(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145224
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052585
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 輝男
(72)【発明者】
【氏名】小林 貴之
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA15
5H730AS08
5H730BB27
5H730DD04
5H730EE04
5H730EE07
5H730FG05
5H730FG15
(57)【要約】
【課題】高コスト化および大型化することなく出力側の電圧を下げること。
【解決手段】電源装置は、第1ブリッジ回路と、変圧器と、第2ブリッジ回路と、第1ブリッジ回路に入力される直流電圧を平滑化する第1コンデンサと、第2ブリッジ回路から出力される直流電圧を平滑化する第2コンデンサと、複数の第1駆動パルスを第1ブリッジ回路のスイッチ素子に出力して、第1ブリッジ回路のスイッチ素子をスイッチング動作させ、複数の第2駆動パルスを第2ブリッジ回路のスイッチ素子に出力して、第2ブリッジ回路のスイッチ素子をスイッチング動作させる、制御部と、を備える。制御部は、第2駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3とする制御を行い、第2ブリッジ回路のスイッチ素子をスイッチング動作させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々がハイサイドのスイッチ素子及びローサイドのスイッチ素子を有する複数のアームを含み、直流電圧を交流電圧に変換して出力する、第1ブリッジ回路と、
第1巻線及び第2巻線を含み、前記第1ブリッジ回路から出力される交流電圧が前記第1巻線に入力され、誘起された交流電圧を前記第2巻線から出力する、変圧器と、
各々がハイサイドのスイッチ素子及びローサイドのスイッチ素子を有する複数のアームを含み、前記変圧器の前記第2巻線から出力される交流電圧を直流電圧に変換して負荷に出力する、第2ブリッジ回路と、
前記第1ブリッジ回路に入力される直流電圧を平滑化する、第1コンデンサと、
前記第2ブリッジ回路から出力される直流電圧を平滑化する、第2コンデンサと、
複数の第1駆動パルスを前記第1ブリッジ回路の前記スイッチ素子に出力して、前記第1ブリッジ回路の前記スイッチ素子をスイッチング動作させ、複数の第2駆動パルスを前記第2ブリッジ回路の前記スイッチ素子に出力して、前記第2ブリッジ回路の前記スイッチ素子をスイッチング動作させる、制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第2駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3とする制御を行い、前記第2ブリッジ回路の前記スイッチ素子をスイッチング動作させる、
電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3とする制御を行っている間、前記第1ブリッジ回路の前記スイッチ素子のスイッチング動作を停止させる、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3とする制御を行っている間、前記第1駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3とする制御を行い、前記第1ブリッジ回路の前記スイッチ素子をスイッチング動作させる、
請求項1または2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2コンデンサの放電開始を示す旨の制御信号に基づいて、前記第2駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3とする制御を行い、前記第2ブリッジ回路の前記スイッチ素子をスイッチング動作させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、DAB(Dual Active Bridge)方式のDC-DCコンバータが記載されている。DAB方式のコンバータは、1次側のブリッジ回路を駆動させる駆動パルスと、2次側のブリッジ回路を駆動させる駆動パルスとの間の位相を制御することで、双方向に電力の伝送が可能なコンバータである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DAB方式のコンバータの入出力部には、リプル電流を除去するためにコンデンサが接続されている。DABコンバータを搭載するアプリケーションによっては、動作停止後に早急に出力側電圧を下げることが求められることがある。この場合、出力部に接続されている出力側コンデンサに蓄積されたエネルギーを早急に放電する必要がある。DABコンバータは、双方向の電力変換が可能であるため、出力側コンデンサのエネルギーを入力側に移動させることで、出力側電圧を下げることが考えられる。しかしながら、DABコンバータの出力電圧の下限設計値以下の電圧を放電することができなかったり、入力側に移動させたエネルギーの消費が発生しなかった場合に入力側電圧が上昇してしまったりすることがある。そのため、出力側コンデンサに蓄積されたエネルギーを早急に放電するためには、放電回路などが必要となる場合があり、構成が複雑になり高コスト化および大型化してしまう。
【0005】
本開示は、高コスト化および大型化することなく出力側の電圧を下げることのできる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電源装置は、各々がハイサイドのスイッチ素子及びローサイドのスイッチ素子を有する複数のアームを含み、直流電圧を交流電圧に変換して出力する、第1ブリッジ回路と、第1巻線及び第2巻線を含み、前記第1ブリッジ回路から出力される交流電圧が前記第1巻線に入力され、誘起された交流電圧を前記第2巻線から出力する、変圧器と、各々がハイサイドのスイッチ素子及びローサイドのスイッチ素子を有する複数のアームを含み、前記変圧器の前記第2巻線から出力される交流電圧を直流電圧に変換して負荷に出力する、第2ブリッジ回路と、前記第1ブリッジ回路に入力される直流電圧を平滑化する、第1コンデンサと、前記第2ブリッジ回路から出力される直流電圧を平滑化する、第2コンデンサと、複数の第1駆動パルスを前記第1ブリッジ回路の前記スイッチ素子に出力して、前記第1ブリッジ回路の前記スイッチ素子をスイッチング動作させ、複数の第2駆動パルスを前記第2ブリッジ回路の前記スイッチ素子に出力して、前記第2ブリッジ回路の前記スイッチ素子をスイッチング動作させる、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3とする制御を行い、前記第2ブリッジ回路の前記スイッチ素子をスイッチング動作させる。
【0007】
本開示の電源装置において、前記制御部は、前記第2駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3とする制御を行っている間、前記第1ブリッジ回路の前記スイッチ素子のスイッチング動作を停止させる。
【0008】
本開示の電源装置において、前記制御部は、前記第2駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3とする制御を行っている間、前記第1駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3とする制御を行い、前記第1ブリッジ回路の前記スイッチ素子をスイッチング動作させる。
【0009】
本開示の電源装置において、前記制御部は、前記第2コンデンサの放電開始を示す旨の制御信号に基づいて、前記第2駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3とする制御を行い、前記第2ブリッジ回路の前記スイッチ素子をスイッチング動作させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、高コスト化および大型化することなく出力側の電圧を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電源装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るトランス部の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、比較例に係る電源装置の制御方法を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電源装置の制御方法を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るデューティ比の定義を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る放電処理を行う場合の電源装置の制御方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0013】
[実施形態]
図1を用いて、実施形態に係る電源装置の構成例を説明する。
図1は、実施形態に係る電源装置の構成例を示す図である。
【0014】
図1に示す、電源装置100は、実施形態に係るDAB方式の電源装置である。電源装置100は、電源1から出力され平滑化コンデンサ2により平滑化された直流電圧である1次側電圧V1を受ける。電源装置100から出力された直流電圧は、平滑化コンデンサ3により平滑化され、2次側電圧V2が負荷4に入力される。
【0015】
電源装置100は、第1ブリッジ回路10と、第2ブリッジ回路20と、リアクトル31と、リアクトル32と、リアクトル33と、トランス部40と、制御部50と、を含む。
【0016】
第1ブリッジ回路10は、第1アーム10aと、第2アーム10bと、第3アーム10cと、を含む。第1ブリッジ回路10は、3個のアームを含む3相のブリッジ回路である。第1アーム10aは、U相のアームである。第2アーム10bは、V相のアームである。第3アーム10cは、W相のアームである。第1アーム10aと、第2アーム10bとの間の位相差は、120度である。第2アーム10bと、第3アーム10cとの間の位相差は、120度である。第3アーム10cと、第1アーム10aとの間の位相差は、120度である。
【0017】
第1アーム10aは、スイッチ素子11と、スイッチ素子12と、を含む。第2アーム10bは、スイッチ素子13と、スイッチ素子14と、を含む。第3アーム10cは、スイッチ素子15と、スイッチ素子16と、を含む。
【0018】
スイッチ素子11と、スイッチ素子13と、スイッチ素子15とは、ハイサイドのスイッチ素子である。スイッチ素子12と、スイッチ素子14と、スイッチ素子16とは、ローサイドのスイッチ素子である。
【0019】
スイッチ素子11からスイッチ素子16は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であるが、これに限定されない。スイッチ素子11からスイッチ素子16は、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などでも良い。
【0020】
スイッチ素子11からスイッチ素子16は、寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。寄生ダイオードは、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。寄生ダイオードに加えて、各トランジスタのドレインとソース間にダイオード素子を逆並列に付加しても良い。
【0021】
スイッチ素子11のソース端子は、スイッチ素子12のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子11のドレイン端子は、スイッチ素子13のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子12のソース端子は、スイッチ素子14のソース端子に電気的に接続されている。
【0022】
スイッチ素子13のソース端子は、スイッチ素子14のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子13のドレイン端子は、スイッチ素子15のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子14のソース端子は、スイッチ素子16のソース端子に電気的に接続されている。
【0023】
スイッチ素子15のソース端子は、スイッチ素子16のドレイン端子に電気的に接続されている。
【0024】
スイッチ素子11のドレイン端子と、スイッチ素子13のドレイン端子と、スイッチ素子15のドレイン端子との接続点N1は、電源装置100の一方の入力端子である。スイッチ素子12のソース端子と、スイッチ素子14のソース端子と、スイッチ素子16のソース端子との接続点N2は、電源装置100の他方の入力端子である。
【0025】
接続点N1は、平滑化コンデンサ2の高電位側に電気的に接続されている。接続点N2は、平滑化コンデンサ2の低電位側に電気的に接続されている。接続点N1と、接続点N2との間には、平滑化コンデンサ2により平滑化された直流電圧が入力される。
【0026】
スイッチ素子11のソース端子と、スイッチ素子12のドレイン端子との接続点N3は、第1ブリッジ回路10の1個目の出力端子である。スイッチ素子13のソース端子と、スイッチ素子14のドレイン端子との接続点N4は、第1ブリッジ回路10の2個目の出力端子である。スイッチ素子15のソース端子と、スイッチ素子16のドレイン端子との接続点N5は、第1ブリッジ回路10の3個目の出力端子である。
【0027】
第2ブリッジ回路20は、第1アーム20aと、第2アーム20bと、第3アーム20cと、を含む。第2ブリッジ回路20は、3個のアームを含む3相のブリッジ回路である。第1アーム20aは、U相のアームである。第2アーム20bは、V相のアームである。第3アーム20cは、W相のアームである。第1アーム20aと、第2アーム20bとの位相差は、120度である。第2アーム20bと、第3アーム20cとの位相差は、120度である。第3アーム20cと、第1アーム20aとの位相差は、120度である。
【0028】
第1アーム20aは、スイッチ素子21と、スイッチ素子22と、を含む。第2アーム20bは、スイッチ素子23と、スイッチ素子24と、を含む。第3アーム20cは、スイッチ素子25と、スイッチ素子26と、を含む。
【0029】
スイッチ素子21と、スイッチ素子23と、スイッチ素子25とは、ハイサイドのスイッチ素子である。スイッチ素子22と、スイッチ素子24と、スイッチ素子26とは、ローサイドのスイッチ素子である。
【0030】
スイッチ素子21からスイッチ素子26は、例えば、MOSFETであるが、これに限定されない。スイッチ素子21からスイッチ素子26は、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイス、IGBTなどでも良い。
【0031】
スイッチ素子21からスイッチ素子26は、寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。寄生ダイオードは、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。寄生ダイオードに加えて、各トランジスタのドレインとソース間にダイオード素子を逆並列に付加しても良い。
【0032】
スイッチ素子21のソース端子は、スイッチ素子22のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子21のドレイン端子は、スイッチ素子23のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子22のソース端子は、スイッチ素子24のソース端子に電気的に接続されている。
【0033】
スイッチ素子23のソース端子は、スイッチ素子24のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子23のドレイン端子は、スイッチ素子25のドレイン端子に電気的に接続されている。スイッチ素子24のソース端子は、スイッチ素子26のソース端子に電気的に接続されている。
【0034】
スイッチ素子25のソース端子は、スイッチ素子26のドレイン端子に電気的に接続されている。
【0035】
スイッチ素子21のソース端子と、スイッチ素子22のドレイン端子との接続点N6は、第2ブリッジ回路20の1個目の入力端子である。スイッチ素子23のソース端子と、スイッチ素子24のドレイン端子との接続点N7は、第2ブリッジ回路20の2個目の入力端子である。スイッチ素子25のソース端子と、スイッチ素子26のドレイン端子との接続点N8は、第2ブリッジ回路20の3個目の入力端子である。
【0036】
スイッチ素子21のドレイン端子と、スイッチ素子23のドレイン端子と、スイッチ素子25のドレイン端子との接続点N9は、電源装置100の一方の出力端子である。スイッチ素子22のソース端子と、スイッチ素子24のソース端子と、スイッチ素子26のソース端子との接続点N10は、電源装置100の他方の出力端子である。
【0037】
接続点N9は、平滑化コンデンサ3の高電位側に電気的に接続されている。接続点N10は、平滑化コンデンサ3の低電位側に電気的に接続されている。平滑化コンデンサ3の2次側電圧V2が、電源装置100の出力電圧となる。
【0038】
平滑化コンデンサ3の高電位側は、負荷4の高電位側に電気的に接続されている。平滑化コンデンサ3の低電位側は、負荷4の低電位側に電気的に接続されている。
【0039】
リアクトル31の一端は、接続点N3に電気的に接続されている。リアクトル31の他端は、トランス部40に電気的に接続されている。
【0040】
リアクトル32の一端は、接続点N4に電気的に接続されている。リアクトル32の他端は、トランス部40に電気的に接続されている。
【0041】
リアクトル33の一端は、接続点N5に電気的に接続されている。リアクトル33の他端は、トランス部40に電気的に接続されている。
【0042】
トランス部40は、第1巻線と、第2巻線と、コアと、を含む。トランス部40は、変圧器の一種である。
【0043】
図2は、実施形態に係るトランス部の構成例を示す図である。
図2に示すように、トランス部40は、トランス40aと、トランス40bと、トランス40cと、を含む。実施形態において、トランス部40は、3相変圧器である。
図2に示す例では、トランス部40は、Y結線方式の3相変圧器である。
図2では、トランス部40は、Y結線方式の3相変圧器であるものとして示しているが、本開示はこれに限定されない。例えば、トランス部40は、デルタ結線方式の3相変圧器であってもよい。
【0044】
トランス40aは、第1巻線41aと、第2巻線42aと、コア43aと、第1端子44aと、第2端子45aと、を含む。トランス40aは、U相のトランスである。
【0045】
第1巻線41aは、1次側の巻線である。第2巻線42aは、2次側の巻線である。第1巻線41aと、第2巻線42aとは、コア43aに巻かれている。第1巻線41aの一端は、第1端子44aに電気的に接続されている。第1端子44aは、リアクトル31の他端に電気的に接続されている。第2巻線42aの一端は、第2端子45aに電気的に接続されている。第2端子45aは、接続点N6に電気的に接続されている。
【0046】
トランス40bは、第1巻線41bと、第2巻線42bと、コア43bと、第1端子44bと、第2端子45bと、を含む。トランス40bは、V相のトランスである。
【0047】
第1巻線41bは、1次側の巻線である。第2巻線42bは、2次側の巻線である。第1巻線41bと、第2巻線42bとは、コア43bに巻かれている。第1巻線41bの一端は、第1端子44bに電気的に接続されている。第1端子44bは、リアクトル32の他端に電気的に接続されている。第2巻線42bの一端は、第2端子45bに電気的に接続されている。第2端子45bは、接続点N7に電気的に接続されている。
【0048】
トランス40cは、第1巻線41cと、第2巻線42cと、コア43cと、第1端子44cと、第2端子45cと、を含む。トランス40cは、W相のトランスである。
【0049】
第1巻線41cは、1次側の巻線である。第2巻線42cは、2次側の巻線である。第1巻線41cと、第2巻線42cとは、コア43cに巻かれている。第1巻線41cの一端は、第1端子44cに電気的に接続されている。第1端子44cは、リアクトル33の他端に電気的に接続されている。第2巻線42cの一端は、第2端子45cに電気的に接続されている。第2端子45cは、接続点N8に電気的に接続されている。
【0050】
第1巻線41aの他端と、第1巻線41bの他端と、第1巻線41cの他端とは、それぞれ、電気的に接続されている。第2巻線42aの他端と、第2巻線42bの他端と、第2巻線42cの他端とは、それぞれ、電気的に接続されている。
【0051】
制御部50は、第1ブリッジ回路10および第2ブリッジ回路20を制御する。制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの情報処理装置と、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)などの記憶装置とを有する。制御部50は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部50は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0052】
制御部50は、1次側駆動パルスを第1ブリッジ回路10に出力することで、スイッチ素子11からスイッチ素子16のオン状態とオフ状態とを切り替える。具体的には、制御部50は、ハイレベルの1次側駆動パルスをスイッチ素子11からスイッチ素子16のゲート端子に出力することで、スイッチ素子11からスイッチ素子16をオン状態に切り替える。制御部50は、ローレベルの1次側駆動パルスをスイッチ素子11からスイッチ素子16のゲート端子に出力することで、スイッチ素子11からスイッチ素子16をオフ状態に切り替える。
【0053】
制御部50は、2次側駆動パルスを第2ブリッジ回路20に出力することで、スイッチ素子21からスイッチ素子26のオン状態とオフ状態とを切り替える。具体的には、制御部50は、ハイレベルの2次側駆動パルスをスイッチ素子21からスイッチ素子26のゲート端子に出力することで、スイッチ素子21からスイッチ素子26をオン状態に切り替える。制御部50は、ローレベルの2次側駆動パルスをスイッチ素子21からスイッチ素子26のゲート端子に出力することで、スイッチ素子21からスイッチ素子26をオフ状態に切り替える。
【0054】
本実施形態では、制御部50は、例えば、1次側駆動パルスのデューティ比を制御することで、平滑化コンデンサ2に蓄積されたエネルギーを放電することができる。制御部50は、例えば、2次側駆動パルスのデューティ比を制御することで、平滑化コンデンサ3に蓄積されたエネルギーを放電することができる。
【0055】
(比較例の制御方法)
本実施形態を説明する前に、比較例に係る電源装置の制御方法について説明する。
図3は、比較例に係る電源装置の制御方法を説明するための図である。比較例に係る電源装置の構成は、
図1に示す電源装置100と同一である。以下では、説明の簡単のため、2次側の処理を例として説明する。1次側の処理も2次側の処理と同様なので、説明を省略する。
【0056】
図3は、2次側の各部のパルスパターンと各相の出力電圧を示す。各スイッチ素子に入力される2次側駆動パルスのスイッチング周波数は一定である。各部に入力される2次側駆動パルスのデューティ比は0.5である。なお、本実施形態の定義では、後述の式(1)に示すように、デューティ比は1となる。
【0057】
波形111は、スイッチ素子21のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形112は、スイッチ素子22のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形113は、スイッチ素子23のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形114は、スイッチ素子24のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形115は、スイッチ素子25のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形116は、スイッチ素子26のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形117は、第1アーム20aからの出力電圧を示す。波形118は、第2アーム20bからの出力電圧を示す。波形119は、第3アーム20cからの出力電圧を示す。時間t0から時間t6が、電源装置100の1周期分の制御パターンとなる。時間t0から時間t1、時間t1から時間t2、時間t2から時間t3、時間t3から時間t4、時間t4から時間t5、および時間t5から時間t6までの期間は、それぞれ同じ長さである。
【0058】
時間t0から時間t3の間、スイッチ素子21のゲート端子には、ローレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子21は、時間t0から時間t3の間はオフ状態となる。時間t3から時間t6の間、スイッチ素子21のゲート端子には、ハイレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子21は、時間t3から時間t6の間はオン状態となる。時間t6から時間t9の間、スイッチ素子21のゲート端子には、ローレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子21は、時間t6から時間t9の間はオフ状態となる。
【0059】
時間t0から時間t3の間、スイッチ素子22のゲート端子には、ハイレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子22は、時間t0から時間t3の間はオン状態となる。時間t3から時間t6の間、スイッチ素子22のゲート端子には、ローレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子22は、時間t3から時間t6の間はオフ状態となる。時間t6から時間t9の間、スイッチ素子22のゲート端子には、ハイレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子22は、時間t6から時間t9の間はオン状態となる。
【0060】
時間t0から時間t1の間、スイッチ素子23のゲート端子には、ローレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子23は、時間t0から時間t1の間はオフ状態となる。時間t1から時間t4の間、スイッチ素子23のゲート端子には、ハイレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子23は、時間t1から時間t4の間はオン状態となる。時間t4から時間t7の間、スイッチ素子23のゲート端子には、ローレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子23は、時間t4から時間t7の間はオフ状態となる。時間t7から時間t9の間、スイッチ素子23のゲート端子には、ハイレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子23は、時間t7から時間t9の間はオン状態となる。
【0061】
時間t0から時間t1の間、スイッチ素子24のゲート端子には、ハイレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子24は、時間t0から時間t1の間はオン状態となる。時間t1から時間t4の間、スイッチ素子24のゲート端子には、ローレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子24は、時間t1から時間t4の間はオフ状態となる。時間t4から時間t7の間、スイッチ素子24のゲート端子には、ハイレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子24は、時間t4から時間t7の間はオン状態となる。時間t7から時間t9の間、スイッチ素子24のゲート端子には、ローレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子24は、時間t7から時間t9の間はオフ状態となる。
【0062】
時間t0から時間t2の間、スイッチ素子25のゲート端子には、ハイレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子25は、時間t0から時間t2の間はオン状態となる。時間t2から時間t5の間、スイッチ素子25のゲート端子には、ローレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子25は、時間t2から時間t5の間はオフ状態となる。時間t5から時間t8の間、スイッチ素子25のゲート端子には、ハイレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子25は、時間t5から時間t8の間はオン状態となる。時間t8から時間t9の間、スイッチ素子25のゲート端子には、ローレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子25は、時間t8から時間t9の間はオフ状態となる。
【0063】
時間t0から時間t2の間、スイッチ素子26のゲート端子には、ローレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子26は、時間t0から時間t2の間はオフ状態となる。時間t2から時間t5の間、スイッチ素子26のゲート端子には、ハイレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子26は、時間t2から時間t5の間はオン状態となる。時間t5から時間t8の間、スイッチ素子26のゲート端子には、ローレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子26は、時間t5から時間t8の間はオフ状態となる。時間t8から時間t9の間、スイッチ素子26のゲート端子には、ハイレベルの2次側駆動パルスが入力される。スイッチ素子26は、時間t8から時間t9の間はオン状態となる。
【0064】
波形111から波形116に示すように、比較例に係る制御方法では、スイッチ素子21と、スイッチ素子23と、スイッチ素子25とのハイサイド側のスイッチ素子の全てが同時にオン状態またはオフ状態となるパターンは存在しない。同様に、比較例に係る制御方法では、スイッチ素子22と、スイッチ素子24と、スイッチ素子26とのローサイド側のスイッチ素子の全てが同時にオン状態またはオフ状態となるパターンは存在しない。
【0065】
(実施形態の制御方法)
次に、実施形態に係る制御方法を説明する。制御部50は、例えば、
図1に示す平滑化コンデンサ3に蓄積されたエネルギーを放電するために、スイッチ素子21と、スイッチ素子23と、スイッチ素子25とのハイサイド側のスイッチ素子の全て同時にオン状態またはオフ状態となるパターンを設け、かつデューティ比を所定の値に制御する。
【0066】
図4を用いて、実施形態に係る電源装置の制御方法について説明する。
図4は、実施形態に係る電源装置の制御方法を説明するための図である。
【0067】
波形121は、スイッチ素子21のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形122は、スイッチ素子22のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形123は、スイッチ素子23の2次側駆動ゲート端子に入力されるパルスを示す。波形124は、スイッチ素子24のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形125は、スイッチ素子25のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形126は、スイッチ素子26のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形127は、第1アーム20aからの出力電圧を示す。波形128は、第2アーム20bからの出力電圧を示す。波形129は、第3アーム20cからの出力電圧を示す。
【0068】
図4に示すように、波形121から波形126には、
図3に示す波形111から波形116に対して、追加のパルスパターンである追加パターンP1から追加パターンP9が付加されている。
【0069】
追加パターンP1は、時間t0から時間t1の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP1は、ハイサイド側の各スイッチ素子のそれぞれのゲート端子にローレベルの2次側駆動パルスが入力され、ローサイド側の各スイッチ素子のそれぞれのゲート端子にハイレベルの2次側駆動パルスが入力されるパルスパターンである。すなわち、追加パターンP1においては、スイッチ素子21、スイッチ素子23、およびスイッチ素子25の全てがオフ状態となり、スイッチ素子22、スイッチ素子24、およびスイッチ素子26の全てがオン状態となる。追加パターンP1は、時間t0と時間t1との間の区間の中央に追加しているものとして示しているが、本開示はこれに限定されない。
【0070】
追加パターンP2は、時間t1から時間t2の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP2は、ハイサイド側の各スイッチ素子のそれぞれのゲート端子にハイレベルの2次側駆動パルスが入力され、ローサイド側の各スイッチ素子のそれぞれのゲート端子にローレベルの2次側駆動パルスが入力されるパルスパターンである。すなわち、追加パターンP2において、スイッチ素子21、スイッチ素子23、およびスイッチ素子25の全てがオン状態となり、スイッチ素子22、スイッチ素子24、およびスイッチ素子26の全てがオフ状態となる。追加パターンP2は、時間t1と時間t2との間の中央に追加しているものとして示しているが、本開示はこれに限定されない。
【0071】
追加パターンP3は、時間t2から時間t3の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP3のパルスパターンは、追加パターンP1のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0072】
追加パターンP4は、時間t3から時間t4の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP4のパルスパターンは、追加パターンP2のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0073】
追加パターンP5は、時間t4から時間t5の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP5のパルスパターンは、追加パターンP1のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0074】
追加パターンP6は、時間t5から時間t6の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP6のパルスパターンは、追加パターンP2のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0075】
追加パターンP7は、時間t6から時間t7の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP7のパルスパターンは、追加パターンP1のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0076】
追加パターンP8は、時間t7から時間t8の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP8のパルスパターンは、追加パターンP2のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0077】
追加パターンP9は、時間t8から時間t9の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP9のパルスパターンは、追加パターンP1のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0078】
波形121から波形126は、それぞれ、
図4に示す波形111から波形116よりもデューティ比が小さい。
【0079】
図5は、実施形態に係るデューティ比の定義を説明するための図である。
図5は、横軸が時間を示し、縦軸がスイッチ素子のゲート端子に入力される信号レベルを示す。周期Tは、制御の1周期分の期間である。デューティ比区間Tdutyは、追加パターン部の期間である。実施形態では、デューティ比Dは、以下のように定義される。
D=(周期T/2-デューティ比区間Tduty)/(周期T/2)・・・(1)
【0080】
実施形態では、式(1)に示すように、デューティ比Dは、デューティ比区間Tdutyが長いほど、小さくなる。また、デューティ比Dは、デューティ比区間Tdutyが0の場合に1(標準値)となる。
【0081】
図4および
図5に示すように、本実施形態では、制御部50は、2次側駆動パルスに追加パターンを付加することで、デューティ比を制御することができる。
【0082】
(放電制御処理)
本実施形態では、制御部50は、
図1に示す平滑化コンデンサ3に蓄積されたエネルギーを放電する際に、第2ブリッジ回路20に出力する第2駆動バルスのデューティ比を標準値の2/3に制御する。以下では、第2駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3に制御するものとして説明するが、本開示はこれに限定されない。本開示では、制御部50は、第2駆動パルスのデューティ比を標準値の2/3±X(Xは任意の係数)の範囲内で制御してもよい。例えば、制御部50は、第2駆動パルスのデューティ比の標準値が1である場合、第2駆動パルスのデューティ比を0.65等に制御してもよい。
【0083】
図6は、実施形態に係る放電処理を行う場合の電源装置の制御方法を説明するための図である。
【0084】
波形131は、スイッチ素子21のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形132は、スイッチ素子22のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形133は、スイッチ素子23の2次側駆動ゲート端子に入力されるパルスを示す。波形134は、スイッチ素子24のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形135は、スイッチ素子25のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形136は、スイッチ素子26のゲート端子に入力される2次側駆動パルスを示す。波形137は、第1アーム20aからの出力電圧を示す。波形138は、第2アーム20bからの出力電圧を示す。波形139は、第3アーム20cからの出力電圧を示す。
【0085】
図6に示すように、波形131から波形136には、
図3に示す波形111から波形116に対して、追加のパルスパターンである追加パターンP11から追加パターンP19が付加されている。
【0086】
追加パターンP11は、時間t0から時間t1の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP11は、ハイサイド側の各スイッチ素子のそれぞれのゲート端子にローレベルの2次側駆動パルスが入力され、ローサイド側の各スイッチ素子のそれぞれのゲート端子にハイレベルの2次側駆動パルスが入力されるパルスパターンである。すなわち、追加パターンP11においては、スイッチ素子21、スイッチ素子23、およびスイッチ素子25の全てがオフ状態となり、スイッチ素子22、スイッチ素子24、およびスイッチ素子26の全てがオン状態となる。
【0087】
追加パターンP12は、時間t1から時間t2の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP12は、ハイサイド側の各スイッチ素子のそれぞれのゲート端子にハイレベルの2次側駆動パルスが入力され、ローサイド側の各スイッチ素子のそれぞれのゲート端子にローレベルの2次側駆動パルスが入力されるパルスパターンである。すなわち、追加パターンP2において、スイッチ素子21、スイッチ素子23、およびスイッチ素子25の全てがオン状態となり、スイッチ素子22、スイッチ素子24、およびスイッチ素子26の全てがオフ状態となる。
【0088】
追加パターンP13は、時間t2から時間t3の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP13のパルスパターンは、追加パターンP11のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0089】
追加パターンP14は、時間t3から時間t4の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP14のパルスパターンは、追加パターンP12のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0090】
追加パターンP15は、時間t4から時間t5の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP15のパルスパターンは、追加パターンP11のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0091】
追加パターンP16は、時間t5から時間t6の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP16のパルスパターンは、追加パターンP12のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0092】
追加パターンP17は、時間t6から時間t7の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP17のパルスパターンは、追加パターンP11のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0093】
追加パターンP18は、時間t7から時間t8の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP18のパルスパターンは、追加パターンP12のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0094】
追加パターンP19は、時間t8から時間t9の間において付加されている追加パターンである。追加パターンP19のパルスパターンは、追加パターンP11のパルスパターンと同じなので、説明を省略する。
【0095】
図6に示す例では、制御部50は、スイッチ素子21からスイッチ素子26のデューティ比を標準値の2/3に制御する。
【0096】
波形137、波形138、および波形139に示すように、第1アーム20a、第2アーム20b、および第3アーム20cからの出力電圧は、0Vである。すなわち、制御部50は、スイッチ素子21からスイッチ素子26のデューティ比を標準値の2/3に制御することで、第1アーム20a、第2アーム20b、および第3アーム20cから電圧が出力されないように制御することができる。これにより、第2ブリッジ回路20側のエネルギーが第1ブリッジ回路10側に伝達しないようにすることができる。
【0097】
制御部50は、第2ブリッジ回路20側のエネルギーが第1ブリッジ回路10側に伝達されない状態において、スイッチ素子21からスイッチ素子26をスイッチング動作させる。これにより、制御部50は、第2ブリッジ回路20側のエネルギーを第1ブリッジ回路10側に伝達させることなく、スイッチ素子21からスイッチ素子26のスイッチング損失により、平滑化コンデンサ3に蓄積されたエネルギーを放電させることができる。
【0098】
制御部50は、例えば、電源装置100の動作が停止する際に、
図6で説明した動作を実行することで、平滑化コンデンサ3に蓄積されたエネルギーを放電させる。この際、制御部50は、平滑化コンデンサ3の放電開始を示す旨の制御信号に基づいて、平滑化コンデンサ3の放電処理を開始する。例えば、平滑化コンデンサ3の放電開始を示す旨の制御信号は、負荷4への直流電圧の出力動作の停止を示す制御信号であり得る。例えば、平滑化コンデンサ3の放電開始を示す旨の制御信号は、電源装置100の動作停止を示す制御信号であってもよい。
【0099】
また、電源装置100に他の電源装置が並列に接続されている場合において、他の電源装置からの出力電圧が電源装置100に流入することで、平滑化コンデンサ3にエネルギーが蓄積されることも想定される。そのため、平滑化コンデンサ3の放電開始を示す旨の制御信号は、他の電源装置の動作停止を示す制御信号であってもよい。また、この場合、電源装置100は、他の電源装置からの出力電圧が平滑化コンデンサ3に流入していることを検出する、電圧センサを備えていてもよい。そして、制御部50は、例えば、電圧センサが他の電源装置からの出力電圧を検出し、かつ他の電源装置からの出力電圧の流入が止まったことを検出した場合に、平滑化コンデンサ3の放電処理を開始してもよい。
【0100】
なお、平滑化コンデンサ3の放電開始を示す旨の制御信号は、上記に限定されず、その他の制御信号であってもよい。
【0101】
制御部50は、例えば、電源装置100の動作を開始する際に、
図6で説明した動作を実行して、平滑化コンデンサ3に蓄積されたエネルギーを放電させてもよい。これにより、制御部50は、平滑化コンデンサ3に残留している残留電荷を放電させることができる。制御部50は、例えば、電源装置の動作を開始する旨の制御信号に基づいて、平滑化コンデンサ3の放電処理を開始すればよい。制御部50は、例えば、図示しない残留電荷測定装置により測定された平滑化コンデンサ3に蓄積されている残留電荷が所定以上である場合に、放電処理を開始することとしてもよい。
【0102】
制御部50は、例えば、平滑化コンデンサ3に蓄積されたエネルギーを放電させている間は、第1ブリッジ回路10のスイッチ素子11からスイッチ素子16のスイッチング動作を停止していることが好ましい。
【0103】
また、本実施形態では、制御部50は、第1ブリッジ回路10のスイッチ素子の1次側駆動バルスのデューティ比を2/3に制御して、スイッチ素子11からスイッチ素子16をスイッチング動作させてもよい。これにより、制御部50は、第1ブリッジ回路10側のエネルギーを第2ブリッジ回路20に伝達させることなく、スイッチ素子11からスイッチ素子16のスイッチング損失により、平滑化コンデンサ2に蓄積されたエネルギーを放電させることができる。
【0104】
上述のとおり、本実施形態は、外部の放電回路などを加えることなく、第2ブリッジ回路20側の平滑化コンデンサ3に蓄積されたエネルギーを放電させることができる。これにより、本実施形態では、DABコンバータの構成を高コスト化および大型化することなく、出力側コンデンサに蓄積されたエネルギーを放電することができるようになる。
【0105】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0106】
1 電源
2,3 平滑化コンデンサ
4 負荷
10 第1ブリッジ回路
20 第2ブリッジ回路
10a,20a 第1アーム
10b,20b 第2アーム
10c,20c 第3アーム
11,12,13,14,15,16,21,22,23,24,25,26 スイッチ素子
31,32,33 リアクトル
40 トランス部
40a,40b,40c トランス
41a,41b,41c 第1巻線
42a,42b,42c 第2巻線
43a,43b,43c コア
44a,44b,44c 第1端子
45a,45b,45c 第2端子
50 制御部
100 電源装置