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特開2023-145159ポリスチレン系樹脂押出発泡粒体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145159
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ポリスチレン系樹脂押出発泡粒体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/12 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
C08J9/12 CET
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052485
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中島 克成
(72)【発明者】
【氏名】栗原 俊二
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA08B
4F074AA32
4F074AA32B
4F074AB05
4F074AC32
4F074AD12
4F074AD16
4F074AG03
4F074AG10
4F074BA32
4F074BA34
4F074BA37
4F074BA75
4F074BA95
4F074CA22
4F074DA02
4F074DA23
(57)【要約】
【課題】低コストで、表面性に優れ、かつボイドが少ないポリスチレン系樹脂発泡体を提供し得るポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリスチレン系樹脂と、二酸化炭素および水を含む発泡剤と、を溶融混練する溶融混練工程を含み、前記発泡剤の使用量は、前記ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.190モル超0.250モル以下であり、前記発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、前記二酸化炭素は10モル%以上であり、前記水は30モル%以上である、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン系樹脂と、二酸化炭素および水を含む発泡剤と、を溶融混練する溶融混練工程を含み、
前記発泡剤の使用量は、前記ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.190モル超0.250モル以下であり、
前記発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、前記二酸化炭素は10モル%以上であり、前記水は30モル%以上である、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
【請求項2】
前記発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、前記二酸化炭素は30モル%以下である、請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
【請求項3】
前記発泡剤は、ジメチルエーテルおよび炭素数3~5の飽和炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含有する、請求項1または2に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
【請求項4】
前記ポリスチレン系樹脂押出発泡体が板状である、請求項1~3のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリスチレン系樹脂押出発泡粒体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリスチレン系樹脂押出発泡体は、ポリスチレン系樹脂および発泡剤を押出機において溶融混練し、得られた組成物を任意で冷却し、ダイのスリットなどを通じて低圧域に押出することにより、連続的に製造される。
【0003】
ポリスチレン系樹脂押出発泡体は、良好な断熱性などを有することから、住宅および建築物などの断熱材として用いられている。近年、環境保全の観点から、発泡剤として二酸化炭素などの環境負荷が小さい発泡剤を用いて製造されたポリスチレン系樹脂押出発泡体の開発に注目が集まっている。
【0004】
例えば、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の技術としては、特許文献1~特許文献8に記載の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-173771号公報
【特許文献2】特開2006-249262号公報
【特許文献3】特開2013-203848号公報
【特許文献4】特開2012-255078号公報
【特許文献5】特開2008-120953号公報
【特許文献6】特開2007-153964号公報
【特許文献7】特開2013-166881号公報
【特許文献8】特開2012-229288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来技術は、低コスト(低密度)、表面美麗性および発泡体中のボイドの観点から十分なものではなく、さらなる改善の余地があった。
【0007】
本発明の一実施形態は、前記問題に鑑みなされたものであり、その目的は、低コスト(低密度)で、表面美麗性に優れ、かつ発泡体中のボイドが少ないポリスチレン系樹脂押出発泡体を提供し得る、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の新規の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下の新規知見を見出し、本発明を完成するに至った:発泡剤として、二酸化炭素および水を特定の重量比で含む発泡剤を使用することにより、驚くべきことに、低コスト(低密度)で、表面美麗性に優れ、かつ発泡体中のボイドが少ないポリスチレン系樹脂押出発泡体が得られること。
【0009】
すなわち、本発明の一実施形態は、以下の構成を含むものである。
〔1〕ポリスチレン系樹脂と、二酸化炭素および水を含む発泡剤と、を溶融混練する溶融混練工程を含み、前記発泡剤の使用量は、前記ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.190モル超0.250以下であり、前記発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、前記二酸化炭素は10モル%以上であり、前記水は30モル%以上である、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
〔2〕前記発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、前記二酸化炭素は30モル%以下である、〔1〕に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
〔3〕前記発泡剤は、ジメチルエーテルおよび炭素数3~5の飽和炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種をさらに含有する、〔1〕または〔2〕に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
〔4〕前記ポリスチレン系樹脂押出発泡体が板状である、請求項1~3のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、低コスト(低密度)で、表面美麗性に優れ、かつ発泡体中のボイドが少ないポリスチレン系樹脂押出発泡体を提供し得る、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
【0012】
〔1.本発明の技術的思想〕
ポリスチレン系樹脂押出発泡体は、その密度が小さいほど、同じ重量の原料から得られる発泡体の量(嵩、大きさ)が多くなるため、低コストとなる。ポリスチレン系樹脂押出発泡体の低コスト実現のために、発泡剤の総モル数を増量する方法が知られている。当該方法として発泡剤として可燃性ガスを増量する方法が挙げられる。一方で、発泡剤として可燃性ガスを増量する場合、得られるポリスチレン系樹脂押出発泡体の安全性(具体的には、難燃性)が低下する虞がある。そこで、この問題を解決する代替として、発泡剤として水を増量する方法が検討されている。
【0013】
しかしながら、発泡剤として水を増量して用いる場合、得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体にボイドが発生する傾向がある。水の増量により発泡体にボイドが発生する原因は、ポリスチレンに対する水の分散性が悪化するためである、と推測される。そのため、水を多く含む発泡剤を使用する場合に、ボイドが少ない発泡体を得るために、無機物吸水剤を添加する技術が知られている。しかしながら、無機物吸水剤をさらに使用する従来技術においても、ポリスチレンに対する水の分散性は十分ではなく、ボイドの観点から十分ではなかった。
【0014】
また、従来、発泡剤として二酸化炭素を使用する場合には、得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体の表面性が悪化する場合があった。
【0015】
そこで、本発明者は、発泡体の低コスト実現のために水を多く含み、かつ二酸化炭素を発泡剤を使用する場合であっても、発泡体中のボイドが少なく、かつ表面美麗性に優れるポリスチレン系樹脂押出発泡体を提供すべく、鋭意検討を行った。
【0016】
その結果、本発明者は、以下の新規知見を独自に見出した:ポリスチレン系樹脂と、二酸化炭素および水を特定の重量比で含む発泡剤とを溶融混練する工程を有する製造方法であれば、低コストで、二酸化炭素を使用した際にも表面美麗性に優れ、かつ発泡体中のボイドが少ないポリスチレン系樹脂押出発泡体を提供できること。
【0017】
〔2.ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法〕
本発明の一実施形態に係るポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、ポリスチレン系樹脂と、二酸化炭素および水を含む発泡剤と、を溶融混練する溶融混練工程を含む。本発明の一実施形態に係るポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法において、発泡剤の使用量は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.190モル超0.250以下であり、前記発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、二酸化炭素は10モル%以上であり、水は30モル%以上である。
【0018】
本明細書において、「ポリスチレン系樹脂押出発泡体」を「発泡体」と称する場合があり、「本発明の一実施形態に係るポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法」を、「本製造方法」と称する場合がある。
【0019】
本製造方法は、前述した構成を有するため、低コスト(低密度)で、表面美麗性に優れ、かつ発泡体中のボイドが少ないポリスチレン系樹脂押出発泡体を提供することができるという利点を有する。発泡成形体の表面美麗性および発泡体中のボイドの評価方法については、後の実施例にて詳説する。
【0020】
まず、本製造方法で使用する原料(成分)、および製造装置について説明し、その後各工程について説明する。
【0021】
(2-1.ポリスチレン系樹脂)
本製造方法において使用されるポリスチレン系樹脂としては、スチレン系単量体の単独重合体(ポリスチレン);2種以上のスチレン系単量体の共重合体;スチレン系単量体とスチレン系単量体以外の単量体との共重合体等が挙げられる。共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体が挙げられる。本明細書において、「スチレン系単量体以外の単量体」を「他の単量体」と称する場合がある。
【0022】
スチレン系単量体としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等が挙げられる。他の単量体としては、ジビニルベンゼン等の多官能性ビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;ブタジエン等のジエン系化合物;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;N-メチルマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-(2)-クロロフェニルマレイミド、N-(4)-ブロモフェニルマレイミド、N-(1)-ナフチルマレイミド等のN-アルキル置換マレイミド化合物等が挙げられる。スチレン系単量体および他の単量体ともに、上述した各単量体の1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
また、ポリスチレン系樹脂は、上記スチレン系単量体を含む単独重合体又は共重合体と、上記他の単量体の単独重合体又は共重合体とのブレンド物であってもよい。例えば、ポリスチレン系樹脂には、ゴム強化ポリスチレン(例えば、ジエン系ゴム強化ポリスチレン、アクリル系ゴム強化ポリスチレンなど)、およびポリフェニレンエーテル系樹脂等をブレンドしてもよい。
【0024】
ポリスチレン系樹脂としては、比較的安価であり、押出発泡成形に適しているなどの観点から、ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ジエン系化合物共重合体(耐衝撃性ポリスチレン、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体)などが好ましい。コスト面などから、特に好ましくは、ポリスチレンである。
【0025】
前記ポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体に由来する構成単位(スチレン系単位)を、全構成単位100重量%中、50重量%以上有することが好ましく、80重量%以上有することがより好ましい。
【0026】
さらに、ポリスチレン系樹脂は、メルトフローレート、成形加工時の溶融粘度、溶融張力などを調整する目的で、分岐構造を有するポリスチレン系樹脂であってもよい。以下、メルトフローレートをMFRと称する。また、共重合成分、分子量、分子量分布、分岐構造および/またはMFRなどの異なるポリスチレン系樹脂を2種以上混合して使用してもよい。
【0027】
ポリスチレン系樹脂のMFRは、40g/10分以下であることが好ましい。当該構成であれば、押出機中でポリスチレン系樹脂中に発泡剤を均一に分散させやすいため、安定して押出および発泡成形を行うことができ、その結果、生産安定性が向上するという利点を有する。ポリスチレン系樹脂のMFRは、2g/10分~30g/10分であることがより好ましく、6g/10分~30g/10分であることがさらに好ましい。当該構成であれば、本発明の効果が発揮され易いという利点を有する。
【0028】
なお、本明細書において、ポリスチレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に基づいて測定される値である。
【0029】
本製造方法において使用されるポリスチレン系樹脂は、市販されているポリスチレン系樹脂(いわゆる、バージン樹脂)であってもよく、再生ポリスチレン系樹脂(例えば、発泡体の製造等に使用された後に再生押出機等を用いてリサイクルされた再生ポリスチレン系樹脂、および、市場で回収された食品トレーや魚箱からリサイクルされた再生ポリスチレン系樹脂など)であってもよく、それらの混合物であってもよい。再生ポリスチレン系樹脂のMFRは高くなりやすく、例えば、20g/10分を超える場合がある。本製造方法によれば、MFRが20g/10分を超える再生ポリスチレン系樹脂を使用する場合であっても、表面性に優れたポリスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。
【0030】
(2-2.発泡剤)
本製造方法において使用される発泡剤は、二酸化炭素および水を含む。これにより、本製造方法は、生産コストが小さいという利点を有する。また、本製造方法において使用される発泡剤が二酸化炭素および水を含むことにより、本製造方法は、表面美麗性に優れ、かつ発泡体中のボイドが少ない発泡体を提供できる、という利点を有する。
【0031】
発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、二酸化炭素の比率は、10モル%以上であり、水の比率は30モル%以上である。二酸化炭素の上記比率が10モル%未満である場合は、押出機への二酸化炭素の定量圧入ができないという問題が生じ得る。また、水の上記比率が30モル%未満である場合は、所望の厚さを有するポリスチレン系樹脂押出発泡体が得られないという問題が生じ得る。
【0032】
発泡剤中の二酸化炭素の比率の上限値は特に限定されないが、発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、二酸化炭素の比率は、30モル%以下であることが好ましい。二酸化炭素の上記比率が30モル%以下である場合、圧力開放速度を適正な範囲に制御した場合に、ダイの内部で組成物から二酸化炭素が遊離することを抑制し、得られるポリスチレン系樹脂発泡体の表面美麗性を向上させ得るという利点を有する。
【0033】
発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、二酸化炭素の比率は、30モル%未満であることがより好ましく、29モル%以下であることがより好ましく、28モル%以下であることがより好ましく、27モル%以下であることがより好ましく、27モル%未満であることがより好ましく、26モル%以下であることがより好ましく、25モル%以下であることがより好ましく、24モル%以下であることがより好ましく、23モル%以下であることがより好ましく、22モル%以下であることがより好ましく、22モル%未満であることがより好ましく、21モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがより好ましく、20モル%未満であることがより好ましく、19モル%以下であることがより好ましく、18モル%以下であることがより好ましく、17モル%以下であることがより好ましく、16モル%以下であることがより好ましく、15モル%以下であることがさらに好ましく、14モル%以下であることが特に好ましい。当該構成によると、得られる発泡体の表面美麗化が容易となるという利点を有する。二酸化炭素の上記比率は、11モル%以上であってもよく、12モル%以上であってもよい。
【0034】
発泡剤中の水の比率の上限値は特に限定されない。発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、水の比率は、50モル%以下であることが好ましく、50モル%未満であることがより好ましく、49モル%以下であることがさらに好ましく、48モル%以下であることが特に好ましい。当該構成によると、得られるポリスチレン系樹脂押出発泡体のボイド発生の低減が容易となるという利点を有する。水の上記比率は、31モル%以上であることがより好ましく、32モル%以上であることがより好ましく、33モル%以上であることがより好ましく、33モル%超であることがより好ましく、34モル%以上であることがより好ましく、35モル%以上であることがより好ましく、36モル%以上であることがさらに好ましく、37モル%以上であることが特に好ましい。
【0035】
本発明の一実施形態として、発泡剤は、二酸化炭素および水に加えて、発泡剤として機能し得る二酸化炭素および水以外の発泡剤をさらに含んでいてもよい。本明細書において、「二酸化炭素および水以外の発泡剤」を「他の発泡剤」と称する場合がある。
【0036】
環境保全の観点から、発泡剤として機能し得る他の発泡剤としては、ジメチルエーテル、炭素数3~5の飽和炭化水素、炭素数1~4のアルコール、無機ガス、および地球温暖化係数の小さい有機フッ素化合物、などが好適に挙げられる。
【0037】
炭素数3~5の飽和炭化水素としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、およびネオペンタンなどが挙げられる。発泡性の観点から、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、およびこれらの混合物が好ましい。また、発泡体の断熱性能の観点から、ノルマルブタン、イソブタン、およびこれらの混合物が好ましい。
【0038】
炭素数1~4のアルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコールが挙げられる。取扱いに関する安全性の面から、特にエタノールが好ましい。本発明の一実施形態において、発泡剤中の炭素数1~4のアルコールの量は少ないほど好ましい。例えば、炭素数1~4のアルコールの使用量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.010モル以下であることが好ましい。例えば、発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、炭素数1~4のアルコールの比率は、5モル%以下であることが好ましい。発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、炭素数1~4のアルコールの比率は、0モル%であることがさらに好ましく、すなわち炭素数1~4のアルコールを使用しないことがさらに好ましい。
【0039】
無機ガスとしては、窒素が挙げられる。本発明の一実施形態において、発泡剤中の窒素の量は少ないほど好ましい。例えば、窒素の使用量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.010モル以下であることが好ましい。例えば、発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、窒素の比率は、5モル%以下であることが好ましい。発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、窒素の比率は、0モル%であることがさらに好ましく、すなわち窒素を使用しないことがさらに好ましい。
【0040】
地球温暖化係数の小さい有機フッ素化合物としては、ハイドロフルオロオレフィンおよびハイドロクロロフルオロオレフィンが挙げられる。
【0041】
これらの他の発泡剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの他の発泡剤のうち、(a)水を除いて樹脂への可塑化作用を有するために押出機の負荷が軽減されること、(b)得られるポリスチレン系樹脂発泡体の表面性を向上すること、および(c)環境負荷が小さいこと、の点から、ジメチルエーテルおよび炭素数3~5の飽和炭化水素がより好ましく、ジメチルエーテル、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物が特に好ましい。発泡剤が、二酸化炭素および水に加えて、ジメチルエーテルおよび炭素数3~5の飽和炭化水素(例えば、ノルマルブタンとイソブタンとの混合物)からなる群より選択される少なくとも1種の発泡剤をさらに含有することにより、環境負荷が小さいままで、(a)押出機の負荷を軽減し、(b)得られるポリスチレン系樹脂発泡体の表面性が向上しやすい、という利点を有する。
【0042】
発泡剤が、ジメチルエーテルをさらに含有する場合(以下、場合Aとする)について説明する。場合Aにおいて、ジメチルエーテルの使用量の上限値および下限値は、ともに特に限定されない。場合Aにおいて、ジメチルエーテルの使用量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.1000モル以下であることが好ましく、0.0950モル以下であることがより好ましく、0.0900モル以下であることがより好ましく、0.0850モル以下であることがより好ましく、0.0800モル以下であることがより好ましく、0.0750モル以下であることがさらに好ましく、0.0700モル以下であることが特に好ましい。当該構成によると、所望の組成物の粘度を得られやすいという利点を有する。場合Aにおいて、組成物の可塑性の観点からは、ジメチルエーテルの使用量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、例えば、0.0400モル以上であることが好ましく、0.0450モル以上であることがより好ましく、0.0500モル以上であることがさらに好ましく、0.0520モル以上であることが特に好ましい。ジメチルエーテルの使用量がポリスチレン系樹脂の重量100gに対して0.0400モル以上である場合、気泡が破裂し難いという利点も有する。場合Aにおいて、発泡剤中のジメチルエーテルの比率の上限値および下限値は、ともに特に限定されない。場合Aにおいて、発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、ジメチルエーテルの比率は、60モル%以下であることが好ましく、55モル%以下であることがより好ましく、50モル%以下であることがより好ましく、45モル%以下であることがより好ましく、40モル%以下であることがさらに好ましく、35モル%以下であることが特に好ましい。当該構成によると、所望の組成物の粘度を得られやすいという利点を有する。場合Aにおいて、発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、ジメチルエーテルの比率は、10モル%以上であることが好ましく、15モル%以上であることがより好ましく、20モル%以上であることがさらに好ましく、25モル%以上であることが特に好ましい。当該構成によると、得られる発泡体内の気泡が破裂し難いという利点を有する。
【0043】
発泡剤が、炭素数3~5の飽和炭化水素をさらに含有する場合(以下、場合Bとする)について説明する。場合Bにおいて、炭素数3~5の飽和炭化水素の使用量の上限値および下限値は、ともに特に限定されない。場合Bにおいて、炭素数3~5の飽和炭化水素の使用量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.0550モル以下であることが好ましく、0.0500モル以下であることがより好ましく、0.0450モル以下であることがより好ましく、0.0400モル以下であることがさらに好ましく、0.0380モル以下であることが特に好ましい。当該構成によると、良好な難燃性を有する発泡体を得られるという利点を有する。場合Bにおいて、炭素数3~5の飽和炭化水素の使用量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.0050モル以上であることが好ましく、0.0100モル以上であることがより好ましく、0.0150モル以上であることがより好ましく、0.0200モル以上であることがより好ましく、0.0250モル以上であることがさらに好ましく、0.0280モル以上であることが特に好ましい。当該構成によると、良好な断熱性を有する発泡体が得られるという利点を有する場合Bにおいて、発泡剤中の炭素数3~5の飽和炭化水素の比率の上限値および下限値は、ともに特に限定されない。場合Bにおいて、発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、炭素数3~5の飽和炭化水素の比率は、30モル%以下であることが好ましく、28モル%以下であることがより好ましく、25モル%以下であることがより好ましく、23モル%以下であることがより好ましく、20モル%以下であることがさらに好ましく、18モル%以下であることが特に好ましい。当該構成によると、良好な難燃性を有する発泡体を得られるという利点を有する。場合Bにおいて、発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、炭素数3~5の飽和炭化水素の比率は、5モル%以上であることが好ましく、8モル%以上であることがより好ましく、10モル%以上であることがより好ましく、12モル%以上であることがさらに好ましく、15モル%以上であることが特に好ましい。当該構成によると、良好な断熱性を有する発泡体を得られるという利点を有する。
【0044】
発泡剤が、ジメチルエーテルおよび炭素数3~5の飽和炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種の発泡剤をさらに含有する場合(以下、場合Dとする)について説明する。場合Dにおいて、ジメチルエーテルおよび炭素数3~5の飽和炭化水素の合計使用量の上限値および下限値は、ともに特に限定されない。場合Dにおいて、ジメチルエーテルおよび炭素数3~5の飽和炭化水素の合計使用量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.1200モル以下であることが好ましく、0.1180モル以下であることがより好ましく、0.1150モル以下であることがより好ましく、0.1130モル以下であることがより好ましく、0.1100モル以下であることがより好ましく、0.1080モル以下であることがより好ましく、0.1050モル以下であることがさらに好ましく、0.1020モル以下であることが特に好ましい。当該構成によると、良好な難燃性を有する発泡体を得られるという利点を有する。場合Dにおいて、ジメチルエーテルおよび炭素数3~5の飽和炭化水素の合計使用量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.0500モル以上であることが好ましく、0.0550モル以上であることがより好ましく、0.0600モル以上であることが好ましく、0.0650モル以上であることがより好ましく、0.0700モル以上であることが好ましく、0.0750モル以上であることがより好ましく、0.0780モル以上であることがさらに好ましく、0.0800モル以上であることが特に好ましい。当該構成によると、良好な断熱性を有する発泡体を得られるという利点を有する。場合Dにおいて、発泡剤中のジメチルエーテルおよび炭素数3~5の飽和炭化水素の合計比率の上限値および下限値は、ともに特に限定されない。場合Dにおいて、発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、ジメチルエーテルおよび炭素数3~5の飽和炭化水素の合計比率は、60モル%以下であることが好ましく、58モル%以下であることがより好ましく、56モル%以下であることがより好ましく、54モル%以下であることがより好ましく、52モル%以下であることがさらに好ましく、51モル%以下であることが特に好ましい。当該構成によると、良好な難燃性を有する発泡体を得られるという利点を有する。場合Dにおいて、発泡剤の総モル数を100モル%とした場合に、ジメチルエーテルおよび炭素数3~5の飽和炭化水素の合計比率は、15モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましく、22モル%以上であることがより好ましく、22モル%超であることがより好ましく、24モル%以上であることがより好ましく、26モル%以上であることがより好ましく、28モル%以上であることがより好ましく、30モル%以上であることがより好ましく、30モル%超であることがより好ましく、32モル%以上であることがより好ましく、34モル%以上であることがより好ましく、36モル%以上であることがより好ましく、36モル%超であることがより好ましく、38モル%以上であることがより好ましく、40モル%以上であることがさらに好ましく、42モル%以上であることが特に好ましい。当該構成によると、良好な断熱性を有する発泡体を得られるという利点を有する。
【0045】
本製造方法において、発泡剤の使用量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.190モル超である。当該構成により、低コスト(低密度)のポリスチレン系樹脂発泡体を安定的に得やすいという利点を有する。発泡剤の使用量が、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.190モル以下である場合は、所望のコスト(密度)のポリスチレン系樹脂発泡体を得ることが困難になり得る。
【0046】
発泡剤の使用量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.191モル以上であることが好ましく、0.192モル以上であることがより好ましく、0.193モル以上であることがより好ましく、0.194モル以上であることがさらに好ましく、0.195モル以上であることが特に好ましい。発泡剤の使用量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.196モル以上であってもよく、0.197モル以上であってもよく、0.198モル以上であってもよく、0.199モル以上であってもよく、0.200モル以上であってもよい。発泡剤の使用量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.250モル以下であり、0.248モル以下であることが好ましく、0.245モル以下であることがより好ましく、0.243モル以下であることがより好ましく、0.240モル以下であることがより好ましく、0.238モル以下であることがより好ましく、0.235モル以下であることがより好ましく、0.233モル以下であることがさらに好ましく、0.230モル以下であることが特に好ましい。「発泡剤の使用量」は、「二酸化炭素、水および他の発泡剤の合計使用量」を意図する。
【0047】
(2-3.組成物に含まれるその他の成分)
(二酸化炭素吸着性物質、二酸化炭素溶解性物質)
本製造方法において発泡剤として使用する二酸化炭素は、ポリスチレン系樹脂への溶解性が低い。そのため、ポリスチレン系樹脂および発泡剤を含む組成物は、本発明の一実施形態に係る効果を損なわない範囲で、二酸化炭素に対して吸着性を有する物質(以下「二酸化炭素吸着性物質」とも称する)、および/または、二酸化炭素の溶解量の大きい物質(以下「二酸化炭素溶解性物質」とも称する)をさらに含んでいてもよい。組成物が二酸化炭素吸着性物質および/または二酸化炭素溶解性物質を含むことにより、安定して押出発泡成形を行うことができる。
【0048】
二酸化炭素吸着性物質または二酸化炭素溶解性物質としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリメチルメタアクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸系共重合体、活性炭、炭酸カルシウム、ポリエチレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0049】
本製造方法において、二酸化炭素吸着性物質および二酸化炭素溶解性物質の使用量は、二酸化炭素の使用量などによって適宜調整されるものであるが、例えば、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、0.05~5.00重量部であることが好ましく、0.10~3.00重量部であることがより好ましい。
【0050】
(吸水性物質)
本製造方法において発泡剤として使用する水は、ポリスチレン系樹脂への溶解性が低い。そのため、ポリスチレン系樹脂および発泡剤を含む組成物は、本発明の一実施形態に係る効果を損なわない範囲で、吸水性物質をさらに含んでいてもよい。組成物が吸水性物質を含むことにより、安定して押出発泡成形を行うことができる。
【0051】
吸水性物質としては、例えば、吸水性鉱物(スメクタイト、ゼオライトなど)、および親水性有機物質などが挙げられる。スメクタイトとしては、例えば、天然ベントナイト、精製ベントナイト、有機化ベントナイト、ヘクトライト等が挙げられ、ゼオライトとしては、例えば、天然ゼオライト、人工ゼオライト、合成ゼオライト等が挙げられる。親水性有機物質としては、ポリアクリル酸塩系重合体、澱粉-アクリル酸グラフト共重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ビニルアルコール-アクリル酸塩系共重合体、エチレン-ビニルアルコール系共重合体、ポリアクリロニトリル-メタクリル酸メチル-ブタジエン系共重合体、ポリエチレンオキサイド系共重合体およびこれらの誘導体、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、多価アルコール類、メラミン、および、表面に水酸基を有する粒子径1000nm以下の微粉末(例えば、表面にシラノール基を有する無水シリカ(酸化ケイ素))等があげられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0052】
本製造方法において、吸水性物質の使用量は、水の使用量などによって適宜調整されるものであるが、例えば、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、0.01~5.00重量部であることが好ましく、0.10~2.00重量部であることがより好ましい。
【0053】
(難燃剤)
ポリスチレン系樹脂および発泡剤を含む組成物は、本発明の一実施形態に係る効果を損なわない範囲で、難燃剤をさらに含んでいてもよい。組成物が難燃剤を含むことにより、本製造方法により得られるポリスチレン系樹脂押出発泡体に、JIS A 9511の測定方法Aに規定される難燃性を付与することができる。
【0054】
難燃剤としては、臭素系難燃剤が好ましく用いられる。臭素系難燃剤の具体的な例としては、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテル等の臭素化ビスフェノール系化合物;臭素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体、臭素化スチレン-ブタジエンランダム共重合体、臭素化スチレン-ブタジエングラフト共重合体等の脂肪族臭素含有ポリマー;テトラブロモシクロオクタン;ヘキサブロモシクロドデカン;トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0055】
これらのうち、(a)テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテルとテトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピル)エーテルとの混合臭素系難燃剤、(b)臭素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体、または(c)ヘキサブロモシクロドデカンが、押出運転が良好であり、発泡体の耐熱性に悪影響を及ぼさない等の理由から、望ましく用いられる。これらの物質は1種を単体で用いても、2種以上を混合物として用いてもよい。
【0056】
本製造方法において、難燃剤の使用量は、経済性および他の要求諸物性への影響の観点からは、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、0.50~10.00重量部であることが好ましく、0.50~5.00重量部であることがより好ましい。
【0057】
(その他添加剤)
ポリスチレン系樹脂および発泡剤を含む組成物は、本発明の一実施形態に係る効果を損なわない範囲で、気泡径調整剤(タルクなど)、滑剤(ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウムなど)、ラジカル発生剤(2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼンなど)、難燃助剤(リン酸エステルおよびホスフィンオキシドなど)、安定剤(ビスフェノール-A-グリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジペンタエリスリトール-アジピン酸反応混合物、エポキシ化合物、多価アルコールエステル化合物、フェノール系抗酸化剤、ホスファイト系抗酸化剤など)、加工助剤(脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、流動パラフィン、オレフィン系ワックスなど)、界面活性剤、難燃調整剤(酸化鉄、鉄錯体、ジフェニルアルカン、ジケトンなど)、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料など)、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、可塑剤、充填剤、などの添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0058】
また、ポリスチレン系樹脂および発泡剤を含む組成物は、本発明の一実施形態に係る効果を損なわない範囲で、熱線輻射抑制剤を含んでいてもよい。組成物が熱線輻射抑制剤を含むことにより、ポリスチレン系樹脂押出発泡体中の熱線の透過を抑制し、その結果、断熱性を高めることができる。熱線輻射抑制剤としては、黒色系粒子(グラファイト、カーボンブラックなど)、および、白色系粒子(酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンチモンなど)などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0059】
(2-4.溶融混練工程)
本製造方法は、ポリスチレン系樹脂と、二酸化炭素および水を含む発泡剤とを溶融混練する溶融混練工程を含む。溶融混練工程は、ポリスチレン系樹脂を溶融させて、ポリスチレン系樹脂に発泡剤を溶解させる工程ともいえる。また、溶融混練工程は、ポリスチレン系樹脂および発泡剤を含む組成物の溶融混練物を調製する工程ともいえる。ここで、「ポリスチレン系樹脂および発泡剤を含む組成物の溶融混練物」は、「ポリスチレン系樹脂および発泡剤を溶融混練して得られる組成物」または「溶融混練工程で得られる組成物」ともいえる。本明細書において、「ポリスチレン系樹脂および発泡剤を含む組成物の溶融混練物」を「組成物」または「発泡性溶融樹脂」と称する場合がある。
【0060】
溶融混練工程では、ポリスチレン系樹脂と二酸化炭素および水を含む発泡剤とを溶融混練するために、溶融混練部として、例えば従来公知の押出機を備える製造装置を使用し得る。押出機としては、例えばスクリュを用いた押出機が挙げられる。樹脂の分子劣化をできる限り抑えるため、スクリュの形状としては、低剪断タイプのスクリュが好ましい。スクリュを用いた押出機としては、例えば、単軸押出機や二軸押出機を採用することが可能である。二軸押出機を採用する場合のスクリュ回転方向は、同方向であっても異方向であっても構わない。
【0061】
溶融混練部は、ポリスチレン系樹脂と、水以外の発泡剤とを溶融混練する第1押出機、および、第1押出機で得られた溶融混練物と水とを溶融混練する第2押出機を備えていてもよい。この場合、第1押出機には、原料供給装置および発泡剤の供給装置が接続されていてよい。
【0062】
溶融混練工程では、最終的に、ポリスチレン系樹脂に発泡剤が溶解されていればよい。溶融混練工程において、ポリスチレン系樹脂および発泡剤を溶融混練部に供給する順序並びに方法としては、特に限定されず、例えば以下の方法が挙げられる:(1)ポリスチレン系樹脂を溶融混練部に供給し、当該ポリスチレン系樹脂を溶融混練する;(2)その後、溶融混練されたポリスチレン系樹脂に対して、溶融混練部の途中に設けられた発泡剤供給装置から発泡剤を供給し、すなわち、溶融混練部内にて組成物を調製(完成)し、当該組成物をさらに溶融混練する方法。
【0063】
上述した方法において、必要に応じて使用するその他の成分を上記組成物に添加する場合、これらの成分を溶融混練部に供給する方法および順序は特に限定されない。必要に応じて使用するその他の成分は、ポリスチレン系樹脂および/または発泡剤と同時に添加してもよく、別々に、かつ順不同に、添加してもよい。また、ポリスチレン系樹脂にその他の成分を予め混合したマスターペレットを作成し、当該マスターペレットを溶融混練部に供給してもよい。
【0064】
溶融混練工程において、ポリスチレン系樹脂などの原料を溶融させるための溶融混練部内のバレル温度は、ポリスチレン系樹脂が溶融する温度以上であればよいが、難燃剤などへの悪影響が生じず、また樹脂の分子劣化ができる限り抑制されるように、バレル温度を設定することが好ましい。例えば、ポリスチレン系樹脂は、150℃~250℃のバレル温度で溶融混練されることが好ましい。
【0065】
溶融混練工程において、溶融混練時間は、組成物が均一に混合されるように、組成物の吐出量および溶融混練部の構成などに応じて適宜に設定される。
【0066】
溶融混練工程において、発泡剤を添加または注入する際の圧力は、特に制限するものではなく、溶融樹脂の圧力よりも高い圧力であればよい。
【0067】
溶融混練工程は、例えば上述した方法で組成物を溶融混練した後、溶融混練された組成物が固化しない温度の範囲内において、溶融混練された組成物の温度を下げる冷却工程をさらに有していてもよい。冷却工程は、溶融混練部内で溶融混練された組成物を、冷却部に送り、冷却部内で組成物を所望の温度まで冷却することにより行われる。冷却工程を実施する場合、製造装置としては、冷却部がさらに備えられた装置を使用してもよい。溶融混練部と冷却部は、組成物の押出方向の上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0068】
冷却部にて冷却工程を行う場合、冷却部の出口部における組成物の温度は、例えば、105℃~140℃の範囲であることが好ましく、110℃~130℃の範囲であることがより好ましい。冷却部の出口部における組成物の温度が上記の範囲であれば、ダイ内の組成物の温度を、好ましい範囲に調整しやすいという利点を有する。冷却部の出口部における組成物の温度は、冷却部材の温度および伝熱面積、並びに、冷却部材内における組成物の滞留時間などを調整することにより、所望の範囲に制御することができる。
【0069】
(2-5.発泡成形工程)
本製造方法は、溶融混練工程で得られた組成物を、ダイスリットを通じて低圧域に押出し、発泡成形する発泡成形工程をさらに含むことが好ましい。発泡成形工程により、ポリスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。発泡成形工程を実施する場合、製造装置としては、ダイを有する発泡成形部がさらに備えられた装置を使用してもよい。溶融混練部と、発泡成形部とは、組成物の押出方向の上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。製造装置が、溶融混練部、冷却部および発泡成形部を備える場合、これらは各部は、組成物の押出方向の上流側から下流側に向かってこの順に配置されている。
【0070】
発泡成形部は、ダイスリットを通じて押出された組成物を、発泡成形するために、ダイに接続された成形金型を備えていてもよい。本製造方法において用いられる成形金型としては、上下2枚の板状物から構成される成形板が例示される。当該上下2枚の板状物は、平行に設置されていてもよく、入口(上流側)から出口(下流側)に向かって緩やかに拡大するよう設置されていてもよい。また、必要に応じて、発泡体の側面を拘束するために、上下2枚の板状物の両端部に、当該板状物に対して垂直方向に設置された、左右2枚の第2の板状物をさらに設置してもよい。これらの板状物の壁面のうち、押出発泡された組成物が接する壁面(「樹脂流動壁面」とも称する)には、フッ素樹脂層を付設することが好ましい。フッ素樹脂層の厚さは、特に限定されないが、例えば、20μm~100μmであってよい。
【0071】
〔3.ポリスチレン系樹脂押出発泡体〕
本明細書において、「本製造方法によって得られるポリスチレン系樹脂押出発泡体」を「本発泡体」と称する場合もある。
【0072】
本発泡体は、表面美麗性に優れるという利点を有する。より具体的には、本発泡体の表面は、平滑であり、クラック、割れおよび窪みがなく、美麗な外観を有する。
【0073】
本発泡体の形状は、特に限定されない。本発泡体は、板状(例えば、直方体状)であることが好ましい。本発泡体が板状である場合、当該発泡体(発泡板)の厚さは10mm~130mmが好ましく、15mm~120mmがより好ましい。
【0074】
本発泡体は、発泡体中のボイドが少ないという利点を有する。また、本発泡体を厚さ方向にてカットした断面を観察すると、本発泡体の表層部付近の、ボイドの発生が抑制されていることが確認される。これは、ポリスチレンに対する水の分散性が不良であるという問題が、本製造方法より解消された結果、組成物中での水の分配が進むことで組成物と水との接触界面が大きくなることにより、組成物との水との混合効果および攪拌効果が高まったため、と推測される。なお、本発明の一実施形態はかかる推測に限定されない。
【0075】
本発泡体中のボイドは、発泡体を厚み方向に幾つかの数に等分にスライスし(例えば5等分にスライスし)、得られたスライス面を目視で観察することで評価できる。本発泡体中のボイドの大きさは小さいほど好ましく、ボイドの数は少ないほど好ましい。例えば、本発泡体は、直径1mm以内のボイドの数が、50個以下であることが好ましく、40個以下であることがより好ましく、30個以下であることがさらに好ましく、20個以下であることがよりさらに好ましく、15個以下であることが特に好ましい。例えば、本発泡体は、直径1mm超2mm以内のボイドの数が、18個以下であることが好ましく、15個以下であることがより好ましく、13個以下であることがより好ましく、10個以下であることがさらに好ましく、8個以下であることがよりさらに好ましく、5個以下であることが特に好ましい。例えば、本発泡体は、直径2mm超のボイドの数が、3個以下であることが好ましく、2個以下であることがさらに好ましく、1個以下であることがよりさらに好ましく、0個以下であることが特に好ましい。本発明者は、鋭意検討の結果、発泡剤としての二酸化炭素の使用量により、発泡体のボイド数を低減できるという驚くべき知見を独自に得た。
【0076】
なお、本明細書において、「ポリスチレン系樹脂押出発泡体の押出方向」とは、ポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造するときに、ダイスリットから組成物を押出す方向を意図する。本明細書において、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の「幅」および「厚さ」とは、「ポリスチレン系樹脂押出発泡体の押出方向」と垂直方向の当該発泡体の長さのうち、長い方を「幅」と称し、短い方を「厚さ」と称する。
【0077】
(発泡体の密度)
本発泡体の密度は、特に制限されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、軽量でかつ優れた断熱性および曲げ強度、圧縮強度を付与せしめるためには、20kg/m~60kg/mであることが好ましく、20kg/m~40kg/mであることがより好ましく、20kg/m~30kg/mであることがさらに好ましい。本発泡体の密度は、成形直後の発泡体を、内部が高温雰囲気に保たれた炉内を通過させて2次発泡させることにより、気泡形状を調整したり、軽量化させたりすることにより、調整することができる。
【0078】
本明細書において、発泡体の密度は、以下の方法によって算出される:(1)発泡体の幅方向中央部A、幅方向の一端から逆端方向に向かって任意の場所B、および、AとBの中間位置の3点からカットボードを切り出す。切り出した各カットボードの大きさは、任意の厚さ×幅100mm×長さ100mmである;(2)切り出したカットボードを、23℃×50%RHの雰囲気で16時間以上養生後、各カットボード各辺の寸法および重量を測定する;(3)測定値から、次の式に基づいて各カットボードの密度を算出し、3つのカットボードの密度の平均値を発泡体の密度とする。
カットボードの密度(kg/m)=発泡体重量(kg)/発泡体体積(m)。
【実施例0079】
以下に実施例によって本発明の一実施形態をより詳しく説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
【0080】
(原料)
以下の実施例および比較例において使用した原料は、次の通りである:
(A)ポリスチレン系樹脂
(汎用ポリスチレン系樹脂(GPPS))
(A-1)PSジャパン(株)製、680、MFR7.0g/10分
(B)発泡剤
(B-1)ジメチルエーテル、三井化学(株)製
(B-2)無臭ブタン、岩谷産業(株)製
(B-3)二酸化炭素、昭和電工ガスプロダクツ(株)製
(B-4)水、大阪府摂津市水道水
(C)難燃剤
(C-1)臭素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体、ランクセス製、EMERALD INNOVATION #3000
(D)安定剤
(D-1)ビスフェノール-A-グリシジルエーテル、(株)ADEKA製、EP-13(D-2)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、DIC(株)製、EPICLON N-680
(D-3)ジペンタエリスリトール-アジピン酸反応混合物、味の素ファインテクノ(株)製、プレンライザーST210
(D-4)フェノール系抗酸化剤、Songwon製、SONGNOX1010
(D-5)ホスファイト系抗酸化剤、Songwon製、SONGNOX6260
(E)その他添加剤
(E-1)ステアリン酸カルシウム、堺化学工業(株)製、SC-P
(E-2)ベントナイト、BYK Additives(株)製、ベントライトL
(E-3)天然ゼオライト、日東粉化工業(株)製、SP#2300
(E-4)ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン、United Initiators製、CUROX CC-P3。
【0081】
(製造装置)
以下の実施例および比較例では、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造に使用する製造装置として、第一押出機(二軸押出機、口径40mm)、第二押出機(単軸押出機、口径90mm)、およびスリットダイがこの順に直列に連結されており、さらに、スリットダイに接続された上下2枚の成形板、および、成形板の下流に位置する成形ロールを備える装置を使用した。
【0082】
(測定および評価方法)
〔発泡体の密度〕
実施例および比較例で得られたスキン層(金型と接触していた表層)を有する発泡体(以下「スキン付き発泡体」とも称する)を、(1)発泡体の幅方向中央部A、幅方向の一端から逆端方向に向かって任意の場所B、および、AとBの中間位置の3点、からカットボードを切り出した。切り出した各カットボードの大きさは、任意の厚さ×幅100mm×長さ100mmであった;(2)切り出したカットボードを、23℃×50%RHの雰囲気で16時間以上養生後、各カットボード各辺の寸法および重量を測定した;(3)測定値から、次の式に基づいて各カットボードの密度を算出し、3つのカットボードの密度の平均値を発泡体の密度とした。
カットボードの密度(kg/m)=発泡体重量(kg)/発泡体体積(m)。
【0083】
〔発泡体中のボイド〕
実施例および比較例で得られたスキン層を有する長さ1mの発泡体を、厚み方向に5等分になる様にスライスした。次いで、各スライス面を目視で観察し、核スライス面におけるボイドの有無、ボイドがある場合はボイドの大きさおよび数を測定した。続いて、以下の基準にて評価した。
小ボイド:直径1mm以内のボイド
中ボイド:直径1mm超2mm以内のボイド
大ボイド:直径2mm超のボイド
〔発泡体の表面性〕
実施例および比較例で得られたスキン付き発泡体、および、スキン付き発泡体のスキン層(上面および下面)を片側5mmで削り落した後の発泡体(以下「カットボード」とも称する)の表面(上面、下面、および四方の側面の合計6面)の外観を目視で評価した。評価基準を以下に示す。
〇(優れる):スキン付き発泡体の表面にクラック、割れおよび窪みが無い。
△(合格):スキン付き発泡体の表面に割れおよび窪みは無いが、微細なクラックがある。また、カットボードの表面にクラック、割れおよび窪みが無い。
×(劣る):カットボードの表面に、クラック、割れおよび窪みの少なくともいずれかが存在する。
【0084】
(実施例1)
以下の材料(発泡剤以外の材料):A-1(ポリスチレン系樹脂のGPPS)100.00重量部、C-1(難燃剤)2.00重量部、D-1(ビスフェノール-A-グリシジルエーテル)0.15重量部、D-2(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)0.10重量部、D-3(ジペンタエリスリトール-アジピン酸反応混合物)0.20重量部、D-4(フェノール系抗酸化剤)0.20重量部、D-5(ホスファイト系抗酸化剤)0.01重量部、E-1(ステアリン酸カルシウム)0.20重量部、E-2(ベントナイト)0.40重量部、E-3(天然ゼオライト)0.10重量部、および、E-4(ポリ-1,4-ジイソプロピルベンゼン)0.20重量部、をドライブレンドし、樹脂混合物を調製した。得られた樹脂混合物を、以下「GP」とも称する。
【0085】
得られたGPを、約50kg/hrにて原料供給装置から第一押出機に投入し、GPの温度約240℃にて溶融混練を開始した。GPの溶融混練の途中にて、発泡剤として、ポリスチレン系樹脂100gに対してB-1(ジメチルエーテル)0.0643モル、B-2(無臭ブタン)0.0351、B-3(二酸化炭素)0.0234モルおよびB-4(水)0.0722を第一押出機内に圧入し、組成物を調製した(溶融混練工程)。発泡剤の総量は、ポリスチレン系樹脂の重量100gに対して、0.195モルであった。また、発泡剤(B-1、B-2、B-3、B-4)の総モル数を100モル%とした場合に、各発泡剤のモル比は表1に示されるとおりであった。
【0086】
溶融混練した組成物を、第二押出機に連結された冷却機を通過させて、組成物の温度を発泡に適した温度(132℃)に冷却した。冷却部を通過した組成物を、スリットダイに進入させて、ダイスリットから大気中に押出した。押出された組成物を、スリットダイに接続した上下2枚の成形板およびその下流側に設置した上下2個の成形ロールの間で、板状に発泡成形して、幅136mm、厚さ42mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た(発泡成形工程)。
【0087】
得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を表1に示す。
【0088】
(実施例2)
原料供給装置における発泡剤の組成を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅137mm、厚さ50mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-3、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を表1に示す。
【0089】
(実施例3)
原料供給装置における発泡剤の組成を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅136mm、厚さ44mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-3、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を表1に示す。
【0090】
(実施例4)
原料供給装置における発泡剤の組成を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅136mm、厚さ46mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-3、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を表1に示す。
【0091】
(実施例5)
原料供給装置における発泡剤の組成を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅126mm、厚さ41mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-3、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を表1に示す。
【0092】
(比較例1)
原料供給装置における発泡剤の組成を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅138mm、厚さ46mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を表2に示す。
【0093】
(比較例2)
原料供給装置における発泡剤の組成を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅127mm、厚さ39mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を表2に示す。
【0094】
(比較例3)
原料供給装置における発泡剤の組成を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅132mm、厚さ38mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を表2に示す。
【0095】
(比較例4)
原料供給装置における発泡剤の組成を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅129mm、厚さ37mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を表2に示す。
【0096】
(比較例5)
原料供給装置における発泡剤の組成を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅132mm、厚さ38mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を2に示す。
【0097】
(比較例6)
原料供給装置における発泡剤の組成を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅134mm、厚さ44mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を表2に示す。
【0098】
(比較例7)
原料供給装置における発泡剤の組成を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅133mm、厚さ35mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-3、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を表2に示す。
【0099】
(比較例8)
原料供給装置における発泡剤の組成を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅135mm、厚さ32mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-3、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、各評価結果および各算出結果を表2に示す。
【0100】
(比較例9)
原料供給装置における発泡剤の組成を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅130mm、厚さ35mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-1、B-2、B-3、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、評価結果および算出結果を表2に示す。
(比較例10)
原料供給装置における発泡剤の組成を表2に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同じ製法で、幅127mm、厚さ37mmの板状のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得た。なお発泡剤(B-2、B-3、B-4)は第一押出機に圧入した。得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体について、ボイドの数、表面性を評価し、発泡体密度を算出した。ポリスチレン系樹脂および発泡剤の組成、各製造条件、評価結果および算出結果を表2に示す。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
〔結果〕
表1より、実施例1~5で得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体はいずれも、小中ボイドの数が少なく、大ボイドがなく、低密度で表面性に優れるものであった。したがって、本製造方法によれば、水を増量した場合においても、表面性に優れ、かつ厚さのあるポリスチレン系樹脂押出発泡体を提供できることが分かった。これに対し、表2より、二酸化炭素が含まれない比較例1~5、発泡剤の使用量がポリスチレン系樹脂の重量100gに対して0.190モル以下である比較例6及び比較例7、発泡剤に含まれる水のモル比が30モル%以下である比較例8、発泡剤使用量が0.250モル超である比較例9、並びに発泡剤の使用量がポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.190モル以下であり、かつ発泡剤としてジメチルエーテルを含まない比較例10では、実施例1~5で得られたポリスチレン系樹脂押出発泡体に比べて、ボイドの数が多いか、密度が大きい(重い)か、または表面性に劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の一実施形態に係るポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法は、低コストで、表面性に優れ、かつボイドが少ないポリスチレン系樹脂押出発泡体を提供し得るポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法を提供することができる。そのため、本発明の一実施形態は、例えば、断熱材、吸音材、真空断熱材の芯材、緩衝材、充填材などの分野において好適に利用することができる。