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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145180
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ケースおよび分電盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
H02B1/40 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052512
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 啓記
【テーマコード(参考)】
5G211
【Fターム(参考)】
5G211AA01
5G211AA11
5G211AA12
5G211AA13
5G211AA14
5G211AA25
5G211BB03
5G211BB04
5G211BB05
5G211BB07
5G211BB08
5G211BB13
5G211DD39
5G211EE02
5G211EE05
5G211EE06
5G211GG10
(57)【要約】
【課題】トラッキング防止機能の低下を抑制しつつ、放熱性を向上することができるケースなどを提供する。
【解決手段】ケースは、主幹ブレーカ40、分岐ブレーカ50および端子バー30が固定されるベース10と、ベース10を覆うカバー60と、ベース10からカバー60に向けて突出する壁部20とを備える。そして、壁部20は、当該壁部20の上下の空間を連通する連通孔20aを有し、ベース10に主幹ブレーカ40、分岐ブレーカ50および端子バー30が固定された状態で、端子バー30を上方から覆う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主幹ブレーカ、分岐ブレーカおよび導電部が固定されるベースと、
前記ベースを覆うカバーと、
前記ベースから前記カバーに向けて突出する壁部とを備え、
前記壁部は、当該壁部の上下の空間を連通する連通孔を有し、前記ベースに前記主幹ブレーカ、前記分岐ブレーカおよび前記導電部が固定された状態で、前記導電部を上方から覆う
ケース。
【請求項2】
前記ベースに前記主幹ブレーカ、前記分岐ブレーカおよび前記導電部が固定された状態で、前記壁部側から前記導電部側を見たときに、前記導電部は視認されない
請求項1に記載のケース。
【請求項3】
前記壁部は、前記ベースから前記カバーに向けて突出する複数の板状部材であって、前記導電部に沿ってジグザグに配置される複数の板状部材により構成される
請求項1または2に記載のケース。
【請求項4】
前記壁部は、前記壁部の上方に向かって突設する突設部を有し、
前記連通孔は、前記突設部の側面に設けられる
請求項1または2に記載のケース。
【請求項5】
前記ベースおよび前記カバーを結合したときに、前記ベースと前記カバーとの間の隙間である通気部を有する
請求項1~4のいずれか1項に記載のケース。
【請求項6】
前記ベースと前記壁部とは、一体形成されている
請求項1~5のいずれか1項に記載のケース。
【請求項7】
前記ベースは、前記導電部を保持する保持部材を着脱可能に取り付けるための取り付け部を有する
請求項1~6のいずれか1項に記載のケース。
【請求項8】
前記カバーに回転可能に取り付けられ、前記主幹ブレーカおよび前記分岐ブレーカの操作部を覆う扉を備える
請求項1~7のいずれか1項に記載のケース。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のケースと、
前記ケースに固定された主幹ブレーカ、分岐ブレーカおよび導電部とを備える
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースおよび分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本体カバー(カバー)を基台(ベース)に着脱可能な分電盤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-189638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、分電盤には、内部に端子バーと呼ばれる導電部が配置される。導電部は、感電防止などのために絶縁性のカバーで覆われる。絶縁性カバーは、導電部への埃などの堆積によるトラッキング防止のために穴が形成されないので、導電部からの熱を効果的に放熱することが困難である。また、放熱性を向上させるために絶縁性カバーを貫通する穴を形成するとトラッキング防止機能が低下する。また、特許文献1には、トラッキング防止機能の低下を抑制しつつ、放熱性を向上する技術は開示されていない。つまり、従来の技術では、トラッキング防止機能の低下を抑制しつつ、放熱性を向上することが困難である。
【0005】
そこで、本発明は、トラッキング防止機能の低下を抑制しつつ、放熱性を向上することができるケースおよび分電盤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るケースは、主幹ブレーカ、分岐ブレーカおよび導電部が固定されるベースと、前記ベースを覆うカバーと、前記ベースから前記カバーに向けて突出する壁部とを備え、前記壁部は、当該壁部の上下の空間を連通する連通孔を有し、前記ベースに前記主幹ブレーカ、前記分岐ブレーカおよび前記導電部が固定された状態で、前記導電部を上方から覆う。
【0007】
本発明の一態様に係る分電盤は、上記のケースと、前記ケースに固定された主幹ブレーカ、分岐ブレーカおよび導電部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、トラッキング防止機能の低下を抑制しつつ、放熱性を向上することができるケースおよび分電盤を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る分電盤の外観を示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係る分電盤の構成を示す分解斜視図である。
図3図3は、図2に示すIII-III線で切断したときの壁部を示す断面図である。
図4図4は、実施の形態の変形例に係る分電盤の構成を示す分解斜視図である。
図5図5は、実施の形態の変形例に係る壁部を拡大して示す斜視図である。
図6図6は、図5に示すVI-VI線で切断したときの壁部を示す断面斜視図である。
図7図7は、図1に示すVII-VII線に対応する切断線で切断したときの、実施の形態の変形例に係る分電盤を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0011】
なお、以下で説明する実施の形態等は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態等で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態等は一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0013】
また、本明細書および図面において、X軸、Y軸およびZ軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。実施の形態等では、X軸方向を分電盤の厚み方向(構成要素の積層方向)としている。また、本明細書において、「正面視」とは、X軸方向(分電盤の厚み方向)に沿って分電盤を見ることを意味し、「平面視」とは、Z軸方向に沿って分電盤を見ることを意味する。また、Y軸方向は、分電盤が造営材に取り付けられたときに左右方向(例えば、水平方向)となる方向であり、Z軸方向は、分電盤が造営材に取り付けられたときに上下方向(例えば、鉛直方向)となる方向であり、X軸方向は、分電盤が造営材に取り付けられたときに前後方向となる方向であるとして説明するが、これに限定されない。
【0014】
また、本明細書において、平行、同じなどの要素間の関係性を示す用語、および、矩形、台形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値、および、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(例えば、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0015】
(実施の形態)
[1.分電盤の構成]
本実施の形態に係る分電盤の構成について、図1図3を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態に係る分電盤1の外観を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る分電盤1の構成を示す分解斜視図である。
【0016】
分電盤1は、電力事業者などの設備である電力系統からの電力(系統電力)の供給を受け、当該電力を複数の分岐回路それぞれに分岐させる。分電盤1は、例えば、住宅、病院、工場、ビルなどの電力を使用する施設の内部に設置される。
【0017】
図1および図2に示すように、分電盤1は、ベース10と、端子バー30と、保持部材31と、主幹ブレーカ40と、分岐ブレーカ50と、カバー60と、扉70とを備える。ベース10とカバー60とにより、分電盤1のケース(分電盤用ボックス)が構成される。端子バー30、保持部材31、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50は、ケース内に収納される。本実施の形態では、ケースは、端子バー30、保持部材31、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50を内部に収納可能な箱状である。
【0018】
ベース10は、端子バー30と、保持部材31と、主幹ブレーカ40と、分岐ブレーカ50とが固定される板状の部材である。ベース10の正面視形状は、例えば矩形状である。
【0019】
ベース10は、造営材に取り付けられる。ベース10は、例えば、造営材に直接取り付けられる。ベース10は、例えば、壁(例えば、石膏ボード)に接触して取り付けられてもよい。ベース10は、取り付け部10aと、壁部20とを有する。
【0020】
取り付け部10aは、端子バー30を保持する保持部材31を着脱可能に取り付けるための部分である。取り付け部10aは、例えば、保持部材31が取り付けられる(例えば、引っ掛けられる)開口、保持部材31と係合する突起などにより構成される。また、取り付け部10aは、例えば、クランク形状のレールであってもよい。取り付け部10aは、例えば、ディンレールであってもよい。
【0021】
なお、着脱可能とは、例えば、ネジなどの締結部材を用いずに、取り付け部10aに端子バー30を保持する保持部材31を取り付けおよび取り外し可能であることを意味する。なお、取り付け部10aは、端子バー30、保持部材31、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50を一体化した内器ユニットを着脱可能な構成を有していてもよい。
【0022】
壁部20は、導電性を有する端子バー30による感電防止、端子バー30への埃などの堆積によるトラッキング防止などのために端子バー30の上方に配置される板状の部材である。壁部20は、ベース10からカバー60に向かう方向(X軸プラス方向)に突出して設けられる。壁部20は、例えば、ベース10に立設して設けられる。壁部20は、ベース10に端子バー30、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50を固定したときに、端子バー30を上方(Z軸プラス側)から覆う。壁部20は、取り付け部10aより上方に配置されており、本実施の形態では、ベース10におけるY軸プラス側およびZ軸プラス側の位置に配置される。また、壁部20は、例えば、ベース10と一体形成されている。これにより、分電盤1における部品点数を削減することができ、かつ、壁部20がベース10と別体であるときの取り付け作業を省くことができるので、分電盤1のコストを削減することができる。なお、壁部20は、ベース10と別体の部材であってもよい。つまり、壁部20は、ベース10に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0023】
壁部20は、例えば、Y軸方向に長尺である。また、壁部20のX軸方向の長さL1は、例えば、端子バー30のX軸方向の長さL2以上である。例えば、端子バー30、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50を固定した状態の平面視(ここでは、壁部20側から端子バー30を見た場合)において、端子バー30は壁部20に隠れており視認されない。これにより、端子バー30に埃などが堆積することを効果的に抑制することができる。壁部20の断面形状については、図3を参照しながら後述する。
【0024】
ベース10および壁部20は、例えば、電気絶縁性(絶縁性)を有する材料により形成される。例えば、ベース10および壁部20は、樹脂により一体形成されている。ベース10および壁部20は、例えば、成型品(例えば、樹脂成型品)である。ベース10および壁部20を形成する樹脂は、例えば、カバー60を形成する樹脂と同じであってもよい。樹脂は、例えば、ポリエチレン樹脂が例示されるがこれに限定されず、他の樹脂が用いられてもよい。なお、ベース10の少なくとも一部は、金属により形成されていてもよい。
【0025】
また、ベース10には、主幹ブレーカ40に接続される電力線が挿通される開口、および、分岐ブレーカ50に接続される電力線が挿通される開口が形成されている。
【0026】
端子バー30は、主幹ブレーカ40と分岐ブレーカ50とを接続するための板状の導電性部材である。分電盤1は、商用電源と接続されており、商用電源が主幹ブレーカ40および端子バー30を介して各分岐ブレーカ50に向けて電力を供給する構成を有する。
【0027】
端子バー30は、銅などの導電性材料により形成されている。また、端子バー30は、絶縁性の部材で覆われておらず、導電性を有する部分が露出している。そのため、上記の壁部20が設けられる。端子バー30は、母線バー、導電バーとも称される。端子バー30は、導電部の一例である。
【0028】
なお、例えば、端子バー30と壁部20との間に他の部材は配置されていない。
【0029】
保持部材31は、端子バー30を保持する長尺状の部材である。保持部材31は、端子バー30を保持した状態でベース10の取り付け部10aに固定される。保持部材31は、例えば、絶縁性の材料により形成される。保持部材31は、樹脂により形成されてもよい。
【0030】
主幹ブレーカ40は、所定の電流(例えば、電力会社との契約で定められる電力に基づく電流)を超える電流が電力系統から流れた場合に、電力系統からの電力の供給を停止するブレーカである。
【0031】
分岐ブレーカ50は、分電盤1に接続される各電力線(分岐回路)に設けられるブレーカである。分岐ブレーカ50は、複数設けられる。分岐ブレーカ50は、当該分岐ブレーカ50に接続された電力線に過電流が流れた場合に、当該電力線への電力の供給を停止する。
【0032】
なお、分電盤1は、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50の少なくとも一方を備えていればよい。この場合、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50の当該少なくとも一方がベース10に取り付けられる。
【0033】
カバー60は、ベース10を覆う部材である。カバー60は、前面板と、前面板の周囲を囲むよう形成された天板と、一対の側面板と、底板とを有する。
【0034】
扉70は、カバー60の前面板に対して回転可能に取り付けられ、カバー60の前面板に形成された開口を開閉する。扉70は、開口を覆い、Y軸方向を回転軸とし回転可能にカバー60に取り付けられる。また、当該開口には、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50の操作部(例えば、ハンドルなど)が位置する。つまり、扉70は、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50の操作部を覆う。扉70が開閉することにより、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50の操作部を露出させる開状態と、当該操作部を露出させない閉状態とが切り替わる。また、扉70は、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50の状態を示す表示部を覆っていてもよい。扉70は、例えば、正面視形状が矩形状であるがこれに限定されない。
【0035】
本実施の形態では、扉70は、下開きの扉である。言い換えると、扉70は、下開き可能にカバー60に取り付けられる。扉70は、例えば、Y軸方向に延在するピンなどの棒状の部材によりカバー60に取り付けられてもよい。
【0036】
カバー60および扉70は、絶縁性を有する。カバー60および扉70は、同じ材料で形成されていてもよい。カバー60および扉70は、例えば、樹脂により形成されている。例えば、扉70は、成型品(例えば、樹脂成型品)であってもよい。樹脂は、例えば、ポリエチレン樹脂が例示されるがこれに限定されず、他の樹脂が用いられてもよい。
【0037】
ここで、壁部20の断面形状については、図3を参照しながら説明する。図3は、図2に示すIII-III線で切断したときの壁部20を示す断面図である。
【0038】
図3に示すように、壁部20は、平板状の板状部材21~25を有する。板状部材21~25は、X軸方向に延在して設けられ、例えば、X軸マイナス側の端部がベース10に接続されている。板状部材21~25の断面形状は、例えば、矩形状である。板状部材21~25のそれぞれの幅は、例えば、幅W(Y軸方向の長さ)で等しいものとして説明するが、これに限定されない。なお、壁部20が有する板状部材の数は、特に限定されない。
【0039】
板状部材21~23は、Y軸方向に沿って所定の間隔Pで配置される。所定の間隔Pは、例えば、板状部材24および25の幅Wより小さい。また、板状部材22は、板状部材24および25の間の空間を、板状部材24および25の上方から覆うように配置される。板状部材22は、平面視において、板状部材24および25の向かい合う端部と一部が重なるように配置される。
【0040】
板状部材24および25は、板状部材21~23よりZ軸方向マイナス側に所定の間隔をあけてY軸方向に沿って配置される。板状部材24および25が配置される間隔は、例えば、間隔Pであってもよい。
【0041】
板状部材24は、板状部材21および22の間の空間を、板状部材21および22の下方から覆うように配置される。板状部材24の幅Wは、板状部材21および22の間の間隔Pより大きい。また、板状部材24は、平面視において、板状部材21および22の向かい合う端部と一部が重なるように配置される。これにより、平面視において、板状部材21および22の間から端子バー30が視認されないので、埃などが端子バー30に堆積することを抑制することができる。
【0042】
板状部材25は、板状部材22および23の間の空間を、板状部材22および23の下方から覆うように配置される。板状部材25の幅Wは、板状部材22および23の間の間隔Pより大きい。また、板状部材25は、平面視において、板状部材22および23の向かい合う端部と一部が重なるように配置される。これにより、平面視において、板状部材22および23の間から端子バー30が視認されないので、埃などが端子バー30に堆積することを抑制することができる。
【0043】
また、板状部材21~25は、正面視において、端子バー30の長尺方向(Y軸方向)に沿ってジグザグに配置される。つまり、板状部材21~25は、Z軸プラス側に配置される板状部材21~23と、Z軸マイナス側に配置される板状部材24、25とが互い違いに配置される。なお、ジグザグに配置とは、正面視において、板状部材21~25の中心をY軸方向に沿って順に直線でつなぐと、当該直線がジグザグ状となることを意味する。ジグザグ状の各頂点に板状部材21~25が配置されているとも言える。
【0044】
また、板状部材21~23が並ぶ方向と、板状部材24および25が並ぶ方向とは、例えば、平行である。また、板状部材21~25には、例えば、Z軸方向に貫通する貫通孔は形成されていない。板状部材21~25のそれぞれは、互いに離間しており、当接しない。
【0045】
このように構成される壁部20では、板状部材21および22並びに板状部材22および23の間の空間により連通孔20aの一方側の開口が形成され、板状部材24および25の間の空間により連通孔20aの他方側の開口が形成される。連通孔20aは、一方側の開口と他方側の開口とをつなぐ孔であり、壁部20の上方の空間と下方の空間とを連通する。壁部20の上方の空間は、板状部材21~23よりZ軸プラス側の空間である。また、壁部20の下方の空間は、板状部材24および25よりZ軸マイナス側の空間であり、具体的には、壁部20と端子バー30との間の空間である。
【0046】
また、板状部材21~25が上記のように配置されることで、壁部20の下方の空間から板状部材24および25の間の空間、並びに、板状部材21および22の間の空間を介して壁部20の上方の空間に空気が流れる流路と、壁部20の下方の空間から板状部材24および25の間の空間、並びに、板状部材22および23の間の空間を介して壁部20の上方の空間に空気が流れる流路が形成される。流路は、直線状ではなく、湾曲している。
【0047】
これにより、壁部20の下方の空間と、壁部20の上方の空間とが連通するので、壁部20が、壁部20の下方から上方に向かう空気の流れを妨げることを抑制することができる。端子バー30で発生した熱は、当該連通孔20aを介して壁部20の上方の空間に放熱されるので、端子バー30が温度上昇することを抑制することができる。
【0048】
なお、上記では、板状部材21~25はX軸方向に平行に設けられる例について説明したが、X軸に対して傾斜するように設けられてもよい。また、板状部材21~25の配置間隔は同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、板状部材21および22の間隔と、板状部材22および23の間隔は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0049】
なお、壁部20は、断面形状が矩形状の板状部材21~25を有する例について説明したが、板状部材21~25の断面形状は矩形状に限定されず、多角形状、長円状、波状などであってもよい。
【0050】
なお、板状部材21~23と、板状部材24および25とのZ軸方向の間隔は、空気が流れる間隔であれば、特に限定されない。
【0051】
[2.効果など]
以上のように、本実施の形態に係るケースは、主幹ブレーカ40、分岐ブレーカ50および端子バー30(導電部の一例)が固定されるベース10と、ベース10を覆うカバー60と、ベース10からカバー60に向けて(X軸プラス側に向けて)突出する壁部20とを備える。そして、壁部20は、当該壁部20の上下の空間を連通する連通孔20aを有し、ベース10に主幹ブレーカ40、分岐ブレーカ50および端子バー30が固定された状態で、端子バー30を上方から覆う。
【0052】
これにより、壁部20が端子バー30を覆うので、トラッキング防止機能の低下を抑制することができる。また、壁部20には連通孔20aが形成されるので、当該連通孔20aを介して端子バー30が発する熱を放熱することができる。よって、本実施の形態に係るケースは、トラッキング防止機能の低下を抑制しつつ、端子バー30に対する放熱性を向上することができる。
【0053】
また、ベース10に主幹ブレーカ40、分岐ブレーカ50および端子バー30が固定された状態で、壁部20側から端子バー30側(Z軸プラス側からZ軸マイナス側)を見たときに、端子バー30は視認されない。
【0054】
これにより、トラッキング防止機能の低下をより抑制することができる。また、人が端子バー30に接触することをより抑制することができる。
【0055】
また、壁部20は、ベース10からカバー60に向けて突出する複数の板状部材21~25であって、端子バー30に沿って(Y軸方向に沿って)ジグザグに配置される複数の板状部材21~25により構成される。
【0056】
これにより、複数の板状部材21~25の隙間から放熱することができるので、効果的に端子バー30の熱を放熱することができる。また、複数の板状部材21~25がジグザグに配置されることで、埃などが端子バー30に到達することを効果的に抑制することができる。
【0057】
また、ベース10と壁部20とは、一体形成されている。
【0058】
これにより、分電盤1における部品点数を削減することができ、かつ、壁部20がベース10と別体であるときの取り付け作業を省くことができるので、分電盤1のコストを削減することができる。
【0059】
また、ベース10は、端子バー30を保持する保持部材31を着脱可能に取り付けるための取り付け部10aを有する。
【0060】
これにより、上記のようなケースを備える分電盤1の組み立てが容易となる。例えば、ベース10単体を造営材に固定した後に、端子バー30を保持した状態の保持部材31をベース10に取り付けることができる。ベース10単体であれば、保持部材31が取り付けられたベース10より軽いので、ベース10の重量に関する作業性の低下を抑制することができる。また、施工時における作業者の疲労を低減する効果も期待できる。
【0061】
また、カバー60に回転可能に取り付けられ、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50の操作部を覆う扉70を備える。
【0062】
これにより、扉70を備えるケースにおいて、トラッキング防止機能の低下を抑制しつつ、端子バー30に対する放熱性を向上することができる。
【0063】
また、以上のように、本実施の形態に係る分電盤1は、上記のケースと、ケースに固定された主幹ブレーカ40、分岐ブレーカ50および端子バー30(導電部の一例)とを備える。
【0064】
これにより、上記のケースと同様の効果を奏する。つまり、トラッキング防止機能の低下を抑制しつつ、端子バー30に対する放熱性を向上することができる分電盤1を実現することができる。
【0065】
(実施の形態の変形例)
本変形例に係る分電盤の構成について、図4図7を参照しながら説明する。図4は、本変形例に係る分電盤100の構成を示す分解斜視図である。図5は、本変形例に係る壁部120を拡大して示す斜視図である。図6は、図5に示すVI-VI線で切断したときの壁部120を示す断面斜視図である。
【0066】
図4に示すように、本変形例に係る分電盤100は、壁部20に替えて壁部120を備える。分電盤100の他の構成は実施の形態と同様であり、説明を省略する。壁部120は、ベース10と一体形成されており、ベース10からカバー60に向かう方向(X軸プラス方向)に突出して設けられる。壁部120は、ベース10に端子バー30、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50を固定したときに、端子バー30を上方(Z軸プラス側)から覆う。端子バー30、主幹ブレーカ40および分岐ブレーカ50を固定した状態の平面視(ここでは、壁部120側から端子バー30を見た場合)において、端子バー30は壁部120に隠れており視認されない。これにより、壁部120の上方の埃が端子バー30に堆積することを抑制することができる。
【0067】
図5および図6に示すように、壁部120は、板状部120aと、突設部121とを有する。図5および図6では、壁部120が2つの突設部121を有する例を図示しているが、突設部121の数は特に限定されず、1以上であればよい。
【0068】
板状部120aは、ベース10に接続されており、平面視において突設部121が設けられていない領域に形成される板状の部材である。板状部120aは、端子バー30の一部を覆う。板状部120aは、Y軸方向に沿って複数設けられ、例えば、平面視形状が台形状(X軸マイナス側に向かうにつれ先細りとなる台形状)である。
【0069】
突設部121は、壁部120の上下の空間を連通するための構成要素であり、板状部120aから上方(Z軸プラス側)に突出して設けられる。突設部121は、上面部122と、3つの側面部123とを有する。
【0070】
上面部122は、板状部120aのZ軸プラス側に配置される板状の部材である。本実施の形態では、上面部122の平面視形状は台形状(X軸プラス側に向かうにつれ先細りとなる台形状)であるがこれに限定されない。なお、台形状であることで、壁部120を有するベース10を成型するために用いる成型金型の強度を下げることができる。
【0071】
側面部123は、板状部120aから上面部122に向けて突出する板状の部材である。側面部123は、Z軸方向のプラス側の端部が上面部122と接続され、Z軸方向のマイナス側の端部が板状部120aに接続されている。このように形成される壁部120には、上面部122と側面部123とで囲まれる空間126が形成される。空間126は、壁部120の下方の空間(つまり、壁部120と端子バー30との間の空間)と連通する。
【0072】
側面部123には、連通孔124および125が形成されている。連通孔124は、3つの側面部123のうちY軸方向側に形成された2つの側面部123に形成された貫通孔である。連通孔124は、壁部120の上方の空間と、空間126とを連通する。連通孔125は、3つ側面部123のうちX軸プラス側の側面部123に形成された貫通孔である。連通孔125は、壁部120の上方の空間と、空間126とを連通する。
【0073】
これにより、壁部120の下方の空間から空間126および連通孔124を介して壁部120の上方の空間に空気が流れる流路と、壁部120の下方の空間から空間126および連通孔125を介して壁部120の上方の空間に空気が流れる流路とが形成されるので、端子バー30で発生した熱は、2つの流路を介して壁部120の上方の空間に放熱される。
【0074】
なお、板状部120aおよび突設部121の上面部122には、Z軸方向に貫通する貫通孔は形成されていない。また、側面部123には、連通孔124および125の少なくとも一方が形成されていればよい。
【0075】
図7は、図1に示すVII-VII線に対応する切断線で切断したときの、本変形例に係る分電盤100を示す断面図である。図7は、各構成要素がケース(ベース10およびカバー60)に収容されている状態の断面図を示す。
【0076】
図7に示すように、分電盤100は、ベース10およびカバー60を結合したときに、ベース10とカバー60との間の隙間である通気部180を有する。通気部180は、壁部120より上方に設けられる。
【0077】
以上のように、本変形例に係るケースの壁部120は、壁部120の上方(Z軸プラス側)に向かって突設する突設部121を有し、連通孔124および125は、突設部121の側面(側面部123)に設けられる。
【0078】
これにより、突設部121の側面部123に形成される連通孔124、125を介して端子バー30が発する熱を放熱することができる。また、例えば、上面部122に連通孔124、125が形成されている場合に比べて、端子バー30に埃などが堆積することを抑制することができる。よって、ケースは、トラッキング防止機能の低下を抑制しつつ、放熱性を向上することができる。
【0079】
また、ベース10およびカバー60を結合したときに、ベース10とカバー60との間の隙間である通気部180を有する。
【0080】
これにより、端子バー30で発生する熱を分電盤100の外部に逃がすことができるので、分電盤100の放熱性がさらに向上する。
【0081】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態等について説明したが、本発明は、上記実施の形態等に限定されるものではない。
【0082】
例えば、上記実施の形態等では、壁部のX軸方向の長さは、端子バーのX軸方向の長さ以上である例について説明したが、これに限定されず、端子バーのX軸方向の長さ未満であってもよい。平面視において、壁部は、端子バーのX軸方向の少なくとも一部を覆っていればよい。
【0083】
また、上記実施の形態では、Z軸プラス側において3つ形成された板状部材(板状部材21~23)と、Z軸マイナス側において2つ形成された板状部材(板状部材24および25)との、Z軸方向において2段構成により壁部が形成される例について説明したが、壁部はZ軸方向に3段以上の構成を有していてもよい。
【0084】
また、上記実施の形態等では、主幹ブレーカおよび分岐ブレーカを露出させる開口がカバーに形成される例について説明したが、当該開口は形成されなくてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態等では、カバーに扉が設けられる例について説明したが、これに限定されず、扉は設けられなくてもよい。例えば、分電盤は、主幹ブレーカおよび分岐ブレーカの少なくとも一方の操作部が露出していてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態等では、壁部がベースと一体形成される例について説明したが、これに限定されず、壁部はベースに着脱可能に取り付けられてもよい。
【0087】
その他、実施の形態等に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1、100 分電盤
10 ベース
10a 取り付け部
20、120 壁部
20a、124、125 連通孔
21、22、23、24、25 板状部材
30 端子バー(導電部)
31 保持部材
40 主幹ブレーカ
50 分岐ブレーカ
60 カバー
70 扉
121 突設部
123 側面部
180 通気部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7