(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145405
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】液晶光学デバイス、液晶光学デバイスアレイ、電子製品及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20231003BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/13 505
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050515
(22)【出願日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】202210311016.9
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210451852.7
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210451855.0
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523093675
【氏名又は名称】成都耶塔科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU YETA TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 16, 19th Floor, Building 2, No. 88 Jitai 5th Road, Hi-tech Zone, Chengdu, Sichuan 610000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】馮 文斌
(72)【発明者】
【氏名】王 濱
(72)【発明者】
【氏名】叶 茂
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
【Fターム(参考)】
2H088EA42
2H088HA06
2H088MA20
2H092GA03
2H092GA13
2H092GA20
2H092GA26
2H092GA27
2H092GA33
2H092HA04
2H092NA01
2H092PA06
2H092RA03
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】本発明の液晶光学デバイスは、液晶層、第1の配向層、第2の配向層、第1の電極層、第2の電極層、第1の透明基板及び第2の透明基板を含み、第2の電極層は、導線及び複数本の引き出し線を含み、前記導線は、第1の位置及び第2の位置を含み、引き出し線は、一端が前記導線に接続され、対向する他端が吊り下げられ、引き出し線と前記導線の接続位置は引き出し位置であり、少なくとも一部の前記引き出し位置は、導線の第1の位置と第2の位置の間に位置し、導線における各引き出し位置から第1の位置までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線の少なくとも一部から第1の位置までの距離は、第1の条件を満たす。
【効果】本発明は、駆動方法が簡単であるだけでなく、液晶光学デバイスにおける電位分布の精度及び液晶光学デバイスの位相分布効果を顕著に向上させることもできる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶層、第1の配向層、第2の配向層、第1の電極層、第2の電極層、第1の透明基板及び第2の透明基板を含む液晶光学デバイスであって、前記第1の配向層及び第2の配向層は、それぞれ液晶層の対向する両側に位置し、前記第1の電極層は、前記第1の配向層の液晶層に背く側に位置し、前記第2の電極層は、第2の配向層の液晶層に背く側に位置し、前記第1の透明基板は、第1の電極層の液晶層に背く側に位置し、前記第2の透明基板は、第2の電極層の液晶層に背く側に位置し、
前記第1の電極層は、面電極であるか、又は、第1の電極層は、電極ユニットを含むか、又は、第1の電極層は、電極ユニット群を含み、
前記第2の電極層は、導線及び複数本の引き出し線を含み、前記導線は、第1の位置と、第1の位置と異なる第2の位置とを含み、前記導線の第1の位置及び第2の位置は、駆動電圧を受けるために用いられ、前記引き出し線は、一端が前記導線に接続され、対向する他端が吊下げられ、前記引き出し線と前記導線の接続位置は引き出し位置であり、少なくとも一部の前記引き出し位置は、導線の第1の位置と第2の位置の間に位置し、且つ少なくとも2つの引き出し位置は異なり、前記導線における各引き出し位置から第1の位置までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線の少なくとも一部から第1の位置までの距離は、第1の条件を満たすことを特徴とする液晶光学デバイス。
【請求項2】
前記第1の電極層は面電極であり、前記第2の電極層における導線の第1の位置は、第1の駆動電圧を受けるために用いられ、前記導線の第2の位置は、第2の駆動電圧を受けるために用いられることを特徴とする請求項1に記載の液晶光学デバイス。
【請求項3】
前記第2の電極層は、第2の電極層における前記導線及び前記複数本の引き出し線を含む電極ユニットを含み、前記導線における各引き出し位置から第1の位置までの間の抵抗値と電極ユニットの所定の方向における各引き出し線の少なくとも一部から第1の位置までの距離は、所定の条件を満たし、
前記第1の電極層は、導線及び複数本の引き出し線を含む電極ユニットを含み、前記導線は、第1の位置と、第1の位置と異なる第2の位置とを含み、前記引き出し線は、一端が前記導線に接続され、対向する他端が吊り下げられ、前記引き出し線と前記導線の接続位置は引き出し位置であり、少なくとも一部の前記引き出し位置は、導線の第1の位置と第2の位置の間に位置し、且つ少なくとも2つの引き出し位置は異なり、前記導線における各引き出し位置から第1の位置までの間の抵抗値と電極ユニットの所定の方向における各引き出し線の少なくとも一部から第1の位置までの距離は、所定の条件を満たし、前記第1の電極層における電極ユニットの所定の方向は、第2の電極層における電極ユニットの所定の方向と異なり、
前記第1の電極層において、導線の第1の位置は、第1の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の位置は、第2の駆動電圧を受けるために用いられ、
前記第2の電極層において、導線の第1の位置は、第3の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の位置は、第4の駆動電圧を受けるために用いられることを特徴とする請求項1に記載の液晶光学デバイス。
【請求項4】
前記第2の電極層は、電極ユニット群を含み、前記第2の電極層の電極ユニット群は、第1の電極ユニット及び第2の電極ユニットを含み、前記第1の電極ユニット及び第2の電極ユニットは、いずれも前記導線及び複数本の引き出し線を含み、
前記第1の電極層は、電極ユニット群を含み、前記第1の電極層の電極ユニット群は、第1の電極ユニット及び第2の電極ユニットを含み、前記第1の電極ユニット及び第2の電極ユニットは、いずれも導線及び複数本の引き出し線を含み、前記導線は、第1の位置と、第1の位置と異なる第2の位置とを含み、前記引き出し線は、一端が前記導線に接続され、対向する他端が吊り下げられ、前記引き出し線と前記導線の接続位置は引き出し位置であり、少なくとも一部の前記引き出し位置は、導線の第1の位置と第2の位置の間に位置し、且つ少なくとも2つの引き出し位置は異なり、
第1の電極層及び第2の電極層の電極ユニット群の少なくとも1つの所定の領域において、各引き出し線は、直線であると共に所定の方向に垂直であり、且つ、この領域において、前記第1の電極ユニットの導線における各引き出し位置から第1の電極ユニットの第1の位置までの間の抵抗値と電極ユニット群の所定の方向における第1の電極ユニットの各引き出し線から第1の電極ユニットの第1の位置までの距離は、放物線分布又は線形分布を呈し、前記第2の電極ユニットの導線における各引き出し位置から第2の電極ユニットの第1の位置までの間の抵抗値と電極ユニット群の所定の方向における第2の電極ユニットの各引き出し線から第2の電極ユニットの第1の位置までの距離は、線形分布を呈し、
第1の電極層の前記所定の領域及び第2の電極層の前記所定の領域の第2の基準平面への投影は、少なくとも部分的に重なり、前記第2の基準平面は、第1の電極ユニットの引き出し線と第2の電極ユニットの引き出し線の両方に平行な平面であり、前記第1の電極層における電極ユニット群の所定の方向と第2の電極層における電極ユニット群の所定の方向は互いに垂直であり、
前記第1の電極層において、第1の電極ユニットの導線の第1の位置は、第1の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の位置は、第2の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の電極ユニットの導線の第1の位置は、第5の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の位置は、第6の駆動電圧を受けるために用いられ、
前記第2の電極層において、第1の電極ユニットの導線の第1の位置は、第3の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の位置は、第4の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の電極ユニットの導線の第1の位置は、第7の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の位置は、第8の駆動電圧を受けるために用いられることを特徴とする請求項1に記載の液晶光学デバイス。
【請求項5】
前記導線は第3の位置を更に含み、前記第1の位置は、第3の位置と第2の位置の間に位置し、前記導線の第3の位置は、第2の駆動電圧を受けるために用いられ、少なくとも一部の前記引き出し位置は、第2の位置と第3の位置の間に位置することを特徴とする請求項1に記載の液晶光学デバイス。
【請求項6】
前記導線の第2の位置と第3の位置の間に位置する部分の幅は同じであり、前記導線における各引き出し位置から第1の位置までの間の長さと第1の方向における各引き出し線の少なくとも一部から第1の位置までの距離は、第2の条件を満たすことを特徴とする請求項5に記載の液晶光学デバイス。
【請求項7】
前記第2の条件は、前記導線における各引き出し位置から第1の位置までの間の長さと第1の方向における各引き出し線の少なくとも一部から第1の位置までの距離が放物線分布を呈するか、又は前記導線における各引き出し位置から第1の位置までの間の長さが第1の方向における各引き出し線の少なくとも一部から第1の位置までの距離に比例することであることを特徴とする請求項6に記載の液晶光学デバイス。
【請求項8】
前記第1の条件は、前記導線における各引き出し位置から第1の位置までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線の少なくとも一部から第1の位置までの距離が放物線分布を呈するか、又は前記導線における各引き出し位置から第1の位置までの間の抵抗値が第1の方向における各引き出し線の少なくとも一部から第1の位置までの距離に比例することであることを特徴とする請求項1に記載の液晶光学デバイス。
【請求項9】
前記導線と前記面電極は、第2の電極層に平行な平面への投影が重ならないことを特徴とする請求項1に記載の液晶光学デバイス。
【請求項10】
前記導線は、液晶光学デバイスの機能領域外に位置することを特徴とする請求項1に記載の液晶光学デバイス。
【請求項11】
前記第2の電極層と第2の配向層の間、又は第2の電極層と第2の透明基板の間には、高抵抗膜又は高誘電率層が設けられていることを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の液晶光学デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載の液晶光学デバイスを複数含む液晶光学デバイスアレイであって、前記複数の液晶光学デバイスは、アレイ状に配列されることを特徴とする液晶光学デバイスアレイ。
【請求項13】
請求項1に記載の液晶光学デバイスを含む液晶光学デバイスアレイであって、前記液晶光学デバイスの引き出し線は、複数の延伸セグメントを形成するように延伸し、前記複数の延伸セグメントは、アレイ状に配列され、前記導線における各引き出し位置から第1の位置までの間の抵抗値と第1の方向における各延伸セグメントの少なくとも一部から第1の位置までの距離は、前記延伸セグメントに対応する条件を満たすことを特徴とする液晶光学デバイスアレイ。
【請求項14】
制御回路及び請求項1に記載の液晶光学デバイスを含む電子製品であって、前記制御回路は、前記液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイに電気的に接続されることを特徴とする電子製品。
【請求項15】
請求項1に記載の液晶光学デバイス又は請求項12又は13に記載の液晶光学デバイスアレイを駆動するための液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイの駆動方法であって、前記液晶光学デバイスは液晶レンズであり、第1の駆動電圧をV1とし、第2の駆動電圧をV2とし、
液晶レンズ又は液晶レンズアレイの液晶線形応答電圧区間を取得するステップS1と、
前記液晶線形応答電圧区間に基づいて液晶線形動作区間内の最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxを取得するステップS2と、
液晶レンズ又は液晶レンズアレイの焦点屈折力を調整し、及び/又は液晶レンズ又は液晶レンズアレイの正レンズ状態と負レンズ状態を切り替えるために、最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxに基づいてV1(Vmin≦V1≦Vmax)とV2(Vmin≦V2≦Vmax)の電圧差を調整するステップS3と、
を含むことを特徴とする液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイの駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶光学の技術分野に属し、具体的には、液晶光学デバイス、液晶光学デバイスアレイ、電子製品及び駆動方法である。
【背景技術】
【0002】
液晶レンズは、電気的に制御して焦点を調節する特性を有するため、益々広く適用されるようになってきた。液晶レンズを異なるシーンに適用可能にするために、液晶レンズが所期の位相分布を形成できるように、液晶レンズの電位分布を正確に制御する必要がある場合が多い。例えば、放物柱面の形態の電位分布によって円柱レンズを形成することができる。文献「Tunable-Focus Cylindrical Liquid Crystal Lens」 Japanese Journal of Applied Physics 43、652-653(2004)には、2つの電極の間の間隔を利用して円柱レンズを形成する手段が提案されたが、この手段により形成された液晶レンズは、孔径が小さく、収差が大きく、正レンズと負レンズの間で切り替えることができず、その電圧分布を正確に制御することもできないため、液晶レンズの効果が悪い。文献「Polarization independent blue-phase liquid crystal cylindrical lens with a resistive film,」 Appl.Opt.51、2568-2572(2012)には、有孔電極の中間に第3の電極を設け、且つ電極に高抵抗膜を覆うことで、電位分布を制御し、正と負を切り替え可能な円柱レンズを形成する手段が提案されたが、高抵抗膜が安定的ではなく、高抵抗膜の均一性を制御しにくく、電位に対する安定的な制御を実現することができないため、このような液晶レンズは、良好なレンズ効果を長時間保持することも困難である。文献「Cylindrical and Powell Liquid Crystal Lenses With Positive-Negative Optical Power」 IEEE Photonics Technology Letters 32、1057-1060(2020)には、幅が線形的に増加するITO電極で円柱レンズの孔径の中心と縁部を接続し、ITO導線を介して幅が線形に増加するITO電極上の電圧を孔径領域全体に分布させることが提案されているが、幅が線形的に増加するITO電極上の電圧が円柱レンズの位相分布に深刻な影響を与え、且つITO電極の幅を正確に制御することが困難であるため、このような手段により得られた液晶円柱レンズの効果も理想的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑み、本発明は、従来の液晶光学デバイスが簡単な制御方法によって液晶光学デバイスの関連領域の電位分布に対する正確な制御を実現することができず、得られた液晶光学デバイスの位相分布が理想的ではないという技術的問題を解決するために、液晶光学デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明において採用される技術的解決手段は、以下の通りである。
【0005】
第1の態様において、本発明は、液晶光学デバイスを提供する。
【0006】
第2の態様において、本発明は、第1の態様に記載の液晶光学デバイスを複数含む液晶光学デバイスアレイを提供する。
【0007】
第3の態様において、本発明は、第1の態様に記載の液晶光学デバイスを含む液晶光学デバイスアレイを提供する。
【0008】
第4の態様において、本発明は、制御回路及び第1の態様に記載の液晶光学デバイス又は第2の態様に記載の液晶光学デバイスアレイ又は第3の態様に記載の液晶光学デバイスアレイを含む電子製品を提供する。
【0009】
第5の態様において、本発明は、第1の態様に記載の液晶光学デバイス又は第2の態様に記載の液晶光学デバイスアレイ又は第3の態様に記載の液晶レンズアレイを駆動するための液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイの駆動方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
有益な効果は以下の通りである。本発明の液晶光学デバイス、液晶光学デバイスアレイ、電子製品及び駆動方法は、2つの駆動電圧を印加可能な導線によって導線の位置に応じて分布する異なる大きさの電位を生成すると共に、複数本の引き出し線をそれぞれ導線の異なる位置から引き出し、引き出し線は、一端が前記導線に接続され、対向する他端が吊り下げられるため、導線における引き出し位置の電位を引き出し線の延伸領域まで拡散することができる。本発明は、導線における各引き出し位置から第1の位置までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線の少なくとも一部から第1の位置までの距離が満たす条件を設定することで、この部分の引き出し線によって生成された電位分布を正確に制御すると共に、生成された電位分布を利用して液晶光学デバイスにおける液晶分子の偏向を制御し、液晶層を介して伝搬された出射光が所期のものに一層類似する位相分布を発生させるようにし、それにより、2つの駆動電圧を必要とするだけで、得られた液晶光学デバイスの効果を顕著に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の実施例の技術的解決手段をより明瞭に説明するために、以下、本発明の実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介し、当業者によって、創造的な労働をすることなく、更にこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができ、これらは全て本発明の保護範囲内にある。
【
図2】本発明の液晶光学デバイスにおける第2の電極層の構造概略図である。
【
図3】本発明の液晶光学デバイスにおける導線の構造概略図である。
【
図4】本発明における半分の導線を使用した第2の電極層の構造概略図である。
【
図5】本発明における別の半分の導線を使用した第2の電極層の構造概略図である。
【
図6】本発明の各引き出し線の電位分布の概略図である。
【
図7】本発明の引き出し線が第1の条件を満たす部分の概略図である。
【
図8】本発明の1つの構造形態において引き出し線が所定の領域で互いに平行である場合の概略図である。
【
図9】本発明の第4の形態の第2の電極層の構造概略図である。
【
図10】本発明の第5の形態の第2の電極層の構造概略図である。
【
図11】本発明の第6の形態の第2の電極層の構造概略図である。
【
図12】本発明の第7の形態の第2の電極層の構造概略図である。
【
図13】本発明の第8の形態の第2の電極層の構造概略図である。
【
図14】本発明にける液晶円柱レンズの干渉縞図である。
【
図15】本発明の実施例2における液晶光学デバイスアレイの構造概略図である。
【
図16】本発明の実施例3における液晶光学デバイスアレイの構造概略図である。
【
図17】本発明の液晶光学デバイスの円柱レンズアレイの干渉縞図である。
【
図18】本発明の液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイの駆動方法のフローチャートである。
【
図19】本発明の液晶円錐レンズの第2の電極層の構造概略図である。
【
図20】本発明において導線に対応する位置の面電極を欠失状態に設定した場合の構造概略図である。
【
図21】本発明の実施例5の第1の電極層及び第2の電極層における電極ユニットの投影図である。
【
図22】本発明の実施例5の第1の電極層及び第2の電極層における電極ユニットの投影の重なり合い領域の概略図である。
【
図23】本発明の実施例6の液晶光学デバイスアレイの構造概略図である。
【
図24】本発明の実施例7の液晶光学デバイスアレイの構造概略図である。
【
図25】本発明の液晶円形レンズが正レンズ状態にある場合の電位分布図である。
【
図26】本発明の液晶円形レンズが負レンズ状態にある場合の電位分布図である。
【
図27】本発明の液晶円形レンズが正レンズ状態にある場合の干渉縞図である。
【
図28】本発明の液晶円形レンズが負レンズ状態にある場合の干渉縞図である。
【
図29】本発明の液晶レンズアレイの干渉縞図である。
【
図30】本発明の実施例9における第1の電極層及び第2の電極層の電極ユニット群の投影図である。
【
図31】本発明の実施例9における電極ユニット群の構造概略図である。
【
図32】本発明の実施例9における第1の電極層及び第2の電極層における電極ユニット群の投影の重なり合い領域の概略図である。
【
図33】本発明の実施例9における半分の導線を使用した電極ユニット群の構造概略図である。
【
図34】本発明の実施例9における半分の導線を使用した第1の電極層及び第2の電極層における電極ユニット群の投影図である。
【
図35】本発明の実施例10における液晶レンズアレイの構造概略図である。
【
図36】本発明の実施例11の液晶レンズアレイの構造概略図である。
【
図37】本発明の液晶レンズの光軸位置の移動前の干渉縞図である。
【
図38】本発明の液晶レンズの光軸位置がある位置に移動した後の干渉縞図である。
【
図39】本発明の液晶レンズの光軸位置が別の位置に移動した後の干渉縞図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施例1>
図1に示すように、本実施例は、液晶光学デバイスを提供し、本実施例における液晶光学デバイスは、液晶層40、第1の配向層30、第2の配向層50、第1の電極層20、第2の電極層60、第1の透明基板10及び第2の透明基板70を含み、前記第1の配向層30及び第2の配向層50は、それぞれ液晶層40の対向する両側に位置し、前記第1の電極層20は、前記第1の配向層30の液晶層40に背く側に位置し、前記第2の電極層60は、第2の配向層50の液晶層40に背く側に位置し、前記第1の透明基板10は、第1の電極層20の液晶層40に背く側に位置し、前記第2の透明基板70は、第2の電極層60の液晶層40に背く側に位置する。
【0013】
上記各層は、液晶光学デバイスの光透過方向、即ち各層の法線方向に沿って積層して配列される。配列方法は、
図1を参照することができる。
【0014】
前記第1の電極層20は面電極であり、第1の電極層20は、等電位の平面を形成することができる。
【0015】
図2及び
図4に示すように、前記第2の電極層60は、導線61及び複数本の引き出し線62を含み、前記導線61は、第1の位置611と、第1の位置611と異なる第2の位置612とを含み、前記導線61の第1の位置611は、第1の駆動電圧を受けるために用いられ、前記導線61の第2の位置612は、第2の駆動電圧を受けるために用いられ、前記引き出し線62は、一端が前記導線61に接続され、対向する他端が吊り下げられ、前記引き出し線62と前記導線61の接続位置は引き出し位置であり、少なくとも一部の前記引き出し位置は、導線61の第1の位置611と第2の位置612の間に位置し、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離は、第1の条件を満たす。
【0016】
引き出し線62の本数は、2本以上であってもよい。各引き出し線62の引き出し位置は、同じであってもよく、異なってもよい。引き出し線62は、全部又は少なくとも一部が透明材料で製造されてもよい。本実施例における導線61は、一定の抵抗を有する導線であってもよく、第2の基板にめっきされた、一定の抵抗を有する導電可能な薄い線であってもよい。導線61は、いずれも透明な導電材料で製造することができる。
【0017】
本実施例は、導線61における2つの異なる位置である第1の位置611と第2の位置612に、それぞれ第1の駆動電圧及び第2の駆動電圧を印加することができる。導線61に上記2つの駆動電圧が印加された後、導線61における異なる位置に大きさの異なる電位が分布している。本実施例では、前記引き出し線62は、一端が前記導線61に接続され、対向する他端が吊り下げられるため、同一の引き出し線62における各位置の電位が等しく、且つこの引き出し線62と導線61の接続位置における導線61の電位に等しい。このように、各引き出し線62の引き出し位置を設置することにより、所望の各引き出し線62の電位を得ることができる。引き出し線62を必要される所定の位置まで延伸させ、引き出し線62上の電位によってこれらの位置の電位分布を制御することができる。例えば、引き出し線62を、それにおいて発生した電界が液晶光学デバイスにおける液晶分子が偏向するように駆動できる領域まで延伸させる。実際の適用では、引き出し線62の一部のみが電位分布の制御に使用される場合があるため、この部分の位置のみを設置してよく、勿論、必要に応じて引き出し線62の全ての部分の位置を設置してもよい。引き出し線62を利用して所望の電位分布を得るために、本実施例では、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離が第1の条件を満たすようにすることができる。導線61に第1の駆動電圧及び第2の駆動電圧が印加された後、導線61における各位置の電位は、導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値によって決定される。そのため、各引き出し線62の一部又は引き出し線62の全ての部分から第1の位置611までの間の距離と上記抵抗値の間が満たす条件を設定することで、空間の電位分布を制御する。上記第1の方向は、必要に応じて任意に指定することができ、例えば、液晶光学デバイスが位置する空間内のある方向における各位置の電位分布を制御する必要がある場合、この方向を第1の方向として指定することができる。本実施例は、異なる第1の条件を設定することで、異なる空間電位分布を得て、異なる効果の液晶光学デバイスを得ることができる。本実施例の液晶光学デバイスは、上記構造を採用すれば、各引き出し線62上の電位及び各引き出し線62が経由した位置を正確に制御することができるため、液晶光学デバイスが位置する空間内の電位分布に対する正確な制御を実現し、効果がより良好な液晶光学デバイスを得ることができる。また、本実施例は、第1の駆動電圧と第2の駆動電圧という2つの駆動電圧を必要とするだけで、液晶光学デバイスが位置する空間内の各位置の電位に対する正確な制御を実現することができるため、本実施例は、簡単な駆動方法によって効果がより良好な液晶光学デバイスを得ることができる。
【0018】
図2に示すように、前記導線61は、第3の位置613を更に含み、前記第1の位置611は、第3の位置613と第2の位置612の間に位置し、前記導線61の第3の位置613は、第2の駆動電圧を受けるために用いられ、少なくとも一部の前記引き出し位置は、第2の位置612と第3の位置613の間に位置する。
【0019】
本実施例では、上記第2の位置612に加えて、第2の駆動電圧が印加される第3の位置613を追加し、このようにして導線61の第2の位置612及び第3の位置613に第2の駆動電圧を同時に印加することができる。導線61の第2の位置612及び第3の位置613に第2の駆動電圧を同時に印加した後、導線61の第2の位置612から第1の位置611までの間及び第3の位置613から第1の位置611までの間のいずれにも、位置に応じて変化する電位を発生させることができ、引き出し線62は、第1の位置611の両側からそれぞれ引き出すことができ、即ち、引き出し位置は、第2の位置612と第1の位置611の間に位置してもよく、第3の位置613と第1の位置611の間に位置してもよい。上記構造を採用すれば、第1の位置611の両側の引き出し線62によって第1の位置611の両側の電位分布を制御することができ、更に左右対称の電位分布を形成することもできる。
【0020】
図3に示すように、液晶光学デバイスは、第1の電気コネクタ63を更に含み、前記第1の電気コネクタ63は、前記導線61と第1の位置611で接続される。本実施例は、前記第1の電気コネクタ63を介して導線61の第1の位置611に第1の駆動電圧を印加する。
【0021】
前記導線61の第1の位置611と第2の位置612の間にある部分は、第1のサブ部分614であり、前記導線61の第1の位置611と第3の位置613の間にある部分は、第2のサブ部分615であり、前記第1のサブ部分614及び第2のサブ部分615は、それぞれ第1の電気コネクタ63の対向する両側に位置する。第1の電気コネクタ63が導線61の第1の位置611から外に引き出されることを容易にするために、本実施例は、導線61の2つの部分である第1のサブ部分614及び第2のサブ部分615をそれぞれ第1の電気コネクタ63の両側に位置させることにより、第1の位置611の両側において位置に応じて変化する電位が発生することを実現できるだけでなく、第1の電気コネクタ63を避けて、第1の駆動電圧の印加を容易にすることもできる。
【0022】
第2の電極層60の導線61は、
図3における構造形態に加えて、上記第1の条件を満たせば、
図9~
図13の何れか1つの構造形態又は他の構造形態を採用してもよい。
【0023】
図4に示すように、1つの実施形態として、本実施例では、前記引き出し線62は、それぞれ基準平面80の対向する両側に位置する第1の部分及び第2の部分を含み、前記導線61は、第1の部分又は第2の部分と前記基準平面80の同一側に位置し、前記基準平面80は、第1の位置611を経由し且つ第1の方向に垂直な平面である。
【0024】
図4に示すように、基準平面80を境界に液晶光学デバイスが位置する空間を2つの領域に区画し、導線61は、そのうちの一方の領域のみに位置し、引き出し線62は、2つの領域において延伸する。本実施例は、上記構造を採用することで、引き出し線62を一方の領域のみから引き出すことができ、それにより2つの領域の電位分布を制御することができ、このようにして、2つの位置に駆動電圧を印加するだけで第1の位置611の両側の電位分布を制御することができ、且つ、導線61の長さは、半分短縮することができ、液晶光学デバイスの製造コスト及びエネルギー消費も顕著に低減する。
【0025】
図9~
図13の何れか1つの形態の導線61から半分切断した後に
図4の導線61の一部を置き換えて対応する形態の第2の電極層60の構造を得ることもできる。
【0026】
更に、左右対称の電位分布を形成することもできる。本実施例では、延長線は、第1の部分及び第2の部分のみを含んでもよく、第1の部分及び第2の部分を除いた他の部分を含んでもよいが、ここで限定されない。
【0027】
図5に示すように、本実施例では、前記引き出し線62は、第1組の引き出し線616及び第2組の引き出し線617を含み、前記第1組の引き出し線616は、導線61から第1の領域81まで引き出され、前記第2組の引き出し線617は、導線61から第2の領域82まで引き出され、前記第1の領域81及び第2の領域82は、それぞれ基準平面80の対向する両側に位置し、前記基準平面80は、第1の位置611を経由し且つ第1の方向に垂直な平面であり、前記導線61は、第1の領域81又は第2の領域82に位置する。本実施例では、引き出し線62が2組に分けられ、2組の引き出し線62は、いずれも第1の領域81のみに位置する導線61から引き出されてから、それぞれ第1の領域81及び第2の領域82まで延伸する。このようにしても、2つの位置に駆動電圧を印加するだけで第1の位置611の両側の電位分布を制御することができ、且つ、導線61の長さは、半分短縮することができ、液晶光学デバイスの製造コスト及びエネルギー消費も顕著に低減する。
【0028】
加工効率を向上させ、製造コストを削減するために、本実施例では、更に導線61を等幅の形態に設けることができる。導線61における2つの位置に駆動電圧を印加する手法を採用する場合、導線61の第2の位置612と第3の位置613の間に位置する部分の幅が同じようにすることができる。導線61における3つの位置に駆動電圧を印加する手法を採用する場合、前記導線61の第2の位置612と第3の位置613の間に位置する部分の幅が同じである。
【0029】
導線61の各位置の幅が等しい場合、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さと第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離が第2の条件を満たすようにすることができる。
【0030】
導線61の各位置の幅が等しい場合に導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値が導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さに比例するため、本実施例では、導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さを制御することで引き出し線62上の電位を制御することもできる。
【0031】
1つの実施形態として、本実施例は、放物線電位分布を形成可能な構造形態を提供し、本実施例では、前記第1の条件は、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離が放物線分布を呈することである。
【0032】
上記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離が放物線分布を呈することは、引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離をそれぞれ座標軸として直交座標系を確立し、当該直交座標系において、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離との間の対応関係を示す曲線が放物線であることを意味する。
【0033】
図7及び
図8に示すように、図中の各引き出し線62が第1の条件を満たす必要のある部分を破線枠で囲んでいる。実際の必要に応じて、引き出し線62の全部又は任意の部分を、第1の条件を満たす部分として選択することもできる。
【0034】
図6に示すように、第1の位置611を原点として、第1の方向をx軸として、電位の大きさをy軸として直交座標系を確立し、x軸の座標は、第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離を表す。第1の駆動電圧及び第2の駆動電圧が印加された後、各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値は、この引き出し位置の電位に比例するため、第1の条件が、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離が放物線分布を呈することである場合、破線枠内の引き出し線62により第1の方向に形成された電位分布は放物線分布である。
【0035】
導線61の幅が同じである場合、前記第2の条件は、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さと第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離が放物線分布を呈することである。導線61の幅が同じである場合に導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値が導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さに比例するため、本実施例では、導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さと第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離が放物線分布を呈するようにすることで、少なくとも一部の引き出し線62により第1の方向に形成された電位分布が放物線分布であることを実現することもできる。
【0036】
図8~12に示すように、前記導線61は、複数回折り曲げられて複数のセグメントを形成し、前記引き出し位置は、隣り合う2つのセグメントの間の折り曲げ箇所に位置し、且つ各引き出し位置の第1の方向への投影は互いにずれている。前記各セグメントの幅は同じであり、前記各セグメントは、第1の位置611から第2の位置612へ順に線形的に増加する。又は、前記各セグメントの幅は同じであり、第1の位置611と第2の位置612の間に位置する各セグメントは、第1の位置611から第2の位置612へ順に線形的に増加し、且つ第1の位置611と第3の位置613の間に位置する各セグメントは、第1の位置611から第3の位置613へ順に線形的に増加する。前述した手段を採用しても、放物線電位分布を得ることができる。
【0037】
本実施例では、少なくとも1つの領域において(例えば、
図7及び
図8の破線枠で示される領域)、前記各引き出し線62の間が互いに平行であり、且つ各引き出し線62の前記第1の条件を満たす部分のうちの少なくとも一部が前記領域に位置する。各引き出し線62における各位置の電位が同じであり、且つ第1の条件を満たすため、各引き出し線62の間が互いに平行な領域において、円柱面の形態の電位分布を形成することができる。
【0038】
各引き出し線62の間が互いに平行な領域において、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線62から第1の位置611までの距離が放物線分布を呈する場合、上記領域における引き出し線62は、放物柱面形態の電位分布を発生させることができる。
【0039】
導線61の幅が同じである場合、少なくとも1つの領域において、前記各引き出し線62の間は互いに平行であり、且つ各引き出し線62の前記第2の条件を満たす部分のうちの少なくとも一部は前記領域に位置する。
【0040】
各引き出し線62の間が互いに平行な領域において、導線61の幅が同じであり、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さと第1の方向における各引き出し線62から第1の位置611までの距離が放物線分布を呈する場合、上記領域における引き出し線62は、放物柱面形態の電位分布を発生させることができる。
【0041】
更に液晶光学デバイスにおける液晶層40の位置に応じて各引き出し線62の間が平行な領域を設置することもでき、それにより、これらの領域に位置する引き出し線62により発生した特定の形態の電界は、液晶分子が偏向するように駆動することができる。例えば、上記領域における引き出し線62が放物柱面形態の電位分布を発生させた後、当該電位分布により形成された電界は、液晶層40における液晶分子が偏向するように駆動することで、液晶円柱レンズを形成することができる。上記構造によって正確な放物柱面形態の電位分布を発生させることができるため、本実施例によれば、効果が非常に良好な液晶円柱レンズを得ることができる。本実施例の液晶レンズを採用することによって得られた干渉縞図は、
図14に示され、
図14から分かるように、本願における液晶レンズは、良好な円柱レンズの効果を実現することができる。
図19に示すように、1つの実施形態として、本実施例では、導線における各引き出し位置から第1の位置までの間の抵抗値は、第1の方向における各引き出し線の少なくとも一部から第1の位置までの距離に比例する。上記構造を採用すれば、円錐レンズを形成することができる。
【0042】
図20に示すように、好ましい一実施形態として、本実施例では、前記導線及び前記面電極は、第2の電極層に平行な平面への投影が重ならない。本実施例では、第2の電極層における導線と正対する位置に面電極を欠失させ、このようにすれば、導線は、面電極との間に発生した容量効果によって影響されることはなく、液晶光学デバイスの効果を更に向上させる。
【0043】
本実施例では、前記導線は、液晶光学デバイスの機能領域外に位置する。液晶光学デバイスの機能領域とは、液晶光学デバイスにおいて必要に応じて光線を変調可能な領域である。従来技術において、電位分布を発生させる素子を液晶光学デバイスの機能領域に設けなければならない。このように電位分布を発生させる素子は、機能領域の範囲によって制限され、電位制御のニーズを満たすことが困難である。本実施例では、電位分布を発生させる素子である本実施例における導線と、電位分布を制御する素子である本実施例における引き出し線を分離すると共に、電位を発生させる素子を機能領域外に位置させ、電位を制御する素子の少なくとも一部を液晶光学デバイスの機能領域に位置させる。このようにすれば、電位分布を発生させる素子は、機能領域によって制限されず、正確な設計を容易にすることができ、且つ電位分布を発生させる素子と機能領域が互いに影響しないことが可能となる。
【0044】
また、本実施例では、高抵抗膜又は高誘電率層を更に設けることができ、高抵抗膜又は高誘電率層は、第2の電極層と第2の配向層の間に設けられてもよく、第2の電極層と第2の透明基板の間に設けられてもよい。高抵抗膜又は高誘電率層により、隣り合う引き出し線の間の電位をより平滑にすることができる。
【0045】
<実施例2>
本実施例は、液晶光学デバイス100のアレイを提供し、当該液晶光学デバイス100のアレイは、実施例1に記載の液晶光学デバイス100を複数含み、前記複数の液晶光学デバイス100は、アレイ状に配列される。液晶光学デバイス100のアレイにおける各液晶光学デバイス100が満たす第1の条件は、同じであってもよく、異なってもよいが、ここで限定されない。液晶光学デバイス100のアレイにおける各液晶光学デバイス100が満たす第1の条件が同じである場合、アレイにおける各液晶光学デバイス100の効果を同じにすることができ、液晶光学デバイス100のアレイにおける各液晶光学デバイス100が満たす第1の条件が完全に同じではない場合、アレイにおける各液晶光学デバイス100の効果も完全に同じではない。
【0046】
図15に示すように、好ましい一実施形態として、前記第1の条件は、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離が放物線分布を呈することであり、且つ少なくとも1つの領域において、前記液晶光学デバイス100の各引き出し線62の間は互いに平行であり、即ち、本実施例の液晶光学デバイス100のアレイにおいて採用される液晶光学デバイス100は、いずれも円柱レンズであり、液晶円柱レンズアレイを形成する。上記条件を満たす前提で、実施例1における各構造形態の液晶光学デバイス100は、いずれも本実施例における液晶円柱レンズアレイを形成するために使用することができる。
【0047】
導線61の幅が同じである場合、前記第2の条件は、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さと第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離が放物線分布を呈することであり、且つ少なくとも1つの領域において、前記液晶光学デバイス100の各引き出し線62の間は互いに平行であり、即ち、本実施例の液晶光学デバイス100のアレイにおいて採用される液晶光学デバイス100は、いずれも円柱レンズであり、液晶円柱レンズアレイを形成する。上記条件を満たす前提で、実施例1における各構造形態の液晶光学デバイス100は、いずれも本実施例における液晶円柱レンズアレイを形成するために使用することができる。
【0048】
上記構造を採用すれば、各液晶レンズは、いずれも正確な放物柱面分布を形成し、効果がより良好な液晶円柱レンズを得ることができる。
【0049】
本実施例では、各液晶レンズの第1の駆動電圧及び第2の駆動電圧がいずれも同じであるため、本実施例は、2つの駆動電圧を制御するだけで液晶レンズアレイにおける各液晶レンズの焦点屈折力及び正負レンズの切り替えを制御することができ、具体的な制御方法は、実施例4を参照することができる。上記円柱レンズアレイを採用する場合、第1の駆動電圧及び第2の駆動電圧を制御することで各液晶レンズの焦点屈折力及び正負レンズの切り替えを制御することもできる。
【0050】
本実施例の液晶レンズアレイを採用して得られた干渉縞図は、
図17に示され、
図17から分かるように、本願における液晶レンズアレイは、良好な円柱レンズアレイの効果を実現することができる。
【0051】
<実施例3>
本実施例は、別の形態の液晶光学デバイス100のアレイを提供し、本実施例では、前記液晶光学デバイス100のアレイは、実施例1に記載の液晶光学デバイス100を含み、且つ前記液晶光学デバイス100の引き出し線62は、複数の延伸セグメントを形成するように延伸し、前記複数の延伸セグメントは、アレイ状に配列され、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各延伸セグメントの少なくとも一部から第1の位置611までの距離は、この延伸セグメントに対応する条件を満たす。
【0052】
本実施例の液晶光学デバイス100のアレイは、実施例1における液晶光学デバイス100の引き出し線62が延伸し続けることで複数の延伸セグメントを形成することができ、各延伸セグメントは、それぞれ対応する領域の電位分布を制御し、それぞれ対応する領域の液晶層40における液晶分子が偏向するように駆動し、最終的にアレイ状に配列される複数の液晶光学デバイス100を得ることができる。各延伸セグメントにより形成された電位分布は、同じであってもよく、異なってもよい。各延伸セグメントから導線61における第1の位置611までの第1の方向での距離が異なるため、各延伸セグメントにより形成された電位分布が同じであっても、導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各延伸セグメントの少なくとも一部から第1の位置611までの距離が満たす条件も多少異なる。これに対して、本実施例では、各延伸セグメントのためにこの延伸セグメントに対応する条件をそれぞれ設定することができる。
【0053】
液晶円柱レンズアレイを得ようとする場合、上記の対応する条件を、導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離からこの延伸セグメントのシフト距離を差し引いた後の距離が放物線分布を満たすように設定すると共に、各引き出し線62のこれらの部分を互いに平行にすることができる。
【0054】
第1の位置611に最も近い延伸セグメントを初期延伸セグメント610とし、ある延伸セグメントのシフト距離は、第1の方向における同一の引き出し線62のこの延伸セグメントでの位置と初期延伸セグメント610での位置の間の距離である。
【0055】
以下、
図16を例として説明し、
図16に示すように、
図16において、それぞれ初期延伸セグメント610、第1の延伸セグメント620及び第2の延伸セグメント630である3つの延伸セグメントがアレイ状に配列されると仮設し、第1の延伸セグメント620のシフト距離はd1とされ、第2の延伸セグメント630のシフト距離はd2とされる。
【0056】
導線61の幅が同じである場合、更に上記の対応する条件を、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さと第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離からこの延伸セグメントのシフト距離を差し引いた後の距離が放物線分布を満たすように設定すると共に、各引き出し線62のこれらの部分を互いに平行にすることができる。
【0057】
上記構造を採用すれば、各液晶光学デバイス100は、いずれも正確な放物柱面分布を形成し、効果がより良好な液晶円柱レンズを得ることができる。
【0058】
本実施例では、各液晶レンズの第1の駆動電圧及び第2の駆動電圧がいずれも同じであるため、本実施例は、2つの駆動電圧を制御するだけで液晶レンズアレイにおける各液晶レンズの焦点屈折力及び正負レンズの切り替えを制御することができ、具体的な制御方法は、実施例4を参照することができる。上記円柱レンズアレイを採用する場合、第1の駆動電圧及び第2の駆動電圧を制御することで各液晶レンズの焦点屈折力及び正負レンズの切り替えを制御することもできる。
【0059】
<実施例4>
図18に示すように、本実施例は、液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイの駆動方法を提供し、当該方法は、実施例1に記載の液晶光学デバイスを駆動するために用いられ、前記液晶光学デバイスは液晶レンズであり、前記液晶光学デバイスアレイは液晶レンズアレイであり、第1の駆動電圧をV1とし、第2の駆動電圧をV2とし、
図18に示すように、前記方法は、以下のステップS1~S3を含む。
【0060】
S1において、液晶レンズ又は液晶レンズアレイの液晶線形応答電圧区間を取得する。
液晶線形動作区間とは、液晶位相遅延量と駆動電圧が線形関係を呈する電圧区間を指す。
【0061】
S2において、前記液晶線形応答電圧区間に基づいて液晶線形動作区間内の最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxを取得する。
【0062】
S3において、液晶レンズの焦点屈折力を調整するために、最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxに基づいてV1(Vmin≦V1≦Vmax)とV2(Vmin≦V2≦Vmax)の電圧差を調整する。
【0063】
本ステップは、V1-V2の値を調整することで液晶レンズ又は液晶レンズアレイの焦点屈折力を調整することができる。具体的に調整する時にV1が変わらないように維持しながらV2の大きさを調整してもよく、V2が変わらないように維持しながらV1の大きさを調整してもよく、V1及びV2の大きさを同時に変更してもよい。V1が変わらないように維持しながらV2の大きさを調整する場合、V1=Vmin又はV1=Vmaxとし、V2の大きさを調整することができ、V2が変わらないように維持しながらV1の大きさを調整する場合、V2=Vmin又はV2=Vmaxとし、V1の大きさを調整することができる。なお、本実施例は、更にV1とV2の大小関係を変更することで液晶レンズの正レンズと負レンズの状態を切り替えることができる。
【0064】
<実施例5>
本実施例は、液晶光学デバイスを提供し、本実施例における液晶光学デバイスは、液晶層40、第1の配向層30、第2の配向層50、第1の電極層20、第2の電極層60、第1の透明基板10及び第2の透明基板70を含む。本実施例における液晶光学デバイスの各層の積層順序は、実施例1と同じであってもよい。
【0065】
本実施例では、第1の電極層20において電極ユニット91を設けると共に、第2の電極層60において電極ユニット91を設けることができる。
【0066】
図2に示すように、第1の電極層20における電極ユニット及び第2の電極層における電極ユニットは、いずれも導線61及び複数本の引き出し線62を含み、前記導線61は、第1の位置611と、第1の位置611と異なる第2の位置612とを含み、前記引き出し線62は、一端が前記導線61に接続され、対向する他端が吊り下げられ、前記引き出し線62と前記導線61の接続位置は引き出し位置であり、少なくとも一部の前記引き出し位置は、導線61の第1の位置611と第2の位置612の間に位置する。本実施例では、単一の電極ユニットの引き出し線62の数は2以上である。
【0067】
図21に示すように、本実施例では、前記第1の電極層20において、導線61の第1の位置611は、第1の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の位置612は、第2の駆動電圧を受けるために用いられ、前記第2の電極層60において、導線61の第1の位置611は、第3の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の位置612は、第4の駆動電圧を受けるために用いられる。
【0068】
本実施例では、第1の電極層10中の導線61における2つの異なる位置である第1の位置611及び第2の位置612にそれぞれ第1の駆動電圧及び第2の駆動電圧を印加することができる。
【0069】
各引き出し線62を必要される複数の位置に延伸し、引き出し線62における電位によってこれらの位置の電位分布を制御することができる。例えば、引き出し線62を、それにおいて発生した電界が液晶光学デバイスにおける液晶分子が偏向するように駆動できる領域まで延伸させる。引き出し線62を利用して所望の電位分布を得るために、本実施例では、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と所定の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離が所定の条件を満たすようにすることができる。導線61に第1の駆動電圧及び第2の駆動電圧が印加された後、導線61における各位置の電位は、導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値によって決定される。そのため、各引き出し線62における一部又は引き出し線62における全ての部分から第1の位置611までの距離と上記抵抗値が満たす所定の条件を設定することで空間の電位分布を制御することができる。
【0070】
同様に、本実施例では、第2の電極層70中の導線61における2つの異なる位置である第1の位置611及び第2の位置612にそれぞれ第3の駆動電圧及び第4の駆動電圧を印加することができる。上記駆動電圧が印加された後、第2の電極層の導線61における各位置の電位は、導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値によって決定されるため、各引き出し線62における一部又は引き出し線62における全ての部分から第1の位置611までの距離と上記抵抗値が満たす所定の条件を設定することで空間の電位分布を制御することができる。
【0071】
上記所定の方向は、必要に応じて任意に指定することができ、例えば、液晶光学デバイスが位置する空間内のある方向における各位置の電位分布を制御する必要がある場合、この方向を所定の方向として指定することができる。本実施例では、前記第1の電極層20における電極ユニット91の所定の方向は、第2の電極層60における電極ユニット91の所定の方向と異なる。第1の電極層20の電極ユニット91が満たす所定の条件は、第2の電極層60における電極ユニット91が満たす所定の条件と同じであってもよく、異なってもよい。本実施例は、それぞれ第1の電極層20及び第2の電極層60に設けられる電極ユニット91の協働作用によって電位分布を制御し、2つの電極ユニット91がそれぞれ満たす所定の条件を設定することで各種の正確な電位分布を得て、機能が異なり、効果が良好な各種の光学デバイスを得ることができる。
【0072】
図21及び
図22に示すように、本実施例は、上記実施例を基に改善して得られた放物面液晶レンズ又は液晶円錐レンズの実施形態を更に提供する。これに対して、本実施例の液晶光学デバイスでは、電極ユニット91の少なくとも1つの所定の領域において、各引き出し線62は、直線であると共に所定の方向に垂直であり、且つ、この領域において、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と電極ユニット91の所定の方向における各引き出し線62から第1の位置611までの距離は、放物線分布又は円形分布を呈し、前記第1の電極層20における電極ユニット91の所定の方向と第2の電極層60における電極ユニット91の所定の方向は互いに垂直であり、第1の電極層20の前記所定の領域及び第2の電極層60の前記所定の領域の第2の基準平面への投影は、少なくとも部分的に重なり、前記第2の基準平面は、第1の電極ユニット91の引き出し線62及び第2の電極ユニット91の引き出し線62の両方に平行な平面である。
【0073】
上記所定の領域は、必要に応じて指定することができる。例えば、液晶レンズの機能領域を上記所定の領域とし、又は液晶レンズの機能領域を上記領域内に設けることができる。球面又は放物面の液晶レンズを実現するために、本実施例は、上記所定の領域にある引き出し線62を、直線であると共に所定の方向に垂直であるように設置し、且つ、この領域において、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と電極ユニット91の所定の方向における各引き出し線62から第1の位置611までの距離が放物線分布又は線形分布を呈する。
【0074】
本実施例で与えられた構造形態の電極ユニットに対して、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と電極ユニット91の所定の方向における各引き出し線62から第1の位置611までの距離が放物線分布を呈する場合、放物面液晶レンズを得ることができ、線形分布を呈する場合、液晶円錐レンズを得ることができる。
【0075】
図2に示すように、本実施例では、前記導線61は、第3の位置613を更に含み、前記第1の位置611は、第3の位置613と第2の位置612の間に位置し、少なくとも一部の前記引き出し位置は、第2の位置612と第3の位置613の間に位置し、前記第1の電極層20において、導線61の第3の位置613は、第2の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の電極層60において、導線61の第3の位置613は、第4の駆動電圧を受けるために用いられる。
【0076】
本実施例の第1の電極層及び第2の電極層における電極ユニットは、実施例1における第2の電極層の導線及び引き出し線と同じである何れか1つの構造及び
図2~
図13の何れか1つの構造を採用することができ、これらの構造の説明について、実施例1を参照することができる。
【0077】
図19に示すように、所定の条件が、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と所定の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離が線形分布を呈することである場合、引き出し線62により所定の方向に形成された電位分布は線形分布である。
【0078】
2つの電極層における電極ユニット91により形成された電位分布がいずれも放物線であり、且つ2つの電極層における電極ユニット91の所定の方向を互いに垂直にした後、2つの電極層の電位は、重畳して共に放物面分布の電位を形成する。
【0079】
2つの電極層における電極ユニット91により形成された電位分布がいずれも線形分布であり、且つ2つの電極層における電極ユニット91の所定の方向を互いに垂直にした後、2つの電極層の電位は、重畳して共に円錐面分布の電位を形成する。
【0080】
本実施例では、第1の電極ユニット91の引き出し線62及び第2の電極ユニット91の引き出し線62の第2の基準平面への投影の重なり合い領域90は正方形である。
【0081】
本実施例では、第1の電極ユニット91の引き出し線62及び第2の電極ユニット91の引き出し線62の第2の基準平面への投影の重なり合い領域90は、液晶光学デバイスが光変調機能を実行する機能領域とすることができ、例えば、
図22において、網掛け部分の領域は、重なり合い領域90である。
【0082】
引き出し線62が直線であると共に所定の方向に垂直であり、且つ前記第1の電極層20における電極ユニット91の所定の方向と第2の電極層60における電極ユニット91の所定の方向が互いに垂直である場合、前記重なり合い領域90は矩形であり、矩形の隣り合う両辺の長さが等しい場合、上記重なり合い領域は、正方向の重なり合い領域である。
【0083】
<実施例6>
図23に示すように、本実施例は、実施例1に記載の液晶光学デバイスを含む液晶光学デバイスアレイを提供し、前記第1の電極層20及び第2の電極層60のうちの少なくとも1つの電極層は、少なくとも2つの電極ユニット91を含み、前記第1の電極層20における引き出し線62及び第2の電極層60における引き出し線62の第2の基準平面への投影は、アレイ状に配列される複数の重なり合い領域90を形成する。
【0084】
本実施例では、一方の電極層において1つの電極ユニット91を設けると共に、他方の電極層において2つ以上の電極ユニット91を設けてもよく、両方の電極層において2つ以上の電極ユニット91を設けてもよい。2つの電極層における各電極ユニット91は、アレイ状に配列される複数の重なり合い領域90を形成することができ、これらの重なり合い領域90における2つの電極層の電位が互いに重畳するため、これらの領域において分布している電位により発生した電界は、液晶分子が偏向するように駆動し、各々の液晶レンズを形成することができる。
【0085】
液晶光学デバイスアレイにおいて各重なり合い領域90が満たす所定の条件は、同じであってもよく、異なってもよいが、ここで限定されない。液晶光学デバイスアレイにおいて各重なり合い領域90が満たす所定の条件が同じである場合、アレイにおける各重なり合い領域の光学効果を同じにすることができ、液晶光学デバイスアレイにおいて各重なり合い領域90が満たす所定の条件が完全に同じではない場合、アレイにおける各重なり合い領域90の光学効果も完全に同じではない。
【0086】
図23に示すように、好ましい一実施形態として、各重なり合い領域90内の各引き出し線62は、直線であると共に所定の方向に垂直であり、且つ、この領域において、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と電極ユニット91の所定の方向における各引き出し線62から第1の位置611までの距離は、放物線分布を呈し、前記第1の電極層20における電極ユニット91の所定の方向と第2の電極層60における電極ユニット91の所定の方向が互いに垂直である場合、各重なり合い領域90は、放物面の電位分布を形成する。
【0087】
同様に、各重なり合い領域90内の各引き出し線62は、直線であると共に所定の方向に垂直であり、且つ、この領域において、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と電極ユニット91の所定の方向における各引き出し線62から第1の位置611までの距離は、線形分布を呈し、前記第1の電極層20における電極ユニット91の所定の方向と第2の電極層60における電極ユニット91の所定の方向が互いに垂直である場合、各重なり合い領域90は、線形の電位分布を形成する。
【0088】
導線61の幅が同じである場合、各重なり合い領域において、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さと第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離は、放物線分布又は線形分布を呈し、放物面形態の液晶レンズアレイ又は円錐面形態の液晶レンズアレイを得る。液晶レンズの孔径や間隔は、必要に応じて調整することができる。
【0089】
本実施例では、各重なり合い領域のいずれにおいても正確な放物面又は球面分布の電位を形成し、効果がより良好な液晶レンズアレイを得ることができる。その効果は、
図29を参照することができる。
【0090】
<実施例7>
図24に示すように、本実施例は、実施例1に記載の液晶光学デバイスを含む別の形態の液晶光学デバイスアレイを提供し、前記第1の電極層20及び第2の電極層60のうちの少なくとも1つの電極層における電極ユニット91の引き出し線62は、複数の延伸セグメントを形成するように延伸し、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と所定の方向における各延伸セグメントの少なくとも一部から第1の位置611までの距離は、この延伸セグメントに対応する所定の条件を満たし、前記第1の電極層20における電極ユニット91の延伸セグメント及び第2の電極層60における電極ユニット91の延伸セグメントの第2の基準平面への投影は、アレイ状に配列される複数の重なり合い領域90を形成する。
【0091】
本実施例の液晶光学デバイス100のアレイは、実施例1における液晶光学デバイス100の引き出し線62が延伸し続けることで複数の延伸セグメントを形成することができ、各延伸セグメントは、それぞれ対応する領域の電位分布を制御し、それぞれ対応する領域の液晶層40における液晶分子が偏向するように駆動することができ、2つの電極層における延伸セグメントの第2の基準平面への投影は、互いに重畳する複数の領域を形成し、これらの領域のそれぞれは、1つの光学デバイス100に対応する。各延伸セグメントにより形成された電位分布は、同じであってもよく、異なってもよい。各延伸セグメントから導線61における第1の位置611までの第1の方向での距離が異なるため、各延伸セグメントにより形成された電位分布が同じであっても、導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と所定の方向における各延伸セグメントの少なくとも一部から第1の位置611までの距離が満たす条件も多少異なる。本実施例では、各延伸セグメントのためにこの延伸セグメントに対応する所定の条件をそれぞれ設定することができる。
【0092】
放物面レンズアレイを得ようとする場合、上記の対応する条件を、各重なり合い領域において、導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離からこの延伸セグメントのシフト距離を差し引いた距離が放物線分布を満たすように設定することができる。
【0093】
第1の位置611に最も近い延伸セグメントを初期延伸セグメント610とし、ある延伸セグメントのシフト距離は、第1の方向における同一の引き出し線62のこの延伸セグメントでの位置と初期延伸セグメント610での位置の間の距離である。
【0094】
複数の延伸セグメントを含む
図16における電極ユニットを例として説明し、
図16に示すように、
図16において、それぞれ初期延伸セグメント610、第1の延伸セグメント620及び第2の延伸セグメント630である3つの延伸セグメントがアレイ状に配列されると仮設し、第1の延伸セグメント620のシフト距離はd1とされ、第2の延伸セグメント630のシフト距離はd2とされる。
【0095】
放物面レンズアレイを得ようとする場合、導線61の幅が同じである場合、上記の対応する所定の条件を、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さと所定の方向における各引き出し線62から第1の位置611までの距離からこの延伸セグメントのシフト距離を差し引いた距離が放物線分布を満たすように更に設定することができる。同様に、所定の条件が線形分布を満たす場合、液晶円錐レンズアレイを得ることができる。液晶レンズの孔径や間隔は、必要に応じて調整することができる。
【0096】
本実施例では、上記構造を採用すれば、各重なり合い領域のいずれにおいても正確な放物面又は円錐面分布の電位を形成し、効果がより良好な液晶レンズアレイを得ることができる。
【0097】
<実施例8>
本実施例は、実施例5に記載の液晶光学デバイス又は実施例6及び実施例7に記載の液晶光学デバイスアレイを駆動するための液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイの駆動方法を提供し、前記液晶光学デバイスは液晶レンズであり、前記液晶光学デバイスアレイは液晶レンズアレイであり、第1の駆動電圧をV1とし、第2の駆動電圧をV2とし、第3の駆動電圧をV3とし、第4の駆動電圧をV4とし、前記方法は、以下のステップS1~S3を含む。
【0098】
S1において、液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイの液晶線形応答電圧区間を取得する。
【0099】
S2において、前記液晶線形応答電圧区間に基づいて液晶線形動作区間内の最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxを取得する。
【0100】
S3において、液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイの焦点屈折力を調整し、及び/又は液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイの正レンズ状態と負レンズ状態を切り替えるために、最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxに基づいてV1とV2の電圧差及びV3とV4の電圧差を調整する(Vmin≦|V1-V3|≦Vmax、Vmin≦|V2-V4|≦Vmax)。
【0101】
本ステップは、V1-V2の値及びV3-V4を調整することで液晶レンズ又は液晶レンズアレイの焦点屈折力を調整することができる。また、本実施例は、更にV1とV2の大小関係及びV3-V4の大小関係を変更することで液晶レンズの正レンズ状態と負レンズ状態を切り替えることができる。
【0102】
液晶レンズが正レンズ状態にある場合の電位分布は、
図25に示され、干渉縞図は、
図27に示され、液晶レンズが負レンズ状態にある場合の電位分布は、
図26に示され、干渉縞図は、
図28に示される。
【0103】
第1の電極層の引き出し線及び第2の電極層の引き出し線の第2の基準平面への投影の重なり合い領域が矩形領域である場合、S3において、液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイの焦点屈折力を調整し、及び/又は液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイの正レンズ状態と負レンズ状態を切り替えるために、最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxに基づいてV1とV2の電圧差及びV3とV4の電圧差を調整する(Vmin≦|V1-V3|≦Vmax、Vmin≦|V2-V4|≦Vmax)ことは、具体的に以下のステップS31~S32を含む。
【0104】
S31において、前記矩形領域の長さ2a及び幅2bを取得する。
矩形領域の長さ2aと幅2bは、等しくてもよく、等しくなくてもよいが、ここで限定されず、長さ2aと幅2bが等しい場合、重なり合い領域は正方形である。
【0105】
S32において、(V2-V1)/a2=(V3-V4)/b2とするように、前記矩形領域の長さ2a及び幅2bに基づいて第1の駆動電圧V1、第2の駆動電圧V2、第3の駆動電圧V3及び第4の駆動電圧V4の大きさを決定する。
【0106】
本実施例は、上記の駆動電圧を印加する駆動方法によって液晶円形レンズ又は液晶円形レンズアレイを得ることができる。
【0107】
<実施例9>
図1に示すように、本実施例は、液晶レンズを提供し、当該液晶レンズは、液晶光学デバイスの1種であり、本実施例における液晶レンズは、液晶層40、第1の配向層30、第2の配向層50、第1の電極層20、第2の電極層60、第1の透明基板10及び第2の透明基板70を含み、本実施例における液晶レンズの各層の積層順序は、実施例1と同じである。
【0108】
図30に示すように、本実施例では、第1の電極層20及び第2の電極層60の両方に電極ユニット群91が設けられている。2つの電極層における電極ユニット群91は、いずれもそれぞれ第1の電極ユニット911及び第2の電極ユニット912である2つの電極ユニットを含む。
図30及び
図31に示すように、第1の電極ユニットは、導線61及び複数本の引き出し線62を含み、
図2に示すように、前記導線61は、第1の位置611と、第1の位置611と異なる第2の位置612とを含み、前記引き出し線62は、一端が前記導線61に接続され、対向する他端が吊り下げられ、前記引き出し線62と前記導線61の接続位置は引き出し位置であり、少なくとも一部の前記引き出し位置は、導線61の第1の位置611と第2の位置612の間に位置し、且つ少なくとも2つの引き出し位置は異なる。
【0109】
前記第1の電極層において、第1の電極ユニットの導線61の第1の位置611は、第1の駆動電圧を受けるために用いられ、前記導線61の第2の位置612は、第2の駆動電圧を受けるために用いられる。
【0110】
前記第2の電極層において、第1の電極ユニット911の導線61の第1の位置は、第3の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の位置は、第4の駆動電圧を受けるために用いられる。
【0111】
図30及び
図31に示すように、第2の電極ユニットは、導線61及び複数本の引き出し線62を含み、前記導線61は、第1の位置と、前記第1の位置と異なる第2の位置とを含み、前記引き出し線62は、一端が前記導線61に接続され、対向する他端が吊り下げられ、前記引き出し線62と前記導線61の接続位置は引き出し位置であり、少なくとも一部の前記引き出し位置は、導線61の第1の位置と第2の位置の間に位置し、且つ少なくとも2つの引き出し位置は異なる。
【0112】
前記第1の電極層において、第2の電極ユニット912の導線61の第1の位置は、第5の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の位置は、第6の駆動電圧を受けるために用いられる。
【0113】
前記第2の電極層において、第2の電極ユニット912の導線61の第1の位置は、第7の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の位置は、第8の駆動電圧を受けるために用いられる。
【0114】
図2に示すように、第1の電極ユニット911の導線61の第1の位置611及び第2の位置612にそれぞれ電圧を印加した後、導線61において導線61の位置に応じて分布する電位が形成される。本実施例では、前記引き出し線62は、一端が前記導線61に接続され、対向する他端が吊り下げられるため、同一の引き出し線62における各位置の電位が等しく、各引き出し線62を必要とされる位置まで延伸させ、引き出し線62上の電位によってこれらの位置の電位分布を制御することができる。例えば、引き出し線62を、それにおいて発生した電界が液晶レンズにおける液晶分子が偏向するように駆動できる領域まで延伸させる。本実施例では、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と所定の方向における各引き出し線62の複数の部分から第1の位置611までの距離が一定の条件を満たすようにすることができる。各引き出し線62における一部又は引き出し線62における全ての部分から第1の位置611までの距離と上記抵抗値が満たす条件を設定することで空間の電位分布を制御する。
【0115】
本実施例では、第2の電極ユニット912の導線61の第1の位置及び第2の位置にそれぞれ対応する駆動電圧を印加した後に、導線61において導線61の位置に応じて分布する電位を形成し、次に、第2の電極ユニット912の引き出し線62によって、必要とされる電位を、電位制御を必要とする領域まで拡張することで、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と所定の方向における各引き出し線62の複数の部分から第1の位置611までの距離が一定の条件を満たすようにし、所望の電位分布を実現する。
【0116】
上記所定の方向は、必要に応じて任意に指定することができ、例えば、液晶光学デバイスが位置する空間内のある方向における各位置の電位分布を制御する必要がある場合、この方向を所定の方向として指定することができ、例えば、
図5のx方向である。
【0117】
本実施例の液晶レンズは、2つの電極層のいずれにおいても電位分布を正確に制御可能な電極ユニット群91を採用しているため、本実施例は、2つの電極層における電極ユニット群91の協働作用によって放物面又は円錐面分布の電位を実現することができる。これに対して、本実施例では、前記液晶レンズにおいて、電極ユニット群91の少なくとも1つの所定の領域における各引き出し線62は、直線であると共に所定の方向に垂直であり、且つ、この領域において、前記第1の電極ユニット911の導線61における各引き出し位置から第1の電極ユニット911の第1の位置までの間の抵抗値と電極ユニット群91の所定の方向における第1の電極ユニット911の各引き出し線62から第1の電極ユニット911の第1の位置までの距離は、放物線分布又は線形分布を呈し、前記第2の電極ユニット912の導線61における各引き出し位置から第2の電極ユニット912の第1の位置までの間の抵抗値と電極ユニット群91の所定の方向における第2の電極ユニット912の各引き出し線62から第2の電極ユニット912の第1の位置までの距離は、線形分布を呈し、所定の領域において、第1の電極ユニット911の引き出し線62と第2の電極ユニット912の引き出し線62は交互に配列される。
【0118】
前記所定の領域は、必要に応じて指定することができる。高精度の電位制御を必要とする領域を所定の領域として選択することができ、例えば、液晶レンズの機能領域を上記所定の領域とし、又は液晶レンズの機能領域を上記領域内に設けることができる。所定の領域における各引き出し線62が直線であると共に所定の方向に垂直である場合、所定の領域における引き出し線62は、互いに平行である。
図4に示すように、2層の電極層の電極ユニット群91が協働して動作できるように、本実施例では、第1の電極層の前記所定の領域及び第2の電極層の前記所定の領域の第2の基準平面への投影は、少なくとも部分的に重なり、この重なり領域は、重なり合い領域90とされる。前記第2の基準平面は、第1の電極ユニット911の引き出し線62及び第2の電極ユニット912の引き出し線62の両方に平行な平面である。前記第1の電極層における電極ユニット群91の所定の方向と第2の電極層における電極ユニット群91の所定の方向は互いに垂直である。上記重なり領域は、2つの電極層の電極ユニット群91が協働して動作し、空間電位分布を共に制御する領域である。
【0119】
2層の電極ユニット群による協働作用により、第1の電極ユニットの導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と電極ユニット91の所定の方向における各引き出し線62から第1の位置611までの距離が放物線分布を呈する場合、放物面液晶レンズを得ることができ、線形分布を呈する場合、液晶円錐レンズを得ることができる。
【0120】
上記第1の電極ユニット911の導線61における各引き出し位置から第1の電極ユニット911の第1の位置までの間の抵抗値と電極ユニット群91の所定の方向における第1の電極ユニット911の各引き出し線62から第1の電極ユニット911の第1の位置までの距離が放物線分布を呈することは、引き出し位置から第1の位置までの間の抵抗値と所定の方向における各引き出し線62から第1の位置611までの距離をそれぞれ座標軸として直交座標系を確立し、当該直交座標系において前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と所定の方向における各引き出し線62から第1の位置611までの距離との間の対応関係を示す曲線が放物線であることを意味する。
【0121】
本実施例では、第1の電極ユニットの形状、構造及び機能は、実施例5における電極ユニットの形状、構造及び機能と同じである。本実施例では、実施例5を基に第2の電極ユニットを追加した。
【0122】
液晶レンズの光軸位置の移動を実現するために、本実施例は、第2の電極ユニット912の導線61によって異なる大きさの電位を発生させ、且つ引き出し線62を介して所期の電位を所定の領域まで引き出して第1の電極ユニット911の所定の領域における電位と重畳すると共に、第2の電極ユニット912の導線61における各引き出し位置から第2の電極ユニット912の第1の位置までの間の抵抗値と電極ユニット群91の所定の方向における第2の電極ユニット912の各引き出し線62から第2の電極ユニット912までの第1の位置の距離を線形分布として設定し、第1の電極ユニット911の引き出し線62及び第2の電極ユニット912の引き出し線62が交互に配列されるため、第2の電極ユニット912が所定の領域で発生した電位は、第1の電極ユニット911の所定の領域における各位置の電位分布に影響を与え、所定の領域における電位分布を全体的にシフトさせ、最終的に形成された液晶レンズの光軸位置の移動を駆動することができる。
【0123】
本実施例では、前記導線61は、液晶レンズの機能領域外に位置する。
【0124】
本実施例では、前記第1の電極ユニットの導線61の第2の位置612と第1の位置611の間に位置する部分の幅が同じであり、導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さと所定の方向における各引き出し線62の所定の領域内の部分から第1の位置611までの距離は、放物線分布又は線形分布を呈する。
【0125】
第2の電極ユニット912について、本実施例では、第2の電極ユニット912の導線61の各位置の幅が同じである場合、前記第2の電極ユニット912の導線61における各引き出し位置から第2の電極ユニット912の第1の位置までの長さと電極ユニット群91の所定の方向における第2の電極ユニット912の各引き出し線62から第2の電極ユニット912の第1の位置までの距離は、線形分布を呈する。上記長さは、いずれも所定の2つの位置の間にある導線61の長さを指す。
【0126】
図30及び
図2に示すように、本実施例では、前記第1の電極ユニットの導線61は、第3の位置613を更に含み、前記第1の位置611は、第3の位置613と第2の位置612の間に位置し、少なくとも一部の前記引き出し位置は、第2の位置612と第3の位置613の間に位置し、前記第1の電極層20における導線61の第3の位置613は、第2の駆動電圧を受けるために用いられ、第2の電極層60における導線61の第3の位置613は、第4の駆動電圧を受けるために用いられる。
【0127】
<実施例10>
図35に示すように、本実施例は、実施例1に記載の液晶レンズを含む液晶レンズアレイを提供し、前記第1の電極層及び第2の電極層のうちの少なくとも1つの電極層は、少なくとも2つの電極ユニット群91を含み、前記第1の電極層における電極ユニット群91の引き出し線62及び第2の電極層における電極ユニット群91の引き出し線62の第2の基準平面への投影は、アレイ状に配列される複数の重なり合い領域90を形成し、各重なり合い領域90は、少なくとも1つの前記所定の領域を含む。
【0128】
本実施例では、一方の電極層において1つの電極ユニット群91を設けると共に、他方の電極層において2つ以上の電極ユニット群91を設けてもよく、両方の電極層において2つ以上の電極ユニット群91を設けてもよい。2つの電極層における各電極ユニット群91は、アレイ状に配列される複数の重なり合い領域90を形成することができ、これらの重なり合い領域90における2つの電極層の電位が互いに重畳するため、これらの領域に分布している電位により発生した電界は、液晶分子が偏向するように駆動し、各々の液晶レンズを形成することができると共に、各電極ユニット群91における第2の電極ユニット912を利用して各液晶レンズの光軸の位置を制御することができる。
【0129】
各第1の電極ユニット911の導線61における各引き出し位置から第1の電極ユニット911の第1の位置までの間の抵抗値と電極ユニット群91の所定の方向における第1の電極ユニット911の各引き出し線62から第1の電極ユニット911の第1の位置までの距離が放物線分布を呈する場合、各重なり合い領域90の電位分布は、放物面分布である。
【0130】
第1の電極ユニット911の導線61における各引き出し位置から第1の電極ユニット911の第1の位置までの間の抵抗値と電極ユニット群91の所定の方向における第1の電極ユニット911の各引き出し線62から第1の電極ユニット911の第1の位置までの距離が線形分布を呈する場合、各重なり合い領域90の電位分布は、円錐面分布である。好ましい一実施形態として、導線61の幅が同じである場合、各重なり合い領域において、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さと第1の方向における各引き出し線62から第1の位置611までの距離は、放物線分布又は線形分布を呈し、放物面形態の液晶レンズアレイ又は液晶円錐レンズアレイが得られる。液晶レンズの孔径や間隔は、必要に応じて調整することができる。本実施例では、上記構造を採用すれば、各重なり合い領域のいずれにおいても正確な放物面又は球面分布の電位を形成し、効果がより良好な液晶レンズアレイを得ることができる。
【0131】
<実施例11>
図36に示すように、本実施例は、実施例1に記載の液晶レンズを含む別の形態の液晶レンズアレイを提供し、前記電極ユニット群91の引き出し線62は、複数の延伸セグメントを形成するように延伸し、前記導線61における各引き出し位置から第1の位置までの間の抵抗値と所定の方向における各延伸セグメントの少なくとも一部から第1の位置までの距離は、この延伸セグメントに対応する所定の条件を満たし、前記第1の電極層における電極ユニット群91の延伸セグメント及び第2の電極層における電極ユニット群91の延伸セグメントの第2の基準平面への投影により形成された複数の重なり合い領域90は、アレイ状に配列され、各重なり合い領域90は、少なくとも1つの前記所定の領域を含む。第1の電極ユニット911の引き出し線62及び第2の電極ユニット912の引き出し線62は、それぞれ延伸セグメントを形成すように延伸する。
【0132】
本実施例の液晶レンズアレイは、実施例1における液晶レンズの引き出し線62が延伸し続けることで複数の延伸セグメントを形成することができ、各延伸セグメントは、それぞれ対応する領域の電位分布を制御し、それぞれ対応する領域の液晶層40における液晶分子が偏向するように駆動することができ、2つの電極層における延伸セグメントの第2の基準平面への投影は、互いに重畳する複数の領域を形成し、これらの領域のそれぞれは、1つの光学デバイス100に対応する。各延伸セグメントにより形成された電位分布は、同じであってもよく、異なってもよいが、ここで限定されない。各延伸セグメントから導線61における第1の位置611までの第1の方向での距離が異なるため、各延伸セグメントにより形成された電位分布が同じであっても、導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と所定の方向における各延伸セグメントから第1の位置611までの距離が満たす条件も多少異なる。これに対して、本実施例では、各延伸セグメントのためにこの延伸セグメントに対応する所定の条件をそれぞれ設定することができる。
【0133】
例えば、放物面レンズアレイを得ようとする場合、上記の対応する条件を、各重なり合い領域において、導線61における各引き出し位置から第1の位置611までの間の抵抗値と第1の方向における各引き出し線62の少なくとも一部から第1の位置611までの距離からこの延伸セグメントのシフト距離を差し引いた距離が放物線分布を満たすように設定することができる。
【0134】
第1の位置611に最も近い延伸セグメントを初期延伸セグメント610とし、ある延伸セグメントのシフト距離は、第1の方向における同一の引き出し線62のこの延伸セグメントでの位置と初期延伸セグメント610での位置の間の距離である。
【0135】
以下、複数の延伸セグメントを含む
図16における電極ユニットを例として説明し、
図16に示すように、
図16において、それぞれ初期延伸セグメント610、第1の延伸セグメント620及び第2の延伸セグメント630である3つの延伸セグメントがアレイ状に配列されると仮設し、第1の延伸セグメント620のシフト距離はd1とされ、第2の延伸セグメント630のシフト距離はd2とされる。
【0136】
放物面レンズアレイを得ようとする場合、導線6161の幅が同じである場合、上記の対応する所定の条件を、前記導線6161における各引き出し位置から第1の位置611までの間の長さと所定の方向における各引き出し線6262から第1の位置611までの距離からこの延伸セグメントのシフト距離を差し引いた距離が放物線分布を満たすように更に設定することができる。同様に、所定の条件が線形分布を満たす場合、円錐レンズアレイを得ることができる。
【0137】
各重なり合い領域90において、第1の電極ユニット911の引き出し線62の延伸セグメントに加えて、第2の電極ユニット912の引き出し線62の延伸セグメントが更に存在し、第2の電極ユニット912の引き出し線62の延伸セグメントの電位によってアレイにおける各液晶レンズの電位分布を全体的に移動させ、各液晶レンズの光軸位置の移動を実現する。
【0138】
上記液晶レンズの孔径や間隔は、必要に応じて調整することができる。
【0139】
本実施例では、上記構造を採用すれば、各重なり合い領域90のいずれにおいても正確な放物面又は球面分布の電位を形成し、効果がより良好な液晶レンズアレイを得ることができる。
【0140】
<実施例12>
本実施例は、実施例9に記載の液晶レンズ又は実施例10に記載の液晶レンズアレイ又は実施例11に記載の液晶レンズアレイを駆動するための液晶レンズ又は液晶レンズアレイの駆動方法を提供し、第1の駆動電圧をV1とし、第2の駆動電圧をV2とし、第3の駆動電圧をV3とし、第4の駆動電圧をV4とし、前記方法は、以下のステップS1~S3を含む。
【0141】
S1において、液晶レンズ又は液晶レンズアレイの液晶線形応答電圧区間を取得する。
液晶線形動作区間とは、液晶位相遅延量と駆動電圧が線形関係を呈する電圧区間を指す。
【0142】
S2において、前記液晶線形応答電圧区間に基づいて液晶線形動作区間内の最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxを取得する。
【0143】
S3において、液晶レンズ又は液晶レンズアレイの焦点屈折力を調整し、及び/又は液晶レンズ又は液晶レンズアレイの正レンズ状態と負レンズ状態を切り替えるために、最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxに基づいてV1とV2の電圧差及びV3とV4の電圧差を調整する(Vmin≦|V1-V3|≦Vmax、Vmin≦|V2-V4|≦Vmax)。
【0144】
本ステップは、V1-V2の値及びV3-V4を調整することで液晶レンズ又は液晶レンズアレイの焦点屈折力を調整することができる。また、本実施例は、更にV1とV2の大小関係及びV3-V4の大小関係を変更することで液晶レンズの正レンズ状態と負レンズ状態を切り替えることができる。
【0145】
本実施例では、第1の電極ユニットの引き出し線及び第2の電極ユニットの引き出し線の第2の基準平面への投影の重なり合い領域が矩形領域である場合、前記S3において、液晶レンズ又は液晶レンズアレイの焦点屈折力を調整し、及び/又は液晶レンズ又は液晶レンズアレイの正レンズ状態と負レンズ状態を切り替えるために、最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxに基づいてV1とV2の電圧差及びV3とV4の電圧差を調整する(Vmin≦|V1-V3|≦Vmax、Vmin≦|V2-V4|≦Vmax)ことは、以下のステップS31~S32を含む。
【0146】
S31において、前記矩形領域の長さ2a及び幅2bを取得する。
矩形領域の長さ2aと幅2bは、等しくてもよく、等しくなくてもよいが、ここで限定されず、長さ2aと幅2bが等しい場合、重なり合い領域は正方形である。
【0147】
S32において、(V2-V1)/a2=(V3-V4)/b2とするように、前記矩形領域の長さ2a及び幅2bに基づいて第1の駆動電圧V1、第2の駆動電圧V2、第3の駆動電圧V3及び第4の駆動電圧V4の大きさを決定する。
【0148】
本実施例は、駆動電圧を印加する駆動方法によって液晶円形レンズ又は液晶円形レンズアレイを得ることができる。
【0149】
<実施例13>
本実施例は、実施例9に記載の液晶レンズ又は実施例10又は実施例11に記載の液晶レンズアレイを駆動するための液晶レンズ又は液晶レンズアレイの駆動方法を提供し、第1の駆動電圧をV1とし、第2の駆動電圧をV2とし、第3の駆動電圧をV3とし、第4の駆動電圧をV4とし、第5の駆動電圧をV5とし、第6の駆動電圧をV6とし、第7の駆動電圧をV7とし、第8の駆動電圧をV8とし、前記第1の電極層における電極ユニット群の引き出し線と第2の電極層における電極ユニット群の引き出し線の第2の基準平面への投影の重なり合い領域は矩形領域であり、前記方法は、以下のステップS01~S06を含む。
【0150】
S01において、液晶レンズ又は液晶レンズアレイの液晶線形応答電圧区間を取得する。
液晶線形動作区間とは、液晶位相遅延量と駆動電圧が線形関係を呈する電圧区間を指す。
【0151】
S02において、前記液晶線形応答電圧区間に基づいて液晶線形動作区間内の最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxを取得する。
【0152】
S03において、最小電圧Vmin及び最大電圧Vmaxに基づいて液晶レンズの光軸位置の電圧Vcen(Vmin≦Vcen≦Vmax)及び液晶レンズの縁部位置の電圧Vedg(Vmin≦Vedg≦Vmax)を決定する。液晶レンズの縁部位置とは、液晶レンズにおいて液晶レンズの光軸から最も離れた位置を指す。
【0153】
S04において、液晶レンズの光軸が移動する目標位置座標(xo,yo)を取得する。
目標位置座標(xo,yo)とは、液晶レンズの光軸が移動した後の位置の座標を指す。矩形領域の中心位置を座標原点として、所定の方向をx軸として、所定の方向に垂直な方向をy軸として直交座標系を確立する。
【0154】
S05において、前記矩形領域の長さ2a及び幅2bを取得する。
【0155】
S06において、下記の式に基づき、
各駆動電圧を決定し、ただし、V
1、V
3、V
5は、任意の値である。
【0156】
本ステップは、まずV
1、V
3、V
5の値を任意に選択し、その後、矩形領域の長さ2a及び幅2b、液晶レンズの光軸位置の電圧V
cen、液晶レンズの縁部位置の電圧V
edg、目標位置座標(x
o,y
o)に基づき、上記公式に従って、残りの5つの駆動電圧の値を算出する。各駆動電圧の大きさを決定した後、各導線に対応する電圧を印加するだけで液晶レンズの光軸を目標位置に移動させることを実現することができる。光軸移動の効果は、
図37~
図39に示され、
図37及び
図38から分かるように、液晶レンズの光軸は、
図37の位置から下へ
図38の位置まで移動し、
図37及び
図39から分かるように、液晶レンズの光軸は、
図37の位置から右上へ
図39の位置まで移動した。
【0157】
<実施例14>
本実施例は、制御回路及び実施例1に記載の液晶光学デバイスを含む電子製品を提供し、前記制御回路は、前記液晶光学デバイス又は液晶光学デバイスアレイに電気的に接続される。前記電子製品は、イメージング装置、表示装置、携帯電話、AR機器、VR機器、裸眼3D製品、ウェアラブル機器などを含むが、これらに限定されない。