(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145227
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】センサコントロールボード、表示装置及び表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20231003BHJP
G06F 3/046 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G06F3/041 510
G06F3/046 A
G06F3/041 522
G06F3/041 410
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052588
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】小谷 佳宏
(72)【発明者】
【氏名】土橋 慧
(57)【要約】 (修正有)
【課題】表示装置が表示する画像に含まれるノイズを低減できるセンサコントロールボードを提供する。
【解決手段】票所装置10Aにおいて、センサ制御部13のセンサコントロールボード131は、クロックを生成するクロック生成回路1310と、クロックに対して所定のタイミング毎に反転するように位相を調整し、調整したクロックを送信信号として、一端に共通電位が入力され他端に個別電位が入力される画像素子が複数個格子状に配置されている表示部の上層又は下層に配置され表示部上で指示された位置を検出する位置検出器14に対して送信信号を出力する位相調整回路1312と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に共通電位が入力され他端に個別電位が入力される画像素子が複数個格子状に配置されている表示部と、前記表示部の上層又は下層に配置され、前記表示部上で指示された位置を検出する位置検出器と、を備える表示装置において、前記位置検出器に送信信号を出力するセンサコントロールボードであって、
クロックを生成するクロック生成回路と、
前記クロックに対して、所定のタイミング毎に反転するように位相を調整し、調整した前記クロックを前記送信信号として、前記送信信号を前記位置検出器に出力する位相調整回路と、
を備えるセンサコントロールボード。
【請求項2】
前記クロック生成回路が生成した前記クロックを前記位相調整回路に出力するか又は前記クロックの前記位相調整回路への出力を停止する出力回路をさらに備え、
前記クロック生成回路は、前記出力回路を介して前記位相調整回路に接続され、
前記所定のタイミングは、前記出力回路が前記クロックを前記位相調整回路に出力するタイミングである、
請求項1に記載のセンサコントロールボード。
【請求項3】
前記クロック生成回路が生成した前記クロックを前記位相調整回路に出力するか又は前記クロックの前記位相調整回路への出力を停止する出力回路をさらに備え、
前記クロック生成回路は、前記出力回路を介して前記位相調整回路に接続され、
前記出力回路は、第1期間と、前記第1期間より後でありかつ前記第1期間より短い複数の第2期間とによって構成される複数の第3期間において、前記第1期間及び前記第2期間に前記クロックを出力し、
前記所定のタイミングは、前記第3期間が開始するタイミングである、
請求項1に記載のセンサコントロールボード。
【請求項4】
前記所定のタイミングは、前記表示装置において生成されるか又は外部から前記表示装置に入力される垂直同期信号に同期するタイミングである、
請求項1に記載のセンサコントロールボード。
【請求項5】
前記クロック生成回路が生成した前記クロックを前記位相調整回路に出力するか又は前記クロックの前記位相調整回路への出力を停止する出力回路をさらに備え、
前記クロック生成回路は、前記出力回路を介して前記位相調整回路に接続され、
前記出力回路は、前記表示装置において生成されるか又は外部から前記表示装置に入力される水平同期信号に同期するタイミングで前記クロックを交番させ、
前記出力回路は、第1期間と、前記第1期間より後でありかつ前記第1期間より短い複数の第2期間とによって構成される複数の第3期間において、前記第1期間及び前記第2期間に前記クロックを出力する、
請求項1に記載のセンサコントロールボード。
【請求項6】
一端に共通電位が入力され他端に個別電位が入力される画像素子が複数個格子状に配置されている表示部と、
前記表示部の上層又は下層に配置され、前記表示部上で指示された位置を検出する位置検出器と、
クロックを生成するクロック生成回路と、前記クロックに対して所定のタイミング毎に反転するように位相を調整し、調整した前記クロックを送信信号として、前記送信信号を前記位置検出器に出力する位相調整回路と、を有するセンサコントロールボードと、
を備える表示装置。
【請求項7】
内部で生成されるか又は外部から入力される水平同期信号が入力され、前記送信信号の電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで前記水平同期信号を出力するタイミング調整回路と、
前記タイミング調整回路が出力した前記水平同期信号に従うタイミングで、複数の前記画像素子を行毎に順番に駆動するドライバ回路と、
をさらに備える請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記タイミング調整回路は、前記水平同期信号の周波数を前記送信信号の周波数の逓倍の周波数とは異なる周波数に調整することによって、前記送信信号の電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで前記水平同期信号を出力する、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記タイミング調整回路は、前記水平同期信号の位相を調整することによって、前記送信信号の電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで前記水平同期信号を出力する、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項10】
一端に共通電位が入力され他端に個別電位が入力される画像素子が複数個格子状に配置されている表示部と、前記表示部の上層又は下層に配置され、前記表示部上で指示された位置を検出する位置検出器とを備える表示装置の制御方法であって、
クロックを生成することと、
前記クロックを交番させるか又は前記クロックの交番を停止させることと、
前記クロックに対して、所定のタイミング毎に反転するように位相を調整することと、
位相が調整された前記クロックを送信信号として、前記送信信号を前記位置検出器に送信することと、
を含む表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサコントロールボードに関し、特に、センサコントロールボード、表示装置及び表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶ディスプレイのような表示部が平面である表示装置が知られている。このような表示装置では、表示部上に水平方向に配列された複数の列信号線、及び垂直方向に配列された複数の行信号線の交点に画像素子が配置されており、さらに画像素子に対して充放電を行うためのドライバ回路が設けられている。表示装置は、ドライバ回路によって各行信号線を順に駆動し、列信号線に加えられている電荷を対応する画像素子に印加することによって、画像を表示する。
【0003】
これに関し、特許文献1には、表示部(表示パネル)と、表示部を駆動する回路基板と、表示部及び回路基板の間に設けられており、表示部における位置指示器の座標を検出する位置検出器(センサ基板)とを備える表示装置(ディスプレイ)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、位置検出器が位置指示器に対して送信信号を送信する際に、当該送信信号の電位の変動が画像素子に接続されている基準線の電位に影響を与える場合がある。表示装置は、基準線の電位と各画像素子に供給される列信号線の電位との電位差とによって、各画像素子に対応する画素の輝度を制御する。したがって、特許文献1に記載の技術では、位置検出器が位置指示器に送信信号を送信する際に、表示装置が表示する画像にノイズが含まれてしまう可能性がある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示装置が表示する画像に含まれるノイズを低減できるセンサコントロールボードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第一の本発明に係るセンサコントロールボードは、一端に共通電位が入力され他端に個別電位が入力される画像素子が複数個格子状に配置されている表示部と、前記表示部の上層又は下層に配置され、前記表示部上で指示された位置を検出する位置検出器と、を備える表示装置において、前記位置検出器に送信信号を出力するセンサコントロールボードであって、クロックを生成するクロック生成回路と、前記クロックに対して、所定のタイミング毎に反転するように位相を調整し、調整した前記クロックを前記送信信号として、前記送信信号を前記位置検出器に出力する位相調整回路と、を備える。
【0008】
また、第二の本発明に係るセンサコントロールボードは、前記クロック生成回路が生成した前記クロックを前記位相調整回路に出力するか又は前記クロックの前記位相調整回路への出力を停止する出力回路をさらに備え、前記クロック生成回路は、前記出力回路を介して前記位相調整回路に接続され、前記所定のタイミングは、前記出力回路が前記クロックを前記位相調整回路に出力するタイミングである。
【0009】
また、第三の本発明に係るセンサコントロールボードは、前記クロック生成回路が生成した前記クロックを前記位相調整回路に出力するか又は前記クロックの前記位相調整回路への出力を停止する出力回路をさらに備え、前記クロック生成回路は、前記出力回路を介して前記位相調整回路に接続され、前記出力回路は、第1期間と、前記第1期間より後でありかつ前記第1期間より短い複数の第2期間とによって構成される複数の第3期間において、前記第1期間及び前記第2期間に前記クロックを出力し、前記所定のタイミングは、前記第3期間が開始するタイミングである。
【0010】
また、第四の本発明に係るセンサコントロールボードでは、前記所定のタイミングは、前記表示装置において生成されるか又は外部から前記表示装置に入力される垂直同期信号に同期するタイミングである。
【0011】
また、第五の本発明に係るセンサコントロールボードは、前記クロック生成回路が生成した前記クロックを前記位相調整回路に出力するか又は前記クロックの前記位相調整回路への出力を停止する出力回路をさらに備え、前記クロック生成回路は、前記出力回路を介して前記位相調整回路に接続され、前記出力回路は、前記表示装置において生成されるか又は外部から前記表示装置に入力される水平同期信号に同期するタイミングで前記クロックを交番させ、前記出力回路は、第1期間と前記第1期間より後でありかつ前記第1期間より短い複数の第2期間とによって構成される複数の第3期間において、前記第1期間及び前記第2期間に前記クロックを出力する。
【0012】
また、第六の本発明に係る表示装置は、一端に共通電位が入力され他端に個別電位が入力される画像素子が複数個格子状に配置されている表示部と、前記表示部の上層又は下層に配置され、前記表示部上で指示された位置を検出する位置検出器と、クロックを生成するクロック生成回路と、前記クロックに対して所定のタイミング毎に反転するように位相を調整し、調整した前記クロックを送信信号として、前記送信信号を前記位置検出器に出力する位相調整回路と、を有するセンサコントロールボードと、を備える。
【0013】
また、第七の本発明に係る表示装置は、内部で生成されるか又は外部から入力される水平同期信号が入力され、前記送信信号の電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで前記水平同期信号を出力するタイミング調整回路と、前記タイミング調整回路が出力した前記水平同期信号に従うタイミングで、複数の前記画像素子を行毎に順番に駆動するドライバ回路と、をさらに備える。
【0014】
また、第八の本発明に係る表示装置では、前記タイミング調整回路は、前記水平同期信号の周波数を前記送信信号の周波数の逓倍の周波数とは異なる周波数に調整することによって、前記送信信号の電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで前記水平同期信号を出力する。
【0015】
また、第九の本発明に係る表示装置では、前記タイミング調整回路は、前記水平同期信号の位相を調整することによって、前記送信信号の電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで前記水平同期信号を出力する。
【0016】
また、第十の本発明に係る表示装置の制御方法は、一端に共通電位が入力され他端に個別電位が入力される画像素子が複数個格子状に配置されている表示部と、前記表示部の上層又は下層に配置され、前記表示部上で指示された位置を検出する位置検出器とを備える表示装置の制御方法であって、クロックを生成することと、前記クロックを交番させるか又は前記クロックの交番を停止させることと、前記クロックに対して、所定のタイミング毎に反転するように位相を調整することと、位相が調整された前記クロックを送信信号として、前記送信信号を前記位置検出器に送信することと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、センサコントロールボードは、表示装置が表示する画像に含まれるノイズを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】ディスプレイ制御部及び表示部の回路構成の第一例を示す図である。
【
図4】センサ制御部及び位置検出器の回路構成の一例を示す図である。
【
図5】垂直同期信号及び送信信号の状態の遷移を示すタイミングチャートの一例である。
【
図6】水平同期信号、送信信号及び共通電位の状態の遷移を示すタイミングチャートの第一例である。
【
図7】表示システムの一連の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】ディスプレイ制御部及び表示部の回路構成の第二例を示す図である。
【
図9】水平同期信号、送信信号及び共通電位の状態の遷移を示すタイミングチャートの第二例である。
【
図10】水平同期信号及び送信信号の状態の遷移を示すタイミングチャートの第三例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0020】
―――第一実施形態―――
まず、第一実施形態について説明する。
【0021】
<構成>
図1は、第一実施形態に係る表示システム1Aの一例を示す図である。表示システム1Aは、ユーザが保持するコンピュータやモニター、テレビであり、例えば、タブレット、スマートフォン、パーソナルコンピュータのモニター、テレビ受信機などである。なお、本例では、表示システム1Aに含まれる表示装置10Aが液晶ディスプレイである場合について説明するが、これに限られるものではなく、表示装置10Aは、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイなど他のディスプレイ装置であっても良い。表示システム1Aは、例えば、表示装置10Aと、位置指示器20とを含んで構成される。
【0022】
表示装置10Aは、例えば、液晶ディスプレイである。表示装置10Aは、ディスプレイ制御部11Aと、表示部12と、センサ制御部13と、位置検出器14とを含んで構成される。
【0023】
ディスプレイ制御部11Aは、画像端子IMGに入力される画像信号に従って、表示部12の画像表示に関する制御を行う。また、ディスプレイ制御部11Aは、画像信号に従って水平同期信号HSYNC及び垂直同期信号VSYNCを生成するか、又は画像信号に含まれる水平同期信号HSYNC及び垂直同期信号VSYNCを画像信号から抽出する。ディスプレイ制御部11Aは、抽出した水平同期信号HSYNC及び垂直同期信号VSYNCをそれぞれ端子H及びVからセンサ制御部13に出力する。
【0024】
表示部12は、ディスプレイ制御部11Aによる制御に従って、ディスプレイ制御部11Aから送信される画像を表示する。表示部12は、例えば、バックライト120と、画素電極121と、液晶部122と、共通電極123と、カラーフィルタ124とを含んで構成される。
【0025】
バックライト120は、ディスプレイ制御部11Aによる制御に従って、画素電極121に対して背面側から光を照射する光源であり、表示部12において最も背面側に設けられる。
【0026】
画素電極121は、液晶部122に設けられている複数の画像素子1210(
図2を参照)の一端に接続され、各画像素子1210に個別の電位を供給するための部位であり、バックライト120及び液晶部122の間に設けられる。画素電極121は、ディスプレイ制御部11Aによる制御に従って、液晶部122の各画像素子1210を駆動する。
【0027】
液晶部122は、格子状に区分された複数の画像素子1210(
図2を参照)を含んで構成される部位であり、画素電極121及び共通電極123の間に設けられる。液晶部122は、各画像素子1210の両端に印加される電位差に従って、バックライト120から照射される光を画像素子1210毎に透過又は遮断する。液晶部122は、各画像素子1210の一端が画素電極121に接続され、各画像素子の他端が共通電極123に接続される。
【0028】
共通電極123は、液晶部122に設けられている複数の画像素子1210の他端に接続され、ディスプレイ制御部11Aから供給される共通電位VCOMを各画像素子1210に一律に供給するための部位であり、液晶部122及びカラーフィルタ124の間に設けられる。
【0029】
カラーフィルタ124は、液晶部122を透過した光に対して、光を透過させることによって色情報を与え、色情報を与えた光を表示面側から出力するフィルタであり、表示部12において最も表示面側に設けられる。カラーフィルタ124は、例えば、ガラス基板と、ガラス基板の上層に格子状に設けられているそれぞれ赤色、緑色及び青色の3種類のカラーレジストパターンとを含んで構成される。
【0030】
センサ制御部13は、ディスプレイ制御部11Aからそれぞれ端子H及びVに入力される水平同期信号HSYNC及び垂直同期信号VSYNCに従って位置検出器14の制御を行うとともに、位置検出器14が検出した位置指示器20の表示部12上での位置を外部の処理装置又は内部の処理部(図示せず)に出力する。
【0031】
位置検出器14は、例えば、電磁誘導方式(EMR:Electro Magnetic Resonance)のセンサであり、センサ制御部13の制御に従って、位置指示器20に対して送信信号TXを送信し、送信信号TXを受信した位置指示器20から返信される共振信号を受信することによって、位置指示器20が指示した表示部12における所定の位置を検出する。位置検出器14は、表示システム1Aを表示面側から見た場合に、少なくとも表示部12の表示面の範囲を含むように、表示部12の背面側に面状に設けられている複数のセンサコイルを含んで構成される。位置検出器14は、受信した信号のレベルが最も大きな検出コイルの位置を位置指示器20が指示している表示部12における所定の位置として検出する。また、位置検出器14は、検出した位置に関する情報をセンサ制御部13に出力する。
【0032】
位置指示器20は、表示部12における所定の位置を指示するポインティングデバイスである。位置指示器20は、コイルなどの誘導素子及びコンデンサなどの容量素子からなる共振回路21を含んで構成される。位置指示器20は、位置検出器14から送信される信号によって共振回路21が共振し、当該共振によって発生する共振信号を位置検出器14に送信することによって、位置指示器20が指示した表示部12における所定の位置を位置検出器14に伝達する。
【0033】
図2は、ディスプレイ制御部11A及び表示部12の回路構成の第一例を示す図である。
図2に示すように、ディスプレイ制御部11Aは、制御回路110と、ゲートドライバ回路111と、ソースドライバ回路112とを含んで構成される。
【0034】
ゲートドライバ回路111は、行信号線GL1~GLnを駆動する回路であり、表示装置10Aを表示面側から見た場合に、表示部12の左側に配置される。ゲートドライバ回路111は、制御回路110の制御に従って、ゲート信号VG1~VGnを対応する行信号線GL1~GLnに出力することによって、行信号線GL1~GLnを順番に駆動する。また、ゲートドライバ回路111は、駆動した行信号線GL1~GLnを介して、対応する画像素子1210のゲート電極に対して電荷の供給及び引き抜きを行う。
【0035】
ソースドライバ回路112は、列信号線SL1~SLmを駆動する回路であり、表示装置10Aを表示面側から見た場合に、表示部12の下側に配置される。ソースドライバ回路112は、制御回路110に従うタイミングで、制御回路110によって列信号線SL1~SLm毎に対して都度設定される電位を有するソース信号VS1~VSmを対応する列信号線SL1~SLnに出力する。ソースドライバ回路112は、ゲートドライバ回路111によって駆動された行信号線GL1~GLnと列信号線SL1~SLmとの交点に対応する画像素子1210のソース電極に対して、当該画像素子1210に対応するソース信号VS1~VSmが有する電位を供給する。
【0036】
表示部12における画素電極121は、垂直方向に配列された行信号線GL1~GLnと、水平方向に配列された列信号線SL1~SLmと、行信号線GL1~GLn及び列信号線SL1~SLmの各交点に配置された画像素子1210と、を含んで構成される。画素電極121は、ゲートドライバ回路111から送信されるゲート信号VG1~VGnに従って行信号線GL1~GLnのうち対応するいずれか1つを駆動するとともに、ソースドライバ回路112から送信されるソース信号VS1~VSmが示す輝度でソース信号VS1~VSmに対応する各画像素子1210を駆動する。
【0037】
行信号線GL1~GLnは、例えば、ゲートラインであり、表示装置10Aにおいて垂直方向にn本配列されている。行信号線GL1~GLnは、ゲートドライバ回路111から送信される対応するゲート信号VG1~VGnによって駆動され、列信号線SL1~SLmとの交点にあたる画像素子1210のゲート電極とゲートドライバ回路111との間の電荷のやりとりを中継する。
【0038】
列信号線SL1~SLmは、例えば、ソースラインであり、表示装置10Aにおいて水平方向にm本配列されている。列信号線SL1~SLmは、ソースドライバ回路112から送信される対応するソース信号VS1~VSmによって駆動され、行信号線GL1~GLnとの交点にあたる画像素子1210のソース電極とソースドライバ回路112との間の電荷のやりとりを中継する。
【0039】
画像素子1210は、例えば、液晶画像素子であり、画素電極121において、行信号線GL1~GLnと列信号線SL1~SLmとの交点に合計n×m個配置されている。画像素子1210は、行信号線GL1~GLnのうち一本がゲート電極に接続されており、列信号線SL1~SLmのうち一本がソース電極に接続されている。画像素子1210は、ゲート電極に接続されている行信号線GL1~GLnを介してゲート電極に電荷が供給された場合に、ソース電極に接続されている列信号線SL1~SLmが有する電位に従う輝度で対応する画像を表示する。
【0040】
制御回路110は、表示部12を制御するための回路である。制御回路110は、画像端子IMGを介して入力される画像信号に従って、水平同期信号HSYNC及び垂直同期信号VSYNCを生成するか、又は画像信号に含まれる水平同期信号HSYNC及び垂直同期信号VSYNCを画像信号から抽出する。制御回路110は、水平同期信号HSYNCを端子Hからセンサ制御部13に出力するとともに、垂直同期信号VSYNCを端子Vからセンサ制御部13に出力する。
【0041】
また、制御回路110は、垂直同期信号VSYNC及び水平同期信号HSYNCに従うタイミングで、行信号線GL1~GLnを順番に駆動するようにゲートドライバ回路111を制御する。また、制御回路110は、画像信号に含まれる画像データに対応する画像を各画像素子1210が表示するようにソースドライバ回路112を制御する。
【0042】
さらに、制御回路110は、共通電極123に印加する共通電位VCOMを生成し、生成した電位を共通端子COMから共通電極123に供給する。また、制御回路110は、バックライト端子BLを介して信号をバックライト120に制御信号を送信することによって、バックライト120の動作の制御を行う。
【0043】
図3は、画像素子1210の一例を示す図である。
図3に示すように、画像素子1210は、例えば、薄膜トランジスタTFTと、液晶電極Clcと、容量素子Cpxとを含んで構成される。
【0044】
薄膜トランジスタTFTは、画像素子1210においてスイッチング素子として機能する。薄膜トランジスタTFTは、ゲート電極が行信号線GLに接続され、ソース電極が列信号線SLに接続され、ドレイン電極が液晶電極Clc及び容量素子Cpxの一端に接続される。薄膜トランジスタTFTは、行信号線GLを介してゲート電極に電荷が供給される場合、ソース電極及びドレイン電極間の状態を導通状態にする。また、薄膜トランジスタTFTは、行信号線GLを介してゲート電極から電荷が引き抜かれる場合、ソース電極及びドレイン電極間の状態を非導通状態にする。さらに、薄膜トランジスタTFTは、ゲート電極に印加される電位に変化がない場合、ソース電極及びドレイン電極間の状態を維持する。
【0045】
液晶電極Clcは、液晶部122に対して電位を供給するための電極である。液晶電極Clcは、一端が薄膜トランジスタTFTのドレイン電極、及び容量素子Cpxの一端に接続され、他端が液晶部122を介して共通電極123に接続される。液晶電極Clcは、容量素子Cpxから供給される電位を液晶部122に供給する。
【0046】
容量素子Cpxは、例えば、コンデンサであり、液晶電極Clcに供給するための電位を保持する。容量素子Cpxは、一端が薄膜トランジスタTFTのドレイン電極、及び液晶電極Clcの一端に接続され、他端が共通電極123に接続される。容量素子Cpxは、薄膜トランジスタTFTの状態が導通状態である場合、列信号線SLから供給される電位を保持する。容量素子Cpxは、薄膜トランジスタTFTの状態が非導通状態である場合、保持している電位を液晶電極Clcに供給する。
【0047】
以上のように構成される画像素子1210は、行信号線GLを介して薄膜トランジスタTFTのゲート電極に電荷が供給された場合、薄膜トランジスタTFTの状態を導通状態にして、列信号線SLの電位を容量素子Cpxに供給し、列信号線SLを介して供給された電位を容量素子Cpxによって保持する。さらに、画像素子1210は、行信号線GLを介して薄膜トランジスタTFTのゲート電極から電荷が引き抜かれた場合、薄膜トランジスタTFTの状態を非導通状態にして、容量素子Cpxによって保持している電位を液晶電極Clcに供給し、供給した電位に従う状態に液晶部122の状態を制御する。
【0048】
図4は、センサ制御部13及び位置検出器14の回路構成の一例を示す図である。
図4に示すように、センサ制御部13は、制御回路130と、センサコントロールボード131と、切替回路132と、増幅回路133と、受信回路134とを含んで構成される。
【0049】
制御回路130は、ディスプレイ制御部11Aから出力される水平同期信号HSYNC及び垂直同期信号VSYNCに従ってセンサコントロールボード131及び切替回路132の制御を行うとともに、受信回路134から出力される位置指示器20の表示部12上での位置情報を示す信号を外部の処理装置又は内部の処理部(図示せず)に出力する。
【0050】
具体的には、制御回路130は、垂直同期信号VSYNCが交番してから次に交番するまでの期間において、センサコントロールボード131及び切替回路132を制御して、位置検出器14に位置指示器20の位置検出(スキャン処理)を複数回行わせる。なお、制御回路130は、選択信号SELを切替回路132に出力することによって、切替回路132を制御する。ここで、制御回路130は、スキャン処理を1回行うスキャン期間SCANにおいて、バースト処理、データ送受信処理及び座標処理を順番に実行する。
【0051】
制御回路130は、スキャン期間SCANにおける最初の期間であるバースト期間burstにおいてバースト処理を行う。ここで、バースト処理は、位置検出器14から位置指示器20に対して送信信号TXを連続的に送信することによって、位置指示器20に設けられている共振回路21にエネルギーを蓄えさせるために行われる処理である。制御回路130は、バースト処理において、送信信号TXを位置検出器14に送信し続けるようにセンサコントロールボード131及び切替回路132を制御する。なお、バースト期間burstは、バースト期間burstの後に訪れるデータ送受信処理が行われるデータ期間data及び座標処理が行われる座標期間coordと比較して長い期間である。
【0052】
制御回路130は、スキャン期間SCANにおけるバースト期間burstの次の期間であるデータ期間dataにおいてデータ送受信処理を行う。ここで、データ送受信処理は、位置検出器14及び位置指示器20の間で例えば位置指示器20の固有IDなどの情報の送受信を行うための処理である。制御回路130は、選択信号SELによって切替回路132の接続先を増幅回路133及び位相調整回路1312のうちいずれかに交互に切り替えることによって、位置検出器14への送信信号TXの送信と、位置検出器14からの受信信号RXの受信とを交互に行う。
【0053】
制御回路130は、スキャン期間SCANにおけるデータ期間dataの次の期間である座標期間coordにおいて座標処理を行う。ここで、座標処理は、位置指示器20の表示部12上における位置(座標)がどこであるかを検出するための処理である。制御回路130は、選択信号SELによって切替回路132の接続先を増幅回路133及び位相調整回路1312のうちいずれかに交互に切り替えることによって、位置検出器14への送信信号TXの送信と、位置検出器14からの受信信号RXの受信とを交互に行う。
【0054】
また、制御回路130は、データ期間data及び座標期間coordにおいて水平同期信号HSYNCに対してクロックが同期するように出力回路1311がクロックを出力するタイミングを制御する。さらに、制御回路130は、切替回路132を増幅回路133に接続している間に出力回路1311のクロックの出力を停止するように出力回路1311を制御する一方で、切替回路132を位相調整回路1312に接続している間に出力回路1311がクロックを出力するように出力回路1311を制御する。
【0055】
また、制御回路130は、出力回路1311から出力されるクロックの位相が所定のタイミング毎に反転するように位相調整回路1312を制御する。所定のタイミングは、例えば、出力回路1311が位相調整回路1312にクロックを出力するタイミング、スキャン期間SCANが開始するタイミング、及び垂直同期信号VSYNCに同期するタイミング(具体的には、垂直同期信号VSYNCが交番するタイミング)のうちのいずれかである。
【0056】
センサコントロールボード131は、制御回路130の制御に従って、位置検出器14が位置指示器20に信号を送信する際に位置検出器14を駆動するための送信信号TXを生成し、切替回路132を介して送信信号TXを位置検出器14に送信する。センサコントロールボード131は、例えば、クロック生成回路1310と、出力回路1311と、位相調整回路1312とを含んで構成される。
【0057】
クロック生成回路1310は、例えば発振器であり、位置指示器20の共振回路21の共振周波数に等しい周波数のクロックを生成し、生成したクロックを出力回路1311に出力する。
【0058】
出力回路1311は、例えば、電流ドライバであり、制御回路130の制御に従って、クロック生成回路1310から出力されるクロックを位相調整回路1312に出力するか又はクロックの出力を停止する。また、出力回路1311は、クロックを出力する際、制御回路130の制御に従って、データ期間data及び座標期間coordにおいて水平同期信号HSYNCに同期するタイミングでクロックを出力する。
【0059】
位相調整回路1312は、制御回路130の制御に従って、出力回路1311から出力されるクロックに対して所定のタイミング毎に反転するように位相を調整する。所定のタイミングの具体例は、上述した通りである。位相調整回路1312は、調整したクロックを送信信号TXとして、切替回路132を介して送信信号TXを位置検出器14に出力する。
【0060】
切替回路132は、制御回路130、増幅回路133、位相調整回路1312及び位置検出器14に接続され、制御回路130の制御に従って、位置検出器14の接続先を増幅回路133及び位相調整回路1312のいずれかに切り替える。具体的には、切替回路132は、制御回路130から出力される選択信号SELに従って、位置検出器14の接続先を増幅回路133及び位相調整回路1312のいずれかに切り替える。
【0061】
増幅回路133は、例えば、オペアンプであり、切替回路132を介して位置検出器14から供給される位置指示器20の位置情報を示す信号に対して信号増幅を行い、信号増幅を行った信号を受信回路134に出力する。
【0062】
受信回路134は、切替回路132及び増幅回路133を介して位置検出器14から供給される位置指示器20の位置情報を示す信号に対して所定の処理を行い、所定の処理を行った信号を制御回路130に出力する。具体的には、受信回路134は、位置検出器14から増幅回路133を介して供給される位置指示器20の位置情報を示す信号に対して、ローパスフィルタなどによって高周波数成分を逓減した後に、アナログ-デジタル変換回路などによってデジタル信号に変換し、デジタル信号に変換した信号を制御回路130に出力する。
【0063】
位置検出器14は、切替回路132を介してセンサコントロールボード131から出力される送信信号TXに従って各センサコイルを駆動させ、位置指示器20に送信信号TXを送信する。また、位置検出器14は、位置指示器20から送信される受信信号RXをセンサコイルによって受信し、切替回路132を介して受信信号RXを増幅回路133に送信する。
【0064】
<一連の動作の流れ>
以上、表示システム1Aの構成について説明した。次に、表示システム1Aにおける各種信号の電位の遷移について詳しく説明する。
図5は、第一実施形態に係る表示システム1Aにおける垂直同期信号VSYNC及び送信信号TXの状態の遷移を示すタイミングチャートの一例である。
【0065】
時刻t51で、ディスプレイ制御部11Aの制御回路110は、垂直同期信号VSYNCを交番させる。なお、上述した所定のタイミングが垂直同期信号VSYNCに同期するタイミングである場合、制御回路130は、クロックの位相を反転させるように位相調整回路1312を制御する。
【0066】
時刻t501で、センサ制御部13の制御回路130は、1度目のスキャン処理を開始する。時刻t501で、制御回路130は、まずバースト期間burstを開始し、切替回路132の接続先を位相調整回路1312に切り替えるとともに、出力回路1311から送信信号TXを位相調整回路1312及び切替回路132を介して位置検出器14に送信する。なお、上述した所定のタイミングがスキャン期間SCANが開始するタイミングである場合、制御回路130は、クロックの位相を反転させるように位相調整回路1312を制御する。
【0067】
時刻t501~時刻t502のバースト期間burstにおいて、位置検出器14は、位置指示器20に送信信号TXを送信する。時刻t501~時刻t502のバースト期間burstにおいて、位置指示器20は、位置検出器14から送信信号TXを受信し、共振回路21にエネルギーを蓄える。
【0068】
時刻t502で、制御回路130は、バースト期間burstを終了し、データ期間dataを開始する。時刻t502~時刻t503のデータ期間dataにおいて、制御回路130は、切替回路132の接続先を増幅回路133及び位相調整回路1312のうちいずれかに交互に切り替えることによって、位置検出器14への送信信号TXの送信と、位置検出器14からの受信信号RXの受信とを交互に行う。なお、上述した所定のタイミングが出力回路1311が位相調整回路1312にクロックを出力するタイミングである場合、制御回路130は、位置検出器14への送信信号TXの送信を開始する毎にクロックの位相を反転させるように位相調整回路1312を制御する。また、時刻t502~時刻t503のデータ期間dataにおいて、位置検出器14は、位置指示器20への送信信号TXの送信と、位置指示器20から送信される受信信号RXの受信とを交互に行う。また、時刻t502~時刻t503のデータ期間dataにおいて、位置指示器20は、位置検出器14から送信される送信信号TXに応じて、受信信号RXを位置検出器14に送信する。
【0069】
時刻t503で、制御回路130は、データ期間dataを終了し、座標期間coordを開始する。時刻t503~時刻t504の座標期間coordにおいて、制御回路130は、切替回路132の接続先を増幅回路133及び位相調整回路1312のうちいずれかに交互に切り替えることによって、位置検出器14への送信信号TXの送信と、位置検出器14からの受信信号RXの受信とを交互に行う。また、時刻t503~時刻t504の座標期間coordにおいて、制御回路130は、受信信号RXに従って位置指示器20の表示部12における位置を特定し、位置情報を示す信号を外部の処理装置又は内部の処理部(図示せず)に出力する。なお、上述した所定のタイミングが出力回路1311が位相調整回路1312にクロックを出力するタイミングである場合、制御回路130は、位置検出器14への送信信号TXの送信を開始する毎にクロックの位相を反転させるように位相調整回路1312を制御する。また、時刻t503~時刻t504のデータ期間dataにおいて、位置検出器14は、位置指示器20への送信信号TXの送信と、位置指示器20から送信される受信信号RXの受信とを交互に行う。また、時刻t503~時刻t504のデータ期間dataにおいて、位置指示器20は、位置検出器14から送信される送信信号TXに応じて、受信信号RXを位置検出器14に送信する。
【0070】
時刻t504で、制御回路130は、座標期間coordを終了するとともに、1度目のスキャン処理を終了する。
【0071】
時刻t52及び時刻t53で、制御回路130は、時刻t51と同様にそれぞれ2度目のスキャン処理及び3度目のスキャン処理を行う。なお、上述した所定のタイミングがスキャン期間SCANが開始するタイミングである場合、制御回路130は、クロックの位相を反転させるように位相調整回路1312を制御する。
【0072】
時刻t54で、ディスプレイ制御部11Aの制御回路110は、垂直同期信号VSYNCを交番させる。なお、上述した所定のタイミングが垂直同期信号VSYNCに同期するタイミングである場合、制御回路130は、クロックの位相を反転させるように位相調整回路1312を制御する。時刻t54以降において、表示システム1Aでは、時刻t51以降と同様の処理が行われる。
【0073】
図6は、第一実施形態に係る表示システム1Aにおける水平同期信号HSYNC、送信信号TX及び共通電位VCOMの状態の遷移を示すタイミングチャートの一例である。
【0074】
グラフg1は、データ期間data又は座標期間coordにおいて、画像素子1210の両端に印加される電位差を示すグラフである。グラフg1において、期間1Hは、水平同期信号HSYNCの周期を示す。また、グラフg2及びg3は、それぞれ送信信号TXの位相が逆相である場合の水平同期信号HSYNC、送信信号TX及び共通電位VCOMの電位を示す。グラフg2及びg3に示すように、共通電極123の電位である共通電位VCOMは、共通電極123の下層に配置されている位置検出器14に流れる送信信号TXの影響を受けて、送信信号TXの電位に追従して変動する。
【0075】
グラフg2を参照して、時刻t601及びt602で、ディスプレイ制御部11Aの制御回路110は、水平同期信号HSYNCを交番させる。また、時刻t601及びt602で、送信信号TXの電位は、ハイレベルとなる。時刻t601及びt602で、位置検出器14に流れる送信信号TXの電位の影響を受けて、共通電位VCOMは、電位αだけ高くなる。
【0076】
グラフg3を参照して、時刻t605及びt606で、ディスプレイ制御部11Aの制御回路110は、水平同期信号HSYNCを交番させる。また、時刻t605及びt606で、送信信号TXの電位は、ロウレベルとなる。時刻t605及びt606で、位置検出器14に流れる送信信号TXの電位の影響を受けて、共通電位VCOMは、電位αだけ低くなる。
【0077】
グラフg1を参照して、センサ制御部13が送信信号TXの位置検出器14への送信を停止し、位置指示器20から位置検出器14を介して送信される受信信号RXを受信している期間において、画像素子1210の両端に印加される電位差は、電位差Vpxである。また、センサ制御部13が送信信号TXを位置検出器14に送信する期間において、画像素子1210の両端に印加される電位差は、画像素子1210の一端に接続される共通電極123の電位の変動に伴って、電位差Vpx+α又は電位差Vpx-αとなる。なお、画像素子1210の両端に印加される電位差は、制御回路130によって送信信号TXの位相が所定のタイミング毎に反転するため、平均しておよそ電位差Vpxとなる。
【0078】
以上、表示システム1Aにおける各種信号の電位の遷移について説明した。次に、表示システム1Aの一連の処理の流れについて詳しく説明する。
図7は、第一実施形態に係る表示システム1Aの一連の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0079】
(ステップSP10)
表示装置10Aは、クロック生成回路1310によってクロックを生成する。表示装置10Aは、クロック生成回路1310によって生成したクロックを出力回路1311に出力する。そして、処理は、ステップSP12の処理に移行する。
【0080】
(ステップSP12)
表示装置10Aは、センサ制御部13の制御回路130によって出力回路1311によるクロックの出力を制御する。表示装置10Aは、バースト期間burstにおいて、出力回路1311にクロックを出力させる。また、表示装置10Aは、データ期間data及び座標期間coordにおいて、クロックの出力及び出力の停止を交互に行うように出力回路1311を制御する。そして、処理は、ステップSP14の処理に移行する。
【0081】
(ステップSP14)
表示装置10Aは、センサ制御部13の制御回路130によって所定のタイミング毎にクロックの位相を反転させるように位相調整回路1312を制御する。所定のタイミングは、上述した通り、出力回路1311が位相調整回路1312にクロックを出力するタイミング、スキャン期間SCANが開始するタイミング、及び垂直同期信号VSYNCに同期するタイミングのうちのいずれかである。そして、処理は、ステップSP16の処理に移行する。
【0082】
(ステップSP16)
表示装置10Aは、位相調整回路1312によって位相を調整したクロックを送信信号TXとして、送信信号TXを位置検出器14から位置指示器20に出力する。そして、
図11に示す一連の処理は、終了する。
【0083】
<効果>
以上、第一実施形態では、センサコントロールボード131は、一端に共通電位VCOMが入力され他端に対応する個別電位(ソース信号VS1~VSmの電位のうちのいずれか)が入力される画像素子1210が複数個格子状に配置されている表示部12と、表示部12の上層又は下層に配置され、表示部12上で指示された位置を検出する位置検出器14と、を備える表示装置10Aにおいて、位置検出器14に送信信号TXを出力する。また、センサコントロールボード131は、クロックを生成するクロック生成回路1310と、クロックに対して、所定のタイミング毎に反転するように位相を調整し、調整したクロックを送信信号TXとして、送信信号TXを位置検出器14に出力する位相調整回路1312とを備える。
【0084】
この構成によれば、センサコントロールボード131は、クロックの位相を所定のタイミング毎に反転させる。したがって、センサコントロールボード131は、送信信号TXの電位の変動の影響を受ける共通電位VCOMの変動を相殺することによって、表示装置10Aが表示する画像に含まれるノイズを低減できる。
【0085】
また、本実施形態では、センサコントロールボード131は、クロック生成回路1310が生成したクロックを位相調整回路1312に出力するか又はクロックの位相調整回路1312への出力を停止する出力回路1311をさらに備える。ここで、クロック生成回路1310は、出力回路1311を介して位相調整回路1312に接続される。また、所定のタイミングは、出力回路1311がクロックを位相調整回路1312に出力するタイミングである。
【0086】
この構成によれば、センサコントロールボード131は、出力回路1311がクロックを出力する毎にクロックの位相を反転させるため、より高精度で表示装置10Aが表示する画像に含まれるノイズを低減できる。
【0087】
また、本実施形態では、出力回路1311は、第1期間(バースト期間burst)と、第1期間より後でありかつ第1期間より短い複数の第2期間(データ期間data及び座標期間coord)とによって構成される複数の第3期間(スキャン期間SCAN)において、第1期間及び第2期間にクロックを出力する。また、所定のタイミングは、第3期間が開始するタイミングである、
【0088】
この構成によれば、センサコントロールボード131は、スキャン期間SCANが開始する毎にクロックの位相を反転させるため、スキャン期間中に行われる信号の送受信に関する仕様によらずに、表示装置10Aが表示する画像に含まれるノイズを低減できる。
【0089】
また、本実施形態では、所定のタイミングは、表示装置10Aにおいて生成されるか又は外部から表示装置10Aに入力される垂直同期信号VSYNCに同期するタイミングである。
【0090】
この構成によれば、センサコントロールボード131は、垂直同期信号VSYNCに同期するタイミングでクロックの位相を反転させるため、位置検出器14及び位置指示器20の間の信号の送受信の通信仕様によらずに、表示装置10Aが表示する画像に含まれるノイズを低減できる。
【0091】
―――第二実施形態―――
次に、第二実施形態について説明する。
【0092】
<構成>
図8は、第二実施形態に係る表示システム1Bにおけるディスプレイ制御部11B及び表示部12の回路構成を示す図である。また、表示システム1Bは、表示装置10Bにおけるディスプレイ制御部11Bにおいてタイミング調整回路113が追加されている点を除いて第一実施形態における表示システム1Aと同様であるため、同様である部分についてはその説明を省略する。
【0093】
制御回路110は、タイミング調整回路113を介して、画像信号から抽出するか又は生成した水平同期信号HSYNC及び垂直同期信号VSYNCをゲートドライバ回路111及びソースドライバ回路112に出力する。
【0094】
タイミング調整回路113は、制御回路110から水平同期信号HSYNCを受信し、センサ制御部13が位置検出器14に送信する送信信号TXの電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで水平同期信号HSYNCをゲートドライバ回路111、ソースドライバ回路112及びセンサ制御部13に出力する。また、タイミング調整回路113は、水平同期信号HSYNCの出力タイミングの調整に合わせて垂直同期信号VSYNCを出力するタイミングを調整し、出力タイミングを調整した垂直同期信号VSYNCをゲートドライバ回路111、ソースドライバ回路112及びセンサ制御部13に出力する。
【0095】
具体的には、タイミング調整回路113は、制御回路110から受信した周波数が133kHzの水平同期信号HSYNCに対して、周波数を送信信号TXの周波数(例えば666kHz)の逓倍とは異なる周波数(例えば130kHz)に調整することによって、送信信号TXの電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで水平同期信号HSYNCをゲートドライバ回路111に出力することを実現する。
【0096】
または、タイミング調整回路113は、制御回路110から受信した水平同期信号HSYNCに対して、位相を調整することによって、送信信号TXの電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで水平同期信号HSYNCをゲートドライバ回路111に出力することを実現する。
【0097】
<一連の動作の流れ>
以上、表示システム1Bの構成について説明した。次に、表示システム1Bにおける各種信号の電位の遷移について詳しく説明する。
図9は、第二実施形態に係る表示システム1Bにおける水平同期信号HSYNC、送信信号TX及び共通電位VCOMの状態の遷移を示すタイミングチャートの一例である。
【0098】
グラフg4は、水平同期信号HSYNCの周波数を送信信号TXの周波数の逓倍とは異なる周波数に調整した場合のグラフである。また、グラフg5は、水平同期信号HSYNCの位相を水平同期信号HSYNCの周期の4分の1だけ進めた場合のグラフである。
【0099】
グラフg4を参照して、時刻t901及びt902で、ディスプレイ制御部11Bの制御回路110は、水平同期信号HSYNCを交番させる。また、時刻t901で、センサ制御部13の制御回路130は、送信信号TXの電位を立て上げる。また、時刻t902で、センサ制御部13の制御回路130は、送信信号TXの電位を立ち下げる。時刻t901及びt902で、共通電位VCOMは、ロウレベルからハイレベルへ又はハイレベルからロウレベルへと遷移を続けており、およそ制御回路110から共通電極123に供給される電位と同じ電位となる。
【0100】
グラフg5を参照して、時刻t905及びt906で、ディスプレイ制御部11Bの制御回路110は、水平同期信号HSYNCを交番させる。また、時刻t905及びt906で、センサ制御部13の制御回路130は、送信信号TXの電位を立ち下げる。時刻t905及びt906で、共通電位VCOMは、ハイレベルからロウレベルへと遷移を続けており、およそ制御回路110から共通電極123に供給される電位と同じ電位となる。
【0101】
<効果>
以上、第二実施形態では、表示装置10Bは、一端に共通電位VCOMが入力され他端に個別電位(ソース信号VS1~VSmの電位のうちいずれか)が入力される画像素子1210が複数個格子状に配置されている表示部12と、表示部12の上層又は下層に配置され、表示部12上で指示された位置を検出する位置検出器14と、送信信号TXを生成し、生成した送信信号TXを位置検出器14に出力するセンサコントロールボード131とを備える。また、表示装置10Bは、表示部12において生成されるか又は外部から表示装置10Bに入力される水平同期信号HSYNCが入力され、送信信号TXの電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで水平同期信号HSYNCを出力するタイミング調整回路113と、タイミング調整回路113が出力した水平同期信号HSYNCに従うタイミングで、複数の画像素子1210を行毎に順番に駆動するゲートドライバ回路111(ドライバ回路)と、をさらに備える。
【0102】
この構成によれば、表示装置10Bは、送信信号TXの電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで、タイミング調整回路113から水平同期信号HSYNCをゲートドライバ回路111に出力するため、画像素子1210を駆動するタイミング毎における共通電位VCOMの変動を抑制できる。したがって、表示装置10Bは、送信信号TXの変動に伴う共通電位VCOMの変動が原因で表示装置10Bが表示する画像に含まれるノイズを低減できる。
【0103】
また、本実施形態では、タイミング調整回路113は、水平同期信号HSYNCの周波数を送信信号TXの周波数の逓倍の周波数とは異なる周波数に調整することによって、送信信号TXの電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで水平同期信号HSYNCを出力する。
【0104】
この構成によれば、表示装置10Bは、水平同期信号HSYNCの周波数を調整するタイミング調整回路113を追加するだけで、送信信号TXの変動に伴う共通電位VCOMの変動が原因で表示装置10Bが表示する画像に含まれるノイズを低減できる。
【0105】
また、本実施形態では、タイミング調整回路113は、水平同期信号HSYNCの位相を調整することによって、送信信号TXの電位が立ち上がるか又は立ち下がるタイミングで水平同期信号HSYNCを出力する。
【0106】
この構成によれば、表示装置10Bは、水平同期信号HSYNCの位相を調整するタイミング調整回路113を追加するだけで、送信信号TXの変動に伴う共通電位VCOMの変動が原因で表示装置10Bが表示する画像に含まれるノイズを低減できる。
【0107】
―――第三実施形態―――
次に、第三実施形態について説明する。
【0108】
<一連の動作の流れ>
第三実施形態では、第一実施形態と比較してセンサコントロールボード131における制御回路130による出力回路1311の制御方法が異なる、なお、他の点に関しては、第一実施形態における表示システム1Aと同様であるため、同様である部分についてはその説明を省略する。
【0109】
図10は、第三実施形態に係る表示装置10における水平同期信号HSYNC及び送信信号TXの状態の遷移を示すタイミングチャートの一例である。
【0110】
時刻t101で、センサ制御部13の制御回路130は、スキャン処理を開始する。時刻t101で、制御回路130は、まずバースト期間burstを開始し、切替回路132の接続先を位相調整回路1312に切り替えるとともに、出力回路1311から送信信号TXを位相調整回路1312及び切替回路132を介して位置検出器14に送信する。
【0111】
時刻t110~時刻t112で、ディスプレイ制御部11Aの制御回路110は、水平同期信号HSYNCを交番させる。また、時刻t110~時刻t112のバースト期間burstにおいて、出力回路1311は、制御回路130の制御に従って、水平同期信号HSYNCと同期したタイミングとなるようにクロックを位相調整回路1312に出力し続ける。
【0112】
時刻t102~時刻t103の期間は、データ期間dataである。また時刻t103~時刻t104の期間は、座標期間coordである。データ期間data及び座標期間coordにおいて行われる処理は、第一実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0113】
<効果>
以上、第三実施形態では、センサコントロールボード131は、一端に共通電位VCOMが入力され他端に個別電位(ソース信号VS1~VSmの電位のうちいずれか)が入力される画像素子1210が複数個格子状に配置されている表示部12と、表示部12の上層又は下層に配置され、表示部12上で指示された位置を検出する位置検出器14と、を備える表示装置10において、位置検出器14に送信信号TXを出力する。また、センサコントロールボード131は、クロックを生成するクロック生成回路1310と、クロック生成回路1310が生成したクロックを前記位置検出器14に出力するか又はクロックの位置検出器14への出力を停止する出力回路1311をさらに備える。さらに、センサコントロールボード131では、出力回路1311は、表示装置10において生成されるか又は外部から前記表示装置に入力される水平同期信号HSYNCに同期するタイミングでクロックを交番させ、第1期間(バースト期間burst)と、第1期間より後でありかつ第1期間より短い複数の第2期間(データ期間data及び座標期間coord)とによって構成される複数の第3期間(スキャン期間SCAN)において、第1期間及び第2期間にクロックを位置検出器14に出力する。
【0114】
この構成によれば、センサコントロールボード131は、データ期間data及び座標期間coordだけでなくバースト期間burstにおいても送信信号TXを水平同期信号HSYNCに同期させる。これにより、センサコントロールボード131は、バースト期間burstにおける送信信号TXの変動に伴う共通電位VCOMの変動をスキャン期間SCAN毎にばらつかないように同様にする。したがって、センサコントロールボード131は、バースト期間burstにおける共通電位VCOMの変動がスキャン期間SCANごとに異なることによって、表示装置10が表示する画像に発生する画像のフリッカーノイズ(ちらつき)を低減できる。
【0115】
―――変形例―――
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0116】
例えば、上記実施形態では、制御回路130は、垂直同期信号VSYNCの1周期のうちに3回のスキャン処理を行うがこれに限られるものでなく、任意の回数のスキャン処理を行っても良い。
【0117】
この構成によれば、センサコントロールボード131は、垂直同期信号VSYNCの1周期のうちに何回スキャン処理を行うかに関わらず、表示装置10Aが表示する画像に含まれるノイズを低減できる。
【0118】
また、上記実施形態では、位置検出器14は、ディスプレイ制御部11Aと別に表示装置10Aに設けられているがこれに限られるものではない。位置検出器14は、例えば、センサコイルの一部又は全部の信号配線がディスプレイ制御部11Aの信号配線と共通化されていても良い。
【0119】
この構成によれば、表示装置10Aは、省スペースで、表示装置10Aが表示する画像に含まれるノイズを低減できる。
【符号の説明】
【0120】
10A…表示装置、12…表示部、14…位置検出器、131…センサコントロールボード、1210…画像素子、1310…クロック生成回路、1312…位相調整回路、TX…送信信号、VCOM…共通電位