(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145185
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】信号制御機
(51)【国際特許分類】
H05K 5/06 20060101AFI20231003BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20231003BHJP
G08G 1/095 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H05K5/06 D
H05K5/06 E
H05K7/00 L
G08G1/095 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052521
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北島 真一
(72)【発明者】
【氏名】星野 陽
(72)【発明者】
【氏名】高城 里香
【テーマコード(参考)】
4E352
4E360
5H181
【Fターム(参考)】
4E352AA02
4E352BB02
4E352BB10
4E352BB20
4E352CC32
4E352CC52
4E352DD11
4E352DR02
4E352DR25
4E352DR40
4E352DR46
4E352GG04
4E352GG11
4E352GG30
4E360AB02
4E360AB33
4E360AB64
4E360BA06
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4E360BB12
4E360BB23
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4E360BD03
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4E360EA05
4E360EA16
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4E360EA25
4E360EB02
4E360EC03
4E360EC04
4E360EC05
4E360EC11
4E360ED03
4E360ED28
4E360GA07
4E360GA22
4E360GA29
4E360GA44
4E360GB99
4E360GC08
4E360GC14
5H181GG12
5H181GG19
(57)【要約】
【課題】筐体本体からシール部材を取り外した後に付け忘れることを防止することができる信号制御機を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る制御装置と、筐体本体と、扉と、シール部材とを具備する。上記制御装置は、交通用信号灯を制御し、外部電源に接続可能な端子部を有する。上記筐体本体は、開口と、上記開口の開口縁部に形成され、上記外部電源と上記端子部とを接続する給電ケーブルが挿通可能な切欠き部とを有し、上記制御装置を収容する。上記扉は、上記筐体本体に接続され、上記開口を開閉可能である。上記シール部材は、上記切欠き部に嵌合される第1の状態または上記切欠き部から所定の長さにわたってぶら下げられる第2の状態を有するシール部本体と、上記第2の状態において上記シール部本体と上記筐体本体とを連結し、上記筐体本体から上記シール部本体をぶら下げる線状の支持部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通用信号灯を支持する支柱の所定の高さ位置に設置された信号制御機であって、
前記交通用信号灯を制御し、外部電源に接続可能な端子部を有する制御装置と、
開口と、前記開口の周縁部である開口縁部に形成され、前記外部電源と前記端子部とを接続する給電ケーブルが挿通可能な切欠き部とを有し、前記制御装置を収容する筐体本体と、
前記筐体本体に接続され、前記開口を開閉可能な扉と、
前記切欠き部に嵌合される第1の状態または前記切欠き部から所定の長さにわたってぶら下げられる第2の状態を有するシール部本体と、前記第2の状態において前記シール部本体と前記筐体本体とを連結し、前記筐体本体から前記シール部本体をぶら下げる線状の支持部と、を有するシール部材と
を具備する信号制御機。
【請求項2】
請求項1に記載の信号制御機であって、
前記切欠き部は、前記開口縁部が属する面と対向し前記筐体本体の内側である第1の面と、前記第1の面とは反対側の第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを貫通する孔部とを有する底部を有し、
前記支持部は、前記孔部を前記支持部の延在方向に移動可能に挿通される
信号制御機。
【請求項3】
請求項2に記載の信号制御機であって、
前記支持部は、前記第2の状態において、前記第1の面側から前記孔部に係止される第1の端部を有する
信号制御機。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の信号制御機であって、
前記支持部は、前記シール部本体に連結される第2の端部を有し、
前記第2の端部は、前記シール部本体が前記底部と当接したときに、前記第2の面側から前記孔部に圧入される拡径部を有する
信号制御機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の信号制御機であって、
前記切欠き部は、前記第1の状態において、前記高さに平行な方向への前記シール部本体の移動を規制する規制部をさらに有する
信号制御機。
【請求項6】
請求項5に記載の信号制御機であって、
前記シール部本体は、前記シール部本体が嵌合する方向に平行な溝部を有し、
前記規制部は、前記溝部に係合する
信号制御機。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の信号制御機であって、
前記支持部は、可撓性を有する
信号制御機。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の信号制御機であって、
前記切欠き部は、前記筐体本体の下部に設けられる
信号制御機。
【請求項9】
開口と、前記開口の周縁部である開口縁部に形成された切欠き部とを有する筐体本体と、
前記開口を開閉可能に前記筐体本体に接続される扉であって、前記開口を閉じた状態で、前記筐体本体の内部に収容される第1の機器と前記筐体本体の外部にある第2の機器との間を前記切欠き部に挿通されるケーブルを介して接続可能とする扉と、
前記切欠き部に嵌合される第1の状態または前記切欠き部から所定の長さにわたってぶら下げられる第2の状態を有するシール部本体と、前記第2の状態において前記シール部本体と前記筐体本体とを連結し、前記筐体本体から前記シール部本体をぶら下げる線状の支持部と、を有するシール部材と
を具備する筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通用信号機を制御する信号制御機に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の交差点などに設置される交通用の信号機には、信号灯の点灯を制御するための信号制御機が取り付けられている。この信号制御機の筐体は、通常、外部から雨や塵埃が侵入したりすることを防止し、内部の機器を保護するため、筐体本体に設けられている扉を密閉した状態で設置されている。
【0003】
ところで地震などの災害による停電が発生すると、信号機が滅灯して交通に混乱をきたすおそれがある。このような事態を避けるため、例えば、電気自動車のバッテリーや、発動発電機を制御装置に接続して信号機を作動させる技術が知られている。
【0004】
災害や停電などの緊急時に使用する外部給電機能が付いた交通信号制御機において、外部給電中は外部給電用ケーブルと扉が干渉し、扉を閉めることが出来なかった。そのため常時警察官が待機する必要があるという問題があった。
【0005】
このような問題に対して、例えば、特許文献1に記載の信号制御機には、次のような構成が記載されている。信号制御機は、開口と、上記開口の開口端部に形成された切欠き部または穴部とを有する筐体の本体と、上記開口を開閉可能な扉と、上記本体に設けられ、上記切欠き部または穴部を開閉可能なカバー部材(シール部材)とを備え、上記カバー部材は上記本体に回転可能またはスライド可能に接続される。カバー部材を開状態にして外部給電用の電気ケーブルを本体内に挿通させたり、外部給電終了後、電気ケーブルを取り外し、カバー部材を閉状態にしたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献1では、シール部材としてのカバー部材が本体に回転可能またはスライド可能に接続されている。そのため、緊急時における外部からの給電終了後にカバー部材を開状態のまま扉を閉めたとしても警察官等の作業者はその状態を認識することが困難であり、そのまま作業を終了するおそれがあった。そのため開状態の部分から雨やほこりが入り込んでくるといった問題があった。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、筐体本体からシール部材を取り外した後に付け忘れることを防止することができる信号制御機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る信号制御機は、制御装置と、筐体本体と、扉と、シール部材とを具備する。
上記制御装置は、交通用信号灯を制御し、外部電源に接続可能な端子部を有する。
上記筐体本体は、開口と、上記開口の周縁部である開口縁部に形成され、上記外部電源と上記端子部とを接続する給電ケーブルが挿通可能な切欠き部とを有し、上記制御装置を収容する。
上記扉は、上記筐体本体に接続され、上記開口を開閉可能である。
上記シール部材は、上記切欠き部に嵌合される第1の状態または上記切欠き部から所定の長さにわたってぶら下げられる第2の状態を有するシール部本体と、上記第2の状態において上記シール部本体と上記筐体本体とを連結し、上記筐体本体から上記シール部本体をぶら下げる線状の支持部と、を有する。
【0010】
この信号制御機のシール部材は、シール部本体と支持部とを備えているため、シール部本体が切欠き部から取り外されても、シール部材は支持部を介して筐体本体からぶら下げられた第2の状態を有する。そのため災害時などでシール部材を第2の状態とし、外部から切欠き部に給電ケーブルを通して給電作業を行った後に、シール部本体を切欠き部に嵌合せずに扉を閉めたとしても、筐体本体からシール部材がぶら下げられているため作業者はシール部材を発見しやすく給電作業終了後において切欠き部にシール部材を取付け忘れることを抑制することができる。
【0011】
上記切欠き部は、上記開口縁部が属する面と対向し上記筐体本体の内側である第1の面と、上記第1の面とは反対側の第2の面と、上記第1の面と上記第2の面とを貫通する孔部とを有する底部を有してもよい。
その場合、例えば、上記支持部は、上記孔部を上記支持部の延在方向に移動可能に挿通されていてもよい。
これにより、第1の状態から第2の状態に移行するときに孔部によって支持部の動きを制限し、支持部が制御装置に接触することを防ぐことができる。
【0012】
上記支持部は、上記第2の状態において、上記第1の面側から上記孔部に係止される第1の端部を有してもよい。
これにより、支持部は第2の状態で第1の端部が孔部に引っかかって固定されることで保持することができる。
【0013】
上記支持部は、上記シール部本体に連結される第2の端部を有してもよい。
その場合、例えば、上記第2の端部は、上記シール部本体が上記底部と当接したときに、上記第2の面側から上記孔部に圧入される拡径部を有する。
これにより、第1の状態において孔部に拡径部が圧入されるため、筐体本体に対して防水性を確保することができる。
【0014】
上記切欠き部は、上記第1の状態において、上記高さに平行な方向への上記シール部本体の移動を規制する規制部をさらに有していてもよい。
【0015】
上記シール部本体は、上記シール部本体が嵌合する方向に平行な溝部を有してもよい。
その場合、例えば、上記規制部は、上記溝部に係合する。
【0016】
上記支持部は、可撓性を有していてもよい。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る筐体は、筐体本体と、扉と、シール部材とを具備する。
上記筐体本体は、開口と、上記開口の周縁部である開口縁部に形成された切欠き部とを有する。
上記扉は、上記開口を開閉可能に上記筐体本体に接続される扉であって、上記開口を閉じた状態で、上記筐体本体の内部に収容される第1の機器と上記筐体本体の外部にある第2の機器との間を上記切欠き部に挿通されるケーブルを介して接続可能とする。
上記シール部材は、上記切欠き部に嵌合される第1の状態または上記切欠き部から所定の長さにわたってぶら下げられる第2の状態を有するシール部本体と、上記第2の状態において上記シール部本体と上記筐体本体とを連結し、上記筐体本体から上記シール部本体をぶら下げる線状の支持部と、を有する。
【0018】
上記切欠き部は、前記筐体本体の下部に設けてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上、本発明によれば、筐体本体からシール部材を取り外した後に付け忘れることを防止することができる信号制御機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る信号制御機を備えた交通用の信号機を示す図である。
【
図2】信号制御機の内部構造の一例を示す斜視図である。
【
図3】信号制御機の要部を示す斜視図であり、(A)は、シール部材が切欠き部に嵌合された第1の状態を示す図、(B)は、切欠き部から所定の長さにわたってぶら下げられる第2の状態を示す図である。
【
図6】シール部材が切欠き部に嵌合された第1の状態のうち孔部付近の拡大図である。
【
図7】切欠き部から所定の長さにわたってぶら下げられる第2の状態のうち孔部付近の拡大図である。
【
図8】切欠き部を通して給電ケーブルが筐体内へ挿通された図であり、(A)は閉扉時を示す図、(B)は閉扉時の内部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0022】
[信号制御機の構成]
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る信号制御機を備えた交通用の信号機1を示す図である。信号機1は、例えば車両用および歩行者用の信号灯2と、これらの信号灯2を制御する信号制御機100を備える。信号灯2および信号制御機100は支柱3に取り付けられ、これらは電気ケーブルを介して接続される。
【0024】
信号機1は交差点脇に複数設置されることがほとんどである。信号制御機100は、交差点毎に1つ設置される。信号制御機100のほとんどは、人の手の届く高さ範囲、例えば路面から1~1.5mの高さ位置で支柱3に取り付けられる。
【0025】
図2は、信号制御機100の内部構造の一例を示す斜視図である。なお、後述する
図3、4、8では、筐体101内の内部機器等の図示を省略している。ここで
図2~8において、X軸方向及びY軸方向は相互に直交する水平方向を示し、Z軸方向は鉛直軸方向を示している。図中の重力方向は、Z軸の負方向である。
【0026】
信号制御機100は、筐体101、制御装置120、手動操作ユニット130、ブレーカユニット140、および外部給電ユニット200を備える。
【0027】
筐体101は、開口107を有する筐体本体102と、その筐体本体102に接続され、開口107を開閉可能に設けられた扉103とを備える。
筐体本体102の開口107の周縁部である開口縁部108のうちの下部には、後述するように切欠き部110が形成され、その切欠き部110に嵌合可能なシール部材150が筐体本体102に設けられている(
図2参照)。Z軸方向において筐体101の高さは、本実施形態においておおよそ800mmである。
【0028】
また、扉103の所定位置には開口部103aが設けられ、図示しない副扉がその開口部103aを開閉可能に扉103の表側(
図2の紙面奥側)に接続されている。扉103は、ヒンジ104により開閉可能に筐体本体102に接続され、同様に、副扉もヒンジにより開閉可能に扉103に接続されている。扉103には施錠部105が設けられ、扉103は筐体本体102に対して施錠可能となっている。
【0029】
制御装置120は、例えば、筐体本体102内の上部に収容され、基本的に、1つ以上の信号灯2における点灯および点滅の時間を制御する。制御装置120は、前面に操作パネル121を有し、作業者(例えば警察関係者等)は、例えばこの操作パネル121を操作することにより、上記点灯時間や点灯順序を設定し、およびそれらを変更することができる。制御装置120は、上記基本機能の他、点灯輝度の調整機能や、交通管制センターのコンピュータと通信可能な通信機能を備える場合もある。
【0030】
手動操作ユニット130は、扉103の開口部103aに臨むように扉103の内側に設けられている。具体的には、手動操作ユニット130は、開口部103aを扉103の内側から塞ぐように設けられた箱体131に支持され、箱体131と副扉との間に収容されている。
【0031】
手動操作ユニット130は、制御装置120が行う信号灯2の点灯の制御を手動制御に切り替え、作業者の手動操作の入力を受け付けて信号灯2の点灯を制御する機能を有する。例えばイベント等で、作業者が副扉を開けて、開口部103a内の手動操作ユニット130の操作ボタンを操作することにより、信号灯2の点灯を手動で切り替えることができる。
【0032】
ブレーカユニット140は、本体102内に収容され、例えば制御装置120の下部に配置されている。ブレーカユニット140は、図示しない商用電源(からの電力供給ケーブル)に接続され、商用電源から信号制御機100への電力供給経路を開閉したり、その電力供給経路に流れる電流が規定値を超えた場合には、その電力供給を遮断したりする。
【0033】
外部給電ユニット200は、例えば災害時等の緊急時に外部電源に接続可能な端子部である外部給電端子部220と、電源(商用電源か外部電源か)を選択するため手動操作による切り替えが可能なスイッチを含む手動切替スイッチ部230とを有している。
【0034】
外部給電端子部220としては、規格化されたものが搭載され、例えば広く一般家庭にまで普及している電化製品用の端子部が搭載される。具体的な規格として、JIS(Japanese Industrial Standards)では、C 8303などであり、IEC(International Electrotechnical Commission)では、60884などである。このように規格化された外部給電端子部であれば、外部給電機能を有する市販の装置や汎用のプラグまたはソケットをこの外部給電端子部220に接続することができる。
【0035】
手動切替スイッチ部230は、手動操作による切り替えが可能なスイッチとして、例えば操作レバーを動かされることによって配線の接続経路を切り替えるトグルスイッチを有している。なお、この操作レバーは、外部給電ユニット200の前面に取り付けられた保護カバーに囲まれて設けられており、保護カバーの開口から作業者が手を入れて操作できるようになっている。
【0036】
外部給電ユニット200は、ブレーカユニット140を介して商用電源に接続可能である電力供給経路、および外部給電端子部220に接続されている第2の電力供給経路を有する。手動切替スイッチ230の各接点に、これら電力供給経路がそれぞれ接続されている。手動切替スイッチ230により、これらの経路のうち一方が選択され、その電力は、制御装置120に供給される。
【0037】
図3は、信号制御機100の要部を示す斜視図であり、(A)は、シール部材150が切欠き部110に嵌合された第1の状態を示す図、(B)は、切欠き部110から所定の長さにわたってぶら下げられる第2の状態を示す図である。
【0038】
詳細は後述するが、第1の状態は、例えば平常時において用いられ、シール部本体151に形成された溝部153と切欠き部110の突出部112とをX軸方向に沿って嵌合された状態である。また第2の状態は、例えば災害時において用いられ、シール部本体151をX軸方向に沿って移動し、切欠き部110から取り外しぶら下げた状態である。
【0039】
図3(A)、(B)に示されるように、X軸方向における開口縁部108の断面はL字状に形成される。すなわち、開口縁部108は、筐体本体102の前方(X軸方向の正方向)へ向けて張り出す基部108aと、基部108aから開口107の外周側へ向けて90°に折れた前面部108bとを有する。扉103の内側103bに前面部108bの形状に沿って設けられた図示しないパッキンと、開口縁部108の前面部108bとが面接触することにより、扉103が開口107を閉じ、すなわち本体102が閉じられるようになっている。
【0040】
筐体本体102の下部において、開口縁部108の部分の所定の位置に切欠き部110が設けられている。切欠き部110は、本実施形態において筐体本体102の下部のうち、ヒンジ104とは反対側に設けられている(
図2、
図3(A)、(B)参照)。
【0041】
図4は、切欠き部110の拡大図であり、
図5は、シール部材150の拡大図である。
図3(A)、(B)で示された第1の状態、第2の状態について
図4、5を用いて説明する。
【0042】
図4に示されるように、切欠き部110は、開口縁部108がZ軸方向に貫通されるように形成される。具体的には、基部108aの一部がY軸方向において所定の範囲切りかかれている。またX軸方向からみてその基部108aの切りかかれた部分を中心に、前面部108bはY軸方向においてその基部108aの切りかかれた上記所定の範囲よりも広い範囲切りかかれている。
【0043】
切欠き部110は、その切りかかれた空間Wに後述するシール部本体151が嵌合される(
図3(A)、
図5参照)。切欠き部110は、前面部108bが属する面と対向し筐体本体102の内側である第1の面111A(
図6参照)と、第1の面111Aとは反対側の第2の面111Bと、第1の面111Aと第2の面111Bとを貫通する孔部111Cとを有する底部111を有する。
【0044】
切欠き部110は、基部108aにおいて空間Wに向かってY軸方向の正方向に突出する第1の突出部112Aと、基部108aにおいて空間Wに向かってY軸方向の負方向に突出する第2の突出部112Bとをさらに有する。以降、第1の突出部112Aと第1の突出部112Bとを含めて突出部112ともいう。
【0045】
さらに切欠き部110は、前面部108bの断面に形成された前面切欠き部113をさらに有する。
【0046】
図5に示されるように、シール部材150は、本体部としてのシール部本体151と、このシール部本体151からX軸の負方向側に突出して設けられた線状の支持部152とを有する。
【0047】
シール部本体151は、おおよそ直方体形状に形成されている。シール部本体151は、筐体本体102の内部側と対向する第1のシール部面151Aと、第1のシール部面151Aとは反対の第2のシール部面151Bと、シール部本体151の上面側にシール部上面151Cとを有する。
【0048】
シール部本体151は、X軸方向及びY軸方向に平行な溝部153をさらに有する。溝部153は、シール部本体151のY軸方向における両側部分に設けられている。また溝部153は、第1のシール部面151Aから第2のシール部面151Bに向かって形成されている。溝部153は、シール部本体151のうちシール部上面151C側に設けられる。
図3(A)に示すように、シール部上面151CはZ軸方向において基部108aよりも正方向に位置し、溝部153によって突出部112を挟み込んでいる。
【0049】
支持部152は、第1のシール部面151Aのおおよそ中央部分に一体的に設けられている。支持部152は、本体部である支持部本体152Aと、支持部本体152Aのうちシール部本体151に連結される第2の端部152Cと、第2の端部152Cとは反対側に設けられた第1の端部152Bとを有する。
また支持部152は、孔部111Cを支持部本体152Aの延在方向に移動可能に挿通されている。
【0050】
支持部本体152Aは、線状であり、本実施形態において長さ100mm、径3.5mmである。本実施形態において、支持部本体152Aは、おおよそ直線的なひも状であり、所定の弾力を有する。ここで、支持部本体152Aの径の大きさは、孔部111Cの径の大きさよりも小さければ、特に限られない。なお、本実施形態において、孔部111Cの径は5mmである。
【0051】
第1の端部152Bは、おおよそ円錐台形状である。本実施形態において第1の端部152Bのうち支持部本体152Aと接する下面Sの径は7mmである。
【0052】
第2の端部152Cは、半球である。本実施形態において第2の端部152Cは、半径5mmの半球であり、第2の端部152Cの底面は、第1のシール部面151Aと接している。もちろん、半球に限らず球体であってもよく支持部本体152Aよりも径の大きい拡径部を有していてもよい。また半球及び球体は、第1のシール部面151Aと接していなくてもよい。
【0053】
シール部本体151は、ゴム等の柔軟性を有する素材で形成される。ゴムとしては、例えば、EPDM、シリコン等が用いられる。
支持部152は、可撓性を有する素材で形成される。可撓性を有する素材とは、例えば、EPDM、シリコン等が用いられる。
【0054】
第1の状態では、第2のシール部面151Bと前面部108bとはX軸方向においておおよそ面一であるため、隙間なく扉103を閉じることができる。また
図3(A)に示されるように、シール部材150が切欠き部110に嵌合されることで、扉103を閉めた際に切欠き部110から筐体101内部に雨やほこりが入り込むことを防ぐことができる(
図4、
図5参照)。これにより、第1の状態で扉103を閉めた場合、筐体101内部をほぼ密閉状態とすることができる。
【0055】
突出部112は、Y軸方向に平行であり、溝部153をX軸方向に平行な方向にスライド可能にガイドすることができる。これにより、第1の状態から第2の状態へ、また第2の状態から第1の状態へ容易にシフトすることができる。
シール部材150は、扉103が閉じた第1の状態において外部からシール部材150を押すなどの動作が加えられたとしてもシール部材150が突出部112から外れることを防ぐことができる。
【0056】
図6は、シール部材150が切欠き部110に嵌合された第1の状態のうち孔部111C付近の拡大図であり、Z軸方向からみた断面図である。
図6に示すように、第1の状態において第2の端部152Cは、シール部本体151が底部111と当接したときに、第2の面111B側から孔部111Cに挿入される。
第1の状態においてZ軸方向に沿った孔部111Cと第2の端部152Cとの基部108aからの高さは同じ位置である。また孔部111Cの径と第2の端部152Cの径の大きさが同じである。本実施形態において、第2の端部152Cの径は孔部111Cの径と同じであるが、これに限らず、孔部111Cの径より大きくてもよい。
【0057】
図3(B)に示されるように、第2の状態において切欠き部110からシール部本体151までの上記所定の長さはおおよそ100mmである。本実施形態において上記所定の長さは、100mmであるが、これに限らず、地面にシール部本体151がつかない長さで、人目につきやすい高さであればよい。例えば、シール部本体151は、路面から50cmから100cmの位置でぶら下げられてもよい。
【0058】
また支持部152はおおよそ直線的であり、所定の弾力を有することから、筐体101内部の他の配線と絡まりにくく、第1の状態から第2の状態へスムーズに移行できる。さらに所定の弾力を有するため切欠き部110から重力方向に支持部152が折れ曲がった状態でも維持可能となる。
【0059】
図7は、切欠き部110から所定の長さにわたってぶら下げられる第2の状態のうち孔部111C付近の拡大図であり、
図8は、切欠き部110を通して給電ケーブル50が筐体101内へ挿通された図であり、(A)は閉扉時を示す図、(B)は閉扉時の内部を示す図である。
図3(B)、
図7に示されるように、第2の状態において、シール部本体151が重力方向に引っ張られている。そのため、第1の端部152Bの下面Sは、底部111側へ引っ張られ、孔部111Cで係止される。第1の端部151Bの下面Sの径の大きさは、孔部111Cよりも大きく形成されていればよい。
【0060】
また
図3(B)に示されるように、シール部材150が切欠き部110から取り外され、切欠き部110から所定の長さにわたってぶら下げられた第2の状態では、扉103が閉められた場合でも、切欠き部110を介して筐体101の内部と外部とが連通した状態となる(
図8(A)、(B)参照)。
【0061】
ここで、
図3(B)、
図8(A)、(B)の状態での使用例について説明する。例えば災害などによって商用電源からの電力供給が途絶えた場合、信号機1が滅灯して交通に混乱をきたすおそれがある。このような事態を避けるため、例えば、車両(警察関係者の車両等)に搭載されたバッテリーを制御装置120に接続して信号機1を作動させる必要がある。そこで作業者は、扉103を開け、外部電源に接続された後述する給電ケーブル50(
図8(A)、(B)参照)を外部給電端子部220に接続し、手動切替スイッチ230を外部電源側に切り替える。このとき、
図3(A)において作業者は、切欠き部110に嵌合されたシール部材150を取り外す(
図3(B)参照)。そして作業者は、切欠き部110にその給電ケーブル50を通して外部給電端子部220に接続し、扉103を閉めることができる。
【0062】
したがって、筐体101内を外部に晒すことなく給電ケーブル50を筐体101内の外部給電ユニット200に接続することができる。これにより、外部給電中であっても、筐体101内を外部から保護することができる。筐体101内が外部に晒されないので、風雨等の筐体101内への浸入を防止することができるため、信号制御機100の損傷や故障を防止することができる。
【0063】
また、外部給電中であっても、扉103を閉めて施錠部105で施錠することも可能なので、作業者とは無関係の者が、例えば悪戯で、筐体101内を操作することを防止するための監視の必要もなくなる。
【0064】
本実施形態において、シール部材150は、シール部本体151と支持部152とを備えているため、シール部本体151が切欠き部110から取り外された第2の状態においても、シール部材150は支持部152を介して筐体本体151からぶら下げられた状態を有する。そのため災害時などでシール部材150を第2の状態とし、外部から切欠き部110に給電ケーブル50を通して給電作業を行った後に、シール部本体151を切欠き部110に嵌合せずに扉103を閉めたとしても、筐体本体102からシール部材150がぶら下げられているため作業者はシール部材150を発見しやすく給電作業終了後において切欠き部110にシール部材150を取付け忘れることを抑制することができる。
【0065】
またシール部材150を切欠き部110に付け忘れることを防止するためにシール部材150を赤色や黄色など目立つ色に着色してもよい。これにより、作業者の目により留まりやすくなる。
【0066】
本実施形態では、支持部152が第1の状態から第2の状態へ移行するときに孔部111Cを通って、移動する。これにより、孔部111Cによって支持部152の動きを制限することができるため、支持部152が移行時に制御装置120や外部給電ユニット200に接触することを防ぐことができる。
【0067】
また、第1の端部152Bの下面Sの径が孔部111Cの径よりも大きいため、第2の状態において係止される。これにより、支持部152は、シール部本体151をぶら下げた状態で保持することが可能となる。
【0068】
第1の状態において第2の端部152Cは、第2の面111B側から孔部111Cに圧入または挿入される。これにより、孔部111Cに隙間なく第2の端部152Cを係合することが可能となり、第1の状態において孔部111Cから雨水やほこりなどが侵入することを防ぐことができる。
【0069】
支持部152は可撓性を有する素材で形成されているため、第1の状態で筐体101の内部に収容しやすい。さらにシール部材150を第1の状態からシール部本体151を切欠き部110から取り外して下に落とすだけで第2の状態に容易に移行することができる。
【0070】
本実施形態に係る切欠き部110は、筐体本体102の下部に設けられているので、たとえシール部材150が第2の状態にある場合でも、扉103を閉めていれば、外部からの風雨の浸入を抑制することができる。また、切欠き部110が下部に設けられることで、第1の状態において、信号制御機内での切欠き部110およびシール部材150の位置が目立たず、無関係者による悪戯も受けにくくすることができる。
【0071】
[変形例1]
本発明は、以上説明した実施形態に限定されない。
【0072】
上記実施形態では、第1の端部151Bは、円錐台形状であり、第1の状態において所定の位置に固定されている状態ではない。しかしながら、第1の端部151Bを所定の位置に固定してもよい。つまり、第1の端部151Bは例えば孔部111C付近でネジ止めされていてもよい。
【0073】
これにより、シール部材150が切欠き部110から取り外されたとしても上記実施形態と同様に筐体本体102からぶら下げられた状態(第2の状態)となるため、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
[変形例2]
支持部152とシール部本体151とは、分離可能であってもよい。
【0075】
第1の端部151Bは例えば、孔部111C付近でネジ止めされており、第2の端部152Cはフック形状であってもよい。つまり、シール部本体151の第1の面151Aには、上記フック形状である第2の端部152Cと連結する連結部を有する。第2の状態へ移行するときに第2の端部152Cをシール部本体151へ連結させシール部本体151をぶら下げてもよい。
【0076】
この場合であっても、シール部材150が切欠き部110から取り外されたとしても上記実施形態と同様に筐体本体102からぶら下げられた状態(第2の状態)が維持できるため、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0077】
[その他変形例]
シール部材150は、蓄光性を有する素材で形成されてもよい。これにより、例え夜中に作業者が作業していたとしてもシール部材150の付け忘れを防止することができる。
【0078】
上記各実施形態に係る切欠き部110は、外部電源からの給電用の給電ケーブルを通す手段として利用されたが、例えば筐体101の内部機器(例えば制御装置120)と、外部のコンピュータとを接続するケーブルを通す手段として利用されてもよい。これにより、扉103を閉めた状態で、作業者は、外部のコンピュータを操作して、制御装置120の設定等を行うことができる。
【0079】
切欠き部110は、筐体101の下部に限られず、筐体101の側部に設けられていてもよい。
【0080】
本実施形態において、シール部本体151は、直方体形状であったがこれに限られず、円筒形状であってもよい。
【0081】
各図面を参照して説明したシール部材150の各構成はあくまで一実施形態であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変形可能である。
【0082】
本実施形態において、筐体101は、信号制御機としての筐体であったが、これに限らず、種々様々な機器を収容する筐体であってもよい。筐体101内部に収容される第1の機器は、信号制御機用の制御装置の他に、信号制御機用以外の制御装置やコンピュータ、モータなどであってもよい。また筐体101外部にある第2の機器は、電源装置(電気自動車のバッテリーや、発動発電機)の他に、通信機器などであってもよい。さらに、第1の機器と第2の機器とを接続するケーブル50は、給電ケーブルの他に、配線ケーブルや通信ケーブル(LANケーブル、光ファイバーケーブルなど)であってもよい。なお、ケーブル50は、これに限らず、上記第1の機器や上記第2の機器を冷却するための冷却水が流れるホースであってもよい。
【符号の説明】
【0083】
2…信号灯
100…信号制御機
101…筐体
102…筐体本体
103…扉
107…開口
108…第1の開口縁部
108a…基部
108b…前面部
109…底面部(本体の下部)
110…切欠き部
111…底部
111A…第1の面
111B…第2の面
111C…孔部
112…突出部
120…制御装置
150…シール部材
151…シール部本体
152…支持部
152A…支持部本体
152B…第1の端部
152C…第2の端部
153…溝部