(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145304
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】シロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20231003BHJP
A23B 7/005 20060101ALI20231003BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20231003BHJP
【FI】
A23L19/00 101
A23B7/005
A23L5/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130570
(22)【出願日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】111111726
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】521014401
【氏名又は名称】偉裕生技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】李友錚
(72)【発明者】
【氏名】謝侑均
【テーマコード(参考)】
4B016
4B035
4B169
【Fターム(参考)】
4B016LC06
4B016LC07
4B016LE05
4B016LG14
4B016LP01
4B016LP04
4B016LP05
4B016LP08
4B016LP10
4B016LP13
4B035LC05
4B035LC06
4B035LE11
4B035LG39
4B035LP01
4B035LP21
4B035LP24
4B035LP46
4B035LP55
4B035LP59
4B035LT01
4B169AA01
4B169AB04
4B169BA09
4B169HA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】低温乾燥技術を使用して、シロキクラゲから大量の多糖体を放出させるとともに複数種類の栄養素を維持する、シロキクラゲの充填パックの製造方法を提供する。
【解決手段】シロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法では、まず、シロキクラゲ原料を乾燥システムの容器内に投入する。続いて、乾燥システムの容器内部でシロキクラゲ原料をベーキングすることで、シロキクラゲ原料を乾燥させる。そして、乾燥させたシロキクラゲを粉砕機に投入して粉砕し、シロキクラゲ粉末を形成する。その後、シロキクラゲ粉末を処方原料に加え、混合器で均一に混合することで、シロキクラゲ混合液を形成する。そして、充填機を用いてシロキクラゲ混合液を小包装に充填して、包装されたシロキクラゲ製品を形成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法であって、
乾燥システムの内部温度を40~45℃まで予熱して、シロキクラゲ原料を前記乾燥システムの容器内に投入し、前記乾燥システムは、前記シロキクラゲ原料を乾燥させる加熱装置を含み、
水温計で前記シロキクラゲ原料の含水量が所定の値に達したことが測定されると、前記乾燥システムの内部温度を60~70℃まで徐々に加熱することで、前記乾燥システムの容器内部で前記シロキクラゲ原料をベーキングして、前記シロキクラゲ原料を乾燥させ、
乾燥させた前記シロキクラゲを粉砕機に投入して粉砕することで、粒径が250μm未満のシロキクラゲ粉末を形成し、
前記シロキクラゲ粉末を処方原料に加え、混合器で均一に混合することで、シロキクラゲ混合液を形成し、
充填機を用いて前記シロキクラゲ混合液を小包装に充填する方法。
【請求項2】
前記水温計は、前記シロキクラゲの含水量を測定し、前記シロキクラゲの含水量が8%未満になると乾燥プロセスを終了する請求項1に記載のシロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法。
【請求項3】
シロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法であって、
乾燥システムの内部温度を40~45℃まで予熱して、シロキクラゲ原料を前記乾燥システムの容器内に投入し、前記乾燥システムは、前記シロキクラゲ原料を乾燥させる加熱装置を含み、
水温計で前記シロキクラゲ原料の含水量が所定の値に達したことが測定されると、前記乾燥システムの内部温度を60~70℃まで徐々に加熱することで、前記乾燥システムの容器内部で前記シロキクラゲ原料をベーキングして、前記シロキクラゲ原料を乾燥させ、
乾燥させた前記シロキクラゲを粉砕機に投入して粉砕することで、粒径が250μm未満のシロキクラゲ粉末を形成し、
前記シロキクラゲ粉末を処方原料に加え、混合器で均一に混合することで、シロキクラゲ混合液を形成し、
充填機を用いて前記シロキクラゲ混合液を小包装に充填し、
高温高圧プロセスで前記小包装中のシロキクラゲを熟成させる方法。
【請求項4】
前記水温計は、前記シロキクラゲの含水量を測定し、前記シロキクラゲの含水量が8%未満になると乾燥プロセスを終了する請求項3に記載のシロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法。
【請求項5】
シロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法であって、
乾燥システムの内部温度を40~45℃まで予熱して、シロキクラゲ原料を前記乾燥システムの容器内に投入し、
水温計で前記シロキクラゲ原料の含水量が所定の値に達したことが測定されると、前記乾燥システムの内部温度を60~70℃まで徐々に加熱することで、前記乾燥システムの容器内部で前記シロキクラゲ原料をベーキングして、前記シロキクラゲ原料を乾燥させ、
乾燥させた前記シロキクラゲを粉砕機に投入し、環境温度20℃未満、湿度60%未満で、乾燥させた前記シロキクラゲを粉砕することで、粒径が250μm未満のシロキクラゲ粉末を形成し、
前記シロキクラゲ粉末を処方原料に加え、混合器で均一に混合することで、シロキクラゲ混合液を形成し、
充填機を用いて前記シロキクラゲ混合液を小包装に充填し、
高温高圧プロセスで前記小包装中のシロキクラゲを熟成させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキクラゲの充填パックに関し、特に、シロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シロキクラゲは、トレメラとも称される高等担子菌の一種であり、かねてより菌類の王と謳われている。シロキクラゲは、科学分類上、菌界、ディカリア亜界、担子菌門、ハラタケ亜門、シロキクラゲ綱、シロキクラゲ目(Tremellales)、シロキクラゲ科(Tremellaceae)、シロキクラゲ属(Tremella)に属する。統計によると、全世界にシロキクラゲ属は約40種類あまり存在し、その形態は、栄養器官である菌糸体と生殖器官である子実体の2つの部分で構成される。新鮮なシロキクラゲの子実体は純白色且つ半透明である。しかし、乾燥すると角質化し、本体が硬く脆くなるとともに、白色又はクリーム色になる。
【0003】
一般的に、シロキクラゲの可食部は子実体であり、豊富な食物繊維と、タンパク質6.7~10%、炭水化物65~71.2%、脂質0.6~12.8%、粗繊維2.4~2.75%、無機塩4~5.4%、水分15.2~18.7%、及び少量のビタミンB群を含む。また、シロキクラゲのタンパク質内には多種類のアミノ酸が含まれている。更に、主成分には抗腫瘍多糖(β-glucan)も含まれていることから、シロキクラゲは高い価値のある農産物になりつつある。
【0004】
シロキクラゲ多糖の取得源には、液体培養した菌糸体を利用して取り出す場合、又は、培養袋で培養した食用可能な子実体から精製する場合の2つがある。しかし、抽出関連技術が未成熟のため、商品化に向けた量産はできていない。また、従来のシロキクラゲの子実体から多糖体を抽出する方法は、アルカリ性の化学薬剤を用いてシロキクラゲの子実体を処理し、洗浄するか、pHを中性に調節してから、温水又はエタノールで取り出すというものである。このような抽出方法によれば、27~30%のシロキクラゲ多糖の抽出率を達成可能ではあるが、化学薬剤を使用する抽出手段は、取得されるシロキクラゲ多糖に化学物質が残留する恐れがある。
【0005】
そのほか、上述したシロキクラゲ多糖における化学物質の残留以外にも、一般的に市販されているシロキクラゲには大鍋で煮込んで精製する過程を採用しているため、新鮮なシロキクラゲを食せないだけでなく、鮮度を維持して保管及び輸送せねばならないとの問題もある。そこで、本発明では、抽出する方法も、大鍋で煮込んで精製する方法も採用せず、新規なシロキクラゲの製造方法を発展させて上記の課題を解決及び解消する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のシロキクラゲは、煮込む過程であまりにも多くの栄養素が破壊されるほか、流通ルートが好ましくなく、輸送も不便である。そこで、本発明は、低温乾燥技術を使用して、シロキクラゲから大量の多糖体を放出させるとともに、複数種類の栄養素を維持する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の観点に基づき、シロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法を提供する。当該方法は、以下のステップを含む。まず、乾燥システムの内部温度を40~45℃まで予熱して、シロキクラゲ原料を当該乾燥システムの容器内に投入する。次に、水温計で当該シロキクラゲ原料の含水量が所定の値に達したことが測定されると、乾燥システムの内部温度を60~70℃まで徐々に加熱することで、当該乾燥システムの容器内部で当該シロキクラゲ原料をベーキングして、当該シロキクラゲ原料を乾燥させる。そして、乾燥させたシロキクラゲを粉砕機に投入して粉砕し、乾燥したシロキクラゲ粉末を形成する。その後、シロキクラゲ粉末を処方原料に加え、混合器で均一に混合することで、シロキクラゲ混合液を形成する。そして、充填機を用いて当該シロキクラゲ混合液を小包装に充填して、包装されたシロキクラゲ製品を形成する。当該乾燥システムは、シロキクラゲ原料を乾燥させる加熱装置を含む。水温計は、当該シロキクラゲの含水量を測定し、当該シロキクラゲの含水量が8%未満になると当該乾燥プロセスを終了する。
【0008】
本発明の別の観点に基づき、包装されたシロキクラゲ製品を形成したあと、高温高圧プロセスで、当該小包装内のシロキクラゲを熟成させることで、深層に存在していたシロキクラゲの多糖体、ミネラル、カルシウム等の微量元素を分厚い細胞壁から大量に放出させて、独特のイオン風味を融合する。
【0009】
本発明の更なる観点に基づき、乾燥させたシロキクラゲを粉砕機に投入し、環境温度20℃未満、湿度60%未満で、乾燥させた当該シロキクラゲを粉砕することで、乾燥させたシロキクラゲ粉末を形成する。
【発明の効果】
【0010】
上記の利点及びのその他の利点について、読者は、以下の好ましい実施例の記載及び特許請求の範囲から本発明を明瞭に理解し得る。
【0011】
以下で述べる本発明についての詳細な記載及び実施例の概略図によって、本発明はより十分に理解されるはずである。ただし、これは本発明の応用を理解するための参考にすぎず、本発明を特定の実施例に制限するものではないと解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に基づくシロキクラゲの乾燥システムの機能ブロック図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に基づくシロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、本発明の具体的実施例及び観点について詳細に記載するが、これらの記載は本発明のアウトライン又はステップのフローを解釈し、説明するためのものであって、本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。よって、明細書の具体的実施例及び好ましい実施例以外にも、本発明はその他の異なる実施例において幅広く実行可能である。
【0014】
本発明は、シロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法を開示する。当該方法では、低温乾燥技術によって、シロキクラゲから放出される多糖体を保持及び固定するとともに、多糖体自体が破壊されないよう維持する。これにより、後続の製造プロセスでシロキクラゲをその他の処方と完全に融合可能とする原料が形成される。なお、その他の処方には、蓮の実、クロキクラゲ、赤小豆、緑豆、ダイズ、黒豆、黄豆、穀類、ヨクイニン、漢方薬、赤ナツメ、クコ、虫草・・・等が含まれる。また、低温乾燥技術の原理を利用して水分を除去するため、シロキクラゲの食感や栄養素を良好に保存可能である。
【0015】
虫草(Cordyceps spp.)には、サナギタケ(Cordyceps militaris)、亜香棒虫草(Cordyceps hawkesli)、涼山虫草(Cordyceps liangshanensis)、ハナヤスリタケ(Cordyceps ophioglossoides)、ニューギニアトゲアリタケ(Cordyceps myrmecophila)、カメムシタケ(Cordyceps nutans)等の虫草属菌が含まれ得る。
【0016】
本発明では、粉砕プロセスによって、低温乾燥後のシロキクラゲの顆粒の粒径が充填装置(充填機)の充填パイプラインを通過し得るようにする。シロキクラゲは、水に触れると再び膨潤して新鮮なシロキクラゲの特性を回復するため、シロキクラゲの栄養素をいつでも補給できるよう、軽量の携帯用アルミパッケージを製造するのに適している。
【0017】
本発明は、上記のシロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法に関する。当該方法では、適切な加熱装置を使用し、予め定められた処理条件(例えば、ベーキング又はマイクロ波の出力電力値、処理時間、処理数量・・・等)で処理する。加熱装置には、マイクロ波オーブン、通常オーブン・・・等が含まれる。また、加熱装置の処理方式には、間歇式加熱(マイクロ波)処理或いは連続式加熱(マイクロ波)処理が含まれる。
【0018】
図1は、本発明の一実施例に係るシロキクラゲの乾燥システム又は装置の概略図である。
図1に示すように、シロキクラゲの乾燥システム又は装置100は、制御ユニット102、加熱装置104、マンマシンインターフェース106、モニタリングユニット108、画像表示ユニット110及び水温計112を含む。加熱装置104、マンマシンインターフェース106、モニタリングユニット108、画像表示ユニット110及び水温計112は、制御及び各機能を実行するために、制御ユニット102に電気的に接続される。制御ユニット102はコンピュータ制御ユニットであり、例えば、マイクロプロセッサや各種プロセッサである。一実施例において、乾燥システム100は、マイクロ波ベーキング装置、通常のベーキング装置・・・等を含む。一例を挙げると、マイクロ波ベーキング装置は、マイクロ波を射出して容器内の照射空間を照射するための少なくとも1つのマイクロ波射出ユニットを含む。ベーキング時には、適切な数量のシロキクラゲ原料全体を照射のためにベーキング装置内部の容器に投入し、マイクロ波射出ユニットから射出されるマイクロ波によってシロキクラゲ原料全体を照射可能とする。モニタリングユニット108は、乾燥システム100内部の照射空間に設置されており、マイクロ波の強度又は温度をモニタリングするために用いられる。使用者は、モニタリングユニット108の測定値に基づき、加熱装置104のマイクロ波射出ユニットの周波数及び電力を調整可能である。また、制御ユニット102をモニタリングユニット108及び加熱装置104のマイクロ波射出ユニットに電気的に接続することで、制御ユニット102は、モニタリングユニット108から提供されるモニタリング信号に基づき、制御信号を提供してマイクロ波射出ユニットの周波数及び電力を制御又は調整可能である。これにより、自動化制御が実現される。
【0019】
加熱装置104は、乾燥システム100の内部に設置されており、内部に投入されたシロキクラゲ原料を乾燥させる。制御ユニット102は加熱装置104に接続されている。また、マンマシンインターフェース106を通じて加熱装置104の運転状態が制御される。画像表示ユニット110は、乾燥システム100の内部又は外部に設置されており、制御ユニット102に接続される。これにより、マンマシンインターフェース106は画像表記機能を有し、マンマシンインターフェース106を利用して乾燥システム100内部の表示画像を表示することで、シロキクラゲ原料のベーキング状況が観察される。
【0020】
図1に示すシロキクラゲの乾燥システムは、一般的な常圧下での乾燥に適用可能である。通常気圧下における乾燥方式では、乾燥時間が長くなり、水分の蒸発速度が低下する。本発明では、食物の栄養素を完全に保つために低温乾燥技術を採用する。低温乾燥方式を使用すれば、乾燥過程における栄養素の損失を効果的に低下させられる。
【0021】
別の実施例において、シロキクラゲの乾燥システムは、乾燥前に真空キャビティ又は容器内を真空化する真空装置を含む。例えば、真空ポンプを利用して、真空キャビティ又は容器の内部空間内のガスを排出する。例えば、真空化時には圧力を0.1気圧まで低下させる。即ち、真空装置を使用する場合(減圧する場合)の乾燥方式では、内部の水分蒸発速度を向上させられる。且つ、シロキクラゲの細胞にホールが形成され、内部の水分が外表面に拡散しやすい。
【0022】
図2に示すように、本発明で提供するシロキクラゲに処方原料を混合した充填パックの製造方法は、以下のいくつかのステップを含む。
【0023】
まず、シロキクラゲ原料の乾燥システムを提供し、シロキクラゲ原料を処理容器内に投入するステップ200を実行する。
【0024】
ステップ200では、シロキクラゲ原料をベーキングするための乾燥システム又は装置(例えば、
図1に示すシロキクラゲの乾燥システム100)を提供する。いくつかの実施例では、シロキクラゲ原料を洗浄してから、適切なシロキクラゲを選別し、シロキクラゲ原料に何の処理も施すことなく処理容器(真空キャビティ又は容器)内に投入して、選別したもの全体を乾燥させる。これらのシロキクラゲ原料の数量は、必要に応じて選択し、決定すればよい。
【0025】
続いて、処理容器内部でシロキクラゲ原料をベーキングするステップ202を実行する。
【0026】
ステップ202では、加熱装置104を用いてシロキクラゲ原料をベーキングすることで、シロキクラゲ原料を乾燥させる。例えば、マイクロ波ベーキング装置から発せられる電磁波をシロキクラゲ原料の内部に通すことで、内部の水分子に高速回転及び高周波振動を発生させる。これにより、各水分子間に摩擦が発生してシロキクラゲ原料の内部温度が上昇し、水分が蒸発する。マイクロ波射出ユニットの周波数及び電力、マイクロ波の時間は、条件又は状況の違いに応じて決定する。別の実施例では、加熱装置104を赤外線照射装置に置き換える。即ち、乾燥システム100の内部で、赤外線を用いてシロキクラゲ原料を照射する。一実施例において、マイクロ波電力は約350~450ワットであり、乾燥時間は約12~15時間である。上記のパラメータは自由に選択するのではなく、シロキクラゲ材料と数量に基づいて決定する。また、このパラメータは、シロキクラゲの水分を十分に蒸発可能な最高速度とする。
【0027】
一般的な常圧下(例えば、通常気圧下)における乾燥方式では、乾燥時間が長くなる。本発明におけるシロキクラゲ原料の乾燥条件は以下を含む。(1)乾燥システム100の内部温度を40~45℃まで予熱して、シロキクラゲ原料を乾燥システム100内部に投入する。(2)開始時の温度は約35℃とし、シロキクラゲの含水量が一定の度合(例えば、30~40%程度)まで低下したあと、温度を徐々に60~70℃まで上昇させる(温度が70℃よりも高くなると、シロキクラゲが熟成して黄色くなる)。ベーキング時間は約12~15時間とする。そして、決まったタイミングで水温計112によりシロキクラゲの含水量を測定し、シロキクラゲが乾燥に近付いていれば、乾燥するまで温度を40~50℃まで低下させる。これにより、最終的なシロキクラゲの含水量が8%未満になると、乾燥プロセスを終了する。なお、シロキクラゲの含水量が8%よりも高い場合には湿りやすくなる。
【0028】
その後、乾燥させたシロキクラゲを粉砕機に投入して粉砕するステップ204を実行する。
【0029】
ステップ204では、乾燥させたシロキクラゲを粉砕機で粉砕する。乾燥システム100内の乾燥済みシロキクラゲを取り出して粉砕機に投入し、作業環境の温度を20℃未満、湿度を60%未満に制御する。粉砕後の粒径は250μm(マイクロメートル)未満、約60メッシュとなる。且つ、シロキクラゲ粉砕後の粉末の含水量は8%未満を維持したままである。乾燥させたシロキクラゲの粉砕後の粉末が40~50メッシュの場合には、大きすぎて充填機に充填できない恐れがある。且つ、シロキクラゲの粉末が水に触れて膨潤する過程でパイプラインを詰まらせることがある。また、60メッシュよりも小さい場合には、シロキクラゲの食感を回復させることができない。且つ、シロキクラゲの粉末が60メッシュよりも小さい場合には、小さすぎて水中で見えなくなり、食べた感覚を得られない。
【0030】
その後、シロキクラゲ粉末を処方原料に加え、混合器で均一に混合することで、膨潤過程を開始するステップ206を実行する。
【0031】
ステップ206では、シロキクラゲ粉末をその他の処方原料に加えて混合器(装置)に投入し、シロキクラゲ粉末と処方原料を溶液中で均一に混合することでシロキクラゲの膨潤過程を開始する。混合器(装置)は、自動又は手動でシロキクラゲ粉末と処方原料を混合することで、シロキクラゲ混合液を形成可能である。膨潤過程の間は、混合液(原料)の酸性のpH値を約4程度に維持する。酸性が強すぎる(pHが4未満、或いは更に小さい)場合には、かえってシロキクラゲが膨潤し得なくなり、所定の食感を達成することができない。また、その他の処方原料は、例えば、蓮の実、クロキクラゲ、赤小豆、緑豆、ダイズ、黒豆、黄豆、穀類、ヨクイニン、漢方薬、赤ナツメ、クコ、虫草のうちの少なくとも1つ又はそれらの組み合わせから選択される。そのほか、処方原料は、冬瓜、糸瓜、ハッカ、タケノコ、百合、山芋、大根、人参、イチジク、ブンタンの皮、柳葉から選択してもよい。なお、シロキクラゲ、処方原料中の各原料の種類及び重量パーセントは、実際の使用状況に応じて決定すればよい。
【0032】
例えば、混合器(装置)は自動ミキサーであり、積載容器、ケーシング、モータ、攪拌ユニット、フィードバック検出ユニット、演算制御ユニット及び駆動ユニットを含む。積載容器は、シロキクラゲ粉末及び処方原料で形成されたシロキクラゲ混合液を積載可能である。なお、攪拌パラメータには、処方原料の成分、及び/又は、処方原料の比率、濃度設定、撹拌時間又は攪拌速度が含まれる。
【0033】
続いて、充填機を用いてシロキクラゲ混合液を小包装に充填するステップ208を実行する。
【0034】
ステップ208では、シロキクラゲ混合液を充填機の充填パイプラインに定量で充填し、小包装のシロキクラゲ混合処方製品を充填及び製造する。一実施例において、自動充填機は、複数の包装袋に対応するために、複数の充填パイプラインを含む。充填機(装置)本体に割り当てられた複数の包装袋は、充填機本体の各充填パイプラインの位置まで搬送されて、シロキクラゲ混合液が充填されるとともに、包装が密封される。
【0035】
最後に、高温高圧プロセスによって、シロキクラゲを熟成させるステップ210を実行する。
【0036】
ステップ210では、充填機による充填及び包装の密封が行われたあと、高温高圧プロセスによって、このプロセス段階のシロキクラゲを熟成させ、再び膨潤させる。これにより、深層に存在していたシロキクラゲの多糖体、ミネラル、カルシウム等の微量元素を分厚い細胞壁から大量に放出させて、独特のイオン風味を融合する。この方式を採用しない場合には、シロキクラゲそのものの自然食品としての風味が失われる。以上に本発明独自の特色が現れており、従来のシロキクラゲ製品よりも遥かに優れているとともに、予測不可能な効果を有している。
【0037】
上記を総合すると、本発明の特徴及び利点は以下を含む。
【0038】
(1)本発明で提供するシロキクラゲの充填パックは、一般的に市場で見られるような自身で調理せねばならないものや、瓶詰めのシロキクラゲジュースとは異なっている。
【0039】
(2)大部分の軽量アルミ袋のシロキクラゲは、煮込んだシロキクラゲスープを充填したものにすぎず、シロキクラゲそのものを食することはできない。これに対し、本発明で提供するアルミ袋飲料のシロキクラゲは、乾燥シロキクラゲをベースとし、低温乾燥の原理を利用して水分のみを除去しているため、シロキクラゲの食感と栄養素を良好に保存可能である。
【0040】
(3)且つ、本発明では、パイプを通じて充填可能なシロキクラゲの粒径を粉砕により作製している。シロキクラゲは水に触れると再び膨潤して新鮮なシロキクラゲの特性を回復するため、一般的なシロキクラゲで採用している大鍋で煮込んで精製する過程(シロキクラゲを食せないだけでなく、保存や輸送の問題も存在する)が不要である。このことは、シロキクラゲの栄養素をいつでも補給できるよう、軽量の携帯用アルミパッケージを製造するのに適している。
【0041】
(4)本発明で提供するシロキクラゲの充填パックは、研究開発チームによる長年の研究の結果、乾燥後にシロキクラゲの栄養素が損なわれ、且つ煮込むことで放出されるシロキクラゲ特有の濃厚な多糖体を維持できないとの課題を解消している。また、製品の製造後にシロキクラゲの食感を維持することも可能である。
【0042】
ここで記載した以外にも、本発明で述べた実施例及び実施形態を利用して達成可能な異なる改良方式は、いずれも本発明の範囲に含まれるものとする。従って、ここで開示した図面及び事例は、いずれも説明のためのものであって、本発明を制限するものではない。本発明の保護の範囲は後述の特許請求の範囲のみを主体とすべきである。
【符号の説明】
【0043】
100 乾燥システム
102 制御ユニット
104 加熱装置
106 マンマシンインターフェース
108 モニタリングユニット
110 画像表示ユニット
112 水温計
200、202、204、206、208、210 ステップ