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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145113
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】電源装置および電源装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
H02M3/155 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052405
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】村木 一夫
(72)【発明者】
【氏名】山口 博司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 孔明
(72)【発明者】
【氏名】永冨 瑛智
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA20
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB57
5H730DD03
5H730FD01
5H730FD11
5H730FD31
5H730FD41
5H730FF09
5H730FG05
5H730XX02
5H730XX03
5H730XX12
5H730XX15
5H730XX22
5H730XX23
5H730XX32
5H730XX35
5H730XX43
(57)【要約】
【課題】電力供給線において異常が検出された時に、電圧変換部の動作を確実に停止する電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置1は、第1の電力供給線SL1および第2の電力供給線SL2のそれぞれに接続された電圧変換部20と、電圧変換部20の動作を制御する制御信号s1を電圧変換部20へ出力する駆動部10と、第2の電力供給線SL2における電圧および電流の少なくとも一方の異常を判定する異常判定部51と、駆動部10および電圧変換部20を繋ぐ配線上のノードn1~n4とグランドとの間の経路上に設けられた保護回路部60と、を備える。保護回路部60は、第2の電力供給線SL2における電圧および電流の少なくとも一方が異常である場合に、制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電力供給線および第2の電力供給線のそれぞれに接続された電圧変換部と、
前記電圧変換部の動作を制御する制御信号を前記電圧変換部へ出力する駆動部と、
前記第2の電力供給線における電圧および電流の少なくとも一方の異常を判定する異常判定部と、
前記駆動部および前記電圧変換部を繋ぐ配線上のノードとグランドとの間の経路上に設けられた保護回路部と、
を備え、
前記保護回路部は、前記第2の電力供給線における電圧および電流の少なくとも一方が異常である場合に、前記制御信号が前記電圧変換部に入力されることを阻止する
電源装置。
【請求項2】
前記保護回路部は、前記ノードと前記グランドとを導通させることで、前記制御信号が前記電圧変換部に入力されることを阻止する
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記保護回路部は、前記異常判定部に接続されたウォッチドッグタイマー回路を有し、
前記ウォッチドッグタイマー回路は、予め決められた期間に前記異常判定部からカウントクリア信号を受け付けなかった場合に、前記ノードと前記グランドとを導通させるための回避通知信号を出力する
請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記保護回路部は、さらに、前記ノードと前記グランドとの間の経路上に設けられたスイッチ素子を有し、
前記ウォッチドッグタイマー回路は、前記カウントクリア信号を受け付けなかった場合に、前記回避通知信号を前記スイッチ素子へ出力し、
前記スイッチ素子は、前記回避通知信号に基づいて、前記ノードと前記グランドとを導通させる
請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
さらに、前記第2の電力供給線における電圧および電流の少なくとも一方を検出する検出部を備え、
前記異常判定部は、前記検出部で検出された検出値が予め決められた閾値を超えているときに異常の可能性があると判断し、単位時間に前記異常の可能性があると判断した回数が所定の回数以上である場合に、前記電圧および前記電流の少なくとも一方が異常であると判定する
請求項1~4のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記異常判定部は、前記第2の電力供給線における電圧および電流の少なくとも一方が異常であると判定した場合に、異常通知信号を前記駆動部へ出力し、
前記駆動部は、前記異常通知信号に基づいて、前記制御信号の出力を停止する
請求項1~5のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項7】
第1の電力供給線および第2の電力供給線のそれぞれに接続された電圧変換部と、前記電圧変換部の動作を制御する制御信号を前記電圧変換部へ出力する駆動部と、前記駆動部および前記電圧変換部を繋ぐ配線上のノードとグランドとの間の経路上に設けられた保護回路部と、を備える電源装置の制御方法であって、
前記第2の電力供給線における電圧および電流の少なくとも一方の異常を判定するステップと、
前記第2の電力供給線における電圧および電流の少なくとも一方が異常である場合に、前記ノードと前記グランドとを導通させることで、前記制御信号が前記電圧変換部に入力されることを阻止するステップと、
を含む電源装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、電圧変換部を備える電源装置、および、電源装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電圧変換を行うための電圧変換部を備える電源装置が知られている。この種の電源装置の一例として、特許文献1には、電力を供給する電力供給線において過電圧が検出された時に、保護回路を作動させて電圧変換部の動作を停止する電源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-73445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の電源装置では、例えば保護回路を稼働させるための内部電源に異常が発生した場合に、保護回路が誤作動を起こすことがある。その場合、電力供給線に過電圧が検出された時に、保護回路を作動させて電圧変換部の動作を停止することができないという問題がある。
【0005】
本開示では、電力供給線において異常が検出された時に、電圧変換部の動作を確実に停止することができる電源装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の電源装置は、第1の電力供給線および第2の電力供給線のそれぞれに接続された電圧変換部と、前記電圧変換部の動作を制御する制御信号を前記電圧変換部へ出力する駆動部と、前記第2の電力供給線における電圧および電流の少なくとも一方の異常を判定する異常判定部と、前記駆動部および前記電圧変換部を繋ぐ配線上のノードとグランドとの間の経路上に設けられた保護回路部と、を備え、前記保護回路部は、前記第2の電力供給線における電圧および電流の少なくとも一方が異常である場合に、前記制御信号が前記電圧変換部に入力されることを阻止する。
【0007】
この開示の電源装置の制御方法は、第1の電力供給線および第2の電力供給線のそれぞれに接続された電圧変換部と、前記電圧変換部の動作を制御する制御信号を前記電圧変換部へ出力する駆動部と、前記駆動部および前記電圧変換部を繋ぐ配線上のノードとグランドとの間の経路上に設けられた保護回路部と、を備える電源装置の制御方法であって、前記第2の電力供給線における電圧および電流の少なくとも一方の異常を判定するステップと、前記第2の電力供給線における電圧および電流の少なくとも一方が異常である場合に、前記ノードと前記グランドとを導通させることで、前記制御信号が前記電圧変換部に入力されることを阻止するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る電源装置等は、電力供給線において異常が検出された時に、電圧変換部の動作を確実に停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る電源装置を示す回路図である。
図2図2は、実施の形態に係る電源装置の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
電源装置が搭載されるアプリケーション(例えば車載機器)では、電源装置に対して高い信頼性が求められる。例えば電源装置は、電力供給線に過電圧が検出された時に、保護回路または制御回路を作動させて、電力供給線に接続されている電圧変換部を保護する。しかしながら従来の電源装置では、保護回路および制御回路を稼働させるための内部電源に異常が発生した場合に、保護回路および制御回路が誤作動を起こしたり、保護回路および制御回路を構成する回路部品に不具合が起きたりすることがある。その場合、電力供給線に過電圧が検出された時に、保護回路または制御回路を作動させて電圧変換部の動作を停止することができないという問題がある。それに対し、本開示の電源装置は、電力供給線において異常が検出された時に、電圧変換部の動作を確実に停止するため、以下に示す構成を有している。
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の一形態に係る実現形態を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。本開示の実現形態は、現行の独立請求項に限定されるものではなく、他の独立請求項によっても表現され得る。
【0013】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0014】
(実施の形態)
[電源装置の構成]
実施の形態に係る電源装置の構成について、図1を参照しながら説明する。実施の形態に係る電源装置は、入力された電力の電圧を変換して出力する装置である。電源装置は、電力供給線において異常が検出された時に、保護回路を作動させて電圧変換部を保護する機能を有している。
【0015】
図1は、実施の形態に係る電源装置1を示す回路図である。
【0016】
電源装置1は、駆動部10と、電圧変換部20と、検出部30と、制御部50と、保護回路部60とを備える。
【0017】
電圧変換部20は、第1の電力供給線SL1および第2の電力供給線SL2を結ぶ経路上に配置されており、第1の電力供給線SL1および第2の電力供給線SL2のそれぞれに接続されている。なお、第1の電力供給線SL1には、リチウムイオン電池または鉛蓄電池などの外部電源が接続され、第2の電力供給線SL2には、モータなどの負荷が接続されている。第1の電力供給線SL1および第2の電力供給線SL2のそれぞれには、交流電圧を直流電圧に変換する電源回路が接続されてもよい。
【0018】
電圧変換部20は、例えばDCDCコンバータであり、第1の電力供給線SL1から供給された直流の電圧を昇圧または降圧して第2の電力供給線SL2へ出力する。また、電圧変換部20は、第2の電力供給線SL2から供給された直流の電圧を昇圧または降圧して第1の電力供給線SL1へ出力する。
【0019】
電圧変換部20は、Hブリッジ構造を有する複数のトランジスタT1、T2、T3およびT4と、インダクタLと、を有している。各トランジスタT1~T4は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)、または、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)によって構成される。各トランジスタT1~T4には、還流ダイオードが並列接続されている。還流ダイオードは、各トランジスタT1~T4に寄生する寄生ダイオードであってもよい。
【0020】
トランジスタT1のドレインは、第1の電力供給線SL1に接続され、トランジスタT1のソースは、トランジスタT2のドレインに接続され、トランジスタT2のソースは、グランド(基準電位)に接続されている。トランジスタT3のドレインは、第2の電力供給線SL2に接続され、トランジスタT3のソースは、トランジスタT4のドレインに接続され、トランジスタT4のソースは、グランドに接続されている。インダクタLの一端は、トランジスタT1のソースおよびトランジスタT2のドレインに接続され、インダクタLの他端は、トランジスタT3のソースおよびトランジスタT4のドレインに接続されている。トランジスタT1~T4のそれぞれのゲートには、駆動部10が接続されている。
【0021】
駆動部10は、電圧変換部20の動作を制御する回路である。駆動部10は、電圧変換部20を制御する制御信号s1aおよびs1bを出力する。駆動部10は、電圧変換部20に接続される第1の出力端子11および第2の出力端子12を有している。
【0022】
第1の出力端子11は、トランジスタT1のゲートに接続されている。また、第1の出力端子11は、NOT回路を介してトランジスタT2のゲートに接続されている。第2の出力端子12は、トランジスタT3のゲートに接続されている。また、第2の出力端子12は、NOT回路を介してトランジスタT4のゲートに接続されている。
【0023】
駆動部10は、トランジスタT1、T2、T3およびT4をオンオフする第1の制御信号s1aおよび第2の制御信号s1bを、電圧変換部20へ出力する。駆動部10は、第1の出力端子11から第1の制御信号s1aを出力し、第2の出力端子12から第2の制御信号s1bを出力する。なお、以下において、制御信号s1aおよびs1bの両方を指して、制御信号s1と呼ぶ場合がある。
【0024】
例えば駆動部10は、電圧変換部20を昇圧回路として働かせる場合、第1の制御信号s1aとしてハイレベル信号を出力し、第2の制御信号s1bとしてPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。第1の出力端子11から第1の制御信号s1aが出力されることで、トランジスタT1はオン状態となり、トランジスタT2はオフ状態となる。また、第2の出力端子12から第2の制御信号s1bが出力されることで、トランジスタT3、T4の各ゲートには、PWM信号が択一的に入力される。これらの制御信号s1aおよびs1bによって、第1の電力供給線SL1から電圧変換部20に入力された直流の電圧が、昇圧されて第2の電力供給線SL2に出力される。なお、電圧の昇圧比は、PWM信号のデューティ比によって決定される。
【0025】
例えば駆動部10は、電圧変換部20を降圧回路として働かせる場合、第1の制御信号s1aとしてPWM信号を出力し、第2の制御信号s1bとしてハイレベル信号を出力する。第2の出力端子12から第2の制御信号s1bが出力されることで、トランジスタT3はオン状態となり、トランジスタT4はオフ状態となる。また、第1の出力端子11から第1の制御信号s1aが出力されることで、トランジスタT1、T2の各ゲートには、PWM信号が択一的に入力される。これらの制御信号s1aおよびs1bによって、第1の電力供給線SL1から電圧変換部20に入力された直流の電圧が降圧され、第2の電力供給線SL2に出力される。なお、電圧の降圧比は、PWM信号のデューティ比によって決定される。
【0026】
検出部30は、第2の電力供給線SL2における電圧または電流を検出する検出装置であり、第2の電力供給線SL2に設けられる。検出部30は、電圧検出部31および電流検出部32を有している。なお、検出部30は、電圧検出部31および電流検出部32のいずれか一方で構成されてもよい。
【0027】
電圧検出部31は、第2の電力供給線SL2の電圧値を分圧する抵抗r1およびr2によって構成される。電圧検出部31は、第2の電力供給線SL2の電圧値に比例した値を、検出した電圧値として制御部50へ出力する。
【0028】
電流検出部32は、シャント抵抗および電流測定器によって構成されている(図示省略)。シャント抵抗は、第2の電力供給線SL2に直列挿入されている。電流測定器は、シャント抵抗の両端の電圧を測定することで電流を測定する。電流検出部32は、測定した電流値を制御部50へ出力する。
【0029】
制御部50は、マイクロプロセッサおよびメモリ56によって構成されている。メモリ56には、マイクロプロセッサを動作させるためのプログラムソフトおよび各種情報が記憶されている。制御部50は、第2の電力供給線SL2における異常の有無を判定する異常判定部51を有している。異常判定部51の機能は、メモリ56に記憶されたプログラムソフトを作動させることで実現される。
【0030】
異常判定部51は、検出部30で検出した検出値(電圧値および電流値)が、予め決めら閾値を超えている場合に、異常の可能性があると判断する。検出部30によるノイズ検出の影響を抑制するため、異常判定部51は、単位時間に異常の可能性があると判断した回数が所定の回数以上であるときに、電圧および電流の少なくとも一方が異常であると判定する。
【0031】
異常判定部51は、第2の電力供給線SL2において異常が発生していないと判定した場合、異常が発生していないことを示す信号を保護回路部60および駆動部10のそれぞれに出力する。例えば異常判定部51は、第2の電力供給線SL2において異常が発生していない場合、保護回路部60に対して、定期的にカウントクリア信号s2を出力する。カウントクリア信号s2は、予め決められた時間間隔で保護回路部60に出力される。予め決められた時間間隔は、プログラムソフトで設定されるが、それに限られず制御部50内の遅延回路にて設定されてもよい。
【0032】
異常判定部51は、第2の電力供給線SL2において異常が発生していると判定した場合、電圧変換部20の動作を停止させるため、保護回路部60に対するカウントクリア信号s2の出力を停止する。
【0033】
保護回路部60は、第2の電力供給線SL2における電圧および電流の少なくとも一方が異常である場合に、駆動部10から出力された制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止する回路である。保護回路部60は、駆動部10および電圧変換部20を繋ぐ配線上のノードとグランドとの間の経路上に設けられている。保護回路部60は、ノードとグランドとを導通させることで、駆動部10から出力された制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止する。保護回路部60は、第1の電力供給線SL1および第2の電力供給線SL2のいずれにも接続されていない。
【0034】
保護回路部60は、異常判定部51に接続されたウォッチドッグタイマー回路61と、ウォッチドッグタイマー回路61に接続されたスイッチ回路62と、を有している。
【0035】
ウォッチドッグタイマー回路61は、予め決められた期間に異常判定部51からカウントクリア信号s2を受け付けなかった場合に、ノードとグランドとを導通させるための回避通知信号s3をスイッチ回路62へ出力する。
【0036】
スイッチ回路62は、駆動部10および電圧変換部20を繋ぐ配線上のノードとグランドとの間の経路上に設けられている。スイッチ回路62は、複数のスイッチ素子sw1、sw2、sw3およびsw4を有している。複数のスイッチ素子sw1~sw4のそれぞれは、例えば、バイポーラトランジスタである。各スイッチ素子sw1~sw4は、電圧変換部20の各トランジスタT1~T4に対応して設けられている。
【0037】
スイッチ素子sw1のコレクタは、第1の出力端子11およびトランジスタT1を繋ぐ配線上のノードn1に直接接続されている。スイッチ素子sw2のコレクタは、第1の出力端子11に接続されたNOT回路およびトランジスタT2を繋ぐ配線上のノードn2に直接接続されている。スイッチ素子sw3のコレクタは、第2の出力端子12およびトランジスタT3を繋ぐ配線上のノードn3に直接接続されている。スイッチ素子sw4のコレクタは、第2の出力端子12に接続されたNOT回路およびトランジスタT4を繋ぐ配線上のノードn4に直接接続されている。各スイッチ素子sw1~sw4のエミッタは、グランドに接続されている。各スイッチ素子sw1~sw4のベースは、ウォッチドッグタイマー回路61の出力端子61aに接続されている。各スイッチ素子sw1~sw4のベースとエミッタとの間には抵抗が挿入されている。
【0038】
ウォッチドッグタイマー回路61は、予め決められた期間にカウントクリア信号s2を受け付けなかった場合、回避通知信号s3を出力端子61aからスイッチ素子sw1~sw4へ出力する。各スイッチ素子sw1~sw4は、回避通知信号s3に基づいてスイッチを閉じ、各ノードn1~n4とグランドとを導通させる。これにより、駆動部10から出力された制御信号s1をグランドに導くことができ、制御信号s1が電圧変換部20に到達することを妨げることができる。そして、電圧変換部20の動作を停止させることで、電力供給線に接続されている電圧変換部20の回路部品(トランジスタT1~T4、還流ダイオード、インダクタLなど)を保護することができる。
【0039】
また、保護回路部60は、保護回路部60を稼働する内部電源に異常が発生した場合に、ウォッチドッグタイマー回路61から回避通知信号s3を各スイッチ素子sw1~sw4へ出力し続けるように構成されている。そのため、内部電源に異常が発生した場合であっても、駆動部10から出力された制御信号s1をグランドに導くことができ、制御信号s1が電圧変換部20に到達することを妨げることができる。これにより、電圧変換部20の動作を停止させ、電圧変換部20の回路部品を保護することができる。
【0040】
また、本実施の形態の電源装置1は、保護回路部60の他にも、電圧変換部20の動作を停止させる機能を有している。例えば、異常判定部51は、第2の電力供給線SL2において異常が発生していると判定した場合に、異常通知信号s4を駆動部10へ出力する。駆動部10は、異常判定部51から出力された異常通知信号s4に基づいて、前述した制御信号s1の出力を停止する。これにより、電圧変換部20の動作を停止させ、電圧変換部20の回路部品を保護することができる。
【0041】
[電源装置の制御方法]
実施の形態に係る電源装置1の制御方法について説明する。
【0042】
図2は、電源装置1の制御方法を示すフローチャートである。
【0043】
まず、電源装置1は、電力供給線における電圧および電流の少なくとも一方を検出する。(ステップS10)。具体的には電源装置1は、検出部30を用いて、第2の電力供給線SL2における電圧および電流の少なくとも一方を検出する。検出部30で検出された電圧値および電流値は、制御部50へ出力される。
【0044】
制御部50の異常判定部51は、検出部30から出力された電圧値および電流値の少なくとも一方に基づいて、第2の電力供給線SL2において異常が発生しているか否かを判定する(ステップS20)。異常判定部51は、検出部30で検出した電圧値および電流値が、予め決められたそれぞれの閾値を超えている場合に、異常が発生していると判断する。
【0045】
異常判定部51は、第2の電力供給線SL2において異常が発生していないと判定した場合(S20にてNo)、異常が発生していないことを示す信号を保護回路部60へ出力する。例えば異常判定部51は、保護回路部60のウォッチドッグタイマー回路61に対して、カウントクリア信号s2を出力する(ステップS31)。ウォッチドッグタイマー回路61は、カウントクリア信号s2が入力されるとカウントを0に戻し、カウントアップを再開する。つまり、保護回路部60は、カウントクリア信号s2が入力されると、回避通知信号s3の出力を行わず、電圧変換部20の動作を停止させない(ステップS32)。これにより電圧変換部20は、通常の動作を維持する。
【0046】
異常判定部51は、第2の電力供給線SL2において異常が発生していると判定した場合(S20にてYes)、ウォッチドッグタイマー回路61に対するカウントクリア信号s2の出力を停止する(ステップS35)。ウォッチドッグタイマー回路61は、予め決められた期間にカウントクリア信号s2を受け付けなかった場合に、回避通知信号s3をスイッチ回路62へ出力する。つまり、保護回路部60は、カウントクリア信号s2を受け付けなかった場合に、ノードn1~n4とグランドとを導通させることで、制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止する。これにより、保護回路部60は、電圧変換部20の動作を停止させる(ステップS36)。
【0047】
また、異常判定部51は、第2の電力供給線SL2において異常が発生していると判定した場合(S20にてYes)、異常通知信号s4を駆動部10へ出力する(ステップS32)。駆動部10は、この異常通知信号s4に基づいて、制御信号s1の出力を停止する。電源装置1では、異常通知信号s4に基づいて、電圧変換部20の動作が停止されてもよい。
【0048】
また、異常判定部51は、第2の電力供給線SL2において異常が発生していると判定した場合(S20にてYes)、異常が起きたことを示す履歴をメモリ56に記録する(ステップS37)。電源装置1の制御方法では、これらのステップS10~S32、または、ステップS10~S37が繰り返し実行される。
【0049】
(まとめ)
本実施の形態に係る電源装置1は、第1の電力供給線SL1および第2の電力供給線SL2のそれぞれに接続された電圧変換部20と、電圧変換部20の動作を制御する制御信号s1を電圧変換部20へ出力する駆動部10と、第2の電力供給線SL2における電圧および電流の少なくとも一方の異常を判定する異常判定部51と、駆動部10および電圧変換部20を繋ぐ配線上のノードn1~n4とグランドとの間の経路上に設けられた保護回路部60と、を備える。保護回路部60は、第2の電力供給線SL2における電圧および電流の少なくとも一方が異常である場合に、制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止する。
【0050】
このように電源装置1では、第2の電力供給線SL2における電圧および電流の少なくとも一方が異常である場合に、電圧変換部20の動作を制御する制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止する。これにより、電力供給線において異常が検出された時に、電圧変換部20の動作を確実に停止することができる。
【0051】
また、保護回路部60は、ノードn1~n4とグランドとを導通させることで、制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止してもよい。
【0052】
このように、ノードn1~n4とグランドとを導通させることで、制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止できる。これにより、電力供給線において異常が検出された時に、電圧変換部20の動作を確実に停止することができる。
【0053】
また、保護回路部60は、異常判定部51に接続されたウォッチドッグタイマー回路61を有する。ウォッチドッグタイマー回路61は、予め決められた期間に異常判定部51からカウントクリア信号s2を受け付けなかった場合に、ノードn1~n4とグランドとを導通させるための回避通知信号s3を出力してもよい。
【0054】
このように、ウォッチドッグタイマー回路61がカウントクリア信号s2を受け付けなかった場合に、回避通知信号s3を出力することで、ノードn1~n4とグランドとを導通させ、制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止できる。これにより、電力供給線において異常が検出された時に、電圧変換部20の動作を確実に停止することができる。また、例えば内部電源に異常が発生した場合であっても、ウォッチドッグタイマー回路61から回避通知信号s3を出し続けることが可能である。そのため、ノードn1~n4とグランドとを導通させ、制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止できる。これにより、電圧変換部20の動作を停止させ、電圧変換部20の回路部品を保護することができる。
【0055】
また、保護回路部60は、さらに、ノードn1~n4とグランドとの間の経路上に設けられたスイッチ素子sw1~sw4を有する。ウォッチドッグタイマー回路61は、カウントクリア信号s2を受け付けなかった場合に、回避通知信号s3をスイッチ素子sw1~sw4へ出力し、スイッチ素子sw1~sw4は、回避通知信号s3に基づいて、ノードn1~n4とグランドとを導通させてもよい。
【0056】
このように、ウォッチドッグタイマー回路61がカウントクリア信号s2を受け付けなかった場合に、スイッチ素子sw1~sw4を用いて、ノードn1~n4とグランドとを導通させることで、制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止できる。これにより、電力供給線において異常が検出された時に、電圧変換部20の動作を確実に停止することができる。
【0057】
また、電源装置1は、さらに、第2の電力供給線SL2における電圧および電流の少なくとも一方を検出する検出部30を備える。異常判定部51は、検出部30で検出された検出値が予め決められた閾値を超えているときに異常の可能性があると判断し、単位時間に異常の可能性があると判断した回数が所定の回数以上である場合に、電圧および電流の少なくとも一方が異常であると判定してもよい。
【0058】
これによれば、異常判定部51は、検出部30によるノイズ検出の影響を抑制し、異常の有無を確実に判定することができる。これにより、電力供給線において異常が検出された時に、電圧変換部20の動作を確実に停止することができる。
【0059】
また、異常判定部51は、第2の電力供給線SL2における電圧および電流の少なくとも一方が異常であると判定した場合に、異常通知信号s4を駆動部10へ出力し、駆動部10は、異常通知信号s4に基づいて、制御信号s1の出力を停止してもよい。
【0060】
このように、異常判定部51から出力された異常通知信号s4に基づいて、駆動部10が制御信号s1の出力を停止することで、制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止できる。これにより、電力供給線において異常が検出された時に、電圧変換部20の動作を短時間で停止することができる。
【0061】
本実施の形態に係る電源装置1の制御方法は、第1の電力供給線SL1および第2の電力供給線SL2のそれぞれに接続された電圧変換部20と、電圧変換部20の動作を制御する制御信号s1を電圧変換部20へ出力する駆動部10と、駆動部10および電圧変換部20を繋ぐ配線上のノードn1~n4とグランドとの間の経路上に設けられた保護回路部60と、を備える電源装置の制御方法である。この制御方法は、第2の電力供給線SL2における電圧および電流の少なくとも一方の異常を判定するステップと、第2の電力供給線SL2における電圧および電流の少なくとも一方が異常である場合に、ノードn1~n4とグランドとを導通させることで、制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止するステップと、を含む。
【0062】
この制御方法では、第2の電力供給線SL2における電圧および電流の少なくとも一方が異常である場合に、電圧変換部20の動作を制御する制御信号s1が電圧変換部20に入力されることを阻止する。これにより、電力供給線において異常が検出された時に、電圧変換部20の動作を確実に停止することができる。
【0063】
(その他の実施の形態)
以上の実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、この開示、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0064】
上記の実施の形態では、予め決められた期間にカウントクリア信号s2を受け付けなかった場合に、ウォッチドッグタイマー回路61が、全てのスイッチ素子sw1~sw4に回避通知信号s3を出力する例を示したが、それに限られない。例えば、ウォッチドッグタイマー回路61は、電圧変換部20のハイサイドに位置するトランジスタT1およびT3に対応するスイッチ素子sw1およびsw3のみに回避通知信号s3を出力してもよい。この構成においても、制御信号s1がトランジスタT1およびT3に到達することを阻止することができ、電圧変換部20に電力供給線の過電圧が入力されることを抑制できる。
【0065】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
この開示は、電圧変換部を備える電源装置として有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 電源装置
10 駆動部
11、12 出力端子
20 電圧変換部
30 検出部
31 電圧検出部
32 電流検出部
50 制御部
51 異常判定部
56 メモリ
60 保護回路部
61 ウォッチドッグタイマー回路
61a 出力端子
62 スイッチ回路
L インダクタ
n1、n2、n3、n4 ノード
s1a、s1b 制御信号
s2 カウントクリア信号
s3 回避通知信号
s4 異常通知信号
SL1、SL2 電力供給線
sw1、sw2、sw3、sw4 スイッチ素子
T1、T2、T3、T4 トランジスタ
図1
図2