(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145252
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0662 20160101AFI20231003BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20231003BHJP
【FI】
H01M8/0662
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052618
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004082
【氏名又は名称】弁理士法人北大阪特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100141092
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英生
(72)【発明者】
【氏名】正生 明宏
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127AC02
5H127AC05
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA33
5H127BA37
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB27
5H127BB37
(57)【要約】
【課題】大気中へ排出される燃焼排ガスの結露を抑えることが可能となる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】セルスタックの燃料極から排出されたアノードオフガスを燃焼させるオフガスバーナーを備え、燃焼排ガスを熱利用する固体酸化物形の燃料電池システムであって、熱利用後の前記燃焼排ガスを加熱空気と混合させて当該システム外へ排出する構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルスタックの燃料極から排出されたアノードオフガスを燃焼させるオフガスバーナーを備え、燃焼排ガスを熱利用する固体酸化物形の燃料電池システムであって、
熱利用後の前記燃焼排ガスを加熱空気と混合させて当該システム外へ排出することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記加熱空気を当該システム内の排熱を用いて生成させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記加熱空気の温度は、熱利用後の前記燃焼排ガスの温度以上であり、
当該燃焼排ガスと当該加熱空気との混合比が1:2~1:30の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記アノードオフガスに含まれる水蒸気を、冷却用空気との熱交換により凝縮させる凝縮器と、
前記アノードオフガスを気水分離し、凝縮水を回収する水タンクと、を備え、
前記オフガスバーナーは、気水分離後の前記アノードオフガスを燃焼させるものであり、
前記加熱空気として、前記凝縮器を通過後の前記冷却用空気を用いることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物形燃料電池を用いた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電効率が良く環境にも優しい電源として、各種方式の燃料電池が開発されている。特に、固体酸化物形燃料電池(SOFC)は50%以上の高い発電効率が得られるため、家庭用から産業用まで、広範な出力範囲の燃料電池システムに利用されている。
【0003】
都市ガス等の炭化水素燃料を原燃料とする外部改質型の燃料電池システムでは、例えば特許文献1に開示されているように、改質器において原燃料の改質処理が行われ、これにより得られた改質ガスを用いてセルスタックが発電する。また当該システム内には、セルスタックの燃料極から排出されたオフガスを燃焼させるオフガスバーナーを設けて、オフガスバーナーから改質器等へ熱供給が行われるようにするのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したオフガスバーナーから排出される燃焼排ガスは、発電反応に使用されなかった水素を燃焼させたものであるため、大気に比べて多くの水蒸気を含み露点温度が高くなっている。そのため、燃焼排ガスは大気中へ排出される際に温度が下がると結露し易く、その結果、例えば、結露した水が排気用配管を腐食させることがある。また、大気の湿度が高いと排気空気が過飽和となって、排気筒で白煙が発生することがある。この白煙は視界を遮ることもあるので、周囲への悪影響も懸念されている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、大気中へ排出される燃焼排ガスの結露を抑えることが可能となる燃料電池システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る燃料電池システムは、セルスタックの燃料極から排出されたアノードオフガスを燃焼させるオフガスバーナーを備え、燃焼排ガスを熱利用する固体酸化物形の燃料電池システムであって、熱利用後の前記燃焼排ガスを加熱空気と混合させて当該システム外へ排出する構成とする。本構成によれば、大気中へ排出される燃焼排ガスの結露を抑えることが可能となる。
【0008】
また上記構成としてより具体的には、前記加熱空気を当該システム内の排熱を用いて生成させる構成としてもよい。本構成によれば、システムの熱自立を維持したまま加熱空気を生成させることが可能となる。また上記構成としてより具体的には、前記加熱空気の温度は、熱利用後の前記燃焼排ガスの温度以上であり、当該燃焼排ガスと当該加熱空気との混合比が1:2~1:30の範囲内である構成としてもよい。
【0009】
また上記構成としてより具体的には、前記アノードオフガスに含まれる水蒸気を、冷却用空気との熱交換により凝縮させる凝縮器と、前記アノードオフガスを気水分離し、凝縮水を回収する水タンクと、を備え、前記オフガスバーナーは、気水分離後の前記アノードオフガスを燃焼させるものであり、前記加熱空気として、前記凝縮器を通過後の前記冷却用空気を用いる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る燃料電池システムによれば、大気中へ排出される燃焼排ガスの結露を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る燃料電池システムの概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について、各図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、本実施形態に係る燃料電池システム1の概略的な構成図である。なお
図1では流体の経路に関して、燃料ガスに関連する経路(ガス経路)を実線矢印で示し、改質水に関連する経路(水経路)を破線矢印で示し、空気に関連する経路(空気経路)を点線矢印で示し、その他の経路を一点鎖線の矢印で示している。また
図1に示す白抜き矢印は、各経路を通る流体を示している。
【0013】
図1に示すように燃料電池システム1は、改質器11、蒸発器12、セルスタック13、水回収装置14、空気予熱器15、オフガスバーナー16、および混合部17(後述する燃焼排ガスGfと冷却用空気Adを混合させるスペース)を備える。
【0014】
なお、セルスタック13は、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)であり、動作温度は例えば700℃程度である。固体酸化物形燃料電池は、燃料極(アノード)に水素を含む燃料ガスが供給され、空気極(カソード)に酸素を含む空気が供給されることにより、電気化学反応を発生させて発電することが可能である。本実施形態では一例として、セルスタック13は一つだけ設けられているが、セルスタック13を並列に複数個設けるようにしても良い。
【0015】
水回収装置14および混合部17を除く燃料電池システム1の大部分の要素は、
図1に示す断熱領域TA内に配置されている。断熱領域TAは断熱材等で覆われており、外部への熱放出が極力抑えられるよう配慮されている。これにより燃料電池システム1は、熱自立の点で有利な構成となっている。
【0016】
燃料電池システム1には、原料ガス(本実施形態では一例として、メタンを含む都市ガスとする)を受入れる原料ガス受入部Pg、および、空気を受入れる空気受入部Paが設けられている。原料ガスや空気は基本的に燃料電池システム1の外部から供給される。
【0017】
原料ガス受入部Pgは、第1ガス経路Lg1を介して改質器11に繋がっており、第1ガス経路Lg1の途中には第1ブロワB1が設けられている。第1ガス経路Lg1における第1ブロワB1より後段側の少なくとも一部は、蒸発器12を通るように配置されている。
【0018】
改質器11は、第2ガス経路Lg2を介して、セルスタック13の燃料極13aに繋がっている。燃料極13aは、第3ガス経路Lg3を介して水回収装置14に繋がっている。水回収装置14は、水タンク14a、凝縮器14b、冷却用空気経路14c、および冷却用空気(外気)の受入口14dを備えており、第4ガス経路Lg4を介してオフガスバーナー16に繋がっている。なお冷却用空気経路14cは、受入口14dから伸びており、凝縮器14bを介して混合部17に繋がっている。混合部17からは、ガスを外部へ排気させるための排気用配管Lyが伸びている。排気用配管Lyの後段側には、高い位置からガスを排気させるための排気筒が配置されている。
【0019】
なお水タンク14aは、水経路Lwを介して蒸発器12に繋がっている。水経路Lwには水ポンプW1が設けられており、水タンク14a内の水を改質水Waとして蒸発器12へ継続的に供給することが可能である。これにより燃料電池システム1は、水自立を実現させることが可能である。水ポンプW1は、水タンク14aから蒸発器12への改質水Waの供給量を調節することが可能である。
【0020】
空気受入部Paからは第1空気経路La1が伸びており、第1空気経路La1の途中には第2ブロワB2が設けられている。第1空気経路La1は、セルスタック13の空気極13bに繋がっている。空気極13bは、第2空気経路La2を介してオフガスバーナー16に繋がっている。またオフガスバーナー16は、燃焼排ガス経路Lxを介して、混合部17に繋がっている。燃焼排ガス経路Lxの途中には、蒸発器12が設けられている。
【0021】
空気予熱器15は、燃焼排ガス経路Lxの所定位置(オフガスバーナー16と蒸発器12の間の位置)を通る流体と第1空気経路La1の所定位置(第2ブロワB2とセルスタック13の間の位置)を通る流体との間で、熱交換が行われるようにする。これにより、燃焼排ガスGfの熱を用いて空気Aaを予熱することが可能となっている。
【0022】
次に、燃料電池システム1の動作概要について説明する。原料ガス受入部Pgから第1ガス経路Lg1内に供給された原料ガスGaは、第1ブロワB1の作用により後段側へ送られ、蒸発器12に流入する。原料ガスGaの供給に並行して、水ポンプW1によって水タンク14aから水経路Lw内に供給された改質水Waが、蒸発器12へ流入する。蒸発器12は、流入した改質水Waを熱交換により加熱して水蒸気(過熱蒸気)を生成し、これを第1ガス経路Lg1を流れる原料ガスGaに混合させる。このようにして生成された原料ガスGaと水蒸気の混合気体は、改質器11へ流入する。
【0023】
改質器11は、蒸発器12から受けた水蒸気を用いて原料ガスGaを改質し、改質ガスGbを生成して後段側へ送出する。改質器11は、水蒸気改質用の触媒を有しており、原料ガスGaに含まれるメタンと水蒸気を反応させ、一酸化炭素と水素を含む改質ガスGbを生成する。水蒸気改質は吸熱反応であるが、オフガスバーナー16からの熱供給により、改質器11は安定的に改質ガスGbを生成することが可能である。改質器11から送出された改質ガスGbは、第2ガス経路Lg2を介して燃料極13aに流入する。
【0024】
一方、上述した原料ガスGaおよび改質水Waの供給に並行して、空気受入部Paから第1空気経路La1内に空気Aaが供給される。第1空気経路La1内の空気Aaは、第2ブロワB2の作用により後段側へ送られる。この空気Aaは、空気予熱器15での熱交換によって加熱された後、空気極13bに流入する。
【0025】
セルスタック13は、燃料極13aに流入した改質ガスGbと空気極13bに流入した空気Aaを用いて発電するとともに、燃料極13aからオフガスGc(アノードオフガス)を排出する。この発電で得られた電力は、不図示の電力供給ラインを介して外部へ供給される。オフガスGcには、燃料極13aにおいて未反応であった水素等の燃料成分が含まれている。なお空気極13bからは、空気極13bにおいて未反応であった酸素等を含む残りの空気Abが、第4空気ラインLaを介してオフガスバーナー16へ排出される。
【0026】
燃料極13aから排出されたオフガスGcは第3ガス経路Lg3を通り、水回収装置14に流入する。水回収装置14において、凝縮器14bは、受入口14dから冷却用空気経路14cに供給された冷却用空気Adと熱交換させることにより、オフガスGcを露点温度以下まで冷却し、オフガスGcに含まれる水蒸気を凝縮させる。凝縮器14bにおける熱交換により、冷却用空気Adの温度が上昇するとともに、オフガスGcの温度が下降する。このように加熱された冷却用空気Ad(加熱空気)は、混合部17へ流入する。
【0027】
凝縮器14bを通過したオフガスGcは水タンク14aで気水分離され、凝縮水が水タンク14aに回収される一方、凝縮しなかった残りの部分は残存オフガスGdとして第4ガス経路Lg4へ流入する。残存オフガスGdは、気水分離の処理を施したオフガスGcに相当する。なお水回収装置14は、オフガスGcからの水蒸気除去を効率良く行うことができるように、断熱領域TAの外部に配置されている。
【0028】
凝縮器14bの冷却用空気の流路は、密閉型であってもよいし、開放型であってもよい。前者の場合、プレート式、シェルアンドプレート式、シェルアンドチューブ式等の熱交換器を使用することができ、ブロワにより冷却用空気を伝熱面に送り込む。後者の場合、空冷式のラジエーターを使用することができ、オフガスGcが内部流通する熱交換コアの表面にファンにより冷却用空気を通風させる。なお、ラジエーターは、冷却用空気の供給時の圧力損失が低いうえ、空気流量の調節も容易であるので、燃料電池システム1の補機電力を低減できるメリットがある。
【0029】
水タンク14aに回収された凝縮水は、先述のとおり水経路Lwを介して蒸発器12に供給され、改質水Waとして再利用される。なお、オフガスGcから水蒸気を除去して残存オフガスGdを生成することにより、オフガスGc中の未反応の燃料成分をオフガスバーナー16で効率良く燃焼することが可能となる。
【0030】
第4ガス経路Lg4に流入した残存オフガスGdは、オフガスバーナー16に流入する。オフガスバーナー16は、空気極13bから排出された空気Abと残存オフガスGdの混合気体を燃焼させて熱を発生させるとともに、燃焼によって生じた燃焼排ガスGfを燃焼排ガス経路Lxへ排出する。なお、オフガスバーナー16は改質器11の近傍に配置されており、オフガスバーナー16から生じる熱は、放射伝熱や対流伝熱により改質器11へ効率良く伝わるようになっている。
【0031】
燃焼排ガス経路Lxを通る燃焼排ガスGfは、空気予熱器15を通過する際に空気Aaと熱交換される。空気予熱器15における熱交換により、空気Aaの温度が上昇するとともに、燃焼排ガスGfの温度が下降する。燃焼排ガスGfは空気予熱器15を通過した後、蒸発器12を通過する際に改質水Waと熱交換された上で、混合部17へ流入する。蒸発器12は、燃焼排ガスGfとの熱交換により改質水Waを加熱して、先述したとおり水蒸気を生成することになる。
【0032】
また既に説明したとおり、混合部17には冷却用空気Adと燃焼排ガスGfが流入する。混合部17は、燃焼排ガスGfを冷却用空気Adと混合させた混合ガスを、排気用配管Lyを介して燃料電池システム1の外部(大気中)へ排出する。これにより、大気中へ排出される燃焼排ガスGfの結露を抑えて、排気用配管Lyの腐食や白煙の発生を極力防ぐことが可能となっている。
【0033】
すなわち、燃焼排ガスGfは発電反応に使用されなかった水素を燃焼させており、大気に比べて多くの水蒸気を含み露点温度が高くなっている。また、燃焼排ガスGfは空気予熱器15や蒸発器12で熱利用されるため、熱利用後の燃焼排ガスGfは熱利用前に比べ、温度が下がって結露し易くなっている。このような熱利用後の燃焼排ガスGfを単独で大気中へ排出させると、その際に更に温度が下がって燃焼排ガスGfが結露し、この結露した水が排気用配管Lyを腐食させる虞がある。しかし本実施形態では、冷却用空気Adを混合させることで露点温度を低くしておき、燃焼排ガスGfが結露し難くなるように配慮されている。これにより、排気用配管Lyの腐食が抑えられるとともに、大気の湿度が高くても排気空気が過飽和とはなり難いため、排気筒での白煙の発生も抑えられる。
【0034】
なお、冷却用空気Adは凝縮器14bでの熱交換(オフガスGcからの熱回収)によって加熱されるようになっており、加熱後の冷却用空気Ad(混合部17に流入する段階の冷却用空気Ad)の温度は、熱利用後の燃焼排ガスGf(混合部17に流入する段階の燃焼排ガスGf)の温度以上となっている。そのため、混合部17において燃焼排ガスGfと冷却用空気Adを混合させた際に、燃焼排ガスGfの温度が下がって結露が促進されるといった事態は回避される。燃焼排ガスGfをより結露させ難くする観点から、燃焼排ガスGfに混合させる冷却用空気Adの温度はできるだけ高いことが好ましい。
【0035】
混合部17の具体的構成は、凝縮器14bのタイプを考慮して決定することが望ましい。例えば、凝縮器14bがプレート式熱交換器である場合、燃焼排ガス経路Lxの末端に混合用のチャンバーを接続し、排気筒に向かってチャンバー内を流れる低圧の燃焼排ガスGfに対し、冷却用空気経路14cのブロワにより冷却用空気を流入させる。また、凝縮器14bがラジエーターである場合、熱交換コアを通過した後のファンからの空気流を混合用のチャンバーに取り込むようにしておき、排気筒に向かってチャンバー内を流れる低圧の冷却用空気に対し、燃焼排ガス経路Lxから燃焼排ガスGfを放出させる。
【0036】
また冷却用空気Adの加熱は、燃料電池システム1内の排熱(本実施形態の例ではオフガスGcの熱)を用いることにより、燃料電池システム1の熱自立を維持したまま行うことが可能となっている。但し、本発明に係る加熱空気を生成する加熱方法としては、燃料電池システム内の排熱を用いる方法の他、例えば発電した電気でヒーターを駆動し、当該ヒーターの熱を用いて加熱空気を生成する方法等を採用することも可能である。
【0037】
なお、混合部17における燃焼排ガスGfと冷却用空気Adの混合比について、燃焼排ガスGfに対して冷却用空気Adの割合が2倍未満の場合は、これらの混合ガスの水蒸気分圧が比較的高いままであるため、温度低下時に水蒸気の凝縮が起こり易くなる虞がある。一方、燃焼排ガスGfに対して冷却用空気Adの割合が30倍超過の場合は、混合ガスの水蒸気分圧は十分に低くなるが、冷却用空気Adの流量を増やすためブロワやファンの消費電力と外部に捨てる熱量が増え過ぎて、燃料電池システム1の発電効率が下がる虞がある。これらの事情を考慮して、当該混合比は1:2~1:30の範囲内とすることが望ましい。
【0038】
上述したとおり本実施形態に係る燃料電池システム1は、オフガスバーナー16から排出される燃焼排ガスGfを熱利用する固体酸化物形の燃料電池システムであって、熱利用後の燃焼排ガスGfを加熱空気と混合させて当該システム外へ排出する。そのため、大気中へ排出される燃焼排ガスGfの結露を抑えることが可能となっている。なお燃料電池システム1は、オフガスGcに含まれる水蒸気を冷却用空気Adとの熱交換により凝縮させる凝縮器14bと、オフガスGcを気水分離し凝縮水を回収する水タンク14aと、を備え、オフガスバーナー16は残存オフガスGd(気水分離後のオフガスGc)を燃焼させるものとなっており、上記加熱空気として、凝縮器14bを通過後の冷却用空気Adを用いるようになっている。
【0039】
また、本発明に係る燃料電池システムは、複数段のセルスタックを有する多段式の燃料電池システムとして構成することも可能である。本実施形態の燃料電池システム1を多段式の燃料電池システムとする場合は、例えば、セルスタック13を前段側セルスタックとし、さらに後段側セルスタックを設けるように構成すれば良い。この場合の構成例としては、後段側セルスタックの燃料極に残存オフガスGdが流入し、当該燃料極から排出されるオフガスがオフガスバーナー16に流入するとともに、後段側セルスタックの空気極に空気Abが流入するとともに、当該空気極から排出される空気がオフガスバーナー16に流入する構成が採用され得る。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限られず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、固体酸化物形燃料電池を用いた燃料電池システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 燃料電池システム
11 改質器
12 蒸発器
13 セルスタック
13a 燃料極
13b 空気極
14 水回収装置
14a 水タンク
14b 凝縮器
14c 冷却用空気経路
14d 冷却用空気の受入口
15 空気予熱器
16 オフガスバーナー
17 混合部
Aa、Ab 空気
Ad 冷却用空気
B1 第1ブロワ
B2 第2ブロワ
Ga 原料ガス
Gb 改質ガス
Gc オフガス
Gd 残存オフガス
Gf 燃焼排ガス
La1 第1空気経路
La2 第2空気経路
Lg1 第1ガス経路
Lg2 第2ガス経路
Lg3 第3ガス経路
Lg4 第4ガス経路
Lx 燃焼排ガス経路
Ly 排気用配管
Lw 水経路
Pa 空気受入部
Pg 原料ガス受入部
TA 断熱領域
W1 水ポンプ
Wa 改質水