(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145519
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】コンタクトセンターシステムにおける行動ペアリングのための技法
(51)【国際特許分類】
H04M 3/523 20060101AFI20231003BHJP
G06Q 30/015 20230101ALI20231003BHJP
【FI】
H04M3/523
G06Q30/015
【審査請求】有
【請求項の数】48
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114380
(22)【出願日】2023-07-12
(62)【分割の表示】P 2021029891の分割
【原出願日】2016-05-13
(31)【優先権主張番号】14/871,658
(32)【優先日】2015-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517083224
【氏名又は名称】アフィニティ, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジア チシティー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンタクトセンターシステムにおける行動ペアリングのための方法、システムおよび記憶媒体を提供する。
【解決手段】方法は、1つ以上のコンタクトを順序付けることと、1人以上のエージェントを順序付けることと、第1のペアにおける第1のコンタクトと第1のエージェントと間の順序付けにおける第1の差を、第2のペアにおける第2のコンタクトと第2のエージェントとの間の順序付けにおける第2の差と比較することと、比較することに基づいて、接続のために第1のペアまたは第2のペアを選択することと、を含む。第1のコンタクトと第2のコンタクトとが異なるかまたは第1のエージェントおよび第2のエージェントが異なる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトセンターシステムに通信可能に結合されかつ前記コンタクトセンターシステムにおいて動作するように構成される少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって、コンタクトに接続されるために利用可能なエージェントのセットを決定することであって、前記エージェントのセットは、第1のエージェントと第2のエージェントと第3のエージェントとを含む、ことと、
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって、ペアリング方策に従って、実績メトリックを最適化するように前記コンタクトへのペアリングのために前記第1のエージェントを選択することと
を含み、前記第1のエージェントは、前記実績メトリックに従って、前記コンタクトのための前記エージェントのセットの中で最悪の予期される実績を有し、
前記第1のエージェントは、公平性メトリックにおいて最も少なく遅滞が生じており、前記公平性メトリックは、経時的なエージェントの利用の測定値に基づいており、
前記第3のエージェントは、前記公平性メトリックにおいて最も多く遅滞が生じており、
前記第1のエージェントが利用不可能であることが、前記ペアリング方策に前記第3のエージェントの代わりに前記第2のエージェントを選択させ、
前記第1のエージェントが、前記コンタクトと以前に対話していない、方法。
【請求項2】
前記ペアリング方策は、行動ペアリング方策である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペアリング方策は、対角線ペアリング方策である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ペアリング方策は、バランスのとれたエージェント利用を標的とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ペアリング方策は、前記コンタクトセンターシステムの全体的実績に対する予期される改善を標的とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のエージェントは、前記コンタクトのコンタクトタイプについて前記エージェントのセットの中で前記最悪の予期される実績を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のエージェントについての前記最悪の予期される実績は、前記第1のエージェントと前記コンタクトとの間の対話の結果に基づいて後に更新される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
コンタクトセンターシステムに通信可能に結合されかつ前記コンタクトセンターシステムにおいて動作するように構成される少なくとも1つのコンピュータプロセッサを備えるシステムであって、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、
コンタクトに接続されるために利用可能なエージェントのセットを決定することであって、前記エージェントのセットは、第1のエージェントと第2のエージェントと第3のエージェントとを含む、ことと、
ペアリング方策に従って、実績メトリックを最適化するように前記コンタクトへのペアリングのために前記第1のエージェントを選択することと
を行うようにさらに構成され、前記第1のエージェントは、前記実績メトリックに従って、前記コンタクトのための前記エージェントのセットの中で最悪の予期される実績を有し、
前記第1のエージェントは、公平性メトリックにおいて最も少なく遅滞が生じており、前記公平性メトリックは、経時的なエージェントの利用の測定値に基づいており、
前記第3のエージェントは、前記公平性メトリックにおいて最も多く遅滞が生じており、
前記第1のエージェントが利用不可能であることが、前記ペアリング方策に前記第3のエージェントの代わりに前記第2のエージェントを選択させ、
前記第1のエージェントが、前記コンタクトと以前に対話していない、システム。
【請求項9】
前記ペアリング方策は、行動ペアリング方策である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ペアリング方策は、対角線ペアリング方策である、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記ペアリング方策は、バランスのとれたエージェント利用を標的とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記ペアリング方策は、前記コンタクトセンターシステムの全体的実績に対する予期される改善を標的とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のエージェントは、前記コンタクトのコンタクトタイプについて前記エージェントのセットの中で前記最悪の予期される実績を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のエージェントについての前記最悪の予期される実績は、前記第1のエージェントと前記コンタクトとの間の対話の結果に基づいて後に更新される、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記命令は、コンタクトセンターシステムに通信可能に結合されかつ前記コンタクトセンターシステムにおいて動作するように構成される少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって前記媒体から読み取り可能であるように構成され、それによって、
コンタクトに接続されるために利用可能なエージェントのセットを決定することであって、前記エージェントのセットは、第1のエージェントと第2のエージェントと第3のエージェントとを含む、ことと、
ペアリング方策に従って、実績メトリックを最適化するように前記コンタクトへのペアリングのために前記第1のエージェントを選択することと
を行うように前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサを動作させ、前記第1のエージェントは、前記実績メトリックに従って、前記コンタクトのための前記エージェントのセットの中で最悪の予期される実績を有し、
前記第1のエージェントは、公平性メトリックにおいて最も少なく遅滞が生じており、前記公平性メトリックは、経時的なエージェントの利用の測定値に基づいており、
前記第3のエージェントは、前記公平性メトリックにおいて最も多く遅滞が生じており、
前記第1のエージェントが利用不可能であることが、前記ペアリング方策に前記第3のエージェントの代わりに前記第2のエージェントを選択させ、
前記第1のエージェントが、前記コンタクトと以前に対話していない、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項16】
前記ペアリング方策は、行動ペアリング方策である、請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項17】
前記ペアリング方策は、対角線ペアリング方策である、請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項18】
前記ペアリング方策は、バランスのとれたエージェント利用を標的とする、請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項19】
前記ペアリング方策は、前記コンタクトセンターシステムの全体的実績に対する予期される改善を標的とする、請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項20】
前記第1のエージェントは、前記コンタクトのコンタクトタイプについて前記エージェントのセットの中で前記最悪の予期される実績を有する、請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項21】
前記第1のエージェントについての前記最悪の予期される実績は、前記第1のエージェントと前記コンタクトとの間の対話の結果に基づいて後に更新される、請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項22】
前記公平性メトリックは、エージェント待ち時間であり、前記第1のエージェントは、前記エージェントのセットの中で最も少なく待っており、前記第3のエージェントは、前記エージェントのセットの中で最も長く待っている、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記公平性メトリックは、エージェント占有率であり、前記第1のエージェントは、前記エージェントのセットの中で最も多く占有しており、前記第3のエージェントは、前記エージェントのセットの中で最も少なく占有している、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記公平性メトリックは、エージェント待ち時間であり、前記第1のエージェントは、前記エージェントのセットの中で最も少なく待っており、前記第3のエージェントは、前記エージェントのセットの中で最も長く待っている、請求項8に記載のシステム。
【請求項25】
前記公平性メトリックは、エージェント占有率であり、前記第1のエージェントは、前記エージェントのセットの中で最も多く占有しており、前記第3のエージェントは、前記エージェントのセットの中で最も少なく占有している、請求項8に記載のシステム。
【請求項26】
前記公平性メトリックは、エージェント待ち時間であり、前記第1のエージェントは、前記エージェントのセットの中で最も少なく待っており、前記第3のエージェントは、前記エージェントのセットの中で最も長く待っている、請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項27】
前記公平性メトリックは、エージェント占有率であり、前記第1のエージェントは、前記エージェントのセットの中で最も多く占有しており、前記第3のエージェントは、前記エージェントのセットの中で最も少なく占有している、請求項15に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項28】
コンタクトセンターシステムに通信可能に結合されかつ前記コンタクトセンターシステムにおいて動作するように構成される少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって、エージェントに接続されるために利用可能なコンタクトのセットを決定することであって、前記コンタクトのセットは、第1のコンタクトと第2のコンタクトと第3のコンタクトとを含む、ことと、
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって、ペアリング方策に従って、メトリックを最適化するように前記コンタクトセンターシステムのスイッチにおける接続のために前記エージェントへのペアリングのための前記第1のコンタクトを選択することであって、前記メトリックは、経時的なコンタクトセンターシステム実績の測定値に基づいている、ことと
を含み、前記エージェントは、前記メトリックに従って、前記コンタクトのセットの中で前記第1のコンタクトについての最悪の予期される実績を有し、
前記第1のコンタクトは、前記コンタクトのセットの中で最も少なく待っており、
前記第3のコンタクトは、前記コンタクトのセットの中で最も長く待っており、
前記第1のコンタクトが利用不可能であることが、前記ペアリング方策に前記第3のコンタクトの代わりに前記第2のコンタクトを選択させ、
前記第1のコンタクトが、前記エージェントと以前に対話していない、方法。
【請求項29】
前記ペアリング方策は、行動ペアリング方策である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ペアリング方策は、対角線ペアリング方策である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記ペアリング方策は、バランスのとれたエージェント利用を標的とする、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記ペアリング方策は、コンタクトセンターシステムの全体的実績に対する予期される改善を標的とする、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のコンタクトは、第1のコンタクトタイプのものであり、前記第2のコンタクトは、前記第1のコンタクトタイプと異なる第2のコンタクトタイプのものである、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記エージェントについての前記最悪の予期される実績は、前記エージェントと前記第1のコンタクトとの間の対話の結果に基づいて後に更新される、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
コンタクトセンターシステムに通信可能に結合されかつ前記コンタクトセンターシステムにおいて動作するように構成される少なくとも1つのコンピュータプロセッサを備えるシステムであって、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、
エージェントに接続されるために利用可能なコンタクトのセットを決定することであって、前記コンタクトのセットは、第1のコンタクトと第2のコンタクトと第3のコンタクトとを含む、ことと、
ペアリング方策に従って、メトリックを最適化するように前記コンタクトセンターシステムのスイッチにおける接続のために前記エージェントへのペアリングのための前記第1のコンタクトを選択することであって、前記メトリックは、経時的なコンタクトセンターシステム実績の測定値に基づいている、ことと
を行うようにさらに構成され、前記エージェントは、前記メトリックに従って、前記コンタクトのセットの中で前記第1のコンタクトについての最悪の予期される実績を有し、
前記第1のコンタクトは、前記コンタクトのセットの中で最も少なく待っており、
前記第3のコンタクトは、前記コンタクトのセットの中で最も長く待っており、
前記第1のコンタクトが利用不可能であることが、前記ペアリング方策に前記第3のコンタクトの代わりに前記第2のコンタクトを選択させ、
前記第1のコンタクトが、前記エージェントと以前に対話していない、システム。
【請求項36】
前記ペアリング方策は、行動ペアリング方策である、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記ペアリング方策は、対角線ペアリング方策である、請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
前記ペアリング方策は、バランスのとれたエージェント利用を標的とする、請求項35に記載のシステム。
【請求項39】
前記ペアリング方策は、コンタクトセンターシステムの全体的実績に対する予期される改善を標的とする、請求項35に記載のシステム。
【請求項40】
前記第1のコンタクトは、第1のコンタクトタイプのものであり、前記第2のコンタクトは、前記第1のコンタクトタイプと異なる第2のコンタクトタイプのものである、請求項35に記載のシステム。
【請求項41】
前記エージェントについての前記最悪の予期される実績は、前記エージェントと前記第1のコンタクトとの間の対話の結果に基づいて後に更新される、請求項35に記載のシステム。
【請求項42】
命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記命令は、前記コンタクトセンターシステムに通信可能に結合されかつ前記コンタクトセンターシステムにおいて動作するように構成される少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって前記媒体から読み取り可能であるように構成され、それによって、
エージェントに接続されるために利用可能なコンタクトのセットを決定することであって、前記コンタクトのセットは、第1のコンタクトと第2のコンタクトと第3のコンタクトとを含む、ことと、
ペアリング方策に従って、メトリックを最適化するように前記コンタクトセンターシステムのスイッチにおける接続のために前記エージェントへのペアリングのための前記第1のコンタクトを選択することであって、前記メトリックは、経時的なコンタクトセンターシステム実績の測定値に基づいている、ことと
を行うように前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサを動作させ、前記エージェントは、前記メトリックに従って、前記コンタクトのセットの中で前記第1のコンタクトについての最悪の予期される実績を有し、
前記第1のコンタクトは、前記コンタクトのセットの中で最も少なく待っており、
前記第3のコンタクトは、前記コンタクトのセットの中で最も長く待っており、
前記第1のコンタクトが利用不可能であることが、前記ペアリング方策に前記第3のコンタクトの代わりに前記第2のコンタクトを選択させ、
前記第1のコンタクトが、前記エージェントと以前に対話していない、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項43】
前記ペアリング方策は、行動ペアリング方策である、請求項42に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項44】
前記ペアリング方策は、対角線ペアリング方策である、請求項42に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項45】
前記ペアリング方策は、バランスのとれたエージェント利用を標的とする、請求項42に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項46】
前記ペアリング方策は、コンタクトセンターシステムの全体的実績に対する予期される改善を標的とする、請求項42に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項47】
前記第1のコンタクトは、第1のコンタクトタイプのものであり、前記第2のコンタクトは、前記第1のコンタクトタイプと異なる第2のコンタクトタイプのものである、請求項42に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項48】
前記エージェントについての前記最悪の予期される実績は、前記エージェントと前記第1のコンタクトとの間の対話の結果に基づいて後に更新される、請求項42に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国特許出願第14/871,658号(2015年9月30日出願)の利益および優先権を主張し、上記出願は、米国特許出願第12/021,251号(2008年1月28日出願)の一部継続出願であり、米国特許出願第14/530,058号(2014年10月31日出願)の一部継続出願であり、上記出願は、米国特許出願第13/843,724号(2013年3月15日出願、現在米国特許第8,879,715,号(2014年11月4日発行))の継続であり、上記出願は、米国仮特許出願第61/615,788号(2012年3月26日出願)、米国仮特許出願第61/615,779号(2012年3月26日出願)および米国仮特許出願第61/615,772号(2012年3月26日出願)に対する優先権を主張し、上記出願の各々は、その全体が記載されているかのように本明細書に参照により引用される。
【0002】
(開示の分野)
本開示は、概して、コンタクトセンターに関し、より具体的には、コンタクトセンターシステムにおける行動ペアリングのための技法に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的なコンタクトセンターは、コンタクトセンターに着信するコンタクトを、それらのコンタクトを処理するために利用可能なエージェントにアルゴリズム的に割り当てる。ある時は、コンタクトセンターは、利用可能であり、インバウンドまたはアウトバウンドコンタクト(例えば、通話、インターネットチャットセッション、電子メール)への割り当てを待つエージェントを有し得る。またある時は、コンタクトセンターは、エージェントが割り当てのために利用可能になることを1つ以上の待ち行列の中で待つコンタクトを有し得る。
【0004】
いくつかの典型的なコンタクトセンターでは、コンタクトは、着信時間に基づいて順序付けられたエージェントに割り当てられ、エージェントは、それらのエージェントが利用可能になったとき、着信時間に基づいて順序付けられたコンタクトを受信する。この方策は、「先入れ先出し」、「FIFO」、または「ラウンドロビン」方策と称され得る。いくつかのコンタクトセンターでは、FIFO割り当て方策を各スキルグループまたは待ち行列内に適用することに先立って、コンタクトまたはエージェントは、そのような異なる「スキルグループ」または「待ち行列」に割り当てられる。これらの「スキル待ち行列」は、ベースラインFIFO順序内の個々のコンタクトまたはエージェントに優先順位を付けるための方策も組み込み得る。例えば、優先順位の高いコンタクトは、より早い時間に着信した他のコンタクトより前の待ち行列位置を与えられ得、高い実績のエージェントは、自身の次の呼出をより長く可能ないる他のエージェントよりも前に順序付けられ得る。発信者の1つ以上の待ち行列または利用可能なエージェントの1つ以上の順序を形成することにおけるそのような変形例にかかわらず、コンタクトセンターは、典型的には、FIFOを待ち行列または他の順序付けに適用する。そのようなFIFO方策が確立されると、エージェントへのコンタクトの割り当ては、自動的であり、コンタクトセンターは、順序における最初のコンタクトを次の利用可能なエージェントに割り当てるか、または順序における最初のエージェントを次に着信するコンタクトに割り当てる。コンタクトセンター産業では、スキル待ち行列間のコンタクトおよびエージェント分配、スキル待ち行列内の優先順位付けおよび順序付け、および、その後のエージェントへのコンタクトのFIFO割り当てのプロセスは、典型的には、「自動呼分配」(「ACD」)と称されるシステムによって管理される。
【0005】
いくつかのコンタクトセンターは、利用可能なエージェントまたは時としてコンタクトの待ち行列の順序付けに「実績ベースルーティング」または「PBR」アプローチを使用し得る。例えば、コンタクトが複数の利用可能なエージェントを有するコンタクトセンターに着信すると、そのコンタクトへの割り当てのために利用可能なエージェントの順序付けは、最高実績の利用可能なエージェント(例えば、最高売上変換率、最高顧客満足度スコア、最短平均処理時間、特定のコンタクトプロフィールに対して最高実績のエージェント、最高顧客維持率、最低顧客維持コスト、最高初回呼出解決率を伴う利用可能なエージェント)を先頭とするであろう。
【0006】
PBR順序付け方策は、各コンタクト-エージェント対話の予期される結果を最大化することを試みるが、典型的には、コンタクトセンターにおけるエージェントを均一に利用することを考慮せずに行われる。その結果、より実績の高いエージェントは、著しくより多いコンタクトを受信し、過労を感じ得る一方、より実績の低いエージェントは、より少ないコンタクトを受信し、より長くアイドル状態になり、潜在的に、自身の訓練および向上のための機会を失うと同時に、潜在的に、自身の報酬を低減させ得る。
【0007】
前述の観点から、エージェントの利用をバランスさせながら、FIFO方策がもたらすものを超えてコンタクトセンター実績を向上させることを試みるシステムの必要性があることを理解されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
コンタクトセンターシステムにおける行動ペアリングのための技法が、開示される。一特定の実施形態では、技法は、少なくとも1つのプロセッサによって、1つ以上のコンタクトを順序付けることと、1人以上のエージェントを順序付けることと、第1のペアにおける第1のコンタクトと第1のエージェントと間の順序付けにおける第1の差を、第2のペアにおける第2のコンタクトと第2のエージェントとの間の順序付けにおける第2の差と比較することと、少なくとも1つのプロセッサによって、比較することに基づいて、接続のために第1のペアまたは第2のペアを選択することとを含むコンタクトセンターにおけるペアリングのための方法として実現され得、第1のコンタクトおよび第2のコンタクトが異なり得るか、または第1のエージェントおよび第2のエージェントが異なり得る。
【0009】
本特定の実施形態の他の側面によると、比較することに基づいて、第1のペアまたは第2のペアを選択することは、少なくとも1つのプロセッサによって、対角線方策を順序付けに適用することをさらに含み得る。
【0010】
本特定の実施形態の他の側面によると、1つ以上のコンタクトの順序付けまたは1人以上のエージェントの順序付けは、パーセンタイルとして表され得る。
【0011】
本特定の実施形態の他の側面によると、1つ以上のコンタクトの順序付けまたは1人以上のエージェントの順序付けは、パーセンタイル範囲として表され得る。
【0012】
本特定の実施形態の他の側面によると、1つ以上のコンタクトの各々または1人以上のエージェントの各々は、各コンタクトまたは各エージェントのそれぞれのパーセンタイル範囲内のパーセンタイルを割り当てられ得る。
【0013】
本特定の実施形態の他の側面によると、割り当てられるパーセンタイルは、パーセンタイル範囲の中間点であり得る。
【0014】
本特定の実施形態の他の側面によると、割り当てられるパーセンタイルは、パーセンタイル範囲のランダムパーセンタイルであり得る。
【0015】
本特定の実施形態の他の側面によると、方法は、少なくとも1つのプロセッサによって、各コンタクトタイプのコンタクトが割り当てのために利用可能になる頻度に比例する、第1および第2の各コンタクトのコンタクトタイプのための帯域幅を決定することをさらに含み得る。
【0016】
本特定の実施形態の他の側面によると、方法はさらに、少なくとも1つのプロセッサによって、バランスのとれたエージェント利用を標的とすることを含み得る。
【0017】
本特定の実施形態の他の側面によると、バランスのとれたエージェント利用を標的とすることは、少なくとも1つのプロセッサによって、1人以上のエージェントの各々のため比例した帯域幅を決定することをさらに含み得る。
【0018】
本特定の実施形態の他の側面によると、選択されるペアの選択されるエージェントは、公平性メトリックにおいて遅滞が生じているエージェント、実績メトリックにおいて最上位と評価されるエージェント、特定のコンタクトタイプに対する実績メトリックにおいて最上位と評価されるエージェント、選択されるペアのコンタクトに以前に割り当てられたエージェント、順次に標識化されたエージェント、またはランダムに選択されたエージェントのいずれでもないこともある。
【0019】
本特定の実施形態の他の側面によると、選択されるペアリングの選択されるコンタクトは、コンタクトセンターにおける待ち行列の先頭におけるコンタクト、最長待ちコンタクト、最優先コンタクト、またはランダムに選択されたコンタクトのいずれでもないこともある。
【0020】
本特定の実施形態の他の側面によると、第1のペアおよび第2のペアのうちの選択されるものは、第1のペアおよび第2のペアのうちの他のものよりも悪い予期されるその時点の結果を備え得る。
【0021】
本特定の実施形態の他の側面によると、より上位に順序付けられたエージェントは、同様により上位に順序付けられたコンタクトへの後の割り当てのために利用可能なままであり得るか、またはより上位に順序付けられたコンタクトは、同様により上位に順序付けられたエージェントへの後の割り当てのために利用可能なままであり得る。
【0022】
別の特定の実施形態では、技法は、少なくとも1つのプロセッサを備えている、コンタクトセンターシステムにおける行動ペアリングのためのシステムとして実現され得、少なくとも1つのプロセッサは、上で説明される方法を実施するように構成される。
【0023】
別の特定の実施形態では、技法は、少なくとも1つのプロセッサを備えている、コンタクトセンターシステムにおけるペアリングのためのシステムとして実現され得、少なくとも1つのプロセッサは、上で説明される方法を実施するように構成され得る。
【0024】
別の特定の実施形態では、技法は、非一過性のプロセッサ読み取り可能な媒体と、媒体上に記憶されている命令とを備えている、コンタクトセンターシステムにおけるペアリングのための製造品として実現され得、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって媒体から読み取り可能であるように構成され得、それによって、少なくとも1つのプロセッサに上で説明される方法を実施するように動作させ得る。
【0025】
本開示は、ここで、付随の図面に示されるようなその特定の実施形態を参照してより詳細に説明される。本開示は、特定の実施形態を参照して以下に説明されるが、本開示は、それに限定されないことを理解されたい。本明細書の教示を利用できる当業者は、追加の実装、修正、および実施形態、ならびに他の使用分野を認識し、これらは、本明細書に説明されるように本開示の範囲内であり、それらに対して、本開示は、有意に有用であり得る。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
コンタクトセンターにおけるペアリングのための方法であって、
1つ以上のコンタクトを順序付けることと、
1人以上のエージェントを順序付けることと、
少なくとも1つのプロセッサによって、第1のペアにおける第1のコンタクトと第1のエージェントと間の順序付けにおける第1の差を、第2のペアにおける第2のコンタクトと第2のエージェントとの間の順序付けにおける第2の差と比較することと、
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記比較することに基づいて、接続のために前記第1のペアまたは前記第2のペアを選択することと
を含み、
前記第1のコンタクトと前記第2のコンタクトとが異なるか、または前記第1のエージェントと前記第2のエージェントとが異なり、
より上位に順序付けられたエージェントまたはより上位に順序付けられたコンタクトは、後の割り当てのために利用可能なままである、方法。
(項目2)
前記比較することに基づいて、前記第1のペアまたは前記第2のペアを選択することは、前記少なくとも1つのプロセッサによって、対角線方策を前記順序付けに適用することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記1つ以上のコンタクトの順序付けまたは前記1人以上のエージェントの順序付けは、パーセンタイルとして表されることができる、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記1つ以上のコンタクトの順序付けまたは前記1人以上のエージェントの順序付けは、パーセンタイル範囲として表されることができる、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記1つ以上のコンタクトの各々または前記1人以上のエージェントの各々は、各コンタクトまたは各エージェントのそれぞれのパーセンタイル範囲内のパーセンタイルを割り当てられる、項目4に記載の方法。
(項目6)
割り当てられるパーセンタイルは、パーセンタイル範囲の中間点である、項目5に記載の方法。
(項目7)
割り当てられるパーセンタイルは、パーセンタイル範囲のランダムパーセンタイルである、項目5に記載の方法。
(項目8)
前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記第1および第2の各コンタクトのコンタクトタイプのための帯域幅を決定することをさらに含み、前記帯域幅は、前記各コンタクトタイプのコンタクトが割り当てのために利用可能になる頻度に比例する、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記少なくとも1つのプロセッサによって、バランスのとれたエージェント利用を標的とすることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記バランスのとれたエージェント利用を標的とすることは、前記少なくとも1つのプロセッサによって、前記1人以上のエージェントの各々のために比例した帯域幅を決定することをさらに含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記選択されるペアの選択されるエージェントは、
公平性メトリックにおいて遅滞が生じているエージェント、
実績メトリックにおいて最上位と評価されるエージェント、
特定のコンタクトタイプに対する実績メトリックにおいて最上位と評価されるエージェント、
前記選択されるペアのコンタクトに以前に割り当てられたエージェント、
順次に標識化されたエージェント、または
ランダムに選択されたエージェント、
のうちのいずれでもない、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記選択されるペアリングの選択されるコンタクトは、
前記コンタクトセンターにおける待ち行列の先頭におけるコンタクト、
最長待ちコンタクト、
最優先コンタクト、または
ランダムに選択されたコンタクト、
のうちのいずれでもない、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記第1のペアおよび前記第2のペアのうちの選択されるものは、前記第1のペアおよび前記第2のペアのうちの他のものよりも悪い予期されるその時点の結果を備えている、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記第1のペアおよび前記第2のペアのうちの選択されるものは、前記第1のペアおよび前記第2のペアのうちの他のものよりも順序付けにおいて小さい絶対差を備えている、項目1に記載の方法。
(項目15)
コンタクトセンターシステムにおけるペアリングのためのシステムであって、前記システムは、少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
1つ以上のコンタクトを順序付けることと、
1人以上のエージェントを順序付けることと、
第1のペアにおける第1のコンタクトと第1のエージェントと間の順序付けにおける第1の差を、第2のペアにおける第2のコンタクトと第2のエージェントとの間の順序付けにおける第2の差と比較することと、
前記比較に基づいて、接続のために前記第1のペアまたは前記第2のペアを選択することと
を行うように構成され、
前記第1のコンタクトと前記第2のコンタクトとが異なるか、または前記第1のエージェントと前記第2のエージェントとが異なり、
より上位に順序付けられたエージェントまたはより上位に順序付けられたコンタクトは、後の割り当てのために利用可能なままである、システム。
(項目16)
前記第1のペアおよび前記第2のペアのうちの選択されるものは、前記第1のペアおよび前記第2のペアのうちの他のものよりも悪い予期されるその時点の結果を備えている、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記第1のペアおよび前記第2のペアのうちの選択されるものは、前記第1のペアおよび前記第2のペアのうちの他のものよりも順序付けにおいて小さい絶対差を備えている、項目15に記載のシステム。
(項目18)
コンタクトセンターシステムにおけるペアリングのための製造品であって、前記製造品は、
非一過性のプロセッサ読み取り可能な媒体と、
前記媒体上に記憶されている命令と
を備え、
前記命令は、少なくとも1つのプロセッサによって前記媒体から読み取り可能であるように構成され、それによって、
1つ以上のコンタクトを順序付けることと、
1人以上のエージェントを順序付けることと、
第1のペアにおける第1のコンタクトと第1のエージェントと間の順序付けにおける第1の差を、第2のペアにおける第2のコンタクトと第2のエージェントとの間の順序付けにおける第2の差と比較することと、
前記比較に基づいて、接続のために前記第1のペアまたは前記第2のペアを選択することと
を行うように前記少なくとも1つのプロセッサに動作させ、
前記第1のコンタクトと前記第2のコンタクトとが異なるか、または前記第1のエージェントと前記第2のエージェントとが異なり、
より上位に順序付けられたエージェントまたはより上位に順序付けられたコンタクトは、後の割り当てのために利用可能なままである、製造品。
(項目19)
前記第1のペアおよび前記第2のペアのうちの選択されるものは、前記第1のペアおよび前記第2のペアのうちの他のものよりも悪い予期されるその時点の結果を備えている、項目18に記載の製造品。
(項目20)
前記第1のペアおよび前記第2のペアのうちの選択されるものは、前記第1のペアおよび前記第2のペアのうちの他のものよりも順序付けにおいて小さい絶対差を備えている、項目18に記載の製造品。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示のより完全な理解を促進するために、ここで、同様の要素が同様の番号を用いて参照される、付随の図面を参照する。これらの図面は、本開示の限定として解釈されるべきではなく、例証にすぎないことが意図される。
【0027】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による、待ち行列の概略表現を示す。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による、待ち行列の概略表現を示す。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による、待ち行列の概略表現を示す。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態による、待ち行列の概略表現を示す。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態による、待ち行列の概略表現を示す。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態による、行動ペアリング方法のフロー図を示す。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態による、コンタクトセンターシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
典型的なコンタクトセンターは、コンタクトセンターに着信するコンタクトを、それらのコンタクトを処理するために利用可能なエージェントにアルゴリズム的に割り当てる。ある時は、コンタクトセンターは、「L1状態」にあり、利用可能であり、インバウンドまたはアウトバウンドコンタクト(例えば、通話、インターネットチャットセッション、電子メール)への割り当てを待つエージェントを有し得る。またある時は、コンタクトセンターは、「L2状態」にあり、コンタクトに、エージェントが割り当てのために利用可能になることを1つ以上の待ち行列において待たせ得る。そのようなL2待ち行列は、インバウンド、アウトバウンド、または仮想待ち行列であり得る。コンタクトセンターシステムは、L1およびL2状態の両方においてコンタクトをエージェントに割り当てるための種々の方策を実装する。
【0029】
本開示は、概して、伝統的に「自動呼分配」(「ACD」)システムと称される、コンタクトセンターシステムに関する。典型的には、そのようなACDプロセスは、コンタクトセンター内のスキル待ち行列間でコンタクトおよびエージェントを割り当てる役割を果たす、初期「スキルベースルーチング」(「SBR」)プロセスに続く。そのようなスキル待ち行列は、言語能力、顧客ニーズ、または特定のタスクの組におけるエージェント熟練度に基づいてコンタクトおよびエージェントを区別し得る。
【0030】
待ち行列内の最も一般的な伝統的割り当て方法は、「先入れ先出し」または「FIFO」割り当てであり、最長待ちコンタクトが、最長待ちエージェントに割り当てられる。いくつかのコンタクトセンターは、「実績ベースルーティング」(「PBR」)を実装し、最長待ちコンタクトが、最高実績の利用可能なエージェントに割り当てられる。両方のそのような割り当て方法の変形例が、一般的に、存在する。例えば、FIFOは、最長待ちエージェントではなく、最も利用されていない利用可能なエージェントを選択し得る。より一般的には、FIFOは、特定のメトリックまたは複数のメトリックにおいて最も遅滞が生じているエージェントを選択し得る。FIFOはまた、より優先順位の高いコンタクトタイプが、より優先順位の低いコンタクトタイプの前の待ち行列に位置付けられ得るようにコンタクトの待ち行列を順序付け得る。同様に、PBRは、エージェント実績ランキングが割り当て保留中のコンタクトのタイプに応じて改変され得るように修正され得る(例えば、Bala他、米国特許第7,798,876号)。PBRはまた、同僚と比較した最大または最小エージェント利用の限界を設定することによって、エージェント利用の極端な不均衡を回避するように修正され得る。
【0031】
FIFOの変形例は、典型的には、それらが経時的にエージェントへのコンタクトの割り当てをバランスさせるように設計されているので、「公平性」を標的とする。PBRは、エージェントへのコンタクトの割り当てが意図的に歪められた異なるアプローチを採用し、より実績の高いエージェントの利用を増加させ、より実績の低いエージェントの利用を低減させる。PBRは、過度に利用されたエージェントにおける疲労と利用不足のエージェントにおける不適正な訓練機会および報酬とからもたらされる経時的な士気および生産性への潜在的悪影響にもかかわらず、そのように行い得る。
【0032】
他の折衷的な割り当て方策が、一般的ではないが、まれに実践される。例えば、コンタクトは、着信時間、エージェント実績、または他の変数に関係なく、エージェントにランダムに割り当てられ得る。代替として、コンタクトセンターは、それらが直近で先に対話をしたエージェントにコンタクトを割り当てるようにし得る。加えて、L1シナリオにおけるエージェントは、「標識化方策」に基づいて順次に選択され得、エージェント割り当ての反復アルゴリズム的順序付けが、事前定義される(「エージェント1」、「エージェント2」、「エージェント3」、「エージェント1」、「エージェント2」、「エージェント3」、「エージェント1」等)。
【0033】
特に、本開示は、エージェントにコンタクトを割り当てるための伝統的割り当て方法を改善する最適化された方策に言及する。本開示は、そのような方策を「行動ペアリング」または「BP」方策と称する。行動ペアリングは、待ち行列(例えば、スキル待ち行列)内のエージェントのバランスのとれた利用を標的とする一方、同時に、FIFOまたはPBR方法が実践において達成するであろうものを潜在的に超えて全体的コンタクトセンター実績を向上させる。これは、BPがFIFOまたはPBR方法と同一のコンタクトおよび同一のエージェントに従い、FIFOが提供するようにエージェントの利用をほぼバランスさせる一方、FIFOまたはPBRのいずれかが実践において提供するものを超えて全体的コンタクトセンター実績を向上させるので、優れた成果である。
【0034】
BPは、全ての割り当ての利益が集約されると、それらがFIFOおよびPBR方策の利益を超え得るように、潜在的な後続のエージェントおよびコンタクトペアの割り当てを考慮する方式でエージェントおよびコンタクトペアを割り当てることによって、実績を向上させる。いくつかの場合では、BPは、FIFOまたはPBRが示すであろうものとは逆であり得るその時点のコンタクトおよびエージェントペアリングをもたらす。例えば、簡単な場合、BPは、最短待ちコンタクトまたは最低実績の利用可能なエージェントを選択し得る。BPは、「後のもの」を尊重し、そのような決定が経時的により良好なコンタクトセンター実績の確率を高める場合、システムは、本質的に、その一時点におい最高実績選択であり得るものを見合わせる方式でコンタクトをエージェントに割り当てる。
【0035】
図1は、BPがFIFOおよびPBR方策を改善する機構を例証する。この例は、簡略化された仮想の場合(待ち行列100)に対処し、2つのタイプのコンタクトが、コンタクトセンターが売上を最大化しようとしている環境において、2人のエージェントのうちのいずれかに割り当てられ得る。2つの均等に分配されたコンタクトタイプは、「60%コンタクト」および「20%コンタクト」であり、前者は、購入する可能性がより高い。2人のエージェントは、「50%エージェント」および「30%エージェント」であり、前者は、売り上げる可能性がより高い。この例はさらに、コンタクトとエージェントとの間の4つの可能な対話が、結果において掛け算であると仮定し、それによって、60%コンタクトが50%エージェントに割り当てられると、売上の全体的確率は、30%である。故に、この例における4つの可能な結果は、6%、10%、18%、および30%である。
【0036】
FIFO方策110において、全ての4つの可能な結果は、同じ可能性である。例えば、60%コンタクトが着信し、30%エージェントおよび50%エージェントの両方が利用可能である場合、いずれかのエージェントが、例えば、どちらのエージェントがより長く待っていたか、またはより少なく利用されたかに基づいて、等しい確率で選択され得る。同様に、30%エージェントが利用可能であり、60%コンタクトおよび20%コンタクトの両方が待ち行列100にある場合、いずれかのコンタクトが、例えば、どちらのコンタクトがより長く待っていたか(例えば、より早い着信時間)に基づいて、等しい確率および等しい優先順位で選択され得る。したがって、FIFO方策100では、待ち行列100の全体的な予期される売上高は、(6%+10%+18%+30%)/4=16%であろう。
【0037】
PBR方策120では、50%エージェントは、50%エージェントが利用可能になる度に優先的にコンタクトを割り当てられる。したがって、PBR方策120は、50%エージェントがコンタクトの着信時に常に利用可能である場合では、その最高の全体的な予期される売上高を達成するであろう。このピーク期待値は、(10%+30%)/2=20%である。しかしながら、このピーク期待値は、実践では達成される可能性が低い。例えば、コンタクトは、50%エージェントが従事し、30%エージェントが利用可能である間に着信し得る。この事例では、PBR方策120は、コンタクトを30%エージェントに割り当てるであろう。したがって、実践におけるPBR実績は、非優先割り当てが起こる事例の割合に比例して、FIFO方策110の実績に近いであろう。多くの場合では、複数のコンタクトが、待ち行列100において待ち得(L2状態)、50%エージェントを優先的に選択する機会がこともある。待ち行列100が持続的にL2状態にある場合、PBR方策120は、FIFO方策110と同じ割合で実施することが予期されるであろう。実際には、半分の時間に待ち行列100がL2状態にあり、さらに、50%エージェントが優先的に選択されているので、4分の1の時間に50%エージェントが利用不可能である場合、PBR方策120は、依然として、FIFO方策110に優る予期される改善を全く提供しないであろう。待ち行列100において、待ち行列100が長期間にわたってL1状態にあり、そのL1状態内に、50%エージェントと30%エージェントとの間で選択肢が存在するときのみ、PBR方策120は、FIFO方策110に優る有意な実績の利益を提供する。しかしながら、この場合では、待ち行列100は、潜在的にわずかな利益のために相当なアイドル状態の労働者を要求するであろうため、「人員過剰」になり得る。故に、実践では、PBRは、実質的にFIFOに優って実績を向上させることにおいて効果的ではない場合がある。
【0038】
BP方策130では、20%コンタクトが、30%エージェントに優先的に割り当てられ、60%コンタクトが、50%エージェントに優先的に割り当てられる。したがって、BP方策130下の待ち行列100の実績のピーク期待値は、(6%+30%)/2=18%である。重要なこととして、このピーク期待値は、L2状態のPBR方策120のように損なわれない。仮説上、持続的なL2状態のコンタクトの恣意的に長い待ち行列が存在する場合、30%エージェントが利用可能になる度に、割り当て保留中の60%コンタクトが存在し、50%エージェントが利用可能になる度に、割り当て保留中の20%コンタクトが存在するであろうため、BP方策130は、実際に、予期されるピーク実績において動作するであろう。
【0039】
2人のエージェントのみが待ち行列100において最大限に利用可能であるにもかかわらず、BP方策130は、依然として、L1状態においてPBR方策120よりも優れ得る。例えば、50%エージェントが半分の時間占有される場合、PBR方策120が他の半分の時間30%エージェントを選択せざるを得ないであろうため、PBR方策120は、利益を全くもたらさないであろう。しかしながら、BP方策130下のL1状態では、20%コンタクトの利用可能性は、その時点のペアリングにおいてより実績の低い30%エージェントの使用をもたらし、それによって、後続の割り当てのためにより実績の高い50%エージェントを保持するであろう。その後、次の反復では、60%コンタクトが割り当てのために利用可能になった場合、保持された50%エージェントの割り当ては、BP方策130の18%の予期されるピーク全体的実績をもたらすであろう。これは、およそ半分の時間に起こるはずであり、FIFOおよびPBR割り当て方策の両方に優る有意な改善をもたらす。ペアリングが成されるべきとき、利用可能なエージェントは、順序付けられ得、利用可能なコンタクトも、順序付けられ得る。1つのコンタクトのみがエージェントへの割り当てのために利用可能であるL1状態では、コンタクトの順序付けは、自明である。同様に、1人のエージェントのみがコンタクトへの割り当てのために利用可能であるL2状態では、エージェントの順序付けは、自明である。
【0040】
図1では、50%エージェントは、60%コンタクトとの優先ペアリングのために選択され、30%エージェントは、20%コンタクトとの優先ペアリングのために選択された。
図1の単純な解釈は、このプロセスがあるメトリック(
図1では、売上成功に寄与する確率)において最も近いエージェントにコンタクトタイプを割り当てることと同程度に単純であり得ることを示唆し得る。しかしながら、これは、非効率的なアプローチであり得る。
図2はさらに、どのようにそのような単純なアプローチが非効率的であり得るかを例証することによって、BPの概念を進歩させる。
【0041】
図2では、仮想待ち行列200が、2つのタイプのコンタクトである、購入に向けて40%の確率で寄与する「40%コンタクト」と、「20%コンタクト」とを提供する。待ち行列200はまた、2人のエージェントである、売上に向けて80%の確率で寄与する「80%エージェント」と、「60%エージェント」とを有する。とりわけ、40%コンタクトおよび20%コンタクトは両方とも、その選定されたメトリックにおいて、80%エージェントよりも60%エージェントに近い。故に、単純なBP方策230は、20%コンタクトおよび40%コンタクトの両方を60%エージェントに優先的にペアリングし、より実績の高い80%エージェントをアイドル状態のままにするであろう。これは、実際には、予期される結果が(12%+16%+24%+32%)/4=21%のFIFO方策210、または予期されるピーク結果が(16%+32%)/2=24%のPBR方策220のいずれよりもかなり悪い(12%+24%)/2=18%の予期されるピーク結果をもたらし得る。
【0042】
図3は、
図2の単純なアプローチが改善され得る方法を例証する。等しい頻度で起こる2つのタイプのコンタクト、2人のエージェント、および待ち行列200のものと同じ売上確率を伴う4つの対応する象限が存在するので、待ち行列300は、待ち行列200と類似する。しかしながら、コンタクトは、もはや購入の確率に向けたその寄与に基づいて標識化されていない。代わりに、コンタクトは、その相対的寄与度に基づいて順序付けられ、次いで、より下位に順序付けられたコンタクトが0%~50%のパーセンタイル範囲を占め、中間点が25%であり(「0.25コンタクト」)、より上位に順序付けられたコンタクトが50%~100%のパーセンタイル範囲を占め、中間点が75%である(「0.75コンタクト」)ようにパーセンタイル化されている。明確化のために、本開示は、パーセンタイル範囲を、パーセンテージの範囲または0~1に及ぶ小数点パーセンテージと称する。いくつかの実施形態では、他のn数タイルまたはパーセンテージ範囲が、使用され得る。
【0043】
同様に、エージェントは、順序付けられ、0.25エージェントおよび0.75エージェントにパーセンタイル化されている。コンタクトは、次いで、第1の軸(この事例では、Y軸またはグリッドの行)上に最低パーセンタイル中間点から最高のものへと順番に位置付けられ、エージェントも同様に、第2の軸(この事例では、X軸またはグリッドの列)上に位置付けられる。そのような構造下では、最も近いパーセンタイル中間点を伴うエージェントとコンタクトのペアリングを割り当てる対角線方策が、BP方策、この場合ではBP方策330を構築する改善された機構である。BP方策330下では、待ち行列300の予期されるピーク実績は、FIFO方策310の予期される実績の(12%+16%+24%+32%)/4=21%を超え、潜在的に、PBR方策320の予期されるピーク実績の(16%+32%)/2=24%を超え得る、(12%+32%)/2=22%であろう。
【0044】
図1および
図3は、BPがFIFOおよびPBR方策に優って実績を向上させ得る方法を例証するが、それらは、異なるタイプのコンタクトが等しい割合で着信すると仮定することによってそのように行う。そのような仮定は、実践では不正確であり得、
図1および3の概念を3つ以上のコンタクトタイプのより一般的な環境、またはコンタクトタイプの割合が変動するより一般的な環境に拡張することは、非効率的であることが分かり得る。同様に、
図1および3は、2人のコンタクトセンターエージェントのみが待ち行列に割り当てられると仮定する。しかしながら、多くのコンタクトセンターでは、待ち行列に割り当てられるエージェントの実際の数は、かなり多い。
【0045】
図4は、いかに
図3の方策が非効率的であることが分かり得、かつそのような方策を改善する方法を例証する。仮想待ち行列400は、3つのコンタクトタイプである、0%~48%のパーセンタイル範囲に及ぶ「0.24コンタクト」タイプ、48%~82%のパーセンタイル範囲に及ぶ「0.65コンタクト」タイプ、および82%~100%のパーセンタイル範囲に及ぶ「0.91コンタクト」タイプを定義する。したがって、0.24コンタクトは、コンタクトセンターコンタクトの48%を構成し、0.65コンタクトは、34%を構成し、0.91コンタクトは、残りの18%を表す。したがって、0.24コンタクトは、あるメトリックに沿って最下位に順序付けられるコンタクトであると仮定され得る一方、0.91コンタクトは、最上位に順序付けられるものと仮定され得る。
【0046】
待ち行列400は、3人の等しく利用可能なエージェントである、「0.166エージェント」、「0.500エージェント」、および「0.833エージェント」を有する。0.166エージェントは、パーセンタイル範囲0%~33.3%の中間点を占め、したがって、あるメトリックに従って最下位に順序付けられるエージェントである一方、対応して、0.833エージェントは、パーセンタイル範囲66.6%~100%の中間点を占め、したがって、最上位に順序付けられるエージェントである。エージェント0.500は、33.3%~66.6%のパーセンタイル範囲を占める、中間に順序付けられるエージェントである。
【0047】
非効率的なBP方策410は、パーセンタイル中間点の近さに基づいてコンタクトをエージェントと優先的にペアリングする、
図3の方策を厳密に拡張するであろう。これは、0.24コンタクトが0.166エージェントに優先的に割り当てられ、0.65コンタクトが0.500エージェントに割り当てられ、0.91コンタクトが0.833エージェントに割り当てられることをもたらすであろう。そのような方策は、エージェント0.166を最も多く利用し、エージェント0.833を最も少なく利用する傾向にあるであろうため、潜在的な非効率性をもたらすであろう。これは、0.24コンタクトが全てのコンタクトの48%を表し、エージェント利用可能性の33.3%のみを表すエージェント0.166に優先的に割り当てられるからである。同様に、0.91コンタクトは、全てのコンタクトの18%を表し、エージェント利用可能性の33.3%を表すエージェント0.833に優先的に割り当てられ、したがって、エージェント0.833は、結果として潜在的に活用されない。より下位に順序付けられたエージェントを利用するそのような偏重は、非効率的なBP方策410をもたらし、FIFOまたはPBRのものを下回り得る準最適な実績をもたらし得る。
【0048】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、非効率的なBP方策410を改善する技法を例証する。パーセンタイル範囲0%~48%、48%~82%、および82%~100%を占める3つのコンタクトタイプが存在するので、待ち行列500は、待ち行列400と実質的に類似する。待ち行列500はまた、0%~33.3%、33.3%~66.6%、および66.6%~100%のパーセンタイル範囲を占める3人のエージェントを有し、それらは、それらのパーセンタイル範囲中間点を示すために、対応して、「0.166エージェント」、「0.500エージェント」、および「0.833エージェント」と名付けられる。待ち行列400(
図4)と異なり、各コンタクトタイプは、その範囲の中間点ではなく、そのパーセンタイル範囲によって参照される。
【0049】
効率的なBP方策510は、対角線方策に最も近いように努力することによって、非効率的なBP方策410を改善する。しかしながら、コンタクトおよびエージェントのパーセンタイルを精密に整合させることが可能であった例による待ち行列300の簡略化された場合と異なり、効率的なBP方策510は、コンタクトタイプとエージェントとの間の1対1対応の仮定を緩和し、代わりに、パーセンタイルの範囲間の対応を確立することによって、エージェントのバランスのとれた利用を標的とすることに戻る。
【0050】
いくつかの実施形態では、各コンタクトタイプは、各コンタクトタイプのパーセンタイル範囲内のパーセンタイルを割り当てられ得る。これらのパーセンタイルは、ランダムに割り当てられ得る。このシナリオでは、最下位に順序付けられた、最も高頻度のコンタクト(0%~48%コンタクト)のうちの一部は、好ましくは、最下位に順序付けられた0.166エージェントに割り当てられ得る一方、最下位に順序付けられた最も高頻度のコンタクトのうちの他のものは、好ましくは、中間に順序付けられた0.500エージェントに割り当てられ得る。同様に、中間に順序付けられた、中間頻度のコンタクト(48%~82%コンタクト)のうちの一部は、好ましくは、中間に順序付けられた0.500エージェントに割り当てられ得る一方、他のものは、好ましくは、最高実績の0.833エージェントに割り当てられ得る。
【0051】
例えば、0%~48%コンタクトが着信する場合、そのコンタクトは、10%(0.10)のランダムパーセンタイルを受け得る。待ち行列500におけるエージェントの全てが割り当てのために利用可能であると仮定すると、対角線方策は、好ましくは、この0%~48%コンタクトを0.166エージェントに割り当てるであろう。10%のパーセンタイルを概念上割り当てられたコンタクトは、0%~33.3%のパーセンタイル範囲を占める0.166エージェントに一致するパーセンタイル範囲(または「帯域幅」)内に入る。
【0052】
次に着信するコンタクトは、別の0%~48%コンタクトであり得る。この事例では、コンタクトは、42%(0.42)のランダムパーセンタイルを受け得る。再び、待ち行列500におけるエージェントの全てが割り当てのために利用可能であると仮定すると、対角線方策は、好ましくは、この0%~48%コンタクトを0.500エージェントに割り当て、0.500エージェントは、33.3%~66.6%のパーセンタイル範囲を占める。
【0053】
効率的なBP方策510下では、3人のエージェントの各々は、経時的に全てのコンタクトの約3分の1を受信すると予期されるので、非効率的なBP方策410(
図4)下のように、最下位に順序付けられた0.166エージェントは、他のエージェントと比較してもはや過剰に利用されず、最上位に順序付けられた0.833エージェントは、他のエージェントと比較してもはや利用不足にならない。さらに、いくつかの場合では、より上位に順序付けられた(例えば、より実績の高い)エージェントが、非効率的なBP方策410下よりも効率的なBP方策510下で多く利用されるので、予期されるピーク実績は、非効率的なBP方策410のものと比較して、効率的なBP方策510の場合、より高くなり得る。
【0054】
図6は、本開示の実施形態による、行動ペアリング方法600を描写する。ブロック610において、行動ペアリング方法400が、開始され得る。
【0055】
ブロック610において、パーセンタイル(またはn数タイル、分位点、パーセンタイル範囲、帯域幅、または他のタイプの「スコア」もしくはスコア範囲等)が、各利用可能なコンタクトに対して決定され得る。コンタクトが待ち行列において保留状態で待っている状況に対して、パーセンタイルは、待ち行列において保留状態で待っている各コンタクトに対して決定され得る。コンタクトが待ち行列において保留状態で待っていない状況に対して、パーセンタイルは、コンタクトセンターに着信する次のコンタクトに割り当てられ得る。パーセンタイルは、コンタクトについての情報に基づいて、コンタクトの特定のタイプまたはグループに対して定義されたパーセンタイルの範囲によって境界を付けられ得る。パーセンタイル境界または範囲は、コンタクトタイプに対する頻度分布または他のメトリックに基づき得る。パーセンタイルは、タイプのパーセンタイル範囲内でランダムに割り当てられ得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、パーセンタイルは、コンタクトセンターにおいて最適化されるべき特定のメトリックまたはメトリックの組み合わせに従って順序付けられ得、比較的に高いパーセンタイルを有するように決定されたコンタクトは、これらのコンタクトがコンタクトセンターにおいてより高い全体的実績に寄与する可能性がより高いので、コンタクトセンターに対して「より高い価値」のコンタクトであると考えられ得る。例えば、比較的に高いパーセンタイルのコンタクトは、比較的に高い購入可能性を有し得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、パーセンタイルは、コンタクトがコンタクトセンターに着信した時点でコンタクトに対して決定され得る。他の実施形態では、パーセンタイルは、コンタクトが特定のスキル待ち行列もしくはACDシステムに着信したとき、またはペアリングが為されることを要求されたとき等、後の時点でコンタクトに対して決定され得る。
【0058】
パーセンタイルがペアリングのために各利用可能なコンタクトに対して決定された後、行動ペアリング方法600は、ブロック620に進み得る。いくつかの実施形態では、ブロック620は、ブロック610に先立って、またはそれと同時に実施され得る。
【0059】
ブロック620において、パーセンタイルが、各利用可能なエージェントに対して決定され得る。エージェントがアイドル状態であり、コンタクトの着信を待っている状況に対して、パーセンタイルは、各アイドル状態のエージェントに対して決定され得る。待ち行列のエージェントが全てビジーである状況に対して、パーセンタイルは、次に利用可能になるエージェントに決定され得る。パーセンタイルは、待ち行列(例えば、スキル待ち行列)に割り当てられたエージェントの全て、または特定の待ち行列に割り当てられた利用可能なエージェントのみに基づいて定義された、パーセンタイルの範囲(例えば、「帯域幅」)によって境界を付けられ得る。いくつかの実施形態では、パーセンタイルの境界または範囲は、所望されるエージェント利用(例えば、公平性、効率、または実績)に基づき得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、エージェントパーセンタイルは、コンタクトセンターにおいて最適化されるべき特定のメトリックまたはメトリックの組み合わせに従って順序付けられ得、比較的に高いパーセンタイルを有するように決定されたエージェントは、コンタクトセンターに対してより実績の高いエージェントであると考えられ得る。例えば、比較的に高いパーセンタイルのエージェントは、比較的に高い売上可能性を有し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、エージェントのパーセンタイルは、エージェントがコンタクトセンター内で利用可能になった時点で決定され得る。他の実施形態では、パーセンタイルは、ペアリングが為されることを要求されたとき等、後の時点で決定され得る。
【0062】
パーセンタイルが各利用可能なエージェントおよびコンタクトに対して決定された後、行動ペアリング方法600は、ブロック630に進み得る。
【0063】
ブロック630において、利用可能なコンタクトと利用可能なエージェントのペアが、ブロック610における各利用可能なコンタクトに対して決定されたパーセンタイルと、ブロック620における各利用可能なエージェントに対して決定されたパーセンタイルとに基づいて決定され得る。いくつかの実施形態では、ペアは、対角線方策に従って決定され得、より類似したパーセンタイル(または最も類似したパーセンタイル)を伴うコンタクトおよびエージェントが、ペアリングのために選択され得る。例えば、行動ペアリングモジュールが、コンタクトのスコアとエージェントのスコアとの間に最小の絶対差を伴うコンタクト-エージェントペアリングを選択し得る。
【0064】
いくつかの状況では、コンタクトが着信したとき、複数のエージェントが、アイドル状態であり得る(L1状態)。BP下では、新しく利用可能なコンタクトは、他の利用可能なエージェントよりもコンタクトのスコアと類似したスコアを有する利用可能なエージェントのうちの選択されたものとペアリングされ得る。他の状況では、複数のコンタクトが、待ち行列においてエージェントが利用可能になるときを待ち得る(L2状態)。BP下では、新しく利用可能なエージェントは、待ち行列において待つ他のコンタクトよりもエージェントのパーセンタイルと類似したパーセンタイルを有する、待ち行列において待つコンタクトのうちの選択されたものとペアリングされ得る。
【0065】
いくつかの状況では、スコアの類似性に基づいてペアリングを選択することは、最高実績のその時点のペアリングでないこともあるその時点のペアリングの選択をもたらし得、むしろ、より良好な将来のペアリングの可能性を高める。
【0066】
ペアリングがブロック630において決定された後、行動ペアリング方法600は、ブロック640に進み得る。ブロック640において、コンタクトセンターシステム内のモジュールが、コンタクト-エージェントペアのコンタクトおよびエージェントが互いに接続されるようにし得る。例えば、行動ペアリングモジュールは、ACDシステムまたは他のルーティングデバイスが、特定のコンタクトを特定のエージェントに分配し得ることを示し得る。
【0067】
ブロック640においてコンタクトおよびエージェントを接続した後、行動ペアリング方法600は、終了し得る。いくつかの実施形態では、行動ペアリング方法600は、1つ以上の追加のペアリングを決定するために、ブロック630に戻り得る(図示せず)。他の実施形態では、行動ペアリング方法600は、利用可能なコンタクトまたはエージェントに対するパーセンタイルを決定(または再決定)するために、ブロック610またはブロック620に戻り得る(図示せず)。
【0068】
図5は、本開示の実施形態による、コンタクトセンターシステム700のブロック図を示す。本明細書の説明は、1つ以上のモジュールを含み得るコンタクトセンターシステムをシミュレートするためのシステムならびに方法のネットワーク要素、コンピュータ、および/もしくは構成要素を説明する。本明細に使用される場合、用語「モジュール」は、コンピューティングソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、および/またはそれらの種々の組み合わせを指すように理解され得る。しかしながら、モジュールは、ハードウェア、ファームウェア上に実装されない、またはプロセッサ読み取り可能な記録可能記憶媒体上に記録されないソフトウェアとして解釈されるべきではない(すなわち、モジュールは、それ自体がソフトウェアではない)。モジュールは、例示的であることに留意されたい。モジュールは、種々の用途をサポートするために、組み合わせられる、統合され、分離され、および/または複製され得る。さらに、特定のモジュールにおいて実施されるように本明細書に説明される機能が、特定のモジュールにおいて実施される機能の代わりに、またはそれに加えて、1つ以上の他のモジュールにおいて、および/または1つ以上の他のデバイスによって実施され得る。さらに、モジュールは、互いにローカルまたはリモートの複数のデバイスおよび/もしくは他の構成要素を横断して実装され得る。加えて、モジュールは、1つのデバイスから移動され、別のデバイスに追加され得、および/または両方のデバイス内に含まれ得る。
【0069】
図7に示されるように、コンタクトセンターシステムは、中央スイッチ710を含み得る。中央スイッチ710は、着信するコンタクト(例えば、発信者)を受信し得、またはダイヤラ、遠隔通信ネットワーク、もしくは他のモジュール(図示せず)を介してコンタクトへのアウトバウンド接続をサポートし得る。中央スイッチ710は、コンタクトルーティングハードウェアおよびソフトウェアを含み得、それらは、1つ以上のコンタクトセンター間でコンタクトをルーティングするため、またはコンタクトセンター内の1つ以上のPBX/ACDもしくは他の待ち行列もしくは切り替え構成要素にコンタクトをルーティングするために役立つ。
【0070】
コンタクトセンターが1つしか存在しない場合、またはPBX/ACDルーティング構成要素が1つしか存在しない場合、中央スイッチ710は、コンタクトセンターシステム700において必要ではないこともある。2つ以上のコンタクトセンターがコンタクトセンターシステム700の一部である場合、各コンタクトセンターは、少なくとも1つのコンタクトセンタースイッチ(例えば、コンタクトセンタースイッチ720Aおよび720B)を含み得る。コンタクトセンタースイッチ720Aおよび720Bは、中央スイッチ710に通信可能に結合され得る。
【0071】
各コンタクトセンターのための各コンタクトセンタースイッチは、複数のエージェント(またはその「集団」)に通信可能に結合され得る。各コンタクトセンタースイッチは、ある数のエージェント(または「シート」)が1度にログインするようにサポートし得る。任意の所与の時点で、ログインしたエージェントが利用可能であり、コンタクトに接続されることを待ち得るか、または、ログインしたエージェントは、別のコンタクトに接続されているか、呼についてのロギング情報等のある呼後機能を実施しているか、もしくは休憩している等のいくつかの理由のいずれかのために利用可能でないこともある。
【0072】
図5の実施例では、中央スイッチ710は、それぞれ、コンタクトセンタースイッチ720Aおよびコンタクトセンタースイッチ720Bを介して、2つのコンタクトセンターのうちの1つにコンタクトをルーティングする。コンタクトセンタースイッチ720Aおよび720Bの各々は、各2人のエージェントとともに示される。エージェント730Aおよび730Bが、コンタクトセンタースイッチ720Aにログインされ得、エージェント730Cおよび730Dが、コンタクトセンタースイッチ720Bにログインされ得る。
【0073】
コンタクトセンターシステム700はまた、例えば、サードパーティベンダからの統合サービスに通信可能に結合され得る。
図5の実施例では、行動ペアリングモジュール600は、中央スイッチ710、コンタクトセンタースイッチ720A、またはコンタクトセンタースイッチ720B等、コンタクトセンターシステム700のスイッチシステムにおける1つ以上のスイッチに通信可能に結合され得る。いくつかの実施形態では、コンタクトセンターシステム700のスイッチは、複数の行動ペアリングモジュールに通信可能に結合され得る。いくつかの実施形態では、行動ペアリングモジュール740は、コンタクトセンターシステムの構成要素内に組み込まれ得る(例えば、スイッチ内に、または別様にそれと統合され得る)。
【0074】
行動ペアリングモジュール740は、スイッチにログインされたエージェント(例えば、エージェント730Aおよび730B)について、および別のスイッチ(例えば、中央スイッチ710)を介して、またはいくつかの実施形態では、ネットワーク(例えば、インターネットまたは遠隔通信ネットワーク)(図示せず)から着信するコンタクトについての情報を、スイッチ(例えば、コンタクトセンタースイッチ720A)から受信し得る。
【0075】
行動ペアリングモジュール740は、この情報を処理し、どのコンタクトがどのエージェントとペアリング(例えば、一致、割り当て、分配、ルーティング)されるべきかを決定し得る。例えば、複数のエージェントが、利用可能であり、コンタクトへの接続を待っており(L1状態)、コンタクトが、ネットワークまたは中央スイッチを介してコンタクトセンターに着信する。上で説明されるように、行動ペアリングモジュール740を伴わない場合、コンタクトセンタースイッチは、典型的には、新しいコンタクトを、「公平」FIFO方策下では、最長時間エージェントを待っているどんな利用可能なエージェントにも、またはPBR方策下では、最高実績のエージェントであると決定されどんな利用可能なエージェントにも自動的に分配するであろう。
【0076】
行動ペアリングモジュール740を伴う場合、コンタクトおよびエージェントは、ペアリングモデルまたは他の人工知能データモデルに従って、スコア(例えば、パーセンタイルまたはパーセンタイル範囲/帯域幅)を与えられ得、したがって、コンタクトは、好ましいエージェントに一致、ペアリング、または別様に接続され得る。
【0077】
L2状態では、複数のコンタクトが、利用可能であり、エージェントへの接続を待ち、エージェントが、利用可能になる。これらのコンタクトは、PBXまたはACDデバイス(「PBX/ACD」)等のコンタクトセンタースイッチにおいて待ち行列に入れられ得る。行動ペアリングモジュール740を伴わない場合、コンタクトセンタースイッチは、典型的には、エージェント選択肢が利用可能ではない場合、新しく利用可能なエージェントを、「公平」FIFO方策またはPBR方策のように待ち行列において最長時間保留状態で待っているどんなコンタクトにも接続するであろう。いくつかのコンタクトセンターでは、先に説明されるように、優先順位待ち行列も、組み込まれ得る。
【0078】
L2シナリオにおいて行動ペアリングモジュール740を伴う場合、上で説明されるL1状態のように、コンタクトおよびエージェントは、例えば、人工知能モデル等のモデルに従って、パーセンタイル(またはパーセンタイル範囲/帯域幅等)を与えられ得、したがって、利用可能になるエージェントは、好ましいコンタクトに一致、ペアリング、または別様に接続され得る。
【0079】
この点において、上で説明されるような本開示による、コンタクトセンターシステムにおける行動ペアリングは、入力データの処理および出力データの生成をある程度伴い得ることに留意されたい。この入力データ処理および出力データ生成は、ハードウェアまたはソフトウェアにおいて実装され得る。例えば、特定の電子構成要素が、上で説明されるような本開示による、コンタクトセンターシステムにおける行動ペアリングに関連付けられる機能を実装するために、行動ペアリングモジュールまたは類似もしくは関連回路において採用され得る。代替として、命令に従って動作する1つ以上のプロセッサが、上で説明されるような本開示による、コンタクトセンターシステムにおける行動ペアリングに関連付けられる機能を実装し得る。そのような場合、そのような命令は、1つ以上の非一過性プロセッサ読み取り可能な記憶媒体(例えば、磁気ディスクまたは他の記憶媒体)上に記憶されるか、または1つ以上の搬送波において具現化される1つ以上の信号を介して1つ以上のプロセッサに伝送され得ることは、本開示の範囲内である。
【0080】
本開示は、本明細書に説明される具体的実施形態によって範囲を限定されるべきではない。実際には、本明細書に説明されるものに加えて、本開示の他の種々の実施形態および修正が、前述の説明および付随の図面から当業者に明白であろう。したがって、そのよう他の実施形態および修正は、本開示の範囲内に入ることが意図される。さらに、本開示は、少なくとも1つの特定の目的のための少なくとも1つの特定の環境における少なくとも1つの特定の実装の文脈において本明細書に説明されたが、当業者は、その有用性が、それに限定されず、本開示が、有益なこととして、任意の数の目的のために任意の数の環境において実装され得ることを認識するであろう。故に、以下に記載される請求項は、本明細書に説明されるような本開示の完全な範囲および精神を考慮して解釈されるべきである。