(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145449
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】光電変換素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 30/60 20230101AFI20231003BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20231003BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20231003BHJP
H10K 30/30 20230101ALI20231003BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20231003BHJP
H10K 39/32 20230101ALI20231003BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20231003BHJP
H10K 71/40 20230101ALI20231003BHJP
【FI】
H10K30/60
H01L27/146 A
H01L27/146 E
H01L21/28 301B
H10K30/30
H10K85/60
H10K39/32
H10K71/16
H10K71/40
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109767
(22)【出願日】2023-07-04
(62)【分割の表示】P 2020521828の分割
【原出願日】2019-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2018104374
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】宮地 さえ
(72)【発明者】
【氏名】菅野 雅人
(72)【発明者】
【氏名】氏家 康晴
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雄大
(72)【発明者】
【氏名】榎 修
(72)【発明者】
【氏名】根岸 佑樹
(57)【要約】
【課題】優れた光電変換特性および応答特性を有する光電変換素子の製造方法を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態の光電変換素子の製造方法は、第1電極を形成し、真空蒸着法を用いて第1電極上に発色団およびフラーレンまたはフラーレン誘導体を含む光電変換層を形成し、光電変換層上に第2電極を形成し、真空蒸着法における熱または光照射もしくは光電変換層の成膜後の加熱または光照射によって、発色団とフラーレンまたはフラーレン誘導体とを架橋基を介して結合させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極を形成し、
真空蒸着法を用いて前記第1電極上に発色団およびフラーレンまたはフラーレン誘導体を含む光電変換層を形成し、
前記光電変換層上に第2電極を形成し、
前記真空蒸着法における熱または光照射もしくは前記光電変換層の成膜後の加熱または光照射によって、前記発色団と前記フラーレンまたはフラーレン誘導体とを架橋基を介して結合させる
光電変換素子の製造方法。
【請求項2】
さらに正孔輸送性材料を加えて前記光電変換層を形成する、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項3】
前記発色団は可視光領域に吸収を有する有機分子であり、前記架橋基を有する、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項4】
前記発色団は、前記架橋基を介した前記フラーレンまたはフラーレン誘導体との結合の前後での吸収ピーク波長の変化が±10nm以内である、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項5】
前記架橋基は共役ジエンである、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項6】
前記フラーレンまたはフラーレン誘導体1分子に対して、1または2分子以上の前記発色団を、それぞれ前記架橋基を介して結合させる、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項7】
前記フラーレンまたはフラーレン誘導体は、C60フラーレンまたはC70フラーレンである、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項8】
前記発色団は、サブフタロシアニン、ポルフィリン、フタロシアニン、ジピロメタン、アザジピロメタン、ジピリジル、アザジピリジル、クマリン、ペリレン、ペリレンジイミド、ピレン、ナフタレンジイミド、キナクリドン、キサンテン、キサンテノキサンテン、フェノキサジン、インジゴ、アゾ、オキサジン、ベンゾジチオフェン、ナフトジチオフェン、アントラジチオフェン、ルビセン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、アントラキノン、テトラキノン、ペンタキノン、ジナフトチエノチオフェン、ジケトピロロピロール、オリゴチオフェン、シアニン、スクアリウム、クロコニウム、またはそれらの誘導体である、請求項6に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項9】
前記架橋基は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、シクロペンタジエン、インデン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンおよび1,3-ブタジエンのうちのいずれかである、請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
【請求項10】
前記正孔輸送性材料は、前記フラーレンまたはフラーレン誘導体よりも高いHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位を有する、請求項2に記載の光電変換素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、有機材料を用いた光電変換素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料を用いた撮像素子(有機光電変換素子)では、有機部分の製造に真空蒸着法または塗布方法が用いられているが、真空蒸着法は、以下の点で優れている。まず、真空蒸着法は、パターニングをメタルマスクにより簡便に行うことができる。また、真空蒸着法は、蒸着材料である有機材料を気化または昇華させて成膜するため、溶媒由来の不純物が混入することがない。更に、塗布方法のように有機材料を溶媒に溶解させる必要がないため、有機材料へ可溶性の置換基を導入する必要がない。
【0003】
ところで、有機光電変換素子では光電変換効率の向上が求められている。例えば、特許文献1では、光電変換層の材料として、フラーレンまたはフラーレン誘導体の他に、互いに異なる母骨格を有する2種類の有機材料を用いることで光電変換効率および応答特性の改善を図った光電変換素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/194630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、有機光電変換素子では、高い光電変換効率および応答特性の実現が求められている。
【0006】
優れた光電変換特性および応答特性を有する光電変換素子の製造方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態の光電変換素子の製造方法は、第1電極を形成し、真空蒸着法を用いて第1電極上に発色団およびフラーレンまたはフラーレン誘導体を含む光電変換層を形成し、光電変換層上に第2電極を形成し、真空蒸着法における熱または光照射もしくは光電変換層の成膜後の加熱または光照射によって、発色団とフラーレンまたはフラーレン誘導体とを架橋基を介して結合させる。
【0008】
本開示の一実施形態の光電変換素子の製造方法では、真空蒸着法を用いて第1電極上に発色団およびフラーレンまたはフラーレン誘導体を含む光電変換層を形成するようにした。光電変換層中の発色団とフラーレンまたはフラーレン誘導体とは、真空蒸着法における熱または光照射もしくは光電変換層の成膜後の加熱または光照射によって架橋基を介して結合させる。これにより、フラーレンまたはその誘導体のエネルギーレベル、あるいは、発色団とフラーレンまたはその誘導体との配向が最適化され、発色団とフラーレンまたはその誘導体との間の電子移動効率またはエネルギー移動効率が改善する。更に、界面におけるトラップの生成を抑制する。
【0009】
本開示の一実施形態の光電変換素子の製造方法によれば、真空蒸着法を用いて第1電極上に発色団およびフラーレンまたはフラーレン誘導体を含む光電変換層を形成し、光電変換層中の発色団とフラーレンまたはフラーレン誘導体とを、真空蒸着法における熱または光照射もしくは光電変換層の成膜後の加熱または光照射によって架橋基を介して結合させるようにしたので、発色団とフラーレンまたはその誘導体との間の電子移動効率またはエネルギー移動効率が改善されると共に、界面におけるトラップの生成が抑制される。よって、優れた光電変換特性および応答特性を有する光電変換素子を実現することが可能となる。
【0010】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る光電変換素子の構成を表す断面模式図である。
【
図2】光電変換層内における発色団およびフラーレンまたはその誘導体の構造の一例を表す模式図である。
【
図3】光電変換層内における発色団およびフラーレンまたはその誘導体の構造の他の例を表す模式図である。
【
図4】
図1に示した光電変換素子の単位画素の構成を表す平面模式図である。
【
図5】
図1に示した光電変換素子の製造方法を説明するための断面模式図である。
【
図7】
図1に示した光電変換素子を備えた撮像素子の全体構成を表すブロック図である。
【
図8】
図7に示した撮像素子を用いた撮像装置(カメラ)の一例を表す機能ブロック図である。
【
図9】体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】本技術が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図11】
図10に示したカメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【
図13】撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図14】実験例1におけるアニール前後の架橋基由来の振動ピークの変化を表す特性図である。
【
図15】実験例1におけるアニール前後の光電変換層の吸収スペクトルを表す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.実施の形態(架橋基を有する発色団、フラーレンまたはその誘導体および正孔輸送性材料を含む光電変換層を、真空蒸着法を用いて成膜した光電変換素子の例)
1-1.光電変換素子の構成
1-2.光電変換素子の製造方法
1-3.作用・効果
2.適用例
3.実施例
【0013】
<1.実施の形態>
図1は、本開示の一実施の形態の光電変換素子(光電変換素子10)の断面構成を表したものである。光電変換素子10は、例えば、裏面照射型(裏面受光型)のCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像装置(撮像装置1)において1つの画素(単位画素P)を構成する撮像素子である(
図7参照)。光電変換素子10は、それぞれ異なる波長域の光を選択的に検出して光電変換を行う1つの有機光電変換部11Gと、2つの無機光電変換部11B,11Rとが縦方向に積層された、いわゆる縦方向分光型のものである。本実施の形態の有機光電変換部11Gは、下部電極15と、光電変換層16と、上部電極17とがこの順に積層された構成を有する。光電変換層16は、詳細は後述するが、少なくとも一部が架橋基を介して互いに結合された発色団およびフラーレンまたはその誘導体と、正孔輸送性材料とを含んで構成されている。
【0014】
(1-1.光電変換素子の構成)
光電変換素子10は、単位画素P毎に、1つの有機光電変換部11Gと、2つの無機光電変換部11B,11Rとが縦方向に積層されものである。有機光電変換部11Gは、半導体基板11の裏面(第1面11S1)側に設けられている。無機光電変換部11B,11Rは、半導体基板11内に埋め込み形成されており、半導体基板11の厚み方向に積層されている。有機光電変換部11Gは、p型半導体およびn型半導体を含んで構成され、層内にバルクヘテロ接合構造を有する光電変換層16を含む。バルクヘテロ接合構造は、p型半導体およびn型半導体が混ざり合うことで形成されたp/n接合面である。
【0015】
有機光電変換部11Gと、無機光電変換部11B,11Rとは、互いに異なる波長帯域の光を選択的に検出して光電変換を行うものである。具体的には、有機光電変換部11Gでは、緑(G)の色信号を取得する。無機光電変換部11B,11Rでは、吸収係数の違いにより、それぞれ、青(B)および赤(R)の色信号を取得する。これにより、光電変換素子10では、カラーフィルタを用いることなく一つの画素において複数種類の色信号を取得可能となっている。
【0016】
なお、本実施の形態では、光電変換によって生じる電子および正孔の対のうち、正孔を信号電荷として読み出す場合(p型半導体領域を光電変換層とする場合)について説明する。また、図中において、「p」「n」に付した「+(プラス)」は、p型またはn型の不純物濃度が高いことを表し、「++」はp型またはn型の不純物濃度が「+」よりも更に高いことを表している。
【0017】
半導体基板11は、例えば、n型のシリコン(Si)基板により構成され、所定領域にpウェル61を有している。pウェル61の第2面(半導体基板11の表面)11S2には、例えば、各種フローティングディフュージョン(浮遊拡散層)FD(例えば、FD1,FD2,FD3)と、各種トランジスタTr(例えば、縦型トランジスタ(転送トランジスタ)Tr1、転送トランジスタTr2、アンプトランジスタ(変調素子)AMPおよびリセットトランジスタRST)と、多層配線70とが設けられている。多層配線70は、例えば、配線層71,72,73を絶縁層74内に積層した構成を有している。また、半導体基板11の周辺部には、ロジック回路等からなる周辺回路(図示せず)が設けられている。
【0018】
なお、
図1では、半導体基板11の第1面11S1側を光入射面S1、第2面11S2側を配線層側S2と表している。
【0019】
無機光電変換部11B,11Rは、例えばPIN(Positive Intrinsic Negative)型のフォトダイオードによって構成されており、それぞれ、半導体基板11の所定領域にpn接合を有する。無機光電変換部11B,11Rは、シリコン基板において光の入射深さに応じて吸収される波長帯域が異なることを利用して縦方向に光を分光することを可能としたものである。
【0020】
無機光電変換部11Bは、青色光を選択的に検出して青色に対応する信号電荷を蓄積させるものであり、青色光を効率的に光電変換可能な深さに設置されている。無機光電変換部11Rは、赤色光を選択的に検出して赤色に対応する信号電荷を蓄積させるものであり、赤色光を効率的に光電変換可能な深さに設置されている。なお、青(B)は、例えば450nm~495nmの波長帯域、赤(R)は、例えば620nm~750nmの波長帯域にそれぞれ対応する色である。無機光電変換部11B,11Rはそれぞれ、各波長帯域のうちの一部または全部の波長帯域の光を検出可能となっていればよい。
【0021】
無機光電変換部11Bおよび無機光電変換部11Rは、具体的には、
図1に示したように、それぞれ、例えば、正孔蓄積層となるp+領域と、電子蓄積層となるn領域とを有する(p-n-pの積層構造を有する)。無機光電変換部11Bのn領域は、縦型トランジスタTr1に接続されている。無機光電変換部11Bのp+領域は、縦型トランジスタTr1に沿って屈曲し、無機光電変換部11Rのp+領域につながっている。
【0022】
半導体基板11の第2面11S2には、上記のように、例えば、フローティングディフュージョン(浮遊拡散層)FD1,FD2,FD3と、縦型トランジスタ(転送トランジスタ)Tr1と、転送トランジスタTr2と、アンプトランジスタ(変調素子)AMPと、リセットトランジスタRSTとが設けられている。
【0023】
縦型トランジスタTr1は、無機光電変換部11Bにおいて発生し、蓄積された、青色に対応する信号電荷(ここでは正孔)を、フローティングディフュージョンFD1に転送する転送トランジスタである。無機光電変換部11Bは半導体基板11の第2面11S2から深い位置に形成されているので、無機光電変換部11Bの転送トランジスタは縦型トランジスタTr1により構成されていることが好ましい。
【0024】
転送トランジスタTr2は、無機光電変換部11Rにおいて発生し、蓄積された赤色に対応する信号電荷(ここでは正孔)を、フローティングディフュージョンFD2に転送するものであり、例えばMOSトランジスタにより構成されている。
【0025】
アンプトランジスタAMPは、有機光電変換部11Gで生じた電荷量を電圧に変調する変調素子であり、例えばMOSトランジスタにより構成されている。
【0026】
リセットトランジスタRSTは、有機光電変換部11GからフローティングディフュージョンFD3に転送された電荷をリセットするものであり、例えばMOSトランジスタにより構成されている。
【0027】
下部第1コンタクト75、下部第2コンタクト76および上部コンタクト13Bは、例えば、PDAS(Phosphorus Doped Amorphous Silicon)等のドープされたシリコン材料、または、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)等の金属材料により構成されている。
【0028】
半導体基板11の第1面11S1側には、有機光電変換部11Gが設けられている。有機光電変換部11Gは、例えば、下部電極15、光電変換層16および上部電極17が、半導体基板11の第1面S1の側からこの順に積層された構成を有している。下部電極15は、例えば、単位画素Pごとに分離形成されている。光電変換層16および上部電極17は、複数の単位画素Pごと(例えば、
図5に示した撮像装置1の画素部1a)に共通した連続層として設けられている。有機光電変換部11Gは、選択的な波長帯域(例えば、450nm以上650nm以下)の一部または全部の波長帯域に対応する緑色光を吸収して、電子-正孔対を発生させる有機光電変換素子である。
【0029】
半導体基板11の第1面11S1と下部電極15との間には、例えば、層間絶縁層12,14が半導体基板11側からこの順に積層されている。層間絶縁層は、例えば、固定電荷を有する層(固定電荷層)12Aと、絶縁性を有する誘電体層12Bとが積層された構成を有する。上部電極17の上には、保護層18が設けられている。保護層18の上方には、オンチップレンズ19Lを構成すると共に、平坦化層を兼ねるオンチップレンズ層19が配設されている。
【0030】
半導体基板11の第1面11S1と第2面11S2との間には、貫通電極63が設けられている。有機光電変換部11Gは、この貫通電極63を介して、アンプトランジスタAMPのゲートGampと、フローティングディフュージョンFD3とに接続されている。これにより、光電変換素子10では、半導体基板11の第1面11S1側の有機光電変換部11Gで生じた電荷を、貫通電極63を介して半導体基板11の第2面11S2側に良好に転送し、特性を高めることが可能となっている。
【0031】
貫通電極63は、例えば、光電変換素子10の有機光電変換部11Gごとに、それぞれ設けられている。貫通電極63は、有機光電変換部11GとアンプトランジスタAMPのゲートGampおよびフローティングディフュージョンFD3とのコネクタとしての機能を有すると共に、有機光電変換部11Gにおいて生じた電荷の伝送経路となるものである。
【0032】
貫通電極63の下端は、例えば、配線層71内の接続部71Aに接続されており、接続部71Aと、アンプトランジスタAMPのゲートGampとは、下部第1コンタクト75を介して接続されている。接続部71Aと、フローティングディフュージョンFD3とは、下部第2コンタクト76を介して下部電極15に接続されている。なお、
図1では、貫通電極63を円柱形状として示したが、これに限らず、例えばテーパ形状としてもよい。
【0033】
フローティングディフュージョンFD3の隣には、
図1に示したように、リセットトランジスタRSTのリセットゲートGrstが配置されていることが好ましい。これにより、フローティングディフュージョンFD3に蓄積された電荷を、リセットトランジスタRSTによりリセットすることが可能となる。
【0034】
本実施の形態の光電変換素子10では、上部電極17側から有機光電変換部11Gに入射した光は光電変換層16で吸収される。これによって生じた励起子は、光電変換層16を構成する電子供与体と電子受容体との界面に移動し、励起子分離、即ち、電子と正孔とに解離する。ここで発生した電荷(電子および正孔)は、キャリアの濃度差による拡散や、陽極(ここでは、下部電極15)と陰極(ここでは、上部電極17)との仕事関数の差による内部電界によって、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光電流として検出される。また、下部電極15と上部電極17との間に電位を印加することによって、電子および正孔の輸送方向を制御することができる。
【0035】
以下、各部の構成や材料等について説明する。
【0036】
有機光電変換部11Gは、選択的な波長帯域(例えば、450nm以上750nm以下)の一部または全部の波長帯域に対応する光を吸収して、電子-正孔対を発生させる有機光電変換素子である。有機光電変換部11Gは、上記のように、例えば、対向配置された下部電極15および上部電極17と、下部電極15と上部電極17との間に設けられた光電変換層16とから構成されている。
【0037】
下部電極15は、半導体基板11内に形成された無機光電変換部11B,11Rの受光面と正対して、これらの受光面を覆う領域に設けられている。下部電極15は、光透過性を有する金属酸化物により構成されている。下部電極15の材料として用いられる金属酸化物を構成する金属原子としては、例えば、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、タングステン(W)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびモリブデン(Mo)が挙げられる。上記金属原子を1種以上含む金属酸化物としては、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)が挙げられる。但し、下部電極15の構成材料としては、このITOの他にも、ドーパントを添加した酸化スズ(SnO2)系材料、あるいは亜鉛酸化物にドーパントを添加してなる酸化亜鉛系材料を用いてもよい。酸化亜鉛系材料としては、例えば、ドーパントとしてアルミニウム(Al)を添加したアルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム(Ga)添加のガリウム亜鉛酸化物(GZO)、インジウム(In)添加のインジウム亜鉛酸化物(IZO)が挙げられる。また、この他にも、CuI、InSbO4、ZnMgO、CuInO2、MgIn2O4、CdO、ZnSnO3等を用いてもよい。
【0038】
光電変換層16は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、例えば、2種以上の有機材料を含んで構成されている。具体的には、光電変換層16は、例えば、発色団と、フラーレンまたはその誘導体と、正孔輸送性材料とを含んで構成されている。
図2に示したように、例えば、上記3種類の有機材料のうち発色団161およびフラーレン162(またはその誘導体)の少なくとも一部が、架橋基を介して互いに結合した状態で光電変換層16内に分散している。なお、本実施の形態では、フラーレンを有機材料として扱う。
【0039】
発色団161は、可視光領域に吸収を有する有機分子であり、例えば、可視光領域のうち、選択的な波長(例えば、500nm以上600nm以下の緑色光)で50000cm-1以上の吸収係数を有する色材を含んで構成されている。これにより、有機光電変換部11Gは、例えば、500nm以上600nm以下の緑色光を選択的に光電変換することが可能となる。発色団161は、例えば、共役系が鎖状または環状に連なった構造を有するものであり、例えば5員環または6員環が2以上連なった分子構造を有するものである。また、発色団161は分子内に架橋基161Xを有し、詳細は後述するが、架橋基161Xを介したフラーレン162(またはその誘導体)との結合の前後によって吸収ピーク波長の変化が小さい、具体的には、±10nm以内の有機材料である。
【0040】
このような有機材料としては、例えば、下記式(1-1)~(1-40)に示したように、例えば、サブフタロシアニン、ポルフィリン、フタロシアニン、ジピロメタン、アザジピロメタン、ジピリジル、アザジピリジル、クマリン、ペリレン、ペリレンジイミド、ピレン、ナフタレンジイミド、キナクリドン、キサンテン、キサンテノキサンテン、フェノキサジン、インジゴ、アゾオキサジン、ベンゾジチオフェン、ナフトジチオフェン、アントラジチオフェン、ルビセン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、アントラキノン、テトラキノン、ペンタキノン、ジナフトチエノチオフェン、ジケトピロロピロール、オリゴチオフェン、シアニン、スクアリウム、クロコニウムまたはそれらの誘導体等が挙げられる。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
上記式(1-1)~(1-40)におけるXは架橋基161Xを導入可能な位置であり、いずれか1ヶ所または2ヶ所以上にフラーレンまたはその誘導体と結合可能な架橋基161Xが導入されている。また、上記式(1-1)~(1-40)に示した有機材料は、X同士で環を形成し、その環を挟んで架橋基161Xを有していてもよい。Mは金属原子である。nは1以上8以下の整数である。
【0046】
架橋基161Xは、共役ジエンを含み、例えば、以下の式(X-1)~(X-24)に示したように、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、シクロペンタジエン、インデン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンおよび1,3-ブタジエン等が挙げられる。発色団161と架橋基161Xとの化学結合の種類や位置は特に限定されない。この他、例えば、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ基、アシル基、エステル結合、アミド結合、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、チエニル基、ビチエニル基、チエニルフェニル基、フリル基、ピロール基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラン基、インドール基およびインデン基を介してもよい。
【0047】
【0048】
【0049】
Xには、架橋基161Xの他、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖,分岐,または環状アルキル基、チオアルキル基、チオアリール基、アリールスルホニル基、アルキルスルホニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、フェニル基、カルボキシ基、カルボキソアミド基、カルボアルコキシ基、アシル基、スルホニル基、シアノ基およびニトロ基あるいはそれらの誘導体が導入されていてもよい。また、上記のように、隣接した任意のXは縮合脂肪族環または縮合芳香環の一部であってもよい。縮合脂肪族環または縮合芳香環は、炭素以外の1または複数の原子を含んでいてもよい。
【0050】
フラーレン162またはその誘導体は、例えば、光電変換層16内において電子輸送性材料として機能するものである。フラーレンまたはその誘導体としては、例えば、下記式(2-1)に示したC60フラーレンおよび式(2-2)に示したC70フラーレンが挙げられる。
【0051】
【0052】
なお、
図2では、発色団161とフラーレン162とが架橋基161Xを挟んで1:1で結合した例を示したがこれに限らない。例えば
図3に示したように、フラーレン162またはその誘導体1分子に対して2分子またはそれ以上の発色団161がそれぞれ架橋基161Xを介して結合していてもよい。あるいは、1分子の発色団161に対して複数のフラーレン162またはその誘導体がそれぞれ架橋基161Xを介して複数結合していてもよい。
【0053】
この他、光電変換層16は、正孔輸送性を有する有機材料を1種以上含んで構成されていることが好ましい。正孔輸送性を有する有機材料は、フラーレン162またはその誘導体よりも高いHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位を有することが好ましい。正孔輸送性を有する有機材料としては、例えば、下記式(3-1)~式(3-11)に示した化合物が挙げられる。この他、正孔輸送性材料としては、トリアリールアミン誘導体(TPD,NPB,TAPC等)、カルバゾール誘導体(CBP,TCTA等)、フルオレン誘導体(BSBF等)等が挙げられる。
【0054】
【0055】
光電変換層16は、層内にp型半導体とn型半導体との接合面(p/n接合面)を有する。p型半導体は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能するものであり、n型半導体は、相対的に電子受容体(アクセプタ)として機能するものである。光電変換層16は、光を吸収した際に生じる励起子が電子と正孔とに分離する場を提供するものであり、電子供与体と電子受容体との界面(p/n接合面)において、励起子が電子と正孔とに分離する。光電変換層16の厚みは、例えば、50nm~500nmである。
【0056】
上部電極17は、下部電極15と同様に光透過性を有する導電膜により構成されている。光電変換素子10では、上部電極17が単位画素P毎に分離されていてもよいし、各単位画素P毎に共通の電極として形成されていてもよい。上部電極17の厚みは、例えば、10nm~200nmである。
【0057】
なお、光電変換層16と下部電極15との間、および光電変換層16と上部電極17との間には、他の層が設けられていてもよい。具体的には、例えば、下部電極15側から順に、下引き層、正孔輸送層、電子ブロック層、光電変換層16、正孔ブロック層、バッファ層、電子輸送層および仕事関数調整層等が積層されていてもよい。
【0058】
固定電荷層12Aは、正の固定電荷を有する膜でもよいし、負の固定電荷を有する膜でもよい。負の固定電荷を有する膜の材料としては、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化チタン(TiO2)等が挙げられる。また上記以外の材料としては酸化ランタン、酸化プラセオジム、酸化セリウム、酸化ネオジム、酸化プロメチウム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム、酸化イットリウム、窒化アルミニウム膜、酸窒化ハフニウム膜または酸窒化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0059】
固定電荷層12Aは、2種類以上の膜を積層した構成を有していてもよい。それにより、例えば負の固定電荷を有する膜の場合には正孔蓄積層としての機能をさらに高めることが可能である。
【0060】
誘電体層12Bの材料は特に限定されないが、例えば、シリコン酸化膜、TEOS膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜等によって形成されている。
【0061】
層間絶縁層14は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)および酸窒化シリコン(SiON)等のうちの1種よりなる単層膜か、あるいはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜により構成されている。
【0062】
保護層18は、光透過性を有する材料により構成され、例えば、酸化シリコン、窒化シリコンおよび酸窒化シリコン等のうちのいずれかよりなる単層膜、あるいはそれらのうちの2種以上よりなる積層膜により構成されている。この保護層18の厚みは、例えば、100nm~30000nmである。
【0063】
保護層18上には、全面を覆うように、オンチップレンズ層19が形成されている。オンチップレンズ層19の表面には、複数のオンチップレンズ19L(マイクロレンズ)が設けられている。オンチップレンズ19Lは、その上方から入射した光を、有機光電変換部11G、無機光電変換部11B,11Rの各受光面へ集光させるものである。本実施の形態では、多層配線70が半導体基板11の第2面11S2側に形成されていることから、有機光電変換部11G、無機光電変換部11B,11Rの各受光面を互いに近づけて配置することができ、オンチップレンズ19LのF値に依存して生じる各色間の感度のばらつきを低減することができる。
【0064】
図4は、本開示に係る技術を適用し得る複数の光電変換部(例えば、上記無機光電変換部11B,11Rおよび有機光電変換部11G)が積層された光電変換素子10の構成例を示した平面図である。即ち、
図4は、例えば、
図7に示した画素部1aを構成する単位画素Pの平面構成の一例を表したものである。
【0065】
単位画素Pは、R(Red)、G(Green)およびB(Blue)のそれぞれの波長の光を光電変換する赤色光電変換部(
図1における無機光電変換部11R)、青色光電変換部(
図1における無機光電変換部11B)および緑色光電変換部(
図1における有機光電変換部11G)(
図4では、いずれも図示せず)が、例えば、受光面(
図1における光入射面S1)側から、緑色光電変換部、青色光電変換部および赤色光電変換部の順番で3層に積層された光電変換領域1100を有する。更に、単位画素Pは、RGBのそれぞれの波長の光に対応する電荷を、赤色光電変換部、緑色光電変換部および青色光電変換部から読み出す電荷読み出し部としてのTr群1110、Tr群1120およびTr群1130を有する。撮像装置1では、1つの単位画素Pにおいて、縦方向の分光、即ち、光電変換領域1100に積層された赤色光電変換部、緑色光電変換部および青色光電変換部としての各層で、RGBのそれぞれの光の分光が行われる。
【0066】
Tr群1110、Tr群1120およびTr群1130は、光電変換領域1100の周辺に形成されている。Tr群1110は、赤色光電変換部で生成、蓄積されたRの光に対応する信号電荷を画素信号として出力する。Tr群1110は、転送Tr(MOS FET)1111、リセットTr1112、増幅Tr1113および選択Tr1114で構成されている。Tr群1120は、青色光電変換部で生成、蓄積されたBの光に対応する信号電荷を画素信号として出力する。Tr群1120は、転送Tr1121、リセットTr1122、増幅Tr1123および選択Tr1124で構成されている。Tr群1130は、緑色光電変換部で生成、蓄積されたGの光に対応する信号電荷を画素信号として出力する。Tr群1130は、転送Tr1131、リセットTr1132、増幅Tr1133および選択Tr1134で構成されている。
【0067】
転送Tr1111は、ゲートG、ソース/ドレイン領域S/DおよびFD(フローティングディフュージョン)1115(となっているソース/ドレイン領域)によって構成されている。転送Tr1121は、ゲートG、ソース/ドレイン領域S/D、および、FD1125によって構成される。転送Tr1131は、ゲートG、光電変換領域1100のうちの緑色光電変換部(と接続しているソース/ドレイン領域S/D)およびFD1135によって構成されている。なお、転送Tr1111のソース/ドレイン領域は、光電変換領域1100のうちの赤色光電変換部に接続され、転送Tr1121のソース/ドレイン領域S/Dは、光電変換領域1100のうちの青色光電変換部に接続されている。
【0068】
リセットTr1112、1132および1122、増幅Tr1113、1133および1123ならびに選択Tr1114、1134および1124は、いずれもゲートGと、そのゲートGを挟むような形に配置された一対のソース/ドレイン領域S/Dとで構成されている。
【0069】
FD1115、1135および1125は、リセットTr1112、1132および1122のソースになっているソース/ドレイン領域S/Dにそれぞれ接続されると共に、増幅Tr1113、1133および1123のゲートGにそれぞれ接続されている。リセットTr1112および増幅Tr1113、リセットTr1132および増幅Tr1133ならびにリセットTr1122および増幅Tr1123のそれぞれにおいて共通のソース/ドレイン領域S/Dには、電源Vddが接続されている。選択Tr1114、1134および1124のソースになっているソース/ドレイン領域S/Dには、VSL(垂直信号線)が接続されている。
【0070】
本開示に係る技術は、以上のような光電変換素子に適用することができる。
【0071】
(1-2.光電変換素子の製造方法)
本実施の形態の光電変換素子10は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0072】
図5および
図6は、光電変換素子10の製造方法を工程順に表したものである。まず、
図5に示したように、半導体基板11内に、第1の導電型のウェルとして例えばpウェル61を形成し、このpウェル61内に第2の導電型(例えばn型)の無機光電変換部11B,11Rを形成する。半導体基板11の第1面11S1近傍にはp+領域を形成する。
【0073】
半導体基板11の第2面11S2には、同じく
図5に示したように、フローティングディフュージョンFD1~FD3となるn+領域を形成したのち、ゲート絶縁層62と、縦型トランジスタTr1、転送トランジスタTr2、アンプトランジスタAMPおよびリセットトランジスタRSTの各ゲートを含むゲート配線層64とを形成する。これにより、縦型トランジスタTr1、転送トランジスタTr2、アンプトランジスタAMPおよびリセットトランジスタRSTが形成される。更に、半導体基板11の第2面11S2上に、下部第1コンタクト75、下部第2コンタクト76、接続部71Aを含む配線層71~73および絶縁層74からなる多層配線70を形成する。
【0074】
半導体基板11の基体としては、例えば、半導体基板11と、埋込み酸化膜(図示せず)と、保持基板(図示せず)とを積層したSOI(Silicon on Insulator)基板を用いる。埋込み酸化膜および保持基板は、
図5には図示しないが、半導体基板11の第1面11S1に接合されている。イオン注入後、アニール処理を行う。
【0075】
次いで、半導体基板11の第2面11S2側(多層配線70側)に支持基板(図示せず)または他の半導体基板等を接合して、上下反転する。続いて、半導体基板11をSOI基板の埋込み酸化膜および保持基板から分離し、半導体基板11の第1面11S1を露出させる。以上の工程は、イオン注入およびCVD(Chemical Vapor Deposition)等、通常のCMOSプロセスで使用されている技術にて行うことが可能である。
【0076】
次いで、
図6に示したように、例えばドライエッチングにより半導体基板11を第1面11S1側から加工し、環状の開口63Hを形成する。開口63Hの深さは、
図6に示したように、半導体基板11の第1面11S1から第2面11S2まで貫通すると共に、例えば、接続部71Aまで達するものである。
【0077】
続いて、
図6に示したように、半導体基板11の第1面11S1および開口63Hの側面に、例えば負の固定電荷層12Aを形成する。負の固定電荷層12Aとして、2種類以上の膜を積層してもよい。それにより、正孔蓄積層としての機能をより高めることが可能となる。負の固定電荷層12Aを形成したのち、誘電体層12Bを形成する。
【0078】
次に、開口63Hに、導電体を埋設して貫通電極63を形成する。導電体としては、例えば、PDAS(Phosphorus Doped Amorphous Silicon)等のドープされたシリコン材料の他、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ハフニウム(Hf)およびタンタル(Ta)等の金属材料を用いることができる。
【0079】
続いて、貫通電極63上にパッド部13Aを形成したのち、誘電体層12Bおよびパッド部13A上に、下部電極15と貫通電極63(具体的には、貫通電極63上のパッド部13A)とを電気的に接続する上部コンタクト13Bおよびパッド部13Cがパッド部13A上に設けられた層間絶縁層14を形成する。
【0080】
次に、層間絶縁層14上に、下部電極15、光電変換層16、上部電極17および保護層18をこの順に形成する。光電変換層16は、例えば、上述した発色団161と、フラーレン162(またはその誘導体)と、正孔輸送性材料とを、例えば真空蒸着法を用いて成膜する。発色団161とフラーレン162(またはその誘導体)とは、成膜時の熱または光照射あるいは成膜後の加熱または光照射により、その少なくとも一部が架橋基を介して結合する。最後に、表面に複数のオンチップレンズ19Lを有するオンチップレンズ層19を配設する。以上により、
図1に示した光電変換素子10が完成する。
【0081】
なお、上記のように、光電変換層16の上層または下層に、他の有機層(例えば、電子ブロッキング層等)を形成する場合には、真空工程において連続的に(真空一貫プロセスで)形成することが望ましい。また、光電変換層16の成膜方法としては、必ずしも真空蒸着法を用いた手法に限らず、他の手法、例えば、スピンコート技術やプリント技術等を用いてもよい。
【0082】
光電変換素子10では、有機光電変換部11Gに、オンチップレンズ19Lを介して光が入射すると、その光は、有機光電変換部11G、無機光電変換部11B,11Rの順に通過し、その通過過程において緑、青、赤の色光毎に光電変換される。以下、各色の信号取得動作について説明する。
【0083】
(有機光電変換部11Gによる緑色信号の取得)
光電変換素子10へ入射した光のうち、まず、緑色光が、有機光電変換部11Gにおいて選択的に検出(吸収)され、光電変換される。
【0084】
有機光電変換部11Gは、貫通電極63を介して、アンプトランジスタAMPのゲートGampとフローティングディフュージョンFD3とに接続されている。よって、有機光電変換部11Gで発生した電子-正孔対のうちの正孔が、下部電極15側から取り出され、貫通電極63を介して半導体基板11の第2面11S2側へ転送され、フローティングディフュージョンFD3に蓄積される。これと同時に、アンプトランジスタAMPにより、有機光電変換部11Gで生じた電荷量が電圧に変調される。
【0085】
また、フローティングディフュージョンFD3の隣には、リセットトランジスタRSTのリセットゲートGrstが配置されている。これにより、フローティングディフュージョンFD3に蓄積された電荷は、リセットトランジスタRSTによりリセットされる。
【0086】
ここでは、有機光電変換部11Gが、貫通電極63を介して、アンプトランジスタAMPだけでなくフローティングディフュージョンFD3にも接続されているので、フローティングディフュージョンFD3に蓄積された電荷をリセットトランジスタRSTにより容易にリセットすることが可能となる。
【0087】
これに対して、貫通電極63とフローティングディフュージョンFD3とが接続されていない場合には、フローティングディフュージョンFD3に蓄積された電荷をリセットすることが困難となり、大きな電圧をかけて上部電極17側へ引き抜くことになる。そのため、光電変換層16がダメージを受けるおそれがある。また、短時間でのリセットを可能とする構造は暗時ノイズの増大を招き、トレードオフとなるため、この構造は困難である。
【0088】
(無機光電変換部11B,11Rによる青色信号,赤色信号の取得)
続いて、有機光電変換部11Gを透過した光のうち、青色光は無機光電変換部11B、赤色光は無機光電変換部11Rにおいて、それぞれ順に吸収され、光電変換される。無機光電変換部11Bでは、入射した青色光に対応した電子が無機光電変換部11Bのn領域に蓄積され、蓄積された電子は、縦型トランジスタTr1によりフローティングディフュージョンFD1へと転送される。同様に、無機光電変換部11Rでは、入射した赤色光に対応した電子が無機光電変換部11Rのn領域に蓄積され、蓄積された電子は、転送トランジスタTr2によりフローティングディフュージョンFD2へと転送される。
【0089】
(1-3.作用・効果)
前述したように、有機光電変換素子の有機部分の製造方法としては、大きく分けて真空蒸着法および塗布方法が挙げられる。そのうち、真空蒸着法は、パターニングをメタルマスクにより簡便に行うことができる。また、真空蒸着法は、蒸着材料であるvを気化または昇華させて成膜するため、溶媒由来の不純物が混入することがない。更に、塗布方法のように有機材料を溶媒に溶解させる必要がないため、有機材料へ可溶性の置換基を導入する必要がないという利点がある。
【0090】
ところで、有機光電変換素子では、色素とフラーレンとを組み合わせた光電変換層が多く検討されているが、製造方法として真空蒸着法を用いて光電変換層を成膜することを前提とした場合、以下の課題が挙げられる。
【0091】
第1に、フラーレンは置換基を導入することでエネルギー状態を制御することが可能となり、開放電圧(Voc)を向上させることができるものの、置換基を導入したフラーレンは真空蒸着の際に分解する虞があり、安定な製造プロセスの構築が難しいという課題がある。
【0092】
第2に、フラーレンを用いた有機光電変換素子において高い光電変換効率を得るためには、光電変換層内における色素とフラーレンとの距離や配向が重要であり、それを制御する方法として、色素とフラーレンとを直結させる方法が考えられる。しかしながら、2つの骨格を直結した分子は、上記置換基を導入したフラーレンと同様に、真空蒸着の際に分解する虞があり、安定な製造プロセスの構築が難しいという課題がある。
【0093】
上記課題を解決する方法として、例えば、Dields-Alder反応を利用して、蒸着後にC60フラーレンに置換基を導入する方法が提案されている。しかしながら、Dields-Alder反応では、色素の可視光の吸収を担う環構造が開環するため、可視光の吸収量が減少し、光捕集効率が低下するという課題が生じる。
【0094】
これに対して、本実施の形態では、発色団と、フラーレンまたはその誘導体と、正孔輸送性材料とを含むと共に、一部の発色団161と、フラーレン162またはその誘導体とが架橋基161Xを介して結合している光電変換層16を形成するようにした。これにより、フラーレンまたはその誘導体のエネルギーレベル、あるいは、発色団とフラーレンまたはその誘導体との配向が最適化され、発色団とフラーレンまたはその誘導体との間の電子移動効率またはエネルギー移動効率を改善することが可能となる。更に、界面におけるトラップの生成を抑制することが可能となる。
【0095】
以上、本実施の形態の光電変換素子10およびその製造方法では、少なくとも一部が架橋基161Xを介して互いに結合した発色団161およびフラーレン162またはその誘導体と、正孔輸送性材料とを含む光電変換層16を形成した。これにより、フラーレンまたはその誘導体のエネルギーレベル、あるいは、発色団とフラーレンまたはその誘導体との配向が最適化される。よって、発色団とフラーレンまたはその誘導体との間の電子移動効率またはエネルギー移動効率が改善されると共に、界面におけるトラップの生成が抑制される。よって、優れた光電変換特性および応答特性を有する光電変換素子を実現することが可能となる。
【0096】
また、フラーレンまたはその誘導体の分解や発色団を構成する色素の開環を伴うことなく、真空蒸着法を用いた光電変換層16の成膜が可能となる。よって、製造プロセスの簡略化および安定な製造プロセスの構築が可能となる。
【0097】
<2.適用例>
(適用例1)
図7は、例えば、上記実施の形態において説明した光電変換素子10を各画素に用いた撮像装置1の全体構成を表したものである。この撮像装置1は、CMOSイメージセンサであり、半導体基板11上に、撮像エリアとしての画素部1aを有すると共に、この画素部1aの周辺領域に、例えば、行走査部131、水平選択部133、列走査部134およびシステム制御部132からなる周辺回路部130を有している。
【0098】
画素部1aは、例えば、行列状に2次元配置された複数の単位画素P(例えば、光電変換素子10に相当)を有している。この単位画素Pには、例えば、画素行ごとに画素駆動線Lread(具体的には行選択線およびリセット制御線)が配線され、画素列ごとに垂直信号線Lsigが配線されている。画素駆動線Lreadは、画素からの信号読み出しのための駆動信号を伝送するものである。画素駆動線Lreadの一端は、行走査部131の各行に対応した出力端に接続されている。
【0099】
行走査部131は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、画素部1aの各単位画素Pを、例えば、行単位で駆動する画素駆動部である。行走査部131によって選択走査された画素行の各単位画素Pから出力される信号は、垂直信号線Lsigの各々を通して水平選択部133に供給される。水平選択部133は、垂直信号線Lsigごとに設けられたアンプや水平選択スイッチ等によって構成されている。
【0100】
列走査部134は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、水平選択部133の各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動するものである。この列走査部134による選択走査により、垂直信号線Lsigの各々を通して伝送される各画素の信号が順番に水平信号線135に出力され、当該水平信号線135を通して半導体基板11の外部へ伝送される。
【0101】
行走査部131、水平選択部133、列走査部134および水平信号線135からなる回路部分は、半導体基板11上に直に形成されていてもよいし、あるいは外部制御ICに配設されたものであってもよい。また、それらの回路部分は、ケーブル等により接続された他の基板に形成されていてもよい。
【0102】
システム制御部132は、半導体基板11の外部から与えられるクロックや、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、撮像装置1の内部情報等のデータを出力するものである。システム制御部132はさらに、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータを有し、当該タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に行走査部131、水平選択部133および列走査部134等の周辺回路の駆動制御を行う。
【0103】
(適用例2)
上述の撮像装置1は、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、撮像機能を有する携帯電話等、撮像機能を備えたあらゆるタイプの電子機器に適用することができる。
図8に、その一例として、カメラ2の概略構成を示す。このカメラ2は、例えば、静止画または動画を撮影可能なビデオカメラであり、撮像装置1と、光学系(光学レンズ)310と、シャッタ装置311と、撮像装置1およびシャッタ装置311を駆動する駆動部313と、信号処理部312とを有する。
【0104】
光学系310は、被写体からの像光(入射光)を撮像装置1の画素部1aへ導くものである。この光学系310は、複数の光学レンズから構成されていてもよい。シャッタ装置311は、撮像装置1への光照射期間および遮光期間を制御するものである。駆動部313は、撮像装置1の転送動作およびシャッタ装置311のシャッタ動作を制御するものである。信号処理部312は、撮像装置1から出力された信号に対し、各種の信号処理を行うものである。信号処理後の映像信号Doutは、メモリ等の記憶媒体に記憶されるか、あるいは、モニタ等に出力される。
【0105】
(適用例3)
<体内情報取得システムへの応用例>
更に、本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0106】
図9は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【0107】
体内情報取得システム10001は、カプセル型内視鏡10100と、外部制御装置10200とから構成される。
【0108】
カプセル型内視鏡10100は、検査時に、患者によって飲み込まれる。カプセル型内視鏡10100は、撮像機能及び無線通信機能を有し、患者から自然排出されるまでの間、胃や腸等の臓器の内部を蠕動運動等によって移動しつつ、当該臓器の内部の画像(以下、体内画像ともいう)を所定の間隔で順次撮像し、その体内画像についての情報を体外の外部制御装置10200に順次無線送信する。
【0109】
外部制御装置10200は、体内情報取得システム10001の動作を統括的に制御する。また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信されてくる体内画像についての情報を受信し、受信した体内画像についての情報に基づいて、表示装置(図示せず)に当該体内画像を表示するための画像データを生成する。
【0110】
体内情報取得システム10001では、このようにして、カプセル型内視鏡10100が飲み込まれてから排出されるまでの間、患者の体内の様子を撮像した体内画像を随時得ることができる。
【0111】
カプセル型内視鏡10100と外部制御装置10200の構成及び機能についてより詳細に説明する。
【0112】
カプセル型内視鏡10100は、カプセル型の筐体10101を有し、その筐体10101内には、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、給電部10115、電源部10116、及び制御部10117が収納されている。
【0113】
光源部10111は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、撮像部10112の撮像視野に対して光を照射する。
【0114】
撮像部10112は、撮像素子、及び当該撮像素子の前段に設けられる複数のレンズからなる光学系から構成される。観察対象である体組織に照射された光の反射光(以下、観察光という)は、当該光学系によって集光され、当該撮像素子に入射する。撮像部10112では、撮像素子において、そこに入射した観察光が光電変換され、その観察光に対応する画像信号が生成される。撮像部10112によって生成された画像信号は、画像処理部10113に提供される。
【0115】
画像処理部10113は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、撮像部10112によって生成された画像信号に対して各種の信号処理を行う。画像処理部10113は、信号処理を施した画像信号を、RAWデータとして無線通信部10114に提供する。
【0116】
無線通信部10114は、画像処理部10113によって信号処理が施された画像信号に対して変調処理等の所定の処理を行い、その画像信号を、アンテナ10114Aを介して外部制御装置10200に送信する。また、無線通信部10114は、外部制御装置10200から、カプセル型内視鏡10100の駆動制御に関する制御信号を、アンテナ10114Aを介して受信する。無線通信部10114は、外部制御装置10200から受信した制御信号を制御部10117に提供する。
【0117】
給電部10115は、受電用のアンテナコイル、当該アンテナコイルに発生した電流から電力を再生する電力再生回路、及び昇圧回路等から構成される。給電部10115では、いわゆる非接触充電の原理を用いて電力が生成される。
【0118】
電源部10116は、二次電池によって構成され、給電部10115によって生成された電力を蓄電する。
図9では、図面が煩雑になることを避けるために、電源部10116からの電力の供給先を示す矢印等の図示を省略しているが、電源部10116に蓄電された電力は、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び制御部10117に供給され、これらの駆動に用いられ得る。
【0119】
制御部10117は、CPU等のプロセッサによって構成され、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び、給電部10115の駆動を、外部制御装置10200から送信される制御信号に従って適宜制御する。
【0120】
外部制御装置10200は、CPU,GPU等のプロセッサ、又はプロセッサとメモリ等の記憶素子が混載されたマイクロコンピュータ若しくは制御基板等で構成される。外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100の制御部10117に対して制御信号を、アンテナ10200Aを介して送信することにより、カプセル型内視鏡10100の動作を制御する。カプセル型内視鏡10100では、例えば、外部制御装置10200からの制御信号により、光源部10111における観察対象に対する光の照射条件が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、撮像条件(例えば、撮像部10112におけるフレームレート、露出値等)が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、画像処理部10113における処理の内容や、無線通信部10114が画像信号を送信する条件(例えば、送信間隔、送信画像数等)が変更されてもよい。
【0121】
また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信される画像信号に対して、各種の画像処理を施し、撮像された体内画像を表示装置に表示するための画像データを生成する。当該画像処理としては、例えば現像処理(デモザイク処理)、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/又は手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の信号処理を行うことができる。外部制御装置10200は、表示装置の駆動を制御して、生成した画像データに基づいて撮像された体内画像を表示させる。あるいは、外部制御装置10200は、生成した画像データを記録装置(図示せず)に記録させたり、印刷装置(図示せず)に印刷出力させてもよい。
【0122】
以上、本開示に係る技術が適用され得る体内情報取得システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部10112に適用され得る。これにより、検出精度が向上する。
【0123】
(適用例4)
<内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0124】
図10は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0125】
図10では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0126】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0127】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0128】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0129】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0130】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0131】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0132】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0133】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0134】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0135】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0136】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0137】
図11は、
図10に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0138】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0139】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0140】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0141】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0142】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0143】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0144】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0145】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0146】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0147】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0148】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0149】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0150】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0151】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0152】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0153】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0154】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部11402に適用され得る。撮像部11402に本開示に係る技術を適用することにより、検出精度が向上する。
【0155】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0156】
(適用例5)
<移動体への応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0157】
図12は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0158】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図12に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0159】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0160】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0161】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0162】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0163】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0164】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0165】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0166】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0167】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図12の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0168】
図13は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0169】
図13では、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0170】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0171】
なお、
図13には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0172】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0173】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0174】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0175】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0176】
<3.実施例>
次に、本開示の実施例について詳細に説明する。
【0177】
(実験1)
実験1では、実験例1,2として分子内に架橋基を有する発色団を用いた光電変換素子および実験例3として分子内に架橋基を持たない色素を用いた光電変換素子を作製し、その外部量子効率(EQE)および開放電圧(Voc)について評価した。
【0178】
まず、本開示の発色団として、下記スキームによって得られた生成物を昇華精製し、式(1-1-6)で表されるF6-SubPc-O-2ANを得た。また、同様の方法を用いて、分子内に架橋基を有する下記式(4-1)で表されるF6-SubPc-O-Ph-26F2および分子内に架橋基を持たない式(4-2)で表されるF6-SubPc-Fを得た。
【0179】
【0180】
【0181】
(実験例1)
石英基板上にスパッタリング装置を用いて厚さ100nmのITO膜を成膜した。このITO膜を、フォトリソグラフィーおよびエッチングによってパターニングし、ITO電極(下部電極)を形成した。続いて、ITO電極付きの石英基板をUV/オゾン処理にて洗浄した後、石英基板を真空蒸着機に移し、1×10-5Pa以下に減圧された状態で基板ホルダを回転させながら石英基板上に、下記式(5)に示したPC-ICを基板温度0℃にて10nmの厚みで成膜し、電子ブロック層を形成した。次に、式(1-1-16)に示したF6-SubPc-O-2ANと、下記式(6)に示したDPh-BTBTと、C60フラーレンとを、基板温度40℃にて、それぞれ、0.50Å/秒、0.50Å/秒、0.25Å/秒の成膜レートで、混合層の厚さが230nmとなるように成膜し、光電変換層を形成した。続いて、下記式(7)に示したNDI-35を、基板温度0℃にて10nmの厚みで成膜し、正孔ブロック層を形成した。最後に、石英基板をスパッタリング装置に移し、正孔ブロック層上にITO膜を50nmの厚みで成膜し、上部電極を形成した。以上の作製方法により、1mm×1mmの光電変換領域を有する光電変換素子(実験例1)を作製した。
【0182】
【0183】
(実験例2)
実験例1で用いたF6-SubPc-O-2AN(式(1-1-16))の代わりに上記式(4-1)に示したF6-SubPc-O-Ph-26F2を用いた以外は、実験例1と同様の方法を用いて光電変換素子(実験例2)を作製した。
【0184】
(実験例3)
実験例1で用いたF6-SubPc-O-2AN(式(1-1-16))の代わりに上記式(4-2)に示したF6-SubPc-Fを用いた以外は、実験例1と同様の方法を用いて光電変換素子(実験例3)を作製した。
【0185】
実験例1~3の外部量子効率(EQE)、開放電圧(Voc)、形状因子(f.f.)および光電変換効率(η)を以下の方法を用いて評価した。その結果を各実験例で用いた発色団(色素)と共に表1にまとめた。
【0186】
緑色LED光源からバンドパスフィルターを介して光電変換素子に照射される光の波長を560nm、光量を1.62μW/cm2とし、半導体パラメータアナライザを用いて光電変換素子の電極間に印加されるバイアス電圧を制御し、上部電極に対して下部電極に印加する電圧を掃引することで電流-電圧曲線を得た。短絡状態での明電流値および暗電流値を計測してEQEを算出した。開放状態における電圧から開放電圧(Voc)を求めた。電流-電圧曲線における最大電力を緑色光の照射エネルギーで除算することで光電変換効率(η)を求めた。光電変換効率(η)を短絡状態の電流と開放電圧(Voc)の積で除算することで形状因子(f.f.)を算出した。
【0187】
(発色団(または色素)とC60フラーレンとの反応生成物の評価)
真空蒸着機により、シリコン基板上に、実験例1~3において用いた発色団(または色素)とC60フラーレンとの比がそれぞれ2:1となる混合膜を150nmの厚みで成膜し、その混合膜上に金(Au)を100nmの厚みで蒸着して評価用サンプルを作製した。アニール処理をしていない評価サンプルおよび窒素で置換された雰囲気下で150℃のアニール処理を行った評価サンプルを用意した。各評価用サンプルにシリコン基板側から赤外線を照射し、Auと基板間で赤外線を多重反射させることで高感度反射赤外分光法(IRRAS)を測定した。IRRASのスペクトルの変化より、アニール前後での架橋基由来の振動ピークの変化の有無を確認することで、発色団(または色素)とC60フラーレンとの反応生成物の有無の確認を行った。
【0188】
【0189】
実験例1で用いたF
6-SubPc-O-2ANは、式(1-1-16)から分かるように、サブフタロシアニンの発色団に共役ジエンの架橋基が導入された構造を有する。F
6-SubPc-O-2ANとC
60フラーレンを含む光電変換層は、
図14に示したように、高感度赤外反射分光によりアニール前後での架橋基由来の振動ピークに変化が見られたことから架橋基とC
60フラーレンとが反応したことが確認された。また、
図15は、光電変換層のアニール前後の吸収スペクトルの変化を表したものである。実験例1では、アニール前後、即ち、架橋基の反応前後での発色団由来の吸収に変化がないことがわかった。
【0190】
これに対して、実験例2で用いたF6-SubPc-O-Ph-26F2は、式(4-1)に示したように、サブフタロシアニンの発色団と共役ジエンの架橋基を有しているものの、高感度赤外分光によりアニール前後での架橋基由来の振動ピークに変化が見られなかった。このことからF6-SubPc-O-Ph-26F2の架橋基とC60フラーレンとは反応していないことがわかった。また、実験例3で用いたF6-SubPc-Fは、式(4-2)に示したように、サブフタロシアニンの発色団を有しているものの、共役ジエンの架橋基を有していない。このため、高感度赤外分光によりアニール前後での架橋基由来の振動ピークに変化が見られなかった。
【0191】
なお、発色団(または色素)とC60フラーレンとの反応生成物の有無については、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF-MS)による光電変換層中の化学組成物の解析によっても確認することができる。
【0192】
真空蒸着機により、シリコン基板上に、実験例1~3において用いた発色団(または色素)とC60フラーレンとの比がそれぞれ2:1となる混合膜を150nmの厚みで成膜し、評価用サンプルを作製した。実験例1に対応する評価用サンプルでは、アニール前の混合膜からF6-SubPc-O-2ANとC60フラーレンとが1:1で付加した分子量の化学組成物が検出され、アニール後の混合膜からは付加体が検出されなかった。この結果および上記高感度赤外反射分光の結果をもとに考察すると、これは、F6-SubPc-O-2ANのアントラセン部位とC60フラーレンとのDiels-Alder反応によって生成した化学組成物が、アニール前に形成されており、アニール後には架橋が外れたものと思われる。したがって、真空蒸着による成膜時の輻射熱や基板加熱によって、上記の化学組成物が架橋反応により生成し、その後のアニールにより、架橋が解離したものと推察される。
【0193】
これに対して、実験例2に対応する評価用サンプルでは、アニール前後の混合膜から各々の化学種の付加体は検出されなかった。また実験例3に対応する評価用サンプルからも、アニール前後の混合膜から各々の化学種の付加体は検出されなかった。この結果から、F6-SubPc-O-Ph-26F2およびF6-SubPc-Fでは、C60フラーレンとDiels-Alder反応が起こらなかったと考えられる。
【0194】
EQEおよび開放電圧(Voc)に関しては、実験例1ではEQEが53%、Vocが0.652Vであり、実験例2,3と比較して、同等のEQEでありながら、高いVocを示すことがわかった。これは、実験例1では、F6-SubPc-O-2ANがサブフタロシアニン発色団のアキシャル位のアントラセン置換基を介してC60フラーレンと結合したことにより、サブフタロシアニン発色団の光吸収波長に変化はないながらも、C60フラーレンにエネルギー変化を与えつつ、発色団とC60フラーレンとの配向および距離が光電変換に望ましい状態へと固定化されたためと考えられる。これにより、C60フラーレンのLUMO準位は高エネルギー側にシフトし、発色団とC60フラーレンとの間の電子移動効率またはエネルギー移動効率が改善され、さらにはトラップとなり得るような発色団とC60フラーレンとの配向が低減されたと考えられる。その結果、高い光電変換特性を有する光電変換素子が実現されたと考えられる。
【0195】
(実験2)
実験2では、実験例4,6として分子内に架橋基を有すると共に色素とC60フラーレンとの反応生成物を有する有機材料を用いた光電変換素子および実験例5,7として分子内に架橋基を有するものの色素とC60フラーレンとの反応生成物を持たない有機材料を用いた光電変換素子を作製し、そのEQEおよび規格化応答速度について評価した。
【0196】
(実験例4)
実験例1と同様の方法を用いた光電変換素子(実験例4)を作製し、ダイオードのリバース方向への電圧印加時の光電変換特性の評価を行った。
【0197】
(実験例5)
実験例1と同様の方法を用いて上部電極まで形成したのちアニールを行うことで架橋を解離させた光電変換素子(実験例5)を作製し、ダイオードのリバース方向への電圧印加時の光電変換特性の評価を行った。
【0198】
(実験例6)
実験例1で用いたF6-SubPc-O-2AN(式(1-1-16))の代わりに下記式(1-1-16)に示したF6-SubPc-O-β-BTを用いると共に、上部電極まで形成したのちアニールを行うことで架橋を生成させた光電変換素子(実験例6)を作製し、ダイオードのリバース方向への電圧印加時の光電変換特性の評価を行った。なお、F6-SubPc-O-β-BTを用いた場合は、IRRASおよびMALDI-TOF-MSによる解析の結果からアニール処理前は架橋反応が起こっておらず、アニール後に架橋反応が起こったことを確認した。
【0199】
(実験例7)
実験例1で用いたF6-SubPc-O-2AN(式(1-1-16))の代わりに下記式(1-1-16)に示したF6-SubPc-O-β-BTを用いた以外は、実験例1と同様の方法を用いた光電変換素子(実験例7)を作製し、ダイオードのリバース方向への電圧印加時の光電変換特性の評価を行った。
【0200】
【0201】
実験例4~7の電圧印可時の外部量子効率(EQE)および規格化応答速度を以下の方法を用いて評価した。その結果を各実験例で用いた発色団(色素)と共に表2にまとめた。
【0202】
緑色LED光源からバンドパスフィルターを介して光電変換素子に照射される光の波長を560nm、光量を162μW/cm2とし、半導体パラメータアナライザを用いて光電変換素子の電極間に印加されるバイアス電圧を制御し、上部電極に対して下部電極に負バイアス側に2.6Vの電圧を印可した状態で、明電流値および暗電流値を計測し、EQEを算出した。また、2.6V印可した状態で光を照射し、定常電流を観測した後、光照射を即座に止めて電流が減衰していく速度をその際に流れた電荷量で定量化し、応答性の指標とした。本実験では、実験例4の応答速度を1.60とした規格化応答速度で比較を行った。
【0203】
【0204】
実験例4の光電変換素子は、2.6Vの電圧印可時において、実験例5の光電変換素子よりも高いEQEおよび高速な規格化応答速度を示した。これは、実験例4では、F6-SubPc-O-2ANがサブフタロシアニン発色団のアキシャル位のアントラセン置換基を介してC60フラーレンと結合したことにより、サブフタロシアニン発色団の光吸収波長に変化はないながらも、C60フラーレンにエネルギー変化を与えつつ、発色団とC60フラーレンとの配向および距離が光電変換に望ましい状態へと固定化されたためと考えられる。これにより、C60フラーレンのLUMO準位は高エネルギー側にシフトし、発色団とC60フラーレンとの間の電子移動効率またはエネルギー移動効率が改善され、さらにはトラップとなり得るような発色団とC60フラーレンとの配向が低減されたと考えられる。その結果、高い光電変換特性と高速な応答速度を有する光電変換素子が実現されたと考えられる。
【0205】
実験例6の光電変換素子は、2.6Vの電圧印可時において、実験例7の光電変換素子と同等のEQEと高速な規格化応答速度を示した。これは、実験例6では、F6-SubPc-O-β-BTがサブフタロシアニン発色団のアキシャル位のベンゾチオフェン置換基を介してC60フラーレンと結合したことにより、サブフタロシアニン発色団の光吸収波長に変化はないながらも、C60フラーレンにエネルギー変化を与えつつ、発色団とC60フラーレンとの配向および距離が光電変換に望ましい状態へと固定化されたためと考えられる。これにより、C60フラーレンのLUMO準位は高エネルギー側にシフトし、発色団とC60フラーレンとの間の電子移動効率またはエネルギー移動効率が改善され、さらにはトラップとなり得るような発色団とC60フラーレンとの配向が低減されたと考えられる。その結果、高い光電変換特性と高速な応答速度を有する光電変換素子が実現されたと考えられる。
【0206】
以上、実施の形態および実施例を挙げて説明したが、本開示内容は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、光電変換素子として、緑色光を検出する有機光電変換部11Gと、青色光,赤色光をそれぞれ検出する無機光電変換部11Bおよび無機光電変換部11Rとを積層させた構成としたが、本開示内容はこのような構造に限定されるものではない。即ち、有機光電変換部において赤色光あるいは青色光を検出するようにしてもよいし、無機光電変換部において緑色光を検出するようにしてもよい。
【0207】
また、これらの有機光電変換部および無機光電変換部の数やその比率も限定されるものではなく、2以上の有機光電変換部を設けてもよいし、有機光電変換部だけで複数色の色信号が得られるようにしてもよい。更にまた、有機光電変換部および無機光電変換部を縦方向に積層させる構造に限らず、基板面に沿って並列させてもよい。
【0208】
更に、上記実施の形態等では、裏面照射型の固体撮像装置の構成を例示したが、本開示内容は表面照射型の固体撮像装置にも適用可能である。更に、本開示の光電変換素子では、上記実施の形態で説明した各構成要素を全て備えている必要はなく、また逆に他の層を備えていてもよい。
【0209】
更にまた、上記実施の形態等では、撮像装置1を構成する撮像素子として光電変換素子10を用いて例を示したが、本開示の光電変換素子10は、太陽電池に適用してもよい。
【0210】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0211】
なお、本開示は、以下のような構成であってもよい。
(1)
第1電極を形成し、
真空蒸着法を用いて前記第1電極上に発色団およびフラーレンまたはフラーレン誘導体を含む光電変換層を形成し、
前記光電変換層上に第2電極を形成し、
前記真空蒸着法における熱または光照射もしくは前記光電変換層の成膜後の加熱または光照射によって、前記発色団と前記フラーレンまたはフラーレン誘導体とを架橋基を介して結合させる
光電変換素子の製造方法。
(2)
さらに正孔輸送性材料を加えて前記光電変換層を形成する、前記(1)に記載の光電変換素子の製造方法。
(3)
前記発色団は可視光領域に吸収を有する有機分子であり、前記架橋基を有する、前記(1)または(2)に記載の光電変換素子の製造方法。
(4)
前記発色団は、前記架橋基を介した前記フラーレンまたはフラーレン誘導体との結合の前後での吸収ピーク波長の変化が±10nm以内である、前記(1)乃至(3)のうちのいずれか1つに記載の光電変換素子の製造方法。
(5)
前記架橋基は共役ジエンである、前記(1)乃至(4)のうちのいずれか1つに記載の光電変換素子の製造方法。
(6)
前記フラーレンまたはフラーレン誘導体1分子に対して、1または2分子以上の前記発色団を、それぞれ前記架橋基を介して結合させる、前記(1)乃至(5)のうちのいずれか1つに記載の光電変換素子の製造方法。
(7)
前記フラーレンまたはフラーレン誘導体は、C60フラーレンまたはC70フラーレンである、前記(1)乃至(6)のうちのいずれか1つに記載の光電変換素子の製造方法。
(8)
前記発色団は、サブフタロシアニン、ポルフィリン、フタロシアニン、ジピロメタン、アザジピロメタン、ジピリジル、アザジピリジル、クマリン、ペリレン、ペリレンジイミド、ピレン、ナフタレンジイミド、キナクリドン、キサンテン、キサンテノキサンテン、フェノキサジン、インジゴ、アゾ、オキサジン、ベンゾジチオフェン、ナフトジチオフェン、アントラジチオフェン、ルビセン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、アントラキノン、テトラキノン、ペンタキノン、ジナフトチエノチオフェン、ジケトピロロピロール、オリゴチオフェン、シアニン、スクアリウム、クロコニウム、またはそれらの誘導体である、前記(6)または(7)に記載の光電変換素子の製造方法。
(9)
前記架橋基は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、シクロペンタジエン、インデン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンおよび1,3-ブタジエンのうちのいずれかである、前記(1)乃至(8)のうちのいずれか1つに記載の光電変換素子の製造方法。
(10)
前記正孔輸送性材料は、前記フラーレンまたはフラーレン誘導体よりも高いHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)準位を有する、前記(2)乃至(9)のうちのいずれか1つに記載の光電変換素子の製造方法。
【符号の説明】
【0212】
1…撮像装置、2…電子機器(カメラ)、10…光電変換素子、11…半導体基板、11G…有機光電変換部、11R,11B…無機光電変換部、12,14…層間絶縁層、12A…固定電荷層、12B…誘電体層、13A,13C…パッド部、13B…上部コンタクト、15…下部電極、16…光電変換層、17…上部電極、18…保護層、19…オンチップレンズ層、19L…オンチップレンズ。