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特開2023-145613視力を予測するための眼の画像を処理するための深層学習の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145613
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】視力を予測するための眼の画像を処理するための深層学習の使用
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/028 20060101AFI20231003BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20231003BHJP
   A61B 3/14 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A61B3/028
A61B3/10 100
A61B3/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023122397
(22)【出願日】2023-07-27
(62)【分割の表示】P 2022506613の分割
【原出願日】2020-07-31
(31)【優先権主張番号】62/882,354
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/907,014
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/940,989
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/990,354
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジー. カウジンスキ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ベングトソン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン ダイ
(72)【発明者】
【氏名】サイモン エス. ガオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー アール. ウィリス
(57)【要約】
【課題】被験者の眼の入力を処理し、被験者の現在または将来の視力を予測するために機械学習モデルを使用することに関するシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】被験者は、加齢黄斑変性と診断されていてもよい。予測される現在または将来の視力は、(例えば)被験者(例えば、特定のタイプの加齢黄斑変性を伴う)の診断を容易にし、被験者の処置戦略の特定を容易にし、および/または臨床試験の設計を容易にするために使用されることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、以下の米国仮特許出願の利益および優先権を主張する:第62/882,354号(2019年8月2日出願)、第62/907,014号(2019年9月27日出願)、第62/940,989号(2019年11月27日出願)および第62/990,354号(2020年3月16日出願)。これらの出願のそれぞれは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
新生血管加齢黄斑変性(新生血管AMD)などの網膜疾患は、視力を妨げ、永久的な視力喪失をもたらす可能性がある病態生理学的および解剖学的変化を特徴とする。加齢黄斑変性(AMD)は、人の視力に影響を及ぼす眼疾患である。AMDには、乾燥型と湿潤型の2種類がある。乾燥型AMDは、より一般的であり、より軽度の形態のAMDである。それは、通常、徐々に進行し、ゆっくりと視力に影響を及ぼす。一方、湿潤型AMDは、新生血管加齢黄斑変性症とも呼ばれ、AMDのより進行したバージョンである。新生血管AMDの危険因子の1つは年齢であり、新生血管AMDは、典型的には50歳以上の人に発症する。喫煙はまた、人が新生血管AMDを発症する可能性を2から5倍増加させる。新生血管AMDの他の危険因子としては、肥満、遺伝学、人種および性別が挙げられる。ボディーマス指数(BMI)が30を超える人は、BMIが低い人に比べて、新生血管AMDを発症する可能性が2.5倍高い。さらに、新生血管AMDの家族歴は、誰かが新生血管AMDを発症する可能性を高める。女性、コーカサス人、および淡色の眼を有する人々も、新生血管AMDを発症するリスクが高い。危険因子は、誰かが新生血管AMDを発症する可能性に関する情報を提供することができるが、疾患の重症度および変性の速度を確実に予測することができる現在の技術はない。
【0003】
したがって、しばしば、介護者は、所与の処置(例えば、一部の被験者において視力の改善をもたらす硝子体内抗血管内皮成長因子など)を開始および/または変更するかどうかを決定するために頻繁な監視に依存する。視力能力を客観的に評価するための1つの手法は、視力検査表(例えば、スネレン視力検査表またはLogMAR)上のどの文字が人によって正しく識別されたかを判定することである。視力検査表は、異なるサイズの文字を含むことができ(例えば、異なるサイズが視力検査表の異なる線上に提示される)、どのサイズの文字が観察者によって正しく識別されたかの判定に基づいて視力が判定されることができる。観察者が眼鏡またはコンタクトレンズを使用して視力検査表を見るとき、視力メトリックは、典型的には「最良矯正視力」と呼ばれる。
【0004】
矯正されたまたは最良矯正視力を監視することが有益であり得る1つの理由は、眼鏡またはコンタクトを介して矯正することができない様々な視覚疾患および/または視覚症状が眼の変化を引き起こす可能性があるためである。例えば、過剰な流体(例えば、黄斑において)は、眼鏡またはコンタクトを介して矯正されることができない視覚のぼやけを引き起こす可能性がある。一方、加齢の結果として自然に生じる他の多くの種類の視力低下は、眼鏡またはコンタクトを介して矯正されることができる。したがって、矯正または最良矯正視力は、疾患の存在、進行および/または病期の指標とすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な眼疾患(例えば、AMDを含む)は、解剖学的変化を引き起こし、さらに視覚機能の低下を引き起こすが、眼の解剖学的構造に基づいて現在または将来の視力を予測する正確な関係はまだ特定されていない。従来の相関分析は、人間の研究者の洞察によって制限されるプロセスである、分析のための特徴の候補セットを特定および事前指定する必要性によって、解剖学的パラメータと視覚的パラメータとの間の新規な関係性を検出するそれらの能力が制限されている。さらに、中心部分体厚(CST)および中心窩厚(CFT)などの特徴を事前に特定する従来の方法は、典型的には、視力結果に対して十分に特異的な関係を有しない可能性がある網膜の健康の集約された尺度をもたらす。例えば、HARBORトライアルデータでは、網膜内液および総網膜厚に由来する特徴は、R=0.21においてベースラインBCVAと相関する。
【0006】
したがって、解剖学的構造に基づいて視覚機能をより確実に予測することが望まれている。
【0007】
本開示は、以下の添付の図面と併せて説明される:
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
画像処理に基づく視力予測方法であって、
被験者の眼の少なくとも一部の画像にアクセスすることと、
前記画像を機械学習モデルに入力して、予測視力に対応する予測視力メトリックを判定することであって、前記機械学習モデルが、
パラメータのセットであって、
訓練画像のセットであって、前記訓練画像のセットのそれぞれが、訓練被験者のセットのうちの訓練被験者の眼の少なくとも一部を描写する、訓練画像のセットと、
前記訓練被験者のセットのそれぞれについて観察された視力を識別するラベルのセットと、を使用して判定されるパラメータのセットと、
前記画像および前記パラメータを視力メトリックに関連付ける関数と、を含む、判定することと、
前記予測視力メトリックを返すことと、
を含む方法。
(項目2)
前記画像が光干渉断層撮影(OCT)画像である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記画像がカラー眼底写真画像である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記予測視力メトリックが、前記画像が撮像装置によって捕捉されたベースラインの日付の予測視力に対応する、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記予測視力メトリックが、1つ以上の数字を含み、前記1つ以上の数字が、前記画像が捕捉されたベースラインの日付から少なくとも6ヶ月の日付の予測視力を表す、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記予測視力メトリックが、前記画像が撮像装置によって捕捉されたベースラインの日付の前記被験者の視力が閾値視力値よりも悪いかどうかに関する予測を表すバイナリ値である、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記予測視力メトリックが、前記画像が撮像装置によって捕捉されたベースラインの日付から少なくとも6ヶ月の前記被験者の視力が閾値視力値よりも悪いかどうかに関する予測を表すバイナリ値である、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記閾値が、20/160、20/80または20/40のスネレン分率に相当する、項目6または7に記載の方法。
(項目9)
前記予測視力メトリックに応答して、
前記被験者が薬理学的処置を受けることの推奨を提供することをさらに含む、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記画像が3次元画像であり、前記方法が、
前記画像を複数の2次元スライスにスライスすることであって、前記スライスのそれぞれが、異なるスキャン中心角で、互いのスライスから異なる数の画素をオフセットして捕捉される、スライスすることをさらに含み、
前記画像を前記モデルに入力することが、前記スライスを前記モデルに入力することを含む、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記モデルが、深層学習モデルである、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記モデルが、畳み込みニューラルネットワークであるか、または畳み込みニューラルネットワークを含む、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記モデルが、畳み込みカーネルのセットを使用する、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記モデルが、ResNetモデルを含む、項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記モデルが、インセプションモデルである、項目1~14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記予測視力メトリックが、前記被験者の前記眼の予測視力に対応する、項目1~15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記予測視力メトリックが、眼鏡またはコンタクトを着用している間の前記被験者の前記眼の視力を予測する予測矯正視力に対応する、項目1~16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記予測視力メトリックが、前記被験者の前記眼の予測最良矯正視力に対応する、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記被験者が、前記画像が収集された時点で加齢黄斑変性と以前に診断された被験者である、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記被験者が、前記画像が収集された時点で新生血管加齢黄斑変性と以前に診断された被験者である、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記被験者が、前記画像が収集された時点で萎縮型加齢黄斑変性と以前に診断された被験者である、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記訓練被験者のそれぞれが、前記画像のセットの訓練画像が収集される前に加齢黄斑変性と以前に診断された被験者である、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記訓練被験者のそれぞれが、前記画像のセットの訓練画像が収集される前に新生血管加齢黄斑変性と以前に診断された被験者である、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記訓練被験者のそれぞれが、前記画像のセットの訓練画像が収集される前に萎縮型加齢黄斑変性と以前に診断された被験者である、項目1~17のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記訓練画像のセットおよび前記ラベルのセットを使用して前記モデルを訓練することをさらに含む、項目1~24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記機械学習モデルが、1つ以上の前処理関数と、1つ以上のニューラルネットワークとを含む、項目1~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記眼の前記少なくとも一部の画像が、前記被験者の前記眼の前記少なくとも一部の生画像に1つ以上の前処理関数を適用することによって生成された眼の前処理バージョンを含む、項目1~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記1つ以上の前処理関数が、画像を平坦化する関数を含む、項目26または27に記載の方法。
(項目29)
前記1つ以上の前処理関数が、1つ以上のBスキャン画像または1つ以上のCスキャン画像を生成する関数を含む、項目26~28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記1つ以上の前処理関数がトリミング関数を含む、項目26~29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記予測視力メトリックが、第1の距離における前記被験者の前記眼の予測視力に対応し、前記方法が、
前記機械学習モデルを使用して、前記被験者の同じまたは異なる眼の予測視力に対応する別の予測視力メトリックを判定することと、
前記別の予測視力メトリックを返すことと
をさらに含む、項目26~29のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
臨床試験を層別化する方法であって、
被験者のセットの各被験者について、項目1~31のいずれか一項に記載の画像処理に基づく視力予測方法を実行することと、
前記被験者のセットのそれぞれについて、前記被験者が臨床試験に参加するのに適格であるかどうかを判定することであって、前記判定が、適格基準のセットのそれぞれが前記被験者に関して満たされるかどうかに基づいており、前記適格基準のセットの特定の適格基準の評価が、前記被験者の前記予測視力を使用して行われる、判定することと、
前記被験者のセットのサブセットを用いて前記臨床試験を実施することであって、前記サブセット中の各被験者が前記臨床試験に参加するのに適格であると判定された被験者である、実施することと
を含む方法。
(項目33)
第1の被験者群および第2の被験者群への被験者割り当てにしたがって前記臨床試験を実施することをさらに含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
項目1~31のいずれか一項に記載の方法にしたがって判定された前記予測視力メトリックに基づいて、前記被験者に対する潜在的な処置のセットの中から処置を選択することと、
前記処置の識別情報を出力することと
を含む方法。
(項目35)
方法であって、
項目1~31のいずれか一項に記載の方法にしたがって判定された前記予測視力メトリックに基づいて、前記被験者に対する潜在的な処置のセットの中から処置を選択することと、
前記処置を使用して前記被験者を処置することと
を含む方法。
(項目36)
前記訓練被験者の少なくとも一部のそれぞれが、前記訓練被験者に対応する前記ラベルが判定される視力検査に参加する前に前記処置を受けていた被験者である、項目34または35に記載の方法。
(項目37)
前記訓練被験者のそれぞれが、前記訓練被験者に対応する前記ラベルが判定される視力検査に参加する前に前記処置を受けていた被験者である、項目34または35に記載の方法。
(項目38)
前記訓練被験者の少なくとも一部のそれぞれが、前記訓練被験者に対応する前記ラベルが判定される視力検査に参加する前に前記処置とは異なる別の処置を受けていた被験者であり、前記被験者が以前に前記別の処置を受けていた被験者である、項目34または35に記載の方法。
(項目39)
前記訓練被験者のそれぞれが、前記訓練被験者に対応する前記ラベルが判定される視力検査に参加する前に前記処置とは異なる別の処置を受けていた被験者であり、前記被験者が以前に前記別の処置を受けていた被験者である、項目34または35に記載の方法。
(項目40)
1つ以上のデータプロセッサと、
前記1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、前記1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つ以上の方法の一部または全部を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体と
を備えるシステム。
(項目41)
1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つ以上の方法の一部または全部を実行させるように構成された命令を含む、
非一時的機械可読記憶媒体において有形に具現化されたコンピュータプログラム製品。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】機械学習モデルを使用して被験者の眼の視力を予測するためのプロセスである。
【0009】
図2】臨床試験のための視力予測を使用するプロセスである。
【0010】
図3】深層学習パイプラインである。ResNet-50 v2畳み込みニューラルネットワークに入力される30個の2次元画像として表される3次元光干渉断層撮影ボリュームを使用することによる最良矯正視力(BCVA)の予測である。
【0011】
図4A】同時来院時における実際対予測の最良矯正視力(BCVA)である。同時来院のBCVAを予測するために光干渉断層撮影画像を分析する深層学習アルゴリズムの性能である。(A)全ての来院にわたる試験眼平均である。(B)全ての来院における他眼平均である。(C)全ての来院にわたる試験眼および他眼の双方の平均である。
図4B】同時来院時における実際対予測の最良矯正視力(BCVA)である。同時来院のBCVAを予測するために光干渉断層撮影画像を分析する深層学習アルゴリズムの性能である。(A)全ての来院にわたる試験眼平均である。(B)全ての来院における他眼平均である。(C)全ての来院にわたる試験眼および他眼の双方の平均である。
図4C】同時来院時における実際対予測の最良矯正視力(BCVA)である。同時来院のBCVAを予測するために光干渉断層撮影画像を分析する深層学習アルゴリズムの性能である。(A)全ての来院にわたる試験眼平均である。(B)全ての来院における他眼平均である。(C)全ての来院にわたる試験眼および他眼の双方の平均である。
【0012】
図5A】関連する光干渉断層撮影からの同時来院時の<69文字の最良矯正視力(BCVA)を予測する深層学習アルゴリズムの性能である。(A)BCVA<69文字。無作為来院における試験眼である。(B)BCVA<69文字。無作為来院における他眼である。(C)BCVA<69文字である。無作為来院における試験眼および他眼の双方である。
図5B】関連する光干渉断層撮影からの同時来院時の<69文字の最良矯正視力(BCVA)を予測する深層学習アルゴリズムの性能である。(A)BCVA<69文字。無作為来院における試験眼である。(B)BCVA<69文字。無作為来院における他眼である。(C)BCVA<69文字である。無作為来院における試験眼および他眼の双方である。
図5C】関連する光干渉断層撮影からの同時来院時の<69文字の最良矯正視力(BCVA)を予測する深層学習アルゴリズムの性能である。(A)BCVA<69文字。無作為来院における試験眼である。(B)BCVA<69文字。無作為来院における他眼である。(C)BCVA<69文字である。無作為来院における試験眼および他眼の双方である。
【0013】
図6A】12ヶ月目の実際対予測のBCVAである。ベースライン光干渉断層撮影画像を分析して12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習アルゴリズムの性能である。(A)試験眼である。(B)他眼である。(C)試験眼および他眼の双方である。
図6B】12ヶ月目の実際対予測のBCVAである。ベースライン光干渉断層撮影画像を分析して12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習アルゴリズムの性能である。(A)試験眼である。(B)他眼である。(C)試験眼および他眼の双方である。
図6C】12ヶ月目の実際対予測のBCVAである。ベースライン光干渉断層撮影画像を分析して12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習アルゴリズムの性能である。(A)試験眼である。(B)他眼である。(C)試験眼および他眼の双方である。
【0014】
図7A】ベースライン光干渉断層撮影から12ヶ月目の<69文字の最良矯正視力(BCVA)を予測する深層学習アルゴリズムの性能である。(A)12ヶ月目のBCVA<69文字である。試験眼である。(B)12ヶ月目のBCVA<69文字である。他眼である。(C)12ヶ月目のBCVA<69文字である。試験眼および他眼の双方である。
図7B】ベースライン光干渉断層撮影から12ヶ月目の<69文字の最良矯正視力(BCVA)を予測する深層学習アルゴリズムの性能である。(A)12ヶ月目のBCVA<69文字である。試験眼である。(B)12ヶ月目のBCVA<69文字である。他眼である。(C)12ヶ月目のBCVA<69文字である。試験眼および他眼の双方である。
図7C】ベースライン光干渉断層撮影から12ヶ月目の<69文字の最良矯正視力(BCVA)を予測する深層学習アルゴリズムの性能である。(A)12ヶ月目のBCVA<69文字である。試験眼である。(B)12ヶ月目のBCVA<69文字である。他眼である。(C)12ヶ月目のBCVA<69文字である。試験眼および他眼の双方である。
【0015】
図8】ベースラインにおける試験眼の標準偏差への他眼におけるBCVAの標準偏差の制限である。
【0016】
図9】ベースライン、6ヶ月目、12ヶ月目、18ヶ月目および24ヶ月目の試験眼(黒色)および他眼(赤色)に対するBCVAの変動によるRである。
【0017】
図10】深層学習パイプラインである。インセプションResNet-v2畳み込みニューラルネットワークに入力されるカラー眼底写真画像を使用することによる最良矯正視力(BCVA)の予測である。
【0018】
図11A】ANCHOR外部検証テストセットにおけるBCVAを予測するためにカラー眼底写真画像を分析する深層学習回帰モデルの性能である。(A)チャート距離2メートルでの実際対予測のBCVAである。(B)チャート距離4メートルでの実際対予測のBCVAである。
図11B】ANCHOR外部検証テストセットにおけるBCVAを予測するためにカラー眼底写真画像を分析する深層学習回帰モデルの性能である。(A)チャート距離2メートルでの実際対予測のBCVAである。(B)チャート距離4メートルでの実際対予測のBCVAである。
【0019】
図12A】カラー眼底写真画像を分析して、ANCHOR外部検証テストセットにおいて<69文字(スネレン当量<20/40)のBCVAを予測する深層学習分類モデルの性能である。(A)チャート距離2メートルでの受信機動作特性曲線である。(B)チャート距離4メートルでの受信機動作特性曲線である。
図12B】カラー眼底写真画像を分析して、ANCHOR外部検証テストセットにおいて<69文字(スネレン当量<20/40)のBCVAを予測する深層学習分類モデルの性能である。(A)チャート距離2メートルでの受信機動作特性曲線である。(B)チャート距離4メートルでの受信機動作特性曲線である。
【0020】
図13】本明細書に開示される1つ以上の動作および/または1つ以上の方法の一部または全部を実行するように構成されることができるコンピューティングシステムのネットワークである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付の図面において、同様の構成要素および/または特徴は、同じ参照ラベルを有することができる。さらに、同じ種類の様々な構成要素は、参照ラベルの後に同様の構成要素を区別するダッシュおよび第2のラベルを続けることによって区別されることができる。本明細書において第1の参照ラベルのみが使用される場合、説明は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する同様の構成要素のいずれかに適用可能である。
【0022】
I.概要
この説明は、被験者の眼の画像の分析に基づいて、被験者の視覚機能(例えば、視力)を特徴付けるメトリックを予測することに関する。予測は、処置開発中の目的の定義および所与の個体に適した処置の選択を容易にすることができる。眼の画像は、(例えば)光干渉断層撮影(OCT)画像、カラー眼底画像または赤外線眼底画像を含むことができる。被験者は、眼疾患(例えば、黄斑変性、新生血管加齢黄斑変性、緑内障、白内障または糖尿病性網膜症)と診断されることができるが、そうである必要はない。
【0023】
予測視力は、被験者が(例えば、1つ以上のサイズの)視覚オブジェクトをどれだけ正確に識別することができるかに基づいて生成された視力メトリックを含むことができる。視覚オブジェクトは、英数字を含むことができ、および/または視力は、視力検査表上の1つ以上の英数字を読み取る能力に対応することができる。予測視力は、現在の視力(例えば、眼の画像の捕捉に関連する時点または期間内の視力を特徴付けること)または将来の視力(例えば、眼の画像が捕捉された時点またはその中の視力と比較して、将来の時点または将来の期間内の視力を特徴付けること)に対応するメトリックに対応することができる。
【0024】
視力は、訓練された機械学習モデルを使用して(健康で疾患のない被験者について、眼関連疾患を有する被験者について、または眼関連病状を有する被験者について)予測されることができる。場合によっては、機械学習モデルは、論理ベースの条件評価の結果を出力するように構成されてもよい。例えば、機械学習モデルは、観察者の現在の視力または将来の視力(例えば、特定の時間における)が所定の閾値を下回るかどうかを予測するように構成および訓練されることができる。機械学習モデルは、(例えば)深層機械学習モデル、畳み込み機械学習モデル、回帰モデル、および/または分類器モデルを含むことができる。使用されることができる例示的な深層畳み込みニューラルネットワークアーキテクチャは、AlexNet、ResNet、VGGNet、インセプション、DenseNet、EfficientNet、GoogLeNet、またはこれらのモデルのいずれかの変形を含む。機械学習モデルは、(例えば)1つ以上の畳み込み層、1つ以上のプーリング層(例えば、最大プーリングまたは平均プーリング)、1つ以上の完全接続層、1つ以上のドロップアウト層、および/または1つ以上の活性化関数(例えば、シグモイド関数、tanh関数、または正規化線形ユニット)を含むことができる。機械学習モデルは、モデルの畳み込み層において1つ以上のカーネルサイズのフィルタを使用することができる。例えば、カーネルサイズは、レイヤ間で異なることができる。機械学習モデルは、(例えば)予測視力メトリック、視力メトリック範囲(例えば、開または閉範囲)、および/または1つ以上の論理条件(例えば、被験者の視力が少なくとも特定の閾値と同程度に良好であるかどうかを示すために)の評価に基づく結果を出力するように構成および訓練されることができる。
【0025】
訓練された機械学習モデルは、固定ハイパーパラメータのセット(例えば、プログラマまたはユーザによって定義される)およびパラメータのセット(例えば、訓練中に学習された値を有すること)に基づいて定義されることができる。パラメータのセットは、(例えば)ノード(またはニューロン)が受信値を変換するために適用する重みのセットを含むことができる。所与のノードによって受信された値は、前の層からの(または入力からの)値のセットを含むことができ、値のセットは、(例えば、受信フィールドが1つ以上のハイパーパラメータによって定義されるサイズ、パディングなどを有する場合)ノードの受信フィールドに対応する。
【0026】
場合によっては、機械学習モデルは、特定の時点または特定の期間に対応するデータを含む入力を(例えば、部分的にまたは全体的に)受け取り、特定の時点または特定の期間に対応する結果を出力するように訓練される。例えば、機械学習モデルは、被験者の現在の視力または1つ以上の入力画像が最初に取得された日付における視力を予測するように訓練されることができる。場合によっては、機械学習モデルは、特定の時点または特定の期間に対応するデータを含む入力を(例えば、部分的にまたは全体的に)受け取り、後の時点または後の期間(例えば、入力データが収集された日から少なくとも1週間、入力データが収集された日から少なくとも2週間、入力データが収集された日から少なくとも1ヶ月、入力データが収集された日から少なくとも3ヶ月、入力データが収集された日から少なくとも6ヶ月、入力データが収集された日から少なくとも1年間、入力データが収集された日から少なくとも2年間、または入力データが収集された日から少なくとも6年間)に対応する結果を出力するように訓練される。
【0027】
場合によっては、機械学習モデルは、現在のメトリック(例えば、入力データに関連付けられた時間または期間に対応する)を予測するために訓練中に学習されたパラメータで初期化され、その後、後の時点または後の期間(例えば、入力データが収集された日から少なくとも1週間、入力データが収集された日から少なくとも2週間、入力データが収集された日から少なくとも1ヶ月、入力データが収集された日から少なくとも3ヶ月、入力データが収集された日から少なくとも6ヶ月、入力データが収集された日から少なくとも1年間、入力データが収集された日から少なくとも2年間、または入力データが収集された日から少なくとも6年間)のメトリックを予測するために(例えば、転移学習を使用して)さらに訓練される。場合によっては、機械学習モデルは、入力(例えば、3ヶ月、6ヶ月、1年など)に含まれる画像の集合に関連する時間に対して予測が行われる後続の時点を示す入力値を受信するように構成される。場合によっては、1つ以上の機械学習モデルは、異なる時点または期間に関連する出力を予測するように別々に訓練される。
【0028】
場合によっては、処理パイプラインは、中間結果(例えば、現在の時点または入力画像の集合と関連付けられた時点と関連付けられた視力または最良矯正視力の予測)を生成するために1つ以上の入力画像を処理するための機械学習モデルを含み、中間結果(例えば、1つ以上の第1の時点における予測視力の代表)を受け取り、別の結果(例えば、第1の時点に続く第2の時点での予測視力を表す)を出力するように構成された1つ以上の他の機械学習モデルおよび/または1つ以上の他の後処理関数をさらに含む。例えば、別の機械学習モデルおよび/または後処理関数は、中間結果および潜在的に1つ以上の他の変数(例えば、1つ以上の他の時点、1つ以上の他の被験者の特徴、1つ以上の他の被験者特異的眼解剖学的構造値、疾患または疾患状態を示す1つ以上の変数などに関連する1つ以上の他の中間結果)を受け取り、最終的な(例えば、被験者および/または眼特異的な視力メトリック)を出力するように構成された回帰モデルを含むことができる。
【0029】
1つ以上の予測視力は、(例えば)診断、予後、処置選択、処置推奨、投与量選択および/または投与量推奨を知らせるために使用されることができる。1つ以上の予測視力は、同じ被験者に関連付けられてもよく、被験者の眼の画像が収集された時点または期間、および/または被験者の眼の画像が収集された時点または期間の後の時点または期間に関連付けられてもよい。場合によっては、将来の時点について予測された視力と現在または以前の時点について予測された視力との間の比例差または絶対差が判定され、診断、予後、臨床トライアル基準、処置選択、処置推奨、投与量選択、投与量推奨、医療専門家によるフォローアップの推奨頻度などを知らせるために使用される。診断は、(例えば)疾患(例えば、加齢黄斑変性)、疾患の種類(例えば、新生血管加齢黄斑変性対萎縮加齢黄斑変性)または疾患の重症度(例えば、加齢黄斑変性の重症度)を識別することを含むことができる。予後診断は、(例えば)所与の視覚機能の低下が起こると予測される時間、所与の疾患の移行が起こると予測される時間、所与の疾患の移行が起こる確率(例えば、ある期間にわたってまたは常に)などを識別することを含むことができる。例えば、萎縮型AMDを有する被験者の約10~20%が新生血管AMDに移行する。将来の時間に関連する予測視力が使用されて、被験者が新生血管AMDに移行する確率または予測時間を予測することができる。
【0030】
一例として、被験者が加齢性黄斑変性症と診断されている場合、疾患は、「新生血管加齢性黄斑変性症(AMD)」(湿潤型AMDとしても知られる)または「萎縮型AMD(乾燥型AMDとしても知られる)」とすることができる。AMDを有する個体の約80~90%が萎縮型AMDを有する。新生血管AMDは、より侵攻性であり、重症視力喪失型AMD症例の約90%を占める。場合によっては(例えば、データが、被験者が新生血管AMDまたは萎縮型AMDと特異的に診断されていないことを示す場合)、予測される将来の視力と現在または最近の視力との間の相対差または絶対差が所定の変化閾値を上回る場合、または絶対的な予測される将来の視力が所定の現在時間閾値を上回る場合、出力は、被験者が(萎縮型AMDの代わりに)新生血管AMDを有する可能性があると予測することができる。場合によっては(例えば、萎縮型AMDの初期診断が示された場合、または血管液の漏出の報告がない場合)、予測される将来の視力と現在または最近の視力との間の相対的または絶対的な差が所定の変化閾値を上回る場合、または絶対的な予測される将来の視力が所定の現在時間閾値を上回る場合、出力は、被験者が(早期萎縮型AMDの代わりに)後期萎縮型AMDを有する可能性があることを予測することができる。場合によっては(例えば、萎縮型AMDの初期診断が示された場合、または血管液の漏出の報告がない場合)、予測される将来の視力と現在または最近の視力との間の相対的または絶対的な差が所定の変化閾値を上回る場合、または絶対的な予測される将来の視力が所定の現在時間閾値を上回る場合、出力は、被験者が新生血管AMDに移行する相対的なリスクがある(例えば、所与の期間内に)と予測することができる。
【0031】
萎縮型AMDを有するほとんどの被験者は、薬剤によって処置されず、その代わりに、症状が新生血管AMDに進行するか否かおよび/または進行するかどうかを判定するために監視される。出力が、被験者が新生血管AMDを有する可能性が高い、後期萎縮型AMDを有する可能性が高い、および/または新生血管AMDに移行するリスクが高いと予測した場合、コンピューティングシステムは、被験者の画像ベースのモニタリングのスケジュールを変更すること(例えば、眼の画像が以前に計画されたよりも早く収集されるように)、および/またはAMD処置を開始することを推奨することができ、および/または介護者が決定することができる。AMD処置は、(例えば)抗血管内皮成長因子(抗VEGF)剤(例えば、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフィベルセプトおよびコンベルセプト)またはファリシマブ(アンジオポエチン-2およびVEGF-Aを中和する現在臨床試験中の二重特異性抗体)を含むことができる。
【0032】
緑内障は、視力障害(例えば、視力)を引き起こす別の眼疾患である。緑内障は、視神経を損傷する眼の異常に高い圧力によって引き起こされる。緑内障の危険因子は、年齢、人種、家族歴および眼損傷を含む。60歳を超える人々は、緑内障を発症するリスクが高い。アフリカ系アメリカ人は、緑内障を発症する可能性が高く、40歳を超えるとリスクが高くなる。さらに、糖尿病および高血圧などの医学的症状は、緑内障を発症するリスクを増加させる可能性がある。
【0033】
緑内障は、包括的な眼の検査によって診断されることができる。視力検査および眼圧測定が使用されて、緑内障の診断を容易にすることができる。さらに、OCTおよびカラー眼底写真は、緑内障を示すことができる視神経の変化または異常を識別することができる。
【0034】
緑内障は、ゆっくりと発症するが、処置しなければ20年間にわたって失明を引き起こす可能性がある。処置により、失明を防ぐことができる。それほど深刻でない場合には、処方点眼薬が使用されて、眼に産生させる液を少なくすることができる。より重篤な場合には、レーザー手術が使用されて眼の排液網を広げることができる。OCTおよびカラー眼底撮影などの撮像技術が使用されて、緑内障の発症を経時的に監視することができる。進行速度は、処置選択肢を選択するのに有用とすることができる。
【0035】
視力に影響を及ぼす加齢に関連する他の一般的な眼の症状は、白内障およびドライアイである。白内障は、眼の水晶体の混濁であり、ドライアイは、眼内の適切な潤滑性の欠如である。白内障は、外科的に除去されることができ、ドライアイは、点眼薬または他の薬物によって処置されることができる。極端な場合、ドライアイを処置するために外科的処置を行うことができる。正常な視力またはBCVAは、白内障およびドライアイの双方の処置によって回復されることができる。
【0036】
視力低下を引き起こし得るさらに別の眼の症状は、糖尿病性網膜症である。疾患の初期段階では、血管壁を通る血管透過性の増加(小分子または全細胞の流れを増加させる)などの軽度の非増殖性異常が起こる。後期段階では、網膜または硝子体後面上の血管閉塞および/または新たな血管の成長が頻繁に観察される。黄斑浮腫は、任意の疾患段階で起こる可能性があり、破裂した血管に起因する黄斑の層における流体の蓄積を含む。黄斑浮腫は、霧視および視力低下をもたらす可能性がある。
【0037】
全ての糖尿病は、糖尿病性網膜症を発症するリスクがある。診断は、(例えば)視力低下、微小動脈瘤(例えば、眼底写真または光干渉断層撮影(OCT)画像に示される)、ドットおよびブロット出血(例えば、眼底写真またはOCT画像に示される)、硬網膜滲出液(例えば、眼底写真に示される)、軟性滲出液(例えば、眼底写真に示される)、静脈拡張(例えば、眼底写真またはOCT画像に示される)、静脈拡張(例えば、眼底写真またはOCT画像に示される)、網膜肥厚(例えば、眼底写真またはOCT画像に示される)、網膜および/または脈絡膜血管系の漏出または非灌流(例えば、眼底フルオレセイン蛍光眼底造影の使用によって示されるように)などを検出することによって行われることができる。糖尿病性網膜症は、ベースライン瞳孔径の減少、瞳孔収縮の振幅の減少、瞳孔収縮の速度の減少および/または瞳孔拡張の速度の減少などの複数の瞳孔サイズ測定値(例えば、瞳孔拡張後に観察される)とさらに一致する。
【0038】
初期の糖尿病性網膜症は、処置されないことが多い。進行した糖尿病性網膜症は、抗VEGF、硝子体切除術(眼から血液および瘢痕組織を除去する手術)、汎網膜光凝固(血管を収縮させるレーザー処置)および/または光凝固(眼内の血液および他の体液の漏出を抑制するレーザー処置)を用いて処置されることができる。
【0039】
本明細書に開示される技術は、眼疾患または眼の症状(例えば、加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症、黄斑浮腫、緑内障、白内障またはドライアイ)を有する被験者の眼の画像を処理して、特定の処置の有効性を(例えば)予測し、臨床試験の設計または実施を使用または推奨および/または促進するための特定の処置を識別するために使用されることができる。
【0040】
II.入力データ、前処理、訓練データ
II.A.入力データ
(例えば、新たな出力を生成するために処理されるべきであり、または訓練中に処理されるべきである)機械学習モデルによって受信されたデータは、その1つ以上の処理されたバージョンの被験者の眼の1つ以上の画像を含むことができる。1つ以上の画像は、光干渉断層撮影法(OCT)、カラー眼底写真、眼底自発蛍光または赤外線眼底写真などの1つ以上の撮像技術を使用して捕捉されていてもよい。1つ以上の撮像技術は、非侵襲的であってもよく、および/または色素の投与(例えば、静脈内または経口投与)を必要としなくてもよい。他の例では、1つ以上の撮像技術は、色素(例えば、眼底フルオレセイン蛍光眼底造影で行われるように)を投与することを含む技術を含む。
【0041】
場合によっては、入力データセットは単一の画像を含む。場合によっては、入力データセットは画像のセットを含み、セット内の画像は異なる深度に対応する。
【0042】
II.A.1.光干渉断層撮影法
OCTは、光波を使用して眼の断面画像を構築する非侵襲的撮像技術である。眼の画像を生成するために、干渉計は、低コヒーレンス近赤外光ビームを標的組織および参照ミラーに向かって分割することができる。標的組織および参照ミラーから受光した後方散乱光が結合され、信号の干渉が判定される。より多くの光を反射する標的組織の領域は、より高い干渉を有する。反射率情報は、しばしばA-scanと呼ばれ、標的組織の長手方向軸(例えば、深さ)に関する情報を含む。光ビームは、多くの横方向位置で情報を生成するために直線方向に案内されることができる。断面「Bスキャン」画像は、横方向位置(例えば、128,256回または512回のAスキャンを使用する)で深度スキャンを組み合わせることによって生成されることができる。断面画像は、リアルタイムで表示されることができ、分析および診断のプロセスを高速化することができる。3-次元画像は、複数のBスキャンを含むように構成されることができる。
【0043】
OCTは、眼に接触することなく眼の高解像度画像を提供することができる。OCTは、網膜の別個の層が試験されることを可能にし、特定の層に由来する疾患を識別するのに有用とすることができる。潜在的に重要な2つの領域は網膜にあり、視神経および黄斑を含む。視神経は、眼から脳へ情報を搬送し、黄斑は、高密度の光受容細胞を有する領域である。
【0044】
OCTは、眼の様々な層の厚さおよびサイズ、細胞組織、さらには軸索の厚さに関する情報を提供することができる。結果として、OCTは、新生血管AMDなどの症状の診断および処置の決定に役立つことができる。網膜、網膜下または色素下の上皮腔(例えば、網膜下腔のドーム形状反射領域を介して、非ドルーセノイド網膜色素上皮またはドルーセノイド色素上皮剥離の上昇および網膜肥厚)の体液を描写するまたは示唆するOCT画像は、新生血管AMDの存在と一致することができる。
【0045】
II.A.2.カラー眼底写真
カラー眼底写真撮影は、眼底カメラまたは網膜カメラを使用して眼の内面のカラー画像を記録することを含む。眼底カメラは、眼の網膜、網膜血管系、視神経円板、黄斑および眼底を撮影することができるカメラを備えた低倍率顕微鏡である。眼底カメラから画像を撮像するために送られる光線(例えば、白色光)は、眼の瞳孔を通って出入りする。場合によっては、眼の瞳孔が拡張されて、撮影可能なより大きな領域を提供することができる。カラー眼底画像は、網膜、黄斑、血管、視神経円板および眼底を示す。
【0046】
ドルーゼン(主に網膜下の脂質である沈着物)は、蛍光を発し、カラー眼底画像では白色または黄色に見える。ドルーゼンは、一般に高齢者で検出されるが、黄斑における大きなドルーゼンおよび/または大量のドルーゼンの存在は、AMD被験者で頻繁に観察される。
【0047】
II.B.前処理
上述したように、生画像は、生画像に対して異なる視点および/または次元を有する他の画像を生成するために処理されることができる。例えば、複数のAスキャンが処理されて1つ以上のBスキャンを生成することができ、複数のBスキャンを使用して(例えば、深度などのいくつかの3次元情報を捕捉することができる)Cスキャンが生成されることができる。場合によっては、画像は3次元画像(例えば、複数の2次元画像に基づいて生成される)を含むことができる。場合によっては、カラー眼底写真は、異なる撮像角度で収集されることができ、深度情報を伝達することができる画像の生成を容易にすることができる。
【0048】
目の湾曲により、生画像は、湾曲した構造(例えば、湾曲した網膜層)を描写することができる。次いで、平坦化技術が使用されて、所与の構造(例えば、網膜色素上皮)の(例えば)パイロット推定値に基づいて画像(例えば、2次元画像または3次元画像)を平坦化することができる。例えば、画像はフィルタリングされて(例えば、ガウシアンフィルタを用いて)画像のノイズを除去し、ノイズ除去された画像の各列の最も強い画素が識別されることができる(例えば、網膜色素上皮表面を表すことができる)。次いで、列が上下に調整されて、列にわたって最も強い画素を位置合わせすることができる。別の例として、網膜色素上皮表面はセグメント化されることができ(例えば、強度閾値化を介して)、関数(例えば、スプライン関数)はセグメント化された画素に適合されることができる。次いで、画像の列が再位置合わせされてスプライン関数を平坦化することができる。一例では、生画像は、網膜色素上皮層のセグメント化に平坦化されることができ、画像ボリュームは、平坦化された網膜色素上皮の上の画素および下の画素にトリミングされることができる。
【0049】
前処理は、強度値を正規化および/または標準化することを含むことができ、強度値は、他のタイプの前処理(例えば、Bスキャンの生成の前または後、Cスキャンの生成、または平坦化技術の適用)の前または後に実行されることができる。
【0050】
平坦化技術および/または他の前処理技術が実行されて、特定の構造の描写を標的位置に位置合わせすることができる。例えば、網膜色素上皮表面に対応すると推測される画素は、同じ行または平面が画像にわたって同じ構造に対応するように、指定された行または平面に(例えば、平坦化プロセス中に)シフトされることができる。
【0051】
一部の機械学習モデルは、特定のサイズの画像を受信するように構成されることができる。したがって、前処理は、例えば、その寸法が特定のサイズを満たすように画像をトリミングおよび/またはパッドするために実行されることができる。一部の機械学習モデルは、特定の解像度を有する画像を受信するように構成されることができる。したがって、前処理は、例えば、画像をダウンサンプリングまたはアップサンプリングするために実行されることができる。
【0052】
II.C.訓練データ
訓練データセットは、それぞれが特定の被験者の特定の眼に関連付けられた複数の訓練データ要素を含む。複数の訓練データ要素のそれぞれは、特定の時点および/または医療訪問にさらに関連付けられることができる。場合によっては、所与の訓練データセットは、特定の種類の疾患に対応する。例えば、訓練データセットは、それぞれがAMDを有するかまたはそれぞれが新生血管AMDを有する被験者のセットに対応するように定義されることができる。場合によっては、1つ以上の他の制約が被験者セットに課される(例えば、被験者セット中の全ての被験者が特定の年齢範囲内にある、投薬中でないなど)。
【0053】
複数の訓練データ要素のそれぞれは、眼の少なくとも一部の1つ以上の画像の入力データを含むことができる。場合によっては、機械学習モデルによって処理される画像は、生画像の前処理されたバージョンである(例えば、セクションII.Bに開示されているような前処理技術を使用して前処理されている)。場合によっては、機械学習モデルは、受信した画像を前処理するための1つ以上の前処理関数を含む(例えば、セクションII.B.に開示されている1つ以上を含む)。
【0054】
複数の訓練データ要素のそれぞれは、特定の被験者に関連付けられ、且つ特定の時点に関連付けられた視力を含むか、または別の方法で示すラベルをさらに含むことができ、ラベルは、被験者が視覚刺激を識別する程度を示すことができる。視力メトリックは、特定の被験者が被験者に提示された1つ以上の視覚刺激を正確に識別するおよび/または特徴付けることができるかどうかおよび/または程度を判定すること(例えば、被験者から特定の距離にある、および/または1つ以上の特定のサイズを有する)によって判定されてもよい。視力メトリックは、特定の被験者が特定の眼(例えば、他方の眼がブロックまたは閉鎖された)のみで1つ以上の視覚刺激を見たときに提供される応答を評価することによって、被験者の特定の眼に特有のものとすることができる。
【0055】
II.C.1.視力メトリックのタイプ
予測視力メトリックは、(例えば)比、分子(例えば、固定分母に対する)、実数、整数などの数値メトリックを含むことができる。予測視力メトリックは、視力カテゴリおよび/または視-力境界を含むことができる。例えば、視力スケールは、閾値視力(例えば、20/10、20/20、20/25、20/30、20/40、20/50、20/70、20/100および20/200または-0.3、-0.2、-0.1、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6および0.7)のセットを含むことができ、それぞれが1つ以上の視覚刺激に関連付けられて、観察者が視覚刺激(またはその特性)を正確に識別することができる場合、観察者が少なくとも関連する閾値視力を有することを示す。予測視力メトリックは、(例えば、観察者が、視力メトリックに関連する刺激を正確に識別するまたは特徴付けることができるが、セット内のより高い視力に関連する他の刺激は識別するまたは特徴付けることができないことを示す)特定のユーザからの結果に対応するセットにわたる「最良」として定義されることができる。場合によっては(例えば、スネレンスケールを使用する場合)、より高い視力メトリックは、より低い視力メトリックに関連する他のメトリックと比較してより良好な視力を表す。場合によっては(例えば、LogMARスケールを使用する場合)、より低い視力メトリックは、より高い視力メトリックに関連する他のメトリックと比較してより良好な視力を表す。場合によっては(例えば、イエーガースケールを使用する場合)、スケールに沿った値は、視力に単調に依存しない(例えば、J1+はJ1よりも良好な視力を表し、J1はJ2よりも良好な視力を表すため)。
【0056】
視力メトリックは、スネレンスケール、LogMARスケールまたはイエーガースケールなどのスケールに沿って表された値の中から選択された値を含むことができる。視力メトリックは、スネレン分率、LogMAR値またはイエーガースコアを含むことができる。視-力メトリックは、(例えば、特定の眼で1つ以上のキャラクタを見るときに)1つ以上のキャラクタを正しく識別するおよび/または特徴付ける被験者の能力に基づいて決定される値を含むことができる。1つ以上の文字は、1つ以上の文字、1つ以上の数字、1つ以上のタンブリングE、1つ以上のランドルトC、および/または特定のサイズおよび被験者から特定の距離で提示される1つ以上のリア記号を含むことができる。
【0057】
視-力メトリックは、観察者から特定の距離(例えば、2メートルまたは4メートル)に配置されたチャートまたはカード上に提示された1つ以上の視覚刺激を識別するおよび/または特徴付ける観察者の能力に基づいて決定された値を含むことができる。チャートまたはカードは、物理的なチャートまたはカード(例えば、紙、プラスチック、ラミネート、厚紙などを含む)、または仮想のチャートまたはカード(例えば、電子装置のディスプレイ上に提示される)とすることができる。チャートまたはカードは、それぞれが1つ以上の文字(例えば、文字、数字、タンブリングE、ランドルトCおよび/またはリア記号)を含む複数の線を含むことができる。各線は、線内の1つ以上の文字のサイズを示す文字サイズ(例えば、高さ、幅および/またはアスペクト比)に関連付けられることができる。サイズは、線にわたって変化することができる(例えば、単調に)。チャートまたはカードの線の数は、(例えば)少なくとも3本、少なくとも5本、少なくとも7本、少なくとも9本、または少なくとも11本の線、20本未満、15本未満、13本未満、10本未満、または7本未満の線、および/または約5本、約7本、約9本および/または約11本の線とすることができる。
【0058】
チャートまたはカードは、(例えば)スネレンチャート(例えば、文字の複数の行を含む、幅よりも高く、各行は前の行よりも多くの文字および小さい文字を有し、行間の文字サイズ差は、絶対サイズ差と相対サイズ差の双方を考慮すると、チャート全体で異なる)、修正スネレンチャート、最小解像度角の対数(LogMAR)チャート(行毎に同じ数の文字、文字サイズおよび行間間隔が、正方形の形状に寸法決めされた行および文字にわたって対数的に変化する)、ベイリーローヴィチャート、初期処置糖尿病性網膜症試験(ETDRS)チャート(行毎に同じ数の文字、文字サイズおよび行間間隔が、長方形に寸法決めされた行および文字にわたって対数的に変化する)、ローゼンバウムカードを含むことができる。
【0059】
視力メトリックは、視力矯正(例えば、眼鏡またはコンタクト)の有無にかかわらず、特定の距離(例えば、2メートルまたは4メートル)での視力を含むことができる。観視者が視力矯正を使用しているときに視力メトリックが判定される場合、メトリックは、矯正視力または最良矯正視力を含むことができる。
【0060】
視-力メトリックは、比を含むことができる。比は、比の分母に示されるように、障害のない観察者がある距離(特定の単位)で解読することができるのと同様に、観察者が視覚刺激を解読するために視覚刺激に対してしなければならない推定された低閾値距離(特定の単位)を表す分子を含むことができる。比は、視覚刺激(例えば、片眼を使用する)を正確に識別するまたは特徴付けるために被験者が視覚刺激からあり得る最長距離を識別する分子を含むことができ、視覚刺激を正確に識別するまたは特徴付けるために、代表的な被験者(視覚障害のない)が視覚刺激(または視覚刺激と同じまたは実質的に同様の高さおよび/または幅を有する同様の視覚刺激)からあり得る最長距離を識別する分母を含むことができる。比は、スネレン分率を含むことができる。比および/または検査は、分子または分母について同じ値を有する比を生成するように定義されることができる。一例として、20/40のメトリックは、平均的な障害のない観察者が40単位の測定値で検出および/または解読することができる刺激特徴を検出および/または解読するために、観察者が視覚刺激から20単位の測定値(例えば、フィート、ヤード、メートルなど)以内にいなければならないことを示すことができる。比は、指定された分子を含むことができる。例えば、分子が20に設定された比を含む比を出力するようにモデルが構成されることができる。
【0061】
場合によっては、訓練データ要素の全てが同じタイプの視-力メトリックを含む。例えば、訓練データ要素の全ては、スネレン分率を含むことができる。場合によっては、訓練データ要素のうちの少なくとも2つは、異なる種類の視力メトリックを含む。例えば、第1の訓練データ要素は、スネレン分率を含むことができ、第2の訓練データ要素は、LogMARスコアを含むことができる。これらの例では、訓練データ要素の少なくともいくつかのそれぞれが処理されて、視力メトリックを変換することができる。例えば、ルックアップテーブルまたはアルゴリズムが使用されて、LogMARスコアをスネレン分率に変換することができ、あるいはルックアップテーブルまたはアルゴリズムが使用されて、各LogMARスコアおよび各スネレン分率をさらに別のスケールに沿ってスコアに変換することができる。
【0062】
II.C.2.視力メトリックのためのタイミング関連付け
場合によっては、訓練データ要素の1つ以上のそれぞれについて、視-力メトリックは、訓練データ要素内の画像が収集された日付に対応する時間に実行された被験者の眼の機能的評価(例えば、チャートまたはカードの提示に応答して提供される回答による)に基づいて判定されたものを含む。例えば、被験者は、被験者の眼の画像が収集されたものと同じ日に、同じ週間以内に、または同じ2週間以内に(例えば、視力検査表上の文字または他の視覚刺激を正しく識別するまたは特徴付けることを試みることによって)視力評価を完了することができる。
【0063】
場合によっては、1つ以上の訓練データ要素のそれぞれについて、視-力メトリックは、訓練データ要素内の画像が収集された日付の後の時点で実行された被験者の眼の機能的評価に基づいて判定されたものを含む。例えば、被験者は、被験者の眼の画像が収集された日または期間の少なくともまたはおよそ1ヶ月後、少なくともまたはおよそ2ヶ月後、少なくともまたはおよそ6ヶ月後、少なくともまたはおよそ1年後、少なくともまたはおよそ2年後、または少なくともまたはおよそ5年後に視力評価を完了することができる。
【0064】
場合によっては、訓練データ要素のうちの1つ以上のそれぞれについて、訓練データ要素は、訓練データ要素内の画像が収集された日付に対応する時間に関連付けられた視力メトリックを含み、訓練データ要素内の画像が収集された日付の後の時間に関連付けられた別の視力メトリックをさらに含む。
【0065】
III.機械学習モデル
訓練データは、パラメータのセットが学習されるように、機械学習モデルを訓練するために使用されることができる。次いで、訓練された機械学習モデルが使用されて、他の入力(例えば、セクションII.Bに開示されているタイプなどのタイプを使用して前処理されることができるセクションII.Aに記載されているタイプのもの)を処理し、視力を予測する出力を生成することができる。
【0066】
III.A.モデルアーキテクチャ
機械学習モデルは、(例えば)深層学習アーキテクチャ、残差-ネットワークアーキテクチャ、および/または畳み込みニューラルネットワークアーキテクチャを有することができる。深層学習アーキテクチャは、モデルが階層学習を実行し、1つ以上の下位レベルの下位レベル特徴を最初に識別し、上位レベルの上位レベル特徴を識別するように構成されることができる。機械学習モデルは、(例えば)ResNetアーキテクチャ、AlexNetアーキテクチャ、DenseNetアーキテクチャ、EfficientNetアーキテクチャ、GoogLeNetアーキテクチャ、またはVGGNetアーキテクチャを有することができる。
【0067】
機械学習モデルは、1つ以上の畳み込み層(例えば、少なくとも3つの畳み込み層、少なくとも4つの畳み込み層、少なくとも5つの畳み込み層、または少なくとも7つの畳み込み層)、1つ以上の疎畳み込み層、1つ以上のプーリング層(例えば、最大プーリング層または平均プーリング層)、1つまたは1つ以上の開始モジュール、ドロップアウトの使用、バッチ正規化の使用、1つ以上の密層および/または1つ以上の活性化関数を含むことができる。場合によっては、1つ以上または全ての畳み込み層のそれぞれの後にプーリング層が続く。例えば、モデルは、5つの畳み込み層を含むことができ、3つの畳み込み層のそれぞれの後にプーリング層が続くことができる。プーリング層は、モデルによって学習されるパラメータの数を減らすことができる。
【0068】
機械学習モデルは、1つの層(層l)からの出力を1つの層に直接隣接しない別の層(層l+2、層l+3、層l+4など)に供給する残差層またはスキップ接続を含むことができる。スキップは、消失勾配状況を低減または回避することができる。したがって、スキップは、多数の層を有するネットワークの使用をさらに容易にすることができる。機械学習モデルは、(例えば)少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、または少なくとも45の畳み込み層(例えば、潜在的に、1つ以上の最大-プーリング層に加えて、1つ以上の平均プーリング層および/または1つ以上の完全接続層)を含むことができる。機械学習モデルは、それぞれが3つの層を含む残差ブロックを含むことができる。モデルの前段階の残差ブロックで使用されるカーネルのサイズは、モデルの後段階の残差ブロックで使用されるカーネルのサイズよりも小さくてもよい。
【0069】
機械学習モデルは、数値出力またはカテゴリ出力(例えば、視力のレベルを示すこと、および/または視力が閾値以上であるかどうかに関するバイナリ予測を含むこと)を出力するように構成されることができる。場合によっては、数値出力を出力する機械学習モデルは、線形活性化関数を含み、および/または誤差ベースの損失関数(例えば、平均二乗誤差)を使用する。カテゴリ出力を出力する機械学習モデルは、(例えば)ソフトマックス活性化関数を含むことができ、および/またはカテゴリ損失関数(例えば、疎なカテゴリのクロスエントロピー損失関数)を使用することができる。
【0070】
III.B.モデル訓練
場合によっては、第1の訓練データセットは、それぞれが(被験者の眼の)1つ以上の画像と、画像が捕捉された時刻に対応する時刻における被験者の視力に対応するラベルとを含む第1の訓練データ要素セットを含む。特定のアーキテクチャを有する機械学習モデルは、第1のパラメータセットが学習されるように、第1の訓練データセットを使用して訓練されることができる。
【0071】
第2の訓練データセットは、第2の訓練データ要素セットを含むことができ、第2の訓練データ要素セットは、それぞれが(被験者の眼の)1つ以上の画像と、画像が捕捉された時間よりも遅い(例えば、それよりも12ヶ月後)時間における被験者の視力に対応するラベルとを含む。場合によっては、第1の訓練データセットに表される各被験者は、第2の訓練データセットにも表される。場合によっては、第1の訓練データセットに表される被験者の少なくとも一部は、第2の訓練データセットにも表される。場合によっては、第1の訓練データセットに表される被験者は、第2の訓練データセットに表される被験者と少なくとも部分的にまたは完全に異なる。
【0072】
特定のアーキテクチャと少なくとも部分的または全体的に同じアーキテクチャを有する機械学習モデルは、第2のパラメータセットが学習されるように、第2の訓練データセットを使用して訓練されることができる。例えば、第1および第2の訓練データセットを使用して訓練されたモデルのそれぞれは、ResNet-50 CNNアーキテクチャを含むことができる。
【0073】
場合によっては、後続の視力メトリックを予測するように訓練されるべきモデルは、現在の(例えば、入力画像が収集された同じ期間に対応する)視力を予測するように訓練されたモデルによって学習されたパラメータを使用して初期化される。その後、後続の訓練が実行されることができる。
【0074】
場合によっては、単一の機械学習モデルは、第1および第2の訓練データセットの双方を使用して訓練されてもよいが、機械学習モデルは、予測がどの時点に対応するかに関する指示を(画像に加えて)受信するように構成されてもよい。
【0075】
場合によっては、機械学習モデルは、視力の低下速度、1つ以上の速度定数などを予測して、被験者の眼の視力が時間的にどのように変化するか(例えば、どのくらい迅速に視力が低下するか)を予測するように構成されることができる。予測は、経時的な視力を特徴付けるために、(例えば)線形、対数、多項式および/または指数関数で使用される定数を含むことができる。
【0076】
IV.臨床試験の設計、予後および処置選択を行うためのモデル出力の使用
現在の視力メトリックを予測し、特定の将来の時点での視力メトリックを予測し、および/または視力がどのように変化するかを予測するモデル出力は、(例えば)臨床トライアルの設計、被験者の予後および処置の選択を知らせるために使用されることができる。
【0077】
IV.A.臨床試験の設計
場合によっては、適格基準が観察されたまたは予測視力に関連するように臨床試験が定義されることができる。例えば、臨床試験は、20/80視力以上の視力を有する(および他の適格基準を満たす)被験者を登録するように定義されることができる。視力ベースの適格基準は、現在または過去の視力を特徴付ける、被験者の眼の少なくとも一部の画像に基づいて生成された視力メトリックに関すると定義されることができる。基準は、予測されたメトリックを必要とするか、または予測されたメトリックもしくは観測されたメトリックのいずれかを受け入れることを必要とすることがある。これに代えて、あるいはこれに加えて、後の時点における予測視力を特徴付ける予測視力メトリックに関するものとして、視力に基づく適格基準が定義されてもよい(例えば、現時点から1年の時点での予測視力が20/40視力より悪いことを必要とする)。
【0078】
多くの臨床試験(例えば、臨床トライアル)は、第1の群の被験者が治験処置を受け、第2の群の被験者が異なる処置、対照処置、無処置および/または標準的なケアを受けるように制御される。予測視力に対応するモデル結果が使用されて、第1の群の被験者の集団が第2の群の被験者の集団に類似するような被験者群の選択を容易にすることができる。現在、視覚機能がどれだけ急速に低下するかに関してAMD被験者全体でかなりの変動がある。したがって、一度に同一の視力を有する2人のAMD被験者は、2回目に著しく異なる視覚機能を有することができる。これは、一方の群が他方の群よりもはるかに速く進行するように、意図せずに被験者群を定義することをもたらし、結果を混乱させる可能性がある。
【0079】
したがって、臨床試験の層別化は、将来の時点における予測視力の範囲を指定する適格基準を含むように設計されることができる。例えば、臨床試験は、OCT画像またはカラー眼底画像が第1の期間(トライアル開始前)内に収集されたこと、および第2の時点(例えば、第1の期間から12ヶ月または18ヶ月)での予測視力が所定の範囲内にあることを必要とすることがある。基準は、画像が収集された時間に対応する予測視力の制約(例えば、範囲)をさらに識別することができる。
【0080】
追加的または代替的に、予測視力が使用されて、臨床トライアルデータを処理し、所与の処置から恩恵を受ける可能性が特に高い(あるいは、特に可能性が低い)被験者の種類に関する適応症および/または仮説を開発することができる。例えば、トライアル中またはトライアルの完了後に、処置群の各被験者について、現在の視力(例えば、視力検査表またはカードを使用して判定される場合)、予測現在視力(例えば、眼の現在の画像を使用して判定される)、AMDの現在の診断(例えば、AMDが湿潤型または乾燥型AMDである)などの現在のメトリックが判定することができる。次いで、トライアル-前の時間(例えば、画像が撮影された期間に関連する)に対応する予測視力メトリックが現在のメトリックを予測しているか、または後続の時間に対応する別の予測視力メトリックが現在のメトリックを予測しているかどうかが判定されることができる。
【0081】
IV.B.予後
予測視力メトリックは、被験者について特定された予後の一部として、または予後を知らせるために使用されることができる。被験者は、その後の時点(例えば、12ヶ月)での被験者の視力が、閾値よりも良好であるかまたはあまり実質的でない診断に対応する予測されたその後の視力を有する被験者と比較して、閾値よりも悪いかまたは実質的な低下に対応すると予測される場合、より悪い予後を有することができる。予後は、被験者の外観、処置選択などに影響を及ぼすことができる。
【0082】
IV.C.処置選択
異なる被験者が所与の処置に応答する程度に関して実質的な変動性がある。例えば、抗血管内皮成長因子(抗VEGF)は、新生血管AMDの標準的なケアである。しかしながら、被験者が応答する程度に関して、被験者にわたって高い変動性がある。
【0083】
疾患活動性は、(例えば)視力が低下するかまたは改善しない場合、OCTによって観察される網膜中心厚が減少しない場合、新たな網膜内液が検出される場合、新たな網膜下液が検出される場合、および/または新たな網膜肥厚が検出される場合に存在することができる。したがって、予測される将来の視力は、所与の被験者が特定の処置に効果的に応答するかどうかを知らせることができる。例えば、モデルは、処置が投与される前の被験者の眼の画像を含み且つその後の時点での予測視力(または予測視力変化)を(ラベルとして)含む訓練データセットを使用して訓練されることができ、被験者は、(画像収集に関連する)第1の期間と(その後の視力に関連する)第2の時点との間で特定の処置を受ける。
【0084】
したがって、介護者は、特定の処置を使用しながら、視力がどの程度変化するかを予測することができる。複数のモデルが使用されて、異なる可能性のある処置を評価することさえもできる。次いで、介護者は、特定の処置が特定の被験者に有効であるかどうか、および/または複数の処置のうちのどれが特定の被験者に最も有効であるかを予測することができる。
【0085】
例えば、新生血管AMDに関して、1つの処置選択肢は、抗-VEGF注射である(ここで、VEGFは、血管内皮成長因子と呼ばれるタンパク質を表し、これは眼の後ろに新たな血管の形成を促進することができ、血液および他の体液の漏出による黄斑変性を引き起こす可能性がある)。抗-VEGF注射は、血管の異常増殖を停止させるための眼の硝子体内への注射である。最も一般的な抗VEGF注射は、ラニビズマブ、ベバシズマブ、コンベルセプトおよびアフリベルセプトである。抗VEGF注射に対する人の反応は、注射を受けるべき頻度を決定するためにOCTまたはカラー眼底写真の手動評価によって頻繁に監視される。
【0086】
注射間の間隔を延ばすことができると判断されるまで、抗VEGF注射を毎月受けてもよい。新生血管AMDによる視力喪失は、常にではないが、抗VEGF注射の使用によって頻繁に停止される。時折、被験者は、抗VEGF注射の結果としていくらかの視力喪失を回復する。
【0087】
別の処置選択肢(現在は第III段階治験中)は、抗VEGF薬と組み合わせて使用されるポート送達システム(PDS)である。PDSは、抗VEGF薬を数ヶ月にわたって眼に連続的に送達することができる永久的に再充填可能な眼インプラントである。PDSは、薬物補給のために被験者が眼科医を年に2回だけ訪問することを可能にすることができる。眼科医への必要な来院回数を減らすことは、処置の負担を減らすことができ、これはしばしば処置不足および不良な視力結果につながる。
【0088】
さらに別の治療選択肢はfaricimabであり、これは第-III段階治験中の抗体である。ファリシマブは、眼内投与される。一部の視力喪失は、処置に応答して回復されることができる。
【0089】
さらにまた、新生血管AMDの別の処置選択肢は、光線力学的療法(PDT)である。PDTは、余分な血管を破壊するレーザー処置である。被験者が経験した視力喪失が突然ではなく徐々にである場合、医師は、抗VEGF注射の代わりにPDTを選択することができる。場合によっては、PDTは、抗VEGF処置と組み合わせられて、新生血管AMDによって引き起こされる中心視力障害を遅らせることができる。
【0090】
したがって、モデル予測が使用されて、抗VEGF剤、眼内注射を介して送達される抗VEGF剤、特定のVEGF剤(例えば、ラニビズマブまたはベバシズマブ)、特定の被験者および/または被験者の眼に対するPDSまたはPDTを推奨するか使用するかの決定を知らせることができる。
【0091】
IV.D.処置開始および/または変化の監視
場合によっては、機械学習モデル出力が使用されて、その時点でAMD処置または場合によってはAMD処置を受けていない被験者にAMD処置の使用を推奨、処方または投与することができる。例えば、被験者は、しばしば薬物で処置されない萎縮型AMDの診断を有することができる。しかしながら、機械学習モデル(例えば、萎縮型AMDと診断された被験者、新生血管AMDと診断された被験者、またはその双方に対応するデータを使用して訓練される)からの出力は、ベースライン日(入力画像が収集された)、同時訪問に対応する、または後続の時間(例えば、ベースライン日から3日、5日、1週間、2週間、1ヶ月、6ヶ月、1年、2年、5年)に対応する視力(例えば、最良矯正視力)が所定の閾値(例えば、20/30、20/40、20/60または20/80のスネレン分率に対応する)よりも悪いという予測に対応することができる。代替的または追加的に、機械学習モデル(例えば、萎縮型AMDと診断された被験者、新生血管AMDと診断された被験者、またはその双方に対応するデータを使用して訓練される)からの出力は、視力が少なくとも閾値の分数または絶対所定量(例えば、ベースライン時間におけるスネレン分率の90%未満、75%未満、66%未満または50%未満である後続時間におけるスネレン分率に対応する)だけ低下するという予測に対応することができる。
【0092】
これらのタイプの予測のうちの1つ以上に応答して、コンピューティングシステム(例えば、予測を生成したもの、または別のコンピューティングシステムから予測を受信したもの)は、特定の動作の推奨を出力することができ、介護者(例えば、医師、看護師、医院、病院など)は、特定の動作の推奨を提供することができ、および/または特定の動作が実行されることができる。特定の動作は、(例えば)(例えば、萎縮型AMDから新生血管AMDに、または早期萎縮型AMDから後期萎縮型AMDに)被験者の診断を変更すること、(例えば、本明細書で特定される1つ以上の処置を含む)被験者のAMD処置を開始すること、被験者の処置スケジュールを変更すること(例えば、抗VEGF投与の頻度を増加させること)、および/または(例えば、本明細書で特定されるものに)被験者のAMD処置を変更することを含むことができる。例えば、特定の動作は、被験者の抗VEGF処置を開始することを含むことができる。場合によっては、特定の動作は、(例えば)被験者の眼の撮像または視力検査の次の日付がスケジュールまたは変更され(例えば、より早い日付まで)、被験者の眼の撮像の頻度が増加し、および/または被験者の視力を検査する頻度が増加するように、監視計画を変更することを含む。
【0093】
V.例示的なプロセス
図1は、機械学習モデルを使用して被験者の眼の視力を予測するためのプロセス100を示している。プロセス100は、ブロック105で始まり、ここで機械学習モデルは、訓練画像のセットおよびラベルのセットを使用してパラメータのセットを学習するように訓練される。訓練画像のセットのそれぞれは、訓練画像のセットが訓練被験者のセットのそれぞれの眼のそれぞれの少なくとも一部を描写するように、訓練被験者の眼の少なくとも一部を描写することができる。訓練画像のセットは、(例えば)1つ以上のカラー眼底写真、1つ以上のOCT画像、および/または1つ以上の他の画像を含むことができる。ラベルのセットのそれぞれは、(例えば)数値視力などの視力メトリック、視力範囲の識別、および/または訓練被験者の眼が特定の閾値未満の視力を有するかどうかに関する指示を含むことができる。視力メトリックは、訓練画像が収集された時点(例えば、画像が収集された同じ日に)または訓練画像が収集された後の時点(例えば、訓練画像が収集された日付の約6ヶ月後、約12ヶ月後、約2年後、または約5年後)における訓練被験者の眼の視力を特徴付けることができる。
【0094】
場合によっては、訓練被験者の各セットは、(例えば、訓練画像の収集前に)黄斑変性症、加齢黄斑変性症、新生血管黄斑変性症、緑内障、糖尿病性網膜症、白内障、または黄斑浮腫などの視覚疾患または視覚医学的症状と診断されていた。場合によっては、訓練被験者のセットの1人または複数のそれぞれまたは全てのそれぞれは、視覚疾患または視覚医学的症状と診断されていなかった。場合によっては、訓練被験者のセットは、視覚疾患または視覚症状を有する訓練被験者と、視覚疾患または視覚症状を有しない訓練被験者の双方を含む。
【0095】
機械学習モデルは、深層畳み込みニューラルネットワークなどの本明細書に開示されるモデルを含むことができる。機械学習モデルは、1つ以上の残差接続および/または1つ以上のフィードフォワード層を含むことができる。パラメータのセットは、重みのセットおよび/または1つ以上の畳み込みカーネルを含むことができる。
【0096】
機械学習モデルは、画像を前処理し、次いで前処理された画像を(例えば)ニューラルネットワークに送信することができる1つ以上の前処理関数をさらに含むことができる。機械学習モデルは、(例えば)ニューラルネットワークからの出力を別の結果に変換することができる1つ以上の後処理関数をさらに含むことができる。例えば、後処理関数は、結果を特定の視力スケールに変換することができ、または数値ニューラルネットワーク出力が存在する範囲を識別することができる。
【0097】
ブロック110において、特定の被験者の眼の少なくとも一部の画像がアクセスされる。特定の被験者は、訓練被験者のセット内の各被験者とは異なっていてもよく、および/または訓練被験者のセットのうちの1つであってもよい。ブロック110においてアクセスされた画像は、眼底写真、カラー眼底写真、OCT画像、または別の画像を含むことができる。画像は、デジタル画像を含むことができる。眼の少なくとも一部は、(例えば)網膜、黄斑、視神経円板、レンズ、瞳孔および/または虹彩の少なくとも一部を含むことができる。例えば、画像は、網膜の少なくとも一部および黄斑の少なくとも一部を描写することができる。
【0098】
ブロック115において、特定の被験者の眼の少なくとも一部の画像が、訓練された機械学習モデルに入力される。訓練された機械学習モデルは、画像に基づいて、眼の予測視力に対応する視力メトリックを判定することができる。予測視力は、(例えば)数値視力、分類視力、視力範囲、および/または予測視力が閾値を超えるかどうかに関する指標を含むことができる。
【0099】
ブロック120において、視力メトリックが返される。例えば、視力メトリックは、ユーザインターフェースを介して提示(例えば、表示)されてもよい。別の例として、視力メトリックは、別の装置に(例えば、サーバからユーザ装置に)送信されてもよい。
【0100】
図2は、臨床試験のための視力予測を使用するプロセス200を示している。
ブロック205において、被験者のセットのそれぞれの視力が予測される。視力は、被験者の眼の視力を含むことができる。予測される視力は、被験者の眼の少なくとも一部の画像に基づいて予測される視力メトリックを含むことができる。視力は、プロセス100の一部の全てなど、本明細書の方法を使用して予測されることができる。予測視力は、画像の捕捉に対応する時間または後続の時間に対して予測された視力とすることができる。予測視力は、臨床試験に対応する特定の時間(例えば、処置開始後6ヶ月、監視開始後12ヶ月など)について予測された視力とすることができる。
【0101】
ブロック210において、被験者のセットのそれぞれについて、被験者が特定の臨床試験に参加する適格があるかどうかを判定することができる。判定は、適格性のセットのそれぞれが被験者について満たされるかどうかに基づくことができる。所与の基準は、(例えば)複数の条件のいずれかが満たされる場合に満たされるような論理を含むことができる。
【0102】
基準のセットは、被験者が特定の年齢内にあること、特定の視覚疾患または症状(例えば、加齢黄斑変性、新生血管加齢黄斑変性)と診断されていること、1つ以上の特定の他の疾患を有していないことなどを示すことができる。場合によっては、被験者のセットは、臨床試験に登録された被験者を含む。
【0103】
基準のセットは、被験者の予測視力を使用する基準を含むことができる。例えば、基準は、被験者が所定の閾値を超える予測視力メトリックと関連付けられるべきであることを示すことができる。別の例として、基準は、被験者が、所定の閾値を上回る視力メトリック変化と関連付けられるべきであることを示してもよい。視-力-メトリックの変化は、ある時点に関連する視-力メトリックと、ベースライン時点に関連する視力メトリックとの間の絶対差または相対差を含むことができる。時点は、(例えば)現在時刻、処置開始後の所定の期間(例えば、処置開始後6ヶ月、処置開始後12ヶ月)、臨床試験開始後の所定の期間、特定の日付などを含むことができる。ベースライン時点は、(例えば)被験者の眼の臨床試験または処置が開始される前の時間、被験者の眼の臨床試験または処置が開始された時間などに対応することができる。場合によっては、時点に関連する視力メトリックおよび時点に関連する視力メトリックおよびベースライン時点に関連する視力メトリックのそれぞれは、(例えば、機械学習モデルを使用して)被験者の眼の画像の少なくとも一部の処理に基づいて生成された視力メトリックを含む。例えば、ベースライン時点で収集された被験者眼の少なくとも一部の画像が使用されて、ベースライン時点での被験者眼の予測視力メトリック、および後続の時点での被験者眼の視力メトリックも生成することができる。別の例として、被験者の眼の少なくとも一部の画像は、ベースライン時点および後続の時点のそれぞれで収集されてもよく、画像は、関連する予測視-力メトリックを生成するために処理されることができる。場合によっては、時点と関連付けられた視力メトリックおよび時点と関連付けられた視力メトリックおよびベースライン時点と関連付けられた視力メトリックの一方は、視力検査(例えば、視力検査表またはアイカードを使用する)に基づいて生成され、時点と関連付けられた視力メトリックおよび時点と関連付けられた視力メトリックおよびベースライン時点と関連付けられた視力メトリックの他方は、被験者の眼の画像の少なくとも一部の処理によって生成される。
【0104】
ブロック215において、臨床試験は、被験者のセットのサブセットを用いて行われ、サブセット内の各被験者は、臨床試験に参加するのに適格であると判定された。サブセット内の各被験者について、視力に関する基準が満たされたと判定されることができる。臨床試験を実施することは、(例えば)被験者のサブセットを2つの群に層別化し、1つの群の被験者に治験処置を提供することを含むことができる。他方の群の被験者は、(例えば)異なる処置、処置なし、異なる投薬量の治験処置、異なるタイプの治験処置の投与または製剤、標準的なケアなどを受けることができる。
【0105】
ブロック220において、臨床試験の結果が生成される。例えば、結果は、治験処置が所与の医学的症状(例えば、視力検査によって示されるように、眼の画像化または他の検査)を減速、停止または逆転させるのに有効であった程度を示すことができる。有効性は、第1のサブセットと第2のサブセットとの間、所与の処置を受けている被験者と所与の処置を受けていない被験者との間などで視覚または他の医学的メトリックを比較することによって推定されることができる。場合によっては、結果は、ベースライン時に収集された被験者の眼の少なくとも一部の画像の処理に基づく被験者の視力と比較して、一定期間処置を受けた被験者の観察された視力の程度を示す。
【0106】
VI.実施例
VI.A.視力メトリックを予測するためにOCT画像を処理するための機械学習モデル
本実施例では、第3段階HARBOR臨床試験(本明細書では、「HARBOR」と呼ばれるNCT 00891735)において、深層学習が新生血管AMDを有する被験者からのOCT画像から同時および将来のBCVAを自動的に予測することができるかどうかを評価した。具体的には、結果は以下に関連した:(1)OCT画像から正確な最良矯正視力(BCVA)値を予測するために深層学習モデルの品質を評価するモデル、および(2)OCT画像から<69文字(スネレン当量、20/40)、<59文字(スネレン当量、20/60)、または≦38文字(スネレン当量、20/200)のBCVAを予測するモデル。BCVA結果については、深層学習モデルを、同じ(同時)訪問で撮影されたOCT画像からBCVAを予測する能力について、およびベースラインOCT画像から12ヶ月目のBCVAを予測する能力について評価した。20/40および20/60のスネレン当量は、これらのレベルよりも悪い視力が、それぞれ米国および世界保健機関の定義に基づく視力障害を反映すると考えられるために選択された。20/200以下のスネレン当量が使用されて、米国における法的盲目の定義を反映した。
【0107】
VI.A.1.方法
VI.A.1.a.データソース
第3段階HARBOR臨床試験から得られた1071人の被験者の予測的に収集されたBCVA測定およびOCT画像を使用した。HARBORは、ヘルシンキ宣言の趣旨にしたがい、医療保険の携行性と説明責任に関する法律に準拠していた。プロトコルは、試験開始前に各施設内審査委員会によって承認され、全ての被験者は、トライアルの結果に基づいて将来の医学的試験および分析のための書面によるインフォームドコンセントを提供した。
【0108】
HARBOR試験は、標準的なETDRSチャートおよびプロトコルを使用して、20/40から20/320(スネレン当量)の新生血管AMDに続発する処置未経験の中心窩下脈絡膜新生血管(CNV)を有する1097人の成人被験者を登録した。被験者(それぞれ1つの試験眼)が、以下の処置レジメンの1つにしたがって与えられるラニビズマブに対して1:1:1:1に無作為化された:毎月0.5mg、必要に応じて(PRN)の0.5mg、毎月2.0mg、および2.0mgのPRN。PRN群の被験者は、3回の毎月の注射とそれに続く毎月の評価を受け、OCT画像上に疾患活動性の徴候があった場合、または以前の来院からBCVAの5文字以上の減少があった場合にのみ再処置を受けた。BCVA測定およびOCT画像は、ベースライン時および24ヶ月間の毎月間隔で取得された。
【0109】
OCT画像。スペクトルドメインCirrus HD-OCT画像機器(米国カリフォルニア州ダブリンのCarl Zeiss Meditec)を使用して画像が収集された。分解能は、30.0×30.0×2.0μmのサイズの200×200×1024ボクセルであり、6×6×2mmのボリュームをカバーしていた。データセットは、1071人の被験者からの50,275回のOCT画像スキャンから構成された。50,275回のOCT画像スキャンのそれぞれについて、網膜がZeissソフトウェアによって提供される網膜色素上皮層分割まで平坦化され、ボリュームが平坦化した網膜色素上皮の上384画素および下128画素にトリミングされた。トリミングされたボリュームの中心に対して0、30、60、90、120、および150度の角度でz軸を中心に回転し、6つの角度のそれぞれに対して-8、-4、0、4、および8画素でオフセットすることによって、スキャンごとに512×200画素の30個のスライスが生成され、合計1,508,250個のスライスが得られた。OCT画像データセットは、被験者レベルで、(1)評価に使用するために147人の被験者の無作為に選択した内部検証試験セット(表1)と、(2)交差検証によってモデル開発に使用するためにさらに5つに分割した924人の被験者のセット(表2)とに分割された。各群の被験者は、各結果変数について一定のままであった。
【表1】
【表2】
【0110】
VI.A.1.b.深層学習モデリングの結果変数
BCVA。関心対象のBCVA結果は、(1)各試験来院時のETDRS文字におけるBCVA、および(2)特定のBCVA値が<69文字(スネレン当量、20/40)、<59文字(スネレン当量、20/60)、または≦38文字(スネレン当量、20/200)であったかどうかであった。20/40および20/60のスネレン当量は、それらが機能的に有意なレベルの視力障害を反映すると考えられるために選択され、20/200以下のスネレン当量が使用されて米国における法的失明の定義を反映した。
【0111】
内部検証試験セットにおける試験眼の平均(±標準偏差[SD])BCVAは、ベースラインで53.93(±13.20)文字、24ヶ月目で65.02(±17.12)文字であった;他眼の平均(±SD)BCVAは、ベースラインで69.46(±22.92)文字、24ヶ月目で68.56(±22.56)文字であった(表1)。ベースライン、6ヶ月目、12ヶ月目、18ヶ月目、および24ヶ月目の試験眼の視力範囲は、それぞれ55、83、89、82、および78文字であった(表1)。ベースライン、6ヶ月目、12ヶ月目、18ヶ月目、および24ヶ月目の他眼の視力範囲は、それぞれ93、98、100、96、および98文字であった(表1)。
【0112】
VI.A.1.c.深層学習アルゴリズム
DLモデルは、(1)同じ来院時に得られたOCT画像からのETDRS文字における正確なBCVA値;(2)ベースラインOCT画像から12ヶ月目の正確なBCVA;(3)同じ来院時に得られたOCT画像からBCVAが<69文字(スネレン当量、20/40)、<59文字(スネレン当量、20/60)、または≦38文字(スネレン当量、20/200);(4)ベースラインOCT画像から12ヶ月目に<69、<59、または≦38文字のBCVAを予測する能力について評価された。
【0113】
同時来院におけるBCVAの予測。深層学習モデリングは、Nvidia V100 GPU上のKeras(2.2.5)およびResNet-50 v2 CNNアーキテクチャを有するTensorFlow(1.14.0)を使用して実行された。512×200画素の個々のスライスが訓練セットから無作為にシャッフルされ、64画像のバッチサイズを使用してCNNに供給された。モデルは、OCT画像スキャンと同じ来院でBCVAを予測するように訓練された(図3)。場合によっては、グローバル平均プーリングおよびドロップアウトの層(0.85)が、線形活性化関数を用いて最終的な緻密層上でL正則化(0.05)を用いてCNNに追加された。このモデルは、本実施例では「同時来院回帰モデル」と呼ばれる。損失関数は、平均二乗誤差であり、オプティマイザはRAdamであった。モデルは、各交差検証折り畳みについてただ1つのエポックについて訓練された。
【0114】
場合によっては、最終層が疎カテゴリ交差エントロピー損失関数を有するソフトマックス活性化関数を使用したことを除いて、同時来院回帰モデルアーキテクチャが使用された。モデルは、各折り畳みの回帰モデルからの重みで初期化された。モデルは、Adamオプティマイザを使用して訓練不可能なベースモデル層を有する2つのエポック、次いで確率的勾配降下(SGD)オプティマイザを使用して訓練可能なベースモデル層を有する追加の1つのエポックについて訓練された。
【0115】
ベースラインから12ヶ月でのBCVAの予測。ベースラインOCT画像から12ヶ月目のBCVAを予測する回帰タスクのために、Nvidia V100 GPU上のKeras(2.2.5)およびResNet-50 v2 CNNアーキテクチャを有するTensorFlow(1.14.0)を使用して深層学習モデリングが実行された。512×200画素の個々のスライスが訓練セットから無作為にシャッフルされ、64画像のバッチサイズを使用してCNNに供給された。モデルは、OCT画像スキャンと同じ来院でBCVAを予測するように訓練された(図3)。場合によっては、グローバル平均プーリングおよびドロップアウトの層(0.995)が、線形活性化関数を用いて最終的な緻密層上でL正則化(0.05)を用いてCNNに追加された。各折り畳みについて、モデルは、同時来院時にBCVAを予測するように訓練された回帰モデルからの重みで初期化された。最初の3つのエポックは、訓練不可能なベースモデル層を有するSGDオプティマイザを使用して訓練され、次いで、SGDオプティマイザを使用して訓練可能なベースモデル層を有する追加の1000エポックについて訓練された。このモデルは、本実施例では「12ヶ月回帰モデル」と呼ばれる。
【0116】
分類のために、最終層が疎カテゴリ交差エントロピー損失関数を有するソフトマックス活性化関数を使用したことを除いて、12ヶ月回帰モデルアーキテクチャが使用された。各折り畳みについて、モデルは、ベースラインから12ヶ月でBCVAを予測するように訓練された回帰モデルからの重みで初期化された。モデルは、RAdamオプティマイザを使用して訓練不可能なベースモデル層で20エポックについて訓練された。予測に使用した重みは、各折り畳みにおいて最も低い検証損失を有するエポックから選択された。
【0117】
深層学習モデルの評価。特定の訪問時にモデル適合を評価するメトリックは、サンプル外の内部検証試験セットの5つの開発モデルのそれぞれからの30個のスライスについて生成された眼あたりの予測の平均によって眼のレベルで計算された。換言すれば、訓練セットからのデータの80%を見た5つの交差検証モデルのそれぞれが使用されて、テストセット内の眼あたり30個のスライスのそれぞれについて予測を生成し、眼あたり150個の予測が得られ、そのうちの150個の予測の平均が取られる。さらにまた、同じ眼の反復測定の潜在的なバイアスを考慮しながら、全ての来院にわたる同時来院でのモデル性能を評価するために、回帰タスクについて全ての来院の平均が判定され、分類タスクの各被験者について来院が無作為に選択された。Bland-AltmanプロットからのR値、二乗平均平方根誤差(RMSE)、および平均差(MD)、ならびに95%一致限界(LOA)が使用されて、深層学習回帰モデルを評価したのに対して、受信機動作特性曲線(AUC)下領域および精度再現曲線(AUPRC)下領域が使用されて、分類のための深層学習モデルの性能を評価した。ベースラインOCT画像からの12ヶ月目のBCVAの深層学習予測が、ベースラインBCVAのみを使用する場合と比較して追加の情報に寄与するかどうかを理解するために、R統計プログラミング言語が使用されて線形モデルが適合されて、(i)ベースラインOCT画像からの12ヶ月目のBCVAの深層学習予測の単変数入力、(ii)ベースラインBCVAの単変数入力、および(iii)ベースラインOCT画像からの12ヶ月目のBCVAの深層学習予測とベースラインBCVAの双方の多変数入力から12ヶ月目のBCVAを予測した。さらに、5折り畳み交差検証調整セットからの結果は、来院あたり目あたり30の調整予測の平均を使用して報告される(表3-6)。
【0118】
VI.A.2.結果
VI.A.2.a.同時来院における最良矯正視力(BCVA)の予測
回帰結果。試験眼では、同時来院でBCVAを予測するための深層学習モデルは、ベースラインで、R=0.24、RMSE=11.55、MD=-1.81文字、95%LOAが-26.57から22.95文字を有し、全ての来院にわたる平均について、R=0.67、RMSE=8.60、MD=0.04文字、95%LOAが-16.96から17.04文字を有した(表3;図4A)。他眼では、ベースラインで、R=0.80、RMSE=10.35、MD=-1.86文字、95%LOAが、-23.03から19.31文字であり、全ての来院にわたる平均について、R=0.84、RMSE=9.01、MD=0.51文字、95%LOAが-17.58から18.61文字であった(表3;図4B)。全眼では、ベースラインで、R=0.66、RMSE=11.75、MD=-1.84文字、95%LOAが-24.83から21.16文字であり、全ての来院にわたる平均について、R=0.79、RMSE=8.78、MD=0.28文字、95%LOAが-17.26から17.81文字であった(表3;図4C)。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0119】
<69文字(スネレン当量、20/40)のBCVAを予測する分類モデル。試験眼では、<69文字(スネレン当量、20/40)のBCVAを予測するための深層学習モデルは、各眼につき無作為に行われた1回の同時来院についてAUC=0.89を有し、AUPRC=0.88であり、クラスバランスは、72の陽性眼および75の陰性眼であった。(表4;図5A)。他眼では、<69文字(スネレン当量、20/40)のBCVAを予測するための深層学習モデルは、各眼につき無作為に行われた1回の同時来院についてAUC=0.93を有し、AUPRC=0.97であり、クラスバランスは、103の陽性眼および44の陰性眼であった。(表4;図5B)。全眼では、<69文字(スネレン当量、20/40)のBCVAを予測するための深層学習モデルは、各眼につき無作為に行われた1回の同時来院についてAUC=0.92を有し、AUPRC=0.94であり、クラスバランスは、175の陽性眼および119の陰性眼であった。(表4;図5C)。
【0120】
<59文字(スネレン当量、20/60)のBCVAを予測する分類モデル。試験眼では、<59文字のBCVAを予測するための深層学習モデルは、各眼につき無作為に行われた1回の同時来院についてAUC=0.92を有し、AUPRC=0.95であり、クラスバランスは、100の陽性眼および47の陰性眼であった。(表4)。他眼では、<59文字のBCVAを予測するための深層学習モデルは、各眼につき無作為に行われた1回の同時来院についてAUC=0.97を有し、AUPRC=0.99であり、クラスバランスは、114の陽性眼および33の陰性眼であった。(表4)。全眼では、<59文字のBCVAを予測するための深層学習モデルは、各眼につき無作為に行われた1回の同時来院についてAUC=0.95を有し、AUPRC=0.98であり、クラスバランスは、214の陽性眼および80の陰性眼であった。(表4)。
【0121】
≦38文字(スネレン当量、20/200)のBCVAを予測する分類モデル。試験眼では、≦38文字のBCVAを予測するための深層学習モデルは、各眼につき無作為に行われた1回の同時来院についてAUC=0.92を有し、AUPRC=0.99であり、クラスバランスは、113の陽性眼および14の陰性眼であった。(表4)。他眼では、≦38文字のBCVAを予測するための深層学習モデルは、各眼につき無作為に行われた1回の同時来院についてAUC=0.98を有し、AUPRC=1.00であり、クラスバランスは、129の陽性眼および18の陰性眼であった。(表4)。全眼では、≦38文字のBCVAを予測するための深層学習モデルは、各眼につき無作為に行われた1回の同時来院についてAUC=0.96を有し、AUPRC=0.99であり、クラスバランスは、262の陽性眼および32の陰性眼であった。(表4)。
【0122】
VI.A.2.b.ベースラインOCT画像から12ヶ月でのBCVAの予測
回帰結果。ベースラインOCT画像から12ヶ月目のBCVAを予測するモデルの能力を評価するために使用したデータセットの特性が表1に示される。ベースラインOCT画像から12ヶ月でBCVAを予測するための深層学習モデルは、試験眼、他眼、および全眼について、それぞれ、R=0.33、0.75、および0.58であり、ならびにRMSE=14.16、11.27、および13.25であった(表7;図6A図6B図6C)。ベースラインOCT画像から12ヶ月でBCVAを予測するための深層学習モデルは、試験眼に対してMD=-1.63文字、95%LOAが-29.48から26.22文字であり、他眼に対してMD=-2.31文字、95%LOAが-29.96から25.33文字であり、および全眼に対してMD=-1.97文字、95%LOAが-29.67から25.73文字を有した(図4A図4B図4C)。ベースラインOCT画像およびベースラインBCVAからの12ヶ月目のBCVAの双方の深層学習予測から12ヶ月でBCVAを予測するための多変数線形モデルは、試験眼、他眼および全眼について、それぞれ、R=0.40、0.88および0.68を有した(表7)。
【0123】
<69文字(スネレン当量、20/40)のBCVAを予測する分類モデル。ベースラインOCT画像から<69文字の12ヶ月目のBCVAを予測するための深層学習モデルは、それぞれ試験眼、他眼、および全眼について、AUC=0.80、0.92、および0.87を有した(表8;図7A図7B図7C)。試験眼では、ベースラインOCT画像から<69文字の12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習モデルは、AUPRC=0.74を有し、クラスバランスは、58の陽性眼および68の陰性眼であった。他眼では、ベースラインOCT画像から<69文字の12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習モデルは、AUPRC=0.97を有し、クラスバランスは、88の陽性眼および37の陰性眼であった。全眼では、ベースラインOCT画像から<69文字の12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習モデルは、AUPRC=0.91を有し、クラスバランスは、146の陽性眼および105の陰性眼であった。
【0124】
<59文字(スネレン当量、20/60)のBCVAを予測する分類モデル。ベースラインOCT画像から<59文字の12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習モデルは、試験眼、他眼、および全眼について、それぞれ、AUC=0.84、0.93、および0.89を有した(表8)。試験眼では、ベースラインOCT画像から<59文字の12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習モデルは、AUPRC=0.90を有し、クラスバランスは、83の陽性眼および43の陰性眼であった。他眼では、ベースラインOCT画像から<59文字の12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習モデルは、AUPRC=0.98を有し、クラスバランスは、101の陽性眼および24の陰性眼であった。全眼では、ベースラインOCT画像から<59文字の12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習モデルは、AUPRC=0.95を有し、クラスバランスは、184の陽性眼および67の陰性眼であった。
【表7】
【表8】
【0125】
≦38文字(スネレン当量、20/200)のBCVAを予測する分類モデル。ベースラインOCT画像から≦38文字の12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習モデルは、試験眼、他眼、および全眼について、それぞれ、0.77、0.96、および0.89のAUCを有した(表8)。試験眼では、ベースラインOCT画像から≦38文字の12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習モデルは、AUPRC=0.97を有し、クラスバランスは、114の陽性眼および12の陰性眼であった。他眼では、ベースラインOCT画像から≦38文字の12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習モデルは、AUPRC=0.99を有し、クラスバランスは、109の陽性眼および16の陰性眼であった。全眼では、ベースラインOCT画像から≦38文字の12ヶ月目のBCVAを予測する深層学習モデルは、AUPRC=0.98を有し、クラスバランスは、223の陽性眼および28の陰性眼であった。
【0126】
VI.A.3.考察
上記の結果によって示されるように、深層学習モデルは、新生血管AMDを有する被験者におけるOCT画像からBCVAを予測することができる。導出されたモデルの予測精度は、他眼で最大であり、平均予測値と平均観察BCVA~0.92との間の相関に到達した(R=0.84、RMSE=9.01;表3)。試験眼のBCVA結果について中程度から強い相関も見られ、ベースライン(処置前)で約0.49(R=0.24、RMSE=11.55;表3)および24ヶ月目(処置後)で約0.79(R=0.62、RMSE=10.54;表3)の相関があった。
【0127】
提示されたモデル結果(アプリRMSE 10文字誤差)をベンチマークするために、HARBOR試験におけるベースラインBCVAに対するBCVAのスクリーニングに基づいて、単純線形回帰を使用して予測を生成した。スクリーニングとベースライン来院との間の平均日数は8.3dであり、平均変化は0.6文字であった。このBCVA対BCVA予測では、(回帰からの)RMSEは、6.1文字である。6.1文字のこの平均誤差は、HARBOR試験におけるBCVA観察に固有の情報限界を表す可能性が高い。新生血管AMDにおける視力スコアのインタセッション再現性に関する以前の研究は、約12文字の誤差を報告している。注目すべきことに、HARBORトライアルにおけるaVEGF処置に対する平均BCVA改善は7.6~9.1文字として報告された。OCT画像対BCVAからの予測を行う本実施例で使用される深層学習予測モデルの品質は、上記の(情報)限界と比較されるべきである。
【0128】
結果は、新生血管AMDにおける網膜構造と視覚機能との間のマッピング(深層学習モデルによって定義される)の存在を示唆している。その結果、OCT画像は、臨床試験ならびに遠隔医療または在宅モニタリングなどの発展中の臨床診療環境において視覚機能を間接的に測定する手段を提供することができる。
【0129】
試験眼の視覚機能を予測することと他眼の視覚機能を予測することとの間のモデル性能の差は、試験眼におけるベースライン時のBCVAの制限された範囲について予想された。具体的には、HARBORの適格基準は、試験眼がベースラインでいくらかの視力喪失および中心窩下CNVを有し、BCVAが20/40~20/320(スネレン当量)であることを必要とした。これらの基準は、他眼には必要とされなかった。したがって、ベースライン(SD=13.2;表1)での試験眼におけるBCVAの制限された範囲は、ベースライン(ベースラインSD=22.9;表1)でのBCVAの変動性がより大きかった他眼におけるBCVAを予測するタスクと比較して、ダイナミックレンジを減少させ、より困難な回帰タスクをもたらした。この観察は、OCT画像からのBCVAの同時予測の予測精度が、BCVAの変動性の増加とともに、トライアルの経過にわたって試験眼において増加するという事実によって支持される(表1~3、表9)。処置後の範囲のこの増加は、多くの被験者において視覚的改善をもたらす有効な処置と一致している。シミュレーションにより、BCVAの分散が、ベースラインでの試験眼の分散に対して他眼において(人工的に)制限された場合、すなわちSD=13.2に制限された場合、Rは、0.80から0.33に減少した(図8)。同様に、ベースライン、6、12、18、および24ヶ月目における試験眼および他眼についてlog(var(BCVA))をlog(1-R)に対してプロットした場合、得られた(最良適合)パターンは線形であり(-1.22の傾きを有する)、回帰および相関モデルについてのR付近の理論と一致する(図9)。さらに、推定残留誤差(RMSE)から分かるように、モデルは、各時点で同様の性能を有するように見える(表3および表9)。
【表9】
【0130】
特定のおよび測定可能な解剖学的変化と視覚との間の正確な関係を判定することは困難である。この関係を調査するための従来の手法は、1つ以上の解剖学的特徴を選択し、次いで分析を実行して、視覚との関連を定量化することができるかどうかを判定することである。したがって、この手法は、視覚機能との有意な関係の可能性が最も高い潜在的に大きな網膜構造および特徴のセットを事前に決定する研究者の能力によって制限される。対照的に、深層学習ベースのアルゴリズム(特にCNN)は、定量的調査の前に解剖学的特徴を識別する必要はない。代わりに、深層学習アルゴリズムは、OCT画像を全体として評価し、画像から直接学習して、関心のある結果の最も正確な予測を可能にする特徴を識別する。12ヶ月目のBCVAを予測するためにベースラインBCVAとともに既知のイメージング特徴を使用する場合にR=0.34を報告するHARBORトライアルからの614名の被験者のサブセットで以前に報告された交差検証結果と比較して、この実施例で試験された回帰深層学習モデルは、調整セットの924名の被験者でR=0.45、内部検証試験セットの126名の被験者でR=0.40を達成する。原則として、これは、視覚機能にとって重要な、以前は認識されていなかった解剖学的特徴、または特徴の組み合わせの識別につながる可能性がある。
【0131】
別個の深層学習モデルは、ベースラインOCT画像測定の時点から12カ月の試験眼においてBCVA値を予測することができ、約0.57の中程度の相関があった(R=0.33;表7)。既にベースラインBCVAを含む回帰モデルに追加した場合(P<0.001)、(ベースラインからの)OCT画像ベースの予測は高度に統計学的に有意なままであった(P<0.001)ことに留意することは興味深い。この多変数モデルでは、双方の予測子は、モデルR=0.40(表7)で、将来の視覚関数のほぼ等しい情報を提供する。ベースラインで層別化因子として使用される場合、この予測モデルは、同じ統計力でより小さい/より短いトライアルに変換されることができる。最初に、別個のモデルが試験眼および他眼に使用されたが、驚くべきことに、結果は、一緒にプールされた試験眼および他眼で訓練されたモデルからの予測性能に関して有意に異ならなかった。
【0132】
BCVAを予測するための深層学習モデルの使用は、意味のある臨床的有用性を有することができる。BCVAの測定は、しばしば面倒であり、正確な屈折検査のために特殊なリソースを必要とする。実際、診療所環境外の網膜の健康の評価では、OCT画像のコンピュータ視覚ベースの分析で視覚機能測定を増強する能力は、被験者のスクリーニングおよび監視に有益であることが証明される可能性が高い。例えば、遠隔医療を介した遠隔診察を支援することができ、医師は、患者の現在および将来の視覚的可能性に関する深層学習データを使用して、臨床的決定を支援することができる。さらにまた、臨床試験では、将来のBCVA応答を予測するのに役立つ深層学習モデルを使用して、処置から利益を得る可能性が高い個体に焦点を合わせることによってトライアル登録またはトライアル層別化を支援することができる。
【0133】
VI.B.カラー眼底画像を処理して視力メトリックを予測するための機械学習モデル
本実施例では、深層学習が、新生血管AMDを有する被験者のカラー眼底写真(CFP)画像からBCVAを自動的に予測できるかどうかを評価した。具体的には、第1の深層学習回帰モデル(深層畳み込みニューラルネットワークおよび線形活性化関数を含む)を使用して、2メートル(m)および4mのチャート距離のCFP画像から正確なBCVAを予測した。さらに、第2の深層学習分類モデル(深層畳み込みニューラルネットワークおよびソフトマックス活性化関数を含む)が使用された。
【0134】
VI.B.1.方法およびデータ
VI.B.1.a.データソース
第3段階MARINA臨床試験(NCT 00056836)からの707名の被験者および第3段階ANCHOR臨床試験(NCT 00061594)からの413名の被験者について撮影した、予測的に収集したBCVA測定値およびCFP画像が使用された。MARINAおよびANCHORは、ヘルシンキ宣言の趣旨に沿い、医療保険の携行性と説明責任に関する法律に準拠していた。プロトコルは、試験開始前に各施設内審査委員会によって承認され、全ての被験者は、トライアルの結果に基づいて将来の医学的試験および分析のための書面によるインフォームドコンセントを提供した。
【0135】
MARINAでは、標準的なETDRSチャートおよびプロトコルを用いて、試験眼において20/40から20/320(スネレン当量)のBCVAを有していた場合、新生血管AMDに続発する中心窩下脈絡膜新生血管(CNV)を有する720人の成人被験者を登録した。ANCHORでは、試験眼において20/40から20/320(スネレン当量)のBCVAを有していた場合、新生血管AMDに続発する中心窩下脈絡膜新生血管(CNV)を有する426人の成人被験者を登録した。
【0136】
VI.B.1.b.CFP画像
MARINAからの合計36541枚の画像およびANCHORからの33591枚の画像が分析された。左右双方の立体視からのF1M、F2、およびF3Mの内部捕捉視野が分析に含められたが、眼の外部視野(FR捕捉視野)は除外された。(特に、F4、F5、F6、および/またはF7フィールドは、代替的に、視力メトリックを予測するために使用されてもよい)。無関係な情報を除去するために、カメラレンズによって生成された円に合うように画像がトリミングされた。次いで、画像が299×299×3画素にサイズ変更された。MARINAからのCFP画像が被験者レベルで5つの折り畳みに分割され、交差検証によるモデル開発に使用された。各折り畳みの被験者は、回帰タスクおよび分類タスクの双方について一定のままであった。
【0137】
VI.B.1.c.深層学習モデリングの結果変数
関心対象のBCVA結果は、(1)各来院時のETDRS文字におけるBCVA、および(2)特定のBCVA値が<69文字である(スネレン当量20/40)かどうかであった。20/40のスネレン当量は、視力障害の機能的に有意なレベルを反映すると考えられるために選択された。ANCHOR外部検証試験セットにおける眼の平均(±標準偏差[SD])BCVAは、2mの距離でBCVA測定を行った被験者では55.7±24.7文字であり、4mの距離でBCVA測定を行った被験者では55.0±25.2文字であった(表10)。
【表10】
【0138】
VI.B.1.d.深層学習アルゴリズム
深層学習モデルは、(1)同じ来院時に得られたCFP画像からのETDRS文字の正確なBCVA値、および(2)同じ来院時に得られたCFP画像からの<69文字(スネレン当量、20/40)のBCVAを予測するそれらの能力について評価した。
【0139】
深層学習モデリングは、Nvidia V100 GPUにおいて、Keras(2.2.5)を有するTensorFlow(1.14.0)、および、CFPと同じ来院時にBCVAを予測するように訓練されたインセプション-ResNet-v2 CNNアーキテクチャを使用して実行された。
【0140】
回帰モデルについては、グローバル平均プーリング、ドロップアウト(0.5)、密(256)、および密(1)の層がベースCNNモデルに追加された。BCVAが測定された距離を説明するために、2mまたは4mの対応するチャート距離が最終緻密層(図10)に連結された。損失関数は、平均二乗誤差であった。5つの交差検証折り畳みのそれぞれについて、ImageNetデータセットで事前訓練された重みでモデルが初期化され、Adamオプティマイザを使用して訓練不可能なベースモデル層で2エポックについて訓練され、次いで、RAdamオプティマイザを使用して訓練可能なベースモデル層でさらに200エポックについて訓練された。
【0141】
分類モデルについて、アーキテクチャは、最終層が疎なカテゴリのクロスエントロピー損失関数を有するソフトマックス活性化関数を使用した密(2)であることを除いて、回帰モデルと同じままであった。モデルは、各折り畳みの回帰モデルからの重みで初期化された。モデルは、Adamオプティマイザを使用して訓練不可能なベースモデル層で3エポックについて訓練された。
【0142】
VI.B.1.e.深層学習モデルの評価。
最も低い検証損失を有するエポックからのモデル重みが、各交差検証折り畳みから選択された。モデル適合を評価するためのメトリックは、ANCHORのサンプル外外部検証試験セットの5つの交差検証折り畳みのそれぞれからの各来院時に眼に対して生成された予測の平均によって計算される(表11)。さらに、MARINAの5つの折り畳み交差検証調整セットの結果が報告される(表11)。R値が使用されて深層学習回帰モデルをベンチマークした一方で、受信機動作特性曲線下面積(AUC)が使用されて、分類のための深層学習モデルの性能を評価した。
【0143】
VI.B.2.結果
回帰モデルの結果。チャート距離2mでBCVAを予測する回帰モデルは、MARINA展開セットではR=0.56(95%CI:0.54、0.57)、ANCHOR外部検証試験セットではR2=0.59(95%CI:0.57、0.60)であった(表11、図11A)。チャート距離4mでBCVAを予測する回帰モデルは、MARINA展開セットではR=0.57(95%CI:0.55、0.60)、ANCHOR外部検証試験セットではR=0.60(95%CI:0.57、0.63)であった(表11、図11B)。図11Aおよび図11Bは、カラー眼底写真画像を分析してANCHOR外部検証テストセットにおけるBCVAを予測する深層学習回帰モデルの性能を示している。図11Aは、2メートルのチャート距離における実際対予測のBCVAを示している。R=0.59。図11Bは、4メートルのチャート距離における実際対予測のBCVAを示している。R=0.60。
【0144】
分類モデルの結果。チャート距離2mで<69文字(スネレン当量20/40)のBCVAを予測する分類モデルは、MARINA開発セットではAUC=0.86(95%CI:0.85、0.87)であり、ANCHOR外部検証試験セットではAUC=0.86(95%CI:0.85、0.87)であった(表11、図12A)。チャート距離4mで<69文字(スネレン当量20/40)のBCVAを予測する分類モデルは、MARINA開発セットではAUC=0.87(95%CI:0.85、0.88)であり、ANCHOR外部検証試験セットではAUC=0.88(95%CI:0.86、0.90)であった(表11、図12B)。図12Aおよび図12Bは、カラー眼底写真画像を分析して、ANCHOR外部検証試験セットで<69文字(スネレン当量<20/40)のBCVAを予測する深層学習分類モデルの性能を示している。図12Aは、2メートルのチャート距離における受信機動作特性曲線(AUC)下領域を示している。AUC=0.86。図12Bは、4メートルのチャート距離におけるAUCを示している。AUC=0.88。
【表11】
【0145】
VI.B.3.考察
結果は、ニューラルネットワークが新生血管加齢黄斑変性症を有する被験者において網膜構造と視覚機能との間の定量的関係を学習することができることを実証している。
【0146】
VII.コンピューティングシステム
図13は、本明細書に開示される1つ以上の動作および/または1つ以上の方法の一部または全部を実行するように構成されることができるコンピューティングシステムのネットワーク1300を示している。ネットワーク1300は、被験者の眼の1つ以上の画像を収集するように構成された1つ以上の眼撮像システム1305を含むことができる。1つ以上の眼撮像システムは、本明細書に開示される1つ以上の技術(例えば、セクションII.A.1に開示されている光干渉断層撮影、またはセクションII.A.2に開示されているカラー眼底写真)を含むことができる。眼撮像システムは、(例えば)OCT画像またはカラー眼底写真を収集するように構成された光学部品を含むことができる。例えば、眼撮像システムは、干渉計(例えば、マイケルソン型干渉計)、光源(例えば、低コヒーレンス、広帯域幅)、およびビームスプリッタを含むことができる。別の例として、眼撮像システムは、眼底カメラを含むことができる。眼撮像システムは、画像(またはその処理されたバージョン)を記憶および/または送信するためのコンピューティングシステム(例えば、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリ、および/または1つ以上の送信機を有する)を含むことができる。
【0147】
ネットワーク1300は、視力検査表またはアイカードなどの視覚刺激を見ることに対する被験者の応答に基づいて生成された視力メトリックを収集および送信するように構成された1つ以上のコンピューティングシステム(例えば、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリ、または1つ以上の送信機を有する)を含むことができる1つ以上の視覚機能評価システム1310を含むことができる。視力メトリックは、セクションII.C.1に開示されているメトリックを含むことができる。視力メトリックは、本明細書に開示される技術に基づいて判定されることができる。場合によっては、視覚機能評価システムは、システムのスクリーン上に視覚刺激を提示する。場合によっては、視覚刺激は、別々に提示される(例えば、物理的なチャートまたはカードを介して)。
【0148】
機械学習モデルシステム1315は、(例えば、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のメモリ、1つ以上の送信機および/または1つ以上の受信機を有する)1つ以上のコンピューティングシステムを含むことができる。機械学習モデルシステム1315は、その一部または全部がクラウドコンピューティングシステムであってもよい。機械学習モデルシステム1315は、1つ以上のサーバを含むことができる。場合によっては、機械学習モデルシステム1315は、被験者の被験者装置および/または医療装置(例えば、ウェアラブル装置、スマートフォンなど)であるか、またはその内部に含まれる。
【0149】
機械学習モデルシステム1315は、機械学習モデルを訓練および/または使用するように構成されることができ、機械学習モデルは、1つ以上の前処理関数(例えば、セクションII.B.に開示されている)および1つ以上のニューラルネットワーク(例えば、セクションIII.Aに開示されているアーキテクチャおよび/または特性を有する)を含むことができる。
【0150】
機械学習モデルシステム1315は、(例えば)セクションIII.B.に開示されている技術を使用して機械学習モデルを訓練することができる。機械学習モデルシステム1315は、訓練被験者のセットのそれぞれについて、訓練データ(例えば、セクションII.Cに開示されている)を受信することができる。訓練データは、各訓練被験者について、(眼撮像システム1305からの)片眼または両眼の1つ以上の画像と、(視覚機能評価システム1310からの)片眼または両眼に対応する視力スコアまたはメトリックとを含むことができる。場合によっては、片眼または両眼のそれぞれについて、異なる時点(例えば、眼の画像が収集された時点の相対値)に対応する複数の視-力メトリックが受信される。例えば、1つのメトリックは、眼の画像が収集されたのと同じ日に投与される視覚機能試験(例えば、視力検査表の読み取り)に対応することができ、別のメトリックは、眼の画像が収集された約6ヶ月後または約1年後に投与される視覚機能試験に対応することができる。機械学習モデルシステム1315は、画像および視力メトリックを使用して、機械-学習モデル(例えば、深層畳み込みネットワークを使用する)を訓練して、眼の画像に基づいて視-力メトリック(またはバイナリインジケータなどの別の種類の視力メトリック)を予測することができる。場合によっては、モデルは、画像を前処理するための1つ以上の前処理関数を含む。モデルを訓練することは、パラメータのセットを学習することを含むことができる。
【0151】
次いで、機械学習モデルシステム1315は、別の被験者に対応する別の画像(例えば、別の眼撮像システム1305から)を受信することができ、訓練されたモデルを使用して、他の画像に関連する被験者の現在および/または将来の視力メトリックを予測することができる。
【0152】
機械学習モデルシステム1315は、予測視力メトリックを(例えば、被験者の識別子とともに)1つ以上のユーザ装置1320に送信することができる。1つ以上のユーザ装置1320は、被験者または被験者自身の介護者(例えば)に相当してもよい。1つ以上のユーザ装置1320のユーザは、(例えば)セクションIVに開示されている方法で結果を使用することができる。
【0153】
場合によっては、眼撮像システム1305、視覚機能評価システム1310、またはユーザ装置1320のうちの2つ以上は、同じエンティティによって所有され、同じ場所に配置され、および/または同じコンピューティングシステム(例えば、介護提供者のオフィスにおける)内に含まれる。場合によっては、被験者の装置(例えば、スマートフォン)は、2つ以上の図示された構成要素のそれぞれの少なくとも一部を含む。例えば、スマートフォンへの付属品が使用されて、被験者の眼の画像を収集することができ、訓練済みの機械学習モデルは、スマートフォン上でローカルに実行されることができ、予測された視力は、スマートフォンに提供されることができる。
【0154】
VIII.例示的な実施形態
第1の例示的な実施例は、画像処理に基づいて視力を予測する方法である。本方法は、被験者の眼の少なくとも一部の画像にアクセスすることと、画像を機械学習モデルに入力して、予測視力に対応する予測視力メトリックを判定することであって、機械学習モデルが、パラメータのセットであって、訓練画像のセットであって、訓練画像のセットのそれぞれが、訓練被験者のセットのうちの訓練被験者の眼の少なくとも一部を描写する、訓練画像のセットと、訓練被験者のセットのそれぞれについて観察された視力を識別するラベルのセットと、を使用して判定されるパラメータのセットと、画像およびパラメータを視力メトリックに関連付ける関数と、を含む、判定することと、画像およびパラメータを視力メトリックに関連付ける関数(例えば、関数は、訓練画像を観察された視力メトリックに関連付けるように学習され、関数は、非訓練画像を予測された視-力メトリックに関連付けるために使用されることができる)をさらに使用することと、予測視力メトリックを返すことと、を含む。
【0155】
第2の例示的な実施例は、画像が光干渉断層撮影(OCT)画像である、第1の例示的な実施例を含む。
【0156】
第3の例示的な実施例は、画像がカラー眼底写真画像である、第1の例示的な実施例を含む。
【0157】
第4の例示的な実施例は、予測視力メトリックが、画像が撮像装置によって捕捉されたベースライン日の予測視力に対応する、第1から第3の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0158】
第5の例示的な実施例は、予測視力メトリックが、1つ以上の数字を含み、1つ以上の数字が、画像が捕捉されたベースラインの日付から少なくとも6ヶ月の日付の予測視力を表す、第1から第3の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0159】
第6の例示的な実施例は、予測視力メトリックが、画像が撮像装置によって捕捉されたベースライン日の被験者の視力が閾値視力値よりも悪いかどうかに関する予測を表すバイナリ値である、第1から第3の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0160】
第7の例示的な実施例は、予測視力メトリックが、画像が撮像装置によって捕捉されたベースライン日から少なくとも6ヶ月の被験者の視力が閾値視力値よりも悪いかどうかに関する予測を表すバイナリ値である、第1から第3の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0161】
第8の例示的な実施例は、閾値が、20/160、20/80または20/40のスネレン分率に相当する、第6または第7の例示的な実施例を含む。
【0162】
第9の例示的な実施例は、予測視力メトリックに応答して、
【0163】
被験者が薬理学的処置を受けることの推奨を提供することをさらに含む、第1から第8の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0164】
第10の例示的な実施例は、画像が3次元画像であり、方法が、
【0165】
画像を複数の2次元スライスにスライスすることであって、スライスのそれぞれが、異なるスキャン中心角で捕捉され、互いのスライスから異なる数の画素をオフセットする、スライスすることをさらに含み、
【0166】
画像をモデルに入力することが、スライスをモデルに入力することを含む、第1から第9の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0167】
第11の例示的な実施例は、モデルが、深層学習モデルである、第1から第10の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0168】
第12の例示的な実施例は、モデルが、畳み込みニューラルネットワークであるか、または畳み込みニューラルネットワークを含む、第1から第11の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0169】
第13の例示的な実施例は、モデルが、畳み込みカーネルのセットを使用する、第1から第12の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0170】
第14の例示的な実施例は、モデルが、ResNetモデルを含む、第1から第13の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0171】
第15の例示的な実施例は、モデルが、インセプションモデルである、第1から第14の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0172】
第16の例示的な実施例は、予測視力メトリックが、被験者の眼の予測視力に対応する、第1から第15の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0173】
第17の例示的な実施例は、予測視力メトリックが、眼鏡またはコンタクトを着用している間の被験者の視力を予測する予測矯正視力に対応する、第1から第16の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0174】
第18の例示的な実施例は、予測視力メトリックが、被験者の前記眼の予測最良矯正視力に対応する、第1から第17の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0175】
第19の例示的な実施例は、被験者が、画像が収集された時点で加齢黄斑変性と以前に診断された、第1から第17の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0176】
第20の例示的な実施例は、被験者が、画像が収集された時点で新生血管加齢黄斑変性と以前に診断された、第1から第17の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0177】
第21の例示的な実施例は、被験者が、画像が収集された時点で萎縮型加齢黄斑変性と以前に診断された、第1から第17の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0178】
第22の例示的な実施例は、訓練被験者のそれぞれが、画像のセットの訓練画像が収集される前に加齢黄斑変性と以前に診断された、第1から第17の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0179】
第23の例示的な実施例は、訓練被験者のそれぞれが、画像のセットの訓練画像が収集される前に新生血管加齢黄斑変性と以前に診断された、第1から第17の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0180】
第24の例示的な実施例は、訓練被験者のそれぞれが、画像のセットの訓練画像が収集される前に萎縮型加齢黄斑変性と以前に診断された、第1から第17の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0181】
第25の例示的な実施例は、
【0182】
訓練画像のセットおよびラベルのセットを使用してモデルを訓練することをさらに含む、第1から第24の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0183】
第26の例示的な実施例は、機械学習モデルが、1つ以上の前処理関数と、1つ以上のニューラルネットワークとを含む、第1から第25の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0184】
第27の例示的な実施例は、眼の少なくとも一部の画像が、被験者の眼の少なくとも一部の生画像に1つ以上の前処理関数を適用することによって生成された眼の前処理バージョンを含む、第1から第25の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0185】
第28の例示的な実施例は、1つ以上の前処理関数が、画像を平坦化する関数を含む、第26または第27の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0186】
第29の例示的な実施例は、1つ以上の前処理関数が、1つ以上のBスキャン画像または1つ以上のCスキャン画像を生成する関数を含む、第26または第27の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0187】
第30の例示的な実施例は、1つ以上の前処理関数がトリミング関数を含む、第26または第29の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0188】
第31の例示的な実施例は、予測視力メトリックが、第1の距離における被験者の眼の予測視力に対応し、方法が、
【0189】
機械学習モデルを使用して、被験者の同じまたは異なる眼の予測視力に対応する別の予測視力メトリックを判定することと、
【0190】
別の予測視力メトリックを返すことと、をさらに含む、第26または第29の例示的な実施例のいずれかを含む。
【0191】
第32の例示的な実施例は、臨床試験を層別化する方法であって、被験者のセットの各被験者について、第1から第31の例示的な実施例のいずれかの画像処理に基づいて視力を予測する方法を実行することと、被験者のセットのそれぞれについて、被験者が臨床試験に参加するのに適格であるかどうかを判定することであって、判定が、適格基準のセットのそれぞれが被験者に関して満たされるかどうかに基づいており、適格基準のセットの特定の適格基準の評価が、被験者の予測視力を使用して行われる、判定することと、被験者のセットのサブセットを用いて臨床試験を実施することであって、サブセット中の各被験者が臨床試験に参加するのに適格であると判定された、実施することと、を含む。
【0192】
第33の例示的な実施例は、第1の被験者群および第2の被験者群への被験者割り当てにしたがって臨床試験を実施することをさらに含む、第32の例示的な実施例を含む。
【0193】
第34の例示的な実施例は、第1から第31の例示的な実施例のいずれかの方法にしたがって判定された予測視力メトリックに基づいて、被験者に対する潜在的な処置のセットの中から処置を選択することと、処置の識別情報を出力することと、を含む。
【0194】
第35の例示的な実施例は、第1から第31の例示的な実施例のいずれかにしたがって判定された予測視力メトリックに基づいて、被験者に対する潜在的な処置のセットの中から処置を選択することと、処置を使用して被験者を処置することと、を含む。
【0195】
第36の例示的な実施例は、訓練被験者の少なくとも一部のそれぞれが、訓練被験者に対応するラベルが判定される視力検査に参加する前に処置を受けていた、第34または第35の例示的な実施例を含む。
【0196】
第37の例示的な実施例は、訓練被験者のそれぞれが、訓練被験者に対応するラベルが判定される視力検査に参加する前に処置を受けていた、第34または第35の例示的な実施例を含む。
【0197】
第38の例示的な実施例は、訓練被験者の少なくとも一部のそれぞれが、訓練被験者に対応するラベルがそこから判定された視力検査に参加する前に処置とは異なる別の処置を受けており、被験者が以前に別の処置を受けていた、第34または第35の例示的な実施例を含む。
【0198】
第39の例示的な実施例は、訓練被験者のそれぞれが、訓練被験者に対応するラベルがそこから判定された視力検査に参加する前に処置とは異なる別の処置を受けており、被験者が以前に別の処置を受けていた、第34または第35の例示的な実施例を含む。
【0199】
第40の例示的な実施例は、1つ以上のデータプロセッサと、1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つ以上の方法の一部または全部を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を含む。
【0200】
第41の例示的な実施例は、1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つ以上の方法の一部または全部を実行させるように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体において有形に具現化されたコンピュータプログラム製品を含む。
【0201】
IX.さらなる考察
本明細書におけるいくつかの開示は、被験者(例えば、被験者の視力を識別すること、被験者の視力を予測すること、被験者を処置することなど)に言及する。いくつかの実施形態では、これらの開示の一部または全部は、被験者の特定の眼に関連することが理解されよう。
【0202】
本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上のデータプロセッサを含むシステムを含む。いくつかの実施形態では、システムは、1つ以上のデータプロセッサ上で実行されると、1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つ以上の方法の一部または全部および/または1つ以上のプロセスの一部または全部を実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。本開示のいくつかの実施形態は、1つ以上のデータプロセッサに、本明細書に開示された1つ以上の方法の一部または全部および/または1つ以上のプロセスの一部または全部を実行させるように構成された命令を含む、非一時的機械可読記憶媒体において有形に具現化されたコンピュータプログラム製品を含む。
【0203】
使用された用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、示されて説明された特徴の均等物またはその一部を除外する意図はないが、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明は、実施形態および任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の変更および変形は、当業者によってあてにされてもよく、そのような変更および変形は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあると見なされることを理解されたい。
【0204】
説明は、好ましい例示的な実施形態のみを提供し、本開示の範囲、適用可能性または構成を限定することを意図しない。むしろ、好ましい例示的な実施形態の説明は、様々な実施形態を実装するための可能な説明を当業者に提供する。添付の特許請求の範囲に記載の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更を加えることができることが理解される。
【0205】
実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明において具体的な詳細が与えられる。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで実施形態が実施されることができることが理解されよう。例えば、回路、システム、ネットワーク、プロセス、および他の構成要素は、実施形態を不必要に詳細に不明瞭にしないために、ブロック図形式の構成要素として示されてもよい。他の例では、実施形態を不明瞭にすることを避けるために、周知の回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技術が不必要な詳細なしに示されてもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
【外国語明細書】