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特開2023-145680医薬化合物、その塩、その製剤、ならびにそれらの作製および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145680
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】医薬化合物、その塩、その製剤、ならびにそれらの作製および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20231003BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231003BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20231003BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20231003BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20231003BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20231003BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
C07D471/04 107E
C07D471/04 CSP
A61K31/437
A61K47/36
A61K9/14
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/44
A61K47/42
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/20
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/107
A61P11/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023126415
(22)【出願日】2023-08-02
(62)【分割の表示】P 2020541912の分割
【原出願日】2019-02-01
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/075023
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】カーティック ナガプディ
(72)【発明者】
【氏名】ユアン リウ
(72)【発明者】
【氏名】シュアイ ワン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ジャン
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ ブラッター
(72)【発明者】
【氏名】スリコンダ サストリー
(72)【発明者】
【氏名】マンシウ レオン
(72)【発明者】
【氏名】ラマチャンドラン ラダクリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ラジェンドラ エス. タンダル
(72)【発明者】
【氏名】ルドウィグ ピルスル
(72)【発明者】
【氏名】ローランド ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】マーカス フリーザー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン ツァウデルナ
(72)【発明者】
【氏名】ローレンス エマーソン フィッシャー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】疾患を処置する方法を提供すること。
【解決手段】下記化合物の塩、水和物および溶媒和物、ならびにそれらおよびそれらの関連する剤形を作製および使用する方法が開示される。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2018年2月2日に出願されたPCT/CN2018/075023について優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、本明細書に記載される化合物I、その新規の塩、水和物、および溶媒和物、ならびにそれらを作製および使用する方法に関する。より具体的には、本開示は、化合物Iのトシル酸塩を含む様々な塩、それらを含有する医薬組成物および診断組成物、ならびに特に疾患の治療および/または予防における薬物としてのそれらの医薬用途に関する。
【0003】
関連技術の簡単な説明
化合物Iは、以下の構造を有する経口利用可能な低分子である。
【化1】
【0004】
化合物Iは、特発性肺線維症(IPF)を含む、線維性病態生理を示すいくつかの異なる適応症において治療的価値を有する。
【0005】
特発性肺線維症は、主に中年および高齢の患者に発生する病因不明の疾患であり、これは肺の進行性線維症を特徴とし、肺機能不全および死をもたらす。線維症は、臨床的に不可逆的な過程であると長い間考えられてきたので、治療は伝統的に症状および合併症を管理することに集中しており、その病態の進行を著しく遅らせる見込みはほとんどない。長年にわたり、主力の治療法は、典型的には、抗炎症剤、免疫抑制剤、および抗酸化剤であった。IPFおよび他の線維性病態の治療におけるこれらの治療法の有効性は、最小限かつ変動しやすいようであり、これらの副作用は、多くの場合、患者によってほとんど許容されない。
【0006】
新規の治療法の選択肢は、ごく最近利用可能になった。ピルフェニドンおよびニネタニブは、両方ともIPFの治療に使用することが承認されている。新規の抗線維化薬を開発するための現在の研究努力は、根底にある分子病原性プロセスに関連すると提唱されている複数のメカニズムを標的としている。この状況の変化により、新規の単一薬物または追加の経路を標的とする併用療法で達成可能であり得るものに対する希望および期待が高まっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、化合物Iの塩、水和物、および溶媒和物に関する。一態様では、本発明は、
化合物Iのトシル酸塩に関する。任意選択的に、塩は、化合物Iの塩酸塩ではない。別の態様では、本発明は、化合物Iまたはその塩、水和物、もしくは溶媒和物および薬学的に許容される賦形剤または担体を含む医薬組成物に関する。本開示の別の態様は、化合物Iおよびその塩、水和物、または溶媒和物を含む医薬組成物を経口剤形に製剤化する方法を提供する。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態は、線維性疾患、炎症性疾患、または自己免疫疾患に罹患している患者を治療するために化合物Iまたはその塩、水和物、または溶媒和物を投与する方法であって、治療有効量の化合物Iまたはその塩、水和物、または溶媒和物を投与することを含む、方法に関する。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態は、線維性疾患、炎症性疾患、または自己免疫疾患に罹患している対象を治療するために化合物Iまたはその塩、水和物、または溶媒和物を投与する方法であって、治療有効量の化合物Iまたはその塩、水和物、または溶媒和物を投与することを含み、化合物Iのバイオアベイラビリティが、ナノ懸濁液として投与された同量の化合物Iのバイオアベイラビリティと比較して等しいまたは増加する、方法に関する。
【0010】
本開示の別の態様は、化合物Iおよびその塩、水和物、および溶媒和物を合成するための方法を提供する。本開示の別の態様は、メタノールを含まない方法における化合物Iを合成するための方法を提供する。本開示のさらに別の態様は、メタノールを含まない方法で化合物Iのトシル酸塩を合成するための方法を提供する。
【0011】
本開示のいくつかのさらなる実施形態は、医薬組成物、添付文書、および容器を含むキットであって、医薬組成物が治療有効量の化合物Iを含む、キットに関する。
【0012】
本明細書に記載の方法またはキットのいずれかの実施形態では、1日当たりの化合物Iの有効量は、遊離塩基基準で、1日当たり約1mg~約5000mg、1日当たり約5mg~約2500mg、または1日当たり約10mg~約2000mgである。いくつかのさらなる実施形態では、投与される化合物Iの量は、遊離塩基基準で、1日当たり約25mg~約1600mgである。いくつかのさらなる実施形態では、投与される化合物Iの量は、遊離塩基基準で、1日当たり、約25mg、約75mg、約200mg、約275mg、約400mg、約550mg、約575mg、約800mg、約1150mg、もしくは約1600mg、または上記値のいずれか2つで定義される範囲内である。
【0013】
本明細書に記載の方法のいずれかの実施形態では、治療される対象は、本明細書に記載の疾患または病態、例えば線維性疾患、特に特発性肺線維症(IPF)に罹患している。
【0014】
本明細書に記載の組成物および方法について、任意選択の特色は、構成成分、その組成範囲、代替物、条件、およびステップを含むがこれらに限定されず、本明細書で提供される様々な態様、実施形態、および実施例から選択されることが考慮される。
【0015】
さらなる態様および利点は、図面と併せて以下の詳細な説明を検討することにより、当業者には明らかになるであろう。本明細書に開示される方法は、種々の形態の実施形態の影響を受けるが、以下の説明は、本開示が例示であるという理解の下に特定の実施形態を含むものであり、本発明が本明細書に記載される特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。
本発明の理解をさらに促進するために、15個の図面が、本明細書に添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】化合物I、フォームA(遊離塩基)のXRPDトレースを示す。
図2】化合物IのHCl塩のXRPDトレースを示す:アモルファス一HCl塩(下のトレース)、結晶性二HCl塩(中央のトレース)、および結晶性一HCl塩(上のトレース)。
図3】化合物IのHBr塩のXRPDトレースを示す:アモルファス一HBr塩(下のトレース)、結晶性一HBr塩(中央のトレース)、および結晶性二HBr塩(上のトレース)。
図4】化合物Iの硫酸塩のXRPDトレースを示す。
図5】化合物Iのアモルファス硝酸塩(下のトレース)と結晶性硝酸塩(上のトレース)のXRPDトレースを示す。
図6】化合物1のベシル酸塩のXRPDトレースを示す。
図7】化合物1のヘミエジシル酸塩のXRPDトレースを示す。
図8】化合物Iの一トシル酸塩のXRPDトレースを示す。
図9】化合物Iの遊離塩基のXRPDトレース(下のトレース)と化合物Iの二トシル酸塩(中と上のトレース)を示す。
図10】化合物Iの遊離塩基のXRPDトレース(下のトレース)と化合物Iのヘミナパジシル酸塩(中と上のトレース)を示す。
図11】化合物Iのリン酸塩タイプAと化合物Iの遊離塩基タイプA(下のトレース)および化合物Iの遊離塩基タイプA(上のトレース)の混合物のXRPDトレースを示す。
図12】化合物Iのメシル酸塩(タイプA、下部トレース)および化合物Iの遊離塩基(タイプA、上部トレース)のXRPDトレースを示す。
図13】遊離塩基、ジェットミル処理された遊離塩基、アモルファス遊離塩基、または一トシル酸塩のナノ懸濁液を含む4つの製剤での雄ビーグ犬への化合物Iの単回200mg錠剤経口投薬後の化合物Iの平均血漿濃度を示す。
図14】ナノ懸濁液製剤または一トシル酸塩としての雄ビーグル犬への化合物Iの単回200mg錠剤経口投与後の化合物Iの平均血漿濃度を示す。
図15】一または二トシル酸塩としての雄ビーグル犬への化合物Iの単回200mg錠剤経口投与後の化合物Iの平均血漿濃度を示す。
図16】化合物Iの一トシル酸塩が溶解した後の化合物Iの過飽和の維持におけるHPMCの効果を示す。
図17】6時間にわたる逆溶媒の添加により生成された化合物Iの一トシル酸塩の粒子サイズ分布を示す。
図18】2時間にわたる逆溶媒の添加により生成された化合物Iの一トシル酸塩の粒度分布を示す。
図19】化合物Iの一トシル酸塩のTGAとDSC曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、下記の付随する説明に記載されている。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料をここで説明する。本発明の他の特徴、目的および利点は、説明から明らかになるであろう。説明において、文脈が明らかにそうでないと指示しない限り、単数形は複数形も含む。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本説明が優先する。本明細書で言及するすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。化合物および方法は、別に記載しない限り、1つ以上の追加の任意選択の要素、特徴、および以下にさらに記載される(図面に示されるものを含む)ステップのいずれかの組み合わせを含む、実施形態を含むことが考慮される。
【0018】
人体で実施される方法の特許取得を禁止する管轄区域では、ヒト対象に組成物を「投与
する」という意味は、ヒト対象が任意の技法(例えば、経口、吸入、局所適用、注射、挿入など)によって自己投与する規制物質を処方することに制限されるものとする。特許可能な主題を定義する法律または規則と一致する最も広範の合理的な解釈が意図される。人体で実施される方法の特許取得を禁止しない管轄区域では、組成物の「投与」には、人体で実施される方法のみならず、前述の行動も含まれる。
【0019】
本明細書で使用される場合、重量%という用語は、総重量に基づく重量パーセントを指す。
【0020】
本明細書で使用されている節の見出しは、組織化目的だけのためであり、記載されている主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0021】
以下に示す構造を有する化合物Iの塩(式C1814、質量389.3g/モル)を以下に提供する。
【化2】
【0022】
塩は、化合物Iのベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、半エジシル酸塩、半ナパジシル酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、サッカリン酸塩、硫酸塩、L-酒石酸塩、およびトシル酸塩からなる群から選択できる。任意選択的に、塩は、化合物Iのベシル酸塩、ヘミエジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、およびトシル酸塩から選択することができる。例えば、塩は、トシル酸塩、例えば一トシル酸塩または二トシル酸塩でよい。考えられる一種の実施形態では、塩は化合物Iの一トシル酸塩である。考えられる別の種類の実施形態では、塩は化合物Iの二塩酸塩である。
【0023】
1つのクラスの実施形態では、化合物Iの二塩酸塩はアモルファスである。別のクラスの実施形態では、化合物Iの二塩酸塩は結晶性である。別のクラスの実施形態では、化合物Iのアモルファス塩および結晶性二塩酸塩の混合物を含む組成物がある。
【0024】
化合物Iの塩は、図1図12のいずれか1つに記載されているものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けることができる。化合物Iの塩は、約204℃~約207℃の範囲の融解開始を有することによってさらに特徴付けることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、化合物Iの塩は一トシル酸塩である。いくつかの実施形態では、一トシル酸塩は、図8に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、一トシル酸塩は、回折角2θ値が、Cu-Kα光源を照射した場合、10.92°±0.2°、13.28°±0.2°、15.36°±0.2°、16.94°±0.2°、17.74°±0.2°、18.20°±0.2°、20.51°±0.2°、23.21°±0.2°、23.86°±0.2°、24.73°±0.2°、25.69°±0.2°、26.68°±0.2°、27.63°±0.2°、29.12°±0.2°、および30.532°±0.2°のピークから選
択される3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、一トシル酸塩は、回折角2θ値が、Cu-Kα光源を照射した場合、10.92°±0.2°、15.36°±0.2°、16.94°±0.2°、17.74°±0.2°、23.21°±0.2°、23.86°±0.2°、24.73°±0.2°、25.69°±0.2°、27.63°±0.2°、および29.12°±0.2°のピークから選択される3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態では、一トシル酸塩は、回折角2θ値が、Cu-Kα光源を照射した場合、15.36°±0.2°、17.74°±0.2°、3.21°±0.2°、23.86°±0.2°、および24.73°±0.2°のピークから選択される3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる。
【0026】
化合物Iおよびその塩の調製
化合物Iとそのトシル酸塩の合成を以下のスキームに示す。
【化3】
【0027】
1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オン(5)は、銅触媒カップリング反応、例
えば、Goldberg-Ullmannカップリング反応を含む4つのステップで合成された。本発明の別の態様では、中間体(5)は、任意の遷移金属触媒カップリング反応を使用して合成される。熟練した化学者は、中間体(5)が中間体(4)および一般式の化合物
【化4】
(ここで、脱離基「LG」は、ハロゲン、トシル酸塩、メシル酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩などを含むが、これらに限定されない)から合成できることを知っているであろう。
【0028】
化合物Iは、遷移金属クロスカップリング反応、例えば鈴木反応を使用して、6ステップで合成された。本発明の別の態様では、化合物Iは、任意のクロスカップリング反応を使用して合成される。化合物Iは、任意の脱離基を含む中間体6から合成される。例えば、熟練した化学者は一般式の化合物
【化5】
(ここで、脱離基「LG」は、ハロゲン、トシル酸塩、メシル酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩などを含むが、これらに限定されない)を使用し得る。
【0029】
化合物Iのトシル酸塩は、p-トルエンスルホン酸(トシル酸)での処理によって、化合物Iの遊離塩基形態から合成された。本発明の一態様では、化合物Iは、溶媒中でp-トルエンスルホン酸で処理される。熟練した化学者は、様々な適切な溶媒または溶媒混合物を使用して、遊離塩基から化合物Iのトシル酸塩を形成することを企図している。本発明の一態様では、塩は、溶媒混合物、例えば、アセトンと水で形成される。別の態様では、塩はメタノール中で形成される。さらに別の態様では、塩は、メタノールを含まない溶媒または溶媒混合物中で形成される。
【0030】
1つの態様では、本発明は、化合物Iまたはその中間体の調製方法であって、(1)2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジンをメチルアミンと反応させて、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを得るステップ、(2)2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを還元して、2-クロロ-Nメチルピリジン-3,4-ジアミンを得るステップ、(3)2-クロロ-N4-メチルピリジン-3,4-ジアミンをギ酸とを縮合させて、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップ、(4)1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼンとカップリングして、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェ
ニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップ、(5)1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを臭素化して、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップ、および(6)7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールとカップリングして、化合物Iを得るステップ、のいずれか1つ以上を含む、方法に関する。
【0031】
別の態様では、本発明は、化合物Iまたはその中間体の調製方法であって、(1)2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジンをメチルアミンと反応させて、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを得るステップ、(2)2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを還元して、2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンを得るステップ、(3)2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンをギ酸と縮合させて、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップ、(4)1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼンとカップリングして、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップ、(5)1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを臭素化して、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップ、および(6)7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールとカップリングして、化合物Iを得、さらに化合物Iを再結晶化するステップ、のいずれか1つ以上を含む、方法に関する。
【0032】
別の態様では、本発明は、化合物Iのトシル酸塩またはその中間体の調製方法であって、(1)2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジンをメチルアミンと反応させて、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを得るステップ、(2)2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを還元して、2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンを得るステップ、(3)2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンをギ酸と縮合させ、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップ、(4)1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼンとカップリングして、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップ、(5)1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを臭素化して、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップ、(6)7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールとカップリングして、化合物Iを得るステップ、(7)2溶媒系で化合物Iを再結晶化するステップ、および(8)化合物Iをp-トルエンスルホン酸と接触させて、化合物Iのトシル酸塩を得るステップ、のいずれか1つ以上を含む、方法に関する。
【0033】
別の態様では、本発明は、化合物Iをp-トルエンスルホン酸と接触させて、化合物Iのトシル酸塩を得るステップを含む、化合物Iのトシル酸塩の調製方法に関する。一種の実施形態では、化合物Iのトシル酸塩は二トシル酸塩である。別の種類の実施形態では、化合物Iのトシル酸塩は一トシル酸塩である。
【0034】
別の態様では、本発明は、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの調製方法であって、(1)2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジンをメチルアミンと反応させて、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを得るステップと、(2)2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを還元して、2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンを得るステップと、(3)2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンをギ酸と縮合させて、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップと、(4)1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼンとカップリングして、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップと、(5)1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを臭素化して、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップとを含む、方法に関する。
【0035】
別の態様では、本発明は、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの調製方法であって、(1)2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジンをメチルアミンと反応させて、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを得るステップと、(2)2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを還元して、2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンを得るステップと、(3)2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンをギ酸と縮合させて、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップと、(4)1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼンとカップリングして、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップとを含む、方法に関する。
【0036】
別の態様では、本発明は、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの調製方法であって、(1)2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジンをメチルアミンと反応させて、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを得るステップと、(2)2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを還元して、2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンを得るステップと、(3)2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンをギ酸と縮合させて、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップとを含む、方法に関する。
【0037】
別の態様では、本発明は、2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンの調製方法であって、(1)2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジンをメチルアミンと反応させて、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを得るステップと、(2)2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを還元して、2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンを得るステップとを含む、方法に関する。
【0038】
別の態様では、本発明は、化合物Iの調製方法であって、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールとカップリングして、化合物Iを得るステップを含む、方法に関する。
【0039】
別の態様では、本発明は、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4ーオンの調製方法であって、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを臭素化して、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップを含む、方法に関する。
【0040】
別の態様では、本発明は、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの調製方法であって、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼンとカップリングして、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップを含む、方法に関する。
【0041】
別の態様では、本発明は、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの調製方法であって、2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンをギ酸と縮合して、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップを含む、方法に関する。
【0042】
別の態様では、本発明は、2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンの調製方法であって、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを還元して、2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンを得るステップを含む、方法に関する。
【0043】
別の態様では、本発明は、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンの調製方法であって、2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジンをメチルアミンと反応させて、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを得るステップを含む、方法に関する。
【0044】
化合物Iとその塩の代替合成を以下のスキームに示す。
【化6】
【0045】
この合成では、3-ニトロピリジン-2,4-ジオール(1a)を臭素化剤で処理することにより、3-ニトロピリジン-2,4-ジオール(1a)から中間体(2a)が生成される。臭素化剤は、分子臭素、N-ブロモスクシンイミドなどの当技術分野で従来から知られているものを含む、任意の好適な臭素化剤から選択することができる。
【0046】
中間体(3a)は中間体(2a)から中間体(3a)を塩素化剤で処理することにより生成される。塩素化剤は、分子状塩素、N-クロロスクシンイミド、塩化ホスホリルおよびそれらの誘導体などの、当技術分野で従来から知られているものを含む、任意の好適な塩素化剤から選択することができる。
【0047】
中間体(8a)は、3-ニトロピリジン-2,4-ジオール(1a)から6ステップで生成される。中間体(8a)は、Chan-Lamカップリング反応などの遷移金属触媒カップリング反応によって生成される。本発明の別の態様では、中間体(8a)は、任意の遷移金属触媒カップリング反応を使用して合成される。
【0048】
化合物Iは、遷移金属クロスカップリング反応、例えば鈴木反応を使用して、7ステップで合成することができる。本発明の別の態様では、化合物Iは、任意のクロスカップリング反応を使用して合成することができる。化合物Iは、任意の脱離基を含む中間体(8a)から合成することができる。例えば、熟練した化学者は、一般式の化合物
【化7】
(ここで、脱離基「LG」は、ハロゲン、トシル酸塩、メシル酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩などを含むが、これらに限定されない)を使用することができる。
【0049】
化合物Iの作製方法のいずれかは、任意選択的に、化合物Iを再結晶化するステップをさらに含み得、さらに任意選択的に、少なくとも2つの溶媒を有するかまたは2つの溶媒からなる溶媒系において当該ステップを含み得る。例えば、溶媒系は、酢酸およびエタノールを含むか、またはそれらからなることができる。2溶媒系の溶媒の1つは、容量過剰で存在する可能性があり得る。例えば、酢酸およびエタノールを含むかまたはそれらからなる溶媒系において、エタノールは、酢酸と比較して体積過剰で存在し得る。溶媒比は、再結晶化において所望の純度および/または収率を達成するために必要に応じて変化し得る。例えば、溶媒系は、約1:1~約1:15、約1:1~約1:10、約1:4~約1:10、または約1:6~約1:8の酢酸:エタノールのv/v比で酢酸およびエタノールを含むことができる。
【0050】
化合物Iの塩酸塩は、遊離塩基形態の化合物Iから塩酸での処理によって合成することができる。本発明の一態様では、化合物Iは、溶媒中、塩酸で処理される。熟練した化学者は、様々な適切な溶媒または溶媒混合物を使用して、遊離塩基から化合物Iの塩酸塩を形成することを企図している。本発明の一態様では、塩は、溶媒混合物、例えばジオキサンと水で形成される。別の態様では、塩はメタノール中で形成される。さらに別の態様では、塩は、メタノールを含まない溶媒または溶媒混合物中で形成される。
【0051】
化合物Iの塩は、例えばミリングにより、所望の粒子サイズに調製することができる。例えば、粒子サイズは、ナノメートルスケール~低マイクロメートルスケール、例えば、500μm以下、または100μm以下の体積平均直径の範囲でよい。一種の実施形態では、粒子の大部分は、1μm~100μm、または1μm~10μmの範囲であろう。粒子サイズ分布は、当技術分野で知られているように、D10、D50、D90、およびD[4,3]の値によって特徴付けることができる。一種の実施形態では、化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)粒子は、約10μm~約60μm、または約10μm~約35μm、または約25μm~約30μmの範囲のD50を有することができる。化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)粒子は、約10μm~約60μm、または約25μm~約45μm、または約30μm~約40μmの範囲の体積平均直径D[4,3]を有することができる。化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)粒子は、約50μm~約100μm、または約60μm~約90μmの範囲のD90を有することができる。化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)粒子は、約1μm~約20μm、または約1μm~約15μm、または約5μm~約10μmの範囲のD10を有することができる。
【0052】
化合物Iの塩は、例えば1つ以上の賦形剤の添加により、および配合または他の加工ステップにより、医薬組成物に調製することができる。Remington’s The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams&Wilkins(2005)に開示されているも
のなどの、標準的な薬学的製剤化技術を使用することができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
化合物Iの塩に加えて、実施形態は、薬学的に許容される担体または他の賦形剤を含む組成物を含む。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、哺乳動物への投与に適した、1つ以上の適合性の固体もしくは液体の充填希釈剤またはカプセル化物質を意味する。本明細書で使用される場合、「適合性」という用語は、組成物のその成分が、主題の化合物Iの塩と、および互いに、通常の使用状態で組成物の薬学的有効性を実質的に低下させる相互作用がないような様式で、混合可能であることを意味する。薬学的に許容される担体は、当然のことながら、これらが治療される好ましくは動物、好ましくは哺乳動物への投与に適するように、十分に高純度で、十分に低毒性でなければならない。好適な賦形剤は、医薬品添加剤のハンドブック(Rowe,Ed.,APhA Publications,2017)に記載されている。賦形剤は、顆粒内(すなわち、顆粒に組み込まれる)でも、または顆粒外(すなわち、顆粒の外側)でもよい。
【0054】
薬学的に許容される賦形剤、担体またはその成分として役立ち得る物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖類;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、およびメチルセルロースなどのセルロースおよびその誘導体;カオリン、トラガカント末;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸カルシウムなどの固体滑剤;硫酸カルシウム;鉱油;綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびカカオ脂などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール;アルギン酸;TWEEN(登録商標)などの乳化剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤;着色剤;着香剤;錠剤化剤、安定化剤;抗酸化剤;保存剤;発熱性物質を含まない水;等張食塩水;ならびにリン酸塩緩衝溶液である。
【0055】
主題の化合物と併せて使用される薬学的に許容される担体の選択は、基本的には、化合物が投与される方法によって決定される。
【0056】
本明細書に記載されている化合物Iの塩は、単位剤形で提供することができる。本明細書で使用される場合、「単位剤形」とは、良好な医療行為に従って、動物、好ましくは哺乳動物対象への単回投与での投与に適した量の化合物を含む組成物である。しかしまがら、単一または単位剤形の調製は、剤形が1日1回または治療コースごとに1回投与されることを意味しない。そのような剤形は、1日1回、2回、3回またはそれ以上投与することが企図され、一定期間(例えば、約30分~約2~6時間)の注入として投与するか、または持続注入として投与することができる。また、治療の過程で複数回投与することもできるが、単回投与は特には除外されていない。当業者は、製剤が治療の全過程を具体的に企図するものではなく、そのような決定は製剤ではなく治療の当業者に委ねられることを認識するであろう。
【0057】
上記のように有用な組成物は、例えば、経口、経鼻、直腸、局所(経皮を含む)、眼球、脳内、頭蓋内、くも膜下腔内、動脈、静脈内、筋肉内、またはその他の非経口(parental)投与経路などの投与用の様々な投与経路に適した様々な形態のいずれかでよい。当業者は、経口および経鼻組成物が、吸入により投与され、利用可能な方法論を使用して作られる組成物を含むことを理解するであろう。所望の特定の投与経路に応じて、当技術分野でよく知られている様々な薬学的に許容される担体を使用することができる。薬学的に許容される担体には、例えば、固体または液体の充填剤、希釈剤、水溶性増大物質(hydrotropies)、界面活性剤、およびカプセル化物質が含まれる。化合物の阻害活性を実質的に妨害しない任意選択の薬学的に活性な物質が含まれてもよい。化合
物と共に使用される担体の量は、化合物の単位用量当たりの投与のための物質の実用量を提供するのに十分な量である。本明細書に記載の方法において有用な剤形を作るための技法および組成物は、以下の引用文献に記載されており、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる:Modern Pharmaceutics,4th Ed.,Chapters 9 and 10(Banker & Rhodes,editors,2002)、Lieberman et al.,Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(1989)、およびAnsel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms 8th Edition(2004)。
【0058】
丸剤、錠剤、コア、カプセル、カプレット、顆粒、懸濁液、ナノ懸濁液、およびバルク粉末などの固体剤形を含む、様々な経口剤形を使用することができる。錠剤は、好適な結合剤、滑剤、充填剤、滑剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、着香剤、流動性誘導剤(flow-inducing agents)、および融解剤を含有する、圧縮錠剤、湿製錠剤、腸溶錠、糖衣錠、フィルムコーティング錠、または多重圧縮錠剤でよい。液体経口剤形には、好適な溶媒、保存剤、乳化剤、懸濁化剤、希釈剤、甘味料、融解剤、着色剤および着香剤、またはそれらの任意の組み合わせを含有する、非発泡性顆粒剤から再構成された水溶液、エマルジョン、懸濁液、溶液および/または懸濁液、ならびに発泡性顆粒剤から再構成された発泡性調製物が含まれる。
【0059】
経口投与用の単位剤形の調製に適した薬学的に許容される担体は、当技術分野において周知である。錠剤は通常、無機塩(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸ナトリウム)、糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール)、糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、糖蜜、ラクトース)およびセルロース、またはそれらの任意の組み合わせ。結合剤、例えばデンプン、ゼラチン、砂糖(例えば:スクロース、グルコース、デキストロース、糖蜜、ラクトース)、糖アルコール(例えば:キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール)、天然および合成ゴム(アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アイルランドの抽出物)コケ、パンワーガム、ガティガム、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCまたはヒプロメロース)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン(PVP)、Veegum(登録商標)(マグネシウムアルミニウムケイ酸塩)、およびアラボガラクタン)、タンパク質、およびポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、トラガカント、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、およびポリエチレングリコール(PEG)、またはそれらの任意の組み合わせ;崩壊剤、例えば、糖、デンプン、加工デンプン、アルギン酸、架橋ポリマー、デンプングリコール酸ナトリウム、ポリビニルポビドン、およびクロスカルメロース、またはそれらの組み合わせ。ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、鉱油、水素化植物油、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、パルミトステアリン酸グリセリル、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、シリカ、タルクなどの滑剤などの不活性な希釈剤または充填剤として、1つ以上の従来の薬学的に適合するアジュバントを含んでよい。混合粉末の流動特性を改善するために、二酸化ケイ素などの流動促進剤を使用することができる。外観のために、FD&C色素などの着色剤を加えることができる。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミント、およびフルーツ風味などの甘味料および着香剤は、チュアブル錠のための有用な補助剤である。カプセル剤は、典型的には、1つ以上の上記固体希釈剤を含む。担体成分の選択は、味、費用、および貯蔵中の安定性などの二次的考察に依存するが、これは重大ではなく、当業者であれば容易に行うことができる。
【0060】
経口組成物には、液剤、エマルジョン、懸濁剤なども含まれる。そのような組成物の調製に適した薬学的に許容される担体は、当技術分野において周知である。シロップ剤、エリキシル剤、エマルジョンおよび懸濁剤のための典型的な担体成分には、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、液状スクロース、ソルビトールおよび水が含まれる。懸濁剤のために、典型的な懸濁化剤には、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、AVICEL RC-591、トラガカントおよびアルギン酸ナトリウムが含まれ、典型的な湿潤剤には、レシチンおよびポリソルベート80が含まれ、典型的な保存剤には、メチルパラベンおよび安息香酸ナトリウムが含まれる。経口液体組成物は、上記の甘味料、着香剤および着色剤などの1つ以上の成分も含有してもよい。
【0061】
そのような組成物はまた、本発明の化合物が所望の局所適用の近くで、または所望の作用を延長するため様々な時間に、消化管内に放出されるように、従来の方法、典型的にはpHまたは時間依存的コーティングによりコーティングされてもよい。そのような剤形は、典型的には、酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、Eudragit(登録商標)(アクリル酸およびメタクリル酸のエステルから得られたコポリマー)コーティング、ワックスおよびセラックのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書に記載される組成物は、任意選択的に化合物Iの塩とは異なる追加の二次的な薬物活性物質を含んでよい。
【0063】
対象化合物の全身送達を達成するために有用な他の組成物には、舌下、頬側および経鼻剤形が含まれる。そのような組成物は、典型的には、スクロース、ソルビトールおよびマンニトールなどの可溶性充填剤物質、ならびにアカシア、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤のうちの1つ以上を含む。上記に開示された流動促進剤、滑剤、甘味料、着色剤、抗酸化剤および着香剤も含んでよい。
【0064】
液体組成物は、眼に局所的に投与できるように処方することができる。快適さは可能な限り最大化する必要があるが、製剤の考慮事項(薬剤の安定性など)によっては、最適な快適さよりも低くなる場合がある。快適さを最大にすることができない場合、液体は、局所的な眼科使用のために患者が耐えられるように処方されるべきである。さらに、眼科的に許容される液体は、単回使用用に包装するか、または複数回の使用による汚染を防ぐために防腐剤を含む必要がある。
【0065】
眼科用途のために、溶液または薬剤は、主なビヒクルとして生理食塩水を使用して調製されることが多い。点眼液は、適切な緩衝液系で快適なpHに維持することが望ましい。処方物はまた、従来の薬学的に受容可能な保存剤、安定剤および界面活性剤を含んでよい。
【0066】
本明細書に開示される医薬組成物で使用され得る保存剤には、塩化ベンザルコニウム、PHMB、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀が含まれるが、これらに限定されない。有用な界面活性剤は、例えば、Tween(登録商標)80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)である。同様に、様々な有用なビヒクルが、本明細書に開示される眼科用調製物において使用されてよい。これらのビヒクルには、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水が含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
必要に応じて、または便利に、張度調整剤を追加することができる。それらには、塩、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトールおよびグリセリン、または他の任意の好適な眼科的に許容される張度調整剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
得られる調製物が眼科的に許容できる限り、様々な緩衝液およびpHを調整するための手段を使用することができる。多くの組成物では、pHは4~9である。したがって、緩衝液には、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液およびホウ酸塩緩衝液が含まれる。酸または塩基を使用して、必要に応じてこれらの製剤のpHを調整することができる。
【0069】
同様に、眼科的に許容される抗酸化剤には、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンが含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
眼科用調製物に含まれ得る他の賦形剤成分はキレート剤である。有用なキレート剤はエデト酸二ナトリウムであるが、他のキレート剤も適所でまたはそれと組み合わせて使用することができる。
【0071】
局所使用のために、本明細書に開示される化合物Iの塩を含むクリーム、軟膏、ゲル、溶液または懸濁液などが使用される。局所製剤は、一般に、医薬担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、保存剤系、および皮膚軟化剤で構成され得る。
【0072】
静脈内投与の場合、本明細書に記載の化合物および組成物は、生理食塩水またはデキストロース溶液などの薬学的に許容される希釈剤に溶解または分散させることができる。NaOH、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、HCl、およびクエン酸を含むがこれらに限定されない、所望のpHを達成するために好適な賦形剤が含まれてよい。様々な実施形態では、最終組成物のpHは、2~8、または好ましくは4~7の範囲である。抗酸化賦形剤は、亜硫酸水素ナトリウム、アセトン亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウム、スルホキシレート、チオ尿素、およびEDTAを含んでよい。最終的な静脈内組成物中に見られる好適な賦形剤の他の非限定的な例には、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、ならびにデキストロース、マンニトール、およびデキストランなどの炭水化物が含まれてよい。さらなる許容される賦形剤は、Powellら、非経口製剤のための賦形剤の要約、PDA J Pharm Sci and Tech 1998、52、238-311およびNemaら、承認された注射可能製品における賦形剤およびそれらの役割:現在の使用法および将来に記載されている方向性、PDA J Pharm Sci and Tech 2011、65 287-332に記載され、これらは両方とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。硝酸フェニル水銀、チメロサール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、およびクロロブタノールを含むがこれらに限定されない抗菌剤はまた、静菌または静菌溶液を達成するために含まれてよい。
【0073】
静脈内投与用の組成物は、投与直前に滅菌水、生理食塩水、または水中のデキストロースなどの好適な希釈剤で再構成される1つ以上の固体の形態で介護者に提供することができる。他の実施形態では、組成物は、すぐに非経口投与する溶液で提供される。さらに他の実施形態では、組成物は、投与前にさらに希釈される溶液で提供される。本明細書に記載の化合物と別の薬剤の組み合わせを投与することを含む実施形態では、組み合わせを介護者に混合物として提供するか、介護者が投与前に2つの薬剤を混合するか、または2つの薬剤を別々に投与することができる。
【0074】
本明細書に記載される活性化合物の実際の用量は、特定の化合物、および治療される病
態に依存し、適切な用量の選択は、十分に当業者の知識の範囲内である。
【0075】
本明細書に記載の方法またはキットのいずれかの実施形態では、1日当たりの化合物Iの有効量は、1日当たり約1mg~約5000mg、1日当たり約5mg~約2500mg、または1日当たり約10mg~約2000mgである。いくつかのさらなる実施形態では、投与される化合物Iの量は、1日当たり約25mg~約1600mgである。いくつかのさらなる実施形態では、投与される化合物Iの量は、1日当たり、約25mg、約75mg、約200mg、約275mg、約400mg、約550mg、約575mg、約800mg、約1150mg、もしくは約1600mg、または上記値のいずれか2つで定義される範囲内である。
【0076】
固体剤形および経口固体剤形を含む固体組成物、例えば錠剤およびカプセルが特に企図される。組成物は、例えば、湿式造粒、流動床造粒、圧縮造粒、または押出球形化により、化合物Iの塩を含む造粒物でできているか、またはそれを含むことができる。化合物Iの塩の吸湿性を考慮して、乾式造粒プロセス、および乾式造粒組成物が特に企図される。例には、無水湿式造粒(例えば、結合剤溶媒としてエタノールを使用)、無水流動層造粒、および圧縮造粒(例えば、スラッギングまたはローラー圧縮の使用による)が含まれる。錠剤は直接圧縮によって作ることもできる。
【0077】
医薬組成物、造粒、または剤形は、ポリマー沈殿阻害剤を好適に含むことができる。ポリマー沈殿防止剤には、酢酸フタル酸セルロース、カルボマー、エチルセルロース、Eudragit(登録商標)、アルギン酸、アラビアゴム、ローカストビーンキサンタン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標)K15M)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシナート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸、メチルセルロース、メチル2-ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(アクリル酸)、ポリアリルアミン塩化水素、ポリ(アクリルアミド-co-アクリル酸)、ポリジアリルジメチル塩化アンモニウム、ポリエチレンイミン、P-EPE、ポリ(2-エチル2-オキサゾリン)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む。疎水性ポリマーが企図される。セルロース系物質、例えば酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチル2-ヒドロキシエチルセルロースが特に企図される。20℃で約13,000~約25,000mPa・sの範囲の水中2%溶液粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばMethocel(登録商標)K15Mが好ましい。ポリマー沈殿阻害剤(例えば、HPMC)は、剤形の外側領域、例えば、外層、外側コーティング、または顆粒外成分として存在し得る。ポリマー沈殿阻害剤(例えば、HPMC)は、ポリマー沈殿阻害剤を省略した組成物と比較して、化合物Iの沈殿を抑制するのに有効な量で存在する。例えば、ポリマー沈殿阻害剤(例えばHPMC)は、剤形中に少なくとも0.1重量%、または少なくとも0.2重量%、または少なくとも0.5重量%の量で存在することができ、50重量%、または40重量%、または30重量%、または20重量%、または10重量%、または5重量%、または3重量%までの量、例えば、0.5重量%~5重量%で存在することができる。いくつかの実施形態では、ポリマー沈殿阻害剤(例えば、HPMC)は、剤形中に約0.5重量%の量で存在する。
【0078】
化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)を含む顆粒は、例えば、結合剤(例えば、微結晶性セルロース)、充填剤(例えば、ラクトース)、および崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)を含んでよい。顆粒はさらに滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム
)を含むことができる。顆粒を含む錠剤または他の剤形は、顆粒外ポリマー沈殿阻害剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)をさらに含むことができる。剤形の顆粒外部分は、例えば、結合剤(例えば、微結晶性セルロース)を含むことができる。剤形の顆粒外部分はまた、例えば崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム)を含むことができる。剤形の顆粒外部分は、滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)をさらに含むことができる。剤形の顆粒外部分は、崩壊剤、滑剤、結合剤、またはそれらの任意の組み合わせなどの賦形剤の組み合わせを含むことができる。例えば、剤形の顆粒外部分は、崩壊剤および結合剤、滑剤、またはポリマー沈殿阻害剤を含むことができる。
【0079】
経口剤形は、例えば1mg~2000mgの化合物Iの塩(例えばトシル酸塩)、または10mg~1000mg、または25mg~400mg、または100mg~300mgなどの範囲の任意の適切な強度を有することができる。別の種類の実施形態では、経口剤形は、化合物Iの遊離塩基に基づいて、例えば1mg~2000mgの化合物Iの遊離塩基、または10mg~1000mg、または25mg~400mg、または100mg~300mgなどの範囲の強度を有することができる。
【0080】
医薬組成物(例えば、顆粒、錠剤、カプセル)は、様々な比率の化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)および賦形剤を有する顆粒を含むことができる。例えば、顆粒は、約30重量%~約40重量%の化合物Iのトシル酸塩、約40重量%~約45重量%の結合剤、約10重量%~約20重量%の充填剤、および約0.5重量%~約5重量%の崩壊剤を有することができる。顆粒は、約0.5%~約5%の滑剤をさらに含むことができる。
【0081】
顆粒は、例えば、化合物Iの塩、微結晶性セルロース、ラクトース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、およびステアリン酸マグネシウムを含むことができる。顆粒はさらに、顆粒外デンプングリコール酸ナトリウムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの一方または両方を含むことができる。顆粒は、顆粒外ステアリン酸マグネシウムをさらに含むことができる。
【0082】
医薬組成物(例えば、顆粒、錠剤、カプセル)は、化合物Iの任意の塩を含むことができる。一種の実施形態では、塩は、一HBrアモルファス、一HBr結晶、二HBr結晶、一HClアモルファス、一HCl結晶、二HCl結晶、一硝酸塩アモルファス、一硝酸塩結晶、一硫酸塩アモルファス、一硫酸塩結晶、ベシル酸塩、ヘミエジシル酸、ヘミナパジシル酸塩、一トシル酸塩、または二トシル酸塩である。別の種類の実施形態では、塩は、一HBrアモルファス、一HBr結晶、二HBr結晶、二HCl結晶、一硝酸塩アモルファス、一硝酸塩結晶、一硫酸塩アモルファス、一硫酸塩結晶、ベシル酸塩、ヘミエジシル酸、ヘミナパジシル酸塩、一トシル酸塩、または二トシル酸塩である。別の種類の実施形態では、塩は、一HBrアモルファス、一HBr結晶、二HBr結晶、一硝酸塩アモルファス、一硝酸塩結晶、一硫酸塩アモルファス、一硫酸塩結晶、ベシル酸塩、ヘミエジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、一トシル酸塩、または二トシル酸塩である。別の種類の実施形態では、塩は、硫酸塩、二臭化水素酸塩、硝酸塩、ベシル酸塩、ヘミエジシル酸、ヘミナパジシル酸塩、一トシル酸塩、または二トシル酸塩である。別の種類の実施形態では、塩は一トシル酸塩または二トシル酸塩である。別の種類の実施形態では、塩はHCl塩ではない。
【0083】
医薬組成物は、化合物Iの遊離塩基を含む懸濁液、例えばナノ懸濁液でもよい。化合物Iの遊離塩基の粒子サイズは、任意の所望のスケール、例えば、ナノメートルスケール、例えば、1nm~1000nmの範囲でよい。いくつかの実施形態では、化合物Iの遊離塩基は、動的光散乱またはレーザー回折アナライザーで測定される、1nm~1000nm、1nm~900nm、1nm~800nm、1nm~700nm、1nm~600nm、1nm~500nm、1nm~400nm、1nm~300nm、1nm~200n
m、1nm~100nm、1nm~50nm、または1nm~10nmの粒子サイズ(D90)を有する。以下の説明はナノ懸濁液について提供されているが、他の粒子サイズも製剤に使用できる。
【0084】
ナノ懸濁液はビヒクルを含むことができる。水は好適なビヒクルである。水は滅菌でき、任意選択的に脱イオンできる。
【0085】
ナノ懸濁液は、懸濁液を安定させるためにポリマー添加剤を含むことができる。好適なポリマーには、例えば、ポビドン(PVP)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびHPMCが含まれる。ポリマーはまた、結晶成長を阻害するように機能し得る。他の懸濁安定剤には、ゴム、ソルビトール、グリセロール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、および他のセルロース誘導体、例えばエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびそれらの組み合わせなどのセルロースの他のアルキルエーテルが含まれる。
【0086】
ナノ懸濁液は界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、表面張力を変更することにより懸濁液の安定性の改善に寄与することができ、それはまた、連続相と懸濁液の分散との間の界面張力の低減を可能にする。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、および両性から選択することができる。一種の実施形態では、界面活性剤は非イオン性界面活性剤を含む。例えば、非イオン性界面活性剤は、ソルビタンエステル、エトキシル化ソルビタンと脂肪酸、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンアルコール、脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、ポリオキシエチレンメルカプタンポリオキシエチレンアルキルアミン、ノニルフェノキシポリエトキシエタノールなどの、1つ以上のエトキシレート(例えば、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート)およびポリヒドロキシ化合物の脂肪酸エステル(例えば、グリセロールの脂肪酸エステル、ソルビトールの脂肪酸エステル)から選択することができる。別の種類の実施形態では、界面活性剤はアニオン性である。例えば、アニオン性界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、別名ラウリル硫酸ナトリウム)、リン酸ジセチル、エアロゾル-OT、および酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1つ以上を含むことができる。ポリソルベート80を含むナノ懸濁液では、化学的不安定性があることがわかった。特定の理論に縛られるつもりはないが、不安定性は酸化メカニズムによるものと考えられている。したがって、好ましくは、界面活性剤は、過酸化物含有量が低いかもしくはない界面活性剤(例えば、超純度ポリソルベート80)、または過酸化物含有量を有しない代替界面活性剤、例えばSDSであろう。
【0087】
一種の実施形態では、ナノ懸濁液は、ポリマー安定剤と界面活性剤の両方を含む。例えば、ナノ懸濁液は、非イオン性ポリマー、例えばHPMC、およびアニオン性界面活性剤、例えばSDSを含むことができる。
【0088】
界面活性剤が組成物に添加される場合、それは約0.1重量%~約4.0重量%、または約0.5重量%~約2.0重量%の範囲の量で存在する。
【0089】
ナノ懸濁液はさらに、1つ以上のpH調整剤または調節剤(例えば緩衝液)、微生物の成長を回避するための防腐剤、矯味剤、甘味料、および香料を含む他の任意選択の賦形剤を含むことができる。
【0090】
ナノ懸濁液のpHを調節するのに適した薬剤には、例えば、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸、アジピン酸、ホウ酸、クエン酸、塩酸、フマル酸、リンゴ酸、硝酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ジエタノールアミン、リ
ン酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウムまたはプロピオン酸ナトリウム、とりわけ、またはそれらの混合物が含まれる。
【0091】
医薬組成物に適した保存剤、例えば経口使用のためのものは、当分野で周知であり、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンおよびブチルパラベンなどのパラベン、ソルビン酸、およびとりわけソルビン酸カリウム、またはそれらの混合物から選択することができる。一種の実施形態では、防腐剤は、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0092】
製剤中にそのようなナノ懸濁液を含めることにより、剤形、任意選択的に経口剤形、例えば固体経口剤形、例えば顆粒および/または錠剤を調製することが企図される。そのような経口投薬製剤は、ナノ懸濁液を乾燥させることを含む方法によって作ることができる。一種の実施形態では、方法は、(a)ナノ懸濁液を造粒して、造粒されたナノ懸濁液を生成することと、(b)ナノ懸濁液混合物を生成するために、ステップ(a)で調製された造粒ナノ懸濁液にマンニトールを加えることと、(c)ステップ(b)で調製されたナノ懸濁液混合物を微結晶性セルロースが充填された流動床に噴霧して、ナノ懸濁液の湿式ブレンドを生成することと、(d)流動床の温度を40℃超に上げて、ナノ懸濁液の湿式ブレンドを乾燥させて、ナノ懸濁液の乾式ブレンドを生成することと、(e)ナノ懸濁液の乾式ブレンドを粉砕して、ナノ懸濁液顆粒を生成することと、を含むだろう。ナノ懸濁液顆粒は、任意選択的に、剤形(例えば、丸剤または錠剤)に圧縮することができる。顆粒は、任意の所望の粒子サイズ、例えば、約100μm~約170μm、または約130μm~約140μm、または約135μmの範囲の粒子サイズD50を有することができる。
【0093】
本明細書に記載の医薬製剤は、当技術分野で従来から知られているものを含む、任意の適切な方法によって作ることができる。方法は、例えば本明細書に記載のサイズ範囲で、化合物Iまたはその塩もしくは溶媒和物の所望の粒子サイズを得るために、サイズ変更ステップ、例えばミリングを含むことができる。方法はまた、所望の粒子サイズ範囲または閾値を得るために、例えばふるい分けなどのサイズ選択ステップを含むことができる。1つ以上の賦形剤はまた、所望の粒子サイズ範囲または閾値にふるい分けされることができる。乾燥成分は、一緒に、および滑剤とブレンドすることができる。活性成分と賦形剤の混合物を圧縮することができる。任意選択的に、圧縮された混合物を粉砕して、所望の粒子サイズの顆粒を得ることができる。顆粒外賦形剤を粉砕混合物に加え、混合することができる。任意選択的に、顆粒外滑剤を使用することもできる。得られた顆粒と顆粒外賦形剤の混合物を圧縮して錠剤にすることができる。例えば、1つの方法は、(a)化合物Iの塩、結合剤、充填剤、および崩壊剤をふるいにかけることと、(b)ふるいにかけられた成分をブレンドして、第1の混合物を形成することと、(c)前記第1の混合物を滑剤とさらにブレンドして、第2の混合物を形成することと、(d)第2の混合物を圧縮することと、(e)圧縮された第2の混合物を粉砕することと、(e)粉砕された第2の混合物を顆粒外崩壊剤および顆粒外結合剤とブレンドして、第3の混合物を形成することと、(f)前記第3の混合物を顆粒外滑剤とブレンドして、第4の混合物を形成することと、(g)前記第4の混合物を圧縮して錠剤を形成することと、を含む。このような任意のプロセスにおいて、活性物質は、化合物Iのトシル酸塩、例えば一トシル酸でよい。
【0094】
また、本明細書に記載の治療有効量の化合物Iの塩(例えばトシル酸塩)、またはその医薬組成物を投与することを含む、線維症病態を治療する方法も企図される。このようないくつかの実施形態では、方法は、対象を、前記線維症病態を有するか、または有する危険性があると特定することをさらに含む。このようないくつかの実施形態では、線維症病
態は、肺線維症、皮膚線維症、膵線維症、肝線維症、および腎線維症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、線維症病態は特発性肺線維症である。いくつかの実施形態では、そのような治療方法を受ける対象はヒトである。
【0095】
本明細書で使用される「治療する」、「治療」、または「治療すること」とは、予防目的および/または治療目的で化合物または医薬組成物を対象に投与することを指す。「予防的処置」という用語は、疾患または病態の症状をまだ示していないが、特定の疾患または病態にかかりやすいか、そうでなければそのリスクがある対象を治療し、それにより、当該治療により患者が病気または病態を発症する可能性を減少することを指す。「治療的処置」という用語は、疾患または病態に既に罹患している対象に処置を施すことを指す。
【0096】
「線維性病態」、「線維増殖性病態」、「線維性疾患」、「線維増殖性疾患」、「線維性疾患」、および「線維増殖性疾患」は互換的に使用され、増殖異常または線維芽細胞の活動、および/またはフィブロネクチンの異常な蓄積、および/またはコラーゲン性組織の病理学的または過剰な蓄積を特徴とする病態、疾患または障害を指す。典型的には、任意のそのような疾患、障害または病態は、抗線維症活性を有する化合物の投与による治療の影響を受けやすい。線維性障害には、特発性肺線維症(IPF)および既知の病因からの肺線維症を含む肺線維症、皮膚線維症、膵線維症、肝線維症(例えば、慢性活動性肝炎に関連する肝線維症)、および腎線維症が含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
他の実施形態では、治療される疾患または病態は、肺線維症、特発性肺線維症、特発性間質性肺炎、自己免疫性肺疾患、良性前立腺肥大、冠状動脈または心筋梗塞、心房細動、脳梗塞、心筋線維症、筋骨格線維症(musculoskeletal fibrosis)、外科手術後癒着、肝硬変、腎線維症、線維性血管疾患、強皮症、ヘルマンスキープドラク症候群、神経線維腫症、アルツハイマー病、糖尿病性網膜症、および/または皮膚病変、HIVに伴うリンパ節線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺線維症、関節リウマチ;リウマチ性脊椎炎;変形性関節症;痛風、その他の関節炎の病態;敗血症;敗血症性ショック;内毒素性ショック;グラム陰性敗血症;トキシックショック症候群;筋顔面痛症候群(MPS);細菌性赤痢;喘息;成人呼吸窮迫症候群;炎症性腸疾患;クローン病;乾癬;湿疹;潰瘍性大腸炎;糸球体腎炎;強皮症;慢性甲状腺炎;グレーブス病;オーモンド病;自己免疫性胃炎;重症筋無力症;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性好中球減少症;血小板減少症;膵線維症;肝線維症を含む慢性活動性肝炎;急性および慢性腎疾患;腎線維症、過敏性腸症候群;発熱;再狭窄;脳マラリア;脳卒中および虚血性損傷;神経外傷;アルツハイマー病;ハンチントン病;パーキンソン病;急性および慢性の痛み;アレルギー性鼻炎およびアレルギー性結膜炎を含むアレルギー;心臓肥大、慢性心不全;急性冠症候群;悪液質;マラリア;ハンセン病;リーシュマニア症;ライム病;ライター症候群;急性滑膜炎;筋変性、滑液包炎;腱炎;腱鞘炎;ヘルニア、破裂、または脱出した椎間板症候群;骨粗しょう症;血栓症;珪肺症;肺肉腫;骨粗しょう症または多発性骨髄腫関連骨障害などの骨吸収疾患;転移性乳癌、結腸直腸癌、悪性黒色腫、胃癌、および非小細胞肺癌を含むがこれらに限定されない癌;移植片対宿主反応;多発性硬化症、狼瘡、線維筋痛症などの自己免疫疾患;エイズ、および帯状疱疹、単純ヘルペスIまたはII、インフルエンザウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)、サイトメガロウイルスなどの他のウイルス性疾患;ならびに真性糖尿病を含んでよい。さらに、実施形態の方法は、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、カポジ肉腫、転移性黒色腫、多発性骨髄腫、転移性乳癌を含む乳癌などの増殖性疾患(良性および悪性過形成の両方を含む);大腸、癌腫;悪性黒色腫;胃癌;非小細胞肺癌(NSCLC);骨転移など;神経筋痛、頭痛、癌の痛み、歯の痛み、関節炎の痛みを含む痛みの障害;固形腫瘍血管新生、眼の血管新生、および乳児血管腫を含む血管新生障害;プロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンターゼー2に関連する病態(浮腫、発熱、無痛覚および疼痛を含む)などのシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼのシグナル伝達経路に関連する病態;臓器
低酸素;トロンビン誘発血小板凝集;ならびに原生動物の病気を治療するために使用できる。
【0098】
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0099】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、特定された疾患もしくは病態の治癒、改善、進行の遅延、予防、または発症の可能性の低下、または検出可能な治療、予防もしくは抑制効果を示すのに十分な化合物の量を指す。効果は、例えば、以下の実施例に開示されるアッセイにより検出することができる。対象に対する正確な有効量は、対象の体重、大きさ、および健康状態;病態の性質および程度;ならびに投与のために選択された治療薬または治療薬の組み合わせに依存するだろう。所与の状況に対する治療および予防有効量は、臨床医の技量および判断の範囲内にある慣用実験により決定されてもよい。
【0100】
線維症病態を治療するための薬剤の調製における、本明細書に記載の治療有効量の化合物Iの塩(トシル酸塩)またはその医薬組成物の使用も企図される。このようないくつかの実施形態では、使用は、対象を、前記線維症病態を有するか、または有する危険性があると特定することをさらに含む。このようないくつかの実施形態では、線維症病態は、肺線維症、皮膚線維症、膵線維症、肝線維症、および腎線維症からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、線維症病態は特発性肺線維症である。いくつかの実施形態では、そのような治療を受けている対象はヒトである。
【0101】
別の態様では、本明細書に記載の化合物Iの塩(トシル酸塩)またはその医薬組成物を含み、任意選択的に、容器に入れられたパッケージまたはキット、ならびに本明細書に記載された方法または使用に係る添付文書(package insert)、添付文書(package label)、説明書または他のラベリングが提供される。
【0102】
本発明は、本明細書に記載の疾患または病態を有する患者(例えば、特発性肺線維症)、または本明細書に記載の化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)またはその医薬組成物を投与するための本発明の方法に関して上述した治療計画のいずれかによるそのような化合物患者の投与から利益を得るであろう患者の治療に使用するための、本明細書に記載の化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)またはその医薬組成物を提供することが理解される。本明細書に記載の化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)またはその医薬組成物は、本明細書に記載の病態または疾患(例えば、特発性肺線維症)、またはそのような治療計画によるそのような化合物の投与から利益を得るであろう患者の治療に使用するために包装および提示される。本明細書に記載の化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)またはその医薬組成物は、上記の治療計画に従って患者に投与される。
【0103】
本発明は、本明細書に記載の疾患または状態(例えば、特発性肺線維症)の患者、または、方法のいずれかに関して上述した治療計画のいずれかに従って、そのような化合物の投与から利益を得るであろう患者を治療するための医薬の製造における、本明細書に記載の化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)またはその医薬組成物の使用を提供することであると理解される。本発明のこの態様に従って製造された医薬は、本明細書に記載の疾患または病態(例えば、特発性肺線維症)を有する患者、またはかかる治療計画に従ってかかる化合物の投与から利益を得るであろう患者を治療する際に使用するためのものである。そのように製造された医薬は、上記のような治療計画に従って患者に投与される。
【0104】
患者の治療に使用するための、本明細書に記載の化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)またはその医薬組成物、および記載された化合物Iの塩(例えば、トシル酸塩)またはその医薬組成物の使用に関する本発明の態様に関して、本明細書では、患者を治療するための医薬の製造において、患者を治療するためにそのような化合物を投与する方法に関する
本発明の態様の好ましい実施形態に関して表された選好が同じように適用されるだろう。
【実施例0105】
以下の実施例は、例示のために提供され、本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0106】
例1-塩のスクリーニング
化合物Iの遊離塩基のpKa値は2.12±0.33と計算された(ACD Labs
pKa DB、v10.0)。したがって、化合物Iの遊離塩基は、強酸によってプロトン化できる非常に弱い塩基とみなされた。pKaを実験的に決定した結果、値は2.5であった。化合物Iの遊離塩基のサンプルを粉末X線回折により分析し、容易に検出できる無定形の内容物を含まない結晶性であることがわかった。分解による質量損失は220℃を超える温度で観察されたが、熱重量分析では220℃未満で約0.1%の小さな質量損失以外の特徴はなく、化合物I遊離塩基の結晶形は溶媒和物でも水和物でもなかったことを示している。化合物Iの遊離塩基の結晶形の吸湿性の調査により、相対湿度95%での最大吸水量は0.1%未満であることが示された。したがって、化合物Iの遊離塩基の結晶形は吸湿性ではなく、吸着された水の量は非常に少ないと結論付けられた。DSC分析により、293.4℃(開始温度)に単一の融解ピークが示された。
【0107】
アジピン酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸、エタンジスルホン酸、フマル酸、グルタル酸、グリコールアミド、臭化水素酸、塩酸、L-ラクタミド、L-リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、ニコチン酸、硝酸、シュウ酸、リン酸、サッカリン、ソルビン酸、コハク酸、硫酸、L-酒石酸、尿素およびp-トルエンスルホン酸の塩、および共結晶形成物質などの、化合物Iの塩について、スクリーニングプログラムを行った。
【0108】
最初の実験として、18種類の物質(HClの2種類の電荷比を含む)と4つの溶媒系を76つの条件下で第1段階のスクリーニングに使用した。これらの結果を表1にまとめる。ほとんどのスクリーニング実験でゲルが生成されたため、5種類の強酸(HClの2種類の電荷比を含む)と2つの異なる溶媒系を使用して、合計12条件で、5℃で第2段階のスクリーニングを行った。これらの結果を表2にまとめる。すべてのスクリーニング実験から、結晶のヒットが分離され、X線粉末回折(XRPD)、熱重量分析(TGA)、および示差走査熱量測定(DSC)によって特徴付けられた。塩の化学量論は、プロトン核磁気共鳴(H-NMR)またはイオンクロマトグラフィー(IC)と組み合わせたHPLCを使用して決定された。一方、遊離塩基のヘミTHF溶媒和物も確認された。
【表1】
【表2】
【0109】
約15mgの遊離塩基をガラスバイアル内の選択した溶媒に分散させ、対応する酸を1:1のモルチャージ比で添加した(HClの場合、遊離塩基に存在する2つの基本的な官能基を考慮して、1:1と2:1の2つの比を使用した)。遊離塩基と酸との混合物を室温で4日間撹拌した。透明な溶液を5℃で3日間スラリーに移し、冷却後の最終的な透明な溶液を室温でゆっくりと蒸発させた。各ステップで得られた固体を分離し、XRPDで分析した。
【0110】
第1の段階のスクリーニングからの相当数の実験の結果、ゲルが形成された。したがって、第2段階のスクリーニング実験は、5つの強酸と2つの異なる溶媒を使用して5℃で設定した。合計5つの結晶ヒットが観察された。
【0111】
メタノール-ジクロロメタン9:1中の化合物Iの遊離塩基のストック溶液を調製した。ストック溶液のアリコートをマイクロタイタープレートの各ウェルにピペットで移し、
続いて、酸ストック溶液のアリコートを各ウェルに加えた。混合物は、8つの異なる実験条件、すなわち、窒素下での初期溶媒混合物からの溶媒の蒸発、アセトニトリルでの懸濁液平衡、エタノールでの懸濁液平衡、酢酸エチルでの懸濁液平衡、酢酸エチル-ジクロロメタンでの懸濁液平衡、ヘプタン-THF1:1での懸濁液平衡、イソプロパノールでの懸濁液平衡、メタノール-水4:1での懸濁液平衡、およびTHF-ギ酸9:1での懸濁液平衡のそれぞれに供された。スクリーニングは、8つの異なる条件下で12種の異なる酸を用いて行った。すなわち、96回の実験を行った。これらの初期溶媒混合物から、溶媒を室温でわずかな窒素流下で蒸発させた。懸濁液の平衡化条件については、懸濁液の平衡化を25℃で2日間行った後、追加の溶媒を蒸発させ、再びわずかな窒素流下で行った。約18時間以内に固体残留物が得られ、ラマン顕微鏡で検査した。
【0112】
化合物Iのベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、エタンジスルホン酸塩(エジシル酸塩)、1,5-ナフタレンジスルホン酸塩(ナパジシル酸塩)、およびp-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)も調製した。上記と同様の戦略を使用して、これらの塩は、溶媒中の遊離塩基および酸の溶液からの蒸発によって調製された(例えば、メタノール-ジクロロメタン1:1、酢酸エチル-ジクロロメタン1:2、イソプロパノールなど)。このようにして生成されたアモルファス塩は、必要に応じて、アモルファス材料を適切な溶媒(例えば、酢酸エチル、アセトニトリルなど)中で撹拌することによって結晶化させた。固体残留物は、H-NMR分光法、X線回折、TG-FTIR、DVS、DSC、および25℃での水溶解度によって特徴付けた。H-NMR分析は、ナパジシル酸塩およびエジシル酸塩について2:1の遊離塩基:酸の化学量論を示した。したがって、これらの塩は、より適切には、それぞれヘミナパジシル酸塩およびヘミエジシル酸塩と呼ばれる。
【0113】
多くの実験で、同じ結晶形の化合物Iの遊離塩基が見つかった(フォームA、図1)。この形態はかなり安定しており、調査した塩または共結晶系のいずれよりも結晶化する強い傾向を示した。得られたサンプルの多くは主にアモルファスであったが、結晶形は、臭化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸などの強酸を含む系で得られた。
【0114】
下の表3は、1時間後(すべてのサンプルではない)、24時間の平衡時間後の25℃での純水中の化合物Iの塩の溶解度データを示す。溶解度試験後の固体残留物のPXRD測定は、遊離塩基への変換が通常1時間以内に起こることを示した。
【表3】
【0115】
以下の表4に、遊離塩基および無定形塩の形態のいくつかの物理化学的特性が示されて
いる。
【表4】
【0116】
以下の表5に、結晶塩形態のいくつかの物理化学的特性が示される。
【表5】
【0117】
硫酸塩は良好な熱安定性を示し、さらに170℃~180℃の範囲の明確な融点によって特徴付けられた。得られたサンプルの残留溶媒量が少ないため、乾燥しやすい結晶で生成された。見つかった粒子サイズの分布と晶癖は許容範囲であった。
【0118】
生成されたすべての塩は、高い水溶性を示した。しかしながら、この実施例で調査された固体塩の形態はいずれも水相で安定していなかった。溶解度試験後の固体残留物のPXRD測定は、遊離塩基への変換が通常1時間以内に起こることを示した。
【0119】
生成された塩はすべて、アモルファスであろうと結晶であろうと、相対湿度が約75%を超えると少なくとも部分的に潮解性であった。これらの塩は、水分の吸着を防ぐために、相対湿度が低く、できれば50%未満の密閉容器に保管する必要がある。さらに、溶剤を含む水での湿式造粒は避けるべきである。
【0120】
例2-化合物Iの塩酸塩
ジオキサン中の化合物Iの遊離塩基の溶液に、HCl水溶液(1.1当量)を加えた。0.5時間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去し、残渣を真空で乾燥させて、化合物Iの塩酸塩を得た。
【0121】
塩酸塩の同一性は、H-NMR分光法、ラマン分光法、および元素組成分析によって確認された。H-NMRおよびTG-FTIR分析により、サンプルにかなりの量の酢酸エチルが含まれていることが明らかになり、理論的に予想される含有量がこの観察結果を考慮して調整された。酢酸エチル溶媒和物が得られたことが疑われた。
【0122】
塩酸塩の水吸着測定は、調査した両方の塩が高い相対湿度で水を強く吸着することを示
した。アモルファス塩の最大吸水量は約40%であったが、結晶性二塩酸塩の最大吸水量は約54%であった。
【0123】
例3-化合物Iの臭化水素酸塩
アモルファス一臭化水素酸塩は、化合物Iの遊離塩基をメタノール:ジクロロメタン2:1の混合物に溶解し、2MのHBr水溶液の形態での1当量のHBrを加えることにより生成された。40℃での回転蒸発により溶媒を除去し、固体の白色残留物を得た。真空下、40℃でさらに乾燥した。
【0124】
結晶性臭化水素酸塩は、酢酸エチル中での懸濁平衡により得られた。2当量のHBrを使用した場合、結晶化に恵まれた。2.0mlの酢酸エチル中の約200mgの遊離塩基に、2当量のHBrを酢酸中のHBrの33%w/w溶液の形で加えた。室温で撹拌後、塩が結晶化し始め、扱いやすい白色粉末が得られた。
【0125】
臭化水素酸塩の同一性は、H-NMR分光法、ラマン分光法、および元素組成分析によって確認された。
【0126】
臭化水素酸塩サンプルの粉末X線回折パターンは、かなりの変動を示すことがわかった。
【0127】
臭化水素酸塩の水吸着測定は、調査された両方の塩が高い相対湿度で水を強く吸着したことを示している。アモルファス塩の最大吸水量は約29%であったが、結晶性二臭化水素酸塩の最大吸水量は約47%であった。DVS試験後の両方のサンプルの目視検査では、測定中に潮解したわずかに茶色がかった変色が明らかになった。
【0128】
実施例4-化合物Iの硫酸塩
硫酸塩は一塩として生成されたため、硫酸水素塩という用語の方が正確である。しかしながら、簡単にするために、塩は本明細書では一般に硫酸塩と呼ばれる。アモルファス硫酸塩は、メタノール-ジクロロメタン2:1の混合物に化合物I遊離塩基を溶解し、1当量の硫酸(95~97%濃縮)を加えることで生成された。透明な溶液から、40℃での回転蒸発により溶媒を除去し、固体の白色残留物を得た。さらに真空下、40℃で約18時間乾燥した。結晶性硫酸塩は、酢酸エチル中のアモルファス塩形態の懸濁平衡によって生成された。
【0129】
硫酸塩の同一性は、H-NMR分光法、ラマン分光法、および元素組成分析によって確認された。
【0130】
硫酸塩の水分吸着測定は、調査された両方の塩が高い相対湿度で水を強く吸着したことを示している。アモルファス塩の最大吸水量は約33%であったが、結晶塩の最大吸水量は約35%であった。
【0131】
例5-化合物Iの硝酸塩
アモルファス硝酸塩は、化合物Iの遊離塩基をメタノール-ジクロロメタン(約2:1)の混合物に溶解し、1当量の硝酸を70%水溶液の形で加えて生成した。透明な溶液から、40℃での回転蒸発により溶媒を除去し、固体の白色残留物を得た。さらに真空下、40℃で約18時間乾燥した。非晶質硝酸塩を酢酸エチルに懸濁すると、硝酸塩は自然に結晶化した。乾燥した固体は本質的に残留酢酸エチルを含んでいなかった。
【0132】
結晶性硝酸塩の同一性は、H-NMR分光法、ラマン分光法、および元素組成分析によって確認された。
【0133】
硝酸塩の水吸着測定は、調査された両方の塩が高い相対湿度で水を強く吸着することを示した。アモルファス塩の最大吸水量は約25%であったが、結晶性硝酸塩の最大吸水量は約27%であった。塩酸塩、臭化水素酸塩、および硫酸塩とは対照的に、結晶性硝酸塩は、50%の相対湿度に設定された測定プログラムの開始時に、初期の水の取り込みを示さなかった。
【0134】
実施例6-化合物Iのベシル酸塩
アモルファスベシル酸塩は、化合物Iの遊離塩基をメタノール-ジクロロメタン(約1:1)の混合物に溶解し、約2当量のベンゼンスルホン酸を加えたことにより生成された。このようにして得られた透明な溶液から、溶媒を42℃で回転蒸発により除去し、固体の白色の残渣を得た。この残渣に酢酸エチルを加え、得られた白色の懸濁液を室温で約20時間撹拌した。あるいは、無定形ベシル酸塩残留物にアセトニトリルを加え、得られた白色懸濁液を室温で約20時間撹拌した。
【0135】
結晶性の1:1のベシル酸塩の同一性は、H-NMR分光法によって確認された。さらなる特性評価には、粉末X線回折、TG-FTIR、DVS、DSC、および25℃での水溶解度が含まれる。
【0136】
ベシル酸塩の吸湿性を動的蒸気吸着分析(DVS)で調べた。相対湿度95%での吸着水は約24%であった。しかしながら、サンプルは完全に潮解しなかった。相対湿度が80%未満の場合、水はあまり吸収されなかった。水の吸着は観察の時間枠内で可逆的ではなかったので、サイクルの終了時にまだ約6%の水が吸着されていた。
【0137】
実施例7-化合物Iのヘミエジシル酸塩
結晶性ヘミエジシル酸塩は、次のように2つの原液を混合することによって生成された:イソプロパノール中のエタンジスルホン酸の原液を固体遊離塩基に加え、混合物を室温で3日間撹拌してから、固体をろ過で分離した。得られた固体を真空下、40℃で約3時間乾燥させた。
【0138】
H-NMR分光法により、エタンジスルホン酸と化合物Iの2:1塩が確認された。さらなる特性評価は、粉末X線回折、TG-FTIR、DVS、DSC、および25℃での水溶解度が含んだ。
【0139】
ヘミエジシル酸塩の吸湿性を動的蒸気吸着分析(DVS)で調べた。相対湿度95%での水分吸着量は約32%であった。水の吸着は観察の時間枠内では可逆的ではなかった。
【0140】
実施例8-化合物Iのヘミナパジシル酸塩
1:1の化学量論を有する結晶性ナパジシル酸塩を得るためのすべての試みは失敗したので、さらなる結晶化実験は、結晶性ヘミナパジシル酸塩の調製に向けられた。結晶性ヘミナパジシル酸塩は、DCMと酢酸エチルとの混合物からの結晶化により首尾よく生成することができた。一般に、遊離塩基をDCMに溶解し、ナフタレンジスルホン酸を酢酸エチルに溶解し、溶液を混合し、DCMを室温またはわずかに高温、例えば60℃で蒸発させた。
【0141】
結晶性ヘミナパジシル酸塩は、次のように原液を混合することによって生成された:ナフタレンジスルホン酸の酢酸エチル溶液をDCMに溶解した固体遊離塩基(2当量)と混合した。混合物を60℃に加熱し、60℃で約2時間撹拌しながらDCMを留去した後、ヒーターを切り、装置を室温まで放冷した。バイアルを開けたまま、撹拌を室温で一晩続け、翌日、懸濁液をろ過した。得られた固体を40℃で約3時間真空乾燥した。H-NM
R分光法により、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸と化合物Iの2:1塩が確認された。ただし、H-NMRは、残留溶媒としてDCMと酢酸エチルの存在を明らかにする。さらなる特性評価には、粉末X線回折、TG-FTIR、DVS、DSC、および25℃での水溶解度が含まれた。
【0142】
ヘミナパジシル酸塩の吸湿性を動的蒸気吸着分析(DVS)で調べた。相対湿度95%での吸着水は約17.8%であった。水の吸着は観察の時間枠内では可逆的ではなかった。
【0143】
例9-化合物Iのトシル酸塩
一トシル酸塩と二トシル酸塩の両方がよく結晶化し、いくつかの適切な方法で生成された。例えば、アモルファスのトシル酸塩は、メタノール-ジクロロメタン1:1中の遊離塩基とトルエンスルホン酸の溶液を蒸発させて生成し、次に酢酸エチルを加え、得られた懸濁液を結晶化が完了するまで撹拌した。
【0144】
固体生成物は、一般に単離および乾燥が容易であった。ある実験では、一トシル酸塩が生成され、基本的な特性評価が行われた。H-NMR分光法により、遊離塩基対トルエンスルホン酸の比が1:1であることが確認された。さらに、一トシル酸塩は、粉末X線回折、TG-FTIR、DVS、DSC、および25℃での水溶性によって特徴付けられた。回折角2θ値のピークを10.9214°、13.2780°、15.3605°、16.9425°、17.7356°、18.2003°、20.5139°、23.2091°、23.8569°、24.7278°、25.6871°、26.6843°、27.6274°、29.1166°、および30.5294°に有する一トシル酸塩のX線回折パターンを図8に示す。
【0145】
結晶性二トシル酸塩は、酢酸エチルまたはアセトニトリル中のアモルファスの二トシル酸塩を用いた懸濁実験によっても生成された。生成された2つのサンプルのPXRDパターンを図9に示す。H-NMR分光法により、遊離塩基とトルエンスルホン酸の比率が1:2であることが確認された。しかしながら、H-NMRは両方の実験で溶媒和物の形成を明らかにした。酢酸エチルの懸濁実験から得られたサンプルは、酢酸エチルの半溶媒和物であるようであり、アセトニトリルの半溶媒和物は、おそらく、アセトニトリルを用いた懸濁実験から得られた。
【0146】
一トシル酸塩の吸湿性は、動的蒸気吸着分析(DVS)によって調べられた。相対湿度95%での吸着水は約2.8%であった。水の吸着は観察の時間枠内で本質的に可逆的であり、吸着された水はサイクルの終わりに除去された。
【0147】
実施例10-狭い粒子サイズ分布の化合物Iの一トシル酸塩の調製
化合物Iの一トシル酸塩の無水物(タイプA)は、メタノール(MeOH)とメチルtert-ブチルエーテル(MTBE、反溶媒)で、室温で反溶媒結晶化を介して目的の品質属性で正常に調製された。
【0148】
2つのバッチが最初にMeOH/MTBEで、それぞれ2時間と6時間の添加時間で、磁気撹拌により合成された。どちらも一トシル酸塩のタイプAの粒子サイズ分布などの望ましい品質特性を備え、体積効率は約16L/kg、収率は85%以上であった。デモ用バッチも、6時間以上添加してオーバーヘッド撹拌することによって調製された。バッチは、X線粉末回折(XRPD)、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、偏光顕微鏡(PLM)、粒子サイズ分析器、陽子核磁気共鳴(HNMR)、ガスクロマトグラフィー(GC)、およびHPLCによって特徴付けられた。粒子は、ろ過前は立方体であり、サイズが約50μmであった。しかしながら、洗浄および乾燥後に凝集が観察
され、測定されたD90は150.0μmであった。
【0149】
最終製品の粒子サイズに対するシードサイズと追加時間の影響の可能性を調査するために、シードの異なるバッチを使用して、2時間を超える追加時間のオーバーヘッド撹拌により、別の2つのバッチを調製した。洗浄および乾燥後、両方のバッチで凝集が起こっていることがPLMによって確認された。より大きな粒子を播種すると、二峰性の粒子サイズ分布が発生した。これは、プロセス中の結晶成長と核生成の共起が原因である可能性が高いである。したがって、このプロセスには小さいシードまたは粉砕したシードが好まれた。
【0150】
一トシル酸塩タイプAのおおよその溶解度は、室温のMeOH/MTBEで測定した。この結果は、一トシル酸塩タイプAの溶解度範囲が、MeOHで264.0~348.0mg/mL、MeOH/MTBEで9.3~18.6mg/mL(v/v、1:2)、およびMeOH/MTBEで<5.4mg/mL(v/v、1:3)であったことを示した。適切な容積効率と収量を達成するために、MeOH中の開始濃度は250mg/mLであり、MeOH/MTBE中の反溶媒結晶化プロセスの最終比率は1:3であった。
【0151】
一トシル酸塩タイプAの2つのバッチは、反溶媒の異なる添加率のMeOH/MTBE(投入モル比1:1)での反溶媒結晶化によって生成された。製品の特徴は、XRPD、DSC、GC、PLM、およびPSDであった。PSDデータは、おそらく磁気撹拌のミリング効果に起因して、望ましいD90(約30μm~100μm未満)の単峰型分布を示した。
【0152】
残留溶媒レベルと結晶化度は、貧溶媒添加時間(2または6時間)に関係なく同様であることがわかった。オーバーヘッド撹拌を介して生成された粒子形態および粒子サイズ分布も、貧溶媒添加時間(2または6時間)に関係なく同様であることがわかった。詳細を表6と図17および18に示す。
【0153】
方法のパラメータと特性データを表6にまとめる。D90が約30μmの2つのバッチは、磁気撹拌のミリング効果によるものであった。また、2時間または6時間の添加時間は、分散に大きな影響を及ぼさないこともわかった。
【表6】
【0154】
要約すると、室温でのMeOH/MTBEの貧溶媒結晶化プロセスにより、望ましい品質属性(純度≧99.8面積%、収率約90%、残留MeOH/MTBEレベルがICH制限より低い一トシル酸塩タイプAが生成された。MeOH 3000ppm、MTBE
5000ppm)を有する一トシル酸塩タイプAが生成された。化合物Iの一トシル酸
塩タイプAを調製するためのパラメータを使用した結晶化プロセスを以下に要約する。
【0155】
1)MeOH中の化合物Iおよびp-トルエンスルホン酸の初期溶液を、1:1の仕込みモル比で、室温で250mg/mLの濃度で調製した。
【0156】
2)MTBEを追加して溶液を過飽和にし、3:1のMeOH/MTBEの体積比を生成した。
【0157】
3)この溶液に一トシル酸塩タイプAの5%シードを加え、混合物を10~30分間熟成させた。
【0158】
4)この溶液にMTBEを2~6時間かけて加え、最終体積比を1:3(MeOH/MTBE)にし、その後、溶液を1~5時間熟成させてからろ過した。
【0159】
5)ろ過した生成物をMTBEで洗浄し、50℃の真空オーブンで一晩乾燥させた。
【0160】
実施例11-15グラムスケールでの化合物Iの一トシル酸塩の調製
化合物Iの一トシル酸塩無水物(タイプA)は、実施例10に記載されるように調製され、15グラムまで拡大され、91.0%の収率であった。スケールアップされた製品は、XRPD、TGA、DSC、GC、PLM、およびPSDによって特徴付けられた。150.0μmのD90でバルク結晶が得られた。
【0161】
以前の1.5gのバッチと比較すると、粒子サイズが増加した。PLMイメージングで測定したところ、洗浄および乾燥後に凝集が観察された。溶媒系(MeOH/MTBE)が粒子成長に適していた可能性もある。
【0162】
実施例12-化合物Iの一トシル酸塩粒子サイズに対するシードサイズの影響
タイプAの一トシル酸塩タイプAの2つのバッチが、異なるシードサイズ(平均直径Mvが18.65μmと105.1μm)で、2時間の貧溶媒添加時間にわたって生成された。最終的な乾燥製品は、XRPD、DSC、GC、PLM、およびPSDによって特徴付けられた。
【0163】
小さいシードでは平均粒子サイズが約50μmの結晶が得られたが、凝集により、MTBEによる溶媒洗浄と乾燥プロセス中にD90が増加した。より大きな粒子をシードとして使用した場合、バイモーダルな粒子サイズ分布が観察された。これは、おそらく方法中の結晶成長と核生成の同時発生に関連している。
【0164】
実施例13-化合物Iのトシル酸塩の合成
化合物Iの一および二トシル酸塩を形成するための方法が開発され、一トシル酸塩を首尾よく生成するためにバッチが実行された。
【0165】
ステップ1:2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンの合成
【化8】
反応器に、2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジンおよび3.0容量のDMFを入れた
。透明な溶液が得られるまで、溶液を20~25℃で撹拌した。次に、溶液を0~5℃に冷却し、水中の2.1当量の40%メチルアミンを0~5℃で少なくとも2時間かけてゆっくりと加えた。生成物への変換が95%になるまで(HPLCで測定)、反応混合物を0~5℃で少なくとも2時間撹拌した。反応混合物を、0~5℃で少なくとも30分かけて10容量の水をゆっくりと加えることにより希釈した。得られた懸濁液を0~5℃で少なくとも60分間撹拌した。沈殿物をろ過により収集し、フィルターケーキを、0~5℃で10容量の水で反応器を介してすすいだ。次に、湿ったフィルターケーキを乾燥窒素流中で乾燥させて、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを78%の収率で得た。
【0166】
ステップ2:2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンの合成
【化9】
反応器に触媒[木炭上の2%Pt、59%重量の水](0.0004当量のPt)、ステップ1からの湿った2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンおよび9.4容量のTHFを加えた。溶液を撹拌し、次に懸濁液をガラス反応器からオートクレーブに移した。ラインを1.2容量のTHFでオートクレーブにすすぎ入れ、オートクレーブを50rpmで15分間窒素で、続いて150rpmで15分間水素でパージした。オートクレーブを閉じ、水素圧を20~30℃で2バールに調整した。反応混合物を2バールで20~30℃で4~8時間撹拌した。
【0167】
次に、オートクレーブを大気圧に解放し、窒素で少なくとも15分間パージした。生成物への変換をHPLCで確認した後、触媒を濾去した。ろ過した触媒を1.3容量のTHFですすぎ、濾液を合わせた。合わせた濾液を粒子フィルターによって第2の反応器に入れ、ラインを0.5容量のTHFですすいだ。溶液を、40~45℃で、減圧下で蒸留することにより、2.5容量の最終容量まで濃縮した。
【0168】
次に、溶液を、45~50℃で、減圧下で蒸留することにより溶液を最終容量2.5容量に濃縮しながら、10容量のTHFで少しずつ希釈した。反応器を窒素で大気圧までパージし、40~50℃で5.0容量のヘプタンを残留物に加えた。反応混合物を2時間かけて20~25℃に冷却し、撹拌を1時間続けた。次に、反応混合物をさらに1時間かけて0~5℃に冷却し、撹拌を1時間続けた。沈殿した生成物をろ過により収集し、5.0容量のヘプタンで反応器を介してすすぎ、湿ったフィルターケーキを真空乾燥オーブンで最大で乾燥させた。乾燥減量が2%重量以下になるまで40℃で処理すると、2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンが85%の収率で得られた。
【0169】
ステップ3:1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの合成
【化10】
反応器に、2-クロロ-N-メチルピリジン-3,4-ジアミンおよび4容量のギ酸
を入れた。反応混合物を加熱して、1時間以内にスムーズに還流させ、還流を6時間維持した。次に反応混合物を約60℃に冷却し、生成物への変換をHPLCで確認した。
【0170】
次に、反応混合物を、減圧下、60~80℃で蒸留することにより、最終容量が2容量になるまで濃縮した。溶液の温度を60℃に調整し、沈殿を回避するために50℃以上の温度を維持した。
【0171】
次に、第2の反応器に10容量のアセトンを入れ、加熱して穏やかに還流させた。第1の反応器からの生成物溶液を20分かけて第2の反応器内のアセトンにゆっくりと移し、ラインを約0.05容量のギ酸であるすいだ。得られた懸濁液の還流を15分間維持した。スラリーを1時間以内に0℃に冷却し、その温度で1時間撹拌を続けた。沈殿物をろ過により収集し、フィルターケーキを、反応器を介して、0~10℃で3.7容量の冷アセトンですすいだ。乾燥減量が2重量%以下になるまで、フィルターケーキを乾燥窒素気流中または50℃の真空乾燥オーブンで乾燥し、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを95%の収率で得た。
【0172】
ステップ4:1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの合成
【化11】
第1の反応器(反応器A)に、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オン(1.0mol相当)、Cu(OAc)・HOを入れた(0.1モル当量)、およびKCO(1.1モル当量)を加えた。反応器を閉じ、雰囲気を窒素で置き換えた。
【0173】
次に、1-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(1.5モル当量)およびN-メチルピロリジノン(5.4容量当量)を添加すると、懸濁液が形成された。温度が再び約20~25℃に下がり、ガスの発生が遅くなるまで、懸濁液を撹拌した。反応混合物を約130~150℃に加熱すると、青/緑の色が観察され、しばらくすると暗褐色に変化した。反応物を130~150℃で少なくとも40時間撹拌した。許容レベルの変換に達するには、40時間~72時間までの撹拌時間が必要であった。一般に、反応温度が高いほど変換が速くなった。
【0174】
次に、反応混合物を約20~30℃に冷却し、25%NH水溶液(0.7容量当量)を加え、続いて水(3.5容量当量)を加えた。得られた懸濁液を第2の反応器(反応器B)に移した。反応器Aを介して追加の水(18.1容量当量)を反応混合物に加え、続いてn-ヘプタン(3.2容量当量)を加えた。得られた懸濁液を約0~5℃に冷却し、約2時間撹拌した。
【0175】
懸濁液をろ過し、フィルターケーキを水(9.7容量当量)で洗浄した。次に、フィルターケーキをジクロロメタン(14.1容量当量)に溶解し、反応器Bに戻した。この溶液に、フィルターを介して水(5.7容量当量)を加え、続いて25%NH(1.6容量相当)水溶液を加えた。混合物を約15~25℃で約1時間撹拌した。
【0176】
次に、層を分離し、ジクロロメタンを水層に加えた(3.6容量当量)。二相性混合物を約15~25℃で約20~30分間撹拌した。層を少なくとも1時間かけて分離し、併せた有機層に、NHCl(2.5モル当量)の水溶液(7.0容量当量)を加えた。二相性混合物を約15~25℃で約20~30分間撹拌し、次に層を1時間かけて分離した。
【0177】
下側の有機層を粒子フィルターでろ過し、フィルターを介してトルエン(7.1容量当量)で希釈した。有機層を、周囲の圧力下、約80℃で濃縮した。液体の蒸発が見られなくなり、沈殿物が形成され始めた。トルエンを加え(16.6容量当量)、次に真空で濃縮し、続いてさらにトルエン(7.1容量当量)を加え、再び真空で濃縮した。懸濁液を約0~5℃に冷却し、約2時間撹拌し、ろ過した。フィルターケーキをトルエン(2.9容量当量)で洗浄し、乾燥減量が重量の0.5%になるまで約50℃で真空乾燥して、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンをベージュ色の固体として83.1%の収率で得た。
【0178】
ステップ5:7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの合成
【化12】
第1の反応器(反応器A)に水(1.8容量当量)を入れ、約0~5℃に冷却し、そこに96%硫酸(14mol当量)を約0~20℃でゆっくりと加えた。溶液の温度を約0~5℃に調整し、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オン(1.0モル当量)を約0~5℃で3~4回に分けて加えた。混合物の温度を約0~5℃に調整し、温度を約0~5℃に維持しながら、N-ブロモスクシンイミド(1.0モル当量)を3~4回に分けてゆっくりと加えた。
【0179】
反応混合物を約0~5℃で約1時間、次に約0~22℃でさらに4~16時間撹拌した。生成物への変換をHPLCで確認した後、反応混合物を約0~5℃に冷却した。
【0180】
第2の反応器(反応器B)に水(42.7容量当量)を入れ、約0~5℃に冷却した。反応器Aからの反応混合物を、反応器Bの事前に冷却した水に、30℃未満の温度で2時間かけて移した。反応液を水(1.6容量当量)であるすぎ、50%水酸化ナトリウム水溶液(25mol当量)を約0~30℃で約2時間かけてpHが2~5に達するまで注意深く加えた。
【0181】
次にMTBE(6.5容量当量)を約0~20℃で加え、約5分間撹拌した。溶液のpHが10~14の範囲になるまで、追加の50%水酸化ナトリウム水溶液(2モル当量)を約0~30℃で加えた。反応物を約15~25℃で少なくとも1.5時間撹拌し、次に層を少なくとも1時間かけて分離させた。水層と有機層の界面に蓄積した生成物を捕捉す
るように注意しながら、懸濁液をろ過した。フィルターケーキをMTBE(1.7容量当量)、水(3.0容量当量)、次にMTBE(3.0容量当量)で洗浄した。乾燥減量が1重量%以下になるまで、生成物を50℃以下で真空乾燥し、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを淡いベージュ色の固体として97.6%の収率で得た。
【0182】
ステップ6:1-メチル-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オン(化合物I)の合成
【化13】
反応器に7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オン(1.0モル当量)、(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ボロン酸ピナコールエステル(1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール、1.6モル当量)、Pd[Ph(0.025モル当量、およびKCO(2.0モル当量)を加え、ここにアセトニトリル(10.0容量当量)および水(3.0容量当量)を加えた。反応混合物を約20~25℃で約10~20分間撹拌して、懸濁液を形成した。
【0183】
混合物を加熱してわずかに還流させると、二相性の黄色の溶液が形成された。混合物をわずかな還流で少なくとも10時間撹拌した。反応混合物を30~50℃の間に冷却し、次に粒子フィルターを通過させた。フィルターをアセトニトリル(2.6容量当量)で洗浄し、ろ液を併せ、溶液を60℃未満の減圧下で約120mL(4.8容量当量)の最終容量まで濃縮した。
【0184】
得られた懸濁液に、水(1.9容量当量)、メタノール(26mL、1.0容量当量)、およびジクロロメタン(14.8容量当量)を加えた。混合物を約30~35℃に温め、2つの透明な層が観察されるまで撹拌した。層を撹拌せずに約30~35℃で分離させ、追加のジクロロメタン(3.7容量当量)を水層に加えた。混合物を約30~35℃に温め、約5分間撹拌し、次に層を約30~35℃で分離させた。
【0185】
併せた有機層に水(1.9容量当量)を加え、混合物を約30~35℃に温め、約5分間撹拌した。層は約30~35℃で分離された。併せた有機層に炭を加え、約30~35℃で30~60分間撹拌した。木炭をろ過により除去し、フィルターをジクロロメタン(39mL、1.6容量当量)で洗浄した。
【0186】
溶液を大気圧および50℃未満で約4.0容量当量に濃縮し、次にメタノール(5.0容量当量)で希釈した。溶液を再び大気圧および60℃未満で約4.0容量当量に濃縮し、メタノール(5.0容量当量)で希釈し、60℃未満の減圧下で約3.0容量当量の最終容量に濃縮した。
【0187】
得られた懸濁液にメタノール(2.9容量当量)を加え、懸濁液を約45~55℃に温め、約1時間撹拌した。懸濁液を約1時間以内に約0~5℃に冷却し、約0~5℃で1時間撹拌した後、ろ過した。フィルターケーキを冷メタノール(約0~10℃に事前冷却、2.9容量当量)で洗浄し、乾燥減量が1重量%以下になるまで、生成物を窒素気流下、真空中60℃以下で乾燥し、化合物I(1-メチル-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オン)を白色固体として収率88.5%で得た。
【0188】
ステップ7:1-メチル-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オン(化合物I)の再結晶化
【化14】
反応器に、ステップ6からの粗1-メチル-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを加え、これに氷酢酸(1.5容量当量)を加えた。懸濁液を約50~60℃に温め、透明な溶液が得られるまで、約10~20分間撹拌した。温かい溶液を粒子フィルターに通して、第2の反応器に入れた。
【0189】
この溶液にエタノール(10.0容量当量)を約45~55℃で2時間かけて添加した。懸濁液を約45~55℃で約30分間撹拌し、次に約4時間かけて約0~5℃に冷却した。次に、懸濁液を約0~5℃で約4~16時間撹拌した。
【0190】
次に、懸濁液をろ過し、フィルターケーキを約0~20℃で、冷イソプロパノール(4.2容量当量)で洗浄した。生成物を、乾燥減量が1重量%以下になるまで、窒素流下および真空中60℃未満で乾燥させ、化合物I(1-メチル-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)を得た-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オン)を白色固体として収率93.0%で得た。
【0191】
ステップ8:1-メチル-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの一トシル酸塩(化合物Iの一トシル酸塩)の合成
【化15】
反応器に化合物I(1-メチル-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オン、1.00モル当量)、パラトルエンスルホン酸一水和物(1.05モル当量)、アセトン(6.75容積当量)、および水(0.75容積当量)を加えた。透明な溶液が形成されるまで、混合物を15~25℃で撹拌し、次にこの溶液を、粒子フィルターを通して第2の反応器にろ過した。
【0192】
フィルターをアセトン(2.5容量当量)で洗浄し、併せたろ液に15~25℃でMTBE(7.5容量当量)と化合物Iの一トシル酸塩種結晶(0.001mol当量)を加えた。
【0193】
得られた懸濁液を15~25℃で約30~60分間撹拌し、MTBE(22.5容量当量)を15~25℃で約30分間加えた。15~25℃で約30~60分間撹拌を続けた後、懸濁液をろ過した。フィルターをMTBE(2.5容量当量)で洗浄し、材料を55℃未満で真空乾燥して、化合物Iの一トシル酸塩(1-メチル-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの一トシル酸塩)を白色の結晶性固体として93%の収率で得た。
【0194】
実施例14-化合物Iの遊離塩基ナノ懸濁液錠剤
化合物Iのナノ懸濁液は、流動層造粒プロセスを通じて固体剤形に統合された。薬物動態試験をサポートするために、25mgおよび200mgの化合物Iで2つの用量強度と、対応するプラセボを生成した。
【0195】
精製水を30~40℃に加熱し、そこにHPMCとポリソルベート80を中程度の混合下で加えて、水(98.6%w/w)、ポリソルベート80(0.56%w/w)、およびHPMC(0.84%w/w)からなる懸濁ビヒクルを生成した。ある量の化合物Iを懸濁ビヒクルに加え、混合物を、調整されたZrO粉砕媒体を入れた湿式ミルに移した。混合物を窒素下で405±5分間粉砕して、化合物I(10.0%w/w)、懸濁ビヒクル(71.5%w/w)、および追加の脱イオン水(18.5%w/w)を含むナノ懸濁液を生成した。
【0196】
次に、ナノ懸濁液を造粒した。前の手順で調製したナノ懸濁液にマンニトールを加え、懸濁液を15分間混合して溶解を確認した。流動床に微結晶性セルロースを入れ、ナノ懸濁液混合物をその上に噴霧した。ナノ懸濁液がセルロース上に完全に分散したら、噴霧を停止し、乾燥を促進するために床温度を40℃以上に上げた。このブレンドを粉砕して、135μmの粒子サイズD50を有する顆粒を生成し、これを圧縮して錠剤にした。
【0197】
実施例15-ジェットミル処理された化合物Iの遊離塩基錠剤
ジェットミル処理された化合物I、微結晶性セルロース、ラクトースおよびクロスカルメロースナトリウムを20メッシュのスクリーンを通してふるいにかけた。ステアリン酸マグネシウムを30メッシュのふるいにかけた。ふるいにかけた成分を混合し、5分間ブレンドした。顆粒内ステアリン酸マグネシウムを加え、3分間ブレンドした。スラグはプレス機を使用して調製され、乳鉢と乳棒で粉砕され、粉砕された粉末は20メッシュのスクリーンでふるいにかけられた。顆粒外クロスカルメロースナトリウムを加え、5分間ブレンドした。顆粒外ステアリン酸マグネシウムを加え、3分間ブレンドして、最終ブレンドを得た。2つの調製されたバッチの最終的な組成を以下の表7および8に示す。
【表7】
【表8】
【0198】
錠剤は楕円形の工具で圧縮された。プレス圧力は2.0トンであり、滞留時間は30秒であった。錠剤の重量、厚さおよび硬度は、それぞれ796~809mg、5.48~5.56mm、および162~201Nであった。
【0199】
実施例16-化合物Iの一トシル酸塩の錠剤
化合物Iの一トシル酸塩、微結晶性セルロース、およびラクトースを、20メッシュのふるいにかけた。ステアリン酸マグネシウムを30メッシュのふるいにかけた。微結晶性セルロース、ラクトース、および顆粒内クロスカルメロースナトリウムを5分間ブレンドし、顆粒内ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合物を3分間ブレンドした。スラグを調製し、粉砕し、得られた粉末を20メッシュのふるいにかけた。顆粒外クロスカルメロースナトリウムおよびHPMCを加え、混合物を5分間ブレンドして、最終ブレンドを生成した。最終的な組成を以下の表9に示す。
【表9】
【0200】
錠剤は、楕円形の工具で最終ブレンドから製造された。錠剤の重量と厚さは、それぞれ797~807mgと5.56~5.70mmに制御された。錠剤の硬度は101~197Nであった。
【0201】
実施例17- 化合物Iの二トシル酸塩の錠剤
化合物Iの二トシル酸塩を35メッシュのふるいにかけ、すべての賦形剤を20または30メッシュのふるいにかけた。化合物Iの二トシル酸塩を、微結晶性セルロース、ラクトース、および顆粒内クロスカルメロースナトリウムと混合し、次いで10分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを加え、混合物をさらに2分間ブレンドした。スラグは、それぞれ4gの粉末を含む1.6トンの圧力でプレスすることによって調製した。スラグを乳鉢と乳棒で粉砕し、次いで20メッシュのふるいにかけた。顆粒外クロスカルメロースナトリウムとHPMC(塩の沈殿を抑制するため)を粉砕した粉末に加え、4分間ブレンドした。顆粒外ステアリン酸マグネシウムを添加し、1分間ブレンドして、最終ブレンドを得た。最終的な組成を以下の表10に示す。
【表10】
【0202】
錠剤は、12mmの丸い平面工具で最終ブレンドから製造された。錠剤サイズは800mgを目標とし、1.0トンの圧力で圧縮した。錠剤の硬度は約180Nと測定された。錠剤の重量は796~803mgであり、厚さは4.85~4.98mmの範囲であった。
【0203】
実施例18-化合物Iの遊離塩基のアモルファス固体分散錠
化合物Iのアモルファス固体分散体(ASD)は、次のように50%の薬物負荷で調製
した:化合物Iの遊離塩基およびHPMC酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS-MF)をメタノール/ジクロロメタン(v/v=1:1)に溶解した。次に、溶液をミニスプレードライヤーによって入口温度75℃で噴霧乾燥し、さらに25℃の真空オーブンで一晩乾燥させた。
【0204】
ASDは20メッシュのふるいにかけ、すべての賦形剤は20または30メッシュのふるいにかけた。ふるいにかけたASDは、微結晶性セルロース、ラクトース、および顆粒内クロスカルメロースナトリウムと混合し、その後5分間ブレンドした。次に顆粒内ステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を3分間ブレンドした。プレブレンドをスラグし、スラグを乳鉢で粉砕し、得られた粉末を20メッシュのスクリーンでふるいにかけた。顆粒外クロスカルメロースナトリウムを加え、粉砕した粉末と5分間ブレンドした。次に、顆粒外ステアリン酸マグネシウムを加え、混合物を3分間ブレンドして、最終ブレンドを得た。2つの調製されたバッチの最終的な組成を、以下の表11および12に示す。
【表11】
【表12】
【0205】
2トンのプレス圧縮圧力を使用して、800mgの楕円形の工具で錠剤を圧縮した。生成された錠剤の硬度は140~190Nの範囲であった。錠剤の重量と厚さはそれぞれ798~802mgと5.83~5.91mmの範囲であった。
【0206】
例19~21-イヌの薬物動態アッセイ
イヌにおける化合物Iおよびその塩の製剤の薬物動態パラメータは、イヌあたり200mgの活性物質(化合物Iまたは塩)で試験製剤錠剤を経口投与することにより決定された。
【0207】
投与後の様々な時点で血液サンプルを採取し、血漿を調製し、適格なLC-MS-MSアッセイを使用して親薬物の分析にかけた。血漿分析データから導出された薬物動態パラメータは、非コンパートメント分析を使用して決定された。
【0208】
実施例19-イヌにおける化合物Iの4つの経口製剤のクロスオーバー薬物動態研究
化合物Iの薬物動態は、ペンタガストリンで前処置されたオスのビーグル犬で、各相の間に少なくとも7日間のウォッシュアウト期間がある4相クロスオーバー試験で、200mg/錠/イヌの単回経口(PO)投与で測定された。研究の各フェーズでは、5頭の未経験の純血種のビーグル犬が使用された。すべてのイヌは、試験物質の投与の約30分前にペンタガストリン(6μg/kg筋肉内投与)で前処置された。
【0209】
試験製品の4つの錠剤製剤を評価し、それぞれ200mgの試験製品(遊離塩基相当物)を含んだ。動物は、PO投与の前に一晩絶食させ、投与後約4時間まで絶食させた。錠剤を経口投与した後、約10mLのRO(逆浸透)水を投与した。フェーズ1の動物には、上記のようにナノ懸濁液製剤の化合物Iを含む錠剤を与え、フェーズ2の動物には、上記のようにジェットミル処理された形態の化合物Iを含む錠剤を与え、フェーズ4の動物には、上記のように化合物Iの一トシル酸塩を含む錠剤を与えた。フェーズ3では、上記のアモルファス固体分散体を含む錠剤を粉砕し、水に懸濁して、動物に投与した。各動物は、水性懸濁製剤として強制飼養により経口投与された1つの粉砕錠剤を受け取った。血液サンプルは投与前、および経口投与後0.25、0.5、1、2、4、8、24、36および48時間後に採取した。血漿を採取し、各サンプルの化合物Iの濃度を、検証されていないLC/MS/MSアッセイで測定した。化合物Iの定量限界は1.02~5.1ng/mLであった。
【0210】
血漿中で測定された平均化合物I濃度を使用して、片対数血漿濃度-時間曲線を作成した(図13)。非コンパートメント法を用いて薬物動態分析を行った。
【0211】
PKパラメータを表13に示す。PO投与後の化合物Iの平均血漿濃度-時間プロファイルを図13に示す。各相の個別および平均血漿濃度を表14~17に示す。AUC0-last、Cmaxおよびtmaxは、フェーズ1(ナノ懸濁液)ではそれぞれ56300ng・時間/mL、7020ng/mL、および2.00時間、フェーズ2(ジェットミル処理済み)ではそれぞれ46200ng・時間/mL、4290ng/mL、および6.40時間、フェーズ3(アモルファス固体分散体)ではそれぞれ82900ng・時間/mL、8460ng/mL、2.40時間、フェーズ4(一トシル酸塩)ではそれぞれ78500ng/mL、8100ng/mL、1.80時間であった。平均PKデータに基づいて、アモルファス錠剤(水中で粉砕、フェーズ3)と一トシル酸塩錠剤(フェーズ4)を投与された犬の化合物Iの曝露(AUGおよびCmax)は同等であり、これら2つの錠剤からの曝露は、フェーズ1および2の錠剤(ナノ懸濁液およびジェットミル処理製剤)と比較して(2倍以内)高くなっている。
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【0212】
実施例20-摂食条件下のイヌにおける化合物Iの2つの経口製剤のクロスオーバー薬物動態研究
化合物Iの薬物動態は、ペンタガストリンで前処置されたオスのビーグル犬で、200mg/錠/イヌの単回経口(PO)投与で、各相の間に少なくとも7日間のウォッシュアウト期間がある2相クロスオーバー試験で測定された。2相クロスオーバー研究の各相では、6匹の未処置の純血種ビーグル犬が使用された。すべてのイヌは、試験物質投与の約30分前にペンタガストリン(6μg/kg筋肉内投与)で前処置された。
【0213】
試験品の2つの錠剤製剤(上記のように、ナノ懸濁液および一トシル酸塩)を評価した。フェーズ1の動物には、化合物Iのナノ懸濁液を含む錠剤を与えた。フェーズ2の動物
には、化合物Iの一トシル酸塩を含む錠剤を与えた。両相の動物は、投与後約4時間まで一晩絶食させ、被験物質投与の約30分前に経口強制飼養により100mLの均質化された食品医薬品局(FDA)高脂肪食を与え、その後7~10mLを水で洗い流した。血液サンプルは投与前、および経口投与後0.25、0.5、1、2、4、8、24、36および48時間後に採取した。血漿を採取し、各血漿サンプル中の化合物Iの濃度をLC/MS/MSアッセイで測定した。アッセイの定量下限は、化合物Iで20ng/mLであった。
【0214】
血漿中で測定された平均化合物I濃度を使用して、半対数血漿濃度-時間曲線を作成した(図14)。非コンパートメント法を用いて薬物動態分析を行った。
【0215】
化合物IのPKパラメータを表18に示す。ナノ懸濁液および一トシル酸塩製剤中の化合物IのPO投与後の化合物Iの平均血漿濃度-時間プロファイルを図14に示す。各相の個別および平均血漿濃度を表19および20に示す。AUC0-last、Cmax、およびtmaxは、フェーズ1(ナノ懸濁液)でそれぞれ63100ng・時間/mL、7210ng/mL、3.33時間、48800ng・時間/mL、5430ng/mL、フェーズ2(一トシル酸塩塩)の場合は、それぞれ3.00時間であった。平均PKデータに基づくと、摂食状態では、ナノ懸濁液製剤の錠剤の用量によるイヌの化合物Iへの曝露は、一トシル酸塩製剤よりもわずかに高かった(すなわち、一トシル酸塩AUCおよびCmaxは、摂食条件下でのナノ懸濁液の約75~85%である)。これは、一トシル酸塩がナノ懸濁液と比較してより高いAUCおよびCmaxを有した(すなわち、ナノ懸濁液の115~140%)絶食条件下での性能と対照的である。
【表18】
【表19】
【表20】
【0216】
実施例21-イヌにおける化合物Iの一トシラートおよびジ-トシラート塩の経口製剤のクロスオーバー薬物動態研究
化合物Iの薬物動態は、ペンタガストリンで前処置されたオスのビーグル犬で、2フェーズのクロスオーバー設計研究で犬1匹あたり200mg/錠を単回経口(PO)投与した後、各フェーズ間で少なくとも7日間のウォッシュアウト期間を設けて決定された。2相クロスオーバー研究の各相では、5頭の未飼育の純血種ビーグル犬を使用した。すべてのイヌは、試験物質投与の約30分前にペンタガストリン(6μg/kg筋肉内投与)で前処置された。
【0217】
試験品の2つの錠剤製剤(上記の一トシル酸塩および二トシル酸塩)を評価した。動物は、PO投与の前に一晩絶食させ、投与後約4時間まで絶食させた。錠剤を経口投与し、続いて約10mLの逆浸透水を投与した。フェーズ1の動物には化合物Iの一トシル酸塩を含む錠剤を与え、フェーズ2の動物には化合物Iの二トシル酸塩を含む錠剤を与えた。血液サンプルは投与前、および経口投与後0.25、0.5、1、2、4、8、24、36および48時間後に採取した。血漿を採取し、各血漿サンプル中の化合物Iの濃度をLC/MS/MSアッセイで測定した。アッセイの定量下限は、化合物Iで20ng/mLであった。血漿で測定された平均化合物I濃度を使用して、半対数血漿濃度-時間曲線を作成した(図1)。非コンパートメント法を用いて薬物動態分析を行った。
【0218】
化合物IのPKパラメータを表21に示す。2つの製剤のPO投与後の化合物Iの平均血漿濃度-時間プロファイルを図15に示す。各フェーズの個別および平均血漿濃度を表22および23に示す。AUC0-last、Cmax、およびtmaxは、フェーズ1
(一トシル酸塩塩)の場合は、それぞれ70200ng・時間/mL、6480ng/mL、および2.00時間であり、フェーズ2(二トシル酸塩)の場合は、それぞれ88000ng・時間/mL、10400ng/mL、および2.00時間であった。平均PKデータに基づくと、二トシル酸塩製剤の用量あたりのイヌの化合物Iへの曝露は、一トシル酸塩製剤のそれよりもわずかに高くなっている。
【表21】
【表22】
【表23】
【0219】
実施例23-ポリマー析出阻害剤の効果
実施例16の錠剤にHPMCを含めることは、その一トシル酸塩が溶解した後、化合物
IのAPIの過飽和を維持することであった。この効果を、様々な濃度のHPMCを含む37℃のpH6.5のリン酸塩緩衝液に化合物Iの一トシル酸塩を溶解および沈殿させた結果を示す図16に証明する。製剤にHPMCがない場合、一トシル酸塩を37℃でpH6.5のリン酸塩緩衝液に溶解した後、API濃度は10分間で80μg/mLに減少した。これは、ほぼ化合物Iの遊離塩基フォームAの溶解度である。緩衝液中の低いHPMC濃度(1または2μg/mL)では、ポリマーは化合物Iの過飽和を実質的に維持しなかった。しかしながら、HPMC濃度が5μg/mLに増加すると、ポリマーは化合物Iの濃度を160μg/mL維持でき、遊離塩基のフォームAの溶解度の2倍になった。このテストでのHPMC濃度5μg/mLは、錠剤組成物中の0.50%重量パーセントに等しい。
【0220】
上記の説明は、理解を明確にするために示されているに過ぎず、本発明の範囲内の修正は当業者に明らかであり得るため、そこから不必要な限定が理解されるべきではない。
【0221】
本明細書および続く特許請求の範囲を通して、文脈上他の意味に解釈する必要のない限り、「含む(comprise)」という用語、ならびに「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などの変形例は、記載の整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を含むが、他のいずれの整数もしくはステップ、または整数もしくはステップの群を除外しないことを意味するものと理解されよう。
【0222】
本明細書を通して、組成物が構成成分または材料を含むものとして記載される場合、その組成物は、別途記載のない限り、列挙される構成成分もしくは材料の任意の組み合わせから本質的になるか、またはそれらからなってもよいことが企図される。同様に、方法が特定のステップを含むものとして記載される場合、その方法は、別途記載のない限り、列挙されるステップの任意の組み合わせから本質的になるか、またはそれらからなってもよいことが企図される。本明細書において例示的に開示される発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素またはステップの非存在下で、好適に実施され得る。
【0223】
本明細書に開示される方法、およびそれらの個々のステップの実施は、手動で、および/または電子機器によって提供される自動化の助けにより行われ得る。方法は、特定の実施形態に関して説明してきたが、当業者は、方法に関連する行為を実施する他の手段が使用され得ることを容易に認識するであろう。例えば、様々なステップの順序は、別途記載のない限り、その方法の範囲または主旨から逸脱することなく変更されてもよい。加えて、個々のステップの一部を、組み合わせること、省略すること、またはさらなるステップにさらに再分割することができる。
【0224】
本明細書で引用したすべての特許、刊行物、および参考文献は、参照により完全に本明細書に組み込まれる。本開示と、組み込まれる特許、刊行物、および参考文献との間に矛盾がある場合は、本開示が優先されるべきである。
【0225】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
1-メチル-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オン(化合物I)の塩である化合物であって、
【化16】

ただし、前記塩は化合物Iの塩酸塩ではない、化合物。
(項2)
化合物Iのベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、ヘミエジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、臭化水素酸塩、マレイン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、サッカリン酸塩、硫酸塩、L-酒石酸塩、およびトシル酸塩からなる群から選択される、上記項1に記載の化合物。
(項3)
化合物Iのベシル酸塩、ヘミエジシル酸塩、ヘミナパジシル酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、およびトシル酸塩からなる群から選択される、上記項2に記載の化合物。
(項4)
前記塩がトシル酸塩である、上記項3に記載の化合物。
(項5)
前記塩が一トシル酸塩または二トシル酸塩である、上記項4に記載の化合物。
(項6)
前記塩が一トシル酸塩である、上記項5に記載の化合物。
(項7)
前記一トシル酸塩が、図8に示されるものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる、上記項6に記載の化合物。
(項8)
前記一トシル酸塩が、Cu-Kα光源を照射した場合に、回折角2θ値が、10.92°±0.2°、13°.28±0.2°、15.36°±0.2°、16.94°±0.2°、17.74°±0.2°、18.20°±0.2°、20.51°±0.2°、23.21°±0.2°、23.86°±0.2°、24.73°±0.2°、25.69°±0.2°、26.68°±0.2°、27.63°±0.2°、29.12°±0.2°、および30.532°±0.2°のピークから選択される3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、上記項6に記載の化合物。
(項9)
前記一トシル酸塩が、Cu-Kα光源を照射した場合に、回折角2θ値が、10.92°±0.2°、15.36°±0.2°、16.94°±0.2°、17.74°±0.2°、23.21°±0.2°、23.86°±0.2°、24.73°±0.2°、25.69°±0.2°、27.63°±0.2°、および29.12°±0.2°のピークから選択される3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、
上記項6に記載の化合物。
(項10)
前記一トシル酸塩が、Cu-Kα光源を照射した場合に、回折角2θ値が、15.36°±0.2°、17.74°±0.2°、23.21°±0.2°、23.86°±0.2°、および24.73°±0.2°のピークから選択される3つ以上のピークを有するX線回折パターンによって特徴付けられる、上記項6に記載の化合物。
(項11)
前記一トシル酸塩が、約204℃~約207℃の範囲の溶融開始によってさらに特徴付けられる、上記項6~10のいずれか1項に記載の化合物。
(項12)
前記化合物がアモルファスである、上記項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
(項13)
前記化合物が結晶である、上記項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
(項14)
図1図12のいずれか1つに記載されているものと実質的に同様のX線回折パターンによって特徴付けられる、上記項1に記載の化合物。
(項15)
化合物Iの調製方法であって、
(1)2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジンをメチルアミンと反応させて、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを得るステップと、
(2)2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを還元して、2-クロロ-N -メチルピリジン-3,4-ジアミンを得るステップと、
(3)2-クロロ-N -メチルピリジン-3,4-ジアミンをギ酸と縮合させ、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップと、
(4)1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼンとカップリングして、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップと、
(5)1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを臭素化して、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップと、
(6)7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールとカップリングして、化合Iを得るステップと、を含む、方法。
(項16)
化合物(I)を再結晶化するステップ(7)をさらに含む、上記項15に記載の方法。
(項17)
化合物Iが2溶媒系で再結晶化される、上記項16に記載の方法。
(項18)
前記2溶媒系が酢酸およびエタノールを含む、上記項17に記載の方法。
(項19)
エタノールが、酢酸と比較して体積過剰で前記2溶媒系に存在する、上記項18に記載の方法。
(項20)
酢酸およびエタノールが、約1:1~約1:15、または約1:1~約1:10、または約1:4~約1:10、または約1:6~約1:8の酢酸:エタノールのv/v比で存在する、上記項19に記載の方法。
(項21)
1-メチル-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オントシル酸塩(化合物Iのトシル酸塩)の調製方法あって、
(1)2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジンをメチルアミンと反応させて、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを得るステップと、
(2)2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを還元して、2-クロロ-N -メチルピリジン-3,4-ジアミンを得るステップと、
(3)2-クロロ-N -メチルピリジン-3,4-ジアミンをギ酸と縮合させて、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップと、
(4)1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼンとカップリングして、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップと、
(5)1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを臭素化して、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップと、
(6)7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールとカップリングして、化合物Iを得るステップと、
(7)2溶媒系で化合物Iを再結晶化するステップと、
(8)化合物Iをp-トルエンスルホン酸と接触させて、化合物Iのトシル酸塩を得るステップと、を含む、方法。
(項22)
化合物Iのトシル酸塩の調製方法であって、化合物Iをp-トルエンスルホン酸と接触させて化合物Iのトシル酸塩を得るステップを含む、方法。
(項23)
前記化合物Iのトシル酸塩が一トシル酸塩である、上記項21または22に記載の方法。
(項24)
化合物Iの調製方法であって、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールとカップリングして、化合物Iを得るステップを含む、方法。
(項25)
7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの調製方法であって、1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを臭素化して、7-ブロモ-1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップを含む、方法。
(項26)
1-メチル-5-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの調製方法であって、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを1-ブロモ-4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼンとカップリングして、1-メチル-5-(4-(トリフ
ルオロメトキシ)フェニル)-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップを含む、方法。
(項27)
1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンの調製方法であって、2-クロロ-N -メチルピリジン-3,4-ジアミンをギ酸と縮合させて、1-メチル-1,5-ジヒドロ-4H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-4-オンを得るステップを含む、方法。
(項28)
2-クロロ-N -メチルピリジン-3,4-ジアミンの調製方法であって、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを還元して、2-クロロ-N -メチルピリジン-3,4-ジアミンを得るステップを含む、方法。
(項29)
2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンの調製方法であって、2,4-ジクロロ-3-ニトロピリジンをメチルアミンと反応させて、2-クロロ-N-メチル-3-ニトロピリジン-4-アミンを得るステップを含む、方法。
(項30)
化合物Iの塩の粒子を含む医薬組成物であって、前記粒子が、約10μm~約60μmの範囲のD50によって特徴付けられるサイズ分布を有する、医薬組成物。
(項31)
前記D50が約25μm~約30μmの範囲である、上記項30に記載の医薬組成物。
(項32)
化合物Iの塩の粒子を含む医薬組成物であって、前記粒子が、約25μm~約45μmの範囲の体積平均直径D[4,3]によって特徴付けられるサイズ分布を有する、医薬組成物。
(項33)
前記D[4,3]が約30μm~約40μmの範囲にある、上記項32に記載の医薬組成物。
(項34)
前記粒子が、約1μm~約20μmの範囲のD10によってさらに特徴付けられる、上記項30~33のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項35)
前記粒子が、約50μm~約100μmの範囲のD90によってさらに特徴付けられる、上記項30~33のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項36)
前記塩が化合物Iのトシル酸塩である、上記項30~35のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項37)
前記化合物Iのトシル酸塩が一トシル酸塩である、上記項36に記載の医薬組成物。
(項38)
上記項1~14のいずれか1項に記載の化合物Iの塩化合物もしくはその組成物を含む医薬組成物、または上記項30~37のいずれか1項に記載の医薬組成物であって、それぞれがさらに薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
(項39)
上記項38に記載の医薬組成物を含む顆粒であって、前記賦形剤が結合剤を含む、顆粒。
(項40)
前記結合剤が、糖、デンプン、糖アルコール、タンパク質、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む、上記項39に記載の顆粒。
(項41)
前記結合剤が、スクロース、グルコース、ラクトース、デンプン、セルロース、微結晶
性セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、アカシア、トラガカント、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびポリエチレングリコール(PEG)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、上記項40に記載の顆粒。
(項42)
充填剤をさらに含む、上記項39~41のいずれか1項に記載の顆粒。
(項43)
前記充填剤が、糖、デンプン、糖アルコール、無機塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む、上記項42に記載の顆粒。
(項44)
前記充填剤が、スクロース、ラクトース、デキストロース、デンプン、ソルビトール、マンニトール、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、上記項43に記載の顆粒。
(項45)
崩壊剤をさらに含む、上記項39~44のいずれか1項に記載の顆粒。
(項46)
前記崩壊剤が、糖、架橋ポリマー、加工デンプン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、上記項45に記載の顆粒。
(項47)
前記崩壊剤が、アルギン酸、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、ポリビニルポビドン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、上記項46に記載の顆粒。
(項48)
滑剤をさらに含む、上記項39~47のいずれか1項に記載の顆粒。
(項49)
前記滑剤が約0.5重量%~5重量%の量で存在する、上記項48に記載の顆粒。
(項50)
前記滑剤が、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、安息香酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルク、およびヒュームドシリカからなる群から選択される、上記項48または49に記載の顆粒。
(項51)
上記項39~50のいずれか1項に記載の顆粒を含み、さらに顆粒外賦形剤を含む医薬組成物。
(項52)
前記顆粒外賦形剤が、顆粒外崩壊剤、顆粒外滑剤、顆粒外結合剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む、上記項51に記載の医薬組成物。
(項53)
前記顆粒外賦形剤が、顆粒外崩壊剤および顆粒外結合剤を含む、上記項51に記載の医薬組成物。
(項54)
前記顆粒外結合剤が、糖、デンプン、糖アルコール、タンパク質、ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせを含む、上記項52または53に記載の医薬組成物。
(項55)
前記顆粒外結合剤が、スクロース、グルコース、ラクトース、デンプン、セルロース、微結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、アカシア、トラガカント、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびポリエチレングリコール(PEG)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、上記項54に記載の医薬組成物。
(項56)
前記顆粒外崩壊剤が、糖、架橋ポリマー、加工デンプン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、上記項53~55のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項57)
前記顆粒外崩壊剤が、アルギン酸、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、ポリビニルポビドン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、上記項56に記載の医薬組成物。
(項58)
前記顆粒外賦形剤が顆粒外滑剤をさらに含む、上記項53~57のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項59)
前記賦形剤がポリマー沈殿阻害剤を含む、上記項38~58のいずれか1項に記載の医薬組成物または顆粒。
(項60)
前記ポリマー沈殿阻害剤が、酢酸フタル酸セルロース、カルボマー、エチルセルロース、オイドラギット(登録商標)、アルギン酸、アラビアゴム、ローカストビーンキサンタン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルセルロース、メチル2-ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(アクリル酸)、ポリアリルアミン塩化水素、ポリ(アクリルアミド-co-アクリル酸)、ポリジアリルジメチル塩化アンモニウム、ポリエチレンイミン、P-EPE、ポリ(2-エチル2-オキサゾリン)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、またはそれらの任意の組み合わせを含む、上記項59に記載の医薬組成物または顆粒。
(項61)
前記ポリマー沈殿阻害剤が1つ以上のセルロース系材料を含む、上記項60に記載の医薬組成物または顆粒。
(項62)
前記ポリマー沈殿阻害剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、上記項61に記載の医薬組成物または顆粒。
(項63)
前記ポリマー沈殿阻害剤が約0.5重量%の濃度で存在する、上記項62に記載の医薬組成物または顆粒。
(項64)
約30重量%~約40重量%の化合物Iの一トシル酸塩、約40重量%~約45重量%の結合剤、約10重量%~約20重量%の充填剤、および約0.5重量%~約5重量%の崩壊剤を含む医薬組成物。
(項65)
上記項38~64のいずれか1項に記載の医薬組成物または顆粒を含む経口剤形。
(項66)
丸剤、錠剤、コア、カプセル、カプレット、または懸濁液の形態である、上記項65に記載の経口剤形。
(項67)
化合物Iの塩、微結晶性セルロース、ラクトース、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウム、およびステアリン酸マグネシウムを含む顆粒。
(項68)
顆粒外デンプングリコール酸ナトリウムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースをさらに含む、上記項67に記載の顆粒。
(項69)
顆粒外ステアリン酸マグネシウムをさらに含む、上記項68に記載の顆粒。
(項70)
前記塩が一トシル酸塩である、上記項67~69のいずれか1項に記載の顆粒。
(項71)
化合物Iの塩を含む医薬組成物の生成方法であって、
(a)化合物Iの塩、結合剤、充填剤、および崩壊剤をふるいにかけるステップと、
(b)ふるいにかけられた成分をブレンドして、第1の混合物を形成するステップと、
(c)前記第1の混合物を滑剤とさらにブレンドして、第2の混合物を形成するステップと、
(d)前記第2の混合物を圧縮するステップと、
(e)前記圧縮された第2の混合物を粉砕するステップと、
(e)前記粉砕された第2の混合物を顆粒外崩壊剤および顆粒外結合剤とブレンドして、第3の混合物を形成するステップと、
(f)前記第3の混合物を顆粒外滑剤とブレンドして、第4の混合物を形成するステップと、
(g)前記第4の混合物を圧縮して錠剤を形成するステップと、を含む、方法。
(項72)
前記化合物Iの塩がトシル酸塩である、上記項71に記載の方法。
(項73)
前記化合物Iのトシル酸塩が一トシル酸塩である、上記項72に記載の方法。
(項74)
化合物Iの遊離塩基を含むナノ懸濁液。
(項75)
水、HPMC、およびSDSをさらに含む、上記項74に記載のナノ懸濁液。
(項76)
上記項74または75に記載のナノ懸濁液を含む経口剤形。
(項77)
上記項74または75に記載のナノ懸濁液を乾燥させることを含む方法によって生成される固体経口剤形。
(項78)
固体経口剤形の調製方法であって、
(a)上記項74または75に記載のナノ懸濁液を造粒して、造粒ナノ懸濁液を生成するステップと、
(b)ステップ(a)で調製された前記造粒ナノ懸濁液にマンニトールを加えて、ナノ懸濁液混合物を生成するステップと、
(c)ステップ(b)で調製された前記ナノ懸濁液混合物を、微結晶性セルロースが充填された流動床に噴霧して、ナノ懸濁液の湿式ブレンドを生成するステップと、
(d)前記流動床の温度を40℃超に上げて、ナノ懸濁液の湿式ブレンドを乾燥させて、ナノ懸濁液の乾式ブレンドを生成するステップと、
(e)前記ナノ懸濁液の乾式ブレンドを粉砕して、ナノ懸濁液顆粒を生成するステップと、を含む、方法。
(項79)
前記ナノ懸濁液顆粒を錠剤に圧縮することをさらに含む、上記項78に記載の方法。
(項80)
前記顆粒が、約100μm~約170μmの粒子サイズD 50 を有する、上記項78ま
たは79に記載の方法。
(項81)
前記顆粒が約135μmの粒子サイズD 50 を有する、上記項78または79に記載の方法。
(項82)
上記項78~81のいずれか1項に記載の方法により生成される固形経口剤形。
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【外国語明細書】