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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014535
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/06 20060101AFI20230124BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
F25D21/06 N
F25D11/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118538
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海老田 洋志
【テーマコード(参考)】
3L045
3L046
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA01
3L045LA14
3L045MA02
3L045MA05
3L045MA16
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L046AA02
3L046CA05
3L046CA17
3L046GA02
3L046JA05
3L046JA12
3L046KA02
3L046KA05
3L046MA02
3L046MA03
3L046MA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】除霜運転のキャンセルに係る精度を向上させる冷却貯蔵庫を提供する。
【解決手段】冷却貯蔵庫10は、貯蔵庫本体11と、貯蔵庫本体11の庫内温度を検知する庫内温度センサ(センサ)29と、冷凍サイクルを構成する冷却器(蒸発器)22と、庫内温度センサ29により検知される庫内温度に基づいて冷凍サイクルを制御して冷却運転を行うとともに、除霜開始条件が成立すると除霜キャンセル条件が成立しない限りは冷却器22に付着した霜を融解させる除霜運転を行うものの、除霜開始条件が成立しても除霜キャンセル条件が成立すると除霜運転をキャンセルする制御部と、を備え、除霜キャンセル条件には、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第1温度t1よりも高い第2温度t2に達する回数が基準回数を超えないことが含まれる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体の庫内温度を検知するセンサと、
冷凍サイクルを構成する蒸発器と、
前記センサにより検知される前記庫内温度に基づいて前記冷凍サイクルを制御して冷却運転を行うとともに、除霜開始条件が成立すると除霜キャンセル条件が成立しない限りは前記蒸発器に付着した霜を融解させる除霜運転を行うものの、前記除霜開始条件が成立しても前記除霜キャンセル条件が成立すると前記除霜運転をキャンセルする制御部と、を備え、
前記除霜キャンセル条件には、前記冷却運転中に前記センサにより検知される前記庫内温度が第1温度以下になってから前記第1温度よりも高い第2温度に達する回数が基準回数を超えないことが含まれる冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記貯蔵庫本体は、開口を有するとともに前記開口を開閉する扉を有しており、
前記制御部は、前記冷却運転中に前記センサにより検知される前記庫内温度が第1温度以下になってから前記第2温度以上となった場合に前記扉の開閉を検知する請求項1記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記制御部は、前記冷却運転として、第1冷却運転と、前記庫内温度が単位時間当たりに降下する比率である温度降下率が前記第1冷却運転よりも低い第2冷却運転と、を、前記第1温度に基づいて切り替えるよう前記冷凍サイクルを制御し、前記センサにより検知される前記庫内温度が前記第1温度よりも高い場合は、前記第1冷却運転を行い、前記センサにより検知される前記庫内温度が前記第1温度以下となる場合は、前記第2冷却運転を行う請求項1または請求項2記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記制御部は、前記冷却運転中に前記センサにより検知される前記庫内温度が庫内設定温度となるよう前記冷凍サイクルを制御し、前記庫内温度が前記庫内設定温度よりも低い停止温度に達すると前記冷凍サイクルを停止させ、前記庫内温度が前記庫内設定温度よりも高く且つ前記第1温度よりも低い稼働温度に達すると前記冷凍サイクルを稼働させる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記制御部は、前記除霜キャンセル条件が成立する場合、前記冷却運転を終えてから前記除霜運転をキャンセルするまでの間は前記冷凍サイクルを一旦停止させ、前記除霜運転をキャンセルすると前記冷凍サイクルを稼働させ、前記除霜運転をキャンセルしてから第1時間が経過するまでの間、前記センサにより検知される前記庫内温度が前記第1温度以下になったか否かを判定しない、または前記センサにより検知される前記庫内温度が前記第1温度以下になってから前記第2温度に達する回数をカウントしない請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項6】
前記蒸発器と共に前記冷凍サイクルを構成する凝縮器と、
前記凝縮器に送風する凝縮器ファンと、
前記凝縮器または前記凝縮器付近の温度を検知する第2のセンサと、を備えており、
前記制御部は、前記除霜キャンセル条件が成立する場合、前記冷却運転を終えると前記冷凍サイクルを一旦停止させるとともに前記凝縮器ファンを回転させ、第2時間が経過すると前記第2のセンサにより検知される温度を外気温として取得するとともに前記除霜運転をキャンセルする請求項5記載の冷却貯蔵庫。
【請求項7】
前記除霜キャンセル条件には、前記冷却運転中に前記センサにより検知される前記庫内温度が前記第1温度以下になってから前記冷却運転を終了するまでの間、前記第2温度に達する回数が前記基準回数を超えないことが含まれる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項8】
前記蒸発器を加熱する加熱部を備えており、
前記制御部は、前記除霜運転を行う際に前記加熱部を制御して前記蒸発器の霜を融解させる請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却貯蔵庫の一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の冷却貯蔵庫は、扉を有する貯蔵庫本体と、圧縮機及び蒸発器を有する冷却回路と、庫内温度を検出する庫内温度センサと、除霜開始条件が成立すると第1の除霜方式によって前記蒸発器を除霜する除霜運転を行う制御部であって、前記除霜開始条件が成立しても除霜キャンセル条件が成立している場合は除霜運転をキャンセルするか又は前記第1の除霜方式より消費電力が少ない第2の除霜方式によって除霜する制御部と、を備え、前記除霜キャンセル条件は、前回の除霜後に前記扉の開閉が一度もなく、且つ、前記除霜開始条件が成立したときの庫内温度が基準温度以下であることを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6667228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の冷却貯蔵庫では、庫内温度センサを扉の開閉を検知するセンサとして用いており、制御部は、庫内温度センサにより検知される庫内温度が一定温度以上の場合は扉が開閉されたと判断する。従って、特許文献1に記載の冷却貯蔵庫に備わる制御部は、前回の除霜後に庫内温度センサにより検知される庫内温度が一定温度以上となることが一度もなく、且つ、除霜開始条件が成立したときの庫内温度が基準温度以下である場合は、除霜キャンセル条件が成立する、と判断する。しかしながら、庫内温度は、扉の開閉以外の要因によっても変動し得るものであり、実際には扉の開閉が一度もなくても、庫内温度が変動して一定温度以上となる場合がある。その場合は、制御部は、扉の開閉が一度もないにもかかわらず、除霜キャンセル条件が成立しないと判断し、本来ならばキャンセルすべき除霜運転を実行するおそれがあった。このように、除霜運転のキャンセルに係る精度に関して改善を図る余地があった。
【0005】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、除霜運転のキャンセルに係る精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書に記載の技術に関わる冷却貯蔵庫は、貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体の庫内温度を検知するセンサと、冷凍サイクルを構成する蒸発器と、前記センサにより検知される前記庫内温度に基づいて前記冷凍サイクルを制御して冷却運転を行うとともに、除霜開始条件が成立すると除霜キャンセル条件が成立しない限りは前記蒸発器に付着した霜を融解させる除霜運転を行うものの、前記除霜開始条件が成立しても前記除霜キャンセル条件が成立すると前記除霜運転をキャンセルする制御部と、を備え、前記除霜キャンセル条件には、前記冷却運転中に前記センサにより検知される前記庫内温度が第1温度以下になってから前記第1温度よりも高い第2温度に達する回数が基準回数を超えないことが含まれる。
【0007】
制御部によって冷却運転が行われると、センサにより検知される庫内温度に基づいて冷凍サイクルが制御されることで、蒸発器により庫内の空気が冷却される。除霜開始条件が成立すると、除霜キャンセル条件が成立しない限りは、制御部によって除霜運転が行われる。すると、蒸発器に付着した霜が融解される。制御部は、除霜開始条件が成立しても、除霜キャンセル条件が成立すると、除霜運転をキャンセルする。除霜キャンセル条件には、冷却運転中にセンサにより検知される庫内温度が第1温度以下になってから第1温度よりも高い第2温度に達する回数が基準回数を超えないことが含まれる。ここで、冷却運転中にセンサにより検知される庫内温度が上昇する要因の1つに庫内への外気の流入が考えられる。外気は、庫内の空気よりも温度及び湿度が共に高いことから、庫内への外気の流入に伴って庫内温度が上昇するとともに着霜量が多くなることが想定される。具体的には、冷却運転中にセンサにより検知される庫内温度が第1温度以下になってから第2温度に達する回数が基準回数を超えない場合は、庫内への外気の流入が無くて、または外気の流入量が少なくて蒸発器の着霜量が少ないことが想定される。この場合、制御部は、除霜キャンセル条件が成立すると判定して除霜運転をキャンセルする。これにより、低消費電力化が図られる。これに対し、冷却運転中にセンサにより検知される庫内温度が第1温度以下になってから第2温度に達する回数が基準回数を超える場合は、庫内への外気の流入量が多くて蒸発器の着霜量が多いことが想定される。この場合、制御部は、除霜キャンセル条件が成立しない判定して除霜運転をキャンセルせずに行う。これにより、蒸発器の着霜に起因する冷凍サイクルの冷却効率の低下を抑制することができる。
【0008】
このように、庫内温度の上昇を検知する基準である第2温度は、庫内温度の上昇の検知を開始するトリガーである第1温度よりも高い値に設定されている。このことから、冷却運転中にセンサにより検知される庫内温度が、第1温度以下になってから何らかの要因で多少変動した場合であっても、第1温度よりも高い第2温度に達する事態が生じ難い。従って、仮に第2温度が第1温度と同値である場合に比べると、庫内温度の不用意な変動に起因して庫内温度の上昇を検知してしまってその検知回数が基準回数に達し、本来ならキャンセルされるべき除霜運転が行われてしまう事態が生じ難くなる。これにより、本来的に不要な除霜運転が適切にキャンセルされるので、除霜運転のキャンセルに係る精度が向上する。その結果、低消費電力化を図ることができる。
【0009】
(2)また、上記冷却貯蔵庫は、上記(1)に加え、前記貯蔵庫本体は、開口を有するとともに前記開口を開閉する扉を有しており、前記制御部は、前記冷却運転中に前記センサにより検知される前記庫内温度が前記第2温度以上となった場合に前記扉の開閉を検知してもよい。冷却運転中に貯蔵庫本体に備わる扉が開閉されると、庫外にある温度及び湿度の高い空気(外気)が開口を通して貯蔵庫本体内に流入するため、庫内温度が上昇するとともに蒸発器の着霜量が多くなることが懸念される。冷却運転中にセンサにより検知される庫内温度が第1温度以下になってから第2温度に達する回数が基準回数を超える場合、扉が開閉される回数が基準回数を超えていて庫内に多くの外気が流入していて多くの霜が蒸発器に付着していることが想定される。この場合、制御部は、除霜キャンセル条件が成立しない判定して除霜運転をキャンセルせずに行う。このように、庫内温度が第2温度に達する回数が基準回数を超えていれば、除霜運転がキャンセルされることなく行われるので、扉の開閉に伴って庫内に流入した外気に起因して蒸発器に多く付着した霜が良好に融解される。これにより、蒸発器の着霜に起因する冷凍サイクルの冷却効率の低下を抑制することができる。また、冷却運転中にセンサにより検知される庫内温度が第2温度以上となった場合に扉の開閉が検知されることから、第2温度は、扉の開閉を検知する扉開閉検知温度を兼ねている、と言える。仮に、扉開閉検知温度が第2温度よりも低いと庫内温度が不用意に変動した場合に扉の開閉を誤検知するおそれがあり、逆に、扉開閉検知温度が第2温度よりも高いと、実際に扉が開閉されてもその開閉を検知し損なうおそれがある。その点、上記のように第2温度が扉開閉検知温度を兼ねていれば、扉の開閉に係る検知精度が向上するとともに、除霜運転のキャンセルに係る精度が向上する。
【0010】
(3)また、上記冷却貯蔵庫は、上記(1)または上記(2)に加え、前記制御部は、前記冷却運転として、第1冷却運転と、前記庫内温度が単位時間当たりに降下する比率である温度降下率が前記第1冷却運転よりも低い第2冷却運転と、を、前記第1温度に基づいて切り替えるよう前記冷凍サイクルを制御し、前記センサにより検知される前記庫内温度が前記第1温度よりも高い場合は、前記第1冷却運転を行い、前記センサにより検知される前記庫内温度が前記第1温度以下となる場合は、前記第2冷却運転を行ってもよい。センサにより検知される庫内温度が第1温度よりも高い場合は、庫内が十分に冷却されていないことが想定される。この場合、制御部は、温度降下率が第2冷却運転よりも高い第1冷却運転を行うことで、庫内の冷却を促進し、速やかに庫内温度の低下を図る。一方、センサにより検知される庫内温度が第1温度以下となる場合は、庫内がある程度は冷却されていることが想定される。この場合、制御部は、温度降下率が第1冷却運転よりも低い第2冷却運転を行うことで、庫内温度を低い状態に安定的に維持する。このように、第1温度は、第1冷却運転と第2冷却運転とを切り替える運転切替温度を兼ねている、と言える。そして、制御部によって第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられるタイミングで、庫内温度の上昇の検知が開始されることになる。仮に運転切替温度が第1温度よりも高い値とされる場合には、第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられてから庫内温度が第1温度に達するまでに多くの時間を要するため、庫内温度の上昇の検知が開始されるまでの間に庫内温度の急上昇が生じると、庫内温度の上昇を検知し損なうおそれがある。その点、第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられるタイミングと、庫内温度の上昇の検知が開始されるタイミングと、が一致していれば、上記のような問題が生じるのを避けることができ、除霜キャンセル条件に係る判定を適切に行うことができる。一方、仮に運転切替温度が第1温度よりも低い値とされる場合には、庫内温度の上昇の検知が開始された後で第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられることになる。ここで、温度降下率が高い第1冷却運転から温度降下率が低い第2冷却運転に切り替えられてから暫くの間は、第1冷却運転の影響を受け易くて実際の温度降下率が第2冷却運転の温度降下率よりも高くなる傾向にある。このため、庫内温度の上昇の検知が開始されから、実際の温度降下率が高い状態が長く続くことになり、庫内温度が過度に低下することが懸念される。その点、第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられるタイミングと、庫内温度の上昇の検知が開始されるタイミングと、が一致していれば、上記のような問題が生じるのを避けることができ、庫内温度を安定的に維持することができる。
【0011】
(4)また、上記冷却貯蔵庫は、上記(1)から上記(3)のいずれかに加え、前記制御部は、前記冷却運転中に前記センサにより検知される前記庫内温度が庫内設定温度となるよう前記冷凍サイクルを制御し、前記庫内温度が前記庫内設定温度よりも低い停止温度に達すると前記冷凍サイクルを停止させ、前記庫内温度が前記庫内設定温度よりも高く且つ前記第1温度よりも低い稼働温度に達すると前記冷凍サイクルを稼働させてもよい。冷却運転中にセンサにより検知される庫内温度が停止温度に達すると、制御部は冷凍サイクルを停止させる。すると、庫内温度が上昇してやがて庫内設定温度に至る。一方、冷却運転中にセンサにより検知される庫内温度が稼働温度に達すると、制御部は冷凍サイクルを稼働させる。すると、庫内温度が降下してやがて庫内設定温度に至る。このようにすれば、庫内温度を庫内設定温度付近に安定的に保つことができる。そして、稼働温度が第1温度よりも低い値とされているから、庫内温度を庫内設定温度付近に保つために制御部によって冷凍サイクルが制御されるのに伴って庫内温度が変動しても、その庫内温度が不用意に第2温度に到達する事態が生じ難くなっている。これにより、除霜キャンセル条件に係る判定において誤判定が生じ難くなる。
【0012】
(5)また、上記冷却貯蔵庫は、上記(1)から上記(4)のいずれかに加え、前記制御部は、前記除霜キャンセル条件が成立する場合、前記冷却運転を終えてから前記除霜運転をキャンセルするまでの間は前記冷凍サイクルを一旦停止させ、前記除霜運転をキャンセルすると前記冷凍サイクルを稼働させ、前記除霜運転をキャンセルしてから第1時間が経過するまでの間、前記センサにより検知される前記庫内温度が前記第1温度以下になったか否かを判定しない、または前記センサにより検知される前記庫内温度が前記第1温度以下になってから前記第2温度に達する回数をカウントしなくてもよい。除霜キャンセル条件が成立する場合、制御部は冷却運転を終えてから除霜運転をキャンセルするまでの間は冷凍サイクルを一旦停止させ、除霜運転をキャンセルすると冷凍サイクルを再稼働させる。冷凍サイクルが再稼働された直後は、例えば冷凍サイクルが停止されている間に蒸発器付近において温度上昇が生じるなどの要因によって庫内温度が急激に上昇して第1温度に達する可能性がある。そのような場合でも、制御部は、除霜運転をキャンセルしてから第1時間が経過するまでの間、センサにより庫内温度を検知しない、またはセンサにより検知される庫内温度が第1温度以下になってから第2温度に達する回数をカウントしないので、庫内温度が不安定な状態で庫内温度の上昇の検知が行われるのを避けることができる。これにより、除霜キャンセル条件に係る判定において誤判定が生じ難くなる。
【0013】
(6)また、上記冷却貯蔵庫は、上記(5)に加え、前記蒸発器と共に前記冷凍サイクルを構成する凝縮器と、前記凝縮器に送風する凝縮器ファンと、前記凝縮器または前記凝縮器付近の温度を検知する第2のセンサと、を備えており、前記制御部は、前記除霜キャンセル条件が成立する場合、前記冷却運転を終えると前記冷凍サイクルを一旦停止させるとともに前記凝縮器ファンを回転させ、第2時間が経過すると前記第2のセンサにより検知される温度を外気温として取得するとともに前記除霜運転をキャンセルしてもよい。冷却運転中に稼働される冷凍サイクルを構成する凝縮器は、凝縮器ファンによって送風されることで冷却が図られる。制御部は、冷却運転を終えると冷凍サイクルを一旦停止させ、第2時間が経過するまで凝縮器ファンを回転させる。すると、凝縮器が凝縮器ファンによって冷却されることで、凝縮器または凝縮器付近の温度が低下して外気温と同等になる。第2時間が経過すると、制御部は、第2のセンサにより検知される温度を外気温として取得するとともに除霜運転をキャンセルする。そして、第2のセンサにより検知される温度が外気温として取得されるとともに除霜運転をキャンセルされてから第1時間が経過すると、制御部は、庫内温度の上昇の検知を開始する。以上のように、除霜運転をキャンセルするタイミングを、第2のセンサにより検知される温度を外気温として取得するタイミングと一致させることで、除霜運転をキャンセルしてから庫内温度の上昇の検知を開始するまでの時間(第1時間)が明確化される。
【0014】
(7)また、上記冷却貯蔵庫は、上記(1)から上記(6)のいずれかに加え、前記除霜キャンセル条件には、前記冷却運転中に前記センサにより検知される前記庫内温度が前記第1温度以下になってから前記冷却運転を終了するまでの間、前記第2温度に達する回数が前記基準回数を超えないことが含まれてもよい。センサにより検知される庫内温度を、冷却運転が行われる間、常に制御部によって監視することができる。これにより、除霜キャンセル条件に係る判定を適切に行うことができる。
【0015】
(8)また、上記冷却貯蔵庫は、上記(1)から上記(7)のいずれかに加え、前記蒸発器を加熱する加熱部を備えており、前記制御部は、前記除霜運転を行う際に前記加熱部を制御して前記蒸発器の霜を融解させてもよい。除霜運転が行われると、制御部により制御される加熱部によって蒸発器が加熱されて霜の融解が促進される。仮に除霜運転として加熱部を用いずに冷凍サイクルの稼働を停止させるなどして蒸発器の霜を融解させるオフサイクルデフロストを行う場合に比べると、短時間で霜を融解させることができる。一方、加熱部を通電させる必要があるため、上記したオフサイクルデフロストに比べると、消費電力量が高くなり易い。その点、庫内温度の上昇を検知する基準である第2温度が第1温度よりも高い値に設定されることで、本来的に不要な除霜運転が適切にキャンセルされるようになっているので、低消費電力化を促進することができる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書に記載の技術によれば、除霜運転のキャンセルに係る精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る冷却貯蔵庫の斜視図
図2】冷却貯蔵庫の概略的な断面図
図3】冷却貯蔵庫の電気的構成を示すブロック図
図4】冷却貯蔵庫の冷却運転に係るタイミングチャート
図5】冷却貯蔵庫の冷却運転に係るタイミングチャートであって、第1温度以下になってから第1温度以上にならない場合を示すタイミングチャート
図6】冷却貯蔵庫の冷却運転に係るタイミングチャートであって、庫内温度が第1温度以下になってから扉開閉検知温度以上になった場合を示すタイミングチャート
図7】冷却貯蔵庫の冷却運転に係るタイミングチャートであって、庫内温度が第1温度以下になってから第1温度以上で且つ第2温度に満たない温度になった場合を示すタイミングチャート
図8】冷却運転に係る制御を示すフローチャート
図9】冷却貯蔵庫の冷却運転中に行われる除霜キャンセル条件の判定に係る制御を示すフローチャート
図10】実施形態2に係る冷却貯蔵庫の電気的構成を示すブロック図
図11】冷却貯蔵庫の除霜運転がキャンセルされて冷却運転が再開される場合のタイミングチャート
図12】冷却貯蔵庫の冷却運転中に行われる除霜キャンセル条件の判定に係る制御を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図9によって説明する。本実施形態では、横型(テーブル型)の冷却貯蔵庫10を例示する。なお、図1及び図2にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。このうちZ軸方向は、鉛直方向とほぼ一致し、X軸方向及びY軸方向は、水平方向とほぼ一致している。また、特に断りがない限りは、上下の記載については鉛直方向を基準とする。
【0019】
冷却貯蔵庫10は、図1及び図2に示すように、横長の箱体である貯蔵庫本体11を備える。貯蔵庫本体11は、ステンレス鋼板等の金属板を主体として構成されている。貯蔵庫本体11は、食材等の貯蔵物が収容される貯蔵室12と、種々の機器が収容される機械室13と、を有している。貯蔵室12は前面が開口されており、その開口12Bが観音開き式の一対の断熱扉(扉)14によって開閉可能な構成となっている。断熱扉14を開放した状態では、貯蔵室12の前面の開口12Bを通じて貯蔵室12に対して食材等の貯蔵物を出し入れすることが可能となっている。貯蔵室12には、貯蔵物が冷蔵保存される冷蔵室と、貯蔵物が冷凍保存される冷凍室と、の一方または両方が含まれる。なお、断熱扉14が取り付けられる貯蔵室12の開口12Bの周縁部には、結露防止ヒータ12Aが埋設されている(図3を参照)。結露防止ヒータ12Aは、例えばコードヒータからなり、貯蔵室12の開口12B近傍において発生し得る結露を抑制するための付帯装備である。貯蔵庫本体11の天面には、作業台15が設けられている。この冷却貯蔵庫10の使用者は、作業台15上にて貯蔵室12から取り出した貯蔵物の調理などの作業を行うことが可能とされ、利便性に優れる。また、貯蔵庫本体11は、底面に設けられた4つの脚部16によって支持されている。
【0020】
機械室13は、貯蔵室12の側方(図1及び図2の左側)に設けられている。機械室13は、前面に開口を有する箱形に形成されており、この開口を覆う形でパネルユニット17が配されている。機械室13には開口を通して冷却ユニット18が引き出し可能に収納されている。なお、冷却ユニット18を収納したり取り出したりする際には、パネルユニット17を取り外した状態として開口を開放すればよい。冷却ユニット18には、基台19と、圧縮機20と、凝縮器21と、冷却器(蒸発器)22と、庫内ファン23と、が少なくとも備えられる。このうちの圧縮機20は、インバータ制御式であり、回転数を適宜に変更することが可能とされる。
【0021】
機械室13は、図2に示すように、仕切り壁13Aによって上下に仕切られており、その上部には冷却器22などが、下部には圧縮機20及び凝縮器21などが、それぞれ収容されている。圧縮機20及び凝縮器21は、基台19上に取り付けられており、基台19と共に機械室13の下部に収容されている。凝縮器21の後面側には、凝縮器21に送風して凝縮器21を空冷する凝縮器ファン25が設けられている(図3を参照)。また、凝縮器21の前側には空気中の塵埃が凝縮器21に付着して凝縮能力が低下することを防止するためのフィルタが設けられている。フィルタに塵埃が付着して目詰まりが生じると、凝縮器ファン25が回転しても凝縮器21と外気との間で十分に熱交換が行われず、冷却効率が低下するおそれがある。そこで、凝縮器21の配管には、フィルタの目詰まりを検出するために目詰まり温度センサ(第2のセンサ、凝縮器温度センサ)21Aがホルダを介して取り付けられている。目詰まり温度センサ21Aは、具体的には温度サーミスタであり、凝縮器21または凝縮器21付近の温度を検知することができる。凝縮器21または凝縮器21付近の温度は、フィルタに付着した塵埃の量に応じて変動することから、目詰まり温度センサ21Aにより検知された温度によってフィルタに目詰まりが生じたか否かを検出することが可能とされる。
【0022】
機械室13の上部は、冷却器22が収容される冷却器室24を構成している。冷却器室24と隣り合う貯蔵室12との間には、両者を連通状態に保ちつつ仕切るダクト26が介在するよう設けられている。ダクト26の下側部分と貯蔵庫本体11の内壁面とにより、貯蔵室12内の空気を冷却器室24内に吸い込むための吸込口26Aが構成される。ダクト26の上側部分と貯蔵庫本体11の内壁面とにより、冷却器室24内の空気を貯蔵室12内に吹き出すための吹出口26Bが構成される。冷却器22は、圧縮機20及び凝縮器21と配管を介して循環接続されることで冷凍サイクルを構成する。庫内ファン23は、冷却器22に対して貯蔵室12側に隣り合う位置に配されており、冷却器22にて生成された冷気を、吹出口26Bから貯蔵室12内に吹き出すことが可能とされる。
【0023】
冷却器22には、除霜に際して冷却器22を加熱することが可能な除霜ヒータ(デフロストヒータ、加熱部)27と、冷却器22または冷却器22付近の温度を検知する除霜温度センサ(冷却器温度センサ)28と、が取り付けられている(図3を参照)。貯蔵庫本体11内には、庫内(貯蔵室12内及び冷却器室24内)の温度を検知する庫内温度センサ(センサ)29が設けられている。庫内温度センサ29は、貯蔵庫本体11の内部空間のうち、例えば吸込口26A付近に取り付けられている。除霜温度センサ28及び庫内温度センサ29は、具体的にはそれぞれ温度サーミスタである。
【0024】
冷却ユニット18が作動すると、冷却器22の周囲の水蒸気が冷却器22によって冷却され、固体化されることにより、冷却器22の表面には霜が付着する。冷却器22に付着した霜は、冷却貯蔵庫10が除霜運転(デフロスト運転)を開始すると、融解される。除霜運転の除霜方式には、ヒータデフロスト方式(加熱除霜方式の一例)とオフサイクルデフロスト方式(加熱抑制除霜方式の一例)との2種類がある。このうち、ヒータデフロスト方式では、除霜ヒータ27により冷却器22を加熱し、冷却器22に付着した霜を融解する。オフサイクルデフロスト方式では、除霜ヒータ27による冷却器22の加熱は行わず、冷却ユニット18(冷凍サイクル)を停止させ、冷却器22を自然に温度上昇させることで冷却器22に付着した霜を融解する。
【0025】
冷却貯蔵庫10には、図3に示すように、各種装置を電気的に制御する制御部30が設けられている。制御部30は、制御基板により構成されている。制御部30は、各種装置に対して電気的に接続されている。制御部30は、冷却運転及び除霜運転等の制御(圧縮機20、庫内ファン23、凝縮器ファン25、除霜ヒータ27等の制御)を行っている。
【0026】
詳しくは、制御部30には、図3に示すように、圧縮機20、庫内ファン23、凝縮器ファン25、除霜ヒータ27、除霜温度センサ28、庫内温度センサ29、結露防止ヒータ12A及び目詰まり温度センサ21Aに加えて、除霜周期タイマ31が電気的に接続されている。除霜周期タイマ31は、除霜運転が行われる周期に係る時間である除霜周期時間Tcをカウントするものであり、例えば制御部30を構成する制御基板に設けられている。なお、制御基板には、除霜周期タイマ31によりカウントされる時間などを記憶するメモリ(記憶部)が設けられていてもよい。メモリに記憶された時間は、制御部30により読み出し可能とされていてもよい。制御部30は、圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25を制御することで冷却運転を行う。制御部30は、冷却運転を行う間は、圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25をいずれも適宜に作動させて冷凍サイクルを稼働させるのに対して除霜ヒータ27を停止させる。制御部30は、凝縮器ファン25を作動させる際には、凝縮器ファン25の運転速度(回転速度)を複数段階で制御することが可能とされる。制御部30は、除霜運転を行う間は、除霜運転がいずれの方式であっても少なくとも圧縮機20及び凝縮器ファン25を停止させ、冷凍サイクルを稼働させることがない。制御部30は、ヒータデフロスト方式の除霜運転(ヒータ除霜運転、ヒータデフロスト)を行う場合には、除霜ヒータ27を作動させるのに対して圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25をいずれも停止させる。制御部30は、オフサイクルデフロスト方式の除霜運転(オフサイクル除霜運転、オフサイクルデフロスト)を行う場合には、圧縮機20、凝縮器ファン25及び除霜ヒータ27をいずれも停止させるのに対して庫内ファン23を作動させる。
【0027】
冷却運転について図4のタイミングチャートを用いて詳しく説明する。図4は、冷却運転に係るタイミングチャートである。図4では、圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25については、稼働状態をONと表記し、停止状態をOFFと表記している。図4では、庫内温度センサ29については、検知された温度の推移を表記するとともに、停止温度toff、庫内設定温度tset、稼働温度ton及び運転切替温度tswを併せて表記している。制御部30は、図4に示すように、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が使用者によって設定された庫内設定温度tsetとなるよう冷却運転を行う。この庫内設定温度tsetは、例えば冷却運転中であっても適宜に変更可能とされる。より具体的には、制御部30は、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が、庫内設定温度tsetよりも低い停止温度toff以下になると、少なくとも圧縮機20(冷凍サイクル)及び凝縮器ファン25を停止させる。この場合、庫内ファン23については停止させ続けてもよいが、稼働と停止を間欠的に繰り返すようにしてもよい。少なくとも圧縮機20及び凝縮器ファン25が停止されると、庫内温度が上昇して庫内設定温度tsetに近づき、やがては庫内設定温度tsetに達してから上昇する。制御部30は、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が、庫内設定温度tsetよりも高い稼働温度ton以上になると、圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25を稼働させる。圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25が稼働されると、庫内温度が降下して庫内設定温度tsetに近づき、やがては庫内設定温度tsetに達してから降下する。このように、制御部30は、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度に基づいて圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25の稼働と停止とを繰り返すよう制御することで、庫内温度を庫内設定温度tset付近(停止温度toffと稼働温度tonとの間)に維持することができる。なお、庫内設定温度tsetと稼働温度tonとの差と、庫内設定温度tsetと停止温度toffとの差と、は等しい。例えば、庫内設定温度tsetが-20℃とされる場合は、稼働温度tonが例えば-16℃とされるのに対し、停止温度toffが例えば-24℃とされる。
【0028】
さらに制御部30は、庫内温度センサ29により検知される庫内温度に基づいて少なくとも2種類の冷却運転を切り替えることができる。2種類の冷却運転は、庫内温度が単位時間当たりに降下する比率である温度降下率が異なっており、温度降下率が相対的に高い第1冷却運転と、温度降下率が相対的に低い第2冷却運転と、を含む。詳しくは、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が、上記した稼働温度tonよりも高い温度である運転切替温度tswに比べて高い場合は、制御部30は、第2冷却運転よりも温度降下率が高い第1冷却運転を行う。この運転切替温度tswは、稼働温度tonよりも例えば1K高い温度とされる。例えば稼働温度tonが-16℃とされる場合は、運転切替温度tswは-15℃とされる。制御部30は、第1冷却運転を行う際には、第2冷却運転を行う場合に比べて、圧縮機20を高回転数で稼働させて庫内温度の速やかな降下を図っている。一方、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が運転切替温度tsw以下になった場合は、制御部30は、第1冷却運転よりも温度降下率が低い第2冷却運転を行う。制御部30は、第2冷却運転を行う際には、第1冷却運転を行う場合に比べて、圧縮機20を低回転数で稼働させて庫内温度の緩やかな降下を図っている。このように、制御部30は、庫内温度センサ29により検知される庫内温度に応じて温度降下率が異なる第1冷却運転及び第2冷却運転を選択的に行っており、運転切替温度tswが第1冷却運転と第2冷却運転とを切り替えるトリガーとなっている。従って、例えば冷却貯蔵庫10の電源がONされた直後のように庫内温度が室温に近くて庫内設定温度tset及び運転切替温度tswよりも遙かに高い場合には、制御部30により第1冷却運転を行うことで、庫内温度を短時間で運転切替温度tswまで降下させることができる。そして、庫内温度が室温よりも庫内設定温度tsetに近い運転切替温度tsw以下になると、制御部30により第2冷却運転を行うことで、庫内温度を緩やかに降下させて高い精度でもって庫内設定温度tsetに近づけることができる。制御部30は、第1冷却運転及び第2冷却運転のいずれを行う場合であっても、庫内温度に応じて温度降下率を適宜に変化させることができ、例えば庫内温度が高い場合は、庫内温度が低い場合よりも温度降下率を高くすることができる。
【0029】
次に、図5及び図6の各タイミングチャートを用いて断熱扉14の開閉検知について説明する。図5は、庫内温度が運転切替温度tsw(後述する第1温度t1)以下になってから運転切替温度tsw以上にならない場合を示すタイミングチャートである。図6は、庫内温度が運転切替温度tsw以下になってから扉開閉検知温度td(後述する第2温度t2)以上になった場合を示すタイミングチャートである。図5及び図6では、庫内温度センサ29について、検知された温度の推移を表記するとともに、停止温度toff、庫内設定温度tset、稼働温度ton、第1温度t1、運転切替温度tsw、第2温度t2及び扉開閉検知温度tdを併せて表記している。図5及び図6では、圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25の表記を省略しているが、圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25のON/OFFは、図4に示されるのと同様に制御されている。制御部30は、図5及び図6に示すように、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度に基づいて断熱扉14の開閉を検知することができる。これは、断熱扉14が開閉されると、庫外の温度及び湿度が高い空気(外気)が貯蔵庫本体11の開口12Bを通して庫内に流入することで庫内温度が上昇することを利用している。詳しくは、制御部30は、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が所定の扉開閉検知温度td以上となった場合に断熱扉14の開閉を検知し(特に図6)、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が扉開閉検知温度tdよりも低い場合は断熱扉14の開閉を検知しない(特に図5)。扉開閉検知温度tdは、少なくとも稼働温度tonよりも高い値となるよう設定されている。このように、庫内温度を検出する庫内温度センサ29を利用して断熱扉14の開閉を検知しているので、仮に断熱扉14にスイッチを設置して開閉を検知する場合に比べると、そのようなスイッチの設置が不要となる。なお、図4及び図5によれば、庫内温度が運転切替温度tsw以下になり、制御部30により第2冷却運転が開始されて所定期間が経過すると、庫内温度が稼働温度ton付近を行き来するよう変化している。これは、第2冷却運転が開始されると、実際の庫内温度の温度降下率が次第に低くなることが理由と考えられる。また、図4及び図5によれば、庫内温度が運転切替温度tsw以下になり、制御部30により第2冷却運転が開始されて間もない所定期間は、実際の庫内温度の温度降下率が第2冷却運転の温度降下率よりも高い状態とされる。これは、第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられてから暫くの間は、それまで行われていた第1冷却運転の影響を受けるため、と考えられる。
【0030】
制御部30は、上記した冷却運転を開始すると、除霜周期タイマ31によるカウント(計時)を開始させる。制御部30は、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達すると、冷却運転を終了するとともにいずれかの方式の除霜運転を開始する。つまり、本実施形態では、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達することが、制御部30が除霜運転を開始する条件である除霜開始条件となっている。本実施形態では、除霜周期時間Tcは、例えば6時間とされる。制御部30は、冷却器22の着霜量が反映されることが想定される所定の条件(例えば庫内設定温度tsetや目詰まり温度センサ21Aによる検知温度などと所定の閾値との関係)に基づいていずれの方式の除霜運転を行うか、を判定する。制御部30は、除霜運転が開始されると、いずれの方式の除霜運転であっても、除霜温度センサ28により検知される温度が所定の除霜終了温度teとなったところで、除霜運転を終了する。なお、制御部30は、ヒータ除霜運転を行う場合には、除霜ヒータ27を停止させてからヒータ除霜運転を終了するまでの間、冷却器22に付着した水分の除去を促すために所定時間(水切り時間)待機する。制御部30は、除霜運転が終了すると、再び冷却運転を開始するとともに除霜周期タイマ31によるカウントを開始し、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達し、除霜開始条件が成立すると、いずれかの方式の除霜運転を開始する、というサイクルを繰り返す。
【0031】
そして、制御部30は、上記のように除霜開始条件が成立すると行われる予定の除霜運転を、以下に説明する除霜キャンセル条件が成立する場合は例外的にキャンセルすることができる。除霜キャンセル条件には、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が、所定の第1温度t1以下になってから第1温度t1よりも高い第2温度t2に達する回数が基準回数を超えないことが含まれる。この第1温度t1は、詳しくは後述するが、運転切替温度tswと等しい値か運転切替温度tswよりも高い値とされる。上記した除霜キャンセル条件について図5から図7のタイミングチャートを用いて詳しく説明する。図7は、庫内温度が第1温度t1以下になってから第1温度t1以上で且つ第2温度t2に満たない温度になった場合を示すタイミングチャートである。図7では、庫内温度センサ29について、検知された温度の推移を表記するとともに、停止温度toff、庫内設定温度tset、稼働温度ton、第1温度t1、運転切替温度tsw、第2温度t2及び扉開閉検知温度tdを併せて表記している。図7では、圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25の表記を省略しているが、圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25のON/OFFは、図4に示されるのと同様に制御されている。
【0032】
制御部30は、除霜開始条件が成立しても、除霜キャンセル条件が成立する場合は除霜運転をキャンセルし、除霜キャンセル条件が成立しない場合は除霜運転をキャンセルせずに行う。詳しくは、制御部30は、図5から図7に示すように、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第1温度t1よりも高い第2温度t2に達する回数が基準回数を超えない場合は、庫内への温度及び湿度の高い外気の流入が無くて、または外気の流入量が少なくて、冷却器22の着霜量が少ないことが想定される(特に図5及び図7)。この場合、制御部30は、除霜キャンセル条件が成立すると判定して除霜開始条件が成立していても除霜運転をキャンセルする。これにより、低消費電力化が図られる。これに対し、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第2温度t2に達する回数が基準回数を超える場合は、庫内への温度及び湿度の高い外気の流入量が多くて冷却器22の着霜量が多いことが想定される(特に図6)。この場合、制御部30は、除霜キャンセル条件が成立しない判定して除霜運転をキャンセルせずに行う。これにより、冷却器22の着霜に起因する冷凍サイクルの冷却効率の低下を抑制することができる。上記した基準回数は、庫内への外気の流入に伴って冷却器22の着霜量がどの程度増加するか、などの想定に基づいて適宜に設定される。例えば、庫内への外気の流入に伴う着霜量の増加が多いことが想定される場合には、基準回数を1回に設定すればよい。これに対し、例えば、庫内への外気の流入に伴う着霜量の増加が少ないことが想定される場合には、基準回数を2回以上に設定すればよい。
【0033】
このように、庫内温度の上昇を検知する基準である第2温度t2は、庫内温度の上昇の検知を開始するトリガーである第1温度t1よりも高い値に設定されている。このことから、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が、第1温度t1以下になってから何らかの要因で多少変動した場合であっても、第1温度t1よりも高い第2温度t2に達する事態が生じ難い(特に図7)。庫内温度が変動する要因としては、例えば冷凍サイクルの稼働が開始された直後において冷凍サイクルの動作が不安定なことや圧縮機20が低回転状態で駆動されることが挙げられる。従って、仮に第2温度t2が第1温度t1と同値である場合に比べると、庫内温度の不用意な変動に起因して庫内温度の上昇を検知してしまってその検知回数が基準回数に達し、本来ならキャンセルされるべき除霜運転が行われてしまう事態が生じ難くなる。これにより、本来的に不要な除霜運転が適切にキャンセルされるので、除霜運転のキャンセルに係る精度が向上する。その結果、低消費電力化を図ることができる。特に、除霜キャンセル条件が成立する場合にキャンセルされる除霜運転が、除霜ヒータ27の通電を要するヒータデフロスト方式の除霜運転であれば、除霜ヒータ27の通電を要しないオフサイクルデフロスト方式の除霜運転に比べると、除霜運転がキャンセルされるのに伴って得られる低消費電力化効果が大きなものとなる。より好ましくは、制御部30は、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから冷却運転を終了するまでの間、庫内温度の上昇の検知、つまり庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2に達する回数が基準回数を超えるか否かに係る判定を行う。このようにすれば、庫内温度センサ29により検知される庫内温度を、冷却運転が行われる間、常に制御部30によって監視することができる。これにより、除霜キャンセル条件に係る判定を適切に行うことができる。
【0034】
庫内温度の上昇の検知を開始するトリガーである第1温度t1は、第1冷却運転と第2冷却運転とを切り替えるトリガーである運転切替温度tswと等しい値とされるのが好ましい。つまり、第1温度t1は、運転切替温度tswを兼ねている。このようにすれば、制御部30によって第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられるタイミングで、庫内温度の上昇の検知が開始されることになる。仮に運転切替温度tswが第1温度t1よりも高い値とされる場合には、第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられてから庫内温度が第1温度t1に達するまでに多くの時間を要するため、庫内温度の上昇の検知が開始されるまでの間に庫内温度の急上昇が生じると、庫内温度の上昇を検知し損なうおそれがある。その点、第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられるタイミングと、庫内温度の上昇の検知が開始されるタイミングと、が一致していれば、上記のような問題が生じるのを避けることができ、除霜キャンセル条件に係る判定を適切に行うことができる。一方、仮に運転切替温度tswが第1温度t1よりも低い値とされる場合には、庫内温度の上昇の検知が開始された後で第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられることになる。ここで、温度降下率が高い第1冷却運転から温度降下率が低い第2冷却運転に切り替えられてから暫くの間は、第1冷却運転の影響を受け易くて実際の温度降下率が第2冷却運転の温度降下率よりも高くなる傾向にある(図5及び図6を参照)。このため、庫内温度の上昇の検知が開始されから、実際の温度降下率が高い状態が長く続くことになり、庫内温度が過度に低下することが懸念される。その点、第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられるタイミングと、庫内温度の上昇の検知が開始されるタイミングと、が一致していれば、上記のような問題が生じるのを避けることができ、庫内温度を安定的に維持することができる。また、第1温度t1が運転切替温度tswを兼ねているので、設定する温度が1つの値で済む。
【0035】
本実施形態では、第1温度t1よりも高い第2温度t2は、扉開閉検知温度tdと等しい値とされる。つまり、第2温度t2は、扉開閉検知温度tdを兼ねている。従って、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第2温度t2に達した場合、制御部30は、庫内温度が扉開閉検知温度td以上になったとして断熱扉14の開閉を検知するとともに、第2温度t2に達する回数をカウントする。この第2温度t2に達する回数は、断熱扉14の開閉回数と一致することから、第2温度t2に達する回数をカウントすれば、断熱扉14の開閉回数をカウントしたことになる。そして、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第2温度t2に達する回数が基準回数を超えた場合、断熱扉14の開閉回数が基準回数を超えていて庫内に多くの外気が流入していて多くの霜が冷却器22に付着していることが想定される。この場合、制御部30は、除霜キャンセル条件が成立しない判定して除霜運転をキャンセルせずに行う(特に図6)。このように、庫内温度が第2温度t2に達する回数が基準回数を超えていれば、除霜運転がキャンセルされることなく行われるので、断熱扉14の開閉に伴って庫内に流入した外気に起因して冷却器22に多く付着した霜が良好に融解される。これにより、冷却器22の着霜に起因する冷凍サイクルの冷却効率の低下を抑制することができる。仮に、扉開閉検知温度tdが第2温度t2よりも低いと庫内温度が不用意に変動した場合に断熱扉14の開閉を誤検知するおそれがあり、逆に、扉開閉検知温度tdが第2温度t2よりも高いと、実際に断熱扉14が開閉されてもその開閉を検知し損なうおそれがある。その点、上記のように第2温度t2が扉開閉検知温度tdを兼ねていれば、断熱扉14の開閉に係る検知精度が向上するとともに、除霜運転のキャンセルに係る精度が向上する。第2温度t2及び扉開閉検知温度tdは、第1温度t1よりも例えば1K高い温度(稼働温度tonよりも例えば2K高い温度)とされる。例えば第1温度t1が-15℃とされる場合は、第2温度t2及び扉開閉検知温度tdは-14℃とされる。上記した基準回数は、断熱扉14の開閉が1回行われたときに冷却器22の着霜量がどの程度増加するか、などの想定に基づいて適宜に設定される。例えば、断熱扉14の開閉に伴う着霜量の増加が多いことが想定される場合には、基準回数を1回に設定すればよい。この場合には、冷却運転中に断熱扉14が1回でも開閉された場合は、除霜キャンセル条件が成立せず、除霜運転がキャンセルされないことになる。これに対し、例えば、断熱扉14の開閉に伴う着霜量の増加が少ないことが想定される場合には、基準回数を2回以上に設定すればよい。基準回数を例えば3回に設定した場合には、冷却運転中に断熱扉14が1,2回開閉された場合は、除霜キャンセル条件が成立して除霜運転がキャンセルされるものの、冷却運転中に断熱扉14が3回以上開閉された場合は、除霜キャンセル条件が成立せず、除霜運転がキャンセルされないことになる。また、第2温度t2が扉開閉検知温度tdを兼ねているので、設定する温度が1つの値で済む。
【0036】
次に、冷却運転について図8のフローチャートを用いて説明する。図8は、冷却運転に係る制御を示すフローチャートである。冷却運転が開始されると、制御部30は、図8に示すように、除霜周期タイマ31によるカウントを開始する(ステップS10)。次に、制御部30は、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が運転切替温度tsw以上であるか否かを判定する(ステップS11)。なお、本実施形態では、第1温度t1が運転切替温度tswを兼ねているので、第1温度t1と運転切替温度tswとを相互に置き換えることができる。このとき、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が運転切替温度tsw以上の場合は、制御部30は第1冷却運転を行う(ステップS12)。すると、制御部30により圧縮機20が高回転で稼働されることで、庫内温度の速やかな降下が図られる。その後、制御部30は、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達するか否かを判定し(ステップS13)、当該時間が除霜周期時間Tcに達していなければステップS11に戻り、当該時間が除霜周期時間Tcに達していれば冷却運転を終了する(ステップS14)。
【0037】
ステップS11において庫内温度センサ29により検知される庫内温度が運転切替温度tswよりも低い場合は、制御部30は第2冷却運転を行う(ステップS15)。すると、制御部30により圧縮機20が低回転で稼働されることで、庫内温度の緩やかな降下が図られる。その後、制御部30は、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達するか否かを判定し(ステップS16)、当該時間が除霜周期時間Tcに達していれば冷却運転を終了し(ステップS14)、当該時間が除霜周期時間Tcに達していなければ、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が停止温度toff以下か否かを判定する(ステップS17)。このとき、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が停止温度toffよりも高い場合は、制御部30は、第2冷却運転を継続して行う。これにより、庫内温度が緩やかに降下していく。一方、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が停止温度toff以下となった場合は、制御部30は、圧縮機20(冷凍サイクル)を停止させる(ステップS18)。このとき、制御部30は、庫内ファン23及び凝縮器ファン25も停止させる。圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25が停止されると、庫内温度が次第に上昇する。これにより、庫内温度が停止温度toffよりもさらに低くなって庫内が過冷却状態になる事態が避けられる。
【0038】
その後、制御部30は、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達するか否かを判定し(ステップS19)、当該時間が除霜周期時間Tcに達していれば冷却運転を終了し(ステップS14)、当該時間が除霜周期時間Tcに達していなければ庫内温度センサ29により検知される庫内温度が稼働温度ton以上か否かを判定する(ステップS20)。このとき、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が稼働温度tonよりも低い場合は、制御部30は、圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25を停止させた状態を継続する。これにより、庫内温度が緩やかに上昇していく。一方、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が稼働温度ton以上となった場合は、制御部30は、圧縮機20(冷凍サイクル)を稼働させる(ステップS21)。このとき、制御部30は、庫内ファン23及び凝縮器ファン25も稼働させる。圧縮機20、庫内ファン23及び凝縮器ファン25が稼働されると、庫内温度が次第に降下する。これにより、庫内温度が稼働温度tonよりもさらに高くなって庫内が高温状態になる事態が避けられる。その後、制御部30は、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達するか否かを判定し(ステップS22)、当該時間が除霜周期時間Tcに達していれば冷却運転を終了し(ステップS14)、当該時間が除霜周期時間Tcに達していなければ、上記したステップS17に戻る。
【0039】
以上のように、制御部30は、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が運転切替温度tsw(第1温度t1)以上であるか否かに基づいて、温度降下率が異なる第1冷却運転と第2冷却運転とを切り替え、第2冷却運転を行う間は庫内温度センサ29により検知される庫内温度を停止温度toff及び稼働温度tonと比較することで、冷凍サイクルの稼働と停止とを繰り返している。これにより、庫内温度を速やかに且つ高い精度でもって庫内設定温度tsetに至らせることができるとともに庫内温度を庫内設定温度tset付近に維持することができる。
【0040】
続いて、冷却運転中に行われる除霜キャンセルの判定について図9のフローチャートを用いて説明する。図9は、除霜キャンセル条件の判定に係る制御を示すフローチャートである。冷却運転が開始されると、制御部30は、図9に示すように、除霜周期タイマ31によるカウントを開始する(ステップS30)。次に、制御部30は、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下であるか否かを判定する(ステップS31)。このとき、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1よりも高い場合は、ステップS31に戻る。一方、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下の場合は、制御部30は除霜キャンセル条件の判定(庫内温度の上昇の検知)を開始する(ステップS32)。本実施形態では、第1温度t1が運転切替温度tswと同じ値であるから、除霜キャンセル条件の判定が開始されるタイミングは、第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられるタイミングと一致している(図4及び図8を参照)。
【0041】
そして、制御部30は、除霜キャンセル条件の判定を開始すると、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2以上であるか否かを判定する(ステップS33)。なお、本実施形態では、第2温度t2が扉開閉検知温度tdを兼ねているので、第2温度t2と扉開閉検知温度tdとを相互に置き換えることができる。このとき、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2以上の場合は、庫内温度が第2温度t2に達する回数をカウントする(ステップS34)。その後、制御部30は、庫内温度が第2温度t2を達する回数が基準回数を超えたか否かを判定する(ステップS35)。このとき、庫内温度が第2温度t2を達する回数が基準回数を超えた場合は、除霜キャンセル条件が成立していないことから、制御部30は除霜運転をキャンセルしないと判定する(ステップS36)。本実施形態では、第2温度t2が扉開閉検知温度tdと同じ値であるから、制御部30は除霜運転をキャンセルしないと判定するとともに断熱扉14の開閉回数が基準回数を超えたことを検知する(図6を参照)。その後、制御部30は、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達するか否かを判定し(ステップS37)、当該時間が除霜周期時間Tcに達していなければステップS37に戻り、当該時間が除霜周期時間Tcに達していれば冷却運転を終了する(ステップS38)。このとき、除霜開始条件は成立しているものの、除霜キャンセル条件は成立していないことから、制御部30は、除霜運転をキャンセルすることなく行う(ステップS39)。また、制御部30は、庫内温度が第2温度t2に達する回数に係るカウントをリセットする(ステップS40)。このように、制御部30は、冷却運転が開始されてから終了するまでの間に、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2以上になった回数が基準回数を超えた場合は、除霜運転をキャンセルすることなく行う。
【0042】
一方、ステップS33において、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2に達しない場合や、ステップS35において、庫内温度が第2温度t2を達する回数が基準回数を超えていない場合は、制御部30は、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達するか否かを判定する(ステップS41)。ステップS41において、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達していなければ、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2以下であるか否かを判定する(ステップS42)。このとき、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2よりも高い場合は、ステップS42に戻る。一方、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2以下の場合は、ステップS33に戻る。つまり、制御部30は、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2以下になるまで、ステップS33の判定を開始しないので、庫内温度が第2温度t2を達する回数を誤って連続してカウントする事態を避けることができる。このように、制御部30は、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達するまで、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2に達する回数が基準回数を超えるか否かを繰り返し判定する。ここで、例えば基準回数が1回に設定されていると、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が一度でも第2温度t2に達した場合は、ステップS36に移行し、制御部30は除霜運転をキャンセルしないと判定する。これに対し、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が一度も第2温度t2に達することがないまま、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達した場合には、除霜開始条件及び除霜キャンセル条件が共に成立していることから、制御部30は、除霜運転をキャンセルすると判定するとともに冷却運転を終了する(ステップS43)。また、例えば基準回数が3回に設定されていると、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2に達する回数が3回になった場合は、ステップS36に移行し、制御部30は除霜運転をキャンセルしないと判定する。これに対し、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2に達する回数が1回または2回のまま、除霜周期タイマ31によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達した場合には、除霜開始条件及び除霜キャンセル条件が共に成立していることから、制御部30は、除霜運転をキャンセルすると判定するとともに冷却運転を終了する(ステップS43)。ステップS43にて除霜運転をキャンセルする判定がなされるとともに冷却運転が終了されると、制御部30は除霜運転をキャンセルして冷却運転を開始する(ステップS44)。このように、制御部30は、冷却運転が開始されてから終了するまでの間に、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2に達する回数が基準回数を超えない場合は、除霜運転をキャンセルする。
【0043】
以上説明したように本実施形態の冷却貯蔵庫10は、貯蔵庫本体11と、貯蔵庫本体11の庫内温度を検知する庫内温度センサ(センサ)29と、冷凍サイクルを構成する冷却器(蒸発器)22と、庫内温度センサ29により検知される庫内温度に基づいて冷凍サイクルを制御して冷却運転を行うとともに、除霜開始条件が成立すると除霜キャンセル条件が成立しない限りは冷却器22に付着した霜を融解させる除霜運転を行うものの、除霜開始条件が成立しても除霜キャンセル条件が成立すると除霜運転をキャンセルする制御部30と、を備え、除霜キャンセル条件には、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第1温度t1よりも高い第2温度t2に達する回数が基準回数を超えないことが含まれる。
【0044】
制御部30によって冷却運転が行われると、庫内温度センサ29により検知される庫内温度に基づいて冷凍サイクルが制御されることで、冷却器22により庫内の空気が冷却される。除霜開始条件が成立すると、除霜キャンセル条件が成立しない限りは、制御部30によって除霜運転が行われる。すると、冷却器22に付着した霜が融解される。制御部30は、除霜開始条件が成立しても、除霜キャンセル条件が成立すると、除霜運転をキャンセルする。除霜キャンセル条件には、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第1温度t1よりも高い第2温度t2に達する回数が基準回数を超えないことが含まれる。ここで、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が上昇する要因の1つに庫内への外気の流入が考えられる。外気は、庫内の空気よりも温度及び湿度が共に高いことから、庫内への外気の流入に伴って庫内温度が上昇するとともに着霜量が多くなることが想定される。具体的には、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第2温度t2に達する回数が基準回数を超えない場合は、庫内への外気の流入が無くて、または外気の流入量が少なくて冷却器22の着霜量が少ないことが想定される。この場合、制御部30は、除霜キャンセル条件が成立すると判定して除霜開始条件が成立していても除霜運転をキャンセルする。これにより、低消費電力化が図られる。これに対し、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第2温度t2に達する回数が基準回数を超える場合は、庫内への外気の流入量が多くて冷却器22の着霜量が多いことが想定される。この場合、制御部30は、除霜キャンセル条件が成立しない判定して除霜運転をキャンセルせずに行う。これにより、冷却器22の着霜に起因する冷凍サイクルの冷却効率の低下を抑制することができる。
【0045】
このように、庫内温度の上昇を検知する基準である第2温度t2は、庫内温度の上昇の検知を開始するトリガーである第1温度t1よりも高い値に設定されている。このことから、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が、第1温度t1以下になってから何らかの要因で多少変動した場合であっても、第1温度t1よりも高い第2温度t2に達する事態が生じ難い。従って、仮に第2温度t2が第1温度t1と同値である場合に比べると、庫内温度の不用意な変動に起因して庫内温度の上昇を検知してしまってその検知回数が基準回数に達し、本来ならキャンセルされるべき除霜運転が行われてしまう事態が生じ難くなる。これにより、本来的に不要な除霜運転が適切にキャンセルされるので、除霜運転のキャンセルに係る精度が向上する。その結果、低消費電力化を図ることができる。
【0046】
また、貯蔵庫本体11は、開口12Bを有するとともに開口12Bを開閉する断熱扉(扉)14を有しており、制御部30は、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2以上となった場合に断熱扉14の開閉を検知する。冷却運転中に貯蔵庫本体11に備わる断熱扉14が開閉されると、庫外にある温度及び湿度の高い空気(外気)が開口12Bを通して貯蔵庫本体11内に流入するため、庫内温度が上昇するとともに冷却器22の着霜量が多くなることが懸念される。冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第2温度t2に達する回数が基準回数を超える場合、断熱扉14が開閉される回数が基準回数を超えていて庫内に多くの外気が流入していて多くの霜が冷却器22に付着していることが想定される。この場合、制御部30は、除霜キャンセル条件が成立しない判定して除霜運転をキャンセルせずに行う。このように、庫内温度が第2温度t2に達する回数が基準回数を超えていれば、除霜運転がキャンセルされることなく行われるので、断熱扉14の開閉に伴って庫内に流入した外気に起因して冷却器22に多く付着した霜が良好に融解される。これにより、冷却器22の着霜に起因する冷凍サイクルの冷却効率の低下を抑制することができる。また、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第2温度t2以上となった場合に扉の開閉が検知されることから、第2温度t2は、扉の開閉を検知する扉開閉検知温度tdを兼ねている、と言える。仮に、扉開閉検知温度tdが第2温度t2よりも低いと庫内温度が不用意に変動した場合に断熱扉14の開閉を誤検知するおそれがあり、逆に、扉開閉検知温度tdが第2温度t2よりも高いと、実際に断熱扉14が開閉されてもその開閉を検知し損なうおそれがある。その点、上記のように第2温度t2が扉開閉検知温度tdを兼ねていれば、断熱扉14の開閉に係る検知精度が向上するとともに、除霜運転のキャンセルに係る精度が向上する。
【0047】
また、制御部30は、冷却運転として、第1冷却運転と、庫内温度が単位時間当たりに降下する比率である温度降下率が第1冷却運転よりも低い第2冷却運転と、を、第1温度t1に基づいて切り替えるよう冷凍サイクルを制御し、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1よりも高い場合は、第1冷却運転を行い、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下となる場合は、第2冷却運転を行う。庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1よりも高い場合は、庫内が十分に冷却されていないことが想定される。この場合、制御部30は、温度降下率が第2冷却運転よりも高い第1冷却運転を行うことで、庫内の冷却を促進し、速やかに庫内温度の低下を図る。一方、庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下となる場合は、庫内がある程度は冷却されていることが想定される。この場合、制御部30は、温度降下率が第1冷却運転よりも低い第2冷却運転を行うことで、庫内温度を低い状態に安定的に維持する。このように、第1温度t1は、第1冷却運転と第2冷却運転とを切り替える運転切替温度tswを兼ねている、と言える。そして、制御部30によって第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられるタイミングで、庫内温度の上昇の検知が開始されることになる。仮に運転切替温度tswが第1温度t1よりも高い値とされる場合には、第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられてから庫内温度が第1温度t1に達するまでに多くの時間を要するため、庫内温度の上昇の検知が開始されるまでの間に庫内温度の急上昇が生じると、庫内温度の上昇を検知し損なうおそれがある。その点、第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられるタイミングと、庫内温度の上昇の検知が開始されるタイミングと、が一致していれば、上記のような問題が生じるのを避けることができ、除霜キャンセル条件に係る判定を適切に行うことができる。一方、仮に運転切替温度tswが第1温度t1よりも低い値とされる場合には、庫内温度の上昇の検知が開始された後で第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられることになる。ここで、温度降下率が高い第1冷却運転から温度降下率が低い第2冷却運転に切り替えられてから暫くの間は、第1冷却運転の影響を受け易くて実際の温度降下率が第2冷却運転の温度降下率よりも高くなる傾向にある。このため、庫内温度の上昇の検知が開始されから、実際の温度降下率が高い状態が長く続くことになり、庫内温度が過度に低下することが懸念される。その点、第1冷却運転から第2冷却運転に切り替えられるタイミングと、庫内温度の上昇の検知が開始されるタイミングと、が一致していれば、上記のような問題が生じるのを避けることができ、庫内温度を安定的に維持することができる。
【0048】
また、制御部30は、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が庫内設定温度tsetとなるよう冷凍サイクルを制御し、庫内温度が庫内設定温度tsetよりも低い停止温度toffに達すると冷凍サイクルを停止させ、庫内温度が庫内設定温度tsetよりも高く且つ第1温度t1よりも低い稼働温度tonに達すると冷凍サイクルを稼働させる。冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が停止温度toffに達すると、制御部30は冷凍サイクルを停止させる。すると、庫内温度が上昇してやがて庫内設定温度tsetに至る。一方、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が稼働温度tonに達すると、制御部30は冷凍サイクルを稼働させる。すると、庫内温度が降下してやがて庫内設定温度tsetに至る。このようにすれば、庫内温度を庫内設定温度tset付近に安定的に保つことができる。そして、稼働温度tonが第1温度t1よりも低い値とされているから、庫内温度を庫内設定温度tset付近に保つために制御部30によって冷凍サイクルが制御されるのに伴って庫内温度が変動しても、その庫内温度が不用意に第2温度t2に到達する事態が生じ難くなっている。これにより、除霜キャンセル条件に係る判定において誤判定が生じ難くなる。
【0049】
また、除霜キャンセル条件には、冷却運転中に庫内温度センサ29により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから冷却運転を終了するまでの間、第2温度t2に達する回数が基準回数を超えないことが含まれる。庫内温度センサ29により検知される庫内温度を、冷却運転が行われる間、常に制御部30によって監視することができる。これにより、除霜キャンセル条件に係る判定を適切に行うことができる。
【0050】
また、冷却器22を加熱する除霜ヒータ(加熱部)27を備えており、制御部30は、除霜運転を行う際に除霜ヒータ27を制御して冷却器22の霜を融解させる。除霜運転が行われると、制御部30により制御される除霜ヒータ27によって冷却器22が加熱されて霜の融解が促進される。仮に除霜運転として除霜ヒータ27を用いずに冷凍サイクルの稼働を停止させるなどして冷却器22の霜を融解させるオフサイクルデフロストを行う場合に比べると、短時間で霜を融解させることができる。一方、除霜ヒータ27を通電させる必要があるため、上記したオフサイクルデフロストに比べると、消費電力量が高くなり易い。その点、除霜キャンセル条件が成立するか否かの判定基準である第2温度t2が第1温度t1よりも高い値に設定されることで、本来的に不要な除霜運転が適切にキャンセルされるようになっているので、低消費電力化を促進することができる。
【0051】
<実施形態2>
実施形態2を図10から図12によって説明する。この実施形態2では、除霜キャンセル条件の判定を開始するタイミングを変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0052】
本実施形態に係る制御部130には、図10に示すように、除霜運転をキャンセルすると判定された場合に冷却運転が終了してからの経過時間をカウントする第1タイマ(外気温取得期間タイマ)32と、冷却運転が再開されてからの経過時間をカウントする第2タイマ(判定待機期間タイマ)33と、が電気的に接続されている。第1タイマ32及び第2タイマ33は、例えば制御部130を構成する制御基板に設けられている。なお、制御基板には、第1タイマ32及び第2タイマ33によりカウントされる時間などを記憶するメモリ(記憶部)が設けられていてもよい。メモリに記憶された時間は、制御部130により読み出し可能とされていてもよい。
【0053】
次に、除霜キャンセル条件が成立した場合において、除霜運転がキャンセルされて冷却運転が再開される場合について図11のタイミングチャートを用いて詳しく説明する。図11は、除霜運転がキャンセルされて冷却運転が再開される場合のタイミングチャートである。図11では、圧縮機120、庫内ファン123及び凝縮器ファン125については、稼働状態をONと表記し、停止状態をOFFと表記している。図11では、目詰まり温度センサ121A、除霜温度センサ128及び庫内温度センサ129について、検知された温度の推移を表記する。図11では、庫内温度センサ129については、停止温度toff、庫内設定温度tset、稼働温度ton及び第1温度t1を併せて表記している。
【0054】
制御部130は、図11に示すように、冷却運転を終了すると、圧縮機120(冷凍サイクル)及び庫内ファン123を一旦停止させるとともに、凝縮器ファン125については稼働状態を継続させる。このとき、制御部130は、第1タイマ32によるカウントを開始する。圧縮機120及び庫内ファン123が停止されるのに伴って、庫内温度センサ129により検知される庫内温度が上昇するとともに、除霜温度センサ128により検知される冷却器または冷却器付近の温度が上昇する。これに対し、稼働状態が継続される凝縮器ファン125からの送風によって凝縮器の冷却が図られているので、目詰まり温度センサ121Aにより検知される凝縮器または凝縮器付近の温度は降下する。第1タイマ32によりカウントされる時間が、例えば10分(第2時間)に達すると、制御部130は、目詰まり温度センサ121Aにより検知される凝縮器または凝縮器付近の温度を外気温として取得する。つまり、冷却運転を終了してから目詰まり温度センサ121Aにより外気温が取得されるまでの期間(第2時間)は、凝縮器ファン125による空冷によって凝縮器または凝縮器付近の温度が外気温と等しくなるのに必要な期間であり、当該期間を外気温取得期間とする。この外気温が取得されるタイミングにおいて、制御部130は、除霜運転をキャンセルして冷却運転を再開するととも、除霜周期タイマ131及び第2タイマ33によるカウントを開始する。冷却運転の再開に伴い、制御部130により圧縮機120及び庫内ファン123は再稼働される。
【0055】
そして、制御部130は、第2タイマ33によりカウントされる時間が、例えば3分(第1時間)に達するまでは、庫内温度センサ129により検知される庫内温度が第1温度t1以下になったか否かを判定しない、または庫内温度センサ129により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第2温度t2に達する回数をカウントしない。つまり、制御部130は、除霜運転をキャンセルして冷却運転を再開してから所定の判定待機期間(第1時間)が経過するまでの間、除霜キャンセル条件に係る判定(庫内温度の上昇の検知)の開始を待機する。ここで、圧縮機120が一旦停止されている間、冷却器付近では少なからず温度上昇が生じており、圧縮機120及び庫内ファン123が再稼働された直後は、冷却器付近の温度上昇した空気が庫内ファン123によって庫内温度センサ129付近に送風されてしまう。すると、庫内温度センサ129により検知される庫内温度が急激に上昇して第1温度t1に達する可能性がある。そのような場合でも、制御部130は、除霜運転をキャンセルしてから判定待機期間が経過するまでの間、庫内温度センサ129により検知される庫内温度が第1温度t1以下になったか否かを判定しない、または庫内温度センサ129により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第2温度t2に達する回数をカウントしないので、上記のような庫内温度の急上昇が生じて第1温度t1に達しても、そのことをトリガーとして除霜キャンセル条件に係る判定を開始することが避けられる。これにより、除霜キャンセル条件に係る判定において誤判定が生じ難くなる。
【0056】
続いて、冷却運転中に行われる除霜キャンセルの判定について図12のフローチャートを用いて説明する。図12は、除霜キャンセル条件の判定に係る制御を示すフローチャートである。図12のフローチャートは、実施形態1にて説明した図9のフローチャートとは、ステップS63からステップS67が追加されている点で主に異なる。図12に記載されたステップS50からステップS62は、実施形態1にて説明した図9に記載されたステップS30からステップS42と同じであり、重複する説明は省略する。以下、図12について図9との相違点(ステップS63からステップS67)を説明する。
【0057】
ステップS61にて除霜周期タイマ131によってカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達すると、除霜開始条件及び除霜キャンセル条件が共に成立していることから、制御部130は、除霜運転をキャンセルすると判定する(ステップS63)。そして、制御部130は、冷却運転を終了し、圧縮機120及び庫内ファン123を一旦停止させるとともに凝縮器ファン125の稼働状態を継続させる(ステップS64)。このとき、制御部130は、第1タイマ32のカウントを開始させる。その後、制御部130は、第1タイマ32によってカウントされる時間が第2時間に達するか否かを判定し(ステップS65)、当該時間が第2時間に達していなければステップS65に戻り、当該時間が所定時間に達していれば除霜運転をキャンセルして冷却運転を再開する(ステップS66)。冷却運転の再開に伴い、制御部130は、圧縮機120及び庫内ファン123を再稼働させるとともに凝縮器ファン125の稼働状態を継続させる。この除霜運転がキャンセルされるタイミングで、制御部130は、目詰まり温度センサ121Aにより検知される凝縮器または凝縮器付近の温度を外気温として取得する。このとき、制御部130は、除霜周期タイマ131及び第2タイマ33によるカウントを開始する。その後、制御部130は、第2タイマ33によってカウントされる時間が第1時間に達するか否かを判定し(ステップS67)、当該時間が所定時間に達していなければステップS67に戻り、当該時間が第1時間に達していればステップS51に戻って庫内温度センサ129により検知される庫内温度を第1温度t1と比較する。ステップS51において庫内温度センサ129により検知される庫内温度が第1温度t1以下になると、除霜キャンセル条件の判定を開始する(ステップS52)。
【0058】
以上のように、制御部130は、冷却運転が再開されてから第2タイマ33によってカウントされる時間が第1時間に達するまでは、庫内温度センサ129により検知される庫内温度が第1温度t1以下であるか否かを判定することはない。従って、仮に、冷却運転が再開されてから第2タイマ33によってカウントされる時間が第1時間に達するまでの間に、庫内温度センサ129により検知される庫内温度が第1温度t1以下になっても、制御部130によって庫内温度の上昇の検知が開始されることが避けられる。これにより、冷却運転が再開されるのに伴って庫内温度が一時的に急上昇しても、そのことをもって庫内温度の上昇の検知が開始されないから、除霜キャンセル条件の判定において誤判定が生じ難くなる。
【0059】
以上説明したように本実施形態によれば、制御部130は、除霜キャンセル条件が成立する場合、冷却運転を終えてから除霜運転をキャンセルするまでの間は冷凍サイクルを一旦停止させ、除霜運転をキャンセルすると冷凍サイクルを稼働させ、除霜運転をキャンセルしてから第1時間が経過するまでの間、庫内温度センサ129により検知される庫内温度が第1温度t1以下になったか否かを判定しない、または庫内温度センサ129により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第2温度t2に達する回数をカウントしない。除霜キャンセル条件が成立する場合、制御部130は冷却運転を終えてから除霜運転をキャンセルするまでの間は冷凍サイクルを一旦停止させ、除霜運転をキャンセルすると冷凍サイクルを再稼働させる。冷凍サイクルが再稼働された直後は、例えば冷凍サイクルが停止されている間に冷却器付近において温度上昇が生じるなどの要因によって庫内温度が急激に上昇して第1温度t1に達する可能性がある。そのような場合でも、制御部130は、除霜運転をキャンセルしてから第1時間が経過するまでの間、庫内温度センサ129により検知される庫内温度が第1温度t1以下になったか否かを判定しない、または庫内温度センサ129により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第2温度t2に達する回数をカウントしないので、庫内温度が不安定な状態で庫内温度の上昇の検知が行われるのを避けることができる。これにより、除霜キャンセル条件に係る判定において誤判定が生じ難くなる。
【0060】
また、冷却器と共に冷凍サイクルを構成する凝縮器と、凝縮器に送風する凝縮器ファン125と、凝縮器または凝縮器付近の温度を検知する目詰まり温度センサ(第2のセンサ)121Aと、を備えており、制御部130は、除霜キャンセル条件が成立する場合、冷却運転を終えると冷凍サイクルを一旦停止させるとともに凝縮器ファン125を回転させ、第2時間が経過すると目詰まり温度センサ121Aにより検知される温度を外気温として取得するとともに除霜運転をキャンセルする。冷却運転中に稼働される冷凍サイクルを構成する凝縮器は、凝縮器ファン125によって送風されることで冷却が図られる。制御部130は、冷却運転を終えると冷凍サイクルを一旦停止させ、第2時間が経過するまで凝縮器ファン125を回転させる。すると、凝縮器が凝縮器ファン125によって冷却されることで、凝縮器または凝縮器付近の温度が低下して外気温と同等になる。第2時間が経過すると、制御部130は、目詰まり温度センサ121Aにより検知される温度を外気温として取得するとともに除霜運転をキャンセルする。そして、目詰まり温度センサ121Aにより検知される温度が外気温として取得されるとともに除霜運転をキャンセルされてから第1時間が経過すると、制御部130は、庫内温度の上昇の検知を開始する。以上のように、除霜運転をキャンセルするタイミングを、目詰まり温度センサ121Aにより検知される温度を外気温として取得するタイミングと一致させることで、除霜運転をキャンセルしてから庫内温度の上昇の検知を開始するまでの時間(第1時間)が明確化される。
【0061】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0062】
(1)除霜キャンセル条件において、冷却運転中に庫内温度センサ29,129により検知される庫内温度が第2温度t2に達する回数が基準回数を超えるか否かを監視する期間に関し、第1温度t1以下になってから所定時間が経過するタイミングが、冷却運転が終了するタイミングとは不一致であってもよい。つまり、制御部30,130は、除霜開始条件が成立しても、冷却運転中に庫内温度センサ29,129により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから冷却運転が終了するタイミングよりも前または後のタイミングにおいて所定時間が経過するまでに第2温度t2に達しない除霜キャンセル条件が成立すると除霜運転をキャンセルするようにしてもよい。この場合、除霜周期タイマ31,131とは別途にタイマ(監視期間タイマ)を設置し、そのタイマによって第1温度t1以下になってから所定時間が経過するまでの経過時間(冷却運転中に庫内温度センサ29,129により検知される庫内温度が第2温度t2に達しないか否かを監視する期間)をカウントすればよい。
【0063】
(2)除霜開始条件は、除霜周期タイマ31,131によりカウントされる時間が除霜周期時間Tcに達すること以外にも適宜に変更可能である。また、庫内温度センサ29,129により検知される庫内温度が第2温度t2に達する回数が基準回数を超えるか否かに係る監視を終えるタイミングを、除霜周期タイマ31,131などのタイマ以外の手段によって検知することも可能である。
【0064】
(3)第1温度t1は、必ずしも運転切替温度tswと同値でなくてもよく、運転切替温度tswよりも高くても低くてもよい。第1温度t1を運転切替温度tswよりも高くすれば、制御部30,130によって第2冷却運転に切り替えられる前の第1冷却運転が行われている間に、除霜キャンセル条件に係る判定が開始されることになり、第2冷却運転が行われている間は常に除霜キャンセル条件に係る判定を行うことができる効果が得られる。
【0065】
(4)第2温度t2は、必ずしも扉開閉検知温度tdと同値でなくてもよく、扉開閉検知温度tdよりも高くても低くてもよい。冷却運転中に庫内温度センサ29,129により検知される庫内温度が第2温度t2に達する回数に係る基準回数は、例示した1回や3回以外にも適宜に変更可能である。
【0066】
(5)第1温度t1と稼働温度tonとの差の具体的な数値は、適宜に変更可能であり、例示した1K以外でもよい。同様に、運転切替温度tswと稼働温度tonとの差の具体的な数値は、適宜に変更可能であり、例示した1K以外でもよい。
【0067】
(6)第2温度t2と第1温度t1との差の具体的な数値は、適宜に変更可能であり、例示した1K以外でもよい。同様に、扉開閉検知温度tdと運転切替温度tswとの差の具体的な数値は、適宜に変更可能であり、例示した1K以外でもよい。
【0068】
(7)第2温度t2と稼働温度tonとの差の具体的な数値は、適宜に変更可能であり、例示した2K以外でもよい。同様に、扉開閉検知温度tdと稼働温度tonとの差の具体的な数値は、適宜に変更可能であり、例示した2K以外でもよい。
【0069】
(8)庫内設定温度tsetと停止温度toffとの差と、庫内設定温度tsetと稼働温度tonとの差と、は同値でなくて異なっていてもよい。
【0070】
(9)庫内設定温度tsetと停止温度toffとの差の具体的な数値は、適宜に変更可能であり、例示した4K以外でもよい。同様に、庫内設定温度tsetと稼働温度tonとの差の具体的な数値は、適宜に変更可能であり、例示した4K以外でもよい。
【0071】
(10)除霜周期時間Tcの具体的な数値は、適宜に変更可能であり、例示した6時間以外でもよい。
【0072】
(11)第1温度t1、第2温度t2、扉開閉検知温度td、運転切替温度tsw、稼働温度ton、庫内設定温度tset及び停止温度toffの具体的な数値は、適宜に変更可能である。
【0073】
(12)実施形態2において、第1タイマ32によりカウントされる外気温取得期間(第2時間)の具体的な数値は、適宜に変更可能であり、例示した10分以外でもよい。
【0074】
(13)実施形態2において、第2タイマ33によりカウントされる判定待機期間(第1時間)の具体的な数値は、適宜に変更可能であり、例示した3分以外でもよい。
【0075】
(14)冷却運転の種類数は、例示した2以外にも適宜に変更可能である。例えば、庫内温度が高いことが想定される所定の条件を満たす場合に第1冷却運転よりも温度降下率がさらに高い強制降下冷却運転を行ってもよい。
【0076】
(15)断熱扉14の開閉を検知するための扉開閉検出装置(プッシュスイッチ、マイクロスイッチ、リードスイッチなど)を断熱扉14付近に追加することも可能である。
【0077】
(16)冷却貯蔵庫10の外気温(周辺温度)を検知するための外気温センサ(周囲温度サーミスタ)を追加することも可能である。その場合、目止まり温度センサ21A,121Aを省略することも可能である。
【0078】
(17)圧縮機20,120は、インバータ制御式以外のタイプ(例えば回転速度が一定のタイプ)であってもよい。
【0079】
(18)除霜キャンセル条件には、冷却運転中に庫内温度センサ29,129により検知される庫内温度が第1温度t1以下になってから第2温度t2に達する回数が基準回数を超えないこと、以外の条件が含まれていてもよい。例えば、除霜キャンセル条件には、冷却運転中に外気温が基準温度(例えば25℃)以上になることが含まれていてもよい。例えば、除霜キャンセル条件には、冷却運転中に庫内設定温度tsetが基準設定温度(例えば-22℃)以上になることが含まれていてもよい。例えば、除霜キャンセル条件には、冷却運転中に圧縮機20の運転率が基準運転率(例えば100%)以下になることが含まれていてもよい。例えば、除霜キャンセル条件には、冷却運転中に除霜運転が続けてキャンセルされる回数が基準回数(例えば2回)を超えないことが含まれていてもよい。除霜キャンセル条件に複数の条件が含まれる場合には、例えば複数の条件の全てが成立する場合にのみ除霜キャンセル条件が成立し、複数の条件うちの1つの条件でも不成立であれば除霜キャンセル条件が成立しない、と制御部30,130により判定してもよい。
【0080】
(19)制御部30,130が除霜周期タイマ31,131にカウントを開始させるタイミングは、冷却運転の開始時以外にも、例えば冷却貯蔵庫10の電源がONされたタイミングであってもよい。この場合、制御部30,130は、冷却運転及び除霜運転を問わず、除霜周期タイマ31,131にカウントを継続させ、除霜周期時間Tcに達すると、カウントを一旦リセットしてカウントを再開することを繰り返す。ここで、オフサイクル除霜運転は、ヒータ除霜運転に比べると、長くなる傾向にあり、除霜周期時間Tcに及ぶ場合もある。その場合は、条件によっては、先に行われたオフサイクル除霜運転に引き続いて(間に冷却運転を介することなく)オフサイクル除霜運転が行われることもあり得る。
【0081】
(20)除霜運転の除霜方式として、ホットガスデフロスト方式(加熱除霜方式の一例)を用いることも可能である。ホットガスデフロスト方式では、圧縮機20,120から冷却器22に対してホットガスを供給することで、冷却器22を加熱し、冷却器22の霜を融解させる。ホットガスデフロスト方式の除霜運転が行われる間は、凝縮器21に冷媒が流されることがなくて凝縮器ファン25,125が停止されていることから、本技術を適用することが可能である。
【0082】
(21)本技術は、冷凍室及び冷蔵室を有する冷却貯蔵庫10以外にも、冷凍室を有さず冷蔵室を有する冷却貯蔵庫や冷蔵室を有さず冷凍室を有する冷却貯蔵庫に対しても適用可能である。また、本技術は、作業台15を備えない冷却貯蔵庫に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0083】
10…冷却貯蔵庫、11…貯蔵庫本体、12B…開口、14…断熱扉(扉)、21…凝縮器、21A,121A…目詰まり温度センサ(第2のセンサ)、22…冷却器(蒸発器)、25,125…凝縮器ファン、27…除霜ヒータ(加熱部)、29,129…庫内温度センサ(センサ)、30,130…制御部、t1…第1温度、t2…第2温度、tsw…運転切替温度、td…扉開閉検知温度、toff…停止温度、ton…稼働温度、tset…庫内設定温度
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