IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社キングジムの特許一覧

<>
  • 特開-ファイル 図1
  • 特開-ファイル 図2
  • 特開-ファイル 図3
  • 特開-ファイル 図4
  • 特開-ファイル 図5
  • 特開-ファイル 図6
  • 特開-ファイル 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014529
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
   B42F 7/00 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
B42F7/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118525
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000129437
【氏名又は名称】株式会社キングジム
(72)【発明者】
【氏名】名越 瑠美
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QA01
2C017QD02
(57)【要約】
【課題】 書類などの被保持物を収容するための保持部が表紙に取り付けられたファイルであって、当該保持部に収容された被保持物がポケットから離脱するのを防ぐよう形成された保持部を有するファイルを提供する。
【解決手段】 ファイル1は、それを開いた状態における表紙体2の一面の左右方向中央に、一端部にファスナー31を有するポケット3が溶着などの方法により接合され、被収容物41、42は、ポケット3の中に配置された状態でファスナー31が閉じられることにより、ポケット3に離脱不納に収容される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表紙体とこれに取り付けられる袋状に形成されたポケットとからなるファイルであって、前記表紙体は、前記ポケットを取り付けるための固定部を有し、
前記ポケットは、一端部にファスナーを有し、前記固定部に固定される被固定部を有する
ファイル。
【請求項2】
前記被固定部は、前記ポケットの端部であって前記一端部と対向する位置に設けられた
請求項1に記載のファイル。
【請求項3】
前記表紙体は、第一表紙と第二表紙とが連設されてなり、
前記固定部は、前記第一表紙に設けられた
請求項1または請求項2に記載のファイル。
【請求項4】
前記表紙体は、第一表紙と第二表紙とが連設されてなり、
前記固定部は、第一表紙と第二表紙とにそれぞれ設けられた
請求項1または請求項2に記載のファイル。
【請求項5】
前記表紙体は、第一表紙と背表紙と第二表紙とが連設されてなり、
前記固定部は、前記背表紙に設けられた
請求項1または請求項2に記載のファイル。
【請求項6】
前記表紙体と前記ポケット体とはともに合成樹脂材料により形成され、
前記固定部と前記被固定部とは溶着により固定されている
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類などの被保持物を収容するための保持部を有し、当該保持部が表紙に取り付けられたファイルであって、当該保持部に収容された被保持物がポケットから離脱するのを防ぐよう形成されたファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のポケットが表紙に固着されたファイルは、例えば特開平5-177970号や特開2004-216595号に開示されるように、薄肉状に形成された合成樹脂製のシートにより一辺に開口部を有する四角形の袋体が形成され、当該袋体が合成樹脂製の表紙に対して熱溶着や超音波溶着により固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-177970号公報
【特許文献2】特開2004-216595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明に係るファイルの保持部は、四角形の一端部が開口部を形成し他端部が閉部を形成する袋体からなり、表紙と袋体とが当該袋体の開口部を形成する辺の略中央からその辺と直交する方向に連続して溶着されて、溶着された箇所を介して、それぞれ一端に開口部を有し隣り合う2の保持部であるポケットが形成される。
【0005】
当該ファイルは、袋体の略全長に亘って溶着されて隣接する2のポケットの境界線が形成されており、このポケットに収納する書類などの被保持物の幅とポケットの幅(境界線とこれと対向する位置にある閉塞された端部との距離)とが近いと、開口部から収容物を入れるとき、被保持物とポケットの内面との間に生じる摩擦力に抗して被保持物をポケットの底側端に向けて押し込む必要があり、その様に押し込むに際してその移動は開口部側端から底側端に向けた略直線方向にしか許容されないため、当該行為を実行しようとする者(利用者)に正確な動作が求められ、特に被保持物が紙片等のように柔らかいものであれば、正確に動作しないと被保持物が折れ曲がってしまうことがある。
【0006】
特許文献2に記載の発明に係るファイルは、袋体を表紙に固着するにあたり開口部近傍を溶着しない、すなわち開口部近傍で隣接する2のポケットの間に閉じられない箇所を設けている。これにより、例えば第1のポケットの開口部の境界線近傍の箇所が第1のポケットと隣り合う第2のポケットの開口部を兼ねるようにできるため、開口部がポケットの幅よりもやや大きいものとして扱うことができることから、ポケットの幅に近い幅を有する被保持物をポケットの底側端に向けて押し込みを開始した直後の時点では、開口部側端から底側端に向けた略直線方向以外の方向への移動が幾らか許容されるため、特許文献1に記載の発明に係るファイルと比べると作業性がやや向上している。
【0007】
この様に、従来のポケットが表紙に固着されたファイルは、被保持物とポケットとの大きさが著しく異なるものではなく、被保持物がポケットに収容されているときに両者が接触する面積が大きく、それにより被保持物とポケットの内面との摩擦力は比較的大きいため、被保持物をポケットに収容する際には、被保持物をポケットの底端(開口部と対向する位置にある閉塞された端部)に向けて押し込むという利用者による外力が与えられる必要があることを想定したものであり、翻って、ポケットに収容された被保持物をポケットから離脱させるに際しても、当該被保持物をポケットから引き出すという利用者による外力が与えられる必要があることを想定したものであるといえる。
【0008】
しかし、この様なファイルは、被保持物がポケットに収容された状態を維持することを両者の間の摩擦力のみに頼るものであり、被保持物が埃や油を帯びてその摩擦係数が低い状態でポケットに収容されているときや、被保持物とポケットの間に空気が入り両者が接触する面積が小さい状態で収容されているときに、ポケットの開口部を地球の中心に向けると、当該被保持物が、地球の重力により当該被保持物とポケットの内面との摩擦力を越える力を受け、開口部を通ってポケットから離脱する(落ちる)ことがある。
【0009】
また、この様なファイルに保持される被保持物と当該ファイルのポケットとは、必ずしも同じかそれに近い大きさである必要はなく、利用者の意思とそれに基づく行動により、ポケットの大きさよりもはるかに小さいものが被保持物として選択される場合を排除すべき特段の事情はなく、この様な被保持物がポケットに収容された状態では、当該被保持物とポケットとが接触する面積が小さく、それにより被保持物とポケットの内面との摩擦力は小さいため、その様なポケットの開口部を地球の中心に向けたときも去ることながら、その様なポケットを振ったときもまた被保持物は容易にポケットから離脱してしまう。
【0010】
本発明は、ポケットが表紙に固定されたファイルにおいて、ポケットに収容されて保持された被保持物が容易にポケットから離脱しないものとすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、表紙体とこれに取り付けられる袋状に形成されたポケットとからなるファイルであって、前記表紙体は、前記ポケットを取り付けるための固定部を有し、前記ポケットは、一端部にファスナーを有し、前記固定部に固定される被固定部を有するファイルである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記被固定部は、前記ポケットの端部であって前記一端部と対向する位置に設けられた請求項1に記載のファイルである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記表紙体は、第一表紙と第二表紙とが連設されてなり、前記固定部は、前記第一表紙に設けられた請求項1または請求項2に記載のファイルである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記表紙体は、第一表紙と第二表紙とが連設されてなり、前記固定部は、第一表紙と第二表紙とにそれぞれ設けられた請求項1または請求項2に記載のファイルである。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記表紙体は、第一表紙と背表紙と第二表紙とが連設されてなり、前記固定部は、前記背表紙に設けられた請求項1または請求項2に記載のファイルである。
【0016】
請求項6に記載の発明は、前記表紙体と前記ポケット体とはともに合成樹脂材料により形成され、前記固定部と前記被固定部とは溶着により固定されている請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のファイルである。
【発明の効果】
【0017】
本発明に拠れば、ポケットが表紙に固定されたファイルにおいて、被保持物を収納するためにこれをポケットの一端部に設けられたファスナーを開口させ、その様に形成された開口部から容易に被保持物をポケットに入れることができるとともに、当該開口部を閉じて閉塞部を形成することにより、ポケットに収容されて保持された被保持物が容易にポケットから離脱しないファイルを提供することができる。
【0018】
閉塞部を形成することにより、従来のファイルのように被保持物がポケットに収容された状態を維持することを両者の間の摩擦力のみに頼るのではないため、閉塞部を地球の中心に向け、当該被保持物が、地球の重力により当該被保持物とポケットの内面との摩擦力を越える力を受けたとしても、閉塞部により被収容物がポケットから離脱しようとする動きが阻まれるため、閉塞部を通ってポケットから離脱する(落ちる)ことがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ファイルを開いた状態を示す平面図
図2】ポケットが装着されていないファイルを開いた状態を示す平面図
図3】ポケットに被保持物を収容した状態を示す斜視図
図4】開口部を設けた状態を示す拡大断面図
図5】開口部を設けた状態を示す拡大斜視図
図6】閉塞部を設けた状態を示す拡大断面図
図7】閉塞部を設けた状態を示す拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本明細書において、図1において視認される上下方向を「ファイルの上下方向」とし、同様に視認される左右方向を「ファイルの左右方向」とする。
【0021】
図1に示されるファイル1は、それを開いた状態における表紙体2の一面の左右方向中央に、後述する第一シート32と第二シート33とが重合されて袋体を形成するとともに一端部にファスナー31を有するポケット3が溶着などの方法により接合されることで、当該溶着された箇所に被固定部34が形成されているものである。
【0022】
被固定部34は、ポケット3においてファスナー31が設けられた一端部と対向する位置にある他端部に設けられてもよく、この様な場合、図1に示されるようにファイルを開いた状態において、ファスナー31はファイル1の略左右両端に位置することになり、ファスナー31の閉塞部36を開いて開口部35を設けると、被収容物41、42を左右方向両端から中央方向に向けて挿入し、被収容物41、42を取り出すときには、被収容物41、42にこれと逆方向の動きを与えればよい。
【0023】
しかし、ポケット3はこの様な形態に限られるべきものでははなく、図示しないが、ファスナー31がポケット31の上端部に設けられ、ファイルを開いた状態において、左右両方のポケットのファスナー31が、ファイル1の略上端に位置してもよく、左右両方のポケットのファスナー31がファイル1の略下端に位置してもよく、さらに、左右いずれかのポケット31のファスナー31がファイル1の略上端に位置し、他方のポケット31のファスナー31がファイル1の略下端に位置してもよい。
【0024】
図2に示される表紙体2は、それを開いた状態において、表紙体2は、第一表紙21と背表紙23と第二表紙22とがヒンジ24を介して右から左に向けて連設されており、背表紙23の左右方向略中央に、ポケット3が溶着などの方法により接合されることで当該溶着された箇所に被固定部34が形成されることに伴い固定部25が形成される。
【0025】
しかし、表紙体2は、表紙体2を開いた状態において、第一表紙21と背表紙23と第二表紙22とがヒンジ24を介して右から左に向けて連設される形態に限られるに限られるべきものでははなく、図しないが、表紙体2は、第一表紙21と第二表紙22とがヒンジ24を介して右から左に向けて連設される形態であってもよい。
【0026】
この様な場合、固定部25は第一表紙21と第二表紙22との何れかに設けられても、両方に設けられてもよい。
【0027】
なお、被固定部34が形成される前の状態であれば、固定部25が形成される前でもあるが、図2においては、説明の便宜上、形成される前の固定部25を描き入れている。
【0028】
図3に示すように、被収容物41、42は、ファスナー31と被固定部34との間に位置するよう配置され、ファスナー31が閉じられる、すなわち、後述する閉塞部36が形成されることにより、ポケット3に離脱不納に収容される。
【0029】
ポケット3に被収容物41、422のようなポケット3の面積に比して著しく小さい面積を有するものが収容される場合、前述した通り、特許文献1に記載の考案及び特許文献2に記載の発明に係るファイルであれば、被収容物41、42は容易に離脱し得るものであるが、ファスナー31により閉塞部36が形成されることにより、これを防ぐことができる。
【0030】
図4及び図5に示すように、ポケット3は、ファスナー31が開かれた状態、すなわち係合部311と被係合部312とが離脱した状態では、第一シート32と第二シート33との間にすき間が生じ、このすき間が開口部35を形成する。
【0031】
開口部35を形成することにより、開口部35からこれと対向する位置にある閉塞された端部に向けて被収容物41、42を挿入することができ、被収容物41、42を取り出すときには、被収容物41、42にこれと逆方向の動きを与えればよい。
【0032】
図6図7に示すように、ポケット3は、ファスナー31が閉じられた状態、すなわち係合部311と被係合部312とが係合した状態では、第一シート32と第二シート33との間のすき間はファスナー31がある位置で滅し、この箇所が閉塞部36を形成する。
【0033】
閉塞部36は、図6に示すように、係合部311と被係合部312とが係合することにより、少なくともこの箇所において第一シートと第二シートとの間の隙間が滅することで、ポケット3に収容された被収容物41、42が第一シートと第二シートとの間であって閉塞部36がある箇所を通過することが出来ないため、当該被収容物41、42がポケット3から離脱することが防がれる。
【0034】
以上の通り、本発明に拠れば、ポケット3は、第一シート32と第二シート33とが重合されて袋体を形成するとともに一端部にファスナー31を有するため、ファスナー31の閉塞部36を開いて開口部35を設けると、被収容物41、42を開口部35からこれと対向する位置にある閉塞された端部向けて挿入し、被収容物41、42を取り出すときには、被収容物41、42にこれと逆方向の動きを与えればよく、被収容物41、42がポケット3に収容された状態でファスナー31が閉じられる、すなわち、閉塞部36が形成されることにより、その様な被収容物41、42がポケット3から離脱することを防ぐことが出来るため、非常に使い勝手の良いものである。
【符号の説明】
【0035】
1 ファイル
2 表紙体
21 第一表紙
22 第二表紙
23 背表紙
24 ヒンジ
25 固定部
3 ポケット
31 ファスナー
311 係合部
312 被係合部
32 第一シート
33 第二シート
34 被固定部
35 開口部
36 閉塞部
41 被保持物
42 被保持物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7