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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145484
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】複合電極を含む全固体電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20231003BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20231003BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20231003BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20231003BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20231003BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20231003BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M10/0565
H01M4/62 Z
H01M4/587
H01M4/48
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023111780
(22)【出願日】2023-07-06
(62)【分割の表示】P 2021544643の分割
【原出願日】2020-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0053694
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジ・フン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ピ・キム
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ピル・イ
(72)【発明者】
【氏名】スク・ウ・イ
(57)【要約】
【課題】電極組立体の一部の電極に発熱量の大きい電極を適用することで、電池の正常な作動環境で発生する熱によって電池の温度を自ら上昇させることにより高容量及び高エネルギー密度の特性を有する全固体電池を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は電極組立体及び固体電解質を含む全固体電池であって、前記電極組立体は板状の電極が積層された構造を有し、前記電極は相対的に高発熱性の第1電極及び相対的に低発熱性の第2電極を含み、前記第1電極は前記電極組立体の中心部に位置する全固体電池に関するものであり、追加の部材を付け加えなくても電池の温度を増加させることによって性能が向上した全固体電池を提供することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体及び固体電解質を含む全固体電池であって、
前記電極組立体は板状の電極が積層された構造を有し、
前記電極は、相対的に高発熱性の第1電極及び相対的に低発熱性の第2電極を含み、
前記第1電極は前記電極組立体の中心部に位置する、全固体電池。
【請求項2】
前記電極組立体はスタック型電極組立体であり、
前記第1電極及び第2電極は活物質の組成が同一であり、前記第1電極の固体電解質含量比は第2電極の固体電解質含量比より高い、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項3】
前記電極組立体は複数の単位セルを含むラミネーション/スタック型電極組立体又はスタック/フォルディング型電極組立体であり、
前記単位セルは、前記第1電極から構成される第1単位セル及び前記第2電極から構成される第2単位セルを含んでなり、
前記第1電極及び第2電極は活物質の組成が同一であり、前記第1電極の固体電解質含量比は第2電極の固体電解質含量比より高い、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項4】
前記電極組立体はスタック型電極組立体であり、
前記第1電極の活物質及び前記第2電極の活物質は、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、人造黒鉛が被覆された天然黒鉛、天然黒鉛及び珪素酸化物の中で、相対的に高発熱性の負極活物質と相対的に低発熱性の負極活物質が選択される、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項5】
前記電極組立体は複数の単位セルを含むラミネーション/スタック型電極組立体又はスタック/フォルディング型電極組立体であり、
前記単位セルは前記第1電極から構成される第1単位セル及び前記第2電極から構成される第2単位セルを含んでなり、
前記第1電極の活物質及び前記第2電極の活物質は、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、人造黒鉛が被覆された天然黒鉛、天然黒鉛及び珪素酸化物の中で、相対的に高発熱性の負極活物質と相対的に低発熱性の負極活物質が選択される、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項6】
前記第1単位セル及び第2単位セルのそれぞれは均一な活物質を含む、請求項5に記載の全固体電池。
【請求項7】
前記電極は、正極、負極、又は正極及び負極である、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項8】
前記固体電解質は、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質又は高分子系固体電解質である、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項9】
前記第1電極の熱が第2電極に伝達されて電池内部の温度が増加する、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項10】
前記全固体電池は単一電極から構成され、常温で同じ容量を有する全固体電池と比較するとき、零下の温度ではもっと大きい容量を有する、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の全固体電池を含む、電池パック。
【請求項12】
請求項11に記載の電池パックを含むデバイスであって、
前記デバイスは、モバイル(mobile)電子機器、ウェアラブル(wearable)電子機器、タブレットコンピュータ、ノート型パソコン、電気自動車及び電力貯蔵装置からなる群から選択される一つである、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2019年5月8日付の韓国特許出願第2019-0053694号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は発熱量の高い電極を電極組立体の中心部に配置することにより全固体電池の低い電気化学的性能を補完することができる複合電極を含む全固体電池に関するものである。
【背景技術】
【0003】
携帯電話を含むモバイル電子機器の多機能化につれて高エネルギー密度のリチウム二次電池に対する需要が増加している。
【0004】
さらに、大容量及び高出力のエネルギー源が必要な電力貯蔵装置及び電気自動車などにリチウム二次電池を使うためにリチウム二次電池の安全性向上及び高電圧化に対する研究が活発に行われている。
【0005】
前記リチウム二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池はニッケルマンガン電池又はニッケルカドミウム電池に比べてエネルギー密度が高くて自己放電率が低いし、寿命が長い利点があるが、過熱に対する安全性問題などが欠点として指摘されている。
【0006】
このようなリチウムイオン二次電池の問題点を克服するために全固体電池が代案として提示されている。全固体電池は、固体電解質を含む電解質層と、固体電解質を含み、前記電解質層の両面に形成された正極層及び負極層とを含み、それぞれの正極層及び負極層には集電体が結合された構造を有することができる。
【0007】
前記全固体電池は、既存のリチウムイオン二次電池と比較するとき、安全性は優れるが、固体電解質はイオン伝導度が低いから容量及び出力などの性能が劣る問題がある。
【0008】
このような問題を解決するために、温度増加の際にイオン伝導度が大きく向上する全固体電池の特徴を用いる技術が代案として提示されている。
【0009】
具体的に、特許文献1は電極から絶縁される発熱手段が電極集電体上に位置する二次電池に関するものであり、電池の内部温度を感知して前記発熱手段への通電を制御する温度制御手段及び電気流れ制御手段を備えている。
【0010】
前記特許文献1のように別途の発熱手段を備える場合には、電池の全体的な大きさが増加してエネルギー密度が低くなり、外部発熱手段に別途の電源が必要な場合には、エネルギーが浪費される問題がある。
【0011】
特許文献2は、正極活物質層と正極集電体との間にPTC層を備え、前記PTC層は導電性粒子の集合体から構成することにより、電池の過充電などによる発熱条件で電流の流れを遮断して電池の発熱を抑制することができる非水電解質二次電池に関するものである。
【0012】
特許文献3は温度上昇の際に抵抗値が増加する正温度係数低抗体の機能を有する結晶性熱可塑性樹脂、導電材及び決着剤を含む導電層が電極集電体を被覆する構造の非水系二次電池に関するものである。
【0013】
前記特許文献2及び特許文献3は、電池の温度が増加する場合に電流を遮断して発熱現象が発生することを防止するための技術を開示しているだけで、電池の発熱状態を維持するための方法を提供することができない。
【0014】
特許文献4は電極組立体の中央に位置する単位セルの一側又は両側界面に電池内部の相互作用によって抵抗熱を発散する発熱体が位置する電池セルに関するものである。
【0015】
前記特許文献4は電池の内部温度を増加させる発熱体を含む電池セルを開示しているが、前記発熱体を含む電池セルは厚さが増加するか、相対的に電極組立体の厚さが減少するので、エネルギー密度が減少する問題が発生する。
【0016】
したがって、全固体電池の電池温度を増加させることで、電池の機能を向上させることができるとともに、電池セルの体積が増加しなくて別途の外部電源が付加されないことにより、エネルギー密度が低くなることを防止することができる技術に対する必要性が高い実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第5314872号公報
【特許文献2】特開第2009-176599号公報
【特許文献3】特開第2001-357854号公報
【特許文献4】韓国登録特許第1760647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、電極組立体の一部の電極に発熱量の大きい電極を適用することで、電池の正常な作動環境で発生する熱によって電池の温度を自ら上昇させることにより高容量及び高エネルギー密度の特性を有する全固体電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このような目的を達成するために、本発明による全固体電池は、電極組立体及び固体電解質を含み、前記電極組立体は板状の電極が積層された構造を有し、前記電極は、相対的に高発熱性の第1電極及び相対的に低発熱性の第2電極を含み、前記第1電極は前記電極組立体の中心部に位置する構造を有する。
【0020】
一具体例で、前記電極組立体はスタック型電極組立体であり、前記第1電極及び第2電極は活物質の組成が同一であり、前記第1電極の固体電解質含量比は第2電極の固体電解質含量比より高いことができる。
【0021】
もしくは、前記電極組立体は複数の単位セルを含むラミネーション/スタック型電極組立体又はスタック/フォルディング型電極組立体であり、前記単位セルは、前記第1電極から構成される第1単位セル及び前記第2電極から構成される第2単位セルを含んでなり、前記第1電極及び第2電極は活物質の組成が同一であり、前記第1電極の固体電解質含量比は第2電極の固体電解質含量比より高いことができる。
【0022】
他の具体例で、前記電極組立体はスタック型電極組立体であり、前記第1電極の活物質及び前記第2電極の活物質は、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、人造黒鉛が被覆された天然黒鉛、天然黒鉛及び珪素酸化物の中で、相対的に高発熱性の負極活物質と相対的に低発熱性の負極活物質が選択されることができる。
【0023】
もしくは、前記電極組立体は複数の単位セルを含むラミネーション/スタック型電極組立体又はスタック/フォルディング型電極組立体であり、前記単位セルは前記第1電極から構成される第1単位セル及び前記第2電極から構成される第2単位セルを含んでなり、前記第1電極の活物質及び前記第2電極の活物質は、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、人造黒鉛が被覆された天然黒鉛、天然黒鉛及び珪素酸化物の中で、相対的に高発熱性の負極活物質と相対的に低発熱性の負極活物質が選択されることができる。
【0024】
また、前記第1単位セル及び第2単位セルのそれぞれは均一な活物質を含むことができる。
【0025】
前記電極は、正極、負極、又は正極及び負極であることができる。
【0026】
前記固体電解質は、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質又は高分子系固体電解質であることができる。
【0027】
前記第1電極の熱が第2電極に伝達されて電池内部の温度が増加することができる。
【0028】
前記全固体電池は単一電極から構成され、常温で同じ容量を有する全固体電池と比較するとき、零下の温度ではもっと大きい容量を有することができる。
【0029】
本発明は、前記全固体電池を含む電池パック、及び前記電池パックを含むデバイスを提供する。前記デバイスは、モバイル(mobile)電子機器、ウェアラブル(wearable)電子機器、タブレットコンピュータ、ノート型パソコン、電気自動車及び電力貯蔵装置からなる群から選択される一つであることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】複数の正極及び負極を含むスタック型電極組立体の側面図である。
図2】本発明によるスタック/フォルディング型電極組立体の側面図である。
図3】本発明によるラミネーション/スタック型電極組立体の側面図である。
図4】実験例1による結果を示すグラフである。
図5】実験例2による結果を示すグラフである。
図6】実験例3による結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面に基づき、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただ、本発明の好適な実施例の動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能又は構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0032】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分は同じ図面符号を使う。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというとは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0033】
本発明は電極組立体及び固体電解質を含む全固体電池に関するものであり、前記電極組立体は板状の電極が積層された構造を有する。
【0034】
一般に、電極組立体の構造は、板状の電極が積層される形態のスタック型電極組立体、スタック/フォルディング型電極組立体、ラミネーション/スタック型電極組立体、長いシート状の電極を巻き取る構造のゼリーロール型電極組立体に区分されることができる。
【0035】
前記ゼリーロール型電極組立体は1個の正極及び1個の負極を含むから電極の構成を多様化しにくい構造である反面、スタック型、スタック/フォルディング型及びラミネーション/スタック型の電極組立体は複数の板状電極を積層して構成するから多様な種類の正極及び負極を適用することができる。
【0036】
したがって、本発明による全固体電池の電極組立体は、相対的に高発熱性の第1電極及び相対的に低発熱性の第2電極を含み、前記第1電極は前記電極組立体の中心部に位置することができる。
【0037】
本明細書で使用する高発熱性の第1電極は相対的に発熱量が高い電極で、高発熱性の活物質を使うか固体電解質の含量比が第2電極より高い電極であり、低発熱性の第2電極は前記第1電極と比較するときに相対的に発熱性が低い電極で、低発熱性の活物質を使うか固体電解質の含量比が前記第1電極より低い電極であることができる。
【0038】
前記第1電極は電極組立体の中心部に位置することができるので、複数の電極から構成される電極組立体の中心部に第1電極を配置することができ、あるいは第1電極を含むか第1電極から構成される単位セルを電極組立体の中心部に配置することができる。このように、発熱性の高い第1電極を電極組立体の中心部に位置させることにより、前記第1電極の熱が第2電極に伝達されて電池の内部温度が増加することができる。
【0039】
一般に、高発熱性の第1電極は高いレート(rate)によって活物質又は電極の内部構造が損傷して寿命特性が低下することがあるが、相対的にレート(rate)が安定的に現れる低発熱性の第2電極は活物質又は電極内部構造の損傷が少ないから相対的に優れた寿命特性を現すことができる。
【0040】
したがって、電極組立体の全体的な温度増加のために高発熱性の第1電極を含むとともに寿命特性が安定した第2電極を含む場合、第1電極及び第2電極の劣等な部分を互いに補完することができる。
【0041】
これに関連して、図1は複数の正極及び負極を含むスタック型電極組立体の側面図を示している。
【0042】
図1の(a)を参照すると、電極組立体100は、複数の正極101、101’及び負極102が固体電解質層103を挟む状態で積層される構造のスタック型電極組立体である。
【0043】
電極組立体100の中心部に位置する正極101’は高発熱性の第1正極であり、電極組立体100の外側に位置する正極101は低発熱性の第2正極である。また、電池の性能を考慮して、2個の負極102は同時に又は選択的に高発熱性の第1負極として適用するか、又は低発熱性の第2負極として適用することができる。このように、電極組立体の中心部に高発熱性の正極を配置することにより、電極の積層方向を基準に熱エネルギーが両方に伝達されることができるので、電池の内部温度を均一に上昇させることができる。
【0044】
図1の(b)に示す電極組立体110は、複数の正極111及び複数の負極112、112’が固体電解質層113を挟む状態で積層される構造のスタック型電極組立体である。
【0045】
電極組立体110の中心に位置する負極112’は高発熱性の第1負極であることができ、外側に位置する負極112は低発熱性の第2負極である。
【0046】
また、電池の性能を考慮して、2個の正極111は同時に又は選択的に高発熱性の第1正極として適用するか又は低発熱性の第2正極として適用することができる。このように、電極組立体の中心部に高発熱性の負極を配置することにより、電極の積層方向を基準に熱エネルギーが両方に伝達されることができるので、電池の内部温度を均一に上昇させることができる。
【0047】
一具体例で、正極101と正極101’及び負極112と負極112’のそれぞれは固体電解質の含量比に差がある反面、活物質の組成が同一であることができる。
【0048】
例えば、負極112と負極112’は、人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛が被覆された天然黒鉛、珪素酸化物、ハードカーボン又はソフトカーボンであることができる。
【0049】
また、正極101と正極101’は、Ni-Co-Mn酸化物(LiNCMO(LiNCM))、リチウムニッケル酸化物(LiNiO(LNO))、オリビン構造の酸化物(LFP(LiFePO)又はLiMnPO(LMP))、リチウムコバルト酸化物(LiCoO(LCO))又はリチウムマンガン酸化物(LiMn(LMO))であることができる。
【0050】
他の具体例で、正極101’及び負極112’は高発熱性の電極活物質が適用され、正極101及び負極112は低発熱性の電極活物質が適用される形態を有することができる。
【0051】
負極活物質の発熱性が高いものから低いものの順に並べれば、ハードカーボン>ソフトカーボン>人造黒鉛>人造黒鉛が被覆された天然黒鉛>天然黒鉛>珪素酸化物の順になり、正極活物質の発熱性が高いものから低いものの順に並べれば、LMO>LCO>LiNCM>LNO>LMP、LFPの順になる。
【0052】
正極101’及び負極112’は正極101及び負極112より相対的に高い発熱性を有するので、前記記載した発熱性の大きさを考慮して相対的に高発熱性の正極及び負極と相対的に低発熱性の正極及び負極を選択的に適用することができる。
【0053】
もしくは、高発熱性グループ及び低発熱性グループに区分された電極活物質の中で正極活物質及び負極活物質を選択して適用することができる。
【0054】
例えば、負極112は、人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛が被覆された天然黒鉛及び珪素酸化物からなる群から選択される1種以上であることができ、負極112’はハードカーボン及びソフトカーボンからなる群から選択される1種以上であることができる。
【0055】
正極101は、Niが60%を超えるNi-Co-Mn酸化物(LiNCMO、Ni>60%)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO(LNO))及びオリビン構造の酸化物(LFP(LiFePO)又はLiMnPO(LMP))からなる群から選択される1種以上であることができ、正極101’は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO(LCO))、リチウムマンガン酸化物(LiMn(LMO))及びNiが60%以下のNi-Co-Mn酸化物(LiNCMO、Ni<60%)からなる群から選択される1種以上であることができる。
【0056】
図2は本発明によるスタック/フォルディング型電極組立体の側面図である。
【0057】
図2を参照すると、電極組立体200は、正極/固体電解質層/負極/固体電解質層/正極の構造又は負極/固体電解質層/正極/固体電解質層/負極の構造を有するバイセル(bi-cell)形態の単位セル210、220、230、240、250、260、270、280を固体電解質層290の一側面上に位置させた状態で固体電解質層を圧着したスタック/フォルディング型電極組立体であり、固体電解質層290の端部に固定テープ291を付着して固体電解質層が分離されることを防止する。
【0058】
電極組立体200は8個の単位セルから構成される。中心部に位置する単位セル210、220、230、240は、外側に位置する単位セル250、260、270、280と比較するとき、固体電解質含量比が高いか発熱量の大きい活物質を含む高発熱性の第1電極を含む第1単位セルであり、単位セル250、260、270、280は低発熱性の第2電極を含む第2単位セルである。
【0059】
具体的に、前記第1単位セルを構成する正極及び負極はいずれも高発熱性の第1正極及び第1負極であることができ、あるいは前記第1単位セルの正極又は負極のいずれか一つのみ高発熱性の第1正極又は第1負極を適用することができる。
【0060】
ただ、前記第2単位セルを構成する正極及び負極はいずれも低発熱性の第2正極及び第2負極であることができる。
【0061】
前記第1正極及び第1負極と第2正極及び第2負極は、図1で説明したように、(i)固体電解質含量比を異に適用し、電極活物質は同じ種類を適用する場合、又は(ii)相対的に高い発熱量を有する電極活物質と相対的に低い発熱量を有する電極活物質を適用する場合をそれぞれ同じに適用することができる。
【0062】
図2に示したものとは違い、第1単位セルは中心部に2個のみ適用され、前記第1単位セルを除いた6個の単位セルは第2単位セルが適用されることができ、又は電極組立体の最外殻部に位置する単位セル270、280は第2単位セルを適用し、これを除いた残りの6個の単位セルは第1単位セルを適用することができるというのは言うまでもない。
【0063】
図2の電極組立体200で、第1単位セル210、220、230、240を構成する正極及び負極は、活物質、導電材及び固体電解質などの電極構成物質が全て同一に設計されることができ、又は第2単位セルより発熱量が高い状態で選択的に前記電極構成物質の種類及び/又は組成比に違いがあるように設計されることができる。
【0064】
また、第2単位セル250、260、270、280を構成する正極及び負極は、活物質、導電材及び固体電解質などの電極構成物質が全て同一に設計されることができ、又は第1単位セルより発熱量が低い状態で選択的に前記電極構成物質の種類及び/又は組成比に違いがあるように設計されることができる。
【0065】
図3は本発明によるラミネーション/スタック型電極組立体の側面図である。
【0066】
図3を参照すると、電極組立体300は、正極/固体電解質層/負極/固体電解質層/正極の構造、又は負極/固体電解質層/正極/固体電解質層/負極の構造を有するバイセル(bi-cell)形態の単位セル310、320、330、340、350、360、370、380が固体電解質層390を挟む状態で積層されて熱融着されたラミネーション/スタック型電極組立体である。
【0067】
電極組立体300で、中心部に位置する単位セル330、340、350、360は図2の第1単位セルである単位セル210、220、230、240に対応する性質を有する高発熱性単位セルであり、外周部に位置する単位セル310、320、370、380は図2の第2単位セルである単位セル250、260、270、280に対応する性質を有する低発熱性単位セルである。
【0068】
したがって、電極組立体300の単位セル330、340、350、360と単位セル310、320、370、380の説明は電極組立体200の単位セル210、220、230、240と単位セル250、260、270、280の説明と同様に適用されることができる。
【0069】
前記固体電解質は、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質又は高分子系固体電解質であることができる。
【0070】
前記硫化物系固体電解質は、硫黄原子(S)を含み、また周期表の第1族又は第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、また電気絶縁性を有することが好ましい。前記硫化物系固体電解質は、元素として少なくともLi、S及びPを含み、リチウムイオン伝導性を有することが好ましいが、目的又は場合によっては、Li、S及びP以外の元素を含むことができる。
【0071】
具体的な硫化物系固体電解質の例を以下で示す。例えば、LiS-P、LiS-P-LiCl、LiS-P-HS、LiS-P-HS-LiCl、LiS-LiI-P、LiS-LiI-LiO-P、LiS-LiBr-P、LiSLiO-P、LiS-LiPO-P、LiS-P-P、LiS-P-SiS、LiS-P-SiS-LiCl、LiS-P-SnS、LiS-P-Al、LiS-GeS、LiS-GeS-ZnS、LiS-Ga、LiS-GeS-Ga、LiS-GeS-P、LiS-GeS-Sb、LiS-GeS-Al、LiS-SiS、LiS-Al、LiS-SiS-Al、LiS-SiS-P、LiS-SiS-P-LiI、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiSiO、LiS-SiS-LiPO、及びLi10GeP12などを挙げることができる。
【0072】
硫化物系固体電解質材料を合成する方法としては、例えば非晶質化法を挙げることができる。前記非晶質化法としては、例えばメカニカルミリング法、溶液法及び溶融急冷法を挙げることができ、その中でもメカニカルミリング法は常温(25℃)で処理することができ、製造工程の簡素化を図ることができる利点があるので好ましい。
【0073】
前記酸化物系固体電解質は、酸素原子(O)を含み、周期表の第1族又は第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、電気絶縁性を有する化合物が好ましい。
【0074】
前記酸化物系固体電解質として、例えば、LixaLayaTiO(xa=0.3~0.7、ya=0.3~0.7)(LLT)、LixbLaybZrzbbb mbnb(MbbはAl、Mg、Ca、Sr、V、Nb、Ta、Ti、Ge、In、及びSnの少なくとも1種以上の元素であり、xbは5≦xb≦10を満たし、ybは1≦yb≦4を満たし、zbは1≦zb≦4を満たし、mbは0≦mb≦2を満たし、nbは5≦nb≦20を満たす)、Lixcyccc zcnc(MccはC、S、Al、Si、Ga、Ge、In、及びSnの少なくとも1種以上の元素であり、xcは0≦xc≦5を満たし、ycは0≦yc≦1を満たし、zcは0≦zc≦1を満たし、ncは0≦nc≦6を満たす)、Lixd(Al、Ga)yd(Ti、Ge)zdSiadmdnd(ただし、1≦xd≦3、0≦yd≦1、0≦zd≦2、0≦ad≦1、1≦md≦7、3≦nd≦13)、Li(3-2xe)ee xeeeO(ただし、0≦xe≦0.1、Meeは2価の金属原子であり、Deeはハロゲン原子又は2種以上のハロゲン原子の組合せ)、LixfSiyfzf(1≦xf≦5、0<yf≦3、1≦zf≦10)、Lixgygzg(1≦xg≦3、0<yg≦2、1≦zg≦10)、LiBO-LiSO、LiO-B-P、LiO-SiO、LiBaLaTa12、LiPO(4-3/2w)(wはw<1)、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiO、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi12、Li1+xh+yh(Al、Ga)xh(Ti、Ge)2-xhSiyh3-yh12(ただし、0≦xh≦1、0≦yh≦1)、及びガーネット型結晶構造を有するLiLaZr12(LLZ)などを挙げることができる。また、Li、P及びOを含むリン化合物も好ましい。例えば、リン酸リチウム(LiPO)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素に置換したLiPON、及びLiPOD(Dは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、及びAuなどから選択される少なくとも1種)などを挙げることができる。また、LiAON(A1は、Si、B、Ge、Al、C、及びGaなどから選択される少なくとも1種)なども好ましく用いることができる。
【0075】
前記高分子系固体電解質はそれぞれ独立的に溶媒化したリチウム塩に高分子樹脂を添加して形成された固体高分子電解質であるか、有機溶媒とリチウム塩を含む有機電解液を高分子樹脂に含有させた高分子ゲル電解質であることができる。
【0076】
例えば、前記固体高分子電解質はイオン伝導性材質であり、通常全固体電池の固体電解質材料として使われる高分子材料であれば特に限定されるものではない。前記固体高分子電解質は、例えば、ポリエーテル系高分子、ポリカーボネート系高分子、アクリレート系高分子、ポリシロキサン系高分子、ホスファゲン系高分子、ポリエチレン誘導体、アルキレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリシン、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などを含むことができる。本発明の具体的な一実施例において、前記固体高分子電解質は、高分子樹脂としてポリエチレンオキシド(PEO:polyethyleneoxide)主鎖にポリメチルメタクリレート(Poly Methyl Methacrylate、PMMA)、ポリカーボネート、ポリシロキサン及び/又はホスファゲンのような無晶形高分子をコモノマーで共重合させた分岐共重合体、櫛状高分子樹脂(comb-like polymer)及び架橋高分子樹脂などを含むことができる。
【0077】
前記高分子ゲル電解質はリチウム塩を含む有機電解液と高分子樹脂を含むものであり、前記有機電解液は高分子樹脂の重量に対して60重量部~400重量部を含むものである。前記高分子ゲル電解質に適用される高分子樹脂は特定の成分に限定されるものではないが、例えば、ポリビニルクロライド(PVC:Poly vinyl chloride)系、ポリメチルメタクリレート(PMMA:Poly Methyl Methacrylate)系、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile、PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(poly(vinylidene fluoride-hexafluoropropylene:PVdF-HFP)などを含むことができる。
【0078】
前記リチウム塩はイオン化可能なリチウム塩であり、Liで表現することができる。このようなリチウム塩の陰イオンとしては、特に制限されないが、F、Cl、Br、I、NO 、N(CN) 、BF 、ClO 、PF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、CFSO 、CFCFSO 、(CFSO、(FSO、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(CFSO、CF(CFSO 、CFCO 、CHCO 、SCN及び(CFCFSOなどを例示することができる。
【0079】
以下では、本発明の実施例を参照して説明するが、これは本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がこれによって限定されるものではない。
【0080】
<実施例1>
図3に示すように、8個の単位セルを含むラミネーション/スタック型電極組立体を製造した。
【0081】
前記単位セルのうち、中心部には高発熱性の単位セルを1個配置し、前記高発熱性の単位セルの両側には7個の低発熱性の単位セルを配置して全部8個の単位セルを含む電極組立体を完成した。
【0082】
前記高発熱性の単位セルは、正極活物質としてLiNi0.8Co0.1Mn0.1 75重量%、導電材としてSuper C 5重量%、固体電解質としてポリエチレンオキシド(PEO)15重量%及びバインダーとしてポリビニリデンフルオリド(PVDF)5重量%を使って製造した正極と、負極活物質として人造黒鉛71重量%、導電材としてSuper C 2重量%、固体電解質としてポリエチレンオキシド(PEO)23重量%及びバインダーとしてスチレンブチレンゴム(SBR)+カルボキシルメチルセルロース(CMC)4重量%を使って製造した負極とを含む。
【0083】
前記低発熱性の単位セルは、正極活物質としてLiNi0.8Co0.1Mn0.1 85重量%、導電材としてSuper C 3重量%、固体電解質としてポリエチレンオキシド(PEO)8重量%及びバインダーとしてポリビニリデンフルオリド(PVDF)4重量%を使って製造した正極と、負極活物質として人造黒鉛83重量%、導電材としてSuper C 1重量%、固体電解質としてポリエチレンオキシド(PEO)13重量%及びバインダーとしてスチレンブチレンゴム(SBR)+カルボキシルメチルセルロース(CMC)3重量%を使って製造した負極とを含む。
【0084】
前記正極と負極との間に介在される固体電解質層は、ポリエチレンオキシド及びLiFSIを20mol%及び1mol%の比でアセトニトリルに溶解してガラス板上に薄くキャスティングした後、真空乾燥して100μmの厚さに製造して使用する。
【0085】
<実施例2>
前記実施例1で、電極組立体の中心部に位置する高発熱性の単位セルの個数が2個であり、低発熱性の単位セルの個数が6個である点を除き、前記実施例1と同様な方法で電極組立体を製造した。
【0086】
<実施例3>
前記実施例1で、電極組立体の中心部に位置する高発熱性の単位セルの個数が3個であり、低発熱性の単位セルの個数が5個である点を除き、前記実施例1と同様な方法で電極組立体を製造した。
【0087】
<実施例4>
前記実施例1で、電極組立体の中心部に位置する高発熱性の単位セルの個数が4個であり、低発熱性の単位セルの個数が4個である点を除き、前記実施例1と同様な方法で電極組立体を製造した。
【0088】
<比較例1>
図3に示すように、8個の単位セルを含むラミネーション/スタック型電極組立体を製造した。
【0089】
前記単位セルはいずれも同じ発熱性を有する電極を含む。
【0090】
具体的に、正極活物質としてLiNi0.8Co0.1Mn0.1 80重量%、導電材としてSuper C 4重量%、固体電解質としてポリエチレンオキシド(PEO)10重量%及びバインダーとしてポリビニリデンフルオリド(PVDF)6重量%を使って製造した正極と、負極活物質として人造黒鉛77重量%、導電材としてSuper C 1.5重量%、固体電解質としてポリエチレンオキシド(PEO)18重量%及びバインダーとしてスチレンブチレンゴム(SBR)+カルボキシルメチルセルロース(CMC)3.5重量%を使って製造した負極とを含む。
【0091】
比較例1の電極組立体は、常温で実施例1~4の電極組立体と比較するとき、同じ容量を有するように設計された。
【0092】
<実験例1>
高発熱性の電極を含む電極組立体の低温容量改善水準を確認するために、前記実施例1~4及び比較例1で製造した電極組立体を含む二次電池に対して零下10℃の条件下で満充電及び完全放電を遂行し、比較例1の容量を基準に改善した容量の比を示すグラフを図4に示した。
【0093】
図4を参照すると、高発熱性単位セルの個数が増加するほど電池の容量が増加する傾向を示すことが分かる。
【0094】
前記実験は低温条件下で遂行した。本発明の場合、低温での容量改善効果に優れたことを確認することができる。
【0095】
<実施例5>
図3に示すように、8個の単位セルを含むラミネーション/スタック型電極組立体を製造した。
【0096】
前記単位セルのうち、中心部には高発熱性の単位セルを4個配置し、前記高発熱性の単位セルの両側にそれぞれ2個ずつ低発熱性の単位セルを配置して全部8個の単位セルを含む電極組立体を完成した。
【0097】
前記高発熱性の単位セルは、負極活物質として天然黒鉛80重量%、導電材としてSuper C 2重量%、固体電解質としてポリエチレンオキシド(PEO)13重量%及びバインダーとしてスチレンブチレンゴム(SBR)+カルボキシルメチルセルロース(CMC)5重量%を使って製造した負極と、正極活物質としてLiNi0.8Co0.1Mn0.1 80重量%、導電材としてSuper C 4重量%、固体電解質としてポリエチレンオキシド(PEO)10重量%及びバインダーとしてPVDF6重量%を使って製造した正極とを含む。
【0098】
前記低発熱性の単位セルは、前記高発熱性の単位セルに使用された負極活物質である天然黒鉛の代わりに人造黒鉛を使った点を除き、前記高発熱性の単位セルと同様な方法で製造し。
【0099】
前記正極と負極との間に介在される固体電解質層は、ポリエチレンオキシド及びLiFSIを20mol%及び1mol%の比でアセトニトリルに溶解し、ガラス板上に薄くキャスティングした後、真空乾燥して100μmの厚さに製造して使った。
【0100】
<実施例6>
前記実施例5で、高発熱性負極として使用した天然黒鉛の代わりにソフトカーボンを使った点を除き、前記実施例5と同様な方法で電極組立体を製造した。
【0101】
<実施例7>
前記実施例5で、高発熱性負極として使用した天然黒鉛の代わりにハードカーボンを使った点を除き、前記実施例5と同様な方法で電極組立体を製造した。
【0102】
<比較例2>
図3に示すように、8個の単位セルを含むラミネーション/スタック型電極組立体を製造した。
【0103】
前記単位セルはいずれも同じ発熱性を有する電極を含む。
【0104】
具体的に、前記単位セルは、負極活物質として人造黒鉛を含む負極を適用した点を除き、前記実施例5と同じ正極及び固体電解質を使って電極組立体を製造した。
【0105】
比較例2の電極組立体は、常温で実施例5~7の電極組立体と比較するとき、同じ容量を有するように設計された。
【0106】
<実験例2>
発熱性に差がある負極活物質を適用することによる低温容量改善の水準を確認するために、前記実施例5~7及び比較例2で製造した電極組立体を含む二次電池に対して零下10℃の条件下で満充電及び完全放電を遂行し、比較例2の容量を基準に改善した容量の比を示すグラフを図5に示した。
【0107】
図5を参照すると、負極活物質の種類によって電池の容量増加効果があることが分かる。具体的に、天然黒鉛、ソフトカーボン及びハードカーボンの順に電池の容量が増加することが確認された。
【0108】
前記実験は低温条件下で遂行した。本発明の場合、低温での容量改善効果に優れたことを確認することができる。
【0109】
<比較例3>
前記実施例1で製造した高発熱性の単位セル2個を電極組立体の両端部に配置し、中心部に低発熱性の単位セル6個を配置し、図3に示すように8個の単位セルを含むラミネーション/スタック型電極組立体を製造したことを除き、前記実施例1と同様な方法で電極組立体を製造した。
【0110】
<実験例3>
高発熱性の電極位置による電池の容量改善の水準を確認するために、前記実施例2及び比較例3で製造した電極組立体を含む二次電池に対して10℃の条件下で満充電及び完全放電を遂行し、比較例1の容量を基準に改善した容量の比を示すグラフを図6に示した。
【0111】
図6を参照すると、実施例2の電極組立体を含む二次電池は、比較例1の均一な発熱量を有する電極のみで構成された電極組立体を含む二次電池と比較するとき、約3.5%の容量改善効果があることが分かる。
【0112】
しかし、電極組立体の両端部にのみ高発熱性の単位セルを配置した比較例3の電極組立体を含む二次電池は、比較例1の電極組立体を含む二次電池より低い電池容量を有することが確認された。
【0113】
したがって、高発熱性の電極の個数が同一であるとき、これらを電極組立体の両端部に配置する場合より中心部に配置する場合に容量が著しく増加することが分かる。
【0114】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形が可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0115】
以上で説明したように、本発明による複合電極を含む全固体電池は発熱量が高い電極を部分的に含むので、電池の正常使用中に発生する熱エネルギーによって電池の全体温度が増加する効果を得ることができる。
【0116】
また、高発熱量電極及び低発熱量電極を全部含む電極組立体を適用することにより、高発熱量電極による温度増加の効果だけではなく、低発熱量電極による寿命改善の効果を得ることができる。
【0117】
また、発熱のために別途の発熱部材を付け加えないから追加の外部電源が不必要であるので、外部電源を備えるために電池の体積が増加することを防止することができる。
【符号の説明】
【0118】
100、110、200、300 電極組立体
101、101’、111 正極
102、112、112’ 負極
103、113、290、390 固体電解質層
210、220、230、240、250、260、270、280、310、320、330、340、350、360、370、380 単位セル
291 固定テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体及び固体電解質を含む全固体電池であって、
前記電極組立体は板状の電極が積層された構造を有し、
前記電極は、第1電極及び第2電極を含み、
前記第1電極は前記電極組立体の中心部に位置し、
前記全固体電池が正常な作動環境において、所定の電流で充放電される場合に、前記第1電極の発熱量が、前記第2電極の発熱量よりも大きい、全固体電池。
【請求項2】
前記電極組立体はスタック型電極組立体であり、
前記第1電極及び第2電極は活物質の組成が同一であり、前記第1電極の固体電解質含量比は第2電極の固体電解質含量比より高い、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項3】
前記電極組立体は複数の単位セルを含むラミネーション/スタック型電極組立体又はスタック/フォルディング型電極組立体であり、
前記単位セルは、前記第1電極から構成される第1単位セル及び前記第2電極から構成される第2単位セルを含んでなり、
前記第1電極及び第2電極は活物質の組成が同一であり、前記第1電極の固体電解質含量比は第2電極の固体電解質含量比より高い、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項4】
前記電極組立体はスタック型電極組立体であり、
前記第1電極の活物質及び前記第2電極の活物質は、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、人造黒鉛が被覆された天然黒鉛、天然黒鉛及び珪素酸化物の中で、負極活物質が選択され
前記全固体電池が正常な作動環境において、所定の電流で充放電される場合に、前記第1電極における負極活物質の発熱量が、前記第2電極における負極活物質の発熱量よりも大きい、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項5】
前記電極組立体は複数の単位セルを含むラミネーション/スタック型電極組立体又はスタック/フォルディング型電極組立体であり、
前記単位セルは前記第1電極から構成される第1単位セル及び前記第2電極から構成される第2単位セルを含んでなり、
前記第1電極の活物質及び前記第2電極の活物質は、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、人造黒鉛が被覆された天然黒鉛、天然黒鉛及び珪素酸化物の中で、負極活物質が選択され
前記全固体電池が正常な作動環境において、所定の電流で充放電される場合に、前記第1電極における負極活物質の発熱量が、前記第2電極における負極活物質の発熱量よりも大きい、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項6】
前記第1単位セル及び第2単位セルのそれぞれは均一な活物質を含む、請求項5に記載の全固体電池。
【請求項7】
前記電極は、正極、負極、又は正極及び負極である、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項8】
前記固体電解質は、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質又は高分子系固体電解質である、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項9】
前記第1電極の熱が第2電極に伝達されて電池内部の温度が増加する、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項10】
前記全固体電池は単一電極から構成され、常温で同じ容量を有する全固体電池と比較するとき、零下の温度ではもっと大きい容量を有する、請求項1に記載の全固体電池。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の全固体電池を含む、電池パック。
【請求項12】
請求項11に記載の電池パックを含むデバイスであって、
前記デバイスは、モバイル(mobile)電子機器、ウェアラブル(wearable)電子機器、タブレットコンピュータ、ノート型パソコン、電気自動車及び電力貯蔵装置からなる群から選択される一つである、デバイス。
【外国語明細書】