(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145762
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】分析装置の部品管理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20231003BHJP
【FI】
G06Q10/20
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129286
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2021503391の分割
【原出願日】2019-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2019041053
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】大橋 浩志
(57)【要約】
【課題】分析装置の部品管理を適切に行うことを課題とする。
【解決手段】 分析装置の部品管理システムは、分析装置と、分析装置とネットワークを介して接続されたサーバとを備える。分析装置は、分析装置に取り付けられた部品の情報を登録する部品登録部と、部品登録部に登録された部品情報を、ネットワークを介してサーバに転送する情報転送部とを含む。サーバは、情報転送部により転送された部品情報をデータベースに登録することにより、部品管理データベースを作成するデータベース登録部と、部品管理データベースに登録された各部品の交換作業を促す警告時期を、分析装置を使用するユーザの組織のカテゴリー単位で設定する警告時期設定部とを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置と、
前記分析装置とネットワークを介して接続されたサーバと、
を備え、
前記分析装置は、
前記分析装置に取り付けられた部品の交換日数を含む部品の情報を登録する部品登録部と、
前記部品登録部に登録された部品情報を、前記ネットワークを介して前記サーバに転送する情報転送部と、
を含み、
前記サーバは、
前記情報転送部により転送された前記部品情報をデータベースに登録することにより、前記分析装置を使用するユーザの組織のカテゴリー、前記部品情報、及び、各部品の交換作業を促す警告時期を含む、部品管理データベースを作成するデータベース登録部と、
前記部品管理データベースに登録された前記警告時期を、前記ユーザの組織のカテゴリー及び前記部品情報の組の単位で一括して設定する警告時期設定部と、
を含み、
前記部品管理データベースに登録される前記部品情報は、前記警告時期設定部による設定に基づいて、前記分析装置を使用するユーザの組織のカテゴリーに対応付けて管理される、分析装置の部品管理システム。
【請求項2】
前記部品管理データベースは、前記ユーザの組織のカテゴリーを複数含み、
前記警告時期設定部は、前記警告時期を、前記ユーザの組織の複数のカテゴリー及び前記部品情報の組の単位で一括して設定する、請求項1に記載の分析装置の部品管理システム。
【請求項3】
前記警告時期設定部は、ユーザの組織が所在する地域単位及び/又はユーザの組織内の部門単位で各部品の警告時期を一括して設定する、請求項1に記載の分析装置の部品管理システム。
【請求項4】
前記部品管理データベースに登録された情報をディスプレイに表示する閲覧管理部をさらに備え、
前記閲覧管理部は、ユーザ操作によって設定されたカテゴリーに対応する部品の情報を選択して表示する、請求項1に記載の分析装置の部品管理システム。
【請求項5】
分析装置とネットワークを介して接続されたサーバにおいて実行されるプログラムであって、
前記分析装置から前記ネットワークを介して転送された、前記分析装置に取り付けられた部品の情報をデータベースに登録することにより、前記分析装置を使用するユーザの組織のカテゴリー、部品情報、及び、各部品の交換作業を促す警告時期を含む、部品管理データベースを作成するデータベース登録処理と、
前記部品管理データベースに登録された前記警告時期を、前記ユーザの組織のカテゴリー及び前記部品情報の組の単位で一括して設定する警告時期設定処理と、
をコンピュータに実行させ、
前記部品管理データベースに登録される前記部品の情報は、前記警告時期設定処理による設定に基づいて、前記分析装置を使用するユーザの組織のカテゴリーに対応付けて管理される、分析装置の部品管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置の部品管理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ等の分析装置において、多数の部品が使用される。これら部品には、使用回数が所定の回数に達した時点で交換を要する部品(以下、消耗品とする。)が含まれる。また、これら部品には、使用期間が所定の期間に達した時点で交換を要する部品(以下、保守部品とする。)が含まれる。分析装置が正常に動作するためには、これら消耗品および保守部品が適切に交換される必要がある。
【0003】
消耗品は、使用回数をカウントしておくことにより、交換時期を適切に把握することができる。一方、保守部品については、使用期間の管理が煩雑である。ユーザごとに分析装置の使用頻度は様々である。保守部品の使用期間を管理するためには、使用頻度に応じた期間の管理が必要である。下記特許文献1においては、一日あたりの平均使用度に応じて交換予定日を算出することにより、部品の管理が行われる。
【特許文献1】特開2014-32022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、保守部品の使用頻度はユーザごとに異なるため、その使用期間の管理は煩雑である。特許文献1に開示された方法は、保守部品の交換時期を予測する上で1つの解決方法である。しかし、多数の分析装置を使用するユーザにおいて、多数の分析装置に取り付けられている部品の管理は依然課題となっている。例えば全国あるいは全世界で多数の分析装置を使用している企業がある。このような企業においては、各分析装置の部品の使用期間の管理を効率化させたいという要望がある。
【0005】
本発明の目的は、分析装置の部品管理を適切に行うことが可能なシステムおよびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に従う態様は、分析装置と、分析装置とネットワークを介して接続されたサーバとを備え、分析装置は、分析装置に取り付けられた部品の情報を登録する部品登録部と、部品登録部に登録された部品情報を、ネットワークを介してサーバに転送する情報転送部とを含み、サーバは、情報転送部により転送された部品情報をデータベースに登録することにより、部品管理データベースを作成するデータベース登録部と、部品管理データベースに登録された各部品の交換作業を促す警告時期を、分析装置を使用するユーザの組織のカテゴリー単位で設定する警告時期設定部とを含む分析装置の部品管理システムに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、分析装置の部品管理を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施の形態に係る液体クロマトグラフの部品管理システムの全体図である。
【
図2】
図2は実施の形態に係る液体クロマトグラフの機能ブロック図である。
【
図3】
図3は部品登録部に登録された部品情報の登録例を示す図である。
【
図4】
図4は実施の形態に係るサーバの構成図である。
【
図5】
図5は実施の形態に係るサーバおよび管理PCの機能ブロック図である。
【
図6】
図6は部品管理データベースの登録例を示す図である。
【
図7】
図7は部品管理プログラムの実行により表示される部品管理画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態に係る液体クロマトグラフの部品管理システムの構成について説明する。
【0010】
(1)部品管理システムの全体構成
図1は、実施の形態にかかる液体クロマトグラフの部品管理システムを示す全体図である。部品管理システムは、液体クロマトグラフ1、登録PC(Personal Computer)5、サーバ7および管理PC(Personal Computer)9を備える。液体クロマトグラフ1、登録PC5および管理PC9は、LAN(Local Area Network)4に接続される。LAN4は、ゲートウェイ6を介してWAN(Wide Area Network)8に接続される。サーバ7は、WAN8に接続される。WAN8は、例えばInternetである。
【0011】
このように、液体クロマトグラフ1は、LAN4およびWAN8を含むネットワークを介してサーバ7に接続される。サーバ7には、
図1に示す液体クロマトグラフ1以外にも、他の場所に設置された液体クロマトグラフがネットワーク経由で接続される。例えば、LAN4に接続された別の液体クロマトグラフがネットワーク経由でサーバ7に接続される。あるいは、別の地点の別のLANに接続された液体クロマトグラフがネットワーク経由でサーバ7に接続される。
【0012】
例えば、ユーザである企業が日本および他の国の事業所で多数の液体クロマトグラフを使用する。その企業の各国の各事業所に接続された多数の液体クロマトグラフがネットワーク経由でサーバ7に接続される。サーバ7は、後で説明するように、ネットワーク経由で接続された複数の液体クロマトグラフに取り付けられた部品の情報を管理する。つまり、本実施の形態においては、複数の地域に設置された複数の液体クロマトグラフの部品の情報が、クラウド上のサーバ7において管理される。
【0013】
なお、以下の説明においては、本実施の形態の液体クロマトグラフの部品管理システムが、使用期間が所定の期間に達した時点で交換を要する部品(以下、保守部品とする。)を管理する場合を例に説明する。
【0014】
(2)液体クロマトグラフの構成
図1に示すように、液体クロマトグラフ1は、システムコントローラ11および複数の機能ユニット12を備える。システムコントローラ11は、液体クロマトグラフ1の全体制御を行う。システムコントローラ11は、LAN4に接続される。
【0015】
本実施の形態の液体クロマトグラフ1は、4つの機能ユニット12を備える。具体的には、液体クロマトグラフ1は、機能ユニット12として、ポンプユニット12A、オートサンプラユニット12B、カラムオーブンユニット12Cおよび検出器ユニット12Dを備える。ポンプユニット12A、オートサンプラユニット12B、カラムオーブンユニット12Cおよび検出器ユニット12Dは、通信ケーブルによってシステムコントローラ11に接続される。各機能ユニット12は、システムコントローラ11によって制御される。
【0016】
図2は、液体クロマトグラフ1の機能ブロック図である。システムコントローラ11は、通信部111を備える。通信部111は、LAN4を介して登録PC5との間で通信を行う。通信部111は、LAN4、ゲートウェイ6およびWAN8を介してサーバ7との間で通信を行う。システムコントローラ11は、図示しないディスプレイおよび操作部を備える。オペレータは、システムコントローラ11が備えるディスプレイを参照し、液体クロマトグラフ1の状態を確認するとともに、操作部を操作することで液体クロマトグラフ1に対する各種の設定操作を行う。
【0017】
機能ユニット12は、部品登録部121および情報転送部122を備える。上述したように、液体クロマトグラフ1は、機能ユニット12として、ポンプユニット12A、オートサンプラユニット12B、カラムオーブンユニット12Cおよび検出器ユニット12Dを備える。
図2においては、これら4つの機能ユニット12を代表して1つの機能ユニット12を図示しているが、これら4つの機能ユニット12のそれぞれが、部品登録部121および情報転送部122を備える。
【0018】
部品登録部121は、記憶部を備えており、機能ユニット12に取り付けられた部品の情報を記憶部に登録する。
図3は、部品登録部121に登録された部品情報T1の一例を示す図である。上記のように、各機能ユニット12は、それぞれ部品登録部121を備える。各機能ユニット12が備える部品登録部121には、自身の機能ユニット12に取り付けられた部品についての部品情報T1が登録される。例えば、ポンプユニット12Aの部品登録部121には、ポンプユニット12Aに取り付けられた部品の部品情報T1が登録される。
【0019】
図3は、カラムオーブンユニット12Cの部品登録部121に登録された部品情報T1の一例を示す。部品情報T1は、登録された各部品の部品ID、部品名称、使用開始日および交換日数の情報を含んでいる。部品情報T1に登録された各部品の使用開始日を参照することで、取り付けられた部品の使用期間を算出することができる。交換日数は、後で説明するが、デフォルトの交換推奨日数が登録される。交換日数は、使用開始日からカウントされる。
【0020】
部品登録部121に対する部品情報T1の登録は、
図1および
図2に示した登録PC5によって行われる。登録PC5において、ユーザが、各機能ユニット12に対する部品の登録処理を実行する。登録PC5は、部品の登録情報を、LAN4を介して液体クロマトグラフ1のシステムコントローラ11に送信する。システムコントローラ11は、受信した部品の登録情報を機能ユニット12の部品登録部121に与える。部品登録部121は、受け取った部品の登録情報を部品情報T1として登録する。部品情報T1の使用開始日には、登録PCによって部品の登録処理が行われた日が登録される。
【0021】
(3)サーバの構成
図4は、サーバ7の構成を示す図である。サーバ7は、CPU(Central Processeing Unit)71、RAM(Random Access Memory)72、記憶装置73および通信部76を備える。CPU71、RAM72、記憶装置73および通信部76はバスを介して接続される。記憶装置73としては、例えば、ハードディスクが用いられる。記憶装置73は、部品管理データベース75および部品管理プログラムP1を記憶する。通信部76は、WAN8に接続される。通信部76は、WAN8、ゲートウェイ6およびLAN4を介して、液体クロマトグラフ1のシステムコントローラ11および管理PC9と通信を行う。
【0022】
部品管理データベース75は、ネットワーク経由で取得した部品情報T1を管理するデータベースである。部品管理プログラムP1は、部品管理データベース75を管理するプログラムである。部品管理プログラムP1は、機能ユニット12から受信した部品情報T1を部品管理データベース75に登録する処理、部品管理データベース75に登録された情報を更新する処理、および、部品管理データベース75に登録された情報を管理PC9において閲覧可能とするための閲覧データ(ユーザインタフェース)を生成する処理等を実行する。
【0023】
(4)サーバおよび管理PCの機能構成
図5は、サーバ7および管理PC9の機能ブロック図である。サーバ7は、制御部77を備える。制御部77は、データベース登録部771、警告時期設定部772および情報公開部773を備える。制御部77は、
図4で示した部品管理プログラムP1がRAM72をワークエリアとして使用しつつ、CPU71上で実行されることにより実現する機能部である。
【0024】
データベース登録部771は、液体クロマトグラフ1から部品情報T1を受信する。データベース登録部771は、受信した部品情報T1を部品管理データベース75に登録する。上述したように、サーバ7には、
図1で示す液体クロマトグラフ1を含め、複数の液体クロマトグラフが接続される。データベース登録部771は、これら複数の液体クロマトグラフから部品情報T1を受信する。そして、データベース登録部771は、複数の液体クロマトグラフに取り付けられた部品に関する部品情報T1を、部品管理データベース75に登録して一元管理する。
【0025】
警告時期設定部772は、部品管理データベース75に登録された部品の情報に、「警告日数」を設定する。警告日数の設定操作は、管理PC9において行われる。警告時期設定部772は、管理PC9から受信した警告日数の設定情報に基づいて、部品管理データベース75に、「警告日数」を登録する。
【0026】
情報公開部773は、部品管理データベース75に登録されている部品の情報を、管理PC9において閲覧可能な情報としてネットワーク経由で送信する。情報公開部773は、例えば、サーバ7が備えるWWWサーバ機能を利用して、ネットワーク経由で、部品管理データベース75に登録された部品の情報を送信する。
【0027】
(5)部品管理データベースの内容
図6は、部品管理データベース75の登録例を示す図である。部品管理データベース75には、部品の情報として、
「地域1」
「地域2」
「部門1」
「部門2」
「装置」
「使用開始日」
「交換日数」
が登録される。
【0028】
「地域1」には、液体クロマトグラフ1が設置されている国名が登録される。「地域2」には、液体クロマトグラフ1が設置されている国より狭い地域(州、県、地方等)が登録される。「部門1」および「部門2」は、液体クロマトグラフ1が設置されているユーザの組織内の部門名が登録される。「装置」には、液体クロマトグラフ1の装置識別番号が登録される。「部品名称」、「使用開始日」および「交換日数」は、液体クロマトグラフ1の機能ユニット12から受信した部品情報T1に登録された情報が反映される。「使用開始日」は、上記のように、登録PC5によって部品の登録処理が行われた日が記録される。「交換日数」は、「使用開始日」を起算日として、部品の交換が推奨される日数を示す。「交換日数」は、例えば部品の製造メーカで設定されているデフォルトの交換推奨日数である。
【0029】
「警告日数」は、「使用開始日」を起算日とする日数であって、部品交換の警告をユーザに通知する日数を示す。「交換日数」は、交換が推奨される日数であるのに対して、「警告日数」は、警告を通知する日数である。ユーザにとって、部品交換は時間と手間を要する作業であるため、部品交換を促す通知は、それら時間を考慮して事前にユーザに通知されることが好ましい。したがって、「警告日数」は「交換日数」よりも短い日数が設定される。また、「交換日数」は、上記のとおり、製造メーカ等で設定されたデフォルトの推奨交換日数である。ユーザによって液体クロマトグラフ1の使用頻度には差がある。したがって、「交換日数」は一般的な使用頻度に対する交換の目安であるのに対して、「警告日数」は、実際に液体クロマトグラフ1を使用するユーザの使用状況に応じて設定される日数である。また、「警告日数」は、液体クロマトグラフ1を使用するユーザによって、「地域1」、「地域2」、「部門1」および「部門2」のいずれかのカテゴリー単位で設定される。あるいは、「警告日数」は、液体クロマトグラフ1を使用するユーザによって、「装置」単位で設定される。
【0030】
(6)部品管理システムの処理の流れ
次に、部品管理システムの処理の流れを説明する。まず、オペレータが登録PC5を操作し、液体クロマトグラフ1の各機能ユニット12に取り付けられた部品の登録操作を行う。登録PC5においては、部品の登録を行うためのプログラムが動作可能となっている。オペレータが登録PC5において部品の登録操作を行うと、部品の登録情報が液体クロマトグラフ1に送信される。
【0031】
液体クロマトグラフ1のシステムコントローラ11は、登録PC5から部品の登録情報を受信すると、部品の登録情報を、登録すべき機能ユニット12に与える。各機能ユニット12は、自身の機能ユニット12に取り付けられた部品の登録情報を受け取り、部品登録部121に部品情報T1として登録する。このとき、部品情報T1には、「使用開始日」として、部品登録部121に部品情報T1が登録された日が登録される。以上の操作により、各機能ユニット12には、自身の機能ユニット12に取り付けられた部品についての部品情報T1が登録される。以上の操作は、例えば、液体クロマトグラフ1の製造工場において実行される。あるいは、以上の操作は、ユーザ企業の事業所内で行われてもよい。
【0032】
次に、液体クロマトグラフ1が実際に使用される場所に設置される。例えば、製造工場から搬送されてきた液体クロマトグラフ1が、ユーザである企業の担当部署のフロアに設置される。液体クロマトグラフ1が実際に分析処理を行う使用場所に設置されると、システムコントローラ11がLAN4に接続される。これにより、システムコントローラ11は、LAN4、ゲートウェイ6およびWAN8を介してサーバ7と通信可能となる。
【0033】
システムコントローラ11がサーバ7と通信可能となると、次に、機能ユニット12の情報転送部122が、部品情報T1をサーバ7に送信する。サーバ7が機能ユニット12から部品情報T1を受信すると、データベース登録部771が、部品情報T1を部品管理データベース75に登録する。このような動作が、全ての機能ユニット12において実行される。部品管理データベース75には、全ての機能ユニット12の部品情報T1が登録される。
【0034】
なお、液体クロマトグラフ1がユーザ企業の担当部署の使用場所に設置された時点で、ユーザは、部品情報T1に登録されている使用開始日を、使用場所に設置された日に更新してもよい。例えば、部品情報T1が製造工場において登録されてから、使用場所への設置までの間に相当日数が経過している場合には、使用開始日を更新することで、使用期間の算出をより正確に行うことができる。使用開始日の更新は、登録PC5においてネットワーク経由で行われてもよいし、システムコントローラ11の操作部を操作することによって行われてもよい。情報転送部122による転送は、使用開始日の更新後に改めて実行される。これにより、サーバ7の部品管理データベース75には更新後の使用開始日が登録される。
【0035】
部品情報T1が部品管理データベース75に登録されると、情報公開部773によって、部品管理データベース75に登録された情報が閲覧可能な状態となる。ユーザである企業の中で、部品管理を担当する管理担当者は、管理PC9を操作し、ネットワーク経由でサーバ7にアクセスする。これにより、情報公開部773は、部品管理データベース75を閲覧するための閲覧データ(ユーザインタフェース)を管理PC9に送信する。管理PC9の通信部91は、ネットワーク経由で受信した閲覧データを閲覧管理部92に与える。閲覧管理部92は、受信した閲覧データを管理PC9が備えるディスプレイ(図示省略)に表示させる。上述したように、情報公開部773がWWWサーバを利用して閲覧データを送信する場合、閲覧管理部92としては、WEBブラウザを利用することができる。
【0036】
図7は、管理PC9のディスプレイに表示された部品管理画面D1を示す図である。部品管理画面D1は、情報公開部773から受信した閲覧データに基づいて生成された画面である。部品管理画面D1には、ユーザである企業が全国または全世界で使用している液体クロマトグラフの全ての部品の情報が表示される。管理担当者は、国や地域を選択することで、管理対象の部品の情報を参照することができる。
【0037】
管理担当者は、部品管理画面D1を参照しながら、各部品の警告日数を設定する。上述したように、警告日数は、「地域1」、「地域2」、「部門1」および「部門2」という4階層のカテゴリーの中で自由に設定することができる。あるいは、警告日数は、「装置」ごとに設定することができる。
【0038】
図8は、管理PCのディスプレイに表示された警告日数設定画面D2を示す図である。警告日数設定画面D2は、情報公開部773から受信した閲覧データに基づいて生成された画面である。警告日数設定画面D2は、部品交換の警告日数を設定するための入力欄を含んでいる。管理担当者は、部品交換の警告日数を、カテゴリー単位で設定することが可能である。
図8においては、「地域1」としてJP(日本)、「地域2」としてKyoto(京都)、「部門1」として開発が設定され、部品名としてエアフィルタが設定された状態を示す。そして、警告日数として180日が設定された状態を示す。以上の情報が設定された状態で、管理担当者が警告日数設定画面D2のOKボタンを選択することにより、警告日数の設定情報がサーバ7に送信される。サーバ7は、警告日数の設定情報を受信すると、警告時期設定部772が、警告日数の情報を部品管理データベース75に登録する。
【0039】
この設定により、ユーザである企業の日本の京都における開発部門においては、エアフィルタの警告日数が180日に設定される。これにより、管理者は、京都に所在する開発部門内のエアフィルタの警告日数を一括して設定することができる。警告日数の入力欄の側部には、交換日数が表示される。この例では、デフォルトの推奨交換日数が365日であるエアフィルタについて、京都の開発部門では、使用日数が180日を経過した時点で警告を通知することが設定される。つまり、京都の開発部門の液体クロマトグラフ1の使用環境では、エアフィルタの交換間隔が短いため、デフォルトの推奨交換日数の約半分である180日で交換を促す警告を通知するよう設定される。
【0040】
図9は、警告日数設定画面D2の別の例を示す図である。
図9においては、「地域1」としてUS(米国)、「地域2」としてCa(カリフォルニア)が設定され、部品名としてエアフィルタが設定された状態を示す。そして、警告日数として305日が設定された状態を示す。この設定により、ユーザである企業の米国のカリフォルニア州においては、エアフィルタの警告日数が305日に設定される。これにより、管理者は、米国カリフォルニア州内のエアフィルタの警告日数を一括して設定することができる。この例では、デフォルトの推奨交換日数が365日であるエアフィルタについて、米国カリフォルニア州では、使用日数が305日を経過した時点で警告を通知することが設定される。つまり、米国カリフォルニア州の液体クロマトグラフ1の使用環境では、エアフィルタの交換間隔が通常程度であるため、デフォルトの推奨交換日数を基準に、その2ヶ月前に警告を通知するよう設定される。
【0041】
警告日数が経過した部品については、
図7に示す部品管理画面D1において、ハイライト表示される。例えば、警告日数が経過した部品の行が赤色表示に変更される。あるいは、警告日数が経過した部品の部品名称等を点滅表示させてもよい。あるいは、部品管理データベース75に登録された部品の中で警告日数が経過した部品が存在する場合には、サーバ7において動作するプログラムが、部品の取り付けられている液体クロマトグラフ1にメッセージを通知してもよい。液体クロマトグラフ1においては、例えば、システムコントローラ11のディスプレイに部品の交換メッセージが表示される。これにより、ユーザは、部品の適切な交換時期を把握することができる。あるいは、警告日数が経過した部品が存在する場合、サーバ7において動作するプログラムが、ユーザおよびフィールドエンジニアに対して電子メールを送信するようにしてもよい。ユーザおよびフィールドエンジニアは、電子メールを受信することにより、警告日数が経過したことを知ることができる。
【0042】
このように本実施の形態の部品管理システムにおいては、液体クロマトグラフ1に取り付けられた部品の警告日数を、ユーザの組織内のカテゴリー単位で設定することができる。これにより、ユーザが大企業であり多数の部品の交換時期を管理する場合であっても、カテゴリー単位で警告日数を設定することができ、利便性が向上する。上述したように、本実施の形態の部品管理システムは、使用期間に応じて交換が必要となる保守部品を管理する場合を例に説明している。ユーザ企業内でも、国ごと、地域ごと、部門ごとで液体クロマトグラフ1の使用頻度が異なるため、保守部品の管理は非常に煩雑であるが、本実施の形態の部品管理システムを利用することで、ユーザ企業内の管理担当者は、管理PC9を利用して、広いエリアに存在する多数の部品の交換時期を適切に管理することができる。
【0043】
また、地域単位で警告日数の設定を行うことが可能であるので、地域に特有の条件を加味した部品の管理を行うことができる。例えば、液体クロマトグラフ1が設置される使用場所の環境によってエアフィルタの使用可能日数に差が生じる。このようなケースにおいても、
図8で示した警告日数設定画面D2を利用することで、地域に応じた部品管理を行うことができる。
【0044】
上記の実施の形態においては、新規に液体クロマトグラフ1が分析作業の使用場所に設置されたときに、新たに部品情報T1が登録される場合を例に説明した。既に液体クロマトグラフ1が使用場所に設置および使用されている状態において、部品が交換されたときの動作も同様である。部品が交換されたときには、登録PC5において、交換された新たな部品の登録作業が行われる。これにより、機能ユニット12の部品登録部121には、交換された部品の新しい部品情報T1が登録される。情報転送部122は、登録された部品情報T1をネットワーク経由でサーバ7に転送する。サーバ7のデータベース登録部771は、交換された新たな部品の部品情報T1を部品管理データベース75に登録する。この後の処理は、上述した場合と同様である。
【0045】
なお、部品が交換され、新たな部品についての部品情報T1がサーバ7に転送されるとき、情報転送部122は、合わせて、取り外された使用後の部品の使用情報をサーバ7に転送してもよい。取り外された部品の使用情報としては、例えば、部品の使用回数または使用期間に関する最終の情報である。サーバ7のデータベース登録部771は、取り外された部品の使用情報を部品管理データベース75に登録し、ユーザに部品の最終的な使用情報を閲覧可能に提供させることができる。
【0046】
(7)部品管理方法
図10は部品管理方法を示すフローチャートである。
図10で示す部品管理方法は、
図4のCPU71が記憶装置73に記憶された部品管理プログラムP1を実行することにより実行される。
【0047】
まず、データベース登録部771が、LAN4、ゲートウェイ6およびWAN8を介して液体クロマトグラフ1から転送された部品情報T1を部品管理データベースに登録する(ステップS1)。次に、警告時期設定部772が、部品管理データベース75に登録された各部品の交換作業を促す警告時期を、液体クロマトグラフ1を使用するユーザの組織のカテゴリー単位で設定する(ステップS2)。警告時期設定部772は、管理PC9から受信した警告時期に関する設定情報に基づいて、ステップS2を実行する。
【0048】
(8)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。上記の実施の形態では、液体クロマトグラフ1が分析装置の例であり、LAN4およびWAN8がネットワークの例である。また、上記の実施の形態では、部品管理データベース75に登録される地域1および地域2が地域の例であり、部品管理データベース75に登録される部門1および部門2が部門の例である。
【0049】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する種々の要素を用いることもできる。
【0050】
(9)他の実施の形態
上記の実施の形態においては、部品管理システムは、液体クロマトグラフ1に取り付けられた部品を管理するシステムとして用いられる場合を例に説明した。本実施の形態の部品管理システムは、液体クロマトグラフ以外にも、ガスクロマトグラフ、質量分析装置等の他の分析装置に用いることもできる。他の分析装置においても、液体クロマトグラフと同様、ユーザの組織内のカテゴリーによって分析装置の使用頻度が異なる。本実施の形態の部品管理システムは、部品管理データベース75により分析装置の部品を一元管理し、そして、カテゴリーごとに部品交換の警告時期を設定するので、分析装置の使用頻度が異なる場合であっても、部品の交換時期を適切に管理することができる。
【0051】
上記の実施の形態においては、登録PC5および管理PCは、いずれも液体クロマトグラフ1が接続されているLAN4に接続される場合を例に説明した。登録PC5または管理PC9は、LAN4とは異なる別のネットワークに接続されていてもよい。また、上記の実施の形態においては、サーバ7はWAN8に接続される。つまり、部品管理システムはクラウド上のサーバ7を利用した。この構成は一例であり、サーバ7は、ユーザ企業内のネットワークに設置されていてもよい。
【0052】
上記の実施の形態においては、部品管理プログラムP1が実行することにより実現される情報公開部773は、WWWサーバ機能により閲覧データを管理PC9に送信する場合を例に説明した。つまり、部品管理プログラムP1が、WEBアプリケーションプログラムである場合を例に説明したが、この構成は一例である。部品管理プログラムP1は、管理PC9との間でデータ送受信を行うクライアントサーバ型のプログラムであってもよい。
【0053】
なお、本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【0054】
(10)態様
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)一態様に係る分析装置の部品管理システムは、
分析装置と、
前記分析装置とネットワークを介して接続されたサーバと、
を備え、
前記分析装置は、
前記分析装置に取り付けられた部品の情報を登録する部品登録部と、
前記部品登録部に登録された部品情報を、前記ネットワークを介して前記サーバに転送する情報転送部と、
を含み、
前記サーバは、
前記情報転送部により転送された前記部品情報をデータベースに登録することにより、部品管理データベースを作成するデータベース登録部と、
前記部品管理データベースに登録された各部品の交換作業を促す警告時期を、前記分析装置を使用するユーザの組織のカテゴリー単位で設定する警告時期設定部とを含んでもよい。
【0055】
分析装置において登録されている部品情報が、サーバにおいて管理される。そして、サーバにおいて、各部品の交換作業を促す警告時期が、ユーザの組織のカテゴリー単位で設定される。ユーザの組織内で、カテゴリーごとに分析装置の使用頻度が異なる場合、カテゴリーごとに適切な警告時期を設定することができる。これにより、部品交換時期を途過するトラブルを削減することができる。部品交換が適切に行われることにより、分析装置のダウンタイムを低減させることができる。また、部品交換が必要以上に早期に行われることなく、適切な時期に行われることにより、分析装置のメンテナンスコストが削減される。
【0056】
(第2項)第1項に記載の分析装置の部品管理システムにおいて、
前記警告時期設定部は、ユーザの組織が所在する地域単位で各部品の警告時期を設定してもよい。
【0057】
ユーザの分析装置の使用頻度が地域単位で差がある場合であっても、地域単位で適切な部品交換が行われる。
【0058】
(第3項)第1項に記載の分析装置の部品管理システムにおいて、
前記警告時期設定部は、ユーザの組織内の部門単位で各部品の警告時期を設定してもよい。
【0059】
ユーザの分析装置の使用頻度が部門単位で差がある場合であっても、部門単位で適切な部品交換が行われる。
【0060】
(第4項)第1項~第3項のいずれか一項に記載の分析装置の部品管理システムにおいて、
前記部品登録部は、前記分析装置が前記サーバに接続されていない状態で、前記部品情報を前記分析装置の内部に保持し、前記分析装置が前記サーバに接続された後、前記情報転送部によって、前記部品情報が前記サーバに転送されてもよい。
【0061】
ユーザが各分析装置に個別に部品情報を登録しておくことで、部品情報がサーバで一元管理される。
【0062】
(第5項)第1項~第4項のいずれか一項に記載の分析装置の部品管理システムにおいて、
前記部品登録部は、各部品の使用開始時期として、各部品の情報が前記部品登録部に登録された時期を記録してもよい。
【0063】
ユーザが各分析装置に部品情報を登録することにより、各部品の使用期間のカウントが開始される。サーバは、分析装置から部品情報を取得することで、各部品の使用期間を把握することができる。
【0064】
(第6項)第5項に記載の分析装置の部品管理システムにおいて、
前記分析装置が分析作業の使用場所に設置されたとき、前記使用開始時期が前記使用場所に設置された時期で更新されてもよい。
【0065】
分析装置に部品情報が登録された後、分析作業の使用場所に設置されるまでの間に相当日数経過する場合がある。このような場合には、使用開始時期が更新されることにより、サーバにおいて、正しい使用期間が管理される。
【0066】
(第7項)第1項~第6項のいずれか一項に記載の分析装置の部品管理システムにおいて、
前記サーバは、前記警告時期が経過したことを関係者に電子メールで通知してもよい。
【0067】
ユーザ、フィールドエンジニアなどの関係者は、部品の警告時期が経過したことを電子メールにより知ることができる。
【0068】
(第8項)第1項~第7項のいずれか一項に記載の分析装置の部品管理システムにおいて、
前記分析装置は液体クロマトグラフを含んでもよい。
【0069】
液体クロマトグラフの各機能ユニットに取り付けられた部品情報がサーバで管理される。サーバは、液体クロマトグラフの各機能ユニットに取り付けられた部品の交換時期を促す警告時期を、ユーザの組織のカテゴリー単位で設定することができる。
【0070】
(第9項)一態様に係る分析装置の部品管理プログラムは、
分析装置とネットワークを介して接続されたサーバにおいて実行されるプログラムであって、
前記分析装置から前記ネットワークを介して転送された、前記分析装置に取り付けられた部品の情報をデータベースに登録することにより、部品管理データベースを作成するデータベース登録処理と、
前記部品管理データベースに登録された各部品の交換作業を促す警告時期を、前記分析装置を使用するユーザの組織のカテゴリー単位で設定する警告時期設定処理と、
をコンピュータに実行させてもよい。