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  • 特開-IL-33を定量するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145692
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】IL-33を定量するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20231003BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G01N33/53 P
G01N33/531 B
【審査請求】有
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126792
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2020555412の分割
【原出願日】2019-04-10
(31)【優先権主張番号】62/655,887
(32)【優先日】2018-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507302748
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】パートリッジ マイケル
(72)【発明者】
【氏名】オリヴェイラ サムナー ジアーネ
(72)【発明者】
【氏名】ジルストラ ジョシュア
(57)【要約】      (修正有)
【課題】サイトカインを検出および定量するための方法および組成物が提供される。
【解決手段】開示されるアッセイは、市販のアッセイおよび/または対照アッセイと比較して、アッセイ干渉が低減している。干渉は、サイトカイン依存性、サイトカイン非依存性、またはその両方であり得る。一実施形態は、試料中に存在する内因性可溶性IL-33結合分子によって引き起こされるアッセイ干渉を低減するIL-33イムノアッセイを提供する。例示的な可溶性IL-33結合分子としては、抗IL-33抗体、可溶性ST2受容体、および血清成分が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、試料中のIL-33複合体の酸解離後に試料中のIL-33複合体が再形成するのを低減、阻害、または遮断するために、遮断剤を試料に添加する。一実施形態では、遮断剤および検出試薬は、IL-33への結合について競合しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッセイ干渉を減少させる方法であって、
試料を、前記試料中のIL-33複合体からIL-33を解離するのに十分なpHに酸性化するステップと、
続いて、検出試薬と、任意選択でIL-33複合体形成を阻害する遮断剤とを含む緩衝塩基性溶液で前記酸性化試料を中和するステップと、
捕捉試薬を前記試料に添加するステップと、
前記検出剤を検出するステップと
を含み、検出された前記検出試薬の量が、前記試料中の前記IL-33の量と相関する、前記方法。
【請求項2】
前記試料が、血液、血清、または血漿を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料が、IL-33製剤を投与された対象に由来する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記IL-33製剤が抗IL-33抗体を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記IL-33複合体が、タンパク質に非共有結合したIL-33を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質が内因性血清タンパク質である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記タンパク質が、ST2またはそのIL-33結合断片である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記タンパク質が、抗IL-33抗体またはそのIL-33結合断片である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記試料が、3~5のpHに酸性化される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記試料が、5~60分間酸性化される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記検出試薬が、検出可能な標識にコンジュゲートされた抗IL-33抗体を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記検出試薬が、希少遷移金属粒子、フルオロフォア、発色団、量子ドット、および貴金属ナノ粒子からなる群から選択される検出可能な作用物質を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記検出試薬がルテニウムで標識される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記捕捉試薬が固体支持体にコンジュゲートされる、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記捕捉試薬がビオチン化される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記試料が酢酸で酸性化される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記遮断剤が抗体である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記遮断剤が抗ST2抗体である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記捕捉試薬が、前記酸性化ステップ中に前記試料に添加される、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記検出剤が、前記中和ステップの後に前記試料に添加される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記捕捉試薬および前記検出試薬が、前記中和ステップの後に前記試料に添加される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
12.5pg/mLの感度を有する、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
50ng/mL超のST2許容性を有する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
炎症性疾患または障害と診断された、またはそれを有する疑いがある対象から、前記試料が得られる、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
喘息、慢性閉塞性肺疾患、またはアトピー性皮膚炎と診断された、またはそれを有する疑いがある対象から、前記試料が得られる、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記固体支持体が、電気化学発光プラットフォームである、請求項14~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記IL-33の量が、検出された検出試薬の量を所定の参照基準と相関させることによって決定される、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
血清試料中のインターロイキン-33を定量する方法であって、
前記血清試料を、前記試料中のIL-33複合体を解離するのに十分なpHに酸性化するステップと、
(a)検出可能な標識で標識された抗ヒトIL-33抗体と、任意選択で(b)抗ヒトST2抗体とを含む緩衝塩基性溶液で、前記酸性化試料を中和するステップと、
前記試料を、ビオチン化抗ヒトIL-33抗体を含むアビジンコーティングされた固体支持体に添加するステップと、
前記アビジンコーティングされた固体支持体上で前記検出可能な標識を検出するステップと
を含み、検出された前記検出可能な標識の量が、前記試料中の前記IL-33の量と相関する、前記方法。
【請求項29】
前記固体支持体が、ストレプトアビジンコーティングされた電気化学発光プラットフォームである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記検出可能な標識がルテニウムである、請求項28または29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記抗ヒトST2抗体が、前記試料中のIL-33へのST2の結合を低減するのに十分な量で存在する、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
12.5pg/mLの感度および50ng/mL超のST2許容性を有する、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年4月11日に出願された米国仮特許出願第62/655,887号の利益および優先権を主張し、参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
発明の技術分野
本発明の態様は、一般に、インターロイキン33(IL-33)を含むがこれに限定されない、サイトカインの検出および定量化のためのイムノアッセイに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
インターロイキン33(IL-33)は、タバコの煙などの損傷シグナルまたは侵襲に応答して増加するサイトカインである。サイトカインは、壊死時にバリア組織によって放出され、損傷した組織の存在に対する免疫応答を伝播する。この「アラーミン」シグナルは、先天免疫および適応免疫の両方に対する炎症応答を増幅する。公開されているデータは、おそらく、可溶性ST2受容体などの内因性結合パートナーからの干渉に起因して、可溶性IL-33を検出するための市販のキットが信頼できない結果を生成することを示す(Nygaard,U.,et a l.,SpringerPlus,5:33(2016)(非特許文献1);Ketelaar,M.E.,Clin Exp Allergy,46(6):884~7(2016)(非特許文献2);Riviere,E.et al.,Ann Rheum Dis,75(3):633-5(2016)(非特許文献3))。
【0004】
血清などの複合体マトリックスにおけるリガンド結合アッセイの性能は、アッセイに干渉する特定の内因性成分によって影響を受けることがあり得る(Zhong,Z.D.,et al.,AAPS J,19:1564(2017)(非特許文献4))。イムノアッセイにおける干渉は、実験室による患者の結果の解釈の誤り、および医師によって与えられる間違った治療過程をもたらし得る(Tate,J.,et al.Clin Biochem Rev.2004,25(2):105~120(非特許文献5))。
【0005】
より優れたイムノアッセイを開発する試みは、他の人によって試みられてきた。Doucet,J.et al.は、酸解離ステップを含む改善されたIL-13アッセイを報告した(Doucet,J.et al.,Disease Markers,35(5):465~474(2013)(非特許文献6))。Doucetによって記述されるイムノアッセイはIL-13に特異的であるが、IL-33を検出しなかった。加えて、Doucetのイムノアッセイは、検出前に試料を中和する必要はなく、アッセイ中にサイトカイン複合体の再形成を防止するために遮断剤を使用しなかった。
【0006】
したがって、IL-33の検出のための新しいアッセイおよび方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Nygaard,U.,et a l.,SpringerPlus,5:33(2016)
【非特許文献2】Ketelaar,M.E.,Clin Exp Allergy,46(6):884~7(2016)
【非特許文献3】Riviere,E.et al.,Ann Rheum Dis,75(3):633-5(2016)
【非特許文献4】Zhong,Z.D.,et al.,AAPS J,19:1564(2017)
【非特許文献5】Tate,J.,et al.Clin Biochem Rev.2004,25(2):105~120
【非特許文献6】Doucet,J.et al.,Disease Markers,35(5):465~474(2013)
【発明の概要】
【0008】
サイトカインを検出および定量するための方法および組成物が提供される。開示されるアッセイは、市販のアッセイおよび/または対照アッセイと比較して、アッセイ干渉が低減されている。干渉は、サイトカイン依存性、サイトカイン非依存性、またはその両方であり得る。一実施形態は、試料中に存在する内因性可溶性IL-33結合分子によって引き起こされるアッセイ干渉を低減するIL-33イムノアッセイを提供する。例示的な可溶性IL-33結合分子としては、抗IL-33抗体、可溶性ST2受容体、および血清成分が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、試料中のIL-33複合体の酸解離後に試料中のIL-33複合体が再形成するのを低減、阻害、または遮断するために、遮断剤を試料に添加する。一実施形態では、遮断剤および検出試薬は、IL-33への結合について競合しない。
【0009】
別の実施形態は、電気化学発光イムノアッセイを使用して、ヒト血清試料中の総IL-33の濃度を決定する方法を提供する。このアッセイは、試料中に存在する可溶性リガンド:薬物複合体を解離して、薬物の存在下でIL-33の検出を改善するための、血清試料の酸前処理を含み、このようにして、総IL-33のレベルの定量測定を提供する。この実施形態では、この手順は、捕捉試薬としてビオチン化抗ヒトIL-33抗体とともに、ストレプトアビジンコーティングされたプレートを使用し、組み換えIL-33を標準として利用する。標準物質、対照、および試料は、酢酸で希釈され、検出試薬、例えば、ルテニウム標識抗ヒトIL-33抗体を含有するTris塩基溶液を使用して中和される。抗IL-33抗体および抗ST2受容体抗体に結合する抗体も、薬物(すなわち、抗体をIL-33に結合する抗体)または内因性可溶性ST2受容体からの干渉を最小限に抑えるために、Tris溶液に添加される。次いで、中和した標準物質、対照、および試料はプレートに添加される。プレート上に捕捉されたIL-33は、プレートリーダーで、電圧がプレートに印加されるとルテニウム標識によって生成される化学発光シグナルによって測定される。得られる電気化学発光シグナル(すなわち、カウント)は、血清試料中に存在するIL-33の量に比例する。
【0010】
一実施形態では、本方法は、12.5pg/mLの感度および50ng/mL超のST2許容性を有する。
[本発明1001]
アッセイ干渉を減少させる方法であって、
試料を、前記試料中のIL-33複合体からIL-33を解離するのに十分なpHに酸性化するステップと、
続いて、検出試薬と、任意選択でIL-33複合体形成を阻害する遮断剤とを含む緩衝塩基性溶液で前記酸性化試料を中和するステップと、
捕捉試薬を前記試料に添加するステップと、
前記検出剤を検出するステップと
を含み、検出された前記検出試薬の量が、前記試料中の前記IL-33の量と相関する、前記方法。
[本発明1002]
前記試料が、血液、血清、または血漿を含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記試料が、IL-33製剤を投与された対象に由来する、本発明1002の方法。
[本発明1004]
前記IL-33製剤が抗IL-33抗体を含む、本発明1003の方法。
[本発明1005]
前記IL-33複合体が、タンパク質に非共有結合したIL-33を含む、本発明1001~1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記タンパク質が内因性血清タンパク質である、本発明1005の方法。
[本発明1007]
前記タンパク質が、ST2またはそのIL-33結合断片である、本発明1005の方法。
[本発明1008]
前記タンパク質が、抗IL-33抗体またはそのIL-33結合断片である、本発明1005の方法。
[本発明1009]
前記試料が、3~5のpHに酸性化される、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記試料が、5~60分間酸性化される、本発明1001~1009のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記検出試薬が、検出可能な標識にコンジュゲートされた抗IL-33抗体を含む、本発明1001~1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記検出試薬が、希少遷移金属粒子、フルオロフォア、発色団、量子ドット、および貴金属ナノ粒子からなる群から選択される検出可能な作用物質を含む、本発明1001~1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
前記検出試薬がルテニウムで標識される、本発明1001~1012のいずれかの方法。
[本発明1014]
前記捕捉試薬が固体支持体にコンジュゲートされる、本発明1001~1013のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記捕捉試薬がビオチン化される、本発明1001~1014のいずれかの方法。
[本発明1016]
前記試料が酢酸で酸性化される、本発明1001~1015のいずれかの方法。
[本発明1017]
前記遮断剤が抗体である、本発明1001~1016のいずれかの方法。
[本発明1018]
前記遮断剤が抗ST2抗体である、本発明1001~1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
前記捕捉試薬が、前記酸性化ステップ中に前記試料に添加される、本発明1001~1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
前記検出剤が、前記中和ステップの後に前記試料に添加される、本発明1001~1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
前記捕捉試薬および前記検出試薬が、前記中和ステップの後に前記試料に添加される、本発明1001~1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
12.5pg/mLの感度を有する、本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
50ng/mL超のST2許容性を有する、本発明1001~1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
炎症性疾患または障害と診断された、またはそれを有する疑いがある対象から、前記試料が得られる、本発明1001~1023のいずれかの方法。
[本発明1025]
喘息、慢性閉塞性肺疾患、またはアトピー性皮膚炎と診断された、またはそれを有する疑いがある対象から、前記試料が得られる、本発明1001~1024のいずれかの方法。
[本発明1026]
前記固体支持体が、電気化学発光プラットフォームである、本発明1014~1025のいずれかの方法。
[本発明1027]
前記IL-33の量が、検出された検出試薬の量を所定の参照基準と相関させることによって決定される、本発明1001~1026のいずれかの方法。
[本発明1028]
血清試料中のインターロイキン-33を定量する方法であって、
前記血清試料を、前記試料中のIL-33複合体を解離するのに十分なpHに酸性化するステップと、
(a)検出可能な標識で標識された抗ヒトIL-33抗体と、任意選択で(b)抗ヒトST2抗体とを含む緩衝塩基性溶液で、前記酸性化試料を中和するステップと、
前記試料を、ビオチン化抗ヒトIL-33抗体を含むアビジンコーティングされた固体支持体に添加するステップと、
前記アビジンコーティングされた固体支持体上で前記検出可能な標識を検出するステップと
を含み、検出された前記検出可能な標識の量が、前記試料中の前記IL-33の量と相関する、前記方法。
[本発明1029]
前記固体支持体が、ストレプトアビジンコーティングされた電気化学発光プラットフォームである、本発明1028の方法。
[本発明1030]
前記検出可能な標識がルテニウムである、本発明1028または1029のいずれかの方法。
[本発明1031]
前記抗ヒトST2抗体が、前記試料中のIL-33へのST2の結合を低減するのに十分な量で存在する、本発明1028~1030のいずれかの方法。
[本発明1032]
12.5pg/mLの感度および50ng/mL超のST2許容性を有する、本発明1028~1030のいずれかの方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1)本発明の実施形態による例示的なアッセイスキームの図である。
図2A)rhST2(ng/mL)の濃度に対する回収率の折れ線グラフである。(■)C-AD 酸処理あり;(●)C-AD 酸無し;(□)C-A-D 酸処理あり;(○)C-A-D 酸無し。
図2B)示される条件下でアッセイされた3つの個体(個体1、個体2、および個体3)由来の血清中の内因性IL-33検出を示す棒グラフである。C-A-D 酸無し、C-AD 酸無し、C-A-D 酸、およびC-AD 酸。
図3)改変アッセイ、rST2の添加、および抗IL-33モノクローナル抗体の添加を使用した、個体1および個体3由来の血清中の内因性IL-33特異性を示す棒グラフである。
図4)アッセイが正確であることを示す複数の測定後の個体1および個体3のIL-33濃度(pg/mL)のグラフである。
図5)示される条件下でアッセイされた抗IL-33モノクローナル抗体の存在下でIL-33を検出するための方法の許容性を示す折れ線グラフである。C-AD 酸処理あり、およびC-A-D- 酸処理あり。
図6)正常な個体および喘息、COPD、およびアトピー性皮膚炎を有する個体由来の血清中の内因性IL-33(pg/mL)のグラフである。4つの異なる集団からそれぞれ25の個体を商業ベンダーから購入し、酸処理を伴うC-ADアッセイを使用して、内因性IL-33についてスクリーニングした。
図7A図7Aおよび図7Bは、処置されたマウスおよび対照マウス由来のヒトIL-33(pg/mL)を示すグラフである。
図7B図7Aおよび図7Bは、処置されたマウスおよび対照マウス由来のヒトIL-33(pg/mL)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
I.定義
本明細書に記載の組成物および方法、ならびに記載の実験条件は変化し得るので、本開示は、これらに限定されないことを理解されたい。また、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためであり、限定することを意図するものではないと理解されるべきである。
【0013】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。なお、本明細書に記載されるものと類似または同等のあらゆる組成物、方法、および材料は、本発明の実施または試験に使用することができる。言及されているすべての刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0014】
「結合分子」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の標的と特異的に相互作用し、それに結合する分子を指すことが意図される。標的は、生物学的または小(化学的)分子を含み得る。標的分子は、抗原または抗原部分を定義し得る。結合分子の例としては、抗体(モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ならびに抗体断片を含む)、融合タンパク質、および当業者に既知である他の抗原結合分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
「抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、結合分子の例であり、ジスルフィド結合によって相互結合した4つのポリペプチド鎖、すなわち2つの重鎖(H)鎖、および2つの軽鎖(L)鎖を一般的に含む免疫グロブリンを指す。各重鎖は、重鎖可変領域(HCVRまたはV)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、C1、C2、およびC3の3つのドメインを含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(LCVRまたはV)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(C1)を含む。V領域およびV領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が点在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域へとさらに細分することができる。各VおよびVは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かってFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順番で配置される、3つのCDRおよび4つのFRから構成される。
【0016】
本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」もしくは「抗体断片」)という用語は、抗原(例えば、hIL-33)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって実行され得ることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語内に包含される結合断片の例としては、(i)Fab断片、V、V、C1、およびC1ドメインを含む一価断片、(ii)F(ab′)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって結合された2つのF(ab)′断片を含む二価断片、(iii)VおよびC1ドメインを含むFc断片、(iv)抗体の単一アームのVおよびVドメインを含むFv断片、(v)VHドメインを含むdAb断片(Ward、E.S.,et al.、Nature 241:544~546(1989))、および(vi)CDRが挙げられる。さらに、Fv断片の2つのドメインであるVおよびVは、別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、組換え方法を使用して、VおよびV領域が対になって一価分子を形成する単一の連続鎖として作製されることを可能にする合成リンカーによって結合され得る(単一鎖Fv(scFv)として知られており、例えば、Bird,R.E.,et al.,Science 242:423~426(1988)、およびHuston,J.S.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879~5883(1988)を参照されたい)。かかる一本鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語の中に包含されるように意図される。ダイアボディなどの他の形態の一本鎖抗体もまた包含される(例えば、Holliger,P.,et al.,Proc.Natl.Acad Sci.USA 90:6444~6448(1993)を参照されたい)。
【0017】
「CDR」または相補性決定領域は、「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれる、より保存された領域内に点在する超可変領域である。FRは、ヒト生殖系列配列と同一であってもよく、または天然にもしくは人工的に修飾されてもよい。
【0018】
「エピトープ」という用語は、抗体分子の可変領域における、パラトープとして知られる特異的な抗原結合部位と相互作用する、抗原決定基である。単一の抗原は、2以上のエピトープを有し得る。エピトープは、立体配座または線状のいずれかであり得る。立体配座エピトープは、線状ポリペプチド鎖の異なるセグメント由来の空間的に並置されたアミノ酸によって産生される。線状エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基によって産生されるものである。特定の状況では、エピトープは、抗原上の糖、ホスホリル基、またはスホニル基の部分を含み得る。
【0019】
「アッセイ干渉」という用語は、IL-33抗体または抗IL-33抗体などの分析物の検出を遮断または阻害するアッセイにおける内因性成分を指す。分析物の測定可能な濃度を変化させるか、または抗体結合を変化させる物質は、イムノアッセイ干渉を潜在的にもたらし得る。アッセイ干渉は、分析物依存性または非依存性であり得る。分析物非依存干渉は、溶血、脂肪血症、ならびに抗凝固剤および試料貯蔵の作用の一般的な干渉を指し、分析物濃度に依存しない。イムノアッセイにおける分析物依存干渉は、試料中の成分と1つ以上の試薬抗体との相互作用を指す。それらには、化学的相違があるが、抗体と交差反応する構造的類似性を有する化合物が含まれる。天然の多反応性抗体または自己抗体(異好性)、ヒト抗動物抗体、または抗薬物抗体(ADA)である、干渉する内因性物質、ならびに個体に特有の他の思いもよらない結合タンパク質は、イムノアッセイにおいて分析物と試薬抗体との間の反応を干渉し得る。干渉は、分析物の可溶性結合標的、分析物の可溶性受容体を含むがこれらに限定されない分析物の内因性リガンド、分析物の可溶性リガンド、分析物のシェディングされた受容体、またはリウマチ因子およびビオチンなどの血清因子によって引き起こされ得る。干渉は、分析物に対する抗体によって引き起こされ得る。
【0020】
「ST2」という用語は、インターロイキン-1受容体様1(IL-1RL1)とも称されるIL-33の受容体を指す。ST2は、膜結合または可溶性であり得る。
【0021】
「イムノアッセイ」という用語は、免疫特異的に分析物に直接または間接的に結合する結合部分が組み込まれた検出アッセイを指す。一般的に、結合部分は抗体である。抗体は、検出可能な標識で標識することができる。
【0022】
「IL-33複合体」という用語は、IL-33と、血液、血漿、または血清の成分との非共有結合を指す。一般的に、IL-33複合体は、タンパク質、例えば、タンパク質製剤、抗薬物抗体、IL-33のリガンド、またはこれらの組み合わせに非共有結合したIL-33を含有する。
【0023】
II.IL-33検出および定量アッセイならびにその使用方法
IL-33の検出および定量化のためのアッセイならびに方法が提供される。開示されたアッセイおよび方法を使用して、試料中のIL-33を検出ならびに定量することができる。一実施形態では、試料は、IL-33アンタゴニストまたはIL-33による治療を受けた、または治療を受けている対象から得られる。
【0024】
開示されたアッセイは、市販のアッセイおよび/または対照アッセイと比較して、アッセイ干渉が低減している。干渉は、IL-33依存性、IL-33非依存性、またはその両方であり得る。一実施形態では、本方法は、試料中に存在する内因性可溶性IL-33結合分子によって引き起こされるアッセイ干渉を低減または阻害する。例示的な可溶性IL-33結合分子としては、抗IL-33抗体、可溶性ST2、および血清成分が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、試料中のIL-33複合体の酸変性後に試料中のIL-33複合体が再形成するのを低減、阻害、または遮断するために、遮断剤を試料に添加する。一実施形態では、遮断剤および検出試薬は、IL-33への結合について競合しない。
【0025】
一実施形態では、本方法は、12.5pg/mLの感度および50ng/mL超のST2許容性を有する。
【0026】
A.インターロイキン33
一実施形態では、IL-33または「ヒトインターロイキン-33」または「ヒトIL-33」は、270個のアミノ酸の、完全長で未処理のIL-33(例えば、UniProtKB受託番号O95760および米国特許出願公開第20180155436号を参照されたい、これらの両方は、それらの全体が参照により組み込まれる)、もしくはその生物学的に活性な断片、ならびに細胞内の処理から生じるIL-33のあらゆる形態を指す。本用語は、IL-33の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント(例えば、Hong,et.al.,(2011),J.Biol.Chem.286(22):20078~20086を参照されたい)、もしくは対立遺伝子バリアント、またはIL-33の他の任意のアイソフォーム、例えば、WO2016/156440に記載のIL-33の酸化型もしくは還元型も包含する。抗体もしくはその抗原結合断片によって、またはIL-33トラップによって中和、阻害、遮断、抑止、減弱、低減、または干渉され得るIL-33の活性には、IL-33受容体媒介性シグナル伝達の阻害、またはIL-33媒介性炎症の阻害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
B.IL-33の検出方法
一実施形態は、試料中のIL-33複合体を解離するのに十分なpHに試料を酸性化し、酸性化試料を緩衝塩基溶液で中和することによる、試料中のIL-33の検出方法を提供する。IL-33を検出するために、捕捉試薬および検出試薬も試料に添加される。特定の実施形態では、試料中の成分がIL-33に結合するのを阻害、低減、または遮断するために、遮断剤が試料に添加される。
【0028】
別の実施形態は、試料を、試料中のIL-33複合体からIL-33を解離するのに十分なpHに酸性化し、その後、検出試薬を含有する緩衝塩基性溶液で酸性化試料を中和することによって、アッセイ干渉を減少させる方法を提供する。任意選択で、試料中のIL-33複合体の再形成を阻害する遮断剤は、別個のステップで試料に添加することができるか、または緩衝塩基性溶液中に存在することができる。本方法は、捕捉試薬を試料に添加することと、検出剤を検出することとを含み、検出された検出試薬の量は、試料中のIL-33の量と相関する。捕捉剤は、別個のステップとして添加することができるか、または酸性化ステップに、もしくは緩衝塩基性溶液中に存在することができる。一般的に、試料中に存在するIL-33複合体は、可溶性ST2と非共有結合的に結合したIL-33を含有する。
【0029】
別の実施形態は、血清試料を、試料中のIL-33複合体を解離するのに十分なpHに酸性化し、その後、(a)検出可能な標識で標識された抗ヒトIL-33抗体と、任意選択で(b)抗ヒトST2抗体とを含有する緩衝塩基性溶液で酸性化試料を中和することによって、血清試料中のインターロイキン-33を定量する方法を提供する。本方法は、試料を、ビオチン化抗ヒトIL-33抗体を含有するストレプトアビジンコーティングされた固体支持体に添加することと、アビジンコーティングされた固体支持体上で検出可能な標識を検出することとを含み、検出される検出可能な標識の量は、試料中のIL-33の量と相関する。
【0030】
別の実施形態は、電気化学発光イムノアッセイを使用して、ヒト血清試料中の総IL-33の濃度を決定する方法を提供する。アッセイは、試料中に存在する可溶性リガンド:薬物複合体を解離して、薬物の存在下でIL-33の検出を改善するための、血清試料の酸前処理を含み、このようにして、総IL-33のレベルの定量測定を提供する。リガンド:薬物複合体としては、抗IL-33抗体に非共有結合したIL-33が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な抗IL-33抗体は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第10,000,564号および同第9,453,072号に開示されている。この実施形態では、この手順は、ビオチン化抗ヒトIL-33抗体を捕捉試薬として用いてストレプトアビジンコーティングされたプレートを使用し、組換えIL-33を標準物質として利用する。標準物質、対照、および試料は、酢酸で希釈され、検出試薬、例えば、ルテニウム標識抗ヒトIL-33抗体を含有するTris塩基溶液を使用して中和される。抗IL-33抗体および抗ST2受容体抗体に結合する抗体も、薬物または内因性可溶性ST2受容体からの干渉を最小限に抑えるためにTris溶液に添加される。次いで、中和された標準物質、対照、および試料をプレートに添加する。プレート上に捕捉されたIL-33は、プレートリーダーで、電圧がプレートに印加されるとルテニウム標識によって生成される化学発光シグナルによって測定される。得られる電気化学発光シグナル(すなわち、カウント)は、血清試料中に存在するIL-33の量に比例する。
【0031】
一実施形態では、試料中で検出される標識の量は、IL-33の既知の濃度と、その濃度に対する対応する検出標識量とで校正された参照標準と比較される。試料中のIL-33の量は、試料中の検出標識量を参照標識と比較し、検出標識量を、その検出標識量に対して参照標識について示される濃度とマッチングさせることによって決定することができる。
【0032】
1.生体試料
開示される方法において使用される試料は典型的に、検出される分析物、例えば、IL-33またはその複合体を含有する生体体液などの生体試料である。生体体液としては、血液、血漿、血清、および唾液が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、生体試料は、ヒト生体試料である。
【0033】
特定の実施形態では、試料は、炎症状態、疾患、または障害を有するか、または有する疑いのある対象から得られる。代表的な炎症状態、疾患、および障害としては、クローン病、大腸炎、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、好酸球性食道炎、鼻ポリープ、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
検出される分析物は、一般的に、対象、好ましくはヒト対象から採取された血清の成分である。試料中で検出および/または定量される代表的な分析物としては、サイトカイン、タンパク質製剤、および代謝産物またはその断片が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
代表的なサイトカインとしては、インターロイキンが挙げられる。インターロイキンとしては、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-27、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-34、IL-35、およびIL-36が挙げられる。一実施形態では、分析物は、IL-33である。
【0036】
代表的なタンパク質製剤としては、組換えタンパク質、抗体、および融合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。抗体は、多反応性抗体または自己抗体(異好性)、ヒト抗動物抗体、または抗薬物抗体であり得る。一実施形態では、タンパク質製剤は、抗IL-33抗体である。
【0037】
2.IL-33のリガンド
IL-33のリガンドは、IL-33に非共有結合する分子であり、分析物の抗体または可溶性結合標的などの試料中の内因性成分を含むがこれらに限定されず、IL-33の内因性リガンドは、IL-33の可溶性受容体、IL-33の可溶性リガンド、および分析物のシェディングされた受容体を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、IL-33のリガンドは、可溶性ST2受容体または可溶性共受容体IL-1受容体アクセサリータンパク質(IL-1RAcP)である。
【0038】
ST2(IL1RL1、DER4、T1、およびFIT-1としても知られている)は、Toll様/IL-1受容体スーパーファミリーのメンバーである。このスーパーファミリーのメンバーは、共通の細胞内ドメイン、Toll/インターロイキン-1受容体(TIR)ドメインによって定義される。約160個のアミノ酸のこのドメインは、タンパク質の細胞質末端に位置する5つのαヘリックスで囲まれた中央の5本鎖βシートから構成される。Toll様/IL-1受容体スーパーファミリーは、それらの細胞外ドメインに基づいて、IL-1受容体様サブファミリー、Toll受容体サブファミリー、およびそれらのアダプタータンパク質で構成されるファミリーの3つのサブファミリーに分けることができる。
【0039】
3.IL-33複合体の酸変性
開示される方法における試料は、1~60分間酸性化され得る。一実施形態では、試料は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13,14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60分間酸性化される。
【0040】
酸性化ステップにおいて使用することができる酸としては、酢酸、塩酸、および硫酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
IL-33複合体を解離するのに十分なpHは、3.0~5.0であり得る。一実施形態では、pHは、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5.0である。
【0042】
一実施形態では、尿素を含むが、これに限定されないIL-33複合体を解離するために、変性剤を試料に添加することができる。
【0043】
4.遮断剤
開示される方法において使用される遮断剤は、IL-33複合体が酸性化ステップで解離された後の試料中のIL-33複合体の再形成を低減または防止する作用物質である。試料が対象、例えばヒト対象から採取されるとき、試料は典型的に、検出または定量されるIL-33複合体を含有する。遮断剤は、IL-33以外のIL-33複合体の成分に免疫特異的に結合する抗体であり得る。一実施形態では、遮断剤は、抗ST2抗体である。
【0044】
一実施形態では、遮断剤は、IL-33製剤に結合する抗体、例えば、抗IL-33抗体に結合する抗体である。
【0045】
5.検出試薬
開示される方法において使用される検出試薬は、IL-33アンタゴニストまたは阻害剤、例えば、抗IL-33抗体、好ましくは、抗ヒトIL-33抗体またはIL-33トラップであり得る。抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、またはヒト化抗体であり得る。
【0046】
一部の実施形態では、検出試薬は、検出可能な標識で標識される。検出可能な標識は当該技術分野で既知であり、希少遷移金属粒子、フルオロフォア、発色団、量子ドット、貴金属ナノ粒子、放射性部分、酵素、ビオチン/アビジン標識、および化学発光標識が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、検出可能な標識は、ルテニウムである。
【0047】
a.抗IL-33アンタゴニスト
特定の実施形態では、開示されるアッセイおよび方法において使用することができるIL-33アンタゴニストまたは阻害剤は、ヒトIL-33に特異的に結合する抗IL-33抗体または抗体の抗原結合断片である。一実施形態では、開示される方法およびアッセイで使用するための本明細書に記載の抗IL-33抗体は、参照によりそれらの全体が組み込まれる米国特許第10,000,564号および第9,453,072号に開示されている。
【0048】
開示されるアッセイおよび方法において使用される抗IL-33抗体は、IL-33に特異的に結合する。「特異的に結合する」などの用語は、抗体またはその抗原結合断片が、生理学的条件下で比較的安定である抗原と複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するかどうかを決定するための方法は当該技術分野で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などが挙げられる。例えば、本明細書で使用される、IL-33に「特異的に結合する」抗体には、IL-33またはその生物学的に活性な部分に、表面プラズモン共鳴アッセイで測定されと、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満または約0.5nM未満のKで結合する抗体が挙げられる。しかし、ヒトIL-33に特異的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種由来のIL-33分子などの他の抗原に対して交差反応性を有し得る。
【0049】
一部の実施形態では、IL-33アンタゴニストは、米国特許第10,000,564号および同第9,453,072号に記載される抗IL-33抗体のアミノ酸配列のうちのいずれかを含む、重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)、および/または相補性決定領域(CDR)を含む、抗IL-33抗体、またはその抗原結合断片である。特定の実施形態では、IL-33アンタゴニストは、米国特許第10,000,564号および同第9,453,072号に記載の参照抗体の結合特性を有する抗IL-33抗体である。
【0050】
本明細書に記載の方法において使用され得る他の抗IL-33抗体およびその抗原結合断片は、EP1725261および米国特許第9,970,944号、同第8,187,596号、WO2011031600号、WO2015099175および米国特許第9,758,578号、WO2015106080および米国特許第10,059,764号(ANB020)、同第2016/0168242、WO2016/077381および米国特許第10,093,730号、WO2016/077366および米国特許第2018/0171405号、またはWO2016/156440および米国特許第2018/0207265号に開示されており、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる
【0051】
b.IL-33トラップ
一部の実施形態では、開示される方法およびアッセイにおいて使用することができるIL-33アンタゴニストまたは阻害剤は、受容体ベースのIL-33トラップである。例示的なIL-33トラップは、IL-33受容体タンパク質、例えば、ST2のIL-33結合部分を含有する少なくとも1つのIL-33結合ドメインを含む。特定の実施形態において、IL-33トラップは、IL-33共受容体、例えば、IL-1受容体アクセサリータンパク質、またはIL-1RAcPの細胞外部分をさらに含む。IL-33トラップはまた、トラップの様々な成分を互いに結合するように機能する少なくとも1つの多量体化成分を含み得る。
【0052】
一実施形態では、開示される方法およびアッセイで使用するために本明細書に記載のIL-33トラップは、米国特許第9,637,535号およびWO2014/152195に開示されており、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
一般に、IL-33トラップは、多量体化ドメイン(M)に結合した第1のIL-33結合ドメイン(D1)を含む。特定の実施形態では、IL-33アンタゴニストは、D1および/またはMに結合された第2のIL-33結合ドメイン(D2)を含む。特定の実施形態によれば、D1は、ST2タンパク質のIL-33結合部分を含む。ST2タンパク質のIL-33結合部分は、ST2タンパク質の細胞外ドメインのすべてまたは一部を含むか、またはそれからなり得る。特定の実施形態では、ST2タンパク質は、ヒトST2タンパク質である。本明細書で使用される場合、「ヒトST2タンパク質」とは、受託番号NP_057316.3のアミノ酸1~556に示されるST2タンパク質を指し、参照によりその全体が組み込まれる。特定の実施形態によれば、D2は、IL-1RAcPタンパク質の細胞外部分を含む。
【0054】
IL-33トラップの個々の成分は、IL-33に結合することができる機能的アンタゴニスト分子をもたらす様々な方法で互いに対して配置され得る。例えば、D1および/またはD2は、MのN末端に結合されてもよい。他の実施形態では、D1および/またはD2は、MのC末端に結合される。さらに他の実施形態では、D1は、D2のN末端に結合され、D2は、MのN末端に結合され、式D1~D2~Mで表されるアンタゴニスト分子のN末端からC末端にインライン融合をもたらす。
【0055】
特定の実施形態では、IL-33アンタゴニストは、M1およびM2の2つの多量体化ドメインを有し、M1およびM2は、互いに同一である。例えば、M1は特定のアミノ酸配列を有するFcドメインであり得、M2はM1と同じアミノ酸配列を有するFcドメインである。
【0056】
c.その他のIL-33アンタゴニスト
IL-33アンタゴニストとして作用し得、開示される方法およびアッセイで使用され得る他の作用物質としては、イムノアドヘシン、ペプチボディ、可溶性ST2、もしくはそれらの誘導体、抗IL-33受容体抗体(例えば、抗ST2抗体、例えば、AMG-282(Amgen)もしくはSTLM15(Janssen)、またはそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2012/113813および米国特許第9,309,319号、WO2013/173761および米国特許第9,982,054号、WO2013/165894および米国特許第9,951,137号、同第8,444,987号、または同第7,452,980号に記載の抗ST2抗体)のうちのいずれかが挙げられる。開示される方法およびアッセイにおいて使用するための他のIL-33アンタゴニストとしては、ST2-Fcタンパク質、例えば、各々の全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2013/173761および米国特許第9,982,054号、またはWO2013/165894および米国特許第9,951,137号に記載のものが挙げられる。
【0057】
6.捕捉試薬
一実施形態では、開示される方法およびアッセイにおいて使用される捕捉試薬は、上述のIL-33アンタゴニスト、例えば、抗体、好ましくは抗IL-33抗体、好ましくは抗ヒトIL-33抗体である。例示的な抗IL-33抗体は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第10,000,564号に開示されている。使用することができる他の抗IL-33抗体は、上記に記載されている。一実施形態では、捕捉試薬は、ビオチン化される。
【0058】
一部の実施形態では、捕捉試薬は、固体支持体に固定されるか、または固体支持体に結合される。固体支持体は、マイクロプレート、例えば、ストレプトアビジンコーティングされたマイクロプレートであり得る。
【0059】
一部の実施形態では、捕捉試薬は、上述のIL-33アンタゴニストである。
【0060】
C.コンパニオン診断
一実施形態では、IL-33を検出および定量するための開示される方法およびアッセイは、治療される対象におけるIL-33の循環レベルを低下させるよう、または治療される対象におけるIL-33の循環レベルを上昇させるように設計された治療と組み合わせて、コンパニオン診断方法として使用される。治療は、IL-33アンタゴニストの投与またはIL-33の投与を含み得る。例示的なIL-33アンタゴニストは、上述のものであり、抗IL-33抗体、抗IL-33融合タンパク質、sSTデコイ受容体、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
一実施形態は、上述のIL-33アンタゴニストの投与またはIL-33の投与を含む治療を受けている対象におけるIL-33関連疾患の治療のモニタリング方法を提供する。IL-33阻害剤またはIL-33で治療される代表的な疾患、障害、または病態としては、喘息、好酸球性または非好酸球性喘息、アトピー性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性腸疾患、クローン病、大腸炎、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、関節炎、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、好酸球性食道炎、乾癬、鼻ポリープ、アルツハイマー病、アテロース硬化症、心筋梗塞、虚血性脳卒中、および線維性状態(これに限定されないがデュピュイトレン病、肩関節周囲炎、関節周囲線維症、ケロイドまたは肥厚性瘢痕、子宮内膜症、腹部癒着、神経周囲線維症、レダーホース病、ペロニー病、腱周囲癒着、および関節周囲線維症)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
上述のIL-33アンタゴニストを含有する1つ以上の医薬組成物(例えば、特にIL-33が関与する作用機序に関連する医薬品)による、抗炎症療法による、または免疫吸収療法による、対象の処置の前および後に、対象における循環IL-33レベルを評価、検出、または定量する(または、そのような処置の後にIL-33が評価され、IL-33の濃度もしくは量が、所定のレベルと、または処置の前に対象において測定されたレベルと比較される)ために、本明細書に記載の方法およびアッセイを使用することができる。治療後に観察されるIL-33の好ましくない濃度の量は、対象がさらなる治療または継続的な治療を受けることから恩恵を受けないことを裏付けるが、治療後に観察されるIL-33の好ましい濃度または量は、対象がさらなる治療または継続的な治療を受けることから恩恵を受けることを裏付ける。
【0063】
一実施形態では、IL-33阻害剤が組み込まれた治療を受ける対象からの試料において、開示される方法およびアッセイによって検出される、IL-33の好ましくない濃度は、治療前の対象において測定されるレベルと同じまたはそれよりも高いIL-33のレベルである。一実施形態では、IL-33阻害剤が組み込まれた治療を受ける対象からの試料において、開示される方法およびアッセイによって検出される、IL-33の好ましい濃度は、治療前に対象からの試料で測定されるIL-33のレベルよりも低いIL-33のレベルである。
【0064】
別の実施形態では、IL-33を組み込む治療を受ける対象からの試料において、開示される方法およびアッセイを使用して検出される、IL-33の好ましくない濃度は、治療前に対象からの試料において測定されるIL-33のレベルよりも低いレベルである。別の実施形態では、IL-33を組み込んだ治療を受ける対象からの試料において、開示される方法およびアッセイを使用して検出される、IL-33の好ましい濃度は、治療前の対象からの試料で測定されるIL-33のレベルよりも高いIL-33のレベルである。
【0065】
循環IL-33レベルの確認により、臨床試験の管理、および改善された患者ケアの提供が促進される。
【0066】
III.キット
試験試料中のIL-33(またはその断片)の存在、量または濃度について試験試料をアッセイするためのキットも提供される。このキットは、IL-33(またはその断片)について試験試料をアッセイするための少なくとも1つの成分、およびIL-33(またはその断片)について試験試料をアッセイするための説明書を含む。
【0067】
一実施形態では、キットは、上述の検出試薬、上述の捕捉試薬、固体支持体、他の試薬、およびアッセイを行うための書面による説明書を含む。検出試薬および捕捉試薬は、モノクローナル抗体(もしくはその、断片、バリアントもしくはバリアントの断片)、融合タンパク質、IL-33トラップ、または任意選択で固相上に固定化されたアパタマーなど、上述と同じまたは異なるIL-33アンタゴニストであり得る。
【0068】
検出試薬は、一般的に、化学発光標識などの検出可能な標識で標識される。検出試薬は、本明細書に記載の検出可能な標識、例えば、フルオロフォア、放射性部分、酵素、ビオチン/アビジン標識、発色団、化学発光標識などを組み込むことができるか、またはキットは、検出可能な標識化を行うための試薬を含み得る。抗体、キャリブレータ、および/または対照は、別個の容器で提供され得るか、または適切なアッセイフォーマット、例えば、マイクロタイタープレートに予め分配され得る。一実施形態では、IL-33検出試薬は、ルテニウムで標識される。
【0069】
一部の実施形態では、このキットは、ビオチン標識捕捉試薬およびストレプトアビジンコーティングされた固体支持体、例えば、マイクロタイタープレートまたは電気化学発光プラットフォームを含有する。一部の実施形態では、捕捉試薬およびマイクロタイタープレートまたは電気化学発光プラットフォームは、別個の容器で提供される。他の実施形態では、このキットは、捕捉試薬でコーティングされたマイクロタイターまたは電気化学発光プラットフォームプレートを含有する。このキットはまた、試料を処理するための上述の酸性溶液および緩衝液も含有する。
【0070】
本キットは、キャリブレータまたは対照、例えば、単離されたまたは精製されたIL-33を含み得る。キットは、アッセイを行うための少なくとも1つの容器(例えば、チューブ、マイクロタイタープレートもしくはストリップもしくは電気化学発光プラットフォーム)、および/またはアッセイ緩衝液もしくは洗浄緩衝液などの緩衝液を含み得、これらのいずれか1つは、濃縮溶液、検出可能な標識のための基質溶液(例えば、酵素標識)、または停止溶液として提供され得る。好ましくは、キットは、アッセイを行うために必要なすべての成分、すなわち、試薬、標準物質、緩衝液、希釈剤などを含む。説明書は、紙形式またはコンピュータ可読形式であり得る。
【0071】
任意選択で、キットは、品質管理コンポーネント(例えば、感度パネル、キャリブレータ、および陽性対照)を含む。品質管理試薬の調製は、当該技術分野で周知であり、様々な免疫診断用製品の挿入シートに記載されている。感度パネルメンバーは、アッセイ性能特性を確立するために任意選択で使用され、さらに任意選択で、イムノアッセイキット試薬の完全性、およびアッセイの標準化の有用な指標である。
【0072】
このキットはまた、任意選択で、診断アッセイを行うため、または緩衝液、塩、酵素、酵素補因子、酵素基質、検出試薬などの品質管理評価を容易にするために必要とされる他の試薬を含むことができる。試験試料(例えば、前処理試薬)の単離および/または処理のための緩衝液および緩衝溶液などの他の成分も、キットに含めることができる。本キットは、さらに、1つ以上の他の対照を含むことができる。キットの成分のうちの1つ以上は、凍結乾燥され得る。この場合、キットは、凍結乾燥された成分の再構成に好適な試薬をさらに含むことができる。
【0073】
キットの様々な成分は、必要に応じて、好適な容器、例えば、マイクロタイタープレートに任意選択的で提供される。このキットは、試料(例えば、尿試料のための容器またはカートリッジ)を保持または保管するための容器をさらに含むことができる。適切な場合、キットは、任意選択で、反応容器、混合容器、および試薬または試験試料の調製を容易にする他の成分を含有することもできる。本キットはまた、シリンジ、ピペット、鉗子、測定スプーンなどの試験試料の取得を補助するための1つ以上の器具を含むことができる。
【実施例0074】
実施例I:アッセイフォーマット
図1は、IL-33を検出するための例示的なアッセイの図である。IL-33を定量するためのこの方法は、電気化学発光プラットフォーム上でのサンドイッチイムノアッセイである。本手順は、ストレプトアビジンコーティングされたマイクロプレートを使用し、ビオチン化抗IL-33抗体を捕捉試薬として使用する。方法は、試料中に存在する可溶性リガンド:結合パートナー複合体を解離して、結合パートナー、例えば、抗IL-33治療薬および/または可溶性ST2の存在下でのIL-33の検出を改善するための、血清試料の酸前処理を含み、このようにして、総IL-33のレベルの定量測定を提供する。次いで、一実施形態ではIL-33への結合について可溶性ST2受容体及び薬物と競合し得る標識された抗IL-33検出抗体を含有する塩基性溶液中で、酸性化試料を中和した。
【0075】
使用することができる例示的な酸としては、酢酸、硫酸、および塩酸が挙げられるが、これらに限定されない。試料は、緩衝塩基性溶液、例えば、Tris溶液を使用して中和することができる。
【0076】
使用することができる例示的なIL-33抗体は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第10,000,564号に記載されている。開示される方法において使用することができる他の抗IL-33抗体としては、米国特許第9,758,578号および米国特許出願公開第2018/0037644号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
一実施形態では、標準物質、対照、および試料を、酢酸で希釈し、検出試薬、例えば、ルテニウム標識抗ヒトIL-33抗体を含有するTris塩基溶液を使用して中和する。抗IL-33抗体および抗ST2抗体も、薬物または内因性結合パートナーからの干渉を最小限に抑えるためにTris溶液に添加される。次いで、中和した標準物質、対照、および試料をプレートに添加する。プレート上に捕捉されたIL-33は、プレートリーダーで、電圧がプレートに印加されるとルテニウム標識によって生成される化学発光シグナルによって測定される。得られる電気化学発光シグナル(すなわち、カウント)は、血清試料中に存在するIL-33の量に比例する。
【0078】
実施例II:内因性結合パートナー干渉の最小化
材料および方法
組換えヒトST2許容性を、アッセイの4つの異なる条件(後述)を使用して試験し、すべての条件の最初の(捕捉)ステップは、ビオチン化抗IL-33モノクローナル抗体をストレプトアビジンプレートに添加することであった。
【0079】
段階的進行で行うアッセイ(捕捉-分析物-検出、C-A-D)のために、試料(分析物、IL-33を含有する)をまず酸性溶液で希釈して、インキュベートさせた。次いで、プレートを洗浄し、さらに酸性化試料を塩基性中和緩衝液で希釈してから、アッセイプレートに添加した。試料インキュベーションの後、アッセイプレートを洗浄し、標識された検出モノクローナル抗体溶液を添加する。検出試薬インキュベーションの後、プレートを洗浄し、緩衝液を添加して、プレートを読み取る。このアッセイはまた、酸性化ステップなしで行ない、このアッセイでは、アッセイプレートに試料を添加する前に、試料をアッセイ緩衝液で希釈した。
【0080】
分析物およびディテクターを同時に添加して行うアッセイ(C-AD)のために、まず試料を酸性溶液で希釈し、インキュベートさせた。プレートを洗浄し、次いで、酸性化試料を、標識された検出モノクローナル抗体を含有する塩基性中和緩衝液でさらに希釈してから、アッセイプレートに添加した。試料インキュベーションの後、プレートを洗浄し、緩衝液を添加して、プレートを読み取る。このアッセイはまた、酸性化ステップなしで行ない、このアッセイでは、試料をまずアッセイ緩衝液で希釈した後、標識された検出モノクローナル抗体を含有するアッセイ緩衝液で次の希釈を行い、その後、アッセイプレートに試料を添加した。
【0081】
36pg/mLの組換えIL-33を、図2Aに示すように、濃度を上昇させた組換え可溶性ST2の存在下で、上述のように、アッセイの4つの異なる条件下で試験した。
【0082】
結果
酸処理は、組換えST2の存在下で組換えヒトIL-33を検出するために必要である。C-A-Dアッセイに酸処理ステップを追加することで、ST2許容性を約12ng/mLに改善させ、酸処理とともにC-ADアッセイフォーマットを使用することによって、さらにST2許容性を50ng/mL超に改善させることができる(図2A)。酸処理は、ヒト血清中の内因性IL-33の検出を改善するためにも必要である。内因性IL-33の検出は、C-A-Dアッセイフォーマットと比較すると、内因性結合パートナーからのアッセイ干渉の低減のために、C-ADアッセイフォーマットを使用して改善される(図2B)。
【0083】
実施例III:精度および特異性:内因性IL-33
材料および方法
IL-33に対するアッセイ特異性は、実施例IIに記載の酸処理を伴うC-ADアッセイで2つの異なる個体血清試料を分析することによって確認し、検出試薬を含有する塩基性中和溶液中の過剰な組換えヒトST2または200μg/mLの抗IL-33抗体を添加、添加せずの両方で試験した。
【0084】
2個体は、実施例IIに記載の酸処理を伴うC-ADアッセイを使用して試験した。データは、別々の5日間に行った4つの別個の反復測定を表す。
【0085】
結果
このアッセイは、結合パートナー、例えば、組換えST2、または抗IL-33モノクローナル抗体の中和溶液への添加がIL-33の検出を阻害するので、内因性IL-33に特異的である。図3は、内因性IL-33特異性を示す棒グラフである。
【0086】
このアッセイは、個体1および3についてそれぞれ7.1および12.3の変動係数(%CV)で許容される精度を示す。図4は、ヒト血清中の内因性IL-33を定量する際のアッセイの精度を示すグラフである。
【0087】
実施例IV:抗IL-33モノクローナル抗体の存在下でのIL-33の検出(抗IL-33モノクローナル抗体許容性)
材料および方法
図5は、抗IL-33モノクローナル抗体の存在下でIL-33を検出する方法の許容性を示す折れ線グラフである。90pg/mLの組換えIL-33を、図5に示すように、濃度を上昇させた抗IL-33モノクローナル抗体の存在下で、実施例IIに記載の酸処理を伴うC-AD方法で試験した。このアッセイを、過剰な抗薬物モノクローナル抗体および抗ST2モノクローナル抗体を中和溶液に添加することによって改変した。
【0088】
結果
酸処理は、抗IL-33モノクローナル抗体の存在下でヒトIL-33を検出するために重要である。抗薬物モノクローナル抗体および抗ST2モノクローナル抗体の添加とともに、検出試薬を中和溶液に添加することで、アッセイ中の抗IL-33モノクローナル抗体許容性を500μg/mL超に改善する。
【0089】
実施例V:正常な個体および疾患個体における内因性IL-33レベル
材料および方法
4つの異なる集団からそれぞれ25の個体を商業ベンダーから購入し、実施例IIに記載の酸処理を用いたC-ADアッセイを使用して、内因性IL-33についてスクリーニングした。
【0090】
結果
図6は、正常な個体ならびに喘息、COPD、およびアトピー性皮膚炎を有する個体由来の血清中の内因性IL-33(pg/mL)のグラフである。すべての試験個体は、31pg/mL未満のIL-33濃度をもたらした。
【0091】
実施例VI:ヒト化マウスデータ
材料および方法
ヒト化IL-33マウスを、ヒトの呼吸器疾患のモデルとして、15週間にわたってハウスダストマイト(HDM)で処理した。例示的なヒト化IL-33マウスは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許公開第20170311580号に開示されている。試料を、実施例IVに記載の酸処理を用いたC-ADアッセイの改変版で試験した。
【0092】
結果
図7Aおよび7Bは、処置されたマウスおよび対照マウス由来のヒトIL-33(pg/mL)を示す。生理食塩水対照、HDM処置対照、およびアイソタイプ対照は、処置の終了時にヒトIL-33の同様のレベルを示した。抗IL-33モノクローナル抗体を投与したマウスは、血清IL-33レベルの顕著な増加を示した。
【0093】
純血清中12.5pg/mLの感度を有する総ヒトIL-33アッセイが開発されている。まとめると、データは、酸処理ステップがIL-33内因性結合パートナーを除去するために重要であることを示す。検出抗体を中和溶液に添加することにより、組換え/内因性ST2許容性が向上する。このアッセイは、内因性ヒトIL-33に対する特異性を示している。抗IL-33抗体を投与したHDM処置マウスは、薬物の半減期を想定した結合標的に起因するヒトIL-33の増加を示し、一方、HDM対照およびアイソタイプ対照はベースラインのままであるように見えた。
【0094】
上述の明細書において、本発明は、その特定の実施形態に関連して記載されており、多くの詳細は、例示の目的のために提示されたが、本発明は、追加の実施形態の影響を受けやすく、本明細書に記載の詳細のいくつかは、本発明の基本原則から逸脱することなく、かなり変動し得ることは、当業者には明らかであろう。
【0095】
本明細書で引用されたすべての参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本発明は、その趣旨または本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてもよく、したがって、前述の明細書ではなく、本発明の範囲を示す添付の特許請求の範囲を参照する必要がある。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
【手続補正書】
【提出日】2023-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-33アッセイ干渉を減少させる方法であって、
試料を、前記試料中のIL-33複合体からIL-33を解離するのに十分なpHに酸性化するステップと、
続いて、検出試薬と、IL-33複合体形成を阻害する遮断剤とを含む緩衝塩基性溶液で前記酸性化試料を中和するステップであって、前記検出試薬と前記遮断材がIL-33への結合について競合しない、ステップと、
捕捉試薬を前記試料に添加するステップと、
前記検出試薬を検出するステップと
を含み、検出された前記検出試薬の量が、前記試料中の前記IL-33の量と相関する、前記方法。
【請求項2】
前記試料が、血液、血清、または血漿を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料が、IL-33製剤を投与された対象に由来する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記IL-33製剤が抗IL-33抗体を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記IL-33複合体が、タンパク質に非共有結合したIL-33を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質が内因性血清タンパク質である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記タンパク質が、ST2またはそのIL-33結合断片である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記タンパク質が、抗IL-33抗体またはそのIL-33結合断片である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記試料が、3~5のpHに酸性化される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記試料が、5~60分間酸性化される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記検出試薬が、検出可能な標識にコンジュゲートされた抗IL-33抗体を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記検出試薬が、希少遷移金属粒子、フルオロフォア、発色団、量子ドット、および貴金属ナノ粒子からなる群から選択される検出可能な作用物質を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記検出試薬がルテニウムで標識される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記捕捉試薬が固体支持体にコンジュゲートされる、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記捕捉試薬がビオチン化される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記試料が酢酸で酸性化される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記緩衝塩基性溶液が遮断剤を含み、前記遮断剤が抗体である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記緩衝塩基性溶液が遮断剤を含み、前記遮断剤が抗ST2抗体である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記捕捉試薬が、前記酸性化ステップ中に前記試料に添加される、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記遮断剤が、前記中和ステップの後に前記試料に添加される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記捕捉試薬および前記遮断剤が、前記中和ステップの後に前記試料に添加される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記IL-33が、12.5pg/mLの感度を有する、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記IL-33が、50ng/mL超のST2許容性を有する、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
炎症性疾患または障害と診断された、またはそれを有する疑いがある対象から、前記試料が得られる、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
喘息、慢性閉塞性肺疾患、またはアトピー性皮膚炎と診断された、またはそれを有する疑いがある対象から、前記試料が得られる、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記固体支持体が、電気化学発光プラットフォームである、請求項14に記載の方法。
【請求項27】
前記IL-33の量が、検出された検出試薬の量を所定の参照基準と相関させることによって決定される、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
血清試料中のインターロイキン-33を定量する方法であって、
前記血清試料を、前記試料中のIL-33複合体を解離するのに十分なpHに酸性化するステップと、
(a)検出可能な標識で標識された抗ヒトIL-33抗体と、(b)抗ヒトST2抗体とを含む緩衝塩基性溶液で、前記酸性化試料を中和するステップであって、前記抗ヒトIL-33抗体と前記抗ヒトST2抗体がIL-33への結合について競合しない、ステップと、
前記試料を、ビオチン化抗ヒトIL-33抗体を含むアビジンコーティングされた固体支持体に添加するステップと、
前記アビジンコーティングされた固体支持体上で前記検出可能な標識を検出するステップと
を含み、検出された前記検出可能な標識の量が、前記試料中の前記IL-33の量と相関する、前記方法。
【請求項29】
前記固体支持体が、ストレプトアビジンコーティングされた電気化学発光プラットフォームである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記検出可能な標識がルテニウムである、請求項28または29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記抗ヒトST2抗体が、前記試料中のIL-33へのST2の結合を低減するのに十分な量で存在する、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記IL-33が、12.5pg/mLの感度および50ng/mL超のST2許容性を有する、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。