(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145398
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ドメイン固有の小規模コーパスのための解釈可能な埋め込みを生成するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 40/30 20200101AFI20231003BHJP
G06F 16/383 20190101ALI20231003BHJP
【FI】
G06F40/30
G06F16/383
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023049479
(22)【出願日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】202241017737
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】515022571
【氏名又は名称】ロバート ボッシュ エンジニアリング アンド ビジネス ソリューションズ プライヴェット リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Robert Bosch Engineering and Business Solutions Private Limited
【住所又は居所原語表記】123, Industrial Layout, Hosur Road, Koramangala, Bangalore - 560 095, India
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】グプタ リシャブ
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175FB02
(57)【要約】
【課題】テキストベース文書のドメイン固有の小規模コーパスのための解釈可能な埋め込みを生成するための方法(200)及びシステム(100)を説明する。
【解決手段】処理モジュール(102)は、複数のテキストベース文書を取得して、複数のテキストベース文書の各々の基本的なクレンジングを実行し得る。さらに、意味論的注入モジュール(104)は、意味論的注入技術を使用して、意味論的に注入されたコーパスを生成し得る。埋め込み生成モジュール(106)は、word2vec技術を使用して、注入されたコーパスの最適な次元dを計算し、注入された最適な次元埋め込みE
OPT
Infを生成するように構成されている。さらに、埋め込み生成モジュール106は、ベースライン最適次元埋め込みE
OPTを生成するように構成されており、当該E
OPTは、解釈可能性及び下流の分類タスクパフォーマンスに関してE
SEMIEを評価するために使用され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキストベース文書のドメイン固有の小規模コーパスのための解釈可能な埋め込みを生成するためのコンピュータ実装された方法(200)であって、
処理モジュール(102)により、複数のテキストベース文書(101)を取得して処理するステップ(202)と、
意味論的注入モジュール(104)により、意味論的注入技術を使用することによって複数のテキストベース文書(101)から意味論的に注入されたコーパスを生成するステップ(204)と、
前記意味論的に注入されたコーパスから最適な次元係数(d)を計算し、単語ベクトル技術を使用して、注入された最適な次元埋め込みを生成するステップ(206)と、
前記注入された最適な次元の埋め込みを使用して、意味論的に注入された埋め込みを生成するステップ(208)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記単語ベクトルは、Word2Vec技術を使用して生成される、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項3】
前記最適な次元係数(d)を計算(206)した後、前記コーパスの全体の語彙サイズがVから(V+M)へ増大し、ここで、Vは、初期コーパスの語彙サイズであり、Mは、注入された追加のアンカー項である、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項4】
前記意味論的注入モジュール(104)により、それぞれの文における単語(L)の数を決定し、前記複数のテキストベース文書(101)の各々における単語(L)の数に基づいて注入頻度値(Ifreq)を計算するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項5】
テキストベース文書のドメイン固有の小規模コーパスのための解釈可能な埋め込みを生成するためのシステム(100)であって、
複数のテキストベース文書(101)を取得して処理するように構成された処理モジュール(102)と、
意味論的注入技術を使用することによって、複数のテキストベース文書(101)から意味論的に注入されたコーパスを生成するように構成された意味論的注入モジュール(104)と、
前記意味論的に注入されたコーパスから最適な次元係数(d)を計算し、単語ベクトル技術を使用して、注入された最適な次元埋め込みを生成するように構成された埋め込み生成モジュール(106)と、
を備えたシステム(100)において、
前記埋め込みモジュール(106)は、生成された前記注入された最適な次元埋め込みを使用して、意味論的に注入された埋め込みを生成するようにさらに構成されている、
ことを特徴とするシステム(100)。
【請求項6】
前記単語ベクトルは、Word2Vec技術を使用して生成される、請求項5に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、概して、ドメイン固有の小規模コーパスのための高度に解釈可能で効率的な埋め込みを生成するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
自然言語処理において、単語埋め込みとは、テキスト分析のための単語の表現に使用される用語であり、ベクトル空間において近い単語は意味が似ていると予想されるように、通常、単語の意味を符号化した実数値ベクトルの形態で表現される。単語埋め込みは、現代のNLPパイプラインの基本的な構成要素である。パブリックドメインにおいて利用可能な大規模な汎用データセットの、豊富で効率的で解釈可能な埋め込みを学習するために、多くの努力がなされている。しかし、自動車、製造、保守、サポートなど、特定のドメインからの小規模なコーパスに対しては、これらの埋め込みは、限定された適用性しか持たない。
【0003】
単語の分散表現は、単語埋め込みとも称され、名前付きエンティティ認識の構文解析、画像キャプション、及び、感情分析などの種々の用途において優れた性能を発揮するために広範に使用されている。また、単語の類似性の判断、及び、特定の概念によって引き出される脳活動などの認知動作をモデル化する際に効果的であることも判明している。しかし、これらの表現は、密で連続的な空間における実数のベクトルへの単語のマッピングを含むため、本質的に解釈が困難である。
【0004】
最近の研究においては、単語埋め込みのスパース性及び非負性が、これらの表現を解釈可能にする2つの重要な特性であることが示唆されている。スパース性により、各単語ベクトルには少数のアクティブ(非ゼロ)次元が含まれ、これは、ノイズが存在する場合にその分離性及び安定性を高めるために役立つ。さらに、この研究においては、単語埋め込みの次元の一貫性に関して解釈可能性の概念が定義されている。換言すれば、単語埋め込みは、その次元が特定の意味概念を示す場合に解釈可能であるとみなされる。しかしながら、これらの研究においては、主に、GloVe(Pennington et al., 2014)及びword2vec(Mikolov et al., 2013)のような事前トレーニング済みの単語埋め込みが主に対象となっている。これらの事前トレーニング済みの埋め込みは、数十億の単語を含むウィキペディア及びグーグルニュースなどの一般的なパブリックドメインのデータセットからの数百万の文書を用いて生成される。また、数千の次元のスパース非負(以下“SNN”とする)単語埋め込みを解釈し、対応する意味を理解するためには、ラベルのない次元を手作業で読み取る人間の判断が依然として必要である。
【0005】
近年、CRM、KPO、ナレッジマネジメント、Webモニタリングサービスなどのビジネスにおいて、構造化テキストストリームが大量に流入していることが確認されている。これは、当該データを使って「新興トピック」や「トレンド」を発見し、そのダイナミクスを分析することにより、意思決定プロセスに役立てる機会を提供するものである。従来の新興トレンド分析技術は、タスクを実行するための最初の選択肢であり、これらの技術は、さらに、教師あり又は教師なしの方法のいずれかに分類することができる。既存のソリューションにおいては、教師ありシステムが文献において提案されており、当該教師ありシステムにおいては、トレンドを予測するために単語の局所的かつトピック的な特徴が使用されている。特徴を定義する必要性を克服するために、教師なしシステムにおいては、異なるタイムスライス間でグローバルコンテキストを比較することによって用語の意味の変化を捕捉するために、ボラティリティ尺度が使用されている。既存のソリューションにおいては、潜在的ディリクレ配分(LDA:Latent Dirichlet Allocation)、生成確率モデルを広範に使用して、エンティティの周囲の単語をクラスタリングすることによって、又は、その経時的な進化を検出することによって、トレンドを検出している。加えて、これらのソリューションは、異なる時間スライス間で単語埋め込みを作成することによってトレンドを検出するために、共起頻度(共出現頻度)に基づくスコアとして、正の自己相互情報量(PPMI:Positive Pointwise Mutual Information)及び自己相互情報量(PMI:Pointwise Mutual Information)などの関連の尺度を使用している。さらに、こうしたソリューションは、タイムスライス間で同一の単語についての埋め込みをマッピングすること、又は、タイムスライス間で埋め込みを共同で展開することのいずれかによって、このドメインにおけるアライメント問題を解決しようとするものである。実際には、従来のトレンド分析技術は、特に用語頻度に基づく方式に大きく偏っており、これは、データセットがタイムスライス間で一様に分布していないドメイン固有のコーパスの場合には、十分に機能しない。
【0006】
関連する特許出願第202241005163号は、意味論的注入を使用してカテゴリデータセットにおけるトレンドを分析するための方法及びシステムを開示している。
【0007】
詳細な説明は、添付の図面を参照して提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本主題の例示的な実施形態による、テキストベース文書のドメイン固有の小規模コーパスのための解釈可能な埋め込みを生成するためのシステム環境を示す図である。
【
図2】本主題の例示的な実施形態による、テキストベース文書のドメイン固有の小規模コーパスのための解釈可能な埋め込みを生成するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態の詳細な説明
本主題は、テキストベース文書のドメイン固有の小規模コーパスのための解釈可能な埋め込みを生成するための例示的な方法及びシステムを説明する。本明細書において説明する例示的な方法及びシステムでは、意味論的に注入された埋め込み(SEMIE:SEMantically Infused Embedding)と称する単語埋め込みを生成する。これらの埋め込みは、SNN埋め込み空間内でSEMIEを表現しながら、解釈可能性(意味論的な類似性及び非類似性の両方に関して)能力を高めるのに役立つものである。
【0010】
本主題を、添付の図面を参照してさらに説明する。同一又は類似の部分を参照するために、可能な限り、図面及び以下の説明において同一の参照番号が使用される。説明及び図面は、本主題の基本原理を例示するものに過ぎないことに留意されたい。したがって、本明細書において明示的には説明又は図示していないが本主題の基本原理を包含する種々の構成が案出可能であることが理解される。さらに、本主題の基本原理、態様及び実施例並びに特定例を列挙する本明細書の全ての記述は、その等価物を包含することを意図するものである。
【0011】
方法及びシステムが実施される態様を、
図1乃至
図2に関して詳細に説明する。説明する方法及びシステムの態様は、任意の数の異なるデバイス、環境、及び/又は、実施形態において実施可能であるが、この例においては、以下のシステムの文脈で説明する。本明細書に示される本主題の図面は、例示の目的のためのものであり、一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。
【0012】
図1は、本主題の例示的な実施形態による、テキストベース文書のドメイン固有の小規模コーパスの解釈可能な埋め込みを生成するためのシステム100の環境を示している。システム100は、種々の目的のために多様なコンテンツタイプを表す信号及び/又は状態を処理するための、広範囲の電子デバイスタイプにおいて観測されるコンピューティングシステムであり得る。システム100の例として、以下に限定されるものではないが、ラップトップ、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、サーバ、携帯電話機、及び、携帯情報端末が挙げられる。
【0013】
システム100は、処理モジュール102を含み得る。処理モジュール102は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、中央演算装置、状態機械、論理回路、及び/又は、コンピュータ可読命令に基づいて信号及びデータを操作する任意の他のデバイスを含み得る。さらに、「プロセッサ」とラベル付けされる任意の機能ブロックを含む、図面に示されている種々の要素の機能は、専用ハードウェア、及び、コンピュータ可読命令を実行することができるハードウェアの使用によって提供され得る。
【0014】
さらに、システム100は、処理モジュール102に結合された意味論的注入モジュール104と、埋め込み生成モジュール106とを含み得る。モジュール104及び106は、ハードウェアと、プログラミング、例えばモジュール104及び106の種々の機能を実装するためのプログラマブル命令との組合せとして実施可能である。本明細書において説明する例では、ハードウェアとプログラミングとのこうした組合せは、複数の異なる方式で実装可能である。例えば、埋め込み生成モジュール106用のプログラミングは、実行可能命令であるものとしてよい。こうした命令は、非一時的機械可読記憶媒体上に記憶されるものとしてもよく、当該記憶媒体は、システム100と直接的に又は間接的に(例えばネットワーク化された手段を通して)のいずれかにより結合され得る。本例においては、非一時的機械可読記憶媒体は、プロセッサによって実行される際にモジュール104及び106を実装するための命令を記憶することができる。他の例においては、モジュール104及び106は、電子回路として実装可能である。
【0015】
モジュール104及び106は、特に、特定のタスクを実行し又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント及びデータ構造を含む。モジュール104及び106はまた、信号プロセッサ、状態機械、論理回路、及び/又は、動作命令に基づいて信号を操作する任意の他のデバイス若しくはコンポーネントとしても実装可能である。さらに、モジュール104及び106は、ハードウェアによって、処理ユニットにより実行されるコンピュータ可読命令によって、又は、これらの組合せによって実装され得る。
【0016】
さらに、システム100は、記憶デバイス110を含む。記憶デバイス110として、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)及びダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)などの揮発性メモリ、及び/又は、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、光ディスク、及び、磁気テープなどの不揮発性メモリを含む、任意の非一時的コンピュータ可読媒体が挙げられる。記憶デバイス110は、活動データ103を記憶することができる。一例においては、活動データ103は、複数のテキストベース文書
【数1】
を含み、各文書d
kは、Mクラスの集合
【数2】
内のクラスci及びLクラスの集合
【数3】
内の時間クラスt
jに対するカテゴリと、注入頻度値(I
freq)とを有する。
【0017】
一例においては、システム100は、インタフェース112を含む。インタフェース112は、種々のインタフェース、例えば、ユーザのためのインタフェース112を含み得る。インタフェース112は、データ出力デバイスを含み得る。インタフェース112は、種々の通信及び電子デバイスとのシステム100の通信を容易にすることができる。一例においては、インタフェース112は、ラップトップなどのシステム100と1つ以上の他のコンピューティングデバイス(図示せず)との間のワイヤレス通信を可能にすることができる。
【0018】
以下の説明においては、テキストベース文書のドメイン固有の小規模コーパスのための解釈可能な埋め込みの生成が、システム100によってどのように実施されるかを説明する。処理モジュール102は、複数のテキストベース文書D(101)を取得し、dkは、N個のテキストベース文書のうちのk番目のテキストベース文書を示し、Nは、任意の正の数である。一例においては、N=1000である。各テキストベース文書dkは、車両部品の名称、プログラムソースコード、バッチファイルなどのテキストを有し、処理モジュール102によって読み取り可能な文書である。一例においては、複数のテキストベース文書D(101)は、複数の音声メモをテキスト文書へ変換することによって取得され得る。こうした変換は、自動音声認識技術によって実行可能である。
【0019】
処理モジュール102は、複数のテキストベース文書101を取得して処理するように構成されている。複数のテキストベース文書101の処理は、複数のテキストベース文書Dの基本的なクレンジングのための処理モジュール102による、複数のテキストベース文書D(101)の各文書dkの文の集合のうちの各文からの記号、特殊文字及び事前定義されたストップワードのうちの少なくとも1つを除去することを含み得る。
【0020】
意味論的注入モジュール104は、意味論的注入技術を使用することによって、複数のテキストベース文書101から意味論的に注入されたコーパスを生成するように構成されている。概して、意味論的注入とは、テキストベース文書のテキストコーパス内のメタデータを関連付けるための効率的な技術である。これを使用して、コーパスの各文書内に、さらにアンカーと称される特別なマーカを注入することができる。一例においては、コーパス内のカテゴリクラスcjに属する長さldiの所与の文書diについて、アンカー項Acjが、文書内のIfreqのランダムかつ非連続的な位置に注入される。例えば、文書クラスcj=Indiaの文「農家が全ての作物に集中するための新しい調達スキーム」は、「農家が全てのA_India作物に集中するための新しいA_India調達スキームA_India」のように処理される。
【0021】
一実施形態においては、意味論的注入モジュール104は、意味論的注入技術を実行する。この技術を使用する目的は、ベクトル空間をラベル付けされた領域に区分することができるように、クリーンな文に追加のメタデータ(アンカーと称される)を注入することである。文書d
k及びカテゴリクラスC
i及び時間クラスT
jの長さ=lenのクリーンな文が与えられると、意味論的注入技術は、注入頻度(I
freq)(ここで、Ifreq∈R)を、クリーンな文において注入されるアンカーのカウントとして定義する。I
freqは、式1、即ち、
【数4】
のように計算され、ここで、対数関数によりI
freqが∝lenでないことが保証される。これは、この技術を事実上ほぼ無損失とするのに役立つ。
【0022】
埋め込み生成モジュール106は、意味論的に注入されたコーパスから最適な次元係数(d)を計算し、単語ベクトル技術を使用して、注入された最適な次元埋め込みを生成するように構成されている。この例においては、Word2Vec技術を使用して、単語ベクトルが生成される。埋め込みモジュール106は、前述したように、意味論的に注入されたコーパスを取得し、最適な次元dを計算し、word2vec法を使用して、注入された最適な次元埋め込みを生成する。この実施形態においては、当該最適な次元係数(d)が計算された後、コーパス101全体の語彙サイズがVから(V+M)へ増大し、ここで、Vは、初期コーパスの語彙サイズであり、Mは、注入された追加のアンカー項である。注入された最適な次元係数は、次式、即ち、
EOPT
Inf∈R(V+M)×d
によって定義される。
【0023】
一般的に、次元ハイパーパラメータの選択は、任意の単語埋め込みの効率にとって重要である。一例においては、次元の選択は、その場限りで又はグリッドサーチを使用して行うことができる。他の例においては、何百万ものテキストベース文書を使用して単語埋め込みを生成する間に最も一般的に使用される次元として、「300」が挙げられる。しかしながら、ドメイン固有の小規模コーパスに対しては、正確な最適な次元が必要であり、そうでなければ、最適なパフォーマンスが得られない可能性がある。本発明においては、最適な次元を特定するために、システム100を使用した数学的フレームワークを提案する。これは、オラクル埋め込みE∈Rn×kとトレーニングされた埋め込みE-∈Rn×dとの間のペアワイズ内積(PIP:Pairwise Inner Product)損失を最小化するものとして、d≦kである最適な次元dを決定するものである。
【0024】
埋め込み生成モジュール106は、注入された最適な次元埋め込みを使用して、意味論的に注入された埋め込みを生成するようにさらに構成されている。埋め込み生成モジュール106は、注入された最適な次元埋め込みEOPT
Inf∈R(V+M)×dを生成し、意味論的に注入された埋め込みESEMIE∈R(V+M)×dを生成する。埋め込みの行列EOPT
Infの各列Ciについて、列は、値の昇順にソートされ、次いで、M個のアンカー項の値が選択される。列Ci内のアンカー項ACi及び非アンカー単語wCiの対ごとに、埋め込みモジュール106は、式、即ち、
ws=ACi/||index(ACi)-index(wCi)||
で与えられる意味論的重みwsを計算し、これを非アンカー単語wCiの値に加算する。これにより、意味論的に注入された埋め込みESEMIEが得られる。
【0025】
直感的に、これは、意味論的に注入された埋め込みESEMIEの各列(次元)において、アンカーの近傍の単語が意味論的に一貫したグループを形成することを意味する。一実施形態においては、埋め込み生成モジュール106が、ベースライン最適次元埋め込みEOPTを生成し、当該EOPTが、解釈可能性及び下流の分類タスクパフォーマンスに関してESEMIEを評価するために使用され得る。
【0026】
図2は、一例による、テキストベース文書のドメイン固有の小規模コーパスのための解釈可能な埋め込みを生成する方法200のフロー図を示している。方法200は、任意の好適なハードウェア、非一時的機械可読媒体、又は、これらの組合せを通して、プロセッサ又はデバイスによって実装可能である。さらに、方法200は、前述のシステム100に類似したシステムの文脈において説明されるが、他の好適なデバイス又はシステムが方法200の実行のために使用されるものとしてもよい。
【0027】
一部の例においては、方法200に含まれるプロセスは、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶された命令に基づいて実行することができる。処理モジュール102は、非一時的コンピュータ可読媒体からコンピュータ可読命令をフェッチして実行するために、非一時的コンピュータ可読媒体に通信可能に結合され得る。非一時的コンピュータ可読媒体は、例えば、デジタルメモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は、光学的に可読デジタルデータ記憶媒体を含み得る。
【0028】
図2を参照すると、ブロック202において、複数のテキストベース文書
【数5】
が、テキストベース文書から解釈可能な埋め込みを生成する処理モジュール102により、複数のテキストベース文書D(101)から取得され、処理される。1つの例示的な実施形態においては、複数のテキストベース文書D(101)を処理することは、基本的なクレンジングのために、複数のテキストベース文書の各文書d
kの文の集合j
dkのうちの各文から、記号、特殊文字及び所定のストップワードのうちの少なくとも1つを除去することを含み得る。
【0029】
一例においては、複数の音声メモが、処理モジュール102によって取得可能な複数のテキストベース文書によって受信可能となり、次いで、さらなる処理のためにテキスト文書に変換される。複数のテキストベース文書Dの各テキストベース文書d
kは、文の集合j
dkを含み、
【数6】
によって定義されるM個のクラスの集合内のクラスc
iに属し、ここで、Mは、Nよりも小さい任意の値を有し得る。
【0030】
ブロック204において、方法200は、意味論的に注入されたコーパスが意味論的注入技術を使用することによる複数のテキストベース文書101からの使用によって生成されることを含み得る。ステップ204は、意味論的注入モジュール104により実行される。一実施形態においては、方法200は、意味論的注入モジュール104により、それぞれの文における単語(L)の数を決定し、複数のテキストベース文書(101)の各々における単語(L)の数に基づいて注入頻度値(Ifreq)を計算するステップをさらに含む。
【0031】
ブロック206において、方法200は、意味論的に注入されたコーパスから最適な次元係数(d)を計算し、単語ベクトル技術を使用して、注入された最適な次元埋め込みを生成することを含み得る。ここで、単語ベクトルは、Word2Vec技術を使用して生成される。この実施形態においては、当該最適な次元係数(d)が計算された後、コーパス101全体の語彙サイズがVから(V+M)へ増大し、ここで、Vは初期コーパスの語彙サイズであり、Mは注入された追加のアンカー項である。ブロック208において、方法200は、注入された最適な次元埋め込みを使用して、意味論的に注入された埋め込みを生成することをさらに含む。
【0032】
本主題は、入力されたテキストベース文書から、各データセットのベースライン最適次元埋め込みEOPT及び意味論的に注入された埋め込みESEMIEを生成することによって、テキスト分析活動のシームレスな動作を支援するために使用される。この技術により、SNN埋め込み空間に変換されたときの意味論的な類似性及び非類似性の両方に関して、SEMIEの解釈可能性の向上を達成することができる。提案のシステム100及び方法200においては、使用されるデータセットと、各データセットについてのベースライン最適次元埋め込みEOPT及び意味論的に注入された埋め込みESEMIEの生成とが決定される。
【0033】
本開示の態様を構造的特徴及び/又は方法に特有の言語で説明してきたが、添付の特許請求の範囲は本明細書において説明した特定の特徴又は方法に限定されないことを理解されたい。むしろ、特定の特徴及び方法は、本開示の例として開示したものである。
【外国語明細書】