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特開2023-14520電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014520
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20230124BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
B65D81/34 U
F24C7/02 551E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118510
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114421
【弁理士】
【氏名又は名称】薬丸 誠一
(72)【発明者】
【氏名】白井 直人
【テーマコード(参考)】
3E013
3L086
【Fターム(参考)】
3E013BA22
3E013BB06
3E013BB09
3E013BC04
3E013BC12
3E013BC14
3E013BD12
3E013BE01
3E013BF02
3E013BF25
3E013BF36
3E013BG15
3L086AA01
3L086AA13
3L086BF05
3L086DA01
(57)【要約】
【課題】加熱時、容器の破裂を好適に防止することができ、加熱後、容器の変形を好適に防止することができる電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造を提供する。
【解決手段】蒸気排出構造は、容器本体の開口部を塞ぐ蓋3と、蓋3に設けられる第1通気部32と、第1通気部32を覆うように蓋3に貼着されるラベル4と、第1通気部32と部分的に重なるようにラベル4に設けられる第2通気部41と、第1通気部32から蓋3とラベル4との間を通ってラベル4の外縁に至る通気路11とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口を塞ぐ蓋と、
蓋に設けられる第1通気部と、
第1通気部を覆うように蓋に貼着されるラベルと、
第1通気部と部分的に重なるようにラベルに設けられる第2通気部と、
第1通気部から蓋とラベルとの間を通ってラベルの外縁に至る通気路とを備える
電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造。
【請求項2】
第1通気部は、線状の切れ目であり、
第2通気部も、線状の切れ目であり、
第1通気部及び第2通気部は、交差し、交差部にて部分的に重なる
請求項1に記載の電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造。
【請求項3】
第1通気部は、線状の切れ目であり、
第2通気部は、2次元配置される孔群であり、
第1通気部及び第2通気部は、切れ目の一部及び一部の孔の重なり部にて部分的に重なる
請求項1に記載の電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造。
【請求項4】
ラベルを覆うように蓋に剥離可能に接合されるカバーをさらに備える
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造。
【請求項5】
容器本体は、開口縁部にフランジ部を備え、
蓋及びカバーは、フランジ部に一体的に接合される
請求項4に記載の電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造。
【請求項6】
蓋とカバーの接合強度は、フランジ部と蓋の接合強度よりも小さくなるように設定される
請求項5に記載の電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジを用いて内部の食品を加熱する電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋に通気部が設けられ、通気部を覆うように蓋にラベルが貼着される電子レンジ加熱食品用容器が広く知られている(特許文献1)。この種の蒸気排出構造を備える電子レンジ加熱食品用容器によれば、電子レンジを用いて内部の食品を加熱する際、発生した蒸気による容器の内圧によってラベルの接着部の一部が蓋から剥離し、剥離によって通気路が形成され、蒸気が通気部から通気路を経て外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-253481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ラベルの接着力にはバラつきがある。接着力が強いと、加熱時、剥離が生じず、通気路が適正に形成されない場合がある。この場合、蒸気が排出されないため、容器の内圧上昇が進み、容器が破裂するおそれがある。
【0005】
また、通気路が適正に形成されたとしても、加熱後、容器の内圧減少に伴ってラベルが蓋に密着し、通気路が閉鎖される場合がある。この場合、外気が取り込まれないため、容器の内圧減少が進み、容器が変形するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、加熱時、容器の破裂を好適に防止することができ、加熱後、容器の変形を好適に防止することができる電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造は、
容器本体の開口を塞ぐ蓋と、
蓋に設けられる第1通気部と、
第1通気部を覆うように蓋に貼着されるラベルと、
第1通気部と部分的に重なるようにラベルに設けられる第2通気部と、
第1通気部から蓋とラベルとの間を通ってラベルの外縁に至る通気路とを備える
電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造である。
【0008】
ここで、本発明に係る電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造の一態様として、
第1通気部は、線状の切れ目であり、
第2通気部も、線状の切れ目であり、
第1通気部及び第2通気部は、交差し、交差部にて部分的に重なる
との構成を採用することができる。
【0009】
また、本発明に係る電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造の他態様として、
第1通気部は、線状の切れ目であり、
第2通気部は、2次元配置される孔群であり、
第1通気部及び第2通気部は、切れ目の一部及び一部の孔の重なり部にて部分的に重なる
との構成を採用することができる。
【0010】
また、本発明に係る電子レンジ加熱食品用容器の蒸気排出構造の別の態様として、
ラベルを覆うように蓋に剥離可能に接合されるカバーをさらに備える
との構成を採用することができる。
【0011】
また、この場合、
容器本体は、開口縁部にフランジ部を備え、
蓋及びカバーは、フランジ部に一体的に接合される
との構成を採用することができる。
【0012】
また、さらにこの場合、
蓋とカバーの接合強度は、フランジ部と蓋の接合強度よりも小さくなるように設定される
との構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1通気部から第2通気部を通る経路と、第1通気部から通気路を通る経路の二種類の経路が設けられる。このため、加熱時、蒸気を確実に排出することができ、ひいては、容器の破裂を好適に防止することができる。これは、仮に通気路が適正に機能しない場合であっても同様である。
【0014】
また、本発明によれば、通気路が閉鎖されたとしても、第2通気部から第1通気部を通る経路は通じたままである。このため、加熱後、外気を取り込むことができ、ひいては、容器の変形を好適に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態1に係る蒸気排出構造を備える係る電子レンジ加熱食品用容器の分解斜視図である。
図2図2(a)は、電子レンジ加熱食品用容器の斜視図である。図2(b)は、カバーを取り除いた状態の電子レンジ加熱食品用容器の斜視図である。
図3図3は、蓋の外面図である。
図4図4(a)は、ラベルの外面図である。図4(b)は、ラベルの内面図である。
図5図5は、図4のラベルを貼着した蓋の外面図である。
図6図6(a)は、実施形態2に係る蒸気排出構造のラベルの外面図である。図6(b)は、ラベルの内面図である。
図7図7は、図6のラベルを貼着した蓋の外面図である。
図8図8(a)は、実施形態3に係る蒸気排出構造のラベルの外面図である。図8(b)、(c)は、図8(a)のA-A線断面図である。図8(d)は、ラベルの内面図である。
図9図9は、図8のラベルを貼着した蓋の外面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る蒸気排出構造を備える電子レンジ加熱食品用容器について、図1ないし図5を参酌して説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、電子レンジ加熱食品用容器1は、容器本体2と、蓋3と、ラベル4とを備える。容器本体2は、開口周縁にフランジ部20を備える。蓋3は、フランジ部20に接合されて容器本体2の開口を塞ぐ。蓋3は、第1通気部32を備える。ラベル4は、第1通気部32を覆うように蓋3に貼着される。ラベル4は、第1通気部32と部分的に重なるように第2通気部41を備える。
【0018】
容器本体2は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、両面真空成形、熱板成形等のシート成形により、プラスチックシートを熱成形したものである。プラスチックシートは、たとえば、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル(PVC)等のプラスチックシートである。また、容器本体2は、紙、紙とプラスチックシートの積層体、金属等、公知となっている各種の容器を採用することができる。
【0019】
蓋3は、蓋本体30と、摘み片31とを備える。蓋本体30は、フランジ部20の外縁と同じ形状である。フランジ部20が円環状であるため、蓋本体30は円形である。フランジ部20がたとえば四角形状の角環状である場合は、蓋本体30は、たとえば四角形状の角形となる。摘み片31は、蓋本体30から突出する部分であり、蓋3が容器本体2に接合された状態において、フランジ部20から突出する部分となる。蓋3は、開封に際し、摘み片31を摘まんでフランジ部20から剥離される。
【0020】
蓋3は、内面に接着性ないし熱溶着性を有する柔軟なシートが用いられる。本実施形態においては、蓋3は、トップシール用の蓋である。なお、トップシールとは、容器本体2の開口に蓋3のシートが被せられた後、フランジ部20及び蓋3のシートが熱溶着(環状溶着部10)されること及びその物をいう。シートは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ナイロン(ONY)等の熱溶着性を有するプラスチックシートである。あるいは、シートは、二種類以上のプラスチックシートの積層シートである。積層シートの一形態として、シートは、外面側から順に、イージーピール層、基材層及びイージーピール層を積層して形成される。基材層として、たとえば延伸ナイロン(ONY)が用いられる。イージーピール層として、たとえばイージーピールフィルムが用いられる。また、シートは、内面に接着性ないし熱溶着性を有する紙シート、紙シートとプラスチックシートの積層シート、金属層を含む積層シート等、公知となっている各種のシートを採用することができる。なお、「シート」は、厚みによって定められるものではなく、フィルムを含む概念である(以下、同様)。
【0021】
ラベル4(ラベル本体40)は、長方形状である。このほか、ラベル4(ラベル本体40)は、円形、楕円形、三角形等の各種の形状を採用することができる。ラベル4の外面には、印刷層が形成される。印刷層は、商品表示あるいは電子レンジを用いる加熱時の注意事項を表示するためのものである。
【0022】
ラベル4(ラベル本体40)は、内面に接着性を有する柔軟なシートが用いられる。シート片であるラベル4は、蓋3の(蓋本体30の)外面(の中央部)に貼着される。なお、接着とは、粘着を含む概念である。シートは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ナイロン(ONY)等のプラスチックシートである。あるいは、シートは、二種類以上のプラスチックシートの積層シートである。また、シートは、内面に接着性を有する紙シート、紙シートとプラスチックシートの積層シート、金属層を含む積層シート等、公知となっている各種のシートを採用することができる。
【0023】
電子レンジ加熱食品用容器1は、カバー5をさらに備える。カバー5は、ラベル4を覆うように蓋3に剥離可能に接合される。より詳しくは、カバー5は、フランジ部20上の蓋3に接合されて蓋3に重なる。
【0024】
カバー5は、カバー本体50と、摘み片51とを備える。カバー本体50は、フランジ部20の外縁(蓋本体30の外縁)と同じ形状である。フランジ部20が円環状であるため、カバー本体50は円形である。フランジ部20がたとえば四角形状の角環状である場合は、カバー本体50は、たとえば四角形状の角形となる。摘み片51は、カバー本体50から突出する部分であり、カバー5が蓋3に接合された状態において、フランジ部20から突出する部分となる。カバー5は、摘み片51を摘まんで蓋3の外縁部から剥離される。
【0025】
カバー5は、内面に接着性ないし熱溶着性を有する柔軟なシートが用いられる。シートは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ナイロン(ONY)等の熱溶着性を有するプラスチックシートである。あるいは、シートは、二種類以上のプラスチックシートの積層シートである。積層シートの一形態として、シートは、外面側から順に、基材層及びイージーピール層を積層して形成される。基材層として、たとえば延伸ナイロン(ONY)やポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられる。イージーピール層として、たとえばイージーピールフィルムが用いられる。また、シートは、内面に接着性ないし熱溶着性を有する紙シート、紙シートとプラスチックシートの積層シート、金属層を含む積層シート等、公知となっている各種のシートを採用することができる。
【0026】
カバー5(のカバー本体50)は、環状溶着部10にて蓋3(の蓋本体30)に接合される。すなわち、フランジ部20、蓋3の外縁部及びカバー5の外縁部は、環状溶着部10によって一体的に接合される。接合方法としては、
i)蓋3のシート(原反)にラベル4が貼着され、その上にカバー5のシート(原反)が重ねられ、容器本体2の開口にこれらのシート(原反)が被せられた後、フランジ部20、蓋3のシート(原反)及びカバー5のシート(原反)が熱溶着される方法、
ii)容器本体2の開口にラベル4貼着済みの蓋3のシート(原反)が被せられ、その上にカバー5のシート(原反)が重ねられた後、フランジ部20、蓋3のシート(原反)及びカバー5のシート(原反)が熱溶着される方法、
iii)容器本体2の開口に蓋3のシート(原反)が被せられ、蓋3のシート(原反)にラベル4が貼着され、その上にカバー5のシート(原反)が重ねられた後、フランジ部20、蓋3のシート(原反)及びカバー5のシート(原反)が熱溶着される方法、
iv)容器本体2の開口にラベル4貼着済みの蓋3のシート(原反)が被せられた後、フランジ部20及び蓋3のシート(原反)が熱溶着され、その上にカバー5のシート(原反)が重ねられた後、フランジ部20にてカバー5のシート(原反)が蓋3のシート(原反)に熱溶着される方法、
v)容器本体2の開口に蓋3のシート(原反)が被せられた後、フランジ部20及び蓋3のシート(原反)が熱溶着され、蓋3のシート(原反)にラベル4が貼着され、その上にカバー5のシート(原反)が重ねられた後、フランジ部20にてカバー5のシート(原反)が蓋3のシート(原反)に熱溶着される方法、
といった各種の方法がある。
【0027】
いずれにしても、蓋3とカバー5の接合強度は、フランジ部20と蓋3の接合強度よりも小さくなるように設定される。これにより、摘み片51を摘まんでカバー5を取り除く際、カバー5が蓋3から剥離されずにカバー5とともに蓋3がフランジ20から剥離されるのを防止することができる。なお、蓋3の摘み片31とカバー5の摘み片51とは、容器本体2の周方向にずれた位置に設けられる。あるいは、蓋3のシート原反及びカバー5のシート原反を重ねた状態で同時に抜き加工して蓋3及びカバー5の外形状を同時に仕上げる場合、蓋3の摘み片31及びカバー5の摘み片51は、重なる(一致する)。
【0028】
図3に示すように、第1通気部32は、第1方向Xに沿う所定長さの複数の切れ目32a,…が第1方向Xと直交する第2方向Yに所定間隔を有して並列するものである。切れ目32aは、1mm程度の微細な幅で開口するスリットである。第1通気部32は、蓋3の第1方向Xの中心線LXよりも第1方向Xの一方側にずれて配置される。なお、摘み片31は、第1方向Xの他方側に設けられる。
【0029】
図4に示すように、第2通気部41は、ラベル4の全幅に亘って第2方向Yに沿う複数の破線状(ミシン目状)の切れ目41a,41aが第1方向Xに所定間隔を有して並列するものである。第2通気部41は、ラベル4の第1方向Xの中心線よりも第1方向Xの一方側にずれて配置される。なお、切れ目41aは、破線以外の他の形態の切れ目であってもよい。また、切れ目41aは、図例の2本以外に、1本でもよく、3本以上であってもよい。
【0030】
ラベル4は、内面全域に接着部42を備える。接着部42は、第1方向X及び第2方向Yに所定間隔を有して2次元配置されるドットのパターンで粘着剤42a,…が塗工されるものである。切れ目41aは、一部のドットを横切るように設けられる。
【0031】
図5に示すように、ラベル4は、ラベル4の第1方向(長手方向)が蓋3の第1方向Xと一致し、かつ、ラベル4の第1方向Xの中心線よりも第1方向Xの一方側の部分が第1通気部32を覆うように、貼着される。このため、第2通気部41は、第1通気部32と直交して(第1通気部32を横切るように)配置される。第1通気部32及び第2通気部41は、交差部にて部分的に重なる。
【0032】
また、ラベル4の内面の接着部42は、ドットパターン状に形成されるため、ラベル4の非接着部は、全体的に網目状に連通しており、その一部は、第1通気部32から蓋3とラベル4との間を通ってラベル4の外縁に至る通気路11を構成する。
【0033】
本実施形態に係る電子レンジ加熱食品用容器1は以上の構成からなる。電子レンジ加熱食品用容器1は、レトルト食品用である。このため、高温・高圧で殺菌される。カバー5がないと、第1通気部32及び第2通気部41は、交差部にて電子レンジ加熱用容器1の内外が連通し、ここから水が容器内に侵入する。カバー5は、容器内を水密、気密に維持するための手段である。
【0034】
商品としては、カバー5が取り除かれた状態の形で流通する。そして、購買者は、食品を食するに際し、電子レンジを用いて容器内の食品を加熱する。加熱時、発生した蒸気は、第1通気部32から第2通気部41を通る経路と、第1通気部32から通気路11を通る経路の二種類の経路を経て、外部に排出される。
【0035】
また、加熱後、容器の内圧は減少するが、外気が第2通気部41から第1通気部32を通る経路を経て容器内に取り込まれ、容器の内圧減少が緩和される。
【0036】
以上のとおり、本実施形態に係る蒸気排出構造によれば、第1通気部32から第2通気部41を通る経路と、第1通気部32から通気路11を通る経路の二種類の経路が設けられる。このため、加熱時、蒸気を確実に排出することができ、ひいては、容器の破裂を好適に防止することができる。これは、仮に通気路11が適正に機能しない場合であっても同様である。
【0037】
また、本実施形態に係る蒸気排出構造によれば、通気路11が閉鎖されたとしても、第2通気部41から第1通気部32を通る経路は通じたままである。このため、加熱後、外気を取り込むことができ、ひいては、容器の変形を好適に防止することができる。
【0038】
<実施形態2>
以下、本発明の実施形態2に係る蒸気排出構造を備える電子レンジ加熱食品用容器について、図6及び図7を参酌して説明する。なお、本実施形態が実施形態1と異なる点は、ラベル4の構成に関する点である。この点以外については、両者は、同じである。そこで、以下においては、異なる点について記載し、同じ点については、実施形態1についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0039】
図6及び図7に示すように、ラベル4は、長方形状である。ラベル4は、内面の両端部領域に接着部42を備える。接着部42は、ラベル4の1つの対向辺(一対の短辺)に沿って帯状に粘着剤42b,42bが塗工されるものである。
【0040】
ラベル4の非接着部(接着部42,42間の非接着部)は、ラベル4のもう1つの対向辺(一対の長辺)に跨っており、第1通気部32から蓋3とラベル4との間を通ってラベル4の外縁に至る通気路11を構成する。
【0041】
第2通気部41は、ラベル4の非接着部(接着部42,42間の非接着部)において、複数の孔41b,…が第1方向X及び第2方向Yに所定間隔を有して2次元配置されるマトリクス状の孔群である。なお、本例では、第1方向Xにおいて隣り合う孔41b,…の列が1/2ピッチずれた千鳥状の2次元配置であるが、ずれない格子状の2次元配置であってもよい。
【0042】
このように、本実施形態に係る蒸気排出構造によっても、実施形態1に係る蒸気排出構造が奏する作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0043】
<実施形態3>
以下、本発明の実施形態3に係る蒸気排出構造を備える電子レンジ加熱食品用容器について、図8及び図9を参酌して説明する。なお、本実施形態が実施形態1や実施形態2と異なる点は、ラベル4の構成に関する点である。この点以外については、両者は、同じである。そこで、以下においては、異なる点について記載し、同じ点については、実施形態1や実施形態2についての記載と同様であるとして、記載を省略する。
【0044】
図8及び図9に示すように、ラベル4は、長方形状である。ラベル4は、両端部にガゼット部43,43を備える。ガゼット部43は、第1折返し片43aと、第2折返し片43bとを備える。第1折返し片43aは、ラベル本体40の端縁からラベル本体40の内面側に折り返される。第2折返し片43bは、第1折返し片43aの端縁から第1折返し片43aの内面に折り返される。
【0045】
ラベル4は、第2折返し片43bの内面に接着部42を備える。接着部42は、ラベル4の1つの対向辺(一対の短辺)に沿って帯状に粘着剤42c,42cが塗工されるものである。
【0046】
ラベル4の非接着部(ラベル本体40)は、ラベル4のもう1つの対向辺(一対の長辺)に跨っており、第1通気部32から蓋3とラベル4との間を通ってラベル4の外縁に至る通気路11を構成する。
【0047】
ラベル4がガゼット部43,43を備えることにより、ラベル本体40は、一対の第2折返し片43b,43bを結ぶ面から浮き上がり可能となる。ただし、ガゼット部43は、常時は接着剤等により互いの折返し面が接着され、ラベル4は、平面状となっている。加熱時、容器の内圧が上昇すると、接着が解かれ、ラベル本体40は、浮き上がり可能となる。ラベル本体40が浮き上がると、通気路11の流路面積が増大する。
【0048】
第2通気部41は、ラベル4の全幅に亘って第1方向Xに沿う複数の破線状(ミシン目状)の切れ目41c,…が第2方向Yに所定間隔を有して並列するものである。この場合、第2通気部41は、第1通気部32と平行に配置される。
【0049】
このように、本実施形態に係る蒸気排出構造によっても、実施形態1及び実施形態2に係る蒸気排出構造が奏する作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0050】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
上記各実施形態においては、蓋3の通気部32は、複数の線状の切れ目32a,…である。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。蓋の通気部は、1つの線状の切れ目、単一又は数個の孔(丸孔、角孔、フラップ付きの孔)、上記実施形態2の第2通気部41のようなマトリクス状の孔群等、公知となっている各種の形態の通気部を採用することができる。
【0052】
また、上記実施形態1においては、蓋3の線状の切れ目32a,…と、ラベル4の線状の切れ目41aとは、直交して配置される。また、上記実施形態3においては、蓋3の線状の切れ目32a,…と、ラベル4の線状の切れ目41cとは、平行に配置される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。(たとえばラベルの貼着角度を傾けることにより、)両通気部の切れ目が鋭角に交差して配置されるようにしてもよい。
【0053】
また、上記各実施形態においては、通気路11は、ラベル4が蓋3に貼着された状態から外部と連通するものである。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえばラベルの内面の外縁部領域に、蓋の通気部を取り囲むように環状に接着部が設けられ、常時は通気路が閉鎖されるが、加熱時、容器の内圧が上昇すると、接着部(の一部)が剥離し、剥離によって通気路が外部と連通した状態となるようにしてもよい。
【0054】
また、上記各実施形態においては、カバー5は、フランジ部20にて、蓋3の外縁部に接合される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、フランジ部よりも内側の領域にて、カバーが蓋に環状に接合されるようにしてもよい。また、カバーが蓋よりも小さく形成され、カバーが蓋に環状に接合されるようにしてもよい。要は、殺菌処理時、容器内が水密、気密に保たれるのであれば、カバー及び接合部は、どのような形態であってもよい。
【0055】
また、上記各実施形態においては、レトルト食品用であり、このために、カバー5が用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえばチルド食品用であれば、電子レンジで加熱するだけであるため、カバーは不要である。
【0056】
また、上記各実施形態においては、トップシールタイプの容器であり、このために、蓋3は、柔軟性を有するシートが用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。容器としては、蓋もプラスチックシートを熱成形した硬質のものであり、容器本体と蓋とが嵌合する、外嵌合タイプ、内嵌合タイプ、内外嵌合タイプの容器であってもよい。
【0057】
また、物理的に干渉するものでない限り、以上に記載した技術要素を他の実施形態ないし例に適用すること、以上に記載した技術要素を他の実施形態ないし例に係る技術要素と置換すること、以上に記載した技術要素同士を組み合わせること等は、当然に可能であり、これは、本発明が当然に意図するところである。
【符号の説明】
【0058】
1…電子レンジ加熱用容器、10…環状溶着部、11…通気路、2…容器本体、20…フランジ部、3…蓋、30…蓋本体、31…摘み片、32…第1通気部、32a…切れ目、4…ラベル、40…ラベル本体、41…第2通気部、41a…切れ目、41b…孔、41c…切れ目、42…接着部、42a,42b,42c…粘着剤、43…ガゼット部、43a…第1折返し片、43b…第2折返し片、5…カバー、50…カバー本体、51…摘み片、LX…第1方向の中心線、X…第1方向、Y…第2方向
図1
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図9