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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145149
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/14 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
H02K7/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052469
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慈裕
(72)【発明者】
【氏名】小林 喜幸
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607AA02
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC05
5H607CC07
5H607DD03
5H607FF06
5H607HH01
5H607HH09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回路基板と制御基板とを組み立てる工数および時間を低減できる構造を有するポンプを提供する。
【解決手段】ポンプは、モータ10と、ポンプ機構20と、制御基板80と、回転センサを搭載したセンサ基板53と、センサ基板を保持するセンサベース52と、ハウジング30と、を備える。センサ基板は、モータの軸方向他方側に配置されるとともに軸方向に交差する方向に沿って配置されている。センサベースは、センサ基板と制御基板とを電気的に接続する複数の導電部材52bと、複数の導電部材を保持する保持体52aと、を有する。保持体は、制御基板へ向かって延びる延伸保持部52dを有する。複数の導電部材のそれぞれは、延伸保持部から露出する露出部を有する。露出部は、軸方向に沿って延びる軸方向延伸部と、軸方向延伸部の軸方向一方側の端部から軸方向と交差する方向に屈曲して制御基板へ接続される第1接続部52eと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸の軸回りに回転可能なロータおよび前記ロータと隙間を介して対向するステータを有するモータと、
前記ロータの軸方向一方側に連結されるポンプ機構と、
前記モータの径方向外側に位置し、軸方向に沿って延びる制御基板と、
前記ロータの回転角を検出する回転センサを搭載したセンサ基板と、
前記センサ基板を保持するセンサベースと、
前記モータ、前記ポンプ機構、前記制御基板、前記センサ基板、および前記センサベースを収容するハウジングと、を備え、
前記センサ基板は、前記モータの軸方向他方側に配置されるとともに軸方向に交差する方向に沿って配置され、
前記センサベースは、
前記センサ基板と前記制御基板とを電気的に接続する複数の導電部材と、
前記複数の導電部材を保持する保持体と、を有し、
前記保持体は、前記制御基板へ向かって延びる延伸保持部を有し、
前記複数の導電部材のそれぞれは、前記延伸保持部から露出する露出部を有し、
前記露出部は、軸方向に沿って延びる軸方向延伸部と、前記軸方向延伸部の軸方向一方側の端部から軸方向と交差する方向に屈曲して前記制御基板へ接続される第1接続部と、を有する、
ポンプ。
【請求項2】
前記ステータに電気的に接続されるバスバーを有するバスバーアッシーをさらに備え、
前記センサベースは、前記バスバーアッシーよりも軸方向他方側に位置する、
請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
軸方向一方側から軸方向他方側へ向かって、前記モータ、前記バスバーアッシー、および前記センサベースがこの順で配置されている、
請求項2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記バスバーは、前記制御基板に接続される第2接続部を有し、
前記第1接続部は、前記第2接続部よりも軸方向他方側において前記制御基板に接続される、
請求項2または3に記載のポンプ。
【請求項5】
前記導電部材の少なくとも一部と、前記バスバーの少なくとも一部とは、軸方向と交差する方向から見て互いに重なる、
請求項4に記載のポンプ。
【請求項6】
前記ロータを回転可能に支持するベアリングと、
前記ベアリングを保持し、前記センサベースの軸方向一方側に対向して配置されるベアリングホルダと、
を備え、
前記ハウジングは、前記延伸保持部が通される挿入孔を有し、
前記ベアリングホルダは、前記挿入孔と対向する位置に前記挿入孔から離れる向きに切り欠かれた第1切り欠き部を有する、
請求項2から5のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項7】
前記ベアリングホルダの軸方向一方側に位置するカバー部材を備え、
前記バスバーアッシーは、前記バスバーを保持するバスバーホルダを有し、
前記バスバーは、前記バスバーホルダから露出して前記ステータのコイルから延びる引出線と接続されるコイル接続部を有し、
前記カバー部材は、前記コイル接続部を径方向外側から覆う外筒部を有し、
前記外筒部は、前記挿入孔と対向する位置に前記挿入孔から離れる向きに切り欠かれた第2切り欠き部を有する、
請求項6に記載のポンプ。
【請求項8】
前記第2切り欠き部は、軸方向他方側の縁部に傾斜部を有する、
請求項7に記載のポンプ。
【請求項9】
前記ベアリングホルダと前記延伸保持部とが少なくとも一部において軸方向と交差する方向で互いに重なっている、
請求項6から8のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項10】
前記延伸保持部は、
軸方向に沿って延びる第1部分と、
前記第1部分の軸方向一方側の端部から軸方向と交差する方向に屈曲して前記制御基板に向かって延びる第2部分と、を有し、
前記露出部は、前記第2部分の先端面から露出している、請求項1から9のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項11】
前記センサ基板は、前記センサベースの軸方向他方側に保持され、
前記導電部材は、前記センサ基板に接続されるセンサ基板接続部を有し、
前記センサ基板接続部は、前記センサ基板を軸方向一方側から軸方向他方側に貫通し、
前記第1接続部は、前記制御基板を前記モータ側から貫通している、
請求項1から10のいずれか一項に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸方向でモータ部側に配置された第1基板(センサ基板)と、軸方向でコネクタ側に配置された第2基板(制御基板)と、第1基板のモータ部側の面に実装されたスイッチング素子と、最もモータ部側に配置された基板に設けられモータ部の回転を検出する回転センサと、を備えた駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2017-189033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、回転センサを搭載したセンサ基板とは別に、軸方向に沿って制御基板を設けた場合、回路基板と制御基板とを接続する構成が煩雑化し、組み立てに要する工数および時間が増大する問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、組み立てに要する工数および時間を低減できる構造を有するポンプを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のポンプの一つの態様は、中心軸の軸回りに回転可能なロータおよび前記ロータと隙間を介して対向するステータを有するモータと、前記ロータの軸方向一方側に連結されるポンプ機構と、前記モータの径方向外側に位置し、軸方向に沿って延びる制御基板と、前記ロータの回転角を検出する回転センサを搭載したセンサ基板と、前記センサ基板を保持するセンサベースと、前記モータ、前記ポンプ機構、前記制御基板、前記センサ基板、および前記センサベースを収容するハウジングと、を備える。前記センサ基板は、前記モータの軸方向他方側に配置されるとともに軸方向に交差する方向に沿って配置されている。前記センサベースは、前記センサ基板と前記制御基板とを電気的に接続する複数の導電部材と、前記複数の導電部材を保持する保持体と、を有する。前記保持体は、前記制御基板へ向かって延びる延伸保持部を有する。前記複数の導電部材のそれぞれは、前記延伸保持部から露出する露出部を有する。前記露出部は、軸方向に沿って延びる軸方向延伸部と、前記軸方向延伸部の軸方向一方側の端部から軸方向と交差する方向に屈曲して前記制御基板へ接続される第1接続部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、組み立てに要する工数および時間を低減できる構造を有するポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態のポンプの一部を示す断面図である。
図2図2は、本実施形態のポンプの一部を示す分解斜視図である。
図3図3は、本実施形態のハウジングの一部を示す斜視図である。
図4図4は、本実施形態のポンプの一部を示す断面斜視図である。
図5図5は、本実施形態のポンプの一部を示す断面図である。
図6図6は、本実施形態のポンプのばね部材を軸方向他方側から見た図である。
図7図7は、本実施形態のポンプのベアリングホルダを軸方向他方側から見た図である。
図8図8は、本実施形態のポンプの一部を示す斜視図である。
図9図9は、本実施形態のポンプを制御基板側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において図には、適宜、X軸、Y軸、およびZ軸を示す。Y軸は、以下に説明する実施形態のポンプにおけるモータの中心軸Jが延びる方向を示している。各図に示す中心軸Jは、仮想軸線である。以下の説明においては、中心軸Jが延びる方向、つまりY軸と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちY軸の矢印が向く側(+Y側)を「軸方向一方側」と呼ぶ。軸方向のうちY軸の矢印が向く側と逆側(-Y側)を「軸方向他方側」と呼ぶ。
【0010】
周方向は、各図において矢印θで示されている。周方向のうち矢印θが向く側を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θが向く側と逆側を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、軸方向一方側(+Y側)から見て中心軸J回りに時計回りに進む側である。周方向他方側は、軸方向一方側から見て中心軸J回りに反時計回りに進む側である。
【0011】
Z軸と平行な方向を「上下方向Z」と呼ぶ。上下方向ZのうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「上側」と呼ぶ。上下方向ZのうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。X軸と平行な方向を「幅方向X」と呼ぶ。幅方向XのうちX軸の矢印が向く側(+X側)を「幅方向一方側」と呼ぶ。幅方向XのうちX軸の矢印が向く側と逆側(-X側)を「幅方向他方側」と呼ぶ。軸方向と上下方向Zと幅方向Xとは、互いに直交する方向である。
【0012】
なお、上下方向Z、幅方向X、上側、および下側は、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0013】
図1および図2に示す本実施形態のポンプ100は、車両に搭載される機器に取り付けられる電動ポンプである。ポンプ100が取り付けられる機器は、自動変速機であってもよいし、車両の車軸を駆動する駆動装置であってもよい。ポンプ100は、例えば、車両に搭載される機器にオイルを供給する電動オイルポンプである。
【0014】
図1に示すように、ポンプ100は、モータ10と、ポンプ機構20と、ハウジング30と、バスバーアッシー51と、センサベース52と、センサ基板53と、カバー部材60と、ばね部材64と、ベアリングホルダ70と、制御基板80と、ベアリング43a,43bと、を備える。モータ10は、ロータ41と、ステータ42と、を有する。
【0015】
ロータ41は、軸方向に延びる中心軸Jの軸回りに回転可能である。ロータ41は、シャフト41aと、ロータ本体41bと、を有する。シャフト41aは、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。シャフト41aは、ベアリング43aおよびベアリング43bによって中心軸J回りに回転可能に支持されている。つまり、ベアリング43a,43bは、ロータ41を回転可能に支持している。本実施形態においてベアリング43aおよびベアリング43bは、転がり軸受である。ベアリング43a,43bは、ボールベアリングである。ベアリング43aは、シャフト41aのうちロータ本体41bよりも軸方向他方側(-Y側)に位置する部分を回転可能に支持している。ベアリング43bは、シャフト41aのうちロータ本体41bよりも軸方向一方側(+Y側)に位置する部分を回転可能に支持している。ロータ本体41bは、シャフト41aの外周面に固定されている。図示は省略するが、ロータ本体41bは、ロータコアと、ロータマグネットと、を有する。
【0016】
ステータ42は、ロータ41と隙間を介して対向している。ステータ42は、ロータ41の径方向外側に位置する。ステータ42は、ステータコア42aと、インシュレータ42bと、複数のコイル42cと、を有する。ステータコア42aは、中心軸Jを中心とする円筒状のコアバック42dと、コアバック42dから径方向内側に延びる複数のティース42eと、を有する。複数のコイル42cは、インシュレータ42bを介して、複数のティース42eのそれぞれに取り付けられている。
【0017】
ハウジング30は、モータ10、ポンプ機構20、バスバーアッシー51、センサベース52、センサ基板53、カバー部材60、ばね部材64、ベアリングホルダ70、および制御基板80を内部に収容している。ハウジング30は、ハウジング本体部31と、基板カバー32と、蓋部33と、ポンプカバー34と、を有する。ハウジング本体部31と基板カバー32と蓋部33とポンプカバー34とは、互いに別部材である。基板カバー32は、ハウジング本体部31の下側に固定されている。蓋部33は、ハウジング本体部31の軸方向他方側(-Y側)に固定されている。ポンプカバー34は、ハウジング本体部31の軸方向一方側(+Y側)に固定されている。
【0018】
ハウジング本体部31は、モータハウジング35と、ポンプハウジング36と、基板ハウジング37aと、取付部37bと、を有する。本実施形態において、モータハウジング35とポンプハウジング36と基板ハウジング37aと取付部37bとは、互いに同一の単一部材の一部である。
【0019】
本実施形態においてモータハウジング35は、軸方向に延びる筒状である。モータハウジング35の軸方向他方側(-Y側)の端部は、ハウジング本体部31の軸方向他方側の端部であり、軸方向他方側に開口する開口部35aである。つまり、ハウジング本体部31は、軸方向他方側に開口する開口部35aを有する。開口部35aは、蓋部33によって塞がれている。
【0020】
モータハウジング35は、軸方向に延びる筒状のモータハウジング本体35bと、モータハウジング本体35bの軸方向他方側(-Y側)の端部から径方向外側に突出する環状の被固定部39と、被固定部39の径方向外縁部から軸方向他方側に突出する枠状部38と、を有する。モータハウジング本体35bは、中心軸Jを中心とする円筒状である。モータハウジング本体35bは、内部にロータ41およびステータ42を収容している。これにより、ハウジング本体部31は、ロータ41およびステータ42を内部に収容している。
【0021】
枠状部38は、被固定部39を介して、モータハウジング本体35bの軸方向他方側(-Y側)に繋がっている。枠状部38の軸方向他方側の端部は、モータハウジング35の軸方向他方側の端部であり、開口部35aである。つまり、開口部35aは、枠状部38に設けられている。図2に示すように、枠状部38は、中心軸Jを囲んでいる。本実施形態において枠状部38は、角丸の略正方形枠状である。枠状部38の径方向内側面は、モータハウジング本体35bの内周面よりも径方向外側に位置する。
【0022】
枠状部38は、複数の第1ねじ止め部38rを有する。複数の第1ねじ止め部38rは、枠状部38の軸方向他方側(-Y側)の面から軸方向一方側(+Y側)に窪む雌ねじ穴38nをそれぞれ有する。図2に示すように、各第1ねじ止め部38rには、蓋部33がねじ94で固定されている。ねじ94は、蓋部33に設けられた貫通孔33bに軸方向他方側から通されて、雌ねじ穴38nに締め込まれている。これにより、枠状部38に蓋部33が固定されている。図2および図3に示すように、本実施形態において複数の第1ねじ止め部38rは、周方向に沿って互いに間隔を空けて配置されている。
【0023】
被固定部39は、ベアリングホルダ70が固定される部分である。図3に示すように、被固定部39は、軸方向他方側(-Y側)を向く面を有し、中心軸Jを囲む環状である。被固定部39の径方向内縁部は、中心軸Jを中心とする円形状である。被固定部39の径方向外縁部は、枠状部38の径方向内側面に繋がっている。被固定部39は、枠状部38の径方向内側面から径方向内側に突出している。被固定部39は、枠状部38の軸方向他方側の端面よりも軸方向一方側(+Y側)に離れて位置する。
【0024】
被固定部39は、複数の第2ねじ止め部39rを有する。複数の第2ねじ止め部39rは、被固定部39の軸方向他方側(-Y側)の面から軸方向一方側(+Y側)に窪む雌ねじ穴39eをそれぞれ有する。図2に示すように、各第2ねじ止め部39rには、ベアリングホルダ70がねじ92で固定されている。ねじ92は、ベアリングホルダ70に設けられた貫通孔72eに軸方向他方側から通されて、雌ねじ穴39eに締め込まれている。これにより、被固定部39にベアリングホルダ70が固定されている。本実施形態において複数の第2ねじ止め部39rは、周方向に沿って互いに間隔を空けて配置されている。
【0025】
図1に示すように、ポンプハウジング36は、モータハウジング35の軸方向一方側(+Y側)に繋がっている。ポンプハウジング36は、軸方向一方側に開口する凹部からなる収容凹部36aを有する。収容凹部36aの軸方向一方側の開口は、ポンプカバー34によって塞がれている。
【0026】
基板ハウジング37aは、モータハウジング35およびポンプハウジング36の下側に位置する。基板ハウジング37aは、軸方向に延びている。基板ハウジング37aの軸方向一方側(+Y側)の端部は、ポンプハウジング36およびポンプカバー34よりも軸方向一方側に突出している。基板ハウジング37aの軸方向一方側の端部には、コネクタ部90が設けられている。基板ハウジング37aは、下側に開口する凹部からなる収容凹部37cを有する。収容凹部37cの下側の開口は、基板カバー32によって塞がれている。収容凹部37cの内部には、制御基板80が保持されている。
【0027】
取付部37bは、モータハウジング35およびポンプハウジング36の幅方向一方側(+X側)に位置する。取付部37bは、ねじによって車両の機器に固定される部分である。
【0028】
ハウジング本体部31は、モータハウジング35の内部と収容凹部36aの内部とを軸方向に繋ぐ貫通孔31aを有する。貫通孔31a内には、貫通孔31aの内周面とシャフト41aの外周面との間をシールするオイルシール44が保持されている。貫通孔31a内には、オイルシール44の軸方向他方側(-Y側)にベアリング43bが保持されている。
【0029】
ハウジング本体部31は、図3に示すように、モータハウジング35の内部と収容凹部37cの内部とを径方向に繋ぐ挿入孔31bを有する。つまり、ハウジング30は、挿入孔31bを有する。挿入孔31bは、ハウジング本体部31の軸方向他方側の部分に設けられ、モータハウジング35の内部と収容凹部37cの内部との間の壁部を上下方向Zに貫通している。挿入孔31bは、軸方向に交差する方向(X軸方向)に長い孔である。
【0030】
図2に示すように、蓋部33の軸方向に見た外形は、角丸の略正方形状である。蓋部33の軸方向に見た外形は、枠状部38の軸方向に見た外形と同様である。蓋部33は、径方向外縁部に複数の第3ねじ止め部33aを有する。複数の第3ねじ止め部33aは、それぞれ蓋部33を軸方向に貫通する貫通孔33bを有する。各第3ねじ止め部33aは、貫通孔33bに軸方向他方側(-Y側)から通されたねじ94によって、各第1ねじ止め部38rに固定されている。蓋部33には、ブリーザ91が取り付けられている。
【0031】
図4に示すように、カバー部材60は、モータハウジング本体35bの内部において、ステータ42の軸方向他方側(-Y側)に位置する。カバー部材60は、ベアリングホルダ70の軸方向一方側(+Y側)に位置する。本実施形態においてカバー部材60は、樹脂製である。カバー部材60は、外筒部61と、内筒部63と、連結部62と、を有する。
【0032】
外筒部61は、中心軸Jを囲む円筒状である。外筒部61は、軸方向一方側(+Y側)に開口している。外筒部61は、モータハウジング本体35bの内側に嵌め合わされている。外筒部61の軸方向一方側(+Y側)の端部は、インシュレータ42bおよびコイル42cのうちステータコア42aよりも軸方向他方側(-Y側)に突出する部分を囲んでいる。
【0033】
図5に示すように、外筒部61は、ハウジング30の挿入孔31bと径方向で対向する位置に、挿入孔31bから離れる向きに切り欠かれた第2切り欠き部61fを有している。第2切り欠き部61fは、外筒部61の軸方向他方側(-Y側)の下側部分における幅方向Xの中央部に設けられている。第2切り欠き部61fは、挿入孔31bの上側に位置する。第2切り欠き部61fの下側の面は、上下方向Zと直交する平坦面である。第2切り欠き部61fは、軸方向他方側の縁部に傾斜部61gを有する。傾斜部61gは、幅方向Xに延びている。傾斜部61gは、径方向外側に向かうにしたがって、軸方向一方側(+Y側)に位置する向きに傾斜している。傾斜部61gは、例えば、第2切り欠き部61fの軸方向他方側の縁部がC面取りされて作られている。傾斜部61gは、第2切り欠き部61fの軸方向他方側の縁部がR面取りされて作られてもよい。
【0034】
図4に示すように、内筒部63は、中心軸Jを囲む円筒状である。内筒部63は、軸方向両側に開口している。内筒部63は、外筒部61の径方向内側に位置する。内筒部63の軸方向一方側(+Y側)の端部は、外筒部61の軸方向一方側の端部よりも軸方向他方側(-Y側)に位置する。
【0035】
連結部62は、外筒部61の軸方向他方側(-Y側)の端部と内筒部63の軸方向他方側の端部とを繋いでいる。連結部62は、中心軸Jを囲む環状である。連結部62は、外筒部61の軸方向他方側の端部から僅かに軸方向一方側(+Y側)に位置している。図4に示すように、連結部62は、軸方向他方側を向く表面62aを有する。表面62aは、ベアリングホルダ70と軸方向に対向している。表面62aは、中心軸Jを囲む円環状である。表面62aは、軸方向と直交する平坦面である。
【0036】
ばね部材64は、図1に示すように、カバー部材60の軸方向他方側(-Y側)に位置する。ばね部材64は、連結部62の表面62a上に配置されている。ばね部材64は、表面62aに溶着によって固定されている。ばね部材64は、図6に示すように、中心軸Jを囲む環状の本体部64aと、本体部64aから延出する3つのばね片64bと、を有する。
【0037】
本体部64aは、表面62aに固定されている。本体部64aは、径方向外側に張り出す3つの張り出し部64a1と、径方向内側に向かって凹状に切り欠かれた3つの切り欠き部64a2と、を有する。これら張り出し部64a1と切り欠き部64a2とは、中心軸Jの回りに交互に存在する。本実施形態においてばね部材64は、3つの切り欠き部64a2のうちの一つが制御基板80側(-Z側)を向く状態で設けられている。3つの切り欠き部64a2のうち制御基板80側を向く切り欠き部64a2は、軸方向に見て第2切り欠き部61fの上側に位置し、第2切り欠き部61fに沿って幅方向Xに延びている。
【0038】
3つのばね片64bは、周方向に等間隔に配置されている。3つのばね片64bは、内筒部63の外周に沿って周方向に延びている。ばね片64bは、本体部64aの張り出し部64a1の径方向内側に設けられている。ばね片64bの基端部64b1は、本体部64aに接続され、先端部64b2は自由端となっている。ばね片64bは、先端部64b2へ行くにしたがって、軸方向他方側(-Y側)へ向かって湾曲した形状をなす。
【0039】
図4に示すように、ばね部材64は、カバー部材60とベアリングホルダ70との間に配置される。ばね部材64の各ばね片64bは、ハウジング30内にベアリングホルダ70を組み込む際、ベアリングホルダ70によって軸方向他方側から軸方向一方側(+Y側)へ向かって押されて、軸方向一方側に弾性変形する。これにより、ばね部材64は、カバー部材60とベアリングホルダ70との間において、各ばね片64bが弾性変形された状態で存在する。この状態において、ばね片64bの弾性復元力が軸方向に作用してカバー部材60が軸方向一方側へ向かって押されるので、カバー部材60の軸方向への位置ずれを抑制することが可能である。
【0040】
また、本実施形態では、ばね部材64の周方向に3つの切り欠き部64a2を設けたことにより、カバー部材60に対するばね部材64の取り付け自由度が増し、組み立てが容易である。また、3つのばね片64bが周方向に均等に配置されているため、3つのばね片64bによって、カバー部材60を軸方向へ安定して押さえることができる。
【0041】
ベアリングホルダ70は、ベアリング43aを保持する部材である。ベアリングホルダ70は、モータハウジング本体35bの内部において、カバー部材60の軸方向他方側(-Y側)に位置する。ベアリングホルダ70は、センサベース52の軸方向一方側(+Y側)に対向して配置される。図2および図7に示すように、ベアリングホルダ70は、ホルダ本体部71と、複数の突出部72と、を有する。ホルダ本体部71は、保持筒部71aと、フランジ部71bと、を有する。保持筒部71aは、中心軸Jを囲む円筒状である。保持筒部71aは、軸方向両側に開口している。図1に示すように、保持筒部71aは、内筒部63内に軸方向他方側(-Y側)から挿入されている。本実施形態において保持筒部71aは、内筒部63内に嵌め合わされている。保持筒部71aの軸方向他方側(-Y側)の端部は、内筒部63よりも軸方向他方側に位置する。
【0042】
保持筒部71aの内周面における軸方向の中央部には、径方向内側に突出する環状壁部71cが設けられている。環状壁部71cは、中心軸Jを囲む円環状である。保持筒部71aの内部のうち環状壁部71cよりも軸方向一方側(+Y側)に位置する部分には、ベアリング43aが嵌め合わされて保持されている。これにより、ホルダ本体部71は、ベアリング43aを保持している。保持筒部71aのうち環状壁部71cよりも軸方向他方側(-Y側)に位置する部分の内周面には、径方向内側に突出するリブ71dが設けられている。リブ71dは、軸方向に延びている。リブ71dは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。
【0043】
保持筒部71aの内部には、シャフト41aの軸方向他方側(-Y側)の部分が通されている。シャフト41aの軸方向他方側の端部は、保持筒部71aのうち環状壁部71cよりも軸方向他方側に位置する部分の内部に位置する。シャフト41aの軸方向他方側の端部には、取付部材45を介して、センサマグネット46が取り付けられている。取付部材45およびセンサマグネット46は、保持筒部71aのうち環状壁部71cよりも軸方向他方側に位置する部分の内部に位置する。
【0044】
フランジ部71bは、保持筒部71aの軸方向他方側(-Y側)の端部から径方向外側に突出している。図2および図7に示すように、フランジ部71bは、中心軸Jを囲む円環状である。フランジ部71bの下側部分における幅方向Xの中央部には、フランジ部71bを軸方向に貫通する第1切り欠き部71fが設けられている。第1切り欠き部71fは、下側に開口している。第1切り欠き部71fは、ハウジング30の挿入孔31bと径方向で対向する位置に設けられ、挿入孔31bから離れる向きに切り欠かれている。つまり、ベアリングホルダ70は、挿入孔31bと対向する位置に挿入孔31bから離れる向きに切り欠かれた第1切り欠き部71fを有する。第1切り欠き部71fは、フランジ部71bの外周縁から径方向内側へ向かって凹状に切り欠かれた部分である。
【0045】
フランジ部71bには、フランジ部71bの軸方向他方側(-Y側)の面から軸方向一方側(+Y側)に窪む雌ねじ穴71eが設けられている。雌ねじ穴71eは、例えば、フランジ部71bを軸方向に貫通している。雌ねじ穴71eは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に複数設けられている。本実施形態において雌ねじ穴71eは、4つ設けられている。
【0046】
図1に示すように、フランジ部71bは、カバー部材60の軸方向他方側(-Y側)に対向して配置されている。フランジ部71bの外径は、カバー部材60の外径とほぼ同じである。フランジ部71bの軸方向一方側(+Y側)の端部は、被固定部39の径方向内側に嵌め合わされている。フランジ部71bは、モータハウジング本体35bの軸方向他方側(-Y側)の端部内に設けられ、当該端部をほぼ塞いでいる。
【0047】
図2に示すように、複数の突出部72は、ホルダ本体部71から径方向外側に突出している。本実施形態において複数の突出部72は、フランジ部71bの径方向外縁部から径方向外側に突出している。突出部72の径方向外側部分は、突出部72の径方向内側部分よりも軸方向一方側(+Y側)に窪んでいる。突出部72の径方向外側部分には、突出部72を軸方向に貫通する貫通孔72eが設けられている。突出部72の径方向外側部分と突出部72の径方向内側部分との間には、段差部72fが設けられている。段差部72fは、軸方向に見て、貫通孔72eを中心とする円弧状である。
【0048】
複数の突出部72は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。突出部72は、突出部72aと突出部72bと突出部72cと突出部72dとの4つ設けられている。突出部72aは、幅方向一方側(+X側)かつ斜め上側に突出している。突出部72bは、幅方向一方側かつ斜め下側に突出している。突出部72cは、幅方向他方側(-X側)かつ斜め下側に突出している。突出部72dは、幅方向他方側かつ斜め上側に突出している。
【0049】
複数の突出部72は、複数の第2ねじ止め部39rにそれぞれねじ92で固定されている。ねじ92は、貫通孔72eに軸方向他方側(-Y側)から通されて、雌ねじ穴39eに締め込まれている。これにより、ベアリングホルダ70は、ハウジング30に固定されている。突出部72の軸方向一方側(+Y側)の面は、第2ねじ止め部39rの軸方向他方側の面に接触している。突出部72の軸方向他方側の面は、被固定部39のうち第2ねじ止め部39r以外の部分における軸方向他方側の面よりも軸方向他方側に位置し、かつ、枠状部38の軸方向他方側の面よりも軸方向一方側に位置する。
【0050】
図7に示すように、突出部72aは、第2ねじ止め部39aにねじ92で固定されている。突出部72bは、第2ねじ止め部39bにねじ92で固定されている。突出部72cは、第2ねじ止め部39cにねじ92で固定されている。突出部72dは、第2ねじ止め部39dにねじ92で固定されている。
【0051】
突出部72の周方向の寸法は、径方向外側に向かうに従って小さくなっている。突出部72の径方向外縁部は、軸方向に見て、径方向外側に凸となる円弧状である。突出部72の周方向一方側(+θ側)の縁部72gは、径方向に対して周方向に傾く向きに直線状に延びている。縁部72gは、径方向外側に向かうに従って周方向他方側(-θ側)に位置する。突出部72の周方向他方側(-θ側)の縁部72hは、径方向に対して周方向に傾く向きに直線状に延びている。縁部72hは、径方向外側に向かうに従って周方向一方側(+θ側)に位置する。縁部72gと縁部72hとは、径方向外側に向かうに従って互いに近づく。縁部72gの径方向に対する周方向への傾きは、縁部72hの径方向に対する周方向への傾きよりも小さい。
【0052】
突出部72の縁部72gは、第2ねじ止め部39rの縁部39gと対向して配置されている。突出部72の縁部72gと第2ねじ止め部39rの縁部39gとは、互いに平行に延びている。突出部72の縁部72hは、第2ねじ止め部39rの縁部39hと対向して配置されている。突出部72の縁部72hと第2ねじ止め部39rの縁部39hとは、互いに平行に延びている。
【0053】
各突出部72は、各第1ねじ止め部38rの内側部38pと周方向に対向して配置されている。突出部72のうち内側部38pと周方向に対向する部分は、内側部38pの周方向の側面に沿った形状である。本実施形態において突出部72のうち内側部38pと周方向に対向する部分は、縁部72gである。内側部38pの周方向の側面は、内側部38pの円弧状の内縁部の一部である。本実施形態では、軸方向に見て、縁部72gは、内側部38pのうち最も突出部72に近い部分に接する接線に沿って延びている。
【0054】
図1に示すように、制御基板80は、モータ10の径方向外側に位置する。制御基板80は、軸方向に沿って延びている。制御基板80は、軸方向に沿って延在するとともに板面が上下方向Zを向く基板本体81と、基板本体81に取り付けられた複数の電子部品82と、を有する。図8および図9に示すように、電子部品82は、マイコン83と、複数のスイッチング素子84,85と、が実装されている。マイコン83は、基板本体81の下面のうち幅方向Xおよび軸方向の略中央付近に配置されている。複数のスイッチング素子84,85は、トランジスタである。複数のスイッチング素子84,85は、マイコン83よりも軸方向他方側(-Y側)に間隔を空けて配置されている。スイッチング素子84,85はそれぞれ3つずつ設けられている。3つのスイッチング素子84は、幅方向Xに等間隔に配置されている。3つのスイッチング素子85は、3つのスイッチング素子84の軸方向他方側に隣り合ってそれぞれ配置され、幅方向Xに等間隔に配置されている。6つのスイッチング素子84,85によって、ステータ42に電力を供給する三相インバータ回路が構成されている。制御基板80の軸方向一方側(+Y側)の端部には、コネクタ部90の複数の端子90aが接続されている。
【0055】
図1に示すように、バスバーアッシー51は、挿入孔31bに上下方向Zに通されて、モータハウジング35の内部と収容凹部37cの内部とに跨って設けられている。バスバーアッシー51は、樹脂製のバスバーホルダ51aと、バスバーホルダ51aに保持された複数のバスバー51bと、を有する。バスバーホルダ51aは、ベアリングホルダ70の径方向外側であって、ベアリングホルダ70と制御基板80との間に配置される。バスバーホルダ51aは、複数のバスバー51bを保持する。複数のバスバー51bは、コイル42cと制御基板80とを電気的に接続している。本実施形態では、3つのバスバー51bを有する。
【0056】
図4図5、および図8に示すように、複数のバスバー51bのそれぞれは、一部がバスバーホルダ51aに埋め込まれて保持されている。各バスバー51bは、バスバーホルダ51aから露出するコイル接続部51b3を有する。コイル接続部51b3は、ステータ42のコイル42cから延びる引出線42c1と接続される部分である。引出線42c1は、コイル42cから軸方向他方側(-Y側)へ向かって延びている。コイル接続部51b3がコイル42cと接続されることで、バスバー51bはステータ42に電気的に接続されている。コイル接続部51b3は、カバー部材60の外筒部61と内筒部63との径方向の間に位置する。コイル接続部51b3は、径方向外側からカバー部材60の外筒部61によって覆われている。
【0057】
バスバー51bは、バスバーホルダ51aから露出する露出部51b1を有する。露出部51b1は、バスバーホルダ51aの下端から下方(-Z方向)へ向かってほぼ垂直に延出する延出部51baと、延出部51baの下端から軸方向一方側(+Y側)へ向かって軸方向に沿って延びる軸方向延出部51bbと、軸方向延出部51bbの軸方向一方側(+Y側)の端部から下方(-Z方向)へ向かって略垂直に延びる第2接続部51bcと、を有した屈曲形状(クランク形状)とされている。つまり、バスバー51bは、第2接続部51bcを有する。
【0058】
本実施形態において、軸方向延出部51bbの軸方向一方側(+Y側)の端部は、上方(+Z方向)に向かって湾曲した半円弧形状である。バスバー51bの少なくとも露出部51b1は、例えば、0.8mm以上、1.0mm以下程度の板厚を有し、比較的板厚が大きい。そのため、バスバー51bに湾曲した弧状の部分を設けて撓みやすくすることで、当該弧状の部分によってバスバー51bに生じる応力を逃がしやすくでき、バスバー51bと制御基板80との接続部分に応力が掛かることを抑制できる。したがって、バスバー51bと制御基板80との接続を好適に維持しやすい。
【0059】
第2接続部51bcは、制御基板80に接続されている。第2接続部51bcは、基板本体81を上側から下側へ向かって板厚方向に貫通している。第2接続部51bcは、例えば、半田付けによって基板本体81と電気的に接続されている。本実施形態では、3つのバスバー51bにおける各第2接続部51bcが、幅方向Xに間隔を空けて直線状に並んでいる。第2接続部51bcは、基板本体81から下側に突出しており、基板カバー32が取り付けられていない状態において、収容凹部37cの下側の開口を介してハウジング30の外部に露出するため、第2接続部51bcを制御基板80に対して半田付けする作業がしやすい。
【0060】
図2に示すように、センサベース52は、ベアリングホルダ70の軸方向他方側(-Y側)に位置する。センサベース52は、ベアリングホルダ70と蓋部33との軸方向の間に位置する。センサベース52は、バスバーアッシー51よりも軸方向他方側に位置する。本実施形態では、軸方向一方側(+Y側)から軸方向他方側へ向かって、モータ10、バスバーアッシー51、およびセンサベース52がこの順で配置されている。これにより、モータ10と制御基板80とを接続するバスバーアッシー51をモータ10の近くに配置することでができる。
センサベース52は、センサ基板53を保持する部材である。センサベース52は、樹脂製の保持体52aと、保持体52aに保持された複数の導電部材52bと、を有する。保持体52aは、複数の導電部材52bを保持する。保持体52aは、基板保持部52cと、延伸保持部52dと、を有する。
【0061】
基板保持部52cは、軸方向に見て、略円形状である。基板保持部52cは、ねじ93によってベアリングホルダ70に固定されている。ねじ93は、基板保持部52cに設けられた貫通孔に軸方向他方側(-Y側)から通されて、雌ねじ穴71eに締め込まれている。図1に示すように、基板保持部52cは、ベアリングホルダ70の軸方向他方側に対向して配置されている。また、基板保持部52cは、バスバーアッシー51よりも軸方向他方側(-Y側)に位置している。
【0062】
延伸保持部52dは、制御基板80へ向かって延びている。より詳細には、延伸保持部52dは、基板保持部52cの下端部から制御基板80に向かって延びている。延伸保持部52dは、挿入孔31bに通されている。延伸保持部52dは、ハウジング本体部31の挿入孔31bの形状に合わせて、軸方向に交差する方向(幅方向X)に幅広な平たい形状をなす。本実施形態では、延伸保持部52dの幅方向Xに5つの導電部材52bが略等間隔で保持されている。
【0063】
延伸保持部52dは、基板保持部52cの下端部から軸方向一方側(+Y側)に向かって軸方向に沿って延びる第1部分52eと、第1部分52eの軸方向一方側の端部から軸方向と交差する方向に屈曲して制御基板80に向かって延びる第2部分52fと、を有する。第1部分52eの一部は、例えば、ベアリングホルダ70に設けられた第1切り欠き部71f内に軸方向に通されている。第2部分52fは、第1部分52eの軸方向一方側の端部から下側に延びている。第2部分52fは、ハウジング本体部31の挿入孔31b内に挿入されている。
【0064】
本実施形態においてベアリングホルダ70と延伸保持部52dとは、少なくとも一部において軸方向と交差する方向で互いに重なっている。本実施形態において延伸保持部52dは、ベアリングホルダ70の下側に位置する。つまり、ベアリングホルダ70と延伸保持部52dとは、上下方向Zで互いに重なっている。
【0065】
複数の導電部材52bは、金属製で細長の板状部材である。複数の導電部材52bは、一部が保持体52aに埋め込まれて、保持体52aに保持されている。複数の導電部材52bは、第2部分52fの下端部から突出して、制御基板80に接続されている。複数の導電部材52bは、センサ基板53と制御基板80とを電気的に接続している。
【0066】
複数の導電部材52bのそれぞれは、延伸保持部52dから露出する露出部52b1を有する。本実施形態において露出部52b1は、延伸保持部52dのうち第2部分52fの先端面(下端面)から露出している。露出部52b1は、第2部分52fの下端面(先端面)から下方(-Z方向)へ向かって垂直に延出する延出部52baと、延出部52baの下端から軸方向一方側(+Y側)へ向かって軸方向(Y方向)に沿って延びる軸方向延伸部52bbと、軸方向延伸部52bbの軸方向一方側(+Y側)の端部から軸方向と交差する方向に屈曲して制御基板80へ接続される第1接続部52bcと、を有する。
【0067】
図8に示すように、第1接続部52bcは、制御基板80をモータ10側から貫通している。言い換えれば、第1接続部52bcは、制御基板80をモータ10から離れる向きに貫通している。第1接続部52bcは、基板本体81を上側から下側に向かって貫通している。第1接続部52bcは、例えば、半田付けによって基板本体81と電気的に接続されている。本実施形態では、5つの導電部材52bにおける各第1接続部52bcが、幅方向Xに間隔を空けて直線状に並んでいる。第1接続部52bcは、制御基板80をモータ10側から貫通することで、制御基板80から下側に突出している。そのため、第1接続部52bcは、基板カバー32が取り付けられていない状態において、収容凹部37cの下側の開口を介してハウジング30の外部に露出する。これにより、第1接続部52bcを制御基板80に対して半田付けする作業がしやすい。
【0068】
第1接続部52bcは、バスバー51bの第2接続部51bcよりも軸方向他方側(-Y側)において制御基板80に接続されている。制御基板80に対するセンサベース52の接続位置と、制御基板80に対するバスバーアッシー51の接続位置とを軸方向に分けることができるので、組み立てに要する工数および時間を低減できる。
また、5つの第1接続部52bcは、第2接続部51bcよりも軸方向他方側(-Y)において、3つの第2接続部51bcの並びと平行に並んでいる。本実施形態において5つの導電部材52bは、幅方向Xに交差することなく、幅方向Xに等間隔に並んで配置されている。そのため、導電部材52bを保持する保持体52aにおける延伸保持部52dを薄くしやすく、延伸保持部52dを挿入孔31bに通しやすい。
【0069】
バスバー51bの第2接続部51bcおよび導電部材52bの第1接続部52bcは、いずれも、6つのスイッチング素子84,85で構成される三相インバータ回路よりも軸方向他方側(-Y側)に配置されている。本実施形態では、基板本体81の軸方向一方側(+Y側)から軸方向他方側に向かって、コネクタ部90の端子90aと、マイコン83と、スイッチング素子84,85と、複数の第2接続部51bcと、複数の第1接続部52bcと、がこの順に並んでいる。そのため、コネクタ部90の端子90aから供給された電力を、マイコン83、スイッチング素子84,85、および第2接続部51bcの順に、軸方向一方側から軸方向他方側へと順に流して、バスバー51bからステータ42へと供給できる。そのため、基板本体81に設けられるプリント配線を交差させることなく配置しやすく、プリント配線の配線パターンを簡単化できる。また、複数の第1接続部52bcについては、例えば、基板本体81上のプリント配線を第2接続部51bcおよびスイッチング素子84,85の幅方向Xの両側に通すことで、当該プリント配線を介してマイコン83に接続させることができる。これにより、複数の第1接続部52bcをセンサ基板53に軸方向に近い位置で制御基板80に接続させつつ、制御基板80上でマイコン83に電気的に接続することができる。
【0070】
本実施形態では、導電部材52bの厚さが例えば、0.5mm以上、0.6mm以下程度であり、バスバー51bよりも薄い。そのため、バスバー51bのように湾曲した弧状の部分を設けなくても、導電部材52bが撓むことで導電部材52bに生じる応力を逃がしやすい。これにより、導電部材52bと制御基板80との接続部分に応力が掛かることを抑制できる。したがって、導電部材52bと制御基板80との接続を好適に維持しやすい。なお、導電部材52bにも、バスバー51bと同様に、湾曲した弧状の部分が設けられてもよい。
【0071】
導電部材52bは、センサ基板53に接続されるセンサ基板接続部52b3を有する。センサ基板接続部52b3は、センサ基板53を軸方向一方側(+Y側)から軸方向他方側(-Y側)に貫通してセンサ基板53と接続される。本実施形態では、5つの導電部材52bのセンサ基板接続部52b3がセンサ基板53の下端部に半田付けされて接続されている。各センサ基板接続部52b3は、幅方向Xに等間隔に配置されている。センサ基板接続部52b3は、センサ基板53を軸方向一方側から軸方向他方側に貫通しているため、蓋部33が取り付けられていない状態で、ハウジング30の外部に露出する。これにより、センサ基板接続部52b3をセンサ基板53に半田付けする作業がしやすい。
【0072】
導電部材52bの少なくとも一部と、バスバー51bの少なくとも一部とは、軸方向と交差する方向(上下方向Z)から見て互いに重なっている。具体的には、導電部材52bのうち軸方向延伸部52bbの軸方向一方側(+Y側)の端部と、バスバー51bのうち軸方向延出部51bbの軸方向他方側(-Y側)の端部および延出部51baと、が軸方向と交差する上下方向Zで部分的に重なっている。
【0073】
センサ基板53は、センサベース52の軸方向他方側(-Y側)に保持されている。より詳細には、センサ基板53は、保持体52aの基板保持部52cの軸方向他方側(-Y側)に保持されている。より詳細には、図1に示すように、基板保持部52cの中央部に、軸方向一方側(+Y側)に窪む窪み52gが設けられており、この窪み52gの内部にセンサ基板53が保持されている。センサ基板53は、モータ10の軸方向他方側に配置されるとともに軸方向に交差する方向に沿って配置されている。本実施形態においてセンサ基板53は、軸方向に直交し板面が軸方向を向く矩形板状である。
【0074】
センサ基板53には、ロータ41の回転角を検出する回転センサ54が搭載されている。回転センサ54は、センサ基板53の軸方向一方側(+Y側)の面に取り付けられている。回転センサ54は、窪み52gの底部に設けられた孔部を介して基板保持部52cの軸方向一方側に露出している。回転センサ54は、センサマグネット46と軸方向に隙間を空けて対向している。回転センサ54は、センサマグネット46の磁界を検出可能な磁気センサである。回転センサ54は、センサマグネット46の磁界の変化を検出することで、ロータ41の回転を検出可能である。
【0075】
ポンプ機構20は、ロータ41の軸方向一方側(+Y側)に連結されている。ポンプ機構20は、収容凹部36a内に収容されている。ポンプ機構20は、インナーロータ21と、アウターロータ22と、を有する。インナーロータ21は、シャフト41aのうち収容凹部36a内に突出した部分に連結されている。これにより、ポンプ機構20は、ロータ41に連結されている。アウターロータ22は、インナーロータ21を囲む環状である。インナーロータ21とアウターロータ22とは、互いに噛み合っている。シャフト41aによってインナーロータ21が回転させられることで、アウターロータ22も回転する。
【0076】
本実施形態では、制御基板80が軸方向に沿う姿勢で配置されるとともに、制御基板80よりも軸方向他方側(-Y側)においてセンサ基板53が軸方向に交差する姿勢で配置されているため、制御基板80とセンサ基板53との間に距離が生じる。そのため、例えばフレキシブル配線基板を使って制御基板80とセンサ基板53とを電気的に接続しようとすると、ハウジング30の挿入孔31bにフレキシブル配線基板を通しにくいなどの問題が生じて、制御基板80とセンサ基板53とを接続しにくい場合があった。
【0077】
これに対して、本実施形態によれば、回転センサ54を搭載するセンサ基板53を保持するセンサベース52は、保持体52aおよび複数の導電部材52bを有する。保持体52aは、制御基板80へ向かって延びる延伸保持部52dを有する。複数の導電部材52bのそれぞれは、延伸保持部52dから露出する露出部52b1を有する。露出部52b1は、軸方向に沿って延びる軸方向延伸部52bbと、軸方向延伸部52bbの軸方向一方側の端部から軸方向と交差する方向に屈曲して制御基板80へ接続される第1接続部52bcと、を有する。そのため、延伸保持部52dを介して導電部材52bの露出部52b1を制御基板80に近づけやすい。また、露出部52b1が軸方向延伸部52bbを有するため、センサ基板53に対して軸方向一方側(+Y側)に位置する制御基板80へと露出部52b1をさらに近づけやすい。これにより、センサ基板53に接続された導電部材52bを制御基板80に直接的に接続しやすくできる。したがって、センサベース52をハウジング30内に組み入れることによって、センサベース52に設けられた導電部材52bを制御基板80に容易に接続しやすくできる。そのため、センサ基板53と制御基板80とを接続する作業を容易にでき、ポンプ100の組立性を向上できる。これにより、ポンプ100の組み立てに要する工数および時間を低減できる。
【0078】
また、軸方向延伸部52bbによって第1接続部52bcの軸方向位置を軸方向一方側にできるため、導電部材52bと制御基板80との接続位置を従来よりも軸方向一方側にすることができる。これにより、制御基板80を不必要に軸方向他方側に延ばす必要がなく、制御基板80を軸方向に小型化できる。
【0079】
本実施形態では、センサベース52を傾けつつ、延伸保持部52dをハウジング30に設けられた挿入孔31b内へ挿し込みつつ、センサベース52全体を回転させてセンサベース52を取付姿勢とすることで、センサベース52をハウジング30内に配置しつつ、第1接続部52bcを制御基板80へ到達させることができる。これにより、延伸保持部52dから露出する露出部52b1を制御基板80に接続することができる。
【0080】
ここで、本実施形態では、ベアリングホルダ70が挿入孔31bと対向する位置に挿入孔31bから離れる向きに切り欠かれた第1切り欠き部71fを有する。そのため、センサベース52の一部を挿入孔31bに差し込む際に、センサベース52がベアリングホルダ70に干渉することを抑制できる。また、カバー部材60の外筒部61は、挿入孔31bと対向する位置に挿入孔31bから離れる向きに切り欠かれた第2切り欠き部61fを有する。そのため、センサベース52の一部を挿入孔31bに差し込む際に、センサベース52がカバー部材60に干渉することを抑制できる。また、第2切り欠き部61fは、軸方向他方側の縁部に傾斜部61gを有する。そのため、センサベース52の一部を挿入孔31bに差し込む際に、センサベース52がカバー部材60に干渉することをより抑制できる。
【0081】
また、本実施形態によれば、導電部材52bの少なくとも一部と、バスバー51bの少なくとも一部とは、軸方向と交差する方向から見て互いに重なる。そのため、導電部材52bとバスバー51bとの干渉を避けつつ、導電部材52bとバスバー51bとを好適に近づけて配置することができる。具体的に本実施形態では、バスバー51bと導電部材52bとを同じような屈曲形状とすることで、互いの干渉を避けつつ制御基板80に対する接続位置を互いに近づけることができる。これにより、制御基板80上においてスペース効率よく、導電部材52bとバスバー51bとを制御基板80に接続できる。さらに、バスバー51bおよび導電部材52bを上述のように屈曲形状(クランク形状)とすることによって耐振動性が向上し、外部からの衝撃やモータ10の振動等を緩和して制御基板80との接続を維持することができる。また、バスバーアッシー51よりもセンサベース52が軸方向他方側(-Y側:センサベース52から離れる位置)にあっても、延出部52baの屈曲形状によって、制御基板80へ接続することができる。
【0082】
保持体52aの形状は上述した形状に限定されない。本実施形態では、延伸保持部52dが軸方向に沿って延びる第1部分52eと、軸方向に交差する方向に延びる第2部分52fとを有するが、第1部分52eだけでもよい。ハウジング本体部31の挿入孔31b内に挿入させる際に、延伸保持部52dから露出する導電部材52bと他の部材との干渉を回避可能であれば、延伸保持部52dの長さは適宜変更が可能である。
【0083】
本発明が適用される回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、ポンプ以外の機器に搭載されてもよい。回転電機を備えるポンプの用途は、特に限定されない。ポンプによって送られる流体の種類は、特に限定されず、水などであってもよい。回転電機およびポンプは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0084】
10…モータ、20…ポンプ機構、30…ハウジング、31b…挿入孔、41…ロータ、42…ステータ、42c…コイル、43a…ベアリング、51…バスバーアッシー、51a…バスバーホルダ、51b…バスバー、52…センサベース、52a…保持体、52b…導電部材、52d…延伸保持部、52e…第1部分、52f…第2部分、53…センサ基板、54…回転センサ、60…カバー部材、61…外筒部、61f…第2切り欠き部、61g…傾斜部、70…ベアリングホルダ、71f…第1切り欠き部、80…制御基板、100…ポンプ、42c1…引出線、51b3…コイル接続部、52b3…センサ基板接続部、51bc…第2接続部、52b1…露出部、52bb…軸方向延伸部、52bc…第1接続部、J…中心軸
図1
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図9