(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145295
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】画像投影装置、視覚検査装置、および眼底撮影装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20231003BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20231003BHJP
A61B 3/024 20060101ALI20231003BHJP
A61B 3/02 20060101ALI20231003BHJP
A61B 3/14 20060101ALI20231003BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20231003BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B26/10 C
A61B3/024
A61B3/02
A61B3/14
A61B3/10 300
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091687
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2022051969の分割
【原出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】506423051
【氏名又は名称】株式会社QDレーザ
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137615
【弁理士】
【氏名又は名称】横山 照夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誠
【テーマコード(参考)】
2H045
2H199
4C316
【Fターム(参考)】
2H045AB01
2H045BA13
2H045BA24
2H199CA02
2H199CA07
2H199CA29
2H199CA34
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA46
2H199CA47
2H199CA59
2H199CA70
4C316AA09
4C316AB11
4C316AB12
4C316AB16
4C316FA01
4C316FB11
4C316FY06
4C316FZ01
(57)【要約】
【課題】複数の光線が網膜に照射される範囲の水平方向の画角および垂直方向の画角のうち大きい方の画角の半角が10°以上である場合に、複数の光線の網膜上の直径が所定の範囲内に収まるようにすること。
【解決手段】光源12と、光源12から出射される光線40を走査する走査部20と、走査部20から異なる時間に出射される複数の光線40を使用者の眼60内の収束点46で収束させた後に使用者の網膜62に照射して画像を投影する照射光学系30と、を備え、使用者の角膜66に入射する複数の光線40の直径が0.41mm±0.05mm以内のとき、網膜62に投影された複数の光線40の投影範囲の画角が30度の範囲内で、複数の光線40の網膜62上での直径が略一定となる、画像投影装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射される光線を走査する走査部と、
前記走査部から異なる時間に出射される複数の前記光線を使用者の眼内の収束点で収束させた後に前記使用者の網膜に照射して画像を投影する光学系と、を備え、
前記使用者の角膜に入射する前記複数の光線の直径が0.41mm±0.05mm以内のとき、前記網膜に投影された前記複数の光線の投影範囲の画角が30度の範囲内で、前記複数の光線の前記網膜上での直径が略一定となる、画像投影装置。
【請求項2】
前記複数の光線の前記網膜上での直径が55μm以上かつ77μm以下となる、請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項3】
前記網膜上での前記複数の光線の直径の最大値と最小値との差が22μm以下となる、請求項1または2に画像投影装置。
【請求項4】
光源と、
前記光源から出射される光線を走査する走査部と、
前記走査部から異なる時間に出射される複数の前記光線を使用者の眼内の収束点で収束させた後に前記使用者の網膜に照射して画像を投影する光学系と、を備え、
前記使用者の角膜に入射する前記複数の光線の直径が0.25mm以上かつ1mm以内のとき、前記網膜に投影された前記複数の光線の投影範囲の画角が30度の範囲内で、眼軸長が23mm以上かつ26mm以下の前記使用者の網膜上で、前記複数の光線の直径が略一定となる、画像投影装置。
【請求項5】
前記複数の光線は、赤色光、緑色光の3種の光が合波された合波光であって、
前記使用者の網膜上で、前記複数の光線の前記3種の光のそれぞれの直径が略一定となる、請求項4に記載の画像投影装置。
【請求項6】
光源と、
前記光源から出射される光線を走査する走査部と、
前記走査部から異なる時間に出射される複数の前記光線を被検者の眼内の収束点で収束させた後に前記被検者の網膜に照射する光学系と、
前記網膜に照射された前記複数の光線に対する前記被検者の応答が入力される入力部と、を備え、
前記被検者の角膜に入射する前記複数の光線の直径が0.41mm±0.05mm以内のとき、前記網膜に投影された前記複数の光線の投影範囲の画角が30度の範囲内で、前記複数の光線の前記網膜上での直径が略一定となる、視覚検査装置。
【請求項7】
前記被検者は、前記網膜に順々に照射される前記複数の光線各々に対して前記入力部を操作して応答する、請求項6に記載の視覚検査装置。
【請求項8】
光源と、
前記光源から出射される光線を走査する走査部と、
前記走査部から異なる時間に出射される複数の前記光線を被検者の眼内の収束点で収束させた後に前記被検者の網膜に照射する光学系と、
前記網膜で反射した前記複数の光線を検出する検出器と、
前記検出器で検出した前記複数の光線から前記被検者の眼底画像を取得する取得部と、を備え、
前記被検者の角膜に入射する前記複数の光線の直径が0.41mm±0.05mm以内のとき、前記網膜に投影された前記複数の光線の投影範囲の画角が30度の範囲内で、前記複数の光線の前記網膜上での直径が略一定となる、眼底撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置、視覚検査装置、および眼底撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走査された光線を眼内で収束させた後に網膜に照射するマクスウェル視を利用した画像投影装置が知られている(例えば特許文献1、2)。また、このような、マクスウェル視を用いた視覚検査装置も知られている(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-116219号公報
【特許文献2】特開2014-102368号公報
【特許文献3】国際公開第2019/069578号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マクスウェル視では、走査部から異なる時間に出射される複数の光線は、使用者等の眼内の収束点で収束した後に網膜に照射される。この場合に、眼内の収束点での複数の光線が網膜に照射される範囲の水平方向の画角および垂直方向の画角のうち大きい方の画角の半角を10°以上にすることが望まれている。このような画角によって複数の光線が網膜に照射される場合でも、複数の光線の網膜上での直径は、網膜のどの位置においても所定の範囲内に収まることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、複数の光線が網膜に照射される範囲の水平方向の画角および垂直方向の画角のうち大きい方の画角の半角が10°以上である場合に、複数の光線の網膜上の直径が所定の範囲内に収まるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光源と、前記光源から出射される光線を走査する走査部と、前記走査部から異なる時間に出射される複数の前記光線を使用者の眼内の収束点で収束させた後に前記使用者の網膜に照射して画像を投影する光学系と、を備え、前記使用者の角膜に入射する前記複数の光線の直径が0.41mm±0.05mm以内のとき、前記網膜に投影された前記複数の光線の投影範囲の画角が30度の範囲内で、前記複数の光線の前記網膜上での直径が略一定となる、画像投影装置である。
【0007】
上記構成において、前記複数の光線の前記網膜上での直径が55μm以上かつ77μm以下となる構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記網膜上での前記複数の光線の直径の最大値と最小値との差が22μm以下となる構成とすることができる。
【0009】
本発明は、光源と、前記光源から出射される光線を走査する走査部と、前記走査部から異なる時間に出射される複数の前記光線を使用者の眼内の収束点で収束させた後に前記使用者の網膜に照射して画像を投影する光学系と、を備え、前記使用者の角膜に入射する前記複数の光線の直径が0.25mm以上かつ1mm以内のとき、前記網膜に投影された前記複数の光線の投影範囲の画角が30度の範囲内で、眼軸長が23mm以上かつ26mm以下の前記使用者の網膜上で、前記複数の光線の直径が略一定となる、画像投影装置である。
【0010】
上記構成において、前記複数の光線は、赤色光、緑色光の3種の光が合波された合波光であって、前記使用者の網膜上で、前記複数の光線の前記3種の光のそれぞれの直径が略一定となる構成とすることができる。
【0011】
本発明は、光源と、前記光源から出射される光線を走査する走査部と、前記走査部から異なる時間に出射される複数の前記光線を被検者の眼内の収束点で収束させた後に前記被検者の網膜に照射する光学系と、前記網膜に照射された前記複数の光線に対する前記被検者の応答が入力される入力部と、を備え、前記被検者の角膜に入射する前記複数の光線の直径が0.41mm±0.05mm以内のとき、前記網膜に投影された前記複数の光線の投影範囲の画角が30度の範囲内で、前記複数の光線の前記網膜上での直径が略一定となる、視覚検査装置である。
【0012】
上記構成において、前記被検者は、前記網膜に順々に照射される前記複数の光線各々に対して前記入力部を操作して応答する構成とすることができる。
【0013】
本発明は、光源と、前記光源から出射される光線を走査する走査部と、前記走査部から異なる時間に出射される複数の前記光線を被検者の眼内の収束点で収束させた後に前記被検者の網膜に照射する光学系と、前記網膜で反射した前記複数の光線を検出する検出器と、前記検出器で検出した前記複数の光線から前記被検者の眼底画像を取得する取得部と、を備え、前記被検者の角膜に入射する前記複数の光線の直径が0.41mm±0.05mm以内のとき、前記網膜に投影された前記複数の光線の投影範囲の画角が30度の範囲内で、前記複数の光線の前記網膜上での直径が略一定となる、眼底撮影装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の光線が網膜に照射される範囲の水平方向の画角および垂直方向の画角のうち大きい方の画角の半角が10°以上である場合に、複数の光線の網膜上の直径が所定の範囲内に収まるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施例1に係る画像投影装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係る画像投影装置の光学系を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例1における光線について示す図である。
【
図4】
図4は、実施例1における画像の生成方法を示す図である。
【
図5】
図5(a)から
図5(d)は、シミュレーション1の結果を示すグラフである。
【
図6】
図6(a)から
図6(c)では、光線に単一波長の光線を用いた場合での、角度αに対する光線のスポット径のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図7】
図7(a)から
図7(d)は、シミュレーション2の結果を示すグラフである。
【
図8】
図8は、光線の角膜入射径に対する光線のスポット径のシミュレーション結果を示すグラフである。
【
図9】
図9(a)および
図9(b)は、シミュレーション3の結果を示すグラフである。
【
図10】
図10は、実施例2に係る視覚検査装置のブロック図である。
【
図11】
図11は、実施例2に係る視覚検査装置の光学系を示す図である。
【
図12】
図12は、実施例2に係る視覚検査装置の検査方法の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13(a)から
図13(c)は、
図12のフローチャートにおいて網膜に投影される検査用の画像を説明する図である。
【
図14】
図14は、実施例3に係る眼底撮影装置のブロック図である。
【
図15】
図15は、実施例3に係る眼底撮影装置の光学系を示す図である。
【
図16】
図16は、実施例3に係る眼底撮影装置の検査方法の一例を示すフローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【実施例0017】
図1は、実施例1に係る画像投影装置100のブロック図である。
図1に示すように、画像投影装置100は、投影部10と制御部50を備える。投影部10は、光源12と、レンズ16およびアパーチャー18を含む調整部14と、走査部20と、駆動回路22と、入力回路24と、照射光学系30と、を備える。制御部50は画像制御部52を備える。
【0018】
画像制御部52は、図示しないカメラおよび/または録画機器等から画像データが入力される。画像制御部52は、入力された画像データに基づいて画像信号を生成し、入力回路24に出力する。駆動回路22は、画像制御部52の制御信号および入力回路24が取得した画像信号に基づき、光源12および走査部20を駆動する。
【0019】
光源12は、例えば赤色レーザ光(波長:610nm~660nm程度)、緑色レーザ光(波長:515nm~540nm程度)、および青色レーザ光(波長:440nm~480nm程度)の可視光である光線40(レーザ光)を出射する。赤色、緑色、および青色のレーザ光を出射する光源12として、例えばRGB(赤・緑・青)それぞれのレーザダイオードチップと3色合成デバイスとが集積された光源が挙げられる。なお、光源12は、単一の波長の光線40を出射してもよい。
【0020】
調整部14は、光線40を成型する。走査部20(スキャナ)は、例えばMEMS(Micro Electric Mechanical System)ミラー等の走査ミラー、または透過型のスキャナであり、光線40を二次元方向に走査する。照射光学系30は、走査された光線40をユーザー(使用者)の眼60に照射する。
【0021】
画像制御部52は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムと協働し処理を行ってもよい。画像制御部52は、専用に設計された回路でもよい。画像制御部52は、ユーザーの視線方向に向けて適切な位置に設置されたカメラから入力された画像をユーザーの眼60に投影するようにしてもよい。また、画像制御部52は、録画機器等から入力された画像を投影したり、カメラ画像と録画機器等からの画像とをスーパーインポーズさせたりして、いわゆる仮想現実(AR:Augmented Reality)を投影してもよい。
【0022】
図2は、実施例1に係る画像投影装置100の光学系を示す図である。
図2に示すように、画像投影装置100は、ユーザーに画像を視認させるための光線40がユーザーの網膜62に直接照射される、マクスウェル視を利用した網膜投影型ヘッドマウントディスプレイである。
【0023】
光源12は、画像制御部52(
図1参照)の制御に基づき、光線40を出射する。光源12が出射する光線40はレンズ16を透過する。レンズ16は、光線40を拡散光から集束光に変換する集光レンズである。レンズ16を透過した光線40は、アパーチャー18により直径が調整される。アパーチャー18を通過した光線40は走査部20に入射する。走査部20は、光線40を水平方向および垂直方向の二次元方向に走査する。
【0024】
走査部20により二次元方向に走査され、走査部20から異なる時間において異なる方向に出射された複数の光線40は、照射光学系30に入射する。照射光学系30は、反射ミラー32と、投射ミラー34と、レンズ36と、を備える。光源12、調整部14、走査部20、および照射光学系30の各部品は、例えばメガネ型フレーム42に固定されている。
【0025】
走査部20から出射された複数の光線40は、反射ミラー32に入射する。反射ミラー32は、自由曲面等の曲面からなる反射面を有する凹面ミラーであり、正の集光パワーを有する。反射ミラー32で反射した複数の光線40は、投射ミラー34の手前の収束点44で収束する。レンズ36が収束点44に設けられている。レンズ36は例えば両凸レンズである。複数の光線40は、レンズ36を透過して投射ミラー34に入射する。
【0026】
投射ミラー34は、ユーザーの眼60の前方に配置されている。投射ミラー34は、自由曲面等の曲面からなる反射面を有する凹面ミラーであり、正の集光パワーを有する。投射ミラー34は複数の光線40をユーザーの眼60に向けて反射する。投射ミラー34で反射した複数の光線40は、ユーザーの眼60の瞳孔64を通過し、眼60内の収束点46で収束した後に網膜62に照射される。収束点46は、例えば水晶体68または水晶体68近傍に位置する。複数の光線40が網膜62に照射されることで、ユーザーは画像を視認することができる。
【0027】
図3は、実施例1における光線40について示す図である。
図3に示すように、光源12が出射する光線40はレンズ16を透過する。レンズ16は、光線40を拡散光から集束光に変換する集光レンズである。レンズ16を透過した光線40は、アパーチャー18により直径が調整される。アパーチャー18は、光線40の一部を遮蔽するとともに残りを通過させる開口を有する。開口は、一定の大きさに固定されていて、例えばほぼ円形形状をしている。開口の直径は、光線40がユーザーの角膜66に入射するときの直径が0.36mm~0.46mmの範囲に収まるように設定されている。すなわち、光線40がユーザーの角膜66に入射するときの直径は、実際の投影としては、0.41mmを中央値として、±0.05mmの範囲に収まっている。
【0028】
アパーチャー18を通過した光線40は、集束光の状態で走査部20に入射する。走査部20により二次元方向に走査され、走査部20から異なる時間において異なる方向に出射された複数の光線40は、反射ミラー32に入射する。複数の光線40各々は、反射ミラー32の手前で集光した後に拡散光となって反射ミラー32に入射する。反射ミラー32は正の集光パワーを有するため、複数の光線40各々は、反射ミラー32で反射されることで、拡散光から略平行光に変換される。レンズ16は、反射ミラー32で反射した光線40が略平行光になるように、光源12と走査部20との間に設けられたものである。
【0029】
反射ミラー32で反射した複数の光線40は、投射ミラー34の手前の収束点44で収束する。収束点44にはレンズ36が設けられている。レンズ36は、複数の光線40各々を略平行光から集束光に変換する集光レンズである。レンズ36を透過した複数の光線40各々は、投射ミラー34の手前の集光点48で集光した後に拡散光となって投射ミラー34に入射する。
【0030】
投射ミラー34は正の集光パワーを有するため、複数の光線40各々は、投射ミラー34で反射されることで、拡散光から略平行光に変換されて、ユーザーの眼60に入射する。したがって、複数の光線40が眼60の角膜66に入射するときの複数の光線40各々の開口数は略ゼロである。これは、画像投影装置100を装着する使用者によって変わることはない。複数の光線40各々が角膜66に入射するときの直径は0.36mm~0.46mm(0.41mm±0.05mm)である。レンズ36は、投射ミラー34で反射した複数の光線40各々が略平行光になるように収束点44に設けられたものである。
【0031】
複数の光線40は、ユーザーの眼60内の収束点46で収束する。複数の光線40各々は水晶体68により略平行光から集束光に変換されて網膜62近傍で合焦する。眼60内の収束点46での複数の光線40が網膜62に照射される範囲の水平方向の画角および垂直方向の画角のうち大きい方の画角の半角θは10°以上30°以下である。言い換えると、複数の光線40が網膜62に照射される照射範囲の中心に位置する光線40(網膜62に投影される投影画像の中心に対応する光線40に相当)と照射範囲の端に位置する光線40(投影画像の端に対応する光線40に相当)との間の水平方向および垂直方向のうち大きい方の角度は10°以上30°以下である。実施例1では、複数の光線40が網膜62に照射される範囲が垂直方向に比べて水平方向に長いとし(例えば、垂直方向の長さ:水平方向の長さが9:16の画像投影)、水平方向における画角の半角θが10°以上30°であるとする。
【0032】
図4は、実施例1における画像の生成方法を示す図である。
図4に示すように、走査部20は、網膜62上で光線40を矢印70のように左上から右下までラスタースキャンする。これにより、網膜62に画像72が投影される。複数の光線40が網膜62に照射される範囲は例えば垂直方向に比べて水平方向の方が長く、網膜62に投影される画像72は例えば縦横比が9:16の横長の画像である。走査部20が駆動しても光源12が光線40を出射しないと、光線40は網膜62に照射されない。例えば、
図4の破線の矢印70では光線40は出射されない。駆動回路22は、光源12からの光線40の出射と走査部20の駆動とを同期させる。これにより、光源12は網膜62上の所定範囲(実戦の矢印70)において光線40を出射する。
【0033】
[シミュレーション1]
複数の光線40が網膜62に照射される照射範囲が垂直方向に比べて水平方向に長く、収束点46での水平方向の画角の半角θが30°である場合において、照射範囲の中心に位置する光線40に対して角度α(
図2参照)だけ傾いて網膜62に照射される光線40の網膜62上での直径をシミュレーションした。シミュレーション条件は以下である。なお、以下においては、角膜66に入射するときの光線40の直径を光線40の角膜入射径と称し、網膜62上での光線40の直径を光線40のスポット径と称すこととする。
シミュレーション条件:
光線40:赤色レーザ光(波長:640nm)と緑色レーザ光(波長:520nm)と青色レーザ光(波長:465nm)が合波された白色光
眼軸長(角膜66と網膜62との間の距離L:
図3参照):23mm、24mm、25mm、26mm
光線40の角膜入射径:0.25mm、0.5mm、1mm、2mm、4mm
【0034】
図5(a)から
図5(d)は、シミュレーション1の結果を示すグラフである。
図5(a)から
図5(d)において、横軸は角度α[°]であり、縦軸は光線40のスポット径[μm]である。光線40の角膜入射径が0.25mm、0.5mm、1mm、2mm、4mmの場合をそれぞれ太実線、実線、点線、1点鎖線、破線で示している。
図5(a)は眼軸長が23mmのときの結果、
図5(b)は24mmのときの結果、
図5(c)は25mmのときの結果、
図5(d)は26mmのときの結果である。なお、
図5(d)では、光線40の角膜入射径が4mmの場合において、角度αが0°のときの光線40のスポット径が最小になるように矯正した場合を細破線で示している。
【0035】
図5(a)から
図5(d)に示すように、眼軸長が23mmの場合において、光線40の角膜入射径が2mm、4mmと大きい場合、角度αが10°以上となると光線40のスポット径の変化が大きいことが分かる。一方、光線40の角膜入射径を0.25mm~1mmにすることで、眼軸長が23mm、24mm、25mm、26mmのいずれの場合でも、角度αが0°~30°の範囲において光線40のスポット径の変化が小さく抑えられることが分かる。また、眼軸長が23mm、24mm、25mm、26mmと変化した場合でも、光線40の角膜入射径を0.25mm~1mmにすることで、角度αが0°のときの光線40のスポット径の変化が小さく抑えられることが分かる。これらのことから、
図5(a)から
図5(d)では、光線40が細い場合のNear Field状態と、太い場合のFar Field状態とが混在していることが言える。
【0036】
したがって、シミュレーション1の結果から、光線40の角膜入射径を0.25mm~1mmにすることで、眼軸長が異なる場合であっても、角度αが0°~30°の範囲において、光線40のスポット径自体を小さくしつつ、その変化量を小さく抑えられることが分かる。
【0037】
図5(a)から
図5(d)では、光線40に赤色レーザ光と緑色レーザ光と青色レーザ光が合波された白色光を用いた場合を示したが、光線40に赤色レーザ光、緑色レーザ光、または青色レーザ光の単一波長の光線を用いた場合について以下に示す。
図6(a)から
図6(c)は、光線40に単一波長の光線を用いた場合での、角度αに対する光線40のスポット径のシミュレーション結果を示す図である。
図6(a)から
図6(c)において、横軸は角度α[°]であり、縦軸は光線40のスポット径[μm]である。光線40の角膜入射径が0.25mm、0.5mm、1mm、2mm、4mmの場合をそれぞれ太実線、実線、点線、1点鎖線、破線で示している。
図6(a)は眼軸長が24mmで光線40に波長640nmの赤色レーザ光を用いたときの結果、
図6(b)はは眼軸長が24mmで光線40に波長520nmの緑色レーザ光を用いたときの結果、
図6(c)は、眼軸長が24mmで光線40に波長465nmの青色レーザ光を用いたときの結果である。
【0038】
図6(a)から
図6(c)に示すように、光線40に赤色レーザ光、緑色レーザ光、または青色レーザ光の単一波長の光線を用いた場合でも、
図5(b)に示したように、光線40に赤色レーザ光と緑色レーザ光と青色レーザ光が合波された白色光を用いた場合でも、角度αに対する光線40のスポット径の変化は同様な傾向となることが分かる。光線40に赤色レーザ光と緑色レーザ光と青色レーザ光が合波された白色光を用いた場合(
図5(b))での光線40のスポット径は、光線40に赤色レーザ光、緑色レーザ光、または青色レーザ光の単一波長の光線を用いた場合(
図6(a)から
図6(c))での光線40のスポット径の最も大きなサイズに対応することが分かる。
【0039】
[シミュレーション2]
シミュレーション1の結果から、光線40の角膜入射径は0.25mm~1mmが好ましいことが分かった。そこで、光線40の角膜入射径を0.25mm~1mmの範囲で細かく振ったときの、角度αに対する光線40のスポット径をシミュレーションした。シミュレーション条件は以下である。
シミュレーション条件:
光線40:赤色レーザ光(波長:640nm)と緑色レーザ光(波長:520nm)と青色レーザ光(波長:465nm)が合波された白色光
眼軸長:23mm、24mm、25mm、26mm
光線40の角膜入射径:0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm
【0040】
図7(a)から
図7(d)は、シミュレーション2の結果を示すグラフである。
図7(a)から
図7(d)において、横軸は角度α[°]であり、縦軸は光線40のスポット径[μm]である。光線40の角膜入射径が0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mmの場合それぞれを太実線、実線、点線、1点鎖線、破線で示している。
図7(a)は眼軸長が23mmのときの結果、
図7(b)は24mmのときの結果、
図7(c)は25mmのときの結果、
図7(d)は26mmのときの結果である。
【0041】
図7(a)から
図7(d)に示すように、光線40の角膜入射径が0.3mmの場合では、眼軸長および角度αが変わっても光線40のスポット径の変化は小さかったが、光線40のスポット径自体が大きくなる結果であった。光線40の角膜入射径が0.7mmの場合では、眼軸長および角度αの変化による光線40のスポット径の変化が大きく、また、眼軸長が26mmの場合では光線40の角膜入射径が0.3mmの場合よりも光線40のスポット径が大きくなることがある結果であった。
【0042】
眼軸長が23mmの場合(
図7(a))、角度αが0°~30°において、光線40の角膜入射径を0.4mm~0.6mmにすることで光線40のスポット径は42μm~79μmとなり、0.4mm~0.5mmにすることで50μm~74μmとなる結果となった。眼軸長が24mmの場合(
図7(b))、角度αが0°~30°において、光線40の角膜入射径を0.4mm~0.6mmにすることで光線40のスポット径は42μm~65μmとなり、0.4mm~0.5mmにすることで52μm~65μmとなる結果となった。
【0043】
眼軸長が25mmの場合(
図7(c))、角度αが0°~30°において、光線40の角膜入射径を0.4mm~0.6mmにすることで光線40のスポット径は44μm~66μmとなり、0.4mm~0.5mmにすることで52μm~66μmとなる結果となった。眼軸長が26mmの場合(
図7(d))、角度αが0°~30°において、光線40の角膜入射径を0.4mm~0.6mmにすることで光線40のスポット径は55μm~85μmとなり、0.4mm~0.5mmにすることで55μm~78μmとなる結果となった。
【0044】
したがって、光線40の角膜入射径を0.4mm~0.6mmにすることで、眼軸長が23mm~26mmでかつ角度αが0°~30°の場合において、光線40のスポット径は42μm~85μmになることが分かった。また、光線40の角膜入射径を0.4mm~0.5mmにすることで、眼軸長が23mm~26mmでかつ角度αが0°~30°の場合において、光線40のスポット径は42μm~78μmになることが分かった。
【0045】
ここで、光線40の角膜入射径に対する光線40のスポット径のシミュレーション結果を示す。シミュレーション条件は以下である。
シミュレーション条件:
光線40:赤色レーザ光(波長:640nm)と緑色レーザ光(波長:520nm)と青色レーザ光(波長:465nm)が合波された白色光
眼軸長:24mm
【0046】
図8は、光線40の角膜入射径に対する光線40のスポット径のシミュレーション結果を示すグラフである。
図8において、横軸は光線40の角膜入射径[mm]であり、縦軸は光線40のスポット径[μm]である。
図8では、光線40の角膜入射径が3mm~7mmの場合での光線40のスポット径を示している。光線40の角膜入射径が3mm~7mmの場合とは、自然視において光が瞳孔64を通過して網膜62に照射される場合に相当するものであり、特に、7mm程度の場合は、暗所において光が瞳孔64を通過して網膜62に照射される場合に相当する。光線40の角膜入射径が大きくなると、網膜62上の色収差が大きくなるため、光線40のスポット径に対してはFar Field状態が支配的になる。光線40の角膜入射径が7mmのときの光線40のスポット径は85μm程度であった。なお、光線40のスポット径は広帯域光源を使用した場合も同程度の値となる。
【0047】
このことから、自然視において光が網膜62に照射されるときの直径を考慮すると、眼軸長および網膜62上の位置に関わらず、光線40のスポット径は85μm以下に抑えることが好ましい。上記シミュレーション2の結果から、光線40の角膜入射径を0.4mm~0.6mmにすることで、光線40のスポット径を42μm~85μmにできる。また、光線40の角膜入射径を0.4mm~0.5mmにすることで、光線40のスポット径を42μm~78μmにできる。
【0048】
角度αの変化に対する光線40のスポット径のばらつきが大きいことは、ユーザーが投影画像に対して均一な解像感を得る点において好ましくない。網膜62上での光線40のエネルギー密度の変化量は3dB以下に抑えることが好ましく、光線40のスポット径の変化量としては1.5dB以下に抑えることが好ましい。
【0049】
上記シミュレーション2の結果から、光線40のスポット径を85μm以下に抑えること、および、眼軸長および角度αの変化に対する光線40のスポット径のばらつきを小さく抑えること、の点から、光線40の角膜入射径は0.4mm近傍が好ましいことが分かる。
【0050】
[シミュレーション3]
上記シミュレーション2に記載したように、光線40の角膜入射径は0.4mm近傍が好ましいことが分かった。光線40の角膜入射径が0.4mmの場合、眼軸長が24mmでかつ角度αが0°のときの光線40のスポット径は65μm程度である。この光線40のスポット径を基準とすると、光線40のスポット径の変化量が1.5dB以下、言い換えると±0.75dB以下に収まるには、光線40のスポット径は55μm~77μmに収まることが必要となる。そこで、光線40の角膜入射径を0.4mm近傍で細かく振ったときの、角度αに対する光線40のスポット径をシミュレーションした。シミュレーション条件は以下である。
シミュレーション条件:
光線40:赤色レーザ光(波長:640nm)と緑色レーザ光(波長:520nm)と青色レーザ光(波長:465nm)が合波された白色光
眼軸長:23mm、26mm
光線40の角膜入射径:0.34mm、0.36mm、0.38mm、0.4mm、0.42mm、0.44mm、0.46mm
【0051】
図9(a)および
図9(b)は、シミュレーション3の結果を示すグラフである。表1および表2は、シミュレーション3の結果を示す表である。
図9(a)および
図9(b)において、横軸は角度α[°]であり、縦軸は光線40のスポット径[μm]である。光線40の角膜入射径が0.34mm、0.36mm、0.38mm、0.4mm、0.42mm、0.44mm、0.46mmの場合それぞれを太実線、実線、点線、太い一点鎖線、太破線、破線、一点鎖線で示している。
図9(a)および表1は眼軸長が23mmのときの結果、
図9(b)および表2は26mmのときの結果である。
【表1】
【表2】
【0052】
図9(a)、
図9(b)および表1、表2に示すように、光線40の角膜入射径が0.34mmの場合、眼軸長が26mmのときに光線40のスポット径が79.96μmとなり、上記の光線40のスポット径が55μm~77μmの範囲から逸脱する。光線40の角膜入射径が0.46mmの場合に、光線40のスポット径の変化量が最も大きくなり、最小スポット径は55.16μm、最大スポット径は75.616μmで、変化量は1.37dBとなった。
【0053】
図9(a)、
図9(b)および表1、表2の結果から、光線40のスポット径が55μm~77μmの範囲に収まるようにするために、光線40の角膜入射径は0.36mm~0.46mm(0.41mm±0.05mm)にすることが好ましいことが分かる。光線40のスポット径のばらつきを小さくする点から、光線40の角膜入射径は0.36mm~0.44mmの場合が好ましく、0.38mm~0.44mmの場合がより好ましく、0.38mm~0.42mmの場合が更に好ましいことが分かる。
【0054】
以上のように、実施例1によれば、眼60内の収束点46での複数の光線40が網膜62に照射される範囲の水平方向の画角および垂直方向の画角のうち大きい方の画角の半角θが10°以上かつ30°以下であるときに、複数の光線40の角膜入射径を0.36mm以上かつ0.46mm以下とする。これにより、ユーザーの眼軸長(視力)が異なる場合でも、複数の光線40が網膜62に照射される範囲内において、複数の光線40のスポット径の変化量が小さく抑えられ、複数の光線40のスポット径を55μm以上かつ77μm以下の範囲に収めることができる。よって、ユーザーは網膜62に投影される画像に対して均一な解像感が得られる。
【0055】
なお、実施例1では、眼60内の収束点46での複数の光線40が網膜62に照射される範囲の水平方向の画角および垂直方向の画角のうち大きい方の画角の半角θが10°以上30°以下の場合を示した。しかしながら、画角の半角θが10°以上の場合で、複数の光線40のスポット径が55μm以上かつ77μm以下であれば、画角の半角θの上限は30°より大きい場合でもよい。
【0056】
また、実施例1によれば、複数の光線40がユーザーの角膜66に入射するときの開口数はユーザーによらずに略ゼロである。これにより、複数の光線40の角膜入射径を0.36mm以上かつ0.46mm以下にすることで、複数の光線40のスポット径を55μm以上77μm以下の範囲内に収めることができる。略ゼロとは、-0.0005以上+0.0005以下である。
【0057】
また、実施例1によれば、複数の光線40は、赤色レーザ光、緑色レーザ光、または青色レーザ光の単色光、もしくは、赤色レーザ光、緑色レーザ光、および青色レーザ光の少なくとも2つの光が合波された合波光である。この場合、複数の光線40が角膜66に入射するときの直径を0.36mm以上かつ0.46mm以下にすることで、複数の光線40のスポット径を55μm以上77μm以下の範囲内に収めることができる。
【0058】
なお、実施例1において、複数の光線40のスポット径のばらつきを抑える点から、複数の光線40の角膜入射径は、0.38mm以上かつ0.44mm以下が好ましい。この場合、複数の光線40の角膜入射径は、実際の投影としては、0.41mmを中央値として、±0.03mmの範囲に収まっている。
【0059】
なお、実施例1において、画像投影装置100はメガネ型フレーム42に取り付けられる場合を例に示したが、このフレームはユーザーの顔に装着可能で、画像投影装置100をユーザーの眼の前に設置可能であれば、メガネ型に限らず、ゴーグル型、アイパッチ型、耳掛型、またはヘルメット装着型等のその他の場合であってもよい。
画像制御部52、信号処理部54、および画像生成部56は、例えばCPU等のプロセッサがプログラムと協働し処理を行ってもよい。画像制御部52、信号処理部54、および画像生成部56は、専用に設計された回路でもよい。画像制御部52、信号処理部54、および画像生成部56は、1つの回路でもよいし、異なる回路でもよい。
走査部20により二次元方向に走査され、走査部20から異なる時間において異なる方向に出射された複数の光線40は、照射光学系30に入射する。照射光学系30は、レンズ38とレンズ39を備える。複数の光線40は、レンズ38とレンズ39を介し、被検者の眼60に入射する。レンズ38は、例えば集光レンズである。複数の光線40はレンズ38によって互いに略平行となり、また、複数の光線40各々はレンズ38によって略平行光から集束光に変換される。複数の光線40各々は、レンズ39の手前で集光し、拡散光となってレンズ39に入射する。レンズ39は、例えば集光レンズである。複数の光線40各々はレンズ39によって拡散光から略平行光に変換されて、被検者の眼60に入射する。したがって、複数の光線40が角膜66に入射するときの複数の光線40各々の開口数は略ゼロである。これは、視覚検査装置200を利用する被検者によって変わることはない。複数の光線40が角膜66に入射するときの直径は、実施例1と同じく、0.36mm~0.46mm(0.41mm±0.05mm)である。複数の光線40は、被検者の眼60内の収束点46で収束する。収束点46は、例えば水晶体68または水晶体68近傍に位置する。複数の光線40各々は水晶体68により平行光から集束光に変換されて網膜62近傍で合焦する。眼60内の収束点46での複数の光線40が網膜62に照射される範囲の水平方向の画角および垂直方向の画角のうち大きい方の画角の半角θは、実施例1と同じく、10°以上30°以下である。複数の光線40が網膜62に照射される範囲が、被検者の視機能を検査するための検査用画像が投影される領域となる。
次いで、信号処理部54は入力部80からの応答信号を取得する(ステップS12)。被検者は領域75aに検査視標74が投影されたことを検知すると入力部80を操作する。このため、被検者が検査視標74を検知した場合に信号処理部54は入力部80から応答信号を取得でき、検査視標74を検知できない場合には入力部80からの応答信号を取得できない。
ステップS14においてYesと判定されると、画像生成部56は、信号処理部54の各領域75における入力部80からの応答信号に基づき、視機能の検査結果の画像(例えば視野欠損画像)を生成する(ステップS18)。表示部82は、検査結果画像を表示する(ステップS20)。
実施例2によれば、実施例1と同じく、眼60内の収束点46での複数の光線40が網膜62に照射される範囲の水平方向の画角および垂直方向の画角のうち大きい方の画角の半角θが10°以上かつ30°以下であるときに、複数の光線40の角膜入射径を0.36mm以上かつ0.46mm以下とする。これにより、被検者の眼軸長(視力)が異なる場合でも、複数の光線40が網膜62に照射される範囲内において、複数の光線40のスポット径の変化量が小さく抑えられ、複数の光線40のスポット径を55μm以上77μm以下の範囲に収めることができる。よって、眼軸長の異なる被検者に対して、視機能検査を網膜62の広範囲にわたって同等な条件の下で行うことができ、視機能検査の精度を向上させることができる。
なお、実施例2では、眼60内の収束点46での複数の光線40が網膜62に照射される範囲の水平方向の画角および垂直方向の画角のうち大きい方の画角の半角θが10°以上30°以下の場合を示した。しかしながら、実施例1と同様に、画角の半角θが10°以上の場合で、複数の光線40のスポット径が55μm以上かつ77μm以下であれば、画角の半角θの上限は30°より大きい場合でもよい。
また、実施例2によれば、複数の光線40は、赤色レーザ光、緑色レーザ光、または青色レーザ光の単色光、もしくは、赤色レーザ光、緑色レーザ光、および青色レーザ光の少なくとも2つの光が合波された合波光である。この場合、実施例1に示したように、複数の光線40が角膜66に入射するときの直径を0.36mm以上かつ0.46mm以下にすることで、複数の光線40のスポット径を55μm以上77μm以下の範囲内に収めることができる。複数の光線40のスポット径がこのような範囲になることで、視機能検査の精度が向上する。
また、実施例2においても、実施例1と同様に、複数の光線40が被検者の角膜66に入射するときの開口数は被検者によらずに略ゼロである。これにより、複数の光線40の角膜入射径を0.36mm以上かつ0.46mm以下にすることで、複数の光線40のスポット径を55μm以上77μm以下の範囲内に収めることができる。
なお、実施例2においても、実施例1と同様に、複数の光線40のスポット径のばらつきを抑える点から、複数の光線40の角膜入射径は、0.38mm以上かつ0.44mm以下(0.41mm±0.03mm)が好ましい。