分に確保することが肝要である。特許文献1のMIMOアンテナ装置でもアイソレーションは十分であったが、アンテナの配置条件によってはさらなる改善も望まれていた。
【0006】
本発明は、斯かる実情に鑑み、広帯域にアンテナ間の干渉を抑制すると共に小型化が可能なMIMOアンテナ装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明によるMIMOアンテナ装置は、表側面上に配置される表側ダイポールアンテナと、表側面に対向する裏側面上に配置され、表側ダイポールアンテナと同一周波数帯用の裏側ダイポールアンテナとを具備するものである。そして、表側ダイポールアンテナは、表側給電点と、表側給電点に長辺で接続される表側ホットエレメント用長辺給電部と、表側ホットエレメント用長辺給電部から延在する表側ホットエレメントと、表側給電点に長辺で接続される表側グラウンドエレメント用長辺給電部であって、その長辺が表側ホットエレメント用長辺給電部の長辺に平行に所定の間隔を設けて対向する、表側グラウンドエレメント用長辺給電部と、表側グラウンドエレメント用長辺給電部から延在し、表側ホットエレメントに対して表側給電点を中心に点対称且つオフセット配置される表側グラウンドエレメントと、からなり、裏側ダイポールアンテナは、裏側給電点と、裏側給電点に長辺で接続される裏側ホットエレメント用長辺給電部と、裏側ホットエレメント用長辺給電部から延在する裏側ホットエレメントと、裏側給電点に長辺で接続される裏側グラウンドエレメント用長辺給電部であって、その長辺が裏側ホットエレメント用長辺給電部の長辺に平行に所定の間隔を設けて対向する、裏側グラウンドエレメント用長辺給電部と、裏側グラウンドエレメント用長辺給電部から延在し、裏側ホットエレメントに対して裏側給電点を中心に点対称且つオフセット配置される裏側グラウンドエレメントと、からなるものであれば良い。そして、表側ダイポールアンテナ及び裏側ダイポールアンテナは、上面視で表側給電点と裏側給電点とが概ね重なるように配置されると共に、表側ホットエレメント用長辺給電部及び表側グラウンドエレメント用長辺給電部が、裏側ホットエレメント用長辺給電部及び裏側グラウンドエレメント用長辺給電部と直交するように配置される、ものであれば良い。
【0008】
ここで、表側ダイポールアンテナは、その表側ホットエレメント用長辺給電部及び表側グラウンドエレメント用長辺給電部の対向する長辺の長さによりインピーダンス整合がされ、裏側ダイポールアンテナは、その裏側ホットエレメント用長辺給電部及び裏側グラウンドエレメント用長辺給電部の対向する長辺の長さによりインピーダンス整合がされる、ものであっても良い。
【0009】
また、表側ダイポールアンテナは、表側ボウタイアンテナからなり、裏側ダイポールアンテナは、裏側ボウタイアンテナからなる、ものであっても良い。
【0010】
また、表側ボウタイアンテナ及び/又は裏側ボウタイアンテナは、表側面と裏側面の間の側面に表側ボウタイアンテナ及び/又は裏側ボウタイアンテナから延在するアンテナ性能調整用の側面エレメント部を有するものであっても良い。
【0011】
また、表側ダイポールアンテナは、表側面から裏側面へ延在する表側折り返しエレメントを有し、裏側ダイポールアンテナは、裏側面から表側面へ延在する裏側折り返しエレメントを有し、表側折り返しエレメントは、裏側面内で裏側ダイポールアンテナの配置されていないエリアに配置され、裏側折り返しエレメントは、表側面内で表側ダイポールアンテナの配置されていないエリアに配置される、ものであっても良い。
【0012】
また、表側給電点及び裏側給電点にそれぞれ接続される同軸ケーブルが、表側面と裏側面の間にそれぞれ配線されるものであっても良い。
【0013】
さらに、表側面と裏側面の間に配置され、表側給電点を有する表側基板と、裏側給電点を有する裏側基板と、を有するものであっても良い。
【0014】
また、表側基板と裏側基板は、1枚の基板の表面と裏面からなるものであっても良い。
【0015】
また、表側ダイポールアンテナ及び裏側ダイポールアンテナは、直方体のケース内で、対角線上にそれぞれ配置されるものであっても良い。
【0016】
さらに、表側面上に配置され、表側ホットエレメント用長辺給電部から延在する第2表側ホットエレメントと、表側グラウンドエレメント用長辺給電部から延在する第2表側グラウンドエレメントと、からなり、表側ダイポールアンテナとは異なる周波数帯用の第2表側ダイポールアンテナであって、表側ダイポールアンテナに交差するように配置される、第2表側ダイポールアンテナと、裏側面上に配置され、裏側ホットエレメント用長辺給電部から延在する第2裏側ホットエレメントと、裏側グラウンドエレメント用長辺給電部から延在する第2裏側グラウンドエレメントと、からなり、第2表側ダイポールアンテナと同一周波数帯用の第2裏側ダイポールアンテナであって、裏側ダイポールアンテナに交差するように配置される、第2裏側ダイポールアンテナと、を具備するものであっても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明のMIMOアンテナ装置には、広帯域にアンテナ間の干渉を抑制すると共に小型化が可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明のMIMOアンテナ装置を説明するための概略図である。
図2図2は、本発明のMIMOアンテナ装置のダイポールアンテナの他の例を説明するための概略上面図である。
図3図3は、本発明のMIMOアンテナ装置のダイポールアンテナの他の例を説明するための概略上面図である。
図4図4は、本発明のMIMOアンテナ装置のダイポールアンテナの他の例を説明するための概略上面図である。
図5図5は、本発明のMIMOアンテナ装置のダイポールアンテナの他の例を説明するための概略斜視図である。
図6図6は、本発明のMIMOアンテナ装置のダイポールアンテナの他の例を説明するための概略斜視図である。
図7図7は、本発明のMIMOアンテナ装置の周波数に対するアイソレーション特性のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明のMIMOアンテナ装置を説明するための概略図であり、図1(a)は上面図、図1(b)はb-b断面図である。図中、同一の符号を付した部分は同一物を表している。空間多重伝送を行う本発明のMIMOアンテナ装置は、図示の通り、表側ダイポールアンテナ10と、裏側ダイポールアンテナ20と、から主に構成されている。本発明のMIMOアンテナ装置は、例えば直方体のケース1内に収納されれば良い。ケース1は、例えば80mm×80mm×15mmのサイズのような小型のものであれば良い。なお、図示例の表側ダイポールアンテナ10や裏側ダイポールアンテナ20は、線状エレメントで構成されるものを示した。
【0020】
表側ダイポールアンテナ10は、表側面2上に配置されている。表側ダイポールアンテナ10は、表側給電点11と、表側ホットエレメント用長辺給電部12と、表側ホットエレメント13と、表側グラウンドエレメント用長辺給電部14と、表側グラウンドエレメント15とからなる。即ち、表側ダイポールアンテナ10は、表側ホットエレメント13と表側グラウンドエレメント15を用いたダイポールアンテナである。
【0021】
表側給電点11には、適宜表側同軸ケーブル4が接続されている。表側ホットエレメント用長辺給電部12は、表側給電点11に長辺で接続されるものである。図示例のように、表側ホットエレメント用長辺給電部12は、長手方向に延在する長辺を有するものであり、この長手方向の長辺の中央付近で表側給電点11に接続される。より具体的には、表側給電点11のホット側が表側ホットエレメント用長辺給電部12の長辺に接続されている。
【0022】
そして、表側ホットエレメント13は、この表側ホットエレメント用長辺給電部12から延在するものである。図示例の表側ホットエレメント13は、上面視で表側ホットエレメント用長辺給電部12の右側から斜め右上方向に延在するものを示した。このように、図示例の表側ダイポールアンテナ10の一方のエレメントは、表側ホットエレメント用長辺給電部12と表側ホットエレメント13からなる屈曲形状のエレメントである。
【0023】
また、表側グラウンドエレメント用長辺給電部14は、表側給電点11に長辺で接続されるものである。図示例のように、表側グラウンドエレメント用長辺給電部14は、長手方向に延在する長辺を有するものであり、この長手方向の長辺の中央付近で表側給電点11に接続される。より具体的には、表側給電点11のグラウンド側が表側グラウンドエレメント用長辺給電部14の長辺に接続されている。そして、表側グラウンドエレメント用長辺給電部14の長辺が、表側ホットエレメント用長辺給電部12の長辺に平行に所定の間隔を設けて対向するように配置されている。即ち、表側給電点11の上下を表側ホットエレメント用長辺給電部12と表側グラウンドエレメント用長辺給電部14とで挟むように配置されている。
【0024】
そして、表側グラウンドエレメント15は、この表側グラウンドエレメント用長辺給電部14から延在するものである。表側グラウンドエレメント15は、表側ホットエレメント13に対して表側給電点11を中心に点対称且つオフセット配置されるものである。即ち、表側グラウンドエレメント15は、表側ホットエレメント13とは表側給電点11を中心に反対側方向に延在すると共に、オフセット配置、即ち、表側ホットエレメント用長辺給電部12と表側グラウンドエレメント用長辺給電部14とを用いることで、左右にずらして配置されている。具体的には、図示例の表側グラウンドエレメント15は、上面視で表側グラウンドエレメント用長辺給電部14の左側から斜め左下方向に延在するものを示した。このように、図示例の表側ダイポールアンテナ10の他方のエレメントは、表側グラウンドエレメント用長辺給電部14と表側グラウンドエレメント15からなる屈曲形状のエレメントである。
【0025】
このように構成された表側ダイポールアンテナ10は、例えば表側面2を形成する表側基板6上に配置されれば良い。また、表側給電点11は、表側基板6に配置されれば良い。表側基板6は、例えば樹脂製の基部8上に配置されれば良い。表側基板6には、同軸ケーブル4が接続され、外部機器(図示せず)と接続されている。なお、表側面2は、平面である必要は必ずしもなく、曲面のようなある程度湾曲した面であっても良い。
【0026】
一方、裏側ダイポールアンテナ20も、基本的には表側ダイポールアンテナ10と同様の構成を有している。裏側ダイポールアンテナ20は、表側面2に対向する裏側面3上に配置されるものである。ここで、対向するとは、必ずしも表側面2と裏側面3が図示のように平行である必要はなく、表側面2と裏側面3がある程度間を開けて配置されていれば、ある程度斜めに対向しても良いことを意味する。また、裏側面3も、平面である必要は必ずしもなく、曲面のようなある程度湾曲した面であっても良い。裏側ダイポールアンテナ20は、表側ダイポールアンテナ10と同一周波数帯用のアンテナである。そして、基本的には表側ダイポールアンテナ10と同一構成のものである。裏側ダイポールアンテナ20は、裏側給電点21と、裏側ホットエレメント用長辺給電部22と、裏側ホットエレメント23と、裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24と、裏側グラウンドエレメント25とからなる。即ち、裏側ダイポールアンテナ20は、裏側ホットエレメント23と裏側グラウンドエレメント25を用いたダイポールアンテナである。
【0027】
裏側給電点21には、適宜裏側同軸ケーブル5が接続されている。裏側ホットエレメント用長辺給電部22は、裏側給電点21に長辺で接続されるものである。図示例のように、裏側ホットエレメント用長辺給電部22は、長手方向に延在する長辺を有するものであり、この長手方向の長辺の中央付近で裏側給電点21に接続される。より具体的には、裏側給電点21のホット側が裏側ホットエレメント用長辺給電部22の長辺に接続されている。
【0028】
そして、裏側ホットエレメント23は、この裏側ホットエレメント用長辺給電部22から延在するものである。図示例の裏側ホットエレメント23は、上面視で裏側ホットエレメント用長辺給電部22の上側から斜め左上方向に延在するものを示した。このように、図示例の裏側ダイポールアンテナ20の一方のエレメントは、裏側ホットエレメント用長辺給電部22と裏側ホットエレメント23からなる屈曲形状のエレメントである。
【0029】
また、裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24は、裏側給電点21に長辺で接続されるものである。図示例のように、裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24は、長手方向に延在する長辺を有するものであり、この長手方向の長辺の中央付近で裏側給電点21に接続される。より具体的には、裏側給電点21のグラウンド側が裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24の長辺に接続されている。そして、裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24の長辺が、裏側ホットエレメント用長辺給電部22の長辺に平行に所定の間隔を設けて対向するように配置されている。即ち、裏側給電点21の左右を裏側ホットエレメント用長辺給電部22と裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24とで挟むように配置されている。
【0030】
そして、裏側グラウンドエレメント25は、この裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24から延在するものである。裏側グラウンドエレメント25は、裏側ホットエレメント23に対して裏側給電点21を中心に点対称且つオフセット配置されるものである。即ち、裏側グラウンドエレメント25は、裏側ホットエレメント23とは裏側給電点21を中心に反対側方向に延在すると共に、オフセット配置、即ち、裏側ホットエレメント用長辺給電部22と裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24とを用いることで、上下にずらして配置されている。具体的には、図示例の裏側グラウンドエレメント25は、上面視で裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24の下側から斜め右下方向に延在するものを示した。このように、図示例の裏側ダイポールアンテナ20の他方のエレメントは、裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24と裏側グラウンドエレメント25からなる屈曲形状のエレメントである。
【0031】
このように構成された裏側ダイポールアンテナ20は、例えば裏側面3を形成する裏側基板7上に配置されれば良い。また、裏側給電点21は、裏側基板7に配置されれば良い。裏側基板7は、例えば樹脂製の基部8上の表側基板6とは反対側に配置されれば良い。裏側基板7には、同軸ケーブル5が接続され、外部機器(図示せず)と接続されている。なお、裏側面3は、平面である必要は必ずしもなく、曲面のようなある程度湾曲した面であっても良い。
【0032】
ここで、図示の通り、表側ダイポールアンテナ10及び裏側ダイポールアンテナ20は、上面視で表側給電点11と裏側給電点21とが概ね重なるように配置されている。なお、ケーブルの配線や組立上の制限等によっては、表側給電点11と裏側給電点21とが上面視で必ずしも完全に重なるように配置される必要はなく、ある程度ずらして配置されていても良い。さらに、本発明の最も特徴とする点として、表側ホットエレメント用長辺給電部12及び表側グラウンドエレメント用長辺給電部14が、裏側ホットエレメント用長辺給電部22及び裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24と直交するように配置されている。即ち、表側給電点11及び裏側給電点21を中心として、表側ダイポールアンテナ10及び裏側ダイポールアンテナ20が90度回転した状態で配置されている。
【0033】
このように、本発明のMIMOアンテナ装置では、給電点付近の最も電流が乗る近傍のダイポールアンテナの給電部を長辺で構成し、表裏でこの長辺給電部が直交するように配置することで、広帯域にアンテナ間の干渉を抑制することが可能となった。
【0034】
ここで、表側ホットエレメント用長辺給電部12及び表側グラウンドエレメント用長辺給電部14は、長辺に平行に所定の間隔を設けて対向するように配置されている。本発明のMIMOアンテナ装置では、この対向する長辺の長さにより、表側ダイポールアンテナ10のインピーダンス整合を行うことが可能である。即ち、表側ホットエレメント用長辺給電部12及び表側グラウンドエレメント用長辺給電部14の長手方向の長さを変化させることで、表側ダイポールアンテナ10のインピーダンス調整が可能となる。
【0035】
同様に、裏側ホットエレメント用長辺給電部22及び裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24は、長辺に平行に所定の間隔を設けて対向するように配置されているので、この対向する長辺の長さにより、裏側ダイポールアンテナ20のインピーダンス整合を行うことが可能である。即ち、裏側ホットエレメント用長辺給電部22及び裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24の長手方向の長さを変化させることで、裏側ダイポールアンテナ20のインピーダンス調整が可能となる。
【0036】
なお、図示例では、ホットエレメント用長辺給電部とグラウンドエレメント用長辺給電部が、上面視で重ならないように平面上で平行に所定の間隔を設けて対向するように配置される例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、ホットエレメント用長辺給電部とグラウンドエレメント用長辺給電部は、上面視で重なるように上下で平行に所定の間隔を設けて対向するように配置されるものであっても良い。
【0037】
また、本発明のMIMOアンテナ装置では、略同一形状の2つのダイポールアンテナを上面視でX字状になるように配置すれば良い。即ち、図示例のように上面視で90度回転させた状態で配置されるものであっても良いし、90度回転させさらに反転させた状態で配置されるものであっても良い。表側ホットエレメント用長辺給電部12及び表側グラウンドエレメント用長辺給電部14が、裏側ホットエレメント用長辺給電部22及び裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24と直交するように配置されていれば良い。そして、表側ホットエレメント13及び表側グラウンドエレメント15の主要部については、裏側ホットエレメント23及び裏側グラウンドエレメント25の主要部と重ならないように、表裏で向かい合わせて表側ダイポールアンテナ10に交差するように裏側ダイポールアンテナ20が配置されていれば良い。
【0038】
なお、図示例では、基部8の表裏に表側基板6と裏側基板7がそれぞれ配置される例を示したが、本発明はこれに限定されず、表側基板6と裏側基板7は、1枚の基板の表面と裏面からなるものであっても良い。即ち、基板を2枚用いないで、1枚の基板の表面を表側基板として用い、その裏面を裏側基板として用いるように構成しても良い。また、表側ダイポールアンテナ10や裏側ダイポールアンテナ20は、それぞれ表側基板6や裏側基板7上に例えば基板の銅箔をエッチング等することでパターンニング形成されれば良い。また、板金や導電性フィルム等で提供されても良い。さらに、導電線等を用いても良いし、導電線等を例えばL字状に折り曲げて基板から浮かせて配置させても良い。
【0039】
なお、上面視だとクロスダイポールアンテナのようにも見えるが、本発明のMIMOアンテナ装置の表側ダイポールアンテナ10と裏側ダイポールアンテナ20は、同一平面上に配置されるものではなく、また円偏波を得るためのものでもないため、クロスダイポールアンテナとは目的も構成も効果も異なるものである。
【0040】
また、上述の図示例では、同軸ケーブル4,5を用いて表側給電点11や裏側給電点21に不平衡給電するものを示した。ここで、本発明のMIMOアンテナ装置では、表側給電点11及び裏側給電点21にそれぞれ接続される同軸ケーブル4,5は、表側面2と裏側面3の間にそれぞれ配線されれば良い。即ち、厚さ方向において、表側ダイポールアンテナ10や裏側ダイポールアンテナ20が最も外側に位置するように配置し、これらの間の空間を利用して同軸ケーブル4,5を配線する。これにより、限られたエリアを効率良く利用することで小型化が可能となる。なお、本発明のMIMOアンテナ装置は、必要によりバラン等を用いても良い。
【0041】
本発明のMIMOアンテナ装置は、このように構成されることで、表側ダイポールアンテナ10と裏側ダイポールアンテナ20のアンテナ間の干渉を広帯域に抑制することが可能となる。また、アンテナ間の干渉を抑制できるため、小型のケース内に収めることが可能となる。したがって、例えば車両のインストゥルメンタルパネル内に収納可能なサイズまで小型化が可能となる。
【0042】
図示例の表側ダイポールアンテナ10及び裏側ダイポールアンテナ20は、直方体のケース1内で、対角線上にそれぞれ配置されるものを示した。ケース1内に上面視でX字状に各エレメントが配置されることで、上面視で十字状に配置されるものに比べてエレメント長を長く配置可能となる。しかしながら本発明はこれに限定されず、ケース1内に上面視で十字状に配置されるものであっても良い。
【0043】
図2に、本発明のMIMOアンテナ装置のダイポールアンテナの他の例を説明するための概略上面図を示す。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。なお、図2では、表側ダイポールアンテナ10及び裏側ダイポールアンテナ20のみを示した。図示の通り、この例では、表側ダイポールアンテナ10及び裏側ダイポールアンテナ20を、上面視で十字状に配置したものである。また、図示例の表側ダイポールアンテナ10や裏側ダイポールアンテナ20は、図1に示された線状エレメントよりも幅の広い幅広線状エレメントで構成されるものを示した。この例では、表側ホットエレメント用長辺給電部12と表側ホットエレメント13は、一体的に幅広線状エレメントで構成されている。即ち、長方形状の導電体の一部を表側ホットエレメント用長辺給電部12として用い、他の部分を表側ホットエレメント13として用いている。同様に、表側グラウンドエレメント用長辺給電部14と表側グラウンドエレメント15も、一体的に幅広線状エレメントで構成されている。即ち、長方形状の導電体の一部を表側グラウンドエレメント用長辺給電部14として用い、他の部分を表側グラウンドエレメント15として用いている。
【0044】
そして、この例でも、表側ホットエレメント用長辺給電部12の長辺に所定の間隔を設けて対向するように表側グラウンドエレメント用長辺給電部14が配置されている。即ち、表側給電点11の上下を表側ホットエレメント用長辺給電部12と表側グラウンドエレメント用長辺給電部14とで挟むように配置されている。
【0045】
このような構成の表側ダイポールアンテナ10と略同形状の裏側ダイポールアンテナ20が、表側給電点11及び裏側給電点21を中心として、90度回転した状態で配置されている。このとき、図1に示される例と同様に、この例でも、表側ホットエレメント用長辺給電部12及び表側グラウンドエレメント用長辺給電部14が、裏側ホットエレメント用長辺給電部22及び裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24と直交するように配置されることになる。したがって、長辺給電部が直交するように配置できるので、広帯域にアンテナ間の干渉を抑制することが可能となる。
【0046】
図3に、本発明のMIMOアンテナ装置のダイポールアンテナの他の例を説明するための概略上面図を示す。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。なお、図3では、表側ダイポールアンテナ10及び裏側ダイポールアンテナ20のみを示した。この例は、表側ダイポールアンテナ10が表側ボウタイアンテナからなり、裏側ダイポールアンテナ20が裏側ボウタイアンテナからなるものである。即ち、2つのボウタイアンテナを上面視で交差して配置した構造を有するものである。一般的にボウタイアンテナは自己補対構造を有するアンテナであるが、図示例のボウタイアンテナからなる表側ダイポールアンテナ10及び裏側ダイポールアンテナ20は、それぞれ自己補対構造に近い構造を有するものである。即ち、ボウタイアンテナ構造ではあるが、線対称形状でなくても良い。また、ダイポールアンテナではあるものの、ホットエレメントとグラウンドエレメントは、必ずしも完全同一形状のものでなくても良い。
【0047】
本発明のMIMOアンテナ装置では、このようなボウタイアンテナからなる表側ダイポールアンテナ10及び裏側ダイポールアンテナ20においても、表側ホットエレメント用長辺給電部12及び表側グラウンドエレメント用長辺給電部14が、裏側ホットエレメント用長辺給電部22及び裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24と直交するように配置されている。
【0048】
図4に、本発明のMIMOアンテナ装置のダイポールアンテナの他の例を説明するための概略上面図を示す。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。この例は、所望の周波数帯域をLow、Mid、Highの3バンドに分割し、それらに対応するようなエレメントとしたものである。表側面2で交差するように配置される2つのダイポールアンテナと、裏側面3で交差するように配置される2つのダイポールアンテナとからなるものである。即ち、それぞれの面で、2つのダイポールアンテナが交差するように配置されている。表側ダイポールアンテナ10及び裏側ダイポールアンテナ20は、基本的には図3に示されるものと同様の形状を有するものである。即ち、表側ダイポールアンテナ10及び裏側ダイポールアンテナ20を、それぞれボウタイアンテナで構成したものである。そして、これを例えばLow用のエレメントとして用いている。
【0049】
そして、図示例は、さらに、第2表側ダイポールアンテナ10'と、第2裏側ダイポールアンテナ20'とを有するように構成したものである。第2表側ダイポールアンテナ10'は、表側ダイポールアンテナ10とは異なる周波数帯用のものである。これを例えばMid及びHigh用の複合エレメントとして用いている。第2表側ダイポールアンテナ10'は、表側面2上に配置されるものである。そして、第2表側ダイポールアンテナ10'は、第2表側ホットエレメント13'と、第2表側グラウンドエレメント15'からなる。第2表側ホットエレメント13'は、表側ホットエレメント用長辺給電部12から延在するものである。また、第2表側グラウンドエレメント15'は、表側グラウンドエレメント用長辺給電部14から延在するものである。より具体的には、表側ダイポールアンテナ10と、第2表側ダイポールアンテナ10'とは、表側ホットエレメント用長辺給電部12のそれぞれ違うところから延在している。
【0050】
そして、第2表側ダイポールアンテナ10'は、表側ダイポールアンテナ10に交差するように配置されている。即ち、表側ホットエレメント13及び表側グラウンドエレメント15が存在していない位置に、第2表側ホットエレメント13'及び第2表側グラウンドエレメント15'が配置されれば良い。表側ダイポールアンテナ10と第2表側ダイポールアンテナ10'は、共通の表側給電点11に接続される。これにより、Low、Mid、Highの3バンドの複合エレメントとして構成されている。
【0051】
第2裏側ダイポールアンテナ20'も第2表側ダイポールアンテナ10'と基本的には同じ構成である。第2裏側ダイポールアンテナ20'は、第2表側ダイポールアンテナ10'と同一周波数帯用のものである。第2裏側ダイポールアンテナ20'は、裏側面3上に配置されるものである。そして、第2裏側ダイポールアンテナ20'は、第2裏側ホットエレメント23'と、第2裏側グラウンドエレメント25'からなる。第2裏側ホットエレメント23'は、裏側ホットエレメント用長辺給電部22から延在するものである。また、第2裏側グラウンドエレメント25'は、裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24から延在するものである。より具体的には、裏側ダイポールアンテナ20と、第2裏側ダイポールアンテナ20'とは、裏側ホットエレメント用長辺給電部22のそれぞれ違うところから延在している。
【0052】
そして、第2裏側ダイポールアンテナ20'は、裏側ダイポールアンテナ20に交差するように配置されている。即ち、裏側ホットエレメント23及び裏側グラウンドエレメント25が存在していない位置に、第2裏側ホットエレメント23'及び第2裏側グラウンドエレメント25'が配置されれば良い。裏側ダイポールアンテナ20と第2裏側ダイポールアンテナ20'は、共通の裏側給電点21に接続される。これにより、Low、Mid、Highの3バンドの複合エレメントとして構成されている。
【0053】
ダイポールアンテナがこのような複合エレメントであっても、表側給電点11及び裏側給電点21を中心として、90度回転した状態で配置されれば良い。このとき、表側ホットエレメント13と第2裏側グラウンドエレメント25'が上面視で重なることになる。また、表側グラウンドエレメント15と第2裏側ホットエレメント23'が上面視で重なることになる。しかしながら、表側ダイポールアンテナ10と第2裏側ダイポールアンテナ20'は、周波数帯が異なるため、アンテナ間の干渉は少ない。そして、他の例と同様に、この例でも、表側ホットエレメント用長辺給電部12及び表側グラウンドエレメント用長辺給電部14が、裏側ホットエレメント用長辺給電部22及び裏側グラウンドエレメント用長辺給電部24と直交するように配置されることになる。したがって、長辺給電部が直交するように配置できるので、広帯域にアンテナ間の干渉を抑制することが可能となる。
【0054】
さらに、図5に、本発明のMIMOアンテナ装置のダイポールアンテナの他の例を説明するための概略斜視図を示す。図中、図4と同一の符号を付した部分は同一物を表している。この例は、ボウタイアンテナにアンテナ性能調整用の側面エレメントを設けたものである。図示の通り、表側用の側面エレメント13a,15a及び裏側用の側面エレメント23a,25aが、それぞれ表側面2と裏側面3の間の側面に設けられている。表側ホットエレメント13が表側面2の端部まで延在しており、その開放端から側面エレメント13aが延在している。また、表側グラウンドエレメント15が表側面2の端部まで延在しており、その開放端から側面エレメント15aが延在している。同様に、裏側ホットエレメント23が裏側面3の端部まで延在しており、その開放端から側面エレメント23aが延在している。また、裏側グラウンドエレメント25が裏側面3の端部まで延在しており、その開放端から側面エレメント25aが延在している。即ち、側面エレメント13a,15a,23a,25aは、それぞれ各エレメントを折曲形成することで提供されれば良い。各エレメントの開放端から側面エレメント13a,15a,23a,25aを延長するように用いることで、エレメント長をより長くすることが可能となる。このようにエレメントを立体的に配置することで、ケース1内の限られたエリアを効率良く利用しながら、ダイポールアンテナの下限周波数付近のアンテナ性能を調整することが可能となる。なお、側面エレメントの形状や位置は、図示例のものには限定されず、アンテナ性能を見ながら適宜決定されれば良い。
【0055】
さらに、図6に、本発明のMIMOアンテナ装置のダイポールアンテナの他の例を説明するための概略斜視図を示す。図中、図5と同一の符号を付した部分は同一物を表している。この例は、ボウタイアンテナにさらに反対側面まで延在する折り返しエレメントを設けたものである。図示の通り、表側ダイポールアンテナ10は、表側面2から裏側面3へ延在する表側折り返しエレメント13b,15bを有している。即ち、表側ホットエレメント13は、側面エレメント13aから表側折り返しエレメント13bまで延在することになる。また、表側グラウンドエレメント15は、側面エレメント15aから表側折り返しエレメント15bまで延在することになる。同様に、裏側ダイポールアンテナ20は、裏側面3から表側面2へ延在する裏側折り返しエレメント23b,25bを有している。即ち、裏側ホットエレメント23は、側面エレメント23aから裏側折り返しエレメント23bまで延在することになる。また、裏側グラウンドエレメント25は、側面エレメント25aから裏側折り返しエレメント25bまで延在することになる。
【0056】
このとき、表側折り返しエレメント13b,15bは、裏側面3内で裏側ダイポールアンテナ20の配置されていないエリアに配置されれば良い。同様に、裏側折り返しエレメント23b,25bも、表側面2内で表側ダイポールアンテナ10の配置されていないエリアに配置されれば良い。このようエレメントを立体的に配置することで、ケース1内の限られたエリアを効率良く利用しながら、ダイポールアンテナの下限周波数付近のアンテナ性能を調整することが可能となる。なお、折り返しエレメントの形状や位置は、図示例のものには限定されず、アンテナ性能を見ながら適宜決定されれば良い。
【0057】
図7は、本発明のMIMOアンテナ装置の周波数に対するアイソレーション特性のグラフである。図中、横軸が周波数であり、縦軸がアイソレーションである。なお、図示例の特性は、図6に示されるMIMOアンテナ装置によるものである。図示の通り、本発明のMIMOアンテナ装置は、広帯域にわたって35dB以上という良好なアイソレーション特性を確保できていることが分かる。
【0058】
なお、本発明のMIMOアンテナ装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
1 ケース
2 表側面
3 裏側面
4,5 同軸ケーブル
6 表側基板
7 裏側基板
8 基部
10 表側ダイポールアンテナ
10' 第2表側ダイポールアンテナ
11 表側給電点
12 表側ホットエレメント用長辺給電部
13 表側ホットエレメント
13' 第2表側ホットエレメント
13a 側面エレメント
13b 表側折り返しエレメント
14 表側グラウンドエレメント用長辺給電部
15 表側グラウンドエレメント
15a 側面エレメント
15b 表側折り返しエレメント
15' 第2表側グラウンドエレメント
20 裏側ダイポールアンテナ
20' 第2裏側ダイポールアンテナ
21 裏側給電点
22 裏側ホットエレメント用長辺給電部
23 裏側ホットエレメント
23a 側面エレメント
23b 裏側折り返しエレメント
23' 第2裏側ホットエレメント
24 裏側グラウンドエレメント用長辺給電部
25 裏側グラウンドエレメント
25a 側面エレメント
25b 裏側折り返しエレメント
25' 第2裏側グラウンドエレメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7