(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145536
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】封入されたまたは一体型のフィルタを備えるピペットおよびピペットを成形するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B29C 49/20 20060101AFI20231003BHJP
B01L 3/02 20060101ALI20231003BHJP
B29C 49/08 20060101ALI20231003BHJP
B29C 51/10 20060101ALI20231003BHJP
B29C 51/12 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B29C49/20
B01L3/02 B
B29C49/08
B29C51/10
B29C51/12
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115803
(22)【出願日】2023-07-14
(62)【分割の表示】P 2020529353の分割
【原出願日】2018-11-28
(31)【優先権主張番号】62/592,914
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】ジョン クロード カドッテ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ヴェヌ クリシュナ ピライ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル カート シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ マーク シーモア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一体型のまたは封入されたフィルタを有する測定ピペットを成形するための装置を提供する。
【解決手段】中空内部133を画定する管状壁を有する熱可塑性チューブ118を成形する流動性の熱可塑性材料112を生じさせるように構成された押出機110と、前記熱可塑性チューブ118を収容するように構成された型キャビティ122を有する型120と、前記熱可塑性チューブ118が前記型キャビティ122内にある間に、フィルタ材料104またはフィルタ材料プリカーサを前記中空内部133の少なくとも一部へ供給するように構成された材料エジェクタ102と、を備える装置とする。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタを有するピペットを製造するための装置であって、
中空内部を画定する管状壁を有する熱可塑性チューブを成形する流動性の熱可塑性材料を生じさせるように構成された押出ダイと、
前記熱可塑性チューブを収容するように構成された型キャビティを有する型と、
前記熱可塑性チューブが前記型キャビティ内にある間に、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサを前記中空内部の少なくとも一部へ供給するように構成された材料エジェクタと、
を備える装置。
【請求項2】
前記材料エジェクタは、予め製造された別個のフィルタエレメントを構成したフィルタ材料を固体状態で前記中空内部の前記少なくとも一部へ供給するように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを流動可能な形態で前記中空内部の前記少なくとも一部へ射出するように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項4】
長手方向軸線が前記管状壁の中心に沿って規定可能であり、
前記材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを流動可能な形態で前記長手方向軸線に対して実質的に平行な方向または前記長手方向軸線と一致する方向で前記中空内部の前記少なくとも一部へ排出するように構成された出口を有する、請求項1から3までのいずれか1つ記載の装置。
【請求項5】
長手方向軸線が前記管状壁の中心に沿って規定可能であり、
前記材料エジェクタは、前記フィルタ材料プリカーサを流動可能な形態で前記管状壁を通じて前記長手方向軸線に対して非平行な方向で前記中空内部の前記少なくとも一部へ排出するように構成された出口を有する、請求項1から3までのいずれか1つ記載の装置。
【請求項6】
前記材料エジェクタは、液体成分を含むポリマーフォーム形成組成物で構成されたフィルタ材料プリカーサの供給部と接続されている、請求項1から5までのいずれか1つ記載の装置。
【請求項7】
前記材料エジェクタは、発泡性の熱可塑性組成物および発泡剤で構成されたフィルタ材料プリカーサの供給部と接続されている、請求項1から5までのいずれか1つ記載の装置。
【請求項8】
前記押出ダイは押出ダイ出口を有し、前記材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを前記押出ダイ出口を通じて前記中空内部の前記少なくとも一部へ供給するように構成されている、請求項1から7までのいずれか1つ記載の装置。
【請求項9】
前記型キャビティは、前記管状壁の前記少なくとも一部を膨張させて前記型キャビティの成形面と接触させるために十分な差圧を前記管状壁の両側に形成したときに、前記型キャビティからのガスの逃げ出しを可能にするように構成された複数のガス出口を有する、請求項1から8までのいずれか1つ記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2017年11月30日に出願された米国特許仮出願第62/592914号明細書の米国特許法第120条による優先権の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が依拠されかつ本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、改良されたフィルタを有する一体型測定ピペットおよび一体型測定ピペットを成形するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ピペットは、通常は両端部に開口を有しかつ測定された量の液体を排出するように設計された公知の管状の装置である。ピペットは、流体の正確な測定および排出が要求される多くの産業、特に、医学的および実験室試験および分析分野において広く使用されてきた。測定ピペットは、一般的に、一方のテーパした端部を備える直線的なガラスまたはプラスチックチューブを構成しており、同一のピペットによって様々な量の液体を測定することができるように小さく区分けして目盛付けされている。測定ピペットは、モールピペット(先端付近においてテーパが開始する前に終了した目盛マークを有する)および血清学ピペット(先端付近のテーパした領域まで続く目盛マークを有する)を含む。
【0004】
(i)吸口および先端構成部材を中空チューブに溶接する、(ii)厚いチューブを再加熱した後、一方または両方の端部においてピペットを延伸およびトリミングし、先端および吸口を成形する、(iii)真空成形およびブロー成形を含む、差圧を加えることによる成形、を含む、ピペットを製造するための多くの異なる方法が存在する。これらの各方法は、コスト、品質および/または性能に関するトレードオフを伴う。
【0005】
ピペットを成形するために、方法(iii)による差圧を加えることによって成形する例は、コーニング社へ譲渡されかつここで参照により本明細書に援用される“Unitary Serological Pipette and Methods of Producing the Same”という発明の名称の特許文献1に開示されている。このような方法に従って製造されてもよい典型的なピペット10が
図1Aに示されており、ピペット10は、入口領域12と、本体領域14と、先端領域16とを有し、前記領域の拡大した部分がそれぞれ
図1B~
図1Dに示されている(
図1A~
図1Dは、特許文献1に添付された図に対応する)。入口領域12、本体領域14および先端領域16のそれぞれは、対応する壁厚(すなわち、入口厚さ22、本体厚さ24および先端厚さ26)と、対応する直径(すなわち、入口直径32、本体直径34および先端直径36)とを有してもよい。
図1B~
図1Dは、また、空間18を包囲した内側湾曲面11を有するピペット10を示している。
図1Aを参照すると、ピペット10は、長手方向軸線に沿って整列させられた入口13および先端15を有し、入口13付近にフィルタ19を有する。選択的に、ピペット10は、入口領域12と本体領域14との間の入口-本体移行領域20と、本体領域14と先端領域16との間の本体-先端移行領域21とを有してもよい。ある実施態様において、流体および/または粒子状材料の残留を低減するために、移行領域20,21には実質的に滑らかな内面31が設けられている。ピペット10は、ピペット10内の空間18に含まれた液体の体積を示すために(少なくとも)本体領域14の外面30に沿って印刷(またはインプリント)された一連の目盛付き体積マーク17を有してもよい。ピペット10は、特定の体積(例えば、1mL(1cm
3)、2mL(2cm
3)、5mL(5cm
3)、10mL(10cm
3)、25mL(25cm
3)、50mL(50cm
3)、100mL(100cm
3)または別の所望の体積)の液体を保持するようにサイズ決めされていてもよい。ピペット10は、ガラスまたはポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリエチレンまたはポリプロピレン)などのあらゆる適切な材料から製造されてもよい。
【0006】
選択的に、入口厚さ22、先端厚さ26、または入口厚さ22および先端厚さ26の両方は、本体厚さ24と同じであってもよい。ある実施態様において、入口厚さ22、先端厚さ26および本体厚さ24のうちの1つ、幾つかまたは全ては、0.25mm~2.5mm、0.4mm~1.5mm、0.6mm~1.0mm、0.25mm~約0.5mmまたは約0.25mm~約0.5mmの範囲にあってもよい。開口および先端領域12,16における厚さの増大は、これらの領域を使用中の損傷または破壊に対してより耐久性があるものにすることなどによって、ある利点を提供することがある。入口、本体および先端の直径32,34,36はそれぞれ、外側において(例えば、ピペット10の外面における互いに反対側の点の間において)測定されてもよい。選択的に、本体直径34は、入口直径32または先端直径36より大きくてもよい。特定の本体直径34は、ピペット10が保持するようにサイズ決めされた液体の体積に依存してもよい。ある実施形態において、本体直径は、約4.0mm~約25.0mmの範囲にあってもよい。
【0007】
差圧を加えながら成形することによるピペット10の製造は、加熱されたパリソン(例えば、一般的には中空円筒体の形状のチューブまたはプリフォーム)を型内に供給し、パリソンの内側と外側との間に差圧を生じさせ、パリソンを膨張させ、型のキャビティに合致させることを含んでもよい。選択的に、加熱されたパリソンは、直接、型内へ押出成形されてもよい。パリソンの壁部の両側における差圧は、パリソンの内部に加圧ガス(例えば、0.05~1.5MPaの圧縮空気)を供給することによってまたは型のキャビティを画定する面に沿って大気圧未満の圧力条件(例えば、0.01~0.09MPaの圧力における真空条件としても知られる)を生じさせることによって形成されてもよい。(既にピペットとして構成された)膨張した材料が十分に冷却されると、型が開放され、ピペットが排出され、型は、このプロセスを繰り返すために(例えば、型内への押出成形によって)別の加熱されたパリソンを受け入れてもよい。その後、二次的な製造後ステップにおいて、フィルタ19が、入口領域12内に保持されるようにピペット10の入口13に挿入される。フィルタ19は、通常、繊維状材料を含む。
【0008】
ピペットに繊維状フィルタを付加するプロセスは、正確なフィルタ切断、搬送および挿入機器を必要とする。フィルタ挿入機器(フィルタ差込み機器として知られている)は、フィルタをピペット吸口に挿入しかつフィルタを吸口内の所望の位置に詰める機能を達成するための1つ以上のステーションを有してもよい。別の処理作業(例えば、滅菌およびパッケージング)のためにピペットを清潔にする前に、さらに別のステーションが、ピペット吸口におけるフィルタの存在および適切な位置決めをチェックしてもよい。ある例において、ピペットは、ピペット内でのフィルタの深さを示すための配置特徴を提供するための成形された吸口コンポーネントを備えるように設計される必要があることがある。フィルタと吸口との締まり嵌めを可能にし、これにより、フィルタが移動することを防止するために、フィルタの粒度もピペット吸口の内径と最適化させられなければならない。ピペット内にフィルタを適切に位置決めして保持しないと、ピペット内に緩んだ繊維または粒子が存在し、製造中にピペットを再処理するための付加的な労働コストが発生し、かつ/またはピペット操作が妨害され、これにより、ピペットがエンドユーザによって使用不能になるという不都合な影響が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記のことを考えると、改良されたフィルタを有するピペットおよびこのようなピペットを製造するための改良された方法および装置が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において、フィルタを有する測定ピペット(例えば、血清学ピペット)およびフィルタを有する測定ピペットを成形するための方法および装置が提供される。
【0012】
本明細書に記載の方法および装置は、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサが、ピペット製造中に型内に存在する軟化した熱可塑性材料の中空内部に導入されることを可能にする。このような方法によって製造されたピペットは、発泡ポリマー材料を含むフィルタエレメントを吸口領域内に有してもよく、フィルタエレメントの外側部分は、吸口領域の内壁に結合または封入されている。従来のプレス嵌めされた繊維状フィルタを有するピペットと比較して、本明細書に開示されたピペットは、向上したフィルタ信頼性および性能、繊維または微粒子に起因するより少ない汚染および製造コストの削減を実現することができる。
【0013】
本開示のある態様によれば、ピペットは、先端領域と吸口領域との間に配置され、先端と吸口との間に延びる長手方向軸線を有する管状本体と、吸口領域内に発泡ポリマー材料を含むフィルタエレメントと、を有し、フィルタエレメントの外側部分は、吸口領域の内壁に結合または封入されている。
【0014】
本開示の付加的な態様によれば、ピペットを製造するための方法が提供される。方法は、中空内部を画定する管状壁を成形する加熱された熱可塑性材料を型キャビティ内へ供給するステップを含む。方法は、熱可塑性材料が、高められた温度で型キャビティ内にある間に、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサを中空内部の少なくとも一部へ供給するステップをさらに含む。方法は、先端領域と吸口領域との間に配置された管状本体を有するピペットを成形するために、熱可塑性材料を冷却および固化させ、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサに対応するフィルタエレメントを吸口領域の内壁に結合または封入するステップをさらに含む。
【0015】
本開示の付加的な態様によれば、フィルタを有するピペットを製造するための装置が提供される。装置は、中空内部を画定する管状壁を有する熱可塑性チューブを成形する流動性の熱可塑性材料を生じさせるように構成された押出ダイを備える。装置は、熱可塑性チューブを収容するように構成された型キャビティを有する型をさらに備える。装置は、熱可塑性チューブが型キャビティ内にある間に、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサを中空内部の少なくとも一部へ供給するように構成された材料エジェクタをさらに有する。
【0016】
本開示の対象の付加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に示されるが、一部は、その説明から当業者に容易に明らかになるか、または以下の詳細な説明、請求項および添付の図面を含む本明細書に説明されている本開示の対象を実施することによって認識されるであろう。
【0017】
前記の概略的な説明および以下の詳細な説明の両方は、本開示の対象の実施形態を示しており、請求項に記載された本開示の対象の性質および特性を理解するための概略または枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、本開示の対象のさらなる理解を提供するために添付されており、本明細書の一部に組み込まれておりかつ本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の対象の様々な実施形態を示しており、説明と共に、本開示の対象の原理および作用を説明するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下は、添付図面の説明である。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、ある特徴およびある図は、明瞭さおよび簡潔さを考慮して、尺度または概略において誇張されて示されていることがある。
【
図1A】目盛マークを有する一体型測定ピペットの斜視図である。
【
図1B】
図1Aのピペットの先端領域の拡大された斜視図である。
【
図1C】
図1Aのピペットの本体領域の拡大された斜視図である。
【
図1D】
図1Aのピペットの入口領域の拡大された斜視図である。
【
図2A】一体型測定ピペットを真空成形する方法のステップの概略的な断面図である。
【
図2B】一体型測定ピペットを真空成形する方法のステップの概略的な断面図である。
【
図2C】一体型測定ピペットを真空成形する方法のステップの概略的な断面図である。
【
図3】ピペットキャビティの間に分離機構を備える、3つの一体型測定ピペットを成形するための装置の概略的な断面図である。
【
図4】複数の連続的に分離可能な型アセンブリセグメントを有する、3つの一体型測定ピペットを成形するための装置の概略的な断面図である。
【
図5A】型に供給される押し出された熱可塑性材料の流動する流れに、固体状態におけるフィルタ材料の予め形成された別個の円筒状ブロックを供給するように構成された材料エジェクタを有する、ピペット製造装置の上流部分の概略的な断面図である。
【
図5B】フィルタ材料の別個の円筒状ブロックを構成する一体型のフィルタをピペットの内部に収容した後の、成形されたピペットを内部に有する
図5Aの型の下流部分の概略的な断面図である。
【
図6A】押出機によって型キャビティへ管状の形態で供給される加熱された熱可塑性材料と同軸的にフィルタ材料プリカーサが供給されている、型キャビティにおいて、加熱された熱可塑性材料の中空内部に流動性のフィルタ材料プリカーサを供給するように構成された材料エジェクタを含む、ピペット製造装置の一部の概略的な断面図である。
【
図6B】型キャビティ内に配置されたピペットの吸口領域の内部に、フィルタ材料プリカーサからフィルタエレメントを形成した後の、
図6Aのピペット製造装置のより大きな部分の概略的な断面図である。
【
図7A】押出機によって型キャビティへ管状の形態で供給される加熱された熱可塑性材料によって成形された管状壁の一部を通じて垂直にフィルタ材料プリカーサが供給されている、型キャビティにおいて、加熱された熱可塑性材料の中空内部に流動性のフィルタ材料を供給するように構成された材料エジェクタを含む、ピペット製造装置の概略的な断面図である。
【
図7B】型キャビティ内に配置されたピペットの吸口領域の内部に、フィルタ材料プリカーサからフィルタエレメントを形成した後の、
図7Aのピペット製造装置の概略的な断面図である。
【
図8A】ピペットを成形するために型キャビティに管状の形態で熱可塑性材料を供給することに従事させられた押出機の上流において、溶融した熱可塑性材料の流れに流動性のフィルタ材料プリカーサを射出する材料エジェクタを含む、ピペット製造装置の概略的な断面図である。
【
図8B】型キャビティ内に配置されたピペットの吸口領域の内部に、フィルタ材料プリカーサからフィルタエレメント形成した後の、
図8Aのピペット製造装置の概略的な断面図である。
【
図9A】ピペットを成形するために型キャビティに管状の形態で熱可塑性材料を供給することに従事させられた押出機の上流において、溶融した熱可塑性材料の流れに流動性のフィルタ材料プリカーサを射出する材料エジェクタを含む、ピペット製造装置の概略的な断面図である。
【
図9B】型キャビティ内に配置されたピペットの吸口領域の全体として、フィルタ材料プリカーサからフィルタエレメントを形成した後の、
図9Aのピペット製造装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、一体型のまたは封入されたフィルタを有する測定ピペット(例えば、血清学ピペット)およびこのようなフィルタを有する測定ピペットを成形するための方法および装置に関する。フィルタエレメントを形成するために、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサは、(例えば、ブロー成形または真空成形技術を用いた)ピペット製造中に型内に存在する軟化した熱可塑性材料の中空内部に導入されてもよい。このようなフィルタエレメントは、吸口領域内に発泡ポリマー材料を含んでもよく、フィルタエレメントの外側部分は、吸口領域の内壁に結合または封入されている。発泡ポリマー材料が構成する固体構造は、従来のピペットにプレス嵌めされた繊維状フィルタエレメントから生じることがある緩んだ繊維および関連する微粒子を有さない。ピペット製造中におけるフィルタエレメントのその場形成は、下流での取扱いおよびフィルタ挿入を行うためのフィルタ挿入機器の必要性を排除する。より少ない形成後取扱いは、ピペットに対する損傷のリスク、汚染のリスクおよび製造コストを減じる。ピペットの本体材料にフィルタ材料を封入することは、ピペットの製造、輸送または使用中のフィルタの移動の可能性をも排除する。発泡材料は、従来の繊維状フィルタ材料より優れたエアロゾルブロック特性を有することもあり、これにより、向上したろ過性能を提供する。さらに、ピペット内でのフィルタの深さを示すための配置特徴の必要性が回避されることがあり、フィルタ材料との締まり嵌めを生じさせる目的で狭い内径を提供するために吸口領域の壁厚を増大させる必要性が排除されることがある。
【0020】
熱可塑性材料を用いたピペットのブロー成形または真空成形は、二軸配向されたポリマーの本体構造を結果として生じ、これにより、ピペット本体の壁厚を減じることができる。ポリマー鎖は、これらのポリマー鎖を、溶融したまたはほぼ溶融した状態において延伸ひずみ(流れ)に曝すことによって配向される。ポリマー材料の二軸配向は、高められた温度において2つの方向(例えば、半径方向および長さ方向)に材料をひずませ、材料をひずませながら冷却させることによって達成することができる。配向されていないまたは一軸配向されたポリマーと比較して、二軸配向は、機械的および光学的特性が高められた、厚さが減じられたフィルムおよびコンテナの製造を可能にする。二軸配向は、ブロー成形または真空成形作業により得られてもよい。
【0021】
ピペット製造中におけるフィルタエレメントのその場形成のための装置および方法の具体的な詳細に行く前に、差圧を加えながら成形することによって測定ピペットを成形するための装置および方法ステップへの概略的なイントロダクションが、
図3A~
図5を参照しながら以下に示される。
【0022】
図2A~
図2Cは、差圧を加えながら成形すること(例えば、ブロー成形または真空成形)によって一体型測定ピペットを成形する方法のステップの概略的な断面図である。パリソン60(またはチューブまたはプリフォーム)が、型半部54,56から成る型50に挿入されてもよく、型半部54,56は、成形面52によって画定された型キャビティ58を有する。型50は、型端部機構64,66を有してもよく、型端部機構64,66は、パリソン60または型50内で成形された(
図1Aに示した)ピペット10を切断するまたは筋入れするために使用されるブレード、ナイフまたは鋭い刃を含んでもよい。一般的に、パリソン60は、中空円筒体の形状である。しかしながら、パリソン60は、選択的に、中空の六角形の壁部を有する多角形または別の形状として提供することができる。パリソン60は、内部空間68を包囲する内側湾曲面61を有してもよい。パリソン60は、例えば、中空円筒状チューブを成形するためにポリマーメルトを押出成形することによって、あらゆる適切な材料(ポリスチレンおよびポリプロピレンなどのポリマー、またはガラスを含む)から製造されてもよい。パリソン60は、軟化温度範囲に加熱されてもよく、軟化温度においてパリソン60の材料は容易に成形可能である。それに続いて、(i)型キャビティ58へのパリソン60の挿入または(ii)パリソン60の周囲への型半部54,56の閉鎖が行われる。次いで、パリソンに加圧ガスを導入することまたは型キャビティ58内に大気圧未満の(例えば、真空)圧力条件を形成することなどによって、パリソン60の内部と型キャビティ58との間に差圧が生じさせられる。ブロー成形が用いられるならば、圧縮空気(例えば、0.05~1.5MPa)がパリソン60の内部空間68に導入されてもよく、型キャビティ58内のあらゆる空気はガス通路55を通って逃げてもよい。逆に、真空成形が用いられるならば、真空通路55を通じて型50を排気することによって、大気圧未満の圧力条件(例えば、約0.01MPa~約0.09MPaの範囲)が生じてもよい。型キャビティ58内の減じられた圧力によりパリソン60が外方へ膨張し、(より低い温度である)型50に接触し、型キャビティ58の形状と合致し、ピペット10を形成する。
【0023】
真空成形によりピペット10(
図1Aに示されている)を製造することは、真空成形プロセス中の二軸膨張によりピペット10の靭性を高めることがある。真空成形の間、体積マーク17などの表面特徴(
図1Aに示されている)がピペット10の外面に加えられてもよい。これらの体積マーク17は、単独でまたは互いに組み合わせて、複数の異なる技術によって形成されてもよい。これらの技術は、成形中にピペット表面特徴に対応する型表面特徴を形成するために、型キャビティ58に印刷またはインプリントする、型キャビティ58の表面にインクを堆積させ、インクを次いで成形中にピペット10の外面へ転移させる、またはラベルを型キャビティ58に挿入し、ラベルを成形中にピペット10の外面に取り付ける、ことを含んでもよい。ピペット10が十分に冷却されると、型50は、例えば型半部54,56を開放させることによって開放されてもよく、ピペット10は排出されてもよい。選択的に、型50の開放を行うために、一方または両方の型半部54,56が回転させられてもよい。次いで、新たなパリソンが型50に挿入されてもよく、別のピペットを成形するためにプロセスが反復されてもよい。
【0024】
ある実施態様において、1つの型を使用して複数のピペットが同時に製造されてもよい。
図3は、3つのピペット80~82が成形される3つの型セクション72,74,76を有する型70を示している。ピペット80~82は、以下でさらに詳細に説明するように、真空成形され、分離機構に従って分離されてもよい。一例として、ピペット80~82は、分離機構64,66によって切断されてもよく、この分離機構64,66は、パリソン60またはピペット80~82を切断するまたは筋入れするために使用されるブレード、ナイフまたは鋭い刃であってもよい。選択的に、ピペット80,81は、それらの先端領域が互いに隣接するように配置されてもよく、ピペット81,82は、それらの入口領域が互いに隣接するように配置されてもよい。先端対先端および入口対入口でピペットを配置することは、製造効率を高め、製造コストを削減することがある。例えば、発生したスクラップピペット材料の量は、隣接するピペットを先端対先端および入口対入口で配置することによって減じられることがある。代替例として、ピペットは、ピペット80,81のうちの第1のピペットの入口領域が、ピペット81,82のうちの他方のピペットの先端領域に隣接するように配置されてもよい。入口厚さから先端厚さへの大きな段状変化は、ピペット81,82に対する力が分離を促進する位置を型70に提供し、向上した分離効率につながることがある。
図3には示されていないが、真空成形を行うことを可能にするために型セクション72,74,76を貫通して真空通路が設けられてもよいことが認められるべきである。
【0025】
ある実施態様において、型アセンブリは、1つ以上のピペットを成形するために順に配置されてもよい複数の型アセンブリセグメントを有してもよい。選択的に、各型アセンブリセグメントは、個々のピペットの全長より短くてもよい。
図4は、複数の型アセンブリセグメント92を含む型アセンブリ90を示しており、型アセンブリセグメント92は、ピペット製造中に望みに応じて選択的に開閉させられてもよい。パリソンを予備成形し、パリソンを型に挿入する代わりに、パリソンまたはプリフォームを成形するために、ポリマーメルトを押出機出口95から押し出して、パリソンまたはプリフォームを型アセンブリセグメント92と連続的に接触させてもよい。型アセンブリ90は、ピペット80~82を成形するような形状であり、ピペット80~82は、型アセンブリセグメント92の内部キャビティ94に合致する。ある実施態様において、個々の型アセンブリセグメント92は、約0.25インチ(約0.635cm)~約14インチ(約35.56cm)、約0.50インチ(約1.27cm)~約10インチ(約25.4cm)、約1.0インチ(約2.54cm)~約7.0インチ(約17.78cm)または約2.0インチ(約5.08cm)~約4.0インチ(約10.16cm)の範囲の長さを有してもよい。圧縮空気は、型アセンブリ90の形状においてピペット80~82を成形するために型アセンブリ90内へ断続的または継続的に提供されてもよい。大気圧未満の圧力は、型アセンブリセグメント92に設けられかつ型アセンブリセグメント92のキャビティ94を画定した成形面と流体連通したガス通路(図示せず)を介して(ピペット80~82の外側において)型アセンブリ90に断続的または連続的に導入されてもよい。大気圧未満の圧力条件が連続的に維持されると、ピペット80~82の入口、本体および先端部分は、型アセンブリセグメント92がピペット80~82と接触させられる速度を変化させることによってかつ/または押出機出口95の出口速度を変化させることによって成形されてもよい。ピペット80~82は、延伸され、ピペット80~82を切断するまたは筋入れするために使用されるブレード、ナイフまたは鋭い刃を含んでもよい分離機構64,66によって切断されてもよい。
【0026】
ある実施形態において、ピペットの吸口領域に結合または封入されたフィルタエレメントは、発泡ポリマー材料を含んでもよい。ある実施形態において、発泡ポリマー材料は、熱硬化性フォーム材料を含んでもよい。熱硬化性プラスチックとは、柔軟な固体または粘稠液プレポリマーまたは樹脂から不可逆的に硬化させられるプラスチックである。ある実施形態において、発泡ポリマー材料は、架橋フォーム材料を含んでもよい。
【0027】
ある実施形態において、フィルタエレメントとして使用される発泡ポリマー材料は、著しい連続気泡含有率を有する。約20%以上、好ましくは約50%以上、より好ましくは約60%、最も好ましくは約70%以上の連続気泡含有率を有するフォームが、連続気泡フォームであると考えられる。
【0028】
連続気泡熱可塑性フォームを製造する1つの方法は、高められた温度において発泡させることによる。連続気泡熱可塑性フォームを製造する別の方法は、異種の非混和性ポリマーを樹脂内に用いることであり、異種の非混和性ポリマーは、膨張する気泡の壁部にドメインを形成することによって気泡を開放させることを助ける。
【0029】
ある実施形態において、発泡ポリマー材料は、発泡性の熱可塑性組成物および発泡剤を含む。非混和性ポリマーと共に使用されてもよい一般的な発泡剤は、概して膨張前に樹脂に圧力下で加えられかつ樹脂に溶解させられる物理的な発泡剤、または二酸化炭素および/または窒素などの発泡剤ガスを発生させるために処理中に分解する化学的な発泡剤を含む。ある実施形態において使用されてもよい発泡剤の例は、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)(例えば、HCFC-142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン)およびHCFC-22(クロロ-ジフオロメタン))、HFC(ハイドロフルオロカーボン)(例えば、HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、HFC-152a(1,1-ジフルオロエタン)、HFC-32(ジフルオロメタン)、HFC-143a(1,1,1-トリフルオロエタン)およびHFC-125(ペンタフルオロエタン))、アルカン(n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、n-ブタン、イソブタンおよびヘキサンを含む)、二酸化炭素、窒素およびこれらの混合物を含む。
【0030】
様々な添加剤が、フィルタエレメントとして使用可能な発泡ポリマー材料に混入されてもよい。ある実施形態において、欧州特許出願公開第20296666号明細書に開示されているように、熱可塑性フォーム、特に、ポリスチレンフォームの連続気泡含有率を制御することを助けるために、トランス-1,2-ジクロロエチレン(TDCE)を使用することができる。可溶性が低い発泡剤と共に吹き込まれる発泡性の熱可塑性組成物に少量のTDCEを加えることは、所要の作動圧力を低下させかつ過度に早いガス抜きを制限することによって加工性を高めることができる。ある実施形態において、発泡剤組成物は、約20質量%未満または約10質量%未満のTDCEを含んでもよい。TDCEは、ポリスチレンのための良好な溶剤であるため、発泡剤混合物におけるTDCEの過度に高いレベルは、ポリスチレンの低密度の独立気泡フォームを製造することを困難にすることがある。TDCEの付加は、樹脂混合物における発泡剤の可溶性を高めることができるので、TDCEの存在は、TDCEなしで発泡剤が使用された場合に得られるよりも、より低い密度の独立気泡フォームの製造を可能にすることがある。
【0031】
発泡材料は、部分的に気泡サイズによって特徴づけられてもよい。ある実施形態において、ポリマーフォーム材料は、ASTM D3576-77によれば、1mm以下の平均気泡サイズ、好ましくは、0.1mm以下、より好ましくは、0.01~1.0mm(10~1000μm)の平均気泡サイズを有してもよい。ある実施形態において、ポリマーフォームは、0.01~0.07mmの平均気泡サイズを有してもよい。
【0032】
ある実施形態において、フォームは、選択的に1μm、5μm、10μmまたは15μmの下限値によって修正される、0.1μm~50μmの平均流れ気孔直径(MFPD)を有してもよい。所望のMFPD値は、ろ過される媒体(例えば、気体、液体または両方)、ろ過によって除去される汚染物質または成分、利用可能な差圧および所望の効率レベルに応じて変化する。(フォームにおける平均気泡寸法に関連する)平均気泡サイズとは対照的に、MFPDは、合計媒体流(例えば、空気流)の半分が、平均孔径より大きいサイズの気孔を通って生じ、合計媒体流の半分が、平均孔径より小さいサイズの気孔を通って生じるときの平均孔径に関連する。
【0033】
様々なタイプのポリマー材料(例えば、プラスチック)は、本明細書に開示されたフィルタエレメントを形成するのに適したフォームとして製造されてもよい。ある実施形態において、発泡ポリマー材料は、ポリエチレン、ポリスチレン、メタロセン触媒ポリエチレン、ポリブタン、ポリブチレン、ポリウレタン、シリコーン、ビニルベース樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリエステル、エチレンアクリルコポリマー、エチレン-ビニル-アセテートコポリマー、エチレン-メチル-アクリレートコポリマー、エチレン-ブチル-アクリレートコポリマー、エチレン-エチル-アクリルコポリマー、イオノマー、ポリプロピレン、ポリプロピレンのコポリマーおよび共重合可能なエチレン的に飽和させられていないコモノマー、ならびにエチレンアクリルコポリマー、エチレン-ビニル-アセテートコポリマー、エチレン-メチル-アクリレートコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性オレフィン、熱可塑性加硫物、フレキシブルポリオレフィン、フルオロエラストマー、フルオロポリマー、それらの混合物、エチレン-ブチル-アクリレートコポリマーおよびエチレン-エチルアクリルコポリマーから成るグループから選択された少なくとも1つの材料を含んでもよい。
【0034】
図5Aは、押出機110から型120に供給される押し出された熱可塑性材料112の流動する管状の流れ118に、固体状態におけるフィルタ材料104の予め形成された別個の円筒状ブロックを供給するように構成された材料エジェクタ102を有する、ピペット製造装置100の上流部分の概略的な断面図である。フィルタ材料104のブロックは、発泡ポリマー材料を含んでもよい。材料エジェクタ102、押出機110および型120は同一線上に配置されており、フィルタ材料104のブロックの移動を可能にするために、押出機110に中央通路115が設けられている。材料エジェクタ102は、押出機110に向かうフィルタ材料104のブロックの動きを案内するための軌道106を有し、フィルタ材料挿入方向は矢印107によって示されている。押出機110は、溶融した熱可塑性材料112を環状の出口117へ搬送するための内部通路116を有する。出口117から、押し出された熱可塑性材料の管状の流れ118が、型120のキャビティ122に供給され、このキャビティ122において、中空内部133が熱可塑性材料内に維持される。フィルタ材料104のブロックが、押し出された熱可塑性材料の管状の流れ118と接触すると、フィルタ材料104のブロックは、型120のキャビティ122内の中空内部133の部分へ搬送される。押し出された熱可塑性材料の管状の流れ118へのフィルタ材料104の放出は、ピペット吸口領域へと成形されるメルト領域と一致するようにタイミング調整されてもよい。型120は、連続的に配置されかつ必要に応じて選択的に開閉されてもよい複数の型アセンブリセグメント(例えば、
図4に関連して示されかつ説明された型アセンブリセグメント92など)を有してもよい。型120に対する熱可塑性材料の移動方向は、
図5Bに矢印127によって示されている。押し出された熱可塑性材料の管状の流れ118が、型120内で冷却されかつ固化すると、管状の流れ118は、
図5Bに示したように、フィルタ材料104のブロックに向かって収縮し、フィルタ材料140のブロックを、結果的に生じたピペット130の領域(例えば、吸口領域)内に封入する。
【0035】
図5Bは、フィルタ材料104の別個の円筒状ブロックで構成された一体型のフィルタをピペット内部133に収容した後の、成形されたピペット130を内部に有する
図5Aの型120の下流部分の概略的な断面図である。ピペット130は、吸口領域132、本体領域134および先端領域136を有し、これらは全て、先端135と吸口端部131との間に配置されている。図示したように、フィルタ材料104は、吸口領域132内に、吸口領域132の内面139に接して封入されている。
【0036】
図6Aは、押出機150から型160に供給される押し出された熱可塑性材料152の流動する管状の流れ158の中空内部に、流動性の(例えば、液体を含有する)フィルタ材料プリカーサ143を供給するように構成された材料エジェクタ141を有する、ピペット製造装置140の一部の概略的な断面図である。材料エジェクタ141、押出機150および型160は同一線上に配置されており、ノズル144が、押出機150のコア151を貫通していて、型160のキャビティ162(
図6Bに示されている)内で出口145において終端している。流動性のフィルタ材料プリカーサ143は、押出機150の上流に配置されたリザーバ142に貯蔵されていてもよい。押出機150は、溶融した熱可塑性材料152を環状の出口157へ搬送するための内部通路156を有する。出口157から、押し出された熱可塑性材料の管状の流れ158が、型160のキャビティ162(
図6Bに示されている)に供給され、このキャビティ162において、中空内部173が熱可塑性材料内に維持される。中空内部173への流動性のフィルタ材料プリカーサ143の放出は、ピペット吸口領域へと成形される熱可塑性材料の部分と一致するようにタイミング調整されてもよい。流動性のフィルタ材料プリカーサ143の挿入方向は、矢印167によって示されている。流動性のフィルタ材料プリカーサ143が中空内部173へ放出されると、流動性のフィルタ材料プリカーサ143は、有限長さにわたって中空内部を充填するか、または流動性のフィルタ材料プリカーサ143は膨張して、(
図5Bに示された)吸口領域172の内面179と接触する。いずれの例においても、押し出された熱可塑性材料の管状の流れ158が、型160内で冷却されかつ固化すると、管状の流れ158は、
図5Bに示したように、フィルタ148に向かって収縮し、フィルタ148を、結果的に生じたピペット130の領域(例えば、吸口領域)内に封入する。
【0037】
図6Bは、流動性のフィルタ材料プリカーサ143から形成された一体型のフィルタ148をピペット内部173に収容した後の、成形されたピペット170を内部に有する
図6Aのピペット製造装置140の概略的な断面図である。
図6Aに関連して前に説明された様々なエレメントは、簡潔さを促進するために、再び説明されることはない。ピペット170は、吸口領域172、本体領域174および先端領域176を有し、これらは全て、先端175と吸口端部171との間に配置されており、フィルタ材料148は、吸口領域172において、吸口領域172の内面179に接して封入されている。
図6Aおよび
図6Bには示していないが、ある実施形態において、流動性のフィルタ材料プリカーサ143は、型160のすぐ外側の位置において排出されてもよい。
【0038】
図7Aは、押出機190から型200に供給される押し出された熱可塑性材料192の流動する管状の流れ198の中空内部に、流動性のフィルタ材料プリカーサ183を供給するように構成された材料エジェクタ181を有する、ピペット製造装置180の概略的な断面図である。押出機190および型200は、同一線上に配置されているが、材料エジェクタ181は、型200に対して垂直に位置決めされている。流動性のフィルタ材料プリカーサ183は、リザーバ182に貯蔵されており、導管184によって、熱操作弁または機械操作弁186を通って、型200のキャビティ202の表面に設けられた出口185へ供給されてもよい。こうして、流動性のフィルタ材料プリカーサ183は、最終的にピペットを成形する、加熱され、軟化させられた熱可塑性材料の壁部を通って排出されてもよい。このような排出が完了した後、加熱され、軟化させられた熱可塑性材料の壁部は、好ましくは、横方向に流れ、この壁部に形成されたあらゆる一時的な排出開口を被覆する。押出機190は、溶融した熱可塑性材料192を環状の出口197へ搬送するための内部通路196を有する。出口197から、押し出された熱可塑性材料の管状の流れ198が、(例えば、矢印207によって示された方向に対して平行な)型200のキャビティ202に供給され、このキャビティ202において、中空内部213が熱可塑性材料内に維持される。中空内部213への流動性のフィルタ材料プリカーサ183の放出は、ピペット吸口領域へと成形される熱可塑性材料の部分と一致するようにタイミング調整されてもよい。流動性のフィルタ材料プリカーサ183が中空内部213へ放出されると、流動性のフィルタ材料プリカーサ183は、中空内部213の内径を充填してもよい。代替的に、流動性のフィルタ材料プリカーサ183は、膨張可能な材料を構成していてもよく、この場合、好ましくは、中空内部213の内径を充填するために流動性のフィルタ材料プリカーサ183が膨張することができるように、十分な流動性のフィルタ材料プリカーサ183が排出される。いずれの例においても、押し出された熱可塑性材料192の管状の流れ198が、型200内で冷却されかつ固化すると、管状の流れ198は、
図7Bに示したように、フィルタ188に向かって収縮し、フィルタ188を、結果的に生じたピペット210の領域(例えば、吸口領域212)内に封入する。
【0039】
図7Bは、流動性のフィルタ材料プリカーサ183から形成された一体型のフィルタ188をピペット内部213に収容した後の、成形されたピペット210を内部に有するピペット製造装置180の概略的な断面図である。ピペット210は、吸口領域212、本体領域214および先端領域216を有し、これらは全て、先端215と吸口端部211との間に配置されており、フィルタ材料188は、吸口領域212において、吸口領域212の内面219に接して封入されている。
【0040】
ある実施形態において、吸口領域の成形中に、ピペットを成形するためのメルト流内に発泡剤が射出されてもよい。このようなステップ中、吸口を成形するための差圧を形成するために使用されるあらゆる真空または空気圧は不能化(例えば、中止または延期)される。この作用により、メルト流が崩れ、吸口の型キャビティ内に所定の質量の多孔質材料を生じさせ、このような質量が多孔質フィルタを形成する。フィルタの位置において材料の連続的な堆積を可能にするために、押出機出口が増大させられてもよいかつ/または型アセンブリセグメントのラインが減速させられてもよい。所要の質量が達成されると、所望の差圧が再形成され、通常の製造が再開されてもよい。多孔質フィルタを含んだピペット本体が型内で冷却されるとき、発泡材料は膨張して固化し、吸口において多孔質フィルタを形成する。
【0041】
図8Aは、環状の押出機出口237の上流において、押し出される熱可塑性材料232と接触するように、流動性のフィルタ材料プリカーサ223を押出機230の内部通路236内へ射出するように構成された、材料エジェクタ221を有するピペット製造装置220の概略的な断面図である。装置220は、先端領域256と吸口領域252との間に位置決めされた管状本体領域254を有するピペット250を製造するのに適しており、これらは全て先端255と吸口端部251との間に位置決めされている。押し出された熱可塑性材料232の流れ238を押出機230から型240へ供給するピペット製造装置220が示されている。押出機230および型240は、同一線上に配置されているが、材料エジェクタ221は、押出機230に対して垂直に位置決めされている。流動性のフィルタ材料プリカーサ223は、リザーバ222に貯蔵されており、導管224および出口225(選択的に弁(図示せず)を有する)によって押出機230へ供給されてもよい。押出機230内において、流動性のフィルタ材料プリカーサ223は、押出機出口237の上流で内部通路236内へ射出されてもよい。出口237から、押し出された熱可塑性材料の管状の流れ238または押し出された熱可塑性材料と流動性のフィルタ材料プリカーサ223との組合せが、型240のキャビティ242へ供給される。押出機230への流動性のフィルタ材料プリカーサ243の放出は、ピペット吸口領域252へと成形される熱可塑性材料の部分と一致するようにタイミング調整されてもよい。型240内への、押し出された熱可塑性材料232の流れ238の挿入方向は、矢印247によって示されている。
【0042】
図8Bは、流動性のフィルタ材料プリカーサ223から形成された一体型のフィルタエレメント228をピペット内部253に収容した後の、成形されたピペット250を内部に有するピペット製造装置220の概略的な断面図である。ピペット250内では、一体型のフィルタエレメント228が、ピペット250のそれ以外中空の内部253内の吸口領域252において、吸口領域252の内面259に接するように封入されている。一体型のフィルタエレメント228は、前述のように、吸口領域の成形中に、ピペットを成形するためのメルト流内に流動性のフィルタ材料プリカーサ(例えば、発泡性の熱可塑性組成物および発泡剤)を射出することを含めて形成されてもよい。このようなステップ中、吸口を成形するための差圧を形成するために使用されるあらゆる真空または空気圧は不能化(例えば、中止または延期)されるが、組み合わされたメルト流が崩れ、吸口の型キャビティ内に所定の質量の多孔質材料を生じさせ、一体型のフィルタエレメント228を形成した後に再形成される。
【0043】
図9Aおよび
図9Bは、
図8Aおよび
図8Bに関連して説明した装置と同じ装置220を示しているが、実質的にピペット260の吸口領域262の全体を構成する多孔質フィルタエレメント270が存在するため、
図9Aおよび
図9Bでは、異なるピペット260が成形される。ピペット260は、中空内部263を画定する内面269を有する。装置220は、先端領域266と吸口領域262との間に位置決めされた管状本体264を有するピペット260を製造するのに適しており、これらは全て先端265と吸口端部261との間に位置決めされている。
図8Aおよび
図8Bに関連して前に説明された同じエレメントは、簡潔さのために、再び説明されることはない。
図9Aにおいて、押し出された熱可塑性材料232の流れ238を押出機230から型240へ供給するピペット製造装置220が示されている。吸口領域262の成形の直前に、押出機230において、流動性のフィルタ材料プリカーサ223が、押出機出口237の上流で内部通路236内へ射出され、その結果、流動性のフィルタ材料プリカーサ223と、押し出される熱可塑性材料232との組合せの存在が生じる。組み合わされた材料が型240へ供給されると、押出機出力が増大させられてもよいかつ/または型アセンブリセグメントのラインが調節されてもよく、吸口を成形するための差圧を形成するために使用されるあらゆる真空または空気圧が不能化され、これにより、吸口部分262における中空内部263の全体(または実質的に全体)が充填される。冷却されると、流動性のフィルタ材料プリカーサ223は膨張し、
図9Bに示したように、吸口部分262全体が多孔質フィルタ270になる。したがって、この多孔質フィルタ270は、吸口部分262においてまたは吸口部分262に隣接して内壁269と一体である。
【0044】
本明細書に開示された実施形態によれば、ピペットを製造するための方法は、中空内部を画定する管状壁を成形する加熱された熱可塑性材料を型キャビティ内へ供給するステップを含む。方法は、熱可塑性材料が、高められた温度(熱可塑性材料の軟化温度内)で型キャビティ内にある間に、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサを中空内部の少なくとも一部へ供給するステップをさらに含む。方法は、先端領域と吸口領域との間に配置された管状本体を有するピペットを成形するために、熱可塑性材料を冷却および固化させ、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサに対応するフィルタエレメントを吸口領域の内壁に結合または封入するステップをさらに含む。
【0045】
ある実施形態において、前記方法は、予め製造された別個のフィルタエレメントを構成したフィルタ材料を固体状態で中空内部の少なくとも一部へ供給するステップを含む。ある実施形態において、予め製造された別個のフィルタエレメントはポリマーフォーム材料を含む。
【0046】
ある実施形態において、フィルタ材料プリカーサは、中空内部の少なくとも一部へ射出されてもよい。フィルタ材料プリカーサは、液体成分を含むポリマーフォーム形成組成物で構成されていてもよい。ある実施形態において、フィルタ材料プリカーサは、発泡性の熱可塑性組成物および発泡剤、例えば化学的発泡剤または物理的発泡剤を含む。
【0047】
ある実施形態において、長手方向軸線が管状壁の中心に沿って規定可能であり、フィルタ材料プリカーサは、長手方向軸線に対して実質的に平行な方向または長手方向軸線と一致する方向で中空内部の少なくとも一部へ射出される。例えば、フィルタ材料プリカーサは、長手方向軸線と一致して中空内部へ射出されてもよいし、加熱されて軟化させられた熱可塑性材料が、フィルタ材料インジェクタを包囲する管形状で中空内部へ供給されてもよい。ある実施形態において、フィルタ材料プリカーサは、管状壁を通じて長手方向軸線に対して非平行な方向で中空内部の少なくとも一部へ射出される。
【0048】
ある実施形態において、加熱された熱可塑性材料は、型キャビティ内への、押出機の出口を通る溶融した熱可塑性材料の流れとして供給されてもよい。選択的に、液体を含有したフィルタ材料プリカーサは、溶融した熱可塑性材料と接触するようにプリカーサを押出機チャネル内へ供給するなどによって、押出機の同じ出口を通じて型キャビティ内へ供給されてもよい。ある実施形態において、押出機の出口は環状の出口を含む。
【0049】
ある実施形態において、ピペット製造方法は、管状壁の少なくとも一部を膨張させて型キャビティの成形面と接触させるために、中空内部と型キャビティとの間に差圧を形成するステップを含む。
【0050】
ある実施形態において、液体フィルタ材料プリカーサを押出機の出口を通じて型キャビティ内へ流すステップの後、吸口領域において、液体フィルタ材料プリカーサを含むフィルタエレメントの周囲で管状壁の一部を崩すために、中空内部と型キャビティとの間の差圧の形成を延期または中止するステップを含む。
【0051】
本明細書に開示された実施形態によれば、ピペットは、先端領域と吸口領域との間に配置され、先端と吸口との間に延びる長手方向軸線を有する管状本体と、吸口領域内に発泡ポリマー材料を含むフィルタエレメントと、を有し、フィルタエレメントの外側部分は、吸口領域の内壁に結合または封入されている。
【0052】
ある実施形態において、フィルタエレメントの外側部分は、吸口領域の内壁に相互浸透可能に結合されている。本明細書において用いられるとき、「相互浸透可能に結合されている」という用語は、隣接し合う2つのポリマー含有面が互いに接合されて、両方の面の少なくとも幾つかのポリマー鎖が相手側に連鎖されている状態を意味する。ある実施形態において、フィルタエレメントと吸口領域の内壁との間の結合には、接着剤は用いられない。
【0053】
ある実施形態において、発泡ポリマー材料は、熱硬化性フォーム材料または架橋フォーム材料を含んでもよい。ある実施形態において、発泡ポリマー材料は、発泡ポリスチレンを含んでもよい。ある実施形態において、発泡ポリマー材料は、少なくとも50%の連続気泡含有率を有する連続気泡フォームを含む。
【0054】
ある実施形態において、管状本体は、好ましくは二軸配向された熱可塑性材料を含んでもよい。ある実施形態において、管状本体の公称厚さは約0.25mm~約1mmの範囲にある。
【0055】
ある実施形態において、管状本体、先端領域および吸口領域は、一体性の特性を有し、いかなる溶接継目も有さない。溶接継目は、提供されたピペットに望ましくない残留物および粒子を生じさせることがあり、突出部または隆起部を生じさせることもある。突出部または隆起部は、ピペット内に流体および汚染物質を蓄積させることがある。
【0056】
本明細書に開示された実施形態によれば、フィルタを有するピペットを製造するための装置は、押出ダイ、型および材料エジェクタを備える。押出ダイは、中空内部を画定する管状壁を有する熱可塑性チューブを成形する流動性の熱可塑性材料を生じさせるように構成されている。型は、熱可塑性チューブを収容するように構成された型キャビティを有する。材料エジェクタは、熱可塑性チューブが型キャビティ内にある間に、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサを中空内部の少なくとも一部へ供給するように構成されている。
【0057】
ある実施形態において、材料エジェクタは、予め製造された別個のフィルタエレメントを構成したフィルタ材料を固体状態で中空内部の少なくとも一部へ供給するように構成されている。ある実施形態において、材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを流動可能な形態で中空内部の少なくとも一部へ射出するように構成されている。
【0058】
ある実施形態において、長手方向軸線が管状壁の中心に沿って規定可能であり、材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを流動可能な形態で長手方向軸線に対して実質的に平行な方向または長手方向軸線と一致する方向で中空内部の少なくとも一部へ排出するように構成された出口を有する。ある実施形態において、材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを流動可能な形態で管状壁を通じて長手方向軸線に対して非平行(例えば、垂直)な方向で中空内部の少なくとも一部へ排出するように構成された出口を有する。
【0059】
ある実施形態において、材料エジェクタは、液体成分を含むポリマーフォーム形成組成物で構成されたフィルタ材料プリカーサの供給部と接続されている。ある実施形態において、材料エジェクタは、発泡性の熱可塑性組成物および発泡剤で構成されたフィルタ材料プリカーサの供給部と接続されている。
【0060】
ある実施形態において、押出ダイは押出ダイ出口を有し、材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを押出ダイ出口を通じて中空内部の少なくとも一部へ供給するように構成されている。ある実施形態において、型キャビティは、環状壁の少なくとも一部を膨張させて型キャビティの成形面と接触させるために十分な差圧を管状壁の両側に形成したときに、型キャビティからのガスの逃げ出しを可能にするように構成された複数のガス出口を有する。
【0061】
本開示の態様(1)によれば、ピペットが提供される。ピペットは、先端領域と吸口領域との間に配置され、先端と吸口との間に延びる長手方向軸線を有する管状本体と、吸口領域内に発泡ポリマー材料を含むフィルタエレメントと、を有し、フィルタエレメントの外側部分は、吸口領域の内壁に結合または封入されている。
【0062】
本開示の態様(2)によれば、フィルタエレメントの外側部分は、吸口領域の内壁に相互浸透可能に結合されている、態様(1)記載のピペットが提供される。
【0063】
本開示の態様(3)によれば、発泡ポリマー材料は熱硬化性フォーム材料を含む、態様(1)または(2)記載のピペットが提供される。
【0064】
本開示の態様(4)によれば、発泡ポリマー材料は架橋フォーム材料を含む、態様(1)または(2)記載のピペットが提供される。
【0065】
本開示の態様(5)によれば、発泡ポリマー材料は発泡ポリスチレンを含む、態様(1)または(2)記載のピペットが提供される。
【0066】
本開示の態様(6)によれば、発泡ポリマー材料は、少なくとも50%の連続気泡含有率を有する連続気泡フォームを含む、態様(1)から(5)までのいずれか1つ記載のピペットが提供される。
【0067】
本開示の態様(7)によれば、管状本体の公称厚さは約0.25mm~約1mmの範囲にある、態様(1)から(6)までのいずれか1つ記載のピペットが提供される。
【0068】
本開示の1つの態様(8)によれば、管状本体は熱可塑性材料を含む、態様(1)から(7)までのいずれか1つ記載のピペットが提供される。
【0069】
本開示の態様(9)によれば、熱可塑性材料は二軸配向されている、態様(8)記載のピペットが提供される。
【0070】
本開示の態様(10)によれば、管状本体、先端領域および吸口領域は一体的であり、いかなる溶接継目も有さない、態様(1)から(9)までのいずれか1つ記載のピペットが提供される。
【0071】
本開示の態様(11)によれば、ピペットを製造するための方法が提供される。方法は、中空内部を画定する管状壁を成形する加熱された熱可塑性材料を型キャビティ内へ供給するステップと、加熱された熱可塑性材料が、高められた温度で型キャビティ内にある間に、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサを中空内部の少なくとも一部へ供給するステップと、先端領域と吸口領域との間に配置された管状本体を有するピペットを成形するために、加熱された熱可塑性材料を冷却および固化させ、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサに対応するフィルタエレメントを吸口領域の内壁に結合または封入するステップと、を含む。
【0072】
本開示の態様(12)によれば、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサを中空内部の少なくとも一部へ供給するステップは、予め製造された別個のフィルタエレメントを構成したフィルタ材料を固体状態で中空内部の少なくとも一部へ供給するステップを含む、態様(11)記載の方法が提供される。
【0073】
本開示の態様(13)によれば、予め製造された別個のフィルタエレメントはポリマーフォーム材料を含む、態様(12)記載の方法が提供される。
【0074】
本開示の態様(14)によれば、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサを中空内部の少なくとも一部へ供給するステップは、フィルタ材料プリカーサを中空内部の少なくとも一部へ射出するステップを含む、態様(11)記載の方法が提供される。
【0075】
本開示の態様(15)によれば、フィルタ材料プリカーサは、液体成分を含むポリマーフォーム形成組成物で構成されている、態様(14)記載の方法が提供される。
【0076】
本開示の態様(16)によれば、フィルタ材料プリカーサは、発泡性の熱可塑性組成物および発泡剤を含む、態様(14)記載の方法が提供される。
【0077】
本開示の態様(17)によれば、発泡剤は化学的発泡剤を含む、態様(16)記載の方法が提供される。
【0078】
本開示の態様(18)によれば、発泡剤は物理的発泡剤を含む、態様(16)記載の方法が提供される。
【0079】
本開示の態様(19)によれば、長手方向軸線が管状壁の中心に沿って規定可能であり、フィルタ材料プリカーサを、長手方向軸線に対して実質的に平行な方向または長手方向軸線と一致する方向で中空内部の少なくとも一部へ射出する、態様(14)記載の方法が提供される。
【0080】
本開示の態様(20)によれば、長手方向軸線が管状壁の中心に沿って規定可能であり、フィルタ材料プリカーサを、管状壁を通じて長手方向軸線に対して非平行な方向で中空内部の少なくとも一部へ射出する、態様(14)記載の方法が提供される。
【0081】
本開示の態様(21)によれば、加熱された熱可塑性材料を供給するステップは、溶融した熱可塑性材料の流れを押出機の出口を通じて型キャビティ内へ流すステップを含む、態様(11)から(20)までのいずれか1つ記載の方法が提供される。
【0082】
本開示の態様(22)によれば、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサ中空内部の少なくとも一部へ供給するステップは、液体フィルタ材料プリカーサを押出機の出口を通じて型キャビティ内へ流すステップを含む、態様(21)記載の方法が提供される。
【0083】
本開示の態様(23)によれば、押出機の出口は環状の出口を含む、態様(22)記載の方法が提供される。
【0084】
本開示の態様(24)によれば、液体フィルタ材料プリカーサを押出機の出口を通じて型キャビティ内へ流すステップの後、吸口領域において、液体フィルタ材料プリカーサを含むフィルタエレメントの周囲で管状壁の一部を崩すために、中空内部の少なくとも一部と型キャビティとの間の差圧の形成を延期または中止するステップをさらに含む、態様(22)記載の方法が提供される。
【0085】
本開示の態様(25)によれば、管状壁の少なくとも一部を膨張させて型キャビティの成形面と接触させるために、中空内部の少なくとも一部と型キャビティとの間に差圧を形成するステップをさらに含む、態様(11)から(20)までのいずれか1つ記載の方法が提供される。
【0086】
本開示の態様(26)によれば、高められた温度は熱可塑性材料の軟化温度内にある、態様(11)から(25)までのいずれか1つ記載のピペットが提供される。
【0087】
本開示の態様(27)によれば、フィルタを有するピペットを製造するための装置が提供される。装置は、中空内部を画定する管状壁を有する熱可塑性チューブを成形する流動性の熱可塑性材料を生じさせるように構成された押出ダイと、熱可塑性チューブを収容するように構成された型キャビティを有する型と、熱可塑性チューブが型キャビティ内にある間に、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサを中空内部の少なくとも一部へ供給するように構成された材料エジェクタと、を備える。
【0088】
本開示の態様(28)によれば、材料エジェクタは、予め製造された別個のフィルタエレメントを構成したフィルタ材料を固体状態で中空内部の少なくとも一部へ供給するように構成されている、態様(27)記載の装置が提供される。
【0089】
本開示の態様(29)によれば、材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを流動可能な形態で中空内部の少なくとも一部へ射出するように構成されている、態様(27)記載の装置が提供される。
【0090】
本開示の態様(30)によれば、長手方向軸線が管状壁の中心に沿って規定可能であり、材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを流動可能な形態で長手方向軸線に対して実質的に平行な方向または長手方向軸線と一致する方向で中空内部の少なくとも一部へ排出するように構成された出口を有する、態様(27)から(29)までのいずれか1つ記載の装置が提供される。
【0091】
本開示の態様(31)によれば、長手方向軸線が管状壁の中心に沿って規定可能であり、材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを流動可能な形態で管状壁を通じて長手方向軸線に対して非平行な方向で中空内部の少なくとも一部へ排出するように構成された出口を有する、態様(27)から(29)までのいずれか1つ記載の装置が提供される。
【0092】
本開示の態様(32)によれば、材料エジェクタは、液体成分を含むポリマーフォーム形成組成物で構成されたフィルタ材料プリカーサの供給部と接続されている、態様(27)から(31)までのいずれか1つ記載の装置が提供される。
【0093】
本開示の態様(33)によれば、材料エジェクタは、発泡性の熱可塑性組成物および発泡剤で構成されたフィルタ材料プリカーサの供給部と接続されている、態様(27)から(31)までのいずれか1つ記載の装置が提供される。
【0094】
本開示の態様(34)によれば、押出ダイは押出ダイ出口を有し、材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを押出ダイ出口を通じて中空内部の少なくとも一部へ供給するように構成されている、態様(27)から(33)までのいずれか1つ記載の装置が提供される。
【0095】
本開示の態様(35)によれば、型キャビティは、管状壁の少なくとも一部を膨張させて型キャビティの成形面と接触させるために十分な差圧を管状壁の両側に形成したときに、型キャビティからのガスの逃げ出しを可能にするように構成された複数のガス出口を有する、態様(27)から(34)までのいずれか1つ記載の装置が提供される。
【0096】
開示の別の態様において、本明細書に開示されたあらゆる2つ以上の態様、実施形態または特徴が、付加的な利点のために組み合わされてもよいことが明確に想定される。
【0097】
本明細書において使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別段の定めをしないかぎり、複数のそれを含む。すなわち、例えば、「切欠き」と言った場合、文脈が明らかに別段の定めをしないかぎり、2つ以上のこのような「切欠き」を有する例を含む。
【0098】
「含む」という用語は、包含するが限定されない、すなわち包括的かつ非排他的であることを意味する。
【0099】
「選択的な」または「選択的に」とは、その言葉の後に記載されたイベント、状況またはコンポーネントが生じることも、生じないこともでき、説明が、イベント、状況またはコンポーネントが生じる例およびそれらが生じない例を含むことを意味する。
【0100】
範囲は、本明細書において、「約」1つの特定の値からおよび/または「約」別の特定の値までとして表すことができる。このような範囲が表されるとき、例は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。同様に、値が、「約」という先行詞の使用によって、近似値として表されるとき、特定の値が別の態様を形成することが理解されるであろう。各範囲の終点は、他方の終点に関しておよび他方の終点から独立して重要であることがさらに理解されるであろう。
【0101】
明示的に別段の定めがないかぎり、本明細書に示されたいずれの方法も、そのステップが特定の順序で行われることを必要とすると解されることは全く意図されていない。したがって、方法の請求項が、そのステップが従うべき順序を実際には列挙していない場合、またはステップが特定の順序に限定されるべきであることが請求項または詳細な説明において別段に特に述べられていない場合、あらゆる特定の順序が推定されることは全く意図されていない。あらゆる1つの請求項におけるあらゆる列挙された1つまたは複数の特徴または態様は、あらゆる他の請求項におけるあらゆる他の列挙された特徴または態様と組み合わせるまたは入れ替えることができる。
【0102】
本明細書における列挙は、特定の形式において機能するように「構成された」または「適応させられた」構成部材を意味することにも留意されたい。これに関して、このような構成部材は、特定の形式において特定の特性または機能を実現するように「構成されている」または「適応させられており」、このような列挙は、意図された使用の列挙とは反対に構造的な列挙である。より具体的には、構成部材が「構成された」または「適応させられた」形式への本明細書における言及は、構成部材の既存の物理的条件を意味し、これにより、構成部材の構造的特徴の明確な言及であると捉えられるべきである。
【0103】
特定の実施形態の様々な特徴、エレメントまたはステップが、「含む」という移行句を使用して開示されていることがあるが、「から成る」または「から基本的に成る」という移行句を使用して記載されることがあるものを含む代替的な実施形態が示唆されていることが理解されるべきである。
【0104】
開示の思想および範囲から逸脱することなく本発明の技術に対して様々な改良および変更をなすことができることが当業者に明らかになるであろう。発明的技術の思想および実質を組み込んだ、開示された実施形態の改良、組合せ、サブコンビネーションおよび変化態様が当業者に想起されることもあるので、発明的技術は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内の全てを包含すると解すべきである。
【0105】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0106】
実施形態1
ピペットであって、
先端領域と吸口領域との間に配置され、前記先端と前記吸口との間に延びる長手方向軸線を有する管状本体と、
前記吸口領域内に発泡ポリマー材料を含むフィルタエレメントと、を有し、前記フィルタエレメントの外側部分は、前記吸口領域の内壁に結合または封入されている、
ピペット。
【0107】
実施形態2
前記フィルタエレメントの前記外側部分は、前記吸口領域の前記内壁に相互浸透可能に結合されている、実施形態1記載のピペット。
【0108】
実施形態3
前記発泡ポリマー材料は熱硬化性フォーム材料を含む、実施形態1または2記載のピペット。
【0109】
実施形態4
前記発泡ポリマー材料は架橋フォーム材料を含む、実施形態1または2記載のピペット。
【0110】
実施形態5
前記発泡ポリマー材料は発泡ポリスチレンを含む、実施形態1または2記載のピペット。
【0111】
実施形態6
前記発泡ポリマー材料は、少なくとも50%の連続気泡含有率を有する連続気泡フォームを含む、実施形態1から5までのいずれか1つ記載のピペット。
【0112】
実施形態7
前記管状本体の公称厚さは約0.25mm~約1mmの範囲にある、実施形態1から6までのいずれか1つ記載のピペット。
【0113】
実施形態8
前記管状本体は熱可塑性材料を含む、実施形態1から7までのいずれか1つ記載のピペット。
【0114】
実施形態9
前記熱可塑性材料は二軸配向されている、実施形態8記載のピペット。
【0115】
実施形態10
前記管状本体、前記先端領域および前記吸口領域は一体的であり、いかなる溶接継目も有さない、実施形態1から9までのいずれか1つ記載のピペット。
【0116】
実施形態11
ピペットを製造するための方法であって、
中空内部を画定する管状壁を成形する加熱された熱可塑性材料を型キャビティ内へ供給するステップと、
前記加熱された熱可塑性材料が、高められた温度で前記型キャビティ内にある間に、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサを前記中空内部の少なくとも一部へ供給するステップと、
先端領域と吸口領域との間に配置された管状本体を有するピペットを成形するために、前記加熱された熱可塑性材料を冷却および固化させ、前記フィルタ材料または前記フィルタ材料プリカーサに対応するフィルタエレメントを前記吸口領域の内壁に結合または封入するステップと、
を含む、ピペットを製造するための方法。
【0117】
実施形態12
前記フィルタ材料または前記フィルタ材料プリカーサを前記中空内部の前記少なくとも一部へ供給する前記ステップは、予め製造された別個のフィルタエレメントを構成したフィルタ材料を固体状態で前記中空内部の前記少なくとも一部へ供給するステップを含む、実施形態11記載の、ピペットを製造するための方法。
【0118】
実施形態13
前記予め製造された別個のフィルタエレメントはポリマーフォーム材料を含む、実施形態12記載の方法。
【0119】
実施形態14
前記フィルタ材料または前記フィルタ材料プリカーサを前記中空内部の前記少なくとも一部へ供給する前記ステップは、フィルタ材料プリカーサを前記中空内部の前記少なくとも一部へ射出するステップを含む、実施形態11記載の方法。
【0120】
実施形態15
前記フィルタ材料プリカーサは、液体成分を含むポリマーフォーム形成組成物で構成されている、実施形態14記載の方法。
【0121】
実施形態16
前記フィルタ材料プリカーサは、発泡性の熱可塑性組成物および発泡剤を含む、実施形態14記載の方法。
【0122】
実施形態17
前記発泡剤は化学的発泡剤を含む、実施形態16記載の方法。
【0123】
実施形態18
前記発泡剤は物理的発泡剤を含む、実施形態16記載の方法。
【0124】
実施形態19
長手方向軸線が前記管状壁の中心に沿って規定可能であり、前記フィルタ材料プリカーサを、前記長手方向軸線に対して実質的に平行な方向または前記長手方向軸線と一致する方向で前記中空内部の前記少なくとも一部へ射出する、実施形態14記載の方法。
【0125】
実施形態20
長手方向軸線が前記管状壁の中心に沿って規定可能であり、前記フィルタ材料プリカーサを、前記管状壁を通じて前記長手方向軸線に対して非平行な方向で前記中空内部の前記少なくとも一部へ射出する、実施形態14記載の方法。
【0126】
実施形態21
前記加熱された熱可塑性材料を供給する前記ステップは、溶融した熱可塑性材料の流れを押出機の出口を通じて前記型キャビティ内へ流すステップを含む、実施形態11から20までのいずれか1つ記載の方法。
【0127】
実施形態22
前記フィルタ材料または前記フィルタ材料プリカーサを前記中空内部の前記少なくとも一部へ供給する前記ステップは、液体フィルタ材料プリカーサを前記押出機の前記出口を通じて前記型キャビティ内へ流すステップを含む、実施形態21記載の方法。
【0128】
実施形態23
前記押出機の前記出口は環状の出口を含む、実施形態22記載の方法。
【0129】
実施形態24
前記液体フィルタ材料プリカーサを前記押出機の前記出口を通じて前記型キャビティ内へ流す前記ステップの後、前記吸口領域において、前記液体フィルタ材料プリカーサを含むフィルタエレメントの周囲で前記管状壁の一部を崩すために、前記中空内部の前記少なくとも一部と前記型キャビティとの間の差圧の形成を延期または中止するステップをさらに含む、実施形態22記載の方法。
【0130】
実施形態25
前記管状壁の前記少なくとも一部を膨張させて前記型キャビティの成形面と接触させるために、前記中空内部の前記少なくとも一部と前記型キャビティとの間に差圧を形成するステップをさらに含む、実施形態11から20までのいずれか1つ記載の方法。
【0131】
実施形態26
前記高められた温度は前記熱可塑性材料の軟化温度内にある、実施形態11から25までのいずれか1つ記載の方法。
【0132】
実施形態27
フィルタを有するピペットを製造するための装置であって、
中空内部を画定する管状壁を有する熱可塑性チューブを成形する流動性の熱可塑性材料を生じさせるように構成された押出ダイと、
前記熱可塑性チューブを収容するように構成された型キャビティを有する型と、
前記熱可塑性チューブが前記型キャビティ内にある間に、フィルタ材料またはフィルタ材料プリカーサを前記中空内部の少なくとも一部へ供給するように構成された材料エジェクタと、
を備える装置。
【0133】
実施形態28
前記材料エジェクタは、予め製造された別個のフィルタエレメントを構成したフィルタ材料を固体状態で前記中空内部の前記少なくとも一部へ供給するように構成されている、実施形態27記載の装置。
【0134】
実施形態29
前記材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを流動可能な形態で前記中空内部の前記少なくとも一部へ射出するように構成されている、実施形態27記載の装置。
【0135】
実施形態30
長手方向軸線が前記管状壁の中心に沿って規定可能であり、
前記材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを流動可能な形態で前記長手方向軸線に対して実質的に平行な方向または前記長手方向軸線と一致する方向で前記中空内部の前記少なくとも一部へ排出するように構成された出口を有する、実施形態27から29までのいずれか1つ記載の装置。
【0136】
実施形態31
長手方向軸線が前記管状壁の中心に沿って規定可能であり、
前記材料エジェクタは、前記フィルタ材料プリカーサを流動可能な形態で前記管状壁を通じて前記長手方向軸線に対して非平行な方向で前記中空内部の前記少なくとも一部へ排出するように構成された出口を有する、実施形態27から29までのいずれか1つ記載の装置。
【0137】
実施形態32
前記材料エジェクタは、液体成分を含むポリマーフォーム形成組成物で構成されたフィルタ材料プリカーサの供給部と接続されている、実施形態27から31までのいずれか1つ記載の装置。
【0138】
実施形態33
前記材料エジェクタは、発泡性の熱可塑性組成物および発泡剤で構成されたフィルタ材料プリカーサの供給部と接続されている、実施形態27から31までのいずれか1つ記載の装置。
【0139】
実施形態34
前記押出ダイは押出ダイ出口を有し、前記材料エジェクタは、フィルタ材料プリカーサを前記押出ダイ出口を通じて前記中空内部の前記少なくとも一部へ供給するように構成されている、実施形態27から33までのいずれか1つ記載の装置。
【0140】
実施形態35
前記型キャビティは、前記管状壁の前記少なくとも一部を膨張させて前記型キャビティの成形面と接触させるために十分な差圧を前記管状壁の両側に形成したときに、前記型キャビティからのガスの逃げ出しを可能にするように構成された複数のガス出口を有する、実施形態27から34までのいずれか1つ記載の装置。