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  • 特開-アルキレンアミン化合物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145477
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】アルキレンアミン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 233/34 20060101AFI20231003BHJP
   C07D 233/36 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
C07D233/34
C07D233/36
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023111428
(22)【出願日】2023-07-06
(62)【分割の表示】P 2021546287の分割
【原出願日】2020-02-04
(31)【優先権主張番号】19155974.9
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】509131443
【氏名又は名称】ヌーリオン ケミカルズ インターナショナル ベスローテン フェノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】Nouryon Chemicals International B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100209037
【弁理士】
【氏名又は名称】猪狩 俊博
(72)【発明者】
【氏名】カンツァー,アイケ ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】レイク,カール フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】バーグ,ロバート クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】エドヴィンソン,ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】テン ケイト,アントーン ジェイコブ ブレンド
(72)【発明者】
【氏名】エーラス,イナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ダム,ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】ラーイジェマーカズ,ミッシェル ジョセフ トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェネマン,レンス
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴィック,スラヴィサ
(72)【発明者】
【氏名】ズベイル,ラウィエン フェイサル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アルキレンアミン化合物の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】式I

[式中、Aは、1つ以上のC1~C3アルキル基により任意選択で置換されているC2~C4アルキレン単位の群から選択される]の少なくとも1つの環状アルキレン尿素基を含むアルキレン尿素化合物を、ハロゲン化アルキル化合物と反応させて、少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミンハロゲン化水素塩を形成するステップであって、ハロゲン化アルキル化合物が、2~6個のハロゲン原子を有するハロアルカン、およびハロアミノアルカンの群から選択されるステップと、アルキレンアミンハロゲン化水素塩を塩基と反応させて、少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミン化合物を形成するステップとを含む、方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキレンアミン化合物の製造方法であって、
- 反応媒体中において、少なくとも1つの第一級アミン基、または少なくとも1つの
環状第二級アミン基、または少なくとも1つの第一級アミン基および少なくとも1つの環
状第二級アミン基、ならびに少なくとも1つの式I
【化1】

[式中、Aは、1つ以上のC1~C3アルキル基により任意選択で置換されているC2~
C4アルキレン単位の群から選択される]
の環状アルキレン尿素基を含むアルキレン尿素化合物を、
ハロゲン化アルキル化合物と反応させて、少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基
を含むアルキレンアミンハロゲン化水素塩を形成するステップであって、前記ハロゲン化
アルキル化合物が、2~6個のハロゲン原子を有するハロアルカン、およびハロアミノア
ルカンの群から選択される、ステップと、
- 前記アルキレンアミンハロゲン化水素塩を塩基と反応させて、少なくとも1つの式
Iの環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミン化合物を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
Aが、1つまたは2つのC1アルキル基により任意選択で置換されているC2~C3ア
ルキレン単位であり、好ましくは、Aが、エチレン、プロピレンおよびイソプロピレンの
群、特にエチレンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
出発物質として使用される前記アルキレン尿素化合物が、式II
式II:R2-[-X-A-]-N(A)(CO)N-[A-X-]-A-NH2
[式中、
R2は、H、ならびに-OHおよび-NH2から選択される1つ以上の基、特に-OH
および-NH2から選択される0、1つまたは2つの基により任意選択で置換されている
C1~C6アルキル基から選択され、
Xは、出現する毎に、-O-、-NR2-、式Iの基、および式IIIの基:
【化2】

から独立して選択され、
Aは上記に説明された意味を有し、
pは、0~8の範囲の整数であり、
qは、0~8の範囲の整数である]
の化合物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
出発物質として使用される前記アルキレン尿素化合物が、式IV
式IV:R2-[-X-A-]-N(A)(CO)N-[A-X-]-A-N(A)
(A)HN
[式中、R2、X、A、qおよびpは、上記に提示された意味を有する]
の化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ハロゲン化アルキル化合物が塩化アルキル化合物である、請求項1~4のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項6】
2~6個のハロゲン原子を有するハロアルカンの群から選択されるハロゲン化アルキル
が、1,2,3-トリクロロプロパンまたはC2~C10ジハロアルカン、より特定的に
C2~C4ジハロアルカン、特に、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン(
多くの場合、二塩化エチレンもしくはEDCと示される)、1,2-ジクロロプロパン、
または1,3-ジクロロプロパンから選択され、二塩化エチレンが特に好ましい、請求項
1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ハロゲン化アルキルが、ハロアミノアルカン、特に1個以上のハロゲン原子および
1つ以上のアミノ基で置換されているC2~C10アルカンから選択され、前記ハロアミ
ノアルカンが、好ましくは、1つ~6つのハロゲン置換基、特に1つまたは2つ、より特
定的には1つを有し、前記ハロアミノアルカンが、好ましくは、1つ~6つのアミノ基、
特に1つまたは2つ、より特定的には1つを有し、前記アルカンが、好ましくはC2~C
4アルカンであり、1-クロロ-2-アミノ-エタン、1-クロロ-3-アミノプロパン
および1-クロロ-2-アミノプロパン、またはこれらの対応する塩酸塩が特に好ましい
、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記アルキレンアミンハロゲン化水素塩を塩基と反応させて、少なくとも1つの環状ア
ルキレン尿素基を含むアルキレンアミンを形成するステップが、無機強塩基、特にNaO
HまたはKOHを使用して実施される、方法。
【請求項9】
本発明の方法により形成される環状アルキレン尿素生成物が、式Vの化合物または式V
Iの化合物
式V
R2-[-X-A-]q-N(A)(CO)N-[A-X-]p-A-NH-R1-NH
-A-[X-A]p-N(A)(CO)N-[A-X]q-R2
式VI
R2-[-X-A-]q-N(A)(CO)N-[A-X-]p-A-NH-R1-NH

[式中、R2、X、A、pおよびqは上記に示された意味を有し、R1は、2~10個の
炭素原子、特に2~4個の炭素原子を有する前記ハロゲン化アルキル化合物からもたらさ
れるアルキレン鎖である]
である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ジエチレントリアミンの尿素付加物を二塩化エチレンと反応させて、ペンタエチレンヘ
キサミンのジ尿素付加物の形成をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基を含む前記アルキレンアミンを、CO2
の除去下で対応するアルキレンアミンに変換することを含む、CO2排除ステップを含み
、前記ステップが、前記アルキレンアミン塩酸塩を無機塩基と反応させるステップと同時
に、またはその後に実施される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記反応媒体が、アルキレン尿素化合物、ポリハロアルカンまたはアミノハロアルカン
から選択されるハロゲン化アルキル化合物、ならびにアンモニアおよび追加のアルキレン
アミン化合物のうちの1つ以上を含み、前記追加のアルキレンアミン化合物が、式H
-[A-X-]-A-NH(式中、xは0~8の範囲の整数である)のアルキレンア
ミン、式Y-[A-X-]-A-NH(式中、Yはピペラジン環であり、xは0~8
の範囲の整数である)の化合物、およびピペラジンの群から選択される、請求項1~11
のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ハロゲン化アルキル化合物が二塩化エチレンであり、存在する場合、前記追加のア
ルキレンアミン化合物が、式HN-[CH2-CH2-NH-]-CH2-CH2-
NH(式中、xは0~8の範囲の整数である)のエチレンアミン、式Y-[CH2-C
H2-NH-]-CH2-CH2-NH(式中、Yはピペラジン環であり、xは0~
8の範囲の整数である)の化合物、およびピペラジンの群から、特に、エチレンジアミン
、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、およびピペラジンから選択される、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの第一級アミン基および少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基
を含むアルキレン尿素化合物を、直鎖状-NH-A-NH-基を有するアルキレンアミン
化合物をカルボニル供与体と反応させることによって製造するステップを含む、請求項1
~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキレンアミン化合物の製造方法に関する。下記により詳細に考察される
ように、本出願の範囲内において、アルキレンアミン化合物という用語は、ポリアルキレ
ンポリアミン、ならびにそれらの尿素誘導体およびアルキル誘導体を包含する。
【背景技術】
【0002】
エチレンアミン、特に高級エチレンアミン、例えば、トリエチレンテトラミン(TET
A)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)およびペンタエチレンヘキサミン(PEH
A)は、商業的な観点から魅力的な生成物である。
【0003】
現在、高級ポリエチレンアミン、すなわち、3つ以上のエチレン単位を含有するエチレ
ンアミンの主な製造経路は、二塩化エチレンまたはEDCとも示される1,2-ジクロロ
エタンと、アンモニア水および/または1つ以上のエチレンアミンとの反応によるもので
ある。置換反応においてエチレンアミン塩酸塩が形成され、次いでこれが苛性アルカリと
の反応により中和されて、エチレンアミンおよびNaClを生じる。この方法は、多くの
場合にEDC経路と示される。EDC経路は、直鎖エチレンアミン、分岐鎖エチレンアミ
ンおよびピペラジン含有エチレンアミンが含まれる多くの種類のエチレンアミンの混合物
をもたらす。直鎖化合物としては、例えば、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレント
リアミン(DETA)、直鎖状トリエチレンテトラミン(L-TETA)、および更に高
級なエチレンアミン、例えば直鎖状テトラエチレンペンタミン(L-TEPA)などが挙
げられる。ピペラジン含有化合物は、ピペラジン(PIP)、N-アミノエチルピペラジ
ン(AEP)およびN,N’-ジアミノエチルピペラジンである。分岐鎖化合物、例えば
、トリス-アミノエチルアミン(TAEA)も形成される。
【0004】
効率的な方法によって高い収率および/または選択性で所望の化合物を提供する、高級
エチレンアミンおよび一般のアルキレンアミン化合物の効率的な製造方法の必要性が当該
技術分野において存在する。特に、より少ない環状および分岐鎖副生成物を生成し、より
多くの直鎖高級アルキレンアミン化合物、特に、L-TETA、L-TEPA、およびL
-PEHAから選択される直鎖エチレンアミンに変換され得る直鎖高級アルキレンアミン
化合物を生成する方法の必要性が当該技術分野において存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、アルキレンアミン化合物の製造方法であって、
- 反応媒体中において、少なくとも1つの第一級アミン基、または少なくとも1つの
環状第二級アミン基、または少なくとも1つの第一級アミン基および少なくとも1つの環
状第二級アミン基、ならびに少なくとも1つの式I
【0006】
【化1】
【0007】
[式中、Aは、1つ以上のC1~C3アルキル基により任意選択で置換されているC2~
C4アルキレン単位の群から選択される]
の環状アルキレン尿素基を含むアルキレン尿素化合物を、
ハロゲン化アルキル化合物と反応させて、少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基
を含むアルキレンアミンハロゲン化水素塩を形成するステップであって、ハロゲン化アル
キル化合物が、2~6個のハロゲン原子を有するハロアルカン、およびハロアミノアルカ
ンの群から選択される、ステップと、
- アルキレンアミンハロゲン化水素塩を塩基と反応させて、少なくとも1つの式Iの
環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミン化合物を形成するステップと
を含む、方法に関する。
【0008】
とりわけ他の式の一部である場合、式Iの構造は、本出願において-N(A)(CO)
N-と表されることもある。
【0009】
本発明による方法は、高級アルキレンアミン化合物を、ピペラジン含有副生成物および
分岐鎖副生成物の量が低減された効率的な方法および選択された方法により製造すること
を可能にする。少なくとも1つの環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミン化合物は
、COの除去によってアルキレンアミンに変換され得る。それ自体も産業用に使用される
。本発明およびその特定の実施形態の更なる利点が、以下の本出願によって明白になる。
【0010】
独国特許出願公開第3214909号明細書は、織物への染料の付着性、特に染料の湿
式堅牢度を改善する添加剤としての使用に適している第四級アンモニウム化合物を記載し
ていることが注目される。第四級アンモニウム化合物は、環状アルキレン尿素構造を含む
。第三級アミン基および環状アルキレン尿素構造を含むアルキレンアミンの第三級アミン
基を、1,2-ジクロロエタンと反応させることによって調製することができる。この参
考文献は、本発明によるポリアルキレンアミン化合物の製造を開示していない。
【0011】
ソ連国特許発明第176303号明細書は、1,2-ジクロロエタンを尿素と反応させ
、続いて得られた生成物を加水分解してエチレンジアミンを形成する方法を記載している
。この参考文献は、アルキレン尿素の使用を開示してない。
【0012】
本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に従った方法の一実施形態において発生し得るいくつかの反応を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に従った方法の最初のステップでは、アルキレン尿素化合物を反応媒体中のハロ
ゲン化アルキル化合物と反応させる。
【0015】
アルキレン尿素化合物は、少なくとも1つの第一級アミン基、または少なくとも1つの
環状第二級アミン基、または少なくとも1つの第一級アミン基および少なくとも1つの環
状第二級アミン基、ならびに少なくとも1つの式I
【0016】
【化2】
【0017】
[式中、Aは、1つ以上のC1~C3アルキル基により任意選択で置換されているC2~
C4アルキレン単位の群から選択される]
の環状アルキレン尿素基を含む。
環状アルキレン尿素基において、Aは、1つまたは2つのC1アルキル基により任意選
択で置換されているC2~C3アルキレン単位であることが好ましい。Aは、好ましくは
エチレン、プロピレンおよびイソプロピレンの群、特にエチレンから選択される。
【0018】
アルキレン尿素化合物は、少なくとも1つの環状第二級アミン基、または少なくとも1
つの第一級アミン基、またはその両方を有する。第一級アミン基または環状第二級アミン
基を、ハロゲン化アルキル化合物と反応させる。本出願の文脈における環状第二級アミン
基は、式
【0019】
【化3】
【0020】
[式中、Aは上記に説明された意味を有する]
の基である。
【0021】
一実施形態において、アルキレン尿素化合物は、式II:
式II:R2-[-X-A-]-N(A)(CO)N-[A-X-]-A-NH2
[式中、
R2は、H、ならびに-OHおよび-NH2から選択される1つ以上の基、特に-OH
および-NH2から選択される0、1つまたは2つの基により任意選択で置換されている
C1~C6アルキル基から選択され、
Xは、出現する毎に、-O-、-NR2-、式Iの基、および式IIIの基:
【0022】
【化4】
【0023】
から独立して選択され、
Aは上記に説明された意味を有し、
pは、0~8の範囲の整数であり、
qは、0~8の範囲の整数である]
の化合物である。
【0024】
上記でAに提示された選択肢が、ここでも該当する。Aは、エチレンであることが特に
好ましい。
【0025】
Xは、-NH-、式IIIの基、および式Iの基から選択されることが好ましい。直鎖
アルキレンアミンを製造することが望ましい場合、Xは、NHおよび式Iの基から選択さ
れることが好ましい。
【0026】
R2は、-OHおよび-NH2から選択される1つまたは2つの基により任意選択で置
換されている、H、エチル、プロピルおよびイソプロピル、特にエチルから選択されるこ
とが好ましい。R2は、エチルまたはプロピル、特に、第2炭素原子で-NH2で置換さ
れているエチル(アミノエチルもしくはアミノイソプロピル)、またはプロピルの場合で
は第3炭素原子で置換されることが特に好ましい。
【0027】
更に大きな分子を形成するための大きな分子の反応が常に目的とされるものではないた
め、pとqの合計は、最大で8、一部の実施形態では最大で4または最大で2であること
が好ましいこともある。
【0028】
式IIの好ましい化合物の例は、ジエチレントリアミンの尿素付加物(U-DETA)
、尿素基が末端エチレン部分または中央エチレン部分にあり得るトリエチレンテトラミン
のモノ尿素付加物(U1-TETAおよびU2-TETA)、ならびに第一級アミン基を
有するテトラエチレンペンタミンのモノ-およびジ-尿素付加物(U1-TEPA、U2
-TEPA、DU1,3-TEPA)である。これらの化合物は、直鎖状ポリエチレンア
ミンおよびこれらの対応する尿素生成物を生成することが望ましい場合に特に魅力的であ
る。
【0029】
本発明による方法に使用され得る他の化合物の例は、末端エチレン部分のそれぞれの側
の窒素原子に及ぶ尿素基および、もう一方のエチレン部分のそれぞれの側の窒素原子に及
ぶエチレン鎖が提供されたエチレンアミン鎖からなる化合物、例えば、U1P3-TEP
AおよびU1P4-TEPAである。
【0030】
一般に、本出願において、化合物は以下のように命名される。
文字記号は、最長の直鎖状エチレンアミン鎖を指す。
Uは、エチレン部分を介して接続している2個の隣接窒素原子に及ぶ尿素基の存在によ
ってもたらされる、環状尿素基の存在を指し、すなわち、Aがエチレン基である式Iの基
を指す。
Pは、エチレン部分を介して接続している2個の隣接窒素原子に及ぶエチレン部分の存
在によってもたらされる、ピペラジン部分の存在を指し、すなわち、Aがエチレン基であ
る式IIIの基を指す。
UまたはPの接頭辞の後ろの数字は、可能性のある異なる構造を区別するための、鎖中
の対応する窒素原子を指す。
UまたはPの接頭辞に先行する文字は、基の数を指し、Dはジまたは2つの基を表し、
Tはトリおよびテトラ、または3つおよび4つの基をそれぞれ表す。Tが使用される場合
、トリまたはテトラのいずれかを意味するかは、文脈から明らかである。
【0031】
別の実施形態において、アルキレン尿素化合物は、式IV
式IV:R2-[-X-A-]-N(A)(CO)N-[A-X-]-A-N(A)
(A)HN
[式中、R2、X、A、qおよびpは、上記に提示された意味を有する]
の化合物である。上記で提示された選択肢が、ここでも該当する。
【0032】
式IVの好ましい化合物の例としては、ピペラジノエチルエチレンジアミンの尿素付加
物(UP-TETA)が挙げられる。
【0033】
アルキレン尿素化合物の混合物を用いることもできる。
【0034】
本発明に従った方法では、アルキレン尿素化合物をハロゲン化アルキル化合物と反応さ
せ、このことは下記に考察される。ハロゲン化アルキル化合物は、2~6個のハロゲン原
子を有するハロアルカン、およびハロアミノアルカンの群から選択される。
【0035】
一実施形態において、ハロゲン化アルキル化合物は、2~6個のハロゲン原子を有する
ハロアルカン、すなわち、2~6個のハロゲン原子で置換されているアルカンである。一
実施形態において、ハロゲン化アルキル化合物はジハロアルカンであり、より具体的には
、2個のハロゲン原子、特に2個の塩素原子で置換されているC2~C10アルカンであ
る。ジハロアルカンが使用される場合には、分子の両方のハロゲン原子がアルキレン尿素
化合物と反応して、より長い分子の形成をもたらす。下記により詳細に考察されるように
、このことは高級アルキレンアミンを製造するのに魅力的な方法になる。ジハロアルカン
の場合、ハロゲン原子はアルカン鎖の向かい合った端部にあること、すなわち、アルファ
-オメガジハロアルカンであることが好ましいこともある。2個を超える、例えば、3、
4、…6個までのハロゲン原子を有するハロアルカンの使用も可能であるが、そのことは
複雑な反応混合物の形成をもたらす。一般に、ハロアルカンはC2~C10ジハロアルカ
ン、特にC2~C4ジハロアルカンであることが好ましい。特に好ましい化合物は、1,
1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン(多くの場合、二塩化エチレンまたはED
Cと示される)、1,2-ジクロロプロパンおよび1,3-ジクロロプロパンであり、二
塩化エチレンドが特に好ましい。1,2,3-トリクロロプロパン(TCP)も魅力的で
あり得る。
【0036】
一実施形態において、ハロゲン化アルキル化合物はハロゲン化アミノアルキルであり、
そうでなければハロアミノアルカンと示される。ハロアミノアルカンは、アルカン、特に
、1個以上のハロゲン原子および1つ以上のアミノ基で置換されているC2~C10アル
カンである。1個以上のハロゲン原子および1つ以上のアミノ基の組み合わせは、化合物
を興味深い二重反応性にする。この実施形態において、ハロアミノアルカンは、1つ、2
つまたはそれ以上、すなわち、6つまでのハロゲン置換基、特に1つまたは2つ、より特
定的には1つを有していてもよい。ハロアミノアルカンは、1つ、2つまたはそれ以上、
すなわち、6つまでのアミノ基、特に1つまたは2つ、より特定的には1つを有していて
もよい。アルカンは、好ましくはC2~C4アルカンである。特に好ましい化合物は、1
-クロロ-2-アミノ-エタン、1-クロロ-3-アミノプロパンおよび1-クロロ-2
-アミノプロパン、またはこれらの対応する塩酸塩である。
【0037】
ハロゲン化アルキル化合物におけるハロゲンは、塩素、臭素、およびヨウ素から選択さ
れ得る。1種類以上のハロゲンを含有する化合物を使用することもできる。臭素およびヨ
ウ素を含有する化合物の使用は技術的に可能であるが、塩素を含有する化合物の使用が、
利用可能性が高いという観点から一般に好ましい。加えて、塩素含有廃棄流は、臭素含有
またはヨウ素含有廃棄流より処理が容易である。したがって、ハロゲン化アルキル化合物
は塩化アルキル化合物であることが一般に好ましい。
【0038】
当業者に明白であるように、異なるハロゲン化アルキル化合物の組み合わせを本発明の
方法に使用することが可能である。
【0039】
アルキレン尿素化合物とハロゲン化アルキル化合物との反応は、一般に20~250℃
の範囲、特に40~220℃の範囲の温度で行われる。一実施形態において、温度は、4
0~150℃の範囲、特に80~120℃の範囲である。他の実施形態において、特に反
応媒体が更なるアミン化合物を含む場合、より高い温度、例えば、100~220℃の範
囲、特に120~200℃の範囲が好ましいこともある。
【0040】
アルキレン尿素化合物とハロゲン化アルキル化合物との反応は、反応媒体中に存在する
構成成分および反応温度に応じて、一般に大気圧から150barの範囲の圧力で行われ
る。一般に圧力は、反応が液相において指定された温度で行われることを確実にするよう
に適用される圧力である。一部の実施形態において、とりわけ反応が120℃を下回る温
度である場合、圧力は一般に1~10barの範囲である。他の実施形態において、とり
わけ反応がアンモニアの存在下である場合、下記に考察されるように、比較的高い圧力、
例えば、10~80bar、特に20~50barの範囲を使用することが望ましいこと
もある。
【0041】
反応は、液体反応媒体において、すなわち、反応条件下で液体である反応媒体において
行われる。反応は溶媒の存在下で行われてもよい。適切な溶媒は、反応を実質的に妨げる
ことなく、反応物の溶媒和を可能にする化合物である。水は適切な溶媒である。他の適切
な溶媒としては、芳香族および脂肪族炭化水素類、例えばベンゼンおよびキシレン、アル
コール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノー
ル、イソブタノール、第二級ブタノールおよび第三級ブタノール、エステル類、例えば、
酢酸メチルまたは酢酸エチル、ならびにエーテル類、例えばジイソプロピルエーテル、ジ
イソブチルエーテル、グリコールジメチルエーテル、ジグリコールジメチルエーテル、ジ
オキサンおよびテトラヒドロフラン(THF)が挙げられる。溶媒の組み合わせを使用す
ることもできる。適切な溶媒を選択することは、当業者の想定内である
【0042】
反応に必要な時間は、所望の変換度、反応物の性質および濃度、ならびに反応温度によ
って左右される。一般に、反応時間は、5分間から24時間、より具体的には10分間か
ら12時間の範囲、一部の実施形態では0.5~8時間の範囲である。
【0043】
様々な化合物の間の比は、ハロゲン化アルキルにおけるハロゲン化物置換基の数、およ
び第一級または環状第二級アミン基の数によって決まる。更なる処理の際に存在するハロ
ゲン化アルキルの量が最小限になることを確実にするため、反応媒体中の第一級または環
状第二級アミン基の数と、ハロゲン化アルキルにおけるハロゲン置換基の数との比が、少
なくとも1:1、特に少なくとも1.05:1、より特定的には少なくとも1.3:1で
あることが好ましい。最大で、30:1の値を挙げることができる。好ましい比は、反応
混合物中の構成成分によって左右される。一実施形態において、一般に、反応混合物がア
ンモニアを含有しない場合、最大値は、最大で特に10:1であってもよく、特に5:1
を挙げることができる。反応媒体がアンモ二アを含む実施形態では、更に考察されるよう
に、より高い比が望ましく、例えば10:1~30:1、特に15:1~25:1の範囲
であり得る。
【0044】
アルキレン尿素化合物とハロゲン化アルキル化合物との反応生成物は、アルキレンアミ
ンまたはアルキルアミンのハロゲン化水素塩である。本発明による方法の次のステップは
、塩を塩基で中和して、少なくとも1つの環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミン
を、ハロゲン化物塩を副生成物として伴って形成することである。無機の強塩基、例えば
NaOHおよびKOHの使用は、経済的な観点から一般に好ましく、得られるハロゲン化
Na塩およびハロゲン化K塩が、少なくとも1つの環状アルキレン尿素基を含むアルキレ
ンアミンから比較的容易に分離されるので、このことが望ましいはずである。
【0045】
塩基の量は、アルキレンアミンまたはアルキルアミンのハロゲン化水素塩の量から算出
することができる。一般に、塩基から誘導される水酸化物イオンと塩のハロゲン化物イオ
ンとのモル比は、1:1~10:1の範囲である。塩基は、溶解形態、例えば水中溶液の
形態で提供され得る。効率的な方法のため、水は、アルキレン尿素化合物とハロゲン化ア
ルキル化合物との反応における溶媒として、および塩基の溶媒として使用されることが好
ましい。アルキレンアミンハロゲン化水素塩の中和は、一般に0~200℃の範囲、特に
10~150℃の範囲の温度で行われる。反応圧力は重要ではなく、例えば、大気圧から
15barの範囲、より特定的には大気圧から3barの範囲であり得る。一般に、反応
時間は、1分間から24時間、より具体的には10分間から12時間の範囲、一部の実施
形態では0.5~8時間の範囲である。
【0046】
この反応による生成物は、更にU-アルキレンアミンとも示される、少なくとも1つの
環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミンであり、副生成物としてハロゲン化物塩を
伴っている。U-アルキレンアミンおよびハロゲン化物塩は、様々な方法で分離され得る
。例えば、U-アルキレンアミンは蒸発によって除去され得る。別の例では、ハロゲン化
物塩は、結晶化、続く相分離によって除去され得る。更なる例では、貧溶媒の添加が、ハ
ロゲン化物塩を溶液に保ちながら、U-アルキレンアミンの沈殿をもたらし得、またはそ
の逆であり得、続いて沈殿物が除去され得る。様々な分離方法の組み合わせも可能である
【0047】
一実施形態において、本発明は、高分子量ポリアルキルポリアミン化合物を選択的に製
造することを可能にする。本発明による方法で出発物質として使用されるアルキレン尿素
において、それぞれのC=O部分は、窒素原子がハロゲン化アルキル化合物と反応するこ
とを阻止する。このことは、広範囲のポリアルキルポリアミン生成物を形成する可能性を
低減する。例えば、第一級アミン基がC=O部分により阻止される場合、分子はピペラジ
ン環を形成することが阻止される。
【0048】
一実施形態において、本発明による方法は、以下の式V:
式V
R2-[-X-A-]q-N(A)(CO)N-[A-X-]p-A-NH-R1-NH
-A-[X-A]p-N(A)(CO)N-[A-X]q-R2
のU-アルキレンアミン化合物の形成をもたらす。
【0049】
この式において、R2、X、A、p、およびqは、上記に示された意味を有する。R1
は、2~10個の炭素原子、特に2~4個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル化合物
からもたらされる、アルキレン鎖である。式VIの化合物は、ハロゲン化アルキル化合物
が、式Y-R1-Y(式中、YはCl、BrおよびIから選択され、Clが好ましいハロ
ゲンである)のジハロアルカンである場合に得られる。
【0050】
例えば、二塩化エチレンとU-DETAとの1:2のモル比での反応は、下記式のDU
1,5-PEHAの形成をもたらす。
【0051】
【化5】
【0052】
実施例1に例示されているように、この化合物を、本発明による方法において高い選択
性で得ることができる。
【0053】
別の例では、二塩化エチレンとU-DETAおよびピペラジンとの反応は、下記式のU
1-P4-TEPAの形成をもたらす。
【0054】
【化6】
【0055】
本発明による方法の好ましい実施形態は、ジエチレントリアミンの尿素付加物を二塩化
エチレンと反応させて、ペンタエチレンヘキサミンのジ尿素付加物の形成をもたらす方法
を含む。
【0056】
一実施形態において、本発明による方法は、式VI:
式VI
R2-[-X-A-]q-N(A)(CO)N-[A-X-]p-A-NH-R1-NH

[式中、R1、R2、X、A、pおよびqは、上記に提示された意味を有する]
のU-アルキレンアミン生成物の形成をもたらす。この化合物は、ハロゲン化アルキル化
合物が式Y-R1-NH2(式中、Yは上記に示された意味を有する)のハロアミノアル
カンである場合に得ることができる。下記に、U-TETAを形成するためのU-DET
Aと塩化アミノエチレンとの反応、およびU-TEPAを形成するためのU-TETAと
塩化アミノエチレンとの反応が例示される。反応が2つのステップを含むことを示す2個
の矢印があり、すなわち、塩酸塩の形成(示されず)および中和反応であり、当然のこと
ながら両方とも単一ステップ法で実施され得る。
【0057】
【化7】
【0058】
U-アルキレンアミンを要望どおりに処理することができる。一実施形態において、U
-アルキレンアミンは、対応するアルキレンアミンにCO2の除去下で変換され、このス
テップは、アルキレンアミン塩酸塩を塩基と反応させるステップと同時に、またはその後
に実施される。この方法は、CO2排除ステップと示されることもあり、様々な方法で実
行することができる。
【0059】
一実施形態では、U-アルキレンアミンを液相において水と反応させて、対応するアル
キレンアミンをCO2の除去下で形成する。水との反応は、一般に、少なくとも150℃
の温度で行われる。反応温度が150℃を下回る場合、U-アルキレンアミンは有意な程
度で反応しない。反応は、少なくとも180℃、特に少なくとも200℃、より特定的に
は少なくとも230℃、更には少なくとも250℃の温度で実施されることが好ましい。
好ましくは、このステップ中の温度は400℃を超えず、特に最大で350℃、より特定
的には最大で320℃である。
【0060】
方法において圧力は、反応媒体が液相である限り重要ではない。一般的な範囲としては
、所望の温度に応じて0.5~100barの値が挙げられる。十分な量のアミンおよび
水を媒体中に維持するために、CO2除去ステップは少なくとも5bar、特に少なくと
も10barで実施されることが好ましい。高圧装置に関して費用が高いという観点から
、圧力は最大で50bar、特に最大で40barであることが好ましいこともある。
【0061】
水の量は、所望の変換度および処理条件に応じて左右される。一般に、水の量は、供給
原料中で尿素部分1モル当たり少なくとも0.1モルの水である。より多い量が多くの場
合に使用され、例えば、尿素部分1モル当たり少なくとも0.1モルの水、特に尿素部分
1モル当たり少なくとも0.5モルの水である。最大量は本発明による方法にとって重要
ではないが、多すぎる量の水は、不必要に大型の装置が必要になる。一般的な最大量とし
て、環状エチレン尿素部分1モル当たり最大で500モルの水の量を挙げることができ、
特に最大で300モル、より特定的には最大で200モル、一部の実施形態では最大で1
00モルまたは最大で50モルであり得る。
【0062】
反応の際に、例えば、反応容器をガス抜きすることによって、好ましくはストリッピン
グガス、例えば窒素または蒸気を提供することによって、CO2除去を実施することが好
ましい。
【0063】
一実施形態では、U-アルキレンアミンを液相において水と、尿素部分1モル当たり0
.1~20モルの水の量により、少なくとも230℃の温度で、CO2を除去して反応さ
せる。比較的高温およびCO2除去と組み合わせた低量の水の使用は、良好な変換および
少ない副生成物形成を伴う効率的な方法をもたらすことが見いだされた。
【0064】
一実施形態では、U-アルキレンアミンを、カルボニル部分を取り出すことができるア
ルキレンアミンと反応させて、U-アルキレンアミンからその対応するアルキレンアミン
への変換、およびカルボニル部分を取り出すことができるアルキレンアミンからU-アル
キレンアミンへの同時変換をもたらす。この方法は、カルボニル転位反応と記載すること
もできる。
【0065】
更なる実施形態では、U-アルキレンアミンを強塩基と、すなわち、1未満のpKbを
有する塩基と反応させて、対応するアルキレンアミンおよび炭酸塩を形成する。
【0066】
無機強塩基の使用が好ましいと考えられる。一実施形態において、無機強塩基は、金属
水酸化物の群から、特にアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物の群から、特に
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネ
シウムおよび水酸化バリウムから選択される。一実施形態において、無機強塩基は、金属
酸化物の群から、特にアルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物の群から、特に酸化
カルシウム、酸化マグネシウムおよび酸化バリウムから選択される。水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、(水)酸化マグネシウム、および(水)酸化カルシウムの群から無機強
塩基を選択することが好ましいこともある。水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの使
用が特に好ましいと考えられ得る。他の無機強塩基、例えば水酸化アンモニウムを使用す
ることもできる。当業者に明白なように、様々な無機塩基の混合物を使用することができ
る。反応媒体中で無機塩基に変換される化合物となり得るように、他の構成成分に加えて
塩基を含む化合物を使用することもできる。塩基のモル量を、変換されるアルキレン尿素
部分のモル量に対して算出することができる。少なくとも0.2:1の値を挙げることが
できる。アルキレン尿素部分の、対応するアルキレンアミン化合物への完全な変換を得る
ことが望ましい場合、多くの量を使用することが好ましいこともあり、例えば、少なくと
も1:1、特に少なくとも1.5:1のモル比であり得る。多くの量を使用して反応速度
を増加することが好ましいこともあり、例えば、少なくとも2:1、特に少なくとも2.
5:1のモル比であり得る。多量の塩基は更なる変換に寄与せず、結局は追加費用を生じ
るので、塩基とアルキレン尿素のモル量とのモル比は、最大で20:1、特に最大で15
:1、より特定的には最大で10:1であることが好ましい。更に少ない量の無機塩基で
あっても十分であり得ることが見いだされている。より特定的には、最大で7.5:1、
特に最大で6.5:1、更により特定的には最大で5.5:1の塩基とアルキレン尿素部
分とのモル比によって、良好な結果を得ることができることが見いだされている。最大で
5.5:1のモル比の使用は、アルキレン尿素部分の完全な変換および得られたアルキレ
ンアミン化合物の高い収率をもたらすことが見いだされている。アルキレン尿素部分の1
モル当たり更に少ない塩基を、例えば、最大で5:1、特に最大で4:1、更に特定的に
最大で3:1のモル比で使用することが好ましいこともある。
【0067】
塩基による処理は、例えば、処理される物質を無機塩基の濃縮水溶液と接触させること
によって実施され得る。塩基の性質および反応混合物の更なる組成に応じて、塩基を固体
形態で添加し、反応媒体中に溶解させることも可能であり得る。当業者に明らかなように
、目的は塩基を溶解状態にすることであり、それによってヒドロキシ基がCO2付加物と
反応することができ、同時に反応媒体の不必要な希釈を回避することがきる。
【0068】
反応は、室温から400℃の温度で実施され得る。温度および圧力は、反応混合物が液
相中にあるように選択されるべきである。高温は、反応時間の減少を生じるので有利であ
る。反応を少なくとも100℃、特に少なくとも140℃、特に少なくとも170℃の温
度で実施することが好ましいこともある。その一方で、高温は、不要な副生成物の形成を
生じ得る。したがって、反応を最大で350℃、特に最大で280℃の温度で実施するこ
とが好ましいこともある。
【0069】
反応温度に応じて、反応時間は広範囲の範囲内で変動し、例えば15分間から24時間
であり得る。反応時間が1時間から12時間の間、特に1時間から6時間の間で変動する
ことが好ましいこともある。少ない量の塩基を使用する場合は、より長い反応時間が所望
の変換度を得るために必要であり得る。
【0070】
反応が完了すると、エチレンアミン化合物、および無機塩基の炭酸塩を含有する反応混
合物が得られる。塩は、当該技術分野に既知の方法により、例えば、塩が固体形態である
場合は濾過により、またはより一般的には相分離により除去され得る。
【0071】
様々なCO2排除ステップの組み合わせ、例えば、CO2除去を伴う水による処理、続
く塩基による処理と、任意選択で中間生成物除去のステップとの組み合わせも可能である
【0072】
上記に考察されたように、本発明による方法は、アルキレンアミンハロゲン化水素塩を
塩基と反応させて、少なくとも1つの環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミンを形
成するステップも包含する。少なくとも1つの環状アルキレン尿素基を含むアルキレンア
ミンを対応するアルキレンアミンに変換することが意図される場合、アルキレンアミンハ
ロゲン化水素塩を、単一ステップにより無機塩基と反応させてアルキレンアミンに変換す
るが可能である。U-アルキレンアミンから対応するアルキレンアミンへの変換は、アル
キレンアミンハロゲン化水素塩からU-アルキレンアミンへの変換より厳密な条件が必要
である。したがって、2つの反応が単一ステップに組み合わされる場合、条件および塩基
の量は、両方の反応が行われるように選択されるべきである。U-アルキレンアミンから
対応するアルキレンアミンへの変換について上に記載された条件が、十分であるはずであ
る。
【0073】
本発明による方法の興味深い実施形態は、二塩化アルキレンをアンモニアまたは追加の
アルキレンアミン化合物のうちの1つ以上と反応させて、アルキレンアミンを形成する方
法、例えば、EDCおよびアンモニア(一般に、アンモニア水)からエチレンアミンを製
造する従来の方法において、生成物分布を変化させるアルキレン尿素化合物の存在を使用
することである。
【0074】
この場合、反応媒体は、アルキレン尿素化合物、ポリハロアルカンまたはアミノハロア
ルカンから選択されるハロゲン化アルキル化合物、ならびにアンモニアおよび追加のアル
キレンアミン化合物のうちの1つ以上を含み、追加のアルキレンアミン化合物は、式H
N-[A-X-]-A-NH(式中、xは0~8の範囲の整数である)のアルキレン
アミン、式Y-[A-X-]-A-NH(式中、Yはピペラジン環であり、xは0~
8の範囲の整数である)の化合物、およびピペラジンの群から選択される。存在する場合
には、追加のアルキレンアミン化合物を、式HN-[CH2-CH2-NH-]-C
H2-CH2-NH(式中、xは0~8の範囲の整数である)のエチレンアミン、式Y
-[CH2-CH2-NH-]-CH2-CH2-NH(式中、Yはピペラジン環で
あり、xは0~8の範囲の整数である)の化合物、およびピペラジンの群から、特に、エ
チレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンおよびピペラジンから
選択することが好ましいこともある。当然のことながら、異なる追加のアルキレンアミン
化合物の組み合わせを使用することもできる。
【0075】
ハロゲン化アルキル化合物をアンモニアまたは追加のアルキレンアミン化合物と反応さ
せて、アルキルアミンハロゲン化水素塩を形成する。またハロゲン化アルキルを1つまた
は2つのアルキレン尿素化合物と反応させて、少なくとも1つの環状アルキレン尿素基を
含むアルキレンアミンハロゲン化水素塩を形成する。図1は、ジエチレントリアミンの尿
素誘導体をアンモニア、エチレンジアミンまたはPIPの存在下で二塩化エチレンと反応
させる場合に発生し得るいくつかの反応、および得られる塩酸塩を例示する。
【0076】
様々なアルキルアミンハロゲン化水素塩化合物を含む組成物を塩基と反応させて、塩を
対応するアミン生成物に変換する。塩基の量および変換条件に応じて、得られる生成物は
、アルキレンアミンおよび任意選択でU-アルキレンアミンを含む混合物である。U-ア
ルキレンアミンが存在する場合、上記に提示された方法によってアルキレンアミンに変換
され得る。
【0077】
この実施形態では、二塩化アルキレンをアルキレン尿素の存在下でアンモニアまたは追
加のアルキレンアミンのうちの1つ以上と反応させる場合、様々な化合物の間の比は、ハ
ロゲン化アルキル中のハロゲン化物置換基の数、ならびに第一級アミン基、環状第二級ア
ミン基、およびアンモニアの総数によって決まる。更なる処理の際に存在するハロゲン化
アルキルの量が最小限になることを確実にするため、反応媒体中の第一級アミン基、環状
第二級アミン基、およびアンモニアの総数と、ハロゲン化アルキルにおけるハロゲン置換
基の数との比が、少なくとも1.05:1、特に少なくとも1.1:1であることが好ま
しい。最大で、30:1の値を挙げることができる。とりわけ、系がアンモニアを含む場
合、相対的に高い比、例えば少なくとも5:1が好ましいこともある。この実施形態では
10:1~30:1の範囲が好ましく、特に15:1~25:1であり得る。
【0078】
この実施形態では、二塩化アルキレンをアルキレン尿素の存在下でアンモニアまたは追
加のアルキレンアミンのうちの1つ以上と反応させる場合、比較的高温、例えば100~
220℃の範囲、特に120~200℃の範囲で操作することが好ましいこともある。こ
の実施形態では、とりわけアンモニアが反応物として使用される場合、比較的高い圧力、
例えば、10~80bar、特に20~50barの範囲で操作することが好ましいこと
もある。本発明による方法について上記に提示された一般的な範囲が、ここでも当てはま
る。
【0079】
得られる生成物の状態は、一方ではアルキレン尿素化合物の相対量によって、他方では
アンモニアおよび追加のアルキレンアミン化合物の総量によって決定される。アルキレン
尿素化合物の不存在下で実施される方法と比較した生成物の状態の意味のある変化のため
、アルキレン尿素化合物から誘導される第一級アミン基および環状第二級アミン基の合計
と、アンモニアおよび追加のアルキレンアミン化合物から誘導される第一級アミン基およ
び環状第二級アミン基の合計との比は、少なくとも0.1:1、特に少なくとも0.2:
1であることが一般に好ましい。最大数は、一般に最大で20:1、特に最大で10:1
である。この値を超える場合には、アンモニアおよび追加のアルキレンアミン化合物の量
が少なすぎて、生成物の状態に対するこれらの影響力は労力の割には不十分なものになり
得る。異なる出発物質の間の適切な比を決定することは、当業者の技能の範囲内である。
【0080】
二塩化アルキレンをアンモニアまたは追加のアルキレンアミン化合物のうちの1つ以上
およびアルキレン尿素化合物と反応させる、本発明のこの実施形態による方法の例は、以
下である:
U-DETAと二塩化エチレンおよびアンモニアとの反応によりU1-TETAを形成
すること、
U-DETAと二塩化エチレンおよびエチレンジアミンとの反応によりU1-TEPA
を形成すること、
U-DETAと二塩化エチレンおよびピペラジンとの反応によりU1P4-TEPAを
形成すること。
【0081】
当業者に明白なように、この反応により形成される生成物を二塩化エチレンと反応させ
ることもでき、アンモニアまたはエチレンアミン化合物またはピペラジンを二塩化エチレ
ンと反応させることもでき、様々な構成成分を含む反応混合物の形成をもたらす。反応混
合物中のアルキレン尿素化合物の存在は、アルキレン尿素部分が存在しない場合に得られ
るより多くの直鎖エチレンアミン化合物の形成および少ない追加のピペラジン部分の形成
をもたらす。
【0082】
反応混合物を要望どおりに処理することができる。アンモニアが使用される場合、アン
モニア含有ガス流を生成物から回収し、方法において再利用することが魅力的であり得る
。反応混合物が環状エチレン尿素化合物を含有する場合、反応混合物全体を、エチレン尿
素部分がエチレンアミン部分に変換されるような条件下に置くことができる。しかし、反
応混合物を分離ステップに付して、環状エチン尿素化合物の減少含有量を有する分画およ
び環状エチレン尿素化合物の増加含有量を有する分画を得ること、ならびに後者分画を、
エチレン尿素部分がエチレンアミン部分に変換されるような条件にかけることも可能であ
る。一般に、反応による生成物を当該技術分野に既知の方法によって、例えば、蒸留によ
って要望どおりに分離することができ、様々な分画が要望どおりに処理され、例えば、生
成物として単離される、または出発物質として再利用される。
【0083】
本発明による方法の出発物質は、少なくとも1つの第一級アミン基、少なくとも1つの
環状第二級アミン基、または少なくとも1つの第一級アミン基および少なくとも1つの環
状第二級アミン基、ならびに少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基を含むアルキ
レン尿素化合物である。この種類の化合物は、直鎖状-NH-A-NH-部分を有するア
ルキレンアミン化合物を、適切な反応温度でカルボニル送達剤と反応させることによって
得ることができる。適切なカルボニル送達剤は、-HN-A-NH-部分に転位され得る
カルボニル部分を含有する化合物である。例としては、二酸化炭素、およびカルボニル部
分が上に記載された転位に利用可能である有機化合物が挙げられる。カルボニル部分が転
位に利用可能である有機化合物としては、尿素およびその誘導体、直鎖状および環状アル
キレン尿素、とりわけ、環状アルキレン尿素、一または二置換アルキレン尿素、アルキル
およびジアルキル尿素、直鎖状および環状カルバメート、有機カーボネートおよびその誘
導体または前駆体が挙げられる。そのような誘導体または前駆体としては、例えばイオン
性化合物、例えば、有機カーボネートまたは重炭酸塩、カルバミン酸および関連する塩が
挙げられ得る。好ましくは、カルボニル送達剤は、CO2、またはカルボニル送達剤とし
ての使用に適しており、かつアルキレンがエチレンである有機化合物、またはエチレン尿
素化合物もしくは炭酸エチレンであり、より好ましくは、カルボニル送達剤は、二酸化炭
素として、またはエチレン尿素化合物として、すなわち、式Iの基を含有する化合物とし
て、少なくとも部分的に添加される。尿素化合物は、直鎖状-NH-A-NH-部分を有
するアルキレンアミン化合物を酸化炭素送達剤と組み合わせ、混合物を反応が発生する温
度に加熱することによって調製され得る。反応は知られており、ここで更に説明する必要
はない。カルボニル送達剤および反応条件の選択に応じて、尿素化合物の形成を、ハロゲ
ン化アルキルによる反応と組み合わせることも可能であり得る。しかし、カルボニル部分
化合物が多くの場合にアミン基を阻止するために使用されることを考慮すると、最初にア
ルキレン尿素化合物を調製し、その次にアルキレン尿素化合物をハロゲン化アルキル化合
物と反応させることが一般に好ましい。
【0084】
本発明による方法およびその様々なステップを、バッチ操作、流加操作、または連続操
作、例えば連続流反応器のカスケードで実施することできる。操作の規模によっては、連
続操作が好ましいこともある。
【0085】
本明細書に使用される様々な構造式において、A、R2およびXにおける全ての選択肢
は、特に他に示されない限り独立したものである。全てのアルキレン基はエチレン基であ
ることが好ましい。
【0086】
当業者に明白なように、本発明の様々な実施形態を、互いに排他的でない限り組み合わ
せることができる。
【0087】
本発明を以下の実施例により説明するが、これらに限定されることもこれらによって限
定されることもない。
【0088】
[実施例1]:EDCとU-DETAとの反応
2.5g(25mmol)のEDCを、6.9g(53mmol)のU-DETAおよ
び5mLの蒸留水の混合物に50℃でゆっくりと添加した。EDCの添加が完了した後、
反応混合物を105℃で4時間加熱して、以下の反応に従ってU-DETAをEDCと反
応させてDU1,5-PEHAの塩酸塩を形成した。
【0089】
【化8】
【0090】
DU1,5-PEHAの二塩酸塩をDU1,5-PEHAに変換するため、反応混合物
を50℃に冷却し、その時点で4.2mL(80mmol)の50wt%NaOH水溶液
を添加した。次いで混合物を50℃で更に30分間保持した。次に、水を減圧下で蒸発に
より除去した。50mLのエタノールを添加し、混合物を5分間撹拌した。このようにし
て形成された沈殿物を濾過により除去し、減圧下で乾燥させて、DU1,5-PEHAを
含む、およそ9gの黄色を帯びた粘性物質を得た。反応スキームを以下に提示する。
【0091】
【化9】
【0092】
DU1,5-PEHAをL-PEHAに変換するため、DU1,5-PEHAを含む4
gの黄色を帯びた粘性物質、3.2g(80mmol)のNaOHおよび15mLの蒸留
水を、45mLのオートクレーブに添加した。容器をN2(g)でパージし、次いで40
分間かけて220℃に加熱し、220℃で2.5時間加熱した。室温に冷却した後、試料
を取り出し、内部標準を使用する水素炎イオン化検出器に連結したガスクロマトグラフィ
ー(GC-FID)により分析した。GC-FID分析によると、試料は、53%のDE
TA、33%のL-PEHAおよび12%の(U)-PEHAを含有した。ピペラジン含
有または分岐鎖(U)-PEHA異性体の痕跡は見いだされなかった。多量の高分子量ア
ルキレンアミン同族体を生じることなくL-PEHAに対して高い選択性および収率があ
ることは、商業的な観点から非常に魅力的である。反応スキームを以下に提示する。
【0093】
【化10】
【0094】
[実施例2]:EDCとU-DETAおよびアンモニアとの反応
U-DETA(4.70g、36.4mmol)、EDC(3.60g、36.4mm
ol)およびアンモニア水(17.7g、35%、364mmol)の混合物を加圧オー
トクレーブ中において100℃で4時間加熱した。混合物を冷まし、NaOH(2.91
g、7.28mmol)を添加し、得られた混合物をGC-FIDにより分析して、U1
-TETAのGC収率10%を得た。より高い収率を反応の最適化によって得ることがで
きる。
【0095】
[実施例3]:EDC、U-DETAおよびピペラジンの反応
U-DETA(20.4g、0.16mol)、ピペラジン(13.6g、0.16m
ol)および水(6.4g)の混合物を、内部温度計、還流冷却器および滴下漏斗を備え
た丸底フラスコ中で65℃に加熱した。EDC(6.3g、0.06mol)を滴下漏斗
によってゆっくりと添加した。20分後(発熱反応の終了時)に、50wt%のNaOH
水溶液(5.4g、0.13mol)を添加し、混合物を65℃で15分間撹拌し、GC
-MSおよびGC-FIDにより分析した。反応を以下に表示する。
【0096】
【化11】
【0097】
反応は、6%のU1P4-TEPA、18%のDP-TETAおよび6%のTP-PE
HA(GC面積%)を生じたが、EDC投与量に対してモル過剰で使用されたので相当量
のピペラジンおよびU-DETAが残った。より高い沸点の構成成分、例えばDU1,5
-PEHA、およびより多くのU化合物が存在し得るが、現在使用しているGC-FID
およびGC-MS設定では検出することができない。
【0098】
[実施例4]:DETA(比較)およびU-DETA(本発明)とEDCとの反応
EDCとの反応についての選択性に対する環状尿素基の効果を調査するため、実験を、
DETA(比較例AおよびB)またはU-DETA(本発明の実施例4.1)のいずれか
を出発物質として使用して実施した。
【0099】
DETAまたはU-DETAのそれぞれをEDC(水中5M)と100℃で30分間反
応させた。次いで反応混合物を50wt%のNaOH水溶液(EDCに対して2.1当量
)で処理した。塩および水を除去した後、生成物混合物をGC-MSおよびGC-FID
により分析した。GC-FIDの結果を下記の表においてwt%で提示する。
【0100】
【表1】
【0101】
表から分かるように、U-DETAとEDCとの反応は、DETAとEDCとの反応と
比較して、はるかに高い収率のL-PEHA生成物およびごく少量のAEPをもたらす。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキレンアミン化合物の製造方法であって、
- 反応媒体中において、少なくとも1つの第一級アミン基、または少なくとも1つの環状第二級アミン基、または少なくとも1つの第一級アミン基および少なくとも1つの環状第二級アミン基、ならびに少なくとも1つの式I
【化1】

[式中、Aは、1つ以上のC1~C3アルキル基により任意選択で置換されているC2~C4アルキレン単位の群から選択される]
の環状アルキレン尿素基を含むアルキレン尿素化合物を、
ハロゲン化アルキル化合物と反応させて、少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミンハロゲン化水素塩を形成するステップであって、前記ハロゲン化アルキル化合物が、2~6個のハロゲン原子を有するハロアルカン、およびハロアミノアルカンの群から選択される、ステップと、
- 前記アルキレンアミンハロゲン化水素塩を塩基と反応させて、少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミン化合物を形成するステップと
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
表から分かるように、U-DETAとEDCとの反応は、DETAとEDCとの反応と比較して、はるかに高い収率のL-PEHA生成物およびごく少量のAEPをもたらす。
なお、本発明は以下の態様を含みうる。
[1]アルキレンアミン化合物の製造方法であって、
- 反応媒体中において、少なくとも1つの第一級アミン基、または少なくとも1つの環状第二級アミン基、または少なくとも1つの第一級アミン基および少なくとも1つの環状第二級アミン基、ならびに少なくとも1つの式I
【化12-1】

[式中、Aは、1つ以上のC1~C3アルキル基により任意選択で置換されているC2~C4アルキレン単位の群から選択される]
の環状アルキレン尿素基を含むアルキレン尿素化合物を、
ハロゲン化アルキル化合物と反応させて、少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミンハロゲン化水素塩を形成するステップであって、前記ハロゲン化アルキル化合物が、2~6個のハロゲン原子を有するハロアルカン、およびハロアミノアルカンの群から選択される、ステップと、
- 前記アルキレンアミンハロゲン化水素塩を塩基と反応させて、少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミン化合物を形成するステップと
を含む、方法。
[2]Aが、1つまたは2つのC1アルキル基により任意選択で置換されているC2~C3アルキレン単位であり、好ましくは、Aが、エチレン、プロピレンおよびイソプロピレンの群、特にエチレンから選択される、上記[1]に記載の方法。
[3]出発物質として使用される前記アルキレン尿素化合物が、式II
式II:R2-[-X-A-] -N(A)(CO)N-[A-X-] -A-NH2
[式中、
R2は、H、ならびに-OHおよび-NH2から選択される1つ以上の基、特に-OHおよび-NH2から選択される0、1つまたは2つの基により任意選択で置換されているC1~C6アルキル基から選択され、
Xは、出現する毎に、-O-、-NR2-、式Iの基、および式IIIの基:
【化12-2】

から独立して選択され、
Aは上記に説明された意味を有し、
pは、0~8の範囲の整数であり、
qは、0~8の範囲の整数である]
の化合物である、上記[1]または[2]に記載の方法。
[4]出発物質として使用される前記アルキレン尿素化合物が、式IV
式IV:R2-[-X-A-] -N(A)(CO)N-[A-X-] -A-N(A)(A)HN
[式中、R2、X、A、qおよびpは、上記に提示された意味を有する]
の化合物である、上記[1~3のいずれか一項]に記載の方法。
[5]前記ハロゲン化アルキル化合物が塩化アルキル化合物である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]2~6個のハロゲン原子を有するハロアルカンの群から選択されるハロゲン化アルキルが、1,2,3-トリクロロプロパンまたはC2~C10ジハロアルカン、より特定的にC2~C4ジハロアルカン、特に、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン(多くの場合、二塩化エチレンもしくはEDCと示される)、1,2-ジクロロプロパン、または1,3-ジクロロプロパンから選択され、二塩化エチレンが特に好ましい、上記[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記ハロゲン化アルキルが、ハロアミノアルカン、特に1個以上のハロゲン原子および1つ以上のアミノ基で置換されているC2~C10アルカンから選択され、前記ハロアミノアルカンが、好ましくは、1つ~6つのハロゲン置換基、特に1つまたは2つ、より特定的には1つを有し、前記ハロアミノアルカンが、好ましくは、1つ~6つのアミノ基、特に1つまたは2つ、より特定的には1つを有し、前記アルカンが、好ましくはC2~C4アルカンであり、1-クロロ-2-アミノ-エタン、1-クロロ-3-アミノプロパンおよび1-クロロ-2-アミノプロパン、またはこれらの対応する塩酸塩が特に好ましい、上記[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記アルキレンアミンハロゲン化水素塩を塩基と反応させて、少なくとも1つの環状アルキレン尿素基を含むアルキレンアミンを形成するステップが、無機強塩基、特にNaOHまたはKOHを使用して実施される、方法。
[9]本発明の方法により形成される環状アルキレン尿素生成物が、式Vの化合物または式VIの化合物
式V
R2-[-X-A-]q-N(A)(CO)N-[A-X-]p-A-NH-R1-NH-A-[X-A]p-N(A)(CO)N-[A-X]q-R2
式VI
R2-[-X-A-]q-N(A)(CO)N-[A-X-]p-A-NH-R1-NH2
[式中、R2、X、A、pおよびqは上記に示された意味を有し、R1は、2~10個の炭素原子、特に2~4個の炭素原子を有する前記ハロゲン化アルキル化合物からもたらされるアルキレン鎖である]
である、上記[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10]ジエチレントリアミンの尿素付加物を二塩化エチレンと反応させて、ペンタエチレンヘキサミンのジ尿素付加物の形成をもたらす、上記[1]に記載の方法。
[11]少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基を含む前記アルキレンアミンを、CO2の除去下で対応するアルキレンアミンに変換することを含む、CO2排除ステップを含み、前記ステップが、前記アルキレンアミン塩酸塩を無機塩基と反応させるステップと同時に、またはその後に実施される、上記[1]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12]前記反応媒体が、アルキレン尿素化合物、ポリハロアルカンまたはアミノハロアルカンから選択されるハロゲン化アルキル化合物、ならびにアンモニアおよび追加のアルキレンアミン化合物のうちの1つ以上を含み、前記追加のアルキレンアミン化合物が、式H N-[A-X-] -A-NH (式中、xは0~8の範囲の整数である)のアルキレンアミン、式Y-[A-X-] -A-NH (式中、Yはピペラジン環であり、xは0~8の範囲の整数である)の化合物、およびピペラジンの群から選択される、上記[1]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13]前記ハロゲン化アルキル化合物が二塩化エチレンであり、存在する場合、前記追加のアルキレンアミン化合物が、式H N-[CH2-CH2-NH-] -CH2-CH2-NH (式中、xは0~8の範囲の整数である)のエチレンアミン、式Y-[CH2-CH2-NH-] -CH2-CH2-NH (式中、Yはピペラジン環であり、xは0~8の範囲の整数である)の化合物、およびピペラジンの群から、特に、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、およびピペラジンから選択される、上記[12]に記載の方法。
[14]少なくとも1つの第一級アミン基および少なくとも1つの式Iの環状アルキレン尿素基を含むアルキレン尿素化合物を、直鎖状-NH-A-NH-基を有するアルキレンアミン化合物をカルボニル供与体と反応させることによって製造するステップを含む、上記[1]~[13]のいずれかに記載の方法。
【外国語明細書】