(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014573
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】刈込機
(51)【国際特許分類】
A01G 3/04 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
A01G3/04 501C
A01G3/04 501J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118586
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】509264132
【氏名又は名称】株式会社やまびこ
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 久夫
(72)【発明者】
【氏名】清水 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】河野 徹
(57)【要約】
【課題】ブレードがロックした際、ユーザーが正逆切替レバー等の追加的な操作を行わなくても(通常運転で)、モータを逆回転させて、切刃を枝等から解放させることができる刈込機を提供する。
【解決手段】電動モータ50と、該電動モータ50により回転駆動されるブレード駆動用ギア61と、該ギア61に設けられた偏心カム62と、相対的に摺動自在に対接する一対のブレードと、を備え、偏心カム62で一対のブレードをその長手方向に沿って相対的に逆方向に往復移動させ、一対のブレードに間隔をあけて突設された切刃24を擦り合わせるようにされ、ブレードを駆動させるためのトリガーレバー43と、トリガーレバー43の入力に基づいて電動モータ50の回転駆動を制御する制御回路(制御装置)80と、を備え、制御回路(制御装置)80は、トリガーレバー43の入力毎に電動モータ50の回転方向を切り替える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、
該電動モータにより回転駆動されるブレード駆動用ギアと、
該ギアに設けられた偏心カムと、
相対的に摺動自在に対接する一対のブレードと、を備え、
前記偏心カムで前記一対のブレードをその長手方向に沿って相対的に逆方向に往復移動させ、前記一対のブレードに間隔をあけて突設された切刃を擦り合わせるようにされた刈込機であって、
前記ブレードを駆動させるためのトリガーレバーと、
前記トリガーレバーの入力に基づいて前記電動モータの回転駆動を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記トリガーレバーの入力毎に前記電動モータの回転方向を切り替えることを特徴とする刈込機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記トリガーレバーの入力に基づく前記電動モータの起動時に前記電動モータへの印加電力を通常動作時よりも上げることを特徴とする請求項1に記載の刈込機。
【請求項3】
前記電動モータはホイール付き電動モータであることを特徴とする請求項1に記載の刈込機。
【請求項4】
前記ホイールはアウターロータであることを特徴とする請求項3に記載の刈込機。
【請求項5】
前記制御装置は前記ブレードのロックを検知することを特徴とする請求項1に記載の刈込機。
【請求項6】
前記制御装置は、前記ブレードのロックを検知したとき、前記電動モータを停止する、前記ブレードのロックをユーザーに報知する、前記電動モータをロック検知毎に連続して逆回転させる、又は、前記電動モータの印加電力を通常動作時よりも上げる制御を行うことを特徴とする請求項5に記載の刈込機。
【請求項7】
前記制御装置は前記ブレードのロックを検知しないことを特徴とする請求項1に記載の刈込機。
【請求項8】
前記制御装置は、前記トリガーレバーの入力時に、前記電動モータの回転が停止している場合、前記電動モータの回転方向を反転させ、前記電動モータの回転が停止していない場合、前記電動モータの回転方向を反転させないことを特徴とする請求項1に記載の刈込機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈込機に関する。
【背景技術】
【0002】
生垣や植木の刈り込みや剪定に用いられるヘッジトリマー、バリカン等の刈込機は、本体ケース内の駆動源により回転駆動されるブレード駆動用ギアと、該ギアの一面側に設けられた上下の偏心円板からなるカム(偏心カム)と、相互に摺動自在に対接する上下で対をなすブレードとを備え、偏心カムで細長い上下のブレードをその長手方向に沿って相互に(相対的に)逆方向に往復移動させてそれらに櫛歯状に設けられた切刃を擦り合わせることにより刈り込みや剪定等を行うように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の刈込機としては、駆動源としての電動モータ(以下、単にモータと称する場合がある)の正逆切替レバーの操作を検出して、モータの回転方向を切り替える制御回路部を備え、正逆切替レバーの操作を検出した場合、モータの回転方向を切り替えて、上下のブレード(上刃及び下刃)の駆動する方向を逆方向にするものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-193598号公報
【特許文献2】特開2011-250773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の刈込機においては、刈り込みや剪定を行っているときに切刃が太い枝やフェンス、鉄筋等の堅いものに引っ掛かってブレードがロックした場合に、切刃を枝等から解放させるために、ユーザーが都度、正逆切替レバーを操作する必要があり、ユーザーにとっては煩わしさや使い勝手の悪さを感じるという問題がある。
【0006】
本発明は、前記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ブレードがロックした際、ユーザーが正逆切替レバー等の追加的な操作を行わなくても(通常運転で)、モータを逆回転させて、切刃を枝等から解放させることができる刈込機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る刈込機は、基本的に、電動モータと、該電動モータにより回転駆動されるブレード駆動用ギアと、該ギアに設けられた偏心カムと、相対的に摺動自在に対接する一対のブレードと、を備え、前記偏心カムで前記一対のブレードをその長手方向に沿って相対的に逆方向に往復移動させ、前記一対のブレードに間隔をあけて突設された切刃を擦り合わせるようにされた刈込機であって、前記ブレードを駆動させるためのトリガーレバーと、前記トリガーレバーの入力に基づいて前記電動モータの回転駆動を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記トリガーレバーの入力毎に前記電動モータの回転方向を切り替えることを特徴としている。
【0008】
好ましい態様では、前記制御装置は、前記トリガーレバーの入力に基づく前記電動モータの起動時に前記電動モータへの印加電力を通常動作時よりも上げてもよい。
【0009】
他の好ましい態様では、前記電動モータはホイール付き電動モータであってもよい。
【0010】
他の好ましい態様では、前記ホイールはアウターロータであってもよい。
【0011】
他の好ましい態様では、前記制御装置は前記ブレードのロックを検知してもよい。
【0012】
他の好ましい態様では、前記制御装置は、前記ブレードのロックを検知したとき、前記電動モータを停止する、前記ブレードのロックをユーザーに報知する、前記電動モータをロック検知毎に連続して逆回転させる、又は、前記電動モータの印加電力を通常動作時よりも上げる制御を行ってもよい。
【0013】
他の好ましい態様では、前記制御装置は前記ブレードのロックを検知しなくてもよい。
【0014】
別の好ましい態様では、前記制御装置は、前記トリガーレバーの入力時に、前記電動モータの回転が停止している場合、前記電動モータの回転方向を反転させ、前記電動モータの回転が停止していない場合、前記電動モータの回転方向を反転させなくてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、運転時にユーザーが操作するトリガーレバーの入力毎にモータの回転方向を切り替えるので、刈り込みや剪定を行っているときに切刃が太い枝やフェンス、鉄筋等の堅いものに引っ掛かってブレードがロックした際、通常運転で逆方向にブレード(切刃)を移動させて、切刃を枝等から解放させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るヘッジトリマーを示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るヘッジトリマーを示した側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るヘッジトリマーを示した側断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るヘッジトリマーを示した下面図であり、駆動伝達機構のケースの底板を取り外した状態を示している。
【
図5】偏心カムと可動プレートとの係合による上ブレードおよび下ブレードの動作説明に供される図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るヘッジトリマーの制御回路の構成を示した構成図である。
【
図7】
図6に示した制御回路の制御フローの一例(ロック判定無しの場合)を示したフローチャートである。
【
図8】
図6に示した制御回路の制御フローの他例(ロック判定有りの場合)を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、刈込機の一種であるヘッジトリマーを例示して説明する。また、本明細書では、ブレード(切刃)側を前側ないし先端側、本体ケース側を後側ないし基端側とし、作業者が把持する前ハンドルが突出している側を上側、それとは反対側を下側とする。ただし、上下前後左右方向は、本実施形態のヘッジトリマーを説明する上で便宜上設定したものであり、ヘッジトリマーの構成や使用状態を限定するものではない。
【0018】
本実施形態のヘッジトリマー1は、
図1に示すように、生垣や植木の刈り込みや剪定に用いられる手持式の小型切断作業機であり、バッテリ100を装着して電動で駆動する。ヘッジトリマー1は、
図2に示すように、駆動源としての電動モータ50と、電動モータ50の前方に配置されたブレード組立体20と、電動モータ50が収容された本体ケース10と、を備えている。
【0019】
本体ケース10は、樹脂製の箱体であり、上面が下面に対して傾斜している。本体ケース10の上面は、後側から前側に向かうに連れて下がるように傾斜している。つまり、本体ケース10は、後部よりも前部が低く形成されている。そして、本体ケース10は、側面視で略三角形に形成されている。
【0020】
本体ケース10の上面には、バッテリ100を取り付けるためのバッテリ取付部15が設けられている。バッテリ取付部15は、本体ケース10の上面に合わせて、後部から前部に向かうに連れて下がるように傾斜している。
【0021】
バッテリ100は、公知のバッテリであり、前後方向に延びている直方体のケースにリチウムイオン蓄電池などの二次電池を収容したものである。バッテリ100の下面の後端部には、
図2および
図3に示すように、バッテリ取付部15に係合する係合部110が突出している。
【0022】
バッテリ取付部15にバッテリ100を取り付けるときには、バッテリ100をバッテリ取付部15に対して後側から前方に向けてスライドさせながら、バッテリ100の下部をバッテリ取付部15に嵌め合わせる。そして、バッテリ100の前端部がバッテリ取付部15の前端部に支持される位置まで移動すると、バッテリ100の係合部110がバッテリ取付部15に係合して、バッテリ100がバッテリ取付部15に固定される。
【0023】
バッテリ取付部15の上面には、金属製の接続端子(図示せず)が設けられている。接続端子は、制御基板(図示せず)や電動モータ50に電気的に接続されている。そして、バッテリ取付部15の接続端子にバッテリ100の接続端子が接続されることで、バッテリ100から制御基板や電動モータ50に電力が供給される。
【0024】
バッテリ取付部15からバッテリ100を取り外すときには、バッテリ100の後端部に設けられた連結用レバー120(
図3)を引き上げると、バッテリ取付部15と係合部110との係合状態が解除され、バッテリ100をバッテリ取付部15に対して後方に向けてスライド可能となる。
【0025】
本体ケース10の前方には、
図1に示すように、前ハンドル30が設けられている。前ハンドル30は、バッテリ取付部15に取り付けられたバッテリ100の前方に配置される。前ハンドル30は、正面から見て門状に形成され、左右方向に延びている横部の左右の端部から下方に延びている左右の縦部が形成されており、両縦部の下端部が本体ケース10の前端部に固定されている。前ハンドル30の両縦部の下端部同士の間には、前方ガード31が設けられている。前方ガード31は、ブレード組立体20(の基端部)を上側から覆うように形成されている。
【0026】
本体ケース10の後方には、後ハンドル40が設けられている。後ハンドル40には、本体ケース10の後部に連結された連結部41と、左右方向に貫通した開口部が形成された把持部42と、が形成されている。作業者がヘッジトリマー1を持つときには、把持部42の開口部に手を差し入れて後ハンドル40を把持する。後ハンドル40の連結部41は、
図3に示すように、本体ケース10の後面に対して、前後方向の軸回りに回動自在に連結されている。これにより、本体ケース10に対して後ハンドル40全体が前後方向の軸回りに回動自在となっている。
【0027】
後ハンドル40の把持部42の内周部には、
図1に示すように、作業者が把持した状態で、電動モータ50を回転させてブレード組立体20を駆動させるための操作手段であるトリガーレバー43が設けられている。また、把持部42の上面には、トリガーレバー43のロックを解除するロック解除レバー44が設けられているとともに、電源スイッチ45が設けられている。
【0028】
なお、本体ケース10の形状、バッテリ100の配置構成や取付構成などは、図示例に限られないことは当然である。
【0029】
また、本実施形態のヘッジトリマー1では、バッテリ100から制御基板や電動モータ50に電力が供給されているが、例えば、バッテリ100を用いることなく、電源コードによって外部電源から制御基板や電動モータ50に電力を供給してもよい。
【0030】
ブレード組立体20は、
図2に示すように、電動モータ50に対して前方に向けて直線状に延びており、本体ケース10の前端部から前方に向けて突出している。ブレード組立体20は、金属製の上ブレード21および下ブレード22と、樹脂製のカバー23と、を備えている切断器具である。
【0031】
上ブレード21と下ブレード22とは、細長い板状の刃物であり、上下に重ね合わされている。上ブレード21と下ブレード22とは、相互に(相対的に)摺動自在に対接する上下で対をなしている。上ブレード21および下ブレード22には、
図1に示すように、その長手方向に沿って所定の間隔をあけて左右方向に突出した複数の切刃24が形成されている。カバー23は、作業者の手と上ブレード21および下ブレード22との接触を防ぐための保護用の部材であり、上ブレード21の上面を覆っている。
【0032】
上ブレード21および下ブレード22には、
図4に示すように、その長手方向に沿って所定の間隔をあけて所要個数の長穴(長手方向に長い穴)25が形成されている。長穴25の長さは、上ブレード21および下ブレード22の往復移動を許容する長さとなっている。そして、上ブレード21および下ブレード22の長穴25(上下で重なる長穴)には、平面視矩形で挿通丸穴を有する角筒状スペーサ26が摺動自在に嵌挿されている。角筒状スペーサ26の挿通丸穴(長手方向の場所によっては、カバー23に設けられた通し穴を含む)を通して締結部材としてのボルト27が挿通されて締結される。これにより、上ブレード21および下ブレード22は、相互に(相対的に)摺動自在に保持された状態で、長手方向に沿う所定箇所で締結固定されている。
【0033】
上ブレード21および下ブレード22の後端部(基端部)には、
図3および
図4に示すように、後述する可動プレート63と接続される接続部28が形成されている。本実施形態では、接続部28は、短円柱状の突起で形成(突設)されており、後述する可動プレート63の先端部の開口部に挿入されることで、上ブレード21および下ブレード22と可動プレート63とが連結される。ただし、接続部28の構成、すなわち、上ブレード21および下ブレード22と可動プレート63との接続構成は、図示例に限られない。例えば、上ブレード21および下ブレード22に、接続部としての円形の開口を形成し、当該開口に、可動プレート63に形成した円柱状の突起を挿入して連結してもよい。
【0034】
上ブレード21および下ブレード22の後端部は、
図3および
図4に示すように、本体ケース10内に挿入されている。上ブレード21および下ブレード22の後端部は、駆動伝達機構60を介して電動モータ50に連結されている。
【0035】
駆動伝達機構60は、ブレード駆動用ギア61と、ブレード駆動用ギア61に設けられた上下の偏心カム(以下、単にカムと称する)62,62と、上下の可動プレート(コネクティングロッドとも称する)63,63と、を備えている。
【0036】
ブレード駆動用ギア61は、円盤状の歯車であり、中心部から上下方向に支軸64が突出している。支軸64の上端部および下端部は、本体ケース10内に設けられた上下の軸受65,65に回転自在に支持されている。つまり、ブレード駆動用ギア61は支軸64の軸回りに回転する。
【0037】
ブレード駆動用ギア61の上面および下面には、偏心円板からなる上下のカム62,62がそれぞれ突出している。上下のカム62,62は、ブレード駆動用ギア61の回転中心(支軸64の中心)に対してそれぞれ一方側および他方側に偏心した位置に設けられている。本実施形態では、削り出し加工により、上下のカム62,62がギア61に一体成形されている。
【0038】
上側の可動プレート63の後端部の開口部に上側のカム62が挿入されて係合し、上側の可動プレート63の先端部の開口部には上ブレード21の後端部の接続部28が挿入されて連結されている。下側の可動プレート63の後端部の開口部に下側のカム62が挿入されて係合し、下側の可動プレート63の先端部の開口部には下ブレード22の後端部の接続部28が挿入されて連結されている。
【0039】
駆動伝達機構60では、ブレード駆動用ギア61の回転に伴って、上下のカム62,62が回転移動することで、上下の可動プレート63,63が前後方向に往復移動し、上ブレード21および下ブレード22が相反して前後方向に往復移動(換言すると、その長手方向に沿って相互に逆方向に所定のストロークをもって往復移動)するように構成されている(
図4および
図5参照)。言い換えると、電動モータ50の回転運動を、駆動伝達機構60の上下の可動プレート63,63を介して、上ブレード21および下ブレード22の前後方向(長手方向)の往復運動に変換するように構成されている。
【0040】
前述のブレード駆動用ギア61、カム62,62、可動プレート63,63等は、駆動伝達機構60のケース66に収容されている。このケース66は、天板67と、底板68と、を備えている。ケース66の天板67および底板68は、ブレード駆動用ギア61、カム62,62、可動プレート63,63等と共にブレード組立体20の後端部を上側および下側から覆うように形成されている。ブレード組立体20は、ケース66の前端部から前方に向けて突出している。
【0041】
なお、本実施形態では、上下の可動プレート63,63を介して、上下のカム62,62と上ブレード21および下ブレード22(の接続部28,28)とが間接的に接続されるコネクティングロッド式を採用しているが、例えば、上ブレード21および下ブレード22の後端部(基端部)に接続部としての長穴(左右方向に長い穴)を形成し、その長穴(接続部)に上下のカム62,62を挿入することで、上ブレード21および下ブレード22を前後方向に往復移動させる、言い換えれば、上下のカム62,62と上ブレード21および下ブレード22(の接続部)とを直接的に接続する長穴式を採用してもよいことは当然である。
【0042】
電動モータ50は、駆動伝達機構60の後部上方に設置されている。電動モータ50は、ステータ51と、アウターロータ52と、出力軸53と、ベース部材54と、を備えている。
【0043】
ステータ51には、複数のコイル51aが設けられている。ステータ51の内周に設けられたベース部材54の下端部は駆動伝達機構60のケース66(の天板67)に固定されている。
【0044】
出力軸53は、ベース部材54の内周面に設けられた軸受に挿通されている。これにより、出力軸53は、ベース部材54に回転自在に支持されている。出力軸53の下端部には、出力ギア53aが設けられている。出力ギア53aは、駆動伝達機構60のブレード駆動用ギア61に噛み合っている。
【0045】
アウターロータ52には、ステータ51および各コイル51aの外周を囲んでいる円筒状の周壁部52aと、周壁部52aの上面開口部を塞いでいる頂部52bと、が形成されている。本実施形態のアウターロータ52は鉄製であるが、ホイールとしてのアウターロータの材質は限定されるものではない。周壁部52aの内周面には、複数の磁石52cが取り付けられている。
【0046】
アウターロータ52の頂部52bの中心部には、出力軸53の上端部が連結されている。これにより、アウターロータ52は、ステータ51に回転自在に支持されており、出力軸53とアウターロータ52とが連動して回転する。アウターロータ52および出力軸53の回転軸線Lは、ブレード組立体20の延長方向(前後方向)に直交する上下方向に延びている。
【0047】
アウターロータ52は、回転軸線L方向(上下方向)の長さよりも直径(横方向)が大きく形成されている。つまり、アウターロータ52は、横方向(回転軸線Lに直交する方向)から見たときに、高さよりも横幅が大きな偏平形状となるように形成されている。
【0048】
アウターロータ52は、ステータ51に回転自在に支持されるとともに、駆動伝達機構60を介してブレード組立体20の後端部に連結されている。そして、バッテリ100からステータ51の各コイル51aに通電されると、アウターロータ52および出力軸53が回転し、この駆動力が駆動伝達機構60を介してブレード組立体20に伝達されることで、上ブレード21および下ブレード22が相反して前後方向に往復移動する(
図4および
図5参照)。すなわち、駆動伝達機構60のカム62,62で細長い上下一対の上ブレード21および下ブレード22をその長手方向に沿って相互に(相対的に)逆方向に往復移動させてそれらに櫛歯状に設けられた切刃24を擦り合わせるようにされ、これによって、生垣や植木の刈り込みや剪定等を行う。
【0049】
本体ケース10内には、
図2および
図3に示すように、電動モータ50(のアウターロータ52および出力軸53)の回転駆動を制御する制御装置としての制御回路80が収容されている。制御回路80は、後ハンドル40に設けられたトリガーレバー43の入力(詳細には操作量)を基にブレード組立体20を駆動させるための駆動指令値を生成し、生成した駆動指令値を基に電動モータ50の回転駆動(正回転、逆回転からなる回転方向、並びに、回転数)を制御する。
【0050】
上記構成に加えて、本実施形態の電動で駆動するヘッジトリマー1の制御回路80においては、刈り込みや剪定を行っているときに切刃が太い枝やフェンス、鉄筋等の堅いものに引っ掛かってブレードがロックした際、ユーザーが正逆切替レバー等の追加的な操作を行わなくても(通常運転で)、モータ50を逆回転させて、切刃を枝等から解放させるべく、以下の対策が講じられている。
【0051】
(制御回路の構成)
図6を参照しながら、ヘッジトリマー1の制御回路80について説明する。
【0052】
制御回路80は、
図6に示すように、入力検出回路81、電源回路82、回転検出回路83、電流検出回路84、モータ制御回路85、演算部86によって構成されている。演算部86は、図示されていないが、処理プログラムとデータに基づいて駆動信号を出力するためのCPU、後述するフローチャートに相当するプログラムや制御データを記憶するためのROM、データを一時記憶するためのRAM、タイマ等を含むマイコンによって構成されている。
【0053】
入力検出回路81は、トリガーレバー43の入力(操作の有無)を検出する回路であり、検出情報は演算部86に入力される。
【0054】
電源回路82は、トリガーレバー43の操作量に応答してモータ50の印加電圧、すなわちPWM信号のデューティ比を設定するための回路である。
【0055】
回転検出回路83は、モータ50に設置された回転センサ93の出力情報に基づいて、モータ50の回転数を検出する回路であり、検出回転数(回転方向を含む)は演算部86に入力される。
【0056】
電流検出回路84は、モータ駆動回路部95に設置された電流センサ94の出力情報に基づいて、モータ50に流れている電流を検出するための回路であり、検出電流は演算部86に入力される。
【0057】
モータ制御回路85は、演算部86からの出力に基づいてモータ駆動回路部95にPWM信号を供給し、PWM信号のパルス幅の制御によってモータ50へ供給する電力を調整してモータ50の回転方向および回転数を制御する。
【0058】
演算部86は、トリガーレバー43の入力情報などに基づいて、ブレード組立体20を駆動するための駆動指令値を生成し、生成した駆動指令値をモータ制御回路85に出力することで、モータ50の回転駆動を制御する。駆動指令値には、モータ50の回転方向を指示するモータ回転方向指令値と、モータ50の回転数を指示するモータ回転数指令値とが含まれる。
【0059】
ここで、本実施形態では、制御回路80の演算部86は、モータ50の回転駆動を制御するに当たって、トリガーレバー43の入力情報、図示しない記憶部に記憶されたモータ回転方向指令値に基づいて、トリガーレバー43の入力毎に、モータ50の回転方向を指示するモータ回転方向指令値を反転させる制御を行う。これにより、トリガーレバー43の入力毎に、モータ50の回転方向を(正転方向・逆転方向で)切り替える。より具体的には、制御回路80の演算部86は、トリガーレバー43の入力のみに基づいて、モータ50の回転方向を(正転方向・逆転方向で)交互に切り替える制御を行う。
【0060】
より詳しくは、本実施形態では、演算部86は、トリガーレバー43の入力毎に、モータ50の回転数がゼロか否かを判断し、モータ50の回転数がゼロである場合のみ、モータ回転方向指令値を反転させる制御を行い、モータ50の回転数がゼロでない場合、モータ回転方向指令値として直近のモータ回転方向指令値を維持する(つまり、モータ回転方向指令値を反転させない)。すなわち、モータ50の回転が停止している場合のみ、モータ50の回転方向を反転(トリガーレバー43の入力前の回転方向とは逆方向に回転)させる(正回転→逆回転、または、逆回転→正回転)一方、モータ50の回転が停止していない場合、モータ50の回転方向を維持(トリガーレバー43の入力前の回転方向と同方向に維持)する(正回転→正回転、または、逆回転→逆回転)。これにより、モータ50が惰性で回転している間の逆転を防ぐことができる。
【0061】
ここで、モータ50の回転数は、回転センサ93の出力情報(回転検出回路83の入力)に基づいて判断してもよいし、電流センサ94の出力情報(電流検出回路84の入力)に基づいて判断してもよい。
【0062】
また、演算部86は、トリガーレバー43の入力に基づくモータ50の起動時に、モータ50への印加電力(印加電圧、入力電流でもよい)を通常動作時よりも上げる制御を行う。これにより、モータ50の起動時に、モータ50の回転駆動力を上げることができる。
【0063】
また、制御回路80の演算部86は、ブレード組立体20(上ブレード21、下ブレード22)、本実施形態ではモータ50のロックを判定・検知する機能を有する場合、次のような制御を付加してもよい。
【0064】
すなわち、モータ50の回転数がゼロか否かを判断し、モータ50の回転数がゼロである場合において、モータ50がロック中か否かを判定する「ロック中」のフラグがセットされていない場合のみ、モータ50の回転方向を指示するモータ回転方向指令値を反転させる制御を行い、「ロック中」のフラグがセットされている場合、モータ50の回転方向を指示するモータ回転方向指令値として直近のモータ回転方向指令を維持する(つまり、モータ回転方向指令を反転させない)。また、モータ50の起動・回転後、所定のタイミングでロック解除判定を行う。これにより、モータ50のロック後、初回のロック判定(検知)時のみでモータ50の回転方向を切断とは逆の方向に反転させる一方、以降はモータ50のロックが解除されなければモータ50の回転方向を切断とは逆の方向に維持する。なお、通常時(ロックしない場合)は、前述のように、トリガーレバー43の入力毎に、モータ50の回転方向を反転させる。
【0065】
ブレード組立体20(上ブレード21、下ブレード22)、本実施形態ではモータ50のロック判定方法の一例として、以下の判定方法が挙げられるが、これに限定されないことは当然である。
(a)モータ回転停止時の回転数変化:モータ回転数がゼロになるまでの時間が一定以下の場合。
(b)モータ電流(負荷トルク)の変化:モータ電流の上昇角度が一定以上、かつ、ある閾値以上のモータ電流が一定時間継続する場合。
(c)ブレードやギアへの圧力変化:カムやモータへ専用のセンサを取り付けて、ある閾値以上の圧力変化を検出する場合。
(d)上記条件(a)、(b)、(c)の組み合わせ:例えば、回転数がゼロになる時間が一定以下、かつ、その間の平均電流値が一定以上の場合。
【0066】
また、制御回路80の演算部86は、ブレード組立体20(上ブレード21、下ブレード22)、本実施形態ではモータ50のロックを判定・検知した場合、電動モータ50(の回転駆動)を停止する、ブレード(上ブレード21、下ブレード22)のロックを作業者に報知する(例えば、表示により視覚的に報知したり、音声により聴覚的に報知したりする)、電動モータ50をロック検知毎に連続して逆回転させる、または、電動モータ50の印加電力を上げる制御を行うようにしてもよい。
【0067】
制御回路80にてかかる制御を実行することにより、刈り込みや剪定を行っているときに切刃24が太い枝やフェンス、鉄筋等の堅いものに引っ掛かってブレードがロックした際、作業者(ユーザー)がトリガーレバー43を一旦離し(これにより、制御回路80へトリガーレバー43の入力が送信されなくなり)、電動モータ50の回転が停止した後、作業者がトリガーレバー43を再度操作すると、制御回路80へトリガーレバー43の入力が送信され、モータ50の回転方向が反転され(逆方向に切り替えられ)、切刃24が枝等から解放されることになる。
【0068】
なお、通常作業時においても、作業者(ユーザー)がトリガーレバー43を一旦離し(これにより、制御回路80へトリガーレバー43の入力が送信されなくなり)、電動モータ50の回転が停止した後、作業者がトリガーレバー43を再度操作する場合、制御回路80へトリガーレバー43の入力が送信され、モータ50の回転方向が反転される(逆方向に切り替えられる)が、刈り込みや剪定において作業上の支障は生じない。
【0069】
(制御回路の制御フロー(モータ回転方向制御:ロック判定無しの場合))
次に、
図7のフローチャートを参照しながら、ヘッジトリマー1の制御回路80の制御フロー、特に、モータ回転方向制御フローについて詳細に説明する。
図7は、制御回路80の演算部86が、モータ50のロックを判定・検知する機能を有しない場合の制御フローの一例である。
【0070】
図7に示すように、まず、S71では、トリガーレバー43がONか否か(すなわち、トリガーレバー43の入力があるか否か)を判断し、トリガーレバー43がONの場合、S72に進む。
【0071】
S72では、モータ50の回転数がゼロか否かを判断し、モータ50の回転数がゼロである場合、S73に進み、モータ50の回転数がゼロでない場合、S73をスキップしてS74に進む。
【0072】
S73では、モータ50の回転方向を指示するモータ回転方向指令値を反転させ、S74に進む。
【0073】
S74では、S73で反転されたモータ回転方向指令値、あるいは、トリガーレバー43の入力以前のモータ回転方向指令値に従う回転方向で、モータ50を起動・回転させる。
【0074】
前述のように、モータ50の起動時には、モータ50への印加電力を通常動作時よりも上げる制御を行う。
【0075】
(制御回路の制御フロー(モータ回転方向制御:ロック判定有りの場合))
次に、
図8のフローチャートを参照しながら、ヘッジトリマー1の制御回路80の制御フロー、特に、モータ回転方向制御フローについて詳細に説明する。
図8は、制御回路80の演算部86が、モータ50のロックを判定・検知する機能を有する場合の制御フローの一例である。
【0076】
図8に示すように、まず、S81では、トリガーレバー43がONか否か(すなわち、トリガーレバー43の入力があるか否か)を判断し、トリガーレバー43がONの場合、S82に進む。
【0077】
S82では、モータ50の回転数がゼロか否かを判断し、モータ50の回転数がゼロである場合、S86に進み、モータ50の回転数がゼロでない場合、S86、S87、S88、S83をスキップしてS84に進む。
【0078】
S86では、「ロック中」のフラグがセットされていないか否かを判断し、「ロック中」のフラグがセットされていない場合、S87に進み、「ロック中」のフラグがセットされている場合、S87、S88、S83をスキップしてS84に進む。
【0079】
S87では、「ロック中」のフラグがセットされていない状況下で、今回ロックしたか否かを判断し、今回ロックした場合、S88に進み、今回ロックしていない場合、S88をスキップしてS83に進む。
【0080】
S88では、ロックしたことを示す「ロック中」のフラグをセットして、S83に進む。
【0081】
S83では、モータ50の回転方向を指示するモータ回転方向指令値を反転させ、S84に進む。
【0082】
S84では、S83で反転されたモータ回転方向指令値、あるいは、トリガーレバー43の入力以前のモータ回転方向指令値に従う回転方向で、モータ50を起動・回転させる。
【0083】
S89では、モータ50の起動・回転後、所定のタイミングでロック解除判定を行う。
【0084】
前述のように、モータ50の起動時には、モータ50への印加電力を通常動作時よりも上げる制御を行う。また、ロックを検知したとき(「ロック中」のフラグをセットした)には、モータ50(の回転駆動)を停止したり、ロックを検知したことを作業者に報知(例えば、表示や音声により報知)したりする制御を行ってもよい。
【0085】
以上で説明したように、本実施形態のヘッジトリマー1は、電動モータ50と、該電動モータ50により回転駆動されるブレード駆動用ギア61と、該ギア61に設けられた偏心カム62と、相対的に摺動自在に対接する一対のブレードと、を備え、偏心カム62で一対のブレードをその長手方向に沿って相対的に逆方向に往復移動させ、一対のブレードに間隔をあけて突設された切刃24を擦り合わせるようにされる。また、ブレードを駆動させるためのトリガーレバー43と、トリガーレバー43の入力に基づいて電動モータ50の回転駆動を制御する制御回路(制御装置)80と、を備える。そして、制御回路(制御装置)80は、トリガーレバー43の入力毎に電動モータ50の回転方向を切り替える(より具体的には、トリガーレバー43の入力のみに基づいて、電動モータ50の回転方向を交互に切り替える)。これにより、運転時にユーザーが操作するトリガーレバー43の入力毎にモータ50の回転方向を切り替えるので、刈り込みや剪定を行っているときに切刃が太い枝やフェンス、鉄筋等の堅いものに引っ掛かってブレードがロックした際、通常運転で逆方向にブレード(切刃)を移動させて、切刃24を枝等から解放させることができる。
【0086】
なお、モータ50の起動から定常電圧(定常回転数)に到達するためには所定時間を要するため、通常、モータ50の回転方向を逆方向に切り替えることによって同じ位置に切刃24が到達した時点では定常電圧(定常回転数)に到達していないので、モータ50の回転方向を逆方向に切り替えても、再度ブレードがロックすることは考えにくく、その間にユーザーはヘッジトリマー1(の切刃24部分)を動かして再度ロックしないようにすればよい。
【0087】
また、制御回路(制御装置)80は、トリガーレバー43の入力に基づく電動モータ50の起動時に電動モータ50への印加電力を通常動作時よりも上げる。これにより、刈り込みや剪定を行っているときに切刃が太い枝やフェンス、鉄筋等の堅いものに引っ掛かってブレードがロックした際、切刃24が枝等に食い込んで動きにくくなっていたとしても、モータ50の印加電力を上げることで、切刃24を枝等から解放させることができる。
【0088】
また、電動モータ50はホイール付き電動モータである。また、そのホイールはアウターロータ52である。これにより、電動モータ50の始動時に、モータ50の印加電力を上げることで、切刃24を枝等から解放させやすくなる。
【0089】
また、制御回路(制御装置)80はブレードのロックを検知する。これにより、ロックを検知することで、モータ50(の回転駆動)を停止したり、ユーザーにブレードがロックしたことを報知したり、モータ50をロック検知毎に連続して逆回転させることができたり、モータ50の印加電力を上げたりすることができる。
【0090】
また、制御回路(制御装置)80はブレードのロックを検知しない。これにより、ロックを検知せずに、ユーザーの判断に委ねることで、構成を簡素化することができる。
【0091】
また、制御回路(制御装置)80は、トリガーレバー43の入力時に、電動モータ50の回転が停止している場合、電動モータ50の回転方向を反転させ、電動モータ50の回転が停止していない場合、電動モータ50の回転方向を反転させない。これにより、トリガーレバー43の入力の度に電動モータ50の回転方向を反転させるが、電動モータ50が惰性で回転している間の逆転(反転)を防ぐことができる。
【0092】
また、制御回路(制御装置)80は、トリガーレバー43の入力時に、電動モータ50の回転が停止している場合、ロック中か否かを判断し、ロック中でない場合は、電動モータ50の回転方向を反転させ、既にロック中である場合は、電動モータ50の回転方向を反転させない。
【0093】
また、制御回路(制御装置)80は、トリガーレバー43の入力時に、電動モータ50の回転が停止している場合、ロック中か否かを判断し、ロック中でない場合において、今回ロックしたことを検知した場合は、ロック中のフラグをセットして電動モータ50の回転方向を反転させる。
【0094】
つまり、制御回路(制御装置)80は、トリガーレバー43の入力時に、電動モータ50の回転が停止している場合、ロック中のフラグがセットされているか否かを判断し、ロック中のフラグがセットされていない場合は、電動モータ50の回転方向を反転させ、ロック中のフラグがセットされている場合は、電動モータ50の回転方向を反転させないと共に、ロック中のフラグがセットされていない場合において、今回ロックしたことを検知した場合は、ロック中のフラグをセットして電動モータ50の回転方向を反転させる。
【0095】
これにより、電動モータ50のロック後、初回のロック判定(検知)時のみ電動モータ50を反転させ、以降はロックが解除されなければ電動モータ50を反転させない。通常時(ロックしない場合)はトリガーレバー43の入力の度に反転させる。
【0096】
以上のように、本実施形態によれば、運転時にユーザーが操作するトリガーレバー43の入力毎にモータ50の回転方向を切り替えるので、刈り込みや剪定を行っているときに切刃24が太い枝やフェンス、鉄筋等の堅いものに引っ掛かってブレードがロックした際、通常運転で逆方向にブレード(切刃)を移動させて、切刃24を枝等から解放させることができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
【0098】
本実施形態のヘッジトリマー1のブレード組立体20は、
図1に示すように、前方に向けて直線状に延びており、上ブレード21および下ブレード22が前後方向に往復移動するように構成されているが、ブレード組立体の構成は限定されるものではない。例えば、ブレード組立体の一例としては、電動モータ50から前方に向けて延びている直線部の先端部に、左右方向に延びているブレードを設け、ブレードを左右方向に往復移動させるように構成したT字形状のブレードを用いてもよい。また、本実施形態のヘッジトリマー1のブレード組立体20は、上下の偏心カム62,62により、上ブレード21および下ブレード22がその長手方向に沿って相互に逆方向に往復移動することによって、刈り込みや剪定等を行うタイプ(つまり、上ブレード21および下ブレード22の両方が動作するタイプ)であるが、上ブレード21および下ブレード22の一つが動作しないタイプでもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0099】
1 ヘッジトリマー(刈込機)
10 本体ケース
15 バッテリ取付部
20 ブレード組立体
21 上ブレード
22 下ブレード
23 カバー
24 切刃
25 長穴
26 角筒状スペーサ
27 ボルト
28 接続部
30 前ハンドル
31 前方ガード
40 後ハンドル
41 連結部
42 把持部
43 トリガーレバー
44 ロック解除レバー
45 電源スイッチ
50 電動モータ
60 駆動伝達機構
61 ブレード駆動用ギア
62 偏心カム
63 可動プレート(コネクティングロッド)
64 支軸
65 軸受
66 ケース
67 天板
68 底板
80 制御回路(制御装置)
81 入力検出回路
82 電源回路
83 回転検出回路
84 電流検出回路
85 モータ制御回路
86 演算部
93 回転センサ
94 電流センサ
95 モータ駆動回路部
100 バッテリ
110 係合部
120 連結用レバー
L 回転軸線