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特開2023-145629シーラント又はコーティングを有する繊維製品及び製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145629
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】シーラント又はコーティングを有する繊維製品及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/06 20130101AFI20231003BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20231003BHJP
   A61L 27/48 20060101ALI20231003BHJP
   A61L 27/50 20060101ALI20231003BHJP
   A61L 27/52 20060101ALI20231003BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20231003BHJP
   A61L 27/20 20060101ALI20231003BHJP
   A61L 27/16 20060101ALI20231003BHJP
   A61L 27/34 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A61F2/06
A61L27/18
A61L27/48
A61L27/50 300
A61L27/52
A61L27/56
A61L27/20
A61L27/16
A61L27/34
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123261
(22)【出願日】2023-07-28
(62)【分割の表示】P 2021075508の分割
【原出願日】2018-10-31
(31)【優先権主張番号】1717885.6
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】520152618
【氏名又は名称】ホットハウス メディカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HOTHOUSE MEDICAL LIMITED
【住所又は居所原語表記】216 West George Street, Glasgow Strathclyde G2 2PQ, GB
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド グランヴィル スティーヴンソン
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ロードン アシュトン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】管状グラフトを製造する方法を提供する。
【解決手段】第1の開口端と反対側の第2の開口端との間に配置され、内面及び反対側の外面が、その間の内壁部分を画定する管状壁を含む織物を提供する工程であって、管状壁が、1つ以上のフィラメント若しくは糸の織物構造を含み、織物構造自体が、液体に対して透過性である、工程と、実質的に水溶性の材料を、管状壁の少なくとも一部に適用する工程と、実質的に水不溶性のシーラントを、管状壁の外面の少なくとも一部に適用する工程であって、実質的に水不溶性のシーラントが、導管の壁を通る流体の移動を軽減するように構成される、工程とを含んでいてもよく、ここで、水溶性材料が、導管の内面へのシーラントの浸透を軽減するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工血管を製造する方法であって、
(i)壁を含む導管を提供する工程であって、前記導管の壁が、内面及び外面を含み、
前記導管の少なくとも一部が多孔性である、工程と;
(ii)マスキング剤を、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程と;
(iii)シーラントを、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程であっ
て、前記シーラントが、前記導管の壁を通る流体の移動を軽減するように構成される、工
程とを含み;
前記マスキング剤が、前記導管の内面における前記シーラントの存在を軽減するように
構成される、方法。
【請求項2】
前記シーラントが、前記導管の壁の外面の少なくとも一部にシール層を形成する、請求
項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シーラントが、前記導管の壁の外面の実質的に全てにシール層を形成する、請求項
1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスキング剤が、前記導管の壁の内面の少なくとも一部にマスキング剤層を形成す
る、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記マスキング剤が、前記導管の壁の内面の実質的に全てにマスキング剤層を形成する
、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記導管の実質的に全てが、多孔性である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
1つ以上のマスキング剤除去工程を含み、前記マスキング剤除去工程又はその各々が、
前記導管から前記マスキング剤の少なくとも一部を除去する工程を含む、請求項1~6の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記シーラントを、前記導管の多孔性部分に加える工程の前に、前記導管の壁の外面の
少なくとも一部から前記マスキング剤の少なくとも一部を除去する工程を含む、請求項7
に記載の方法。
【請求項9】
前記シーラントを、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部を加える工程の後に、前記
導管の壁の内面から前記マスキング剤の少なくとも一部を除去する工程を含む、請求項7
又は請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シーラントを、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程の後に、前記
導管から前記マスキング剤の実質的に全てを除去する工程を含む、請求項7~9のいずれ
か一項に記載の方法。
【請求項11】
前記マスキング剤除去工程の少なくとも1つが、約15℃~約140℃の温度で行われ
る、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記マスキング剤除去工程の少なくとも1つが、溶媒をそれに適用することによって、
前記マスキング剤の少なくとも一部を除去する工程を含む、請求項7~11のいずれか一
項に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒が、水を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記導管が、前記マスキング剤除去工程の少なくとも1つの際、撹拌、回転、紡糸、及
び振とうなどのうちの少なくとも1つを行われる、請求項7~13のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項15】
前記マスキング剤除去工程の少なくとも1つが、前記マスキング剤をエッチング、プラ
ズマエッチング、アブレーション及び/又は研磨することによって行われる、請求項7~
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記導管の壁の内面が、その上での生体組織の成長を促進するように構成される、請求
項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記マスキング剤が、ポリマーを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記マスキング剤が、水溶性ポリマーを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記マスキング剤が、ポリビニルピロリドン、グリセロール、メチルセルロース、ポリ
(エチレングリコール)、及びポリ(エチレングリコール)ヒドロゲルのうちの少なくと
も1つを含む、請求項17又は請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記マスキング剤が、生体適合性である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法
【請求項21】
前記マスキング剤が、前記導管に加えられるとき、生体適合性マスキング剤層を形成す
る、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記マスキング剤が、マスキング剤溶液から前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に
加えられる、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記マスキング剤溶液が、ポリマー溶液である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記マスキング剤を、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程が、前記マ
スキング剤溶液を、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部上に噴霧することによって行
われる、請求項22又は請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記マスキング剤溶液が、前記マスキング剤を、前記導管の壁の内面の少なくとも一部
上に噴霧することによって、前記導管に加えられる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記マスキング剤を、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程が、前記導
管の多孔性部分の少なくとも一部を、前記マスキング剤溶液に浸漬することによって行わ
れる、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記導管の実質的に全てが、前記マスキング剤溶液に浸漬される、請求項26に記載の
方法。
【請求項28】
前記マスキング剤溶液が、溶液中の約5%重量/体積(w/v)のポリマー~溶液中の
約30%w/vのポリマーを含む、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記シーラントを、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程が、前記導管
の多孔性部分からの前記マスキング剤の除去をもたらさない、請求項1~28のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項30】
前記マスキング剤は、前記人工血管が、ヒト又は動物の身体内に移植されるときに生分
解するように構成される、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記導管が、織物繊維ポリマー導管である、請求項1~30のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項32】
前記シーラントが、ポリマーを含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記シーラントが、水不溶性ポリマーである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記シーラントが、前記導管に加えられるときにシール層を形成し、前記シール層がポ
リマー層である、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記シーラントが、シリコーン、室温硬化型シリコーン、熱可塑性ポリウレタン、脂肪
族ポリカーボネート、1つ以上の熱可塑性エラストマー、及びポリカーボネートのうちの
少なくとも1つを含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記シーラントが、シーラント溶液から前記導管に加えられる、請求項1~35のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記シーラント溶液が、ポリマー溶液である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記シーラント溶液が、有機溶媒を含む、請求項36又は請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記シーラント溶液が、ヘプタン及びキシレンのうちの少なくとも1つを含む、請求項
38に記載の方法。
【請求項40】
前記シーラントが、前記シーラントを上にブラシ塗布及び/又は噴霧することによって
、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加えられる、請求項1~39のいずれか一項
に記載の方法。
【請求項41】
前記シーラントが、前記導管の壁を通る血液の移動を軽減するように構成される、請求
項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記人工血管を滅菌するさらなる工程を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項43】
前記人工血管が、ガンマ線滅菌プロセス、電子線滅菌プロセス、及びエチレンオキシド
滅菌プロセスのうちの少なくとも1つによって滅菌される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記導管が、収縮状態と伸長状態との間で移動可能である、請求項1~43のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項45】
前記マスキング剤を、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程が、少なく
とも部分的に、前記導管が、前記収縮状態、前記伸長状態にある状態で、及び/又は前記
収縮状態と前記伸長状態との間で移動されるときに行われる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記シーラントを、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程が、少なくと
も部分的に、前記導管が、前記収縮状態、前記伸長状態にある状態で、及び/又は前記収
縮状態と前記伸長状態との間で移動されるときに行われる、請求項44又は請求項45に
記載の方法。
【請求項47】
前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加えられる、マスキング剤の量、及び/又は
又はシーラントの量を少なくとも部分的に決定するために、前記導管を計量するか、及び
/又は前記導管の長さを測定する1つ以上の工程を含む、請求項1~46のいずれか一項
に記載の方法。
【請求項48】
前記マスキング剤を、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程が、前記導
管にガスを提供する工程を含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記ガスが、前記導管の壁の外面に向けられる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ガスが空気である、請求項48又は請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記導管に支持部材を加える工程を含む、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法
【請求項52】
前記支持部材が、前記導管の壁の外面に加えられる、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記支持部材が、前記導管の壁の外面に巻き付けられる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記導管が、複数のクリンプを含み、前記支持部材が、前記複数のクリンプの間に入れ
子になるように配置される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記導管に前記支持部材を加える工程が、前記導管に前記シーラントを加える工程の前
に行われる、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記導管に前記シーラントを加える工程が、少なくとも部分的に、前記導管に前記支持
部材を取り付けるために使用される、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記支持部材が、可撓性のポリマー部材である、請求項51~56のいずれか一項に記
載の方法。
【請求項58】
前記導管が、実質的に異なる量のシーラントを上に含む少なくとも2つの部分を含むよ
うに、前記導管の1つ以上の部分にシーラントを選択的に加える1つ以上の工程を含む、
請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
壁を含む導管であって、前記導管の壁が、内面及び外面を含み、前記導管の少なくとも
一部が多孔性である、導管を含む人工血管であって;
前記多孔性部分の少なくとも一部が、前記導管の壁を通る流体の移動を軽減するように
構成されるシーラントを含み;
前記導管の壁の内面が、前記シーラントを実質的に含まない、人工血管。
【請求項60】
前記シーラントが、前記導管の壁の外面の少なくとも一部にシール層を形成する、請求
項59に記載の人工血管。
【請求項61】
前記シーラントが、前記導管の壁の外面の実質的に全てにシール層を形成する、請求項
59又は請求項60に記載の人工血管。
【請求項62】
前記導管の実質的に全てが多孔性である、請求項59~61のいずれか一項に記載の人
工血管。
【請求項63】
前記導管の壁の内面が、その上での生体組織の内部成長を促進するように構成される、
請求項59~62のいずれか一項に記載の人工血管。
【請求項64】
前記導管が、織物繊維ポリマー導管である、請求項59~63のいずれか一項に記載の
人工血管。
【請求項65】
前記シーラントが、シール層を形成し、前記シール層がポリマー層である、請求項59
~64のいずれか一項に記載の人工血管。
【請求項66】
前記シーラントが、シリコーン、室温硬化型シリコーン、熱可塑性ポリウレタン、脂肪
族ポリカーボネート、1つ以上の熱可塑性エラストマー、及びポリカーボネートのうちの
少なくとも1つを含む、請求項59~65のいずれか一項に記載の人工血管。
【請求項67】
前記シーラントが、前記導管の壁を通る血液の移動を軽減するように構成される、請求
項59~66のいずれか一項に記載の人工血管。
【請求項68】
前記人工血管が滅菌される、請求項59~67のいずれか一項に記載の人工血管。
【請求項69】
前記人工血管が、ガンマ線滅菌プロセス、エチレンオキシド滅菌プロセス、及び電子線
滅菌プロセスのうちの少なくとも1つによって滅菌される、請求項68に記載の人工血管
【請求項70】
前記導管が、収縮状態と伸長状態との間で移動可能である、請求項59~69のいずれ
か一項に記載の人工血管。
【請求項71】
前記導管が、支持部材を含む、請求項59~70のいずれか一項に記載の人工血管。
【請求項72】
前記支持部材が、前記導管の壁の外面に実質的に隣接して位置する、請求項71に記載
の人工血管。
【請求項73】
前記支持部材が、前記導管の壁の外面に巻き付けられる、請求項72に記載の人工血管
【請求項74】
前記導管が、複数のクリンプを含み、前記支持部材が、前記複数のクリンプの間に入れ
子になるように配置される、請求項73に記載の人工血管。
【請求項75】
前記シーラントが、少なくとも部分的に、前記支持部材を前記導管に取り付けるように
配置される、請求項71~74のいずれか一項に記載の人工血管。
【請求項76】
前記支持部材が、可撓性のポリマー部材である、請求項71~75のいずれか一項に記
載の人工血管。
【請求項77】
前記導管が、実質的に異なる量のシーラントを上に有する少なくとも2つの部分を有す
るように構成される、請求項59~76のいずれか一項に記載の人工血管。
【請求項78】
人工血管を製造するためのパーツのキットであって、前記パーツのキットが、
(i)壁を含む導管であって、前記導管の壁が、内面及び外面を含み、前記導管の少な
くとも一部が多孔性である、導管と;
(ii)マスキング剤と;
(iii)シーラントと
を含み;
前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に適用されるとき、前記マスキング剤が、前記
導管の内面における前記シーラントの存在を軽減するように構成されており;
前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に適用されるとき、前記シーラントが、前記導
管の壁を通る流体の移動を軽減するように構成されている、パーツのキット。
【請求項79】
前記導管の多孔性部分の少なくとも一部への前記シーラントの添加により、前記導管の
壁の外面の少なくとも一部にシール層が形成される、請求項78に記載のパーツのキット
【請求項80】
前記導管の多孔性部分の少なくとも一部への前記マスキング剤の添加により、前記導管
の壁の内面の少なくとも一部にマスキング剤層が形成される、請求項78又は請求項79
に記載のパーツのキット。
【請求項81】
前記導管の実質的に全てが多孔性である、請求項78~80のいずれか一項に記載のパ
ーツのキット。
【請求項82】
前記パーツのキットが、マスキング剤リムーバーを含み、前記マスキング剤リムーバー
が、前記導管から適用されたマスキング剤を除去するように動作可能である、請求項78
~81のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項83】
前記マスキング剤リムーバーが、溶媒を含む、請求項82に記載のパーツのキット。
【請求項84】
前記溶媒が、水を含む、請求項83に記載のパーツのキット。
【請求項85】
前記マスキング剤リムーバーが、約15℃~約140℃の温度で、前記導管から適用さ
れたマスキング剤を除去するように動作可能である、請求項82~84のいずれか一項に
記載のパーツのキット。
【請求項86】
前記パーツのキットが、研削器を含み、前記研削器が、前記導管から適用されたマスキ
ング剤を除去するように動作可能である、請求項78~85のいずれか一項に記載のパー
ツのキット。
【請求項87】
前記導管の壁の内面が、その上での生体組織の内部成長を促進するように構成される、
請求項78~86のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項88】
前記マスキング剤が、ポリマーを含む、請求項78~87のいずれか一項に記載のパー
ツのキット。
【請求項89】
前記マスキング剤が、水溶性ポリマーを含む、請求項88に記載のパーツのキット。
【請求項90】
前記導管に適用されたマスキング剤が、マスキング剤層を形成し、前記マスキング剤層
がポリマー層である、請求項78~89のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項91】
前記マスキング剤が、ポリビニルピロリドン、グリセロール、メチルセルロース、及び
ポリ(エチレングリコール)ヒドロゲルのうちの少なくとも1つを含む、請求項88~9
0のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項92】
前記マスキング剤が、生体適合性である、請求項78~91のいずれか一項に記載のパ
ーツのキット。
【請求項93】
前記導管に適用されたマスキング剤が、生体適合性マスキング剤層を形成する、請求項
78~92のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項94】
前記パーツのキットが、マスキング剤溶液を含み、前記マスキング剤溶液が、マスキン
グ剤を前記導管に適用するように動作可能である、請求項78~93のいずれか一項に記
載のパーツのキット。
【請求項95】
前記マスキング剤溶液が、ポリマー溶液である、請求項94に記載のパーツのキット。
【請求項96】
前記導管が、前記マスキング剤溶液に浸漬可能である、請求項94又は請求項95に記
載のパーツのキット。
【請求項97】
前記マスキング剤溶液が、溶液中の約5%w/vのポリマー~溶液中の約30%w/v
のポリマーを含む、請求項94~96のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項98】
前記マスキング剤及び前記シーラントが、前記導管に適用されるとき、前記シーラント
は、前記導管への前記シーラントの添加が、前記導管からの前記適用されたマスキング剤
の除去をもたらさないように構成される、請求項78~97のいずれか一項に記載のパー
ツのキット。
【請求項99】
前記マスキング剤が、ヒト又は動物の身体内に移植されるときに生分解可能であるよう
に構成される、請求項78~98のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項100】
前記導管が、織物繊維ポリマー導管である、請求項78~99のいずれか一項に記載の
パーツのキット。
【請求項101】
前記シーラントが、ポリマー、任意に、水不溶性ポリマーを含む、請求項78~100
のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項102】
前記シーラントが、前記導管に適用されるとき、シール層を形成し、前記シール層がポ
リマー層である、請求項78~101のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項103】
前記シーラントが、シリコーン、室温硬化型シリコーン、熱可塑性ポリウレタン、脂肪
族ポリカーボネート、1つ以上の熱可塑性エラストマー、及びポリカーボネートのうちの
少なくとも1つを含む、請求項101又は請求項102に記載のパーツのキット。
【請求項104】
前記パーツのキットが、シーラントを前記導管に適用するように動作可能なシーラント
溶液を含む、請求項78~103のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項105】
前記シーラント溶液が、ポリマー溶液である、請求項104に記載のパーツのキット。
【請求項106】
前記シーラント溶液が、有機溶媒を含む、請求項104又は請求項105に記載のパー
ツのキット。
【請求項107】
前記シーラント溶液が、ヘプタン及びキシレンのうちの少なくとも1つを含む、請求項
106に記載のパーツのキット。
【請求項108】
シーラントを前記導管に適用するように動作可能なシーラントアプリケータ、及び/又
はマスキング剤を前記導管に適用するように動作可能なマスキング剤アプリケータを含む
、請求項78~107のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項109】
前記シーラントアプリケータが、前記シーラントをスプレーコーティングするための装
置、及び/又はブラシなどである、請求項108に記載のパーツのキット。
【請求項110】
前記マスキング剤アプリケータが、ブラシ、前記マスキング剤をスプレーコーティング
するための装置、前記導管を前記マスキング剤にディップ若しくは浸漬するための装置、
及び/又は前記マスキング剤で前記導管をワイプするための装置である、請求項108又
は請求項109に記載のパーツのキット。
【請求項111】
前記シーラントが、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に適用されるとき、前記導
管の壁を通る血液の移動を軽減するように構成される、請求項78~110のいずれか一
項に記載のパーツのキット。
【請求項112】
前記導管が、収縮状態と伸長状態との間で移動可能である、請求項78~111のいず
れか一項に記載のパーツのキット。
【請求項113】
さらなる人工器官を含む、請求項78~112のいずれか一項に記載のパーツのキット
【請求項114】
前記さらなる人工器官が、生体心臓弁、合成心臓弁、補助人工心臓、及び心室補助装置
などのうちの少なくとも1つである、請求項113に記載のパーツのキット。
【請求項115】
計量装置及び/又は前記導管の長さを測定するための装置を含む、請求項78~114
のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項116】
ガスフローを前記導管に提供するように動作可能なガスフロー装置を含む、請求項78
~115のいずれか一項に記載のパーツのキット。
【請求項117】
前記ガスが空気である、請求項116に記載のパーツのキット。
【請求項118】
血管系であって、
請求項1~58のいずれか一項にしたがって製造される人工血管;及び
さらなる人工器官を含み;
前記人工血管は、流体が前記人工血管と前記さらなる人工器官との間で流れることがで
きるように、前記さらなる人工器官に連結される、血管系。
【請求項119】
前記さらなる人工器官が、生体心臓弁、合成心臓弁、補助人工心臓、及び心室補助装置
などのうちの少なくとも1つである、請求項118に記載の血管系。
【請求項120】
人工血管を移植する方法であって、
請求項1~58のいずれか一項に記載の方法を用いて製造される人工血管を提供する工
程と;
前記人工血管の入口を、第1の血管に連結する工程と;
前記人工血管の出口を、第2の血管に連結する工程とを含み;
血液が、前記人工血管を通って前記第1及び第2の血管の間で流れることができるよう
になっている、方法。
【請求項121】
前記第1及び第2の血管が、罹患した血管、又は切断された血管、二分割された血管な
どから形成される、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
人工血管を移植する方法であって、
請求項59~77のいずれか一項に記載の人工血管を提供する工程と;
前記人工血管を、第1の血管に連結する工程;
前記人工血管を、第2の血管に連結する工程とを含み;
血液が、前記人工血管を通って前記第1及び第2の血管の間で流れることができるよう
になっている、方法。
【請求項123】
前記第1及び第2の血管が、罹患した血管、又は切断された血管、二分割された血管な
どから形成される、請求項122に記載の方法。
【請求項124】
血管系を移植する方法であって、
血管系を提供する工程であって、前記血管系が、
請求項1~58のいずれか一項にしたがって製造される人工血管;及び
さらなる人工器官を含み;
前記人工血管が、前記さらなる人工器官に連結可能である、工程と;
血液がそれらの間で流れることができるように、前記人工血管を、前記さらなる人工器
官に連結する工程と;
血管の末端を、前記人工血管に連結する工程と;
前記さらなる人工器官を、前記心臓に連結する工程とを含み;
血液が、前記血管系を通って前記血管と前記心臓との間で流れることができるようにな
っている、方法。
【請求項125】
前記さらなる人工器官が、生体心臓弁、合成心臓弁、補助人工心臓、及び心室補助装置
などのうちの少なくとも1つである、請求項124に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的に適用されたシール層又はコーティングを有する人工血管又は血管内
人工器官などの繊維製品、及び特に、ただし限定的にではなく、人工器官などの繊維製品
を製造する方法、人工器官などの繊維製品を製造するためのパーツのキット、人工器官を
含む血管系、人工器官を移植する方法及び血管系を移植する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工血管、又はグラフトは、腹部及び胸部血管疾患を処置する際など、外科手術におい
て広く使用されている。血管グラフトは、典型的に、移植後に血管グラフトから血液が漏
出するのを防ぐために、移植前にシールされる必要がある。血管グラフトをシールするた
めの公知の技術は、グラフトをシールするために、ウシゼラチン、ウシアルブミン又はウ
シコラーゲンなどの生分解性(又は生体吸収性(bioresorbable)若しくは
生体吸収性(bioabsorbable))動物由来材料の使用を含む。血管グラフト
をシールするための他の技術は、合成材料を使用し、合成材料のいくつかは、ヒト又は動
物の身体内に移植されるときに生分解することができない。
【0003】
シールされたグラフトが、ヒト又は動物の身体内に移植された後、血管グラフトの内面
における組織の内部成長を可能にし、内部成長組織が、血管グラフトの内面に付着するの
を確実にすることが望ましい。しかしながら、血管グラフトをシールするための従来の技
術は、血管グラフトの内面へのシーラントの侵入が生じることが多い。シール材料の存在
は、グラフトの内面における組織の成長に悪影響を与える。さらに、グラフトの内面にお
けるシール材料の存在は、内部成長組織と血管グラフトとの間の不十分な付着の原因にも
なり、これは、血管グラフトの血管性能を低下させ得る。したがって、組織の内部成長を
妨げず、内部成長組織層が内面に付着するのを可能にする血管グラフトを提供することが
望ましい。
【0004】
グラフトの内面における組織の成長及び付着をより良好に可能にするために、上に示さ
れるものなどの生分解性動物由来材料が、グラフトをシールするのに使用され得る。この
ようなグラフトが移植される場合、内部成長組織層が十分に成熟してからシーラント材料
が分解することが望ましい。しかしながら、血管グラフトをシールする従来の方法は、一
貫した及び予測可能な分解時間を示さない。これは、一部の血管グラフトの性能にかなり
の影響を与える。例えば、内部成長組織層が偽内膜に発達する前にシーラント材料が分解
する場合(血管グラフトの内面における組織層の例)、血液が血管グラフトから漏出する
であろう。シーラント材料が遅過ぎる速度で分解する場合、内部成長組織は、グラフトの
内面への付着が不十分になり(グラフトの内面が依然としてシール材料に被覆されている
ため)、血管グラフトから剥離しやすい。次に、出血性の切開が偽内膜において起こり得
る。したがって、血管グラフトの内面への組織の予測可能な成長及び付着を可能にする血
管グラフトをシールする方法を提供することが必要とされている。
【0005】
既存の血管グラフトに関するさらなる問題は、典型的に使用されるタイプの一部の動物
由来シーラントが、牛海綿状脳症(BSE)伝播のリスクを増加させると考えられること
である。このリスクは、通常、広範なサプライチェーン規制要件によって軽減され、それ
は、面倒で負担が大きい。新しい材料及び設計が、より短時間で及びよりコスト効率の良
い方法で使用可能になるように、より負担の少ない規制要件を有する血管グラフトを提供
することが望ましい。
【0006】
さらに、動物由来シーラントは、一連の加工技術に適合せず、そのため、血管グラフト
設計者が利用可能な選択肢が制限される。動物由来シーラントを用いてシールされた血管
グラフトはまた、典型的に、シーラント材料の劣化を防ぐために、温度及び湿度を管理し
て、輸送又は包装される必要がある。したがって、あまり厳しくない輸送及び包装要件を
有する血管グラフトを提供することも望ましいであろう。
【0007】
さらに、エラストマーコーティングは、布帛の可撓性を変化させることがあり、血管グ
ラフトなどの医療機器に仕立てられる場合、外科医にとって非常に重要な取り扱い特性に
悪影響を与え得る。したがって、外面におけるエラストマーコーティングによる十分なシ
ーリングを有し、反対側、例えば、管腔側に同じコーティング材料を実質的に含まず、ま
た、外科医に受け入れられる可撓性及び取り扱い特性を有する血管グラフトを提供するこ
とが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
マスキング剤は、水溶性ポリマー層、水溶性ポリマー、水溶性材料、水溶性コーティン
グ及び/又は水溶性層であり得る。
【0009】
シーラントは、水不溶性材料、水不溶性シーラント、水不溶性コーティング、及び/又
は水不溶性層であり得る。
【0010】
本発明の目的のために、水溶性層及び水不溶性層は、織物布帛、医療機器布帛、移植可
能な医療機器織物、並びに医療用及び非医療用織物の様々な形態に適用される。
【0011】
本発明の一目的は、人工血管及び/又は人工血管を製造する方法を提供することであり
、この人工血管の内面は、生体組織の内部成長をより良好に可能にする。本発明の一態様
は、人工血管などの移植可能な織物、及び/又は人工血管などの移植可能な織物を製造す
る方法を提供することであり、この人工血管の内面は、生体組織の内部成長をより良好に
可能にする。本発明のさらなる態様は、人工血管などの移植可能な織物、及び/又は人工
血管などの移植可能な織物を製造する方法を提供することであり、この人工血管の内面は
、シール材料を実質的に含まない。本発明の別の態様は、内部成長組織が人工血管の内面
に付着するのをより良好に促進する、人工血管及び/又は人工血管を製造する方法を提供
することである。本発明のさらなる態様は、人工血管の内面への組織の予測可能な成長及
び付着をより良好に可能にする、人工血管及び/又は人工血管を製造する方法を提供する
ことである。本発明のさらに他の態様は、多過ぎるマスキング剤と少な過ぎるマスキング
剤との間のバランスを取る人工血管を提供することである。少な過ぎるマスキング剤は、
シーラントが、グラフト壁を通って移動するのを可能にする。外側における多過ぎるマス
キング剤は、シーラント付着を妨げ、したがって、人工血管において必要とされる透過性
に達する能力に影響を与える。外側グラフト表面上に最終的にあるマスキング剤の量とバ
ランスの取れた、シーラント浸透を防ぐのに十分なマスキング剤が存在しなければならな
い。本発明の一態様はまた、十分なシールを達成するのに必要なシーラント被覆及びシー
ラント付着の量と、人工器官の可撓性及び取り扱い特性を損なうほど多過ぎるシーラント
との間のバランスを取ることである。
【0012】
本発明のさらなる態様はまた、人工血管を製造するためのパーツのキットを提供するこ
とである。本発明のさらなる態様は、例えば、合成の補助心臓構成要素が、血管及び心臓
に連結されるのを可能にする血管系を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる態様は、先行技術における問題の少なくとも一部を軽減するか又は少
なくとも防ぐことである。本発明のさらなる態様及び実施形態は、本明細書を読むことか
ら明らかになるであろう。
【0014】
本発明の第1の態様によれば、人工血管を製造する方法であって、
(i)壁を含む導管を提供する工程であって、導管の壁が、内面及び外面を含み、導管
の少なくとも一部が多孔性である、工程と;
(ii)マスキング剤を、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程と;
(iii)シーラントを、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程であって、
シーラントが、導管の壁を通る流体の移動を軽減するように構成される、工程とを含み;
マスキング剤が、導管の内面におけるシーラントの存在を軽減するように構成される、
方法が提供される。
【0015】
本発明の人工血管又は血管内人工器官は、導管又は管状部分を含む人工器官に限定され
ない。本発明の人工血管又は血管内人工器官は、非導管又は非管状構造若しくは部分を含
んでも又は含まなくてもよい。したがって、マスキング剤及びシーラントに供される人工
血管又は血管内人工器官の壁は、導管壁に限定されない。したがって、基材が、非導管形
状構造又は部分であり得る。さらに、医療用繊維製品が、本発明の範囲内である。
【0016】
シーラントは、導管の壁の外面の少なくとも一部にシール層を形成し得る。
【0017】
シーラントは、導管の壁の外面の実質的に全てにシール層を形成し得る。
【0018】
マスキング剤は、導管の壁の内面の少なくとも一部にマスキング剤層を形成し得る。
【0019】
マスキング剤は、導管の壁の内面の実質的に全てにマスキング剤層を形成し得る。
【0020】
導管の実質的に全てが、多孔性であり得る。
【0021】
本方法は、1つ以上のマスキング剤除去工程を含んでいてもよく、このマスキング剤除
去工程又はその各々が、導管からマスキング剤の少なくとも一部を除去する工程を含む。
【0022】
本方法は、シーラントを、導管の多孔性部分に加える工程の前に、導管の壁の外面の少
なくとも一部からマスキング剤の少なくとも一部を除去する工程を含み得る。
【0023】
本方法は、シーラントを、導管の多孔性部分の少なくとも一部を加える工程の後に、導
管の壁の内面からマスキング剤の少なくとも一部を除去する工程を含み得る。
【0024】
本方法は、シーラントを、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程の後に、導
管からマスキング剤の実質的に全てを除去する工程を含み得る。
【0025】
マスキング剤除去工程の少なくとも1つが、約15℃~約140℃の温度で行われ得る
【0026】
マスキング剤除去工程の少なくとも1つが、溶媒をそれに適用することによって、マス
キング剤の少なくとも一部を除去する工程を含み得る。
【0027】
溶媒は、水を含み得る。
【0028】
導管は、マスキング剤除去工程の少なくとも1つの際、撹拌、回転、紡糸、及び振とう
などのうちの少なくとも1つであり得る。
【0029】
マスキング剤除去工程の少なくとも1つが、マスキング剤をエッチング、プラズマエッ
チング、アブレーション及び/又は研磨することによって行われ得る。
【0030】
導管の壁の内面は、その上での生体組織の成長を促進するように構成され得る。
【0031】
マスキング剤は、ポリマーを含み得る。
【0032】
マスキング剤は、水溶性ポリマーを含み得る。
【0033】
マスキング剤は、ポリビニルピロリドン、グリセロール、メチルセルロース、ポリ(エ
チレングリコール)及びポリ(エチレングリコール)ヒドロゲルのうちの少なくとも1つ
を含み得る。マスキング剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、グリセロール、メチル
セルロース、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリエチレンオキシド(PEO)
、及びポリ(エチレングリコール)ヒドロゲルのうちの少なくとも1つを含み得る。マス
キング剤は、本明細書に記載される他の生体親水性ポリマーも含み得る。
【0034】
マスキング剤は、生体適合性であり得る。
【0035】
マスキング剤は、導管に加えられるとき、生体適合性マスキング剤層を形成し得る。
【0036】
マスキング剤は、マスキング剤溶液から導管の多孔性部分の少なくとも一部に加えられ
得る。本明細書において使用される際、多孔性は、ヒト患者の正常な生理的条件下で血液
などの液体の通過に対して透過性であることを指す。
【0037】
マスキング剤溶液は、ポリマー溶液であり得る。
【0038】
マスキング剤を、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程は、マスキング剤溶
液を、導管の多孔性部分の少なくとも一部上に噴霧することによって行われ得る。
【0039】
マスキング剤溶液は、マスキング剤を、導管の壁の内面の少なくとも一部上に噴霧する
ことによって、導管に加えられ得る。
【0040】
マスキング剤を、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程は、導管の多孔性部
分の少なくとも一部を、マスキング剤溶液に浸漬することによって行われ得る。
【0041】
導管の実質的に全てが、マスキング剤溶液に浸漬され得る。
【0042】
マスキング剤溶液は、溶液中の約5%重量/体積(w/v)のポリマー~溶液中約30
%w/vのポリマーを含み得る。
【0043】
本方法は、シーラントを、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程が、導管の
多孔性部分からのマスキング剤の除去をもたらさないように行われ得る。
【0044】
マスキング剤は、人工血管が、ヒト又は動物の身体内に移植されるときに生分解するよ
うに構成され得る。
【0045】
導管は、織物繊維ポリマー導管であり得る。
【0046】
シーラントは、ポリマーを含み得る。
【0047】
シーラントは、水不溶性ポリマーであり得る。
【0048】
シーラントは、導管に加えられるときにシール層を形成し得、シール層はポリマー層で
ある。
【0049】
シーラントは、シリコーン、室温硬化型シリコーン、熱可塑性ポリウレタン、脂肪族ポ
リカーボネート、1つ以上の熱可塑性エラストマー、及びポリカーボネートのうちの少な
くとも1つを含み得る。
【0050】
シーラントは、シーラント溶液から導管に加えられ得る。
【0051】
シーラント溶液は、ポリマー溶液であり得る。
【0052】
シーラント溶液は、有機溶媒を含み得る。
【0053】
シーラント溶液は、ヘプタン及びキシレンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0054】
シーラントは、シーラントを上にブラシ塗布及び/又は噴霧することによって、導管の
多孔性部分の少なくとも一部に加えられ得る。
【0055】
シーラントは、導管の壁を通る血液の移動を軽減するように構成され得る。
【0056】
シーラント対マスキング剤の重量比は、約0.1:1~約100:1であり得る。シー
ラント対マスキング剤の重量比は、約0.1:1~約71:1であり得る。シーラント対
マスキング剤の重量比は、約0.1:1~約31:1であり得る。
【0057】
本方法は、人工血管を滅菌するさらなる工程を含み得る。本方法は、本発明の織物基材
を含有する人工血管及び/又は医療機器を滅菌するさらなる工程を含み得る。
【0058】
人工血管は、ガンマ線滅菌プロセス、電子線滅菌プロセス、及びエチレンオキシド滅菌
プロセスのうちの少なくとも1つによって滅菌され得る。
【0059】
導管は、収縮状態と伸長状態との間で移動可能であり得る。導管は、複数のクリンプを
含み得る。導管は、例えば、導管又は人工器官を伸縮させるための可撓性を提供するため
に複数のクリンプを含み得る。
【0060】
マスキング剤を、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程は、少なくとも部分
的に、導管が、収縮状態、伸長状態にある状態で、及び/又は収縮状態と伸長状態との間
で移動されるときに行われ得る。
【0061】
シーラントを、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程は、少なくとも部分的
に、導管が、収縮状態、伸長状態にある状態で、及び/又は収縮状態と伸長状態との間で
移動されるときに行われ得る。
【0062】
本方法は、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加えられる、マスキング剤の量、及び
/又は又はシーラントの量を少なくとも部分的に決定するために、導管を計量するか、及
び/又は導管の長さを測定する1つ以上の工程を含み得る。
【0063】
マスキング剤を、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程は、導管にガスを提
供する工程を含み得る。
【0064】
ガスは、導管の壁の外面に向けられ得る。
【0065】
ガスは、空気であり得る。
【0066】
本方法は、導管に支持部材を加える工程を含み得る。
【0067】
支持部材は、導管の壁の外面に加えられ得る。
【0068】
支持部材は、導管の壁の外面に巻き付けられ得る。
【0069】
導管は、複数のクリンプを含んでいてもよく、支持部材は、複数のクリンプの間に入れ
子になるように配置され得る。
【0070】
導管に支持部材を加える工程は、導管にシーラントを加える工程の前に行われ得る。
【0071】
導管にシーラントを加える工程は、少なくとも部分的に、導管に支持部材を取り付ける
ために使用され得る。
【0072】
支持部材は、可撓性のポリマー部材であり得る。
【0073】
本方法は、導管が、実質的に異なる量のシーラントを上に含む少なくとも2つの部分を
含むように、導管の1つ以上の部分にシーラントを選択的に加える1つ以上の工程を含み
得る。
【0074】
人工血管は、可逆的にシール可能(reversibly sealable)であり
得る。マスキング剤は、導管から選択的に除去可能であり得る。マスキング剤は、導管に
加えられ、その後、導管から除去され得る。シーラントは、導管から選択的に除去可能で
あり得る。シーラントは、導管に加えられ、その後、導管から除去され得る。マスキング
剤及びシーラントは、導管から選択的に除去可能であり得る。マスキング剤及びシーラン
トは、導管に加えられ、その後、導管から除去され得る。
【0075】
本方法は、導管にシーラントを加える1つ以上の工程を含み得る。導管は、その長さに
わたって可変の可撓性を有するように構成され得る。本方法は、導管の1つ以上の部分に
シーラントを加えることによって、導管の1つ以上の部分の可撓性を低下させる工程を含
み得る。本方法は、導管が、実質的に異なる量のシーラントを上に含む少なくとも2つの
部分を含むように、導管の1つ以上の部分にシーラントを選択的に加える工程を含み得る
。本方法は、導管の1つ以上の部分にシーラントを選択的に加える1つ以上の工程を含み
得る。導管の1つ以上の部分にシーラントを選択的に加える1つ以上の工程は、シーラン
トを、導管上に存在するシーラント上に加えることを含み得る。この構成において、導管
の異なる部分が、異なる柔軟度を有するように構成され得る。
【0076】
人工血管は、ヒト又は動物の身体内に移植可能であるように構成可能であり得る。人工
血管は、ヒト又は動物の身体内に移植可能又は送達可能であるように構成可能であり得る
。人工血管は、ヒト又は動物の身体内に移植可能であるように構成され得る。人工血管は
、ヒト又は動物の身体内に移植可能又は送達可能であるように構成され得る。
【0077】
人工血管は、生体適合性であり得る。本明細書において使用される生体適合性という用
語は、ヒト又は動物の身体内への移植と適合する材料、すなわち、周囲組織に有害又は毒
性でなくヒト又は動物の身体に移植され得る材料に関する。人工血管は、生体適合性材料
から作製され得る。人工血管は、実質的に全体的に生体適合性材料から作製され得る。
【0078】
人工血管は、血管グラフトであり得る。人工血管は、可撓性であるように構成され得る
。人工血管は、可撓性であり得る。
【0079】
人工血管は、入口及び出口を有し得る。人工血管は、人工血管の入口から人工血管の出
口へと流体を流れさせるように構成可能であり得る。人工血管は、流体が人工血管から漏
出するのを防ぐように構成され得る。人工血管は、人工血管の入口から人工血管の出口へ
と流体を流れさせ、流体が人工血管から漏出するのを防ぐように構成され得る。シール層
を多孔性部分に加える工程は、流体が人工血管から漏出するのを防ぐように人工血管を構
成し得る。流体は液体であり得る。流体は血液であり得る。人工血管は、流体が人工血管
の導管の壁を通過するのを防ぐか及び/又は防止するようにそれが構成される限り、流体
が人工血管から漏出するのを防ぐか及び/又は防止するように構成され得ると理解される
であろう。
【0080】
シーラントを、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程は、導管を人工血管へ
と変換し得る。
【0081】
人工血管は、実質的に全体的にポリマー材料から作製され得る。
【0082】
人工血管は、血液が約300mmHg(40kPa)以下、任意に、約200mmHg
(26.7kPa)以下の血圧で人工血管から漏出するのを防ぐように構成され得る。
【0083】
導管は、ポリマー材料から作製され得る。導管は、ポリマー導管であり得る。導管は、
1つ以上のポリマーから作製され得る。導管は、織物導管であり得る。導管は、編まれた
導管であり得る。導管は、織物繊維から作製され得る。導管は、織物、ポリマー、繊維質
導管であり得る。導管は、ポリエステルを含み得る。導管は、ポリテトラフルオロエチレ
ン(PTFE)を含み得る。導管は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含み得る
。導管は、ポリウレタン(PU)を含み得る。
【0084】
本方法は、導管に熱を加える工程を含み得る。本方法は、導管に熱を加えることによっ
て、導管の形状を変化させる工程を含み得る。
【0085】
導管は、ほぼ円筒形状であり得る。導管は、ほぼ管形状であり得る。導管は、約44m
m以下、任意に、約8mm~約32mmの直径を有し得る。導管は、全体にわたってほぼ
均一な断面を有し得る。
【0086】
導管は、1つ以上のクリンプを含み得る。本方法は、1つ以上のクリンプを導管に加え
る工程を含み得る。本方法は、導管をフレーム部材上に取り付ける工程を含み得る。本方
法は、導管をフレーム部材に固着する工程を含み得る。フレーム部材は、導管を収縮状態
から伸長状態へと移動させるように構成可能であり得る。フレーム部材は、導管を伸長状
態から収縮状態へと移動させるように構成可能であり得る。収縮状態において、導管は、
導管の長さのcm当たり約7個のクリンプ~導管の長さのcm当たり約10個のクリンプ
を含み得る。伸長状態において、導管は、導管の長さのcm当たり約4個のクリンプ~導
管の長さのcm当たり約6個のクリンプを含み得る。
【0087】
導管は、綾織部分を含み得る。導管は、綾織導管であり得る。導管は、1/1綾織であ
り得る。導管は、平織部分を含み得る。導管は、平織導管であり得る。導管の緯糸ピック
数(pick-rate)は、約25ppcm~約50ppcm、任意に、約36ppc
m~約45ppcmであり得る。有用な糸は、マルチフィラメント糸を含み得る。
【0088】
導管又は医療用織物は、織布に限定されない。編布、編組布、布帛ウェブ、布帛フェル
ト、フィラメント紡糸織物などの他の織物構造が使用され得る。このような織物又は布帛
構成は、医療用途(血管及び非血管用途を含む)及び非医療用途の両方において、本発明
の方法、コーティング、及び/又はマスキング剤を用いて使用され得る。
【0089】
一般に、有用な糸材料としては、限定はされないが、ポリエステル、ポリプロピレン、
ポリエチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、及びそれらの組合せが挙げ
られる。糸は、モノフィラメント、マルチフィラメント、又は紡糸タイプのものであり得
る。マルチフィラメント糸は、約8フィラメント~約96繊維フィラメント、望ましくは
、約20フィラメント~約40フィラメント、より望ましくは、約25フィラメント~約
30フィラメントを含有し得る。糸は、約18デニール(約20デシテックス)~約14
0デニール(約154デシテックス)、より望ましくは、約30デニール(約33デシテ
ックス)~約60デニール(約67デシテックス)、より望ましくは、約40デニール(
約44デシテックス)~約45デニール(50デシテックス)の線密度を有し得る。糸は
、扁平糸、撚糸、及び/又はテクスチャード加工糸であってもよく、高い、低い又は中程
度の収縮及び/又はバルク及びクリンプ特性を有し得る。撚糸は、S撚糸及びZ撚糸を含
む。インチ当たりの撚り数は、約2撚り/インチ(約0.8撚り/cm)~約15撚り/
インチ(約6撚り/cm)、より望ましくは、約5撚り/インチ(約2撚り/cm)~約
12撚り/インチ(約5撚り/cm)で変化し得る。望ましくは、糸は、単層糸(sin
gle ply yarn)又は多層糸(multi-ply yarn)である。多層
糸は、層又は束当たり約2本の糸から層又は束当たり約4本の糸を含有し得る。
【0090】
本発明の織物グラフトは、単純な平織、バスケット織り、綾織、ベロア織りなどを含む
、任意の公知の織目を用いた糸から織られ得る。織目は、織物製品の縦方向長さに沿って
延びる経糸、及び織物製品の幅又は外周の周りに延びる緯糸(fill yarn)とし
ても知られている緯糸(weft)を含む。経糸及び緯糸は、縦方向において機械から出
てくる布帛で、互いに約90度である。織目は、約80~約325経糸/インチ(約30
~約128本の経糸/cm)及び約80~約200本の緯糸(fill)又は緯糸(we
ft yarn)/インチ(約30~約80本の緯糸/cm)を有し得る。壁厚は、任意
の従来の有用な厚さ、例えば約0.04mm~約1mmであり得る。
【0091】
編み(knitting)は、編まれた布帛構造を形成するためのインタールーピング
(interlooping)、又はループの縦の列(縦目)及び横の列(横目)への糸
の縫合を含む。縦編みでは、ループは、織物長さに沿って、すなわち、織物の縦目又は縦
方向に形成される。非限定的なステッチ数は、層当たり約20~約60縦目/インチ(層
当たり約8~約25縦目/cm)及び層当たり30~80横目/インチ(層当たり約12
~約32横目/cm)を含み得る。ステッチの非限定的な総数は、約600~約5,00
0ステッチ/平方インチ(約100~約900ステッチ/平方センチメートル)で変化し
得る。有用な編み目としては、限定はされないが、両面編み(トリコット又はジャージ編
みとも呼ばれる)、リバースロックニット、シャークスキン編み、クイーンズコード編み
(queenscord knit)、アトラス編み(atlas knit)、ベロア
編みなどが挙げられる。壁厚は、任意の従来の有用な厚さ、例えば約0.1mm~約1.
5mmであり得る。
【0092】
導管は、1つ以上の入口を含み得る。導管は、1つ以上の出口を含み得る。導管は、Y
字型導管であり得る。導管は、T字型導管であり得る。導管は、円筒状、管状、Y字型、
T字型、及び多流路(multi-channel)の導管の1つ以上であり得る。導管
は、球根形状又は球根形状を有する部分を有し得る。このような球根形状は、限定はされ
ないが、バルサルバ大動脈基部形状を有し得る。しかしながら、本発明は、導管形状の織
物に限定されない。平面状又は成形されたシート又はテープなどの他の形状の織物が、本
発明に使用され得る。
【0093】
導管は、多孔性導管であり得る。導管は、例えば、120mmのHg圧力で0.16m
l/分/cm超の透水性を有する多孔性導管であり得る。
【0094】
導管の壁の内面は、その上での生体組織の成長を促進するように構成され得る。導管の
壁の内面は、その上で生体組織を成長させるように構成され得る。導管の壁の内面は、そ
の上での生体組織の成長を促進するように構成され得、少なくとも部分的に、シーラント
を実質的に含まない。導管の壁の内面は、偽内膜の成長を促進するように構成され得る。
導管の壁の内面は、その上で偽内膜の成長を起こすように構成され得る。導管の壁の内面
は、それに対する生体組織の付着を促進するように構成され得る。導管の壁の内面は、そ
れに生体組織を付着させるように構成され得る。導管の壁の内面は、それに対する血小板
の付着を促進するように構成され得る。
【0095】
導管の壁の内面は、繊維質であり得る。導管の壁の内面は、織物繊維を含み得る。導管
の壁の内面は、編組部分を含み得る。導管の壁の内面は、実質的に編組表面であり得る。
【0096】
マスキング剤は、犠牲層を形成し得る。マスキング剤は、マスキング層を形成し得る。
マスキング剤は、導管の少なくとも一部上に犠牲マスキング層を形成し得る。マスキング
剤は、導管に可逆的に適用可能であり得る。
【0097】
マスキング層は、疎油性層であり得る。
【0098】
マスキング剤は、導管の少なくとも一部に加えられ得る。マスキング剤は、導管の実質
的に全てに加えられ得る。マスキング剤は、導管の多孔性部分の実質的に全てに加えられ
得る。マスキング剤は、導管の壁の内面に加えられ得る。
【0099】
本方法は、導管からマスキング剤の少なくとも一部を除去するさらなる工程を含み得る
。本方法は、1つ以上のマスキング剤除去工程を含み得る。マスキング剤は、マスキング
剤リムーバーをマスキング剤に適用することによって、導管から除去され得る。
【0100】
本方法は、シーラントを、多孔性部分の少なくとも一部に加える工程の前に行われる第
1のマスキング剤除去工程を含み得る。本方法は、シーラントを、導管の多孔性部分の少
なくとも一部に加える工程の後に行われる第2のマスキング剤除去工程を含み得る。本方
法は、シーラントを、多孔性部分の少なくとも一部に加える工程の前に行われる第1のマ
スキング剤除去工程、及びシーラントを、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工
程の後に行われる第2のマスキング剤除去工程を含み得る。
【0101】
本方法は、導管の壁の外面から、マスキング剤の少なくとも一部を除去する工程を含み
得る。本方法は、シーラントの添加の前に、導管の壁の外面からマスキング剤の少なくと
も一部を除去する工程を含み得る。本方法は、導管の壁の外面の少なくとも一部が、マス
キング剤を含まないように、導管の壁の外面からマスキング剤の少なくとも一部を除去す
る工程を含み得る。この構成において、シーラントは、導管の壁の外面の少なくとも一部
に加えられ得る。
【0102】
導管の壁の外面からマスキング剤の少なくとも一部を除去する工程は、エッチング、プ
ラズマエッチング、アブレーション及び/又は研磨によって行われ得る。
【0103】
マスキング剤の少なくとも一部を除去する工程は、溶媒をマスキング剤に適用する工程
を含み得る。溶媒は水であり得る。
【0104】
本方法は、導管からマスキング剤の実質的に全てを除去する工程を含み得る。導管から
マスキング剤の実質的に全てを除去する工程は、シーラントを、導管の多孔性部分の少な
くとも一部に加える工程の後に行われ得る。マスキング剤の実質的に全てを除去する工程
は、導管の多孔性部分の少なくとも一部へのシーラントの添加の後に行われる場合、それ
が導管からのシーラントの除去をもたらさないように行われ得る。
【0105】
マスキング剤の実質的に全てを除去する工程は、溶媒をマスキング剤に適用する工程を
含み得る。溶媒は水であり得る。
【0106】
マスキング剤の少なくとも一部を除去する工程は、約15℃~約140℃、任意に、約
15℃~約95℃、任意に、約35℃~約45℃、任意に、約40℃の温度で行われ得る
。マスキング剤の少なくとも一部を除去する工程は、約40分間~約300分間、任意に
、約40分間~約60分間、任意に、約45分間~約55分間、任意に、約51分間にわ
たって行われ得る。
【0107】
マスキング剤の少なくとも一部を除去する工程は、導管にガスを適用することによって
行われ得る。マスキング剤の少なくとも一部を除去する工程は、蒸気を導管に適用するこ
とによって行われ得る。マスキング剤の少なくとも一部を除去する工程は、オートクレー
ブ中で行われ得る。
【0108】
本方法は、導管を撹拌する工程を含み得る。導管を撹拌する工程は、本方法の他の工程
のいずれかの間に行われ得る。マスキング剤の少なくとも一部を除去する工程は、溶媒を
含む溶液中で導管を撹拌しながら行われ得る。溶媒は水であり得る。
【0109】
導管に加えられるとき、マスキング剤は、マスキング剤層を形成し得る。マスキング剤
層は、ポリマー層であり得る。マスキング剤は、マスキング剤溶液を用いて導管に適用さ
れ得る。本方法は、マスキング剤溶液を導管に適用する工程を含み得る。本方法は、マス
キング剤溶液から溶媒を除去するさらなる工程を含み得る。
【0110】
マスキング剤溶液は、溶媒を含み得る。マスキング剤溶液は、極性溶媒を含み得る。マ
スキング剤溶液は、水を含み得る。
【0111】
マスキング剤溶液から溶媒を除去する工程は、マスキング剤溶液から溶媒を蒸発させる
ことによって行われ得る。本方法は、約15℃~約80℃、任意に、約50℃~約80℃
の温度で、マスキング剤溶液から溶媒を蒸発させるさらなる工程を含み得る。
【0112】
マスキング剤は、導管をマスキング剤に浸漬することによって、導管に加えられ得る。
マスキング剤は、導管をマスキング剤溶液に浸漬することによって、導管に加えられ得る
。マスキング剤は、導管を撹拌しながら導管をマスキング剤溶液に浸漬することによって
、導管に加えられ得る。マスキング剤は、最大で約1分間にわたって、導管を、マスキン
グ剤、又はマスキング剤溶液に浸漬することによって、導管に加えられ得る。マスキング
剤は、導管を撹拌しながら、最大で約1分間にわたって、導管を、マスキング剤、又はマ
スキング剤溶液に浸漬することによって、導管に加えられ得る。
【0113】
マスキング剤は、マスキング剤溶液を、導管の壁の内面に適用することによって、導管
に加えられ得る。マスキング剤は、マスキング剤溶液を、導管の壁の外面に適用すること
によって、導管に加えられ得る。
【0114】
マスキング剤は、導管をマスキング剤に浸漬することによって、導管をマスキング剤に
ディップすることによって、マスキング剤を導管上にスプレーコーティングすることによ
って、及び/又はマスキング剤を導管上にブラシ塗布することによって、導管に加えられ
得る。
【0115】
マスキング剤溶液は、マスキング剤を、導管の多孔性部分の少なくとも一部上に噴霧す
ることによって、導管に加えられ得る。
【0116】
マスキング剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)を含み得る。マスキング剤は、約6
,000g/mol~約15,000g/mol、任意に、約8,000g/mol~約
12,000g/mol、任意に、約10,000g/molの分子量を有するPVPを
含み得る。マスキング剤は、グリセロールを含み得る。マスキング剤は、PVP及びグリ
セロールを含み得る。
【0117】
マスキング剤は、水溶性であり得る。
【0118】
マスキング剤溶液は、PVP及び水を含み得る。マスキング剤溶液は、PVP、グリセ
ロール及び水を含み得る。
【0119】
マスキング剤は、溶液中の約3%w/v~約30%w/vのポリマー、任意に、溶液中
の約5%w/v~約30%w/vのポリマー、任意に、溶液中の約5%w/v~約20%
w/vのポリマー、任意に、溶液中の約5%w/v~約10%w/vのポリマー、任意に
、溶液中の約5%w/v~約7%w/vのポリマー、任意に、溶液中の約7%w/vのポ
リマー、任意に、溶液中の約6%w/vのポリマー、任意に、溶液中の約5%w/vのポ
リマー、任意に、溶液中の約4%w/vのポリマー、任意に、溶液中の約3%w/vのポ
リマーを含み得る。マスキング剤は、溶液中の約3%w/v~約80%w/vのポリマー
を含み得る。
【0120】
マスキング剤溶液は、溶液中の約3%w/vのPVP~約30%w/vのPVP、任意
に、溶液中の約5%w/v~約30%w/vのPVP、任意に、溶液中の約5%w/v~
約20%w/vのPVP、任意に、溶液中の約5%w/v~約10%w/vのPVP、任
意に、溶液中の約7%w/vのPVP、任意に、溶液中の約6%w/vのPVP、任意に
、溶液中の約5%w/vのPVP、任意に、溶液中の約4%w/vのPVP、任意に、溶
液中の約3%w/vのPVPを含み得る。
【0121】
マスキング剤溶液は、溶液中の約1%w/vのグリセロールを含み得る。マスキング剤
溶液は、溶液中の約6%w/vのPVP、及び溶液中の約1%w/vのグリセロールを含
み得る。マスキング剤溶液中のグリセロール対マスキング剤の比率は、約1%~約100
%であり得る。マスキング剤溶液中のグリセロール対マスキング剤の比率は、約1%~約
30%、任意に、約1.5%~約30%、任意に、約5%~約30%、任意に、約1%~
約20%、任意に、約1%~約15%、及び任意に、約1%~約10%であり得る。
【0122】
マスキング剤は、メチルセルロースを含み得る。マスキング剤は、ポリ(エチレングリ
コール)(PEG)を含み得る。マスキング剤は、PEGヒドロゲルを含み得る。
【0123】
マスキング剤は、1つの生体適合性材料、又は複数の生体適合性材料から作製され得る
。マスキング剤を導管に適用することにより、生体適合性層が形成され得る。
【0124】
生分解する(biodegrade)、生分解性、生体吸収性(bioabsorba
ble)及び生体吸収性(bioresorbable)という用語は、本明細書におい
て、ヒト又は動物の身体内に移植されるときに時間とともに分解する材料を指すのに使用
される。
【0125】
マスキング剤は、生体吸収性、又は生分解性材料を含み得る。マスキング剤は、生分解
性であり得る。マスキング剤は、ヒト又は動物の身体内に移植されるときに生分解可能で
あるように構成され得る。マスキング剤は、ヒト又は動物の身体内に移植されるときに生
体吸収されるように構成され得る。マスキング剤は、生分解性ポリマーであり得る。マス
キング剤は、生分解性ポリマーを含み得る。マスキング剤は、生分解性であるように構成
可能であり得る。
【0126】
マスキング剤を、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程中、導管は、収縮状
態から伸長状態へと移動され得る。マスキング剤を、導管の多孔性部分の少なくとも一部
に加える工程中、導管は、伸長状態から収縮状態へと移動され得る。マスキング剤を、導
管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程は、導管が収縮状態と伸長状態との間で移
動されながら行われ得る。マスキング剤を、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える
工程は、導管が収縮状態にある状態で行われ得る。マスキング剤を、導管の多孔性部分の
少なくとも一部に加える工程は、導管が伸長状態にある状態で行われ得る。本方法の工程
の1つ以上が、導管が収縮状態と伸長状態との間で移動されながら行われ得る。
【0127】
収縮状態と伸長状態との間で導管を移動させる工程は、最大で約100%だけ導管を伸
長し得る。収縮状態と伸長状態との間で導管を移動させる工程は、約45%~約55%だ
け導管を伸長し得る。収縮状態と伸長状態との間で導管を移動させる工程は、約50%だ
け導管を伸長し得る。収縮状態において、導管の長さは、約20%~約80%、任意に、
約20%~約40%、任意に、約40%~約60%だけ、その完全に伸長した長さから減
少され得る。伸長状態において、導管の長さは、約20%~約80%、任意に、約20%
~約40%、任意に、約40%~約60%だけ、その完全に伸長した長さから減少され得
る。
【0128】
マスキング剤を、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程は、ガスを導管に提
供することを含み得る。ガスは、導管の壁の外面に向かって流れるように構成され得る。
この構成において、マスキング剤を導管に加える工程により、マスキング剤は、導管の壁
の内面上に優先的に形成される。この構成において、導管の壁の外面は、マスキング剤を
実質的に含まないままであり得る。ガスは、空気であり得る。
【0129】
シーラントは、導管の多孔性部分を通る流体の流れが軽減されるように、導管の多孔性
部分を実質的にブロックするように構成され得る。シーラントは、導管の壁を通る流体の
移動を防止するか又は防ぐように構成され得る。流体は、血液であり得る。
【0130】
シーラントは、導管の壁の外面の少なくとも一部に加えられ得る。シーラントは、導管
の壁の外面の実質的に全てに加えられ得る。
【0131】
本方法は、シーラントを、導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程が、マスキ
ング剤の除去をもたらさないように行われ得る。この構成において、シーラント及びマス
キング剤は、互いに適合性である。すなわち、シーラント及びマスキング剤は、シーラン
ト又はマスキング剤が、損傷されたり、又は、導管に適用されるとき、導管から除去され
たりせずに、互いに接触状態にあり得る。
【0132】
シーラントは、生体適合性であり得る。シーラントは、1つの生体適合性材料、又は複
数の生体適合性材料から作製され得る。シーラントは、シール層を形成し得る。シール層
は、生体適合性層であり得る。シーラントは、生体適合性層を形成し得る。
【0133】
シーラントは、ポリマーであり得る。シール層は、ポリマー層であり得る。シーラント
は、ポリウレタンを含み得る。シーラントは、熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み得
る。シーラントは、シリコーンを含み得る。シーラントは、ポリウレタン及びシリコーン
を含み得る。シーラントは、TPU及びシリコーンを含み得る。シーラントは、脂肪族ポ
リカーボネートを含み得る。シーラントは、ポリウレタン及び脂肪族ポリカーボネートを
含み得る。シーラントは、TPU及び脂肪族ポリカーボネートを含み得る。シーラントは
、室温硬化型(RTV)シリコーンを含み得る。シーラントは、RTVシリコーンエラス
トマーを含み得る。シーラントは、ポリカーボネートを含み得る。シーラントは、1つ以
上の熱可塑性エラストマーを含み得る。
【0134】
シーラント溶液は、ポリウレタンを含み得る。シーラント溶液は、TPUを含み得る。
シーラント溶液は、シリコーンを含み得る。シーラント溶液は、ポリウレタン及びシリコ
ーンを含み得る。シーラント溶液は、TPU及びシリコーンを含み得る。シーラント溶液
は、脂肪族ポリカーボネートを含み得る。シーラント溶液は、ポリウレタン及び脂肪族ポ
リカーボネートを含み得る。シーラント溶液は、TPU及び脂肪族ポリカーボネートを含
み得る。シーラント溶液は、RTVシリコーンを含み得る。シーラント溶液は、RTVシ
リコーンエラストマーを含み得る。シーラント溶液は、ポリカーボネートを含み得る。シ
ーラント溶液は、1つ以上の熱可塑性エラストマーを含み得る。
【0135】
有機溶媒は、非プロトン性溶媒であり得る。有機溶媒は、非極性溶媒であり得る。シー
ラント溶液は、ヘプタンを含み得る。シーラント溶液は、キシレンを含み得る。シーラン
ト溶液は、シリコーン及びヘプタンを含み得る。シーラント溶液は、シリコーン及びキシ
レンを含み得る。シーラント溶液は、RTVシリコーンエラストマー及びヘプタンを含み
得る。シーラント溶液は、RTVシリコーンエラストマー及びキシレンを含み得る。シー
ラント溶液は、ポリウレタン及びヘプタンを含み得る。シーラント溶液は、ポリウレタン
及びキシレンを含み得る。シーラント溶液は、ポリカーボネート及びヘプタンを含み得る
。シーラント溶液は、ポリカーボネート及びキシレンを含み得る。
【0136】
シーラント溶液は、極性溶媒を含み得る。シーラント溶液は、ジメチルアセトアミド(
DMAC)を含み得る。シーラント溶液は、テトラヒドロフラン(THF)を含み得る。
シーラント溶液は、TPU及びDMACを含み得る。シーラント溶液は、熱可塑性ポリウ
レタン及びTHFを含み得る。
【0137】
シーラントは、環境応力亀裂を軽減するように構成可能であり得る。シーラントは、導
管に適用されるとき、環境応力亀裂を軽減するように構成され得る。
【0138】
本方法は、シーラントから溶媒を除去する工程を含み得る。本方法は、シーラント溶液
から溶媒を除去する工程を含み得る。溶媒を除去する工程は、シーラントから溶媒を蒸発
させることによって行われ得る。溶媒を除去する工程は、シーラント溶液から溶媒を蒸発
させることによって行われ得る。
【0139】
シーラントは、シーラントを導管上にブラシ塗布することによって、導管に加えられ得
る。シーラントは、シーラントを導管上にスプレーコーティングすることによって、導管
に加えられ得る。シーラントは、導管をシーラントにディップすることによって、導管に
加えられ得る。シーラントは、シーラントを導管上に鋳造することによって、導管に加え
られ得る。シーラントは、導管をシーラントに浸漬することによって、導管に加えられ得
る。シーラントは、蒸着によって加えられ得る。シーラントは、化学蒸着によって加えら
れ得る。シーラントは、静電紡糸及び/又はフィラメント紡糸によって加えられ得る。シ
ーラントは、シーラントで導管をワイプすることによって、導管に加えられ得る。シーラ
ントは、導管がその縦方向軸の周りで回転されながら、導管に加えられ得る。シーラント
は、導管が、最大で約2,000rpm、任意に、700rpm~2,000rpm、任
意に、約40rpm~約80rpm、任意に、約60rpmで、その縦方向軸の周りで回
転されながら、導管に加えられ得る。
【0140】
マスキング剤及びシーラントを適用する前に、織物、医療用織物又は医療機器(例えば
人工器官)の表面は、エラストマーで表面処理され得る。エラストマーは、シーラントと
同じエラストマーであってもよく、又はそれは、異なるエラストマーであってもよい。こ
のような表面処理は、エラストマーが織物の壁に確実に浸透しないように、エラストマー
の非常に軽い適用であるように設計される。このような表面処理は、軽い表面噴霧、選択
領域コーティング又は硬化前の薄い弾性繊維の適用によって適用され得る。例えば、エラ
ストマーのスポットは、長さ及び半径に沿って配置され得る。表面処理の目的は、過剰な
マスキング剤が非意図的にシーラントに干渉する場合に、シーラントが確実に付着する場
所を有するようにすることである。表面処理は、マスキング剤を弾くため、シーラントの
ための結合/付着部位を提供する。
【0141】
表面処理はまた、例えば、織物におけるシール剤の付着を促進するために、織物の特性
を変化させるために使用され得る。これは、織物におけるシーラントの向上した固定のた
めに、織物における化学的付着特性を変化させるための表面活性化を含み得る。さらに、
織物の部分の親水性及び/又は疎水性はまた、マスキング剤及び/又はシーラントの向上
した吸引及び/又は反発のために変性され得る。非限定的な技術としては、限定はされな
いが、プラズマ発生(低圧又は真空発生を含む)、大気圧発生、高圧発生(例えば、グロ
ー放電発生、コロナ放電発生、誘電体バリア放電発生などを含む)の使用が挙げられる。
さらに、紫外線照射及びレーザー処理が使用され得る。マスキング剤及び/又はシーラン
トを適用する前のこのような前処理(preconditioning)は、織物基材の
物理的及び/又は化学的変性によって、シーラント結合を促進し得る。さらに、織物パタ
ーン自体が、隆起した糸(raised yarn)がグラフトへのシーラント固定のた
めのより大きいアクセス点を提供する隆起した糸又はベロア表面を提供するように、浮き
上がる糸のより高い程度を含むように変更され得る。
【0142】
シーラントを導管に加える工程中、導管は、収縮状態から伸長状態へと移動され得る。
シーラントを導管に加える工程中、導管は、伸長状態から収縮状態へと移動され得る。シ
ーラントを導管に加える工程中、導管は、収縮状態と伸長状態との間で移動され得る。
【0143】
導管にシーラントを加える工程は、少なくとも部分的に、導管が収縮状態にあるときに
行われ得る。導管にシーラントを加える工程は、少なくとも部分的に、導管が伸長状態に
あるときに行われ得る。導管にシーラントを加える工程は、少なくとも部分的に、導管が
、収縮状態と伸長状態との間で移動されるときに行われ得る。
【0144】
収縮状態と伸長状態との間で導管を移動させる工程は、最大で約100%だけ導管を伸
長し得る。収縮状態と伸長状態との間で導管を移動させる工程は、約45%~約55%だ
け導管を伸長し得る。収縮状態において、導管の長さは、約20%~約80%、任意に、
約20%~約40%、任意に、約40%~約60%だけ、その完全に伸長した長さから減
少され得る。伸長状態において、導管の長さは、約20%~約80%、任意に、約20%
~約40%、任意に、約40%~約60%だけ、その完全に伸長した長さから減少され得
る。
【0145】
シーラントは、導管に適用された後、約4mg/cm~19mg/cmのシリコー
ン、任意に、約8mg/cmを含み得る。
【0146】
本方法は、人工血管を乾燥させるさらなる工程を含み得る。人工血管を乾燥させるさら
なる工程は、約15℃~約45℃の温度で行われ得る。人工血管を乾燥させるさらなる工
程は、導管からマスキング剤の少なくとも一部を除去する工程の後に行われ得る。人工血
管を乾燥させるさらなる工程は、シーラントを導管に加える工程の後に行われ得る。乾燥
工程は、少なくとも部分的に、人工血管から、水などの残留溶媒を除去するように構成さ
れ得る。
【0147】
人工血管を乾燥させるさらなる工程は、ガスを人工血管に提供する工程を含み得る。ガ
スは、空気であり得る。
【0148】
本方法は、複数の乾燥工程を含み得る。
【0149】
この乾燥工程又はその各々が、約15℃~約45℃の温度で行われ得る。
【0150】
本方法は、導管を計量する工程を含み得る。導管を計量する工程は、マスキング剤を導
管に加える工程の前に行われ得る。導管を計量する工程は、導管にシーラントを加える工
程の前に行われ得る。導管を計量する工程は、少なくとも部分的に、導管に適用されるマ
スキング剤の量を決定するために使用され得る。導管を計量する工程は、少なくとも部分
的に、導管に適用されるシーラントの量を決定するために使用され得る。
【0151】
本方法は、導管の長さを測定する工程を含み得る。導管の長さの測定が、少なくとも部
分的に、導管に加えられるマスキング剤の量を決定するために使用され得る。導管の長さ
の測定が、少なくとも部分的に、導管に加えられるシーラントの量を決定するために使用
され得る。
【0152】
導管の重量、及び導管の長さは、少なくとも部分的に、導管に加えられるマスキング剤
の量を決定するために使用され得る。導管の重量、及び導管の長さは、少なくとも部分的
に、導管に加えられるシーラントの量を決定するために使用され得る。
【0153】
支持部材は、導管の壁に加えられ得る。支持部材は、導管の壁の内面に加えられ得る。
支持部材は、導管の壁の内面及び外面に加えられ得る。シーラントは、支持部材を導管に
取り付けるように構成され得る。この構成において、支持部材は、導管に加えられ、次に
、シーラントは、導管をシールし、支持部材を導管に取り付けるために、導管に加えられ
る。
【0154】
支持部材は、ケーブル、ワイヤなどであり得る。支持部材は、ポリマー材料、金属材料
、形状記憶合金、及び超弾性合金のうちの少なくとも1つを含み得る。支持部材は、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリカーボネー
ト、シリコーン、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、及びニッケルチタン(ニチノール)
のうちの少なくとも1つを含み得る。支持部材は、可撓性部材であり得る。支持部材は、
導管に巻き付けられることが可能であり得る。支持部材は、導管のクリンプの間に入れ子
になるように配置され得る。支持部材は、可撓性のポリマーワイヤであり得る。支持部材
は、形状記憶の金属又はポリマー部材などの、金属又はポリマー部材であり得る。支持部
材は、導管の内側部分、導管の外側部分、導管の織物壁内、及びそれらの組合せに配置さ
れ得る。支持部材は、シーラントによって導管に固定されてもよく、例えば、シーラント
は、支持部材を封入してもよく、又は支持部材は、シーラントに埋め込まれ得る。ある実
施形態において、支持部材は、縫合、接着などの他の手段によって、導管に固定され得る
。支持部材は、縦方向に、半径方向に又はそれらの組合せで、導管の周りに配置され得る
【0155】
支持部材は、生体適合性であり得る。
【0156】
人工血管は、1つ以上のさらなる人工器官(prosthesis)、又は人工器官(
prosthese)に連結可能であり得る。人工血管の入口は、さらなる人工器官の出
口に連結可能であり得る。人工血管の出口は、さらなる人工器官の入口に連結可能であり
得る。人工血管は、1つ以上の心臓弁、又は合成心臓弁に連結可能であり得る。人工血管
は、補助人工心臓、心室補助装置、左心室補助装置、及び/又は右心室補助装置、生体心
臓弁などに連結可能であり得る。さらなる人工器官は、生体心臓弁であり得る。
【0157】
人工血管は、1つ以上の血管に連結可能であり得る。人工血管は、縫合によって1つ以
上の血管に連結可能であり得る。
【0158】
人工血管は、切断された、又は罹患した血管の第1の末端と第2の末端との間に配置可
能であり得る。人工血管の入口は、切断された、又は罹患した血管の第1の末端に連結可
能であり得る。人工血管の出口は、切断された、又は罹患した血管の第2の末端に連結可
能であり得る。
【0159】
本方法は、人工血管を滅菌する工程を含み得る。人工血管を滅菌する工程は、ガンマ線
滅菌プロセスによって行われ得る。人工血管を滅菌するさらなる工程は、電子線滅菌プロ
セスによって行われ得る。人工血管を滅菌するさらなる工程は、エチレンオキシド滅菌に
よって行われ得る。本方法は、1つ以上の滅菌工程を含み得る。人工血管は、滅菌される
ことによって人工血管が損傷されたり又は構造的に変化したりしないように、滅菌される
ことが可能であるように構成され得る。人工血管を滅菌する工程は、ヒト又は動物の身体
内への移植に好適であるように人工血管を構成し得る。
【0160】
本発明の第2の態様によれば、
壁を含む導管であって、導管の壁が、内面及び外面を含み、導管の少なくとも一部が多
孔性である、導管を含む人工血管であって;
多孔性部分の少なくとも一部が、導管の壁を通る流体の移動を軽減するように構成され
るシーラントを含み;
導管の壁の内面が、シーラントを実質的に含まない、人工血管が提供される。
【0161】
シーラントは、導管の壁の外面の少なくとも一部にシール層を形成し得る。
【0162】
シーラントは、導管の壁の外面の実質的に全てにシール層を形成し得る。
【0163】
導管の実質的に全てが多孔性であり得る。
【0164】
導管の壁の内面は、その上での生体組織の内部成長を促進するように構成され得る。
【0165】
導管は、織物繊維ポリマー導管であり得る。
【0166】
シーラントは、シール層を形成し得、シール層はポリマー層である。
【0167】
シーラントは、シリコーン、室温硬化型シリコーン、熱可塑性ポリウレタン、脂肪族ポ
リカーボネート、1つ以上の熱可塑性エラストマー、及びポリカーボネートのうちの少な
くとも1つを含み得る。
【0168】
シーラントは、導管の壁を通る血液の移動を軽減するように構成され得る。
【0169】
人工血管は、滅菌され得る。
【0170】
人工血管は、ガンマ線滅菌プロセス、エチレンオキシド滅菌プロセス、及び電子線滅菌
プロセスのうちの少なくとも1つによって滅菌され得る。
【0171】
導管は、収縮状態と伸長状態との間で移動可能であり得る。
【0172】
導管は、支持部材を含み得る。
【0173】
支持部材は、導管の壁の外面に実質的に隣接して位置し得る。
【0174】
支持部材は、導管の壁の外面に巻き付けられ得る。
【0175】
導管は、複数のクリンプを含んでいてもよく、支持部材は、複数のクリンプの間に入れ
子になるように配置される。
【0176】
シーラントは、少なくとも部分的に、支持部材を導管に取り付けるように配置され得る
【0177】
支持部材は、可撓性のポリマー部材であり得る。
【0178】
導管は、実質的に異なる量のシーラントを上に有する少なくとも2つの部分を有するよ
うに構成され得る。
【0179】
本発明の第2の態様の実施形態は、本発明の第1の態様又はその実施形態の1つ以上の
特徴を含み得る。同様に、本発明の第1の態様の実施形態は、本発明の第2の態様又はそ
の実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。
【0180】
本発明の第3の態様によれば、人工血管を製造するためのパーツのキットであって、パ
ーツのキットが、
(i)壁を含む導管であって、導管の壁が、内面及び外面を含み、導管の少なくとも一
部が多孔性である、導管と;
(ii)マスキング剤と;
(iii)シーラントとを含み;
導管の多孔性部分の少なくとも一部に適用されるとき、マスキング剤が、導管の内面に
おけるシーラントの存在を軽減するように構成されており;
導管の多孔性部分の少なくとも一部に適用されるとき、シーラントが、導管の壁を通る
流体の移動を軽減するように構成されている、パーツのキットが提供される。
【0181】
導管の多孔性部分の少なくとも一部へのシーラントの添加により、導管の壁の外面の少
なくとも一部にシール層が形成され得る。
【0182】
導管の多孔性部分の少なくとも一部へのマスキング剤の添加により、導管の壁の内面の
少なくとも一部にマスキング剤層が形成され得る。
【0183】
導管の実質的に全てが多孔性であり得る。
【0184】
パーツのキットは、マスキング剤リムーバーを含んでいてもよく、マスキング剤リムー
バーが、導管から適用されたマスキング剤を除去するように動作可能である。
【0185】
マスキング剤リムーバーは、溶媒を含み得る。
【0186】
溶媒は、水を含み得る。
【0187】
マスキング剤リムーバーは、約15℃~約140℃の温度で、導管から適用されたマス
キング剤を除去するように動作可能であり得る。
【0188】
パーツのキットは、研削器を含んでいてもよく、研削器が、導管から適用されたマスキ
ング剤を除去するように動作可能である。
【0189】
導管の壁の内面は、その上での生体組織の内部成長を促進するように構成され得る。
【0190】
マスキング剤は、ポリマーを含み得る。
【0191】
マスキング剤は、水溶性ポリマーを含み得る。
【0192】
導管に適用されたマスキング剤は、マスキング剤層を形成してもよく、マスキング剤層
はポリマー層である。
【0193】
マスキング剤は、ポリビニルピロリドン、グリセロール、メチルセルロース、及びポリ
(エチレングリコール)ヒドロゲルのうちの少なくとも1つを含み得る。マスキング剤は
、ポリビニルピロリドン、グリセロール、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及
びポリ(エチレングリコール)ヒドロゲル、並びにコラーゲン及びゼラチンなどの本明細
書にさらに記載される生物学的製剤のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0194】
マスキング剤は、生体適合性であり得る。
【0195】
導管に適用されたマスキング剤は、生体適合性マスキング剤層を形成し得る。
【0196】
パーツのキットは、マスキング剤溶液を含んでいてもよく、マスキング剤溶液が、マス
キング剤を導管に適用するように動作可能である。
【0197】
マスキング剤溶液は、ポリマー溶液であり得る。
【0198】
導管は、マスキング剤溶液に浸漬可能であり得る。
【0199】
マスキング剤溶液は、溶液中の約5%w/vのポリマー~溶液中の約30%w/vのポ
リマーを含み得る。
【0200】
マスキング剤及びシーラントが、導管に適用されるとき、シーラントは、導管へのシー
ラントの添加が、導管からの適用されたマスキング剤の除去をもたらさないように構成さ
れ得る。
【0201】
マスキング剤は、ヒト又は動物の身体内に移植されるときに生分解可能であるように構
成され得る。
【0202】
導管は、織物繊維ポリマー導管であり得る。
【0203】
シーラントは、ポリマー、任意に、水不溶性ポリマーを含み得る。
【0204】
シーラントは、導管に適用されるとき、シール層を形成してもよく、シール層はポリマ
ー層である。
【0205】
シーラントは、シリコーン、室温硬化型シリコーン、熱可塑性ポリウレタン、脂肪族ポ
リカーボネート、1つ以上の熱可塑性エラストマー、及びポリカーボネートのうちの少な
くとも1つを含み得る。
【0206】
パーツのキットは、シーラントを導管に適用するように動作可能なシーラント溶液を含
み得る。
【0207】
シーラント溶液は、ポリマー溶液であり得る。
【0208】
シーラント溶液は、有機溶媒を含み得る。
【0209】
シーラント溶液は、ヘプタン及びキシレンのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0210】
パーツのキットは、シーラントを導管に適用するように動作可能なシーラントアプリケ
ータ、及び/又はマスキング剤を導管に適用するように動作可能なマスキング剤アプリケ
ータを含み得る。
【0211】
シーラントアプリケータは、シーラントをスプレーコーティングするための装置、及び
/又はブラシなどであり得る。
【0212】
マスキング剤アプリケータは、ブラシ、マスキング剤をスプレーコーティングするため
の装置、導管をマスキング剤にディップ若しくは浸漬するための装置、及び/又はマスキ
ング剤で導管をワイプするための装置であり得る。
【0213】
シーラントは、導管の多孔性部分の少なくとも一部に適用されるとき、導管の壁を通る
血液の移動を軽減するように構成され得る。
【0214】
導管は、収縮状態と伸長状態との間で移動可能であり得る。
【0215】
パーツのキットは、さらなる人工器官を含み得る。
【0216】
さらなる人工器官は、生体心臓弁、合成心臓弁、補助人工心臓、及び心室補助装置など
のうちの少なくとも1つであり得る。
【0217】
パーツのキットは、計量装置及び/又は導管の長さを測定するための装置を含み得る。
【0218】
パーツのキットは、ガスフローを導管に提供するように動作可能なガスフロー装置を含
み得る。
【0219】
ガスは、空気であり得る。
【0220】
本発明の第3の態様の実施形態は、本発明の第1及び/又は第2の態様及び/又はそれ
らの実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。同様に、本発明の第1及び/又は第2の態様
の実施形態は、本発明の第3の態様及び/又はその実施形態の1つ以上の特徴を含み得る
【0221】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第2の態様に係る人工血管を製造する方法が提
供される。
【0222】
本発明の第4の態様の実施形態は、本発明の第1、第2及び/又は第3の態様及び/又
はそれらの実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。同様に、本発明の第1、第2及び/又
は第3の態様の実施形態は、本発明の第4の態様及び/又はその実施形態の1つ以上の特
徴を含み得る。
【0223】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1の態様の方法を用いて製造される人工血管
が提供される。
【0224】
本発明の第5の態様の実施形態は、本発明の第1、第2、第3及び/又は第4の態様及
び/又はそれらの実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。同様に、本発明の第1、第2、
第3及び/又は第4の態様の実施形態は、本発明の第5の態様及び/又はその実施形態の
1つ以上の特徴を含み得る。
【0225】
本発明の第6の態様によれば、血管系であって、
本発明の第1の態様にしたがって製造される人工血管;及び
さらなる人工器官を含み;
人工血管は、流体が人工血管とさらなる人工器官との間で流れることができるように、
さらなる人工器官に連結される、血管系が提供される。
【0226】
さらなる人工器官は、生体心臓弁、合成心臓弁、補助人工心臓、及び心室補助装置など
のうちの少なくとも1つであり得る。
【0227】
さらなる人工器官は、左心室補助装置、右心室補助装置、及び/又は合成心臓弁などで
あり得る。
【0228】
本発明の第6の態様の実施形態は、本発明の第1、第2、第3、第4及び/又は第5の
態様及び/又はそれらの実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。同様に、本発明の第1、
第2、第3、第4、及び/又は第5の態様の実施形態は、本発明の第6の態様及び/又は
その実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。
【0229】
本発明の第7の態様によれば、血管系であって、
本発明の第2の態様に係る人工血管;及び
さらなる人工器官を含み;
人工血管は、流体が人工血管とさらなる人工器官との間で流れることができるように、
さらなる人工器官に連結される、血管系が提供される。
【0230】
さらなる人工器官は、生体心臓弁、合成心臓弁、補助人工心臓、及び心室補助装置など
のうちの少なくとも1つであり得る。
【0231】
さらなる人工器官は、左心室補助装置、右心室補助装置、及び/又は合成心臓弁などで
あり得る。
【0232】
本発明の第7の態様の実施形態は、本発明の第1、第2、第3、第4、第5及び/又は
第6の態様及び/又はそれらの実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。同様に、本発明の
第1、第2、第3、第4、第5及び/又は第6の態様の実施形態は、本発明の第7の態様
及び/又はその実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。
【0233】
本発明の第8の態様によれば、人工血管を移植する方法であって、
本発明の第1の態様にしたがって製造される人工血管を提供する工程と;
人工血管の入口を、第1の血管に連結する工程と;
人工血管の出口を、第2の血管に連結する工程とを含み;
血液が、人工血管を通って第1及び第2の血管の間で流れることができるようになって
いる、方法が提供される。
【0234】
第1及び第2の血管は、罹患した血管、又は切断された血管、二分割された血管などか
ら形成され得る。
【0235】
本発明の第8の態様の実施形態は、本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6及び
/又は第7の態様及び/又はそれらの実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。同様に、本
発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6及び/又は第7の態様の実施形態は、本発明
の第8の態様及び/又はその実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。
【0236】
本発明の第9の態様によれば、人工血管を移植する方法であって、
本発明の第2の態様に係る人工血管を提供する工程と;
人工血管を、第1の血管に連結する工程と;
人工血管を、第2の血管に連結する工程とを含み;
血液が、人工血管を通って第1及び第2の血管の間で流れることができるようになって
いる、方法が提供される。
【0237】
第1及び第2の血管は、罹患した血管、又は切断された血管、二分割された血管などか
ら形成され得る。
【0238】
本発明の第9の態様の実施形態は、本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第
7及び/又は第8の態様及び/又はそれらの実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。同様
に、本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7及び/又は第8の態様の実施形
態は、本発明の第9の態様及び/又はその実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。
【0239】
本発明の第10の態様によれば、血管系を移植する方法であって、
血管系を提供する工程であって、血管系が、
本発明の第1の態様にしたがって製造される人工血管;及び
さらなる人工器官を含み;
人工血管が、さらなる人工器官に連結可能である、工程と;
血液がそれらの間で流れることができるように、人工血管を、さらなる人工器官に連結
する工程と;
血管の末端を、人工血管に連結する工程と;
さらなる人工器官を、心臓に連結する工程とを含み;
血液が、血管系を通って血管と心臓との間で流れることができるようになっている、方
法が提供される。
【0240】
さらなる人工器官は、心臓弁、補助人工心臓、及び/又は心室補助装置などであり得る
。さらなる人工器官は、左心室補助装置、右心室補助装置、及び/又は合成心臓弁などで
あり得る。
【0241】
本発明の第10の態様の実施形態は、本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6、
第7、第8及び/又は第9の態様及び/又はそれらの実施形態の1つ以上の特徴を含み得
る。同様に、本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8及び/又は第9
の態様の実施形態は、本発明の第10の態様及び/又はその実施形態の1つ以上の特徴を
含み得る。
【0242】
本発明の第11の態様によれば、血管系を移植する方法であって、
血管系を提供する工程であって、血管系が、
本発明の第2の態様に係る人工血管;及び
さらなる人工器官を含み;
人工血管が、さらなる人工器官に連結可能である、工程と;
血液がそれらの間で流れることができるように、人工血管を、さらなる人工器官に連結
する工程と;
血管の末端を、人工血管に連結する工程と;
さらなる人工器官を、心臓に連結する工程とを含み;
血液が、血管系を通って血管と心臓との間で流れることができるようになっている、方
法が提供される。
【0243】
さらなる人工器官は、生体心臓弁、合成心臓弁、補助人工心臓、及び心室補助装置など
のうちの少なくとも1つであり得る。
【0244】
さらなる人工器官は、左心室補助装置、右心室補助装置、及び/又は合成心臓弁などで
あり得る。
【0245】
本発明の第11の態様の実施形態は、本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6、
第7、第8、第9及び/又は第10の態様及び/又はそれらの実施形態の1つ以上の特徴
を含み得る。同様に、本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9
及び/又は第10の態様の実施形態は、本発明の第11の態様及び/又はその実施形態の
1つ以上の特徴を含み得る。
【0246】
本発明の第12の態様によれば、人工血管を製造する方法であって、
(i)壁を含む導管を提供する工程であって、導管の壁が、内面及び外面を含み、導管
の少なくとも一部が多孔性である、工程と;
(ii)マスキング剤を、多孔性部分の少なくとも一部に加える工程とを含み;
マスキング剤が、導管の壁を通る流体の移動を軽減するように構成される、方法が提供
される。
【0247】
本発明の第12の態様の実施形態は、本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6、
第7、第8、第9、第10及び/又は第11の態様及び/又はそれらの実施形態の1つ以
上の特徴を含み得る。同様に、本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第
8、第9、第10及び/又は第11の態様の実施形態は、本発明の第12の態様及び/又
はその実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。
【0248】
本発明の第13の態様によれば、
壁を含む導管であって、導管の壁が、内面及び外面を含み、導管の少なくとも一部が多
孔性である、導管を含む人工血管であって;
多孔性部分の少なくとも一部が、導管の壁を通る流体の移動を軽減するように構成され
るマスキング剤を含む、人工血管が提供される。
【0249】
本発明の第13の態様の実施形態は、本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6、
第7、第8、第9、第10、第11及び/又は第12の態様及び/又はそれらの実施形態
の1つ以上の特徴を含み得る。同様に、本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6、
第7、第8、第9、第10、第11及び/又は第12の態様の実施形態は、本発明の第1
3の態様及び/又はその実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。
【0250】
別の態様又は実施形態において、管状グラフトを製造する方法は、第1の開口端と反対
側の第2の開口端との間に配置され、内面及び反対側の外面が、その間の内壁部分を画定
する管状壁を含む織物を提供する工程であって、管状壁が、1つ以上のフィラメント若し
くは糸の織物構造を含み、織物構造自体が、液体に対して透過性である、工程と;実質的
に水溶性の材料を、管状壁の少なくとも一部に適用する工程と;実質的に水不溶性の合成
シーラントを、管状壁の外面の少なくとも一部に適用する工程であって、実質的に水不溶
性の合成シーラントが、導管の壁を通る流体の移動を軽減するように構成される、工程と
を含んでいてもよく;ここで、水溶性材料が、導管の内面へのシーラントの浸透を軽減す
るように構成される。
【0251】
水溶性材料を、管状壁の少なくとも一部に適用する工程は、水溶性材料を、管状壁の内
面の少なくとも一部及び内部の一部に適用することをさらに含み得る。水溶性材料を、管
状壁の少なくとも一部に適用する工程は、水溶性材料を、管状壁の外面の少なくとも一部
に適用することをさらに含み得る。
【0252】
水溶性材料は、水溶性材料及び溶媒の溶液であり得る。溶媒は、水、低級アルコール、
及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。溶媒は、実質的に水不溶性の合成シー
ラントを適用する前に少なくとも部分的に除去され得る。
【0253】
本方法は、溶解、研磨、剥離、分解、及びそれらの組合せによる、水溶性材料の少なく
とも一部の除去をさらに含み得る。
【0254】
水溶性材料は、ポリビニルピロリドン、グリセロール、メチルセルロース、ポリ(エチ
レングリコール)、ポリ(エチレングリコール)ヒドロゲル、ポリエチレンオキシド、コ
ラーゲン、アルブミン、ゼラチン、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。水
溶性材料は、約400~約1,000,000の分子量を有し得る。水溶性材料は、限定
はされないが、ポリ(エチレングリコール)、ポリエチレンオキシドなどの可塑剤を含み
得る。
【0255】
実質的に水不溶性の合成シーラントは、水分硬化性、光硬化性、熱硬化性、白金触媒、
嫌気性硬化性材料又はこれらの硬化機構の組合せからなる群から選択されるエラストマー
材料であり得る。エラストマー材料は、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネート、
熱可塑性エラストマー、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0256】
実質的に水溶性のコーティング又は実質的に水不溶性のコーティングのうちの1つ以上
は、着色剤、治療剤、染料、及び蛍光指示薬からなる群から選択される成分をさらに含み
得る。
【0257】
水溶性材料は、約6,000g/mol~約15,000g/molの分子量を有する
ポリビニルピロリドンを含み得る。
【0258】
水溶性材料を適用することにより、管状壁の内面の実質的に全てに層が形成され得る。
【0259】
本方法は、実質的に水不溶性の合成シーラントを硬化することをさらに含み得る。
【0260】
本方法は、実質的に水不溶性の合成シーラントを硬化すること;及びその後、水溶性材
料の少なくとも一部を除去することをさらに含み得る。本方法は、管状壁の内面から水溶
性材料の実質的に全てを除去することをさらに含み得る。
【0261】
本方法は、実質的に水不溶性の合成シーラントを適用する前に、管状壁の外面の少なく
とも一部から水溶性材料の少なくとも一部を除去することをさらに含み得る。
【0262】
水溶性材料の少なくとも一部を除去することは、約15℃~約140℃の温度で行われ
得る。
【0263】
水溶性材料の少なくとも一部を除去することは、それに溶媒を適用する工程をさらに含
み得る。溶媒は、水、低級アルコール、及びそれらの組合せを含み得る。
【0264】
管状織物は、水溶性材料の除去の間、撹拌、回転、紡糸、及び振とうなどを行われ得る
【0265】
水溶性材料の除去は、水溶性材料の溶解、エッチング、プラズマエッチング、アブレー
ション、研磨及びそれらの組合せを含み得る。
【0266】
水溶性材料を適用する工程は、水溶性材料を噴霧すること、水溶性材料をブラシ塗布す
ること、管状壁の少なくとも一部を、水溶性材料の溶液に浸漬すること、及びそれらの組
合せをさらに含み得る。
【0267】
実質的に水不溶性の合成シーラントは、ポリマー溶液であり得る。ポリマー溶液は、有
機溶媒を含み得る。有機溶媒は、ヘプタン及びキシレンのうちの少なくとも1つを含み得
る。
【0268】
実質的に水不溶性の合成シーラントは、実質的に水不溶性の合成シーラントを上にブラ
シ塗布、噴霧、ローラーコーティングすることによって適用され得る。
【0269】
本方法は、管状壁が、実質的に異なる量の実質的に水不溶性の合成シーラントを上に有
する少なくとも2つの部分を含むように、実質的に水不溶性の合成シーラントを、管状壁
の1つ以上の部分に選択的に適用する1つ以上の工程をさらに含み得る。
【0270】
実質的に水不溶性の合成シーラントのコーティングを有する管状壁は、その硬化後に、
液体に対して実質的に不透過性であり得る。実質的に水不溶性の合成シーラントの硬化の
後、管状壁は、120mmのHg圧力で約0.16ml/分/cm又は120mmのH
g圧力で0.16ml/分/cm未満の透水性を有し得る。
【0271】
別の態様又は実施形態において、織物は、第1の開口端と反対側の第2の開口端との間
に配置され、且つ内面及び反対側の外面を有する管状壁を含んでいてもよく、管状壁が、
1つ以上のフィラメント若しくは糸の織物構造を含み、織物構造自体が、液体に対して透
過性であり;内面の一部が、その上に実質的に水溶性の材料のコーティングを含み;外面
が、上に配置された実質的に水不溶性の合成シーラントのコーティングをさらに含み;実
質的に水不溶性の合成シーラントのコーティングを有する管状壁は、その硬化後に、液体
に対して実質的に不透過性である。
【0272】
水溶性材料は、ポリビニルピロリドン、グリセロール、メチルセルロース、ポリ(エチ
レングリコール)、ポリ(エチレングリコール)ヒドロゲル、ポリエチレンオキシド、及
びそれらの組合せからなる群から選択され得る。水溶性材料は、約400~約1,000
,000の分子量を有し得る。
【0273】
水溶性材料のコーティングは、疎油性層を含み得る。
【0274】
水溶性材料は、約6,000g/mol~約15,000g/molの分子量を有する
ポリビニルピロリドンを含み得る。
【0275】
水溶性材料は、ポリビニルピロリドン及びグリセロールを含み得る。
【0276】
実質的に水不溶性の合成シーラントは、水分硬化性、光硬化性、熱硬化性、白金触媒、
嫌気性硬化性材料又はこれらの硬化機構の組合せからなる群から選択されるエラストマー
材料であり得る。エラストマー材料は、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネート、
熱可塑性エラストマー、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0277】
実質的に水溶性のコーティング又は実質的に水不溶性のコーティングのうちの1つ以上
は、着色剤、治療剤、染料、及び蛍光指示薬からなる群から選択される成分を含み得る。
【0278】
実質的に水不溶性の合成シーラントの硬化の後、管状壁は、120mmのHg圧力で約
0.16ml/分/cm又は120mmのHg圧力で0.16ml/分/cm未満の
透水性を有し得る。
【0279】
織物構造は、1つ以上のフィラメント若しくは糸の織り、1つ以上のフィラメント若し
くは糸の編み、1つ以上のフィラメント若しくは糸の編組、及び1つ以上のフィラメント
若しくは糸のウェブからなる群から選択され得る。
【0280】
管状壁は、一連の頂部及び谷部を有する捲縮壁であり得る。実質的に水不溶性の合成シ
ーラントは、管状壁の面積のcm当たり約8mg又は管状壁の面積のcm当たり8m
g超で配置され得る。
【0281】
管状壁は、頂部及び谷部を実質的に含まない非捲縮壁であり得る。実質的に水不溶性の
合成シーラントは、管状壁の面積のcm当たり約4mg又は管状壁の面積のcm当た
り4mg超で配置され得る。
【0282】
実質的に水不溶性の合成シーラントは、管状壁の面積のcm当たり約14mg又は管
状壁の面積のcm当たり14mg未満で配置され得る。
【0283】
織物は、第1の軟質で可撓性の領域を提供するように、第1のレベルの実質的に水不溶
性の合成シーラントを有する管状壁の一部;及び第1の領域より剛性の第2の領域を提供
するように、第2のレベルの実質的に水不溶性の合成シーラントを有する管状壁の別の部
分を含んでいてもよく;ここで、実質的に水不溶性の合成シーラントの第2のレベルは、
実質的に水不溶性の合成シーラントの第1のレベルより多い。
【0284】
異なる領域が、デバイス(例えば人工器官又はグラフト)の長さに沿って形成され、様
々な用途及び身体構造に対応するように設計され得る。例えば、身体内でデバイスの機能
を適切に果たすため、並びに患者の生理学に合わせるために、デバイスが回転され、湾曲
され又はねじられる特定の必要性が存在し得る。蛇行した経路が、身体内に存在すること
が多く、本発明の医療機器は、このような部位に対応することができる。本開示及びその
実施形態の全ては、グラフトの全て、又は部分における1つ以上のシーラント層の形成に
よって、及びさらには本明細書にさらに記載される支持部材(これは、記載されるように
、シーラント材料に付着されるか又はシーラント材料に埋め込まれ得る)の組み込みによ
って、このような領域の形成を可能にする。記載されるように、支持部材は、ポリマー又
は金属であってもよく、細長い部材、コイル、ラップ、リング又はこのような形態の組合
せなどの様々な形態であり得る。本発明の全ての実施形態の重要な特徴は、シーラント材
料が、そのグラフト基材へのベースシーラント層の優れた付着性のため、さらなるコーテ
ィング又は支持部材のための基礎層として働くことが可能であることである。
【0285】
さらに、本発明及びその様々な実施形態は、シーラント表面の摩擦係数が、変化されて
、望ましくは、シーラントがそれ自体に粘着しないように十分に低く、及び/又は血管内
デバイスなどのデバイスにおいて使用されるほど十分に低くなり得、身体内で送達及び発
達を促進するのに十分な潤滑性を有するように、シーラント表面を調整することを想定し
ている。例えば、シーラント表面は、望ましくは、送達シースに滑り込み、それ自体で滑
り、それ自体に粘着せず、デバイスの他の部分、他のデバイス又は身体に粘着しない。こ
のような表面特性は、必要とされる所望の摩擦係数特性を提供するように、シーラント表
面を、潤滑性の基(lubricous group)又はコーティングで化学的又は物
理的に改変することによって与えられ得る。このような表面特性は、本発明においてシー
ラントが有する他の特性に加えられ得る。
【0286】
実質的に水不溶性の合成シーラントのコーティングの少なくとも一部は、1つ以上のフ
ィラメント若しくは糸の少なくとも一部に関与し得る。
【0287】
織物構造は、移植可能な医療機器であり得る。移植可能な医療機器は、外科用血管グラ
フト、及び血管内グラフト、補助人工心臓、人工心臓導管、メッシュ、パッチ、ヘルニア
プラグ、血管ラップ、心臓弁、フィルタなどからなる群から選択され得る。
【0288】
織物構造は、カテーテルなどの送達用医療機器であり得る。
【0289】
別の実施形態において、織物構造は、反対側の第1及び第2の表面及び長さを有する流
体透過性ポリマー織物層と;硬化されたときに、液体透過性ポリマー織物層を流体に対し
て実質的に不透過性にするように構成された第1の織物表面上の架橋性水不溶性合成エラ
ストマー層と;第2の織物表面上の実質的に乾燥された水溶性ポリマー層とを含んでいて
もよく;水溶性ポリマー層が、第2の表面上への水不溶性合成エラストマー層の移動を実
質的に阻害し;水溶性ポリマー層が、水への曝露によって実質的に除去可能である。
【0290】
別の実施形態において、織物構造は、反対側の第1及び第2の表面及び長さを有する流
体透過性ポリマー織物層と;硬化されたときに、液体透過性ポリマー織物層を流体に対し
て実質的に不透過性にするように構成された第1の織物表面上の架橋性水不溶性合成エラ
ストマー層と;第2の織物表面上の実質的に乾燥された水溶性ポリマー層とを含んでいて
もよく;水溶性ポリマー層が、第2の表面上への水不溶性合成エラストマー層の移動を実
質的に阻害し;水溶性ポリマー層が、水への曝露によって実質的に除去可能である。架橋
性水不溶性エラストマーポリマー対水溶性ポリマーの重量比が、約0.1:1~約100
:1(約1:1~約20:1を含む)であり得る。
【0291】
別の実施形態において、織物構造は、反対側の第1及び第2の表面及び長さを有する流
体透過性ポリマー織物層と;実質的に流体不透過性のバリアを形成する第1の織物表面上
の架橋水不溶性エラストマーポリマー層であって、弾性収縮によって第1の織物表面に付
着される架橋水不溶性エラストマー層と;第2の織物表面上で乾燥される水溶性ポリマー
層とを含んでいてもよく;架橋水不溶性エラストマーポリマー対水溶性ポリマーの重量比
が、約0.1:1~約100:1であり得る。架橋水不溶性エラストマーポリマー対水溶
性ポリマーの重量比が、約1:1~約20:1であり得る。
【0292】
別の実施形態において、グラフトは、第1の開口端と反対側の第2の開口端との間に配
置され、且つ内面及び反対側の外面を有する管状壁を含んでいてもよく、管状壁が、1つ
以上のフィラメント若しくは糸の織物構造を含み;外面が、その上に配置された実質的に
水不溶性のシーラントのコーティング又は層を含み;内面が、実質的に水不溶性のシーラ
ントを実質的に含まず;管状壁が、120mmのHg圧力で約0.16ml/分/cm
又は120mmのHg圧力で0.16ml/分/cm未満の透水性を有する。織物構造
は、1つ以上のフィラメント若しくは糸の織り、1つ以上のフィラメント若しくは糸の編
み、1つ以上のフィラメント若しくは糸の編組、及び1つ以上のフィラメント若しくは糸
のウェブからなる群から選択され得る。
【0293】
コーティング又は層は、内面と反対側の外面との間の管状壁の中間部分内に配置され得
る。
【0294】
管状壁は、一連の頂部及び谷部を有する捲縮壁であり得る。実質的に水不溶性のシーラ
ントは、管状壁の面積のcm当たり約8mg又は管状壁の面積のcm当たり8mg超
で配置され得る。
【0295】
管状壁は、頂部及び谷部を実質的に含まない非捲縮壁であり得る。実質的に水不溶性の
シーラントは、管状壁の面積のcm当たり約4mg又は管状壁の面積のcm当たり4
mg超で配置され得る。
【0296】
実質的に水不溶性のシーラントは、管状壁の面積のcm当たり約14mg又は管状壁
の面積のcm当たり14mg未満で配置され得る。
【0297】
実質的に水不溶性のシーラントは、水分硬化性、光硬化性、熱硬化性、白金触媒、嫌気
性硬化性材料又はこれらの硬化機構の組合せからなる群から選択されるエラストマー材料
であり得る。エラストマー材料は、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネート、熱可
塑性エラストマー、及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0298】
実質的に水溶性のコーティング(マスキング剤コーティング若しくは層)又は実質的に
水不溶性のコーティング(シーラントコーティング若しくは層)のうちの1つ以上は、着
色剤、治療剤、染料、及び蛍光指示薬からなる群から選択される成分を含み得る。
【0299】
実質的に水不溶性のシーラント(シーラントコーティング若しくは層)は、シリコーン
、室温硬化型シリコーン、熱可塑性ポリウレタン、脂肪族ポリカーボネート、1つ以上の
熱可塑性エラストマー、ポリカーボネート、及びそれらの組合せからなる群から選択され
得る。
【0300】
グラフトは、第1の軟質で可撓性の領域を提供するように、第1の量の実質的に水不溶
性のシーラント(シーラントコーティング又は層)を有する管状壁の一部;及び第1の領
域より剛性の第2の領域を提供するように、第2の量の実質的に水不溶性のシーラント(
シーラントコーティング又は層)を有する管状壁の別の部分を含んでいてもよく;実質的
に水不溶性のシーラント(シーラントコーティング又は層)の第2の量が、実質的に水不
溶性のシーラント(シーラントコーティング又は層)の第1の量より多い。グラフトは、
複数の軟質の可撓性の領域及びより剛性の領域を有する複数の領域を含み得る。異なる領
域は、グラフト上に工学的構造を構築するための基礎として働き得る。
【0301】
別の実施形態において、移植可能又は送達可能な医療用織物は、織物構造を有し、且つ
第1の表面及び反対側の第2の表面を有する壁を含んでいてもよく;第2の表面が、その
上に配置された実質的に水不溶性のシーラントのコーティングを含み;第1の表面が、実
質的に水不溶性のシーラントを実質的に含まず;壁が、120mmのHg圧力で約0.1
6ml/分/cm又は120mmのHg圧力で0.16ml/分/cm未満の透水性
を有する。
【0302】
選択的に適用された水不溶性シーラント層及び/又は選択的に適用された水溶性マスキ
ング剤層を有する移植可能又は送達可能な医療用織物を製造するためのアセンブリは、あ
る長さ、この長さの一部内に配置された中空管腔、少なくとも1つの開口端、及び壁を通
る複数の穿孔を有するマンドレルと;マンドレルの開放管腔と流体連通するリザーバと;
リザーバ内に配置された水溶性ポリマーとを含む。アセンブリは、複数の穿孔を有するマ
ンドレルの一部にわたって固定して配置された管状グラフトをさらに含み得る。アセンブ
リは、マンドレルの中空管腔と流体連通する真空源、及びマンドレルの中空管腔及びリザ
ーバ及び/又は真空源の間で選択的な流体連通を提供するように構成されるマニホールド
をさらに含み得る。アセンブリは、マンドレルの中空管腔と流体連通する加圧された及び
/又は吹き込まれた空気の供給源をさらに含み得る。
【0303】
しかしながら、本発明の実施形態は、人工血管に限定されず、本方法、コーティング及
びマスキング剤は、限定はされないが、衣類、ジオテキスタイル、交通輸送機関用テキス
タイル、軍事用及び/又は防護用テキスタイル、安全及び/又は保護用テキスタイル、ス
ポーツ及び/又は娯楽用テキスタイルなどの、医療用及び非医療用繊維製品を含む他の繊
維製品に好適に使用され得る。さらに、繊維製品は、管状導管に限定されず、例えば、シ
ート、テープ、或いは3次元形状製品を含むがこれらに限定されない任意の形状のもので
あり得る。
【0304】
本明細書に記載される本発明の様々な態様の実施形態は、本発明の他の態様及び/又は
それらの実施形態の1つ以上の特徴を含み得る。
【0305】
ここで、本発明の実施形態は、例として、図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0306】
図1a】本発明の一実施形態に係る、入口及び出口の両方から見た導管の斜視図を示す。
図1b】マスキング剤の添加後の図1aの導管の斜視図を示す。
図1c】シーラントの添加後の図1bの導管の斜視図を示す。
図1d】マスキング剤の実質的に全ての除去後の図1cの導管の斜視図を示す。
図2図1aの導管の壁の内面の詳細図を示す。
図3】マスキング剤の添加後の図1bの導管の壁の内面の詳細図を示す。
図4a図1dの導管の壁の内面の詳細図を示す。
図4b図1dの導管の壁の内面の詳細図を示す。
図5a図1dの導管の壁の外面の詳細図を示す。
図5b図1dの導管の壁の外面の詳細図を示す。
図6a図1dの導管の壁の外面の詳細図を示す。
図6b図1dの導管の壁の内面の詳細図を示す。
図7図1aに示される導管への支持部材の追加を示す。
図8図1a~1dのプロセスにしたがって製造される導管の代替的な実施形態を示す。
図9a】本発明とともに使用するための中空の穿孔マンドレルの斜視図である。
図9b】マンドレルを通る中空管腔通路を示す、9b-9b軸に沿った図9aのマンドレルの断面図である。
図9c】マンドレル壁を通る穿孔又は孔を示す、9c-9c軸に沿った図9aのマンドレルの壁の部分切取図である。
図10a】織物グラフトの外面部分上のシール層又はコーティングを示し、シール層又はコーティングを実質的に含まない織物グラフトの内面部分を示す、本発明の織物グラフトの断面の写真である。
図10b】シール層又はコーティングを実質的に含まない織物グラフトの内面部分を示す、図10aの織物グラフトの内面の一部の写真である。
図10c】シール層又はコーティングで実質的に被覆されている織物グラフトの外面部分を示す、図10aの織物グラフトの外面の一部の写真である。
図11】グラフトサンプルに適用される乾燥された40%のPVPマスキング剤濃度の写真である。
図12】表10~14とともに後述される、織物サンプル2の断面部分の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図13】表10~14とともに後述される、織物サンプル2の内面のSEM写真である。
図14】表10~14とともに後述される、織物サンプル9の断面部分のSEM写真である。
図15】表10~14とともに後述される、織物サンプル9の内面のSEM写真である。
図16-18】表10~14とともに後述される、織物サンプル7の断面部分のSEM写真である。
図19】表10~14とともに後述される、織物サンプル15の断面部分のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0307】
本明細書において使用される際、「実質的に」という用語及びそれに相当する語は、記
載される値の少なくとも70%、望ましくは、記載される値の少なくとも80%以内、よ
り望ましくは、記載される値の90%又は95%以内であることを指す。
【0308】
本明細書において使用される際、「約」又は「およそ」という用語及びそれらに相当す
る語は、記載される値の(プラス及び/又はマイナス)少なくとも20%以内、望ましく
は、記載される値の少なくとも10%以内、より望ましくは、記載される値の5%以内で
あることを指す。
【0309】
本明細書において使用される際、「層」及び「コーティング」という用語は、織物基材
などの基材の上、その下、又はその中への材料の付着を指すために、同義的に使用され得
る。
【0310】
本明細書において使用される際、マスキング剤は、任意の好適な非生体、例えば合成の
親水性ポリマー及び任意の好適な生体親水性ポリマーを指すものである。しかしながら、
他のマスキング剤が使用され得ることが理解されるべきである。
【0311】
図1a~1dを参照して、人工血管16の製造の4つの段階が示される。図1a~1d
のそれぞれにおいて、導管10及び/又は人工血管16の2つの斜視図が示される。左側
の図は、入口10cが図中の前方向に配置されているのを示し、右側の図は、出口10d
が図中の前方向に配置されているのを示す。
【0312】
図1aは、ヒト又は動物の身体内への移植に好適な導管10を示す。導管10は、円筒
状の導管10であり、壁10fを含む。壁10fは、内面10a及び外面10bを含む。
導管10は、入口10c及び出口10dも含む。本明細書に記載される実施形態において
、導管10の実質的に全てが、多孔性10eである。しかしながら、導管10の少なくと
も一部が多孔性10eであり得ることが理解されるべきである。この実施形態において、
導管10は、織られた繊維質ポリマー導管10である。導管10の織物の性質により、導
管10の実質的に全てが多孔性10eになる。
【0313】
導管10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。しかしながら、導管10
が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの他の材料を含み得ることが理解され
るべきである。医療用織物用途のための他の好適なポリマーとしては、限定はされないが
、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ(エーテルアミド)、ポリ(エーテルエステル)
、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エチレン-スチレン/
ブチレン-スチレン)、及び他のブロックコポリマーが挙げられる。
【0314】
本明細書に示され、記載される実施形態において、導管10の緯糸ピック数は、約45
ppcmである。しかしながら、導管10の緯糸ピック数は、約25ppcm~約50p
pcmであり得ることが理解されるべきである。
【0315】
導管10は、収縮状態と伸長状態との間で移動可能である。
【0316】
ここで、図1aは、未加工の導管10を示す。その未加工の形態では、血液(流体の例
)が、壁10fの外面10bと壁10fの内面10aとの間で流れることができる。すな
わち、流体が入口10cに流れ込む場合、血液は、導管10の多孔性部分10eを通って
漏出する。したがって、図1aに示される導管10は、移植可能な人工血管16としての
使用の前にシールされなければならない。
【0317】
図1aに示される導管10は、所定のサイズに切断されている。例えば、導管10の長
さは、必要とされる人工血管16のサイズに応じて変更される必要があり得る。さらに、
人工血管16が、少なくとも1つの補助心臓構成要素(さらなる人工器官の例)に連結さ
れるべきである場合、これはまた、導管10の異なるサイズ、又は長さが使用されること
を必要とし得る。導管10はまた、製造プロセスのこの工程中に計量される。
【0318】
本明細書に示される実施形態において、導管10は、全体にわたって実質的に均一な断
面を有する。しかしながら、導管10は、全体にわたって不規則な断面を有し得ることが
理解されるべきである。例えば、導管10が、心臓弁などのさらなる人工器官と、切断さ
れた血管の末端との間で連結されるべきである場合、導管10は、全体にわたって不規則
な断面を有し得る。以下により詳細に記載されるように、ある実施形態において、導管1
0は、シーラント14を、導管10の異なる部分に選択的に加えることによって、又は他
の方法で、異なる柔軟度を有するように構成され得る。
【0319】
上述されるように、導管10の壁10fの内面10aが、導管10をシールするのに使
用される材料を含まないままであるか、又はそれを実質的に含まないことが望ましい。こ
の理由は、導管10の壁10fの内面10aが、多孔性10eの織物の性質を確実に保持
して、人工血管16がヒト又は動物の身体内に移植されるとき、生体組織が、導管10の
壁10fの内面10aへと成長するのを確実にするためである。これは、内部で成長する
生体組織が偽内膜(人工血管内の内部生体組織層の例)を形成するのを確実にするため重
要である。さらに、導管10の壁10fの内面10aにおける生体組織成長の促進に加え
て、導管10の壁10fの内面10a上で成長する生体組織層が、内面10aへの良好な
付着性を有することも有利である。生体組織層と内面10aとの間の付着性が不十分であ
る場合、出血性の切開などの合併症が生じ得る。
【0320】
図1bは、マスキング剤12の添加後の導管10を示す。この実施形態において、マス
キング剤12は、導管10の壁10fの内面10a上にマスキング剤層を形成する。マス
キング剤層は、本明細書に示され、記載される製造プロセス中に導管10の内面10aを
保護するように設計される。特に、マスキング剤12は、導管10の壁10fの内面10
aにおけるシーラント14の存在を軽減するように設計される。
【0321】
導管10へのマスキング剤12の添加の前に、導管10は計量される。次に、導管10
の重量を用いて、少なくとも部分的に、導管10に加えられるマスキング剤12の量を決
定する。
【0322】
この実施形態において、マスキング剤12は、マスキング剤溶液から適用される。マス
キング剤溶液は、ポリマー溶液である。本明細書に示され、記載される実施形態において
、ポリマー溶液は、水(溶媒の例)中の約7%w/vのPVP(水溶性ポリマーの例)を
含む。しかしながら、グリセロール、メチルセルロース及び/又はPEGなどの他のポリ
マーが使用され得ることが理解されるべきである。さらに、ポリマー溶液は、溶液中の約
5%w/vのPVP~溶液中の約30%w/vのPVPを含み得ることが理解されるであ
ろう。さらに、ポリマー溶液は、溶液中の約5%w/vのポリマー~溶液中の約30%w
/vのポリマーを含み得る。マスキング剤12は、溶液中の約1%w/vのグリセロール
を含み得ることが理解されるべきである。理論に制約されるのを望むものではないが、マ
スキング剤12にグリセロールを加えることの利点は、マスキング剤12が導管10に加
えられるときのマスキング剤12の亀裂をそれが軽減することであると考えられる。
【0323】
本明細書に記載される実施形態において、マスキング剤12は、約10,000g/m
olの分子量を有するPVPを含む。しかしながら、マスキング剤12は、約6,000
g/mol~約15,000g/molの分子量を有するPVPを含み得ることが理解さ
れるべきである。
【0324】
本明細書に記載される実施形態において、マスキング剤12は、PVPを含むが、マス
キング剤12は、グリセロール、メチルセルロース、PEG、PEO、及び/又はPEG
ヒドロゲルを含み得ることが理解されるべきである。
【0325】
本明細書に示され、記載される実施形態において、マスキング剤12は、生体適合性で
ある。しかしながら、ある実施形態において、マスキング剤12は、生体適合性である必
要がないことが理解されるべきである。例えば、以下により詳細に記載されるように、マ
スキング剤12の実質的に全てが、導管10から除去されるべきである場合、マスキング
剤12は、生体適合性である必要がない。ある実施形態において、マスキング剤12は、
除去される必要がなく、ある実施形態において、マスキング剤12の一部のみが除去され
る。これらの構成において、マスキング剤12は、生体適合性であり、導管10がヒト又
は動物の身体内に移植されることを可能にすることが有利である。
【0326】
この実施形態において、マスキング剤12は、生分解性である。したがって、導管10
上に存在する残留マスキング剤12は、導管10がヒト又は動物の身体内に移植されると
きに生分解する。しかしながら、マスキング剤12は、非生分解性であり得る。この実施
形態において、マスキング剤12の実質的に全てが、移植前に導管10から除去され、し
たがって、マスキング剤12が生分解性である必要はない。ある実施形態において、マス
キング剤12が生分解性であることが有利であり得る。
【0327】
図1bを参照して、マスキング剤12は、ポリマー溶液から導管10に適用される。し
かしながら、マスキング剤12は、他の方法で導管10に適用され得ることが理解される
であろう。
【0328】
この実施形態において、導管10を撹拌しながら、約1分間にわたって導管10をマス
キング剤溶液に浸漬することによって、マスキング剤溶液は、導管10に適用される。し
かしながら、マスキング剤溶液は、ディップ、スプレーコーティング、又はブラシ塗布に
よるなど、他の方法で導管10に加えられ得ることが理解されるべきである。さらに、マ
スキング剤12は、導管10を撹拌せずに導管10に加えられ得ることが理解されるべき
である。導管10をマスキング剤溶液に浸漬する工程中、導管10は、収縮状態と伸長状
態との間で移動される。しかしながら、導管10が、収縮状態及び/又は伸長状態にある
状態で、導管10が、マスキング剤溶液に浸漬され得ることが理解されるべきである。
【0329】
この実施形態において、マスキング剤溶液が、導管10に加えられるとき、溶媒は、マ
スキング剤溶液から蒸発される。したがって、溶媒は、マスキング剤溶液から除去され、
マスキング剤12は、導管10上に残る。
【0330】
この実施形態において、導管10へのマスキング剤12の添加の際、方向付けられた空
気流(ガスの例)が、導管10に提供される。方向付けられた空気流は、マスキング剤1
2が導管10の壁10fの内面10a上に優先的に形成されるように、導管10の壁10
fの外面10bに向かって方向付けられる。方向付けられた空気流が本明細書において使
用されるが、他のガスが使用され得ることが理解されるべきである。
【0331】
この実施形態において、マスキング剤12は、実質的に、導管10の壁10fの内面1
0a上に形成され、又は加えられる。しかしながら、マスキング剤12は、導管10の壁
10fの外面10bに加えられ得ることが理解されるべきである。マスキング剤12は、
導管10の多孔性部分10eに加えられるが、他の実施形態において、マスキング剤12
は、導管10の多孔性部分10eの少なくとも一部に加えられ得る。この実施形態におい
て、マスキング剤12は、実質的に、導管10の壁10fの内面10a上にマスキング剤
層を形成する。しかしながら、マスキング剤12は、導管10の他の部分に加えられ得る
こと、及びマスキング剤12は、導管10の他の部分上にマスキング剤層を形成し得るこ
とが理解されるべきである。
【0332】
本明細書に示され、記載される製造プロセスにおいて、導管10の壁10fの外面10
b上の残留マスキング剤12は、シーラント14(導管10に適用されるとき)と導管1
0の壁10fの外面10bとの間の付着性を向上させるために、シーラント14の添加の
前に除去される。この実施形態において、外面10b上の残留マスキング剤12は、アブ
レーション(第1のマスキング剤除去工程の例)によって除去される。しかしながら、マ
スキング剤12は、溶媒を適用すること、加熱、エッチング、プラズマエッチング、研磨
、及び/又は他の技術によって除去され得ることが理解されるべきである。
【0333】
図1bに示される実施形態において、マスキング剤12は、導管10の壁10fの内面
10aの実質的に全てに形成される。
【0334】
図1cは、マスキング剤12及びシーラント14の添加後の導管10を示す。本明細書
に記載される実施形態において、シーラント14は、シーラント溶液から導管10に加え
られる。本明細書に記載される実施形態において、シーラント溶液は、室温硬化型シリコ
ーンエラストマー及びキシレンを含むポリマー溶液である。しかしながら、シーラント溶
液が、ポリカーボネート、シリコーン、シリコーンエラストマー、ポリウレタン、TPU
、1つ以上の熱可塑性エラストマー、及び/又は脂肪族ポリカーボネートのうちの少なく
とも1つを含み得ることが理解されるべきである。シーラント14が、キシレンを含むポ
リマー溶液から導管10に加えられるが、ヘプタンが、キシレンの代わりに使用され得る
ことも理解されるべきである。さらに、ある実施形態において、シーラント溶液は、ジメ
チルアセトアミド(DMAC)又はテトラヒドロフラン(THF)などの極性溶媒を含み
得る。
【0335】
シーラント溶液が、導管10に適用されるとき、溶媒は、シーラント溶液から蒸発され
、それにより、シーラント14が形成される。
【0336】
本明細書に示され、記載される実施形態において、シーラント14は、シーラント溶液
から導管10に加えられるが、シーラント14は、他の方法で導管10に加えられ得、シ
ーラント溶液から加えられる必要がないことがあることが理解されるであろう。
【0337】
シーラント14は、導管10の多孔性部分10eに加えられる。したがって、この実施
形態において、導管10は、全体的に多孔性10eであるため、この実施形態において、
シーラント14は、導管10の実質的に全てに加えられる。他の実施形態において、シー
ラント14は、多孔性部分10eの一部に加えられ得る。
【0338】
マスキング剤12の存在により、シーラント14が、導管10の壁10fの内面10a
において付着し、又は形成するのを防ぐ。シーラント14を、導管10の外側部分10b
に噴霧することによって、シーラント14は、導管10に適用される。しかしながら、ブ
ラシ塗布、ワイピング、浸漬、ディップ、化学蒸着などの蒸着、静電紡糸、及び/又は鋳
造などの、シーラント14を導管10に加えるための他の技術が使用され得ることが理解
されるべきである。
【0339】
この実施形態において、導管10が伸長状態にある状態で、シーラント14は、導管1
0に適用される。しかしながら、導管10が収縮状態にある状態で、又は導管10が、収
縮状態と伸長状態との間で移動されるとき、シーラント14は、導管10に適用され得る
ことが理解されるべきである。
【0340】
この実施形態において、導管10が、約60rpmでその縦方向軸の周りに回転されな
がら、シーラント14は、導管10に加えられる。しかしながら、導管10は、最大で約
2,000rpmでその縦方向軸の周りに回転され得ることが理解されるべきである。
【0341】
本明細書に記載される実施形態において、シーラント14は、約8mg/cmのシリ
コーンを含む。しかしながら、シーラントは、約4mg/cmのシリコーン~約19m
g/cmのシリコーンを含み得ることが理解されるべきである。
【0342】
導管10の壁10fの外面10b上にシーラント14を噴霧及び/又はブラシ塗布する
ことは、一部のシーラント適用技術より有利であるが、その理由は、シーラント14が、
導管10の外面10bのみに実質的に適用され、導管10の内面10aに実質的に適用さ
れないためである。この構成において、マスキング剤12、並びに噴霧、及び/又はブラ
シ塗布による導管10へのシーラント14の添加、導管10上へのシーラント14は、導
管10の壁10fの内面10aにおけるシーラント14の存在を軽減する。しかしながら
、シーラント14で導管10をワイプするなどの他のシーラント14適用技術が使用され
得ることが理解されるべきである。
【0343】
本明細書に示され、記載される実施形態において、シーラント14が、導管10に適用
される場合、マスキング剤12は、シーラント14によって実質的に被覆又はブロックさ
れないのが有利である。この理由は、マスキング剤12の少なくとも一部が、導管10か
ら除去されるべきである場合、マスキング剤12の少なくとも一部が露出される場合にマ
スキング剤12を除去しやすいためである。例えば、溶媒を適用することによって、導管
10からマスキング剤12の少なくとも一部を除去する場合、マスキング剤12の少なく
とも一部が露出される場合にそれを行いやすい。本明細書に記載される実施形態において
、かなりの量のマスキング剤12が露出されるため、様々なマスキング剤12除去技術を
使用することは比較的簡単である。
【0344】
この実施形態において、導管10の多孔性部分10eへのシーラント14の添加により
、導管10の壁10fの外面10b上にシール層が形成される。この実施形態において、
シーラント14は、生体適合性である。
【0345】
この実施形態において、シーラント14は、導管10に適用されるとき、環境応力亀裂
を軽減するように構成される。
【0346】
図1dは、血管グラフト16(人工血管16の例)を示す。この実施形態において、マ
スキング剤12の実質的に全てが、導管10から除去されている。導管10の壁10fを
通る血液(流体の例)の漏出は、導管10へのシーラント14の添加によりここでは軽減
される。さらに、導管10の壁10fの内面10aは、導管10の多孔性の織物の特性を
保持し、導管10の壁10fの内面10aが、生体組織の内部成長を可能にし、また、生
体組織がそれに対する良好な付着性を有することを可能にするようになっている。シーラ
ント14の存在により、導管10の壁10fを通る血液の流れが防がれるが、血液が、入
口10cと出口10dとの間で流れることができることが理解されるであろう。
【0347】
本明細書に記載され、図1dに示される実施形態において、約95℃の温度で水を導管
10に適用することによって、マスキング剤12の実質的に全てが、導管10から除去さ
れている(第2のマスキング剤除去工程の例)。この第2のマスキング剤除去工程におい
て、マスキング剤12は、シーラント14を導管10に加える工程が行われた後で、導管
10から除去された。このプロセスでは、水(溶媒の例)を用いて、導管10からマスキ
ング剤12の実質的に全てを除去した。しかしながら、マスキング剤12は、導管10か
ら実質的に全体的に除去される必要はない。他の溶媒が、マスキング剤12の除去を行う
ために使用され得るため、水が溶媒として使用される必要がない。マスキング剤12は、
エッチング、プラズマエッチング、アブレーション、及び/又は研磨によるなど、他の方
法で導管10から除去され得ることが理解されるべきである。マスキング剤12は、約9
5℃の温度で導管10から実質的に除去されたが、マスキング剤12は、約15℃~約1
40℃の温度で導管10から除去され得ることが理解されるべきである。本明細書に記載
される実施形態において、導管10からマスキング剤12を除去する工程は、より効率的
にシーラント14を硬化するためにも使用される。
【0348】
図1dに示される実施形態において、上述されるように行われるマスキング剤除去工程
は、導管10が撹拌されながら約51分間にわたって行われる。理論に制約されるのを望
むものではないが、導管10を撹拌することは、マスキング剤12除去工程の効率を向上
させるものと考えられる。この実施形態において、マスキング剤除去工程は、約51分間
にわたって行われるが、マスキング剤除去工程は、約40分間~約300分間にわたって
行われ得ることが理解されるであろう。複数のマスキング剤除去工程が行われ得ることも
理解されるであろう。
【0349】
本明細書に示され、記載される実施形態において、導管10からマスキング剤12の実
質的に全てを除去する工程は、導管10からのシーラント14の除去をもたらさない。
【0350】
上に詳細に記載されるように、製造プロセスは、導管10へのシーラント14の付着性
を向上させるように設計される第1のマスキング剤除去工程、及び、主に、導管10の壁
10fの内面10aからマスキング剤12を除去するように設計される第2のマスキング
剤除去工程を含む。しかしながら、複数のマスキング剤除去工程が行われ得ることが理解
されるであろう。本発明のある実施形態では、マスキング剤除去工程を行う必要がないこ
とがあることも理解されるべきである。
【0351】
本明細書に示され、記載される実施形態において、人工血管16は、可逆的にシール可
能である。すなわち、シーラント14は、導管10から除去され得、シーラント14は、
導管10に適用され得る。例えば、これは、製造誤差の場合に必要であり得る。同様に、
マスキング剤12が導管10に加えられ、導管10から除去され、その後、導管10に加
えられてもよい。これは、2つ以上のマスキング剤添加工程を行う場合に必要であり得る
【0352】
本明細書に示され、記載される実施形態において、人工血管16は、ガンマ線滅菌プロ
セスによって滅菌され得る。しかしながら、人工血管16は、電子線滅菌プロセスによっ
て滅菌され得ることが理解されるべきである。人工血管16を滅菌するための別の選択肢
は、エチレンオキシド滅菌を行うことである。他の滅菌技術が、本明細書に記載されるも
のの代替として、又はそれに加えて、血管グラフト16に適用され得ることが理解される
であろう。
【0353】
図1dに示される人工血管16は、ヒト又は動物の身体内に移植可能であるように構成
され、実質的に全体的に生体適合性材料から作製される。人工血管16は、周囲の生体組
織に有害又は毒性でなく、ヒト又は動物の身体に移植され得る。
【0354】
図1dに示される人工血管16は、可撓性であり、それにより、人工血管16が、より
効率的に医師によって操作されることが可能になる。この実施形態において、導管10の
多孔性部分10eの実質的に全てへのシーラント14の添加により、未加工の導管10が
人工血管16に変換された。
【0355】
図2a及び2bは、導管10の壁10fの内面10aをより詳細に示す。図2a及び2
bは、導管10の多孔性の性質を示す。導管10は、織物構造であり、この実施形態にお
いて、一般に、1/1綾織タイプである。上述されるように、未加工の織物導管10は、
血液を、導管10の繊維における間隙を通して漏出させるため、ヒト又は動物の身体内へ
の移植の前にシールされなければならない。
【0356】
導管10の織物の性質は、それが可撓性であることを意味する。マスキング剤12及び
シール層14を適用した後、血管グラフト16は、可撓性のままであり、それにより、血
管グラフト16は、例えば医師が操作し、取り扱うのがより容易になる。
【0357】
図3a及び3bは、マスキング剤12の添加後の導管10の壁10fの内面10aの詳
細図を示す。この実施形態において、マスキング剤12は、溶液中の約5%w/vのPV
Pを含むポリマー溶液(マスキング剤溶液の例)から導管10に加えられた。この実施形
態において、導管10は、ポリマー溶液に浸漬された。しかしながら、上により詳細に記
載されるように、マスキング剤12は、他の方法で導管10に加えられ得、ポリマー溶液
は、溶液中の約5%w/v及び約30%w/vのポリマーを含み得る。図3a及び3bに
示される実施形態において、導管10は、約1分間にわたってマスキング剤溶液に浸漬さ
れた。しかしながら、導管10が、他の持続時間にわたってマスキング剤溶液に浸漬され
得ることが理解されるべきである。
【0358】
図3a及び3bに示される実施形態において、マスキング剤12は、導管10の多孔性
部分10eを実質的にブロックする。シーラント14が、導管10に適用されるとき、マ
スキング剤12は、導管10の壁10fの内面10aにおけるシーラント14の存在を軽
減する。この実施形態において、マスキング剤12は、疎油性層(マスキング層の例)を
形成する。理論に制約されるのを望むものではないが、マスキング層の疎油性が、導管1
0の壁10fの内面10aにおけるシーラント14の存在を軽減するのに役立つものと考
えられる。ある実施形態において、マスキング剤12は、疎油性層を形成する必要がない
ことが理解されるべきである。
【0359】
図4a及び4bは、シーラント14が、導管10の壁10fの外面10bに加えられた
後の導管10の壁10fの内面10aを示す。図4a及び4bは、導管10の壁10fの
内面10aにおけるシーラント14の存在を軽減する際のマスキング剤12の有効性を強
調している。この実施形態において、マスキング剤12は、溶液中の約7%w/vのPV
Pを含むマスキング剤溶液から導管10に適用された。図4a~5bに示される実施形態
において、シーラントは、シーラント溶液を、導管10の壁10fの外面10bにスプレ
ーコーティングすることによって、導管10の壁10fの外面10bに加えられた。
【0360】
図5a及び5bは、図4a及び4bに示される実施形態の導管10の壁10fの外面1
0bにおけるシーラント14の存在を示す。図5a及び5bに示される実施形態において
、シーラント溶液は、キシレン中の約15%w/vのシリコーンを含む。
【0361】
図4a及び4b、並びに図5a及び5bは、導管10へのシーラント14の適用後の導
管10の壁10fの内面10aと外面10bとの間の対比を強調している。ここで、導管
10の外面10bは、シーラント14に実質的に被覆されている一方、導管10の壁10
fの内面10aは、シーラント14を実質的に含まないため、導管10の壁10fの内面
10aは、導管10の織物の多孔性の特性を保持している。マスキング剤12は、導管1
0の壁10fの内面10aにおけるシーラント14の存在を軽減した。この実施形態にお
いて、壁10fの内面10aは、その上での生体組織の成長を促進し、内部で成長する生
体組織と内面10aとの間の良好な付着性を可能にするように構成される。導管10の壁
10fの内面10aにおけるシーラント14の存在は、導管10の壁10fの内面10a
における生体組織の内部成長、並びに生体組織と導管10の壁10fの内面10aとの間
の付着性に悪影響を与え得る。
【0362】
図6aは、シーラント14の添加後の導管10の壁10fの外面10bの詳細図を示す
。この実施形態において、シーラント14は、導管10の壁10fを通る流体の移動を軽
減するように構成される。導管10の壁10fは、シーラント14の添加後に、実質的に
血液不透過性である(すなわち、血液が、かなりの速度で壁10fを通って通過又は漏出
することができない)。
【0363】
図6bは、導管10へのシーラント14の添加後の導管10の壁10fの内面10aの
詳細図を示す。
【0364】
図6a及び6bに示される実施形態において、マスキング剤12は、シーラント14の
添加の前に、溶液中の約30%w/vのPVPを含むポリマー溶液から導管10に適用さ
れた。上述されるように、マスキング剤12は、溶液中の約5%w/v~約30%w/v
のポリマーを含むポリマー溶液から導管10に適用され得る。
【0365】
シールされたグラフトのための1つの望ましい特徴は、それが移植手術中に漏れ防止性
を概ね保つのに十分に低いレベルの透過性を有し得ることである。ISO 7198にお
いて規定される適用可能な試験方法である、全体的なグラフト透過性(Whole Gr
aft Permeability)は、120mmHgの試験圧力で逆浸透(RO)ろ
過した水を用いた試験を推奨している。このパラメータは、生物学的にシールされたグラ
フト(ゼラチン及びコラーゲン)の製造業者によって確立された業界標準に基づいていた
。0.16ml/分/cmの限度値を用いて、グラフトが、上記のグラフトのシール能
力を確実に満たし、それを超えるようにした。しかしながら、異なる用途は、異なる透過
性要件を有することがあり、このような異なる透過性要件は、本発明の範囲内である。
【0366】
さらなる実施形態が、図1a~6bに示され、及び上述される製造プロセスにしたがっ
て調製された。さらなる実施形態が、以下の表1に記載されている。表1に列挙されるさ
らなる実施形態を作製するのに使用される製造プロセスは、異なるマスキング剤12及び
シーラント14を使用したことを除いて、図1a~6bに関連して、示され、記載される
ものと実質的に同じである。
【0367】
市販の織物血管グラフトを、以下に記載される試験に使用した。市販のグラフトサンプ
ルについての詳細が、以下に記載される:
織物グラフト布帛の第1の市販のサンプル:
(a)経糸:撚糸、テクスチャード加工、PET、2層/層(若しくは束)当たり44
デニール/層若しくは束当たり27フィラメント。
(b)緯糸:撚糸、テクスチャード加工、PET、2層/層(若しくは束)当たり44
デニール/層若しくは束当たり27フィラメント。
(c)cm当たりのピック数、約40~46。
【0368】
織物グラフト布帛の第2の市販のサンプル:
(a)経糸:80デニール、2層/層(若しくは束)当たり40デニール/層(若しく
は束)当たり27フィラメント、PET、延伸紡糸、テクスチャード加工、7.5撚り/
インチ、Z撚糸。
(b)緯糸:2層/層(若しくは束)当たり40デニール、2層/層(若しくは束)当
たり40デニール/層若しくは束当たり27フィラメント、PET、TXT、S及びZ撚
糸。
(c)インチ当たりのピック数、約155。
【0369】
以下の表1において行われた試験は、織物グラフト布帛の第1の市販のサンプルについ
て行った。
【0370】
【表1】
【0371】
ホビースプレーガンを、全てのスプレー適用試験に使用し、ここで、シーラントをグラ
フトサンプルに噴霧した。グラフトサンプルからのスプレー距離は、約50mmであった
。グラフトを、マンドレル上で水平に保ち、ロティサリーで回転させた。スプレー速度は
、測定しなかったが、ノズル横方向速度(2秒/cmで推定される)、グラフト回転速度
(1~3回転/秒で推定される)及び全スプレー体積流量(spray volume
rate)の組合せによって制御した。クラフト用剛毛ブラシを、全てのブラシ塗布試験
に使用し、ここで、シーラントを、グラフトサンプルにブラシ塗布した。
【0372】
表1に示されるように、壁10fが、0.16ml/分/cm以下の漏出速度を有す
る場合、導管10は、移植に好適であると考えられ、実質的に不透過性であると考えられ
る。あるさらなる実施形態において、マスキング剤12は、グリセロールを含む。理論に
制約されるのを望むものではないが、マスキング剤12におけるグリセロールの存在は、
導管10に適用されるとき、マスキング剤12の亀裂を軽減するものと考えられる。
【0373】
本明細書に記載されるマスキング剤は、液体シリコーンエラストマー分散体などのシー
ラントが、グラフト壁の厚さを通して浸透し、グラフトの管腔又は血液接触面に達するの
を防ぐ。シリコーンなどのシーラントは、2つの機構を介して、グラフトの外面において
グラフト繊維に付着するものと考えられる:
a.グラフト繊維が、マスク剤を取り除かれているか又は他の形でマスキング剤を含ま
ない場合、液体シリコーンエラストマー分散体は、PET繊維などのグラフト繊維の表面
に付着する。
b.表面繊維が、マスキング剤によって個々に覆われている場合、これらの繊維は、封
入され、表面付着ではなく機械的連結が起こる。
【0374】
シリコーンは、マスキング剤が存在しない場合にPET繊維表面に付着するが、また、
マスキング剤に覆われたPET繊維を封入する。
【0375】
マスキング剤は、織物に適用されるときにスラリーのように働くものと考えられ、糸束
間を流れ、糸束間の間隙を覆い、また、糸繊維間に浸透することができる。マスキング剤
は、布帛を通って移動し、低エネルギーの領域に沈降し、集まる粘着性の混合物として働
く。個々の繊維に結合するのではなく、マスキング剤は、マスキング剤乾燥プロセスが開
始し、水などのその溶媒の蒸発によって、マスキング剤がどこであれ集まった場所で固化
するまで、移動及びプールし続ける。
【0376】
エラストマーシーラント(例えば、シリコーン)は、過剰な濃度のマスキング剤が存在
する織物表面に十分に結合しないことがある。マスキング剤が過度に粘着性であり、布帛
の領域を完全に封入してから乾燥させた場合、シリコーンが機械的に封入可能であり、固
着するための露出された糸フィラメントは存在しないことがある。シリコーンによる糸の
この機械的封入がない場合、マスキング剤が除去された後、付着が不十分になり、おそら
く存在しなくなり得る。
【0377】
マスキング剤が、それが織物を通って移動するか又は洗浄するにつれて個々のフィラメ
ントを薄くコーティングするようであり得る一方、乾燥後にこれらの十分に洗浄した領域
に残っている濃度は、糸束へのシリコーン接着剤のその後の封入及び付着を防ぐほど十分
でない。
【0378】
任意の合成親水性ポリマー及び任意の生体親水性ポリマー、例えば、ゼラチン、部分的
に加水分解されたコラーゲン、デキストラン、ヒアルロン酸、アルギネート及びデンプン
(例えば、ヒドロキシエチルデンプン)及びキトサンが、マスキング剤として使用され得
る。冷水に可溶性であるが、温水に不溶性であるPluronic F127 PEGも
、マスキング剤として使用され得る。望ましくは、動物製品に由来するマスキング剤が、
血管用途の前に除去され得る。したがって、動物由来マスキング剤を含むマスキング剤は
、あったとしても、最終生成物から除去され、このようなグラフトが、血管用途に使用さ
れるのに好適であり得る。さらに、マスキング剤は、血管用途を含む、患者に関する任意
の用途の前に織物グラフトから除去されるため、マスキング剤は、生体適合性である必要
がない。
【0379】
望ましくは、マスキング剤は、水に非常に可溶性である。マスキング剤は、24以上の
ヒルデブランド溶解度パラメータ(δSI単位)を有する、液体中で膨張し得る任意のポ
リマーであり得る。
【0380】
本発明に有用なマスキング剤は、約400又は1,000~約1,000,000の分
子量を有し得る。望ましくは、分子量は、約3,000~約30,000、より望ましく
は、約6,000~約15,000で変動し得る。
【0381】
1つの有用なシーラントは、非極性「溶媒」又はキャリア媒体中のシリコーンの分散体
であり得る。有用な架橋は、アセトキシ「室温硬化」化学によるものであるが、二液白金
硬化化学並びに紫外線(UV)硬化も使用され得る。
【0382】
分散体として供給されるポリマー、例えばNuSil MED 6605及びMed
6606を用いるサンプルの場合、個別の量のポリマー分散体を、グラフトへの直接コー
ティング又は重量による溶媒のさらなる添加のいずれかのために、重量によって個々のポ
ット中にデカントした。
【0383】
使用される全てのシリコーン分散体は、アセトキシ硬化性であった。硬化スケジュール
は、72時間で推奨されるが、グラフトの極めて薄い断面/広い表面積のため、完全な硬
化が、24時間以内に明らかに観察された。水中のデバイスのその後の洗浄は、硬化を加
速し、完全な架橋を確実にし得る。しかしながら、これらの時間は、限定的なものではな
く、他の硬化時間及び条件が、好適に使用され得る。
【0384】
ゼラチンシールされたグラフトのものと同様の取り扱い特性を有する軟質及び可撓性グ
ラフトを得るために、コーティングのための好ましいポリマーは、非常に低いショア硬さ
値を有するものである。好ましいシリコーンエラストマー、MED 6605及びMED
6605は、それぞれ25及び20のデュロメータタイプA値を有する。これらのグレ
ードの両方は、薄いコーティングが適用されるとき、好適な可撓性及び取り扱い特性を有
するグラフトを提供することができる。複数のコーティングが適用されるため、剛性が増
加し得、可撓性が減少し得る。
【0385】
必要に応じてより剛性のグラフトを作製するために、より厚いコーティングの代替とし
て、より硬いグレードが使用され得る。
【0386】
TPU-シリコーン(Advansource Chronosil 75A又はAo
r-Tech Elast-Eon E5-130)などの代替的なコーティングが使用
され得るが、これらは、それぞれ75A及び77Aのデュロメータ硬度を有し、したがっ
て、必要に応じて、現行のゼラチンシールされたグラフトより剛性であり得るグラフトを
作製し得る。このようなより剛性のグラフトは、特定の用途のためにいくらかの利益を有
し得るが、従来の外科医の取り扱いのための期待を満たさないことがある。
【0387】
さらなる有用なシーラント材料としては、限定はされないが、以下のものが挙げられる

(a)Applied Silicone Corporation、PN 4002
1、キシレン中の移植グレード高強度RTVシリコーンエラストマー分散体。この材料は
、ディップ、鋳造、噴霧又はブラシ塗布などのプロセスを用いて、任意の形状及び厚さの
高強度の弾性膜を作製するのに使用するのに好適である。溶媒を蒸発させた後、周囲空気
への曝露によって、シリコーンは室温硬化される(RTV)。この材料の主な特徴は、高
強度、低いデュロメータ(ショアA 24)であり、ISO 10993試験及び提出書
類を裏付けるための要約によって裏付けられる。
(b)AdvanSource Biomaterials Corporation
、ChronoFlex AR、ポリカーボネート系熱可塑性ウレタン。これらの材料は
、成形、鋳造及びディップコーティングに使用され得、液体中で完全に合成されて、長期
の永続的な耐久性及び環境応力亀裂(ESC)に対する耐性のポリカーボネートの固有の
利点を維持しながら、高強度及び伸びを提供する。さらに、それらは、電界紡糸され、又
は水エマルジョンプロセスに使用され得る。特定の有用な材料の例としては、限定はされ
ないが、ChronoFlex C80A 5%及びChronoFlex AR 23
%が挙げられる。
【0388】
好適なシーラントは、低デュロメータエラストマー(望ましくは、約40Aデュロメー
タ以下又はショア硬さ40A、より望ましくは、約30Aデュロメータ以下又はショア硬
さ30A、さらにより望ましくは、約20Aデュロメータ以下又はショア硬さ20A)で
あり、良好な生体内安定性を有する。
【0389】
シーラントの選択において考慮され得る1つのパラメータは、剛性又は弾性率である。
通常、エラストマーでは、弾性率は、線形でないため、各伸びにおいて、応力(又は力)
が測定される。%歪みにおけるより低い応力を有する材料は、伸長に対するより低い耐性
をもたらし、したがって、感触がより柔らかく、ゼラチンシールされたグラフトの取り扱
いにほぼ一致する。
【0390】
好ましい材料は、NuSil MED 6605及びMED 6606などの低応力シ
リコーンゴムであり、歪み値200%における応力<180である。
【0391】
有用なポリウレタン及びシリコーン-ポリウレタングレードとしては、限定はされない
が、以下のものが挙げられる。
【0392】
【表2】
【0393】
本発明は、ポリマーシーラントとしてのシリコーンの使用に限定されない。医療用及び
非医療用織物の両方のための他の有用なコーティング材料としては、例えば、ポリテトラ
フルオロエチレン、ポリエチレン、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(ビ
ニルアルコール)、ポリカプロラクトン、ポリ(D,L-乳酸)、ポリ(L-乳酸)、ポ
リ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブ
チレート-コ-バレレート)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポ
リ(グリコール酸)、ポリ(グリコール酸-コ-トリメチレンカーボネート)、ポリリン
酸エステル、ポリリン酸エステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、シアノアクリレート、ポ
リ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、コポリ(エーテル-エ
ステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、ポリイミノカーボネート、
脂肪族ポリカーボネート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリ(プロ
ピレンオキシド)、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸(30~60%の溶液)、ポリ
メタクリル酸、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)、ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)
、セルロースポリマー(例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース)、コラーゲン、カラギーナン、アルギネート、デンプン、デキストリン、
ゼラチン、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリジオキサノン、ポリカプロラク
トン、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(ホスファゼン(phospazazene))
、ポリ(リン酸エステル)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(グリコリド-コ
-トリメチレンカーボネート)、ポリ(グリコリド-コ-カプロラクトン)、ポリ無水物
、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリケトン、ポリエーテルエラストマー、
パリレン、ポリエーテルアミドエラストマー、ポリアクリレート系エラストマー、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、及び/又は及びそれらの誘導体が挙げられる。限定はされない
が、特に、非医療用織物のための他の有用なコーティング材料としては、天然ゴム、天然
ガム、アクリルポリマー、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエンコポリマー又はゴム、
ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、ポリイソブチレン、イソプレン-イソブチレ
ンコポリマー、多硫化ゴム、クロロプレンゴム(ネオプレン)、クロロスルホン化ポリエ
チレン、フッ素化ポリマー、ビニル樹脂などが挙げられる。さらに、コーティング材料は
、金属材料及び粉末状材料を含み得る。
【0394】
図7は、導管10のさらなる実施形態を示す。図7に最も良く示されるように、導管1
0は、多くのクリンプ10gを含む。この実施形態において、支持部材18が、導管10
の外面10b、又は壁10fに加えられる。特に、支持部材18は、複数の段階のシーラ
ント適用によって加えられる。例えば、シーラントは、上述されるように導管10の外面
に加えられてもよく、次に、支持部材18は、シールされたグラフト上に配置され得、別
の段階のシーラント適用が続き、その後、乾燥及び/又は硬化が、導管10への支持部材
18の固定を助ける。しかしながら、支持部材18は、他の方法で導管10に加えられ得
ることが理解されるべきである。支持部材18を、導管10の壁10fの外面10bに加
える工程は、シーラント14を導管10に加える工程の前に行われる。シーラント14は
、支持部材18を導管10に取り付けるように構成される。この実施形態において、支持
部材18は、導管10に加えられ、次に、シーラント14は、導管10をシールし、支持
部材18を導管10に取り付けるために、導管10に加えられる。さらに、適用前の乾燥
及び/又は硬化の後又は前のいずれかに、マスキング剤及び/又はシーラントの複数の適
用を有することが、本発明の範囲内であることが理解されるべきである。
【0395】
支持部材18は、可撓性のポリマーワイヤであり、これが、この実施形態において、導
管10の壁10fの外面10bに巻き付けられ、導管10のクリンプ10gの間に入れ子
になるように配置される。支持部材18を導管10に加えることの利点の1つは、本明細
書に示され、記載されるように、導管10が、その可撓性特性の多くを保持しながら、よ
り頑丈にされることである。上に記載されるように、導管10は、可撓性であるため、医
師によってより効率的に操作されることが可能である。
【0396】
図7に示される実施形態において、支持部材18は、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)から作製される。しかしながら、支持部材18が、ポリマー材料、金属材料、形状
記憶合金、及び超弾性合金のうちの少なくとも1つを含み得ることが理解される。ある実
施形態において、支持部材18は、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエ
チレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、シリコーン、ステンレス鋼、チタン、ニッケ
ル、及びニッケルチタン(ニチノール)のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0397】
図8は、図1a~1dに示されるプロセスにしたがって製造される導管10の代替的な
実施形態を示す。図8に示される導管10は、以下の相違点があるものの、図1dに示さ
れるものと同じ方法で製造された。導管10は、3つの部分10h、10i、10jを有
する。各部分10h、10i、10jが、その上に存在する異なる量のシーラント14a
、14b、14cを有するように、シーラント14a、14b及び14cが、部分10h
、10i、10jに選択的に加えられた。この実施形態において、部分10h、10i、
10jのそれぞれは、実質的に異なる柔軟度を有する。第1の部分10hは、第2の部分
10iより高い柔軟度を有する。同様に、第2の部分10iは、第3の部分10jより高
い柔軟度を有する。図8に示されるように、第1の部分10hのクリンプ10gは、第2
の部分10i及び第3の部分10jよりよく見えるが、その理由は、第2及び第3の部分
10i、10jには、より多い量のシーラントが加えられており、それにより、これらの
部分10i、10jにおけるクリンプ10gが、目立たなくなるためである。さらなる人
工器官が人工血管16の末端に連結される用途では、第3の部分10jの末端は、さらな
る人工器官への連結により適している。
【0398】
血管グラフト16がいかに使用され得るかの例が、ここで示される。
【0399】
シールされた、加工された導管10であると考えられ得る、図1a~6bに示される血
管グラフト16は、長期間にわたってヒト又は動物の身体内に移植されることが可能であ
る。これは、血管グラフト16が生体適合性であるためであり、すなわち、それがヒト又
は動物の身体内で異物反応を引き起こさず、周囲の生体組織に対して毒性でない。
【0400】
マスキング剤12は、身体内で生分解するように構成される。したがって、導管10に
存在する残留マスキング剤12は、身体内で生分解する。しかしながら、上により詳細に
記載されるように、ある実施形態において、マスキング剤12は、導管10から実質的に
全体的に除去されることになるため、マスキング剤12は、生分解性である必要がない。
他の実施形態において、マスキング剤12は、導管10から除去される必要がない。
【0401】
血管グラフト16は、血管のある領域、又はある部分をバイパスするように使用され得
る。例えば、医師が、血管の閉塞した、罹患した領域又は部分的に閉塞した領域を特定し
た場合、医師は、血管グラフト16を使用することによって、その領域をバイパスするこ
とを決定し得る。この例において、血管グラフト16の入口10cは、血管の1つの箇所
に取り付けられ得、血管グラフト16の出口10dは、血管の別の箇所に取り付けられ得
る。別の例において、血管は、罹患しているか、又は血管グラフト16を、切断された血
管の2つの末端に連結するために、切断若しくは二分割されていることがある。血管グラ
フト16がシールされるため、血液は、血管の閉塞した、罹患した、又は部分的に閉塞し
た領域をバイパスするために、血管グラフト16を通って流れることができ、導管10の
壁10fを通る血液の漏出が、シーラント14の存在によって軽減される。
【0402】
血管グラフト16が適所にあると、生体組織は、偽内膜を形成するために、血管グラフ
ト16の内側部分10aへと成長する。時間とともに、血管グラフト16の内側部分10
aに付着する、偽内膜が形成される。この間に、血管グラフト16は、壁10fを通る血
液の漏出を防ぎ、内部で成長する生体組織のための足場として働く。
【0403】
血管グラフト16はまた、補助心臓装置、生体心臓弁又は合成心臓弁などのさらなる人
工器官を、血管に連結するのに使用され得る。例えば、血管グラフト16の入口10cは
、合成心臓弁の出口に連結され得、血管グラフト16の出口10dは、血管の末端に連結
され得る。血管グラフト16のこの使用の利点は、血管グラフト16が、様々なサイズで
提供され得るため、補助心臓構成要素が、血管の多種多様な形状及びサイズに使用され得
ることである。その際、医師は、どの特定の血管グラフト16が、合成心臓弁及び血管と
良く相互作用するかを選択することができる。これにより、異なるタイプ及びサイズの血
管グラフト16を加えることによって、標準的な部品を使用及びカスタマイズすることが
可能であるため、様々な異なる形態の補助心臓装置を使用する必要がなくなる。補助心臓
装置の性質に応じて、複数の血管グラフト16が、補助心臓装置に使用され得ることが理
解されるであろう。
【0404】
本明細書に示され、記載される実施形態は、入口10c及び出口10dを有する円筒状
の導管10を示すが、導管10の他の形状が使用され得る。例えば、Y字型、T字型、又
は多流路の導管10が使用され得る。
【0405】
図9aは、本発明にしたがって織物基材を加工するための本発明のシステム及び/又は
キットに有用な穿孔されたマンドレル20の斜視図である。図9a及び9bに示されるよ
うに、マンドレル20は、開放管腔24を有する中空マンドレルであり得る。マンドレル
20の一方又は両方の末端25、27が、開口端であり得る。或いは、マンドレル20の
一方又は両方の末端25、27が、閉口端(図示せず)であり得る。図9a及び9cに示
されるように、穿孔又は孔23が、マンドレル20の管状壁内に配置され得る。
【0406】
マンドレル20は、様々な目的のために使用され得る。例えば、マンドレル20は、マ
スキング剤又は水溶性材料を、グラフトなどの管状織物に送達するのに使用され得る。こ
のような使用では、管状織物(図示せず)は、マンドレル20の外面22にわたって配置
され得る。マスキング剤又は水溶性材料は、マンドレル20の開放管腔24中に、例えば
開口端25を介して開放管腔24中に送達され得る。反対側の末端27は、流体マスキン
グ剤又は水溶性材料のための循環システムの場合などのように、閉鎖又は開放され得る。
流体マスキング剤又は水溶性材料は、穿孔又は孔23を通って、並びにマンドレル20に
わたって配置されるグラフト(図示せず)上及びグラフト中に流れるであろう。
【0407】
マンドレル20は、グラフト(図示せず)に曝される流体マスキング剤又は水溶性材料
の量を制御するために、管腔24内に制御された量の流体マスキング剤又は水溶性材料を
有し得る。マンドレル20内に含まれる流体マスキング剤又は水溶性材料は、圧力差(管
腔24の外側より管腔24内の圧力が高い)の使用によって、又はマンドレル20が回転
若しくは紡糸デバイス上又はその中に配置される場合は回転力によって、グラフトに送り
込まれ得る。
【0408】
穿孔20を有さないマンドレル(図示せず)は、マンドレルの外面にわたって流体マス
キング剤又は水溶性材料の層を配置するのに使用され得る。マスキング層は、十分に粘着
性であり得、又はグラフトがマンドレルにわたって配置されるまでマンドレル上に残るよ
うに部分的に硬化され得る。次に、マスキング層は、グラフトの内面にわたって解放可能
に配置され得る。
【0409】
マンドレル20はまた、流体移動の制御のために使用され得る。例えば、管腔24内の
圧力は、管腔24の外側の圧力より低くてもよい。このような陰圧又は真空を用いて、マ
スキング剤又は水溶性材料を、グラフトの外面(図示せず)から離れるように移動させる
ことができる。
【0410】
マンドレル20はまた、流体マスキング剤又は水溶性材料を乾燥させるのに使用され得
る。空気などの温かいガスが、管腔24中に導入され、穿孔又は孔23を通って流れ、流
体マスキング剤又は水溶性材料を乾燥させ得る。或いは、熱源が、マンドレル20の外側
に配置されてもよく、加熱された空気などの熱の流れが、管腔24における陰圧の付加に
よって制御され得る。
【0411】
同じか又は異なるマンドレルが、限定はされないが、マスキング剤適用及び/又は分散
、マスキング剤乾燥、シーラント適用及び/又は分散、シーラント乾燥及び/又は硬化、
織物洗浄などの本明細書に記載される異なる用途及び技術にわたって使用され得る。管状
織物は、マンドレルにわたって実質的に配置され得、又は管状織物の一部のみが、マンド
レルにわたって配置され得る。例えば、管状織物の一端が、マンドレルによって支持され
得、管状織物の他端が、異なるマンドレルなどによって支持され得る。
【0412】
実質的に水不溶性のシーラントはまた、グラフトが、固体若しくは非穿孔マンドレル又
は穿孔マンドレル20上にある状態で、グラフトに適用され得る。実質的に水不溶性のシ
ーラントは、実質的に水不溶性のシーラントをグラフト上にブラシ塗布、噴霧、ローラー
コーティング、スピニングすることなどによる任意の好適な手段によって、グラフトに適
用され得る。
【0413】
さらに、必要に応じて、実質的に水不溶性のシーラントは、グラフトがマンドレルにわ
たって配置された状態で硬化され得る。
【0414】
さらに、着色剤、治療剤、染料、蛍光指示薬など他の材料が、グラフトに適用され得る
【0415】
治療剤としては、限定はされないが、抗血栓剤(ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナ
ーゼ、及びPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケ
トン)など;抗増殖剤(エノキサパリン(enoxaprin)、アンジオペプチン、又
は平滑筋細胞増殖をブロックすることが可能なモノクローナル抗体、ヒルジン、及びアセ
チルサリチル酸など);抗炎症剤(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン
、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、及びメサラミンなど);抗腫瘍性/抗
増殖性/抗有糸分裂剤(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブ
ラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン及びチミジ
ンキナーゼ阻害剤など);麻酔薬(リドカイン、ブピバカイン、及びロピバカインなど)
;抗凝固剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合
物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板
受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤及びダニ抗血小板ペ
プチドなど);血管細胞成長促進剤(成長因子阻害剤、成長因子受容体拮抗薬、転写活性
化因子、及び翻訳プロモータなど);血管細胞成長阻害剤(成長因子阻害剤、成長因子受
容体拮抗薬、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、阻害抗体、成長因子に対する抗
体、成長因子及びサイトカインからなる二機能性分子、抗体及び細胞毒素からなる二機能
性分子など);コレステロール降下剤;血管拡張剤;内因性又は血管作用機構を妨げる薬
剤;並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0416】
マスキング剤の乾燥及び均一性試験
PVPに浸漬された標準的な織物グラフトが様々な濃度で乾燥するのにどのくらい時間
がかかるか、及びPVPが織物全体にわたって均一に乾燥されるかどうかを決定するため
に、試験を行った。PVPの様々な濃度における一連の試験を、濃度が物質の乾燥性質に
差を生じるかどうかを決定するために行った。
【0417】
試験には、15%、10%及び5%のPVP溶液プロファイルを使用した。まず、PV
Pの15%の溶液を、15gのPVP及び100mLの水を用いて作製した。これを、P
VPが溶液に完全に溶解するまで撹拌した。約50mmの市販の管状グラフトを切断する
ことによって、グラフトサンプルを調製した。グラフトサンプルを、必要に応じて、乾燥
させ、計量した。次に、グラフトサンプルを、15%のPVP溶液に浸漬した。湿潤した
グラフトを計量して、初期重量を得た。サンプルを、動作しているファンの近くに垂直に
置いた。グラフトサンプルを、一定の重量が示されるまで、5分間隔で計量した。グラフ
トサンプルを、4つの標識された片に切断した。4分の1の各片を計量した。次に、4分
の1の片を洗浄し、乾燥し、完全に乾燥したら再計量した。乾燥した洗浄されたグラフト
の長さを測定した。
【0418】
次に、10%のPVP溶液を作製するために、50mLの水を15%のPVP溶液に加
えた。上記の織物処理工程を、10%のPVP溶液について繰り返した。
【0419】
次に、5%のPVP溶液を作製するために、150mLの水を10%のPVP溶液に加
えた。上記の織物処理工程を、5%のPVP溶液について繰り返した。
【0420】
結果:15%のPVPプロファイル。
【0421】
【表3】
【0422】
表3は、15%のPVPでコートされたグラフトが、周囲空気中に完全に乾燥するのに
1時間超かかったことを示し、コートされ、洗浄され、乾燥された後にグラフトの長さの
わずかな増加があったことも示した。乾燥させた後、サンプルは、平均して18.2重量
パーセントのPVPであった。さらに、サンプル中のPVPの分配は、実質的に一貫して
いた。グラフトサンプル又は片2及び3は、わずかに高いPVPレベルを有していた。こ
れらの片は、それらの上にグラフトの継ぎ目を有していたため、継ぎ目がおそらくより多
くのPVPを吸収していたようであった。したがって、15%のPVP溶液に浸漬される
とき、約15~約21重量パーセントのPVPが、グラフト上に堆積された。
【0423】
結果:10%のPVPプロファイル。
【0424】
【表4】
【0425】
表4は、10%のPVPで被覆されたグラフトが、完全に乾燥するのにわずか1時間未
満かかったことを示し、10%のPVP溶液の被覆、洗浄及び乾燥がまた、グラフトの長
さのわずかな増加を引き起こしたことを示した。片2及び3におけるPVPのわずかに高
い重量%はまた、グラフトの継ぎ目が、グラフトの残りの部分より多くのPVPを吸収し
たことを示唆していた。乾燥させた後、サンプルは、平均して14.4重量パーセントの
PVPであった。したがって、10%のPVP溶液に浸漬されるとき、約10~約18重
量パーセントのPVPが、グラフト上に堆積された。
【0426】
結果:5%のPVPプロファイル。
【0427】
【表5】
【0428】
表5は、5%のPVPで被覆されたグラフトが、完全に乾燥するのに最も少ない時間が
かかったこと、及びその長さがコーティング、洗浄及び乾燥の後に変化しないようであっ
たことを示し、PVPは、このグラフトの底部にわずかに「沈んだ」。したがって、5%
のPVP溶液に浸漬されるとき、約2~約8重量パーセントのPVPが、グラフト上に堆
積された。
【0429】
結論
15%のPVPで被覆されたグラフトが、乾燥させるのに約25分間だけ多くの時間が
かかった。均一に乾燥させるという点で、これらの濃度のいずれも許容可能であった。
【0430】
様々な乾燥技術が、本発明に使用するのに好適である。例えば、織物グラフト及び/又
は織物基材が、室温で乾燥されて、堆積されたマスキング剤溶液及び/又はシーラント溶
液から溶媒を除去し得る。1つ若しくは複数のファン又は空気の移動の他の供給源及び/
又は加圧空気の供給源の使用などの強制空気が、乾燥を促進するために使用され得る。強
制空気は、もしあれば、任意の好適な角度又は角度の組合せで適用され得る。空気は、グ
ラフトの内腔に流れ込んでも又は流れ込まなくてもよい。例えば、強制空気は、管状グラ
フトの外面に向かって、垂直に、実質的に垂直に、鋭角で、及び/又は鈍角で方向付けら
れ得る。さらに、強制空気は、管状グラフトの内腔に向かって、例えば、管状グラフトの
1つの開口端に向かって、或いは管状グラフトの内腔内から方向付けられ得る。空気流の
方向及び空気流の広がりの量は、乾燥時間を制御するため、及びさらにはグラフトの得ら
れる物理的特性を制御するために変化され得る。強制空気流はまた、グラフトの内部に向
かう及びグラフトの外部から離れるマスキング剤の移動を助けるのに有用である。言い換
えると、マスキング剤は、望ましくは、乾燥すると引っ込む。これは、グラフトの内部に
向かうシーラント移動のブロックを助けながら、織物グラフトの外部におけるシーラント
材料の固定を助けるであろう。しかしながら、本発明は、乾燥媒体としての空気の使用に
限定されず、ガス状媒体を含む他の好適な媒体が使用され得る。さらに、本発明は、室温
乾燥に限定されず、室温を超える高い乾燥温度が好適に使用され得る。
【0431】
さらに、温水を含む水などの流体が、後述されるように本発明に使用され得る。温水の
使用は、繊維製品からの水溶性マスキング剤の除去を助ける。さらに、温水の使用は、シ
ーラント又はシール剤の硬化も助け得る。
【0432】
さらに、シーラント材料の乾燥及び/又は硬化はまた、強制空気又は他の媒体、周囲強
制空気又は他の媒体、加熱強制空気又は他の媒体、非強制周囲空気又は他の媒体、非強制
加熱空気又は他の媒体などを用いて制御され得る。シーラント材料の硬化時間が制御され
得るだけでなく、ある程度、シーラント層の特性も制御され得る。シーラント材料が、硬
化するにつれて、織物基材、例えば、織物グラフトの外面の周りに収縮するように、シー
ラント材料は、選択され、乾燥又は硬化され、及び又は選択的に堆積され得る。
【0433】
マスキング剤除去試験
グラフトのための様々な洗浄方法を、その方法が最も高いレベルのPVPを抽出し得る
か及び選択された方法がグラフトの長さ及びクリンプに影響を与えるかどうかを決定する
ために行った。
【0434】
2つの洗浄方法、Ultrawave超音波浴及び家庭用洗濯機が検討される。
【0435】
手順
パート1:シーラントコーティングなし
100%のPVPが選択された洗浄方法で除去することができたかどうかを確認するた
めに、この試験を、まず、シリコーンでコートされていない6つのグラフトにおいて行っ
た。
【0436】
約6×60mmの長さの市販の織物グラフトを切断することによって、グラフトを調製
した。6つ全てのグラフトを測定し、計量し、側面に刻み目を入れて標識した。15%の
PVP溶液を、15gのPVP及び100mLの水で作製した。6つ全てのサンプルを、
溶液中の15%のPVPに沈めた。6つ全てのサンプルを、動作しているファンの近くで
垂直に乾燥させた。全ての乾燥されたサンプルを計量した。
【0437】
超音波浴を40℃に設定した。サンプル1、2、及び3を、超音波浴に沈めた。サンプ
ル1~3を、15分間にわたって超音波浴に入れておいた。これらのサンプルを、超音波
浴から取り出し、ファンの近くで垂直に乾燥させた。乾燥された1~3つのサンプルを計
量し、それらの長さを測定し、記録した。
【0438】
サンプル4、5、及び6を、洗濯袋に入れ、次に、洗濯機に入れた。洗濯機を、40℃
、800RPM、51分間ウール洗濯設定に設定した。サンプル4~6を、洗濯機から取
り出し、乾燥させた。サンプル4~6を計量し、それらの長さを記録した。
【0439】
パート2:ヘプタンを噴霧したシーラントコーティング中のシリコーン
サンプル1~3を再度洗浄し、乾燥させ、測定し、計量した。次に、サンプル1~3を
、15%のPVP溶液に沈めた。6つ全てのサンプルを、動作しているファンの近くで垂
直に乾燥させた。乾燥されたサンプルを計量した。
【0440】
6つ全てのサンプルを、伸長して、ヘプタンコーティング中のシリコーンを噴霧した。
次に、6つのサンプルを、ドラフトチャンバ下で弛緩した状態に戻るようにし、乾燥させ
た。超音波水浴を40℃に設定した。乾燥させた後、サンプル1~3を、15分間にわた
って超音波浴に沈めた。これらのサンプルを、浴から取り出し、ファンの近くで垂直に乾
燥させた。乾燥されたサンプル1~3を計量し、それらの長さを測定し、記録した。
【0441】
乾燥させた後、サンプル4~6を洗濯袋に入れ、次に、洗濯機に入れた。洗濯機を、4
0℃、800RPM、51分間ウール洗濯設定に設定した。サンプルを、洗濯機から取り
出し、乾燥させた。乾燥させた後、サンプル4~6を計量し、それらの長さを測定し、記
録した。
【0442】
結果
【0443】
【表6】
【0444】
洗濯機に入れられたサンプルの大部分は、PVPを除去されていた一方、超音波浴に入
れられたサンプルは全て、洗浄後にサンプル上にいくらかのわずかなPVPを依然として
有していた。
【0445】
【表7】
【0446】
洗濯機に入れられたグラフトにいくらかのPVPが残っていたが、超音波浴中で洗浄さ
れたグラフトと対照的に、その上に残されたPVPは有意に少ない。全ての場合に、約9
0重量パーセント超のPVPが除去された。実際に、全ての場合に、約95重量パーセン
ト超のPVPが除去された。
【0447】
表7において、適用されたPVP対シリコーンの重量比は、約2.5:1.0~約4.
3:1.0で変動した。逆に、適用されたシリコーン対PVPの重量比は、約0.40:
1.0~約0.23:1.0で変動した。
【0448】
さらに、比率は、以下の表11に記載されている。
【0449】
表7及び11に記載される比率は、非限定的なものである。
【0450】
PVP(又は他のマスキング剤)対シリコーン(又は他のシーラント剤)の重量比は、
約10:1の重量PVP(又は他のマスキング剤)/重量シリコーン(又は他のシーラン
ト剤)~約0.01:1の重量PVP(又は他のマスキング剤)/重量シリコーン(又は
他のシーラント剤)、望ましくは、約1:1の重量PVP(又は他のマスキング剤)/重
量シリコーン(又は他のシーラント剤)~約0.05:1の重量PVP(又は他のマスキ
ング剤)/重量シリコーン(又は他のシーラント剤)、より望ましくは、約0.5:1の
重量PVP(又は他のマスキング剤)/重量シリコーン(又は他のシーラント剤)~約0
.1:1の重量PVP/重量シリコーンで変動し得る。
【0451】
逆に、シリコーン(又は他のシーラント剤)対PVP(又は他のマスキング剤)の重量
比は、約0.1:1.0の重量シリコーン(又は他のシーラント剤)/重量PVP(又は
他のマスキング剤)~約100:1の重量シリコーン(又は他のシーラント剤)/重量P
VP(又は他のマスキング剤、望ましくは、約1:1重量シリコーン(又は他のシーラン
ト剤)/重量PVP(又は他のマスキング剤~約20:1の重量シリコーン(又は他のシ
ーラント剤)/重量PVP(又は他のマスキング剤、より望ましくは、約2:1重量のシ
リコーン(又は他のシーラント剤)/重量PVP(又は他のマスキング剤~約10:1重
量のシリコーン(又は他のシーラント剤)/重量PVP(又は他のマスキング剤で変動し
得る。
【0452】
マスク及び染料試験
材料
布帛-直径22mm、平坦なチューブ綾織及び直径10mm。捲縮綾織。
シリコーン-NuSil Med16-6606(一時的移植グレード)。
溶媒-n-ヘプタン、シリコーン分散体を含む50:50。
染料-RTVシリコーンのためのEasy Composites Royal青色顔料
、約10%のシリコーン固形分と混合された。
【0453】
サンプルの説明
平坦な22mmの布帛サンプルについては、以下のマスキング剤配合物を使用した:
#71A-未加工の布帛
#71B-6%のPVP
#71C-6%のPVP+1.5%のグリセロール(マスク溶液の体積基準で)
#71D-6%のPVP+1.5%のグリセロール+4%のPVP(合計10%のPVP
)。
【0454】
#71B~Dの平坦な布帛サンプルを、PVP溶液に浸漬し、その後、取り出した。全
ての#71サンプルを、吊り下げたマンドレルに取り付けた(マスク後、コーティング前
)。
【0455】
捲縮した直径10mmの布帛サンプルについては、以下のマスキング剤配合物を使用し
た:
#70A-未加工の布帛
#70B-6%のPVP
#70C-6%のPVP+1.5%のグリセロール(マスク溶液の体積基準で)
#70D-6%のPVP+1.5%のグリセロール+4%のPVP(合計10%のPVP
)。
【0456】
#70B~D捲縮布帛サンプルを、PVP溶液に浸漬し、その後、取り出した。全ての
#70サンプルを、吊り下げたマンドレルに取り付けた(マスク後、コーティング前)。
【0457】
マスキング剤の調製
マスキング剤を、上述されるのと同じ方法を用いて調製したが、サンプルB及びC(#
70及び#71の両方)についてはグリセロールを加え、次に、サンプルD(#70及び
#71の両方)についてはさらなるPVPを加えるさらなる工程があった。
【0458】
天秤ばかり上のプラスチックビーカー中に目標重量のPVPを量り入れた。100ml
のマスキング剤溶液を調製し、そのために、4gのPVPの目標質量を必要とした(4%
の濃度)。100mlのプラスチック製の測定シリンダ中に目標体積の脱イオン水を量り
入れた。調製される100mlのマスク溶液は、そのために、96mlの目標体積を必要
とした。プラスチックビーカー中でPVPに脱イオン水を加えた。マグネチックスターラ
ーを水に入れ、ビーカーをマグネチックスターラー上に置いた。マグネチックスターラー
を、350~450RPMの速度で回転させて、スターラーが確実にビーカーの中心にあ
るようにした。撹拌を室温で行った。PVP溶質が視認できなくなるまで、又は最小で少
なくとも2分間にわたって、撹拌を続けた。撹拌した後、マスキング剤溶液をスターラー
から取り出し、グラフト調製、サンプルBに使用した。
【0459】
さらなる工程を、サンプルCに使用し、すなわち、グリセロールを加えた。プラスチッ
クビーカーを天秤ばかりに戻し、風袋の重量を量り、必要な量のグリセロールをマスク剤
溶液に加えた。目標グリセロール含量は、マスキング剤溶液の1.5体積%であった。こ
れは、1.5gの目標重量に相当していた(注記:これは、PVPに対して25%のグリ
セロールに相当していた)。ビーカーをスターラー上に設置し、少なくとも2分間撹拌し
た。このマスキング剤溶液を、サンプルCに使用した。
【0460】
さらなる工程を、サンプルD、すなわち、さらなるPVPに使用した。プラスチックビ
ーカーを天秤ばかりに戻し、風袋の重量を量り、必要な量のPVPをマスキング剤溶液に
加えた。目標PVP含量は、マスク溶液の10体積%であった。これは、さらなる4gの
PVPを加えたことに相当していた(注記:これにより、PVPに対するグリセロールの
比率が、25%から15%へと有効に低下された)。このマスキング剤溶液を、サンプル
Dに使用した。
【0461】
シーラントの調製
供給された状態のシリコーンシーラント分散体は、30%の固形分を有し、分散体を、
さらなる100%の溶媒で希釈した。これにより、固形分が15%に減少された。さらに
、青色染料をシリコーン分散体に加えて、布帛構造中へのシリコーンの被覆及び浸透深さ
の可視表示を与えた。
【0462】
特に、20mlのシリコーン分散体を、供給された状態で、その容器から量り取り、プ
ラスチックビーカーに入れた。さらなる20mlのn-ヘプタン溶媒を加えた。混合物を
ビーカーに入れ(beaked)、秤に載せ、風袋の重量を量り、数滴の染料を、ドロッ
パーを用いて加えた。推奨される染料濃度範囲は、断面厚さに応じて0.3%~5%であ
り、したがって、可視化のための強い青色を得るために、5%の目標が設定された。この
目標からの逸脱は、固形分が15%ではなく30%であるという計算によるものであり、
したがって、シリコーンに対する染料の実際の濃度は、5%ではなく10%であった。
【0463】
サンプルの調製
個々のサンプルを、以下の表にしたがって、マスキング剤配合物を用いて調製した。
【0464】
【表8】
【0465】
サンプルB~Dを、上の表にあるように、マスク剤溶液に浸漬した。各布帛が、サイズ
決めされた末端の栓によって直径で保持されるが、内面に支持されない状態に保たれるよ
うに、サンプルを、マンドレルに組み込んだ。各布帛の内面は、マスクの性能、位置及び
濃度に影響を与えないように、マンドレルと接触していなかった。
【0466】
分散体滴下評価を、後述されるように行った。
【0467】
各サンプルを、シリコーン分散体の少なくとも2回のコートで完全にコートした。目視
評価中のシリコーンの欠如の懸念がなく、好適な被覆をもたらすために、十分なシリコー
ンが外面に確実に存在するようにすることが意図された。ブラシコーティングを、約1回
転/秒でロティサリーにおいて回転するグラフトに行った。グラフトを、溶媒蒸発のため
に一晩放置した。グラフトを、推奨される72時間にわたって放置して完全に硬化させて
から、洗浄のためにマンドレルから取り外した。次に、グラフトを保護袋に入れ、約2時
間30分にわたって95℃でTumble Machine Washサイクルにかけた
【0468】
サンプルをマスクし、コートし、洗浄し、平坦になるように切り開いた。
【0469】
分散体滴下評価
完全なコーティングの前に、1滴のポリマー分散体を、各サンプルに適用し、マスクさ
れた布帛における分散体の挙動の顕著な相違があるかどうかを目視評価するために、映像
で記録した。
【0470】
サンプルA-マスクなし。布帛にわたる1滴のポリマー分散体のゆっくりとした広がり
。布帛中に及び布帛を通して浸漬しているようであった。
【0471】
サンプルB-6%のPVPマスク。布帛にわたる1滴のポリマー分散体の急速な広がり
。布帛中に及び布帛を通して浸漬するより容易に広がるようであった。
【0472】
サンプルC-6%のPVP+1.5%のグリセロールマスク。1滴のポリマー分散体の
第1の滴は、布帛にわたる急速な広がりを有していた。1滴のポリマー分散体の第2の滴
は、おそらく、プールを保持する垂れた布帛のため、不確定であった。
【0473】
サンプルD-10%のPVP+1.5%のグリセロールマスク。不確定-おそらく、プ
ールを保持する垂れた布帛のため。
【0474】
グラフトの面にわたる分散体滴下評価
サンプルA-マスクなし。布帛にわたる1滴のポリマー分散体のゆっくりとした広がり
。布帛中に浸漬するようであった。
【0475】
サンプルB-6%のPVPマスク。布帛にわたる1滴のポリマー分散体の急速な広がり
。被覆は、谷部における分散体のプールにより、より不均一であった。
【0476】
サンプルC-6%のPVP+1.5%のグリセロールマスク。布帛は、分散体の浸漬に
明らかに抵抗した。
【0477】
サンプルD-10%のPVP+1.5%のグリセロールマスク。布帛は、分散体の浸漬
に明らかに抵抗した。
【0478】
要約すると、この分散体液滴評価は、より低い濃度のマスキング剤(サンプルB、6%
のPVP)でさえ、マスクされていない布帛と比較した際に有意に異なる反応を引き起こ
すようであったことを示した。
【0479】
「プール」効果は、平坦な布帛、サンプル71C、71Dで見られ、過剰な分散体が布
帛から又は布帛を通って流出できないことの結果である可能性が最も高かった。この効果
は、おそらく、捲縮布帛、特に、サンプル70B、70Dにおいても明らかであり、谷部
における分散体のプールがあり、これは、色/被覆がはるかに均一に見えるマスクされて
いないサンプル70Aと異なり、より暗い色によって強調される。
【0480】
シーラント被覆及び浸透の評価
マスキング剤を除去するための洗浄サイクルの後、グラフトを縦方向に切断して、内面
及び外面を視覚化した。各グラフトを、光学顕微鏡法で、以下において視覚化した:(a
)外面-シーラントコーティングの存在及び均一性を確認するため;(b)内面-布帛を
通る又は糸フィラメントの間の、青色シリコーンの存在又は侵入を確認するため;及び(
c)断面図-糸束を通る浸透のレベルを評価するため。
【0481】
結果
マスクなしの両方のサンプルは、染色した青色シリコーン分散体が糸束に入り、内面に
浸透するのを許容したようであった一方、マスクの適用は、全てのサンプルにおいてこの
侵入を防いだようである。
【0482】
【表9】
【0483】
捲縮布帛サンプル70Dの写真が、図10a~10cに示される。図10aは、捲縮布
帛サンプル70Dの管状壁の断面の一部の写真である。図10a~10cに示されるよう
に、布帛サンプル又は織物グラフト30は、外側織物表面32、反対側の内側織物表面3
4、及びそれらの間に配置された織物壁36を含む。図10a及び10cに示されるよう
に、シール層又はコーティング38は、外面32にわたって配置される。さらに、図10
aに示されるように、シール層又はコーティング38は、織物壁の一部まで延在する。図
10a及び10bに示されるように、内面34は、実質的に(例えば完全に)、シール層
又はコーティング38を含まない。
【0484】
図11は、グラフトサンプル40に適用された乾燥した40%のPVPマスキング剤濃
度の顕微鏡写真又は走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。乾燥したマスキング剤スラ
リー44は、集まり、糸構造42を封入し、亀裂46を有していた。シリコーンシーラン
トが、マスキング剤によって完全に封入されたこの表面に永続的な付着又は封入をもたら
すことができないであろうことは明らかである。
【0485】
マスキング剤溶液は、マスキング剤溶液の濃度に応じて、糸束全体及び個々の糸繊維を
封入し得る。図11に示されるように、より高い濃度のマスキング剤溶液(すなわち、水
中の30% w/w超のPVP、20% w/w超のPVPグリセロール)は、糸束に流
れ込んで個々の繊維をコートするには粘度が高過ぎるようである。さらに、高い濃度のマ
スキング溶液は、高粘度の、脆性のマスク層として乾燥し、図11に示されるように、多
くのサンプルが、マスキング層44にわたって微細な亀裂46を生じる。マスキング剤溶
液濃度が低い場合(10% w/w未満のPVP、水中にグリセロールを含むか又は含ま
ない)、マスキング剤は、糸束及び個々の繊維を封入し得るが、低い濃度のマスキング剤
溶液を使用することの制限は、各糸束及び/又は繊維の周りの完全な一貫した被覆の欠如
であり得る。この場合には、繊維の部分が、潜在的なシーラント結合のための表面に曝さ
れる。いくつかの結果は、低い濃度のマスキング剤溶液を使用して、シーラントが、マス
キング層を封入及び捕捉することを示し;したがって、マスキングは、最終生成物から完
全に洗い流されない。機能する適切なマスキング溶液の鍵は、本発明によって記載される
各用途のための目標濃度の制御された適用プロセスを有することである。
【0486】
マスキング剤の全体的な機構は、空隙又は間隙のサイズに応じて、2つの主要な概念を
含み得る:(1)マクロ経路(macro pathway)(すなわち、糸束間の空隙
)についての物理的影響、及び(2)ミクロ経路(micro pathway)(すな
わち、繊維間の空隙及びマスキング層内の微細な亀裂における空隙)についての化学的影
響。
【0487】
(1)物理的影響:マクロ経路の充填は、マスキング剤溶液が、糸束間の大きい空隙に
浸透し、流れ込む物理的能力に基づいている。糸束が、マスキング剤層に完全に封入され
るとき、マスキング剤層は、各糸束間の空隙を充填し、糸束への侵入をブロックする。次
に、シーラントは、これらの空隙を充填するマスキングの存在のため、各糸間のマクロ経
路又は各繊維間のミクロ経路内に浸透することができないであろう。
【0488】
(2)化学的影響:織物全体にわたるミクロ経路については、ミクロ経路が、マスキン
グ層内の微細な亀裂、糸束間の微細な空隙又は個々の繊維間の微細な空隙のいずれを指す
かにかかわらず、シーラントを寄せ付けないマスキング溶液の反発効果又は能力の化学的
機構は、シーラントに微細な空隙を充填させない。反発機構は、疎油性シーラントが、高
度に親水性のマスキング層と接触するか又は接近しようとするときに発生する。これは、
Joel H.Hildebrandによって開発された溶液溶解度の理論及び溶解度パ
ラメータを用いて証明される。SIヒルデブランド値(δ[SI])は、マスキング溶液
及びシーラント溶解度パラメータが、それらが互いに接触するときのそれらの特定の溶媒
の溶解力挙動を示すことを実証する。Handbook of Solubility
Parameter,CRC Press,1983に示されるように、マスキング溶液
中の溶媒(水及びグリセロール)は、溶解度パラメータ範囲の親水性末端にある一方、シ
ーラントの溶媒(ヘプタン)は、溶解度パラメータ範囲の反対側の末端にある。水のδ[
SI]は、48.0であり、グリセロールのδ[SI]は、36.2であり、n-ヘプタ
ンのδ[SI]は、15.3である。
【0489】
したがって、本発明のマスキング剤は、物理的機構(例えば、ブロック)及び反発機構
によって、シーラントの望ましくない移動を妨げる。したがって、溶媒が約20δ[SI
]未満、例えば約10δ[SI]~約20δ[SI]の溶解度パラメータを有するシーラ
ント、及び溶媒が約30δ[SI]超、例えば約30δ[SI]~約50δ[SI]の溶
解度パラメータを有するマスキング剤溶液を使用することが望ましいことがある。
【0490】
結論
シリコーン分散体における青色染料の使用は、布帛へのシリコーン浸透の優れた目視評
価をもたらした。事前のマスク適用なしでコートされた両方のサンプルは、内面の布帛を
通る青色のシリコーンシーラントのかなりの侵入を示した。3つ全てのマスキング剤配合
物は、内面へのシリコーンの侵入を実質的に防ぐようであった。
【0491】
市販の血管グラフトについてのシリコーンシール試験
以下の機器及び材料を、本発明にしたがって市販のグラフトのシールを試験するのに使
用した。
8mmの捲縮ポリエステル布帛の市販のグラフト
14mmの捲縮ポリエステル布帛の市販のグラフト
ポリビニルピロリドン(PVP)粉末
NuSil MED-6606 RTVシリコーン
N-ヘプタン
Royal Blue顔料
脱イオン水
マグネチックスターラー。
【0492】
コーティングの可変範囲
以下の値を、本発明の本発明に係るシール技術の試験に使用した。
脱イオン水中のPVP濃度は、重量基準で、1%、2%、4%、6%、8%、10%、1
5%、20%、25%、及び30%で変化される。
グリセロール及びシリコーン分散体濃度を、4%、8%、15%、及び30%のPVP濃
度で試験した。グリセロール濃度を、5%、15%、及び30%のPVP濃度で使用した
。これらの濃度は、PVPに対するグリセロールのパーセンテージであった。
【0493】
試験されるPVP、グリセロール、及びシリコーンの変化は、以下のとおりであった。
【0494】
【表10】
【0495】
サンプルの調製
各サンプルを、市販のグラフトの部分から作製した。グラフトを、まず、グラフトを完
全に伸長してクリンプを取り除くことによって、まず所定の長さに切断し、次に、180
mmの長さの部分を、片刃かみそりで切断した。各サンプルを計量した。
【0496】
マスクの調製
測定された量の脱イオン水を、100mlのプラスチックビーカーに入れた。マグネチ
ックスターラーを、脱イオン水に入れた。撹拌しながら、PVP及びグリセロール(もし
あれば)を加えた。溶質が視認できなくなるまで撹拌を続けた。
【0497】
マスキング剤の調製
グラフトサンプルをマスク溶液に浸漬し、サンプルが内部及び外部で完全にコートされ
るように、手袋をした手でグラフトを撹拌することによって、グラフトサンプルをコート
した。
【0498】
グラフトが完全にコートされた後、もしあれば、過剰なマスク溶液を除去した。次に、
各グラフトを、ケーブルタイを用いることによってマンドレルに取り付けた。グラフトの
一端を、ケーブルタイによってマンドレルに固定し、次に、グラフトを、その全伸長長さ
(108mm)の60%に伸長し、グラフトの他端を、別のケーブルタイによってマンド
レルに固定した。次に、マンドレルを回転マウント上に水平に置き、空気乾燥させた。乾
燥させた後、マスクされたグラフトを計量した。
【0499】
シーラントの調製
シリコーン分散体は、30%の固形分として供給された。さらなる量のn-ヘプタンを
加えて、固形分を22.5%、次に15に減少させた。青色染料をシリコーン分散体に加
えた。
【0500】
シーラントの適用
グラフトが取り付けられたマンドレルを、グラフトをゆっくりと回転させるために回転
モータ上に設置した。シーラントを、一端から開始して、他端に取り組むように、塗料ブ
ラシで適用した。これを、過剰なシーラント分散体がグラフト上になくなるまで繰り返し
た。目標レベルのシリコーンを、グラフト上に適用した後、グラフトを回転マウントに移
し、空気乾燥させた。乾燥させた後、シールされたグラフトを計量した。
【0501】
マスキング剤の除去
グラフトが完全に乾燥した後、マスキング剤を除去した。グラフトを洗濯機で90℃の
洗浄(洗剤なし)で洗浄することによって、これを行った。これにより、PVPを水に溶
解させ、それによって、グラフトから除去した。90℃の温度も、シリコーンの完全な硬
化を助けた。洗浄が完了したとき、グラフトを吊り下げて、空気乾燥させた。乾燥させた
後、完成したグラフトを計量した。
【0502】
シリコーンの付着性
グラフトコーティングが高い加圧状態でその完全性を維持する場合、良好なコーティン
グ付着も実証され得る。全周方向応力の大部分が、グラフトのより剛性の布帛材料にかか
るため、圧力が、全てのサイズのグラフトにわたる尺度として使用され得る。さらに、織
物構造が、グラフトの異なる直径を変化させないため、シリコーンコーティングに作用し
てシリコーンコーティングを剥離させる力の大部分は、繊維の束間の間隙において生じ、
その際、この領域、及びひいてはその領域に作用する力が一貫している。したがって、グ
ラフトのサイズにかかわらず、同じ圧力が、同じ力を生じて、シリコーンコーティングを
剥離させる。
【0503】
布帛内の束の位置が、全ての直径にわたって可能な限り均一であることを確実にするた
めに、布帛は、クリンプを取り除かれ、それによって、グラフトは、その完全に伸長した
形状になる。これを行う際、加えられる圧力は、グラフトを完全に伸長するのにかかる圧
力を超えていた。この圧力は、グラフトの各サイズについて異なるため、グラフトを完全
に伸長するために最も高い圧力を必要とするグラフト(すなわち、最小直径のもの)は、
最悪の場合として使用される。この最悪の場合の圧力が決定された後、安全係数(FOS
)が適用され、全てのグラフトのための最小の要件として使用されるのがこのFOS補正
圧力である。グラフトが、コーティングの剥離の視覚的な兆候(泡が生じる)を伴わずに
このFOS補正圧力に加圧され得る場合、コーティングが、十分且つ許容可能な付着性/
完全性を有することが推定され得る。
【0504】
剥離を試験する1つの方法は、以下のとおりである:
・グラフトを圧力リグに連結して、一端を確実に塞ぐようにする;
・グラフトに圧力をゆっくりとかける;
・120mmHg(臨界圧力)で停止し、剥離の兆候(泡)を探す;
・漏出速度を測定し、それをmm/cm/分の単位で記録する;
・FOS補正数に達するまで、圧力を徐々に上昇させる;
・剥離の兆候が任意の時点で視認された場合、試験を停止し、不合格の印を付ける;
・FOS補正圧力を1分間保持する;及び
・剥離の兆候が存在しない場合、グラフトに合格の印を付ける。
【0505】
以下の圧力試験を行った:
シリコーンがグラフトからその結合を失った兆候があるかどうかを観察するために、グラ
フトを、水で加圧した。圧力は、600mmHgの最大圧力にゆっくりと増加されること
になっていた。付着性を以下のように記した:
0-シリコーンが、グラフトに十分に付着され、破損の兆候を示さない;
1-グラフトが最大圧力に達したが、漏出速度が明らかに上昇した;
2-シリコーンコーティングが破損し始め、グラフトから出る水の噴出を示す;及び
3-シリコーンコーティングが破損し、泡が表面に見られる。
【0506】
浸透深さ
マスクの有効性を、シリコーンがどのくらい布帛に染みたかによって決定した。望まし
くは、シリコーンは、グラフトの外側表面に留まり、グラフト構造に過度に浸透しない。
マスキング剤が有効でない場合、シリコーンは、布帛内及び内側の縁部において視認可能
であった。これを視覚化するために、グラフトを縦方向に切断し、断面を高倍率で調べた
【0507】
浸透度が以下のように示された;
0-シリコーンが、グラフトの外面のみで視認可能;
1-シリコーンが、グラフトの繊維間で視認可能であるが、厚さの50%までに過ぎない

2-シリコーンが、内側表面に浸透しているのが視認可能;及び
3-シリコーンが、どこでも視認可能であり、グラフト構造全体が青色である。
【0508】
試験結果の概要
【0509】
【表11】
【0510】
グラム対グラム又は乾燥重量基準のシーラント対マスキング剤の比率は、約1:1~約
70:1で変動した。有用な比率は、乾燥重量基準で約2:1~約20:1(約2:1~
約10:1を含む)のシーラント対マスキング剤の比率も含む。しかしながら、これらの
比率は、非限定的なものである。シリコーン(又は他のシーラント剤)対PVP(又は他
のマスキング剤)の重量比は、約0.1:1.0の重量シリコーン(又は他のシーラント
剤)/重量PVP(又は他のマスキング剤)~約100:1の重量ケイ素(又は他のシー
ラント剤)/重量PVP(又は他のマスキング剤、望ましくは、約1:1の重量シリコー
ン(又は他のシーラント剤)/重量PVP(又は他のマスキング剤~約20:1の重量シ
リコーン(又は他のシーラント剤)/重量PVP(又は他のマスキング剤、より望ましく
は、約2:1の重量シリコーン(又は他のシーラント剤)/重量PVP(又は他のマスキ
ング剤~約10:1の重量シリコーン(又は他のシーラント剤)/重量PVP(又は他の
マスキング剤で変動し得る。
【0511】
【表12】
【0512】
PVPマスキング剤濃度順に示される結果は、PVPのより高いレベルと、グラフトサ
ンプルの内腔へのシリコーンシーラントの減少した浸透との間の明らかな相関を示した。
【0513】
一般に、10%以上のPVPマスク濃度は、布帛厚さの50%超のシリコーンのバルク
浸透を防いだ。いくつかのサンプルにおいて、それらは、経糸及び緯糸束によって形成さ
れる隙間における糸束間で明らかなシリコーンの小さい「フィンガー(finger)」
又は「スライバー(sliver)」であった。このような隙間のシリコーンは、布帛の
全内面領域の非常に小さいパーセンテージを占めていた。
【0514】
【表13】
【0515】
PVPマスキング剤濃度順に示される上記の結果は、PVPのより高いレベルと、布帛
へのシリコーンシーラントの減少した付着性との間の明らかな相関を示す。シリコーンが
布帛の内面に浸透するための2つの機構が観察され、すなわち、糸束繊維を通るか又は糸
束における間隙の間を通過することによるかのいずれかである。より低い濃度のマスク剤
(>4%のPVP)が、糸繊維を通るポリマーの流れを阻害するようであったが、全ての
場合において、束における間隙の間、すなわち、織物パターン内で近接して並列された糸
の間の隙間へのシリコーンポリマーの小さい「フィンガー」又は「スライバー」の侵入を
実質的に防ぐのに十分でなかった。わずかに高い濃度のマスク剤(>15%)が、繊維束
における間隙の間を通るシリコーンポリマーの通過を完全にブロックするのに必要とされ
たようであった。
【0516】
取り扱いの評価
グラフトの取り扱い特性は、布帛構造、グラフト直径、クリンプピッチ数及び形態、ポ
リマーシーラントの厚さプロファイル及び糸束へのシーラントの浸透の量の間の一連の複
雑な相互作用の結果である。
【0517】
以下の評価パラメータは、主観的なものではあるが、以下の全てを検討することを目的
としている:ねじれ形成時の曲げ半径、可撓性、周方向剛性(完全に開いた状態を保つ能
力)及び伸長。
【0518】
評価スコア(1~4)を用いて、取り扱い特性を評価した;
1-グラフトは、参照サンプルより可撓性であると判断された。
2-グラフトは、参照サンプルと同等であると判断された。
3-グラフトは、参照サンプルより剛性であると判断されたが、使用可能な特性を有して
いた。
4-グラフトは、同等の使用のためには過度に剛性であると判断された。
【0519】
参照サンプルは、優れた全体的な取り扱いを有し、現在市販されているゼラチンシール
されたグラフトと少なくとも同等であると見なされた。
【0520】
ポリマーシーラント被覆
各サンプルにおけるポリマーシーラント被覆の量を、mg/cmの単位で報告し、各
個々のグラフトに適用されたポリマーの全体質量を、グラフトの表面積で除算することに
よって計算した。以前の捲縮プロトタイプは、約14mg/cmまでの範囲の少なくと
も約8mg/cmのポリマー被覆で、有効なシール及び好適な取り扱い特性の両方を示
した。14mg/cmを超える被覆レベルは、標準的なゼラチンシールされたグラフト
のものを超えて取り扱い特性の全体的剛性を増加させたが、剛性の増加、したがって、増
加した量のポリマー被覆は、一部のグラフト用途に有利であり得る。
【0521】
引張り伸長力
サンプルを、80mmの間隔のジョーを備えたLloyd引張り試験機械のジョーの間
に取り付けた。機械をゼロに合わせ、ジョーを20%(16mm)だけ伸長し、最大測定
力を記録した。
【0522】
記録された結果が、以下に示され、20%の伸長力(force-to-extend
)について低い方から高い方の順に並べられている。
【0523】
これらの結果は、取り扱い評価と伸長力との間の強い相関を実証し、より低い伸長力が
向上した取り扱い特性に相当する。
【0524】
ポリマー被覆値の検討は、グラフトサンプル#15によって示されるように、参照サン
プル(等級2)と同等の取り扱い特性を達成するために、40mg/cmまでの被覆レ
ベルが考えられ得ることを示した。
【0525】
加圧付着性試験中にポリマーシーラントの剥離を示した全てのグラフトは、注記(1)
によってイタリック対で強調した。このリストは、低い付着性が、低い伸長力及び向上し
た取り扱い特性をもたらし得ることを示す。この結果は、許容可能な取り扱い特性が、糸
束へのシーラントのより低いレベルの浸透性に依拠するという理論を裏付けるものである
【0526】
【表14】
【0527】
結論
許容可能な取り扱い特性が、糸束へのシーラントのより低いレベルの浸透性によって達
成された。織物へのポリマー浸透の量を制限するためのマスキング剤の使用は、向上した
取り扱い特性のために用いられ得る。外科医の使用者によって評価される際に、40mg
/cmまでのポリマー被覆レベルが、参照サンプルと同等の取り扱い特性を達成するこ
とが実証された。
【0528】
表10~14からの選択されたサンプルの写真が、図12~19において再現される。
これらの図の説明が以下に続く。
【0529】
図12及び13は、上記の表からのサンプル2のSEM写真である。サンプル2は、以
下の特性を有していた:
マスキング溶液:水中の2%のPVP、0%のグリセロール;
シリコーン分散剤:ヘプタン中の15%のシリコーン;
シリコーン被覆:41mg/cm
シリコーン浸透性等級付け:3(シリコーンが視認可能);
シリコーン付着性等級付け:0(シリコーンが、グラフトに十分に付着され、破損の兆候
を示さない);
120mmHgで測定される漏出:0ml/分;
600mmHgで測定される漏出:0ml/分;
取り扱い評価:3(グラフトは、参照より剛性であると判断されたが、使用可能な特性を
有していた);及び
20%だけグラフトを伸長させる引張り力:1.112N。
【0530】
図12は、サンプル2の織物50の断面のSEM写真である。織物50の外面52を、
シリコーンシーラント56で完全にコートした。繊維束58Aを、シリコーンシーラント
56によって完全に封入した。シリコーンシーラントを、繊維束又はマルチフィラメント
糸58の断面にわたって配置した。図13に示されるように、内側織物表面54はまた、
繊維束58に顕著な量のシリコーンシーラント60を有していた。
【0531】
図14及び15は、上記の表からのサンプル9の写真である。サンプル9は、以下の特
性を有していた:
マスキング溶液:水中の25%のPVP、0%のグリセロール;
シリコーン分散剤:ヘプタン中の15%のシリコーン;
シリコーン被覆:41mg/cm
シリコーン浸透性等級付け:0(シリコーンは、グラフトの外面のみで視認可能);
シリコーン付着性等級付け:3(剥離した、シリコーンコーティングは、破損しており、
泡が表面に見られた);
120mmHgで測定される漏出:剥離した;
600mmHgで測定される漏出:剥離した;
取り扱い評価:1(グラフトは、参照サンプルより可撓性であると判断された);及び
20%だけグラフトを伸長させる引張り力:0.571N。
【0532】
図14は、サンプル9の織物50の断面の写真である。織物50の外面52を、シリコ
ーンシーラント56で完全にコートした。個々の織物束58は、シリコーンシーラント浸
透をほとんど含まなかった。しかしながら、剥離の空間によって示されるように、外面に
おいて織物繊維からのシリコーンシーラント56の剥離があった。図15に示されるよう
に、内側織物表面54及びその場所の全ての繊維束58は、顕著な量のシリコーンシーラ
ント60を含まなかった。
【0533】
図16~18は、上記の表からのサンプル7のSEM写真である。サンプル7は、以下
の特性を有していた:
マスキング溶液:水中の15%のPVP、0%のグリセロール;
シリコーン分散剤:ヘプタン中の15%のシリコーン;
シリコーン被覆:40mg/cm
シリコーン浸透性等級付け:2(シリコーンは、内面に浸透しているのが視認可能である
);
シリコーン付着性等級付け:0(シリコーンは、グラフトに十分に付着され、破損の兆候
を示さない);
120mmHgで測定される漏出:4ml/分;
600mmHgで測定される漏出:14ml/分;
取り扱い評価:2(グラフトは、参照サンプル64Bと同等であると判断された);及び
20%だけグラフトを伸長させる引張り力:0.541N。
【0534】
図16は、サンプル7の織物50の断面のSEM写真を示す。図16に示されるように
、外側織物表面52における織物繊維束58は、シリコーンシーラント56に浸透され、
封入された。内側織物表面54における織物繊維束58は、シリコーンシーラント60浸
透を含まなかった。図17及び18に示されるように、シリコーンシーラント56は、外
側織物表面において織物繊維束58に浸透し、それを封入した。内側織物表面54におけ
る繊維束58は、シリコーンシーラント56を含まなかった。
【0535】
図19は、上記の表からのサンプル15のSEM写真である。サンプル15は、以下の
特性を有していた:
マスキング溶液:水中の15%のPVP、5%のグリセロール;
シリコーン分散剤:ヘプタン中の15%のシリコーン;
シリコーン被覆:40mg/cm
シリコーン浸透性等級付け:2(シリコーンは、内面に浸透しているのが視認可能である
);
シリコーン付着性等級付け:1(グラフトは、最大圧力に達したが、漏出速度は、明らか
に増加した);
120mmHgで測定される漏出:3ml/分;
600mmHgで測定される漏出:22ml/分;
取り扱い評価:2(グラフトは、参照サンプル64Bと同等であると判断された);及び
20%だけグラフトを伸長させる引張り力:0.719N。
【0536】
図19は、サンプル15の織物50の断面のSEM写真である。シリコーンシーラント
56は、外側織物表面2において繊維束58の外側繊維を封入した。内側織物54におけ
る繊維束58は、シリコーンシーラント56の浸透を含まなかった。染色されたシリコー
ンシーラント(図示せず)は、内面54で視認可能であった。
【0537】
マスキング剤のグリセロール水和
異なるマスキング剤配合物内のグリセロールの使用は、(PVP)マスキング剤を水和
又は可塑化し、糸構造を被覆及び充填し、シーラント分散体が内面に侵入するのを防ぐそ
の能力を向上させる目的で、複数の配合物において実証された。
【0538】
マスキング剤サンプルの調製
マスキング剤を、以下の方法を用いて調製した:
目標重量のPVP(分子量10,000)を、天秤ばかり上のプラスチックビーカーに導
入した。100mlのマスキング剤溶液を、10gのPVPの目標質量(10%の濃度)
で調製した。目標体積の脱イオン水を、100mlのプラスチック製の測定シリンダに導
入した。90mlの目標体積が必要とされた。脱イオン水を、プラスチックビーカー中で
PVPに加えた。マグネチックスターラーロッドを、水に入れ、ビーカーを、マグネチッ
クスターラー上に置いた。マグネチックスターラーを、350~450RPMの速度で回
転させ、スターラーをビーカーの中心に置いた。撹拌を室温で行った。PVP溶質が視認
できなくなるまで、少なくとも2分間にわたって、撹拌を続けた。マスキング剤溶液を撹
拌した後、それをスターラーから取り外し、対照サンプル調製に使用した。
【0539】
さらなる工程を、グリセロールを加えた後続のサンプルのために使用した。プラスチッ
クビーカーを、天秤ばかりに戻し、風袋の重量を量り、必要な量のグリセロールを、マス
キング剤溶液に加えた。目標グリセロール含量を、PVPにおける質量によるパーセンテ
ージとして計算した。各段階で加えられるグリセロールの目標重量は、1gであり、これ
は、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10gの累積重量に相当する。グリセロー
ルの量をそれぞれ加えた後に、各ビーカーを、少なくとも2分間撹拌した。
【0540】
調製されるサンプルの概要が、以下に示される。
【0541】
【表15】
【0542】
分散体滴下鋳造
各マスキング剤配合物の個々の3滴を、暗色のシート上に鋳造して、乾燥プロセス中の
目視観察を可能にした。室温で卓上ファンを用いることによって、乾燥を加速させた。
【0543】
乾燥後のマスキング剤の評価は、以下のとおりであった。
【0544】
【表16】
【0545】
結論
対照マスキング剤配合物(例えば、PVPのみ)は、数時間以内に完全に乾燥し、脆性
になった。このPVPのみのマスキング剤の使用は、マスクを適用し、乾燥させた後、剛
性のグラフト構造をもたらし得る。10%のグリセロールの使用は、PVPマスキング剤
溶液を水和するのに役立ち、12時間後に乾燥したようであった。20%のグリセロール
からなるマスキング剤溶液は、12時間の時点でいくらかの水和を保ち、軟質で/触れる
と変形可能である。重量基準でPVPに対する約1%~約30%の範囲のグリセロールが
、本発明に使用するのに適切な範囲を提供する。
【0546】
さらに、本発明は、導管型形状の人工血管に限定されない。本発明の方法、コーティン
グ、及びマスキング剤は、医療用及び非医療用(例えば、移植不可能な)繊維製品を含む
他の繊維製品に好適に使用され得る。他の医療用製品としては、補助人工心臓、人工心臓
導管、医療用シート、パッチ、メッシュなどが挙げられる。非医療用織物としては、限定
はされないが、衣類、ジオテキスタイル、交通輸送機関用テキスタイル、軍事用及び/又
は防護用テキスタイル、安全及び/又は保護用テキスタイル、スポーツ及び/又は娯楽用
テキスタイルなどが挙げられる。さらに、繊維製品は、管状導管に限定されず、例えば、
シート及び/又はテープ(例えば、2次元製品)、或いは導管形状製品以外の3次元形状
製品を含むがこれらに限定されない任意の形状のものであり得る。
【0547】
非医療用又は移植不可能な織物に有用なポリマー材料及び/又は繊維としては、限定は
されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(P
TFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePFTE)、ポリオレフィン、ポリエス
テル、ポリ(エーテルアミド)、ポリ(エーテルエステル)、ポリ(エーテルウレタン)
、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エチレン-スチレン/ブチレン-スチレン)、及び
他のブロックコポリマーが挙げられる。本発明の非医療用又は移植不可能な織物に有用な
動物繊維としては、限定はされないが、ウール、アルパカ、アンゴラ、モヘア、ラマ、カ
シミア、及び絹が挙げられる。有用な天然繊維としては、限定はされないが、リネン、コ
ットンバンブー、麻、トウモロコシ、イラクサ、ダイズ繊維などが挙げられる。
【0548】
マスキング剤及び/又はシーラントは、ブラシ塗布、スプレーコーティング、ディップ
又は浸漬などによって適用され得る。しかしながら、本発明は、このような技術に限定さ
れず、化学析出、蒸着、化学蒸着、物理蒸着、印刷などの他の技術が、好適に使用され得
る。これらの技術は、一般に、医療用織物に好適である。しかしながら、非医療用織物を
含む大規模な商業規模の繊維生産のために、他の技術も使用され得る。例えば、織物シー
ト又は基材のためのコーティング及び/又はマスキング材料は、スキージータイプコーテ
ィング、ローラーコーティング、ナイフコーティング、ニップコーティング、ディップコ
ーティング、キャストコーティング、化学蒸着、蒸着などによって適用され得る。さらに
、ローラー印刷、型紙印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、リソグラフ印刷、3
D印刷などの印刷技術が、マスキング剤及び/又はシール剤を適用するために、本発明に
使用され得る。さらに、機械的デバイスが、グラフトの織物基材の壁へのマスキング剤及
び/又はシール剤の浸透深さを制御するのに用いられ得る。例えば、管状グラフトでは、
膨張性バルーンが、グラフト壁へのマスキング剤の浸透深さを制御するためのものであり
得る。
【0549】
変更が、本発明の範囲内で上記の実施形態に対して行われ得る。
【0550】
本発明の以下の実施形態又は態様は、任意の方式及び組合せで組み合わされてもよく、
以下のように、本発明の範囲内に含まれる。
【0551】
実施形態1.管状グラフトを製造する方法であって、
第1の開口端と反対側の第2の開口端との間に配置され、内面及び反対側の外面が、そ
の間の内壁部分を画定する管状壁を含む織物を提供する工程であって、管状壁が、1つ以
上のフィラメント若しくは糸の織物構造を含み、織物構造自体が、液体に対して透過性で
ある、工程と;
実質的に水溶性の材料を、管状壁の少なくとも一部に適用する工程と;
実質的に水不溶性のシーラントを、管状壁の外面の少なくとも一部に適用する工程であ
って、実質的に水不溶性のシーラントが、導管の壁を通る流体の移動を軽減するように構
成される、工程とを含み;
ここで、水溶性材料が、導管の内面へのシーラントの浸透を軽減するように構成される
、方法。
【0552】
実施形態2.水溶性材料を、管状壁の少なくとも一部に適用する工程が、水溶性材料を
、管状壁の内面の少なくとも一部及び内部の一部に適用することを含む、実施形態1に記
載の方法。
【0553】
実施形態3.水溶性材料を、管状壁の少なくとも一部に適用する工程が、水溶性材料を
、管状壁の外面の少なくとも一部に適用することを含む、実施形態1又は2に記載の方法
【0554】
実施形態4.水溶性材料が、水溶性材料及び溶媒の溶液である、いずれかの先行する実
施形態に記載の方法。
【0555】
実施形態5.溶媒が、水、低級アルコール、及びそれらの組合せからなる群から選択さ
れる、いずれかの先行する実施形態に記載の方法。
【0556】
実施形態6.溶媒が、実質的に水不溶性のシーラントを適用する前に少なくとも部分的
に除去される、いずれかの先行する実施形態に記載の方法。
【0557】
実施形態7.溶解、研磨、剥離、分解、及びそれらの組合せによる、水溶性材料の少な
くとも一部の除去をさらに含む、いずれかの先行する実施形態に記載の方法。
【0558】
実施形態8.水溶性材料が、ポリビニルピロリドン、グリセロール、メチルセルロース
、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)ヒドロゲル、ポリエチレン
オキシド、及びそれらの組合せからなる群から選択される、いずれかの先行する実施形態
に記載の方法。
【0559】
実施形態9.実質的に水不溶性のシーラントが、水分硬化性、光硬化性、熱硬化性、白
金触媒、嫌気性硬化性材料又はこれらの硬化機構の組合せからなる群から選択されるエラ
ストマー材料である、いずれかの先行する実施形態に記載の方法。
【0560】
実施形態10.エラストマー材料が、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネート、
熱可塑性エラストマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される、実施形態9に記
載の方法。
【0561】
実施形態11.実質的に水溶性のコーティング又は実質的に水不溶性のコーティングの
うちの1つ以上が、着色剤、治療剤、染料、及び蛍光指示薬からなる群から選択される成
分をさらに含む、いずれかの先行する実施形態に記載の方法。
【0562】
実施形態12.水溶性材料が、約6,000g/mol~約15,000g/molの
分子量を有するポリビニルピロリドンを含む、いずれかの先行する実施形態に記載の方法
【0563】
実施形態13.水溶性材料を適用することにより、管状壁の内面の実質的に全てに層が
形成される、いずれかの先行する実施形態に記載の方法。
【0564】
実施形態14.実質的に水不溶性のシーラントを硬化することをさらに含む、いずれか
の先行する実施形態に記載の方法。
【0565】
実施形態15.実質的に水不溶性のシーラントを硬化すること;及びその後、水溶性材
料の少なくとも一部を除去することをさらに含む、いずれかの先行する実施形態に記載の
方法。
【0566】
実施形態16.管状壁の内面から水溶性材料の実質的に全てを除去することをさらに含
む、実施形態14に記載の方法。
【0567】
実施形態17.実質的に水不溶性のシーラントを適用する前に、管状壁の外面の少なく
とも一部から水溶性材料の少なくとも一部を除去することをさらに含む、いずれかの先行
する実施形態に記載の方法。
【0568】
実施形態18.水溶性材料の少なくとも一部を除去することが、約15℃~約140℃
の温度で行われる、実施形態15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0569】
実施形態19.水溶性材料の少なくとも一部を除去することが、それに溶媒を適用する
工程をさらに含む、実施形態15~18のいずれか1つに記載の方法。
【0570】
実施形態20.溶媒が、水、低級アルコール、及びそれらの組合せを含む、実施形態1
9に記載の方法。
【0571】
実施形態21.管状織物が、水溶性材料の除去の間、撹拌、回転、紡糸、及び振とうな
どを行われる、実施形態15~20のいずれか1つに記載の方法。
【0572】
実施形態22.水溶性材料の除去が、水溶性材料の溶解、エッチング、プラズマエッチ
ング、アブレーション、研磨及びそれらの組合せを含む、実施形態15~21のいずれか
1つに記載の方法。
【0573】
実施形態23.水溶性材料を適用する工程が、水溶性材料を噴霧すること、水溶性材料
をブラシ塗布すること、管状壁の少なくとも一部を、水溶性材料の溶液に浸漬すること、
及びそれらの組合せをさらに含む、いずれかの先行する実施形態に記載の方法。
【0574】
実施形態24.実質的に水不溶性のシーラントが、ポリマー溶液である、いずれかの先
行する実施形態に記載の方法。
【0575】
実施形態25.ポリマー溶液が、有機溶媒を含む、実施形態24に記載の方法。
【0576】
実施形態26.有機溶媒が、ヘプタン及びキシレンのうちの少なくとも1つを含む、実
施形態25に記載の方法。
【0577】
実施形態27.実質的に水不溶性のシーラントが、実質的に水不溶性のシーラントを上
にブラシ塗布、噴霧、ローラーコーティングすることによって適用される、いずれかの先
行する実施形態に記載の方法。
【0578】
実施形態28.管状壁が、実質的に異なる量の実質的に水不溶性のシーラントを上に有
する少なくとも2つの部分を含むように、実質的に水不溶性のシーラントを、管状壁の1
つ以上の部分に選択的に適用する1つ以上の工程を含む、いずれかの先行する実施形態に
記載の方法。
【0579】
実施形態29.実質的に水不溶性のシーラントのコーティングを有する管状壁が、その
硬化後に、液体に対して実質的に不透過性である、実施形態14~28のいずれか1つに
記載の方法。
【0580】
実施形態30.実質的に水不溶性のシーラントの硬化の後、管状壁が、120mmのH
g圧力で約0.16ml/分/cm又は120mmのHg圧力で0.16ml/分/c
未満の透水性を有する、いずれかの先行する実施形態に記載の方法。
【0581】
実施形態31.織物であって、
第1の開口端と反対側の第2の開口端との間に配置され、且つ内面及び反対側の外面を
有する管状壁を含み、管状壁が、1つ以上のフィラメント若しくは糸の織物構造を含み、
織物構造自体が、液体に対して透過性であり;
内面の一部が、その上に実質的に水溶性の材料のコーティングを含み;
外面が、上に配置された実質的に水不溶性のシーラントのコーティングをさらに含み;
実質的に水不溶性のシーラントのコーティングを有する管状壁が、その硬化後に、液体
に対して実質的に不透過性である、織物。
【0582】
実施形態32.水溶性材料が、ポリビニルピロリドン、グリセロール、メチルセルロー
ス、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)ヒドロゲル、ポリエチレ
ンオキシド、及びそれらの組合せからなる群から選択される、実施形態31に記載の織物
【0583】
実施形態33.水溶性材料のコーティングが、疎油性層を含む、実施形態31又は32
に記載の織物。
【0584】
実施形態34.水溶性材料が、約6,000g/mol~約15,000g/molの
分子量を有するポリビニルピロリドンを含む、実施形態31~33のいずれか1つに記載
の織物。
【0585】
実施形態35.水溶性材料が、ポリビニルピロリドン及びグリセロールを含む、実施形
態31~34のいずれか1つに記載の織物。
【0586】
実施形態36.実質的に水不溶性のシーラントが、水分硬化性、光硬化性、熱硬化性、
白金触媒、嫌気性硬化性材料又はこれらの硬化機構の組合せからなる群から選択されるエ
ラストマー材料である、実施形態31~35のいずれか1つに記載の織物。
【0587】
実施形態37.エラストマー材料が、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネート、
熱可塑性エラストマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される、実施形態36に
記載の織物。
【0588】
実施形態38.実質的に水溶性のコーティング又は実質的に水不溶性のコーティングの
うちの1つ以上が、着色剤、治療剤、染料、及び蛍光指示薬からなる群から選択される成
分を含む、実施形態31~37のいずれか1つに記載の織物。
【0589】
実施形態39.実質的に水不溶性のシーラントの硬化の後、管状壁が、120mmのH
g圧力で約0.16ml/分/cm又は120mmのHg圧力で0.16ml/分/c
未満の透水性を有する、実施形態31~38のいずれか1つに記載の織物。
【0590】
実施形態40.織物構造が、1つ以上のフィラメント若しくは糸の織り、1つ以上のフ
ィラメント若しくは糸の編み、1つ以上のフィラメント若しくは糸の編組、及び1つ以上
のフィラメント若しくは糸のウェブからなる群から選択される、実施形態31~39のい
ずれか1つに記載の織物。
【0591】
実施形態41.管状壁が、一連の頂部及び谷部を有する捲縮壁である、実施形態31~
40のいずれか1つに記載の織物。
【0592】
実施形態42.実質的に水不溶性のシーラントが、管状壁の面積のcm当たり約8m
g又は管状壁の面積のcm当たり8mg超で配置される、実施形態41に記載の織物。
【0593】
実施形態43.管状壁が、頂部及び谷部を実質的に含まない非捲縮壁である、実施形態
31~40のいずれか1つに記載の織物。
【0594】
実施形態44.実質的に水不溶性のシーラントが、管状壁の面積のcm当たり約4m
g又は管状壁の面積のcm当たり4mg超で配置される、実施形態43に記載の織物。
【0595】
実施形態45.実質的に水不溶性のシーラントが、管状壁の面積のcm当たり約14
mg又は管状壁の面積のcm当たり14mg未満で配置される、実施形態31~44の
いずれか1つに記載の織物。
【0596】
実施形態46.管状壁の一部が、第1の軟質で可撓性の領域を提供するように、第1の
レベルの実質的に水不溶性のシーラントを有し;
管状壁の別の部分が、第1の領域より高い剛性を有する第2の領域を提供するように、
第2のレベルの実質的に水不溶性のシーラントを有し;
実質的に水不溶性のシーラントの第2のレベルが、実質的に水不溶性のシーラントの第
1のレベルより多い、実施形態31~45のいずれか1つに記載の織物。
【0597】
実施形態47.実質的に水不溶性のシーラントのコーティングの少なくとも一部が、1
つ以上のフィラメント若しくは糸の少なくとも一部に関与する、実施形態31~46のい
ずれか1つに記載の織物。
【0598】
実施形態48.織物が、移植可能な医療機器である、実施形態31~47のいずれか1
つに記載の織物。
【0599】
実施形態49.移植可能な医療機器が、外科用血管グラフト、及び血管内グラフト、メ
ッシュ、パッチ、ヘルニアプラグ、血管ラップ、心臓弁、フィルタなどからなる群から選
択される、実施形態48に記載の織物。
【0600】
実施形態50.織物が、送達用医療機器である、実施形態31~49のいずれか1つに
記載の織物。
【0601】
実施形態51.送達用医療機器が、カテーテルである、実施形態50に記載の織物。
【0602】
実施形態52.織物構造であって、
反対側の第1及び第2の表面及び長さを有する流体透過性ポリマー織物層と;
硬化されるときに、液体透過性ポリマー織物層を、流体に対して実質的に不透過性にす
るように構成された第1の織物表面上の架橋性水不溶性エラストマー層と;
第2の織物表面上の実質的に乾燥された水溶性ポリマー層とを含み;
水溶性ポリマー層が、第2の表面上への水不溶性エラストマー層の移動を実質的に阻害
し;
水溶性ポリマー層が、水への曝露によって実質的に除去可能である、織物構造。
【0603】
実施形態53.架橋性水不溶性エラストマーポリマー対水溶性ポリマーの重量比が、約
0.1:1~約100:1である、実施形態52に記載の織物構造。
【0604】
実施形態54.架橋性水不溶性エラストマーポリマー対水溶性ポリマーの重量比が、約
1:1~約20:1である、実施形態53に記載の織物構造。
【0605】
実施形態55.織物構造であって、
反対側の第1及び第2の表面及び長さを有する流体透過性ポリマー織物層と;
実質的に流体不透過性のバリアを形成する第1の織物表面上の架橋水不溶性エラストマ
ーポリマー層であって、弾性収縮によって第1の織物表面に付着される架橋水不溶性エラ
ストマー層と;
第2の織物表面上で乾燥される水溶性ポリマー層とを含み;
架橋水不溶性エラストマーポリマー対水溶性ポリマーの重量比が、約0.1:1~約1
00:1である、織物構造。
【0606】
実施形態56.架橋水不溶性エラストマーポリマー対水溶性ポリマーの重量比が、約1
:1~約20:1である、実施形態55に記載の織物構造。
【0607】
実施形態57.グラフトであって、
第1の開口端と反対側の第2の開口端との間に配置され、且つ内面及び反対側の外面を
有する管状壁を含み、管状壁が、1つ以上のフィラメント若しくは糸の織物構造を含み;
外面が、その上に配置された実質的に水不溶性のシーラントのコーティングを含み;
内面が、実質的に水不溶性のシーラントを実質的に含まず;
管状壁が、120mmのHg圧力で約0.16ml/分/cm又は120mmのHg
圧力で0.16ml/分/cm未満の透水性を有する、グラフト。
【0608】
実施形態58.織物構造が、1つ以上のフィラメント若しくは糸の織り、1つ以上のフ
ィラメント若しくは糸の編み、1つ以上のフィラメント若しくは糸の編組、及び1つ以上
のフィラメント若しくは糸のウェブからなる群から選択される、実施形態57に記載のグ
ラフト。
【0609】
実施形態59.コーティングが、内面と反対側の外面との間の管状壁の中間部分内に配
置される、実施形態57又は58に記載のグラフト。
【0610】
実施形態60.管状壁が、一連の頂部及び谷部を有する捲縮壁である、実施形態57~
59のいずれか1つに記載のグラフト。
【0611】
実施形態61.実質的に水不溶性のシーラントが、管状壁の面積のcm当たり約8m
g又は管状壁の面積のcm当たり8mg超で配置される、実施形態57~60のいずれ
か1つに記載のグラフト。
【0612】
実施形態62.管状壁が、頂部及び谷部を実質的に含まない非捲縮壁である、実施形態
57~59のいずれか1つに記載のグラフト。
【0613】
実施形態63.実質的に水不溶性のシーラントが、管状壁の面積のcm当たり約4m
g又は管状壁の面積のcm当たり4mg超で配置される、実施形態57~62のいずれ
か1つに記載のグラフト。
【0614】
実施形態64.実質的に水不溶性のシーラントが、管状壁の面積のcm当たり約14
mg又は管状壁の面積のcm当たり14mg未満で配置される、実施形態57~63の
いずれか1つに記載のグラフト。
【0615】
実施形態65.実質的に水不溶性のシーラントが、水分硬化性、光硬化性、熱硬化性、
白金触媒、嫌気性硬化性材料又はこれらの硬化機構の組合せからなる群から選択されるエ
ラストマー材料である、実施形態57~64のいずれか1つに記載のグラフト。
【0616】
実施形態66.エラストマー材料が、シリコーン、ポリウレタン、ポリカーボネート、
熱可塑性エラストマー、及びそれらの組合せからなる群から選択される、実施形態65に
記載のグラフト。
【0617】
実施形態67.実質的に水溶性のコーティング又は実質的に水不溶性のコーティングの
うちの1つ以上が、着色剤、治療剤、染料、及び蛍光指示薬からなる群から選択される成
分を含む、実施形態57~66のいずれか1つに記載のグラフト。
【0618】
実施形態68.実質的に水不溶性のシーラントが、シリコーン、室温硬化型シリコーン
、熱可塑性ポリウレタン、脂肪族ポリカーボネート、1つ以上の熱可塑性エラストマー、
ポリカーボネート、及びそれらの組合せからなる群から選択される、実施形態57~67
のいずれか1つに記載のグラフト。
【0619】
実施形態69.管状壁の一部が、第1の軟質で可撓性の領域を提供するように、第1の
レベルの実質的に水不溶性のシーラントを有し;
管状壁の別の部分が、第1の領域より高い剛性を有する第2の領域を提供するように、
第2のレベルの実質的に水不溶性のシーラントを有し;
実質的に水不溶性のシーラントの第2のレベルが、実質的に水不溶性のシーラントの第
1のレベルより多い、実施形態57~69のいずれか1つに記載のグラフト。
【0620】
実施形態70.移植可能又は送達可能な医療用織物であって、
織物構造を有し、且つ第1の表面及び反対側の第2の表面を有する壁を含み;
第2の表面が、その上に配置された実質的に水不溶性のシーラントのコーティングを含
み;
第1の表面が、実質的に水不溶性のシーラントを実質的に含まず;
壁が、120mmのHg圧力で約0.16ml/分/cm又は120mmのHg圧力
で0.16ml/分/cm未満の透水性を有する、移植可能又は送達可能な医療用織物
【0621】
実施形態71.選択的に適用された水不溶性シーラント層を有する移植可能又は送達可
能な医療用織物を製造するためのアセンブリであって、
ある長さ、この長さの一部内に配置された中空管腔、少なくとも1つの開口端、及び壁
を通る複数の穿孔を有するマンドレルと;
マンドレルの開放管腔と流体連通するリザーバと;
リザーバ内に配置された水溶性ポリマーとを含む、アセンブリ。
【0622】
実施形態72.複数の穿孔を有するマンドレルの一部にわたって固定して配置された管
状グラフトをさらに含む、実施形態71に記載のアセンブリ。
【0623】
実施形態73.マンドレルの中空管腔と流体連通する真空源をさらに含む、実施形態7
1又は72に記載のアセンブリ。
【0624】
実施形態74.マンドレルの中空管腔及びリザーバ及び/又は真空源の間で選択的な流
体連通を提供するように構成されるマニホールドをさらに含む、実施形態73に記載のア
センブリ。
【0625】
実施形態75.加圧された及び/又は吹き込まれた空気の供給源をさらに含む、実施形
態71~74のいずれか1つに記載のアセンブリ。
【0626】
実施形態76.加圧された及び/又は吹き込まれた空気が、マンドレルの中空管腔と流
体連通している、実施形態75に記載のアセンブリ。
【0627】
実施形態77.支持部材をさらに含む、いずれかの先行する実施形態に記載の方法、織
物、グラフト、デバイス又はアセンブリ。
【0628】
実施形態78.支持部材が、導管の壁の外面に加えられる、実施形態1~30のいずれ
か1つに記載の方法。
【0629】
実施形態79.支持部材が、導管の壁の外面に巻き付けられる、実施形態78に記載の
方法。
【0630】
実施形態80.導管が、複数のクリンプを含み、支持部材が、複数のクリンプの間に入
れ子になるように配置される、実施形態79に記載の方法。
【0631】
実施形態81.導管に支持部材を加える工程が、導管にシーラントを加える工程の前に
行われる、実施形態78~80のいずれか1つに記載の方法。
【0632】
実施形態82.導管にシーラントを加える工程が、少なくとも部分的に、導管に支持部
材を取り付けるために使用される、実施形態78~81のいずれか1つに記載の方法。
【0633】
実施形態83.支持部材が、可撓性のポリマー部材である、実施形態78~82のいず
れか1つに記載の方法。
【0634】
実施形態84.可撓性支持部材が、グラフトの長さの一部に存在する、実施形態78~
83のいずれか1つに記載の方法。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2023-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工血管を製造する方法であって、
(i)壁を含む導管を提供する工程であって、前記導管の壁が、内面及び外面を含み、
前記導管の少なくとも一部が多孔性である、工程と;
(ii)マスキング剤を、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程と;
(iii)シーラントを、前記導管の多孔性部分の少なくとも一部に加える工程であっ
て、前記シーラントが、前記導管の壁を通る流体の移動を軽減するように構成される、工
程とを含み;
前記マスキング剤が、前記導管の内面における前記シーラントの存在を軽減するように
構成される、方法。