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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014538
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】超音波流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20220101AFI20230124BHJP
   G01F 1/00 20220101ALI20230124BHJP
【FI】
G01F1/66 Z
G01F1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118541
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村木 浩二
【テーマコード(参考)】
2F030
2F035
【Fターム(参考)】
2F030CA03
2F030CD02
2F030CF01
2F035DA07
2F035DA14
(57)【要約】
【課題】従来に対し、ゴミ詰まり且つ圧力損失が生じ難く、エルボ配管による計測誤差を軽減可能とする。
【解決手段】軸心方向に垂直な方向における断面形状が円管形状に構成され、測定対象である流体が流入する円管形状領域101、当該軸心方向に垂直な方向における断面形状が矩形管形状に構成された矩形管形状領域103、及び、当該円管形状領域101と当該矩形管形状領域103とを接続するロフト形状に構成されたロフト形状領域104を有する測定管1と、測定管1の矩形管形状領域103における上流側に取付けられ、下流側との間で超音波の送受信を行う超音波センサ2と、測定管1の矩形管形状領域103における下流側に取付けられ、上流側との間で超音波の送受信を行う超音波センサ3とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心方向に垂直な方向における断面形状が円管形状に構成され、測定対象である流体が流入する第1の円管形状領域、当該軸心方向に垂直な方向における断面形状が矩形管形状に構成された矩形管形状領域、及び、当該第1の円管形状領域と当該矩形管形状領域とを接続するロフト形状に構成された第1のロフト形状領域を有する測定管と、
前記測定管の矩形管形状領域における上流側に取付けられ、下流側との間で超音波の送受信を行う第1の超音波センサと、
前記測定管の矩形管形状領域における下流側に取付けられ、上流側との間で超音波の送受信を行う第2の超音波センサと
を備えた超音波流量計。
【請求項2】
前記ロフト形状は、軸心方向に垂直な方向における縦横の変化量が長さの比率に合わせて均等に変化する形状である
ことを特徴とする請求項1記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記第1のロフト形状領域は、前記第1の円管形状領域側から前記矩形管形状領域側に向かって縮小した形状である縮小管により構成された
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の超音波流量計。
【請求項4】
前記矩形管形状領域は、軸心方向に垂直な方向における断面形状が長方形管形状に構成され、
前記第1のロフト形状領域は、軸心方向に垂直な方向における縦横のテーパ角度がそれぞれ異なる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの何れか1項記載の超音波流量計。
【請求項5】
前記測定管は、
軸心方向に垂直な方向における断面形状が円管形状に構成され、測定対象である流体が流出する第2の円管形状領域と、当該第2の円管形状領域と前記矩形管形状領域とを接続するロフト形状に構成された第2のロフト形状領域とを有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちの何れか1項記載の超音波流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波を用いて流量の計測を行う超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の超音波センサにより送受信される超音波の伝播時間差に基づいて、測定対象である流体の流速(管内流速)を計測することで、当該流体の流量を計測する超音波流量計が知られている。この際、超音波流量計は、流体が流れる測定管がストレート配管である場合での流量補正係数を作成及び調整し、その流量補正係数を用いて流量の補正を行うことで流量の計測を可能としている。流量補正係数は、管内流速に依存する係数である。
【0003】
一方、超音波流量計における流量計測では、管内流速を直接計測するため、測定管の上流側に接続される配管(上流配管)の影響を受ける。特に、エルボ配管では偏流及び旋回流が生じるため、上流配管がエルボ配管であると超音波流量計における流量計測に誤差が生じてしまう。
【0004】
これに対し、従来では、メッシュ又は整流器を用いて整流を行う方法(例えば特許文献1~3参照)、非対称流れとする方法(例えば特許文献4,5参照)、或いは、測定管を矩形状とする方法(例えば特許文献6参照)等の方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-198372号公報
【特許文献2】特許第4453341号
【特許文献3】特開2013-178125号公報
【特許文献4】特許第3436247号
【特許文献5】特許第4936856号
【特許文献6】特許第3217021号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記に示した方法では、何れの方法についても、ゴミ詰まりが生じるという点及び圧力損失が増大するという点が課題として挙げられる。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、従来に対し、ゴミ詰まり且つ圧力損失が生じ難く、エルボ配管による計測誤差を軽減可能な超音波流量計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る超音波流量計は、軸心方向に垂直な方向における断面形状が円管形状に構成され、測定対象である流体が流入する第1の円管形状領域、当該軸心方向に垂直な方向における断面形状が矩形管形状に構成された矩形管形状領域、及び、当該第1の円管形状領域と当該矩形管形状領域とを接続するロフト形状に構成された第1のロフト形状領域を有する測定管と、測定管の矩形管形状領域における上流側に取付けられ、下流側との間で超音波の送受信を行う第1の超音波センサと、測定管の矩形管形状領域における下流側に取付けられ、上流側との間で超音波の送受信を行う第2の超音波センサとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、上記のように構成したので、従来に対し、ゴミ詰まり且つ圧力損失が生じ難く、エルボ配管による計測誤差を軽減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る超音波流量計の構成例を示す図である。
図2図2A図2Bは、実施の形態1における測定管の構成例を示す図であり、図2AはXZ平面側から見た一部断面図及びテーパを示す図であり、図2BはXY平面側から見た一部断面図及びテーパを示す図である。
図3図3A図3Gは、実施の形態1における測定管のロフト形状領域の構成例を示す断面図である。
図4】実施の形態1における測定管のロフト形状領域の各寸法の一例を示す図である。
図5図5A図5Bは、実施の形態1に係る超音波流量計による効果を説明するための図であり、測定管に円錐形状領域(テーパ角30°)が設けられた場合の構成例を示す図である。
図6図6A図6Bは、実施の形態1に係る超音波流量計による効果を説明するための図であり、測定管に円錐形状領域(テーパ角50°)が設けられた場合の構成例を示す図である。
図7図7A図7Bは、実施の形態1に係る超音波流量計による効果を説明するための図であり、測定管にロフト形状領域が設けられた場合の構成例を示す図である。
図8図8A図8Bは、図5図7に示す構成例での解析結果の一例を示す図である。
図9図5に示す構成例での解析結果の一例を示す図(ストレート配管が接続された場合)である。
図10図6に示す構成例での解析結果の一例を示す図(ストレート配管が接続された場合)である。
図11図7に示す構成例での解析結果の一例を示す図(ストレート配管が接続された場合)である。
図12図5に示す構成例での解析結果の一例を示す図(エルボ配管が接続された場合)である。
図13図6に示す構成例での解析結果の一例を示す図(エルボ配管が接続された場合)である。
図14図7に示す構成例での解析結果の一例を示す図(エルボ配管が接続された場合)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る超音波流量計の構成例を示す図である。
超音波流量計は、超音波を用いて流体に対する計測を行う。この超音波流量計は、図1に示すように、測定管1、超音波センサ(第1の超音波センサ)2、超音波センサ(第2の超音波センサ)3及び演算部4を備えている。
【0012】
測定管1は、内部に測定対象である流体が流れる筒状部材である。この測定管1の詳細については後述する。
【0013】
超音波センサ2は、測定管1の側壁(後述する矩形管形状領域103)における上流側に取付けられ、測定管1内で超音波センサ3との間で超音波の送受信を行う超音波トランスデューサである。すなわち、超音波センサ2は、測定管1内で下流側(超音波センサ3)に対して超音波を送信し、下流側(超音波センサ3)からの超音波を受信信号として受信する。
【0014】
なお、超音波センサ2は、取付けられる矩形管形状領域103の面の幅に対し、80~90%程度の幅を有するものであることが測定上好ましい。
【0015】
超音波センサ3は、測定管1の側壁(後述する矩形管形状領域103)における下流側に取付けられ、測定管1内で超音波センサ2との間で超音波の送受信を行う超音波トランスデューサである。すなわち、超音波センサ3は、測定管1内で上流側(超音波センサ2)に対して超音波を送信し、上流側(超音波センサ2)からの超音波を受信信号として受信する。
【0016】
なお、超音波センサ3は、取付けられる矩形管形状領域103の面の幅に対し、80~90%程度の幅を有するものであることが測定上好ましい。
【0017】
なお、超音波センサ2及び超音波センサ3の位置関係は、超音波センサ2及び超音波センサ3で用いられる超音波の伝搬経路に応じて設計される。
また、伝搬経路は、測定管1における後述する矩形管形状領域103の中心を通るように設計されていることが望ましい。
【0018】
演算部4は、超音波センサ2による送受信結果及び超音波センサ3による送受信結果に基づいて、測定管1内における流体の流速を演算することで、当該流体の流量を演算する。なお、演算部4による演算方法としては、従来の演算方法を適用可能であり、その説明を省略する。
【0019】
この演算部4は、IC(Integrated Circuit)、システムLSI(Large Scale Integration)等の処理回路、又はメモリ等に記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等により実現される。
【0020】
次に、測定管1の構成例について、図1~4を参照しながら説明する。
測定管1は、図1~3に示すように、円管形状領域(第1の円管形状領域)101、円管形状領域(第2の円管形状領域)102、矩形管形状領域103、ロフト形状領域(第1のロフト形状領域)104及びロフト形状領域(第2のロフト形状領域)105を有する。
【0021】
円管形状領域101は、測定管1の軸心方向に垂直な方向における断面形状が円管形状に構成された領域である。この円管形状領域101は、測定管1における上流側に位置している。この円管形状領域101の外側端面には上流配管11(図7参照)が接続され、測定対象である流体が上流配管11から測定管1側へと流入する。上流配管11としては、例えば、ストレート配管又はエルボ配管が挙げられる。
【0022】
なお、図2,3では、円管形状領域101は、測定管1の軸心方向に幅を有していないが、幅を有していてもよい。
【0023】
円管形状領域102は、測定管1の軸心方向に垂直な方向における断面形状が円管形状に構成された領域である。この円管形状領域102は、測定管1における下流側に位置している。この円管形状領域102の外側端面には下流配管12(図7参照)が接続され、測定対象である流体が測定管1から下流配管12側へと流出する。
【0024】
なお、図2,3では、円管形状領域102は、測定管1の軸心方向に幅を有していないが、幅を有していてもよい。
【0025】
矩形管形状領域103は、測定管1の軸心方向に垂直な方向における断面形状が矩形管形状に構成された領域である。この矩形管形状領域103は、測定管1における円管形状領域101と円管形状領域102との間に位置している。
図2,3では、矩形管形状領域103の断面形状が長方形管形状である場合を示している。また、図2,3では、矩形管形状領域103の断面積は、円管形状領域101,102の断面積に対して小さく構成されている。
【0026】
なお、図2、3に示す構成では、超音波センサ2及び超音波センサ3は、測定管1における矩形管形状領域103の短辺(図2Aに示す上下面)側に取付けられる。
【0027】
ロフト形状領域104は、円管形状領域101と矩形管形状領域103との間に位置し、円管形状領域101と矩形管形状領域103とを滑らかに接続する形状(ロフト形状)に構成された領域である。
ここで、ロフト形状とは、測定管1の軸心方向に垂直な方向における縦横の変化量(図2,3では縮小量)が長さの比率に合わせて均等(略均等の意味を含む)に変化(図2,3では減少)する形状である。なお、図2,3では、ロフト形状領域104は、円管形状領域101側から矩形管形状領域103側に向かって縮小した形状である縮小管で構成されている。また、図2,3では、矩形管形状領域103の断面形状が長方形管形状に構成されており、ロフト形状領域104は上記縦横のテーパ角度がそれぞれ異なる。
【0028】
ロフト形状領域105は、円管形状領域102と矩形管形状領域103との間に位置し、円管形状領域102と矩形管形状領域103とを滑らかに接続する形状(ロフト形状)に構成された領域である。
なお、図2,3では、ロフト形状領域105は、円管形状領域102側から矩形管形状領域103側に向かって縮小した形状である縮小管で構成されている。また、図2,3では、矩形管形状領域103の断面形状が長方形管形状に構成されており、ロフト形状領域105は上記縦横のテーパ角度がそれぞれ異なる。
【0029】
以下に、ロフト形状領域104の具体的な構成例について、図2~4を参照しながら説明する。
ここで、図2,3に示すように、テーパ部であるロフト形状領域104の軸方向における長さ(テーパ長さ)をLで表す。図2,3では、L=6mmである。また、ロフト形状領域104上の軸方向における各位置(テーパ座標)をLで表す。図2,3では、Lは、矩形管形状領域103側から円管形状領域101側に向かって、1mm間隔で、L,L,L,L,L,L,Lとなっている。この場合、各テーパ座標での矩形管形状領域103に対する拡大率(矩形拡大率)は、下式(1)で表すことができる。
矩形拡大率[%]=100×L/L (1)
【0030】
そして、ロフト形状領域104の各テーパ座標での管内の短辺の長さ(テーパ短辺長さ)をyで表す。また、矩形管形状領域103の管内の短辺の長さ(矩形短辺長さ)をyで表す。また、ロフト形状領域104におけるxy平面におけるテーパ角度をθyで表す。この場合、このテーパ短辺長さは下式(2)又は下式(3)で表すことができる。
[mm]=y+(L-L)×矩形拡大率/100 (2)
[mm]=y+{(L-L)・tanθy}×2 (3)
【0031】
また、ロフト形状領域104の各テーパ座標での管内の長辺の長さ(テーパ長辺長さ)をzで表す。また、矩形管形状領域103の管内の長辺の長さ(矩形長辺長さ)をzで表す。また、ロフト形状領域104におけるxz平面におけるテーパ角度をθzで表す。この場合、このテーパ長辺長さは下式(4)又は下式(5)で表すことができる。
[mm]=z+(L-L)×矩形拡大率/100 (4)
[mm]=z+{(L-L)・tanθz}×2 (5)
【0032】
図4では、式(1)~(5)を用いて算出された各テーパ座標での、テーパ短辺長さ、テーパ長辺長さ及び矩形拡大率をそれぞれ示している。
【0033】
また上記では、ロフト形状領域104の詳細構成について説明したが、ロフト形状領域105の詳細についても同様である。
【0034】
なお上記では、測定管1において、円管形状領域102と矩形管形状領域103との間にロフト形状領域105が設けられた場合を示した。しかしながら、これに限らず、測定管1において、円管形状領域102と矩形管形状領域103との間にはロフト形状領域105が設けられていなくてもよい。すなわち、測定管1の下流側についてはロフト形状に構成されていなくてもよく、例えば円錐形状に構成されていてもよい。
なお、超音波流量計は、正方向の流速だけではなく、逆方向の流速も測ることが可能であるため、測定管1にロフト形状領域105が設けられていた方が好ましい。
【0035】
次に、実施の形態1に係る超音波流量計による効果について説明する。
以下では、測定管1における円管形状領域101と矩形管形状領域103との間に、円錐形状に構成された円錐形状領域104b,104cが設けられた場合(図5,6の場合)と、ロフト形状に構成されたロフト形状領域104が設けられた場合(図7の場合)との場合で比較を行う。なお、図5に示す円錐形状領域104bは円錐形状のテーパ角が30°であり、図6に示す円錐形状領域104cは円錐形状のテーパ角が50°である。また、測定管1の上流側に接続される上流配管11が、ストレート配管の場合と、エルボ配管の場合とで比較を行う。図5図7では、上流配管11としてエルボ配管が接続された場合を示している。
【0036】
図8は、図5~7に示した構成の場合での流量誤差を、上流配管11がストレート配管の場合とエルボ配管の場合とで解析した結果の一例を示している。
図8Aに示すグラフにおいて、横軸はレイノルズ数(Re’)を示し、縦軸は流量誤差(%RD)を示している。レイノルズ数は、流速が低い場合、水温が低い場合には、その値が小さくなり、逆に、流速が高い場合、水温が高い場合には、その値が大きくなる。また、流量誤差は、管内平均流速との差が大きい場合、伝搬経路上の流速が低い場合には、その値が小さくなり、逆に、管内平均流速との差が小さい場合、伝搬経路上の流速が高い場合には、その値が大きくなる。
【0037】
図8Aにおいて、符号801は図5に示す構成で上流配管11がストレート配管である場合での値を示し、符号802は図5に示す構成で上流配管11がエルボ配管である場合での値を示している。また、符号803は図6に示す構成で上流配管11がストレート配管である場合での値を示し、符号804は図6に示す構成で上流配管11がエルボ配管である場合での値を示している。また、符号805は図7に示す構成で上流配管11がストレート配管である場合での値を示し、符号806は図7に示す構成で上流配管11がエルボ配管である場合での値を示している。
【0038】
また、図8Bにおいて、「Vx」は測定管1の軸心方向における流速を示し、「Vy」は測定管1の軸心に垂直な方向(短辺方向)における流速を示し、「Vz」は測定管1の軸心に垂直な方向(長辺方向)における流速を示している。また、「Vx:Max」は「Vx」の最大値を示し、「Vy:Max」は「Vy」の最大値を示し、「Vz:Max」は「Vz」の最大値を示している。
また、図8Bの「Vx」、「Vy」「Vz」、「Vx:Max」、「Vy:Max」、「Vz:Max」において、1段目に示される値はストレート配管の場合での値を示し、2段目に示される値はエルボ配管の場合での値を示している。
【0039】
また、図9~14は、図5~7に示した構成の場合での流量分布を、測定管1の軸心方向における各位置で解析した結果の一例を示している。
図9~14において、「X:-28mm」から「X:-23mm」までがロフト形状領域104又は円錐形状領域104b,104cに相当し、「矩形入口」以降が矩形管形状領域103に相当する。また、「上流センサ」は超音波センサ2が配置されている位置を意味し、「測定管中心」は測定管1の中心位置を意味し、「下流センサ」は超音波センサ3が配置されている位置を意味している。
【0040】
まず、図8,9,12に示すように、図5に示す構成の場合(円錐形状領域104bを用いた場合)、上流配管11がストレート配管の場合には、管内の流速分布は最も均一となっている。また、管内壁面付近の流速はテーパの影響で均一化されている。また、上流配管11がエルボ配管の場合には、渦によってVx成分は均一になっている。一方、渦は、上下対象であるが右に偏っている。そのため、測定管1における左上部分と左下部分に流速が遅い箇所(図12において丸で囲まれた部分)が確認できる。
【0041】
次に、図8,10,13に示すように、図6に示す構成の場合(円錐形状領域104cを用いた場合)、上流配管11がストレート配管の場合には、先に上下方向が縮小し、その後に左右方向が縮小するので、中心に向かう流れが強くなり中心におけるVx成分が大きい。一方、管内壁面(図10において丸で囲まれた部分)の流速は遅い。また、上流配管11がエルボ配管の場合には、渦は、上下対象であるが右に偏っている。そのため、測定管1における左上部分と左下部分に流速が遅い箇所(図13において丸で囲まれた部分)が確認できる。その傾向は、円錐形状領域104bを用いた場合に対して大きい。
【0042】
次に、図8,11,14に示すように、図7に示す構成の場合(ロフト形状領域104を用いた場合)、上流配管11がストレート配管の場合には、縮小が上下左右で長さが均一なので左右方向は均一に流入している。一方で、上下方向の縮小が左右に比べて急なのでVz成分が大きい。また、上流配管11がエルボ配管の場合には、渦は、上下対象且つ中心に来て左右対称の流れである。そのため、管内の流速分布は均一となっている。
【0043】
このように、実施の形態1に係る超音波流量計では、測定管1における円管形状領域101と矩形管形状領域103との間がロフト形状であるロフト形状領域104が設けられている。これにより、実施の形態1に係る超音波流量計では、従来に対し、計測誤差を軽減可能となる。すなわち、上流配管11がストレート配管である場合には、測定管1での流速を均一化でき、計測誤差を軽減可能となる。また、上流配管11がエルボ配管である場合にも、渦の偏りが生じ難いため、測定管1での流速を均一化でき、計測誤差を軽減可能となる。
また、実施の形態1に係る超音波流量計では、円管形状領域101と矩形管形状領域103との間は、部材が介在しておらず、また、ロフト形状で滑らかに接続されているため、従来に対し、ゴミ詰まり且つ圧力損失が生じ難い。
【0044】
以上のように、この実施の形態1によれば、超音波流量計は、軸心方向に垂直な方向における断面形状が円管形状に構成され、測定対象である流体が流入する円管形状領域101、当該軸心方向に垂直な方向における断面形状が矩形管形状に構成された矩形管形状領域103、及び、当該円管形状領域101と当該矩形管形状領域103とを接続するロフト形状に構成されたロフト形状領域104を有する測定管1と、測定管1の矩形管形状領域103における上流側に取付けられ、下流側との間で超音波の送受信を行う超音波センサ2と、測定管1の矩形管形状領域103における下流側に取付けられ、上流側との間で超音波の送受信を行う超音波センサ3とを備えた。これにより、実施の形態1に係る超音波流量計は、従来に対し、ゴミ詰まり且つ圧力損失が生じ難く、エルボ配管による計測誤差を軽減可能となる。
【0045】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 測定管
2 超音波センサ(第1の超音波センサ)
3 超音波センサ(第2の超音波センサ)
4 演算部
11 上流配管
12 下流配管
101 円管形状領域(第1の円管形状領域)
102 円管形状領域(第2の円管形状領域)
103 矩形管形状領域
104 ロフト形状領域(第1のロフト形状領域)
105 ロフト形状領域(第2のロフト形状領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14