(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145587
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】工作物の生産と測定
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20231003BHJP
B23Q 17/20 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B23Q17/20 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023120080
(22)【出願日】2023-07-24
(62)【分割の表示】P 2020534369の分割
【原出願日】2018-12-12
(31)【優先権主張番号】1721309.1
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケビン バリー ジョナス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】連続する工作機械での全体的な効率を低下させない方法を提供する。
【解決手段】工作物を製造する方法が開示され、そこでは、工作物が2つ以上の工作機械(10、12、14、16)に連続的に装填され、および各工作機械で、1つまたは複数の機械加工操作が実行され、工作物の1つまたは複数の特徴を製造する。両方またはすべての工作機械での機械加工作業の後、工作物は共通の寸法検査ステーション(20、22、24)に渡される。共通の寸法検査ステーションにおいて、2つ以上の工作機械での機械加工操作によって製造された工作物の特徴の寸法が測定される。特徴の寸法を測定した結果に基づいて、機械加工操作を実行した2つ以上の工作機械の性能にそれぞれ関連する2つ以上の出力信号が生成される。各出力信号は、それぞれの操作を実行した工作機械にフィードバックされ、各対応する工作機械の製造プロセスを調整する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物の製造方法であって、
前記工作物を2つ以上の工作機械に連続してロードし、前記2つ以上の工作機械が制御され、2つ以上の異なるそれぞれの機械加工操作を実行して、2つ以上の異なるそれぞれの生産プロセスに基づいて、前記工作物を順番に処理し、前記工作物の2つ以上の異なるそれぞれの特徴を生成するステップと、
前記2つ以上の工作機械で前記機械加工操作を行い、前記工作物の2つ以上の異なるそれぞれの特徴を生成した後、前記工作物を共通の寸法検査ステーションに渡すステップと、
前記共通の寸法検査ステーションで、前記2つ以上の工作機械での前記機械加工操作によって生成された前記工作物の前記2つ以上の特徴の寸法を測定するステップと、
前記2つ以上の特徴の寸法を測定した結果を分析し、前記分析に基づき、前記機械加工操作を実行した前記2つ以上の工作機械の性能にそれぞれ関連する2つ以上の出力信号を生成するステップと、
前記それぞれの操作を実行した前記工作機械に各前記出力信号をフィードバックし、各対応する工作機械の前記製造プロセスを調整するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記出力信号のうちの第2の出力信号を前記対応する工作機械にフィードバックする前に、前記出力信号のうちの第1の出力信号に依存して前記第2の出力信号を計算することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の出力信号は、前記工作物のデータム特徴を測定した結果であり、および前記第2の出力信号がフィードバックされる前記工作機械は、そのデータム特徴に関連して動作を実行する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記工作物は、複数の名目上類似した工作物の1つであり、そのそれぞれにおいて、前記2つ以上のそれぞれの工作機械を使用して前記機械加工操作が連続的に実行され、および、そのそれぞれが、共通の検査ステーションで測定され、前記方法は、
前記工作物の対応する特徴の測定結果を分析することと、
前記分析に基づいて、前記2つ以上の工作機械の性能にそれぞれ関連し、およびそれらにフィードバックされる前記出力信号を生成することと
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
寸法検査ステーションが2つ以上あり、および各工作物は前記検査ステーションの1つで測定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記結果の前記分析は、連続する工作物の寸法の測定値の増減の傾向を検出することを含む、請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工作機械にフィードバックされる出力信号が前記工作機械の工具のツールオフセット値を更新する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
更新される前記ツールオフセット値が、前記それぞれの動作を実行した前記工作機械の切削ツールに対応するように事前にプログラムされている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工作機械にフィードバックされる出力信号が、特徴が機械加工される位置および/または工作物座標系を更新する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
製造システムであって、2つ以上の工作機械、少なくとも1つの寸法検査ステーション、ならびにサーバーおよび/または一つまたは複数のコントローラを備え、前記サーバーおよび/または前記一つまたは複数のコントローラは、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実行するように前記工作機械および検査ステーションを制御するように構成された、製造システム。
【請求項11】
請求項10に記載の製造システムのサーバーおよび/または一つまたは複数のコントローラ上で実行されると、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を前記製造システムに実行させる、ソフトウェアプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作物または部品の製造および測定、ならびにそのような製造および測定のための方法および製造システムに関する。「工作物」および「部品」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【背景技術】
【0002】
従来技術の説明
自動化された工場製造システムは、工作物を製造するための1つまたは複数の製造機械(工作機械など)を備え得る。典型的に、これらは一連の名目上同一の工作物として製造され得る。製造システムはまた、生産される工作物を検査するための1つまたは複数の検査ステーションを備え得る。検査ステーションは、フィクスチャーゲージなどの従来のゲージング、または高さゲージやキャリパーなどの手動ゲージでさえ備え得る。または、それは工作物を測定するための座標測定機(CMM)、またはそれらとマスターリファレンスを比較するための比較ゲージングマシンを備え得る。これらの生産および検査機械はそれぞれ、数値制御またはコンピュータ制御を有し得、ネットワークによって1つまたは複数のサーバーコンピュータにリンクされている。例は、米国特許第5,189,624号(Barlow他)に見られる。
【0003】
製造機械で製造された工作物のある割合(または生産されたすべての工作物でさえ)は、検査ステーションで検査され得る。サーバーは、検査ステーションに移送される工作物をスケジュールし得、およびこの目的のために移送ロボットまたはコンベアを制御し得る。
【0004】
いくつかの従来技術の例では、検査結果は単に合格または不合格の決定であり得る。不合格判定(拒絶)の場合、これをフィードバックして製造機械を調整することができるため、その後の生産プロセスを制御および改善することが可能である。そのような製造プロセスの制御は、米国特許第5,189,624号の例では手動で実施される。代替的には、合格判定の場合でさえ、単一の工作物の寸法が制御限界を超えた場合、生産機械を調整するために自動フィードバックが提供され得、たとえば、寸法のエラーの適切な割合にだけ切削ツールオフセットを更新する。この場合、制御限界は、工作物が拒絶されるであろう許容限界よりも低いレベルに設定され得る。代替的には、制御限界は、ワークピースが拒絶されるレベルに設定されることができる。
【0005】
一連の名目上同じ工作物内の複数の工作物の検査結果の、より洗練された分析を実行することが知られている。たとえば、外れ値を削除するため、連続する工作物の特定の寸法の一連の測定値はフィルターされ得る。代替的には、傾向を検出するために一連の測定値は分析され得る。たとえば、生産機械が、使用中に摩耗する、または温度ドリフトの影響を受ける切削ツールを備えた工作機械である場合、製造された工作物の特徴の寸法が時間の経過とともに増加または減少するという緩やかな傾向があり得る。このような分析は、生産機械とは別に、品質管理室または実験室で工作物を検査した後に実施され得る。生産プロセスの手動修正は、熟練した機械オペレーターにより後で適用され得るが、その間に生産された工作物には有益な効果はないであろう。
【0006】
米国特許出願公開第2003/0040830号(Parikh他/Applied Materials)は、多段階半導体処理システムを示している。工作物の個々の特徴は、独立して動作するプロセスツールによって連続的に処理され、各プロセスツールは、関係する特徴に異なるタイプの製造操作を実施する。各製造プロセスの間、またはすべての製造操作の後、工作物は取り外されて計測ステーションに配置され、そこで測定され、工作物の特徴が特定のパラメータ内にあるかどうかを識別する。計測データ分析機器は、収集したデータを使用して、制御信号をフィードフォワードまたはフィードバックし、処理ツールを調整することができる。
【0007】
米国特許出願公開第2003/0040830号(Cameron/ Rolls-Royce)は、工作物に対して操作を実行することができる複数の処理ツールを備えた機械加工セルを示している。セルはまた、操作が実行された後に工作物を測定するための測定機器を含む。
【0008】
米国特許第6571145(Matsumiya他 / Mitutoyo)は、複数の工作機械を備えた製造システムを示している。工作機械は、工作物の同一の部品を処理する。測定装置は、各工作機械によって製造された工作物を測定し、工作物の複数の寸法の補正値を含む、関係する工作機械の補正データファイルを生成する。工作機械を調整するために補正データファイルはフィードバックされる。
【0009】
本出願人の未公開の英国特許出願番号GB1708730.5は、複数の工作機械と複数の検査ステーションを備えた製造システムについて説明する。工作機械の1つによって製造された工作物は、任意の検査ステーションによって測定され得、および、関係する工作機械を調整するためにその結果はフィードバックされる。
【0010】
複数の工作機械が個々の工作物に対して連続して機械加工操作を実行するように製造システムを配置し、工作機械間の作業量のバランスを取るように、および同じ設定の単一の工作機械で簡単に加工できない異なる工作物の特徴を加工するようにすることは効率的であることができる。しかし、連続する工作機械での各加工操作後に個別の異なる特徴を測定することは、全体的な効率を低下させる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、工作物を製造する方法を提供し、方法は、
工作物を2つ以上の工作機械に連続的にロードし、および1つまたは複数の機械加工操作を実行して、各工作機械で工作物の1つまたは複数の特徴を製造するステップと、
両方またはすべての工作機械で機械加工操作を行った後、工作物を共通の寸法検査ステーションに渡すステップと、
共通の寸法検査ステーションで、2つ以上の工作機械での機械加工操作によって製造された工作物の特徴の寸法を測定するステップと、
特徴の寸法を測定した結果に基づいて、機械加工操作を実行した2つ以上の工作機械の性能にそれぞれ関連する2つ以上の出力信号を生成するステップと、および
各出力信号をそれぞれの操作を実行した工作機械にフィードバックし、各対応する工作機械の製造プロセスを調整するステップと
を含む。
【0012】
少なくとも本発明の好ましい実施形態では、両方またはすべての工作機械での機械加工作業後に共通の寸法検査ステーションで特徴を測定することは、製造システムの全体的な費用効果および効率を改善することができる。最終部品がその設計仕様(品質保証)の範囲内で製造されていることを証明することに加えて、共通の検査ステーションは、関係する工作機械にそれぞれ関連する出力信号をフィードバックすることによって品質管理を改善し得る。これにより、工作機械間の中間検査ステーションなしで、またはより少ない中間検査ステーションで、機械加工プロセスに適切な修正を行うことができる。
【0013】
好適には、工作物は、複数の名目上類似した工作物の1つであり、そのそれぞれにおいて、2つ以上のそれぞれの工作機械を使用して機械加工作業が連続的に実行され、および、それぞれが共通の検査ステーションで測定される。この方法は、工作物の対応する特徴の測定結果を分析すること、並びに、分析に基づいて、2つ以上の工作機械の性能にそれぞれ関連し、およびそれらにフィードバックされる前記出力信号を生成することを含み得る。結果の分析は、連続する工作物の測定値の傾向を検出することを含み得る。
【0014】
工作機械にフィードバックされる出力信号は、ツールオフセット値および/または特徴が機械加工される位置および/または工作物座標系を更新し得る。これは将来の工作物の製造を修正し得る。
【0015】
1つの好ましい実施形態では、方法は、対応する工作機械に第2の出力信号をフィードバックする前に、第1の出力信号の一つに依存する第2の出力信号の一つを計算することを含む。第1の出力信号は、工作物のデータム特徴を測定することから生じ得、および第2の出力信号がフィードバックされる工作機械は、そのデータム特徴に関連する操作を実行し得る。
【0016】
本出願の文脈における工作機械は、一種の製造機械であると理解されるべきであり、したがって、本明細書における複数の工作機械への言及は、単一の生産機械内で使用され得る複数のツール(たとえば、異なるタイプの切削ツール)への言及よりもむしろ、複数の生産機械(それぞれが工作機械である)への言及である。
【0017】
本発明はまた、2つ以上の工作機械、少なくとも1つの寸法検査ステーション、およびサーバーおよび/または一つまたは複数のコントローラを備える製造システムを提供し、サーバーおよび/または一つまたは複数のコントローラは工作機械および検査ステーションを制御するように構成され、上記の方法のいずれかを実行する。
【0018】
本発明はさらに、そのような製造システムのサーバーおよび/または1つまたは複数のコントローラ上で実行されると、製造システムに上記の方法のいずれかを実行させるソフトウェアプログラムまたはプログラムを提供する。コンピュータコードを備えたソフトウェアプログラムは、ディスクまたはメモリデバイスなどの非一時的な機械可読媒体に記録され得、またはダウンロードのためにリモートサーバーに格納され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して、例として説明する。
【
図1】
図1は製造機械および検査機械を含む、工場内の製造システム配置の概略図である。
【
図2】
図2は本発明の好ましい実施形態による方法のワークフロー図である。
【
図3】
図3は本方法を使用して製造することができる工作物の例を示す図である。
【
図4】
図4は
図3の工作物の製造におけるツールオフセットの更新の概略図である。
【
図5】
図5は本方法を使用して製造することができる別の工作物の例を示す図である。
【
図6】
図6は本発明の好ましい実施形態で実行され得る可能なプロセス制御分析を示すグラフである。
【
図7】
図7は本発明の好ましい実施形態で実行され得る可能なプロセス制御分析を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好ましい実施形態の説明
図1の製造配置は、それぞれが部品(工作物)を製造するためのコンピュータ数値制御(CNC)製造機械10、12、14、16を備えたいくつかの製造ステーションを含む。製造機械は任意の製造技術を使用し得る。それらは、フライス盤、旋盤、ミルターニングセンター、研削、穴あけ、レーザー切断、ラッピング、ホーニング、研磨などの工作機械であり得、または、それらはコーティング機、鍛造機、プレス、または積層造形機(3D印刷)であり得る。これらのマシンの正確な数は重要ではなく、それらは2つ以上であり得る。異なるタイプの生産機械の任意の組み合わせが存在し得、またはそれらはすべて同一であり得る。
【0021】
各生産機械は、従来のCNC制御を備え得るそれぞれのコントローラ11、13、15、17によって制御される。任意選択で、任意のまたはすべてコントローラは、CNC制御と通信する別のコンピュータを含み得る。
【0022】
製造配置はまた、それぞれが製造機械によって製造された部品(工作物)を検査するための検査機械、好ましくはCNCゲージングマシン20、22、24を備えた1つまたは複数の検査ステーションを含む。適切な柔軟な比較ゲージングマシンは、本出願人のRenishaw plcから商標EQUATORで販売されている。私たちの以前の国際特許出願No.WO 2013/021157で説明されるように、これは参照により本明細書に組み込まれ、このゲージングマシンは、非デカルト幾何学を備えた電動構造を有する。これは、製造工作物をマスターリファレンス工作物と比較するために、製造工作物に対してプローブを3次元で移動する。各ゲージングマシンは、それぞれのコンピュータまたはコントローラ21、23、25によって制御され、これはまた機械から測定値を取得する。任意選択で、このコンピュータまたはコントローラはまた、測定結果の処理を引き受け得、たとえば、工作物の寸法が許容範囲内かどうかを決定する。
【0023】
これらのゲージングマシンの代わりに、検査ステーションは、コンピュータ制御座標測定機(CMMs)、または検査ロボットなどの他の寸法測定機器を備えることができる。代替的には、それらはゲージングフィクスチャーまたは治具を備え得、その中で、LVDTまたは他のトランスデューサーを備えたゲージは、工作物の特定の寸法を測定するためにカスタム設計される。これらのゲージの測定結果は、自動または手動でそれぞれのコンピュータまたはコントローラ21、23、25に供給され得る。高さゲージやキャリパーなどの、従来の手持ちゲージを使用して工作物を手動で測定する検査ステーションを有することも可能である。コンピュータ動作制御が必要とされない場合、コンピュータまたはコントローラ21、23、25は、共通のサーバー28(以下で論じられる)の1つまたは複数の端末に置き換えられ得る。次いで、測定結果は1つまたは複数の端末を介して手動でサーバーに供給される。
【0024】
製造配置はさらに、工作機械10、12、14、16のいずれかからゲージングマシン20、22、24のいずれかに部品(工作物)を移送するための搬送システム26を含む。ここで、それらは指定された寸法の許容範囲への適合を検査されることができる。搬送システムは、コンピュータ制御されたロボット、車両、またはコンベヤを備えることができ、または単に工作物または工作物のパレットを手動で搬送することに関与することができる。それは、工作機械に機械加工のための生のビレットまたは鋳物も供給し、および/または製造後または検査後に工作物を取り除く、より大きな搬送システムの一部であり得る。必要に応じて、検査後に再加工のために工作物を工作機械に戻し得る。
【0025】
またサーバー28が提供される。このサーバー28のプログラムまたはソフトウェアモジュールは、工作物の製造をスケジュールする責任があり、および1つまたは複数のデータバス30によって工作機械およびゲージングマシンのCNCコントローラに接続されている。サーバー28はまた、例えば、要求されたとき、工作機械と測定機との間で工作物を搬送するために、搬送システム26を制御する。例えば、サーバー28は、複数の工作機械を備えた製造セルを制御するために従来使用されるように、しかし、以下に説明するように異なるプログラミングを用いて、プログラム可能な論理コントローラの形をとり得る。
【0026】
サーバー28は、必要に応じて、製造される部品(工作物)の特定の各設計を機械加工および検査するために必要なCNC部品プログラムを工作機械およびゲージングマシンに提供し得る。代替的に、これらの部品プログラムは、工作機械およびゲージングマシンのコントローラに格納され得、およびサーバー28から受信した命令に基づいて使用するために選択され得る。
【0027】
典型的に、サーバー28は、特定の設計の一連の名目上同一の部品(工作物)が工作機械10、12、14、16で生産されることになるようにスケジュールし得る。次いで、これらの工作物のそれぞれをゲージングマシンの1つ(例:ゲージングマシン20)に移送するように命令し得、および、その機械での検査をスケジュールし得る。または、工作物の定期的なサンプルを検査するようにスケジュールすることができる(例:10個おきに工作物を検査する、または1時間に1つの工作物など、一定の時間が経過した後に工作物を検査する)。
【0028】
検査ステーション20、22、24での各工作物の検査は、バス30上のサーバー28に戻されて記録される複数の寸法測定値を生成する。測定値が検査ステーションのコンピュータまたはコントローラ21、23、25によって処理される場合、例えば、工作物の寸法が許容範囲内であるかどうかを決定するために、次いで、その結果もサーバー28に戻される。サーバー28によって、または検査ステーションのコンピュータまたはコントローラ21、23、25のどちらかによって、工作物が許容範囲外であると決定された場合、サーバーは適切に、拒絶または再加工するようにそれをスケジュールし得る。代替的に、コンピュータ/コントローラ21、23、25は、それを「合格」または「不合格」のビンまたはパレットに送るように搬送システム26に直接命令し得る。
【0029】
未公開の同時係属中の英国特許出願No.GB 1708730.5で説明されるように、サーバー28のさまざまな機能を2つ以上のサーバー間で共有され得る。1つまたは複数のサーバーは、その出願で説明されているように、他のプロセス制御および品質管理機能も実行し得る。より単純なシステムでは、生産スケジュール、さまざまな機械の使用、および機械間の工作物の搬送はすべて、代わりに、すべて人間のオペレーターが決定して実行し得る。
【0030】
図2は、本発明の好ましい方法におけるワークフローを示し、それぞれが例えば
図3に示されるような特徴を有し得る一連の名目上同一の工作物90を生成する。
【0031】
この例では、第1の工作機械10は、ショルダー92の形で、加工物の第1の特徴を機械加工する。工作機械10は、工作物の設計文書に従って、工作物の背面の第1のデータム平面96に関連して距離d1でショルダー92を位置決めするようにプログラムされ得る。設計文書は、コンピュータ支援設計(CAD)システムからの図面または設計ファイルであり得る。データム平面96は、機械加工前の工作物の元の表面によって、またはフィクスチャーの取り付けられる当接表面によって定義され得る。
【0032】
次に、搬送システム26は、工作物を第2の工作機械12に渡し、第2の工作機械12は、2つの穴98などの工作物のさらなる特徴を機械加工するようにプログラムされている。設計文書は、これらの穴の中心線が、ショルダー92によって定義される第2のデータム平面100から距離d2だけ離間されるべきであることを指定し得る。
【0033】
図3は、工作物設計文書に従ってプログラムされた連続する工作機械14、16によってそれぞれ機械加工され得るさらなる特徴の例を示す。工作機械14は、穴98とは異なるサイズであり得る穴102をさらに機械加工し得る。設計文書は、それらが穴98から距離d3だけ離間されることを特定し得る。工作機械16は、工作物の下側の離間されたフランジ106などのさらなる特徴を機械加工し得る。
【0034】
これらのいくつかの特徴は互いに同じ工作機械で加工することができるが、工場で使用可能なすべての機械の間で作業負荷のバランスをとるために、別々の工作機械でそれらを機械加工することが有利であることができる。例えば、穴98および102の異なるサイズは異なるカッターを必要とするので、それらを別々の機械で機械加工することがより効率的であり得る。また、工作物の設定を変更せずに下側にフランジ106を製造することは不可能であり得、これは、工作物を別の機械に搬送することによって最も効率的に達成され得る。
【0035】
すべての機械加工プロセスが完了した後、次いで搬送システム26は、サーバー28に命令されたように、完成した一部またはすべての工作物を検査のために共通のゲージングマシン20に渡す。サーバーは、すべての工作物を検査するか、または、単にそれらのサンプル(たとえば、工作物の10個に1個)を検査するようにスケジュールし得る。サンプリング頻度は、事前にプログラムされ得、または、プログラムされたアルゴリズムに従ってサーバーによって決定され得る。たとえば、サンプリング頻度は、検査結果に有意な差異が見つかった場合は増加され得、または有意な差異がない場合は逆に減少され得る。
【0036】
ゲージングマシン20は、穴98、102の一部またはすべての直径、およびフランジ106の幅および間隔などの、設計文書によって指定された他の寸法と共に各寸法d1、d2、d3を測定するようにプログラムされている。工場での機械の使用の効率的なスケジューリングの必要性に応じて、他の測定機22、24の1つは、代わりに、すべての機械加工プロセスの後に工作物が渡される共通の測定機であり得る。すなわち、1つのゲージングマシン20が所与の工作物90のすべての所望の特徴を共通に測定するが、一連の他の工作物90を他のゲージングマシン22または24で測定され得る。
【0037】
測定されたすべての寸法はサーバー28に渡される。前述のように、コンピュータまたはコントローラ21でまだ行われていない場合、サーバーは測定された寸法を設計文書の設計値と比較する。コンピュータ/コントローラ21による合格/不合格/再加工決定の代替として、サーバー28は、1つまたは複数の測定された寸法または座標位置(穴98、102のうちの1つの直径または特徴が加工された位置など)が、設計文書で指定された所定の許容範囲を超えて設計値と異なる場合、決定し得る。その場合、それはその工作物を再加工または拒絶(廃棄)のためにスケジュールする。
【0038】
設計値との差がある場合、その後の工作物の機械加工プロセスを調整するために、サーバー28はまた、オフセット値を計算し、およびそれを関係する測定された特徴を製造した工作機械のコントローラにフィードバックする。これは工作機械のコントローラのツールオフセットテーブルを更新し得、または工作物座標系を修正し得る。これは一連のその後の工作物が許容範囲内で製造されることを確実にする。サーバーはまた、例えば、測定された寸法を設計文書の管理限界セットと比較することにより、測定された寸法が設計値を超えることなく単に設計値に近づいているかどうかを決定し得る。この場合、拒絶または再加工は要求されないが、サーバーは同様にオフセット値を計算し、および関係する特徴を製造した工作機械のコントローラにそれをフィードバックする。再び、その後の工作物が許容範囲内で生産され続けることを確実にするようにするために、これは機械加工プロセスを調整する。
【0039】
すなわち、例えばデータム平面96(寸法d1)に対するショルダー92の位置の測定の場合、
図4に示すように、必要に応じて、サーバーはオフセット値をフィードバックして、その後の工作物のために工作機械10内の関連する切削ツールT1の位置を更新する。
図4の(a)に示すように、寸法d1の正しい設計値が10mmであるが、(b)に示すように、ゲージングマシン20で測定値が10.1mmである場合、切削ツールT1の直径のカッターオフセットは0.1mmづつ増加され得る。代替的には、データム平面96が工作物座標系の原点を定義する場合、その座標系におけるツールT1の位置オフセットは0.1mmづつ減少されるか、あるいは工作物座標系自体の原点は修正され得る。
【0040】
データム平面100に対する穴98の中心線の位置の測定の場合(寸法d2)、必要に応じてサーバーはオフセット値をフィードバックし、工作機械12内の関連する切削ツールT2の位置を更新する。しかし、この場合、サーバーは、ショルダー92の位置を修正するために機械10に既にフィードバックされている任意のオフセットを考慮に入れる。その後の工作物が加工されるとき、同じオフセットが穴98の位置にも影響するであろう。
【0041】
図4は、寸法d2の設計値が15mmの場合を示している。
図4(b)では、d2の測定値はそれが小さすぎること、たとえば15mmではなく14.9mmであることを示している。しかし、工作機械10におけるツールT1のオフセットが0.1mmづつ修正された後、データム平面96または工作物座標系に対して、工作機械12におけるツールT2のオフセットのさらなる調整は要求されない。ツールT1のオフセットの更新はその後の工作物の寸法d2の測定値を自動的に修正する。
【0042】
(c)に示すように、d2の測定値が15mmで明らかに正しいことを示している場合、ツールT1のオフセットの更新は、その後の工作物でそれを不正確にする。したがって、穴98の中心線の位置も調整されるべきである。これは、ツールT1の更新とは逆の意味で、データム平面96または工作物座標系に対してツールT2の位置オフセットを0.1mmづつ更新することによって行うことができる。
【0043】
(d)に示すように、d2の測定値が大きすぎる、たとえば15.1mmである場合、データム平面96または工作物座標系に対して追加の調整が必要である。これは、ツールT1にフィードバックされるオフセットを考慮し、オーバーサイズを修正するためである。工作機械12におけるツールT2のオフセットは、それに応じて更新される。
【0044】
同様に、寸法d3(穴98の中心線に対する穴102の中心線の位置)は、以前の寸法d1およびd2の両方を考慮に入れる。工作機械14に関連するオフセットは、それに応じて更新される。
【0045】
サーバー28はまた、穴98、102の直径ならびにフランジ106の幅および間隔を修正するために、関連する工作機械12、14、16のコントローラにツールオフセット値をフィードバックし得る。
【0046】
図3に示す工作物は、工作機械10~16としてマシニングセンターまたはフライス盤を使用した製造に適している。
図5は、代替的な工作物を示しており、そのいくつかまたはすべての特徴は、工作機械10~16として縦旋盤(turning machine)または旋盤(lathe)を使用して機械加工され得る。
【0047】
図5の工作物は、縦旋盤または旋盤の中心線108に垂直な端面110、内面112、ならびに外側および内側の回転面118、120を有する。環状溝116(例えば、Oリングを受け入れるため)が、内側回転面120に提供される。平底スロット114が、外側の回転面118の周囲の一部に機械加工される。
【0048】
図2のように、これらの様々な特徴は、工作機械間の作業量のバランスをとるために、異なる工作機械10~16で機械加工され得る。特に、平底スロット114は、縦旋盤または旋盤ではなく、フライス盤で最も便利に機械加工される。
【0049】
すべての機械加工プロセスの後、ゲージングマシン20で寸法d4~d10が測定され、およびオフセットがフィードバックされて、対応する工作機械の適切なツールオフセットが更新される。これは
図3および4に関して説明したのと同じ方法で、その後の工作物の機械加工を修正する。
【0050】
端面110は、例えば、データム面と見なされ得、および内面112を機械加工するツールのオフセットは、測定された寸法d8に基づいて更新され得る。
【0051】
次に、環状溝116の側面を機械加工するツールのオフセットは、
図4で説明したのと同じ方法で、寸法d8に基づく任意の更新を考慮しながら、測定された寸法d9およびd10に基づいて更新される。同様に、スロット114の一方の側を機械加工したツールのオフセットは、スロットの他方の側の位置(寸法d11)に基づく任意の更新を考慮しながら更新される。
【0052】
寸法d4およびd5は、中心線108に対する内側および外側の回転面120、118の位置に関連する。溝116およびスロット114の底面を製造するツールのオフセットは、寸法d4およびd5に基づく更新を考慮しながら、寸法d6、d7に基づいて更新される。
【0053】
上記の例のいずれにおいて、関連する特徴をどの工作機械が機械加工したかに応じて、それぞれのオフセット値がどの工作機械10~16にフィードバックされるかを構成するようにサーバー28が事前にプログラムされている。また、オフセット値を計算するときに使用する測定された寸法および特徴の測定値、ならびに関連する工作機械でどのオフセットを更新する必要があるかについて、測定された寸法およびその機械で使用されている切削ツールに依存して事前にプログラムされている。これは、異なる工作機械での機械加工操作後に測定が同時に実行されるために可能になる。これは、内面120とは異なる工作機械だけでなく、異なるタイプの工作機械で製造されるスロット114の場合にも当てはまる。
【0054】
図3の工作物を製造するとき、例えば、位置決めオフセットは測定された寸法d2に関連する機械12、および穴98の一つの測定された直径に関連する切削ツールオフセットにフィードバックされ得る。例えば、削りくずまたはツールの破損による重大なエラーがない限り、他の穴98の直径に対して切削ツールのオフセットをフィードバックする必要はないであろう。両方の穴が同じ切削ツールで加工されている場合、通常、任意の必要な修正はすべて同じであると想定することができる。実際、他の穴98を測定する必要さえないかもしれない。
【0055】
代替的には、サーバ―28を事前にプログラムするのではなく、プログラムが工作機械のオペレータからの入力を受け入れて、どのオフセットを更新するかを指定することが可能である。例えば、オペレーターが工作機械の特定の機械加工操作に使用する切削ツールを指定した場合、彼/彼女はまた、対応するオフセット値をその切削ツールに適用するように指定し得る。
【0056】
単一の工作物の測定に基づくフィードバックに加えて、サーバー28はまた、プロセス制御を実行するようにプログラムされたソフトウェアモジュールを有する。それは工作物を検査しながら、連続した工作物の検査測定結果の傾向を検査する。それは、例えば、連続する工作物が生産されるにつれて、特定の寸法のサイズが徐々に増加する傾向を決定し得る。これは、関連する工作機械10~16の関連する切削ツールの摩耗によって、あるいは、工作機械、または工作物が機械加工される原材料ストック、ビレット、または鋳造品の段階的な熱成長によって引き起こされ得る。次に、サーバー28は、バス30を介して工作機械のCNCコントローラに対応する切削ツールの更新されたオフセット値をフィードバックすることができる。これにより、機械加工プロセスが修正され、一連の将来の工作物が許容範囲内に留まることを確実にする。
【0057】
もちろん、より便利であれば、このプロセス制御は、サーバー28と通信している別個のサーバーで実行され得る。
【0058】
測定の傾向を決定するために、すべての部品(工作物)は、それらが工作機械10~16によって製造されるのと同じ順序で同じゲージングマシン20に差し出されることができる。しかし、工場での全体的な生産の柔軟性を高めるために、それらをゲージングマシン20~24の異なるものに提示することが可能である。この場合、部品は製造の順序でラベル付けされて、任意の傾向を決定するのに役立ち得、たとえば、工作機械10~16で製造の順序で測定結果を区分する。これは、同時係属中の英国特許出願No.GB 1708730.5に説明され得る。プロセス制御モジュールは、必要な期間にわたって機械加工されたすべての部品の検査結果の履歴記録を保持し得る。
【0059】
プロセス制御の1つの適切な形式は、一連の連続する部品からの結果を順番に分析して、生産機械10~16の性能、または関係する特徴を機械加工した生産機械の関連する切削ツールまたはツールタレットの注文履歴を生成する。これは、製造プロセスおよび関係する部品の許容要件に依存する事前設定ルールに従って行われる。適切なルールは、この分野の当業者に知られている。いくつかの可能なルールが
図6に図示されている。
【0060】
図6において、破線Tは、関係する測定された寸法または測定された座標点の最大許容限界を示す。連続する測定値は、許容限界Tに向かって増加する傾向を示す。これは、工作機械10または他の生産機械の全体的な性能、あるいは、たとえば温度ドリフトによって引き起こされる、工作機械のツール保持タレットの性能の傾向であり得る。または、部品の機械加工に使用される個々の切削ツールの性能に影響を与える段階的な摩耗によって引き起こされる傾向があり得る。破線Lは、許容限界を超える前に製造プロセスを修正できるように選択された所定の下限管理限界を示し、これにより、許容範囲内の部品の製造が中断されずに続行することができる。
【0061】
1つの可能な事前設定ルールは、測定された寸法または点座標が管理限界Lを超えたかどうかを単純に評価し得る。
図6では、これは5番目の測定バーに当てはまる。より洗練されたルールは、たとえば最小二乗分析を使用して、連続する測定結果を統計的に分析する。これにより、線78で示されているように、傾向の結果を調べ得る。ルールは、線78の傾斜が所定の値を超えるときを検出するなどの適切に選択された基準に従って、そのような傾向が検出されたときにトリガーされ得る。または、別の可能性として、ルールは傾向が管理限界Lを超えるかどうか、およびいつ超えるかを評価し得る。
図6では、これは6番目の測定バーに当てはまるが、以前の測定から予測され得る。他の可能なルールは、最小許容レベルに達する前に、測定値の減少傾向、または減少傾向(または個々の測定)が負の方向に所定の管理限界を超えるかどうか、およびいつ超えるかを検出し得る。他の可能なルールは、結果を平滑化するため、または一般的な傾向に寄与しない結果の外れ値を削除するために、一連の測定値をフィルターする。これは、フィルターされた一連の測定値が管理限界を超えているか、または傾向を示しているかを決定する前に完了し得る。
【0062】
ルールがトリガーされている場合は、修正アクションが要求される。例えば、サーバー28は、新しいツールオフセットを計算するなどの制御信号または値を生成し得る。新しいツールオフセットは、たとえば、検出された傾向に対抗するために配置された、測定された寸法の誤差の割合であることができる。これは工作機械10~16の1つに対応するコントローラにフィードバックされる。この場合、新しいツールオフセットは、寸法が分析された部品特徴の切削を担当する工作機械10-16の切削ツールを調整する。このようにして、サーバー28は、工作機械の生産プロセスを調整するために使用される制御信号または値を生成し、許容限界T内で良好な部品を生産し続けることを確実にする。
【0063】
他のフィードバックアクションが可能である。例えば、分析が許容限界Tを突然および予想外に超えたことを示し、切削ツールが破損したことを示す場合、対応する工作機械10~16は、将来の製造のために交換用切削ツールを交換するように指示され得る。次いで、サーバー28はまた、許容範囲外の工作物が拒否または再加工されるようにスケジュールする。また、プロセス制御モジュールがアラームのみを生成するか、またはメッセージを送信して、人間のオペレーターによる工作機械の問題を調査するためのアクションを要求することも可能である。
【0064】
また、統計分析を実行して、品質管理室または実験室でのその後の分析の結果としてではなく、製造現場でリアルタイムに統計プロセス制御を自動的に行うことも可能である。そのような統計的プロセス制御は、生産機械または工作機械のツールまたはツールタレットのプロセス能力を決定し得、それは、例えば、Cpk、Cp またはPpkなどの既知のプロセス能力指数に関して、所定の所望の許容範囲に部品を生産する能力である。これは単に管理レポートとして出力され得、または上記のように生産プロセスを調整するためのフィードバックに使用され得る。あるいは、生産機械が要求される公差でパーツを完全に生産できるが、公称の要求される寸法値からオフセットし得る。この場合、補正がフィードバックされ、製造機械を調整してオフセットを削除する。
【0065】
図6は、工作機械10~16上で製造順に単に配置された測定バー70、72、74を示しているので、それらは等間隔に配置されている。これは、たとえば、ツールの摩耗が予想され、および監視される場合に適切であり得る。代わりに、実際に記録された生産時間および工作機械10~16での各部品の生産時間の間の時間間隔を考慮しながら、傾向などを監視することが可能である。この場合、測定バーの間隔は不均一になるであろう。これは、たとえば、段階的な温度ドリフトによって引き起こされる変化が監視される場合に適切であり得る。
【0066】
図7は、測定値間のギャップ75とともに、測定バーの不均一な間隔のさらなる例を示す。不均一な間隔の1つの理由は、プロセス制御モジュールが、考慮されない外れ値76などの測定結果の外れ値を検出するための初期ステップを含み得ることである。ギャップ75の他の理由は、工作機械がいくらかのダウンタイムを被り得る、または定期的な頻度で検査のための部品が選択され得ないことである。および/または、検査ステーションの1つがビジー状態および保留されているため、いくつかの検査結果が使用できなくなり得る。それにもかかわらず、分析は継続的に行われ、利用可能な測定結果に基づいて傾向を検出し、他の分析ルールを実行する。もちろん、間隔はまた、実際に記録された工作物の生産時間の間の時間間隔を考慮しているため、単に不均一であり得る。
【0067】
図6~7は、名目上同一の工作物の寸法または点の1つだけの測定結果のセットに関連していることが認識されよう。実際には、工作物の複数の特徴の寸法または座標点が測定され得、そのような測定結果の複数のセットを与える。測定結果の各セットは、対応する工作機械のコントローラに適切にフィードバックして、同じ方法で評価され得る。ただし、すべての測定結果のセットからのフィードバックを提供することが必要でなくあり得る。たとえば、工作機械の製造プロセスの変動がツールの摩耗に起因する場合、これは評価され得、および対応する摩耗したツールの影響を受ける測定結果セットの1つだけから補正フィードバックが提供され得る。変動が熱成長に起因する場合、これを評価し、および測定結果の1つのみ、またはいくつかのセットのみから補正フィードバックを提供することが可能である(測定された名目上同一の特徴の1つまたはいくつかのみに対応)。