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特開2023-145257水素ガス吸引具および水素ガス吸引セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145257
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】水素ガス吸引具および水素ガス吸引セット
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052627
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】510281874
【氏名又は名称】株式会社環境技研
(74)【代理人】
【識別番号】100158665
【弁理士】
【氏名又は名称】奥井 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100127513
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100206829
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 悟
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝義
(72)【発明者】
【氏名】山口 宣明
(57)【要約】
【課題】本発明は、携行できる、かつ簡単な操作で安定して多量の吸引する水素ガスを吸引できる水素ガス吸引具および水素ガス吸引セットを提供することを目的とする。
【解決手段】水素ガス吸引具は、形状が逆円錐台の紙コップと蓋体とからなり、蓋体は、紙コップの開口部に嵌合する蓋本体と、該蓋本体に形成される、水素ガス吸引口となるノズル部と、蓋本体裏面に形成される円環部と板状垂下部とを備え、蓋本体が紙コップの開口部に嵌合したときに、円環部は外周面が紙コップの開口部内周面に接し、板状垂下部は、板状垂下部の一方の側面の下部が紙コップの内周面に接することを特徴とする。また、水素ガス吸引セットは、水素ガス吸引具と水素ガス発生体が入った不織布包装体と該不織布包装体に散布する水が入った水容器との組合せから構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状が逆円錐台である紙コップと蓋体とからなり、該紙コップに収納する水素ガス発生体が入った不織布包装体に水を散布して水素ガスを発生させる水素ガス吸引具であって、
蓋体は、紙コップの開口部の上端に嵌合する蓋本体と、該蓋本体に形成される水素ガス吸引口となるノズル部と、蓋本体裏面に形成される円環部および複数の板状垂下部とを備え、
円環部は形状が逆円錐台であって、蓋本体が紙コップの開口部の上端に嵌合したときに、円環部の外周面が紙コップの開口部内周面に接し、
板状垂下部は、下端が円環部の下端縁よりも下に伸びるとともに、一方の側面の上部側の部位が円環部の内面に接合して形成され、蓋本体が紙コップの開口部の上端に嵌合したときに、板状垂下部の一方の側面の下部側の部位が紙コップの内面に近接あるいは接することを特徴とする水素ガス吸引具。
【請求項2】
前記ノズル部の先端部には吸引孔が形成されたマウスピースを被せたことを特徴とする請求項1に記載の水素ガス吸引具。
【請求項3】
前記ノズル部またはマウスピースの吸引孔には、スポンジが詰められていることを特徴とする請求項1または2に記載の水素ガス吸引具。
【請求項4】
前記ノズル部またはマウスピースの吸引孔には、芳香剤ボールが装入されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水素ガス吸引具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水素ガス吸引具と水素ガス発生体が入った不織布包装体と該不織布包装体に散布する水が入った水容器との組合せから構成される水素ガス吸引セット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水素ガス吸引具および水素ガス吸引セットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水素ガスを体内に取り込むことにより、健康の維持向上を図ることが注目されている。水素ガスの体内への吸引は、老化やがん、糖尿病、高血圧などの数多くの疾患に深く関わっているヒドロキシラジカルなどの活性酸素を除去するといわれており、先進医療にも取り入れられている。
【0003】
水素ガスは、水の電気分解などにより容易に製造できるガスであり、特許文献1には、水の電気分解により発生させた水素ガスを吸引する吸引具の発明が記載されている。この吸引具は、カバン等に入れられて持ち歩くのに適したほどの小型化されたものであり、電気分解の電力の供給を内蔵する電池で行い、該電力の供給などを制御するための制御手段を備え、電極部にはチタン電極に連結されたメッシュ電極板を使用するなど部品点数が多いものであり、水素ガス発生に関わる操作が複雑であり、また高価なものとならざるを得ないものである。
この吸引具では、携帯できるように小型化されているために、電極面積や電池容量に制限を受け、短時間では比較的少量の水素ガスしか発生させることができない。
【0004】
他方、小型で軽量な携行できるようにした、水の電気分解に基づかない水素ガス吸引具の発明が特許文献2に記載さている。これは先端と後端が閉じられ、内部にマグネシウム粉粒体、クエン酸粉粒体および粉末セルロースからなる水素ガス発生体を入れた筒状不織布を筒状ケースに収納し、筒状ケースの先端部に保水材を、後端部に吸水材をそれぞれ詰めてなるカートリッジを吸引具のホルダーに装着して、水素ガスを吸引するものである。
【0005】
この特許文献2に記載された水素ガス吸引具は、水素ガス発生体が収納されたカートリッジの先端部を容器やコップなどに蓄えられた水に数秒間浸して引き上げると、カートリッジの先端部に詰められた保水材に水が保水される。そして、この保水された水が粉末セルロースの吸水効果により、水素ガス発生体の内部に浸透して、マグネシウムとクエン酸が反応し水素ガスが発生する。
発生した水素ガスをホルダーの吸引口から吸引しはじめると、カートリッジ先端部の保水材から水が水素ガス発生体に補給され、反応が継続して水素ガスが所定時間発生し続ける。
【0006】
特許文献2に記載の水素ガス吸引具は、水素ガス発生体が収納されたカートリッジは5cm前後の長さのものであり、ホルダーも7cm前後のものであるから、カバンやハンドバッグ、衣服のポケットなどに入れたりして携行できるものである。
しかし、この発明では、カートリッジの先端を容器やコップに蓄えられた水に所定時間浸して引き上げることにより水素ガスが発生するが、カートリッジの先端から後端に向けて水素ガス発生の反応が起こるから、カートリッジの先端への水の浸し方や傾け方など操作に細心の注意を払う必要があり、吸引する水素ガスを安定して発生させることにやや難があり、また、カートリッジの先端から後端まで水素ガス発生の反応が完了するまで時間がかかり、短時間で比較的多量の水素ガスを吸引することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6464385号公報
【特許文献2】特許第6436325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような事情に鑑みて、本発明は、カバンやハンドバッグなどに入れたりして携行できるとともに、水素ガスを簡単な操作で安定して発生させて、短時間で比較的多量に水素ガスを吸引することができる水素ガス吸引具および水素ガス吸引セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
[1]形状が逆円錐台である紙コップと蓋体とからなり、該紙コップに収納する水素ガス発生体が入った不織布包装体に水を散布して水素ガスを発生させる水素ガス吸引具であって、蓋体は、紙コップの開口部の上端に嵌合する蓋本体と、該蓋本体に形成される水素ガス吸引口となるノズル部と、蓋本体裏面に形成される円環部および複数の板状垂下部とを備え、円環部は形状が逆円錐台であって、蓋本体が紙コップの開口部の上端に嵌合したときに、円環部の外周面が紙コップの開口部内周面に接し、板状垂下部は、下端が円環部の下端縁よりも下に伸びるとともに、一方の側面の上部側の部位が円環部の内面に接合して形成され、蓋本体が紙コップの開口部の上端に嵌合したときに、板状垂下部の一方の側面の下部側の部位が紙コップの内面に近接あるいは接することを特徴とする水素ガス吸引具。
[2]前記ノズル部の先端部には吸引孔が形成されたマウスピースを被せたことを特徴とする[1]に記載の水素ガス吸引具。
[3]前記ノズル部またはマウスピースの吸引孔には、スポンジが詰められていることを特徴とする[1]または[2]に記載の水素ガス吸引具。
[4]前記ノズル部またはマウスピースの吸引孔には、芳香剤ボールが装入されていることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の水素ガス吸引具。
[5][1]乃至[4]のいずれかに記載の水素ガス吸引具と水素ガス発生体が入った不織布包装体と該不織布包装体に散布する水が入った水容器との組合せから構成される水素ガス吸引セット。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水素ガス吸引具およびこれを含む水素ガス吸引セットは、水素ガス吸引具が紙コップと蓋体で構成され小型にできるから、カバンやハンドバッグなどに入れたりして携行できるとともに、紙コップに収納した水素ガス発生体を入れた不織布包装体に直に水を散布して水素ガスを発生させ、次いで紙コップに蓋体を装着して、蓋体が備えるノズル体から吸引することができるので、簡単な操作で、吸引する水素ガスを発生させて吸引することができる。また、紙コップに収納した水素ガス発生体を入れた不織布包装体に直に水を散布して水素ガスを発生させるので、確実に水素ガスを安定して、しかも短時間で比較的多量の水素ガスを発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】水素ガス吸引具の斜視図(a)と縦断面図(b)を示す。
図2】水素ガス吸引具の紙コップの斜視図(a)と縦断面図(b)を示す。
図3】水素ガス吸引具の蓋体を示す。(a)は蓋体3の表面側から、(b)は蓋体3の裏面側から見た斜視図である。
図4】水素ガス吸引具の蓋体の正面図(a)、下面図(b)および縦断面図(c)を示す。
図5】水素ガス発生体が入った不織布包装体の一例を示す図面代用写真である。
図6】水容器の一例として水パックを示す図面代用写真である。
図7】水容器の一例としてスティック型水包装体を示す図面代用写真である。
図8】水容器の一例としてタレ瓶型水容器を示す図面代用写真である。
図9】ノズル部の上端にマウスピースを装着した水素ガス吸引具の斜視図(a)と縦断面図(b)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の水素ガス吸引具の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に水素ガス吸引具を示す。
ここで、1は水素ガス吸引具、2は紙コップ、3は蓋体、31は蓋本体、32は水素ガスの吸引口となるノズル部、33は円環部、34は板状垂下部である。
水素ガス吸引具1は紙コップ2と蓋体3とからなり、紙コップ2内に水素ガス発生体が入った不織布包装体を収納し、これに水を散布すると水素ガスが発生する。水素ガスの吸引者は、紙コップ2に蓋体3を装着して、蓋体3のノズル部32から水素ガスを吸引することができる。円環部33と板状垂下部34については後述する。
【0013】
図2に紙コップ2を示した。この図に示すように紙コップ2は、逆円錐台、すなわち円錐台を逆さにした形をしており、スタッキング(積み重ね)が可能である。また、紙コップ2の開口部の上端の縁部は、通常、外側に巻き込まれており、カール21が形成されている。カール21は無くてもよい。
なお、紙コップ2は、ポリエチレンフィルムでラミネートして耐熱性や防水性を持たせることができる。このような紙コップは市販されており周知のものである。
【0014】
図3図4に蓋体3を示した。図3(a)は蓋体3の表面側から、(b)は蓋体3の裏面側から見た斜視図である。図4(a)~(c)には蓋体3の正面図、下面図および縦断面図を示した。
蓋体3は、紙コップ2の開口部の上端に嵌合する蓋本体31と蓋本体31の表側に突出して形成されるノズル部32と蓋本体31の裏面に形成される円環部33および複数の板状垂下部34とを備えている。
ノズル部32は、吸引孔が形成されており、水素ガスの吸引口となる。図1、3~4では、ノズル部32は蓋本体31の中央部に形成されているが、中央部でなくともよい。
【0015】
蓋体3の蓋本体31の周縁には側部が形成されており、図1(b)や図4(c)に示すように、この側部には外側に張り出す段差部311が形成されている。蓋体3が紙コップに装着されたとき、この段差部311の外周縁が紙コップ2の開口部の上端の部位に被さった状態で嵌合し、紙コップの開口部の上端の部位にカール21が形成されている場合にはこのカール21に被さった状態で嵌合する。
【0016】
蓋本体31の裏面の周縁部には、高さが低い中空の略円柱状であって形状が逆円錐台である円環部33が形成されている。ここでの周縁部は段差部311の外周縁よりも少し内側の位置にあり、この段差部311の外周縁と円環部33との間には間隙が形成されている。紙コップ2に蓋体3を装着すると、この間隙に紙コップの開口部の上端が入り込み、蓋体3が紙コップ2に嵌合される。
円環部33の高さはコップの高さの15~40%でよく、円環部33が形成されていることで、蓋本体31自体を変形しがたいものにしている。
【0017】
円環部33は、図3図4に示すように、形状が紙コップ2と同様に逆円錐台であるから、円環部33の外径は高さ方向の位置に応じて変化するが、円環部33の外径を紙コップ2の開口部の高さ方向に応じて変化する内径に対応して等しくなるようにする。こうしておけば、蓋体3を紙コップ2に装着すると、この円環部33の外周面が紙コップ2の開口部の内面に接し、蓋体3は紙コップ2の開口部にはまり込んで嵌合する。
【0018】
円環部33の内面側には蓋本体31の裏面から複数の下に伸びる板状垂下部34が間隔を置いて蓋本体31の中心部に向いて形成されている〔図4(b)参照〕。そして、板状垂下部34の下端は円環部33の下端縁よりさらに下に達している〔図4(a)、(c)参照〕。
板状垂下部34の下端の位置は、紙コップ2の底に接しない範囲ないであれば制限はないが、円環部33の下端縁より下であって紙コップ2の底から開口部上端までの高さの1/2の位置の間に達する程度までが効果的である。
【0019】
板状垂下部34は、蓋本体31の裏面から円環部の上端縁の位置に達するまでは、板状垂下部34の一方の側面は、蓋本体31の周縁の側部内面に接合し、さらに円環部の上端縁の位置から下端縁の位置に達するまでは円環部33の内面に接合している。そして、この円環部33の下端縁の位置より下の部位では、板状垂下部34の一方の側面は、逆円錐台形状の紙コップの内面の傾斜面に平行するように下に伸びるか、あるいはこの傾斜面に接するように、すなわちより垂直に近づくように下に伸びるかしている。
なお、板状垂下部34の他方の側面は、図1(b)や図4(c)に示されるように、蓋本体31の裏面から下方向に垂直に伸びている。
【0020】
こうすることで、紙コップ2に蓋体3を嵌合したときに、紙コップ2の上部の開口部は、板状垂下部34の上部側の部位が接合した円環部で堅固に支持することができる。また、紙コップ2の上部の開口部より下の部位では、板状垂下部34の一方の側面の下部側の部位(円環部33の下端縁の位置より下の部位)を紙コップ2の内面に近接あるいは接するようにすることができるから、板状垂下部34の一方の側面の下部側の部位でも、紙コップ2に近接あるいは接して、紙コップ2に対して補強材のリブと同様の作用を及ぼすことができる。
【0021】
したがって、紙コップ2に蓋体3が装着され、蓋体3が紙コップ2の開口部に嵌合したときは、紙コップ2の開口部の上端は蓋本体31の外周縁の段差部311に支持されるとともに、紙コップ2の開口部が板状垂下部34の上部側の部位が接合した円環部33で支持され、さらに、紙コップ2の開口部より下の部位では板状垂下部34の一方の側面の下部側の部位が紙コップ2の側面に近接あるいは接している状態になるので、蓋体3が装着された紙コップ2を把持しても紙コップ2は容易には変形しない。このとき、紙コップ2の開口部は、それぞれ蓋本体31の段差部311と円環部33で封止された状態になっているから、紙コップ2内の水素ガスが蓋体3と紙コップ2の嵌合面から漏れ出ることはない。
なお、板状垂下部34の一方の側面の下部側の部位が紙コップ2の側面に近接する場合は、両側面の間隙が最も近接した個所で0.25mm以下程度にするのが好ましい。
【0022】
板状垂下部34は、蓋体3の裏面に3つ以上、好ましくは5つ以上、等間隔に間を置いて形成することが望ましい。なお、図3図4では5つの板状垂下部34が形成されている。
板状垂下部34の幅は、図4(b)に示すものでは円環部33の半径の1/2以下程度であるが、それ以上でもよい。また、板状垂下部34の下端にはアール(丸味)を形成するのが好ましい。
【0023】
蓋体3は、樹脂材料を射出成形することなどにより、蓋本体31、ノズル部32、円環部33および複数の板状垂下部34を一体的に製造することができる。また、紙製材料により同様の一体的な蓋体3を製造してもよい。なお、図1(b)や図3(b)、図4(c)では、円環部33の上端縁が実線で示されているが、蓋本体31の側部裏面の内面と円環部33の内面との境には段差ができないように一体的に形成する。
【0024】
水素ガス発生体が入った不織布包装体4を紙コップ2の底に収納して、それに水を散布すると水素ガスが発生する。この紙コップ2に蓋体3を装着して、蓋体3のノズル部32から水素ガスを吸引することができる。
図5に水素ガス発生体が入った不織布包装体4の一例を示した。
【0025】
水素ガス発生体が入った不織布包装体4は、例えば矩形の不織布を二つ折りして合わせ幅端部を閉じ袋状とし、開口部から内部に水素発生体を入れた後に開口部を閉じることでつくることができる。不織布としては、例えば、お茶パックなどに使用される食品用不織布を使用することができる。
水素ガス発生体が入った不織布包装体4に水を散布すると、水は容易に不織布を通過して水素ガス発生体に浸透し水素ガスが発生する。
【0026】
水を散布して水素ガスを発生させる水素ガス発生体としては、金属マグネシウムとクエン酸を含む混合物が使用できるが、特許文献2に記載されているように、マグネシウム粉粒体、クエン酸粉粒体および粉末セルロースの混合物を採用することが望ましい。この混合物に水を散布すると、マグネシウムとクエン酸が反応して、水素ガスが発生する。マグネシウムとクエン酸の反応により水素ガスが発生する。この反応では水の電気分解のように酸素ガスが発生しない。
なお、ここで「粉粒体」とは、粉粒体を構成する粒子が粉(こな)状の粒子や粒径が1mm程度以下の粒状の粒子を含むものを意味している。
【0027】
マグネシウム粉粒体、クエン酸粉粒体および粉末セルロースの混合物は、混合物の素材が分離しないようにすることが化学反応を継続させ、より安定して効率よく水素ガスを発生させることができるので、マグネシウム粉粒体とクエン酸粉粒体および粉末セルロースからなる3種の素材の混合物を団粒化したものを使用することが望ましい。団粒化する手段も特許文献2に記載されている。
【0028】
マグネシウム粉粒体、クエン酸粉粒体および粉末セルロースを質量比で1:3~9:1~3程度の割合で混合して団粒化した約3gの水素ガス発生体を不織布包装体に収納して、水を散布して反応させると、水素ガスを1分間に総量150ml程度発生させることができる。このとき、反応に必要な水は2.5cc程度であるが、散布する水は余裕をみて3~5cc程度で十分である。
【0029】
水素ガス発生体は、上述したように、3グラム程度でよく、水素ガス発生体が入った不織布包装体4は、閉じ代を8mm程度にして、閉じ代を含めても長さと幅が50mm程度で厚みが8mm程度の扁平状のものとすることができる。
扁平状の水素ガスが入った不織布包装体4は、紙コップ2の底面の面積を該包装体4の長さと幅から求まる面積と同程度かそれ以上にしておけば、紙コップ2の底面に接するように配置することができる。
【0030】
水素ガス発生体を入れた不織布包装体4とともに、水素ガス吸引具1をカバンやハンドバッグに入れて携行することができるので、水を入手できるところであれば、どこでも水素ガスが吸引できる。
水素ガス発生体が入った不織布包装体4に散布する水は、水道の蛇口やペットボトルから取水して散布することができるが、携行できる水パック、スティック型水包装体、タレ瓶型水容器などの水容器5から取水して散布してもよい。
【0031】
図6図8に水容器5の例として、それぞれ水パック、スティック型水包装体、タレ瓶水容器を示した。
図6に示す水パックは、透明の樹脂膜で水を包んだ扁平状のものであるが、透明でなくてもよい。また、水パックの縁部の接着代に切り込みを入れておくと、切り込みから破り封入された水を散布しやすい。
図7に示すスティック型水包装体も、ポリエチレン樹脂とアルミ箔のラミネートフィルムで水を包んだ長尺状(短辺方向に対して長辺方向が長い形態)のものである。この場合も一方の端部に切り込みを入れておくと、切り込みから破り封入された水を散布しやすい。
図8にタレ瓶型水容器は、キャップ付きの小さな容器であり、キャップを外して水を散布することができる。
【0032】
水容器5には、水素ガス発生体の量に見合う水を入れておけばよく、上記の水素ガス発生体が3g程度である場合、3~5ccの量の水で十分であるから、紙コップ2に収納できる大きさにすることが可能である。
このような水容器5を水素ガス発生体が入った不織布包装体4とともにカバンやハンドバッグなどに入れて携行すれば、場所を問わず外出先の水のないところでもでも水素ガスを吸引できるので便利である。
また、水素ガス発生体の量に見合う量の水を散布することができる点でも、水容器の使用は、過少の水を散布して水素ガスが十分に発生しないことや過剰の水を散布することを避けることができる。
【0033】
紙コップ2の底に配置された水素ガス発生体の入った不織布包装体4に水を散布すると水素ガスが発生する。このとき、水素ガス発生体の入った不織布包装体4に直に水を散布することになるので、水が不織布内の水素ガス発生体に速やかに浸透して確実に反応が生じ、安定して水素ガスが発生する。また、紙コップ内2の水素ガス発生体の入った不織布包装体4へ水が浸透する様子は容易に目視で確認できる。
このように、吸引者は、紙コップ2内の水素ガス発生体の入った不織布包装体4に直に水を散布して、次いで蓋体3を装着して、直ちに蓋体のノズル部32を介して水素ガスを吸引することができ、簡単な操作で水素ガスを安定して発生させて吸引することができる。
【0034】
すでに記載したように、約3gの水素ガス発生体の入った不織布包装体に水を散布することにより、1分間におよそ150mlの水素ガスを発生させることができる。特許文献2に記載されている吸引具では、発生する水素ガスは15分間でせいぜい80ml程度である。また、引用文献1に記載されている吸引具でも、小型の電気分解式であるため、発生する水素ガスの量は、1分当たりせいぜい数ml程度と考えられる。
このように、本発明の吸引具は、短時間で比較的多量の水素ガスを吸引でき、所定量の水素ガスの吸引に拘束される時間を短くできるものである。
【0035】
水素発生体のマグネシウムとクエン酸の反応は発熱反応であるので、紙コップ2内で水素が発生すると、紙コップの表面が50℃くらいになることがあるので、紙コップ2に断熱効果を有するもの、例えばエンボス加工を施したものを使用したり、ダンボール製のスリーブを紙コップに巻いたりして対応することができる。
【0036】
水素ガス吸引者は、蓋体のノズル部32から水素ガスを吸引できるが、ノズル部32の先端に水素ガスの通過孔が形成されたマウスピース6を被せて、マウスピース6を介して水素ガスを吸引してもよい。マウスピース6の中心部には、ノズル部32を介して吸引される水素ガスが通過できる孔が形成されている。マウスピース6をノズル部32に被せた水素ガス吸引具の斜視図を図9に示した。
【0037】
ノズル部32の吸引孔やマウスピース6の水素ガスの通過孔にはスポンジ片を詰めて、発生した水素ガスがノズル部32やマウスピース6の水素ガスの吸引孔や通過孔から外気と直接繋がった状態で流出することを防止する。スポンジ片を詰めたとしても、水素ガスの分子は極めて小さいので、水素ガスの吸引にはほとんど支障はない。
また、芳香剤ボール(フレーバーボール)を例えば2つのスポンジ片でサンドウィッチ状にしてノズル部の吸引孔やマウスピースの通過孔に装入してもよい。こうすることで、芳香のある水素ガスを吸引することができるので、水素ガスを吸引していることが実感できる。
マウスピース6はノズル部32から外せば容易に洗浄することができる。また、マウスピース6にスポンジや芳香剤ボールを入れると、ノズル部32からマウスピース6を取り外して、スポンジや芳香剤ボールの交換が容易に行うことができる。
【0038】
水素ガス吸引具1の大きさは、人が把持できる程度であれば特に制限は無いが、不織布包装体4に包装された水素ガス発生体が3g程度であれば、紙コップ2の高さや開口部の直径を50mm程度、底部の直径を40mm程度、蓋体のノズル部32の長さも40mm程度にすることができ、蓋体3を紙コップ2に装着した水素ガス吸引具1の全長(高さ)を90mm程度にすることができる。
この場合、水容器5の水量は3~5cc程度でよいから、いずれのタイプの水容器5も、高さが50mm、開口部の径が50mm、底部の径が40mm程度の紙コップ2に収納できる程度の寸法にすることができる。
【0039】
水素ガス発生体を入れた不織布包装体4と水容器5と水素ガス吸引具1とを組み合わせた一揃いのセットにした水素ガス吸引セットを携行すれば、水の入手が困難なところでも、水素ガスを吸引できて便利である。その際、水素ガス発生体が入った不織布包装体4と水容器5とを水素ガス吸引具1の紙コップ2に収納して、水素ガス吸引具1をカバンやハンドバッグに入れて携行すれば、水素ガスの吸引に必要なものがセットとしてすぐに取り出せるので、いっそう便利である。
【0040】
紙コップ2は水素ガスを吸引する毎に使い捨てにし、蓋体3は繰り返し使用することができる。
紙コップ2はスタッキング(積み重ね)できるので、積み重ねて複数の紙コップ2を携行することも可能である。また、水素ガス発生体が入った不織布包装体4を収納した紙コップ2、または水素ガス発生体が入った不織布包装体4と水容器5とを収納した紙コップ2を積み重ねて、複数の紙コップを携行することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、簡単な操作で水素ガスを吸引することができ、また水素ガス吸引具が使い捨てにできる紙コップと繰り返し使用できる蓋体とからなる比較的安価なものであるから、日常的に水素ガスを吸引することを望む人々の期待に応えるものである。
【符号の説明】
【0042】
1:水素ガス吸引具
2:紙コップ
21:カール
3:蓋体
31:蓋本体
311:段差部
32:ノズル部
33:円環部
34:板状垂下部
4:水素ガス発生体が入った不織布包装体
5:水容器
6:マウスピース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9