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特開2023-145231画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145231
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20231003BHJP
   G06T 11/60 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G06T7/00 300D
G06T11/60 100B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052594
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】512209689
【氏名又は名称】SOLIZE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】根津 純
【テーマコード(参考)】
5B050
5L096
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA06
5B050BA13
5B050BA18
5B050BA20
5B050CA07
5B050DA01
5B050EA06
5B050EA18
5B050EA19
5B050FA02
5B050FA05
5L096CA22
5L096DA01
5L096EA35
5L096FA02
5L096GA51
5L096JA03
5L096JA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】図面を比較する場合における処理の効率化を図る画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置10において、CPU20Aは、複数の図面を取得する取得部と、取得された前記複数の図面の各々において、図形要素を抽出する抽出部と、抽出された前記図形要素の各々について、異なる画像間の類似度を算出する算出部と、算出された類似度が第一閾値以上、第二閾値未満の図形要素について、変更された図形要素として画像における差分を表示装置24に出力する出力部と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像を取得する取得部と、
取得された前記複数の画像の各々において、図形要素を抽出する抽出部と、
抽出された前記図形要素の各々について、異なる画像間の類似度を算出する算出部と、
算出された前記類似度が第一閾値以上、かつ第二閾値未満の図形要素について、変更された図形要素として画像における差分を表示部に出力する出力部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記出力部は、
算出された前記類似度が前記第二閾値以上の図形要素を変更がない図形要素として前記表示部に出力する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、
算出された前記類似度が前記第一閾値未満の図形要素を比較対象がない図形要素として前記表示部に出力する請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記抽出部は、
前記画像において抽出する図形要素の抽出領域を変更可能とする請求項1~3の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、
異なる画像において比較した図形要素を画像毎に異なる色で前記表示部に重畳表示させる請求項1~4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、
異なる画像において比較した図形要素において差分がない部分については、各画像の色と異なり、かつ各画像の色よりも目立たない色で前記表示部に表示させる請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
複数の画像を取得し、
取得された前記複数の画像の各々において、図形要素を抽出し、
抽出された前記図形要素の各々について、異なる画像間の類似度を算出し、
算出された前記類似度が第一閾値以上、かつ第二閾値未満の図形要素について、変更された図形要素として画像における差分を表示部に出力する
処理をコンピュータが実行する画像処理方法。
【請求項8】
複数の画像を取得し、
取得された前記複数の画像の各々において、図形要素を抽出し、
抽出された前記図形要素の各々について、異なる画像間の類似度を算出し、
算出された前記類似度が第一閾値以上、かつ第二閾値未満の図形要素について、変更された図形要素として画像における差分を表示部に出力する
処理をコンピュータに実行させる画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の図面の画像間の差分を抽出する場合にあって、図面の枠内の画像だけを対象として、画像の位置ずれを考慮した差分を抽出するようにした画像処理装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、差分の抽出状態を視認しながら位置ずれ等の吸収を自在に調整する差分抽出装置が開示されている。当該差分抽出装置は、比較対象の図面のうちの少なくとも1枚に、ユーザが指定する複数の異なる膨張度に基づく膨張処理を行うずれ吸収部と、複数の異なる膨張度ごとに、比較対象の図面間の差分を抽出する差分抽出部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-140410号公報
【特許文献2】特開2022-032741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の画像処理装置では、図面の比較に際して位置合わせを行ってから図形要素の差分を抽出する必要がある。また、特許文献2の差分抽出装置では、図面の比較に際してユーザにより設定された膨張度に基づいて、一方の図形を膨張させる必要がある。つまり、特許文献1及び特許文献2の技術は各図面の図形要素を比較する際に、事前に前処理を行う必要があり、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、図面を比較する場合における処理の効率化を図ることを目的とする画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は画像処理装置であって、複数の画像を取得する取得部と、取得された前記複数の画像の各々において、図形要素を抽出する抽出部と、抽出された前記図形要素の各々について、異なる画像間の類似度を算出する算出部と、算出された前記類似度が第一閾値以上、かつ第二閾値未満の図形要素について、変更された図形要素として画像における差分を表示部に出力する出力部と、を備えている。
【0008】
第1の態様の画像処理装置は、複数の画像から図形要素を抽出し、各図形要素毎に異なる画像間の類似度を算出する。そして、類似度に基づいて一の画像の図形要素と他の画像の図形要素とを比較し、図形要素が変更された否かが判定される。そのため、当該画像処理装置では、比較に際して位置合わせ等の前処理を行う必要は無く、処理の効率化を図ることができる。
【0009】
第2の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、前記出力部は、算出された前記類似度が前記第二閾値以上の図形要素を変更がない図形要素として前記表示部に出力する。
【0010】
第2の態様の画像処理装置は、類似度に基づいて一の画像の図形要素と他の画像の図形要素とを比較し、図形要素に変更がないことを判定する。そのため、当該画像処理装置によれば、比較に際して位置合わせ等の前処理を行う必要は無く、処理の効率化を図ることができる。
【0011】
第3の態様の画像処理装置は、第1又は第2の画像処理装置において、前記出力部は、算出された前記類似度が前記第一閾値未満の図形要素を比較対象がない図形要素として前記表示部に出力する。
【0012】
第3の態様の画像処理装置では、類似度に基づいて一の画像の図形要素と他の画像の図形要素とを比較し、両者は比較対象がないと判定する。「比較対象がない」場合とは、図形要素の追加、削除が例示される。そのため、当該画像処理装置によれば、比較に際して位置合わせ等の前処理を行う必要は無く、処理の効率化を図ることができる。
【0013】
第4の態様の画像処理装置は、第1~第3の何れか1の態様の画像処理装置において、前記抽出部は、前記画像において抽出する図形要素の抽出領域を変更可能とする。
【0014】
第4の態様の画像処理装置によれば、抽出領域を変更可能とすることにより、図形要素が密である画像、図形要素が簡素な画像等、種々の画像の比較に対応させることができる。
【0015】
第5の態様の画像処理装置は、第1~第4の何れか1の態様の画像処理装置において、前記出力部は、異なる画像において比較した図形要素を画像毎に異なる色で前記表示部に重畳表示させる。
【0016】
第5の態様の画像処理装置によれば、差分がある部分については画像毎に図形要素が異なる色で表示されるため、変更箇所がユーザに伝わりやすい。
【0017】
第6の態様の画像処理装置は、第5の態様の画像処理装置において、前記出力部は、異なる画像において比較した図形要素において差分がない部分については、各画像の色と異なり、かつ各画像の色よりも目立たない色で前記表示部に表示させる。
【0018】
第6の態様の画像処理装置によれば、差分がない部分についてはどちらの画像にも属さず、かつ目立たない色で表示部に表示されるため、変更箇所をより明確にユーザに伝えることができる。
【0019】
第7の態様は画像処理方法であって、複数の画像を取得し、取得された前記複数の画像の各々において、図形要素を抽出し、抽出された前記図形要素の各々について、異なる画像間の類似度を算出し、算出された前記類似度が第一閾値以上、かつ第二閾値未満の図形要素について、変更された図形要素として画像における差分を表示部に出力する処理をコンピュータが実行する。
【0020】
第8の態様は画像処理プログラムであって、複数の画像を取得し、取得された前記複数の画像の各々において、図形要素を抽出し、抽出された前記図形要素の各々について、異なる画像間の類似度を算出し、算出された前記類似度が第一閾値以上、かつ第二閾値未満の図形要素について、変更された図形要素として画像における差分を表示部に出力する 処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、図面を比較する場合における処理の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る画像処理装置の概略構成を示す図である。
図2】実施形態のストレージの構成を示すブロック図である。
図3】実施形態のCPUの機能構成を示すブロック図である。
図4】実施形態の表示装置に表示される画面を説明する図である。
図5】実施形態の比較処理の流れを示すフローチャートである。
図6】実施形態の設定処理の流れを示すフローチャートである。
図7】実施形態の比較計算処理の流れを示すフローチャートである。
図8】実施形態の表示処理の流れを示すフローチャートである。
図9】実施形態におけるオフセット値と領域との関係を説明する図である。
図10】実施形態における差分の図面の例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
(構成)
図1に本発明の実施形態の画像処理装置10を示す。画像処理装置10は、パーソナルコンピュータが例示され、後述する処理プログラム100の実行により、2つの図面の差異を比較する比較処理が実行される。詳しくは、画像処理装置10は、各図面に含まれる個々の図形要素を比較し差分を抽出する。図面は画像の一例である。
【0024】
画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、ストレージ20D、入出力I/F(InterFace)20E及び通信I/F20Fを含んで構成されている。CPU20A、ROM20B、RAM20C、ストレージ20D、入出力I/F20E及び通信I/F20Fは、バス20Gを介して相互に通信可能に接続されている。
【0025】
CPU20Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20Aは、ROM20B又はストレージ20Dからプログラムを読み出し、RAM20Cを作業領域としてプログラムを実行する。
【0026】
ROM20Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。
RAM20Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0027】
ストレージ20Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、各種プログラム及び各種データを記憶している。図2に示されるように、本実施形態のストレージ20Dは、処理プログラム100、図面データ110及び差分データ120を記憶している。
【0028】
処理プログラム100は、比較処理を実行するためのプログラムである。この処理プログラム100は、画像処理プログラムの一例である。図面データ110には、設計図面に係る図面ファイルが記憶されている。本実施形態の図面ファイルとしては、tif、png、jpg、bmp及びpdfの拡張子を持つファイルが適用される。差分データ120は、比較処理により生成された2つの図面の差分を示すファイルである。なお、処理プログラム100、図面データ110及び差分データ120は、ROM20Bに記憶されていてもよい。
【0029】
図1に示されるように、入出力I/F20Eは、入力装置22及び表示装置24と通信するためのインタフェースである。なお、入力装置22及び表示装置24は、バス20Gに対して直接接続されていてもよい。
【0030】
通信I/F20Fは、外部の装置と接続するためのインタフェースである。例えば、通信I/F20Fは、公衆ネットワークNに対して接続されている。
【0031】
入力装置22は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。
表示部としての表示装置24は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。
【0032】
図3に示されるように、本実施形態の画像処理装置10では、CPU20Aが、処理プログラム100を実行することで、取得部200、抽出部210、算出部220及び出力部230として機能する。
【0033】
取得部200は、比較をするための複数の図面を取得する機能を有している。具体的に、取得部200は、ストレージ20Dに記憶された図面データ110から図面ファイルを読み込む。また、取得部200は、公衆ネットワークNを通じて図面ファイルを読み込んでもよい。そして、本実施形態の取得部200は、2つの図面ファイルを読み込むことにより、一の図面(以下、「図面1」とする。)と、他の図面(以下、「図面2」とする。)との2つの図面を取得する。
【0034】
抽出部210は、取得部200において取得された複数の図面の各々において、図形要素を抽出する機能を有している。抽出部210は、抽出する図形要素の抽出領域を変更可能としている。詳しくは、オフセット値を変更することで図形要素を囲む抽出領域が変更される。これにより、抽出される図形要素が変更される。
【0035】
算出部220は、抽出部210により抽出された図形要素の各々について類似度を算出する機能を有している。具体的に、算出部220は、図面1の図形要素と図面2の図形要素との類似度を算出する。算出部220による類似度の算出は、図面1における全ての図形要素と図面2における全ての図形要素との全ての組み合わせに対して行われる。類似度としては、0から1の値が設定され、1になるほど類似性が高い(1は完全一致となる)。また、算出部220は、図面1の図面要素毎に、図面2の図面要素の中から最も類似度の高い組み合わせを設定する。したがって、例えば、図面1に図面要素が22個あり、図面2に図面要素が21個ある場合、22個の図面要素の組み合わせが設定される(この場合、図面2においては図面要素が重複する組み合わせが生じることになる)。
【0036】
出力部230は、図形要素を表示装置24に対して表示する機能を有している。本実施形態の出力部230は、組み合わせとされた図面1の図形要素と図面2の図形要素との類似度が第一閾値以上、かつ第二閾値未満の図形要素の組み合わせについて、「変更された図形要素」として図面における差分を表示装置24に出力する。また、出力部230は、第二閾値以上の図形要素の組み合わせを「変更がない図形要素」として表示装置24に出力する。さらに、出力部230は、第一閾値未満の図形要素の組み合わせを「比較対象がない図形要素」として表示装置24に出力する。ここで、第一閾値は、図形要素が類似するか否かを識別するための閾値であって、類似度を0から1の範囲で設定した場合、例えば、0.7の値が設定されている。また、第二閾値は、図形要素が一致するか否かを識別するための閾値であって、類似度を0から1の範囲で設定した場合、例えば、0.9999の値が設定されている。
【0037】
なお、出力部230は、図面1と図面2とで比較した図形要素を図面毎に異なる色で表示装置24に重畳表示させる。また、出力部230は、図面1と図面2とで比較した図形要素において差分がない部分については、各画像の色と異なり、かつ各画像の色よりも目立たない色で差分がない部分を表示装置24に表示させる。
【0038】
(画面について)
本実施形態の表示装置24に表示される画面40を図4に示す。
図4に示されるように、表示装置24に表示される画面40は、中央の図面ビュー42、左側の操作ビュー44、及び右側のリストビュー46を含む。図面ビュー42には、比較の対象とした2つの図面、及び両図面を比較した結果を示す差分の図面が表示される。右側のリストビュー46は、組み合わせとして設定された図形要素のリストが表示されている。リスト上の各図形要素を選択することにより、選択された図形要素が図面ビュー42の中央に表示される。
【0039】
操作ビュー44は、2つの図面を比較したり、各図面を読み込んだりする場合の操作ボタンを含む画面である。操作ビュー44には、図面1の図面ファイルを選択するための選択1ボタン50、図面2の図面ファイルを選択するための選択2ボタン52と、が含まれている。また、操作ビュー44には、比較のための計算処理を実行するための計算ボタン54と、オフセット値を変更するための変更バー56と、が含まれている。
【0040】
また、操作ビュー44には、ラジオボタンとして、図面1を図面ビュー42に表示させる図面1ボタン60と、図面2を図面ビュー42に表示させる図面2ボタン61と、差分を図面ビュー42に表示させる差分ボタン62と、が含まれている。また、操作ビュー44には、チェックボックスとして、図形要素の抽出領域を示す枠線EL(図9参照)を表示させるための領域ボタン64が含まれている。さらに、操作ビュー44には、ラジオボタンとして、図形要素同士の差分を図面ビュー42に表示させるための単位ボタン66と、図面同士の差分を図面ビュー42に表示させるための全体ボタン67と、が含まれている。
【0041】
(制御の流れ)
本実施形態の画像処理装置10において実行される比較処理の流れについて、図5図8のフローチャートを用いて説明する。画像処理装置10における処理は、CPU20Aが、上述した取得部200、抽出部210、算出部220及び出力部230として機能することにより実現される。比較処理は、設定処理、比較計算処理及び表示処理を含む。
【0042】
図5のステップS100において、CPU20Aは操作ビュー44における操作ボタンの操作を受け付ける。
【0043】
ステップS101において、CPU20Aは操作ボタンの操作があったか否かを判定する。CPU20Aは操作ボタンの操作があったと判定した場合(ステップS101でYESの場合)、ステップS102に進む。一方、CPU20Aは操作ボタンの操作がないと判定した場合(ステップS101でNOの場合)、ステップS104に進む。
【0044】
ステップS102において、CPU20Aは設定処理を実行する。設定処理の詳細は後述する。
【0045】
ステップS103において、CPU20Aは表示処理を実行する。表示処理の詳細は後述する。
【0046】
ステップS104において、CPU20Aはプログラムを終了するか否かを判定する。CPU20Aはプログラムを終了すると判定した場合(ステップS104でYESの場合)、比較処理を終了させる。一方、CPU20Aはプログラムを終了しないと判定した場合(ステップS104でNOの場合)、ステップS100に戻る。
【0047】
次にステップS102の設定処理について説明する。
図6のステップS200において、CPU20Aは選択1ボタン50の操作があったか否かを判定する。CPU20Aは選択1ボタン50の操作があったと判定した場合(ステップS200でYESの場合)、ステップS201に進む。一方、CPU20Aは選択1ボタン50の操作がないと判定した場合(ステップS200でNOの場合)、ステップS202に進む。
【0048】
ステップS201において、CPU20Aは図面1の読込処理を実行する。例えば、ダイアログボックスを表示させてファイルの選択をユーザに要求する。
【0049】
ステップS202において、CPU20Aは選択2ボタン52の操作があったか否かを判定する。CPU20Aは選択2ボタン52の操作があったと判定した場合(ステップS202でYESの場合)、ステップS203に進む。一方、CPU20Aは選択2ボタン52の操作がないと判定した場合(ステップS202でNOの場合)、ステップS204に進む。
【0050】
ステップS203において、CPU20Aは図面2の読込処理を実行する。例えば、ダイアログボックスを表示させてファイルの選択をユーザに要求する。
【0051】
ステップS204において、CPU20Aはオフセット値が変更されたか否かを判定する。具体的には、CPU20Aは変更バー56が操作されたか否かを判定する。CPU20Aはオフセット値が変更されたと判定した場合(ステップS204でYESの場合)、ステップS205に進む。一方、CPU20Aはオフセット値が変更されていないと判定した場合(ステップS204でNOの場合)、ステップS207に進む。
【0052】
ステップS205において、CPU20Aは図面1及び図面2の両方が読込済みであるか否かを判定する。CPU20Aは図面1及び図面2の両方が読込済みであると判定した場合(ステップS205でYESの場合)、ステップS206に進む。一方、CPU20Aは図面1及び図面2の両方が読込済みではないと判定した場合(ステップS205でNOの場合)、設定処理を終了させる。
【0053】
ステップS206において、CPU20Aは領域認識処理を実行する。具体的にCPU20Aは、デフォルトのオフセット値又は変更されたオフセット値に基づく抽出領域を用いて、図形要素を囲む領域を決定する。そして、CPU20Aは設定処理を終了させる。
【0054】
ステップS207において、CPU20Aは図面1及び図面2の両方が読込済みであるか否かを判定する。CPU20Aは図面1及び図面2の両方が読込済みであると判定した場合(ステップS207でYESの場合)、ステップS208に進む。一方、CPU20Aは図面1及び図面2の両方が読込済みではないと判定した場合(ステップS207でNOの場合)、設定処理を終了させる。
【0055】
ステップS208において、CPU20Aは計算ボタン54の操作があったか否かを判定する。CPU20Aは計算ボタン54の操作があったと判定した場合(ステップS208でYESの場合)、ステップS209に進む。一方、CPU20Aは計算ボタン54の操作がないと判定した場合(ステップS208でNOの場合)、設定処理を終了させる。
【0056】
ステップS209において、CPU20Aは比較計算処理を実行する。そして、CPU20Aは設定処理を終了させる。
【0057】
次にステップS209の比較計算処理について説明する。本実施形態の比較計算処理では、所謂テンプレートマッチングによる比較が行われる。
図7のステップS250において、CPU20Aは類似度を計算し、図形要素の組み合わせを設定する。まず、CPU20Aは、各図面の図形要素の類似度を計算する。そして、CPU20Aは、図面1の図面要素毎に、図面2の図面要素の中から最も類似度の高い組み合わせを設定する。
【0058】
次のステップS251からステップS255にかけては、組み合わせとされた図面1の図形要素及び図面2の図形要素の類似度と、閾値との比較が実行される。
【0059】
ステップS251において、CPU20Aは類似度が第二閾値以上であるか否かを判定する。CPU20Aは類似度が第二閾値以上であると判定した場合(ステップS251でYESの場合)、ステップS252に進む。一方、CPU20Aは類似度が第二閾値以上ではない、つまり、類似度が第二閾値未満であると判定した場合(ステップS251でNOの場合)、ステップS253に進む。
【0060】
ステップS252において、CPU20Aは比較した図形要素の組み合わせは変更がないと判定する。つまり、組み合わせにおける各図形要素は、それぞれ変更がない図形要素と判定される。そして、ステップS256に進む。
【0061】
ステップS253において、CPU20Aは類似度が第一閾値以上であるか否かを判定する。CPU20Aは類似度が第一閾値以上であると判定した場合(ステップS253でYESの場合)、ステップS254に進む。一方、CPU20Aは類似度が第一閾値以上ではない、つまり、類似度が第一閾値未満であると判定した場合(ステップS253でNOの場合)、ステップS255に進む。
【0062】
ステップS254において、CPU20Aは比較した図形要素の組み合わせは変更があると判定する。つまり、組み合わせにおける各図形要素は、それぞれ変更された図形要素と判定される。そして、ステップS256に進む。
【0063】
ステップS255において、CPU20Aは比較した図形要素の組み合わせは対応がないと判定する。つまり、組み合わせにおける各図形要素は、それぞれ比較対象がない図形要素と判定される。そして、ステップS256に進む。
【0064】
ステップS256において、CPU20Aは未判定の図形要素の組み合わせがないか否かを判定する。CPU20Aは未判定の図形要素の組み合わせがないと判定した場合(ステップS256でYESの場合)、比較計算処理を終了させる。一方、CPU20Aは未判定の図形要素の組み合わせがあると判定した場合(ステップS256でNOの場合)、ステップS251に戻る。そして、次の組み合わせの類似度と閾値との比較が行われる。
【0065】
次にステップS103の表示処理について説明する。
図8のステップS300において、CPU20Aは図面1ボタン60が選択されているか否かを判定する。CPU20Aは図面1ボタン60が選択されていると判定した場合(ステップS300でYESの場合)、ステップS301に進む。一方、CPU20Aは図面1ボタン60が選択されていないと判定した場合(ステップS300でNOの場合)、ステップS304に進む。
【0066】
ステップS301において、CPU20Aは領域ボタン64が選択されているか否かを判定する。CPU20Aは領域ボタン64が選択されていると判定した場合(ステップS301でYESの場合)、ステップS302に進む。一方、CPU20Aは領域ボタン64が選択されていないと判定した場合(ステップS301でNOの場合)、ステップS303に進む。
【0067】
ステップS302において、CPU20Aは図面ビュー42に抽出領域の枠線ELを含む図面1を表示させる。そして、CPU20Aは表示処理を終了させる。
【0068】
ステップS303において、CPU20Aは図面ビュー42に抽出領域の枠線ELを含まない図面1を表示させる。そして、CPU20Aは表示処理を終了させる。
【0069】
ステップS304において、CPU20Aは図面2ボタン61が選択されているか否かを判定する。CPU20Aは図面2ボタン61が選択されていると判定した場合(ステップS304でYESの場合)、ステップS305に進む。一方、CPU20Aは図面2ボタン61が選択されていないと判定した場合(ステップS304でNOの場合)、ステップS308に進む。
【0070】
ステップS305において、CPU20Aは領域ボタン64が選択されているか否かを判定する。CPU20Aは領域ボタン64が選択されていると判定した場合(ステップS305でYESの場合)、ステップS306に進む。一方、CPU20Aは領域ボタン64が選択されていないと判定した場合(ステップS305でNOの場合)、ステップS307に進む。
【0071】
ステップS306において、CPU20Aは図面ビュー42に抽出領域の枠線ELを含む図面2を表示させる。そして、CPU20Aは表示処理を終了させる。
【0072】
ステップS307において、CPU20Aは図面ビュー42に抽出領域の枠線ELを含まない図面2を表示させる。そして、CPU20Aは表示処理を終了させる。
【0073】
ステップS308において、CPU20Aは差分ボタン62が選択されているか否かを判定する。CPU20Aは差分ボタン62が選択されていると判定した場合(ステップS308でYESの場合)、ステップS309に進む。一方、CPU20Aは差分ボタン62が選択されていないと判定した場合(ステップS308でNOの場合)、表示処理を終了させる。
【0074】
ステップS309において、CPU20Aは単位ボタン66が選択されているか否かを判定する。CPU20Aは単位ボタン66が選択されていると判定した場合(ステップS309でYESの場合)、ステップS310に進む。一方、CPU20Aは単位ボタン66が選択されていない、つまり全体ボタン67が選択されていると判定した場合(ステップS309でNOの場合)、ステップS311に進む。
【0075】
ステップS310において、CPU20Aは図面1の図面要素と図面2の図面要素とを比較した場合の差分を図面ビュー42に表示させる。この場合、CPU20Aはリストビュー46において選択された図形要素同士の差分を図面ビュー42の中央に表示させる。そして、CPU20Aは表示処理を終了させる。
【0076】
ステップS311において、CPU20Aは図面1の全体と図面2の全体とを比較した場合の差分を図面ビュー42に表示させる。したがって、全体ボタン67が選択された場合において、図面1と図面2との間で図形要素の位置が変更された場合は、差分として図面ビュー42に表示される。そして、CPU20Aは表示処理を終了させる。
【0077】
(オフセット値について)
図9にオフセット値と領域との関係を示す。本実施形態の画像処理装置10では、オフセット値を増加させるほど、認識される図形要素の数が小さくなる、つまり、認識される領域(枠線ELの範囲)が拡大するように設定されている。図9(A)はオフセット値を「5」に設定した例である。この場合、図の範囲においては、1対の構造物と引出し線とを含む領域A1、中心線からなる領域A2、及び注釈である領域A3の3つの領域が認識される。
【0078】
また、図9(B)はオフセット値を「10」に設定した例である。この場合、図の範囲においては、1対の構造物と引出し線と中心線とを含む領域B1、及び注釈である領域B2、の2つの領域が認識される。さらに、図9(C)はオフセット値を「15」に設定した例である。この場合、図の範囲においては、1対の構造物と引出し線と中心線と注釈とを含む領域C1の1つの領域が認識される。
【0079】
認識された各要素はそれぞれ枠線ELで囲まれており、表示装置24を見たユーザに対して領域が分かるように可視化されている。本実施形態によれば、抽出領域を変更可能とすることにより、回路や基板のように図形要素が密である図面、機器の外装のように図形要素が簡素な図面等、種々の図面の比較に対応させることができる。
【0080】
(差分の表示について)
図10は図面1と図面2との差分を可視化した例である。まず、図面1のみが図面ビュー42に表示される場合、図形要素は赤色の実線で表示される。また、図面2のみが図面ビュー42に表示される場合、図形要素は青色の実線で表示される。一方、図面1と図面2との差分を図面ビュー42に表示した場合、図10に示されるように図面1及び図面2において共通部分、すなわち変更がない箇所については灰色の実線(L1参照)で表示される。つまり、灰色の実線のみで表示された図形要素は変更がない図形要素として表示されることになる。
【0081】
また、図面1のみが存在する箇所については赤色の実線(L2参照)で表示される。さらに、図面2のみが存在する箇所については青色の実線(L3参照)で表示される。なお、図10では、色の違いを示すべくL2は破線、L3は二点鎖線で示している。つまり、異なる色を含んで表示された図形要素は変更された図形要素として表示されることになる。なお、何れか一の色の図形要素しかない場合は、比較対象がない図形要素として表示されることになる。
【0082】
本実施形態の画像処理装置10によれば、図面間に差分がある部分については図面毎に図形要素が異なる色で表示されるため、変更箇所がユーザに伝わりやすい。また、差分がない部分についてはどちらの画像にも属さず、かつ目立たない色で表示装置24に表示されるため、変更箇所をより明確にユーザに伝えることができる。
【0083】
(実施形態のまとめ)
本実施形態の画像処理装置10は、複数の図面から図形要素を抽出し、各図形要素毎に異なる図面間の類似度を算出する。そして、類似度に基づいて図形要素が変更された、図形要素に変更がない、比較対象がないことが判定される。ここで、「比較対象がない」場合は、図形要素の追加、削除が例示される。本実施形態によれば、比較に際して位置合わせ等の前処理を行う必要は無く、処理の効率化を図ることができる。
【0084】
[備考]
なお、上記実施形態では、図面同士を比較する場合を例示したが、この限りではなく、図形を含む画像であれば、絵画や写真同士を比較してもよい。
【0085】
また、上記実施形態でCPU20Aがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各種処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上述した各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0086】
また、上記実施形態において、各プログラムはコンピュータが読み取り可能な非一時的記録媒体に予め記憶(インストール)されている態様で説明した。例えば、画像処理装置10における処理プログラム100は、ストレージ20Dに予め記憶されている。しかしこれに限らず、各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0087】
上記実施形態で説明した処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 画像処理装置
24 表示装置(表示部)
100 画像処理プログラム(処理プログラム)
200 取得部
210 抽出部
220 算出部
230 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10