(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145125
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】給液装置及び給液システム
(51)【国際特許分類】
F04B 49/10 20060101AFI20231003BHJP
F04B 49/02 20060101ALI20231003BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
F04B49/10 311
F04B49/02 311
F04D15/00 J
F04D15/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052423
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】坂野 聖治
(72)【発明者】
【氏名】濱田 憲
【テーマコード(参考)】
3H020
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA05
3H020BA03
3H020BA21
3H020CA04
3H020CA05
3H020CA08
3H020DA03
3H020EA03
3H145AA06
3H145AA16
3H145AA23
3H145AA42
3H145BA07
3H145BA41
3H145CA09
3H145CA21
3H145DA02
3H145EA14
3H145EA20
(57)【要約】
【課題】回生過電圧が生じることを抑制できる給液装置及び給液システムを提供すること。
【解決手段】給液装置1は、給液機器22と、給液機器22を駆動する回転電機21と、回転電機21を可変速駆動する可変速駆動制御部23と、を備え、可変速駆動制御部23は、回転電機21を駆動して給液機器22を動作させるとともに、可変速駆動中に給液機器22の停止条件が整ったときに、給液機器22を減速停止動作へ移行するとともに、給液機器22の停止後に液流により回転電機21が回転する高押込回転状態になると判断したときに、減速停止動作において給液機器22をフリーラン停止させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給液機器と、
前記給液機器を駆動する回転電機と、
前記回転電機を可変速駆動する可変速駆動制御部と、
を備え、
前記可変速駆動制御部は、前記回転電機を駆動して前記給液機器を動作させるとともに、可変速駆動中に前記給液機器の停止条件が整ったときに、前記給液機器を減速停止動作へ移行するとともに、前記給液機器の停止後に液流により前記回転電機が回転する高押込回転状態になると判断したときに、前記減速停止動作において前記給液機器をフリーラン停止させる、給液装置。
【請求項2】
前記可変速駆動制御部は、前記給液機器が前記減速停止動作中に、出力電流が減少から増加に転じたときに前記高押込回転状態と判断する、請求項1に記載の給液装置。
【請求項3】
前記給液機器の回転速度を検出する検出手段を備え、
前記可変速駆動制御部は、前記可変速駆動の始動前に、前記検出手段で検出した前記給液機器の回転速度が、予め設定した回転速度以上を検出したときに、前記高押込回転状態と判断する、請求項1に記載の給液装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記給液機器又は前記回転電機に設けられた、磁極の位置を検出することで前記回転速度を検出する磁極位置検出機器か、又は、前記可変速駆動制御部の出力電流を検出し、検出した前記出力電流から前記回転速度を求める処理回路である、請求項3に記載の給液装置。
【請求項5】
前記可変速駆動制御部は、前記可変速駆動の始動前において想定される高押込運転時の回転速度である推定高押込回転速度を求め、前記給液機器を前記減速停止動作させるときに、前記推定高押込回転速度と同じ回転速度までは、予め設定した減速時間にて前記給液機器を減速させるとともに、前記推定高押込運転回転速度以下は、前記給液機器をフリーランにて減速停止する、請求項3又は請求項4に記載の給液装置。
【請求項6】
前記可変速駆動制御部は、出力用パワー素子を有し、前記可変速駆動の始動前に前記給液機器を運転したときの前記可変速駆動停止のときに、前記出力用パワー素子のスイッチングがOFFの状態で予め設定された出力電圧以上の電圧が検出された場合に、前記高押込回転状態と判断する、請求項1に記載の給液装置。
【請求項7】
前記給液機器の一次側圧力及び二次側圧力を検出する圧力センサと、
前記可変速駆動制御部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記給液機器の停止中又は前記給液機器の減速停止動作中に、前記給液機器の一次側圧力が二次側圧力よりも高い場合に、前記高押込回転状態と判断する、請求項1に記載の給液装置。
【請求項8】
前記可変速駆動制御部又は前記制御部は、前記可変速駆動制御部の出力電流が予め設定された電流値以上であるか、前記可変速駆動制御部の周波数の指令値若しくは検出値が予め設定された周波数以上であるか、又は、前記可変速駆動制御部の出力が予め設定された出力以上の場合に、前記高押込回転状態と判断する、請求項7に記載の給液装置。
【請求項9】
流量を検出する流量検出装置と、
前記可変速駆動制御部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記給液機器の停止中又は前記給液機器の減速停止動作中に、前記流量検出装置で検出された流量が、予め設定された流量以上である場合に、前記高押込回転状態と判断する、請求項1に記載の給液装置。
【請求項10】
前記可変速駆動制御部は、前記減速停止動作において測定した中間電圧が予め設定された過電圧異常設定値より低く、且つ、予め設定した電圧値以上となった場合に、前記高押込回転状態と判断する、請求項1に記載の給液装置。
【請求項11】
前記可変速駆動制御部は、前記減速停止動作中に過電圧保護が起きた場合に、過電圧保護動作は行うが、継続した強制停止は行わず、前記給液機器をフリーランにて減速動作停止を行い、前記給液機器の停止後は始動信号入力による始動加速動作を行う前の待機状態とする、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の給液装置。
【請求項12】
前記回転電機は、回転子及び前記回転子に搭載された永久磁石を備えるPMモータである、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の給液装置。
【請求項13】
前記可変速駆動制御部は、前記回転電機に搭載される、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の給液装置。
【請求項14】
前記可変速駆動制御部は、平滑コンデンサを有し、
前記平滑コンデンサはフィルムコンデンサである、請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の給液装置。
【請求項15】
給液機器と、
前記給液機器を駆動する回転電機と、
前記回転電機を可変速駆動する可変速駆動制御部と、
を備え、
前記可変速駆動制御部は、前記回転電機を駆動して前記給液機器を動作させるとともに、可変速駆動中に前記給液機器の停止条件が整ったときに、前記給液機器を減速停止動作へ移行するとともに、前記減速停止動作において測定した中間電圧が予め設定された過電圧異常設定値より低く、且つ、予め設定した電圧値以上となった場合に前記給液機器をフリーランにて減速動作停止を行う、給液装置。
【請求項16】
給液機器と、
前記給液機器を駆動する回転電機と、
前記回転電機を可変速駆動する可変速駆動制御部と、
を備え、
前記可変速駆動制御部は、前記回転電機を駆動して前記給液機器を動作させるとともに、可変速駆動中に前記給液機器の停止条件が整ったときに、前記給液機器を減速停止動作へ移行するとともに、前記減速停止動作中に過電圧保護が起きた場合に、過電圧保護動作は行うが、継続した強制停止は行わず、前記給液機器をフリーランにて減速動作停止を行い、前記給液機器の停止後は始動信号入力による始動加速動作を行う前の待機状態とする、給液装置。
【請求項17】
給液機器と、
前記給液機器を駆動する回転電機と、
フィルムコンデンサを用いた平滑コンデンサを有し、前記回転電機を可変速駆動する可変速駆動制御部と、
を備え、
前記可変速駆動制御部は、前記回転電機を駆動して前記給液機器を動作させるとともに、可変速駆動中に前記給液機器の停止条件が整ったときに、前記給液機器をフリーランにて減速停止動作させる、給液装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれか一項に記載の給液装置と、
前記給液装置と無線通信を行う通信端末と、
を備える給液システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータを搭載したモータを用いる給液装置及び給液システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ビル等の建造物へ水を供給するために、増圧給水するポンプ装置等のように、液体を増圧して二次側に供給する給液装置が知られている。このような給液装置は、給液機器であるポンプを駆動するためにモータを制御するインバータを搭載したものが知られている。また、給液装置として、インバータをフリーランにて停止させる技術(例えば、特許文献1参照)、可変速制御装置の入力過電圧に関してリトライ運転を許可する技術(例えば、特許文献2参照)、可変速制御装置の過電圧に関してリトライ運転を許可する技術(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-1386号公報
【特許文献2】特開2020-76371号公報
【特許文献3】特開昭62-87683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、ポンプは二乗低減トルクなので、給液機器を可変速制御装置にてモータ駆動することで運転する場合、例えば、可変速制御装置をV/F制御にて動作させると、始動トルクに絡む低運転周波数(低回転速度)を除き、運転周波数(回転速度)が減少すると電圧も電流も減少する。しかし、増圧給水装置に代表される様に、給液装置が液流によりモータを可変速制御装置にて駆動しなくても自然に回転する高押込運転状態になる。特に、高押込回転により回転速度がモータ定格回転速度の約20%を超える状態にて給液装置が始動後に通常の減速時間にて減速停止すると、減速停止中は一旦0min-1まで強制ブレーキを掛けて停止し、その後、給液装置が液流によりモータを可変速制御装置にて駆動しなくても、液流により自然に回転する高押込回転状態になるため、0min-1まで下がった後に、高押込により回転速度が上昇する。よって、給液装置は、給液機器回生により、中間電圧が過電圧になる。これは、高押込による回転速度が大きい程、過電圧は大きくなる。そこで、回生過電圧による減速時の過電圧検出にて可変速制御装置が保護動作を行い、継続停止状態が起きない様に対応できる給液装置が求められている。
【0005】
そこで本発明は、回生過電圧が生じることを抑制できる給液装置及び給液システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、給液装置は、給液機器と、前記給液機器を駆動する回転電機と、前記回転電機を可変速駆動する可変速駆動制御部と、を備え、前記可変速駆動制御部は、前記回転電機を駆動して前記給液機器を動作させるとともに、可変速駆動中に前記給液機器の停止条件が整ったときに、前記給液機器を減速停止動作へ移行するとともに、前記給液機器の停止後に液流により前記回転電機が回転する高押込回転状態になると判断したときに、前記減速停止動作において前記給液機器をフリーラン停止させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回生過電圧が生じることを抑制できる給液装置及び給液システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る給液装置の構成を示す説明図。
【
図2】同給液装置及び給液装置を用いた給液システムの構成の一例を示すブロック図。
【
図3】同給水装置に用いられる給液機器の構成を一部省略し、一部断面で示す正面図。
【
図4】同給液機器の構成を一部省略し、一部断面で示す側面図。
【
図5】同給液装置の可変速駆動制御部に用いられるインバータユニットの構成を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る給水装置1及び給水装置1を用いた給水システムの例を、
図1乃至
図6を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る給液装置1の構成を示す説明図であり、
図2は、給液装置1及び給液装置1を用いた給液システムの構成の一例を示すブロック図である。
図3及び
図4は、給水装置1に用いられるポンプ装置11を、ポンプ22を省略して示すとともに、可変速駆動制御部23の構成を一部断面で示す図であり、
図3は正面図を、
図4は、側面図を示す。
図5は、給液装置1の可変速駆動制御部23に用いられるインバータユニット50の構成を模式的に示す説明図である。
図6は、給液装置1の駆動制御の一例を示す流れ図である。
【0011】
給液装置1は、一次側から二次側へと液体を増圧して供給する装置である。給液装置1は、例えば、一次側の押し込み圧力が比較的大きく、液体が流入することで、この液流により、給液装置1の給液機器22が回転する虞がある条件で用いられる。
【0012】
給液装置1は、例えば、水道本管に設けられた水道分管に接続され、水道分管から供給される水を増圧する、所謂直結式給水装置である。以下、給液装置1を、給水装置1の例を用いて説明する。給水装置1は、例えば、貯水槽や、建造物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する自動給水装置である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、給水装置1は、逆流防止装置10と、1台又は複数台のポンプ装置11と、配管ユニット12と、アキュムレータ13と、複数の圧力センサ(圧力検出装置)15と、複数の流量センサ(流量検出装置)16と、統括制御部(制御部)19と、を備える。本実施形態において、給水装置1は、例えば、2台のポンプ装置11が1つの架台上に横置きで設けられる例を示す。
【0014】
また、給水装置1は、圧力センサ15及び流量センサ16以外の各種センサ類を備えていてもよい。なお、センサ類の一例としては、圧力センサ15及び流量センサ16以外として、例えば、温度センサ、液面センサ、騒音センサ、振動センサ等のポンプ装置11の駆動制御に用いられるセンサや、逆流防止装置10における漏水を検知する漏水検知センサ等が挙げられる。用いられるセンサ類は、給水装置1の仕様や設置場所等によって適宜設定される。
【0015】
逆流防止装置10は、複数のポンプ装置11から水道分管側に水が逆流することを防止する。逆流防止装置10は例えば、減圧式逆流防止装置である。
【0016】
図1乃至
図3に示すように、ポンプ装置11は、モータ21と、ポンプ22と、可変速駆動制御部(可変速制御装置)23と、を備える。
【0017】
モータ21は、回転電機である。
図3及び
図4に示すように、モータ21は、例えば、永久磁石を用いるPMモータである。モータ21は、例えば、回転子に永久磁石が搭載される。モータ21は、内部配線であるモータケーブルを介して可変速駆動制御部23に接続される。
【0018】
モータ21は、可変速駆動制御部23によって駆動制御される。モータ21は、モータ軸21aと、外周面に放熱部材としてのモータ放熱フィン21bを複数有するモータケーシング21cを備える。
【0019】
モータ放熱フィン21bはモータ21の外周面から外周方向に立設されるとともにそれぞれモータ軸21aの軸方向に延びる板状部材である。複数のモータ放熱フィン21bは、モータ21の外周面において周方向に所定のピッチで配置される。
【0020】
また、例えば、モータ21は、軸方向の一端部に外扇ファン21dを有する。このようなモータ21は、外扇ファン21dの送風方向二次側となる軸方向他端側に、複数のモータ放熱フィン21bによって、軸方向に沿う通風路が形成される。
【0021】
ポンプ22は、給液機器である。ポンプ22は、モータ21に接続される。ポンプ22は、インペラを単数又は複数有する、単段または複数段のポンプである。ポンプ22のインペラは、モータ21のモータ軸21aに直接的に接続されるか、又はモータ軸21aに継手等を介して接続された主軸に接続される。なお、
図4に示すように、本実施形態においては、直接インペラが固定されるモータ軸21aの例を示す。ポンプ22は、モータ軸21aの回転に伴ってインペラが回転することで、流体を増圧して二次側に圧送する。
【0022】
図3及び
図4に示すように、可変速駆動制御部23は、筐体51と、筐体51内に収容されるパワー素子基板52と、コンデンサ基板53と、リアクトル54と、ノイズフィルタ基板55と、制御操作基板56と、無線通信部57、を備える。また、例えば、可変速駆動制御部23は、
図7に示すように、端子台58を備える。可変速駆動制御部23は、モータ21の側面外周部に固定され、モータ21と一体化される。可変速駆動制御部23は、筐体51内に収容された、パワー素子基板52、コンデンサ基板53、リアクトル54及びノイズフィルタ基板55の各回路や素子等の実装品によって、インバータユニット50を構成する。
【0023】
筐体51は、モータ21を制御する制御ボックスを構成する。
図4及び
図4に示すように、本実施形態において、筐体51は、周壁部51aと、蓋壁部51bと、矩形の放熱フィン51cと、を備える。筐体51は、内部に直方体状の空間を形成する。周壁部51aは、例えば、金属材料により形成される。周壁部51aは、例えば、対向する2組の側壁を有する矩形筒状に形成される。周壁部51aは、モータ21等と接続されるケーブルを挿通させ、保護するケーブル孔51eを有する。
【0024】
なお、ケーブル孔51eは、例えば、コンジットやケーブルグランドである。ケーブル孔51eは、ケーブルを配置した後に、開口に防塵性や防水性を持たせることができる。
【0025】
蓋壁部51bは、周壁部51aの一端の開口を閉塞する蓋やカバーである。蓋壁部51bは、非金属材料で形成される。蓋壁部51bを構成する非金属材料は、好適な耐候性を有する。また、蓋壁部51bは、電波に対するシールド性が低い樹脂材料で形成されていてもよい。高い剛性及び好適な耐候性を有する非金属材料は、樹脂材料としてテフロン(登録商標)、アクリル、ポリカーボネート、塩化ビニル等が挙げられるが、他の非金属材料であってもよい。なお、非金属材料の他の例としては、エラストマーの例としてのオレフィン系エラストマーや、ゴムの例としての、シリコンゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴムが挙げられる。
【0026】
放熱フィン51cは、金属材料により形成される。例えば、放熱フィン51cは、熱伝導率の高い金属材料、例えば、アルミニウム等により形成される。放熱フィン51cは、複数のフィン51dを有し、筐体51内の電装品の放熱部材として構成される。放熱フィン51cは、例えば、周壁部51aの他方の端部(モータ21側の端部)を閉塞する。
【0027】
フィン51dは、板状に形成される。複数のフィン51dは、ポンプ装置11の軸方向に直交する方向に所定の間隔を開けて配置される。例えば、複数のフィン51dは、外側から中央側に向かって漸次短くなるように設定される。
【0028】
換言すると、放熱フィン51cは、モータ21の軸方向に直交する方向でモータ21の中央部に位置するフィン51dが最も短く、そして、モータ21の軸方向に直交する方向で両端側に位置するフィン51dが最も長くなるように設定される。
【0029】
放熱フィン51cは、モータ21の外周面に形成された放熱フィン21bと対向配置され、モータ21との間に、軸方向に延びる通風路を形成する。したがって、放熱フィン51cは、モータ21の軸方向における一端側に設けられた外扇ファン21dの送風によって強制空冷される。
【0030】
このような筐体51は、例えば、可変速駆動制御部23とモータ21の外周面との間に複数枚のフィン51dがモータ21に向けて下方に突出するとともに、モータ21の軸方向に沿って延出する姿勢で、モータ21に固定される。
【0031】
また、筐体51を構成する周壁部51a、蓋壁部51b及び放熱フィン51cは、容易に分解できない構成によって一体に組み立てられる。具体例として、周壁部51a、蓋壁部51b及び放熱フィン51cは、嵌合、接着剤又はネジやボルト等の工具を使用して締結する締結部材によって固定される。なお、周壁部51a及び蓋壁部51bの固定方法と、周壁部51a及び放熱フィン51cの固定方法とは、同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
パワー素子基板52は、発熱する素子が実装された基板である。パワー素子基板52は、例えば、筐体51内の放熱フィン51c上に接触して配置される。パワー素子基板52は、例えば、モータケーブルによってポンプ装置11のモータ21に電気的に接続される。
【0033】
パワー素子基板52は、例えば、プロセッサ521と、コンバータ回路を含むコンバータ部522と、インバータ回路を含むインバータ部523と、を備える。なお、パワー素子基板52は、プロセッサ521のメモリとは別に、記憶媒体としてのメモリを有していてもよい。また、パワー素子基板52は、一つの基板にプロセッサ521、コンバータ部522及びインバータ部523等の複数の実装品(電子部品)を実装する構成であってもよく、複数の基板に単数又は複数の実装品が実装される構成であってもよい。
【0034】
プロセッサ521は、モータ21を駆動するための制御回路である。プロセッサ521は、典型的にはマイコンであるが、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、DSC(Digital Signal Controller)またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ521は、例えば、通信制御、周波数制御などの任意の処理を行う。
図2に示すように、プロセッサ521は、例えば、インバータユニット50、制御操作基板56及び無線通信部57に接続される。
【0035】
プロセッサ521は、例えば、処理回路と、メモリと、を含む。プロセッサ521は、例えば、不揮発性のEEPROM(登録商標)領域と、揮発性のDRAM領域等のメモリと、を含む。プロセッサ521は、メモリ又はEEPROM領域に保存されたプログラムを実行することで、処理部としての通信制御部521a及び周波数制御部521b等として機能し得る。なお、プロセッサ521内の構成や各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
【0036】
プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、主にパラメータの処理に関する処理プログラム、ポンプ制御プログラム(例、自動運転プログラム)、周波数制御プログラムなどが適宜、記憶される。なお、プログラムは、例えば、無線通信部57を介して統括制御部19や通信端末100から取得し、メモリやEEPROM領域に格納される構成であってもよく、電源投入時に、予め格納されたメモリからプロセッサ521に取得されてEEPROM領域に格納される構成であってもよい。また、プログラムは、メモリに記憶され、EEPROM領域に記憶されず、プロセッサ521がメモリに記憶されたプログラムを実行する構成であってもよい。
【0037】
また、例えば、電源投入時に、制御操作基板56の接続状態に基づいて、ポンプ台数、給水方式種別等といった読み出しパラメータがメモリからプロセッサ521に取得されてEEPROM領域に格納される構成としてもよい。なお、読み出しパラメータがEEPROM領域に記憶されず、プロセッサ521がメモリに記憶された読み出しパラメータを取得する構成であってもよい。
【0038】
例えば、ポンプ台数の読み出しパラメータとは、ポンプ22の台数であり、給水方式種別の読み出しパラメータとは、例えば、直結給水方式や受水槽方式等である。これら読み出しパラメータは、給水装置1の出荷時や設置時に設定される。なお、本実施形態において、給水装置1が直結給水方式であることから、例えば、給水方式種別の読み出しパラメータは、直結給水方式が設定される。また、読み出しパラメータはこれらに限定されず、種々設定可能である。なお、制御操作基板56を設けず、または、制御操作基板56で設定後に、無線通信により読み出しパラメータを統括制御部19や通信端末100から取得する構成としてもよい。
【0039】
DRAM領域は、プロセッサ521に設けられ、運転データが記憶される。なお、運転データは、DRAM領域内に設けた専用レジスタに格納してもよい。運転データとしては、例えば、吸い込み圧力、吐出し圧力、瞬時流量、出力電流、運転周波数、中間電圧、出力電圧、消費電力等が挙げられる。
【0040】
通信制御部521aは、無線通信部57を制御して、統括制御部19及び通信端末100との無線通信を行う。例えば、通信制御部521aは、アドバタイズパケットを送信した統括制御部19及び通信端末100に接続要求を送信する。また、通信制御部521aは、無線通信部57を介して、給水装置1との接続を確立するための何らかのデータを送信することや、操作者の操作に応じて、統括制御部19又は通信端末100にリクエストを送信することもあり得る。あるいは、通信制御部521aは、通信端末100及び/又は統括制御部19との接続を確立するための何らかのデータ、例えば統括制御部19及び可変速駆動制御部23、並びに/又は、可変速駆動制御部23及び通信端末100がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetooth(登録商標)で接続する場合には、アドバタイザとしての給水装置1からのリクエスト、を受信することもあり得る。
【0041】
例えば、自動運転モードのとき、統括制御部19と無線通信部57との間で通信を接続した場合に、通信制御部521aは、無線通信部57を介して、統括制御部19から、各種センサ15、16の検出信号、制御パラメータ及びプログラム等を受信し、また、周波数等の各種運転パラメータを統括制御部19に送信する。そして、通信制御部521aは、無線通信部57を介して、通信端末100との間で通信を接続した場合、各種運転データ等を通信端末100へ送信する。
【0042】
周波数制御部521bは、例えば、統括制御部19から無線通信部57を介して受信したインバータ制御信号をインバータユニット50へ出力し、モータ21を制御する。これにより、周波数制御部521bは、目標圧力一定運転等により、ポンプ22を制御する。
【0043】
なお、周波数制御部521bは、例えば、メモリ又はプロセッサ521のEEPROM領域に保存されたポンプ制御のためのプログラムと、統括制御部19から無線通信部57を介して受信した各パラメータ及び各センサ15、16からの最新の検出信号等と、に応じてインバータ制御信号を生成し、インバータ制御信号を、インバータユニット50へ出力し、モータ21を制御する構成としてもよい。
【0044】
コンバータ部522は、例えば、ダイオードや制御回路等を含むコンバータ回路により構成される整流装置である。インバータ部523は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やIPM(Intelligent Power Module)等のパワー半導体素子や制御回路等を含むインバータ回路により構成される周波数発生装置である。
【0045】
コンデンサ基板53は、例えば、非電解型の平滑コンデンサ531が実装される。平滑コンデンサ531は、例えば誘電体にプラスチックフィルムを用いたフィルムコンデンサである。
【0046】
リアクトル54は、高調波抑制対策用に設けられる。リアクトル54は、例えば、コンバータ部522の一次側に設けられる交流リアクトルである。なお、リアクトル54は、交流リアクトルに加え、コンバータ部522の二次側に設けられる直流リアクトルを有する構成であってもよい。
【0047】
ノイズフィルタ基板55は、可変速駆動制御部23の電気回路上のノイズを除去する。例えば、ノイズフィルタ基板55は、パワー素子基板52の一次側(入力側)のノイズを除去する入力側ノイズフィルタや、パワー素子基板52の二次側(出力側)のノイズを除去する出力側ノイズフィルタ等を含む。
【0048】
具体例として、ノイズフィルタ基板55は、電源ラインへ流れるノイズ、モータ21とインバータ部523との間のケーブルやプリント配線等から放射されるノイズ、モータ21からの漏れ電流によるグランドノイズ、雷サージ等をフィルタリングするノイズフィルタを構成する。なお、ノイズフィルタ基板55は、これらのいずれか、または選択した複数のノイズを除去する構成であってもよく、上述以外のノイズを除去する構成であってもよい。
【0049】
制御操作基板56は、例えば、運転状況、故障状況、設定状況等、各種情報を表示する表示部と、各種設定を変更する押しボタンスイッチ等の操作部と、各種入出力信号を接続する端子と、を備える。例えば、制御操作基板56の操作部は、制御に関するパラメータのうち、読み出しパラメータを取得するための電気的な接続状態を物理的に設定する入力部である。具体例として、制御操作基板56は、ディップスイッチ又はジャンパーピン等が適宜用いられる。制御操作基板56は、例えば、ポンプ台数、給水方式種別等といった読み出しパラメータが割り付けられている。また、制御操作基板56は、無線通信が不能の場合に、ポンプ装置11の動作指令を入力可能な入力部を有する構成としてもよい。
【0050】
無線通信部57は、無線電波によって情報の送受信が可能なアンテナを含む。無線通信部57は、例えば、接地型1/4λモノポールアンテナである。無線通信部57は、例えば、通信基板として実装されている。例えば、無線通信部57は、基板にチップアンテナ又はパターンアンテナが実装されることで構成される。無線通信部57は、通信モジュールとして無線通信部57を構成する基板に、コネクタを介して着脱自在に設けられてもよい。即ち、無線通信部57は、アンテナと一体基板で制作する構成であってもよく、アンテナとを別部品で構成されてもよい。
【0051】
このような無線通信部57は、プロセッサ521により制御され、無線通信技術を用いて、複数のポンプ装置11を統括で制御する統括制御部19や、通信端末100などの外部装置と通信可能な任意の通信インターフェースである。無線通信部57は、例えば、Bluetooth(登録商標)(例えば、Bluetoothe Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう))、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信技術、及び、LTE(Long Term Evolution)(登録商標)等の携帯電話回線を含めた汎用無線通信技術やsigfox(登録商標)等の専用無線通信技術等を含む遠距離無線通信技術等の無線通信技術を用いて、統括制御部19及び通信端末100等の無線通信を行う外部装置に接続できる。なお、無線通信部57は、他の無線通信技術であってもよい。なお、BLE規格は、例えば、BLEのバージョン4.0以上の規格であり、BLEの通信方式と互換性があればよい。
【0052】
例えば、無線通信部57は、異なる無線通信技術を複数用いる構成、例えば、BLE規格及びNFCを用いる構成といったように、通信距離が異なる技術の場合には、無線通信部57を複数設ける構成としてもよい。
【0053】
また、無線通信部57は、統括制御部19及び通信端末100と可変速駆動制御部23との接続を確立するための何らかのデータ、例えば統括制御部19及び可変速駆動制御部23、並びに/又は、通信端末100及び可変速駆動制御部23が、それぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、スキャナとしての統括制御部19及び通信端末100からのそれぞれのリクエストを受信することもあり得る。
【0054】
例えば、無線通信部57は、可変速駆動制御部23の識別情報を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信してもよい。また、例えば、無線通信部57は、当該アドバタイズパケットを受信する統括制御部19又は通信端末100から接続要求を受けると、統括制御部19又は通信端末100との間の通信を接続してもよい。無線通信部57は、プロセッサ521に電気的に接続され、統括制御部19又は通信端末100との間の通信を接続可能な通信手段の一例である。
【0055】
端子台58は、筐体51内に設けられる。端子台58は、複数の端子を有する。端子台58は、例えば、コンバータ部522の二次側の直流部に接続される。
【0056】
このように構成された可変速駆動制御部23は、例えば、筐体51のモータ21側に配置される放熱フィン51c側に、パワー素子基板52及びコンデンサ基板53が順に配置されるとともに、リアクトル54が配置される。また、放熱フィン51c側には、モータ21側から、モータ21の径方向において、パワー素子基板52及びコンデンサ基板53の外側にノイズフィルタ基板55及び制御操作基板56が配置され、無線通信部57が最外側に配置される。
【0057】
なお、パワー素子基板52等のノイズが生じる基板がある場合には、当該基板と無線通信部57とは、離間して配置することも好ましい。また、通信用窓59が設けられていれば、無線通信部57の無線電波に方向性があるが電波を通すことが可能であるが、無線通信部57は通信用窓59と対向して配置されることが好適である。
【0058】
また、可変速駆動制御部23内において、
図5に示すように、パワー素子基板52に搭載されたプロセッサ521、コンバータ部522、インバータ部523、コンデンサ基板53に搭載された平滑コンデンサ531、及び、ノイズフィルタ基板55によってインバータユニット50が構成される。そして、インバータユニット50は、電源70に接続される。
【0059】
ここで、電源70は、例えば三相電源である。電源70から流れる電流は、コンバータ部522によって直流に変換され、平滑コンデンサ531にて整流され、インバータ部523にて可変電圧可変周波数の交流に変換され、モータ21に入力される。
【0060】
可変速駆動制御部23は、無線通信部57を介して統括制御部19に接続される。可変速駆動制御部23は、インバータユニット50により、統括制御部19からの駆動指令としてのインバータ制御信号に応じた所定の周波数を出力することで、モータ21を所定の回転速度で回転させる。可変速駆動制御部23は、プロセッサ521、インバータユニット50及び/又は各種処理回路によって、運転データとしての、出力電流の検出、周波数の検出、回転速度の検出、出力電圧の検出、中間電圧の検出、出力の検出のうち、少なくとも、可変速駆動制御及び高押込状態の判断に用いる情報を検出する。また、可変速駆動制御部23は、これら検出した情報(運転データ)を、メモリ又はプロセッサ521のEEPROM領域に保存してもよく、また、統括制御部19に送信してもよい。
【0061】
また、可変速駆動制御部23は、インバータユニット50により、統括制御部19からの減速停止動作としてのインバータ制御信号に基づいて、ポンプ22の減速停止動作の一つとして、モータ21を制御してポンプ22(モータ21)の回転数を低減させるブレーキ機能を有する。このブレーキ機能として、可変速駆動制御部23は、所定の時間で所定の回転数から停止(0min-1)まで、ポンプ22を減速させる。また、統括制御部19又は可変速駆動制御部23は、減速停止動作において、ポンプ22が停止した後で、液流としての、水道分管からの水流によって、ポンプ22のインペラが回転することで、モータ21が回転する高押込回転状態になるか否かを判断する。そして、統括制御部19又は可変速駆動制御部23は、高押込回転状態になると判断すると、減速停止動作の一つとして、モータ21のブレーキ機能を発揮させずに、ポンプ22をフリーランにて減速停止動作させる。
【0062】
例えば、可変速駆動制御部23が高押込回転状態と判断する例を説明する。例えば、可変速駆動制御部23は、ポンプ22が減速停止動作中であるときに、検出した出力電流が減少から増加に転じたときに高押込回転状態と判断する。また、例えば、ポンプ22の回転速度(回転数)、又は、モータ21の周波数(回転速度、回転数)を検出する検出手段を可変速駆動制御部23又はポンプ装置11が備え、可変速駆動制御部23が、可変速駆動の始動前に、検出手段で検出したポンプ22(モータ21)の回転速度等が、予め設定した回転速度以上を検出したときに、高押込回転状態と判断する。ここで、検出手段は、例えば、ポンプ22又はモータ21に設けられた、磁極の位置を検出することで回転速度を検出する磁極位置検出機器か、又は、可変速駆動制御部23に設けられ、可変速駆動制御部23(インバータユニット50)の出力電流を検出し、検出した出力電流から回転速度を求める処理回路である。
【0063】
また、例えば、圧力センサ15や流量センサ16から検出された圧力や流量値、又は、前回運転した各種運転データ等に基づいて、統括制御部19又は可変速駆動制御部23が、可変速駆動の始動前において想定される高押込運転時の回転速度である推定高押込回転速度を求め、可変速駆動制御部23が、ポンプ22を減速停止動作させるときに、推定高押込回転速度と同じ回転速度までは、予め設定した減速時間にてポンプ22を減速させるとともに、推定高押込運転回転速度以下の回転速度となった場合に、ポンプ22をフリーランにて減速停止してもよい。
【0064】
また、可変速駆動制御部23は、可変速駆動の始動前にポンプ22を運転したとき(例えば、前回のポンプ22の可変速駆動時)の可変速駆動停止のときに、出力用パワー素子としてのパワー素子基板52のスイッチングがOFFの状態で予め設定された出力電圧以上の電圧が検出された場合に、高押込回転状態と判断する。
【0065】
また、例えば、可変速駆動制御部23は、減速停止動作において測定した中間電圧が予め設定された過電圧異常設定値より低く、且つ、予め設定した電圧値以上となった場合に、高押込回転状態と判断する。
【0066】
可変速駆動制御部23は、これらのいずれか、又は、これらのいくつか若しくは全部を組み合わせて、高押込回転状態と判断する。
【0067】
なお、可変速駆動制御部23は、減速停止動作中に過電圧保護が起きた場合に、過電圧保護動作を行うが、継続した強制停止は行わず、ポンプ22をフリーランにて減速動作停止を行い、ポンプ22の停止後は始動信号入力による始動加速動作を行う前の待機状態としてもよい。
【0068】
配管ユニット12は、一次側が逆流防止装置10に接続された分岐管31と、分岐管31の分岐された一部に接続されるバイパス管32と、各ポンプ22及びバイパス管32に接続されるチェック弁33と、チェック弁33の二次側に接続される開閉弁34と、開閉弁34に接続された合流管35と、を備える。チェック弁33は、ポンプ22の吐出口への水の逆流を防止する。ポンプ22のポンプ吐出口から、チェック弁33を経由して合流管35にて吐出口に繋がる。
【0069】
分岐管31は、複数に、本実施形態においては、三方向に分岐する配管である。分岐管31の一次側は、逆流防止装置10に接続される。分岐管31の分岐した二次側は、複数のポンプ22及びバイパス管32に接続される。即ち、分岐管31は、2台のポンプ22及びバイパス管32を並列に接続する。
【0070】
バイパス管32は、2台のポンプ22の一次側及び二次側に接続され、これらポンプ22を迂回するバイパス路を形成する。チェック弁33は、各ポンプ22の二次側及びバイパス管32の二次側に設けられる。チェック弁33は、合流管35側からの逆流を防止する。開閉弁34は、手動操作によって流路を開閉する弁である。
【0071】
合流管35は、複数の流路を合流させる。合流管35は、例えば、2台のポンプ22の二次側及びバイパス管32に接続され、2台のポンプ22及びバイパス管32からの流路を合流させる。合流管35は、これらポンプ22及びバイパス管32の二次側と、供給先に接続される配管とを連結する連結管である。
【0072】
アキュムレータ13は、合流管35に接続される。アキュムレータ13は、例えば、合流管35の、ポンプ22の並び方向の一方側に配置される。
【0073】
圧力センサ15は、圧力値に対応する信号を出力する。圧力センサ15は、例えば、統括制御部19に接続され、信号を統括制御部19に出力する。圧力センサ15は、例えば、複数、本実施形態においては二つ設けられる。一方の圧力センサ15は、ポンプ22の吸い込み圧力を検出する。例えば、一方の圧力センサ15は、逆流防止装置10の一次側に設けられる。他方の圧力センサ15は、ポンプ22の二次側の吐き出し圧力を検出する。他方の圧力センサ15は、例えば、合流管35に設けられ、合流管35内の圧力を検出する。
【0074】
流量センサ16は、圧力値に対応する信号を出力する。流量センサ16は、例えば、統括制御部19に接続され、信号を統括制御部19に出力する。流量センサ16は、例えば、各ポンプ22の二次側にそれぞれ設けられ、各ポンプ22の吐出流量を検出する。なお、流量センサ16は、合流管35に設けられ、合流管35内の流量を検出する構成であってもよい。
【0075】
統括制御部19は、例えば、各モータ21を制御する可変速駆動制御部23と有線通信又は無線通信によって接続され、各モータ21を駆動制御することで、各ポンプ22の回転数を制御する。本実施形態において、統括制御部19は、例えば、各可変速駆動制御部23と無線通信によって接続される。具体例として、統括制御部19は、圧力センサ15及び各流量センサ16からの検出信号に基づいて、可変速駆動制御部23と無線通信を行い、インバータユニット50を介してモータ21の駆動を制御する。
【0076】
例えば、統括制御部19は、圧力センサ15で検出された圧力及び流量センサ16で検出された流量に対応する検出信号に基づいて、各モータ21の停止及び始動を行う。具体例として、統括制御部19は、圧力センサ15で検出された検出信号から算出されたポンプ22の二次側の圧力が予め定められた始動圧力以下に低下したことを検知すると、一方のモータ21を駆動して、ポンプ22を始動する。
【0077】
統括制御部19は、圧力センサ15で検出された圧力に対応する検出信号、及び、インバータユニット50の運転周波数(出力周波数)に基づき、モータ21の回転速度を制御して可変速駆動を行い、吐出し圧力一定制御又は推定末端圧力一定制御等の目標圧力一定制御により、ポンプ22を運転制御する。なお、ポンプ22の回転速度は、モータ21の回転速度と同一であり、そして、ポンプ22(モータ21)の回転速度は、インバータユニット50(インバータ部523)の運転周波数と一定の関係を有する。
【0078】
統括制御部19は、可変速駆動中に、停止条件が整ったときに、ポンプ22の減速停止動作へ移行する。例えば、統括制御部19は、駆動しているポンプ22の二次側の流量センサ16からの検出信号に基づいて、流量が少水量であることを検知すると、停止条件が整ったとして、減速停止動作へ移行し、ポンプ22を停止させる。ここで、例えば、流量センサ16は、停止流量(少水量)となったときに検出信号を出力する流量スイッチとして機能し、そして、統括制御部19は、流量センサ16から出力された検出信号に基づいて可変速駆動制御部23に指令(信号)を出力し、モータ21を制御してポンプ22を減速させて停止する。
【0079】
統括制御部19は、ポンプ22の減速停止動作の一つとして、モータ21を制御してポンプ22(モータ21)の回転数を低減させるブレーキ機能を可変速駆動制御部23に実行させる指令を出力し、所定の時間で所定の回転数から停止(0min-1)まで、ポンプ22を減速させる。また、統括制御部19は、可変速駆動制御部23に変えて、又は、可変速駆動制御部23とともに、減速停止動作において、ポンプ22が停止した後で、液流としての、水道分管からの水流によって、ポンプ22のインペラが回転することで、モータ21が回転する高押込回転状態になるか否かを判断する。そして、統括制御部19は、高押込回転状態になると判断すると、減速停止動作の一つとして、モータ21のブレーキ機能を発揮させずに、ポンプ22をフリーランにて減速停止動作させる指令を可変速駆動制御部23に行う。
【0080】
例えば、統括制御部19は、ポンプ22の停止中又はポンプ22の減速停止動作中に、圧力センサ15で検出したポンプ22の一次側圧力が二次側圧力よりも高い場合に、高押込回転状態と判断する。
【0081】
また、例えば、統括制御部19又は可変速駆動制御部23は、可変速駆動制御部23の出力電流が予め設定された電流値以上であるか、可変速駆動制御部23の周波数の指令値若しくは検出値が予め設定された周波数以上であるか、又は、可変速駆動制御部23(インバータユニット50)の出力が予め設定された出力以上の場合に、高押込回転状態と判断する。ここで、可変速駆動制御部23(インバータユニット50)の出力は、周波数(回転速度)指令値(検出値)と可変速装置のトルク指令値(検出値)との積を利用して求めることができる。
【0082】
また、例えば、統括制御部19は、ポンプ22の停止中又はポンプ22の減速停止動作中に、流量センサ16で検出された流量が、予め設定された流量以上である場合に、高押込回転状態と判断する。
【0083】
なお、本実施形態においては、給水装置1が複数の例として二台のポンプ装置11を有する例を用いて説明することから、統括制御部19を備える給水装置1の例を示すが、ポンプ装置11が一台である場合には、給水装置1は、統括制御部19を有さず、統括制御部19の構成を可変速駆動制御部23が備え、可変速駆動制御部23が圧力センサ15及び流量センサ16から出力される検出信号に基づいて、目標圧力一定制御によりポンプ22を運転制御する構成としてもよい。
【0084】
また、統括制御部19及び可変速駆動制御部23が無線接続によってモータ21の制御を行う処理に加えて、統括制御部19及び/又は可変速駆動制御部23が通信端末100と無線接続することにより、適宜、運転データを通信端末100に送信してもよい。
【0085】
このような通信端末100との通信を伴う形態は、給水システムとして、可変速駆動制御部23及び/又は統括制御部19と通信端末100とを備えた管理システムや、給水装置1及び通信端末100を備えた管理システムを構成する。また、このような給水システムの形態は、統括制御部19と、通信端末100に実行されるプログラムとを備えた管理システムや、給水装置1と、通信端末100に実行されるプログラムとを備えた管理システムを構成してもよい。
【0086】
あるいは、このような給水システムの形態は、統括制御部19に実行される第1プログラムと、通信端末100に実行される第2プログラムとを備えた管理システムや、給水装置1に実行される第1プログラムと、通信端末100に実行される第2プログラムとを備えた管理システムを構成してもよい。ここで、「管理システム」の用語は、適宜、「システム」、「処理システム」又は「パラメータ処理システム」のように言い換えてもよい。同様に、「・・・に実行されるプログラム」の用語は、適宜、「・・・に搭載されるプログラム」又は「・・・に内蔵されるプログラム」のように言い換えてもよい。
【0087】
また、給水装置1として、統括制御部19を有さず、ポンプ装置11を一台備え、統括制御部19の構成を可変速駆動制御部23が有する構成とする場合においては、給水システムは、可変速駆動制御部23及び通信端末100を備える構成、又は、一台のポンプ装置11を有する給水装置1及び通信端末100を備える構成とすればよい。
【0088】
なお、運転データは、ある運転点での、周波数、電流、電圧、圧力、流量、振動値、モータの絶縁抵抗などといった、給水装置1の運転状態を示すデータである。補足すると、給水装置1の運転データは、例えば、給水装置1の最新の1つまたはロギングされた複数の時点におけるステータスであり得る。具体的には、運転データは、例えば給水装置1のインバータユニット50から取得した各時点の電圧/電流値、圧力センサ15から取得した各時点の検出信号またはこれに基づき算出された圧力値、流量センサ16から取得した各時点の検出信号またはこれに基づき算出された流量値、モータ21の各時点の運転速度(周波数)、各時点の積算運転データ、などを含み得る。また、積算運転データとは、例えば、積算運転時間及び積算始動回数の少なくとも一方を含む。
【0089】
このような統括制御部19は、
図2に示すように、例えば、制御ボックス60と、通信部61、入力部62、インターフェース63、表示部64、設定部65、メモリ66及びプロセッサ67を備える。統括制御部19は、制御ボックス60内に各構成要素が収容されることで、制御盤として架台上、又は、架台上に配置されたポンプ装置11上に配置される。統括制御部19は、通信部61によって可変速駆動制御部23の無線通信部57と無線通信を行う通信端末を構成する。統括制御部19は、筐体60を備える。統括制御部19は、筐体60内に、各構成を実装するか、又は、各構成に接続される制御基板を備える。
【0090】
通信部61は、プロセッサ67により制御され、無線通信技術を用いて、通信端末100などの外部装置と通信可能な任意の通信インターフェースである。通信部61は、例えば、通信モジュール又は通信基板等として実装されていてもよい。通信モジュールは、例えばコネクタを介して統括制御部19の制御基板に着脱自在に設けられてもよい。具体的には、通信部61は、例えば、Bluetooth(登録商標)(例えば、Bluetoothe Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう))、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信技術、及び、LTE(Long Term Evolution)等の携帯電話回線を含めた汎用無線通信技術やsigfox(登録商標)等の専用無線通信技術等を含む遠距離無線通信技術等の無線通信技術を用いて、可変速駆動制御部23及び通信端末100等の外部装置に接続できる。
【0091】
例えば、通信部61は、統括制御部19の識別情報を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する。また、例えば、通信部61は、当該アドバタイズパケットを受信する可変速駆動制御部23又は通信端末100から接続要求を受けると、可変速駆動制御部23又は通信端末100との間の通信を接続してもよい。通信部61は、プロセッサ67に電気的に接続され、通信端末100との間の通信を接続可能な通信手段の一例である。なお、アドバタイズパケットのブロードキャスト通信は、統括制御部19の通信部61及び可変速駆動制御部23の無線通信部57の一方が行い、他方が受信する構成でもよい。
【0092】
入力部62は、例えば、ボタンを含む操作パネル、タッチパネル、キーボード、マウス、等のユーザ入力を受け付ける装置と、圧力センサ、マイクロフォン、カメラなどのセンサとの、少なくともいずれかを有する。入力部62は、パラメータ設定、各運転モードの設定等の任意のユーザからの指令であるユーザ入力を受け付ける装置である。
【0093】
インターフェース63は、圧力センサ15及び流量センサ16や、外部端末等が電気的に接続可能な端子又は回路である。また、インターフェース63は、液面制御をする電極棒を給水装置が備えている場合には、該電極棒が電気的に接続される。
【0094】
表示部64は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイなどの表示デバイスを有する。また、表示部64は、表示デバイスに代えて、又は、表示デバイスに加えて、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)点灯部等を有していても良い。
【0095】
設定部65は、制御に関するパラメータのうち、読み出しパラメータを取得するための電気的な接続状態を物理的に設定する入力部である。設定部65としては、例えば、ディップスイッチ又はジャンパーピン等が適宜用いられてもよい。このような設定部65は、例えば、ポンプ台数、給水方式種別等といった読み出しパラメータが割り付けられていてもよい。
【0096】
例えば、ポンプ台数の読み出しパラメータとは、ポンプ22の台数であり、給水方式種別の読み出しパラメータとは、例えば、直結給水方式や受水槽方式等である。これら読み出しパラメータは、給水装置1の出荷時や設置時に設定される。また、読み出しパラメータはこれらに限定されず、種々設定可能である。なお、設定部65を設けず、入力部62の設定により読み出しパラメータを取得する構成としてもよい。
【0097】
なお、このような、ディップスイッチ又はジャンパーピンや、読み出しパラメータの割り付けは、設定部65及びポンプ装置11の可変速駆動制御部23の制御操作基板56の双方に設ける構成であってもよく、給水装置1が複数のポンプ装置11を有する場合には、設定部65にのみ設ける構成であっても、給水装置1が単数のポンプ装置11を有する場合には、制御操作基板56のみに設ける構成であってもよい。
【0098】
メモリ66は、データの読出及び書込が可能である。メモリ66は、プロセッサ67によって使用されるデータ、ポンプ22の運転データやポンプ22の制御に用いる各種データやプログラム等を格納する。メモリ66は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)(登録商標)、ROM(Read only memory)又はNAND型フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。また、メモリ66は、フラッシュメモリを搭載したSSD(Solid State Drive)を含む。
【0099】
メモリ66に格納されるデータとしては、例えば、統括制御部19を識別する識別情報、コード、テーブルなどが適宜記憶される。運転データとしては、給水装置1の運転状態を示す運転データのうちの定期的に取得される積算値に関する積算運転データ(以下、運転データ(積算)ともいう)が記憶される。また、メモリ66には、ポンプ22の制御や補正に要する外部パラメータ及び内部パラメータが記憶される。
【0100】
外部パラメータは、制御目標に関するデータである。外部パラメータとしては、例えば、定格圧力、末端圧力、始動圧力、定格流量等が挙げられる。「定格圧力」は、目標圧力一定制御運転における定格流量時の目標圧力(制御目標)である。「末端圧力」は、蛇口やシャワーヘッド等の供給先の水圧であり、例えば、配管抵抗を考慮した値である。「始動圧力」は、ポンプを始動する際の、給水装置1の二次側の基準圧力である。「始動圧力」は、例えば、末端圧力より、所定の揚程を4mとして減算することにより、始動圧力=末端圧力-4mとして、算出してもよい。「定格流量」は、定格圧力を決める際の流量であり、使用可能な最大流量である。このように、外部パラメータの「定格圧力」、「末端圧力」、「始動圧力」及び「定格流量」は互いに制御目標に関連している。また、「定格圧力」、「末端圧力」、「始動圧力」は、給水装置1の発注時に、給水現場に合わせた所謂「一点仕様」として注文があった場合、専用設定する必要がある。このため、製造工程における給水装置1の試運転時や、給水装置1の設置後に、作業員が、統括制御部19の入力部62を操作するか、又は、外部端末をインターフェース63に接続し、外部端末を操作して、各外部パラメータの初期値を設定する。
【0101】
内部パラメータとしては、例えば、加速時間や減速時間、増台遅延時間や減台遅延時間、上限周波数や下限周波数など、自動運転に用いられる定数である。「加速時間」は、例えば、インバータユニット50の出力が始動から最高周波数まで達する時間である。「減速時間」は、例えば、インバータが最高周波数か、又は、所定の周波数から停止するまでの時間である。「増台遅延時間」は、例えば、停止しているポンプを起動して増台するときの遅延時間である。「減台遅延時間」は、例えば、運転中のポンプを停止して減台するときの遅延時間である。「上限周波数」は、例えば、増台時又は減台時の上限の周波数である。「下限周波数」は、例えば、増台時又は減台時の下限の周波数である。内部パラメータの「加速時間」、「減速時間」、「増台遅延時間」、「減台遅延時間」、「上限周波数」及び「下限周波数」は、例えば、製造時や設置時の試運転などにおいて、並列起動時、揃速運転時又は解列時等に不具合現象が発生した場合に、初期値から修正される定数である。
【0102】
内部パラメータは、キャリア周波数、最低周波数、最高周波数、インバータ種別、モータ定格電流、過電流保護レベルなど、モータ定格やインバータメーカ及びインバータ定格などにより決定される。「キャリア周波数」は、インバータのパルス幅変調(PWM)制御に用いられるスイッチング制御信号を生成するための比較器に入力される一定周期のキャリア(三角波)と、変調波(所望の波形)とのうち、キャリアが持つ周波数である。「最低周波数」は、インバータが運転時に出力可能な最低の周波数である。「最高周波数」は、インバータが運転時に出力可能な最高の周波数である。「インバータ種別」は、インバータの種類又は形式である。「モータ定格電流」は、モータ21の定格電流である。「過電流保護レベル」は、インバータユニット50のスイッチング素子の電流値に基づいて、当該スイッチング素子を過電流から保護する動作を開始する際の、当該電流値である。
【0103】
また、メモリ66は、不揮発性メモリに加え、電源遮断時に消去してもよいデータが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。
【0104】
プロセッサ67は、統括制御部である。プロセッサ67は、典型的にはマイコンであるが、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ67は、例えば、通信制御、表示制御、ポンプ制御などの任意の処理を行う。
図2に示すように、プロセッサ67は、例えば、インターフェース63等を介して、圧力センサ15、各流量センサ16に接続され、通信部61及び無線通信部57を介して、各可変速駆動制御部23のインバータユニット50に接続される。
【0105】
プロセッサ67は、例えば、処理回路とメモリとを含む。プロセッサ67は、例えば、不揮発性のEEPROM領域67aと、揮発性のDRAM領域67bとを含む。また、プロセッサ67は、メモリ66又はEEPROM領域67aに保存されたプログラムを実行することで、通信制御部67c、処理部67d及びポンプ制御部67e等として機能し得る。なお、プロセッサ67内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。
【0106】
プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、主にパラメータの処理に関する処理プログラム、ポンプ制御プログラム(例、自動運転プログラム)などが適宜、記憶される。なお、プログラムは、例えば、電源投入時に、設定部65の接続状態に基づいてメモリ66からプロセッサ67に取得されてEEPROM領域67aに格納される構成であってもよい。また、プログラムは、メモリ66に記憶され、EEPROM領域67aに記憶されず、プロセッサ67がメモリ66に記憶されたプログラムを実行する構成であってもよい。
【0107】
また、例えば、読み出しパラメータは、電源投入時に、設定部65の接続状態に基づいてメモリ66からプロセッサ67に取得されてEEPROM領域67aに格納される。なお、読み出しパラメータがEEPROM領域67aに記憶されず、プロセッサ67がメモリ66に記憶された読み出しパラメータを取得する構成であってもよい。
【0108】
DRAM領域67bは、プロセッサ67に設けられ、運転データが記憶される。なお、運転データは、DRAM領域67b内に設けた専用レジスタに格納してもよい。運転データとしては、例えば、吐出し圧力、瞬時流量、出力電流、運転周波数、出力電圧、消費電力等が挙げられる。
【0109】
通信制御部67cは、通信部61を制御して、可変速駆動制御部23及び通信端末100との無線通信を行う。例えば、通信制御部67cは、アドバタイズパケットを送信した可変速駆動制御部23及び通信端末100に接続要求を送信する。また、通信制御部67cは、通信部61を介して、給水装置1との接続を確立するための何らかのデータを送信することや、操作者の操作に応じて、可変速駆動制御部23又は通信端末100にリクエストを送信することもあり得る。あるいは、通信制御部67cは、可変速駆動制御部23又は通信端末100と統括制御部19との接続を確立するための何らかのデータ、例えば統括制御部19及び可変速駆動制御部23、並びに/又は、統括制御部19及び通信端末100がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、アドバタイザとしての給水装置1からのリクエスト、を受信することもあり得る。
【0110】
通信制御部67cは、通信部61を介して、例えば、自動運転モードのとき、可変速駆動制御部23の無線通信部57と通信部61との間で通信を接続した場合に、各種センサ15、16の検出信号、制御パラメータ及びプログラム等を無線通信部57に送信し、また、各種運転パラメータを無線通信部57から受信する。そして、通信制御部67cは、通信部61を介して、通信部61と通信端末100との間で通信を接続した場合、各種運転データ及び外部パラメータを通信端末100へ送信する。
【0111】
処理部67dは、各パラメータに関する処理を実行する。ポンプ制御部67eは、各種センサからの検出信号に基づいて、給水装置1の運転状態を示す運転データを取得し、当該運転データをメモリ66、EEPROM領域67a及び/又はDRAM領域67bに記憶する。なお、運転データの取得は、積算値のように、給水装置1の運転実態に応じて、運転データを算出することを含んでもよい。
【0112】
また、ポンプ制御部67eは、メモリ66又はEEPROM領域67aに保存されたポンプ制御のためのプログラムと、各パラメータとに基づき、最新の検出信号等に応じてインバータ制御信号を生成する。なお、生成したインバータ制御信号は、例えば、通信制御部67cによって、通信部61から無線通信部57に送信される。
【0113】
次に、このような給水装置1とデータ通信を行う通信端末100の例について、以下説明する。通信端末100は、管理サーバ、プログラマブルコントローラ、情報処理や入力処理を行う処理端末等である。通信端末100は、例えば、PC、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、フィーチャーフォン、携帯端末)、ゲーム機等が挙げられるが、これらに限定されず、専用の通信機器であってもよい。
【0114】
このような通信端末100は、
図2に例示するように、通信部101、入力部102、表示部103、メモリ104及びプロセッサ105を備える。
【0115】
通信部101は、プロセッサ105により制御され、例えば、無線通信技術を用いて、給水装置1等の外部装置と通信可能な任意の通信インターフェースである。具体的には、通信部101は、例えば、Bluetooth(登録商標)(例えば、Bluetoothe Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう))、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信技術、及び、LTE(Long Term Evolution)等の携帯電話回線を含めた汎用無線通信技術やsigfox(登録商標)等の専用無線通信技術等を含む遠距離無線通信技術等の無線通信技術を用いて給水装置1の統括制御部19及び可変速駆動制御部23に接続できる。また、通信部101は、無線通信に加え、USBなどの有線通信技術を用いて、他の外部装置に接続できる構成であってもよい。具体例として、通信部101は、BLE規格に基づいて、給水装置1の可変速駆動制御部23及び統括制御部19と無線通信を行う。なお、通信部101は、前述したBLE規格の通信とは別に、基地局及びネットワークを介して管理サーバや他の通信端末に通信可能なモバイル端末の通常の通信インターフェースを含んでもよい。例えば、通信部101は、プロセッサ105により制御され、機能パラメータ、内部パラメータ、外部パラメータ等のデータや、目標圧力一定制御を行うための各種プログラム、及び、これらデータやプログラムを変更する変更指示を統括制御部19の通信部61及び/又は可変速駆動制御部23の無線通信部57に送信する。
【0116】
入力部102は、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fであり、通信端末100に内蔵されてもよいし、通信端末100に外付けされてもよい。入力部102は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、マイクロフォン、カメラなどであってもよいし、タッチスクリーンのように出力I/Fの機能を備えていてもよい。ここで、ユーザ入力とは、例えば、タップ、クリック、ドラッグ、特定のキーの押下、マイクロフォンによって捉えられる音声等を含む。
【0117】
表示部103は、プロセッサ105の処理に応じて、画像及び/又は音声を出力するための出力I/Fの一例であり、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスを含み得る。表示部103は、音声、楽曲などを出力するためのスピーカを含んでもよい。「表示部」は「出力部」と読み替えてもよい。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどである。表示デバイスは、コンテンツを含む表示データを表示する。なお、表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力I/Fの機能を備えていてもよい。表示部103は表示手段の一例である。
【0118】
メモリ104は、プロセッサ105が各処理を実現するために当該プロセッサ105によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ105によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ104は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。例えば、通信端末100のプログラムには、予め全ての内部パラメータに関する名称、単位、設定可能範囲などのデータが記憶されており、統括制御部19や可変速駆動制御部23に誤った数値が入力されることを阻止できる。
【0119】
プロセッサ105は、典型的にはCPUであるが、マイコン、FPGA、DSP、GPU(Graphics Processing Unit)またはその他の汎用または専用のプロセッサ等であってもよい。プロセッサ105は、通信部101を介して給水装置1との間で無線通信を行い、給水装置1を管理する処理を実行するものである。プロセッサ105は、メモリ104に保存されたプログラムを実行することで、通信制御部105a及び処理部105bとして通信端末100を機能し得る。なお、プロセッサ105内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。当該通信制御部105a及び処理部105bは、第1受信手段、第1変更手段、第1送信手段、第2受信手段、第2変更手段及び第2送信手段の一例である。
【0120】
通信制御部105aは、通信部101を制御して、給水装置1との無線通信を行う。例えば、通信制御部105aは、アドバタイズパケットを送信した統括制御部19及び/又は可変速駆動制御部23に接続要求を送信する。また、通信制御部105aは、通信部101を介して、給水装置1との接続を確立するための何らかのデータを送信することや、操作者の操作に応じて、給水装置1にリクエストを送信することもあり得る。あるいは、通信制御部105aは、通信端末100と給水装置1との接続を確立するための何らかのデータ、例えば給水装置1及び通信端末100がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、アドバタイザとしての給水装置1からのリクエスト、を受信することもあり得る。
【0121】
通信制御部105aは、通信部101を介して、例えば、対象装置が自動運転モードのとき、通信端末100と通信部61及び/又は無線通信部57との間で通信を接続した場合、各種運転データや各種パラメータ等を統括制御部19及び/又は可変速駆動制御部23から受信する。
【0122】
処理部105bは、給水装置1の点検、メンテナンス、管理、パラメータ閲覧・変更、プログラム更新など、作業員の作業に応じた情報処理を実行する。
【0123】
処理部105bは、例えば、各種運転データ及び外部パラメータを通信部101が受信すると、当該受信した内容の一部分を表示部103に表示させ、操作者のスクロール操作に応じて、当該表示させる一部分を変更する。
【0124】
次に、このように構成された給水装置1において、ポンプ22の減速停止動作の一例を、
図6を用いて説明する。
【0125】
先ず、統括制御部19の指令に基づいて可変速駆動制御部23は、インバータユニット(インバータ)50により、モータ21を可変速制御し、ポンプ22を可変速駆動させる(ステップST1)。次いで、流量センサ16で検出した流量が停止流量以下となった場合等、ポンプ22の停止条件が成立する(ステップST2)と、統括制御部19は、ポンプ22の減速停止動作の指令(信号)を可変速駆動制御部23に出力する。ポンプ22の減速停止動作の指令が入力されると、可変速駆動制御部23は、減速停止動作を開始する(ステップST3)。
【0126】
減速停止動作の開始後、又は、ステップST3と並行して、可変速駆動制御部23又は統括制御部19は、高押込回転状態であるか否かを判定する(ステップST4)。ここで、高押込回転状態の判断方法は、上述のいずれかにより行われる。
【0127】
可変速駆動制御部23が高押込回転状態であると判断する(ステップST4のNO)と、可変速駆動制御部23は、フリーラン停止として、インバータユニット50によるモータ21の周波数制御を行わずに、モータ21(ポンプ22)をフリー状態とし、ポンプ22を停止させる(ステップST5)。
【0128】
可変速駆動制御部23が高押込回転状態でないと判断する(ステップST4のNO)と、可変速駆動制御部23は、通常停止として、予め設定された所定の時間で所定の回転数から停止(0min-1)まで、ポンプ22を減速させて、ポンプ22を停止する(ステップST6)。なお、統括制御部19が高押込回転状態でないと判断する(ステップST4のNO)と、統括制御部19は、判定した情報を可変速駆動制御部23に出力し、この情報に基づいて、可変速駆動制御部23は、通常停止動作として、予め設定された所定の時間で所定の回転数から停止(0min-1)まで、ポンプ22を減速させて、ポンプ22を停止させる(ステップST6)。
【0129】
そして、ポンプ22が停止する(ステップST7)と、統括制御部19及び可変速駆動制御部23は、次回のポンプ始動条件が整うまで待機状態となる。
【0130】
このように構成された給水装置1によれば、液流によりモータ21を可変速駆動制御部23にて駆動しなくても自然に回転する高押込回転状態と判断したときに、フリーランでポンプ22を停止させる。これにより、給水装置1は、高押込回転状態において回生過電圧の発生を防止し、可変速駆動制御部23において過電圧が生じることを抑制できる。これにより、給水装置1は、問題無くポンプ22の始動、停止及び回生を行うことができる。
【0131】
また、給水装置1は、検出した回転速度、出力電流値、出力電圧、中間電圧、一次側圧力,二次側圧力等の情報に基づいて、高押込回転状態を判断できる。よって、給水装置1は、ポンプ装置11等の装置構成を変更することなく、統括制御部19や可変速駆動制御部23のソフトウェアの変更のみ対応で上記効果を得ることが可能となり、新たなセンサ等を追加する等による製造コストの向上等を防止できる。また、既に設置した給水装置1においても、プログラムや各種運転データ等のソフトウェア更新で対応できるため、設置場所や、設置後に、フリーラン停止を可能とすることもできるし、押込回転状態の判断条件を変更することもできる。
【0132】
また、給水装置1は、少水量状態を検出する種々条件を用いずに、高押込回転状態の判断を行うことで、他の事象でのフリーラン停止が行われる誤動作を防止することができる。
【0133】
上述したように、実施形態に係る給水装置1及び給水システムによれば、回生過電圧が生じることを抑制できる。
【0134】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、可変速駆動制御部23が、筐体51内にパワー素子基板52、コンデンサ基板53、リアクトル54、ノイズフィルタ基板55、制御操作基板56及び無線通信部57、を備える例を説明したが、可変速駆動制御部23は、モータ21を可変速駆動制御可能なインバータ機能を有する構成であれば詳細な構成は適宜設定できる。
【0135】
また、上述した例では、1号機と2号機の2台のポンプ装置11を有する給水装置1の例を説明したが、ポンプ装置11を6台備える構成する等、台数を適宜設定できる。また、給水装置1は、複数のポンプ装置11を有する場合に、ポンプ装置11の可変速駆動制御部23の無線通信部57同士を通信可能としてもよい。また、複数のポンプ装置11を有する給水装置1とする場合に、統括制御部19を設けず、統括制御部19の構成又は機能を各可変速駆動制御部23又はいずれかの可変速駆動制御部23に設ける構成としてもよい。また、給水装置1は、ポンプ装置11及び統括制御部19を常時無線通信する構成であってもよく、特定のタイミング、例えば、モータ21の回転数を可変させるときや、パラメータやプログラムの変更、運転データの収集等のタイミングにおいて無線通信を行う構成としてもよい。
【0136】
また、上述でも述べたが、給水装置1は、ポンプ装置11を1台だけ有する構成としてもよく、このような場合には、統括制御部19を設けず、統括制御部19の構成又は機能を適宜可変速駆動制御部23が有する構成とすればよい。また、給水装置1ではなく、ポンプ装置11のみで使用してもよく、また、ポンプ装置11を取引態様としてもよい。
【0137】
また、上述した給水装置1及び給水システムは、構成、無線通信技術、無線通信の方法、データやプログラムの内容、動作処理等の一例を述べたにすぎず、適宜設定変更可能であることは勿論である。
【0138】
また、上述した例では、統括制御部19及び可変速駆動制御部23によって、減速停止動作において、高押込回転状態を判断し、その後フリーラン停止を行う例を説明したがこれに限定されない。上述した高押込回転状態の判断及びフリーラン停止とともに、又は、上述した高押込回転状態の判断及びフリーラン停止に変えて、可変速駆動制御部23は、モータ21を駆動してポンプ22を動作させるとともに、可変速駆動中にポンプ22の停止条件が整ったときに、ポンプ22を減速停止動作へ移行するとともに、減速停止動作において測定した中間電圧が予め設定された過電圧異常設定値より低く、且つ、予め設定した電圧値以上となった場合にポンプ22をフリーラン停止にて減速動作停止を行う構成としてもよい。
【0139】
また、上述した高押込回転状態の判断及びフリーラン停止とともに、又は、上述した高押込回転状態の判断及びフリーラン停止に変えて、可変速駆動制御部23は、モータ21を駆動してポンプ22を動作させるとともに、可変速駆動中にポンプ22の停止条件が整ったときに、ポンプ22を減速停止動作へ移行し、減速停止動作中に過電圧保護が起きた場合に、過電圧保護動作は行うが、継続した強制停止は行わず、ポンプ22をフリーランにて減速動作停止を行い、ポンプ22の停止後は始動信号入力による始動加速動作を行う前の待機状態としてもよい。
【0140】
また、上述したように、平滑コンデンサ531にフィルムコンデンサを用い、可変速駆動制御部23が、モータ21を駆動して給液機器22を動作させるとともに、可変速駆動中にポンプ22の停止条件が整ったときに、ポンプ22をフリーランにて減速停止動作させてもよい。
【0141】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0142】
1…給水装置、11…ポンプ装置、12…配管ユニット、13…アキュムレータ、15…圧力センサ、16…流量センサ、19…統括制御部、21…モータ(回転電機)、21a…モータ軸、21b…モータ放熱フィン、21c…モータケーシング、21d…外扇ファン、22…ポンプ、23…可変速駆動制御部、31…分岐管、32…バイパス管、33…チェック弁、34…開閉弁、35…合流管、50…インバータユニット、51…筐体(外被)、51a…周壁部、51b…蓋壁部、51c…放熱フィン、51d…フィン、51e…ケーブル孔、52…パワー素子基板、53…コンデンサ基板、54…リアクトル、55…ノイズフィルタ基板、56…制御操作基板、57…無線通信部、58…端子台、59…通信用窓、60…筐体、61…通信部、62…入力部、63…インターフェース、64…表示部、65…設定部、66…メモリ、67…プロセッサ、67a…EEPROM領域、67b…DRAM領域、67c…通信制御部、67d…処理部、67e…ポンプ制御部、70…電源、80…基板、100…通信端末、101…通信部、102…入力部、103…表示部、104…メモリ、105…プロセッサ、105a…通信制御部、105b…処理部、521…プロセッサ、521a…通信制御部、521b…周波数制御部、522…コンバータ部、523…インバータ部。