(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145287
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ワイヤレスイヤホン装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20231003BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20231003BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
H04R3/00 310
G10K15/04 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052662
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】309039716
【氏名又は名称】株式会社ディーアンドエムホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】国本 敏季
【テーマコード(参考)】
5D005
5D220
【Fターム(参考)】
5D005BA00
5D220DD03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手が届かないような場所へ落下した場合でも、容易に拾うワイヤレスイヤホン装置を提供する。
【解決手段】ワイヤレスイヤホン装置1において、スピーカ100を収容するイヤホン本体10は、イヤホン本体10にヒンジ17を介して取り付けられたフック16と、ヒンジ17を開く方向にフック16を付勢するコイルスプリング18と、ヒンジ17が閉じた状態でフック16をロックするストッパ19と、ワイヤレスイヤホン装置1の落下を検出する落下センサと、落下センサによりワイヤレスイヤホン装置1の落下を検出した場合に、ストッパ19によるフック16のロックを解除する主制御部と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス接続されたオーディオ機器からオーディオ信号を受信して出力するワイヤレスイヤホン装置であって、
スピーカを収容するイヤホン本体と、
前記イヤホン本体にヒンジを介して取り付けられたフックと、
前記ヒンジを開く方向に前記フックを付勢するバネ部と、
前記ヒンジが閉じた状態で前記フックをロックするストッパと、
前記ワイヤレスイヤホン装置の落下を検出する落下センサと、
前記落下センサにより前記ワイヤレスイヤホン装置の落下が検出された場合に、前記ストッパのロックを解除する制御部と、を備える
ことを特徴とするワイヤレスイヤホン装置
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤレスイヤホン装置であって、
前記イヤホン本体は、
電磁力により振動板を振動させて前記スピーカを駆動するスピーカドライバをさらに収容しており、
前記制御部は、
前記落下センサにより前記ワイヤレスイヤホン装置の落下が検出された場合に、前記スピーカドライバに電磁力を発生させる
ことを特徴とするワイヤレスイヤホン装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のワイヤレス装置であって、
前記イヤホン本体に設けられた表示部をさらに備え、
前記制御部は、
前記落下センサにより前記ワイヤレスイヤホン装置の落下が検出された場合に、前記表示部を点灯あるいは点滅させる
ことを特徴とするワイヤレスイヤホン装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のワイヤレスイヤホン装置であって、
前記イヤホン本体に設けられた警告音出力部をさらに備え、
前記制御部は、
前記落下センサにより前記ワイヤレスイヤホン装置の落下が検出された場合に、前記警告音出力部から警告音を出力させる
ことを特徴とするワイヤレスイヤホン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレスイヤホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、イヤーピースを耳に装着しながら、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により、スマートホン、ポータブルオーディオプレーヤ等のオーディオ機器とワイヤレス接続して、オーディオ機器で再生したオーディオコンテンツを聴取するワイヤレスイヤホン装置が普及している(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤレスイヤホン装置は、ワイヤードイヤホン装置のようにイヤホン装置およびオーディオ機器間を接続するコードの取り回しを気にする必要がなく利便性が高い。
【0005】
しかしながら、ワイヤレスイヤホン装置は、コードでオーディオ機器に接続されているワイヤードイヤホン装置と異なり、何らかの理由によりイヤーピースが耳穴から外れた場合に、地面に落としてしまう可能性がある。
【0006】
例えば、駅のホームで列車を待っているときにホームに落としたワイヤレスイヤホン装置が転がってホームから線路上に落下してしまうことがある。この場合、駅員にマジックハンド等を使って拾ってもらう必要があるが、ワイヤレスイヤホン装置は小さく、マジックハンドで掴み難い。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、手が届かないような場所へ落下した場合でも、容易に拾うことができるワイヤレスイヤホン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明に係るワイヤレスイヤホン装置は、落下すると、その衝撃を検出して、イヤホン本体に収納されたフックを本体から突出させる。
【0009】
例えば、本発明は、
ワイヤレス接続されたオーディオ機器からオーディオ信号を受信して出力するワイヤレスイヤホン装置であって、
スピーカを収容するイヤホン本体と、
前記イヤホン本体にヒンジを介して取り付けられたフックと、
前記ヒンジを開く方向に前記フックを付勢するバネ部と、
前記ヒンジが閉じた状態で前記フックをロックするストッパと、
前記ワイヤレスイヤホン装置の落下を検出する落下センサと、
前記落下センサにより前記ワイヤレスイヤホン装置の落下が検出された場合に、前記ストッパによる前記フックのロックを解除する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、ワイヤレスイヤホン装置が落下すると、フックがイヤホン本体から突出するので、例えば、駅のホームから線路上に落下した場合でも、マジックハンド等を使ってワイヤレスイヤホン装置を容易に拾うことができる。このように、本発明によれば、手が届かないような場所へワイヤレスイヤホン装置が落下した場合でも、ワイヤレスイヤホン装置を容易に拾うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(A)、
図1(B)および
図1(C)は、本発明の一実施の形態に係るワイヤレスイヤホン装置1の左側面図、正面図および右側面図であり、
図1(D)は、ストッパ19によるフック16のロックが解除された状態における
図1(C)のA-A断面拡大図である。
【
図2】
図2(A)は、ストッパ19によりフック16がロックされた状態におけるワイヤレスイヤホン装置1の外観図であり、
図2(B)は、ストッパ19によるフック16のロックが解除された状態におけるワイヤレスイヤホン装置1の外観図である。
【
図3】
図3は、ワイヤレスイヤホン装置1のイヤホン本体10の概略機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1(A)、
図1(B)および
図1(C)は、本発明の一実施の形態に係るワイヤレスイヤホン装置1の左側面図、正面図および右側面図であり、
図1(D)は、ストッパ19によるフック16のロックが解除された状態における
図1(C)のA-A断面拡大図である。また、
図2(A)は、ストッパ19によりフック16がロックされた状態におけるワイヤレスイヤホン装置1の外観図であり、
図2(B)は、ストッパ19によるフック16のロックが解除された状態におけるワイヤレスイヤホン装置1の外観図である。
【0014】
本実施の形態に係るワイヤレスイヤホン装置1は、カナル型のワイヤレスイヤホン装置であり、図示するように、筒状のイヤホン本体10と、イヤーピース15と、フック16と、ヒンジ17と、コイルスプリング18と、ストッパ19と、を備えて構成される。
【0015】
イヤホン本体10は、先端面11に設けられたスピーカ100と、外周面13に設けられたLED(Light Emitting Diode)等の表示器101および警告ブザー102と、を有する。また、イヤホン本体10の後端面12には、フック16を収容する凹状の収容部14が形成されている。
【0016】
イヤーピース15は、スピーカ100を耳穴に挿入してワイヤレスイヤホン装置1を耳に装着するためのものであり、スピーカ100に取り付けられる。
【0017】
フック16は、その脚端部160がヒンジ17を介してイヤホン本体10の収容部14に取り付けられており、ヒンジ17を回転軸として、ヒンジ17の開閉角度の範囲内で回転可能である。これにより、フック16は、ヒンジ17が閉じた状態では、収容部14に収容され、ヒンジ17が開いた状態では、イヤホン本体10の後端面12から突出する。
【0018】
コイルスプリング18は、ヒンジ17が開く方向にフック16を付勢する。
【0019】
ストッパ19は、ヒンジ17が閉じた状態(フック16が収容部14に収容された状態)でフック16をロックする(
図2(A)参照)。そして、ストッパ19によるフック16のロックが解除されると、フック16は、コイルスプリング18による付勢で、ヒンジ17が開く方向に回動して、イヤホン本体10の後端面12から突出する(
図1(D)および
図2(B)参照)。
【0020】
図3は、ワイヤレスイヤホン装置1のイヤホン本体10の概略機能構成図である。
【0021】
図示するように、イヤホン本体10は、上述のスピーカ100、表示器101、および警告ブザー102に加えて、近距離無線通信部103と、スピーカドライバ(磁器回路)104と、落下センサ105と、ストッパ駆動モータ106と、主制御部107と、をさらに有する。
【0022】
近距離無線通信部103は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によりスマートホン、ポータブルオーディオプレーヤ等のオーディオ機器とワイヤレス接続するためのインターフェースである。
【0023】
スピーカドライバ104は、磁石を備えた磁器回路であり、近距離無線通信部103を介してオーディオ機器より受信したオーディオ再生信号に従って、電磁力により振動板を振動させてスピーカ100を駆動する。これにより、スピーカ100が放音する。
【0024】
落下センサ105は、ショックセンサであり、ワイヤレスイヤホン装置1が落下して地面と衝突したときに発生する衝撃(所定値以上の加速度)を検知する。
【0025】
ストッパ駆動モータ106は、ストッパ19を回転させることにより、フック16のロックおよびロック解除を制御する。
【0026】
そして、主制御部107は、イヤホン本体10の各部100~106を統括的に制御する。また、主制御部107は、落下センサ105が所定値以上の加速度を検知した場合に、下記の処理(1)~(4)を実施する。
【0027】
(1)ストッパ19によるフック16のロック解除
主制御部107は、ストッパ駆動モータ106を制御してストッパ19を回転させ、ストッパ19によるフック16のロックを解除する。これにより、フック16は、コイルスプリング18の付勢により、ヒンジ17が開く方向に回転して、イヤホン本体10の後端面12から突出する(
図1(D)および
図2(B)参照)。
【0028】
(2)スピーカドライバ104による電磁力発生
主制御部107は、電磁力(例えば最大限の電磁力)を発生させるようにスピーカドライバ104を制御する。これにより、ワイヤレスイヤホン装置1は、鉄棒等の磁性体に吸着可能となる。
【0029】
(3)表示器101の注意喚起表示
主制御部107は、表示器101を点灯あるいは点滅させる。
【0030】
(4)警告ブザー102の警告音出力
主制御部107は、警告ブザー102に警告音を出力させる。
【0031】
なお、
図3に示すイヤホン本体10の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)、マイクロコンピュータなどの計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。
【0032】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0033】
本実施の形態において、ワイヤレスイヤホン装置1は、例えば耳から外れて地面に落下すると、その衝撃を検知して、ストッパ19がフック16のロックを解除するとともに、スピーカドライバ104が電磁力を発生させる。ストッパ19によるロックが解除されることにより、ヒンジ17により回転可能に支持されたフック16が、コイルスプリング18の付勢により回転し、イヤホン本体10の後端面12から突出する。このため、例えば、ワイヤレスイヤホン装置1が駅のホームから線路上に落下した場合でも、マジックハンド等を使って容易に拾うことができる。また、スピーカドライバ10が電磁力を発生させることにより、例えば、ワイヤレスイヤホン装置1が駅のホームから線路上に落下した場合でも、鉄棒等に吸着させて容易に拾うことができる。
【0034】
このように、本実施の形態によれば、手が届かないような場所へ落下した場合でも、容易に拾うことができる。
【0035】
また、本実施の形態において、ワイヤレスイヤホン装置1は、耳から外れて地面に落下すると、その衝撃を検知して、表示器101が点灯あるいは点滅するとともに、警告ブザー102から警告音を出力する。これにより、例えば、乗車中の列車において、床に落としてワイヤレスイヤホン装置1が他の乗客の足元に転がった場合でも、容易にワイヤレスイヤホン装置1を見つけ出すことができる。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、落下したワイヤレスイヤホン装置1を見失った場合でも、容易にワイヤレスイヤホン装置1を見つけ出すことができる。
【0037】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0038】
例えば、上記の実施の形態では、落下センサ105が所定値以上の加速度を検知した場合に、ストッパ19によるフック16のロックを解除して、コイルスプリング18に付勢されているフック16を、ヒンジ17周りに回転させてイヤホン本体10の後端面12から突出させている。しかし、本発明はこれに限定されない。落下センサ105が所定値以上の加速度を検知した場合に、フック16がイヤホン本体10から突出するものであればよい。例えば、モータの回転運動を直線運動に変換する機構(ギア)をイヤホン本体10に搭載して、この機構に取り付けられたフック16をイヤホン本体10内に収容し、落下センサ105が所定値以上の加速度を検知した場合に、モータを回転させてフック16をイヤホン本体10から突出させるようにしてもよい。
【0039】
また、上記の実施の形態では、落下センサ105が所定値以上の加速度を検知した場合に、スピーカドライバ104に電磁力を発生させている。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、スピーカドライバ104が備える磁石をイヤホン本体10の外周面13の近くに配置あるいは外周面13から露出させることで、スピーカドライバ104に電磁力を発生させなくても、鉄棒等に吸着させることができるようにしてもよい。
【0040】
また、上記の実施の形態では、落下センサ105が所定値以上の加速度を検知した場合に、警告ブザー102から警告音を出力している。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、警告音に代えて警告メッセージを音声出力するようにしてもよい。また、スピーカドライバ104を制御して、警告音あるいは警告メッセージをスピーカ100から最大音量で出力させてもよい。この場合、警告ブザー102を省略することができる。
【0041】
また、上記の実施の形態では、落下センサ105が所定値以上の加速度を検知した場合に、上述の(1)ストッパ19によるフック16のロック解除、(2)スピーカドライバ104による電磁力発生、(3)表示器101の注意喚起表示、および、(4)警告ブザー102の警告音出力、を実施している。しかしながら、本発明はこれに限定されない。本発明は、ワイヤレスイヤホン装置1が落下した場合に、これら(1)~(4)の少なくともいずれか一つを実施するものであればよい。例えば、(1)、(2)のいずれか一方と、(3)、(4)のいずれか一方と、を実施するものでもよい。
【0042】
また、ワイヤレスイヤホン装置1が落下したときの衝撃により、フック16とストッパ19との係合が外れて、付勢されたフック16が収容部14から飛び出すようにしてもよい。
【0043】
また、上記の実施の形態では、フック16が、ロック解除によりイヤホン本体10の後端面12から突出するようにしているが、例えば、イヤホン本体10にフック16をヒンジ17周りに約180度回転可能に取り付けることより、フック16がイヤホン本体10の外周面13から突き出すようにしてもよい。これにより、床面等でのワイヤレスイヤホン装置1の転がりを防止することができる。
【符号の説明】
【0044】
1:ワイヤレスイヤホン装置 10:イヤホン本体
11:イヤホン本体10の先端面 12:イヤホン本体10の後端面
13:イヤホン本体の外周面 14:収容部
15:イヤーピース 16:フック 17:ヒンジ
18:コイルスプリング 19:ストッパ
100:スピーカ 101:表示器 102:警告ブザー
103:近距離無線通信部 104:スピーカドライバ
105:落下センサ 106:ストッパ駆動モータ
107:主制御部 160:フック16の脚端部