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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145744
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】火災報知設備
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20231003BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G08B17/00 G
G08B17/00 L
H04M9/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128406
(22)【出願日】2023-08-07
(62)【分割の表示】P 2019025052の分割
【原出願日】2019-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2018032746
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】石田 憲
(72)【発明者】
【氏名】金子 茂
(72)【発明者】
【氏名】小野 武宏
(72)【発明者】
【氏名】松田 佳大
(57)【要約】      (修正有)
【課題】伝送機能を利用した電話子機との通話制御と電話ジャックに対する電話子機の接続による通話を両立する利便性の高い通話機能を実現可能とする。
【解決手段】火災報知設備は、受信機10から引き出された伝送回線12a、12b及び電話ジャック38が接続された電話回線16a、16bに電話中継器18が接続され、受信機10は、電話中継器18を介して電話子機20及び電話ジャック38を介して非常用電話子機40と通話接続が可能であり、電話子機20との通話接続は、伝送回線12a、12bを介した所定の通話制御信号の送受信により制御し、非常用電話子機40との通話接続は、非常用電話子機40の電話ジャック38への接続状態により制御し、電話子機20との通話接続中に非常用電話子機40の電話ジャック38への接続を検出した場合には、非常用電話子機40との通話接続に切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機から警戒区域に引き出された伝送回線に電話中継器を含む端末機器が接続されたと共に、前記受信機から同じく前記警戒区域に引き出され、電話ジャックが接続された電話回線に前記電話中継器が接続された火災報知設備に於いて、
前記受信機は、
前記電話中継器を介して前記電話回線に接続された第1電話子機及び前記電話ジャックを介して前記電話回線に接続された第2電話子機との通話接続が可能であり、
前記第1電話子機との通話接続は、前記伝送回線を介した所定の通話制御信号の送受信により制御し、
前記第2電話子機との通話接続は、前記第2電話子機の前記電話ジャックへの接続状態により制御し、
前記第1電話子機との通話接続中に前記第2電話子機の前記電話ジャックへの接続を検出した場合には、前記第2電話子機との通話接続に切り替えることを特徴とする火災報知設備。
【請求項2】
請求項1記載の火災報知設備に於いて、
前記受信機は、前記第1電話子機との通話接続中に前記第2電話子機の前記電話ジャックへの接続を検出して前記第2電話子機との通話接続に切り替える際に、当該通話接続中であった第1電話子機に接続された電話中継器に前記伝送回線を介して保留コマンド信号を送信して当該通話接続中であった第1電話子機から保留中音を出力させることを特徴とする火災報知設備。
【請求項3】
受信機から警戒区域に引き出され、電話中継器を含む端末機器が接続された伝送回線と、
前記受信機から前記警戒区域に引き出され、前記電話中継器が接続された第1電話回線と、
前記受信機から前記警戒区域に引き出され、電話ジャックが接続された第2電話回線と、
が設けられた火災報知設備に於いて、
前記受信機は、
前記電話中継器を介して前記第1電話回線に接続された第1電話子機及び前記電話ジャックを介して前記第2電話回線に接続された第2電話子機との通話接続が可能であり、
前記第1電話子機との通話接続は、前記伝送回線を介した所定の通話制御信号の送受信により制御し、
前記第2電話子機との通話接続は、前記第2電話子機の前記電話ジャックへの接続状態により制御することを特徴とする火災報知設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機からの火災感知器を接続した伝送回線及び電話回線を使用して電話親機と電話子機を通話接続する火災報知設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、R型として知られた火災報知設備にあっては、受信機から引き出された伝送回線に、伝送機能を備えた火災感知器等の端末装置を接続し、火災検出時には、例えば火災感知器からの火災割込みに基づき、検索コマンドを発行して発報した火災感知器のアドレスを特定し、火災発生アドレスを表示すると共に、特定した火災感知器から火災データを収集して監視するようにしている。
【0003】
このように、火災を検出した火災感知器のアドレスが分かると、適切な避難誘導や消火活動が可能となり、特に規模の大きな設備の火災監視には不可欠な機能となっている。
【0004】
また、火災報知設備にあっては、非常通話装置として、受信機に電話親機が設けられ、受信機から警戒区域に引き出された電話回線に発信機等に設けられた電話ジャックが接続され、火災発生時や点検時などには、担当者が携帯している保守電話子機を発信機等の電話ジャックに接続すると受信機で通話呼出が行われ、電話親機をオフフックすることで保守電話子機との通話接続を確立することができる。
【0005】
また、火災報知設備の関連設備として、非常電話設備が設けられる場合もある。非常電話設備は受信機と同じ場所に電話親機が設けられた非常電話盤が設置され、非常電話盤から警戒区域に電話回線と制御回線が引き出されて非常電話子機が接続されている。
【0006】
火災報知設備の保守電話設備は、電話親機から保守電話子機を指定して呼び出すことができないが、非常電話設備は、非常電話盤から電話番号による呼出操作により非常電話子機を任意に指定して呼び出すことができ、火災等の非常時のみならず、日常的な設備を維持管理するための通話連絡にも利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-064709号公報
【特許文献2】特開2017-004451号公報
【特許文献3】特開2016-076064号公報
【特許文献4】特開2017-068523号公報
【特許文献5】特開平10-69591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような電話子機を指定して呼び出すことのできる従来の非常電話設備は、火災報知設備の関連設備として設けなければならないため、設備コストが嵩む問題かあり、一方、電話回線の電話ジャックに保守電話子機を接続して電話親機に通話接続する火災報知設備の保守電話設備は、設備コストは少なくて済むが、電話子機を指定した呼出し等の高度な通話制御ができず、非常電話設備に比べ利便性が低いという問題がある。
【0009】
本発明は、R型の火災報知設備に使用されている伝送機能を利用して電話子機を指定した呼出しを含む高度な通話制御に加え、電話ジャックに対する電話子機の接続による通話を両立可能とする利便性の高い通話機能を備えた火災報知設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(火災報知設備)
本発明は、受信機から警戒区域に引き出された伝送回線に電話中継器を含む端末機器が接続されたと共に、受信機から同じく警戒区域に引き出され、電話ジャックが接続された電話回線に電話中継器が接続された火災報知設備に於いて、
受信機は、
電話中継器を介して電話回線に接続された第1電話子機及び電話ジャックを介して電話回線に接続された第2電話子機との通話接続が可能であり、
第1電話子機との通話接続は、伝送回線を介した所定の通話制御信号の送受信により制御し、
第2電話子機との通話接続は、第2電話子機の電話ジャックへの接続状態により制御し、
第1電話子機との通話接続中に第2電話子機の電話ジャックへの接続を検出した場合には、第2電話子機との通話接続に切り替えることを特徴とする。
【0011】
(第1電話子機の保留音)
受信機は、第1電話子機との通話接続中に第2電話子機の電話ジャックへの接続を検出して第2電話子機との通話接続に切り替える際に、当該通話接続中であった第1電話子機に接続された電話中継部に伝送回線を介して保留コマンド信号を送信して当該通話接続中であった第1電話子機から保留中音を出力させる。
【0012】
(第1電話設備と第2電話設備を備えた火災報知設備)
本発明の別の形態にあっては、受信機から警戒区域に引き出され、電話中継器を含む端末機器が接続された伝送回線と、
受信機から警戒区域に引き出され、電話中継器が接続された第1電話回線と、
受信機から警戒区域に引き出され、電話ジャックが接続された第2電話回線と、
が設けられた火災報知設備に於いて、
受信機は、
電話中継器を介して第1電話回線に接続された第1電話子機及び電話ジャックを介して第2電話回線に接続された第2電話子機との通話接続が可能であり、
第1電話子機との通話接続は、伝送回線を介した所定の通話制御信号の送受信により制御し、
第2電話子機との通話接続は、第2電話子機の電話ジャックへの接続状態により制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
(火災報知設備の効果)
本発明は、受信機から警戒区域に引き出された伝送回線に電話中継器を含む端末機器が接続されたと共に、受信機から同じく警戒区域に引き出され、電話ジャックが接続された電話回線に電話中継器が接続された火災報知設備に於いて、受信機は、電話中継器を介して電話回線に接続された第1電話子機及び電話ジャックを介して電話回線に接続された第2電話子機との通話接続が可能であり、第1電話子機との通話接続は、伝送回線を介した所定の通話制御信号の送受信により制御し、第2電話子機との通話接続は、第2電話子機の電話ジャックへの接続状態により制御し、第1電話子機との通話接続中に第2電話子機の電話ジャックへの接続を検出した場合には、第2電話子機との通話接続に切り替えるようにしたため、R型の火災報知設備に使用されている伝送回線による伝送機能を通話制御に利用することで、第1電話子機を指定した呼出しを含む高度な通話制御が簡単且つ低コストで実現することができる。
【0014】
また、伝送回線を利用した第1電話子機を指定した呼出しを含む高度な通話制御に加え、その機能を損なうことなく、電話ジャックに対する第2電話子機の接続により通話を行うことの両立が可能となり、更に、高い利便性が得られる。
【0015】
また、電話親機と第1電話子機の通話中に電話ジャックへ第2電話子機が接続されると、電話親機と第1電話子機によるそれまでの通話接続を保留して第2電話子機との通話を優先的に行うことができる。
【0016】
(非常電話設備と保守電話設備を備えた火災報知設備の効果)
本発明の別の形態にあっては、受信機から警戒区域に引き出され、電話中継器を含む端末機器が接続された伝送回線と、受信機から警戒区域に引き出され、電話中継器が接続された第1電話回線と、受信機から警戒区域に引き出され、電話ジャックが接続された第2電話回線と、が設けられた火災報知設備に於いて、受信機は、電話中継器を介して第1電話回線に接続された第1電話子機及び電話ジャックを介して第2電話回線に接続された第2電話子機との通話接続が可能であり、第1電話子機との通話接続は、伝送回線を介した所定の通話制御信号の送受信により制御し、第2電話子機との通話接続は、第2電話子機の電話ジャックへの接続状態により制御するようにしたため、第1電話回線を使用した第1電話設備については、発信元を表示した高度な通話制御が簡単且つ低コストで実現することができ、また、第2電話回線を使用した第2電話設備については、電話ジャックに対する第2電話子機の接続により通話を行うことができ、第1電話設備と第2電話設備との両立が可能となり、更に、高い利便性が得られる。
【0017】
また、第1電話設備と第2電話設備における親機装置の機能が受信機に一体化されたことで、火災報知設備と電話設備の設置スペースが低減し、更に、第1電話子機又は第2電話子機との通話は同じ電話親機を使用して共通に行うことができ、場所を変えることなく通話操作も簡単且つ容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】通話制御機能を備えた火災報知設備の実施形態を示した説明図
図2図1の電話中継器の実施形態を示したブロック図
図3図1の受信機に設けられた電話親機回路部及び通話検出回路部の実施形態を示したブロック図
図4】電話親機により電話子機を指定して呼出する通話制御を示したタイムチャート
図5】電話子機のオフフックによる電話親機との通話制御を示したタイムチャート
図6】電話親機が別の電話子機の通話中に電話子機がオフフックした場合の通話制御を示したタイムチャート
図7】電話親機と電話子機の通話中に別の電話子機の通話呼出を受けて切り替えた場合の通話制御を示したタイムチャート
図8】電話親機と2台の電話子機による3者通話の通話制御を示したタイムチャート
図9】電話ジャックに保守電話子機を接続して行う通話制御を示したタイムチャート
図10】非常用放送設備に連動する非常電話設備と保守点検で使用する保守電話設備の通話制御機能を備えた火災報知設備の実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
[火災報知設備]
(通話制御機能を備えた火災報知設備の概要)
図1は通話制御機能を備えた火災報知設備の概要を示した説明図である。図1に示すように、火災報知設備が設置された建物の一階の管理人室などには例えばR型の受信機10が設置され、受信機10から警戒区域に対し伝送回線12a,12bと電話回線16a,16bが引き出されている。
【0020】
伝送回線12a,12bには固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数の火災感知器14と中継器15が接続されている。また、伝送回線12a,12bと電話回線16a,16bには、電話子機20が設けられた複数の電話中継器18が接続され、電話中継器18には固有のアドレスが設定され、伝送機能と通話制御機能を有する。また、電話子機20に対応して受信機10には電話親機28が設けられている。なお、電話回線16a,16bは可聴帯域の音声周波数帯域300~3400Hとなる音声信号の伝送品質を確保している。
【0021】
ここで、伝送回線12a,12bに接続される火災感知器14、中継器15及び電話中継器18に設定される最大アドレス数は例えば255としており、伝送回線12a,12bには最大255台の火災感知器14、中継器15及び電話中継器18を含む端末機器が接続できる。
【0022】
中継器15に対しては発信機36が接続されている。発信機36には発信機釦36aが設けられ、火災時に発信機釦36aを押し込み操作によりオンすると発信信号が中継器15に出力され、中継器15から伝送回線12a,12bを介して受信機10に火災通報信号が送信され、火災警報が出力される。
【0023】
また、発信機36には電話ジャック38が設けられており、電話ジャック38は電話回線16a,16bに接続されている。電話ジャック38に担当者が携帯している保守電話子機40のプラグ42を差し込むと、電話回線16a,16bに保守電話子機40が接続され、受信機10に設けられた電話親機28との通話接続が確立されて通話を行うことができる。
【0024】
(受信機の機能構成)
受信機10は、受信制御部22、伝送部24、電話親機回路部26、電話親機28、タッチパネル付きのディスプレイ30、表示部31、操作部32、スピーカを備えた警報部33、移報部34及び通話検出回路部35を備える。
【0025】
受信制御部22はCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等とする。伝送部24は、伝送回線12a,12bに接続した火災感知器14、中継器15又は電話中継器18との間で、所定の通信プロトコルに従って信号を送受信する。
【0026】
伝送部24から火災感知器14、中継器15又は電話中継器18に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、伝送回線12a,12bの線路電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
【0027】
これに対し火災感知器14、中継器15又は電話中継器18から受信機10に対する上り信号は電流モードで伝送される。この電流モードにあっては、伝送回線12a,12bに伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機に伝送される。
【0028】
(火災監視制御部)
受信機10の受信制御部22にはCPUによるプログラムの実行で実現される機能として、火災監視制御部44の機能が設けられる。
【0029】
火災監視制御部44は、通常の監視中にあっては、一定周期毎に、伝送部24に指示して、一括AD変換コマンドを含むブロードキャストの一括AD変換信号を送信しており、この一括AD変換信号を受信した火災感知器14は、煙濃度又は温度をセンサデータとして検出して保持し、中継器15はそのときの発信機信号を検出して保持する。続いて、火災監視制御部44は、端末アドレスを順次指定したポーリングコマンドを含む呼出信号を送信している。
【0030】
火災感知器14は自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持しているセンサデータを含む応答信号を受信機10に送信する。また、火災感知器14は火災を検出すると受信機10に対し火災割込み信号を送信する。
【0031】
中継器15も自己アドレスに一致するアドレスを持つ呼出信号を受信すると、そのとき保持している発信機信号を含む応答信号を受信機10に送信する。また、中継器15は発信機36の発信機釦36aの押し込み操作によりオンした発信機信号を受信すると、火災通報信号として受信機10に対し火災感知器14と同様に火災割込み信号を送信する。
【0032】
火災監視制御部44は伝送部24を介して火災割込み信号を受信するとグループ検索コマンド信号を送信して火災を検出している火災感知器14及び中継器15を含むグループを特定し、続いて、グループ内検索コマンド信号を送信して火災を検出している火災感知器14又は中継器15のアドレスを特定し、火災警報を出力すると共に火災発生アドレス又は発信機アドレスを表示し、その後、特定した火災感知器14又は中継器15から火災データを収集して監視する制御を行う。
【0033】
(電話親機制御部)
受信機10の受信制御部22にはCPUによるプログラムの実行で実現される機能として、電話親機制御部46の機能が設けられる。
【0034】
電話親機制御部46は、伝送部24に指示し、電話中継器18との間で伝送回線12a,12bを介して各種の通話制御に必要なコマンド信号を送受信し、電話回線16a,16bを介して電話親機28と電話子機20の通話接続や通話カット(通話切離し)の制御を行う。
【0035】
本実施形態の電話親機制御部46による通話制御は次のものがある。
(1) 電話子機を指定した呼出しによる通話制御。
(2) 電話子機からの呼出しによる通話制御。
(3) 電話子機との通話中に別の電話子機からの呼出しによる通話切替え制御。
(4) 電話親機と電話子機2台の3者通話制御。
(5) 電話ジャックに対する保守電話子機の接続による通話制御。
【0036】
これらの内、(1)~(4)の通話制御では、コマンド信号として、発呼コマンド信号、着呼応答コマンド信号、保留コマンド信号、通話中コマンド信号等が使用される。発呼コマンド信号は、電話子機に通話呼出を要求する信号である。着呼応答コマンド信号は、発呼コマンド信号の受信で電話子機がオフフックされた場合に送信される信号である。保留コマンド信号は電話子機に保留音の出力を指示する信号である。通話中コマンド信号は、電話子機に通話中音の出力を指示する信号である。このようなコマンド信号を使用した通信制御の詳細は後の説明で明らかにされる。
【0037】
(通話検出回路部)
受信機10に設けられた通話検出回路部35は、発信機36の電話ジャック38に保守電話子機40のプラグ42を差し込んで電話回線16a,16bに接続した場合に回線電流が流れることから、この回線電流を検出して通話検出信号を受信制御部22に出力する。
【0038】
受信制御部22に設けられた電話親機制御部46は、通話検出回路部35から通話検出信号を入力すると、警報部33のスピーカから保守電話子機40の通話接続に基づく呼出音を出力し、これを聞いて担当者が電話親機28を取り上げると、電話親機28のオフフックの検出に基づき、電話親機28を電話親機回路部26により電話回線16a,16bに接続し、保守電話子機40との通話接続を確立させる制御を行う。
【0039】
[電話中継器の構成]
図2図1の電話中継器の実施形態を示したブロック図である。図2に示すように、電話中継器18の回路部は、伝送回線12a,12b側の回路部として、電話子機制御部48と伝送部50が設けられ、電話回線16a,16b側の回路として、接続切替部52、制御音生成部54、一対のスイッチ回路部56、トランス58、フックスイッチ60及びスピーカ61が設けられ、電話子機20には受話器45と送話器47が設けられている。
【0040】
電話子機制御部48は、CPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等で構成され、CPUによるプログラムの実行により電話子機制御部48の機能が実現される。
【0041】
本実施形態の電話子機制御部48による通話制御は次のものがある。
(1) 電話親機の呼出しによる通話制御。
(2) 電話親機からの呼出しによる通話制御。
(3) 別の電話子機との通話中の電話親機の呼出しによる通話切替え制御。
(4) 電話親機と電話子機2台の3者通話制御。
【0042】
これらの通話制御では、コマンド信号として、発呼コマンド信号、着呼応答コマンド信号、保留コマンド信号、通話中コマンド信号等が使用され、通話制御の詳細は後の説明で明らかにされる。
【0043】
伝送部50は伝送回線12a,12bを介して図1に示した受信機10の伝送部24との間で通話制御に必要な各種のコマンド信号を、火災監視の場合と同じ通信プロトコルに従って送受信する。また、伝送部50は受信機10からの下り信号を電圧モードで受信し、受信機10に対する上り信号は電流モードで送信する。
【0044】
接続切替部52は、電話子機制御部48の指示により動作してリレー接点や半導体スイッチ素子等を用いたスイッチ回路部56をオン、オフし、電話子機20の電話回線16a,16bに対する接続とカット(切離し)を行う。
【0045】
制御音生成部54は、電話子機制御部48の指示により動作し、所定の回線接続音、電話親機に対する呼出音、保留音、通話中音等の音声信号を生成して電話子機20の送話器47に出力し、また、電話親機からの呼出しに応じて呼出音の音声信号を生成してスピーカ61に出力する。
【0046】
トランス58は一次巻線を電話回線16a,16bに接続し、二次巻線に受話器45を接続しており、所定の直流電圧が重畳された電話回線16a,16bから交流となる音声信号のみを受話器45に取り出すと共に増幅し、更に、ハウリングを防止している。電話子機20の送話器47は電話回線16a,16b側に接続している。
【0047】
フックスイッチ60は電話子機20のオフフック又はオンフックを検出してオフフック検出信号又はオンフック検出信号を電話子機制御部48に出力する。
【0048】
なお、図2の電話回線16a,16b側の電話機回路は基本的なアナログ電話機回路を示しており、これに限定されず、必要に応じて音声増幅器を設けてもよく、更に、デジタル音声信号を受信してDA変換して受話器45に出力し、送話器47からの音声信号をAD変換して送信するデジタル電話機回路としても良い。
【0049】
[受信機の電話親機回路部及び通話検出回路部の構成]
図3図1の受信機に設けられた電話親機回路部及び通話検出回路部の実施形態を示したブロック図である。
【0050】
(電話親機回路部)
図3に示すように、電話親機回路部26は、接続切替部62、制御音生成部64、一対のスイッチ回路部66、トランス68及びフックスイッチ70が設けられ、電話親機28には受話器72と送話器74が設けられている。電話親機回路部26からは電話回線16a,16b間に例えばDC48Vの電話回線電圧Vtが印加されている。
【0051】
接続切替部62は、図1の電話親機制御部46の指示により動作してスイッチ回路部66をオン、オフし、電話親機28の電話回線16a,16bに対する接続とカット(切離し)を行う。
【0052】
制御音生成部64は、電話親機制御部46の指示により動作し、所定の回線接続音、電話子機20の呼出しを示す呼出音、保留音、通話中音等の音声信号を生成して電話親機28の受話器72に出力し、また、電話子機20又は保守電話子機40からの呼出しに対し呼出音の音声信号を生成し、例えば警報部33に設けられたスピーカに出力する。
【0053】
トランス68は一次巻線を電話回線16a,16bに接続し、二次巻線に受話器72を接続しており、所定の電話回線電圧Vtが重畳された電話回線16a,16bから交流となる音声信号のみ受話器72に取り出すと共に増幅し、更に、ハウリングを防止している。電話親機28の送話器74は電話回線16a,16b側に接続している。
【0054】
フックスイッチ70は電話親機28のオフフック又はオンフックを検出してオフフック検出信号又はオンフック検出信号を電話親機制御部46に出力する。
【0055】
なお、図3の電話回線16a,16b側の電話機回路は、図2の電話中継器18と同様に、基本的なアナログ電話機回路を示しており、これに限定されず、必要に応じて音声増幅器を設けたり、更に、デジタル電話機回路としても良い。
【0056】
(通話検出回路部)
図3に示すように、通話検出回路部35は、所定の回線電圧Vtが印加された電話回線16aとマイナス側となる電話回線16bとの間に、抵抗76,78,80が直列接続され、抵抗76と抵抗78の間から端末側に電話回線16aが引き出され、抵抗78と抵抗80の間から通話検出信号を取り出して受信制御部22に出力している。
【0057】
図1に示すように、発信機36の電話ジャック38に保守電話子機40のプラグ42が差し込まれて電話回線16a,16b間に保守電話子機40が接続されると、保守電話子機40も図2に示した電話子機20又は図3に示した電話親機28と同じ、トランス、受話器及び送話器を備えた電話機回路を持つことから、送話器がトランス一次巻線を介して電話回線16a,16bの間に接続されることで、所定の回線電流が流れる。
【0058】
この保守電話機40の電話ジャック38への接続に伴う回線電流は、図3に示した通話検出回路部35の抵抗76を介して電話回線16aに流れ、抵抗76の電圧降下分だけ回線電圧が低下し、抵抗78,80で分割された通話検出信号として出力さける検出電圧も低下し、受信制御部22の電話親機制御部46は、通話検出信号のレベル低下から保守電話子機40の接続を判別し、呼出音の出力と保守電話子機40の呼出しを示す画面表示を行うことになる。
【0059】
[電話親機と電話子機の通話制御]
(電話親機による電話子機の指定呼出し)
図4は電話親機により電話子機を指定して呼出する通話制御を示したタイムチャートであり、図1に示した受信機10の電話親機制御部46と図2に示した電話中継器18の電話子機制御部48による制御動作となる。
【0060】
担当者が警戒区域にいる担当者と連絡をとるため電話親機28を取り上げると、フックスイッチ70からオフフック検出信号が出力され、図4に示すように、電話親機制御部46はステップS1で電話親機28のオフフックを判別してステップS2に進み、ディスプレイ30に子機呼出画面を表示し、同時に、制御音生成部64に指示して電話親機28の受話器72から例えば「ツー」といった連続音となる回線接続音を出力させる。
【0061】
ステップS2でディスプレイ30に表示された子機呼出画面には、0,1~9、♯、*配列したキー釦が表示されており、呼出先の電話子機の電話番号をタッチする子機呼出操作を行うと、電話親機制御部46はステップS3で子機呼出操作を認識してステップS4進み、呼出し電話番号に対応した中継器アドレスを指定した発呼コマンド信号を伝送部24に指示して伝送回線12a,12bに送信する。このとき電話親機28からは電話子機に対する呼出音が出力される。
【0062】
電話中継器18の電話子機制御部48は、伝送回線12a,12bを介して伝送部50により自己アドレスを指定した発呼コマンド信号を受信すると、ステップS5で制御音生成部54に指示してスピーカ61から呼出音を出力させる通話呼出しを行う。
【0063】
この通話呼出しに対し現場にいる担当者が電話子機20を取り上げると、フックスイッチ60からのオフフック検出信号によりステップS6でオフフックが判別され、ステップS7で伝送部50に指示して自己アドレスを含む着呼応答コマンド信号を伝送回線12a,12bを介して受信機10に送信し、続いて、ステップS8で接続切替部52に指示してスイッチ回路部56をオンし、電話子機20側の電話機回路部を電話回線16a,16bに接続する通話接続を行う。
【0064】
受信機10の電話親機制御部46は、電話中継器18からステップS7で送信された着呼応答コマンド信号を受信すると、電話子機20に対する呼出音の出力を停止し、ステップS9で接続切替部62に指示してスイッチ回路部66をオンし、電話親機28の電話親機回路部26を電話回線16a,16bに接続する通話接続を行う。
【0065】
これにより電話親機28と呼出された電話子機20が電話回線16a,16bに接続されて通話を行うことができる。通話が終了すると電話親機28及び電話子機20が戻されてステップS10またはS12でオンフックが判別され、ステップS11またはS13で電話回線16a,16bから切り離す通話カットが行われて通話が終了する。
【0066】
(電話子機による電話親機の呼出し)
図5は電話子機により電話親機を呼出する通話制御を示したタイムチャートである。警戒区域にいる担当者が受信機10側と連絡をとるため電話子機20を取り上げると、フックスイッチ60からオフフック検出信号が出力され、図5に示すように、電話子機制御部48はステップS21で電話子機20のオフフックを判別してステップS22に進み、制御音生成部54に指示して電話子機20の受話器45から例えば「ツー」といった連続音となる回線接続音を出力させる。
【0067】
続いて、電話子機制御部48はステップS23で自己アドレスを含む発呼コマンド信号を伝送部50に指示して伝送回線12a,12bを介して受信機10に送信する。このととき電話子機20からは電話親機28に対する呼出音が出力される。
【0068】
受信機10の電話親機制御部46は、伝送回線12a,12bを介して伝送部50により中継器アドレスを含む発呼コマンド信号を受信すると、ステップS24で警報部33に指示してスピーカから呼出音を出力させることで通話呼出しを行い、続いて、ステップS25に進んでディスプレイ30に子機呼出画面を表示して呼出子機の電話番号等を表示する。
【0069】
ステップS24での呼出音を受けて担当者が受信機10に設けている電話親機28を取り上げると、電話親機制御部46はステップS26で電話親機28のオフフックを判別し、ステップS27で伝送部24に指示して呼出しを行なった中継器アドレスを指定した着呼応答コマンド信号を伝送回線12a,12bに送信し、ステップS28で接続切替部62に指示してスイッチ回路部66をオンすることで電話親機28を電話回線16a,16bに通話接続する。
【0070】
一方、電話子機制御部48は、ステップS27で受信機10から送信された自己アドレスを指定した着呼応答コマンド信号を受信すると、電話親機28に対する呼出音を停止してステップS29に進み、接続切替部52に指示してスイッチ回路部56をオンすることで電話子機20を電話回線16a,16bに通話接続する。
【0071】
これにより電話子機20と呼出された電話親機28が電話回線16a,16bに接続されて通話を行うことができる。通話が終了すると電話子機20及び電話親機28が戻されてステップS30またはS32でオンフックが判別され、ステップS31またはS33で電話回線16a,16bから切り離す通話カットが行われて通話接続が終了する。
【0072】
(電話親機が通話中の電話子機の呼出し)
図6は電話親機が別の電話子機と通話中に電話子機のオフフックした場合の通話制御を示したタイムチャートである。
【0073】
図4に示した電話親機からの呼出し、又は、図5に示した電話子機からの呼出しによる電話親機の通話中に、図6に示すように、別の電話中継器18の電話子機制御部48が電話子機20のオフフックがステップS41で判別し、ステップS42で回線接続音を電話子機20から出力した後に、ステップS43で自己アドレスを含む発呼コマンド信号を伝送回線12a,12bを介して受信機10に送信し、警報部33のスピーカから呼出音を出力させたとする。
【0074】
この場合、受信機10の電話親機制御部46は、ステップS43で電話中継器18から送信された発呼コマンド信号を受信するが、ステップS44で他の電話子機と通話中にあることを判別し、ステップS45でディスプレイ30に子機呼出画面に新たな子機呼出しを表示した後、ステップS46で発呼コマンド信号を送信した電話中継器18のアドレスを指定した通話中コマンド信号を伝送回線12a,12bに送信する。
【0075】
電話中継器18の電話子機制御部48は、伝送回線12a,12bを介して自己アドレスを指定した通話中コマンド信号を受信すると、ステップS47で制御音生成部54に指示して電話子機20の受話器45から所定の通話中音を出力させる。
【0076】
このため電話子機20を取り上げた担当者は電話親機28が通話中にあることを知って電話子機20を元に戻し、電話子機制御部48はステップS48でオンフックを判別して通話接続を終了する。
【0077】
(電話親機と電話子機の通話中の別の電話子機の通話呼出しによる通話切替え)
図7は電話親機と電話子機の通話中に別の電話子機の通話呼出を受けて切り替えた場合の通話制御を示したタイムチャートである。ここで、最初に通話呼出を行った電話中継器18を電話中継器18-1とし、次に通話呼出を行った電話中継器18を電話中継器18-2とし、それぞれに設けられた電話子機制御部48を電話子機制御部48-1,48-2とし、電話子機20を電話子機20-1,20-2とする。
【0078】
図7に示すように、電話中継器18-1の電話子機制御部48-1からの呼出しにより受信機10の電話親機制御部46との間の通話制御により電話親機28と電話子機20-1とが通話接続を行っている。この場合のステップS51~S59の通話制御は、図5のステップS21~S29と同じになることから説明を省略する。
【0079】
続いて、別の電話中継器18-2の電話子機制御部48-2がステップS60で電話子機20-2のフックオフを判別すると、回線接続音を電話子機20-2から出力した後にステップS61で自己アドレスを含む発呼コマンド信号を伝送回線12a,12bを介して電話親機28が通話中の受信機10に送信する。
【0080】
受信機10の電話親機制御部46は、電話中継器18-2から送信された発呼コマンド信号を受信すると、ステップS62でディスプレイ30に電話子機20-2の呼出しを画面表示し、併せて所定の注意音を警報部33のスピーカから出力させる。
【0081】
これにより通話中の担当者は、別の電話子機20-2から通話呼出があったことを知って選択する操作を行うと、電話親機制御部46はステップS63で別の電話子機20-2の選択操作を認識してステップS64に進み、電話中継器18-2のアドレスを指定した着呼応答コマンド信号を伝送回線12a,12bに送信し、これが電話中継器18-2で受信され、電話子機制御部48-2はステップS65で電話子機20-2を電話回線16a,16bに接続する。
【0082】
また、電話親機制御部46はステップS66で、それまで通話中にあった電話子機20-1の電話中継器18-1のアドレスを指定した保留コマンド信号を伝送回線12a,12bに送信し、これが電話中継器18-1で受信され、電話子機制御部48-1はステップS67で電話回線16a,16bから電話子機20-1を切り離す通話カットを行うと共に電話子機20-1から所定の保留音を出力させる。
【0083】
その後、電話親機28と電話子機20-2との通話が終了して電話子機制御部48-2がステップS68でオンフックを判別するとステップS69に進み、自己アドレスを含む通話終了コマンド信号が伝送回線12a,12bに送信する。
【0084】
電話親機制御部46は電話中継器18-2からの通話終了コマンド信号の受信を判別すると、ステップS70で保留中にある電話中継器18-1のアドレスを指定した保留解除コマンド信号を伝送回線12a,12bに送信し、電話子機制御部48-1は自己アドレスを指定した保留解除コマンド信号を受信すると、ステップS71で電話子機20-1からの保留音の出力を停止し、電話子機20-1を再び電話回線16a,16bに接続し、電話親機28との通話を再開させる。
【0085】
(3者通話)
図8は電話親機と2台の電話子機による3者通話の通話制御を示したタイムチャートであり、図7と同様に、3者通話を行う2台の電話中継器18、電話子機20及び電話子機制御部48を、それぞれ電話中継器18-1,18-2、電話子機20-1,20-2及び電話子機制御部48-1,48-2としている。
【0086】
図8に示す3者通話において、ステップS81~S92の制御は、図7に示したステップS51~S62と同じになることから、その説明を省略する。
【0087】
図8の3者通話にあっては、電話親機28と電話子機20-1の通話接続中に、別の電話子機20-2の電話中継器18-2から発呼コマンド信号が送信されてステップS92で電話子機20-2の呼出しがディスプレイ30に画面表示された場合、表示画面の中に3者通話の選択釦が表示され、3者通話の選択操作ができる。
【0088】
このため電話親機制御部46がステップS93で3者通話の選択操作を認識するとステップS94に進み、発呼コマンド信号を送信した電話中継器18-2のアドレスを指定した着呼コマンド信号が伝送回線12a,12bに送信され、これを受信した電話子機制御部48-2はステップS95で電話子機20-2を電話回線16a,16bに接続する。
【0089】
続いて、電話親機制御部46はステップS96で電話中継器18-1,18-2のアドレスを指定した3者通話コマンド信号を伝送回線16a,16bに順次送信し、これを受信した電話子機制御部48-1,48-2はステップS97,S98で3者通話の開始を知らせる所定のメッセージが電話子機20-1,20-2から出力され、これによって電話親機制御部46のステップS99、電話子機制御部48-1,48-2のステップS100,S101に示す3者通話が、電話親機28、電話子機20-1,20-2の3台を電話回線16a,16bに接続することで行われる。
【0090】
ここで、電話回線16a,16bに電話親機28に加え複数の電話子機20を接続することで、4者通話、5者通話等が実現可能であるが、電話回線16a,16bに対する電話機の接続数が増加すると、電話回線16a,16bにより伝送される音声信号のレベルが低下して通話品質が悪化することから、音声レベルの低下の少ない電話親機28に加えて2台の電話子機を接続する電話機3台を電話回線16a,16bに接続する3者通話が最適といえる。
【0091】
(電話ジャックに保守電話子機を接続して行う通話制御)
図9は電話ジャックに非常用電話子機を接続して行う通話制御を示したタイムチャートである。
【0092】
図9に示すように、保守電話子機40を携帯している担当者が受信機10側と連絡をとるためステップS111で保守電話子機40のプラグ42を発信機36の電話ジャック38に差し込むと、保守電話子機40が電話回線16a,16bに接続されて回線電流が流れ、受信機10の通話検出回路部35がステップS112で回線電圧の低下を検出して電話親機制御部46に通話検出信号を出力する。
【0093】
通話検出回路部35からの通話検出信号を入力した電話親機制御部46は、ステップS113で警報部33に指示してスピーカから呼出音を出力させることで通話呼出しを行い、続いて、ステップS114に進んでディスプレイ30に保守電話子機40の呼出しを画面表示して報知する。
【0094】
ステップS113での呼出音を受けて担当者が受信機10に設けている電話親機28を取り上げると、電話親機制御部46はステップS115で電話親機28のオフフックを判別し、ステップS116で接続切替部62に指示してスイッチ回路部66をオンすることで電話親機28を電話回線16a,16bに通話接続し、保守電話子機40との間で通話接続が確立される。
【0095】
通話が終了すると電話親機28が戻され、電話親機制御部46はステップS117で電話親機28のオンフックを判別し、ステップS118で電話回線16a,16bから切り離す通話カットを行って通話接続が終了する。
【0096】
また、通話終了で保守電話子機40はステップS119で電話ジャック38から取り外されて電話回線16a,16bとの接続が解除され、ステップS120でこれにより通話検出回路部35で回線電圧が回復し、通報検出信号の出力が停止する。
【0097】
[非常電話設備と保守電話設備を備えた火災報知設備]
(設備の概要)
図10は非常用放送設備に連動する非常電話設備と保守点検で使用する保守電話設備の通話制御機能を備えた火災報知設備の実施形態を示した説明図である。
【0098】
図10に示すように、受信機10から警戒区域に対し火災報知設備の伝送回線12a,12b、非常電話設備の非常電話回線16c,16d及び保守電話設備の保守電話回線84a,84bが引き出されている。
【0099】
伝送回線12a,12bには固有のアドレスが設定された伝送機能を有する複数の火災感知器14と中継器15とアドレッサブル発信機37が接続されている。また、伝送回線12a,12bと非常電話回線16c,16dには、非常電話子機20aが設けられた複数の電話中継器18が接続され、電話中継器18には固有のアドレスが設定され、伝送機能と通話制御機能を有する。
【0100】
また、伝送回線12a,12bの中継器15に対しては発信機36が接続されている。発信機36には発信機釦36aが設けられ、火災時に発信機釦36aを押し込み操作によりオンすると発信信号が中継器15に出力され、中継器15から伝送回線12a,12bを介して受信機10に火災通報信号が送信され、火災警報が出力される。
【0101】
発信機36には電話ジャック38が設けられており、電話ジャック38は保守電話回線84a,84bに接続されている。電話ジャック38に担当者が携帯している保守電話子機40aのプラグ42を差し込むと、保守電話回線84a,84bに保守電話子機40aが接続され、受信機10に設けられた電話親機28との通話接続が確立されて通話を行うことができる。
【0102】
アドレッサブル発信機37にも発信機36と同様に発信機釦37aが設けられ、火災時に発信機釦37aを押し込み操作によりオンすると伝送部37bから伝送回線12a,12bを介して受信機10に火災通報信号が送信され、火災警報が出力される。
【0103】
アドレッサブル発信機37には発信機36と同様に電話ジャック38が設けられており、電話ジャック38は保守電話回線84a,84bに接続されている。電話ジャック38に担当者が携帯している保守電話子機40aのプラグ42を差し込むと、保守電話回線84a,84bに保守電話子機40aが接続され、受信機10に設けられた電話親機28との通話接続が確立されて通話を行うことができる。
【0104】
非常電話子機20aと保守電話子機40aに対応して受信機10には電話親機28が設けられている。
【0105】
また、本実施形態は、火災報知設備に加え、非常用放送設備が設けられており、受信機10と同じ管理人室等に設置された非常用放送盤90から警戒区域に対し例えば階別の系統毎に分けて放送回線92が引き出され、放送回線92には放送用のスピーカ94が接続されている。
【0106】
(受信機の機能構成)
受信機10は、受信制御部22、伝送部24、非常電話親機回路部26a、保守電話親機回路部26b、電話親機28、タッチパネル付きのディスプレイ30、表示部31、操作部32、スピーカを備えた警報部33、移報部34、通話検出回路部35及び切替部82を備える。
【0107】
受信機10の受信制御部22にはCPUによるプログラムの実行で実現される機能として、電話親機制御部46の機能が設けられる。火災監視制御部44は図1の実施形態と同じになることから、その説明は省略する。
【0108】
(電話親機制御部)
電話親機制御部46は、非常電話子機20aの着信に対する通話制御と、保守電話子機40aの着信に対する通話制御、非常電話子機20aと保守電話子機40aの着信が重複したときの通話制御を行う。
【0109】
電話中継器18は図2に示したと同じであり、通話検出回路部35は図3と同じになる。非常電話親機回路部26aと保守電話親機回路部26bは、図3の電話親機回路部26と基本的に同じになるが、親機電話28との間に切替部82が設けられ、非常電話の着信時に親機電話28を非常電話親機回路26a側に切替え、保守電話の着信時に親機電話28を保守電話親機回路部26bに切替える点で相違している。
【0110】
[通話制御]
電話親機制御部46は、電話中継器18及び中継器15を経由した非常電話子機20aからの発信元アドレスを含む発呼コマンド信号に基づき、及び又は、通話検出回路部35からの通話検出信号に基づき、電話親機28との通話制御に必要な操作表示をディスプレイ30に行い、画面操作等に基づき次に示す通話制御を行う。
【0111】
(保守電話着信)
定期点検時等に点検要員が携帯している保守電話子機40aのプラグ42を発信機36又はアドレッサブル発信機37の電話ジャック38に差し込んで保守用電話回線84a,84bに接続すると、保守電話子機40aの接続で流れる回線電流を受信機10の通話検出回路部35が検出し、電話親機制御部46に通話検出信号を出力する。
【0112】
通話検出回路部35から通話検出信号を入力した電話親機制御部46は、ディスプレイ30に保守電話の着信表示を行い、警報部33のスピーカから所定の保守電話着信音(保守電話呼出音)を出力させ、電話親機28を切替部82により保守電話親機回路部26bに切り替える。
【0113】
このような保守電話の着信を知った受信機10側の防災管理者等が電話親機28を取り上げると、電話親機28のオフフック検出に基づき、電話親機28は保守電話親機回路部26b及び保守電話回線84a,84bを介して発信した保守電話子機40aと通話接続され、必要な通話を行うことができる。
【0114】
(非常電話着信)
監視員等が巡回中に火災を発見した場合には、近くに設置されている非常電話子機20aを取り上げるとフックスイッチがオンし、電話中継器18及び中継器15を経由して受信機10に発信元アドレスを含む発呼コマンド信号が送信される。非常電話子機20aからの発呼コマンド信号を受信した受信機10の電話親機制御部46は、発信アドレスに基づく発信場所と共に非常電話の着信をディスプレイ30に表示し、警報部33のスピーカから所定の非常電話着信音(非常電話呼出音)を出力させ、電話親機28を切替部82により非常電話親機回路部26aに切り替える。
【0115】
このような非常電話の着信を知った受信機10側の防災管理者等が電話親機28を取り上げると、電話親機28のオフフック検出に基づき、電話親機28は非常電話回線16c,16dを介して発信した子機電話子機20aと通話接続され、必要な通話を行うことができる。
【0116】
また、受信機10の電話親機制御部46は、非常電話子機20aの取り上げによる発呼コマンド信号を電話中継器18及び中継器15を経由して受信した場合、所定時間以内、例えば10秒以内に、移報部34に指示して発信元アドレスに基づく火災発生地区を含む火災発信移報信号を非常用放送盤90に出力する。
【0117】
受信機10から火災発信移報信号を受信した非常用放送盤90は、火災発生地区となる火災発生階およびその直上階を放送区域に指定して火災放送を行う。この火災放送は、例えば「火事です。火事です。○○地区で火災が発生しました。落ち着いて避難してください。」とする。また、非常用放送盤90は、非常放送の開始から所定時間が経過すると、全ての放送区域に非常放送を行う全館一斉放送とする。
【0118】
(非常電話の重複着信)
また、受信機10の電話親機制御部46は、複数の非常電話子機20aからの発信が重複した場合、ディスプレイ30に複数の発信元を表示し、画面操作により選択された発信元の非常電話子機20aと通話接続する制御を行う。このとき選択されなかった非常電話子機からは保留音を出力させる制御を行う。
【0119】
(非常電話と保守電話の重複着信)
また、受信機10の電話親機制御部46は、非常電話子機20aと保守電話子機40aの着信が重複した場合、ディスプレイ30に非常電話の着信と保守電話の着信を表示し、画面操作により選択された発信元の非常電話子機20a又は保守電話子機40aと通話接続する制御を行う。このとき選択されなかった電話子機からは保留音を出力させる制御を行う。なお、非常電話と保守電話の着信に予め優先度を設定し、優先度の高い着信側を選択して通話接続するようにしても良い。
【0120】
(非常電話と保守電話の表示の別形態)
また、非常電話子機20aの着信はディスプレイ30で表示し、保守電話子機40aの着信は盤内に配置された保守電話灯により表示するようにしても良い。非常電話子機20aは固有の発信元アドレスを含む非常電話発信信号を送信するため設置場所を認識可能であるためディスプレイ30で発信元を示すことが好適である。
【0121】
(保守電話子機接続時の接続場所特定情報の通信)
保守電話子機40aが発信機36又はアドレッサブル発信機37に接続されたとき、発信機36又はアドレッサブル発信機37はプラグの接続を検出して受信機10に対して伝送回路上のアドレス情報を受信機10に送信して、受信機10は当該情報から保守電話子機40aが接続された発信機36又はアドレッサブル発信機37を特定する情報を表示するようにしても良い。非常電話子機20aと保守電話子機40aのいずれの着信元表示を可能とすることでどちらとの通話を優先させるか判断する助けとすることが可能となる。
【0122】
[本発明の変形例]
(電話ジャック)
上記の実施形態は、発信機に電話ジャックを設けた場合を例にとっているが、必要に応じて適宜の端末機器に電話ジャックを設けて良い。また、保守電話設備は、携帯型に限定されず、警戒区域に固定設置されて電話ジャックに差し込んで使用される保守電話子機としても良い。
【0123】
また、電話ジャックは受信機10に設けても良い。例えば、図3に示した通話検出回路部35から端末側に引き出された電話回線16a,16bの間に、電話ジャックのプラス側とマイナス側を、それぞれコンデンサを介して接続する。この場合には、受信機の電話ジャックと発信機の電話ジャックの各々に保守電話子機をプラグ差し込みにより接続することで、保守電話子機間での通話接続を確立することができる。
【0124】
(保守電話子機の優先と電話子機の保留音)
上記の実施形態の電話親機制御部46は、電話親機28と何れかの非常話子機20の通話接続中に、保守電話子機40の電話ジャック38への接続を検出した場合に保守電話子機40aの通話呼出を報知し、保守電話子機40の通話接続に切り替えるとともに、通話中の非常電話子機20の電話中継部18のアドレスを指定した保留コマンド信号を送信して非常電話子機20を電話回線16a,16bから切り離して所定の保留中音を出力させる。
【0125】
これにより電話親機28と非常電話子機20の通話中に電話ジャック38へ保守電話子機40が接続されると、電話親機28と非常電話子機20によるそれまでの通話接続を保留して保守電話子機40との通話を優先的に行うことができる。
【0126】
また、電話親機28と保守電話子機40の通話が終わると、電話親機制御部46より保留中の非常電話子機20の電話中継部18のアドレスを指定した保留解除コマンド信号を送信して非常電話子機20を電話回線16a,16bに接続して、電話親機28と非常電話子機20の通話を復旧させるようにしても良い。
【0127】
(電話子機間の通話)
上記の実施形態は、受信機の電話親機と警戒区域に設置された電話子機との間の通話制御を例にとっているが、これに限定されず、電話中継器に電話番号を入力して通話呼出しを行う操作表示部を設けることで、ある電話子機から別の電話子機を指定した通話呼出しにより電話子機間での通話ができるようにしても良い。
【0128】
(ハンズフリー通話機能)
上記の実施形態は、電話親機と電話子機による通話を例にとっているが、これに限定されず、受信機の電話親機及び電話中継器の電話子機のそれぞれに加え、マイクとスピーカを電話機近傍のパネル面等に設置し、所定のスイッチ操作により電話機をマイクとスピーカに切替え、電話機を使用することなく通話するハンズフリー通話機能を設けるようにしても良い。
【0129】
(P型受信機)
上記の実施形態は、R型の受信機からの伝送回線を介してR型の火災感知器を接続した火災報知設備を例にとっているが、P型の受信機から引き出した感知器回線にアドレスを設定すると共に伝送機能を備えたアドレッサブル火災感知器を接続した火災報知設備についても、同様に、感知器回線を使用した各種のコマンド信号の送受信により、同様な通信制御を実現することができる。
【0130】
(その他)
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0131】
10:受信機
12a,12b:伝送回線
14:火災感知器
15:中継器
16a,16b:電話回線
16c,16d:非常電話回線
18:電話中継器
20:電話子機
20a:非常電話子機
22:受信制御部
24,50:伝送部
26:電話親機回路部
26a:非常電話親機回路部
26b:保守電話親機回路部
28:電話親機
30:ディスプレイ
35:通話検出回路部
36:発信機
37:アドレッサブル発信機
38:電話ジャック
40:保守電話子機
40a:保守電話子機
44:火災監視制御部
46:電話親機制御部
45,72:受話器
47,74:送話器
48:電話子機制御部
52,62:接続切替部
54,64:制御音生成部
56,66:スイッチ回路部
58,68:トランス
60,70:フックスイッチ
61,94:スピーカ
76,78,80:抵抗
82:切替部
84a,84b:保守電話回線
90:非常用放送盤
92:放送回線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10