(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145563
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】異なる動きベクトル微調整における勾配計算
(51)【国際特許分類】
H04N 19/513 20140101AFI20231003BHJP
【FI】
H04N19/513
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023117759
(22)【出願日】2023-07-19
(62)【分割の表示】P 2021560232の分割
【原出願日】2020-04-20
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/083434
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/092762
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520476341
【氏名又は名称】北京字節跳動網絡技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Bytedance Network Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Room B-0035, 2/F, No.3 Building, No.30, Shixing Road, Shijingshan District Beijing 100041 China
(71)【出願人】
【識別番号】520477474
【氏名又は名称】バイトダンス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BYTEDANCE INC.
【住所又は居所原語表記】12655 West Jefferson Boulevard, Sixth Floor, Suite No. 137 Los Angeles, California 90066 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン カイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン リー
(72)【発明者】
【氏名】リウ ホンビン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユエ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】異なる動きベクトルを微調整して勾配計算を行う映像処理方法、装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】映像処理方法は、映像の現在の映像ブロックに対して、精度規則に従って、初期予測サンプルの勾配に基づいて、オプティカルフロー計算を使用して、現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測を微調整することによって、現在の映像ブロックに対する最終予測ブロックを判定することと、最終予測ブロックを使用して、現在の映像ブロックと符号化表現との間で変換を行うことと、を含む。オプティカルフロー計算は、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順または双方向オプティカルフロー(BDOF)手順による予測微調整を含み、精度規則は、PROF手順およびBDOF手順の両方に対して勾配を表現するために同じ精度を使用するように規定するように提供される。
【選択図】
図29D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像の現在の映像ブロックに対して、精度規則に従って、初期予測サンプルの勾配に基づいて、オプティカルフロー計算を使用して、前記現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測を微調整することによって、前記現在の映像ブロックに対する最終予測ブロックを判定することと、
前記最終予測ブロックを使用して、前記現在の映像ブロックと符号化表現との間で変換を行うこととを含み、
前記オプティカルフロー計算は、PROF(Prediction Refinement with Optical Flow)手順またはBDOF(Bi-Directional Optical Flow)手順を含み、
前記精度規則は、前記PROF手順および前記BDOF手順の両方に対して前記勾配を表現するために同じ精度を使用するように規定する、
映像処理方法。
【請求項2】
前記PROF手順において、前記1つ以上の初期予測は、アフィン動き補償予測中にサブブロックレベルで算出され、前記オプティカルフロー計算を使用して微調整される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記BDOF手順において、前記1つ以上の初期予測は、前記オプティカルフロー計算中に取得された少なくとも1つの勾配値を使用して微調整される、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
それぞれgradientHおよびgradientVで表される水平方向勾配および垂直方向勾配を、以下の1つで計算し:
i)gradientH[x][y]=(predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y])>>Shift0,
gradientV[x][y]=(predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1])>>Shift1,
ii)gradientH[x][y]=Shift((predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y]),Shift0),
gradientV[x][y]=Shift((predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1]),Shift1),
iii)gradientH[x][y]=SatShift((predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y]),Shift0),gradientV[x][y]=SatShift((predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1]),Shift1),or
iv)gradientH[x][y]=Shift(predSamples[x+1][y],Shift0)-Shift(predSample[x-1][y],Shift0),gradientV[x][y]=Shift(predSample[x][y+1],Shift0)-predSample[x][y-1],Shift1),and
Shift(x,n)は、Shift(x,n)=(x+offset0)>>nで定義され、Satshift(x,n)は、
【数1】
で定義される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
それぞれgradientHおよびgradientVで表される水平方向勾配および垂直方向勾配を、以下の1つで計算し:
i)gradientH[x][y]=(predSamples[x][y]*2-predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y])>>Shift0,gradientV[x][y]=(predSamples[x][y]*2-predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1])>>Shift1,
ii)gradientH[x][y]=Shift((predSamples[x][y]*2-predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y]),Shift0),gradientV[x][y]=Shift((predSamples[x][y]*2-predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1]),Shift1),or
iii)gradientH[x][y]=SatShift((predSamples[x][y]*2-predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y]),Shift0),gradientV[x][y]=SatShift((predSamples[x][y]*2-predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1]),Shift1),and
Shift(x,n)は、Shift(x,n)=(x+offset0)>>nで定義され、Satshift(x,n)は、
【数2】
で定義される、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Shift0および/またはShift1がMax(2、(14-BitDepth))に設定され、BitDepthが再構成されたサンプルまたは入力サンプルのビット深度を表す、
請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
PROFおよびBDOFに使用されるShift0および/またはShift1が同じである、
請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記変換を行うことは、前記現在の映像ブロックから前記符号化表現を生成することを含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記変換を行うことは、前記符号化表現から前記現在の映像ブロックを生成することを含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
映像の現在の映像ブロックと前記映像の符号化表現との間での変換のために、オプティカルフロー計算を使用して、前記現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測を微調整することによって、前記現在の映像ブロックに対する最終予測ブロックを判定することと、
前記最終予測ブロックを使用して前記変換を行うことと、を含み、
前記オプティカルフロー計算は、PROF(Prediction Refinement with Optical Flow)手順またはBDOF(Bi-Directional Optical Flow)手順を含み、
前記オプティカルフロー計算は、パディングサンプルを導出すべく、規則に従って、前記PROF手順または前記BDOF手順の少なくとも一方に適用可能なパディング演算をさらに含む、
映像処理方法。
【請求項11】
前記PROF手順において、前記1つ以上の初期予測は、アフィン動き補償予測中にサブブロックレベルで算出され、前記オプティカルフロー計算を使用して微調整される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記BDOF手順において、前記1つ以上の初期予測は、前記オプティカルフロー計算中に取得された少なくとも1つの勾配値を使用して微調整される、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記規則は、前記PROF手順および前記BDOF手順に対して同じパディング演算を使用することを規定する、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記規則は、前記現在の映像ブロックの参照ピクチャにおいて整数位置にある整数サンプルから前記パディングサンプルを導出することを規定する、
請求項10に記載の方法。
【請求項15】
整数サンプルは、整数MVに丸めたMV(Mvx,Mvy)の差を有するパディングサンプルの周囲に位置する、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
MV(Mvx,MvY)を床整数(IntX,IntY)に丸める、
請求項14に記載の方法。
【請求項17】
MV(Mvx,MvY)を最も近い整数MV(IntX,IntY)に丸める、
請求項14に記載の方法。
【請求項18】
IntX=SatShift(MvX,P)およびIntY=SatShift(MvY,P)となるように、MV(Mvx,MvY)を整数MV(IntX,IntY)に丸め、Pは、MVの精度と、
【数3】
を示す、
請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記現在の映像ブロックのカラーフォーマットおよび/または色成分に依存するMVの精度に基づいて、MVを丸める、
請求項15~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記パディング演算を行う方法の情報が、映像パラメータセット(VPS)、復号化パラメータセット(DPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、適応パラメータセット(APS)、スライスヘッダ、タイルグループヘッダ、タイル、符号化ツリーユニット、または符号化ユニットにおいて、信号化される、
請求項10に記載の方法。
【請求項21】
前記パディング演算を行う方法についての情報は、前記規則のプロファイル、レベル、または層にある、
請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記パディング演算を行う方法についての情報は、前記現在の映像ブロックの寸法に依存する、
請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記変換を行うことは、前記現在の映像ブロックから前記符号化表現を生成することを含む、
請求項10~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記変換を行うことは、前記符号化表現から前記現在の映像ブロックを生成することを含む、
請求項10~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
処理装置と命令を含む非一時的メモリとを備える映像システムの装置であって、
前記処理装置による実行時の前記命令は、前記処理装置に請求項10~24のいずれか1項に記載の方法を実行させる、
装置。
【請求項26】
非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラム製品であって、
請求項10~24のいずれか1項に記載の方法を実行するためのプログラムコードを含む、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
パリ条約に基づく適用可能な特許法および/または規則に基づいて、本願は、2019
年4月19日出願の国際特許出願PCT/CN2019/083434号、2019年6
月25日出願の国際特許出願PCT/CN2019/092762号の優先権および利益
を適時に主張することを目的とする。上記出願の開示全体は、本明細書の開示の一部とし
て参照により援用される。
【0002】
本特許明細書は、映像処理技術、デバイスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
映像圧縮の進歩にもかかわらず、デジタル映像は、依然として、インターネット及び他のデジタル通信ネットワークにおいて最大の帯域幅の使用量を占めている。映像を受信及び表示することが可能である接続されたユーザ機器の数が増加するにつれ、デジタル映像の使用に対する帯域幅需要は増大し続けることが予測される。
【発明の概要】
【0004】
デジタル映像処理に関する装置、システムおよび方法。記載された方法は、既存の映像符号化規格(例えば、高効率映像符号化(HEVC))および将来の映像符号化規格又はビデオコーデックの両方に適用され得る。
【0005】
1つの代表的な態様において、開示される技術は、映像処理の方法を提供するために使用してもよい。この方法は、現在の映像ブロックのサブブロックレベルで行われるアフィンモード動き補償を使用して、映像の前記現在の映像ブロックに対する予測ブロックを生成することと、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順を使用して、前記予測ブロックを微調整するために、前記現在の映像ブロックの領域に対して勾配計算を行うことであって、前記領域のサイズ(M×N)は、前記現在の映像ブロックのサブブロックのサイズとは異なり、M、Nは正の整数である、勾配計算を行うことと、前記勾配計算に基づいて、前記現在の映像ブロックと前記映像の符号化表現との間で変換を行うこととを含む。
【0006】
別の代表的な態様では、開示される技術は、映像処理の方法を提供するために使用してもよい。この方法は、第1のサイズを有する映像の現在の映像ブロックに対し、規則に従って第2のサイズを有する映像領域に対して行われた勾配計算を使用して1つ以上の中間予測ブロックを微調整することによって算出された最終予測ブロックを導出することであって、前記微調整することは、オプティカルフロー手順を使用する、導出することと、前記最終予測ブロックを使用して、前記現在の映像ブロックと前記映像の符号化表現との間で変換を行うこととを含む。
【0007】
別の代表的な態様では、開示される技術は、映像処理の方法を提供するために使用してもよい。この方法は、映像の現在の映像ブロックに対し、双方向オプティカルフロー(BDOF)またはオプティカルフロー付き予測微調整(PROF)を使用して動き情報を導出することと、前記現在の映像ブロックの領域において、前記領域における少なくとも1つのサンプルが前記勾配計算から省略されるように、サンプルに対する勾配計算を行うことと、前記勾配計算に基づいて、前記現在の映像ブロックと前記現在の映像ブロックを含む映像の符号化表現との間で変換を行うこととを含み、前記現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測は、サブブロックレベルで算出されて前記PROF中のオプティカルフロー計算を使用して微調整されるか、または1つ以上の初期予測は、BDOF中の空間的および時間的勾配を使用して微調整される。
【0008】
別の代表的な態様では、開示される技術は、映像処理の方法を提供するために使用してもよい。この方法は、映像の現在の映像ブロックに対して、精度規則に従って、初期予測サンプルの勾配に基づいて、オプティカルフロー計算を使用して、現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測を微調整することによって、現在の映像ブロックに対する最終予測ブロックを判定することと、前記最終予測ブロックを使用して、前記現在の映像ブロックと符号化表現との間で変換を行うこととを含み、前記オプティカルフロー計算は、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順または双方向オプティカルフロー(BDOF)手順による予測微調整を含み、前記精度規則は、前記PROF手順および前記BDOF手順の両方に対して前記勾配を表現するために同じ精度を使用するように規定する。
【0009】
別の代表的な態様では、開示される技術は、映像処理の方法を提供するために使用してもよい。この方法は、映像の現在の映像ブロックと前記映像の符号化表現との間での変換のために、オプティカルフロー計算を使用して、前記現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測を微調整することによって、前記現在の映像ブロックに対する最終予測ブロックを判定することと、最終予測ブロックを使用して前記変換を行うこととを含み、前記オプティカルフロー計算は、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順および/または双方向オプティカルフロー(BDOF)手順による予測微調整を含み、前記オプティカルフロー計算は、パディングサンプルを導出すべく、規則に従って、前記PROF手順または前記BDOF手順の少なくとも一方に適用可能なパディング演算をさらに含む。
【0010】
さらに別の代表的な態様において、上記方法は、処理装置が実行可能なコードの形式で実施され、コンピュータ可読プログラム媒体に記憶される。
【0011】
さらに別の代表的な態様において、上述した方法を行うように構成された、または動作可能なデバイスが開示される。この装置は、この方法を実装するようにプログラムされた処理装置を含んでもよい。
【0012】
さらに別の代表的な態様において、映像デコーダ装置は、本明細書で説明されるような方法を実装してもよい。
【0013】
開示される技術の上記および他の態様および特徴は、図面、説明および特許請求の範囲でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】空間的マージ候補の冗長性チェックの対象となる候補対の例を示す。
【
図4A】現在のブロックのサイズおよび形状に基づく第2の予測ユニット(PU)の位置の例を示す。
【
図4B】現在のブロックのサイズおよび形状に基づく第2の予測ユニット(PU)の位置の例を示す。
【
図5】時間的マージ候補のための動きベクトルのスケーリングの例を示す。
【
図7】結合双方向予測マージ候補を生成する例を示す。
【
図9】空間的動きベクトル候補のための動きベクトルのスケーリングの例を示す。
【
図10】符号化ユニット(CU)のために代替の時間的動きベクトル予測(ATMVP)アルゴリズムを使用する動き予測の例を示す。
【
図11】空間的-時間的動きベクトル予測(STMVP)アルゴリズムで使用されるサブブロックおよび近傍のブロックを有する符号化ユニット(CU)の例を示す。
【
図12A】重複ブロック動き補償(OBMC)アルゴリズムを使用する場合のサブブロックの例示的なスナップショットを示す。
【
図12B】重複ブロック動き補償(OBMC)アルゴリズムを使用する場合のサブブロックの例示的なスナップショットを示す。
【
図13】局所照明補償(LIC)アルゴリズムのためのパラメータを導出するために使用される近傍のサンプルの例を示す。
【
図14】簡略化したアフィン動きモデルの一例を示す。
【
図15】サブブロックごとのアフィン動きベクトルフィールド(MVF)の例を示す。
【
図16】AF_INTERアフィン動きモードにおける動きベクトル予測(MVP)の例を示す。
【
図17A】AF_MERGEアフィン動きモードの候補の例を示す。
【
図17B】AF_MERGEアフィン動きモードの候補の例を示す。
【
図18】フレームレートアップ変換(FRUC)アルゴリズムに基づく特殊なマージモードである、パターンマッチング動きベクトル導出(PMMVD)モードにおけるバイラテラルマッチングの例を示す。
【
図19】FRUCアルゴリズムにおけるテンプレートマッチングの一例を示す。
【
図20】FRUCアルゴリズムにおける片側動き推定の例を示す。
【
図21】双方向オプティカルフロー(BIO)アルゴリズムで使用されるオプティカルフローの軌跡の例を示す。
【
図22A】ブロック拡張なしの双方向オプティカルフロー(BIO)アルゴリズムを使用した例示的なスナップショットを示す。
【
図22B】ブロック拡張なしの双方向オプティカルフロー(BIO)アルゴリズムを使用した例示的なスナップショットを示す。
【
図23】BIOに使用される補間されたサンプルの例を示す。
【
図24】バイラテラルテンプレートマッチングに基づくデコーダ側動きベクトル改良(DMVR)アルゴリズムの一例を示す。
【
図25】1つのサブブロックMV VSBおよび画素Δv(i,j)の例を示す。
【
図26】位相可変水平面フィルタリングの例を示す。
【
図27】1つの例の8タップ水平フィルタリングを適用する例を示す。
【
図28】不均一な位相垂直フィルタリングの例を示す。
【
図29A】映像処理のための例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図29B】映像処理のための例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図29C】映像処理のための例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図29D】映像処理のための例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図29E】映像処理のための例示的な方法のフローチャートを示す。
【
図30A】本明細書に記載されるビジュアルメディアの復号化またはビジュアルメディアの符号化技術を実装するためのハードウェアプラットフォームの一例を示すブロック図である。
【
図30B】本明細書に記載されるビジュアルメディアの復号化またはビジュアルメディアの符号化技術を実装するためのハードウェアプラットフォームの一例を示すブロック図である。
【
図31】16×16個の領域における16個の4×4個のサブブロックの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
より高い解像度の映像の需要が増大しているため、近代技術において、映像処理方法および技術は、遍在している。ビデオコーデックは、一般的に、デジタル映像を圧縮又は展開する電子回路又はソフトウェアを含み、より高い符号化効率を提供するように絶えず改良されている。ビデオコーデックは、非圧縮映像を圧縮フォーマットに変換する、又はその逆である。映像の品質、映像を表現するために使用されるデータの数(ビットレートで決まる)、エンコーディングおよびデコーディングアルゴリズムの複雑性、データの損失およびエラーに対する敏感さ、編集のしやすさ、ランダムアクセス、およびエンドツーエンドの遅延(待ち時間)の間には複雑な関係がある。この圧縮フォーマットは、通常、標準的な映像圧縮仕様、例えば、高効率映像符号化(HEVC)規格(H.265またはMPEG-H Part2としても知られている)、完成させるべき汎用映像符号化規格、または他の現在のおよび/または将来の映像符号化基準に準拠する。
【0016】
開示される技術の実施形態は、圧縮性能を向上させるために、既存の映像符号化規格(例えば、HEVC、H.265)および将来の規格に適用されてもよい。本明細書では、説明の可読性を向上させるために章の見出しを使用しており、説明または実施形態(および/または実装形態)をそれぞれの章のみに限定するものではない。
【0017】
1. HEVC/H.265におけるインター予測の例
映像符号化規格は、長年にわたって大幅に改善され、現在、部分的には、高いコーディング効率を実現し、より高い解像度をサポートする。HEVCおよびH.265などの最近の規格は、時間予測プラス変換符号化が利用されるハイブリッド映像符号化構造に基づく。
【0018】
1.1 予測モードの例
各インター予測されたPU(予測ユニット)は、1つまたは2つの参照ピクチャリストのための動きパラメータを有する。いくつかの実施形態において、動きパラメータは、動きベクトルおよび参照ピクチャインデックスを含む。他の実施例において、2つの参照ピクチャリストのうちの1つの参照ピクチャリストの使用は、inter_pred_idcを用いて通知されてもよい。さらに他の実施形態において、動きベクトルは、予測子に対するデルタとして明確にコーディングされてもよい。
【0019】
1つのCUがスキップモードにて符号化される場合、1つのPUがこのCUに関連付けられ、有意な残差係数がなく、符号化された動きベクトル差分も参照ピクチャインデックスもない。マージモードを指定し、これにより、現在のPUのための動きパラメータを、空間的および時間的候補を含む近傍のPUから取得する。マージモードは、スキップモードのためだけでなく、任意のインター予測されたPUに適用することができる。マージモードの代替としては、動きパラメータの明確な送信があり、PUごとに、各参照ピクチャリストおよび参照ピクチャリストの使用に対応する参照ピクチャインデックスである、動きベクトルを明確に信号通知する。
【0020】
2つの参照ピクチャリストのうちの1つを使用することを信号通知が示す場合、1つのサンプルのブロックからPUを生成する。これを「単一予測」と呼ぶ。PスライスおよびBスライスの両方に対して単一予測が利用可能である。
【0021】
両方の参照ピクチャリストを使用することを信号通知が示す場合、2つのサンプルのブロックからPUを生成する。これを「双方向予測」と呼ぶ。Bスライスのみに双方向予測が利用可能である。
【0022】
1.1.1 マージモードの候補を構築する実施形態
マージモードを使用してPUを予測する場合、ビットストリームからマージ候補リストにおけるエントリを指すインデックスを構文解析し、これを使用して動き情報を検索する。このリストの構成は、以下のステップのシーケンスに基づいてまとめることができる。
【0023】
ステップ1:初期候補導出
【0024】
ステップ1.1:空間的候補導出
【0025】
ステップ1.2:空間的候補の冗長性チェック
【0026】
ステップ1.3:時間的候補導出
【0027】
ステップ2:追加の候補挿入
【0028】
ステップ2.1:双方向予測候補の作成
【0029】
ステップ2.2:動きゼロ候補の挿入
【0030】
図1は、上記ステップのシーケンスに基づいてマージ候補リストを構築する例を示す。空間的マージ候補導出のために、5つの異なる位置にある候補の中から最大4つのマージ候補を選択する。時間的マージ候補導出のために、2つの候補の中から最大1つのマージ候補を選択する。デコーダ側ではPUごとに一定数の候補を想定しているので、候補数がスライスヘッダで信号通知されるマージ候補(MaxNumMergeCand)の最大数に達しない場合、追加候補を生成する。候補の数は一定であるので、短縮された単項2値化(TU)を使用して最良マージ候補のインデックスを符号化する。CUのサイズが8に等しい場合、現在のCUのすべてのPUは、2N×2N予測ユニットのマージ候補リストと同じ1つのマージ候補リストを共有する。
【0031】
1.1.2 空間的マージ候補の構築
空間的マージ候補の導出において、
図2に示す位置にある候補の中から、最大4つのマージ候補を選択する。導出の順序はA
1、B
1、B
0、A
0、B
2である。位置A
1、B
1、B
0、A
0のいずれかのPUが利用可能でない場合(例えば、別のスライスまたはタイルに属しているため)、またはイントラ符号化された場合にのみ、位置B
2が考慮される。位置A
1の候補を加えた後、残りの候補を加えると、冗長性チェックを受け、それにより、同じ動き情報を有する候補を確実にリストから排除でき、符号化効率を向上させることができる。
【0032】
計算の複雑性を低減するために、前述の冗長性チェックにおいて、考えられる候補対のすべてを考慮することはしない。代わりに、
図3において矢印でリンクされた対のみを考慮し、冗長性チェックに使用される対応する候補が同じ動き情報を有していない場合にのみ、その候補をリストに加える。重複した動き情報の別のソースは、2N×2Nとは異なる分割に関連付けられた「第2のPU」である。
図4Aおよび
図4Bは、それぞれ、N×2Nおよび2N×Nの場合の第2のPUを描いている。現在のPUをN×2Nに分割する場合、リスト構築に位置A
1の候補は考慮されない。いくつかの実施形態において、この候補を加えることにより、2つの予測ユニットが同じ動き情報を有するようになり、1つの符号化ユニットに1つのPUのみを有することは冗長である。同様に、現在のPUを2N×Nに分割する場合、位置B
1は考慮されない。
【0033】
1.1.3 時間的マージ候補の構築
このステップにおいて、1つの候補のみがリストに追加される。具体的には、この時間的マージ候補の導出において、所与の参照ピクチャリストにおける現在のピクチャとの間に最小のPOC差を有するピクチャに属する同一位置PUに基づいて、スケーリングされた動きベクトルを導出する。スライスヘッダにおいて、同一位置のPU(co-located PU)の導出に用いられる参照ピクチャリストが明確に信号通知される。
【0034】
図5は、POC距離tb、tdを用いて、コロケーションPUの動きベクトルからスケーリングされた、現在のピクチャの参照ピクチャと現在のピクチャとの間のPOC差をtbとし、コロケーションピクチャの参照ピクチャとコロケーションピクチャとの間のPOC差をtdとする、時間的マージ候補のためのスケーリングされた動きベクトル(点線)の導出の例を示す。時間的マージ候補の参照ピクチャインデックスをゼロに等しく設定する。Bスライスの場合、2つの動きベクトル、即ち、1つは参照ピクチャリスト0のためのもの、もう1つは参照ピクチャリスト1のためのものを取得し、これらを組み合わせることによって、双方向予測マージ候補を形成する。
【0035】
参照フレームに属する同一位置のPU(Y)において、
図6に示すように、候補C
0と候補C
1との間で時間的候補の位置を選択する。位置C
0のPUが利用可能でない場合、イントラ符号化されている場合、または現在のCTUの外側にある場合、位置C
1が使用される。そうでない場合、位置C
0が時間的マージ候補の導出に使用される。
【0036】
1.1.4 追加タイプのマージ候補の構築
空間的-時間的マージ候補の他に、2つの追加のタイプのマージ候補、すなわち、結合双方向予測マージ候補およびゼロマージ候補がある。空間的-時間的マージ候補を利用して、結合双方向予測マージ候補を生成する。結合双方向予測マージ候補は、Bスライスのみに使用される。最初の候補の第1の参照ピクチャリスト動きパラメータと別の候補の第2の参照ピクチャリスト動きパラメータとを組み合わせることで、結合双方向予測候補を生成する。これら2つのタプルが異なる動き仮説を提供する場合、これらのタプルは、新しい双方向予測候補を形成する。
【0037】
図7は、この処理の例を示しており、mvL0、refIdxL0、又はmvL1、refIdxL1を有するオリジナルリスト(710、左側)における、2つの候補を使用して、最終リスト(720、右側)に加えられる結合双方向予測マージ候補を生成する。
【0038】
ゼロ動き候補を挿入し、マージ候補リストにおける残りのエントリを埋めることにより、MaxNumMergeCand容量にヒットする。これらの候補は、空間的変位がゼロであり、新しいゼロ動き候補をリストに加える度にゼロから始まり増加する参照ピクチャインデックスを有する。これらの候補が使用する参照フレームの数は、それぞれ、一方向予測の場合は1つ、双方向予測の場合は2つである。いくつかの実施形態において、これらの候補に対して冗長性チェックは行われない。
【0039】
1.1.5 並列処理のための動き推定領域の例
符号化処理を高速化するために、動き推定を並列に行うことができ、それによって、所与の領域内のすべての予測ユニットの動きベクトルを同時に導出する。1つの予測ユニットは、その関連する動き推定が完了するまで、隣接するPUから動きパラメータを導出することができないので、空間的近傍からのマージ候補の導出は、並列処理に干渉する可能性がある。符号化効率と処理待ち時間との間のトレードオフを緩和するために、動き推定領域(MER)を規定することができる。「log2_parallel_merge_level_minus2」構文要素を使用して、ピクチャパラメータ集合(PPS)においてMERのサイズを信号通知してもよい。1つのMERを規定するとき、同じ領域にあるマージ候補は利用不可能であるとしてマークされ、それゆえにリスト構築においては考慮されない。
【0040】
1.2 高度動きベクトル予測(AMVP)の実施形態
AMVPは、動きベクトルと近傍のPUとの間の空間的-時間的相関を利用し、これを動きパラメータの明確な伝送に用いる。まず、左側、上側の時間的に近傍のPU位置の可用性をチェックし、冗長な候補を取り除き、ゼロベクトルを加えることで、候補リストの長さを一定にすることで、動きベクトル候補リストを構築する。次いで、エンコーダは、候補リストから最良の予測子を選択し、選択された候補を示す対応するインデックスを送信することができる。マージインデックスの信号通知と同様に、最良の動きベクトル候補のインデックスは、短縮された単項を使用してエンコードされる。この場合に符号化される最大値は2である(
図8参照)。以下の章では、動きベクトル予測候補の導出処理の詳細を説明する。
【0041】
1.2.1 動きベクトル予測候補の構築例
図8は、動きベクトル予測候補の導出処理をまとめたものであり、refidxを入力として、各参照ピクチャリストに対して実装されてもよい。
【0042】
動きベクトル予測において、空間的動きベクトル候補と時間的動きベクトル候補という2つのタイプの動きベクトル候補が考慮される。空間的動きベクトル候補を導出するために、先に
図2に示したように、5つの異なる位置にある各PUの動きベクトルに基づいて、最終的には2つの動きベクトル候補を導出する。
【0043】
時間的動きベクトル候補を導出するために、2つの異なる同一位置に配置された位置に基づいて導出された2つの候補から1つの動きベクトル候補を選択する。空間的-時間的候補の最初のリストを作成した後、リストにおける重複した動きベクトル候補を除去する。候補の数が2よりも多い場合、関連づけられた参照ピクチャリストにおける参照ピクチャインデックスが1よりも大きい動きベクトル候補をリストから削除する。空間的―時間的動きベクトル候補の数が2未満である場合は、追加のゼロ動きベクトル候補をリストに加える。
【0044】
1.2.2 空間的動きベクトル候補の構築
空間的動きベクトル候補の導出において、先に
図2に示したような位置にあるPUから導出された5つの潜在的な候補のうち、動きマージと同じ位置にあるものを最大2つの候補を考慮する。現在のPUの左側のための導出の順序は、A
0、A
1、スケーリングされたA
0、スケーリングされたA
1として規定される。現在のPUの上側のための導出の順序は、B
0、B
1、B
2、スケーリングされたB
0、スケーリングされたB
1、スケーリングされたB
2として規定される。そのため、辺ごとに、動きベクトル候補として使用できる場合が4つ、すなわち空間的スケーリングを使用する必要がない2つの場合と、空間的スケーリングを使用する2つの場合とがある。4つの異なる場合をまとめると、以下のようになる。
【0045】
―空間スケーリングなし
【0046】
(1)同じ参照ピクチャリスト、及び同じ参照ピクチャインデックス(同じPOC)
【0047】
(2)異なる参照ピクチャリストであるが、同じ参照ピクチャ(同じPOC)
【0048】
―空間的スケーリング
【0049】
(3)同じ参照ピクチャリストであるが、異なる参照ピクチャ(異なるPOC)
【0050】
(4)異なる参照ピクチャリスト、及び異なる参照ピクチャ(異なるPOC)
【0051】
まず、非空間的スケーリングの場合をチェックし、次に、空間的スケーリングを可能にする場合をチェックする。参照ピクチャリストにかかわらず、POCが近傍のPUの参照ピクチャと現在のPUの参照ピクチャとで異なる場合、空間的スケーリングを考慮する。左側候補のすべてのPUが利用可能でないか、又はイントラ符号化されている場合、上側の動きベクトルのスケーリングは、左側及び上側MV候補の並列導出に役立つ。そうでない場合、上側の動きベクトルに対して空間的スケーリングは許可されない。
【0052】
図9の例に示すように、空間的スケーリングの場合、時間的スケーリングと同様にして、近傍のPUの動きベクトルをスケーリングする。1つの違いは、現在のPUの参照ピクチャリストおよびインデックスを入力として与え、実際のスケーリング処理は時間的スケーリングと同じであることである。
【0053】
1.2.3 時間的動きベクトル候補の構築
参照ピクチャインデックスを導出すること以外は、時間的マージ候補を導出するためのすべての処理は、空間的動きベクトル候補を導出するための処理と同じである(
図6の例に示す)。いくつかの実施形態において、参照ピクチャインデックスはデコーダに信号通知される。
【0054】
2. 共同探索モデル(Joint Exploration Model:JEM)におけるインター予測方法の例
いくつかの実施形態において、将来の映像符号化技術は、共同探索モデル(JEM)として知られる参照ソフトウェアを使用して探索される。JEMでは、サブブロックベースの予測は、アフィン予測、代替時間的動きベクトル予測(ATMVP)、空間的-時間的動きベクトル予測(STMVP)、双方向オプティカルフロー(BIO)、フレームレートアップ変換(FRUC)、ローカル適応動きベクトル解像度(LAMVR)、オーバーラップブロック動き補償(OBMC)、ローカル照明補償(LIC)、デコーダ側動きベクトル改良(DMVR)などの、いくつかの符号化ツールで適用されている。
【0055】
2.1 サブCUに基づく動きベクトル予測の例
4分木に2分木を加えたJEM(QTBT)において、各CUは、各予測方向に対して最大1つの動きパラメータのセットを有することができる。いくつかの実施形態において、エンコーダにおいて、ラージCUをサブCUに分割し、ラージCUのすべてのサブCUの動き情報を導出することにより、2つのサブCUレベルの動きベクトル予測方法を考慮する。代替的な時間的動きベクトル予測(ATMVP)方法により、各CUが、配列された参照ピクチャにおける現在のCUよりも小さい複数のブロックから複数の動き情報のセットを取り出すことが可能となる。STMVP(Spatial-Temporal Motion Vector Prediction)法において、時間的動きベクトル予測因子および空間的近傍動きベクトルを使用して、サブCUの動きベクトルを再帰的に導出する。いくつかの実施形態において、サブCU動き予測のためにより正確な動きフィールドを維持するために、参照フレームの動き圧縮は無効にされてもよい。
【0056】
2.1.1 代替の時間的動きベクトル予測(ATMVP)の例
ATMVP法において、時間的動きベクトル予測(TMVP)法は、現在のCUより小さいブロックから複数セットの動き情報(動きベクトルおよび参照インデックスを含む)を取り出すことで修正される。
【0057】
図10は、CU1000におけるATMVP動き予測処理の一例を示す。ATMVP法は、CU1000におけるサブCU1001の動きベクトルを2つのステップで予測する。第1のステップでは、参照ピクチャ1050における対応するブロック1051を時間的ベクトルで特定する。参照ピクチャ1050は、モーションソースピクチャとも呼ばれる。第2のステップでは、現在のCU1000をサブCU1001に分割し、各サブCUに対応するブロックから、各サブCUの動きベクトルおよび参照インデックスを得る。
【0058】
第1のステップにおいて、現在のCU1000の空間的に近傍のブロックの動き情報によって、参照ピクチャ1050および対応するブロックを判定する。近傍のブロックの繰り返し走査処理を回避するために、現在のCU1000のマージ候補リストにおける第1のマージ候補を用いる。第1の利用可能な動きベクトル及びその関連する参照インデックスを、時間的ベクトル及び動きソースピクチャのインデックスに設定する。このように、TMVPに比べて、対応するブロックをより正確に特定することができ、対応するブロック(配列されたブロックと呼ばれることがある)は、常に現在のCUに対して右下または中心位置にある。
【0059】
第2のステップにおいて、現在のCUの座標に時間的ベクトルを加えることで、モーションソースピクチャ1050における時間的ベクトルによって、サブCU1051の対応するブロックを特定する。サブCUごとに、その対応するブロックの動き情報(例えば、中心サンプルを覆う最小の動きグリッド)を使用して、サブCUの動き情報を導出する。対応するN×Nブロックの動き情報を特定した後、HEVCのTMVPと同様に、現在のサブCUの動きベクトル及び参照インデックスに変換され、動きスケーリングや他の手順が適用される。例えば、デコーダは、低遅延条件(例えば、現在のピクチャのすべての参照ピクチャのPOCが現在のピクチャのPOCよりも小さい)が満たされているかどうかをチェックし、場合によっては、動きベクトルMVx(例えば、参照ピクチャリストXに対応する動きベクトル)を使用して、各サブCUの動きベクトルMVy(例えば、Xが0又は1に等しく、Yが1-Xに等しい)を予測する。
【0060】
2.1.2 空間的-時間的動きベクトル予測(STMVP)の例
STMVP法において、サブCUの動きベクトルは、ラスタスキャンの順に沿って再帰的に導出される。
図11は、4つのサブブロックおよび近傍のブロックを有する1つのCUの例を示す。4つの4×4個のサブCU、A(1101)、B(1102)、C(1103)、およびD(1104)を含む8×8個のCU1100を考える。現在のフレームにおける近傍の4×4ブロックを、a(1111)、b(1112)、c(1113)、d(1114)とラベルする。
【0061】
サブCUのAの動きの導出は、その2つの空間的近傍を特定することで始まる。第1の近傍は、サブCU、A1101の上のN×Nブロックである(ブロックc1113)。このブロックc(1113)が利用可能でない、又はイントラ符号化されている場合、サブCUA(1101)の上の他のN×N個のブロックをチェックする(ブロックc1113から始まって左から右へ)。第2の近傍は、サブCUA1101の左側のブロックである(ブロックb1112)。ブロックb(1112)が利用可能でない、又はイントラ符号化されている場合、サブCU、A1101の左側の他のブロックをチェックする(ブロックb1112から始まり、上から下へ)。各リストの近傍のブロックから得られた動き情報を、所与のリストの第1の参照フレームにスケーリングする。次に、HEVCに規定されているTMVP導出と同じ手順に従って、サブブロックA1101の時間的動きベクトル予測子(TMVP)を導出する。ブロックD1104における配列されたブロックの動き情報がフェッチされ、それに応じてスケーリングされる。最後に、動き情報を検索し、スケーリングした後、参照リストごとにすべての利用可能な動きベクトルを別々に平均する。この平均化された動きベクトルを現在のサブCUの動きベクトルとする。
【0062】
2.1.3 サブCUの動き予測モード信号通知の例
いくつかの実施形態において、サブCUモードは追加のマージ候補として有効とされ、モードを信号通知するために追加の構文要素は必要とされない。ATMVPモード及びSTMVPモードを表すように、各CUのマージ候補リストに2つの追加のマージ候補を加える。他の実施形態において、シーケンスパラメータセットがATMVPおよびSTMVPが有効であることを示す場合、7個までのマージ候補を使用してもよい。追加のマージ候補のエンコーディングロジックは、HMにおけるマージ候補の場合と同じであり、つまり、P又はBスライスにおける各CUについて、2つの追加のマージ候補に対して2回以上のRDチェックが必要となるかもしれない。いくつかの実施形態において、例えばJEMのように、マージインデックスのすべての2値(bin)はコンテキストベースの適応型バイナリ算術コーディング(CABAC:Context-based Adaptive Binary Arithmetic Coding)によりコンテキスト符号化される。他の実施形態、例えばHEVCにおいては、第1の2値のみがコンテキストコーディングされ、残りの2値はコンテキストバイパスコーディングされる。
【0063】
2.2 適応動きベクトル差解像度の例
本発明の実施例中において、use_integer_mv_flagがスライスヘッダにおいて0であるとき、4分の1輝度サンプルの単位で動きベクトルの差(MVD)(動きベクトルとPUの予測動きベクトルとの差)を信号通知される。JEMにおいて、ローカル適応型動きベクトル解像度(LAMVR)が導入される。JEMにおいて、MVDは、1/4輝度サンプル、整数輝度サンプル又は4つの輝度サンプルの単位で符号化できる。MVD分解能は符号化ユニット(CU)レベルで制御され、MVD解像度フラグは、少なくとも1つのノンゼロMVDモジュールを有する各CUに対して条件付きで信号通知される。
【0064】
少なくとも1つの非ゼロMVDの構成要素を有するCUの場合、1/4輝度サンプルMV精度がCUにおいて使用されるか否かを示すために、第1のフラグが信号通知される。第1のフラグ(1に等しい)が、1/4輝度サンプルMV精度が使用されていないことを示す場合、整数輝度サンプルMV精度が使用されるか又は4輝度サンプルMV精度が使用されるかを示すために、別のフラグが信号通知される。
【0065】
CUの第1のMVD解像度フラグがゼロであるか、又はCUに対して符号化されていない(つまり、CUにおけるすべてのMVDがゼロである)場合、CUに対して1/4輝度サンプルMV解像度が使用される。CUが整数輝度サンプルMV精度又は4輝度サンプルMV精度を使用する場合、CUのAMVP候補リストにおけるMVPを対応する精度に丸める。
【0066】
エンコーダにおいて、CUレベルのRDチェックは、どのMVD解像度をCUに用いるかを判定するために使用される。すなわち、1つのMVD解像度ごとに3回、CUレベルのRDチェックを行う。エンコーダの速度を速めるために、JEMにおいては、以下の符号化方式が適用される。
【0067】
-通常の1/4輝度サンプルMVD解像度を有するCUのRDチェック中、現在のCUの動き情報(整数輝度サンプル精度)が記憶される。整数輝度サンプル及び4輝度サンプルのMVD解像度を有する同じCUのRDチェック中に、記憶された動き情報(丸められた後)は、更なる小範囲動きベクトル微調整の開始点として使用されるので、時間がかかる動き推定処理が3回重複しない。
【0068】
-4輝度サンプルMVD解像度を有するCUのRDチェックを条件付きで呼び出す。CUの場合、整数輝度サンプルMVD解像度のRDコストが1/4輝度サンプルMVD解像度のそれよりもはるかに大きい場合、CUのための4輝度サンプルMVD解像度のRDチェックは省略される。
【0069】
2.3 動きベクトルの記憶精度を向上させる例
HEVCにおいて、動きベクトルの精度は、1/4画素(4:2:0映像の場合、1/4輝度サンプルおよび1/8彩度サンプル)である。JEMにおいて、内部の動きベクトルの記憶およびマージ候補の精度は、1/16画素にまで向上する。スキップ/マージモードで符号化されたCUの動き補償インター予測には、より高い動きベクトル精度(1/16画素)が用いられる。通常のAMVPモードで符号化されたCUの場合、整数画素または1/4画素の動きのいずれかが使用される。
【0070】
HEVC動き補償補間フィルタと同じフィルタ長と正規化係数を有するSHVCアップサンプリング補間フィルタを、追加の分数画素位置の動き補償補間フィルタとして使用する。JEMにおいて、彩度成分の動きベクトルの精度は1/32サンプルであり、近傍の2つの1/16画素の端数位置のフィルタの平均を用いて、1/32画素の端数位置の追加の補間フィルタを導出する。
【0071】
2.4 重複ブロック動き補償(OBMC)の例
JEMにおいて、OBMCは、CUレベルの構文を使用してオン/オフを切り替えることができる。JEMにおいてOBMCを使用する場合、OBMCは、CUの右下の境界を除くすべての動き補償(MC)ブロック境界に対して行われる。また、輝度及び彩度成分の両方に適用される。JEMにおいて、MCブロックは符号化ブロックに対応する。CUがサブCUモードで符号化された(サブCUマージ、アフィン、及びFRUCモードを含む)場合、CUの各サブブロックは1つのMCブロックである。均一にCU境界を処理するために、OBMCは、すべてのMCブロック境界に対してサブブロックレベルで実行され、ここで、サブブロックサイズは、
図12A、12Bに示すように、4×4に等しく設定される。
【0072】
図12Aは、CU/PU境界におけるサブブロックを示し、斜線を付けたサブブロックは、OBMCが適用される場所である。同様に、
図12Bは、ATMVPモードのサブPUを示す。
【0073】
OBMCが現在のサブブロックに適用される場合、現在の動きベクトルの他に、4つの接続された近傍のサブブロックの動きベクトルも、利用可能であり、現在の動きベクトルと同じでない場合には、現在のサブブロックのための予測ブロックを導出するために使用される。複数の動きベクトルに基づくこれらの複数の予測ブロックを組み合わせ、現在のサブブロックの最終予測信号を生成する。
【0074】
近傍のサブブロックの動きベクトルに基づく予測ブロックをPN(Nは、近傍の上、下、左、右のサブブロックのインデックス)とし、現在のサブブロックの動きベクトルに基づく予測ブロックをPCとする。PNが現在のサブブロックと同じ動き情報を含む近傍のサブブロックの動き情報に基づく場合、OBMCはPNから行われない。そうでない場合、PNのすべてのサンプルをPC内の同じサンプルに加える。すなわち、PNの4つの行/列をPCに加える。PNには重み係数{1/4,1/8,1/16,1/32}を用い、PCには重み係数{3/4,7/8,15/16,31/32}を用いる。例外は、小さなMCブロック(すなわち、符号化ブロックの高さ又は幅が4に等しいか、又は1つのCUがサブCUモードで符号化された場合)であり、その場合、2つの行/列のPNのみがPCに追加される。この場合、PNに対して重み係数{1/4,1/8}が使用され、PCに対して重み係数{3/4,7/8}が使用される。垂直(水平)方向に近傍のサブブロックの動きベクトルに基づいて生成されたPNに対して、PNの同じ行(列)におけるサンプルを、同じ重み係数でPCに加算する。
【0075】
JEMにおいて、サイズが256輝度サンプル以下のCUの場合、現在のCUに対してOBMCが適用されているかどうかを示すように、CUレベルフラグが信号通知される。サイズが256輝度サンプルよりも大きい、又はAMVPモードで符号化されていないCUの場合、OBMCがデフォルトで適用される。エンコーダにおいて、OBMCがCUに適用される場合、その影響は動き推定ステージ中に考慮される。上側近傍のブロックおよび左側近傍のブロックの動き情報を用いてOBMCにより形成された予測信号は、現在のCUの元の信号の上側および左側の境界を補償するために用いられ、その後、通常の動き推定処理が適用される。
【0076】
2.5 局所照明補償(LIC)の例
LICは、倍率aおよびオフセットbを用いて、照明変化の線形モデルに基づく。そして、各インターモード符号化ユニット(CU)に対して適応的に有効又は無効とされる。
【0077】
LICがCUに適用される場合、現在のCUの近傍のサンプルおよびそれらに対応する参照サンプルを使用することによって、パラメータaおよびbを導出するために、最小二乗誤差法が使用される。
図13は、ICアルゴリズムのパラメータを導出するために使用される近傍のサンプルの例を示す。具体的には、
図13に示すように、CUのサブサンプリング(2:1サブサンプリング)された近傍のサンプルと、参照ピクチャにおける対応するサンプル(現在のCU又はサブCUの動き情報によって特定される)とを使用する。ICパラメータは、各予測方向に対して別々に導出され、適用される。
【0078】
1つのCUがマージモードで符号化される場合、マージモードにおける動き情報のコピーと同様に、近傍のブロックからLICフラグをコピーし、そうでない場合、CUにLICフラグを信号通知してLICが適用されるかどうかを示す。
【0079】
1つのピクチャに対してLICが有効化されるとき、1つのCUに対してLICが適用されるかどうかを判定するために、追加のCUレベルRDチェックが必要である。LICがCUのために有効である場合、整数画素動き探索および小数画素動き探索それぞれのために、SADおよびSATDの代わりに、絶対拡散の平均除去和(MR-SAD)および絶対アダマール変換差の平均除去和(MR-SATD)を使用する。
【0080】
符号化の複雑性を低減するために、JEMにおいては、以下の符号化方式が適用される。
【0081】
-現在の画像とその参照ピクチャとの間に明瞭な照度変化がない場合、LICはピクチャ全体に対して無効にされる。この状況を識別するために、エンコーダにおいて、現在のピクチャ及び現在のピクチャのすべての参照ピクチャのヒストグラムを計算する。現在のピクチャと現在のピクチャのすべての参照ピクチャとの間のヒストグラム差が所与の閾値よりも小さい場合、現在のピクチャに対してLICを無効化し、そうでない場合、現在のピクチャに対してLICを有効化する。
【0082】
2.6 アフィン動き補償予測の例
HEVCにおいて、動き補償予測(MCP)のために並進運動モデルのみが適用される。しかしながら、カメラおよび対象物は、様々な種類の動き、例えば、ズームイン/ズームアウト、回転、透視運動、及び/又は他の不規則な動きを有してもよい。一方、JEMは、簡易アフィン変換動き補償予測を適用する。
図14は、2つの制御点の動きベクトルV
0、V
1によって記述されるブロック1400のアフィンモーションフィールドの例を示す図である。ブロック1400の動きベクトルフィールド(MVF)は、以下の式で表すことができる。
【0083】
【0084】
図14に示すように、(v
0x,v
0y)は、左上隅の制御点の動きベクトルであり、(v
1x,v
1y)は、右上隅の制御点の動きベクトルである。動き補償予測を簡単にするために、サブブロックに基づくアフィン変換予測を適用することができる。サブブロックのサイズM×Nは、以下のように導出される。
【0085】
【0086】
ここで、MvPreは、動きベクトルの端数部分の精度である(例えば、JEMにおいて1/16)。(v2x,v2y)は、式(1)に従って算出された左下制御点の動きベクトルである。必要であれば、MおよびNを下方に調整して、それぞれwおよびhの除数にすることができる。
【0087】
図15は、ブロック1500のためのサブブロックごとのアフィンMVFの例を示す。各M×N個のサブブロックの動きベクトルを導出するために、式(1)に従って、各サブブロックの中心サンプルの動きベクトルを計算し、動きベクトルの端数精度(例えば、JEMでは1/16)に丸めることができる。次に、動き補償補間フィルタを適用して、導出された動きベクトルを用いて各サブブロックの予測を生成することができる。MCPの後、各サブブロックの高精度動きベクトルを丸め、通常の動きベクトルと同じ精度で保存する。
【0088】
2.6.1 AF_INTERモードの実施形態
JEMにおいて、AF_INTERモードおよびAF_MERGEモードの2つのアフィン動きモードがある。幅と高さの両方が8より大きいCUの場合、AF_INTERモードを適用することができる。AF_INTERモードが使用されるかどうかを示すために、ビットストリームにおいてCUレベルのアフィンフラグが信号通知される。AF_INTERモードにおいて、近傍のブロックを使用して動きベクトル対
【数3】
を有する候補リストを構築する。
【0089】
図16は、AF_INTERモードにおけるブロック1600のための動きベクトル予測(MVP)の例を示す。
図16に示すように、サブブロックA、B、またはCの動きベクトルの中からv
0を選択する。近傍のブロックからの動きベクトルは、参照リストに従ってスケーリングすることができる。また、動きベクトルは、近傍のブロックの参照のピクチャオーダカウント(POC)と、現在のCUの参照のPOCと、現在のCUのPOCとの間の関係に基づいてスケーリングされてもよい。近傍のサブブロックDおよびEからv
1を選択する方法は類似している。候補リストの数が2未満である場合、AMVP候補の各々を複製した動きベクトル対でリストを埋める。候補リストが2よりも大きい場合、まず、近傍の動きベクトルに基づいて(例えば、対候補における2つの動きベクトルの類似性に基づいて)候補をソートする。いくつかの実装形態において、最初の2つの候補を保持する。いくつかの実施形態において、ひずみ率(RD)コストチェックを用いて、どの動きベクトル対候補を現在のCUの制御点動きベクトル予測(CPMVP)として選択するかを判定する。ビットストリームにおいて、候補リストにおけるCPMVPの位置を示すインデックスを信号通知することができる。現在のアフィンCUのCPMVPを判定した後、アフィン動き推定を適用し、制御点動きベクトル(CPMV)を求める。次に、CPMVとCPMVPとの差をビットストリームにおいて信号通知する。
【0090】
2.6.3 AF_MERGEモードの実施形態
AF_MERGEモードにおいてCUを適用する場合、CUは、有効な近傍の再構築ブロックから、アフィンモードで符号化された第1のブロックを得る。
図17Aは、現在のCU1700のための候補ブロックの選択順序の例を示す。
図17Aに示すように、選択順序は、現在のCU1700の左(1701)、上(1702)、右上(1703)、左下(1704)から左上(1705)までとすることができる。
図17Bは、AF_MERGEモードにおける現在のCU1700のための候補者ブロックの別の例を示す。近傍の左下ブロック1801をアフィンモードで符号化する場合、
図17Bに示すように、サブブロック1701を含むCUの左上隅、右上隅、左下隅の動きベクトルv
2、v
3、v
4を導出する。v2、v3、v4に基づいて、現在のCU1700における左上隅の動きベクトルv
0を算出する。従って、現在のCUの右上の動きベクトルv1を算出することができる。
【0091】
式(1)のアフィン動きモデルに従って現在のCUv0,v1のCPMVを計算した後、現在のCUのMVFを生成することができる。現在のCUがAF_MERGEモードで符号化されているかどうかを識別するために、アフィンモードで符号化されている近傍のブロックが少なくとも1つある場合、ビットストリーム内にアフィンフラグを信号通知することができる。
【0092】
2.7 パターンマッチング動きベクトル導出(PMMVD)の例
PMMVDモードは、フレームレートアップ変換(FRUC)法に基づく特殊マージモードである。このモードでは、ブロックの動き情報は信号通知されず、デコーダ側で導出される。
【0093】
FRUCフラグは、そのマージフラグが真である場合、CUに信号通知され得る。FRUCフラグが偽である場合、マージインデックスを信号通知することができ、通常のマージモードが使用される。FRUCフラグが真である場合、追加のFRUCモードフラグを信号通知して、どの方法(例えば、バイラテラルマッチングまたはテンプレートマッチング)を使用してブロックの動き情報を導出するかを示すことができる。
【0094】
エンコーダ側では、CUのためにFRUCマージモードを使用するかどうかの決定は、通常のマージ候補に対して行われるのと同じように、RDコストの選択に基づく。例えば、RDコスト選択を使用して、1つのCUに対して複数のマッチングモード(例えば、バイラテラルマッチングおよびテンプレートマッチング)をチェックする。最小コストに導くものが、更に、他のCUモードと比較される。FRUCマッチングモードが最も効率的なものである場合、CUに対してFRUCフラグを真に設定し、関連するマッチングモードを使用する。
【0095】
一般的に、FRUCマージモードにおける動き導出処理では、まずCUレベルの動き探索が行われ、次にサブCUレベルの動き改良を行うという2つのステップを有する。CUレベルでは、バイラテラルマッチング又はテンプレートマッチングに基づいて、CU全体のための初期の動きベクトルを導出する。まず、MV候補のリストを生成し、最小マッチングコストに導く候補を、さらなるCUレベル改良の開始点として選択する。そして、開始点付近でのバイラテラルマッチング又はテンプレートマッチングに基づく局所検索を行う。最小マッチングコストにおけるMVの結果を、CU全体のMVとする。続いて、導出されたCU動きベクトルを開始点として、サブCUレベルでの動き情報をさらに改良する。
【0096】
例えば、W×H CU動き情報導出のために、以下の導出処理を行う。第1のステージにおいて、W×H CU全体のためのMVが導出される。第2のステージにおいて、CUは、M×M個のサブCUにさらに分割される。Mの値は、式(3)のように計算されるが、Dは、予め規定義された分割深さであり、JEMにおいてデフォルトで3に設定される。そして、各サブCUのMVを導出する。
【0097】
【0098】
図18は、フレームレートアップ変換(FRUC)法で使用されるバイラテラルマッチングの例を示す。このバイラテラルマッチングは、2つの異なる参照ピクチャ(1810、1811)における現在のCU(1800)の動き軌跡に沿った2つのブロック間の最も近いマッチングを見出すことで、現在のCUの動き情報を導出するために用いられる。連続した動き軌跡を仮定すると、2つの参照ブロックを指す動きベクトルMV0(1801)、MV1(1802)は、現在のピクチャと2つの参照ピクチャとの間の時間的距離、例えばTD0(1803)、TD1(1804)に比例する。いくつかの実施形態において、現在のピクチャ1800が時間的に2つの参照ピクチャ(1810、1811)の間にあり、現在のピクチャと2つの参照ピクチャとの時間的な距離が同じである場合、バイラテラルマッチングはミラーに基づく双方向MVとなる。
【0099】
図19は、フレームレートアップ変換(FRUC)法で使用されるテンプレートマッチングの例を示す。テンプレートマッチングを使用して、現在のピクチャにおけるテンプレート(例えば、現在のCUの上側及び/又は左側の近傍のブロック)と参照ピクチャ1910におけるブロック(例えば、テンプレートと同じサイズ)との間の最も近いマッチングを見出すことで、現在のCU1900の動き情報を導出することができる。前述のFRUCマージモード以外に、テンプレートマッチングは、AMVPモードにも適用できる。JEMおよびHEVCの両方において、AMVPは2つの候補を有する。テンプレートマッチング法を用いることで、新しい候補を導出することができる。テンプレートマッチングによって新規に導出された候補が、第1の既存のAMVP候補と異なる場合、AMVP候補リストの最初に挿入し、次に、(例えば、第2の既存のAMVP候補を取り除くことによって)リストサイズを2に設定する。AMVPモードに適用される場合、CUレベル検索のみが適用される。
【0100】
CUレベルのMV候補セットは、以下を含むことができる。(1)現在のCUがAMVPモードにある場合、元のAMVP候補、(2)すべてのマージ候補、(3)補間されたMVフィールド内の複数のMV(後述)、および左上の近傍の動きベクトル。
【0101】
バイラテラルマッチングを使用する場合、マージ候補の各有効なMVを入力として使用して、バイラテラルマッチングを仮定してMV対を生成することができる。例えば、マージ候補の1つの有効なMVは、参照リストAにおいて(MVa,refa)であり、そして、その対をなすバイラテラルMVの参照ピクチャrefbが他の参照リストBにおいて見出され、refaおよびrefbは、時間的に現在のピクチャの異なる側にある。参照リストBにおいてこのようなrefbが利用可能でない場合、refbをrefaとは異なる参照として決定し、現在のピクチャとの時間的距離はリストBにおける最小値である。refbを決定した後、現在のピクチャとrefa,refbとの時間的距離に基づいてMVaをスケーリングすることでMVbを導出する。
【0102】
いくつかの実装形態において、補間されたMVフィールドからの4つのMVをCUレベル候補リストに追加してもよい。具体的には、現在のCUの(0,0)、(W/2,0)、(0,H/2)、(W/2,H/2)の位置の補間されたMVを加算する。AMVPモードでFRUCを適用する場合、元のAMVP候補をCUレベルMV候補セットにも加える。いくつかの実装形態において、CUレベルにおいて、AMVP CUのための15個のMVおよびマージCUに対し、13個のMVを候補リストに加えることができる。
【0103】
サブCUレベルのMV候補セットは、CUレベルの検索によって決定されたMVと、(2)上、左、左上、右上の近傍のMVと、(3)参照ピクチャからの配列されたMVのスケーリングされたバージョンと、(4)1つ以上(例えば、4つまで)のATMVP候補と、(5)1つ以上(例えば、4つまで)のSTMVP候補とを含む。参照ピクチャからのスケーリングされたMVは、以下のように導出される。両方のリストにおける参照ピクチャをトラバースする。参照ピクチャにおけるサブCUの配列位置にあるMVは、開始CUレベルMVの参照に対してスケーリングされる。ATMVPおよびSTMVPの候補は、最初の4つの候補であってもよい。サブCUレベルにおいて、1つ以上(例えば、最大17個)のMVが候補リストに追加される。
【0104】
補間されたMVフィールドの生成 フレームを符号化する前に、一方のMEに基づいてピクチャ全体に対して補間動きフィールドを生成する。そして、この動きフィールドを後にCUレベルまたはサブCUレベルのMV候補として使用してもよい。
【0105】
いくつかの実施形態において、両方の参照リストにおける各参照ピクチャの動きフィールドは、4×4ブロックレベルでトラバースされる。
図20は、FRUC方法におけるユニラテラル動き推定(ME)2000の例を示す。各4×4ブロックにおいて、現在のピクチャの4×4ブロックを通過するブロックに関連する動きで、補間動きがまだ割り当てられていない場合、時間距離TD0およびTD1に基づいて(HEVCにおけるTMVPのMVスケーリングと同様に)、参照ブロックの動きを現在のピクチャにスケーリングし、スケーリングされた動きを現在のフレームのブロックに割り当てる。4×4ブロックにスケーリングされたMVが割り当てられていない場合、ブロックの動きは、補間された動きフィールドにおいて利用不可能であるとマークされる。
【0106】
補間およびマッチングコスト 1つの動きベクトルが1つの分数のサンプル位置を指す場合、動き補償補間が必要である。複雑性を低減するために、通常の8タップHEVC補間の代わりに、バイラテラルマッチングおよびテンプレートマッチングの両方に双線形補間を使用できる。
【0107】
マッチングコストの計算は、異なるステップでは少し異なる。CUレベルの候補セットから候補を選択する場合、マッチングコストは、バイラテラルマッチングまたはテンプレートマッチングの差分の絶対値の和(SAD)とすることができる。開始MVを決定した後、サブCUレベル検索におけるバイラテラルマッチングのマッチングコストCを以下のように算出する。
【0108】
【0109】
ここで、wは重み係数である。いくつかの実施形態において、wは経験的に4に設定されてもよい。MVおよびMVsは、それぞれ、現在のMVおよび開始MVを示す。SADは、依然として、サブCUレベル検索におけるテンプレートマッチングのマッチングコストとして使用されてもよい。
【0110】
FRUCモードにおいて、MVは、輝度サンプルのみを使用することによって導出される。導出された動きは、MCインター予測のために、輝度および彩度の両方に使用される。MVを決定した後、輝度用の8タップ補間フィルタおよび彩度用の4タップ補間フィルタを使用して、最終的なMCを行う。
【0111】
MV改良は、バイラテラルマッチングコストまたはテンプレートマッチングコストの基準を有するパターンに基づくMV検索である。JEMでは、2つの検索パターン、即ち、無制限中心バイアス菱形検索(UCBDS)およびCUレベルおよびサブCUレベルでのMV改良のための適応的横断検索をそれぞれサポートする。CUおよびサブCUレベルのMV改善の両方のために、MVは、1/4輝度サンプルMVの精度で直接検索され、これに続いて1/8輝度サンプルMVの改良が行われる。CUおよびサブCUステップのためのMV改良の検索範囲は、8つの輝度サンプルに等しく設定される。
【0112】
バイラテラルマッチングマージモードにおいては、双方向予測が適用される。なぜなら、2つの異なる参照ピクチャにおける現在のCUの動き軌跡に沿った2つのブロック間の最も近いマッチングに基づいて、CUの動き情報を導出するからである。テンプレートマッチングマージモードにおいて、エンコーダは、list0からの単一予測、list1からの単一予測、またはCUのための双方向予測のうちから選択することができる。選択は、テンプレートマッチングコストに基づいて、以下のように行うことができる。
【0113】
costBi<=factor*min(cost0,cost1)の場合
【0114】
双方向予測を用いる。
【0115】
それ以外の場合において、cost0<=cost1の場合
【0116】
list0からの単一予測を用いる。
【0117】
そうでない場合、
【0118】
list1からの単一予測を用いる。
【0119】
ここで、cost0はlist0テンプレートマッチングのSADであり、cost1はlist1テンプレートマッチングのSADであり、costBiは双方向予測テンプレートマッチングのSADである。例えば、factorの値が1.25である場合、選択処理が双方向予測に偏っていることを意味する。このインター予測方向選択は、CUレベルのテンプレートマッチング処理に適用することができる。
【0120】
2.8 一般化双方向予測微調整(GBi)の例
JVET-L0646に提案された一般化双方向予測微調整(GBi)をVTM-3.0に採用している。GBiは、双方向予測モードにおいて、L0およびL1からの予測子に不等な重みを適用する。インター予測モードにおいて、ひずみ率最適化(RDO)に基づいて、同等な重み対(1/2,1/2)を含む複数の重み対を評価し、選択された重み対のGBiインデックスをデコーダに信号通知する。マージモードにおいて、GBiインデックスは近傍のCUから継承される。予測子生成式を式(5)に示す。
【0121】
【0122】
ここで、PGBiはGBiの最終予測子であり、w0およびw1は、それぞれリスト0(L0)およびリスト1(L1)の予測子(PL0 and PL1)に適用される選択されたGBi重みである。RoundingOffsetGBiおよびshiftNumGBiは、GBiにおける最終予測子を正規化するために使用する。支持されるw1重みセットは、{-1/4,3/8,1/2,5/8,5/4}であり、ここで、5つの重みは、1つの同等な重み対および4つの不等な重み対に対応する。ブレンドゲイン、即ち、w1とw0との合計は、1.0に固定される。従って、対応するw0重みセットは、{5/4,5/8,1/2,3/8、-1/4}となる。重み対の選択はCUレベルである。
【0123】
非低遅延ピクチャの場合、重みセットの大きさは5から3に低減され、ここで、w1重みセットは{3/8,1/2,5/8}であり、w0重みセットは{5/8,1/2,3/8}である。非低遅延ピクチャのための重みセットのサイズ縮小は、BMS2.1 GBiおよびこの寄与におけるすべてのGBiテストに適用される。
【0124】
2.8.1 GBi エンコーダバグ修正
GBi符号化時間を短縮するために、現在のエンコーダ設計では、エンコーダは、GBi重みが4/8であることから推定された1つの予測動きベクトルを記憶し、それらを他のGBi重みの単一予測探索に再利用する。この高速符号化方法は、並進動きモデルおよびアフィン動きモデルの両方に適用される。VTM2.0において、6パラメータアフィンモデルを4パラメータアフィンモデルとともに採用した。BMS2.1エンコーダは、GBi重みが4/8である場合、単一予測アフィンMVを記憶するとき、4パラメータアフィンモデルと6パラメータアフィンモデルを差別化しない。その結果、GBi重み4/8で符号化した後、4パラメータアフィンMVに6パラメータアフィンMVを上書きしてもよい。記憶された6パラメータアフィンMVは、他のGBi重みのための4パラメータアフィンMEに使用されてもよく、または記憶された4パラメータアフィンMVは、6パラメータアフィンMEに使用してもよい。提案されたGBiエンコーダバグ修正は、4パラメータアフィンMV記憶域と6パラメータアフィンMV記憶域とを分離することである。エンコーダは、GBi重みが4/8である場合、アフィンモデルタイプに基づいてこれらのアフィンMVを記憶し、他のGBi重みである場合、このアフィンモデルタイプに基づいて対応するアフィンMVを再利用する。
【0125】
2.8.2 GBiエンコーダのスピードアップ
本既存の実装形態において、GBiが有効化される場合、符号化時間を短縮するために、5つのエンコーダ高速化方法が提案される。
【0126】
(1) あるGBi重みのためのアフィン動き推定を条件付きでスキップする
【0127】
BMS2.1において、すべてのGBi重みに対して、4パラメータおよび6パラメータのアフィンMEを含むアフィンMEを行う。これらの不等なGBi重み(重みが4/8に等しくない)のために、条件付きでアフィンMEをスキップすることを提案する。具体的には、4/8のGBi重みを評価した後、現在の最良のモードとしてアフィンモードが選択され、アフィンマージモードでない場合にのみ、他のGBi重みに対してアフィンMEを行う。現在のピクチャが非低遅延ピクチャである場合、アフィンMEが行われる時に、等しくないGBi重みに対して、変換モデルのための双方向予測MEはスキップされる。現在の最良のモードとしてアフィンモードが選択されていない場合、または現在の最良モードとしてアフィンマージが選択されている場合、他のすべてのGBi重みに対してアフィンMEをスキップする。
【0128】
(2)1画素、4画素のMVD精度の符号化における低遅延ピクチャのRDコストチェックのための重み付けの数を減らす。
【0129】
低遅延ピクチャの場合、1/4画素、1画素、および4画素を含むすべてのMVD精度のためのRDコストチェックには5つの重みがある。エンコーダは、まずRDコストを1/4画素のMVD精度でチェックする。1画素および4画素のMVD精度のためのRDコストチェックのために、GBi重みの一部をスキップすることを提案する。1/4画素MVD精度におけるRDコストに従って、これらの不等な重みを順に並べる。1画素および4画素のMVD精度での符号化中に、GBi重み4/8と共に、RDコストが最小の最初の2つの重みのみを評価する。従って、低遅延ピクチャの場合、1画素および4画素のMVD精度に対して最大3つの重みを評価する。
【0130】
(3) L0とL1参照ピクチャが同じである場合、条件付きで双方向予測検索をスキップする
【0131】
RAにおけるいくつかのピクチャの場合、同じピクチャが両方の参照ピクチャリスト(list-0およびlist-1)において発生し得る。例えば、CTCにおけるランダムアクセス符号化構成の場合、第1のピクチャグループ(GOP)の参照ピクチャ構造は、以下のようにリストされる。
【0132】
POC:16,TL:0,[L0:0] [L1:0]
【0133】
POC:8,TL:1,[L0:0 16] [L1:16 0]
【0134】
POC:4,TL:2,[L0:0 8] [L1:8 16]
【0135】
POC:2,TL:3,[L0:0 4] [L1:4 8]
【0136】
POC:1,TL:4,[L0:0 2] [L1:2 4]
【0137】
POC:3,TL:4,[L0:2 0] [L1:4 8]
【0138】
POC:6,TL:3,[L0:4 0] [L1:8 16]
【0139】
POC:5,TL:4,[L0:4 0] [L1:6 8]
【0140】
POC:7,TL:4,[L0:6 4] [L1:8 16]
【0141】
POC:12,TL:2,[L0:8 0] [L1:16 8]
【0142】
POC:10,TL:3,[L0:8 0] [L1:12 16]
【0143】
POC:9,TL:4,[L0:8 0] [L1:10 12]
【0144】
POC:11,TL:4,[L0:10 8] [L1:12 16]
【0145】
POC:14,TL:3,[L0:12 8] [L1:12 16]
【0146】
POC:13,TL:4,[L0:12 8] [L1:14 16]
【0147】
POC:15,TL:4,[L0:14 12] [L1:16 14]
【0148】
なお、ピクチャ16、8、4、2、1、12、14および15は、両方のリストにおいて同じ参照ピクチャを有する。これらのピクチャの双方向予測のために、L0参照ピクチャとL1参照ピクチャとが同じであってもよい。1)双方向予測における2つの参照ピクチャが同じであり、2)時間層が1よりも大きく、3)MVD精度が1/4画素である場合、エンコーダは、不等なGBi重みのために双方向予測MEをスキップすることを提案する。アフィン双方向予測MEの場合、この高速スキップ方法は、4パラメータアフィンMEにのみ適用される。
【0149】
(4) 時間層および参照ピクチャと現在の画像との間のPOC距離に基づいて、GBi重みが不等であるかどうかを判断するためのRDコストチェックのスキップ
【0150】
時間層が4(RAにおける最も高い時間層)であるか、または参照ピクチャ(list-0またはlist-1)と現在のピクチャとの間のPOC距離が1に等しく、且つ符号化QPが32よりも大きい場合、これらの不等なGBi重みのためのRDコスト評価をスキップすることを提案する。
【0151】
(5) ME時のGBi重みが等しくない場合、浮動点計算を固定小数点計算に変更する
【0152】
既存の双方向予測検索の場合、エンコーダは、1つのリストのMVを固定し、別のリストにおけるMVを微調整する。計算の複雑性を低減するために、MEの前にオブジェクトを修正する。例えば、list-1のMVが固定であり、エンコーダがlist-0のMVを微調整するべきである場合、list-0のMV微調整の対象は、式(6)で修正される。Oは元の信号であり、P1はlist-1の予測信号である。wはlist-1のGBi重みである。
【0153】
【0154】
ここで、
【数8】
という語は浮動端数点精度で記憶されるため、演算量が増加する。式(6)を式(7)のように固定小数点に変更することを提案する。
【0155】
【0156】
ここで、a1およびa2は倍率であり、それらは以下のように計算される。
【0157】
【0158】
2.8.3 GBiのCUサイズ制約
この方法では、小さなCUの場合、GBiを無効にする。インター予測モードにおいて、双方向予測が使用され、CU領域が128個の輝度サンプルより小さい場合、GBiは、いかなる信号通知もせずに無効にされる。
【0159】
2.9 双方向オプティカルフロー(BDOFまたはBIO)の例
【0160】
2.9.1 BDOFの概要
BIOにおいて、まず、動き補償を行い、現在のブロックの(各予測方向における)第1の予測を生成する。第1の予測は、ブロック内の各サブブロックまたはピクセルの空間的勾配、時間的勾配、及びオプティカルフローを導出するために用いられ、これらを用いて第2の予測、例えば、サブブロックまたはピクセルの最終予測を生成する。以下、その詳細を説明する。
【0161】
双方向オプティカルフロー(BIO)方法は、双方向予測のためにブロック単位の動き補償の上で実行されるサンプル単位の動きの改良である。いくつかの実施例において、サンプルレベルの動きの改良は、シグナリングを用いない。
【0162】
ブロック動き補償後の参照k(k=0,1)からの輝度をI(k)とし、∂I(k)/∂x、∂I(k)/∂yをそれぞれI(k)勾配の水平成分、垂直成分とする。オプティカルフローが有効であると仮定すると、動きベクトルフィールド(vx,vy)iは、以下の式によって与えられる。
【0163】
【0164】
このオプティカルフロー方程式をそれぞれの試料の運動軌道に対してエルミート内挿法によって組み合わせることにより、両端にある両機能値I(k)および導関数∂I(k)/∂x、∂I(k)/∂yに合致する唯一の3次多項式が得られる。t=0におけるこの多項式の値は、BIO次式のような、BIO予測となる。
【0165】
【0166】
図24は、双方向オプティカルフロー(BIO)法におけるオプティカルフローの軌跡の一例を示す。ここで、τ
0及びτ
1は、基準フレームまでの距離を示す。距離τ
0,τ
1は、Ref
0およびRef
1のPOC:τ
0=POC(電流)-POC(Ref
0),τ
1=POC(Ref
1)-POC(電流)に基づいて算出される。両方の予測が同じ時間方向から来たものである場合(両方とも過去から来たものであるか、又は両方とも将来から来たものである場合)、符号が異なる(例えば、τ
0・τ
1<0)。このケースでは、予測が同時刻(例えば、τ
0≠τ
1)からのものでない場合、BIOが適用される。両方の参照領域は、非ゼロ動き(例えば、
【数13】
)を有し、ブロック動きベクトルは、時距離(例えば、
【数14】
)に比例する。
【0167】
動きベクトルフィールド(v
x,v
y)は、点Aおよび点Bにおける値の間の差分Δを最小化することで決定する。
図9A-
図9Bは、動き軌跡と参照フレーム面との交差点の例を示す。モデルは、Δに対するローカルテーラー展開の第1の線形項のみを以下のように使用する。
【0168】
【0169】
上記式におけるすべての値は、サンプルの位置に依存し、(i’,J’)と表される。動きが局所的な周辺領域において一貫していると仮定すると、Δは、現在の予測点(i,J)を中心とする(2M+1)×(2M+1)個の正方形ウィンドウΩの内側で最小化することができる。式中、Mは2に等しい。
【0170】
【0171】
この最適化問題に対して、JEMは、まず垂直方向に最小化し、次に水平方向に最小化する簡単なアプローチを使用する。その結果、以下のようになる。
【0172】
【0173】
【0174】
ここで、
【0175】
【0176】
ゼロ又は非常に小さな数値での除算を回避するために、式(12)及び式(13)において、正則化パラメータr及びmを導入する。
【0177】
【0178】
【0179】
ここで、dは映像サンプルのビット深度である。
【0180】
BIOに対するメモリアクセスを通常の双方向予測動き補正と同じにするために、現ブロック内の位置に対して、すべての予測値及び勾配値I
(k),∂I
(k)/∂x,∂I
(k)/∂yを計算する。
図22Aは、ブロック2200の外側のアクセス位置の例を示す。
図22Aに示すとおり、式(12)において、予測ブロックの境界上の現在の予測点を中心とする(2M+1)×(2M+1)個の正方形窓は、ブロックの外側の位置にアクセスする必要がある。JEMにおいて、ブロックの外部のI
(k),∂I
(k)/∂x,∂I
(k)/∂yの値はブロックの内部で最も近い有効数値に等しくなるように設定される。例えば、これは、
図22Bに示すように、パディング領域2201として実装することができる。
【0181】
BIOを用いることで、サンプルごとに動きフィールドを改良することができる。計算の複雑性を低減するために、JEMではブロックに基づくBIOの設計が用いられている。動きの改良は、4×4ブロックに基づいて計算することができる。ブロックに基づくBIOにおいて、4×4ブロックにおけるすべてのサンプルの、式(12)におけるsnの値を統合し、次いで、この統合したsnの値を使用して、4×4ブロックのためのBIO動きベクトルオフセットを導出する。具体的には、ブロックに基づくBIO導出には、以下の式を用いることができる。
【0182】
【0183】
ここで、bkは、予測ブロックのk番目の4×4ブロックに属するサンプルの集合を表し、式(12)及び式(13)におけるsnを((sn,bk)>>4)に置き換え、関連する動きベクトルオフセットを導出する。
【0184】
シナリオによってはBIOのMVレジメンがノイズや不規則な動きで信頼できない場合がある。従って、BIOにおいて、MVレジメンの大きさは閾値にクリップされる。閾値は、現在のピクチャの参照ピクチャがすべて一方向からのものであるか否かに基づいて判定される。現画像のすべての基準画像が一方向からのものである場合、しきい値を12×214-dに設定し、そうでない場合、しきい値を12×213-dに設定する。
【0185】
BIOの勾配は、HEVC動き補償処理(例えば、2D分離可能有限インパルス応答(FIR))に準拠した演算を使用して、動き補償補間と同時に計算されてもよい。いくつかの実施形態において、前記2D分離可能なFIRのための入力は、ブロックモーションベクトルの端数部分により、動き補正処理および端数位置(fracX,fracY)のためのものと同じ基準フレームサンプルであ。水平方向勾配∂I/∂xの場合、まず、デスケーリングシフトd-8のfracYwithにある端数位置に対応するBIOfilterSを使用して垂直方向に信号を補間する。次に、18-dによるデスケーリングシフトfracXwithの端数位置に対応して、水平方向にグラジエントフィルターBIOfilterGを行う。垂直方向勾配∂I/∂yの場合、デスケーリングシフトd-8で、端数位置fracYに対応するBIOfilterGを使用して勾配フィルタを垂直方向に適用する。そして、18-dによるデスケーリングシフトで端数位置fracXに対応する水平方向のBIOfilterSを使用して信号の変位を行う。適度な複雑性を保持するために、勾配計算BIOfilterGおよび信号変位BIOfilterFのための補間フィルタの長さはより短くてもよい(例えば6タップ)。表1は、BIOにおけるブロック動きベクトルの異なる端数位置の勾配計算に使用できる例示的なフィルタを示す。表2は、BIOにおける予測信号の生成に使用できる例示的な補間フィルタを示す。
【0186】
【0187】
【0188】
本JEMにおいて、2つの予測が異なる参照ピクチャからのものである場合、BIOをすべての双方向予測ブロックに適用することができる。CUのローカル照明補償(LIC)を有効にすると、BIOを無効にすることができる。
【0189】
いくつかの実施形態において、OBMCは、通常のMC処理の後、1つのブロックに適用される。計算の複雑性を低減するために、OBMC処理中にBIOを適用しなくてもよい。つまり、BIOは、それ自身のMVを使用する場合、1つのブロックのMC処理において適用され、OBMC処理において近傍のブロックのMVを使用する場合、MC処理においては適用されない。
【0190】
2.9.2 JVET-L0256に提案されているVTM-3.0におけるBIOの例
ステップ1: BIOが適用可能かどうかを判断する(W/Hは現在のブロックの幅/高さ)。
【0191】
BIOは下記の場合は適用不可能である。
【0192】
○ 現在の映像ブロックが、アフィン符号化されるか、またはATMVP符号化されている。
【0193】
○ (iPOC-iPOC0)×(iPOC-iPOC1)≧0
【0194】
○ H==4 or(W==4 and H==8)
【0195】
○ 重み予測で
【0196】
○ GBi重みが(1,1)でない
【0197】
2つの参照ブロック(R0およびR1と表される)間の総SADが閾値より小さい場合、BIOは使用されない。
【0198】
【0199】
ステップ2: データ作成
【0200】
W×Hブロックの場合、(W+2)×(H+2)個のサンプルを補間する。
【0201】
内側のW×Hサンプルは、通常の動き補償の場合と同様に、8タップ補間フィルタで補間する。
【0202】
バイリニアフィルタでサンプルの4つの側方外線(
図23中の黒い丸)を補間する。
【0203】
それぞれの位置に対して、2つの参照ブロック(R0およびR1)に対して勾配を計算する。
【0204】
Gx0(x,y)=(R0(x+1,y)-R0(x-1,y))>>4
【0205】
Gy0(x,y)=(R0(x,y+1)-R0(x,y-1))>>4
【0206】
Gx1(x,y)=(R1(x+1,y)-R1(x-1,y))>>4
【0207】
Gy1(x,y)=(R1(x,y+1)-R1(x,y-1))>>4
【0208】
各位置に対して、内部値は、以下のように計算される。
【0209】
T1=(R0(x,y)>>6)-(R1(x,y)>>6),T2=(Gx0(x,y)+Gx1(x,y))>>3,T3=(Gy0(x,y)+Gy1(x,y))>>3;および
【0210】
B1(x,y)=T2*T2,B2(x,y)=T2*T3,B3(x,y)=-T1*T2,B5(x,y)=T3*T3,B6(x,y)=-T1*T3
【0211】
ステップ3: 各ブロックの予測を計算する
【0212】
2つの4×4参照ブロック間のSADが閾値より小さい場合、4×4ブロックのためにBIOをスキップする。
【0213】
VxおよびVyを計算する。
【0214】
4×4ブロックにおける各位置の最終予測を以下のように計算する。
【0215】
b(x,y)=(Vx(Gx0(x,y)-Gx1(x,y))+Vy(Gy0(x,y)-Gy1(x,y))+1)>>1
【0216】
P(x,y)=(R0(x,y)+R1(x,y)+b(x,y)+offset)>>shift
【0217】
ここで、b(x,y)を補正項目とする。
【0218】
2.9.3 VTM-4.0におけるBIO
ビット深度に応じてBDOFで計算した結果を丸めることを提案するJVET-M0063をVTM-4.0に採用した。
【0219】
VTM-4.0にJVET-M0487を採用し、バイリニアフィルタリングを取り除き、参照ブロックの最も近い整数画素を取り出し、4つの側方のサンプルの外線を埋める(
図23中の黒い丸)。
【0220】
VTM-4.0におけるBIOに関する作業草案を以下に示す(JVET-M1001より)。
【0221】
2.9.4 端数サンプル補間処理
一般
この処理への入力は以下の通りである。
- 現在のピクチャの左上の輝度サンプルに対する現在の符号化サブブロックの左上のサンプルを規定する輝度位置(xSb,ySb)、
- 現在の符号化サブブロックの幅を規定する変数sbWidth、
- 現在の符号化サブブロックの高さを規定する変数sbHeight、
- 動きベクトルオフセットmvOffset、
- 微調整動きベクトルrefMvLX、
- 選択した参照ピクチャサンプル配列refPicLX、
- 双方向オプティカルフローフラグbdofFlag、
- 現在のブロックの色成分インデックスを規定する変数cIdx。
この処理の出力は以下の通りである。
- 予測サンプル値の(sbWidth+bdofOffset)×(sbHeight+bdofOffset)配列predSamplesLX。
双方向オプティカルフロー境界オフセットbdofOffsetは、以下のように導出される。
bdofOffset=bdofFlag ? 2:0 (8-811)
- cIdxが0に等しい場合、以下が適用される。
- (xIntL,yIntL)をフルサンプルユニットで与えられた輝度位置とし、(xFracL,yFracL)を1/16サンプルユニットで求めたオフセットとする。これらの変数は、本項でのみ、参照サンプル配列refPicLX内の端数サンプル位置を規定するために使用される。
- 予測輝度サンプルアレイpredSamplesLX内の各輝度サンプル位置(xL=0..sbWidth-1+bdofOffset,yL=0..sbHeight-1+bdofOffset)について、対応する予測輝度サンプル値predSamplesLX[xL][yL]は以下のように導出される。
- 変数xIntL、yIntL、xFracL、yFracLは、以下のように導出される。
xIntL=xSb+(refMvLX[0]>>4)+xL (8-812)
yIntL=ySb+(refMvLX[1]>>4)+yL (8-813)
xFracL=refMvLX[0]&15 (8-814)
yFracL=refMvLX[1]&15 (8-815)
- bdofFlagがTRUEであり、且つ以下の条件のうちの1つ以上が真である場合、予測輝度サンプル値predSamplesLX[xL][yL]は、(xIntL,yIntL)、(xFracL,yFracL)およびrefPicLXを入力として、8.5.7.3.3.項で規定されているような輝度整数サンプルフェッチ処理を呼び出すことによって導出される。
- bdofFlagがTRUEである。
- xLが0に等しい
- xLがsbWidth+1に等しい
- yLが0に等しい
- yLがsbHeight+1に等しい
そうでない場合、以下が適用される。:
- 動きベクトルmvLXは、(refMvLX-mvOffset)に等しく設定される。
(xIntL,yIntL)、(xFracL,yFracL)、refPicLX、およびpadValを入力として、8.5.7.3.2項で規定されるような輝度サンプル8タップ補間フィルタリング処理を呼び出すことによって、予測輝度サンプル値predSamplesLX[xL][yL]が導出される。
・・・
輝度整数サンプルフェッチ処理
この処理への入力は以下の通りである。
- フルサンプルユニット(xIntL,yIntL)における輝度位置。
- 輝度参照サンプルアレイrefPicLXL。
この処理の出力は、予測輝度サンプル値predSampleLXLである。
この変数shiftは、Max(2,14-BitDepthY)に等しく設定される。
変数picWはpic_width_in_luma_samplesに等しく設定され、変数picHはpic_height_in_luma_samplesに等しく設定される。
フルサンプルユニット(xInt,yInt)における輝度位置は、以下のように導出される。
xInt=Clip3(0,picW-1,sps_ref_wraparound_enabled_flag ? (8-838)
ClipH((sps_ref_wraparound_offset_minus1+1)*MinCbSizeY,picW,xIntL):xIntL)
yInt=Clip3(0,picH-1,yIntL) (8-839)
予測輝度サンプル値predSampleLXLは、以下のように導出される。
predSampleLXL=refPicLXL[xInt][yInt]<<shift3 (8-840)
双方向オプティカルフロー予測処理
この処理への入力は以下の通りである。
- 現在の符号化ブロックの幅および高さを規定する2つの変数nCbWおよびnCbH- 2つの(nCbW+2)×(nCbH+2)輝度予測サンプル配列predSamplesL0およびpredSamplesL1。
- 予測リスト利用フラグpredFlagL0およびpredFlagL1。
- 参照インデックスrefIdxL0およびrefIdxL1。
- xIdx=0..(nCbW>>2)-1,yIdx=0..(nCbH>>2)-1の場合の双方向オプティカルフロー利用フラグbdofUtilizationFlag[xIdx][yIdx]。
この処理の出力は、輝度予測サンプル値の(nCbW)×(nCbH)配列pbSamplesである。
変数bitDepth、shift1、shift2、shift3、shift4、offset4、およびmvRefineThresは、以下のように導出される。
- 変数bitDepthはBitDepthYに等しく設定される。
- 変数shift1は、Max(2,14-bitDepth)に等しく設定される。
- 変数shift2は、Max(8,bitDepth-4)に等しく設定される。
- 変数shift3は、Max(5,bitDepth-7)に等しく設定される。
- 変数shift4は、Max(3,15-bitDepth)に等しく設定され、変数offset4は1<<(shift4-1)に等しく設定される。
- 変数mvRefineThresはMax(2,1<<(13-bitDepth))に等しく設定される。
xIdx=0..(nCbW>>2)-1、yIdx=0..(nCbH>>2)-1の場合、以下が適用される。
- 変数xSbを(xIdx<<2)+1に等しく設定し、ySbを(yIdx<<2)+1に等しく設定する。
- bdofUtilizationFlag[xSbIdx][yIdx] がFALSEである場合、x=xSb-1..xSb+2,y=ySb-1..ySb+2に対して、現在のサブブロックの予測サンプル値は、以下の方に導出される。
pbSamples[x][y]=Clip3(0,(2bitDepth)-1(8-852),(predSamplesL0[x+1][y+1]+offset2+ predSamplesL1[x+1][y+1])>>shift2)
- そうでない場合(bdofUtilizationFlag[xSbIdx][yIdx]がTRUEである)、現在のサブブロックの予測サンプル値は、以下のように導出される。
- x=xSb-1..xSb+4,y=ySb-1..ySb+4の場合、以下の順序付けられたステップが適用される。
1. 予測サンプルアレイ内の対応するサンプル位置(x,y)の各々の位置(hx,vy)は、以下のように導出される。
hx=Clip3(1,nCbW,x) (8-853)
vy=Clip3(1,nCbH,y) (8-854)
2. 変数gradientHL0[x][y]、gradientVL0[x][y]、gradientHL1[x][y]、gradientVL1[x][y]は、以下のように導出される。
gradientHL0[x][y]=(predSamplesL0[hx+1][vy]-predSampleL0[hx-1][vy])>>shift1 (8-855)
gradientVL0[x][y]=(predSampleL0[hx][vy+1]-predSampleL0[hx][vy-1])>>shift1 (8-856)
gradientHL1[x][y]=(predSamplesL1[hx+1][vy]-predSampleL1[hx-1][vy])>>shift1 (8-857)
gradientVL1[x][y]=(predSampleL1[hx][vy+1]-predSampleL1[hx][vy-1])>>shift1 (8-858)
3. 変数temp[x][y]、temppH[x][y]、tempV[x][y]は、以下のように導出される。
diff[x][y]=(predSamplesL0[hx][vy]>>shift2)-(predSamplesL1[hx][vy]>>shift2) (8-859)
tempH[x][y]=(gradientHL0[x][y]+gradientHL1[x][y])>>shift3 (8-860)
tempV[x][y]=(gradientVL0[x][y]+gradientVL1[x][y])>>shift3 (8-861)
- 変数sGx2、sGy2、sGxGy、sGxdI、sGydIは、以下のように導出される。
sGx2=ΣiΣj(tempH[xSb+i][ySb+j]*tempH[xSb+i][ySb+j])with i,j=-1..4 (8-862)
sGy2=ΣiΣj(tempV[xSb+i][ySb+j]*tempV[xSb+i][ySb+j])with i,j=-1..4 (8-863)
sGxGy=ΣiΣj(tempH[xSb+i][ySb+j]*tempV[xSb+i][ySb+j])with i,j-1..4 (8-864)
sGxdI=ΣiΣj(-tempH[xSb+i][ySb+j]*diff[xSb+i][ySb+j])with i,j=-1..4 (8-865)
sGydI=ΣiΣj(-tempV[xSb+i][ySb+j]*diff[xSb+i][ySb+j])with i,j=-1..4 (8-866)
- 現在のサブブロックの水平および垂直方向の動きオフセットは、以下のように導出される。
vx=sGx2>0?Clip3(-mvRefineThres,mvRefineThres, (8-867)
-(sGxdI<<3)>>Floor(Log2(sGx2))):0
vy=sGy2>0?Clip3(-mvRefineThres,mvRefineThres,((sGydI<<3)- (8-868)
((vx*sGxGym)<<12+vx*sGxGys)>>1)>>Floor(Log2(sGx2))):0
- x=xSb-1..xSb+2、y=ySb-1..ySb+2の場合、現在のサブブロックの予測サンプル値は、以下のように導出される。
bdofOffset=Round((vx*(gradientHL1[x+1][y+1]-gradientHL0[x+1][y+1]))>>1) (8-869)
+Round((vy*(gradientVL1[x+1][y+1]-gradientVL0[x+1][y+1]))>>1)
[フロート入力に対してEd.(JC):Round()動作を定義する。入力が整数値であるので、ここではRound()動作は冗長であるように見える。推薦者が確認すること。]
pbSamples[x][y]=Clip3(0,(2bitDepth)-1(8-870),(predSamplesL0[x+1][y+1]+offset4+
predSamplesL1[x+1][y+1]+bdofOffset)>>shift4)
【0222】
2.10 デコーダ側動きベクトル改良(DMVR)の例
双方向予測操作において、1つのブロック領域を予測するために、list0の動きベクトル(MV)およびlist1のMVをそれぞれ使用して構成される2つの予測ブロックを組み合わせ、1つの予測信号を形成する。デコーダ側動きベクトル微調整(DMVR)方法において、バイラテラルテンプレートマッチング処理によって、双方向予測の2つの動きベクトルをさらに微調整する。追加の動き情報を送信することなく微調整されたMVを得るために、デコーダにおいてバイラテラルテンプレートマッチングを適用し、バイラテラルテンプレートと参照ピクチャにおける再構成サンプルとの間の歪みに基づく検索を行う。
【0223】
DMVRにおいて、
図24に示すように、list0の最初のMV0とlist1のMV1とから、それぞれ2つの予測ブロックの重み付け結合(すなわち、平均)としてバイラテラルテンプレートを生成する。テンプレートマッチング操作は、生成されたテンプレートと参照ピクチャにおけるサンプル領域(最初の予測ブロックの付近)との間のコスト尺度を計算することからなる。2つの参照ピクチャの各々について、テンプレートコストが最小となるMVを、そのリストの更新されたMVと見なし、元のMVに置き換える。JEMにおいて、各リストに対して9つのMV候補を検索する。9つのMV候補は、元のMVと、水平又は垂直方向のいずれか又は両方向に元のMVに対してオフセットしている1つの輝度サンプルを有する8つの周囲のMVを含む。最後に、2つの新しいMV、即ち、
図24に示すようなMV0’及びMV1’を使用して、最終的な双方向予測結果を生成する。絶対差の合計(SAD)をコスト尺度として使用する。なお、1つの周囲のMVによって生成された予測ブロックのコストを計算する場合、実際のMVの代わりに、丸められたMV(整数画素)を使用して予測ブロックを得る。
【0224】
DMVRは、追加の構文要素を送信することなく、過去の参照ピクチャからの1つのMVと、将来の参照ピクチャからの1つのMVとの間の双方向予測のマージモードに適用される。JEMにおいて、CUに対してLIC、アフィン動き、FRUC、またはサブCUマージ候補が有効である場合、DMVRは適用されない。
【0225】
2.11 JVET-N0236
本寄稿では、オプティカルフローを用いたサブブロックに基づくアフィン動き補償予測を微調整する方法を提案している。サブブロックに基づくアフィン動き補償を行った後、オプティカルフロー方程式で導出された差を加算することで、予測サンプルを微調整し、これをオプティカルフロー付き予測微調整(PROF)と呼ぶ。提案した方法は、メモリアクセス帯域幅を増大させることなく、画素レベルの粒度におけるインター予測を実現することができる。
【0226】
動き補償の粒度をより細かくするために、本寄稿では、オプティカルフローを用いたサブブロックに基づくアフィン動き補償予測を微調整する方法を提案している。サブブロックに基づくアフィン動き補償を行った後、オプティカルフロー方程式で導出された差を加算することで、輝度予測サンプルを微調整する。提案されたオプティカルフロー付き予測微調整(PROF)を以下の4つのステップに分けて説明する。
ステップ1)サブブロックに基づくアフィン動き補償を行い、サブブロック予測I(i,j)を生成する。
ステップ2)3タップフィルタ[-1,0,1]を使用して、個々のサンプル位置において、サブブロック予測の空間的勾配g
x(i,j)及びg
y(i,j)を算出する。
g
x(i,j)=I(i+1,j)-I(i-1,j)
g
y(i,j)=I(i,j+1)-I(i,j-1)
サブブロック予測は、勾配計算のために各側で1つの画素だけ拡張される。メモリの帯域幅および複雑性を低減するために、拡大された境界上の画素は、参照ピクチャにおける最も近い整数画素位置からコピーされる。従って、パディング領域のための追加の補間が回避される。
ステップ3)オプティカルフロー方程式によって輝度予測の微調整(ΔIとする)を計算する。
ΔI(i,j)=g
x(i,j)*Δv
x(i,j)+g
x(i,j)*Δv
x(i,j)
ここで、デルタMV(Δv(i,j)で示す)は、
図25に示すように、v(i,j)によって表される、サンプル位置(i,j)について算出された画素MVと、画素(i,j)が属するサブブロックMVのサブブロックMVとの差分である。
サブブロック中心に対するアフィンモデルパラメータ及び画素位置は、サブブロックからサブブロックに変化しないので、第1のサブブロックについてΔv(i,j)を計算し、同じCUにおける他のサブブロックに再利用することができる。画素位置からサブブロックの中心までの水平及び垂直オフセットをx、yとすると、Δv(x,y)は、以下の式で導出することができる。
【0227】
【0228】
4パラメータアフィンモデルの場合、
【0229】
【0230】
6パラメータアフィンモデルの場合、
【0231】
【0232】
ここで、(v
0x,v
0y)、(v
1x,v
1y)、(v
2x,v
2y)は、左上、右上、左下の制御点動きベクトルであり、w、hは、CUの幅及び高さである。
ステップ4)最後に、輝度予測の微調整がサブブロック予測I(i,j)に加えられる。最終予測I’は、次の方程式のように生成される。
I’(i,j)=I(i,j)-ΔI(i,j)
JVET-N0236の詳細
a) PROFの勾配の導出方法
JVET-N0263において、各参照リストにおける各サブブロック(VTM-4.0における4×4サブブロック)の勾配を計算する。サブブロックごとに、参照ブロックの最も近い整数サンプルを取り出し、サンプルの4つの側部外線を埋める(
図23中の黒い丸)。
現在のサブブロックのMVを(MVx,MVy)とする。そして、その端数部分を、(FracX,FracY)=(MVx&15,MVy&15)として算出する。整数部分は、(IntX,IntY)=(MVx>>4,MVy>>>4)として計算される。オフセット(OffsetX,OffsetY)は、以下のように導出される。
OffsetX=FracX>7 ?1:0;
OffsetY=FracY>7 ?1:0;
現在のサブブロックの左上座標を(xCur,yCur)とし、現在のサブブロックの寸法をW×Hとする。
次に、(xCor0,yCor0)、(xCor1,yCor1)、(xCor2,yCor2)、(xCor3,yCor3)を以下のように計算する。
(xCor0,yCor0)=(xCur+IntX+OffsetX-1,yCur+IntY+OffsetY-1);
(xCor1,yCor1)=(xCur+IntX+OffsetX-1,yCur+IntY+OffsetY+H);
(xCor2,yCor2)=(xCur+IntX+OffsetX-1,yCur+IntY+OffsetY);
(xCor3,yCor3)=(xCur+IntX+OffsetX+W,yCur+IntY+OffsetY);
x=0..W-1,y=0..H-1であるPredSample[x][y]が、サブブロックのための予測サンプルを記憶すると仮定する。次に、パディングサンプルを以下のように導出する。
PredSample[x][-1]=(Ref(xCor0+x,yCor0)<<Shift0)-Rounding,for x=-1..W;
PredSample[x][H]=(Ref(xCor1+x,yCor1)<<Shift0)-Rounding,for x=-1..W;
PredSample[-1][y]=(Ref(xCor2,yCor2+y)<<Shift0)-Rounding,for y=0..H-1;
PredSample[W][y]=(Ref(xCor3,yCor3+y)<<Shift0)-Rounding,for y=0..H-1;
ここで、Recは参照ピクチャを表す。丸めは整数であり、例示のPROF実装形態において2
13である。Shift0=Max(2,(14-BitDepth));
PROFは、勾配が入力輝度サンプルと同じ精度で出力されるVTM-4.0におけるBIOとは異なり、勾配の精度を向上させることを試みる。
PROFにおける勾配は、以下のように計算される。
Shift1=Shift0-4.
gradientH[x][y]=(predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y])>>Shift1
gradientV[x][y]=(predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1])>>Shift1
なお、predSamples[x][y]は、補間後の精度を維持する。
b) PROFのΔvの導出方法
Δvの導出(dMvH[posX][posY]およびdMvV[posX][posY]として表され、posX=0..W-1,posY=0..H-1である)は以下のように説明できる。
現在のブロックの寸法をcbWidth×cbHeightとし、制御点動きベクトルの数をnumCpMvとし、制御点動きベクトルをcpMvLX[cpIdx]とし、cpIdx=0..numCpMv-1であり、Xが2つの参照リストを表し、0または1であるとする。
変数log2CbWおよびlog2CbHは、以下のように導出される。
log2CbW=Log2(cbWidth)
log2CbH=Log2(cbHeight)
変数mvScaleHor、mvScaleVer、dHorX、dVerXは、以下のように導出される。
mvScaleHor=cpMvLX[0][0]<<7
mvScaleVer=cpMvLX[0][1]<<7
dHorX=(cpMvLX[1][0]-cpMvLX[0][0])<<(7-log2CbW)
dVerX=(cpMvLX[1][1]-cpMvLX[0][1])<<(7-log2CbW)
変数dHorYおよびdVerYは、以下のように導出される。
- numCpMvが3に等しい場合、以下が適用される。
dHorY=(cpMvLX[2][0]-cpMvLX[0][0])<<(7-log2CbH)
dVerY=(cpMvLX[2][1]-cpMvLX[0][1])<<(7-log2CbH)
- そうでない場合(numCpMvが2に等しい)、以下が適用される。
dHorY=-dVerX
dVerY=dHorX
変数qHorX、qVerX、qHorY、qVerYは、以下のように導出される。
qHorX=dHorX<<2;
qVerX=dVerX<<2;
qHorY=dHorY<<2;
qVerY=dVerY<<2;
dMvH[0][0]、dMvV[0][0]は、以下のように計算される。
dMvH[0][0]=((dHorX+dHorY)<<1)-((qHorX+qHorY)<<1);
dMvV[0][0]=((dVerX+dVerY)<<1)-((qVerX+qVerY)<<1);
1~W-1のxPosの場合、dMvH[xPos][0]、dMvV[xPos][0]は、以下のように導出される。
dMvH[xPos][0]=dMvH[xPos-1][0]+qHorX;
dMvV[xPos][0]=dMvV[xPos-1][0]+qVerX;
1~H-1のyPosについて、以下が適用される。
dMvH[xPos][yPos]=dMvH[xPos][yPos-1]+qHorY with xPos=0..W-1
dMvV[xPos][yPos]=dMvV[xPos][yPos-1]+qVerY with xPos=0..W-1
最後に、posX=0..W-1、posY=0..H-1のdMvH[xPos][yPos]およびdMvV[xPos][yPos]を、以下のように右シフトする。
dMvH[xPos][yPos]=SatShift(dMvH[xPos][yPos],7+2-1);
dMvV[xPos][yPos]=SatShift(dMvV[xPos][yPos],7+2-1);
ここで、SatShift(x,n)およびShift(x,n)は、以下のように定義される。
【0233】
【0234】
Shift(x,n)=(x+offset0)>>n
一例において、offset0および/またはoffset1は、(1<<<n)>>1に設定される。
c) PROFのΔIの導出方法
サブブロック内の位置(posX,posY)の場合、その対応するΔv(i,j)は、(dMvH[posX][posY],dMvV[posX][posY])として表される。その対応する勾配を(gradientH[posX][posY],gradientV[posX][posY])と表す。
そして、ΔI(posX,posY)を以下のように導出する。
(dMvH[posX][posY],dMvV[posX][posY])は、以下のようにクリッピングされる。
dMvH[posX][posY]=Clip3(-32768,32767,dMvH[posX][posY]);
dMvV[posX][posY]=Clip3(-32768,32767,dMvV[posX][posY]);
ΔI(posX,posY)=dMvH[posX][posY]×gradientH[posX][posY]+dMvV[posX][posY]×gradientV[posX][posY];
ΔI(posX,posY)=Shift(ΔI(posX,posY),1+1+4);
ΔI(posX,posY)=Clip3(-(213-1),213-1,ΔI(posX,posY));
d) PROFのためにI’をどのように導出するか現在のブロックが双方向予測または重み付け予測として符号化されていない場合、
I’(posX,posY)=Shift((I(posX,posY)+ΔI(posX,posY)),Shift0),
I’(posX,posY)=ClipSample(I’(posX,posY)),
ここで、ClipSampleは、サンプル値を有効な出力サンプル値にクリッピングする。
そして、I’(posX,posY)をインター予測値として出力する。
そうでない場合(現在のブロックは、双方向予測または重み付け予測として符号化される)。
I’(posX,posY)が記憶され、他の予測値および/または重み値に従ってインター予測値を生成するために使用される。
【0235】
2.12 JVET-N0510
JVET-N0510には、位相可変アフィンサブブロック動き補償(MC)が提案される。従来の2段階の水平-垂直補間を適用する。しかしながら、すべてのサンプル行に対して同じ水平フィルタを使用し、すべてのサンプル列に対して同じ垂直フィルタを使用する位相不変ブロックに基づくMCとは異なり、フィルタの異なる位相を、アフィンサブブロックにおける異なるサンプル行および異なるサンプル列に適用することができる。
【0236】
アフィンサブブロックにおけるアフィン動きモデルをよりよく近似するために、このサブブロックに位相可変MCを適用する。提案した方法において、アフィン符号化ブロックも4×4個のサブブロックに分割され、VTM4.0と同様にして、各サブブロックごとに1つのサブブロックMVを導出する。各サブブロックのMCは2つのステージに分けられる。第1のステージは、(4+L-1)×(4+L-1)個の参照ブロック窓を(4+L-1)行の水平フィルタリングでフィルタリングすることであり、ここで、Lは、補間フィルタリングモジュールのフィルタタップ長である。しかしながら、並進MCとは異なり、提案される位相可変アフィンサブブロックMCにおいて、各サンプル行のフィルタ位相は異なる。各サンプル行に対して、MVxは、以下のように導出される。
【0237】
MVx=(subblockMVx<<7+dMvVerX×(rowIdx-L/2-2))>>7
【0238】
各サンプル行のフィルタ位相は、MVxから導出される。subblockMVxは、VTM4.0に記載されているように、導出されたサブブロックMVのMVのx成分である。rowIdxはサンプル行インデックスである。dMvVerXは(cuBottomLeftCPMVx-cuTopLeftCPMVx)<<(7-log2LumaCbHeight)であり、ここで、cuBottomLeftCPMVxは、CU左下制御点MVのx成分であり、cuTopLeftCPMVxは、CU左上制御点MVのx成分であり、LumaCbHeightは輝度符号化ブロック(CB)の高さのlog2である。
【0239】
水平フィルタリングの後、4×(4+L-1)個の水平フィルタリングされたサンプルを生成する。
図26は提案された水平方向フィルタリングの概念を示す。グレーの点は参照ブロック窓のサンプルであり、オレンジの点は水平方向にフィルタリングされたサンプルを示す。8×1サンプルの青色の管は、
図26および
図27にそれぞれ示すように、8タップの水平フィルタリングを1回適用することを意味する。各サンプル行は、4回の水平フィルタリングを必要とする。1つのサンプル行におけるフィルタ位相は同じである。しかしながら、異なる行におけるフィルタ位相は異なる。スキューされた4×11個のサンプルが生成される。
【0240】
第2段階において、4×(4+L-1)個の水平方向にフィルタリングされたサンプル(
図26が橙色のサンプル)をさらに垂直方向にフィルタリングする。各サンプル列に対して、MVyは、以下のように導出される。
【0241】
MVy=(subblockMVy<<7+dMvHorY×(columnIdx-2))>>7 (式2)
【0242】
各サンプル列のフィルタ位相は、MVyから導出される。subblockMVyは、VTM4.0で行われたように、導出されたサブブロックMVのMVのy成分である。columnIdxはサンプル列インデックスである。dMvHorYは、(cuTopRightCPMVy-cuTopLeftCPMVy)<<(7-log2LumaCbWidth)であり、cuTopRightCPMVyはCU右上制御点MVのy成分であり、cuTopLeftCPMVyはCU左上制御点MVのy成分であり、log2LumaCbWidthは輝度CBの幅のlog2である。
【0243】
垂直フィルタリングの後、4×4アフィンサブブロック予測サンプルを生成する。
図28に、提案された垂直フィルタリングの概念を示す。明るいオレンジ色の点は、第1ステージからの水平方向にフィルタリングされたサンプルである。赤色の点は、最終予測サンプルとして垂直方向にフィルタリングされたサンプルである。
【0244】
本提案において、使用される補間フィルタセットは、VTM4.0におけるものと同じである。唯一の相違は、1つのサンプル行における水平フィルタ位相が異なり、1つのサンプル列における垂直フィルタ位相が異なることである。提案した方法における各アフィンサブブロックに対するフィルタリング動作の数は、VTM4.0と同じである。
【0245】
3. 既存の実装形態の欠点
既存の実装形態の中には、以下の欠点を有するものがある。
【0246】
(1) 勾配計算方法は、BDOFおよびPROFにおいて同一ではない。
【0247】
(a) BDOFでは、ブロック全体の勾配を計算し、パディングを1回行う。PROFでは、各サブブロックごとに勾配を計算し、N回パディングを行う(N個のサブブロックがあると仮定する)。
【0248】
(b) PROFは、BDOFよりも高い勾配精度を必要とする。
【0249】
(2) PROFと他のツールとの間のやりとりは不明瞭である。
【0250】
(3) 彩度成分へのPROFの適用方法は不明である。
【0251】
(4) Δvの導出処理が正しくない場合がある。
【0252】
(5) PROFは、より高い符号化性能のために条件付きで行われてもよい。
【0253】
(6) JVET-N0236およびJVET-N0510の方法をどのように組み合わせるか不明である。
【0254】
(7) dMvHおよびdMvVのビット幅は大き過ぎる場合がある。
【0255】
4. オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)のための例示的な方法
本開示の技術の実施形態は、既存の実装の欠点を克服し、それにより、より高い符号化効率を有する映像符号化を提供する。開示される技術に基づいたオプティカルフロー付き予測微調整の方法は、既存のおよび将来の映像符号化規格の両方を向上させることができ、様々な実装形態のために以下の例で解明される。以下に提供される開示される技術の例は、一般的な概念を説明するものであり、限定するものと解釈されるべきではない。一例において、明確に示されていない限り、逆に示されていない限り、これらの例に記載されている様々な特徴を組み合わせることができる。
【0256】
リスト0およびリスト1からの現在の画像の参照ピクチャをそれぞれRef0およびRef1で表し、τ0=POC(current)-POC(Ref0),τ1=POC(Ref1)-POC(current)を表し、且つRef0およびRef1からの現在のブロックの参照ブロックをそれぞれrefblk0およびrefblk1で表す。現在のブロックにおける1つのサブブロックに対して、refblk0におけるrefblk1を指すその対応するサブブロックのMVは、(vx,vy)によって表される。Ref0、Ref1におけるサブブロックのMVを、それぞれ(mvL0x,mvL0y)、(mvL1x,mvL1y)と表す。
【0257】
Shift(x,s)は、Shift(x,s)=(x+off)>>sとして定義される。
【0258】
SignShift(x,s)は、として定義される。
【0259】
【0260】
一例において、offset0および/またはoffset1は、(1<<n)>>1または(1<<(n-1))に設定される。別の例において、offset0および/またはoffset1は、0に設定される。さらに別の例において、offset0=offset1=((1<<n)>>1)-1または((1<<(n-1)))-1である。
【0261】
Clip3(x,min,max)は、以下のように定義される。
【0262】
【0263】
ここで、Max(a,b)=a>=b ? a:bおよびMin(a,b)=a<=b
? a:b.
【0264】
以下の説明において、2つの動きベクトル間の演算は、この演算を動きベクトルの2つの成分の両方に適用することを意味する。例えば、MV3=MV1+MV2は、MV3x=MV1x+MV2xおよびMV3y=MV1y+MV2yである。代替的に、この動作は、2つの動きベクトルの水平または垂直成分にのみ適用されてもよい。MV(MVx,MVy)の「絶対値」という用語は、abs(MVx)、またはabs(MVy)、またはmax(abs(MVx)、abs(MVy))またはabs(MVx)+abs(MVy)と表してもよく、関数abs(x)は、xの絶対値を返し、関数max(x,y)は、xとyのうち大きい方を返す。
【0265】
以下の説明において、
図2に示すように、左の近傍のブロック、左下の近傍のブロック、上の近傍のブロック、右上の近傍のブロックおよび左上の近傍のブロックを、ブロックA
1、A
0、B
1、B
0、B
2と表記する。
1. PROFにおける勾配計算は、アフィンモードにおける動き補償に使用されるサブブロックサイズとは異なるM×Nの領域レベルで実行されてもよいことが提案される。
a. 一例において、PROFにおける勾配計算は、1つのサブブロックよりも大きいM×N個の領域に対して行われてもよい。
b. 一例において、MおよびNは、ある予め定義された数であってもよく、例えば、である。M=N=8またはM=N=16である。
c. 一例において、MおよびNは、サブブロックのサイズの幅/高さに基づいて定義される、Wmcを、動き補償に使用されるサブブロックサイズの幅/高さとすると、例えば、M=N=2*Wmcなど、何らかの数であってもよい。
d. PROFにおける勾配を導出するために使用されるパディング処理は、M×N領域レベルで行われる。
e. 上記のすべての例において、MおよびNの定義は、以下の通りである。
i. 一例において、M=min(K0、ブロック幅)であり、K0は整数値である。
ii. 一例において、N=min(K1、ブロックの高さ)であり、K0は整数値である。
iii. 上記の例では、K0=K1=16である。
iv. 一例において、K0およびK1は、BDOFに使用されるものと位置合わせされる。
f.第1のサブブロックにおける第1のサンプルの勾配は、第2のサブブロックにおける第2のサンプルによって導出されてもよい。
i. 一例において、第2のサブブロックは、第1のサブブロックに隣接する。
ii. 一例において、第2のサンプルは、第1のサブブロックまたは第2のサブブロックにある場合と同様に、第1のサンプルの勾配を導出するために使用される。
iii. 上記方法は、M×Nがサブブロックよりも大きい場合に適用されてもよい。
g. 各M×N領域のパディング処理のために、1つ又は複数のMVを導出してもよい。
i. 一例において、1つの特定のMVは、M×N領域のためのパディング処理のために導出される。整数参照サンプルは、特定のMVで位置判定され、次いで、M×N領域外のサンプルをパディングするために使用してもよい。
(i) 一例において、特定のMVは、M×N領域における1つのサブブロックの1つのMVであってもよく、例えば、M×N領域における左上隅のサブブロックまたは中央のサブブロックである。
図31に例を示す。特定のMVとして、サブブロックA、B、C、D、EのMVを選択してもよい。
(ii) 一例において、特定のMVは、アフィンモデルからM×N領域の特定の位置(例えば、中心)に向かって導出されてもよい。
(iii)一例において、特定のMVは、M×N領域におけるサブブロックのMVから導出されてもよい。
a. 例えば、特定のMVは、M×N領域におけるすべてのサブブロックのMVの平均として導出されてもよい。
b. 例えば、特定のMVは、中央サブブロックの複数のMVの平均として導出されてもよい。
i. 例えば、特定のMVは、
図31におけるB、C、D、Eの複数のMVの平均値として導出されてもよい。
ii. 例えば、特定のMVは、
図31におけるBおよびEの複数のMVの平均値として導出されてもよい。
iii. 例えば、特定のMVは、
図31におけるCおよびDの複数のMVの平均値として導出されてもよい。
c. 例えば、特定のMVは、複数のMV(例えば、CPMVまたはサブブロックのMV)の関数として導出されてもよい。
ii. 一例において、M×N領域に対するパディング処理のために、複数のMVが導出される。整数参照サンプルは、複数のMVのうちの1つのMVに配置され、次いで、M×N領域外のサンプルをパディングするために使用してもよい。
(i)一例において、第1のサンプルをM×N領域の第1のサブブロックにパディングする場合、第1のサブブロックの第1のMVを使用して、第1のサンプルをパディングするための整数参照サンプルを位置決めしてもよい。
iii. 上述の方法は、M×Nが1つのサブブロックよりも大きい場合に適用され、PROFにおける勾配を導出するために使用されるパディング処理は、各M×N領域に対して行われる。
2. PROF/BIOにおける勾配計算は、M×N個の領域レベルで実行されてもよく、M/Nは適応的に変更されてもよい。
a. 一例において、MおよびNは、現在のブロックの寸法W×Hに依存してもよい。
i. 例えば、この領域は現在のブロック全体、すなわち、M=W、N=Hであってもよい。
ii. 例えば、M=W/T1、N=H/T2であり、ここで、T1、T2は整数であり、例えば、T1=T2=2である。
iii. 一例において、Mおよび/またはNは、VPS/DPS/SPS/PPS/APS/スライスヘッダ/タイルグループヘッダ/タイル/CTU/CUなどにおいて、エンコーダからデコーダに信号通知されてもよい。
(i) 代替的に、Mおよび/またはNは、映像符号化規格のプロファイル/レベル/層において指定されてもよい。
iv. 一例において、M=Min(W,T1)およびN=Min(H,T2)である。例えば、T1=T2=16である。
(i)一例において、T1および/またはT2は、VPS/DPS/SPS/PPS/APS/スライスヘッダ/タイルグループヘッダ/タイル/CTU/CUにおけるように、エンコーダからデコーダに信号通知されてもよい。
(ii) 代替的に、T1および/またはT2は、映像符号化規格のプロファイル/レベル/層において指定されてもよい。
3. 上記方法に対して、以下をさらに適用してもよい。
a. 一例において、Mは、少なくともMminに等しく、Nは、少なくともNminに等しく、例えば、Mmin=Nmin=8である。
b. 一例において、パディング処理は、各M×N領域に対して1回行われ、パディングされた(M+dM)×(N+dN)領域を取得し、例えば、dM=dN=2である。
i. 一例において、領域内のサンプル(例えば、
図23における白丸)は、補間フィルタリングによる動き補償から導出されてもよい。
(i) 一例において、この領域内のサンプルは、この領域における複数のサブブロックの動き補償から導出されてもよい。
ii. 一例において、サンプルの4つの側部外側ライン(例えば、
図23における黒丸)は、パディングされてもよい。
(i) 一例において、パディングされるサンプルは、参照ブロックにおける最も近い整数サンプルの強度をコピーしてもよい。
(ii) 一例において、パディングされるサンプルは、パディングされていない領域における最も近いサンプルの強度をコピーしてもよい。
4. PROF/BIOにおける勾配計算が適用される各領域に対して、各サンプルごとに勾配値を計算する代わりに、サンプルの一部に基づいて勾配を計算することが提案される。
a. 一例において、PROF/BIOにおいて、所与の座標におけるサンプルに関連付けられた勾配を使用してもよく、例えば、(2x,y)または(x,2y)または(2x+1,2y+1)または(2x,2y)において、(m,n)は、現在のブロックにおける左上のサンプルに対する座標である。
b. 一例において、サンプルは、まず修正され(例えば、ダウンサンプリングされ)、修正されたサンプルは、勾配を導出するために使用してもよい。
5. BDOFおよびPROFにおいて計算される勾配値の精度は同じであってもよいことが提案される。
a. 一例において、サンプル差は同じ値でシフトされてもよい。
i. 一例において、水平および/または垂直方向勾配(それぞれ、gradientH、gradientVで表される)は、以下のようにして計算されてもよい。
gradientH[x][y]=(predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y])>>Shift0
gradientV[x][y]=(predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1])>>Shift1
あるいは、
gradientH[x][y]=Shift((predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y]),Shift0)
gradientV[x][y]=Shift((predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1]),Shift1)
あるいは、
gradientH[x][y]=SatShift((predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y]),Shift0)
gradientV[x][y]=SatShift((predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1]),Shift1)
ii. 一例において、水平および/または垂直方向勾配(それぞれ、gradientH、gradientVで表される)は、以下のようにして計算されてもよい。
gradientH[x][y]=(predSamples[x][y]*2-predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y])>>Shift0
gradientV[x][y]=(predSamples[x][y]*2-predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1])>>Shift1
あるいは、
gradientH[x][y]=Shift((predSamples[x][y]*2-predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y]),Shift0)
gradientV[x][y]=Shift((predSamples[x][y]*2-predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1]),Shift1)
あるいは、
gradientH[x][y]=SatShift((predSamples[x][y]*2-predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y]),Shift0)
gradientV[x][y]=SatShift((predSamples[x][y]*2-predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1]),Shift1)
iii. 一例において、Shift0および/またはShift1は、Max(2,(14-BitDepth))に設定されてもよく、ここで、BitDepthは、再構成されたサンプル/入力サンプルのビット深度である。
6. PROF、BIO、またはPROFとBIOの両方に、サンプルの外線をパディングするための以下の方法(
図23において黒丸など、パディングサンプルと呼ばれる)を適用してもよい。
a. パディングサンプルは、PROFおよび/またはBIOと同じ方法でパディングされてもよい。「同じ方法」は、以下に開示される任意のパディング方法であってもよい。
b. 一例において、パディングサンプルは、PROFおよび/またはBIOのための参照ピクチャにおける整数サンプルから導出されてもよい(例えば、コピーされてもよい)。
i. 一例において、パディングサンプルの導出に使用される整数サンプルは、パディングサンプルの位置によってMVを加算して配置され、加算演算で整数MVに丸められてもよい。
(i) 一例において、MV(MvX,MvY)は、床整数MV(IntX,IntY)に丸められてもよい。例えば、PをMV精度とした場合、IntX=MvX>>P、IntY=MvY>>Pである。
(ii) 一例において、MV(MvX,MvY)は、最も近い整数MV(IntX,IntY)に丸められてもよい。例えば、PをMVの精度とした場合、FracX=MvX&((1<<P)-1),FracY=MvY & ((1<<P)-1),OffX=(FracX>=(1<<(P-1))) ?1:0,OffY=(FracY>=(1<<(P-1))) ?1:0に設定すると、IntX=(MvX>>P)+OffX,IntY=(MvY>>P)+OffYとなる。HalfFracは、1<<(P-1)に等しくてもよく、他の例において、(1<<(P-1))-1または(1<<(P-1))+1に等しくてもよい。
(iii) 一例において、PをMV精度とすると、MV(MvX,MvY)は、IntX=SatShift(MvX,P)、IntY=SatShift(MvY,P)として、整数MV(IntX,IntY)に丸められてもよい。
(iv) 上記黒丸において、MV精度Pは、カラーフォーマットおよび/または色成分に依存してもよい。
a. 例えば、Cb/Cr成分のMV精度は、輝度成分のMV精度に4:2:0カラーフォーマットのKを加えたものに等しくてもよい。例えば、Kは1に等しくてもよい。
(v) パディングを行う方法は、VPS/DPS/SPS/PPS/APS/スライスヘッダ/タイルグループヘッダ/タイル/CTU/CUなどにおいて、エンコーダからデコーダに信号通知されてもよい。
a. 代替的に、パディングを行う方法は、映像符号化規格のプロファイル/レベル/層で指定されてもよい。
(vi) パディングを行う方法は、ブロック寸法に依存してもよい。
7. PROFを適用する場合、符号化ツールXを適用できないことが提案される。
a. 代替的に、符号化ツールXを適用する場合、PROFを適用することができない。
b. 一例において、符号化ツールXが適用され得ない場合、符号化ツールXを示すための構文要素は、信号通知されなくてもよい。
c. 一例において、符号化ツールXは、一般化Bi予測(GBI)であってもよい。
i. 例えば、GbiIdxが0に等しくない場合、PROFは適用されない。
ii. 代替的に、PROFが適用される場合、GbiIdxは0でなければならない。
iii. 代替的に、PROFが適用される場合、GbiIdxは信号通知されず、0であると推測される。
iv. 代替的に、PROFが適用される場合、GbiIdxが0であってもなくても、GBIは適用されない。
d. 一例において、符号化ツールXは、局所照明補償であってもよい。
e. 一例において、符号化ツールXは、多重変換セット(Multiple Transform Set:MTS)であってもよい。
i. 例えば、PROFを適用する場合、デフォルト変換のみを適用することができる。
(i) 例えば、PROFが適用される場合、MTSに関連する構文要素は適用されない。
f. 一例において、符号化ツールXは、重み付け予測であってもよい。
i. 例えば、1つのブロックに対して重み予測による不等な重みおよび/または不等なオフセットを適用する場合、PROFは適用されない。
8. PROFの適用方法は、カラーフォーマットおよび/または別個のプレーン符号化の使用に依存してもよいことが提案される。
a. 一例において、カラーフォーマットが4:0:0である場合、PROFを彩度成分に適用することができない。
b. 一例において、カラーフォーマットが4:4:4である場合、PROFは彩度成分に適用されてもよい。
c. 一例において、PROFは、カラーフォーマットが4:0:0に等しくない場合、彩度成分に適用されてもよい。
d. 一例において、デルタMV(例えば、2.11章におけるΔv)の導出方法は、カラーフォーマットに依存してもよい。
9. PROFの適用方法は、色成分に依存してもよいことが提案される。
a. 一例において、勾配は、各色成分ごとに独立して計算されてもよい。
i. 代替的に、第1の色成分に対して算出された勾配を第2の色成分に使用してもよい。
ii. 代替的に、勾配は、2回、輝度/主色成分に対して1回、および2つの彩度/依存色成分に対して1回、計算してもよい。
b. 一例において、デルタMV(例えば、2.11章におけるΔv)は、各色成分ごとに独立して算出されてもよい。
i. 代替的に、第1の色成分のために算出されたデルタMVを第2の色成分に使用してもよい。
c. 一例において、各色成分ごとに独立して予測微調整(例えば、2.11章におけるΔI)を算出してもよい。
i. 代替的に、第1の色成分のために計算された予測微調整(例えば、2.11章におけるΔI)は、第2の色成分によって使用してもよい。
d. 一例において、PROFにおける勾配の精度は、色成分に依存してもよい。
e. 一例において、PROFにおけるデルタMV(例えば、2.11章におけるΔv)の精度は、色成分に依存してもよい。
f. 一例において、PROFにおけるクリッピング演算の有無および方法は、色成分に依存してもよい。
g. 一例において、PROFにおけるシフト動作の有無および方法は、色成分に依存してもよい。
h. 一例において、PROFは、輝度成分のみに適用されてもよい。
i. 一例において、PROFは、異なるサブブロックサイズの異なる色成分に適用されてもよい。
i. 代替的に、PROFは、同じサブブロックサイズの異なる色成分に適用されてもよい。
j. 一例において、PROFは、M*N個のサブブロックサイズの彩度成分に適用されてもよい。
i. 例えば、MおよびNを4に等しく設定する。
k. 上記方法(黒丸 h-j)は、カラーフォーマット(例えば、4:2:0または4:4:4)にさらに依存してもよい。
10. デルタMV(例えば、2.11章におけるΔv)の導出は、サブブロックの幅および/または高さに依存してもよいことが提案される。
a. 一例において、dMvH[0][0]およびdMvV[0][0]は、以下のように計算される。
qHorX=dHorX*P0;
qVerX=dVerX*P0;
qHorY=dHorY*P0;
qVerY=dVerY*P0;
dMvH[0][0]=((iDMvHorX+iDMvVerX)*P1)-(quadHorX*(blockWidth>>1)+quadVerX*(blockHeight*P1));
dMvV[0][0]=((iDMvHorY+iDMvVerY)*P1)-(quadHorY*(blockWidth>>1)+quadVerY*(blockHeight*P1));
ここで、blockWidthおよびblockHeightは、それぞれサブブロックの幅および高さを表す。P0およびP1は、精度を制御する2つの数である。
i. 例えば、P0=4であり、P1=2である場合、dMvH[0][0]およびdMvV[0][0]は、以下のように計算される。
qHorX=dHorX<<2;
qVerX=dVerX<<2;
qHorY=dHorY<<2;
qVerY=dVerY<<2;
dMvH[0][0]=((iDMvHorX+iDMvVerX)<<1)-(quadHorX*(blockWidth>>1)+quadVerX*(blockHeight>>1));
dMvV[0][0]=((iDMvHorY+iDMvVerY)<<1)-(quadHorY*(blockWidth>>1)+quadVerY*(blockHeight>>1));
11. なお、アフィン符号化されたブロックに対して、PROFは、常に適用される代わりに、条件付きで行われてもよいことが提案される。
a. 一例において、PROFの実行の有無およびその方法は、現在のブロックの寸法W×Hに依存してもよい。
i. 例えば、PROFは、W<=T1および/またはH<=T2の場合、適用されなくてもよく、例えば、T1=T2=16である。
ii. 例えば、PROFは、W<T1および/またはH<T2の場合、適用されなくてもよく、例えば、T1=T2=16である。
iii. 例えば、PROFは、W>=T1および/またはH>=T2、例えばT1=T2=64の場合、PROFを適用しなくてもよい。
iv. 例えば、PROFは、W>T1および/またはH>T2、例えば、T1=T2=64の場合、適用されなくてもよい。
v. 例えば、W*H>T1、例えば、T1=64*64である場合、PROFは適用されなくてもよい。
vi. 例えば、W*H>=T1、例えば、T1=64*64の場合、PROFは適用されなくてもよい。
vii. 例えば、W*H<T1、例えば、T1=16*16である場合、PROFは適用されなくてもよい。
viii. 例えば、W*H<=T1、例えば、T1=16*16である場合、PROFは適用されなくてもよい。
ix. 例えば、min(W,H)>=T1、例えば、T1=64の場合、PROFを適用しなくてもよい。
x. 例えば、min(W,H)>T1、例えばT1=64である場合、PROFを適用しなくてもよい。
xi. 例えば、max(W,H)<=T1、例えば、T1=16の場合、PROFは、適用されなくてもよい。
xii. 例えば、max(W,H)<T1、例えば、T1=16の場合、PROFは、適用されなくてもよい。
b. 一例において、PROFの実行の有無、および/またはその方法は、制御点動きベクトルに依存してもよい。
c. 一例において、PROFを行うかどうか、および/またはどのように行うかは、アフィンパラメータおよび/またはアフィンパラメータの数に依存してもよい。
i. 4パラメータアフィンモデルの場合、
【0266】
【0267】
の場合、PROFの実行の有無およびその方法は、パラメータaおよびbに依存してもよい。
ii. 4パラメータアフィンモデルの場合、
【0268】
【0269】
PROFの実行の有無およびその方法は、a、b、c、dなどのパラメータに依存してもよい。
iii. 一例において、最大アフィンパラメータが閾値より小さい(または大きくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
(i) 代替的に、すべての(例えば、4つまたは6つの)アフィンパラメータが閾値より小さい(または大きくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
(ii) 代替的に、少なくとも1つのアフィンパラメータが閾値より小さい(または大きくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
iv. 一例において、アフィンパラメータの絶対値の最大値が閾値より小さい(または大きくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
(i) 代替的に、すべてのアフィンパラメータの絶対値が閾値より小さい(または大きくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
(ii) 代替的に、PROFは、すべてのアフィンパラメータの絶対値のうちの少なくとも1つが閾値よりも大きい(または小さくない)場合にのみ適用されてもよい。
v. 一例において、最小アフィンパラメータが閾値よりも大きい(または小さくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
(i) 代替的に、すべての(例えば、4つまたは6つの)アフィンパラメータが閾値よりも大きい(または小さくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
(ii) 代替的に、少なくとも1つのアフィンパラメータが閾値よりも大きい(または小さくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
vi. 一例において、アフィンパラメータの絶対値の最小値が閾値よりも大きい(または小さくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
(i) 代替的に、すべてのアフィンパラメータの絶対値が閾値よりも大きい(または小さくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
(ii) 代替的に、PROFは、アフィンパラメータの絶対値のうちの少なくとも1つが閾値より小さい(または大きくない)場合にのみ適用されてもよい。
vii. 一例において、JVET-N0236に開示されるようなデルタMVの「絶対値」の最大値が閾値より小さい(または大きくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
(i) 代替的に、すべてのデルタMVの「絶対値」が閾値より小さい(または大きくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
(ii) 代替的に、PROFは、デルタMVの「絶対値」のうちの少なくとも1つが閾値よりも大きい(または小さくない)場合にのみ適用されてもよい。
viii. 一例において、デルタMVの「絶対値」の最小値が閾値よりも大きい(または小さくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
(i) 代替的に、すべてのデルタMVの「絶対値」が閾値よりも大きい(または小さくない)場合、PROFを適用しなくてもよい。
(ii) 代替的に、PROFは、デルタMVの「絶対値」のうちの少なくとも1つが閾値よりも大きい(または小さくない)場合にのみ適用されてもよい。
ix. 一例において、PROFは特定の位置に適用されてもよい。
(i) 例えば、PROFは、その対応するデルタMVの「絶対値」が閾値より小さい(または大きくない)場合、位置に適用されてもよい。
(ii) 例えば、PROFは、その対応するデルタMVの「絶対値」が閾値よりも大きい(または小さくない)場合、位置に適用されてもよい。
x. 一例において、アフィンパラメータは、JVET-M1001に記載されているように、特定の精度で、整数dHorX、dVerX、dHorY、dVerYと表現されてもよい。
xi. 一例において、閾値はビット深度に依存してもよい。
(i) 一例において、閾値は、1<<BitDepthとして導出されてもよい。
(ii)さらに、代替的に、この閾値は、双方向予測が適用されるかまたは単一予測が適用されるかに依存してもよい。
a. 例えば、閾値は、(1<<BitDepth)+(Bi-prediction?1:0)として導出されてもよい。
xii. 一例において、黒丸11に開示された方法の適用の有無、および/またはその方法は、参照ピクチャの構造に依存してもよい。
(i) 例えば、現在のピクチャのすべての参照ピクチャが現在のピクチャの表示順に前置されている場合、すなわち、すべての参照ピクチャのPOCが現在のピクチャのPOCより小さい場合、本明細書に開示される方法の1つまたは複数は適用されなくてもよい。
(ii) 代替的に、黒丸11に開示された方法の提供の有無、および/またはその方法は、スライス/ピクチャのタイプ(例えば、IスライスまたはBスライス)に依存してもよい。
(iii) 代替的に、黒丸11に開示された方法の提供の有無、および/またはその方法は、時間層に依存してもよい。
xiii. 黒丸11において、符号化方法「PROF」の代わりに、JVET-N0216に開示されるような織り交ぜ予測または位相可変アフィンサブブロック動き補償など、アフィン予測符号化を向上させるための他の符号化方法を使用してもよい。
12. JVET-N0510に提案されているような位相可変アフィンサブブロック動き補償をまず適用して予測値を得て、次にPROFを用いてもよいことが提案される。
13. 任意の有効なxおよびyに対してdMvH[x][y]および/またはdMvV[x][y]を導出するために使用される任意の変数のビット幅は、特定の数、例えば32を超えることができないことが提案される。
a. 一例において、dMvH[x][y]および/またはdMvV[x][y]は、他のdMvH[t][z]および/またはdMvV[t][z]を導出するために使用される前にクリッピングされる。ここで、(t,z)は、(x,y)に等しくない。
b. 一例において、dMvH[x][y]および/またはdMvV[x][y]は、他のdMvH[t][z]および/またはdMvV[t][z]を導出するために使用される前に右へシフトされる。ここで、(t,z)は、(x,y)に等しくない。
14. dMvHおよび/またはdMvVは、記憶された動きベクトルと同じ精度を有してもよいことが提案される。
a. 例えば、
dMvH[xPos][yPos]=SatShift(dMvH[xPos][yPos],7+M);
dMvV[xPos][yPos]=SatShift(dMvV[xPos][yPos],7+M);
ここで、Mは、dMvHおよび/またはhMvV、例えばM=2を導出するための追加の精度である。
15. 予測微調整ΔIを導出するために使用される前のdMvHおよび/またはdMvVにおけるクリッピングは、dMvHおよび/またはdMvVの精度に依存してもよいことが提案される。
a. 例えば、
dMvH[posX][posY]=Clip3(-2K-1,2K-1-1,dMvH[posX][posY]);
dMvV[posX][posY]=Clip3(-2K-1,2K-1-1,dMvV[posX][posY]);
ここで、Kは、dMvHおよび/またはdMvVの精度に依存する。
b. 代替的に、dMvH[x][y]および/またはdMvV[x][y]は、予測微調整を導出するために使用される前にクリッピングされない。
16. 予測微調整ΔI(posX,posY)の右シフトは、ΔI(posX,posY)の符号に依存してもよいことが提案される。
a. 例えば、ΔI(posX,posY)=SatShift(ΔI(posX,posY),N)、ここで、Nは整数である。
17. 予測微調整ΔI(posX,posY)におけるクリッピングは、サンプルビット深度に依存してもよいことが提案される。
a. 例えば、ΔI(posX,posY)=Clip3(-(23+BitDepth-1),23+BitDpeth-1,ΔI(posX,posY));
18. アフィンモードブロック内のサブブロック境界(例えば、内側サブブロック境界)に対して非ブロック化の実行の有無および/またはその方法は、JVET-N0216に開示されるような織り交ぜ予測、および/またはPROF、および/または位相可変アフィンサブブロック動き補償をブロックに適用するかどうかに依存してもよい。
a. 一例において、織り交ぜ予測または/およびPROFまたは/および位相可変アフィンサブブロック動き補償がブロックに適用される場合、非ブロック化は無効にされてもよい。
i. 代替的に、非ブロック化フィルタは、ブロックに織り交ぜ予測または/およびPROFまたは/および位相可変アフィンサブブロック動き補償が適用されるサブブロック境界において、より弱くてもよい。例えば、このような境界において、境界強度を小さく設定してもよい。
b. 一例において、織り交ぜ予測または/およびPROFまたは/および位相可変アフィンサブブロック動き補償がブロックに適用されない場合、非ブロック化は有効にされてもよい。
【0270】
上述した例は、以下に説明する方法、例えば、方法2910~2950のコンテキストに含まれてもよく、これらの方法は、映像デコーダ又は映像エンコーダにおいて実装されてもよい。
【0271】
図29Aは、例示的な映像処理方法のフローチャートを示す。方法2910は、ステップ2912において、現在の映像ブロックのサブブロックレベルで行われるアフィンモード動き補償を使用して、映像の前記現在の映像ブロックに対する予測ブロックを生成することを含む。方法2910は、ステップ2914において、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順を使用して予測ブロックを微調整すべく、現在の映像ブロックの領域に対して勾配計算を行うことをさらに含み、この領域のサイズ(M×N)は、現在の映像ブロックのサブブロックのサイズとは異なり、MおよびNが正の整数である。方法2910は、ステップ2916において、前記勾配計算に基づいて、前記現在の映像ブロックと前記映像の符号化表現との間での変換を行うことを、さらに含む。
【0272】
図29Bは、例示的な映像処理方法のフローチャートを示す。方法2920は、ステップ2922において、第1のサイズを有する映像の現在の映像ブロックに対し、規則に従って第2のサイズを有する映像領域に対して行われた勾配計算を使用して1つ以上の中間予測ブロックを微調整することによって算出された最終予測ブロックを導出することを含み、前記微調整することは、オプティカルフロー手順を使用する。方法2920は、ステップ2924において、最終予測ブロックを使用して、現在の映像ブロックと、映像の符号化表現との間で変換を行うことをさらに含む。
【0273】
図29Cは、例示的な映像処理方法のフローチャートを示す。方法2930は、ステップ2932において、映像の現在の映像ブロックに対し、双方向オプティカルフロー(BDOF)またはオプティカルフロー付き予測微調整(PROF)を使用して動き情報を導出することを含む。方法2930は、ステップ2934において、前記現在の映像ブロックの領域において、前記領域における少なくとも1つのサンプルが前記勾配計算から省略されるように、サンプルに対する勾配計算を行うことをさらに含む。方法2930は、ステップ2936において、前記勾配計算に基づいて、前記現在の映像ブロックと、前記現在の映像ブロックを構成する映像の符号化表現との間で変換を行うことをさらに含む。いくつかの実装形態において、前記現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測は、サブブロックレベルで算出されて前記PROF中のオプティカルフロー計算を使用して微調整されるか、または1つ以上の初期予測は、BDOF中の空間的および時間的勾配を使用して微調整される。
【0274】
図29Dは、例示的な映像処理方法のフローチャートを示す。この方法2940は、ステップ2942において、映像の現在の映像ブロックに対して、精度規則に従って、初期予測サンプルの勾配に基づいて、オプティカルフロー計算を使用して、現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測を微調整することによって、現在の映像ブロックに対する最終予測ブロックを判定することを含む。方法2940は、ステップ2944において、前記最終予測ブロックを使用して、前記現在の映像ブロックと符号化表現との間で変換を行うこととをさらに含み、前記オプティカルフロー計算は、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順または双方向オプティカルフロー(BDOF)手順による予測微調整を含み、前記精度規則は、前記PROF手順および前記BDOF手順の両方に対して前記勾配を表現するための同じ精度を使用するように規定する。
【0275】
図29Eは、例示的な映像処理方法のフローチャートを示す。方法2950は、ステップ2952において、映像の現在の映像ブロックと前記映像の符号化表現との間での変換のために、オプティカルフロー計算を使用して前記現在の映像ブロックの1つ以上の初期予測を微調整することで、前記現在の映像ブロックの最終予測ブロックを判定することを含む。方法2950は、ステップ2954において、前記最終予測ブロックを使用して前記変換を行うことをさらに含む。いくつかの実装形態において、前記オプティカルフロー計算は、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順および/または双方向オプティカルフロー(BDOF)手順による予測微調整を含み、前記オプティカルフロー計算は、規則に従って、前記PROF手順または前記BDOF手順の少なくとも一方に適用してパディングサンプルを導出できるパディング演算をさらに含む。
【0276】
5. 開示される技術の例示的な実装形態
【0277】
図30Aは、映像処理装置3000のブロック図である。装置3000は、本明細書に記載の方法の1つ以上を実装するために使用してもよい。装置3000は、スマートフォン、タブレット、コンピュータ、IoT(モノのインターネット)受信機等により実施されてもよい。装置3000は、1つ以上の処理装置3002と、1つ以上のメモリ3004と、映像処理ハードウェア3006と、を含んでもよい。1つまたは複数の処理装置3002は、本明細書に記載される1つ以上の方法(方法2900を含むが、これに限定されない)を実装するように構成されてもよい。メモリ(複数可)3004は、本明細書で説明される方法および技術を実装するために使用されるデータおよびコードを記憶するために使用してもよい。映像処理ハードウェア3006は、本明細書に記載される技術をハードウェア回路にて実装するために使用してもよい。
【0278】
図30Bは、開示された技術を実装することができる例示的な映像処理システムを示すブロック図の別の例である。
図30Bは、本明細書で開示される様々な技術が実装され得る例示的な映像処理システム4100を示すブロック図である。様々な実装形態は、システム4100のモジュールの一部又は全部を含んでもよい。システム4100は、映像コンテンツを受信するための入力ユニット4102を含んでもよい。映像コンテンツは、未加工又は非圧縮フォーマット、例えば、8又は10ビットのマルチモジュール画素値で受信されてもよく、又は圧縮又は符号化フォーマットで受信されてもよい。入力ユニット4102は、ネットワークインターフェース、周辺バスインターフェース、又は記憶インターフェースを表してもよい。ネットワークインターフェースの例は、イーサネット(登録商標)、パッシブ光ネットワーク(PON)等の有線インターフェース、およびWi-Fi(登録商標)またはセルラーインターフェース等の無線インターフェースを含む。
【0279】
システム4100は、本明細書に記載される様々な符号化又は符号化方法を実装することができる符号化モジュール4104を含んでもよい。符号化モジュール4104は、入力ユニット4102からの映像の平均ビットレートを符号化モジュール4104の出力に低減し、映像の符号化表現を生成してもよい。従って、この符号化技術は、映像圧縮または映像コード変換技術と呼ばれることがある。符号化モジュール4104の出力は、モジュール4106によって表されるように、記憶されてもよいし、接続された通信を介して送信されてもよい。入力ユニット4102において受信された、記憶された又は通信された映像のビットストリーム(又は符号化)表現は、モジュール4108によって使用されて、表示インターフェースユニット4110に送信される画素値又は表示可能な映像を生成してもよい。ビットストリーム表現からユーザが見ることができる映像を生成する処理は、映像伸張(映像展開)と呼ばれることがある。さらに、特定の映像処理動作を「符号化」動作又はツールと呼ぶが、符号化ツール又は動作は、エンコーダ及びそれに対応する、復号化の結果を逆にする復号化ツール又は動作が、デコーダによって行われることが理解されよう。
【0280】
周辺バスインターフェースユニットまたは表示インターフェースユニットの例は、ユニバーサルシリアルバス(USB)または高精細マルチメディアインターフェース(HDMI(登録商標))またはディスプレイポート等を含んでもよい。ストレージインターフェースの例は、シリアルアドバンスドテクノロジーアタッチメント(SATA)、PCI、IDEインターフェース等を含む。本明細書に記載される技術は、携帯電話、ノートパソコン、スマートフォン、又はデジタルデータ処理及び/又は映像表示を実施可能な他のデバイス等の様々な電子デバイスに実施されてもよい。
【0281】
開示される技術のいくつかの実施形態は、映像処理ツールまたはモードを有効化するように決定または判定することを含む。一例において、映像処理ツールまたはモードが有効化される場合、エンコーダは、1つの映像ブロックを処理する際にこのツールまたはモードを使用するまたは実装するが、このツールまたはモードの使用に基づいて、結果として得られるビットストリームを必ずしも修正しなくてもよい。すなわち、映像のブロックから映像のビットストリーム表現への変換は、決定または判定に基づいて映像処理ツールまたはモードが有効化される場合に、この映像処理ツールまたはモードを使用する。別の例において、映像処理ツールまたはモードが有効化される場合、デコーダは、ビットストリームが映像処理ツールまたはモードに基づいて修正されたことを知って、ビットストリームを処理する。すなわち、決定または判定に基づいて有効化された映像処理ツールまたはモードを使用して、映像のビットストリーム表現から映像のブロックへの変換を行う。
【0282】
開示される技術のいくつかの実施形態は、映像処理ツールまたはモードを無効化するように決定または判定することを含む。一例において、映像処理ツールまたはモードが無効にされている場合、エンコーダは、映像のブロックを映像のビットストリーム表現に変換する際に、このツールまたはモードを使用しない。別の例において、映像処理ツールまたはモードが無効にされている場合、デコーダは、決定または判定に基づいて無効化された映像処理ツールまたはモードを使用してビットストリームが修正されていないことを知って、ビットストリームを処理する。
【0283】
本明細書では、「映像処理」という用語は、映像符号化、映像復号化、映像圧縮、または映像展開を指すことができる。例えば、映像圧縮アルゴリズムは、映像の画素表現から対応するビットストリーム表現への変換、またはその逆の変換中に適用されてもよい。現在の映像ブロックのビットストリーム表現は、例えば、構文によって規定されるように、ビットストリーム内の同じ場所または異なる場所に拡散されるビットに対応していてもよい。例えば、1つのマクロブロックは、変換および符号化された誤り残差値の観点から、且つビットストリームにおけるヘッダおよび他のフィールドにおけるビットを使用して符号化されてもよい。
【0284】
開示された方法及び技法は、本明細書に開示された技法を使用できるようにすることで、スマートフォン、ノートパソコン、卓上パソコン、及び類似した機器等の映像処理デバイスに組み込まれる映像エンコーダおよび/またはデコーダの実施形態に有益となることが理解される。
【0285】
様々な技術および実施形態を、以下の項に基づくフォーマットを使用して説明することができる。
【0286】
第1組の項目では、前章で開示された技術の特定の特徴及び態様を説明する。
【0287】
1. 映像処理方法であって、 現在の映像ブロックの第1の領域において勾配計算を行うことであって、前記第1の領域(M×N)は、アフィンモードで動き補償の為に使用される前記現在の映像ブロックのサブブロックのサイズとは異なり、MおよびNは正の整数(>0)である、勾配計算を行うことと、前記勾配計算に基づいて、前記現在の映像ブロックと前記現在の映像ブロックを含む映像のビットストリーム表現との間で変換を行うこととを含む、方法。
【0288】
2. 前記第1の領域のサイズが前記サブブロックのサイズよりも大きい、項目1に記載の方法。
【0289】
3. MおよびNが予め定義された正の整数である、項目1または2に記載の方法。
【0290】
4. 前記第1の領域のサイズは、前記サブブロックのサイズに基づく、項目1または2に記載の方法。
【0291】
5. M/Nが適応的に変更される、項目1に記載の方法。
【0292】
6. MおよびNが前記現在の映像ブロックの寸法に基づく、項目1に記載の方法。
【0293】
7. Mが最小値Mminを有し、Nが最小値Nminを有する、項目1~6のいずれかに記載の方法。
【0294】
8. Mmin=Nmin=8である、項目7に記載の方法。
【0295】
9. 第1の領域にパディングを施して、サイズ(M+dM)×(N+dN)の第1のパディング領域を生成する、項目1~6のいずれかに記載の方法。
【0296】
10. 補間フィルタリングによる動き補償に基づいて、前記第1の領域または前記第1のパディング領域におけるサンプルを導出する、項目9に記載の方法。
【0297】
11. 前記勾配計算を行う時に、前記第1の領域における少なくとも1つのサンプルを省略する、項目1に記載の方法。
【0298】
12. 前記勾配計算は、双方向オプティカルフロー(BDOF)において第1の精度で、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)において第2の精度で行われ、第1の精度と第2の精度が等しい、項目1に記載の方法。
【0299】
13. 現在の映像ブロックに対するオプティカルフロー付き予測微調整(PROF)を用いた予測微調整の選択的な適用に従って、現在の映像ブロックへの符号化ツールの選択的な適用に関して、決定することであって、前記符号化ツールは、前記PROFとは異なる、決定を行うことと、前記決定に基づいて、前記現在の映像ブロックと前記現在の映像ブロックを含む映像のビットストリーム表現との間で変換を行うこととを含む、映像処理方法。
【0300】
14. 前記PROFが適用されず、前記符号化ツールが適用される、項目13に記載の方法。
【0301】
15. 前記符号化ツールは、一般化された双方向予測を含む、項目13に記載の方法。
【0302】
16. 前記PROFが適用されず、前記一般化された双方向予測に関連付けられたインデックスがゼロでない、項目15に記載の方法。
【0303】
17. 前記符号化ツールは、局所照明補償である、項目13に記載の方法。
【0304】
18. 前記符号化ツールは、多重変換セット(MTS)である、項目13に記載の方法。
【0305】
19. 前記PROFが適用され、前記MTSからのデフォルト変換のみが前記現在の映像ブロックに適用される、項目18に記載の方法。
【0306】
20. 前記符号化ツールは、重み付け予測である、項目13に記載の方法。
【0307】
21. 現在の映像ブロックと現在の映像ブロックを構成する映像のビットストリーム表現との間での変換中、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)演算の選択的適用に関して決定することを含み、前記決定は、現在の映像ブロックの色情報に基づく、映像処理方法。
【0308】
22. 前記PROF演算は、前記現在の映像ブロックの1つ以上の彩度成分に適用されず、前記色情報は、4:0:0のカラーフォーマットを含む、項目21に記載の方法。
【0309】
23. 前記PROF演算は、前記現在の映像ブロックの1つ以上の彩度成分に適用され、前記色情報は、4:4:4のカラーフォーマットを含む、項目21に記載の方法。
【0310】
24. 前記PROF演算は、前記現在の映像ブロックの1つ以上の彩度成分に適用され、前記色情報は、4:0:0のカラーフォーマットを含む、項目21に記載の方法。
【0311】
25. 前記PROF演算が適用され、前記色情報は複数の色成分を含む、項目21に記載の方法。
【0312】
26. 前記PROF演算の1つ以上の勾配は、複数の色成分の各々について独立して計算される、項目25に記載の方法。
【0313】
27. 前記複数の色成分の第1の色成分に対して前記PROF演算の1つ以上の勾配を計算し、前記複数の色成分の第2の色成分に再利用する、項目25に記載の方法。
【0314】
28. 前記勾配の精度は、前記複数の色成分のうちの少なくとも1つに基づく、項目26または27に記載の方法。
【0315】
29. 現在の映像ブロックの高さ(H)または幅(W)に基づいて、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)演算の選択的な適用に関して決定することと、前記決定に基づいて、前記現在の映像ブロックと前記現在の映像ブロックを含む映像のビットストリーム表現との間で変換を行うこととを含む、映像処理方法。
【0316】
30. 前記PROF演算は、前記現在の映像ブロックの輝度成分に適用される、項目29に記載の方法。
【0317】
31. 前記現在の映像ブロックは、アフィンモードを使用して符号化される、項目29に記載の方法。
【0318】
32. 前記PROF演算が適用されず、W≦T1および/またはH≦T2であり、T1=T2=16である、項目31に記載の方法。
【0319】
33. PROF演算が適用されず、W≧T1および/またはH≧T2であり、T1=T2=64である、項目31に記載の方法。
【0320】
34. 前記PROF演算が適用されず、W×H≦Tまたは最大(W,H)≦Tであり、T=16である、項目31に記載の方法。
【0321】
35. 前記PROF演算が適用されず、W×H≧Tまたは最小(W,H)≧Tであり、T=64である、項目31に記載の方法。
【0322】
36. 前記現在の映像ブロックのサイズは、W×Hであり、M=min(K,W)であり、Kが整数である、項目1または2に記載の方法。
【0323】
37. 前記現在の映像ブロックのサイズは、W×Hであり、N=min(K,H)であり、Kが整数である、項目1または2に記載の方法。
【0324】
38. K=16である、項目36または37に記載の方法。
【0325】
39. 前記勾配計算を行う前に、前記現在の映像ブロックの前記第1の領域においてパディング処理を行うことをさらに含む、項目1または2に記載の方法。
【0326】
40. 前記パディング処理を行うことは、1つ以上の動きベクトルを導出することを含む、項目39に記載の方法。
【0327】
41. 前記1つ以上の動きベクトルは、アフィンモデルから前記第1の領域の特定の位置に向かって導出される動きベクトルを含む、項目40に記載の方法。
【0328】
42. 前記1つ以上の動きベクトルは、前記第1の領域の少なくとも1つのサブブロックの少なくとも1つの動きベクトルから導出された動きベクトルを含む、項目40に記載の方法。
【0329】
43. 前記パディング処理を行うことは、現在の映像ブロックの高さまたは幅に基づく、項目39に記載の方法。
【0330】
44. パディング処理を行うことは、映像パラメータセット(VPS)、デコーダパラメータセット(DPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、適応パラメータセット(APS)、スライスヘッダ、タイル、タイルグループヘッダ、符号化ツリーユニット(CTU)または符号化ユニット(CU)の信号通知に基づいて行われる、項目39に記載の方法。
【0331】
45. MおよびNは、映像パラメータセット(VPS)、デコーダパラメータセット(DPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、適応パラメータセット(APS)、スライスヘッダ、タイル、タイルグループヘッダ、符号化ツリーユニット(CTU)または符号化ユニット(CU)において信号通知される、項目5または6に記載の方法。
【0332】
46. MおよびNは、映像符号化規格のプロファイル、レベルまたは階層で指定される、項目5または6に記載の方法。
【0333】
47. 処理装置と、その処理装置に命令が記憶された非一時的メモリとを備える装置であって、命令が処理装置によって実装されることにより、処理装置に、項目1~46のいずれか1項目に記載の方法を実施させる映像システムの装置。
【0334】
48. 非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラム製品であって、項目1~46のいずれか1項目に記載の方法を実行するためのプログラムコードを含む、コンピュータプログラム製品。
【0335】
第2組の項目では、例えば、例示の実装形態1~4を含む、前章に開示された技術の特定の特徴及び態様を説明する。
【0336】
1. 現在の映像ブロックのサブブロックレベルで行われるアフィンモード動き補償を使用して、映像の前記現在の映像ブロックに対する予測ブロックを生成することと、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順を使用して、前記予測ブロックを微調整するために、前記現在の映像ブロックの領域に対して勾配計算を行うことであって、前記領域のサイズ(M×N)は、前記現在の映像ブロックのサブブロックのサイズとは異なり、M、Nは正の整数である、勾配計算を行うことと、前記勾配計算に基づいて、前記現在の映像ブロックと前記映像の符号化表現との間で変換を行うこととを含む、映像処理方法。
【0337】
2. 前記領域のサイズが前記サブブロックのサイズよりも大きい、項目1に記載の方法。
【0338】
3. MおよびNが予め定義された正の整数である、項目1または2に記載の方法。
【0339】
4. 前記領域のサイズは、前記サブブロックのサイズに基づく、項目1または2に記載の方法。
【0340】
5. 前記PROF手順におけるパディング演算を適用して、(M×N)個の領域レベルにおける勾配を導出する、項目1に記載の方法。
【0341】
6. Mがmin(K0、ブロック幅)として定義され、Nがmin(K1、ブロック高さ)として定義され、K0およびK1が整数である、項目1~5のいずれかに記載の方法。
【0342】
7. K0およびK1が16と等しい、項目6に記載の方法。
【0343】
8. 前記勾配計算を行うことは、前記現在の映像ブロックの第1のサブブロックにおける第1のサンプルに対する第1の勾配と、前記現在の映像ブロックの第2のサブブロックにおける第2のサンプルに対する第2の勾配と、を取得することを含む、項目1に記載の方法。
【0344】
9. 前記第2のサブブロックが前記第1のサブブロックに隣接している、項目8に記載の方法。
【0345】
10. 前記第2のサンプルを使用して前記第1の勾配を導出する、項目8に記載の方法。
【0346】
11. 前記領域のサイズ(M×N)は、前記現在の映像ブロックのサブブロックのサイズよりも大きい、項目8~10のいずれかに記載の方法。
【0347】
12. 前記領域のパディング演算のために1つ以上の動きベクトルを導出する、項目1に記載の方法。
【0348】
13. 前記領域のパディング演算のために、現在の映像ブロックの参照ブロックにおける整数サンプルに関連付けられた特定の動きベクトルを導出する、項目12に記載の方法。
【0349】
14. 前記特定の動きベクトルは、前記領域におけるサブブロックの1つの動きベクトルに対応する、項目13に記載の方法。
【0350】
15. 前記特定の動きベクトルは、前記領域の特定の位置にアフィンモデルを適用することで導出される、項目13に記載の方法。
【0351】
16. 前記特定の動きベクトルは、前記領域におけるすべてのサブブロックの動きベクトルから導出される、項目13に記載の方法。
【0352】
17. 前記特定の動きベクトルは、前記領域におけるすべてのサブブロックの動きベクトルの平均として導出される、項目13に記載の方法。
【0353】
18. 前記特定の動きベクトルは、前記領域におけるサブブロックのうち、前記領域の中心付近に位置するサブブロックの少なくともいくつかの動きベクトルの平均として導出される、項目13に記載の方法。
【0354】
19. 前記特定の動きベクトルは、前記領域における制御点動きベクトルまたはサブブロックの動きベクトルを含む複数の動きベクトルの関数として導出される、項目13に記載の方法。
【0355】
20. 前記領域のパディング演算のために、現在の映像ブロックの参照ブロックにおける整数サンプルに関連付けられた複数の動きベクトルを導出する、項目12に記載の方法。
【0356】
21. 前記領域の第1のサブブロックに隣接する第1のサンプルをパディングするために、前記領域における前記第1のサブブロックの第1の動きベクトルを使用して、前記整数サンプルの位置を特定する、項目20に記載の方法。
【0357】
22. 領域のサイズ(M×N)は、現在の映像ブロックのサブブロックのサイズよりも大きい、項目12に記載の方法。
【0358】
23. MおよびNの最小値が、それぞれMminおよびNminとして予め決定される、項目1~22のいずれかに記載の方法。
【0359】
24. Mmin=Nmin=8である、項目23に記載の方法。
【0360】
25. 前記領域に対してパディング演算を行うことと、(M+dM)×(N+dN)のサイズを有するパディング領域にパドリングサンプルを生成する、項目1~24のいずれかに記載の方法。
【0361】
26. 前記領域内のサンプルは、補間フィルタリングによる動き補償から導出される、項目25に記載の方法。
【0362】
27. 前記サンプルは、前記領域における複数のサブブロックの動き補償から導出される、項目26に記載の方法。
【0363】
28. 前記パドリングサンプルは、前記領域の4つの外側に沿って導出される、項目25に記載の方法。
【0364】
29. パドリングサンプルは、前記現在の映像ブロックの参照ブロックにおける最も近い整数サンプルの強度をコピーする、項目28に記載の方法。
【0365】
30. パドリングサンプルは、パディングされていない前記領域における最も近いサンプルの強度をコピーする、項目28に記載の方法。
【0366】
31. 前記変換を行うことは、前記現在の映像ブロックから前記符号化表現を生成することを含む、項目1~30のいずれかに記載の方法。
【0367】
32. 前記変換を行うことは、前記符号化表現から前記現在の映像ブロックを生成することを含む、項目1~30のいずれかに記載の方法。
【0368】
33. 第1のサイズを有する映像の現在の映像ブロックに対し、規則に従って第2のサイズを有する映像領域に対して行われた勾配計算を使用して1つ以上の中間予測ブロックを微調整することによって算出された最終予測ブロックを導出することであって、前記微調整することは、オプティカルフロー手順を使用する、導出することと、前記最終予測ブロックを使用して、前記現在の映像ブロックと前記映像の符号化表現との間で変換を行うこととを含む、映像処理方法。
【0369】
34. 前記規則は、前記第2のサイズが前記第1のサイズの関数であることを規定する、項目33に記載の方法。
【0370】
35. 前記規則は、第2のサイズの幅(M)および/または第2のサイズの高さ(N)が、第1のサイズの幅(W)および/または第1のサイズの高さ(H)に依存することを規定する、項目34に記載の方法。
【0371】
36. M=WおよびN=Hである、項目35に記載の方法。
【0372】
37. M=N=2*Wmcであり、Wmcは、現在の映像ブロックに対する動き補償を使用して1つ以上の中間予測ブロックを得るために使用される、現在の映像ブロックのサブブロックの幅または高さである、項目35に記載の方法。
【0373】
38. MおよびNのうちの少なくとも1つは、映像パラメータセット(VPS)、復号化パラメータセット(DPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、適応パラメータセット(APS)、スライスヘッダ、タイルグループヘッダ、タイル、符号化ツリーユニット、または符号化ユニットにおいて信号通知される、項目35記載の方法。
【0374】
39. 前記MおよびNのうちの少なくとも1つは、前記規則のプロファイル、レベルまたは層において規定される、項目35に記載の方法。
【0375】
40. M=Min(W,T1)かつN=Min(H,T2)であり、T1およびT2が正の整数である、項目35に記載の方法。
【0376】
41. T1およびT2のうちの少なくとも1つが、映像パラメータセット(VPS)、復号化パラメータセット(DPS)、シーケンスパラメータセット(SPS)、ピクチャパラメータセット(PPS)、適応パラメータセット(APS)、スライスヘッダ、タイルグループヘッダ、タイル、符号化ツリーユニット、または符号化ユニットにおいて信号通知される、項目40に記載の方法。
【0377】
42. T1およびT2のうちの少なくとも1つが、規則のプロファイル、レベルまたは層において規定される、項目40に記載の方法。
【0378】
43. MおよびNの最小値が、それぞれMminおよびNminとして予め決定される、項目35~42のいずれかに記載の方法。
【0379】
44. Mmin=Nmin=8である、項目43に記載の方法。
【0380】
45. 前記領域に対してパディング演算を行うことと、(M+dM)×(N+dN)のサイズを有するパディング領域にパドリングサンプルを生成する、項目33~44のいずれかに記載の方法。
【0381】
46. 前記領域内のサンプルは、補間フィルタリングによる動き補償から導出される、項目45に記載の方法。
【0382】
47. 前記サンプルは、前記領域における複数のサブブロックの動き補償から導出される、項目46に記載の方法。
【0383】
48. 前記パドリングサンプルは、前記領域の4つの外側に沿って導出される、項目45に記載の方法。
【0384】
49. パドリングサンプルは、前記現在の映像ブロックの参照ブロックにおける最も近い整数サンプルの強度をコピーする、項目48に記載の方法。
【0385】
50. パドリングサンプルは、パディングされていない前記領域における最も近いサンプルの強度をコピーする、項目48に記載の方法。
【0386】
51. 前記オプティカルフロー手順は、1つ以上の中間予測ブロックをサブブロックレベルで算出し、前記オプティカルフロー計算を使用して微調整する、オプティカルフローによるオプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順を含む、項目33に記載の方法。
【0387】
52. 前記オプティカルフロー手順は、空間的勾配および時間的勾配を使用して前記1つ以上の中間予測ブロックを微調整する双方向オプティカルフロー(BDOF)手順を含む、項目33に記載の方法。
【0388】
53. 前記変換を行うことは、前記現在の映像ブロックから前記符号化表現を生成することを含む、項目33~52のいずれかに記載の方法。
【0389】
54. 前記変換を行うことは、前記符号化表現から前記現在の映像ブロックを生成することを含む、項目33~52のいずれかに記載の方法。
【0390】
55. 映像の現在の映像ブロックに対し、双方向オプティカルフロー(BDOF)またはオプティカルフロー付き予測微調整(PROF)を使用して動き情報を導出することと、前記現在の映像ブロックの領域において、前記領域における少なくとも1つのサンプルが前記勾配計算から省略されるように、サンプルに対する勾配計算を行うことと、前記勾配計算に基づいて、前記現在の映像ブロックと前記現在の映像ブロックを含む映像の符号化表現との間で変換を行うこととを含み、前記現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測は、サブブロックレベルで算出されて前記PROF中のオプティカルフロー計算を使用して微調整されるか、または1つ以上の初期予測は、BDOF中の空間的勾配および時間的勾配を使用して微調整される、映像処理方法。
【0391】
56. 前記BIOおよびPROFにおいて、所与の座標におけるサンプルに関連付けられた勾配を使用する、項目55に記載の方法。
【0392】
57. 前記サンプルは、前記勾配計算を行う前に修正され、修正されたサンプルは、前記勾配計算を行う間に使用される、項目55に記載の方法。
【0393】
58. 前記変換を行うことは、前記現在の映像ブロックから前記符号化表現を生成することを含む、項目55~57のいずれかに記載の方法。
【0394】
59. 前記変換を行うことは、前記符号化表現から前記現在の映像ブロックを生成することを含む、項目55~57のいずれかに記載の方法。
【0395】
第3組の項目では、例えば、例示の実装形態5および6を含む、前章に開示された技術の特定の特徴及び態様を説明する。
【0396】
1. 映像の現在の映像ブロックに対して、精度規則に従って、初期予測サンプルの勾配に基づいて、オプティカルフロー計算を使用して、現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測を微調整することによって、現在の映像ブロックに対する最終予測ブロックを判定することと、前記最終予測ブロックを使用して、前記現在の映像ブロックと符号化表現との間での変換を行うこととを含み、前記オプティカルフロー計算は、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順または双方向オプティカルフロー(BDOF)手順による予測微調整を含み、前記精度規則は、前記PROF手順および前記BDOF手順の両方に対して前記勾配を表現するために同じ精度を使用するように規定する、映像処理方法。
【0397】
2. 前記PROF手順において、1つ以上の初期予測は、アフィン動き補償予測中にサブブロックレベルで算出され、オプティカルフロー計算を使用して微調整される、項目1に記載の方法。
【0398】
3. 前記BDOF手順において、前記1つ以上の初期予測は、オプティカルフロー計算中に取得された少なくとも1つの勾配値を使用して微調整される、項目1に記載の方法。
【0399】
4. それぞれgradientHおよびgradientVとして表される水平方向勾配および垂直方向勾配を、以下の1つとして計算する、項目1に記載の方法。
【0400】
i) gradientH[x][y]=(predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y])>>Shift0,gradientV[x][y]=(predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1])>>Shift1,
【0401】
ii) gradientH[x][y]=Shift((predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y]),Shift0),gradientV[x][y]=Shift((predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1]),Shift1),
【0402】
iii) gradientH[x][y]=SatShift((predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y]),Shift0),gradientV[x][y]=SatShift((predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1]),Shift1),or
【0403】
iv) gradientH[x][y]=Shift(predSamples[x+1][y],Shift0)-Shift(predSample[x-1][y],Shift0),gradientV[x][y]=Shift(predSample[x][y+1],Shift0)-predSample[x][y-1],Shift1),and
【0404】
ここで、Shift(x,n)は、Shift(x,n)=(x+offset0)>>nとして定義され、Satshift(x,n)は、として定義される。
【0405】
【0406】
5. それぞれgradientHおよびgradientVとして表される水平方向勾配および垂直方向勾配を、以下の1つとして計算する、項目1に記載の方法。
【0407】
i) gradientH[x][y]=(predSamples[x][y]*2-predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y])>>Shift0,gradientV[x][y]=(predSamples[x][y]*2-predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1])>>Shift1,
【0408】
ii) gradientH[x][y]=Shift((predSamples[x][y]*2-predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y]),Shift0),gradientV[x][y]=Shift((predSamples[x][y]*2-predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1]),Shift1),or
【0409】
iii) gradientH[x][y]=SatShift((predSamples[x][y]*2-predSamples[x+1][y]-predSample[x-1][y]),Shift0),gradientV[x][y]=SatShift((predSamples[x][y]*2-predSample[x][y+1]-predSample[x][y-1]),Shift1),and
【0410】
ここで、Shift(x,n)は、Shift(x,n)=(x+offset0)>>nとして定義され、Satshift(x,n)は、以下のように定義される。
【0411】
【0412】
6. Shift0および/またはShift1がMax(2、(14-BitDepth))に設定され、BitDepthが再構成されたサンプルまたは入力サンプルのビット深度を表す、項目4または5に記載の方法。
【0413】
7. PROFおよびBDOFに使用されるShift0および/またはShift1が同じである、項目1~6のいずれかに記載の方法。
【0414】
8. 前記変換を行うことは、前記現在の映像ブロックから前記符号化表現を生成することを含む、項目1~7のいずれかに記載の方法。
【0415】
9. 前記変換を行うことは、前記符号化表現から前記現在の映像ブロックを生成することを含む、項目1~7のいずれかに記載の方法。
【0416】
10. 映像の現在の映像ブロックと前記映像の符号化表現との間での変換のために、オプティカルフロー計算を使用して、前記現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測を微調整することによって、前記現在の映像ブロックに対する最終予測ブロックを判定することと、最終予測ブロックを使用して前記変換を行うこととを含み、前記オプティカルフロー計算は、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順および/または双方向オプティカルフロー(BDOF)手順による予測微調整を含み、前記オプティカルフロー計算は、規則に従って、前記PROF手順または前記BDOF手順の少なくとも一方に適用してパディングサンプルを導出できるパディング演算をさらに含む、映像処理方法。
【0417】
11. 前記PROF手順において、1つ以上の初期予測は、アフィン動き補償予測中にサブブロックレベルで算出され、オプティカルフロー計算を使用して微調整される、項目10に記載の方法。
【0418】
12. 前記BDOF手順において、前記1つ以上の初期予測は、オプティカルフロー計算中に取得された少なくとも1つの勾配値を使用して微調整される、項目10に記載の方法。
【0419】
13. 前記規則は、前記PROF手順および前記BDOF手順に対して同じパディング演算を使用することを規定する、項目10に記載の方法。
【0420】
14. 前記規則は、前記現在の映像ブロックの参照ピクチャにおける整数位置にある整数サンプルから前記パディングサンプルを導出することを規定する、項目10に記載の方法。
【0421】
15. 整数サンプルは、整数MVに丸めたMV(Mvx,Mvy)の差を有するパディングサンプルの周囲に位置する、項目14に記載の方法。
【0422】
16. MV(Mvx,MvY)を床整数(IntX,IntY)に丸める、項目14に記載の方法。
【0423】
17. MV(Mvx,MvY)を最も近い整数MV(IntX,IntY)に丸める、項目14に記載の方法。
【0424】
18. IntX=SatShift(MvX,P)およびIntY=SatShift(MvY,P)となるように、MV(Mvx,MvY)を整数MV(IntX,IntY)に丸め、Pは、MVの精度を示し、
【0425】
【0426】
19. 前記現在の映像ブロックのカラーフォーマットおよび/または色成分に依存するMVの精度に基づいて、MVを丸める、項目15~18のいずれかに記載の方法。
【0427】
20. VPS(映像パラメータセット)、DPS(復号化パラメータセット)、SPS(シーケンスパラメータセット)、PPS(ピクチャパラメータセット)、APS(適応パラメータセット)、スライスヘッダ、タイルグループヘッダ、タイル、符号化ツリーユニット、または符号化ユニットにおいて、前記パディング演算を行う方法についての情報を信号通知する、項目10に記載の方法。
【0428】
21. 前記パディング演算を行う方法についての情報は、規則のプロファイル、レベル、または層にある、項目10に記載の方法。
【0429】
22. 前記パディング演算を行う方法についての情報は、現在の映像ブロックの寸法に依存する、項目10に記載の方法。
【0430】
23. 前記変換を行うことは、前記現在の映像ブロックから前記符号化表現を生成することを含む、項目10~22のいずれかに記載の方法。
【0431】
24. 前記変換を行うことは、前記符号化表現から前記現在の映像ブロックを生成することを含む、項目10~22のいずれかに記載の方法。
【0432】
25. 処理装置と、その処理装置に命令が記憶された非一時的メモリとを備える装置であって、命令が処理装置によって実装されることにより、処理装置に、項目10~22のいずれか1つに記載の方法を実施させる映像システムの装置。
【0433】
26. 非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータプログラム製品であって、項目10~22のいずれか1つに記載の方法を実行するためのプログラムコードを含む、コンピュータプログラム製品。
【0434】
27. 映像の現在の映像ブロックを前記映像の符号化表現に符号化するために、精度規則に従った動きの勾配に基づいて、オプティカルフロー計算を使用して、前記現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測を微調整することによって、前記現在の映像ブロックに対する最終予測ブロックを判定することと、前記最終予測ブロックを使用して、前記現在の映像ブロックを符号化表現に符号化することと、を含み、前記オプティカルフロー計算は、1つ以上の初期予測は、サブブロックレベルで算出され、前記オプティカルフロー計算を使用して微調整される、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順、および/または前記1つ以上の初期予測が、空間的および時間的勾配を使用して微調整される双方向オプティカルフロー(BDOF)手順による予測微調整を含み、前記精度規則は、前記PROF手順および前記BDOF手順の両方に対して前記勾配を表すために同じ精度を使用するように規定する、映像符号化方法。
【0435】
28. 映像の現在の映像ブロックを前記映像の符号化表現から復号化するために、精度規則に従って、動きの勾配に基づいて、オプティカルフロー計算を使用して、前記現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測を微調整することによって、前記現在の映像ブロックに対する最終予測ブロックを判定することと、前記最終予測ブロックを使用して、符号化表現から現在の映像ブロックを生成することと、を含み、前記オプティカルフロー計算は、1つ以上の初期予測は、サブブロックレベルで算出され、前記オプティカルフロー計算を使用して微調整される、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順、および/または前記1つ以上の初期予測が、空間的および時間的勾配を使用して微調整される双方向オプティカルフロー(BDOF)手順による予測微調整を含み、前記精度規則は、前記PROF手順および前記BDOF手順の両方に対して前記勾配を表現するために同じ精度を使用するように規定する、映像復号化方法。
【0436】
29. 映像の現在の映像ブロックを前記映像の符号化表現に符号化するために、オプティカルフロー計算を使用して、前記現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測を微調整することによって、前記現在の映像ブロックに対する最終予測ブロックを判定することと、前記最終予測ブロックを使用して、前記現在の映像ブロックを符号化表現に符号化することと、を含み、前記オプティカルフロー計算は、1つ以上の初期予測は、サブブロックレベルで算出され、前記オプティカルフロー計算を使用して微調整される、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順、および/または前記1つ以上の初期予測が、空間的および時間的勾配を使用して微調整される双方向オプティカルフロー(BDOF)手順による予測微調整を含み、前記オプティカルフロー計算は、規則に従って、前記PROF手順または前記BDOF手順の少なくとも一方に適用してパディングサンプルを導出できるパディング演算をさらに含む、映像符号化方法。
【0437】
30. 映像の現在の映像ブロックを前記映像の符号化表現から復号化するために、オプティカルフロー計算を使用して、前記現在の映像ブロックに対する1つ以上の初期予測を微調整することによって、前記現在の映像ブロックに対する最終予測ブロックを判定することと、前記最終予測ブロックを使用して、復号化された現在の映像ブロックを符号化表現から生成することと、を含み、前記オプティカルフロー計算は、1つ以上の初期予測は、サブブロックレベルで算出され、前記オプティカルフロー計算を使用して微調整される、オプティカルフロー付き予測微調整(PROF)手順、および/または前記1つ以上の初期予測が、空間的および時間的勾配を使用して微調整される双方向オプティカルフロー(BDOF)手順による予測微調整を含み、前記オプティカルフロー計算は、パディングサンプルを導出すべく、規則に従って、前記PROF手順または前記BDOF手順の少なくとも一方に適用可能なパディング演算をさらに含む、映像復号化方法。
【0438】
以上、説明の目的で本開示の技術の特定の実施形態を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正が可能であることは、理解されるであろう。従って、本開示の技術は、添付の特許請求の範囲による場合を除き、限定されない。
【0439】
本特許明細書に記載された主題および機能操作の実装形態は、本明細書に開示された構造およびその構造的等価物を含め、様々なシステム、デジタル電子回路、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェアで実施されてもよく、またはそれらの1つ以上の組み合わせで実施してもよい。本明細書に記載された主題の実装形態は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置によって実行されるため、又はデータ処理装置の操作を制御するために、有形で非可搬性のコンピュータ可読媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実装することができる。このコンピュータ可読媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基板、メモリデバイス、機械可読伝播信号をもたらす物質の組成物、又はこれらの1つ以上の組み合わせであってもよい。「データ処理ユニット」又は「データ処理装置」という用語は、例えば、プログラマブル処理装置、コンピュータ、又は複数の処理装置若しくはコンピュータを含め、データを処理するためのすべての装置、デバイス、および機械を含む。この装置は、ハードウェアの他に、当該コンピュータプログラムの実行環境を作るコード、例えば、処理装置ファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはこれらの1つ以上の組み合わせを構成するコードを含むことができる。
【0440】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとも呼ばれる)は、コンパイルされた言語または解釈された言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、また、それは、スタンドアロンプログラムとして、またはコンピューティング環境で使用するのに適したモジュール、成分、サブルーチン、または他のユニットとして含む任意の形式で展開することができる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステムにおけるファイルに対応するとは限らない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部(例えば、マークアップ言語文書に格納された1つ以上のスクリプト)に記録されていてもよいし、当該プログラム専用の単一のファイルに記憶されていてもよいし、複数の調整ファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を格納するファイル)に記憶されていてもよい。1つのコンピュータプログラムを、1つのサイトに位置する1つのコンピュータ、または複数のサイトに分散され通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータで実行させるように展開することも可能である。
【0441】
本明細書に記載された処理およびロジックフローは、入力データ上で動作し、出力を生成することによって機能を実行するための1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブル処理装置によって行うことができる。処理およびロジックフローはまた、特定用途のロジック回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって行うことができ、装置はまた、特別目的のロジック回路として実装することができる。
【0442】
コンピュータプログラムの実行に適した処理装置は、例えば、汎用および専用マイクロ処理装置の両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上の処理装置を含む。一般的に、処理装置は、読み出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの本質的な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つ以上の記憶装置とである。一般的に、コンピュータは、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶デバイス、例えば、磁気、光磁気ディスク、または光ディスクを含んでもよく、またはこれらの大容量記憶デバイスからデータを受信するか、またはこれらにデータを転送するように動作可能に結合されてもよい。しかしながら、コンピュータは、このようなデバイスを有する必要はない。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、あらゆる形式の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含み、例えば、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリデバイス等の半導体メモリデバイスを含む。処理装置およびメモリは、特定用途のロジック回路によって補完されてもよく、または特定用途のロジック回路に組み込まれてもよい。
【0443】
本明細書は、図面とともに、例示のみを目的とするものであり、例示的とは例を意味することが意図される。本明細書において、「または」の使用は、文脈からそうでないことが明確に示されていない限り、「および/または」を含むことが意図される。
【0444】
本特許明細書は多くの詳細を含むが、これらは、任意の発明の範囲又は特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、むしろ、特定の発明の特定の実施形態に特有であり得る特徴の説明と解釈されるべきである。本特許文献において別個の実施形態の文脈で説明されている特定の特徴は、1つの例において組み合わせて実装してもよい。逆に、1つの例のコンテキストで説明された様々な特徴は、複数の実施形態において別個にまたは任意の適切なサブコンビネーションで実装してもよい。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上記に記載され、最初にそのように主張されていてもよいが、主張された組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから抜粋されることができ、主張された組み合わせは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションのバリエーションに向けられてもよい。
【0445】
同様に、動作は図面において特定の順番で示されているが、これは、所望の結果を達成するために、このような動作が示された特定の順番でまたは連続した順番で行われること、または示された全ての動作が行われることを必要とするものと理解されるべきではない。また、本特許明細書に記載されている例における様々なシステムの構成要素の分離は、全ての実施形態においてこのような分離を必要とするものと理解されるべきではない。
【0446】
いくつかの実装形態および例のみが記載されており、この特許文献に記載され図示されているコンテンツに基づいて、他の実施形態、拡張および変形が可能である。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像の処理方法であって、
現在の映像ブロックのコーディングモードがアフィンモードであると判定するステップと、
オプティカルフロー付き予測微調整手順を適用するための条件を規定する規則によって、前記現在の映像ブロックについて、前記アフィンモードによる前記オプティカルフロー付き予測微調整手順の適用可能性を決定するステップと、
前記決定に基づいて、前記現在の映像ブロックと前記映像のビットストリームとの間の変換を実行するステップと、を有し、
前記現在の映像ブロックに対する1つまたは複数の初期予測は、前記オプティカルフロー付き予測微調整手順の間に、サブブロックレベルで計算されて、オプティカルフロー計算を用いて改良される、
方法。
【請求項2】
前記規則は、前記オプティカルフロー付き予測微調整手順の適用可能性が、前記現在の映像ブロックの制御点における動きベクトルに対応し、前記現在の映像ブロックに対して導出された制御点動きベクトルに基づくことを規定する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オプティカルフロー付き予測微調整手順の前記適用可能性モードは、前記現在の映像ブロックの幅(W)および/または高さ(H)に基づいて決定される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記規則は、アフィンパラメータ、および/または、前記現在の映像ブロックに対するアフィン動き補償予測に用いられるアフィンパラメータの数に基づいて、前記オプティカルフロー付き予測微調整手順の適用モードを規定する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
デルタ動きベクトルは、前記現在の映像ブロックに対する動きベクトルを計算するために用いられ、前記規則は、i)デルタ動きベクトルの絶対値の最大値、ii)前記デルタ動きベクトルの絶対値の最小値、iii)すべてのデルタ動きベクトル、iv)前記デルタ動きベクトルの少なくとも1つのうちの1つと、閾値との比較に基づいて、前記適用可能性モードを指定する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記規則は、対応するデルタ動きベクトルの絶対値と閾値との比較に基づいて、前記オプティカルフロー付き予測微調整手順をサンプルの位置に適用されることを規定する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記規則は、参照ピクチャ構造、前記現在の映像ブロックを含むスライスまたはピクチャのタイプ、または時間層の少なくとも1つに基づいて、前記条件を規定する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記オプティカルフロー付き予測微調整手順が、映像の映像ブロックに対して有効によって、前記現在の映像ブロックを前記ビットストリームにコーディングするコーディングモードが許可されないことを決定するステップ、をさらに含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記コーディングモードは、前記現在の映像ブロックのリスト0の予測およびリスト1の予測に異なる重みが適用される一般化双予測モードである、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記変換の実行は、前記ビットストリームから前記現在の映像ブロックを復号することを含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記変換の実行は、前記現在の映像ブロックを前記ビットストリームに符号化することを含む、
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
プロセッサと、命令が記憶された非一時的なメモリとを備え、映像データを処理する装置であって、
前記プロセッサによる実行時に、前記命令が、前記プロセッサに、
現在の映像ブロックのコーディングモードがアフィンモードであると判定するステップと、
オプティカルフロー付き予測微調整手順を適用するための条件を規定する規則によって、前記現在の映像ブロックについて、前記アフィンモードによる前記オプティカルフロー付き予測微調整手順の適用可能性を決定するステップと、
前記決定に基づいて、前記現在の映像ブロックと前記映像のビットストリームとの間の変換を実行するステップと、を実行させ、
前記現在の映像ブロックに対する1つまたは複数の初期予測は、前記オプティカルフロー付き予測微調整手順の間に、サブブロックレベルで計算されて、オプティカルフロー計算を用いて改良される、
装置。
【請求項13】
プロセッサに以下を実行させる命令を記憶した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
現在の映像ブロックのコーディングモードがアフィンモードであると判定するステップと、
オプティカルフロー付き予測微調整手順を適用するための条件を規定する規則によって、前記現在の映像ブロックについて、前記アフィンモードによる前記オプティカルフロー付き予測微調整手順の適用可能性を決定するステップと、
前記決定に基づいて、前記現在の映像ブロックと前記映像のビットストリームとの間の変換を実行するステップと、を実行させ、
前記現在の映像ブロックに対する1つまたは複数の初期予測は、前記オプティカルフロー付き予測微調整手順の間に、サブブロックレベルで計算されて、オプティカルフロー計算を用いて改良される、
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
映像処理装置によって実行される方法によって生成される映像のビットストリームを記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記方法は、
現在の映像ブロックの符号化モードがアフィンモードであると判定するステップと、
オプティカルフロー付き予測微調整手順を適用するための条件を規定する規則によって、前記現在の映像ブロックについて、前記アフィンモードによる前記オプティカルフロー付き予測微調整手順の適用可能性を決定するステップと、
前記決定に基づいて、前記ビットストリームを生成するステップと、を含み、
前記現在の映像ブロックに対する1つまたは複数の初期予測は、前記オプティカルフロー付き予測微調整手順の間に、サブブロックレベルで計算されて、オプティカルフロー計算を用いて改良される、
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年4月20日出願の国際特許出願第PCT/CN2020/085662号の国内段階である日本特許出願第2021-560232号の分割出願であり、2019年4月19日出願の国際特許出願PCT/CN2019/083434号、および、2019年6月25日出願の国際特許出願PCT/CN2019/092762号の優先権および利益を適時に主張することを目的とする。上記出願の開示全体は、本明細書の開示の一部として参照により援用される。
【外国語明細書】