(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145716
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127195
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2022557331の分割
【原出願日】2021-09-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2020173339
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】林 健二
(72)【発明者】
【氏名】谷川 昂平
(72)【発明者】
【氏名】福田 諒介
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子機器に搭載する半導体モジュールの性能向上や小型化を実現する。
【解決手段】半導体モジュールA1は、第1導電部2A及び第2導電部2Bを含む導電基板2、第1導電部2A及び第2導電部2Bに接合れた複数ずつの第1半導体素子10A及び第2半導体素子10Bを含む半導体素子10、導通部材6、入力端子41~43並びに出力端子44を備える。入力端子41は、第1導電部2Aに接続され、入力端子42、43は、入力端子41と極性が逆である。出力端子44は、第2導電部2Bに接続されている。導通部材6は、各第1半導体素子10Aと第2導電部2Bとに接続された第1導通部材61及び各第2半導体素子10Bと入力端子42、43とに接続された第2導通部材62を含む。半導体モジュールA1は、制御端子45をさらに備え、制御端子45は、導電基板2の主面201上に配置され、かつ、x方向及びy方向に直交する方向に沿って延びる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に互いに離間した主面および裏面を有する導電基板と、
前記主面に電気的に接合され且つスイッチング機能を有する少なくとも1つの半導体素子と、
前記半導体素子によってスイッチングされる主回路電流の経路を構成する導通部材と、
前記導電基板に対して前記厚さ方向に直交する第1方向の一方側に配置された第1入力端子および第2入力端子と、
前記導電基板に対して前記第1方向の他方側に配置された少なくとも1つの出力端子と、を備え、
前記導電基板は、前記第1方向に互いに離間配置された第1導電部および第2導電部を含み、
前記少なくとも1つの半導体素子は、前記第1導電部に電気的に接合された複数の第1半導体素子と、前記第2導電部に電気的に接合された複数の第2半導体素子と、を含み、
前記複数の第1半導体素子は、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に直角である第2方向に沿って互いに離間配置されており、
前記複数の第2半導体素子は、前記第2方向に沿って互いに離間配置されており、
前記第1入力端子は、前記第1導電部に電気的に接続されており、
前記第2入力端子は、前記第1入力端子とは極性が逆であり、
前記出力端子は、前記第2導電部に電気的に接続されており、
前記導通部材は、前記複数の第1半導体素子と前記第2導電部とに接続された第1導通部材と、前記複数の第2半導体素子と前記第2入力端子とに接続された第2導通部材と、を含んでおり、
前記複数の第1および第2半導体素子のうちの1つに接続された制御端子をさらに備え、
前記制御端子は、前記主面上に配置され、かつ前記厚さ方向に沿って延びる、半導体モジュール。
【請求項2】
前記第1入力端子および前記第2入力端子は、それぞれ、前記第1方向の一方側に向かって延び、かつ前記厚さ方向の一方側に向く入力側接合面を含み、
前記出力端子は、前記第1方向の他方側に向かって延び、かつ、前記厚さ方向の一方側に向く出力側接合面を含む、請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記第1入力端子および前記第2入力端子は、それぞれ、前記厚さ方向に見て前記入力側接合面の周縁に位置し、かつ当該入力側接合面の法線と交差する方向を向く入力側側面と、当該入力側側面に形成された入力側加工痕と、を有し、
前記出力端子は、前記厚さ方向に見て前記出力側接合面の周縁に位置し、かつ当該出力側接合面の法線と交差する方向を向く出力側側面と、当該出力側側面に形成された出力側加工痕と、を有する、請求項2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記第1導電部の少なくとも一部と、前記第2導電部の少なくとも一部と、前記複数の第1半導体素子と、前記複数の第2半導体素子と、前記第1導通部材と、前記第2導通部材とを覆う封止樹脂をさらに備える、請求項1ないし3のいずれかに記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記第1方向に互いに離間した第1樹脂側面および第2樹脂側面を有し、前記第2樹脂側面は、前記第1樹脂側面よりも前記第2導電部に近い位置にあり、前記第2樹脂側面は、前記第2方向に互いに離間した2つの端部を有し、少なくともそのうちの1つの端部に樹脂分離痕が形成されている、請求項4に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの出力端子は、第1出力端子と第2出力端子とを含み、
前記封止樹脂は、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間において樹脂分離痕が形成された樹脂側面を有する、請求項4に記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの電力用スイッチング素子を備える半導体モジュールが知られている。このような半導体モジュールは、産業機器から家電や情報端末、自動車用機器まで種々の電子機器に搭載される。特許文献1には、従来の半導体モジュール(パワーモジュール)が開示されている。特許文献1に記載の半導体モジュールは、半導体素子、および、支持基板(セラミック基板)を備えている。半導体素子は、たとえばSi(シリコン)製のIGBTである。支持基板は、半導体素子を支持する。支持基板は、絶縁性の基材と、基材の両面に積層された導体層とを含む。基材は、たとえばセラミックからなる。各導体層は、たとえばCu(銅)からなり、一方の導体層には、半導体素子が接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子機器の省エネルギー化、高性能化および小型化などが求められている。そのためには、電子機器に搭載する半導体モジュールの性能向上や小型化などが必要となる。
【0005】
上記事情に鑑み、本開示は、主回路電流の経路における寄生インダクタンス成分の均等化および半導体素子への電流量の均等化を図る上で好ましいモジュール構造を有する半導体モジュールを提供することを一の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示により提供される半導体モジュールは、厚さ方向に互いに離間した主面および裏面を有する導電基板と、前記主面に電気的に接合され且つスイッチング機能を有する少なくとも1つの半導体素子と、前記半導体素子によってスイッチングされる主回路電流の経路を構成する導通部材と、前記導電基板に対して前記厚さ方向に直交する第1方向の一方側に配置された第1入力端子および第2入力端子と、前記導電基板に対して前記第1方向の他方側に配置された少なくとも1つの出力端子とを備える。前記導電基板は、前記第1方向に互いに離間配置された第1導電部および第2導電部を含む。前記少なくとも1つの半導体素子は、前記第1導電部に電気的に接合された複数の第1半導体素子と、前記第2導電部に電気的に接合された複数の第2半導体素子とを含む。前記複数の第1半導体素子は、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に直角である第2方向に沿って互いに離間配置されている。前記複数の第2半導体素子は、前記第2方向に沿って互いに離間配置されている。前記第1入力端子は、前記第1導電部に電気的に接続されている。前記第2入力端子は、前記第1入力端子とは極性が逆である。前記出力端子は、前記第2導電部に電気的に接続されている。前記導通部材は、前記複数の第1半導体素子と前記第2導電部とに接続された第1導通部材と、前記複数の第2半導体素子と前記第2入力端子とに接続された第2導通部材とを含む。
【発明の効果】
【0007】
上述の構成によれば、主回路電流の経路における寄生インダクタンス成分の均等化および半導体素子への電流量の均等化を図る上で好ましいモジュール構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態にかかる半導体モジュールの斜視図である。
【
図2】
図1の斜視図において、封止樹脂、樹脂部および樹脂充填部を省略した図である。
【
図3】
図2の斜視図において、導通部材を省略した図である。
【
図4】第1実施形態にかかる半導体モジュールを示す平面図である。
【
図5】
図4の平面図において、封止樹脂、樹脂部および樹脂充填部を想像線で示した図である。
【
図6】
図5の一部を拡大した部分拡大図であって、封止樹脂、樹脂部および樹脂充填部の想像線を省略している。
【
図8】
図5の平面図において、導通部材の一部を想像線で示した図である。
【
図9】第1実施形態にかかる半導体モジュールを示す正面図である。
【
図10】第1実施形態にかかる半導体モジュールを示す底面図である。
【
図11】第1実施形態にかかる半導体モジュールを示す左側面図である。
【
図12】第1実施形態にかかる半導体モジュールを示す右側面図である。
【
図13】
図5のXIII-XIII線に沿う断面図である。
【
図14】
図5のXIV-XIV線に沿う断面図である。
【
図16】
図5のXVI-XVI線に沿う断面図である。
【
図17】
図5のXVII-XVII線に沿う断面図である。
【
図18】
図5のXVIII-XVIII線に沿う断面図である。
【
図19】
図5のXIX-XIX線に沿う断面図である。
【
図20】第1実施形態にかかる半導体モジュールの回路構成例である。
【
図21】第1実施形態にかかる半導体モジュールの製造方法の一工程を示す平面図である。
【
図22】第1実施形態にかかる半導体モジュールの製造方法の一工程を示す断面模式図である。
【
図23】第1実施形態にかかる半導体モジュールの製造方法の一工程を示す平面図である。
【
図24】第1実施形態にかかる製造方法の一工程を示す切断部端面図であって、
図13に示す断面に対応する。
【
図25】第1実施形態にかかる半導体モジュールの製造方法の一工程を示す要部拡大断面図であって、
図13に示す断面の一部を拡大した図に対応する。
【
図26】第1実施形態にかかる半導体モジュールの製造方法の一工程を示す要部拡大断面図であって、
図14に示す断面の一部を拡大した図に対応する。
【
図27】第1実施形態にかかる半導体モジュールの製造方法の一工程を示す要部拡大断面図であって、
図14に示す断面の一部を拡大した図に対応する。
【
図28】第1実施形態にかかる半導体モジュールの製造方法の一工程を示す要部拡大断面図であって、
図13に示す断面の一部を拡大した図に対応する。
【
図29】第1実施形態にかかる半導体モジュールの製造方法の一工程を示す要部拡大断面図であって、
図14に示す断面の一部を拡大した図に対応する。
【
図30】第2実施形態にかかる半導体モジュールを示す、
図5と同様の平面図である。
【
図31】
図30の一部を拡大した部分拡大図であって、封止樹脂、樹脂部および樹脂充填部の想像線を省略している。
【
図33】第3実施形態にかかる半導体モジュールを示す、
図5と同様の平面図である。
【
図34】
図33のXXXIV-XXXIV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の半導体モジュールの好ましい実施の形態について、図面を参照して、以下に説明する。以下の説明において、同一あるいは類似の構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
図1~
図20は、第1実施形態にかかる半導体モジュールA1を示している。半導体モジュールA1は、複数の半導体素子10、導電基板2、支持基板3、複数の入力端子41~43、複数の出力端子44、複数の制御端子45、制御端子支持体5、導通部材6、第1導電性接合材71、第2導電性接合材72、複数のワイヤ731~735、封止樹脂8、樹脂部87および樹脂充填部88を備えている。
【0011】
図1は、半導体モジュールA1を示す斜視図である。
図2は、
図1の斜視図において、封止樹脂8、樹脂部87および樹脂充填部88を省略した図である。
図3は、
図2の斜視図において、導通部材6を省略した図である。
図4は、半導体モジュールA1を示す平面図である。
図5は、
図4の平面図において、封止樹脂8、樹脂部87および樹脂充填部88を想像線で示した図である。
図6は、
図5の一部を拡大した部分拡大図である。
図6においては、封止樹脂8、樹脂部87および樹脂充填部88の想像線を省略している。
図7は、
図6の一部を拡大した部分拡大図である。
図8は、
図5の平面図において、導通部材6の一部(後述の第2導通部材62)を想像線で示した図である。
図9は、半導体モジュールA1を示す正面図である。
図10は、半導体モジュールA1を示す底面図である。
図11は、半導体モジュールA1を示す左側面図である。
図12は、半導体モジュールA1を示す右側面図である。
図13は、
図5のXIII-XIII線に沿う断面図である。
図14は、
図5のXIV-XIV線に沿う断面図である。
図15は、
図14の一部を拡大した部分拡大図である。
図16は、
図5のXVI-XVI線に沿う断面図である。
図17は、
図5のXVII-XVII線に沿う断面図である。
図18は、
図5のXVIII-XVIII線に沿う断面図である。
図19は、
図5のXIX-XIX線に沿う断面図である。なお、
図2、
図3、
図7、
図14、
図18においては、複数のワイヤ731~735を省略している。
図20は、半導体モジュールA1の回路構成例である。
図20の回路図においては、複数の第1半導体素子10A(後述)および複数の第2半導体素子10B(後述)のうちのそれぞれ1つずつのみを記載し、その他の第1半導体素子10Aおよびその他の第2半導体素子10Bを省略している。
【0012】
説明の便宜上、互いに直交する3つの方向、すなわちx方向、y方向およびz方向を参照する。z方向は、半導体モジュールA1の厚さ方向である。x方向は、半導体モジュールA1の平面図(
図4参照)における左右方向である。y方向は、半導体モジュールA1の平面図(
図4参照)における上下方向である。x方向の一方をx1方向、x方向の他方をx2方向とする。これは、y方向およびz方向についても同様である。以下の説明において、「z方向に見たとき」は、「平面視」とも言う。x方向は「第1方向」の一例であり、y方向は「第2方向」の一例である。
【0013】
複数の半導体素子10はそれぞれ、半導体モジュールA1の機能中枢である。各半導体素子10の構成材料は、たとえばSiC(炭化ケイ素)を主とする半導体材料である。この半導体材料は、SiCに限定されず、Si(シリコン)、GaAs(ヒ化ガリウム)あるいはGaN(窒化ガリウム)などであってもよい。各半導体素子10は、たとえばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)で構成されたスイッチング機能部Q1(
図20参照)を有する。スイッチング機能部Q1は、MOSFETに限定されず、MISFET(Metal-Insulator-Semiconductor FET)を含む電界効果トランジスタや、IGBTのようなバイポーラトランジスタなど、他のトランジスタであってもよい。各半導体素子10は、いずれも同一素子である。各半導体素子10は、たとえばnチャネル型のMOSFETであるが、pチャネル型のMOSFETであってもよい。
【0014】
各半導体素子10は、
図15に示すように、素子主面101および素子裏面102を有する。各半導体素子10において、素子主面101と素子裏面102とはz方向に離間する。素子主面101は、z2方向を向き、素子裏面102は、z1方向を向く。
【0015】
複数の半導体素子10は、複数の第1半導体素子10Aおよび複数の第2半導体素子10Bを含む。本実施形態では、半導体モジュールA1は、3つの第1半導体素子10Aと3つの第2半導体素子10Bとを備えているが、第1半導体素子10Aの数および第2半導体素子10Bの数は、本構成に限定されず、半導体モジュールA1に要求される性能に応じて適宜変更される。
図8の例では、第1半導体素子10Aおよび第2半導体素子10Bがそれぞれ3個ずつ配置される。第1半導体素子10Aおよび第2半導体素子10Bの数は、それぞれ1個または2個でもよく、それぞれ4個以上でもよい。第1半導体素子10Aの数と第2半導体素子10Bの数とは、等しくてもよく、異なってもよい。第1半導体素子10Aおよび第2半導体素子10Bの数は、半導体モジュールA1が取り扱う電流容量によって決定される。
【0016】
半導体モジュールA1は、
図20に示すように、たとえばハーフブリッジ型のスイッチング回路として構成される。この場合、複数の第1半導体素子10Aは、半導体モジュールA1の上アーム回路を構成し、複数の第2半導体素子10Bは、下アーム回路を構成する。上アーム回路において、複数の第1半導体素子10Aは互いに並列に接続され、下アーム回路において、複数の第2半導体素子10Bは互いに並列に接続される。各第1半導体素子10Aと各第2半導体素子10Bとは、直列に接続され、ブリッジ層を構成する。
【0017】
複数の第1半導体素子10Aはそれぞれ、
図8および
図16などに示すように、導電基板2に搭載されている。
図8に示す例では、複数の第1半導体素子10Aは、たとえばy方向に並んでおり、互いに離間している。各第1半導体素子10Aは、第2導電性接合材72を介して、導電基板2(後述の第1導電部2A)に導通接合されている。各第1半導体素子10Aは、第1導電部2Aに接合された際、素子裏面102が第1導電部2Aに対向する。
【0018】
複数の第2半導体素子10Bはそれぞれ、
図8および
図17などに示すように、導電基板2に搭載されている。
図8に示す例では、複数の第2半導体素子10Bは、たとえばy方向に並んでおり、互いに離間している。各第2半導体素子10Bは、第2導電性接合材72を介して、導電基板2(後述の第2導電部2B)に導通接合されている。各第2半導体素子10Bは、第2導電部2Bに接合された際、素子裏面102が第2導電部2Bに対向する。
図8から理解されるように、x方向に見て、複数の第1半導体素子10Aと複数の第2半導体素子10Bとは、重なっているが、本開示がこれに限定されるわけではない。
【0019】
複数の半導体素子10(複数の第1半導体素子10Aおよび複数の第2半導体素子10B)はそれぞれ、第1主面電極11、第2主面電極12および裏面電極15を有する。以下で説明する第1主面電極11、第2主面電極12および裏面電極15の構成は、各半導体素子10において共通する。第1主面電極11および第2主面電極12は、素子主面101に設けられている。第1主面電極11および第2主面電極12は、図示しない絶縁膜により絶縁されている。裏面電極15は、素子裏面102に設けられている。
【0020】
第1主面電極11は、たとえばゲート電極であって、半導体素子10を駆動させるための駆動信号(たとえばゲート電圧)が入力される。各半導体素子10において、第2主面電極12は、たとえばソース電極であって、ソース電流が流れる。裏面電極15は、たとえばドレイン電極であって、ドレイン電流が流れる。裏面電極15は、素子裏面102の略全域を覆っている。裏面電極15は、たとえばAgめっきにより構成される。
【0021】
各半導体素子10は、上記スイッチング機能部Q1により、第1主面電極11(ゲート電極)に駆動信号(ゲート電圧)が入力されると、この駆動信号に応じて、導通状態と遮断状態とが切り替わる。この導通状態と遮断状態とが切り替わる動作をスイッチング動作という。導通状態では、裏面電極15(ドレイン電極)から第2主面電極12(ソース電極)に電流が流れ、遮断状態では、この電流が流れない。つまり、各半導体素子10は、スイッチング機能部Q1により、スイッチング動作を行う。半導体モジュールA1は、複数の半導体素子10のスイッチング機能部Q1により、1つの入力端子41と2つの入力端子42,43との間に入力される第1電源電圧(直流電圧)をたとえば第2電源電圧(交流電圧)に変換して、出力端子44から第2電源電圧を出力する。入力端子41~43と出力端子44とは、いずれも電源電圧を取り扱う電源端子である。入力端子41~43は、第1電源電圧が入力される第1電源端子である。出力端子44は、第2電源電圧を出力する第2電源端子である。
【0022】
複数の半導体素子10のうちのいくつか(
図8に示す例では2つ)は、上記スイッチング機能部Q1の他に、ダイオード機能部D1(
図20参照)をさらに有する。半導体モジュールA1においては、複数の第1半導体素子10Aのうちの1つ(
図8の最もy2方向側に配置された第1半導体素子10A)と複数の第2半導体素子10Bのうちの1つ(
図8の最もy1方向側に配置された第2半導体素子10B)とが、スイッチング機能部Q1の他、ダイオード機能部D1を含んでいる。ダイオード機能部D1について、その機能や役割は特に限定されないが、たとえば温度検出用ダイオードが挙げられる。なお、
図20に示すダイオードD2は、たとえばスイッチング機能部Q1の寄生ダイオード成分である。
【0023】
ダイオード機能部D1を有する当該半導体素子10は、
図8に示すように、第1主面電極11、第2主面電極12、裏面電極15の他に、第3主面電極13、第4主面電極14および第5主面電極16をさらに有する。以下で説明する第3主面電極13、第4主面電極14および第5主面電極16の各構成は、ダイオード機能部D1を有する各半導体素子10において共通する。第3主面電極13、第4主面電極14および第5主面電極16は、素子主面101に形成されている。第3主面電極13および第4主面電極14は、ダイオード機能部D1を有する半導体素子10において、ダイオード機能部D1に導通する。第5主面電極16は、たとえばソースセンス電極であって、スイッチング機能部Q1におけるソース電流が流れる。
【0024】
各第1半導体素子10Aは、
図7に示すように、平面視において、第1辺191、第2辺192、第3辺193および第4辺194を有する。
図7では、y方向に並ぶ複数の第1半導体素子10Aのうちのy方向中央に配置された第1半導体素子10Aを示しているが、その他の第1半導体素子10Aも同様に、第1辺191、第2辺192、第3辺193および第4辺194を有する。第1辺191と第2辺192とはそれぞれ、y方向に延びる。第1辺191は、平面視におけるx2方向側の端縁であり、第2辺192は、平面視におけるx1方向側の端縁である。第3辺193と第4辺194とはそれぞれ、x方向に延びる。第3辺193は、平面視におけるy2方向側の端縁であり、第4辺194は、平面視におけるy1方向側の端縁である。各第1半導体素子10Aが平面視矩形状であることから、第1辺191、第2辺192、第3辺193および第4辺194によって形成される四隅は、平面視において略直角である。当該四隅は、
図7に示すように、平面視において、導通部材6(後述の第1導通部材61および第2導通部材62)に重ならない。第3辺193および第4辺194の長さは、第1辺191および第2辺192の長さよりも大きい。
【0025】
導電基板2は、リードフレームとも呼ばれる。導電基板2は、複数の半導体素子10を支持する。導電基板2は、支持基板3上に第1導電性接合材71を介して接合されている。導電基板2は、たとえば平面視矩形状である。導電基板2は、導通部材6とともに、複数の半導体素子10によってスイッチングされる主回路電流の経路を構成する。
【0026】
導電基板2は、第1導電部2Aおよび第2導電部2Bを含む。第1導電部2Aおよび第2導電部2Bはそれぞれ、金属製の板状部材である。この金属は、たとえばCu(銅)あるいはCu合金である。第1導電部2Aおよび第2導電部2Bは、複数の入力端子41~43および複数の出力端子44とともに、複数の半導体素子10への導通経路を構成している。第1導電部2Aおよび第2導電部2Bはそれぞれが、
図13~
図18に示すように、第1導電性接合材71を介して支持基板3上に接合されている。第1導電部2Aには、第2導電性接合材72を介して複数の第1半導体素子10Aがそれぞれ接合されている。第2導電部2Bには、第2導電性接合材72を介して複数の第2半導体素子10Bがそれぞれ接合されている。第1導電部2Aおよび第2導電部2Bは、
図3、
図8、
図13および
図14に示すように、x方向に離間する。これらの図に示す例では、第1導電部2Aは、第2導電部2Bよりもx2方向に位置する。第1導電部2Aおよび第2導電部2Bはそれぞれ、たとえば平面視矩形状である。第1導電部2Aおよび第2導電部2Bは、x方向に見て重なる。第1導電部2Aおよび第2導電部2Bはそれぞれ、たとえばx方向の寸法が15mm~25mm(好ましくは20mm程度)であり、たとえばy方向の寸法が30mm~40mm(好ましくは35mm程度)であり、z方向の寸法が1.5mm~3.0mm(好ましくは2.0mm程度)である。
【0027】
導電基板2は、主面201および裏面202を有する。主面201および裏面202は、
図13、
図14および
図16~
図18に示すように、z方向に離間する。主面201は、z2方向を向き、裏面202は、z1方向を向く。主面201は、第1導電部2Aの上面と第2導電部2Bの上面とを合わせたものである。裏面202は、第1導電部2Aの下面と第2導電部2Bの下面とを合わせたものである。裏面202は、支持基板3に対向するように支持基板3に接合されている。
図5、
図8および
図13に示すように、主面201には、複数の凹部201aが形成されている。各凹部201aは、主面201からz方向に窪んだ部分である。各凹部201aの窪み度合い(深さ)は、たとえば0μmを超えて100μm以下である。各凹部201aは、たとえば後述するモールド成形時に形成される。複数の凹部201aには、第1導電部2Aにおける主面201に形成されたものと第2導電部2Bにおける主面201に形成されたものとがある。第1導電部2Aの主面201に形成された2つの凹部201aは、y方向に離間しており、y方向に見て重なる。第2導電部2Bの主面201に形成された2つの凹部201aは、y方向に離間しており、y方向に見て重なる。
【0028】
導電基板2(第1導電部2Aおよび第2導電部2Bのそれぞれ)は、互いに積層された基材21、主面接合層22および裏面接合層23を含む。基材21は、金属製の板状部材である。この金属は、CuあるいはCu合金である。主面接合層22は、基材21の上面に形成されている。主面接合層22は、導電基板2のz2方向側の表層である。主面接合層22の上面は、導電基板2の主面201に相当する。主面接合層22は、たとえばAgめっきである。裏面接合層23は、基材21の下面に形成されている。裏面接合層23は、導電基板2のz1方向側の表層である。裏面接合層23の下面は、導電基板2の裏面202に相当する。裏面接合層23は、主面接合層22と同様にたとえばAgめっきである。
【0029】
支持基板3は、導電基板2を支持する。支持基板3は、たとえばDBC(Direct Bonded Copper)基板で構成される。支持基板3は、絶縁層31、第1金属層32、第1接合層321および第2金属層33を含む。
【0030】
絶縁層31は、たとえば熱伝導性の優れたセラミックスである。このようなセラミックスとしては、たとえばAlN(窒化アルミニウム)がある。絶縁層31は、セラミックスに限定されず、絶縁樹脂シートなどであってもよい。絶縁層31は、たとえば平面視矩形状である。
【0031】
第1金属層32は、絶縁層31の上面(z2方向を向く面)に形成されている。第1金属層32の構成材料は、たとえばCuを含む。当該構成材料はCuではなくAlを含んでいてもよい。第1金属層32は、第1部32Aおよび第2部32Bを含む。第1部32Aおよび第2部32Bは、x方向に離間する。第1部32Aは、第2部32Bのx2方向側に位置する。第1部32Aは、第1導電部2Aが接合され、第1導電部2Aを支持する。第2部32Bは、第2導電部2Bが接合され、第2導電部2Bを支持する。第1部32Aおよび第2部32Bはそれぞれ、たとえば平面視矩形状である。
【0032】
第1接合層321は、第1金属層32(第1部32Aおよび第2部32Bの各々)の上面に形成されている。第1接合層321は、たとえばAgめっきである。第1接合層321は、第1導電性接合材71との固相拡散による接合を良好にするために設けられる。
【0033】
第2金属層33は、絶縁層31の下面(z1方向を向く面)に形成されている。第2金属層33の構成材料は、第1金属層32の構成材料と同じである。第2金属層33の下面(後述の底面302)は、
図10に示す例では、たとえば封止樹脂8から露出する。当該下面は、封止樹脂8から露出せず、封止樹脂8に覆われていてもよい。第2金属層33は、平面視において、第1部32Aおよび第2部32Bの双方に重なる。
【0034】
支持基板3は、
図13~
図18に示すように、支持面301および底面302を有する。支持面301と底面302とは、z方向に離間する。支持面301は、z2方向を向き、底面302は、z1方向を向く。底面302は、
図10に示すように、封止樹脂8から露出する。支持面301は、第1接合層321の上面であり、第1部32Aの上面と第2部32Bの上面とをあわせたものである。支持面301は、導電基板2に対向し、導電基板2が接合されている。底面302は、第2金属層33の下面である。底面302には、図示しない放熱部材(たとえばヒートシンク)などが取り付け可能である。支持基板3のz方向の寸法(支持面301から底面302までのz方向に沿う距離)は、たとえば0.7mm~2.0mmである。
【0035】
複数の入力端子41~43および複数の出力端子44はそれぞれ、板状の金属板からなる。この金属板の構成材料は、たとえばCuまたはCu合金である。
図1~
図5、
図8および
図10に示す例では、半導体モジュールA1は、3つの入力端子41~43および2つの出力端子44を備えている。
【0036】
3つの入力端子41~43との間には、電源電圧が印加される。本実施形態では、入力端子41は正極(P端子)であり、2つの入力端子42,43はそれぞれ負極(N端子)である。なお、これに代えて、入力端子41が負極(N端子)で2つの入力端子42,43がそれぞれ正極(P端子)であってもよい。この場合には、端子の極性を変更したことに合わせて、パッケージ内部の配線を適宜変更すればよい。3つの入力端子41~43および2つの出力端子44はそれぞれ、封止樹脂8に覆われた部分と封止樹脂8の樹脂側面から露出した部分とを含む。
【0037】
入力端子41は、
図14に示すように、第1導電部2Aと一体的に形成されている。本構成と異なり、入力端子41は、第1導電部2Aと分離され、第1導電部2Aに導通接合されていてもよい。入力端子41は、
図8などに示すように、複数の第1半導体素子10Aおよび第1導電部2A(導電基板2)に対して、x2方向側に位置する。入力端子41は、第1導電部2Aに導通し、かつ、第1導電部2Aを介して、各第1半導体素子10Aの裏面電極15(ドレイン電極)に導通する。入力端子41は「第1入力端子」の一例である。
【0038】
入力端子41は、入力側接合面411および入力側側面412を有する。入力側接合面411は、z2方向を向き、x2方向側に延びている。入力側側面412は、z方向に見て入力側接合面411の周縁に位置しており、入力側接合面411と交差する方向を向く。本実施形態では、入力側側面412は、先端面413および一対の側方面414を含む。先端面413は、入力端子41のx2方向側端に位置し、x2方向を向く。一対の側方面414は、入力端子41のy方向両端に位置し、y1方向およびy2方向を向く。入力側側面412において、先端面413および一対の側方面414のうち少なくともいずれか一つは、入力側加工痕を有する。当該入力側加工痕は、後述するリードフレームの切断加工により形成される。
【0039】
2つの入力端子42,43はそれぞれ、
図8に示すように、第1導電部2Aから離間している。2つの入力端子42,43はそれぞれ、第2導通部材62が接合されている。2つの入力端子42,43はそれぞれ、
図8などに示すように、複数の第1半導体素子10Aおよび第1導電部2A(導電基板2)に対して、x2方向側に位置する。2つの入力端子42,43はそれぞれ、第2導通部材62に導通し、かつ、第2導通部材62を介して、各第2半導体素子10Bの第2主面電極12(ソース電極)に導通する。入力端子42は「第2入力端子」の一例であり、入力端子43は「第3入力端子」の一例である。
【0040】
入力端子42,43は、入力側接合面421,431および入力側側面422,432を有する。入力側接合面421,431は、z2方向を向き、x2方向側に延びている。入力側側面422,432は、z方向に見て入力側接合面421,431の周縁に位置しており、入力側接合面421,431と交差する方向を向く。本実施形態では、入力側側面422は、先端面423および一対の側方面424を含む。先端面423は、入力端子42のx2方向側端に位置し、x2方向を向く。一対の側方面424は、入力端子42のy方向両端に位置し、y1方向およびy2方向を向く。入力側側面422において、先端面423および一対の側方面424のうち少なくともいずれか一つは、入力側加工痕を有する。当該入力側加工痕は、後述するリードフレームの切断加工により形成される。入力側側面432は、先端面433および一対の側方面434を含む。先端面433は、入力端子43のx2方向側端に位置し、x2方向を向く。一対の側方面434は、入力端子43のy方向両端に位置し、y1方向およびy2方向を向く。入力側側面432において、先端面433および一対の側方面434のうち少なくともいずれか一つは、入力側加工痕を有する。当該入力側加工痕は、後述するリードフレームの切断加工により形成される。
【0041】
図1~
図5、
図8および
図10などに示すように、3つの入力端子41~43はそれぞれ、半導体モジュールA1において、封止樹脂8からx2方向に突き出ている。3つの入力端子41~43は互いに離間している。2つの入力端子42,43は、y方向において入力端子41を挟んで互いに反対側に位置する。入力端子42は、入力端子41のy2方向側に位置し、入力端子43は、入力端子41のy1方向側に位置する。3つの入力端子41~43は、y方向に見て互いに重なる。
【0042】
2つの出力端子44はそれぞれ、
図8および
図14から理解されるように、第2導電部2Bと一体的に形成されている。本構成と異なり、出力端子44は、第2導電部2Bと分離され、第2導電部2Bに導通接合されていてもよい。2つの出力端子44はそれぞれ、
図8などに示すように、複数の第2半導体素子10Bおよび第2導電部2B(導電基板2)に対して、x1方向側に位置する。各出力端子44は、第2導電部2Bに導通し、かつ、第2導電部2Bを介して、各第2半導体素子10Bの裏面電極15(ドレイン電極)に導通する。上記2つの出力端子44は、それぞれ「第1出力端子」および「第2出力端子」の一例である。
【0043】
出力端子44は、出力側接合面441および出力側側面442を有する。出力側接合面441は、z2方向を向き、x1方向側に延びている。出力側側面442は、z方向に見て出力側接合面441の周縁に位置しており、出力側接合面441と交差する方向を向く。本実施形態では、出力側側面442は、先端面443および一対の側方面444を含む。先端面443は、出力端子44のx1方向側端に位置し、x1方向を向く。一対の側方面444は、出力端子44のy方向両端に位置し、y1方向およびy2方向を向く。出力側側面442において、先端面443および一対の側方面444のうち少なくともいずれか一つは、出力側加工痕を有する。当該出力側加工痕は、後述するリードフレームの切断加工により形成される。なお、出力端子44の数は、2つに限定されず、たとえば1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。たとえば、出力端子44が1つである場合、第2導電部2Bのy方向における中央部分に繋がっていることが望ましい。
【0044】
複数の制御端子45はそれぞれ、各半導体素子10を制御するためのピン状の端子である。複数の制御端子45は、複数の第1制御端子46A~46Eおよび複数の第2制御端子47A~47Dを含む。複数の第1制御端子46A~46Eは、各第1半導体素子10Aの制御に用いられる。複数の第2制御端子47A~47Dは、各第2半導体素子10Bの制御に用いられる。
【0045】
複数の第1制御端子46A~46Eは、y方向に間隔を隔てて配置されている。各第1制御端子46A~46Eは、
図8および
図14などに示すように、制御端子支持体5(後述の第1支持部5A)を介して、第1導電部2Aに支持される。各第1制御端子46A~46Eは、
図5および
図8に示すように、x方向において、複数の第1半導体素子10Aと3つの入力端子41~43との間に位置する。
【0046】
第1制御端子46Aは、複数の第1半導体素子10Aの駆動信号入力用の端子(ゲート端子)である。第1制御端子46Aには、複数の第1半導体素子10Aを駆動させるための駆動信号が入力される(たとえばゲート電圧が印加される)。
【0047】
第1制御端子46Bは、複数の第1半導体素子10Aのソース信号検出用の端子(ソースセンス端子)である。第1制御端子46Bから、複数の第1半導体素子10Aの各第2主面電極12(ソース電極)に印加される電圧(ソース電流に対応した電圧)が検出される。
【0048】
第1制御端子46Cおよび第1制御端子46Dは、ダイオード機能部D1に導通する端子である。第1制御端子46Cには、ダイオード機能部D1を有する第1半導体素子10Aの第3主面電極13に導通し、第1制御端子46Dには、ダイオード機能部D1を有する第1半導体素子10Aの第4主面電極14に導通する。
【0049】
第1制御端子46Eは、複数の第1半導体素子10Aのドレイン信号検出用の端子(ドレインセンス端子)である。第1制御端子46Eから、複数の第1半導体素子10Aの各裏面電極15(ドレイン電極)に印加される電圧(ドレイン電流に対応した電圧)が検出される。
【0050】
複数の第2制御端子47A~47Dは、y方向に間隔を隔てて配置されている。各第2制御端子47A~47Dは、
図5および
図18などに示すように、制御端子支持体5(後述の第2支持部5B)を介して、第2導電部2Bに支持される。各第2制御端子47A~47Dは、
図5および
図8に示すように、x方向において、複数の第2半導体素子10Bと2つの出力端子44との間に位置する。
【0051】
複数の制御端子45(複数の第1制御端子46A~46Eおよび複数の第2制御端子47A~47D)はそれぞれ、ホルダ451および金属ピン452を含む。
【0052】
ホルダ451は、導電性材料からなる。ホルダ451は、
図15に示すように、導電性接合材459を介して、制御端子支持体5(後述の第1金属層52)に接合されている。ホルダ451は、筒状部、上端鍔部および下端鍔部を含む。上端鍔部は、筒状部の上方に繋がり、下端鍔部は、筒状部の下方に繋がる。ホルダ451のうちの少なくとも上端鍔部および筒状部に、金属ピン452が挿通されている。上端鍔部の上面は、封止樹脂8(後述の第2突出部852)から露出し、樹脂部87に覆われている。
【0053】
金属ピン452は、z方向に延びる棒状部材である。金属ピン452は、ホルダ451に圧入されることで支持されている。金属ピン452は、少なくともホルダ451を介して、制御端子支持体5(後述の第1金属層52)に導通する。
図15に示す例のように、金属ピン452の下端(z1方向側の端部)がホルダ451の挿通孔内で導電性接合材459に接している場合には、金属ピン452は、導電性接合材459を介して、制御端子支持体5に導通する。
【0054】
制御端子支持体5は、複数の制御端子45を支持する。制御端子支持体5は、主面201(導電基板2)と複数の制御端子45との間に介在する。
【0055】
制御端子支持体5は、第1支持部5Aおよび第2支持部5Bを含む。第1支持部5Aは、導電基板2の第1導電部2A上に配置され、複数の制御端子45のうちの複数の第1制御端子46A~46Eを支持する。第1支持部5Aは、
図15に示すように、接合材59を介して、第1導電部2Aに接合されている。接合材59は、導電性でも絶縁性でもよいが、たとえばはんだが用いられる。第2支持部5Bは、導電基板2の第2導電部2B上に配置され、複数の制御端子45のうちの複数の第2制御端子47A~47Dを支持する。第2支持部5Bは、接合材59を介して、第2導電部2Bに接合されている。
【0056】
制御端子支持体5(第1支持部5Aおよび第2支持部5Bのそれぞれ)は、たとえばDBC基板で構成される。制御端子支持体5は、互いに積層された絶縁層51、第1金属層52および第2金属層53を有する。
【0057】
絶縁層51は、たとえばセラミックスからなる。絶縁層51は、たとえば平面視矩形状である。
【0058】
第1金属層52は、
図15などに示すように、絶縁層51の上面に形成されている。各制御端子45は、第1金属層52上に立設されている。第1金属層52は、たとえばCuまたはCu合金である。
図8などに示すように、第1金属層52は、第1部521、第2部522、第3部523、第4部524および第5部525を含む。第1部521、第2部522、第3部523、第4部524および第5部525は、互いに離間し、絶縁されている。
【0059】
第1部521は、複数のワイヤ731が接合され、各ワイヤ731を介して、各半導体素子10の第1主面電極11(ゲート電極)に導通する。
図8に示すように、第1支持部5Aの第1部521には、第1制御端子46Aが接合されており、第2支持部5Bの第1部521には、第2制御端子47Aが接合されている。
【0060】
第2部522は、複数のワイヤ732が接合され、各ワイヤ732を介して、各半導体素子10の第2主面電極12(ソース電極)に導通する。
図8に示すように、第1支持部5Aの第2部522には、第1制御端子46Bが接合されており、第2支持部5Bの第2部522には、第2制御端子47Bが接合されている。
【0061】
第3部523は、ワイヤ733が接合され、ワイヤ733を介して、ダイオード機能部D1を有する半導体素子10の第3主面電極13に導通する。
図8に示すように、第1支持部5Aの第3部523には、第1制御端子46Cが接合されており、第2支持部5Bの第3部523には、第2制御端子47Cが接合されている。
【0062】
第4部524は、ワイヤ734が接合され、ワイヤ734を介して、ダイオード機能部D1を有する半導体素子10の第4主面電極14に導通する。
図8に示すように、第1支持部5Aの第4部524には、第1制御端子46Dが接合されており、第2支持部5Bの第4部524には、第2制御端子47Dが接合されている。
【0063】
第1支持部5Aの第5部525は、ワイヤ735が接合され、ワイヤ735を介して、第1導電部2Aに導通する。第2支持部5Bの第5部525は、他の構成部位とは導通していない。
図8に示すように、第1支持部5Aの第5部525には、第1制御端子46Eが接合されている。
【0064】
第2金属層53は、
図15などに示すように、絶縁層51の下面に形成されている。第1支持部5Aの第2金属層53は、
図15に示すように、接合材59を介して、第1導電部2Aに接合される。第2支持部5Bの第2金属層53は、接合材59を介して、第2導電部2Bに接合される。
【0065】
導通部材6は、導電基板2とともに、複数の半導体素子10によってスイッチングされる主回路電流の経路を構成する。導通部材6は、主面201(導電基板2)からz2方向に離間し、かつ、平面視において主面201に重なる。本実施形態では、導通部材6は、金属製の板材により構成される。当該金属は、たとえばCuまたはCu合金である。具体的には、導通部材6は、折り曲げられた金属製の板材である。これに限らず、金属製の箔材によって導通部材6を構成してもよい。本実施形態では、導通部材6は、複数の第1導通部材61および第2導通部材62を含む。主回路電流は、第1主回路電流と第2主回路電流とを含む。第1主回路電流は、入力端子41と出力端子44との間を経路とする電流である。第2主回路電流は、出力端子44と入力端子42,43との間を経路とする電流である。
【0066】
複数の第1導通部材61はそれぞれ、各第1半導体素子10Aの第2主面電極12(ソース電極)と第2導電部2Bとに接合され、各第1半導体素子10Aの第2主面電極12と第2導電部2Bとを導通させる。各第1導通部材61と各第1半導体素子10Aの第2主面電極12(
図8参照)と、および、各第1導通部材61と第2導電部2Bとは、それぞれ、導電性接合材69を介して接合される。導電性接合材69は、たとえばはんだ、金属ペースト材、あるいは、焼結金属などである。各第1導通部材61は、
図8に示すように、平面視においてx方向に沿って延びる帯状である。
【0067】
本実施形態では、
図6等に示すように、各第1導通部材61において、各第1半導体素子10Aと第2導電部2Bとを繋ぐ矩形の部分には、開口61hが形成される。開口61hは、平面視において矩形の中央部に形成されることが好ましく、たとえばz方向に貫通する貫通孔である。開口61hは、封止樹脂を形成するために流動性の樹脂材料を注入する際に、各第1導通部材61の付近において上側(z2方向側)と下側(z1方向側)との間で樹脂材料を流動しやすくするために形成される。開口61hの平面形状は真円であってもよく、楕円形、矩形などの他の形状であってもよい。第1導通部材61の形状は、本構成に限定されず、たとえば開口61hが形成されていなくてもよい。
【0068】
本実施形態では、複数の第1導通部材61は、第1半導体素子10Aの数に対応して3個設けられている。変形例として、複数の第1半導体素子10Aの数に依存せず、複数の第1半導体素子10Aに対して共通する1個の第1導通部材61を使用してもよい。
【0069】
第2導通部材62は、各第2半導体素子10Bの第2主面電極12と各入力端子42,43とを導通させる。第2導通部材62は、x方向の最大寸法がたとえば25mm~40mm(好ましくは32mm程度)であり、y方向の最大寸法がたとえば30mm~45mm(好ましくは38mm程度)である。第2導通部材62は、
図6に示すように、第1配線部621、第2配線部622、第3配線部623および第4配線部624を含む。
【0070】
第1配線部621は、入力端子42に接続される。第1配線部621と入力端子42とは、導電性接合材69により接合される。第1配線部621は、平面視において、x方向に延びる帯状の部位である。
【0071】
第2配線部622は、入力端子43に接続される。第2配線部622と入力端子43とは、導電性接合材69により接合される。第2配線部622は、平面視において、x方向に延びる帯状の部位である。第1配線部621と第2配線部622とは、y方向に離間しており、略平行に配置されている。第2配線部622は、第1配線部621に対して、y1方向に位置する。
【0072】
第3配線部623は、第1配線部621および第2配線部622の双方に繋がる。第3配線部623は、平面視においてy方向に延びる帯状の部位である。第3配線部623は、
図6から理解されるように、平面視において複数の第2半導体素子10Bに重なる。第3配線部623は、
図17に示すように、各第2半導体素子10Bに接続される。第3配線部623は、複数の凹状領域623aを有する。各凹状領域623aは、
図17に示すように、第3配線部623の他の部位よりもz1方向に突き出ている。第3配線部623のうち各凹状領域623aは、各第2半導体素子10Bに接合されている。第3配線部623の各凹状領域623aと各第2半導体素子10Bの第2主面電極12(
図8参照)とは、導電性接合材69を介して接合される。
【0073】
第4配線部624は、第1配線部621および第2配線部622の双方に繋がる。また、第4配線部624は、第3配線部623に繋がる。第4配線部624は、第3配線部623よりもx2方向側に位置する。第4配線部624は、
図6から理解されるように、平面視において、複数の第1半導体素子10Aに重なる。第4配線部624は、第1帯状部625および複数の第2帯状部626を含む。
【0074】
第1帯状部625は、x方向において第3配線部623と離間し、第4配線部624のうち、平面視において帯状の部位である。第1帯状部625は、第1配線部621および第2配線部622の双方に繋がる。第1帯状部625は、平面視において複数の第1半導体素子10Aに重なる。第1帯状部625は、複数の凸状領域625aを有する。各凸状領域625aは、
図16に示すように、第1帯状部625の他の部位よりもz2方向に突き出ている。各凸状領域625aは、
図6に示すように、平面視において各第1半導体素子10Aに重なる。第1帯状部625が複数の凸状領域625aを有することから、
図16に示すように、各第1半導体素子10A上に各第1導通部材61を接合する領域を設けている。これにより、第1帯状部625が各第1導通部材61に接触することを抑制している。
【0075】
複数の第2帯状部626はそれぞれ、第1帯状部625と第3配線部623とに繋がる。各第2帯状部626は、平面視においてx方向に延びる帯状である。複数の第2帯状部626は、y方向に離間しており、略平行に配置されている。複数の第2帯状部626はそれぞれ、平面視において、第1帯状部625のうちのy方向に隣接する2つの第1半導体素子10Aの間に一端が繋がり、第3配線部623のうちのy方向に隣接する2つの第2半導体素子10Bの間に他端が繋がる。
【0076】
第1帯状部625は、第1端縁627および第2端縁628を有する。第1端縁627は、
図7に示すように、平面視において第1辺191よりもx1方向に位置し、かつ、y方向において少なくとも第3辺193から第4辺194まで延びている。これにより、平面視において、各第1半導体素子10Aのx2方向側の2つの角171,172がそれぞれ、第2導通部材62に重ならない。当該2つの角は、第1辺191と第3辺193とがなす角171、および、第1辺191と第4辺194とがなす角172である。したがって、各第1半導体素子10Aにおいては、平面視において(詳細には
図7に示すように視た場合において。以下同じ。)、当該各角171,172を挟む2辺それぞれの一部が見えている。第2端縁628は、
図7に示すように、平面視において、第2辺192よりもx2方向に位置し、かつ、y方向において少なくとも第3辺193から194まで延びている。これにより、平面視において、各第1半導体素子10Aのx1方向側の2つの角173,174がそれぞれ、第2導通部材62に重ならない。当該2つの角は、第2辺192と第3辺193とがなす角173、および、第2辺192と第4辺194とがなす角174である。したがって、各第1半導体素子10Aにおいては、平面視において、当該各角173,174を挟む2辺それぞれの一部が見えている。
【0077】
上記各角171,172,173,174において、当該各角171,172,173,174を挟む2辺については、平面視において0μmを超えて200μm以下の長さで見えていればよい。また、平面視において、各角171,172,173,174を挟む2辺において見える部分の長さは、それぞれ5μm以上150μm以下であることが好ましい。各角171,172,173,174を挟む2辺において見える部分の長さが2μm以上の場合、第1半導体素子10Aの角を検出でき、上記2辺において見える部分の長さが5μm以上の場合、確実に第1半導体素子10Aの角を検出できる。なお、上記2辺において見える部分の長さが200μmを超える場合には、第1導通部材61と第1半導体素子10Aとの接合面積が必要以上に小さくなるので、好ましくない。上記2辺において見える部分の長さの上限が150μm以下であれば、第1導通部材61と第1半導体素子10Aとの接合面積が小さくなりすぎることが避けられるので、好ましい。
【0078】
図6に示すように、導通部材6(第1導通部材61および第2導通部材62)は、第1部601を有する。第1部601は、平面視において、半導体素子10(複数の第1半導体素子10Aおよび複数の第2半導体素子10Bのいずれか)と重なる領域である。第2導通部材62においては、第4配線部624の一部(平面視において複数の第1半導体素子10Aに重なる領域)および第3配線部623の一部(平面視において複数の第2半導体素子10Bに重なる領域)が、第1部601を構成する。
【0079】
図6、
図8に示すように、第1半導体素子10A(ダイオード機能部D1を有する第1半導体素子10A)の主面電極11,13,14,16は、第1半導体素子10Aのx2方向側の端に、y方向に沿って並んで配置されている。平面視において、第1導通部材61および第2導通部材62は、第1半導体素子10Aの主面電極11,13,14,16およびx2方向側の角171,172のいずれとも重ならない。また、平面視において、第1導通部材61および第2導通部材62は、第1半導体素子10Aのx1方向側(主面電極が配置される側とは反対側)における角173,174のうち少なくとも1個に重ならない。これらにより、平面視において、半導体素子10Aの4個の角171,172,173,174のうち少なくとも3個の角が見えている。このことにより、半導体素子10A、第1導通部材61および第2導通部材62が導電基板2に装着された状態において、半導体素子10Aが正しく装着されたかどうかを、自動外観検査によって検査することができる。平面視において、半導体素子10Aの4個の角171,172,173,174がすべて見えていてもよい。なお、上記した第1半導体素子10Aの主面電極11,13,14,16は、「一方側主面電極」の一例である。
【0080】
なお、
図6に示すように、各第2半導体素子10Bについても、第1半導体素子10Aと同様に平面視矩形状であり、第1半導体素子10Aの4つの角171,172,173,174に対応する4つの角181,182,183,184を有する。上述した、各第1半導体素子10Aの4つの角171,172,173,174と第1導通部材61および第2導通部材62との平面視における関係は、各第2半導体素子10Bの4つの角181,182,183,184と第2導通部材62との平面視における関係においても同じである。
【0081】
第2導通部材62は、
図5に示すように、第1部62Aおよび第2部62Bを含む。第1部62Aは、平面視において導電基板2の主面201(第1導電部2Aあるいは第2導電部2Bの主面201)と重なり、かつ平面視において複数の半導体素子10のいずれとも重ならない。第2部62Bは、平面視において主面201と重なり、かつ平面視において複数の半導体素子10のいずれかと重なっている。
図5において、第1部62Aには右上がりのハッチングを付しており、第2部62Bには右下がりのハッチングを付している。第1部62Aは、開口63を有する。開口63は、
図5および
図13などに示すように、平面視に見て部分的に切除された部位である。本実施形態では、開口63は、平面視において第1導電部2A(導電基板2)の主面201に重なり、かつ、平面視において複数の半導体素子10に重ならない位置にある。開口63は、たとえばz方向に貫通する貫通孔である。開口63は、第1配線部621に形成されたものと第2配線部622に形成されたものとがある。開口63は、平面視において、導電基板2の四隅のうち少なくとも2つの角部近傍に設けられており、たとえば、第1配線部621および第2配線部622のそれぞれにおいて、x2方向側寄りに設けられている。なお、開口63の平面形状は限定されず、本実施形態のように孔であってもよく、本実施形態とは異なり切り欠きであってもよい。開口63は、たとえば電鋳などによって製作されてもよい。この場合には、第2導通部材62は、除去された部位からなる開口63ではなく、金属が電着されなかった部位からなる開口63を有する。
【0082】
第2導通部材62において、平面視において各第1半導体素子10Aに重なる矩形の部分には、開口625hが形成される。本実施形態において、開口625hは、平面視において各第1半導体素子10Aの中央部に重なって形成されることが好ましい。開口625hは、たとえば上記第1帯状部625(第4配線部624)の各凸状領域625aに形成された貫通孔である(
図6参照)。開口625hは、第1導通部材61と第1半導体素子10Aとを接合する際に、その接合の状況を上側から光学的に確認するために使用される。
【0083】
第2導通部材62において、平面視において各第2半導体素子10Bに重なる矩形の部分には、開口623hが形成される。本実施形態において、開口623hは、平面視において第2半導体素子10Bの中央部に重なって形成されることが好ましい。開口623hは、たとえば上記第3配線部623の各凹状領域623aに形成された貫通孔である。開口623hは、導電基板2に対して第2導通部材62を位置決めする際に使用される。上記2種類の開口623h,625hの平面形状は真円であってもよく、楕円形、矩形などの他の形状であってもよい。
【0084】
第2導通部材62の形状は、本構成に限定されず、たとえば第4配線部624を含んでいなくてもよい。ただし、第2導通部材62に流れる電流によるインダクタンス値を低減させる上で、第2導通部材62に第4配線部624を設けることが好ましい。
【0085】
第1導電性接合材71は、導電基板2と支持基板3との間に介在し、導電基板2と支持基板3とを導通接合させる。第1導電性接合材71は、第1導電部2Aを第1部32Aに導通接合させるものと、第2導電部2Bを第2部32Bに導通接合させるものとがある。第1導電性接合材71は、
図15に示すように、互いに積層された第1基層711、第1層712および第2層713を有する。
【0086】
図15に示すように、第1導電性接合材71の側面と支持基板3の最上層である第1金属層32の側面とは、面一であることが最も好ましい。平面視において第1金属層32の側面が第1導電性接合材71の側面よりもわずかに内側に位置することが好ましい。つまり、平面視において、第1金属層32の側面は、第1導電性接合材71の側面より外側にはみ出さないように接合される。平面視において第1金属層32の側面が第1導電性接合材71の側面よりも外側にはみ出す場合には、第1金属層32と第2金属層33との間の沿面距離が小さくなるため、好ましくない。なお、平面視において、第1金属層32の側面は、導電基板2が有する基材21の側面よりは外側に配置されている。
【0087】
第1基層711は金属製であり、当該金属はたとえばAl(アルミニウム)あるいはAl合金である。第1基層711は、シート材である。第1基層711の構成材料であるAlのヤング率は、70.3GPaである。
【0088】
第1層712は、第1基層711の上面に形成されている。第1層712は、第1基層711と導電基板2(第1導電部2Aおよび第2導電部2Bのそれぞれ)との間に介在する。第1層712は、たとえばAgめっきである。第1層712は、たとえば金属の固相拡散により、第1導電部2Aおよび第2導電部2Bの各裏面接合層23に接合されている。即ち、第1層712と第1導電部2Aおよび第2導電部2Bの各裏面接合層23とが、固相拡散接合によって接合されている。これにより、第1層712と各裏面接合層23とが、接合界面で互いに直接接した状態で接合されている。なお、本開示において、「AとBとが、固相拡散接合によって接合されている」とは、固相拡散接合が施された結果、AとBとが、接合界面において直接接する状態で互いに固定されている態様を意味し、AとBとによって固相拡散接合層が構成されていると言える。理想的な条件で固相拡散接合が施された場合、接合界面は、金属元素の拡散によって明瞭には存在しない場合がありうる。一方、AとBとの表層に酸化皮膜等の介在物が存在したり、AとBとの間に空隙が存在したりする場合、接合界面にこれらの介在物や空隙が存在する場合がありうる。
【0089】
第2層713は、第1基層711の下面に形成されている。第2層713は、第1基層711と支持基板3(第1部32Aおよび第2部32Bのそれぞれ)との間に介在する。第2層713は、たとえばAgめっきである。第2層713は、たとえば金属の固相拡散により、第1部32A上および第2部32B上のそれぞれに形成された第1接合層321に接合されている。即ち、第2層713と第1接合層321とが、固相拡散接合によって接合されており、接合界面で互いに直接接した状態で接合されている。第1層712および第2層713の構成材料であるAg(銀)のヤング率は、82.7GPaである。
【0090】
第1導電性接合材71において、第1基層711の構成材料と第1層712および第2層713の各構成材料とが上記したものであることから、第1基層711のヤング率は、第1層712および第2層713のヤング率よりも小さい。第1基層711の厚さ(z方向寸法)は、第1層712および第2層713の各厚さよりも大きい。
【0091】
第1導電性接合材71において、AlあるいはAl合金である第1基層711の端面には、Agめっきが形成されておらず、第1基層711の端面が露出している。ただし、第1基層711の端面にはAgめっきが形成されていてもよい。第1導電性接合材71の製造コストを削減するという観点からは、大面積のシート材の両面にAgめっきを形成した後に、Agめっき付シート材を切断することによって第1導電性接合材71を製作することが好ましい。この観点からは、第1基層711の端面にはAgめっきが形成されていないほうが好ましい。
【0092】
第2導電性接合材72は、導電基板2と各半導体素子10との間に介在し、導電基板2と各半導体素子10とを導通接合させる。第2導電性接合材72は、各第1半導体素子10Aを第1導電部2Aに導通接合させるものと、各第2半導体素子10Bを第2導電部2Bに導通接合させるものとがある。第2導電性接合材72は、
図15に示すように、互いに積層された第2基層721、第3層722および第4層723を含む。
【0093】
第2基層721は金属製であり、当該金属はたとえばAlあるいはAl合金である。第2基層721は、シート材である。
【0094】
第3層722は、第2基層721の上面に形成されている。第3層722は、第2基層721と各半導体素子10との間に介在する。第3層722は、たとえばAgめっきである。第3層722は、たとえば金属の固相拡散により、各半導体素子10の裏面電極15に接合されている。即ち、第3層722と裏面電極15とが、固相拡散接合によって接合されており、接合界面で互いに直接接した状態で接合されている。
【0095】
第4層723は、第2基層721の下面に形成されている。第4層723は、第2基層721と導電基板2(第1導電部2Aおよび第2導電部2Bのそれぞれ)との間に介在する。第4層723は、たとえばAgめっきである。第4層723は、たとえば金属の固相拡散により、第1導電部2Aおよび第2導電部2Bの各主面接合層22に接合されている。即ち、第4層723と各主面接合層22とが、固相拡散接合によって接合されており、接合界面で互いに直接接した状態で接合されている。
【0096】
第2導電性接合材72において、第2基層721の構成材料と第3層722および第4層723の各構成材料とが上記したものであることから、第2基層721のヤング率は、第3層722および第4層723のヤング率よりも小さい。第2基層721の厚さ(z方向寸法)は、第3層722および第4層723の各厚さよりも大きい。
【0097】
第2導電性接合材72において、AlあるいはAl合金である第2基層721の端面には、Agめっきが形成されておらず、第2基層721の端面が露出している。ただし、第2基層721の端面にはAgめっきが形成されていてもよい。第2導電性接合材72の製造コストを削減するという観点からは、大面積のシート材の両面にAgめっきを形成した後に、Agめっき付シート材を切断することによって第2導電性接合材72を製作することが好ましい。この観点からは、第2基層721の端面にはAgめっきが形成されていないほうが好ましい。
【0098】
複数のワイヤ731~735はそれぞれ、互いに離間する2つの部位間を導通させるものである。複数のワイヤ731~735はそれぞれ、たとえばボンディングワイヤである。複数のワイヤ731~735の各構成材料は、たとえばAu(金)、AlあるいはCuのいずれかを含む。
【0099】
複数のワイヤ731はそれぞれ、
図8に示すように、各半導体素子10の第1主面電極11(ゲート電極)と各制御端子支持体5の第1部521(第1金属層52)とに接合され、これらを導通させる。
図8に示すように、複数のワイヤ731は、複数の第1ワイヤ731aおよび複数の第2ワイヤ731bを含む。複数の第1ワイヤ731aはそれぞれ、各第1半導体素子10Aの第1主面電極11(ゲート電極)と第1支持部5Aの第1部521(第1金属層52)とに接続される。これにより、第1制御端子46Aは、各第1ワイヤ731aを介して、各第1半導体素子10Aの第1主面電極11(ゲート電極)に導通する。複数の第2ワイヤ731bはそれぞれ、各第2半導体素子10Bの第1主面電極11(ゲート電極)と第2支持部5Bの第1部521(第1金属層52)とに接続される。これにより、第2制御端子47Aは、各第2ワイヤ731bを介して、各第2半導体素子10Bの第1主面電極11(ゲート電極)に導通する。
【0100】
複数のワイヤ732はそれぞれ、
図8に示すように、各半導体素子10の第2主面電極12(ソース電極)と各制御端子支持体5の第2部522(第1金属層52)とに接合され、これらを導通させる。ただし、ダイオード機能部D1を有する各半導体素子10においては、各ワイヤ732は、第2主面電極12(ソース電極)の代わりに、第5主面電極16(ソースセンス電極)に接合されている。
【0101】
複数のワイヤ733はそれぞれ、
図8に示すように、ダイオード機能部D1を有する各半導体素子10の第3主面電極13と各制御端子支持体5の第3部523(第1金属層52)とに接合され、これらを導通させる。
【0102】
複数のワイヤ734はそれぞれ、
図8に示すように、ダイオード機能部D1を有する各半導体素子10の第4主面電極14と各制御端子支持体5の第4部524(第1金属層52)とに接合され、これらを導通させる。
【0103】
ワイヤ735は、
図8に示すように、第1導電部2A(導電基板2)における主面201と第1支持部5A(制御端子支持体5)の第5部525(第1金属層52)とに接合され、これらを導通させる。
【0104】
封止樹脂8は、複数の半導体素子10、導電基板2、支持基板3(底面302を除く)、複数の入力端子41~43の一部ずつ、複数の出力端子44の一部ずつ、複数の制御端子45の一部ずつ、制御端子支持体5、導通部材6および複数のワイヤ731~735をそれぞれ覆っている。封止樹脂8は、たとえば黒色のエポキシ樹脂で構成される。封止樹脂8は、たとえば後述するモールド成形により形成される。封止樹脂8は、たとえばx方向の寸法が35mm~60mm程度であり、たとえばy方向の寸法が35mm~50mm程度であり、たとえばz方向の寸法が4mm~15mm程度である。これらの寸法は、各方向に沿う最大部分の大きさである。封止樹脂8は、樹脂主面81、樹脂裏面82および複数の樹脂側面831~834を有する。
【0105】
樹脂主面81と樹脂裏面82とは、
図9、
図11および
図12などに示すように、z方向に離間する。樹脂主面81は、z2方向を向き、樹脂裏面82は、z1方向を向く。樹脂主面81から複数の制御端子45(複数の第1制御端子46A~46Eおよび複数の第2制御端子47A~47D)が突き出ている。樹脂裏面82は、
図10に示すように、平面視において支持基板3の底面302(第2金属層33の下面)を囲む枠状である。支持基板3の底面302は、樹脂裏面82から露出し、たとえば樹脂裏面82と面一である。複数の樹脂側面831~834はそれぞれ、樹脂主面81および樹脂裏面82の双方に繋がり、かつ、z方向においてこれらに挟まれている。
図4などに示すように、樹脂側面831と樹脂側面832とはx方向に離間する。樹脂側面831はx1方向を向き、樹脂側面832は、x2方向を向く。樹脂側面831から2つの出力端子44が突き出ており、樹脂側面832から3つの入力端子41~43が突き出ている。
図4などに示すように、樹脂側面833と樹脂側面834とは、y方向に離間する。樹脂側面833は、y1方向を向き、樹脂側面834は、y2方向を向く。
【0106】
樹脂側面832には、
図4に示すように、複数の凹部832aが形成されている。各凹部832aは、平面視においてx方向に窪んだ部位である。複数の凹部832aは、平面視において、入力端子41と入力端子42との間に形成されたものと、入力端子41と入力端子43との間に形成されたものとがある。複数の凹部832aは、入力端子41と入力端子42との樹脂側面832に沿う沿面距離、および、入力端子41と入力端子43との樹脂側面832に沿う沿面距離を大きくするために設けられている。
【0107】
封止樹脂8は、
図13および
図14などに示すように、複数の第1突出部851、複数の第2突出部852および樹脂空隙部86を有する。
【0108】
複数の第1突出部851はそれぞれ、樹脂主面81からz方向に突出している。複数の第1突出部851は、平面視において封止樹脂8の四隅付近に配置されている。各第1突出部851の先端(z2方向の端部)には、第1突出端面851aが形成されている。複数の第1突出部851における各第1突出端面851aは、樹脂主面81と略平行であり、かつ、同一平面(x-y平面)上にある。各第1突出部851は、たとえば有底中空の円錐台状である。複数の第1突出部851は、半導体モジュールA1によって生成された電源を利用する機器において、その機器が有する制御用の回路基板などに半導体モジュールA1が搭載される際に、スペーサーとして利用される。複数の第1突出部851は、それぞれ、凹部851bと、当該凹部851bに形成された内壁面851cとを有する。各第1突出部851の形状は柱状であればよく、円柱状であることが好ましい。凹部851bの形状は円柱状であって、平面視において内壁面851cは単一の真円状であることが好ましい。
【0109】
半導体モジュールA1は、制御用の回路基板などに対して、ねじ止めなどの方法によって機械的に固定される場合がある。この場合には、複数の第1突出部851における凹部851bの内壁面851cに、めねじのねじ山を形成することができる。複数の第1突出部851における凹部851bにインサートナットを埋め込んでもよい。
【0110】
複数の第2突出部852は、
図14などに示すように、樹脂主面81からz方向に突出している。複数の第2突出部852は、平面視において複数の制御端子45に重なる。複数の制御端子45の各金属ピン452は、各第2突出部852から突き出ている。各第2突出部852の上端面から、ホルダ451の一部(上端鍔部の上面)が露出している。各第2突出部852は、円錐台状である。各第2突出部852上に樹脂部87が配置されている。
【0111】
樹脂空隙部86は、
図13に示すように、z方向において、樹脂主面81から、導電基板2の主面201に形成された凹部201aに通じる。樹脂空隙部86は、樹脂主面81から凹部201aにz方向に向かうにつれて断面積が小さくなるテーパー状に形成されている。樹脂空隙部86において主面201と接する樹脂空隙部端縁861と、凹部201aにおいて主面201と接する凹部端縁201bとは、互いに一致する。樹脂空隙部86は、後述するモールド成形時に形成され、当該モールド成形時に封止樹脂8が形成されない部分である。
【0112】
樹脂部87は、封止樹脂8の第2突出部852上に設けられている。樹脂部87は、各制御端子45において、封止樹脂8から露出するホルダ451の一部(上端鍔部の上面)と、金属ピン452の一部とを覆う。樹脂部87は、たとえば封止樹脂8と同様にエポキシ樹脂からなるが、封止樹脂8と異なる材料であってもよい。
【0113】
樹脂充填部88は、樹脂空隙部86を埋めるように、樹脂空隙部86に充填されている。樹脂充填部88は、たとえば封止樹脂8と同様にエポキシ樹脂からなるが、封止樹脂8と異なる材料であってもよい。
【0114】
次に、半導体モジュールA1の製造方法について、
図21~
図29を参照して説明する。
図21は、半導体モジュールA1の製造方法の一工程を示す平面図である。
図22は、半導体モジュールA1の製造方法の一工程を示す断面模式図である。
図23は、半導体モジュールA1の製造方法の一工程を示す平面図である。
図24は、半導体モジュールA1の製造方法の一工程を示す切断部端面図である。
図24は、
図13に示す断面に対応する。
図25および
図28は、半導体モジュールA1の製造方法の一工程を示す要部拡大断面図であって、
図13に示す断面の一部を拡大した図に対応する。
図26、
図27および
図29は、半導体モジュールA1の製造方法の一工程を示す要部拡大断面図であって、
図14に示す断面の一部を拡大した図に対応する。
【0115】
まず、複数の半導体素子10、導電基板2、支持基板3、複数の入力端子41~43、および、複数の出力端子44を準備する。複数の半導体素子10、導電基板2および支持基板3の各構成は、上述の通りである。これらを準備する段階では、複数の半導体素子10、導電基板2および支持基板3はそれぞれ、個別に準備され、互いに接合されていない。また、導電基板2、複数の入力端子41~43および複数の出力端子44は、
図21に示すように、互いに繋がっており、たとえば同一のリードフレームで構成される。さらに、
図21に示すように、導電基板2の主面201には、凹部201aは形成されていない。
【0116】
次いで、
図22に示すように、支持基板3上に第1導電性接合材71を挟んで導電基板2を載置し、そして、導電基板2上に第2導電性接合材72を挟んで各半導体素子10を載置する。その後、支持基板3の下面と各半導体素子10の上面とを挟持しつつ(
図22の太い矢印参照)、熱を加えることで、各半導体素子10と導電基板2とを固相拡散により接合するとともに、導電基板2と支持基板3とを固相拡散により接合する。具体的には、第1金属層32上の第1接合層321(支持基板3)と第2層713(第1導電性接合材71)とを、第1層712(第1導電性接合材71)と裏面接合層23(導電基板2)とを、第4層723(第2導電性接合材72)と主面接合層22(導電基板2)とを、および、第3層722(第2導電性接合材72)と各半導体素子10の裏面電極15とを、一括して固相拡散により互いに接合する。固相拡散の条件において、接合時の加熱温度は200℃以上350℃以下の範囲であればよく、また、接合時に加圧する圧力(上記挟持する力)は1MPa以上100MPa以下の範囲であればよい。固相拡散は、大気中で行う場合を想定しているが、真空中で行ってもよい。これにより、導電基板2が第1導電性接合材71を介して支持基板3に接合され、各半導体素子10が第2導電性接合材72を介して導電基板2に接合される。なお、導電基板2と支持基板3との接合、および、導電基板2と各半導体素子10との接合は、一括ではなく、別々に処理してもよい。ただし、一括して処理する方が、製造効率を向上させる上で好ましい。
【0117】
導電基板2上に第2導電性接合材72を挟んで各半導体素子10を載置する際には、
図16および
図17に示されるように、各半導体素子10に対応する個別の第2導電性接合材72を配置する。これに限らず、
図16に示す3個の半導体素子10に共通して対応する1個の第2導電性接合材72を配置してもよい。
【0118】
次いで、
図23に示すように、制御端子支持体5の接合、複数の制御端子45の各ホルダ451の接合、複数のワイヤ731~735のワイヤボンディング、複数の第1導通部材61の接合、および、第2導通部材62の接合を行う。なお、これらの処理順序は限定されない。
【0119】
次いで、封止樹脂8を形成する。封止樹脂8の形成は、たとえばモールド成形による。
図24に示すように、モールド成形で用いる金型91には、押さえ部材としての押さえピン911が設けられている。押さえピン911は、先端が導電基板2の主面201に接している。このとき、押さえピン911による主面201への押圧力により、主面201に凹部201aが形成される。当該押圧力の大きさなどにより、凹部201aの窪み度合い(深さ)が変わる。また、第1導電部2Aにおける主面201に接する押さえピン911は、第2導通部材62の開口63に挿通されている。そして、金型91のキャビティ空間919に、樹脂流路および樹脂注入口(いずれも図示略)を順次経由して流動性の樹脂材料を注入する。注入された流動性の樹脂材料が固化することで、封止樹脂8が形成される。形成された封止樹脂8は、
図25および
図26に示すように、上記第1突出部851、上記第2突出部852および上記樹脂空隙部86を有する。
図25に示すように、樹脂空隙部86において主面201と接する樹脂空隙部端縁861と、凹部201aにおいて主面201と接する凹部端縁201bとは、互いに一致する。
図26に示すように、ホルダ451の上面は、第2突出部852から露出し、第2突出部852の上面と面一である。また、
図24および
図25から理解されるように、樹脂空隙部86は、押さえピン911によって、流動性の樹脂材料が充填されなかったことで形成されている。なお、押さえピン911は可動ピンであってもよい。この場合には、押さえピン911は、金型91に形成された穴部に設けられ、弾性支持されていることが好ましい。ピン状の押え部材に限らず、ブロック状の押さえ部材を使用してもよい。
【0120】
次いで、金型91を型開きして、導電基板2を含むリードフレームと封止樹脂8とを含む成形体を取り出す。その後に、封止樹脂8と、樹脂流路および樹脂注入口において固化した樹脂と、を分離する。この工程において、封止樹脂8におけるx1方向側の樹脂側面831において、次のいずれかの位置に樹脂分離痕が形成される。第1の位置は、
図1に示された樹脂側面831におけるy方向の両端に近い2つの位置のうち、または、両端の角部のうちの少なくとも一方である。両端の角部に樹脂分離痕が形成された場合には、角部に形成された面(平面視においてC面取りされた部分)に樹脂分離痕が形成される。上述した斜面は、封止樹脂8におけるx1方向側の樹脂側面831に含まれる。第2の位置は、
図1に示された樹脂側面831における2個の出力端子44の間である。これらの樹脂分離痕は、金型91の樹脂注入口の位置に対応しており、封止樹脂8と樹脂注入口において固化した樹脂とを分離することによって形成される。樹脂の回り込みの偏りを抑制するためにはy方向における中央位置から樹脂注入することが好ましい。この場合、2個の出力端子44の間に樹脂分離痕が形成される。
【0121】
次いで、
図27に示すように、複数の制御端子45の各金属ピン452を各ホルダ451に圧入する。具体的には、各ホルダ451が有する筒状部(
図26参照)の内径よりもわずかに大きい断面寸法を有する各金属ピン452を、挿入圧力を加えながら挿入する。これにより、各ホルダ451と各金属ピン452とは、機械的に固定され、かつ、電気的に接続される。各ホルダ451と各金属ピン452とを、たとえばはんだを使用して電気的に接続してもよい。その後に、
図28および
図29に示すように、樹脂部87および樹脂充填部88を形成する。樹脂部87および樹脂充填部88の形成は、たとえばポッティングによる。
【0122】
次いで、上記リードフレームを適宜切断することで、複数の入力端子41~43および出力端子44を分離させる。
図21に示した入力端子41~43および出力端子44において、各端子とリードフレームの外枠部との接続部付近(
図21において破線で示された部分)を、金型などを使用して切断すればよい。ここで、入力端子41~43には、それぞれ入力側加工痕としての先端面413,423,433が形成される。出力端子44には、出力側加工痕としての先端面443が形成される。リードフレームにおいて、y方向に隣接する各端子をy方向に繋ぐタイバーを有する場合、当該タイバーを金型などを使用して切断してもよい。この場合には、各端子においてy方向に向く2つの側面に加工痕が形成される。以上の工程を経ることで、
図1~
図20に示す半導体モジュールA1が製造される。
【0123】
半導体モジュールA1は、制御用の回路基板などに実装される。ここで、各金属ピン452は、半導体モジュールA1が実装される回路基板のピン穴に挿入されて、ピン穴周辺の端子に接続される。入力端子41、42,43は、それぞれz方向の一方側(z2方向)に向く入力側接合面411,421,431を有する。各出力端子44は、z方向の一方側(z2方向側)に向く出力側接合面441を有する。入力側接合面411,421,431および出力側接合面441は、たとえばはんだを使用して、半導体モジュールA1が実装される回路基板の端子に接続される。
【0124】
本実施形態の半導体モジュールA1において、入力端子41から出力端子44までの電流の経路について以下に説明する。入力端子41、第1導電部2A、各第1半導体素子10A、第1導通部材61、第2導電部2B、各出力端子44という経路で、第1主回路電流が流れる。各第1半導体素子10Aの第2主面電極12と第2導電部2Bとの間に、各第1導通部材61を経由して、x方向に沿って第1主回路電流が流れる。第2導電部2Bにおいて、各第1導通部材61が接合された部分と各出力端子44との間に、x方向およびx方向からわずかに傾いた方向に沿って第1主回路電流が流れる。
【0125】
出力端子44から入力端子42および入力端子43までの電流の経路について以下に説明する。出力端子44、第2導電部2B、各第2半導体素子10B、第2導通部材62、入力端子42および入力端子43という経路で、第2主回路電流が流れる。第2主回路電流の経路は第2導通部材62が有しており、y方向に延びる第3配線部623と、第3配線部623の両端に繋がりx2方向に延びる第1配線部621および第2配線部622の双方とに、第2主回路電流が流れる。さらに、第2主回路電流は、第1配線部621と第2配線部622との間に配置されx方向に延びる2個の第2帯状部626と、第1配線部621と第2配線部622との間に配置されy方向に延びる第1帯状部625とを経路にして、第1配線部621と第2配線部622に流れる。
【0126】
入力端子42および入力端子43と各第2半導体素子10Bの第2主面電極12との間に、各第2導通部材62に含まれる第1配線部621および第2配線部622と第3配線部623、2個の第2帯状部626および第1帯状部625とを経由して、第2主回路電流が流れる。第1配線部621、第2配線部622および2個の第2帯状部626においては、x方向に沿って第2主回路電流が流れる。第1主回路電流が流れる方向と第2主回路電流が流れる方向とは逆である。
【0127】
第1導通部材61において第1主回路電流が流れる方向と、第2導通部材62に含まれる第1配線部621および第2配線部622および2個の第2帯状部626において第2主回路電流が流れる方向とは、いずれもx方向である。
【0128】
半導体モジュールA1の作用効果は、次の通りである。
【0129】
半導体モジュールA1は、導電基板2、複数の入力端子41~43、出力端子44および導通部材6を備えている。導電基板2は、複数の第1半導体素子10Aが接合された第1導電部2Aおよび複数の第2半導体素子10Bが接合された第2導電部2Bを含む。入力端子41は、第1導電部2Aに繋がり、第1導電部2Aを介して複数の第1半導体素子10Aに導通する。入力端子42および入力端子43は、第2導通部材62(導通部材6)を介して複数の第2半導体素子10Bに導通する。出力端子44は、第2導電部2Bに繋がり、第2導電部2Bを介して複数の第2半導体素子10Bに導通する。導通部材6は、各第1半導体素子10Aと第2導電部2Bとを導通する第1導通部材61と、各第2半導体素子10Bと各入力端子42,43とを導通する第2導通部材62とを含む。複数の入力端子41~43は、導電基板2に対してx2方向側に配置され、出力端子44は、導電基板2に対してx1方向に配置されている。そして、2つの入力端子42,43は、入力端子41を挟んで、y方向において互いに反対側に配置されている。半導体モジュールA1とは異なる構成の半導体モジュールにおいて、入力端子43を備えず、入力端子41と入力端子42とがy方向に並んで配置された場合、入力端子41から各第1半導体素子10Aを介して出力端子44に流れる電流の経路のばらつきが生じつつ、出力端子44から各第2半導体素子10Bを介して各入力端子42に流れる電流の経路のばらつきが生じる可能性がある。そこで、半導体モジュールA1では2つの入力端子42,43を備え、2つの入力端子42,43で入力端子41を挟むことで、入力端子41から各第1半導体素子10Aを介して出力端子44に流れる電流の経路のばらつきを低減するとともに、出力端子44から各第2半導体素子10Bを介して各入力端子42,43に流れる電流の経路のばらつきを低減することが可能となる。これにより、半導体モジュールA1の寄生インダクタンス成分を低減できる。つまり、半導体モジュールA1は、寄生インダクタンス成分を低減する上で、好ましいパッケージ構造をなす。
【0130】
半導体モジュールA1は、上アーム電流経路と下アーム電流経路とが、平面視において重なる。上アーム電流経路は、入力端子41から第1導電部2A、各第1半導体素子10A、各第1導通部材61および第2導電部2Bを介して、各出力端子44に流れる電流の経路であって、本実施形態では、
図5から理解されるように、x2方向側からx1方向側に沿う。下アーム電流経路は、出力端子44から各第2半導体素子10Bおよび第2導通部材62を介して、入力端子42に流れる電流の経路であって、本実施形態では、
図5から理解されるように、x1方向側からx2方向側に沿う。この構成によると、上アーム電流経路に沿う電流によって生じる磁界と、下アーム電流経路に沿う電流によって生じる磁界とが、互いに打ち消し合うため、寄生インダクタンス成分を低減することができる。特に、半導体モジュールA1では、導通部材6(複数の第1導通部材61および第2導通部材62のそれぞれ)を金属製の板材で構成することで、上アーム電流経路と下アーム電流経路とが、平面視において重なる領域を適度に確保できる。つまり、半導体モジュールA1は、寄生インダクタンス成分を低減する上で、好ましいパッケージ構造をなす。
【0131】
半導体モジュールA1では、下アーム電流経路を構成する第2導通部材62は、第1配線部621、第2配線部622、第3配線部623および第4配線部624を含む。第1配線部621および第2配線部622は、入力端子41を挟んでy方向において互いに反対側に配置された入力端子42,43にそれぞれ接続されるとともに、x方向に延びている。第3配線部623は、第1配線部621および第2配線部622の双方に繋がってy方向に延びており、複数の第2半導体素子10Bそれぞれに接続されている。第4配線部624は、第1配線部621および第2配線部622の双方に繋がり、平面視において複数の第1半導体素子10Aと重なる。上記第1配線部621、第2配線部622、第3配線部623および第4配線部624を含んで構成された第2導通部材62は、主面201(導電基板2)からz方向に離間して配置されており、平面視において主面201の広い範囲と重なっている。このような構成によれば、出力端子44から各第2半導体素子10Bを介して各入力端子42,43に流れる電流の経路のばらつきが適切に低減され、寄生インダクタンス成分を低減するのに適している。
【0132】
複数の第1半導体素子10Aと複数の第2半導体素子10Bとは、x方向に見て互いに重なっている。このような構成によれば、複数の第1半導体素子10Aおよび複数の第2半導体素子10Bが配置される導電基板2(第1導電部2Aおよび第2導電部2B)のy方向の寸法が大きくなるのを抑制することができ、半導体モジュールA1の小型化を図ることができる。
【0133】
第2導通部材62の第4配線部624は、第1帯状部625および複数の第2帯状部626を有する。第1帯状部625は、第1配線部621および第2配線部622の双方に繋がってy方向に延びており、平面視において複数の第1半導体素子10Aと重なる部分である。複数の第2帯状部626はそれぞれ、第1帯状部625と第3配線部623とに繋がり、平面視においてx方向に延びる帯状である。複数の第2帯状部626は、y方向に離間しており、略平行に配置されている。複数の第2帯状部626はそれぞれ、平面視において、第1帯状部625のうちのy方向に隣接する2つの第1半導体素子10Aの間に一端が繋がり、第3配線部623のうちのy方向に隣接する2つの第2半導体素子10Bの間に他端が繋がる。このような構成によれば、第4配線部624(第2導通部材62)の平面視におけるサイズをより大きく確保することができる。このことは、寄生インダクタンス成分を低減する上でより好ましい。
【0134】
第1帯状部625は、他の部位よりもz2方向に突き出た複数の凸状領域625aを有する。各凸状領域625aは、平面視において各第1半導体素子10Aに重なる。第1帯状部625が複数の凸状領域625aを有する構成によれば、第1半導体素子10A上に接合された第1導通部材61に第1帯状部625が不当に接触するのを回避することができる。
【0135】
第3配線部623は、他の部位よりもz1方向に突き出た複数の凹状領域623aを有する。各凹状領域623aは、複数の第2半導体素子10Bのいずれかと接合されている。このような構成によれば、第3配線部623(第2導通部材62)と複数の第2半導体素子10Bとを適切に導通させつつ、第3配線部623(第2導通部材62)の平面視におけるサイズを大きく確保することができる。
【0136】
半導体モジュールA1においては、上記構成の導通部材6(第1導通部材61および第2導通部材62)を具備することに加え、複数の第1半導体素子10Aおよび複数の第2半導体素子10Bを制御するための複数の第1制御端子46A~46Eおよび複数の第2制御端子47A~47Dを備える。複数の第1制御端子46A~46Eおよび複数の第2制御端子47A~47Dは、各々、導電基板2の主面201上においてz方向に沿って延びるように配置されている。このような構成の半導体モジュールA1は、平面視における小型化が可能であるので、寄生インダクタンス成分の低減を図りつつ平面視における小型化を図るのに適する。
【0137】
複数の第1制御端子46A~46Eは、第1導電部2Aに支持されており、複数の第1半導体素子10Aよりもx2方向側に配置される。複数の第2制御端子47A~47Dは、第2導電部2Bに支持されており、複数の第2半導体素子10Bよりもx1方向側に配置される。複数の第1制御端子46A~46Eおよび複数の第2制御端子47A~47Dは、それぞれ、y方向に間隔を隔てて配置されている。これにより、複数の第1制御端子46A~46Eおよび複数の第2制御端子47A~47Dは、上アーム回路を構成する複数の第1半導体素子10Aおよび下アーム回路を構成する複数の第2半導体素子10Bそれぞれに対応した領域に適切に配置される。かかる構成の半導体モジュールA1は、寄生インダクタンス成分の低減を図りつつ小型化を図る上で、より好ましい。
【0138】
第1半導体素子10Aおよび第2半導体素子10Bは、それぞれz2方向を向く第1主面電極11(ゲート電極)を有する。第1制御端子46Aは、各第1ワイヤ731aを介して、各第1半導体素子10Aの第1主面電極11(ゲート電極)に接続されている。第2制御端子47Aは、各第2ワイヤ731bを介して、各第2半導体素子10Bの第1主面電極11(ゲート電極)に接続されている。これにより、スイッチング機能を有する第1半導体素子10A(第2半導体素子10B)を駆動させるための駆動信号は、第1制御端子46A(第2制御端子47A)、第1ワイヤ731a(第2ワイヤ731b)を介して第1主面電極11に適宜入力させることができる。
【0139】
半導体モジュールA1が回路基板に実装される際、各金属ピン452は、半導体モジュールA1が実装される回路基板のピン穴に挿入されて、ピン穴周辺の端子に接続される。入力端子41、42,43は、それぞれz方向の一方側(z2方向)に向く入力側接合面411,421,431を有する。各出力端子44は、z方向の一方側(z2方向側)に向く出力側接合面441を有する。入力側接合面411,421,431および出力側接合面441は、たとえばはんだを使用して、半導体モジュールA1が実装される回路基板の端子に接続される。上述した構成により、入力端子41~43および出力端子44が接続される電力系回路基板と、各金属ピン452が接続される制御系回路基板とを、z方向に離して配置することができる。これらにより、第1に、半導体モジュールA1における信号端子の配置に関する自由度が向上する。第2に、半導体モジュールA1における信号配線の引き回しおよびその長さに関する自由度が向上する。第3に、半導体モジュールA1を使用する際に、使用者による回路基板の配置に関する自由度が向上する。
【0140】
半導体モジュールA1では、各制御端子45が、樹脂主面81から突出し、z方向に沿って延びている。半導体モジュールA1と異なる構成において、各制御端子45がz方向に直交する平面(x-y平面)に沿って延びるように配置される場合がある。この構成では、平面視における小型化に限度がある。そこで、半導体モジュールA1のように、各制御端子45をz方向に沿って延びるように配置することで、半導体モジュールA1の平面視における小型化が可能である。つまり、半導体モジュールA1は、平面視における小型化を図る上で好ましいパッケージ構造をなす。
【0141】
本実施形態の半導体モジュールA1では、各制御端子45と主面201(導電基板2)との間には、制御端子支持体5が介在する。制御端子支持体5は絶縁層51を有し、各制御端子45は、制御端子支持体5を介して導電基板2に支持されている。このような制御端子支持体5を具備する構成によれば、導電基板2との間で絶縁を確保しつつ、制御端子45を導電基板2上に適切に支持させることができる。
【0142】
制御端子支持体5は、互いに積層された絶縁層51、第1金属層52および第2金属層53を有する積層構造体である。制御端子45は、導電性接合材459を介して、制御端子支持体5の上面に形成された第1金属層52に接合される。このような構成によれば、制御端子支持体5として既製の積層構造体(たとえばDBC基板など)を利用しつつ、制御端子45を制御端子支持体5(第1金属層52)に導通接合することが可能である。
【0143】
半導体素子10は、z2方向を向く素子主面101、およびz1方向を向く素子裏面102を有する。素子主面101には第1主面電極11(ゲート電極)が配置されている。各半導体素子10の第1主面電極11と第1金属層52(第1部521)とは、導電性のワイヤ731により接続される。これにより、スイッチング機能を有する半導体素子10を駆動させるための駆動信号は、制御端子45、第1金属層52、ワイヤ731を介して第1主面電極11に適宜入力させることができる。
【0144】
各制御端子45は、ホルダ451および金属ピン452を含む。ホルダ451は、導電性材料からなり、筒状部を含んで構成される。金属ピン452は、z方向に延びる棒状部材であり、ホルダ451に圧入されている。また、ホルダ451の一部(上端鍔部の上面)は、封止樹脂8から露出している。このような構成によれば、封止樹脂8の形成(モールド成形)により、ホルダ451はその一部(上端面)を除いて封止樹脂8に覆われとともに、ホルダ451の上端面は封止樹脂8から露出する。これにより、封止樹脂8の形成後に金属ピン452をホルダ451に挿し込むことが可能である。したがって、制御端子45が上記のホルダ451および金属ピン452を含む構成によれば、モールド成形で用いる金型91が複雑になるのを回避することができ、半導体モジュールA1を効率よく製造するのに適する。
【0145】
本実施形態の半導体モジュールA1は、封止樹脂8に接合された樹脂部87を具備する。樹脂部87は、封止樹脂8から露出するホルダ451の一部(上端鍔部の上面)と、金属ピン452の一部とを覆う。このような構成によれば、ホルダ451と金属ピン452の接続部への異物の侵入を防止することができる。上記構成の半導体モジュールA1は、耐久性および信頼性を向上させるうえで好ましい。
【0146】
封止樹脂8は、樹脂主面81から突出する複数の第2突出部852を有する。複数の第2突出部852は、平面視において複数の制御端子45を取り囲む。複数の制御端子45の各金属ピン452は、各第2突出部852から突き出ている。各第2突出部852上に樹脂部87が配置されている。このような構成によれば、互いに隣接する制御端子45の樹脂主面81に沿う沿面距離を大きくすることができる。隣接する制御端子45の耐電圧を高める上で好ましい。
【0147】
導電基板2は、x方向に互いに離間する第1導電部2Aおよび第2導電部2Bを含む。第1導電部2Aは、第2導電部2Bよりもx2方向に位置する。複数の半導体素子10は、第1導電部2Aに接合された第1半導体素子10Aと、第2導電部2Bに接合された第2半導体素子10Bと、を含む。複数の制御端子45は、第1制御端子46A~46Eおよび第2制御端子47A~47Dを含む。第1制御端子46A~46Eは、第1導電部2Aに支持されており、x方向において第1半導体素子10Aと入力端子41,42等との間に位置する。第2制御端子47A~47Dは、x方向において第2半導体素子10Bと出力端子44との間に位置する。このような構成によれば、複数の制御端子45(第1制御端子46A~46Eおよび第2制御端子47A~47D)は、上アーム回路を構成する第1半導体素子10Aおよび下アーム回路を構成する第2半導体素子10Bそれぞれに対応した領域に適切に配置される。かかる構成は、半導体モジュールA1の小型化を図る上でより好ましい。
【0148】
封止樹脂8は、樹脂主面81から突出する複数の第1突出部851を有する。各第1突出部851の先端には、第1突出端面851aが形成されている。複数の第1突出部851における各第1突出端面851aは、樹脂主面81と略平行であり、かつ、同一平面(x-y平面)上にある。このような構成によれば、半導体モジュールA1によって生成された電源を利用する機器において、半導体モジュールA1が搭載される制御用の回路基板の表面と樹脂主面81との間に所定の隙間を確保することができる。これにより、上記制御用の回路基板において半導体モジュールA1との対向面に種々の機能部品が実装された場合でも、当該機能部品が封止樹脂8に不当に接触することが回避される。
【0149】
半導体モジュールA1では、各半導体素子10が接合された導電基板2を備えている。この構成によると、各半導体素子10の通電によって発生する熱が導電基板2に伝達され、導電基板2で各半導体素子10から伝達された熱が拡散される。したがって、半導体モジュールA1は、各半導体素子10の熱の放熱性を向上させる上で好ましいパッケージ構造をなす。
【0150】
半導体モジュールA1では、導電基板2と支持基板3とが第1導電性接合材71を介して接合されている。第1導電性接合材71は、第1層712および第2層713を含む。第1層712は、導電基板2と金属の固相拡散により接合され、接合界面で互いに直接接した状態で接合されている。第2層713は、支持基板3と金属の固相拡散により接合され、接合界面で互いに直接接した状態で接合されている。この構成によると、導電基板2と支持基板3とが、たとえばはんだなどの接合材により接合された場合よりも、導電基板2と支持基板3との接合強度を高めることができる。したがって、半導体モジュールA1は、導電基板2と支持基板3との剥離を抑制する上で好ましいパッケージ構造をなす。
【0151】
半導体モジュールA1では、各半導体素子10と導電基板2とが第2導電性接合材72を介して接合されている。第2導電性接合材72は、第3層722および第4層723を含む。第3層722は、各半導体素子10(裏面電極15)と金属の固相拡散により接合され、接合界面で互いに直接接した状態で接合されている。第4層723は、導電基板2と金属の固相拡散により接合され、接合界面で互いに直接接した状態で接合されている。この構成によると、各半導体素子10と導電基板2とが、たとえばはんだなどの接合材により接合された場合よりも、各半導体素子10と導電基板2との接合強度を高めることができる。したがって、半導体モジュールA1は、各半導体素子10と導電基板2との剥離を抑制する上で好ましいパッケージ構造をなす。
【0152】
本実施形態の半導体モジュールA1では、第1導電性接合材71における第1基層711のヤング率は、第1層712および第2層713の各々の構成材料のヤング率よりも小である。このような構成によれば、第1導電性接合材71を導電基板2と支持基板3とに固相拡散により接合する際、相対的に軟らかい第1基層711によって応力が緩和され、接合境界部の平滑化を図ることができる。これにより、第1層712と導電基板2、および第2層713と支持基板3は、固相拡散によってより強固に接合される。
【0153】
また、本実施形態では第1基層711の厚さが第1層712および第2層713の各々の厚さよりも大である。これにより、固相拡散による接合の際、第1層712と導電基板2(裏面接合層23)の境界部、および第2層713と支持基板3(第1接合層321)の境界部のそれぞれに作用する押圧力がより均一となる。したがって、第1層712と導電基板2、および第2層713と支持基板3は、それぞれより強固な導通接合状態となり得る。
【0154】
第1層712および第2層713の各々の構成材料は、銀を含む。このような構成によれば、第1導電性接合材71を用いた固相拡散による接合の際、第1層712および第2層713の酸化が抑制され、良好な固相拡散接合が可能となる。また、第1層712および第2層713と接合される裏面接合層23および第1接合層321の各々についても銀を含むため、より良好な固相拡散接合が可能となる。
【0155】
本実施形態では、第2導電性接合材72における第2基層721のヤング率は、第3層722および第4層723の各々の構成材料のヤング率よりも小である。このような構成によれば、第2導電性接合材72を半導体素子10(裏面電極15)と導電基板2とに固相拡散により接合する際、相対的に軟らかい第2基層721によって応力が緩和され、接合境界部の平滑化を図ることができる。これにより、第3層722と半導体素子10(裏面電極15)、および第4層723と導電基板2は、固相拡散によってより強固に接合される。
【0156】
また、本実施形態では第2基層721の厚さが第3層722および第4層723の各々の厚さよりも大である。これにより、固相拡散による接合の際、第3層722と半導体素子10(裏面電極15)の境界部、および第4層723と導電基板2(主面接合層22)の境界部のそれぞれに作用する押圧力がより均一となる。したがって、第3層722と半導体素子10(裏面電極15)、および第4層723と導電基板2は、それぞれより強固な導通接合状態となり得る。
【0157】
第3層722および第4層723の各々の構成材料は、銀を含む。このような構成によれば、第2導電性接合材72を用いた固相拡散による接合の際、第3層722および第4層723の酸化が抑制され、良好な固相拡散接合が可能となる。また、第3層722および第4層723と接合される裏面電極15および主面接合層22の各々についても銀を含むため、より良好な固相拡散接合が可能となる。
【0158】
第1導電性接合材71は、Alを含むシート材からなる第1基層711の表面(両面)にAgめっき層である第1層712および第2層713が積層された構成である。また、第2導電性接合材72についても、Alを含むシート材からなる第2基層721の表面(両面)にAgめっき層である第3層722および第4層723が積層された構成である。このような構成によれば、第1導電性接合材71や第2導電性接合材72を容易に準備することができる。
【0159】
半導体モジュールA1では、第2導通部材62には開口63が形成されている。開口63は、平面視において主面201(導電基板2)に重なり、かつ、平面視において、各半導体素子10に重ならない。この構成によると、半導体モジュールA1の製造工程のうちのモールド成形(封止樹脂8を形成する工程)において、金型91に設けられた押さえピン911を開口63に挿通できる。これにより、第2導通部材62に干渉することなく、当該押さえピン911で導電基板2を押さえることができるため、導電基板2が接合される支持基板3の反りを抑制できる。当該反りは、たとえば支持基板3のy方向の両外側がy方向の中央側よりも上方に位置するように生じる。仮に、支持基板3に反りが発生した場合、導電基板2と支持基板3との接合強度が低下する虞がある。また、モールド成形時において、樹脂漏れにより、封止樹脂8の一部が底面302上に形成されることがあり、底面302に接合されうる放熱部材(たとえばヒートシンク)の接合不良の原因である。したがって、半導体モジュールA1は、支持基板3の反りを抑制することで、導電基板2と支持基板3との接合強度の向上を図る上で好ましいパッケージ構造であるとともに、封止樹脂8の意図せぬ位置への樹脂漏れを抑制する上で好ましいパッケージ構造をなす。
【0160】
導電基板2は、複数の第1半導体素子10Aが接合された第1導電部2Aおよび複数の第2半導体素子10Bが接合された第2導電部2Bを含む。第1導電部2Aおよび第2導電部2Bはx方向に離間しており、第1導電部2Aは、第2導電部2Bよりもx2方向に位置する。第2導通部材62は、複数の第2半導体素子10Bと入力端子42,43とに接続されており、第2導通部材62に設けられた開口63は、平面視において第1導電部2Aの主面201と重なる。このような構成によれば、第2導通部材62の平面視におけるサイズを大きく確保する場合であっても、封止樹脂8の形成時(モールド成形時)には、第2導通部材62との干渉を回避しつつ、金型91に設けられた押さえピン911で導電基板2を押さえることができる。なお、第2導通部材62の平面視におけるサイズを大きくすることで、主回路電流の経路を構成する第2導通部材62(導通部材6)の寄生抵抗成分を抑制することが可能である。
【0161】
第2導通部材62は、第1配線部621、第2配線部622、第3配線部623および第4配線部624を含む。第1配線部621および第2配線部622は、入力端子41を挟んでy方向において互いに反対側に配置された入力端子42,43にそれぞれ接続されるとともに、x方向に延びている。第3配線部623は、第1配線部621および第2配線部622の双方に繋がってy方向に延びており、複数の第2半導体素子10Bそれぞれに接続されている。開口63は、第1配線部621および第2配線部622それぞれにおけるx2方向寄りに形成されている。これにより、開口63は、平面視において、導電基板2(第1導電部2A)のy方向両外側の2つの角部の近傍に設けられている。したがって、開口63は、平面視において、導電基板2(第1導電部2A)を支持する支持基板3のy方向両外側の2つの角部の近傍に設けられている。このような構成によれば、第2導通部材62の平面視におけるサイズを比較的大きく確保しつつ、封止樹脂8の形成時(モールド成形時)には、金型91に設けられた押さえピン911を開口63に挿通させて、導電基板2(第1導電部2A)のy方向両外側の角部の近傍を押さえることができる。上述のように、導電基板2が接合される支持基板3の反りは支持基板3のy方向の両外側がy方向の中央側よりも上方に位置するように生じるところ、上記構成によればモールド成形時の支持基板3の反りを効果的に抑制することができる。
【0162】
本実施形態において、導通部材6(第1導通部材61および第2導通部材62)は、金属製の板材により構成されている。これにより、第2導通部材62に開口63を容易に形成することができる。また、金属板材からなる導通部材6(第1導通部材61および第2導通部材62)については、種々な形状やサイズへの対応が容易であり、他の部位との接合面積を十分に確保することで他の部位との接合部の信頼性が高められる。
【0163】
導電基板2(第1導電部2A)の主面201のうち平面視において各開口63と重なる部位には、凹部201aが形成されている。各凹部201aは、モールド成形時に押さえピン911によって主面201へ押圧力を付与した痕跡である。本実施形態では、第2導通部材62およびこれに形成された開口63の配置を工夫することにより、モールド成形時には、半導体素子10などの機能素子との干渉を避けつつ導電基板2(第1導電部2A)の適所を押さえピン911で押さえることができる。
【0164】
封止樹脂8には、樹脂主面81から凹部201aに通じる樹脂空隙部86が形成されている。樹脂空隙部86はテーパー状であり、樹脂主面81から凹部201aに向かうにつれて断面積が小さくなる。このような樹脂空隙部86は、モールド成形時(封止樹脂8の形成時)に形成されたものである。モールド形成後において、導電基板2の主面201のうち凹部201aの表面は、封止樹脂8から露出する。また、本実施形態では、樹脂空隙部86を埋めるようにして、当該樹脂空隙部86に樹脂充填部88が充填されている。このような構成によれば、封止樹脂8から露出する凹部201aへの異物(水分を含む)の侵入を防止することができる。上記構成の半導体モジュールA1は、耐久性および信頼性を向上させるうえで好ましい。
【0165】
本実施形態では、第2導通部材62(導通部材6)に形成された各開口63は、z方向に貫通する貫通孔である。このような構成によれば、主回路電流の経路を構成する第2導通部材62(導通部材6)において、開口63の形成による電流経路の偏りは抑制される。
【0166】
半導体モジュールA1は、導通部材6を備えている。導通部材6は、各半導体素子10によってスイッチングされる主回路電流の経路を構成する。導通部材6は、各第1半導体素子10Aに接続された各第1導通部材61と、各第2半導体素子10Bに接続された第2導通部材62とを含む。導通部材6(各第1導通部材61および第2導通部材62のそれぞれ)は、金属製の板材により構成される。上記主回路電流は、比較的な大きな値であることがある。この場合、主回路電流の経路である導通部材6における寄生抵抗成分を抑制することは、半導体モジュールA1の消費電力の低減する上で好ましい。そこで、半導体モジュールA1では、上述の通り、導通部材6をボンディングワイヤではなく金属製の板材で構成することで、導通部材6における寄生抵抗成分を抑制している。つまり、半導体モジュールA1は、寄生抵抗成分の抑制を図る上で好ましいパッケージ構造をなす。
【0167】
半導体モジュールA1では、各第1半導体素子10Aは、平面視において矩形状であり、平面視における第1半導体素子10Aの四隅は、第2導通部材62に重ならない。この構成によると、半導体モジュールA1の製造工程において、封止樹脂8を形成する工程の前に、各第1半導体素子10Aが適切に接合されているか否かの外観検査が可能である。つまり、半導体モジュールA1は、製造途中(たとえば
図23に示す状態)において各第1半導体素子10Aの接合状態の外観検査を行うことできるため、各第1半導体素子10Aが適切に接合されているか否かを判断できる。たとえばレーザ測距法により、第1半導体素子10Aの四隅における距離を測定し、測定した四隅における距離差が小さければ、第1半導体素子10Aが適切に接合されていると判断することができる。したがって、半導体モジュールA1は、製造途中において外観検査を実施できるため、信頼性の向上を図る上で好ましいパッケージ構造をなす。なお、外観検査を行う際、平面視における第1半導体素子10Aの四隅のうち少なくとも3つの角部が確認できればよいため、当該3つの角部が第2導通部材62に重ならないように構成されていればよい。また、
図5に示すように、各第2半導体素子10Bにおいても同様に、平面視における各第2半導体素子10Bの四隅が第2導通部材62に重ならないため、半導体モジュールA1の製造工程において、封止樹脂8を形成する工程の前に、各第2半導体素子10Bが適切に接合されているか否かの外観検査が可能である。外観検査は、撮像および画像処理を使用する自動外観検査であってもよい。
【0168】
第2導通部材62は、第1配線部621、第2配線部622、第3配線部623および第4配線部624を含む。第1配線部621および第2配線部622は、入力端子41を挟んでy方向において互いに反対側に配置された入力端子42,43にそれぞれ接続されるとともに、x方向に延びている。第3配線部623は、第1配線部621および第2配線部622の双方に繋がってy方向に延びており、複数の第2半導体素子10Bそれぞれに接続されている。第4配線部624は、第1配線部621および第2配線部622の双方に繋がる。第4配線部624は、第3配線部623に対してx2方向側に位置し、平面視において複数の第1半導体素子10Aと重なる。上記第1配線部621、第2配線部622、第3配線部623および第4配線部624を含んで構成された第2導通部材62は、平面視において主面201の広い範囲と重なっており、平面視におけるサイズが比較的大きい。このように第2導通部材62の平面視におけるサイズを大きくすることは、主回路電流の経路を構成する第2導通部材62(導通部材6)の寄生抵抗成分を抑制する上で、より好ましい。
【0169】
各第1半導体素子10Aは、平面視において、第1辺191、第2辺192、第3辺193および第4辺194を有する。第1辺191と第2辺192とはそれぞれ、y方向に延びる。第1辺191は、平面視におけるx2方向側の端縁であり、第2辺192は、平面視におけるx1方向側の端縁である。第3辺193と第4辺194とはそれぞれ、x方向に延びる。第3辺193は、平面視におけるy2方向側の端縁であり、第4辺194は、平面視におけるy1方向側の端縁である。各第1半導体素子10Aが平面視矩形状であることから、第1辺191、第2辺192、第3辺193および第4辺194によって形成される四隅は、平面視において略直角である。一方、第2導通部材62の第4配線部624(第1帯状部625)は、第1端縁627および第2端縁628を有する。第1端縁627は、第4配線部624においてx2方向に位置する端縁であり、平面視において第1辺191よりもx1方向に位置する。第1端縁627はまた、y方向において少なくとも第3辺193から第4辺194まで延びている。これにより、平面視において、各第1半導体素子10Aのx2方向側の2つの角171,172がそれぞれ、第2導通部材62に重ならない。第2端縁628は、第4配線部624(第1帯状部625)においてx1方向に位置する端縁であり、平面視において第2辺192よりもx2方向に位置する。第2端縁628はまた、y方向において少なくとも第3辺193から第4辺194まで延びている。これにより、平面視において、各第1半導体素子10Aのx1方向側の2つの角173,174がそれぞれ、第2導通部材62に重ならない。このような構成では、平面視において第4配線部624のうち各第1半導体素子10Aと重なる領域を確保することで第2導通部材62の平面視におけるサイズを大きくしつつ、平面視における第1半導体素子10Aの四隅が、第2導通部材62に重ならない。したがって、第2導通部材62(導通部材6)の寄生抵抗成分を効果的に抑制するとともに、半導体モジュールA1の製造途中において各第1半導体素子10Aの接合状態の外観検査を行うことができる。
【0170】
第4配線部624(第1帯状部625)は、他の部位よりもz2方向に突き出た複数の凸状領域625aを有する。各凸状領域625aは、平面視において各第1半導体素子10Aに重なる。第4配線部624が複数の凸状領域625aを有する構成によれば、第1半導体素子10A上に接合された第1導通部材61に第4配線部624が不当に接触するのを回避することができる。
【0171】
第3配線部623は、他の部位よりもz1方向に突き出た複数の凹状領域623aを有する。各凹状領域623aは、複数の第2半導体素子10Bのいずれかと接合されている。このような構成によれば、第3配線部623(第2導通部材62)と複数の第2半導体素子10Bとを適切に導通させつつ、第3配線部623(第2導通部材62)の平面視におけるサイズを大きく確保することができる。
【0172】
複数の第1半導体素子10Aと複数の第2半導体素子10Bとは、x方向に見て互いに重なっている。このような構成によれば、複数の第1半導体素子10Aおよび複数の第2半導体素子10Bが配置される導電基板2(第1導電部2Aおよび第2導電部2B)のy方向の寸法が大きくなるのを抑制することができ、半導体モジュールA1の小型化を図ることができる。
【0173】
半導体モジュールA1は、導電基板2、2つの入力端子41,42(または2つの入力端子41,43)、出力端子44および導通部材6を備えている。導電基板2は、平面視において、x方向に並んだ第1導電部2Aおよび第2導電部2Bを含む。第1導電部2Aには、複数の第1半導体素子10Aが電気的に接合されている。また、第2導電部2Bには、複数の第2半導体素子10Bが電気的に接合されている。複数の第1半導体素子10Aおよび複数の第2半導体素子10Bはそれぞれ、y方向に沿って間隔を隔てて配置されている。2つの入力端子41,42(または2つの入力端子41,43)は、第1導電部2Aに対して、x2方向に位置する。入力端子41は、正極であり、第1導電部2Aに繋がる。入力端子42(または入力端子43)は、負極である。出力端子44は、第2導電部2Bに対してx1方向に位置する。導通部材6は、複数の第1半導体素子10Aと第2導電部2Bとに接続された第1導通部材61、および、複数の第2半導体素子10Bと入力端子42(または入力端子43)に接続された第2導通部材62とを含む。この構成によると、複数の半導体素子10(複数の第1半導体素子10Aおよび複数の第2半導体素子10B)によってスイッチングされる主回路電流の経路が平面視においてx方向に沿うように構成されるとともに、半導体モジュールA1の平面構造における対称軸(
図5の補助線L1参照)が平面視においてy方向に沿うように構成される。つまり、上記対称軸と、上記主回路電流の経路とが直交する。これにより、2つの入力端子41,42(または2つの入力端子41,43)から入力され、出力端子44から出力される主回路電流において、複数の第1半導体素子10Aおよび複数の第2半導体素子10Bへの電流経路の差を小さくできる。つまり、半導体モジュールA1における寄生インダクタンス成分のばらつきや電流ばらつきを抑制できる。したがって、半導体モジュールA1は、主回路電流の経路における寄生インダクタンス成分の均等化および各半導体素子10への電流量の均等化を図る上で、好ましいパッケージ構造をなす。
【0174】
各第1半導体素子10Aと各第2半導体素子10Bとは、x方向に離間している。各第1半導体素子10Aと各第2半導体素子10Bとは、それぞれy方向に沿って並ぶ。したがって、各半導体素子10が並ぶ方向と、第1主回路電流または第2主回路電流が流れる方向とは、直交する。これにより、本実施形態のように複数のスイッチング素子を並列に接続して用いる場合において、3つの第1半導体素子10Aの間で第1主回路電流の電流経路の長さの差が生じることが抑制される。これにより、主回路電流の経路である導通部材6における寄生抵抗成分を抑制することができる。
【0175】
第1主回路電流が流れる領域と、第2主回路電流が流れる領域とは、平面視において重なるように構成されている。即ち、第2主回路電流を流すために出力端子44と負極端子である第1入力端子42および第2入力端子43とを接続する第2導通部材62を、第1主回路電流が流れる領域(第1導電部2A、第1導通部材61、第2導電部2B)の上方に配置している。第1主回路電流が流れる方向と第2主回路電流が流れる方向とは逆である。したがって、上述した配置により、第1主回路電流によって生ずる磁界と第2主回路電流によって生ずる磁界とを打ち消しあうことができるので、インダクタンスを低減できる。
【0176】
本実施形態の半導体モジュールA1は、2つの入力端子42,43を備える。これら入力端子42,43は、いずれも負極であり、y方向において入力端子41を挟んでいる。また、2つの入力端子42,43には、第2導通部材62が接続されている。このような構成によれば、出力端子44から各第2半導体素子10Bおよび第2導通部材62を介して各入力端子42,43に流れる電流の経路のばらつきを、より低減することが可能である。
【0177】
半導体モジュールA1では、第2導通部材62は、第1配線部621、第2配線部622、第3配線部623および第4配線部624を含む。第1配線部621および第2配線部622は、入力端子41を挟んでy方向において互いに反対側に配置された入力端子42,43にそれぞれ接続されるとともに、x方向に延びている。第3配線部623は、第1配線部621および第2配線部622の双方に繋がってy方向に延びており、複数の第2半導体素子10Bそれぞれに接続されている。第4配線部624は、第4配線部624は、第3配線部623に対してx2方向側に位置し、第1配線部621、第2配線部622および第3配線部623のいずれにも繋がっている。上記第1配線部621、第2配線部622、第3配線部623および第4配線部624を含んで構成された第2導通部材62は、平面視において主面201の広い範囲と重なっており、平面視におけるサイズを大きく確保することができる。このような構成によれば、出力端子44から各第2半導体素子10Bおよび第2導通部材62を介して各入力端子42,43に流れる電流の経路のばらつきが適切に低減される。したがって、本実施形態の半導体モジュールA1は、主回路電流の経路(第2導通部材62)における寄生インダクタンス成分の均等化および各第2半導体素子10Bへの電流量の均等化を図る上で、より好ましい。
【0178】
第4配線部624は、第1配線部621および第2配線部622の双方に繋がり、平面視において複数の第1半導体素子10Aと重なる。また、第4配線部624(第1帯状部625)は、他の部位よりもz2方向に突き出た複数の凸状領域625aを有する。各凸状領域625aは、平面視において各第1半導体素子10Aに重なる。このような構成によれば、第4配線部624(第2導通部材62)の平面視におけるサイズを大きく確保しつつ、第1半導体素子10A上に接合された第1導通部材61に第4配線部624が不当に接触するのを回避することができる。
【0179】
複数の第1半導体素子10Aと複数の第2半導体素子10Bとは、x方向に見て互いに重なっている。このような構成によれば、複数の第1半導体素子10Aおよび複数の第2半導体素子10Bが配置される導電基板2(第1導電部2Aおよび第2導電部2B)のy方向の寸法が大きくなるのを抑制することができ、半導体モジュールA1の小型化を図ることができる。
【0180】
図30~
図32は、第2実施形態にかかる半導体モジュールを示している。本実施形態の半導体モジュールA2においては、第2導通部材62の構成が上記実施形態の半導体モジュールA1と異なっている。
【0181】
本実施形態においては、第2導通部材62の第4配線部624の占める領域が上記実施形態と異なる。具体的には、第1帯状部625のx方向の寸法が上記半導体モジュールA1よりも大きくされている。
図31、
図32に示すように、第1帯状部625の第2端縁628の位置が上記半導体モジュールA1と比べてx1方向側に位置する。第2端縁628は、
図32に示すように、平面視において第1半導体素子10Aの第2辺192よりもx1方向に位置する。これにより、平面視において各第1半導体素子10Aのx1方向側の2つの角がそれぞれ、第2導通部材62(第1帯状部625)に重なっている。
【0182】
本実施形態の半導体モジュールA2においても、上記実施形態の半導体モジュールA1と同様の作用効果を奏する。また、半導体モジュールA2において、第4配線部624の第1帯状部625(第2導通部材62)の平面視におけるサイズをより大きく確保することができる。このことは、寄生インダクタンス成分を低減する上でより好ましい。
【0183】
図33および
図34は、第3実施形態にかかる半導体モジュールを示している。本実施形態の半導体モジュールA3においては、主に第2導通部材62の構成が上記実施形態の半導体モジュールA1と異なっている。
【0184】
半導体モジュールA3では、上記実施形態と異なり、第2導通部材62は開口63を有さない。半導体モジュールA3を製造する際、封止樹脂8の形成(モールド成形)に用いる金型91は押さえピン911を具備していない。これにより、
図34に示すように、封止樹脂8には樹脂空隙部86が形成されず、導電基板2(第1導電部2Aおよび第2導電部2B)の主面201には、凹部201aが形成されない。また、封止樹脂8において樹脂空隙部86が形成されないので、上記実施形態において樹脂空隙部86を埋めるのに用いられた樹脂充填部88についても、本実施形態の半導体モジュールA3は具備しない。
【0185】
本実施形態の半導体モジュールA3においても、上記実施形態の半導体モジュールA1と同様の作用効果を奏する。
【0186】
本開示にかかる半導体モジュールは、上記した実施形態に限定されるものではない。本開示の半導体モジュールの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0187】
上記実施形態では、2つの入力端子42,43(N端子)を具備し、これら入力端子42,43に第2導通部材62が接続された構成について説明したが、これに限定されない。1つの入力端子42(N端子)のみを備え、当該入力端子42に第2導通部材62が接続された構成としてもよい。
【0188】
上記実施形態では、複数の制御端子45(複数の第1制御端子46A~46Eおよび複数の第2制御端子47A~47D)について、各制御端子45がz方向に沿って延びるように配置されていたが、これに限定されない。たとえば、各制御端子45がz方向に直交する平面(x-y平面)に沿って延びるように配置された構成であってもよい。
【0189】
上記実施形態では第2導通部材62に2個の第2帯状部626や第1帯状部625を設けた例を示したが、2個の第2帯状部626や第1帯状部625はなくてもよい。しかし、2個の第2帯状部626や第1帯状部625を設けることにより、2個の第2帯状部626や第1帯状部625を設けない構成と比較して、複数の半導体素子10間のずれを抑制できるとともに、インダクタンスをより低減することができる。
【0190】
本開示は、以下の付記に記載された構成を含む。
【0191】
付記1.
厚さ方向に互いに離間した主面および裏面を有する導電基板と、
前記主面に電気的に接合され且つスイッチング機能を有する少なくとも1つの半導体素子と、
前記半導体素子によってスイッチングされる主回路電流の経路を構成する導通部材と、
前記導電基板に対して前記厚さ方向に直交する第1方向の一方側に配置された第1入力端子および第2入力端子と、
前記導電基板に対して前記第1方向の他方側に配置された少なくとも1つの出力端子と、を備え、
前記導電基板は、前記第1方向に互いに離間配置された第1導電部および第2導電部を含み、
前記少なくとも1つの半導体素子は、複数の第1半導体素子および複数の第2半導体素子を含み、前記複数の第1半導体素子は、前記第1導電部に電気的に接合され、かつ前記厚さ方向および前記第1方向の双方に直角である第2方向に互いに離間配置されており、前記複数の第2半導体素子は、前記第2導電部に電気的に接合され、かつ前記第2方向に互いに離間配置されており、
前記第1入力端子は、前記第1導電部に電気的に接続されており、
前記第2入力端子は、前記第1入力端子とは極性が逆であり、
前記出力端子は、前記第2導電部に電気的に接続されており、
前記導通部材は、前記複数の第1半導体素子と前記第2導電部とに接続された第1導通部材と、前記複数の第2半導体素子と前記第2入力端子とに接続された第2導通部材と、を含む、半導体モジュール。
付記2.
前記主回路電流の経路は、前記第1入力端子と前記出力端子との間の第1主回路電流の経路と、前記出力端子と前記第2入力端子との間の第2主回路電流の経路と、を含み、
前記第1主回路電流の方向と前記第2主回路電流の方向とは逆である、付記1に記載の半導体モジュール。
付記3.
前記複数の第1半導体素子および前記複数の第2半導体素子によってスイッチングされる前記主回路電流の経路が前記厚さ方向に見て前記第1方向に沿うように構成されている、付記1または2に記載の半導体モジュール。
付記4.
前記第1導通部材は、前記複数の第1半導体素子とそれぞれ対応する複数の導通部分を含む、付記1ないし3のいずれかに記載の半導体モジュール。
付記5.
前記第1半導体素子に対して前記第1方向一方側に位置し、かつ前記第2導通部材が接続された第3入力端子をさらに備え、
前記第1入力端子は、前記第2方向において、前記第2入力端子および前記第3入力端子の間に配置されている、付記1ないし4のいずれかに記載の半導体モジュール。
付記6.
前記第2導通部材は、前記第2入力端子に接続され、かつ前記第1方向に延びる第1配線部と、前記第3入力端子に接続され、かつ前記第1方向に延びる第2配線部と、前記第1配線部および前記第2配線部の双方に繋がり、前記第2方向に延びており、かつ前記複数の第2半導体素子それぞれに接続される第3配線部と、前記第3配線部に対して前記第1方向一方側に位置し、前記第1配線部、前記第2配線部および前記第3配線部のいずれにも繋がる第4配線部と、を含む、付記5に記載の半導体モジュール。
付記7.
前記第4配線部は、前記厚さ方向に見て前記複数の第1半導体素子と重なる、付記6に記載の半導体モジュール。
付記8.
前記第4配線部は、当該第4配線部の他の部位よりも前記厚さ方向に突き出た複数の凸状領域を有し、各凸状領域は、前記厚さ方向に見て、前記複数の第1半導体素子のうち対応する1つと重なる、付記7に記載の半導体モジュール。
付記9.
前記複数の第1半導体素子および前記複数の第2半導体素子は、それぞれ、前記厚さ方向に互いに離間配置されたソース電極およびドレイン電極を有しており、
前記第1導通部材は、各第1半導体素子の前記ソース電極に接続されており、
前記第1導電部は、各第1半導体素子の前記ドレイン電極に接続されており、
前記第3配線部は、各第2半導体素子の前記ソース電極に接続されており、
前記第2導電部は、各第2半導体素子の前記ドレイン電極に接続されている、付記6ないし8のいずれかに記載の半導体モジュール。
付記10.
前記複数の第1半導体素子と前記複数の第2半導体素子とは、前記第1方向に見て互いに重なる、付記9に記載の半導体モジュール。
付記11.
前記第1入力端子、前記第2入力端子および前記第3入力端子は、前記第2方向に見て互いに重なる、付記5ないし10のいずれかに記載の半導体モジュール。
付記12.
前記第1導通部材および前記第2導通部材は、金属製の板材により構成される、付記1ないし11のいずれかに記載の半導体モジュール。
付記13.
前記複数の第1半導体素子および前記複数の第2半導体素子のうちの1つに接続された制御端子をさらに備え、
前記制御端子は、前記主面上に配置され、かつ前記厚さ方向に沿って延びる、付記1に記載の半導体モジュール。
付記14.
前記第1入力端子および前記第2入力端子は、それぞれ、前記第1方向の一方側に向かって延び、かつ前記厚さ方向の一方側に向く入力側接合面を含み、
前記出力端子は、前記第1方向の他方側に向かって延び、かつ、前記厚さ方向の一方側に向く出力側接合面を含む、付記1ないし13のいずれかに記載の半導体モジュール。
付記15.
前記第1入力端子および前記第2入力端子は、それぞれ、前記厚さ方向に見て前記入力側接合面の周縁に位置し、かつ当該入力側接合面の法線と交差する方向を向く入力側側面と、当該入力側側面に形成された入力側加工痕と、を有し、
前記出力端子は、前記厚さ方向に見て前記出力側接合面の周縁に位置し、かつ当該出力側接合面の法線と交差する方向を向く出力側側面と、当該出力側側面に形成された出力側加工痕と、を有する、付記14に記載の半導体モジュール。
付記16.
前記第1および第2導電部の各々の少なくとも一部と、前記複数の第1半導体素子と、前記複数の第2半導体素子と、前記第1導通部材と、前記第2導通部材とを覆う封止樹脂をさらに備える、付記1ないし15のいずれかに記載の半導体モジュール。
付記17.
前記封止樹脂は、前記第1方向に互いに離間した第1樹脂側面および第2樹脂側面を有し、前記第2樹脂側面は、前記第1樹脂側面よりも前記第2導電部に近い位置にあり、前記第2樹脂側面は、前記第2方向に互いに離間した2つの端部を有し、少なくともそのうちの1つの端部に樹脂分離痕が形成されている、付記16に記載の半導体モジュール。
付記18.
前記少なくとも1つの出力端子は、第1出力端子と第2出力端子とを含み、
前記封止樹脂は、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間において樹脂分離痕が形成された樹脂側面を有する、付記16に記載の半導体モジュール。
付記19.
厚さ方向互いに離間した主面および裏面を有する導電基板と、
前記主面に電気的に接合され、スイッチング機能を有する少なくとも1つの半導体素子と、
前記半導体素子によってスイッチングされる主回路電流の経路を構成し、前記主面から前記厚さ方向に離間する導通部材と、
前記導電基板に対し、前記厚さ方向に直交する第1方向の一方側に配置された第1入力端子および第2入力端子と、
前記導電基板に対して前記第1方向の他方側に配置された出力端子と、を備え、
前記導電基板は、前記厚さ方向に直交する第1方向において互いに離間した第1導電部および第2導電部を含み、
前記少なくとも1つの半導体素子は、前記第1導電部に電気的に接合された複数の第1半導体素子と、前記第2導電部に電気的に接合された複数の第2半導体素子と、を含み、
前記複数の第1半導体素子は、前記厚さ方向および前記第1方向の双方に直角である第2方向に沿って互いに離間配置されており、
前記複数の第2半導体素子は、前記第2方向に沿って互いに離間配置されており、
前記第1入力端子は、前記第1導電部に繋がった正極であり、
前記第2入力端子は負極であり、
前記出力端子は、前記第2導電部に繋がっており、
前記導通部材は、前記複数の第1半導体素子と前記第2導電部とに接続された第1導通部材と、前記複数の第2半導体素子と前記第2入力端子とに接続された第2導通部材と、を含む、半導体モジュール。
付記20.
前記複数の第1半導体素子および前記複数の第2半導体素子によってスイッチングされる前記主回路電流の経路が前記厚さ方向に見て前記第1方向に沿うように構成されており、
前記厚さ方向に見て、前記複数の第1半導体素子および前記複数の第2半導体素子は、前記第1方向に直交する軸に関して互いに対称に配置されている、付記19に記載の半導体モジュール。
付記21.
前記複数の第1半導体素子に対して前記第1方向一方側に位置し、かつ前記第2導通部材が接続された、負極である第3入力端子をさらに備え、
前記第2入力端子および前記第3入力端子は、前記第1入力端子を挟んで前記第2方向の一方側および他方側にそれぞれ配置されている、付記19または20に記載の半導体モジュール。
付記22.
前記第2導通部材は、前記第2入力端子に接続され、かつ前記第1方向に延びる第1配線部と、前記第3入力端子に接続され、かつ前記第1方向に延びる第2配線部と、前記第1配線部および前記第2配線部の双方に繋がり、前記第2方向に延びており、かつ前記複数の第2半導体素子それぞれに接続される第3配線部と、前記第3配線部に対して前記第1方向一方側に位置し、かつ前記第1配線部、前記第2配線部および前記第3配線部のいずれにも繋がる第4配線部と、を含む、付記21に記載の半導体モジュール。
付記23.
前記第4配線部は、前記厚さ方向に見て前記複数の第1半導体素子と重なる、付記22に記載の半導体モジュール。
付記24.
前記第4配線部は、当該第4配線部の他の部位よりも前記厚さ方向に突き出た複数の凸状領域を有しており、各凸状領域は、前記厚さ方向に見て、前記複数の第1半導体素子のうちの対応する1つと重なる、付記23に記載の半導体モジュール。
付記25.
前記複数の第1半導体素子および前記複数の第2半導体素子は、各々、前記厚さ方向に互いに離間したソース電極およびドレイン電極を有しており、
前記第1導通部材は、各第1半導体素子の前記ソース電極に接続されており、
前記第1導電部は、各第1半導体素子の前記ドレイン電極に接続されており、
前記第3配線部は、各第2半導体素子の前記ソース電極に接続されており、
前記第2導電部は、各第2半導体素子の前記ドレイン電極に接続されている、付記22ないし24のいずれかに記載の半導体モジュール。
付記26.
前記複数の第1半導体素子と前記複数の第2半導体素子とは、前記第1方向に見て互いに重なる、付記25に記載の半導体モジュール。
付記27.
前記第1入力端子、前記第2入力端子および前記第3入力端子は、前記第2方向に見て互いに重なる、付記21ないし26のいずれかに記載の半導体モジュール。
付記28.
前記第1導通部材および前記第2導通部材は、金属製の板材により構成される、付記19ないし27のいずれかに記載の半導体モジュール。
【符号の説明】
【0192】
A1,A2,A3:半導体モジュール 10:半導体素子
10A:第1半導体素子 10B:第2半導体素子
101:素子主面 102:素子裏面
11:第1主面電極(ゲート電極)
12:第2主面電極(ソース電極)
13:第3主面電極 14:第4主面電極
15:裏面電極(ドレイン電極) 16:第5主面電極
171,172,173,174:角
181,182,183,184:角
191:第1辺 192:第2辺
193:第3辺 194:第4辺
2:導電基板 2A:第1導電部
2B:第2導電部 201:主面
201a:凹部 201b:凹部端縁
202:裏面 21:基材
22:主面接合層 23:裏面接合層
3:支持基板 301:支持面
302:底面 31:絶縁層
32:第1金属層 32A:第1部
32B:第2部 321:第1接合層
33:第2金属層 41:第1入力端子
411:入力側接合面 412:入力側側面
413:先端面 414:側方面
42:第2入力端子 421:入力側接合面
422:入力側側面 423:先端面
424:側方面 43:第3入力端子
431:入力側接合面 432:入力側側面
433:先端面 434:側方面
44:出力端子 441:出力側接合面
442:出力側側面 443:先端面
444:側方面 45:制御端子
451:ホルダ 452:金属ピン
459:導電性接合材
46A,46B,46C,46D,46E:第1制御端子
47A,47B,47C,47D:第2制御端子
5:制御端子支持体 51:絶縁層
52:第1金属層 521:第1部
522:第2部 523:第3部
524:第4部 525:第5部
53:第2金属層 59:接合材
6:導通部材 601:第1部
61:第1導通部材 61h:開口
62:第2導通部材 62A:第1部
62B:第2部 621:第1配線部
622:第2配線部 623:第3配線部
623a:凹状領域 623h:開口
624:第4配線部 625:第1帯状部
625a:凸状領域 625h:開口
626:第2帯状部 627:第1端縁
628:第2端縁 63:開口
69:導電性接合材 71:第1導電性接合材
711:第1基層 712:第1層
713:第2層 72:第2導電性接合材
721:第2基層 722:第3層
723:第4層 731:ワイヤ
731a:第1ワイヤ 731b:第2ワイヤ
732,733,734,735:ワイヤ
8:封止樹脂 81:樹脂主面
82:樹脂裏面 831,832:樹脂側面
832a:凹部 833,834:樹脂側面
851:第1突出部 851a:第1突出端面
851b:凹部 851c:内壁面
852:第2突出部 86:樹脂空隙部
861:樹脂空隙部端縁 87:樹脂部
88:樹脂充填部 91:金型
911:押さえピン