(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145786
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ゲーム管理システム
(51)【国際特許分類】
A63F 1/06 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
A63F1/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130295
(22)【出願日】2023-08-09
(62)【分割の表示】P 2022072312の分割
【原出願日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2017125723
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】
【課題】 カジノ全体の売上若しくは利益、又はテーブルごと若しくはピットごとの利益若しくは利益を把握する。
【解決手段】 ゲーム管理システム100は、カジノ施設の複数のテーブルで行われるカジノゲームを管理する。ゲーム管理システム100は、ベットされた遊技用代用貨幣を撮影して画像を得るカメラ2と、画像における遊技用代用貨幣の位置に基づいてベット対象を特定し、画像における前記遊技用代用貨幣の種類及び枚数に基づいてベット額を特定する制御装置14と、カジノゲームのゲーム結果を判定するカード配布装置3と、ベット対象、ベット額、及びゲーム結果に基づいて、複数のテーブルのテーブルごと、かつゲームごとに、カジノ運営者の利益を算出する演算装置51と、利益を記録する記録装置52とを備えている。
【選択図】
図20
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カジノ施設の複数のテーブルで行われるカジノゲームを管理するゲーム管理システムであって、
前記テーブルは、複数のプレイヤポジションを有し、かつ、ベット対象として、ゲームのルールに基づいて他のベットエリアとは異なる控除率が設定されたサイドベットエリアを有し、
プレイヤごと、又はプレイヤポジションごとに、前記カジノゲームにおいてプレイヤがベットしたベット対象及びベット額を含むベット内容を検知するベット検知手段と、
前記プレイヤごと、又は前記プレイヤポジションごとに、前記異なる控除率のサイドベットエリアごとのベット額を算出する算出手段と、
前記カジノゲームのゲーム結果を判定するゲーム結果判定手段と、を備え、
前記算出手段は、前記ベット内容と前記ゲーム結果とに基づいて、前記プレイヤごと、又は前記プレイヤポジションごとに、前記異なる控除率のサイドベットエリアごとのカジノ運営者の利益を算出する、ゲーム管理システム。
【請求項2】
前記算出手段は、所定期間又は所定ゲーム数あたりの前記ベット額の総額を算出する、請求項1に記載のゲーム管理システム。
【請求項3】
前記算出手段は、所定期間又は所定ゲーム数あたりの前記利益の総額を算出する請求項1に記載のゲーム管理システム。
【請求項4】
前記算出手段は、所定期間又は所定ゲーム数あたりの前記ベット額の総額を算出し、前記ベット額の総額に対する前記利益の総額の比率と、理論値との間に有意な差があるか否かを判定し、前記有意な差がある場合に、当該有意な差が生じている前記プレイヤ又は前記プレイヤポジションを特定し、かつ、前記有意差の生じた原因が、前記異なる控除率のサイドベットエリアに関連するか否かを判定する、請求項3に記載のゲーム管理システム。
【請求項5】
カジノ施設の複数のテーブルで行われるカジノゲームを管理するゲーム管理システムであって、
前記テーブルは、ベット対象として、ゲームのルールに基づいて他のベットエリアとは異なる控除率が設定されたサイドベットエリアを有し、
前記カジノゲームにおいてプレイヤがベットしたベット対象及びベット額を含むベット内容を検知するベット検知手段と、
前記テーブルごと又はディーラごとに、前記サイドベットエリアごとのベット額を算出し、かつ/又は、前記テーブルごと又はディーラごとに、前記ベット内容と前記カジノゲームのゲーム結果とに基づいて前記サイドベットエリアごとのカジノ運営者の利益を算出する算出手段と、
を備えたゲーム管理システム。
【請求項6】
前記算出手段は、所定期間又は所定ゲーム数あたりの前記ベット額の総額を算出する、請求項5に記載のゲーム管理システム。
【請求項7】
前記カジノゲームのゲーム結果を判定するゲーム結果判定手段をさらに備え、
前記算出手段は、前記テーブルごと又は前記ディーラごとに、前記ベット内容と前記ゲーム結果とに基づいて、カジノ運営者の利益を算出する、請求項5に記載のゲーム管理システム。
【請求項8】
前記算出手段は、所定期間又は所定ゲーム数あたりの前記利益の総額を算出する、請求項7に記載のゲーム管理システム。
【請求項9】
前記算出手段は、所定期間又は所定ゲーム数あたりの前記ベット額の総額を算出し、前記ベット額の総額に対する前記利益の総額の比率と、理論値との間に有意な差があるか否かを判定し、前記有意な差がある場合に、当該有意な差が生じている前記テーブル又は前記ディーラを特定し、かつ、前記有意差の生じた原因が、前記異なる控除率のサイドベットエリアに関連するか否かを判定する、請求項8に記載のゲーム管理システム。
【請求項10】
前記ベット額の総額、前記利益の総額、又は前記ベット額の総額に対する前記利益の総額の比率が、所定の閾値以下、または所定の閾値以上である場合に警報を生成する警報手段をさらに備えた、請求項4又は9に記載のゲーム管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場でのゲームにおける不正行為、又はチップの賭けや精算をする際のミスや不正行為を検知するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カジノなどの遊技場では、様々な不正行為を防止する試みが行われている。遊技場は不正行為を監視するための監視カメラを備え、監視カメラより得た画像からゲームの不正や、勝敗結果と異なるチップの回収や払出による不正を判定するなどして不正の防止をしている。
【0003】
一方で、賭けられたチップの枚数や総額を把握するため各チップに無線IC(RFID)タグを付けてチップの額を把握することが提案されている。
【0004】
国際公開第2015/107902号に記載のカードゲームモニタリングシステムでは、遊技テーブル上に置かれたチップが勝敗結果通り回収あるいは払い出されたか否かを、チップの動きを画像解析することで判定し、不正行為のモニタリングが行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、遊技場でのゲームを管理する新規なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、カジノ施設の複数のテーブルで行われるカジノゲームを管理するゲーム管理システムであって、
ベットされた遊技用代用貨幣を撮影して画像を得るカメラと、
前記画像における前記遊技用代用貨幣の位置に基づいてベット対象を特定し、前記画像における前記遊技用代用貨幣の種類及び枚数に基づいてベット額を特定する情報処理装置と、
前記カジノゲームのゲーム結果を判定するゲーム結果判定装置と、
前記ベット対象、前記ベット額、及び前記ゲーム結果に基づいて、前記複数のテーブルのテーブルごと、かつゲームごとに、カジノ運営者の利益を算出する算出装置と、
前記利益を記録する記録装置と、
を備えた、ゲーム管理システムである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態の複数の遊技テーブルを有する遊技場における不正検知システムの全体の概要を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、それぞれ本発明の第1の実施の形態において把握されるチップの異なる重ね状態の例を示すチップの斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、それぞれ本発明の第1の実施の形態において把握されるチップの異なる重ね状態の例を示すチップの斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明の第1の実施の形態のチップトレイの詳細を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、本発明の第1の実施の形態のチップトレイの他の例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態において把握されるカードの汚れを説明するマークの拡大図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の第1の実施の形態のマーカーの表を表す平面図である。
【
図5B】
図5Bは、本発明の第1の実施の形態のマーカーの裏を表す平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施の形態において把握されるお札とチップの交換状態の映像を簡略化した説明図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施の形態のバカラゲームの不正検知システムの全体概要を示す平面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2の実施の形態の不正検知システムにおけるバカラゲームの進行状態の概要を示す平面図である。
【
図9】
図9はバカラゲームにおけるディーラによるカジノ側が勝ったチップの回収の様子を示す説明図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2の実施の形態のバカラゲームにおけるディーラによる勝った客(ゲーム参加人)への支払いの様子を示す説明図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施の形態のバカラゲームにおける勝った客(ゲーム参加人)によるチップおよび支払いの受け取りの様子を示す説明図である。
【
図12A】
図12Aは、本発明の第2の実施の形態の不正検知システムにおけるディーラによるカジノ側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図12B】
図12Bは、本発明の第2の実施の形態の不正検知システムにおけるディーラによるカジノ側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図12C】
図12Cは、本発明の第2の実施の形態の不正検知システムにおけるディーラによるカジノ側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2の実施の形態の不正検知システムにおけるチップの不正回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図14A】
図14Aは、本発明の第2の実施の形態の不正検知システムにおけるゲーム参加人側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図14B】
図14Bは、本発明の第2の実施の形態の不正検知システムにおけるゲーム参加人側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図14C】
図14Cは、本発明の第2の実施の形態の不正検知システムにおけるゲーム参加人側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図14D】
図14Dは、本発明の第2の実施の形態の不正検知システムにおけるゲーム参加人側が勝ったチップの回収の画像分析の対象となる画像の説明図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2の実施の形態におけるカード配布装置の側断面図である。
【
図16】
図16は、本発明の第2の実施の形態のカードの例を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の第2の実施の形態のカード配布装置のカードガイド部を一部破断した状態の要部平面図である。
【
図18A】
図18Aは、本発明の第2の実施の形態のカード配布装置のカード収納部からのカードの出入りを制限する配布制限装置を示す要部側断面図である。
【
図18B】
図18Bは、本発明の第2の実施の形態のカード配布装置のカード収納部からのカードの出入りを制限する配布制限装置の変形例を示す要部側断面図である。
【
図19】
図19は、本発明の第2の実施の形態のカード配布装置におけるセンサ類の出力波形とマークの関係を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の第3の実施の形態のゲーム管理システムを導入したカジノ施設の概略図である。
【
図21】
図21は、本発明の第3の実施の形態の遊技テーブルごとの売上(ベット額の総額)を示す表の例である。
【
図22】
図22は、本発明の第3の実施の形態の各遊技テーブルにおけるゲームごとの売上を示す表の例である。
【
図23】
図23は、本発明の第3の実施の形態の遊技テーブルごとの総ベット額、利益(粗利)、及び利益率を示す表の例である。
【
図24】
図24は、本発明の第3の実施の形態の各遊技用テーブルにおける利益の推移を示す折れ線グラフの例である。
【
図25】
図25は、本発明の第3の実施の形態のカジノ施設全体の利益の推移を示すグラフの例である。
【
図26】
図26は、本発明の第3の実施の形態の遊技テーブルごとの利益率を示す棒グラフの例である。
【
図27】
図27は、本発明の第3の実施の形態のリーダライタ及びメンバーズカードを示す図である。
【
図28】
図28は、本発明の第3の実施の形態のメンバーズカードに記憶される情報を示す図である。
【
図30】
図30は、ディーラチップトレイの回収フロートの拡大斜視図である。
【
図31】
図31は、ディーラチップトレイの構成を示すブロック図である。
【
図33】
図33は、4段階の不正検知における各構成要素の役割を示すフロー図である。
【
図34】
図34は、ゲーム開始時のベット情報とゲーム終了時のベット情報との比較結果を示すモニタ画面の例である。
【
図35】
図35は、レイトベッティングが行われた場合のモニタ画面の例である。
【
図36】
図36は、アンベッティングが行われた場合のモニタ画面の例である。
【
図38】
図38は、ゲームごとに生成されるゲームレコードの構成を示す図である。
【
図39】
図39は、全体管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図40】
図40は、全体管理装置の売上収支管理部が生成する売上表の例を示す図である。
【
図41】
図41は、全体管理装置の売上収支管理部が生成する粗利表の例を示す図である。
【
図42】
図42は、カジノ遊技場全体の売上が低く抑えられてしまう状況を説明する図である。
【
図43A】
図43Aは、カジノ遊技場全体の売上が低く抑えられてしまう状況を説明する図である。
【
図43B】
図43Bは、カジノ遊技場全体の売上が低く抑えられてしまう状況を説明する図である。
【
図44A】
図44Aは、実際のベット額に応じた最低賭け額の設定の例を示す図である。
【
図44B】
図44Bは、実際のベット額に応じた最低賭け額の設定の例を示す図である。
【
図45A】
図45Aは、テーブル混雑度に応じた最低賭け額の推奨値の決定の例を示す図である。
【
図45B】
図45Bは、テーブル混雑度に応じた最低賭け額の推奨値の決定の例を示す図である。
【
図46A】
図46Aは、あるエリアにおいて新たに遊技テーブル4をオープンさせる例を説明する図である。
【
図46B】
図46Bは、あるエリアにおいて新たに遊技テーブル4をオープンさせる例を説明する図である。
【
図46C】
図46Cは、あるエリアにおいて新たに遊技テーブル4をオープンさせる例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
カジノなどの遊技場では、チップが嵩高く積み重ねられて遊技テーブルに置かれるが、遊技テーブルの下に設けたICタグの読取り装置では、総額が正確に読み取れないという問題があり、読み取り装置の感度を高くすると、異なる位置(位置により勝敗が左右される)に置かれたチップが、合算されてしまい各位置毎のチップの総額が把握できない、という課題が存在する。また、カメラからの撮像では、カメラの視角により死角ができたり、重なりにより影に入ってチップの総額が把握できないという課題がある。
【0009】
また、バカラゲームにおいてしばしば行われるが、プレーヤによるカードのスクイーズ(裏向きのカードを曲げてカードのランク等を楽しみながら少しずつ見る行為)等によりカードが曲がってしまい、カメラからの画像分析ではカードのランクとスートが判定できない、という課題が存在する。
【0010】
また、さらに遊技テーブルにおける不正が高度化し、その遊技テーブルで単純に勝った額が多い等の検出では発見できない高度な賭け方による不正などは、カメラや勝ち額の追跡では発見できない、という新たな課題も把握されている。また、ディーラとプレーヤの共謀による不正行為も従来技術では防止が十分でない。
【0011】
上記種々の課題を解決するため、第1の実施の形態の複数の遊技テーブルを有する遊技場における不正検知システムは、
複数の遊技テーブルを有する遊技場における不正検知システムであって、
前記遊技テーブルで行われるゲームの進行状態をディーラおよびプレーヤを含めカメラを介して映像として記録するゲーム記録装置と、
前記記録されたゲームの進行状態の映像を画像分析する画像分析装置と、
前記遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を判定し表示するカード配布装置と、
前記画像分析装置による画像分析結果と前記カード配布装置が判定する勝敗結果とを用いて、前記遊技テーブルで行われる不正行為を検知する制御装置と、を備える。
【0012】
さらに、上記の不正検知システムにおいて、カード配布装置は、配布されるカードのランクを読取り可能な構造であって、制御装置は、遊技テーブルにおいて配布された各カードの映像より前記画像分析装置が得るランクの情報と、前記カード配布装置が読取ったカードのランクの情報とを照合して一致不一致を判定可能な構造である。
【0013】
さらに、上記の不正検知システムにおいて、画像分析装置もしくは制御装置は、遊技テーブルにおいて配布されプレーヤによって折曲げられたもしくは汚れたカードからカードのランクの情報を得ることが可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。
【0014】
さらに、上記の不正検知システムにおいて、制御装置は、前記画像分析装置を介して各プレーヤが賭けるチップの位置、種類および枚数を把握し、各プレーヤの賭けた負けチップの回収および勝ちチップへの支払がゲームの勝敗結果に従って適正に行われたか否かを、前記画像分析装置を介してゲームの進行状態の映像を分析することにより判定する。
【0015】
さらに、上記の不正検知システムにおいて、画像分析装置もしくは制御装置は、遊技テーブル上に置かれた複数のチップが前記カメラの死角により一部もしくは一枚全体が隠れた状態となっていても、賭けられたチップの種類、枚数と位置の情報を得ることが可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。
【0016】
さらに、上記の不正検知システムにおいて、制御装置は、遊技テーブルのディーラのチップトレイにおける把握されているチップの額が、ゲームが終了して清算後に、各プレーヤの賭けた負けチップの回収および勝ちチップへの支払額に応じて増減したか否かを、ゲームの勝敗結果に従って比較計算可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。
【0017】
さらに、上記の不正検知システムにおいて、制御装置は、遊技テーブルの各プレー位置において賭けたチップの位置と額とを把握し、各ゲームの勝敗結果より得られる各プレーヤの勝敗履歴と得たチップの額を、過去のゲームの統計データと比較して特異な状況として抽出可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。
【0018】
さらに、上記の不正検知システムにおいて、制御装置は、ある遊技テーブルのプレー位置において、負けた時の賭けチップの額が、勝った時の賭けチップの額より少額である状態が過去のゲームの統計データと比較して特異な状況として抽出可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。
【0019】
さらに、上記の不正検知システムにおいて、制御装置は、前記画像分析装置を介して前記特異な状況として抽出されるか、もしくは所定額以上の勝ちを収めたプレー位置における個別のプレーヤの特定が可能な構造である。
【0020】
さらに、上記の不正検知システムにおいて、制御装置は、前記特定されたプレーヤが、離席して別の遊技テーブルに着いたとき、当該別の遊技テーブルに当該特定プレーヤの存在を知らせる警告機能を有する。
【0021】
上記種々の課題を解決するため、本願発明の複数の遊技テーブルを有する遊技場における不正検知システムは、
前記遊技テーブルで行われるゲームの進行状態をディーラおよびプレーヤを含めカメラを介して映像として記録するゲーム記録装置と、
前記遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を判定し表示するカード配布装置と、
前記記録されたゲームの進行状態の映像を画像分析する画像分析装置と、
前記画像分析装置による画像分析結果を用いて、前記遊技テーブルにおいてお札とチップを検知可能な制御装置と、を備え、
前記画像分析装置もしくは制御装置は、前記カード配布装置あるいは前記ディーラより得られる情報に基づいて、カードのディーリング中以外の状況において、前記遊技テーブルにおいてお札とチップとの交換が行われていることを検知可能であり、さらに前記お札がブラックライトにより検証された真正なお札の総額を認知し、さらに交換対象として遊技テーブル上に出された複数のチップが前記カメラの死角により一部もしくは一枚全体が隠れた状態となっていてもチップの総額を認知可能で、前記遊技テーブル上にプレーヤから出されたお札の総額と、ディーラから出されたチップの総額とを比較し、両者の額が一致するか否かを判定可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。
【0022】
さらに、不正検知システムであって、制御装置は、遊技テーブルのディーラのチップトレイにおける把握されているチップの額が、お札とチップとの交換が行われて清算した後に、交換したお札に対応したチップの支払額に応じて増減したか否かを、比較計算可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。
【0023】
さらに、不正検知システムであって、制御装置は、お札とチップとの交換が行われて清算した後に、当該ディーラの入力によるお札の入金額と、前記画像分析装置による画像分析結果によるお札の総額の一致不一致を比較計算可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。また、さらには、制御装置は、当該ディーラの担当する遊技テーブルにおける当該ディーラの入力によるお札の総トータル入金額と、前記画像分析装置による画像分析結果によるお札の総トータル額との一致不一致を比較計算可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。
【0024】
本実施の形態の不正検知システムによれば、バカラゲーム等においてしばしば行われるプレーヤによるカードのスクイーズによりカードが曲がってしまっても、画像分析でカードのランクとスートが判定でき、死角や重なったチップも総額が位置と共に把握することができる。またお札とチップの交換時の不正も検知することができる。
【0025】
本発明の第1の実施の形態の複数の遊技テーブルを有する遊技場における不正検知システムの全体の概要を以下にさらに詳細に説明する。
図1は同システムの全体の概要を示す図であって、複数の遊技テーブル4を有する遊技場における不正検知システムは、遊技テーブル4で行われるゲームの進行状態をプレーヤ6およびディーラ5を含め複数のカメラ2を介して映像として記録するゲーム記録装置11、および記録されたゲームの進行状態の映像を画像分析する画像分析装置12、さらに遊技テーブル4において各ゲームの勝敗結果を判定し表示するカード配布装置3を備える。カード配布装置3は、すでに当業者で使われているいわゆる電子シューであり、あらかじめゲームのルールがプログラムされており、配布されるカードCの情報を読み取って、ゲームの勝敗を判定することができる構造となっている。たとえばバカラゲームでは、バンカーの勝、プレーヤの勝、タイ(引き分け)が、基本的に2-3枚のカードのランクにより決定され、判定結果(勝敗結果)は結果表示ランプ13にて表示される。
【0026】
本不正検知システムは、さらに画像分析装置12による画像分析結果による実際のカードのランクと、カード配布装置3が判定する勝敗結果とを比較し、遊技テーブル4で行われる不正行為(配布されたカードのランク合計と勝敗結果の不一致など)を検知する制御装置14を備える。カード配布装置3は、ディーラ5により手動で配布されるカードCのランク(A,2~10,J,Q,K)とスート(ハート、スペードなど)を読取り可能な構造であって、制御装置14は、遊技テーブル4において配布された各カードの映像(カメラ2を使って撮影する)から画像分析装置12(人工知能を使用する)が得るランクとスートの情報と、カード配布装置3が読取ったカードとスートの情報とを照合して一致不一致を判定可能な構造となっている。本不正検知システムにおける画像分析装置12および制御装置14は、一体もしくは複数の構成からなるコンピュータおよびプログラム、メモリを複合的に備えた構造となっている。
【0027】
画像分析装置12および制御装置14は、遊技テーブル4において配布されプレーヤ6によって折曲げられもしくは汚れたカードCであっても、カードのランクの情報を得ることが可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造を有する。汚れたカードCは
図4に示すように、クラブとスペードの判別が困難な状況が出現する。このような場合でも、人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術を用いた画像の分析、判定により、スートの判別が可能となる。また、バカラゲーム等においてしばしば行われるプレーヤによるカードのスクイーズによりカードが曲がってしまっても、多数の画像の変形例の自己学習等を利用して、人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術により、変形前のカードが有していたスートやランクを認識可能となる。人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術は当業者ですでに既知で利用可能であるため、詳細な説明を略する。
【0028】
人工知能活用型もしくはディープラーニング構造を有する制御装置14は、カメラ2、画像分析装置12を介して各プレーヤ6がチップ9を賭けエリア8のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に賭けたか、かけたチップ9の種類(チップ9は色毎に異なる額の値が割り付けられている)および枚数を把握することが可能である。チップ9は、垂直方向に整列して積み重なる場合より、
図2Aに示すようにずれて重ねられる。この場合、
図2Aに示す矢印X方向にカメラ2が位置する場合(もしくは相対的にチップ9の向きが死角になる場合)、
図2Bのようにチップ9が見えない(死角に入る)ことが想定される。人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術においては、自己学習機能等を用いて、チップ9の死角による隠れ等(一枚のチップの一部が隠れる場合、あるいはチップ全体が隠れる場合)を認識して、正確に枚数等が把握される。このように、チップ9が賭けエリア8のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に賭けたか、かけたチップ9の種類(チップ9は色毎に異なる額の値が割り付けられている)および枚数を把握することが可能であるため、各ゲームにおいてカード配布装置3が判定するゲームの勝敗結果に従って、各プレーヤ6の賭けた負けチップの回収(矢印Lに示す)および勝ったプレーヤ6Wへの勝ちチップへの支払(9W)がゲームの勝敗結果に従って適正に行われたか否かを、制御装置14は、画像分析装置12を介してゲームの進行状態の映像を分析することにより判定する。
【0029】
制御装置14は、遊技テーブル4のディーラ5のチップトレイ17におけるチップ9の総額が画像分析装置12を用いて分析把握可能で、ゲームが終了して清算した後に、各プレーヤ6の賭けた負けチップ9の回収および勝ったプレーヤ6Wへの勝ちチップへの支払9Wの額に応じて、チップトレイ17内のチップ9の総額が増減したか否かを、ゲームの勝敗結果に従って比較計算可能である。チップトレイ17におけるチップ9の総額は、RFIDなどの手段で常に把握されていても、その増減額が正しいか、否かは、制御装置14が、画像分析装置12を介してゲームの進行状態の映像を分析することにより判定する。これらも人工知能活用型もしくはディープラーニング構造が活用される。
【0030】
この例では、ゲームの勝敗結果、どの種類のチップ9が賭けエリア8のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に何枚賭けたかの情報、及び負けチップの回収及び勝ちチップ9に対する償還が終わった後のチップトレイ17におけるチップ9の増減額に基づいて不正やミスを検知するので、ゲーム終了後のチップ9の動き、すなわち、賭けられていたチップ9がプレーヤ側に移動したか、ディーラ側に移動したかを把握しなくても、不正やミスを検知できる。
【0031】
ここで、ゲームの勝敗結果は、例えばバカラの場合には、カード配布装置3において、そのゲームで繰り出されたカードCのランクを読み取ることで、バカラのルールに従って判定することができる。また、ゲームの勝敗結果は、遊技テーブル4上をカメラ2で撮影して、その画像を画像分析装置12で分析し、制御装置14で分析結果をゲームのルールと照らし合わせることでも判定できる。この場合には、カメラ2と画像分析装置12と制御装置14とで勝敗結果判定装置が構成される。各プレー位置7のプレーヤ、どの種類のチップ9が賭けエリア8のいずれの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアー)に何枚賭けたかの情報は、賭けエリア8に置かれたチップ9をカメラ2で撮影し、画像分析装置12でプレー位置7毎にその画像を分析することで得られる。
【0032】
また、負けチップ9の回収及び勝ちチップ9に対する償還が行われる前後のチップトレイ17におけるチップ9の増減額は、負けチップ9の回収及び勝ちチップ9に対する償還をする前のチップトレイ17内のチップ9の総額と負けチップ9の回収及び勝ちチップ9に対する償還をした後のチップトレイ17内のチップ9の総額とを比較することで算出できる。負けチップ9の回収及び勝ちチップ9に対する償還をする前のチップトレイ17内のチップ9の総額、及び負けチップ9の回収及び勝ちチップ9に対する償還をした後のチップトレイ17内のチップ9の総額は、それぞれチップ9を収容したチップトレイ17をカメラ2で撮影し、画像分析装置12でその画像を分析することで検知可能である。また、チップ9内にその額を示すRFIDを埋め込むとともにチップトレイ17にRFIDリーダを設けることで、チップトレイ17に収容されているチップ9の総額を検出するようにしてもよい。
【0033】
例えば、ゲームの開始前にチップトレイ17のチップ9の総額がBbであり、ゲームが終了して負けチップの回収及び勝ちチップに対する償還が終わった後のチップトレイ17のチップ9の総額がBaであるとする。また、このゲームにおいて、プレーヤエリアに賭けられたチップ9の全プレー位置7の総額がbpであり、バンカーエリアに賭けられたチップ9の全プレー位置7の総額がbbであり、タイエリアに賭けられたチップ9の全プレー位置7の総額がbtであるとする。例えばこのゲームの勝敗結果がバンカーの勝ちである場合には、Ba-Bb=bp-bb+btが成立すべきである。あるいは、ゲーム終了後のチップトレイ17のチップ9の総額Baは(Bb+bp-bb+bt)であるべきである。そのようになっていない場合には、チップの回収又は償還において、不正又はミスがあったと判定することができる。
【0034】
図3Aは、本実施の形態のチップトレイの詳細を示す図あり、
図3Bはチップトレイの他の例を示す図である。チップトレイ17には、負けたプレーヤ6Lの賭けたチップ9Lを回収して一時保管する回収チップトレイ171と償還するチップ9Wを保管する償還チップトレイ172とが設けられている。画像分析装置12および制御装置14は、負けたプレーヤ6Lが賭けたチップ9Lの位置、種類および枚数を把握し、当該ゲームにおけるチップ0Lの増額分(当該回収チップトレイ171におけるチップ9のあるべき額)を計算する。さらに、画像分析装置12及び制御装置14は、回収した後のチップトレイ171におけるチップ9の現実の総額を把握し、あるべき総額と現実の総額とを比較して違いがあるか否かを判定する。
【0035】
また、勝ったプレーヤ6Wに対するチップ9Wの償還は償還チップトレイ172にあるチップ9を使用することで、画像分析装置12及び制御装置14が回収した後の回収チップトレイ171におけるチップ9の現実の総額を把握するのに十分な時間を確保することができる。
【0036】
遊技テーブル4は、ゲームで使用されたカードCを廃棄するための廃棄エリア41及び/又は廃棄スロット42を備える。ゲームが終了する度に当該ゲームで使用されたカードCは、回収され、遊技テーブル4上の廃棄エリア41もしくは廃棄スロット42に入れて廃棄される。
【0037】
遊技テーブル4は、さらにゲームの勝敗を示すマーカー43を備える。
図4Aは、マーカーの表を表す平面図であり、
図4Bはマーカーの裏を表す平面図である。バカラゲームでは、プレーヤの勝ちを示すマーカー43aとバンカーの勝ちを示すマーカー43bの2種類が使用され、ディーラ5は、ゲームの結果が出た際に、プレーヤもしくはバンカーのうち勝った方のマーカーをひっくり返す。これによりゲームの勝敗がテーブル上で分かりやすく示される。ひっくり返っているマーカーはチップ9の回収、償還終了後にディーラ5により元に戻される。マーカーを元に戻すことで、次ゲームが開始できる状態であることも意味される。
【0038】
以上のように、本実施の形態では、制御装置14は、ゲーム毎に遊技テーブル4上の賭けチップ額とゲームの勝敗結果からチップの収支を計算し、ゲーム後におけるチップトレイ17内のチップの残高の増額を検証する。制御装置14は、この検証において違いが検出されたら、アラームを発出するか、あるいはカメラ2で撮影されたビデオの記録にその旨の記録を追加する。カジノ運営者は、ビデオを確認することで違いの原因を追究することができる。
【0039】
本実施の形態の不正検知システムは、各ゲームの清算前のチップトレイ17におけるチップ9の総額から、当該ゲームですべてのプレーヤ6の賭けたチップ9の位置、種類および枚数と勝敗結果判定装置で得た当該ゲームの勝敗結果とから計算される当該ゲームにおけるチップの増減額を加減算し、当該ゲームの終了時の清算後のチップトレイ17におけるチップ9のあるべき総額と、画像分析装置12を介し得た当該ゲームの終了時のチップトレイ17におけるチップ9の現実の総額を比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定する。
【0040】
制御装置14は、画像分析装置12を介して各プレーヤが賭けるチップの位置、種類および枚数を把握し、各プレーヤの賭けた負けチップのすべての回収が終わったときに、チップトレイにおけるチップの現実の総額を把握し、各ゲームの清算前のチップトレイにおけるチップの総額から、負けたプレーヤの賭けたチップの位置、種類および枚数から当該ゲームにおけるチップトレイ17の増額を加算した当該チップトレイ17におけるチップ9のあるべき総額と、当該チップトレイ17におけるチップ9の現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定する。
【0041】
制御装置14は、各ゲームの清算前のチップトレイ17におけるチップ9の総額から、負けたプレーヤの賭けたチップ9の位置、種類および枚数から当該ゲームにおけるチップトレイ17の増額を加算した当該チップトレイ17におけるチップ9のあるべき総額と、当該チップトレイ17におけるチップ9の現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがないと判定し、かつ当該ゲームの終了時の精算後のチップトレイ17におけるあるべき総額と、画像分析装置12を介し得た当該ゲームの終了時のチップトレイ17におけるチップ9の現実の総額を比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあると判定した場合には、支払いの間違いと判定し、支払いの間違いを知らせる支払い誤りシグナルを発生させる。
【0042】
チップトレイ17には、負けたプレーヤの賭けたチップ9を回収して一時保管する回収チップトレイ171が設けられ、画像分析装置12は、負けたプレーヤの賭けたチップ9Lの位置、種類および枚数から計算される当該ゲームにおけるチップ9の増額を加算した回収チップトレイ171におけるチップ9のあるべき総額と、回収チップトレイ171におけるチップ9の現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否を判定する。
【0043】
制御装置14が遊技テーブル4のディーラ5のチップトレイ17における把握されているチップ9の現実の総額が、すべてのプレーヤの賭けたチップ額と当該ゲームの勝敗結果とから計算されるチップの増減額に対応していない違いを判定したときは、ゲーム記録装置11において上記の違いが生じたゲームの記録が分析可能となるように、ゲーム記録装置11は、取得した映像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップ9の回収シーンあるいは支払シーンを特定して再生できる。
【0044】
このように、制御装置14は、画像分析装置12を介してゲームの終了時の清算後にチップトレイ17におけるチップの総額を得るが、この場合の清算後の判断というのは、以下の1)~4)のいずれかが起こったときとする。
1)勝ちチップ9に対する償還が終了したとき、
2)当該ゲームで使用されたカードCが回収され、当該テーブルの廃棄エリア41もしくは廃棄スロット42に廃棄されるとき、
3)勝敗結果判定装置に付随する所定のボタンを押したとき、
4)勝敗を示すマーカー43を元に戻したとき。
【0045】
また、制御装置14は、遊技テーブル4の各プレー位置7において賭けたチップの位置(プレーヤか、バンカーか、ペアーに賭けた位置)と額(種類と枚数)を把握し、各ゲームの勝敗結果により得られる各プレーヤ6の勝敗履歴と得たチップの額(勝った額)を、過去の多数(ビッグデータ)のゲームの統計データと比較して特異な状況(カジノにより設定される)として抽出可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。典型的にはある額(100万ドル)以上の勝ち額の発生や、ある遊技テーブル4のプレー位置7において、負けた時の賭けチップの額が少なく、勝った時の賭けチップの額が多い状態が数ゲーム続き、それが過去のゲームの統計データ(ビッグデータ等)と比較して特異な状況としてこれを抽出可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造の制御装置14を備えるものである。
【0046】
さらに、本不正検知システムの制御装置14は(画像分析装置12と一体となって)特異な状況として抽出されるか、もしくは所定額以上の勝ちを収めたプレー位置7における個別のプレーヤ6の特定が可能な構造である。このようなプレーヤ6の特定は、画像分析装置12において、顔の画像を特徴点抽出等により得、アイデンティティ番号(ID等)を付して特定しておく。そして制御装置14は、特定されたプレーヤ6が、離席して別の遊技テーブルに着いたとき、当該別の遊技テーブルに当該特定プレーヤの存在を知らせる警告機能を有する。具体的には、各遊技テーブル4を管理するピットマネージャや各テーブル責任者(ディーラでもよい)に知らせて、更なる特異現象の防止を図る。
【0047】
制御装置14は、さらに、お札Kとチップ9の交換の履歴を残すデータベースを備え、一定時間または一日単位で、データベースを参照し、遊技テーブル4のディーラ5のチップトレイ17における把握されているチップ9の額が、交換したお札Kに対応したチップ9の支払額、または交換したチップ9に対応したお札Kの支払額の総額に応じて増減したか否かを比較し判定する。
【0048】
なお、上記の例において、個別のプレーヤ6を特定せずにプレー位置7ごとの勝敗履歴と得たチップの額(勝った額)を監視してもよい。この場合には、各プレーヤ6が離席した場合にそのプレーヤ6をトラッキングできないことになるが、1つの遊技テーブル4の特定のプレー位置7で負けた時の賭けチップの額が少なく、勝った時の賭けチップの額が多い状態が数ゲーム続く等の特異な状況を検知することができる。そして、そのようなプレー位置7が検出された場合には、そのプレー位置7において不正やミスがあった疑いがある。そして、そのプレー位置7を撮影したビデオを検証することで、不正やミスを発見することができる。
【0049】
具体的には、カメラ2は、少なくとも遊技テーブル4の賭けエリア8に置かれたチップ9を撮影するように設置される。画像分析装置12は、カメラ2によって撮影された画像を分析して、ユーザ位置7ごとに賭けエリア8のプレーヤ、バンカー、タイのいずれの位置にチップが置かれたか、及び置かれたチップの額を検知する。また、カード配布装置3は、勝敗結果判定装置としても機能し、ゲームの勝敗結果を判定する。制御装置14は、チップ9が置かれた賭けエリア8内の位置(プレーヤ、バンカー、又はタイ)及びゲームの勝敗結果に基づいて、プレー位置7ごとの勝敗履歴及び得たチップの額(チップ獲得額)を記録していく(監視する)。なお、勝敗履歴及びチップ獲得額は、そのいずれかのみが記録されてもよい。制御装置14は、この勝敗履歴及び/又はチップ獲得額の履歴が、過去の多数(ビッグデータ)のゲームの統計データと比較して特異な状況(カジノにより設定される)である場合に、このプレーヤ位置7を不正行為が疑われるプレー位置として特定する。
【0050】
あるプレーヤ位置7について不正行為が疑われた場合には、不正検知システムは、その時点で少なくともディーラが知覚できるようにアラーム(光や音や振動)を発生させてよい。これにより、少なくともその場でそれ以降のゲームを中断するなどして、不正行為の継続を阻止することができる。また、カメラ2によって撮影されて記録される映像に、不正行為が疑われたことを示す情報を付加するようにしてよい。これにより、ビデオを確認することで、不正行為の疑いの原因を究明できる。
【0051】
本実施の形態における遊技テーブルを有する遊技場における不正検知システムは、さらに遊技テーブル4においてしばしば行われるお札とチップとの交換時の検査を行う機能を備える。カジノ等の遊技場では、ゲームの前にプレーヤ6は、所定のチップ交換所で、お札(現金など)と遊技用のチップを交換する。しかし、プレーヤ6がチップを使い果たすと、遊技テーブル4から離席せずに、遊技テーブル(バカラテーブル等)上で、現金(お札)からチップ9の交換をしてゲームを続けることができる。しかし、ここにディーラ5とプレーヤとの間で不正が行われる機会が生じる。遊技テーブル(バカラテーブル等)上で、現金(お札)からチップ9の交換は、ゲームが進行していない時に行われる必要がある。カード配布装置3は、ゲームの勝敗を決定するために、カードのディーリング開始と、ディーリング終了(勝敗の決定時期)を検出することが可能である。このため、カード配布装置3において、カードの配布(ディーリング)以外の状況を検出し、制御装置14は、カードのディーリング中以外の状況において、遊技テーブル4においてお札とチップ9との交換が行われていることを検知する(
図6に示す)。カードのディーリング中(またはそれ以外の状況)は、カード配布装置3あるいはディーラ5の動作より得られる情報に基づいて検出できる。
【0052】
制御装置14は、お札Kの表面の画像分析を行いお札の枚数と額を認識可能である。さらに、遊技テーブル4では、チップ9との交換用のお札Kが真正なものか否かが、ブラックライトを照射することでお札の真正マークGを検出して行われる。
図6に示すように、制御装置14は、この真正マークGも画像分析して検証し、真正なお札の総額を認知し、さらに交換対象として遊技テーブル上に出された複数のチップがカメラ2の死角により隠れた状態となっていてもチップの総額を認知可能で、遊技テーブル4上にプレーヤから出されたお札Kの総額と、ディーラ5から出されたチップ9の総額とを比較し、両者の額が一致するか否かを判定可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造となっている。
【0053】
制御装置14は、遊技テーブル4のディーラ5のチップトレイ17におけるチップ9の総額が、お札とチップとの交換が行われて清算した後に、交換したお札に対応したチップの支払額に応じて増減したか否かを、比較計算可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。ディーラ5のチップトレイ17におけるチップ9の総額は、チップ9のRFID等によりあらかじめ常に把握されている場合も考えられる。また、チップ9を収容したチップトレイ17をカメラ2で撮影し、画像分析装置12でその画像を分析することでも、チップトレイ17に収容されたチップ9の総額を検知できる。
【0054】
また、制御装置14は、お札とチップとの交換の前後における、チップトレイ17内のチップ9の額の増減と遊技テーブル4上において画像分析結果のチップの交換額と一致するかを検証する。支払われたお札の額は、ディーラ5がキー入力等によって制御装置14に対して入力してもよいし、カメラ2によってお札の支払いが行われる遊技テーブル4上を撮影して、画像分析装置12でその画像を分析することで特定してもよい。
【0055】
上記のように、制御装置14は、お札とチップとの交換によるチップトレイ17からのチップ9の減額分が、プレーヤ6からディーラ5に支払われたお札の額と一致するか否かを判定する。さらに、制御装置14は、お札とチップとの交換が行われて清算した後に、ディーラ5によるお札の入金額(通常はキー入力等による)と、画像分析装置12による画像分析結果のお札の計算金額の一致不一致を比較計算可能な知能型制御装置であり、さらには人工知能活用型もしくはディープラーニング構造であってもよい。
【0056】
また、さらには、制御装置14は、当該ディーラの担当する遊技テーブル4における当該ディーラの入力によるお札の総入金額と、前記画像分析装置12による画像分析結果によるお札の総額との一致不一致を比較計算可能な人工知能活用型もしくはディープラーニング構造である。
【0057】
制御装置14は、遊技テーブル4のディーラ5のチップトレイ17における把握されているチップ9の額が、お札とチップ9との交換が行われた後に、交換したお札に対応したチップ9の支払額、または交換したチップ9に対応したお札の支払額に応じて増減したか否かを比較し判定する。
【0058】
(第2の実施の形態)
カジノなどの遊技場において行われる多くのテーブルゲームの中にはバカラやブラックジャックがある。これらのゲームは52枚のプレイングカードからなる標準的なデッキを使用し、あらかじめシャッフルされている複数のデッキ(6から9あるいは10デッキ)を備えるカード配布装置から遊技テーブル上にプレイングカードが配布され、配布されたカードの数(ランク)やゲームルールに基づき、勝敗が決定する。
【0059】
カード配布装置からのカードの配布や客(ゲーム参加人)への賭け金の精算は、遊技テーブルを担当しているディーラ等が行う。カジノなどの遊技場では、この客(ゲーム参加人)への賭け金の精算におけるミスや不正行為を防止する試みが行われている。
【0060】
国際公開WO2015/107902に記載のカードゲームモニタリングシステムでは、監視カメラを用いてチップの動きを読取り、勝者に賭け金が支払われているか否かチェックする。
【0061】
バカラやブラックジャックにおける、客による賭けやディーラによる客(ゲーム参加人)への賭け金の精算について、これらが行われているタイミングや、チップが誰によって置かれ、または取られたのかを検知することができず、そのためこれらが正しいかどうか把握できない、という課題が存在する。
【0062】
上記種々の課題を解決するため、第2の実施の形態の不正検知システムは、遊技テーブルを有する遊技場における不正検知システムであって、
遊技テーブルで行われるゲームの進行状況をカメラを用いてモニタリングするゲームモニタリング装置と、
前記カメラより得た映像を画像分析する画像分析装置と、
前記遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を判定し表示するカード配布装置と、
各ゲームにおいて前記画像分析装置の分析結果を用いて、ゲーム参加人が前記遊技テーブル上に置いたチップの位置を特定し、さらに前記勝敗結果を用いて、各ゲームの参加人のうちの勝者および敗者を判定する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、さらに
1)各ゲームにおいて、カードの引き出しが開始されてからもしくはディーラのゲーム開始操作からカード配布装置によりゲームの勝敗結果が表示される前の間に、チップの動きがないかどうか、
2)各ゲームの終了後、ディーラがゲーム参加人のうちの敗者が賭けていたチップを回収している間に、ディーラ以外の者によるチップの動きがないかどうか、
3)各ゲームの終了後、ディーラがゲーム参加人のうちの敗者が賭けていたチップを回収している間に、チップが追加されたかどうか、
4)各ゲームの終了後、ディーラがゲーム参加人のうちの勝者が賭けていたチップの位置に、支払いを行ったかどうか、
5)各ゲームの終了後、ゲーム参加人のうちの勝者が、賭けていたチップおよび支払われたチップを取ったかどうか、
の少なくとも1つを判定する機能と、を備える。
【0063】
さらに、前記制御装置は、前記画像分析装置の分析結果を用いて、ディーラおよびゲーム参加人の手の動き、チップの動き、または前記手の動きとチップの動きを検知することによって、前記1)から5)の少なくとも1つを判定するように構成されていてもよい。
【0064】
さらに、前記制御装置は、ディーラにより勝者に支払われたチップの額が、ゲーム参加人のうちの勝者が賭けていた額に基づき正しいか否かを判定するように構成されていてもよい。
【0065】
さらに、前記ゲームの不正検知システムは、前記判定結果を受けて警告または表示を行うモニタまたはランプをさらに備えていてもよい。
【0066】
本実施の形態の不正検知システムによれば、バカラやブラックジャックにおける、客による賭けやディーラによる客(ゲーム参加人)への賭け金の精算について、これらが行われるタイミングや、チップが誰によって置かれ、または取られたのかを検知することができ、これらのミスや不正行為を検知して警告または表示し、再発防止につなげることができる。
【0067】
本実施の形態の詳細な説明に入る前に、カジノなどの遊技場において行われるバカラゲームの流れについて、説明する。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同様の構成については同じ番号を付して説明する。
【0068】
図7に示すとおり、遊技テーブル4において、ディーラ5と向かい合うように客(ゲーム参加人/プレーヤ)6がプレー位置(椅子)7に着席する。そして客(ゲーム参加人)6は、バカラゲームの勝敗結果として、プレーヤ(PLAYER)とバンカー(BANKER)のどちらが勝利するか、または引き分け(TIE)となるかを、目の前の賭けエリア8にチップ9を配置することにより賭ける(以下、これを「賭け」とする)。そしてディーラ5は、客(ゲーム参加人)6による賭けを終了させるためタイミングを計り“No
More Bet(賭けの受付終了)”とコールし、手を横方向に動かす等を行う(
図7に示す状態)。バカラゲームでは、“No More Bet(賭けの受付終了)”とコールされ、カードの引き出しが開始されてからもしくはディーラ5がゲーム開始の操作をしてから、カード配布装置3によりゲームの勝敗結果が表示される前の間は、客(ゲーム参加人)6はチップを動かしたり、追加のチップを賭けたり、一度賭けたチップを取り戻すことはできない。
【0069】
その後、カード配布装置3からプレイングカード1を1枚ずつ裏面が上向きの状態で遊技テーブル4に引き出す。まずは4枚引き出し、
図8の丸囲み1~4に示すとおり、1枚目のカードはプレーヤ(PLAYER)、2枚目のカードはバンカー(BANKER)、3枚目のカードはプレーヤ(PLAYER)、4枚目のカードはバンカー(BANKER)の手となり、遊技テーブル4上のディーラ5から見た手前のエリア10(プレーヤエリア10Pとバンカーエリア10B)に振り分けて配置される。そして1から4枚目のカード1のランク(数)と、バカラゲームの詳細なルールにおける条件に基づいて、ディーラ5により5枚目のカード1、さらに6枚目のカード1が引き出され、これらはプレーヤ(PLAYER)またはバンカー(BANKER)の手となる。そして、1から4枚目の(場合によって5枚目、6枚目も合わせた)カード1のランク(数)と、バカラゲームの詳細なルールにもとづいて、ゲームの勝敗が判定される。ここで、前記カード配布装置3には、あらかじめゲームのルールがプログラムされており、配布されるカード1の情報(ランク(数)やスート)を読み取って、ゲームの勝敗を判定することができる構造となっている。カード配布装置3により判定された勝敗判定結果(勝敗結果)は、上記のとおりディーラ等により判定された勝敗結果と一致しているか否か判定される。
【0070】
以下に、本発明の実施の形態の遊技場でのゲームにおける不正検知システムの全体の概要を説明する。
図7は同システムの全体の概要を示す図であって、遊技場でのゲームにおける不正検知システムは、遊技テーブル4で行われるゲームの進行状態を客(ゲーム参加人)6およびディーラ5を含めカメラ2を介して映像として記録するゲーム記録装置11、および記録されたゲームの進行状態の映像を画像分析する画像分析装置12、さらに遊技テーブル4において各ゲームの勝敗結果を判定し表示する機能を有するカード配布装置3を備える。カード配布装置3は、すでに当業者で使われている、いわゆる電子シューであり、あらかじめゲームのルールがプログラムされており、カード1がディーラ5により各ゲームの始めに配布されるタイミングを検知するとともに、配布される各カード1の情報(ランク(数)やスート)を読み取って、ゲームの勝敗を判定することができる構造となっている。たとえばバカラゲームでは、バンカーの勝、プレーヤの勝、タイ(引き分け)が、基本的にそれぞれ2-3枚のカードのランクにより決定され、判定結果(勝敗結果)は表示ランプ13にて表示される。
【0071】
本不正検知システムの制御装置14は、毎ゲームにおいて画像分析装置12の分析結果を用いて、客6(ゲーム参加人)が遊技テーブル4上のプレーヤ側もしくはバンカー側どちらの賭けエリア8にチップ9を賭けたかを特定するチップ検知機能を備えている。チップ9の位置と総額(プレーヤ側もしくはバンカー側どちらの賭けエリア8にチップ9が賭けられたか)は、チップ9がずれて重なったり、カメラ2の位置からは死角になる場合など、通常では読み取れないことが想定される。制御装置14は、既存の人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術による、自己学習機能等を用いて、チップ9の死角による隠れ等(一枚のチップの一部が隠れる場合、あるいはチップ全体が隠れる場合)を認識して、正確に位置と枚数等を把握可能なように構成されている。さらに、チップ9の賭けエリア8における位置および種類を検知する構造はこれに限定されず、例えばチップに埋め込まれたIDを読取って検知するように構成されていてもよい。
【0072】
制御装置14は、以上に説明したようにカメラ2、画像分析装置12を介して各プレーヤ6が賭けるチップ9の位置(プレーヤか、バンカーか、ペアーに賭けた位置)、種類(チップ9は色毎に異なる額の値が割り付けられている)および枚数を把握することが可能であり、プレーヤに賭けをしたのはどの客6か(プレーヤに賭けをした客6が複数いる場合は、一番高額を賭けたのはどの客6か)、バンカーに賭けをしたのはどの客6か(バンカーに賭けをした客6が複数いる場合は、一番高額を賭けたのはどの客6か)を、検知することができる。本不正検知システムにおける画像分析装置12および制御装置14は、一体もしくは複数の構成からなるコンピュータおよびプログラム、メモリを複合的に備えた構造となっている。
【0073】
制御装置14は、遊技テーブル4において配布された各カード1の映像(カメラ2を使って)から画像分析装置12が得るランクとスートの情報と、カード配布装置3が読取ったランクとスートの情報とを照合して一致不一致を判定可能な構造となっている。各ゲームにおいてカード配布装置3が判定するゲームの勝敗結果に従って、客(ゲーム参加人)6の賭けた負けチップ9の回収および勝った客(ゲーム参加人)6への勝ちチップへの支払がゲームの勝敗結果に従って適正に行われたか否かを、制御装置14は、画像分析装置12を介してゲームの進行状態の映像を分析することにより判定する。
【0074】
制御装置14は、本願発明の特徴的な機能として、バカラゲームのルールに従い、以下の1)から5)に示す機能を有しルールに反する不正が行われていないか否かを判定する。すなわち、
1)各ゲームにおいて、カード配布装置3から得られるカードの引き出しが開始される信号から、もしくはディーラ5が開始ボタン4sを押すことによるゲーム開始操作から、カード配布装置3によりゲームの勝敗結果が表示される前の間に、チップ9の動きがないかどうかを、カメラ2を使って画像分析装置12が得る情報により監視する(
図8に示す)。
2)各ゲームの終了後、ディーラ5がゲーム参加人6のうちの敗者が賭けていたチップ9を回収している間(
図9に示す)に、敗者6がチップ9を不正に取っていないかどうかを、カメラ2を使って画像分析装置12が得る情報により監視する。
3)各ゲームの終了後、ディーラ5がゲーム参加人のうちの敗者が賭けていたチップ9を回収している間に、ディーラ5以外の者(勝者もしくは敗者)が勝ちチップ9Wを追加したり、賭けていない勝側に新たにチップ9を置き直していないかどうかを、カメラ2を使って画像分析装置12が得る情報により監視する。
4)各ゲームの終了後、ディーラ5がゲーム参加人6のうちの勝者が賭けていたチップ9の位置に、正しく支払いのチップ9Wを置いたかどうか(
図10に示す)を、カメラ2を使って画像分析装置12が得る情報により監視する。
5)各ゲームの終了後(ディーラ5がカード配布装置3を操作して勝敗結果を表示ランプ13に表示させる)、ゲーム参加人6のうちの勝者6Wが、賭けていたチップ9および支払われたチップ9Wを取ったかどうか(
図11に示す)を、カメラ2を使って画像分析装置12が得る情報により監視する。
【0075】
制御装置14は、カメラ2を使って画像分析装置12が得る情報の分析を以下のように行う。すなわち、画像分析装置12の分析結果を用いて、ディーラ5およびゲーム参加人6の手の動き、チップの動き、または前記手の動きとチップの動きを検知することによって、前記1)から5)の監視をするが、その基本となる分析においては、チップ9が誰に取られたかを知ることが少なくとも必要となる。以下にその分析の方法について、以下
図12から14を使って説明する。
【0076】
ゲーム参加人6Lの賭けたチップ9をディーラ5が取ったことの分析(
図12)。
ゲームで負けたゲーム参加人6Lの賭けたチップ9は、ディーラ5が回収する。これが確実に回収されたか否かを、カメラ2を使って画像分析装置12が得る情報を分析して監視する。まず、賭けられたチップ9が存在する状態(
図12A)から存在しない状態(
図12C)の変化を画像分析により検出する。そしてチップ9が存在する状態から存在しない状態の間の画像(
図12B)を分析する。チップ9が存在する状態から存在しない状態の間の画像(
図12B)において、手5hがどちらから伸びているか(
図12の上方からかそれ以外か)を分析し、上方から伸びている(あるいは上方から手が出現して、また上方へ退出する手の動き)場合はその手5hをディーラ5のものと判定し、それ以外の方向から手が伸びたときは不正と判定する、というルールをもとにして不正を検出する。
【0077】
ゲームで負けたゲーム参加人6Lの賭けたチップ9をディーラ5が回収している間に、他の者が負けたチップ9を不正に取らないかどうかを監視する(
図12及び11)。チップ9が存在する状態から存在しない状態の間の画像において、
図13に示すように、ゲーム参加人6のうちの敗者6L等が取ったことの分析は、手6hが
図13の下方から(本来は上方から)伸びもしくは移動することを画像分析により検出して、これをディーラ5以外の手6h等がチップ9を取るということであると判定し、これを不正があったと判定する。
【0078】
勝チップ9に対してディーラ5が正しくチップ9Wを支払い(置き)、それをゲーム参加人6のうちの勝者6Wが取ったことの分析。まず
図14Aに示す勝チップに対して、
図14Bに示すようにゲームのルールに従いチップ9Wが償還される。
図14Aに示す図の状態から
図14Bに示す状態の変化を検出し、同時に手がディーラ5の手5hかどうかを画像分析により検出する。この後、
図14Cに示すように今度は同じ賭けエリアにゲーム参加人6のうちの勝者6Wの手6hが伸び(移動し)て、その後チップ9がすべて無くなるかどうか(
図14Dの状態)を画像分析結果から、ゲームのルールに従い制御装置4が検査し不正がなかったか否かを判定する。
【0079】
さらに、制御装置4は、ディーラ5により勝者に支払われたチップの額が、ゲーム参加人6のうちの勝者6Wが賭けていた額にもとづき正しいか否かを判定するように構成されている。以下に具体例を示す。チップ9の位置と総額(プレーヤ側もしくはバンカー側どちらの賭けエリア8にチップ9が賭けられたか)は、チップ9がずれて重なったり、カメラ2の位置からは死角になる場合など、通常では読み取れないことが想定される。制御装置14は、既存の人工知能活用型のコンピュータもしくは制御システム、ディープラーニング(構造)技術による、自己学習機能等を用いて、チップ9の死角による隠れ等(一枚のチップの一部が隠れる場合、あるいはチップ全体が隠れる場合)を認識して、正確に位置と枚数等を把握可能なように構成されている。さらに、チップ9の賭けエリア8における位置8および種類を検知する構造はこれに限定されず、例えばチップに埋め込まれたIDを読取って検知するように構成されていてもよい。
【0080】
制御装置14は、以上に説明したようにカメラ2、画像分析装置12を介して各プレーヤ6が賭けるチップ9の位置8(プレーヤか、バンカーか、ペアーに賭けた位置)、種類(チップ9は色毎に異なる額の値が割り付けられている)および枚数を把握することが可能であり、プレーヤに賭けをしたのはどの客6か(プレーヤに賭けをした客6が複数いる場合は、一番高額を賭けたのはどの客6か)、バンカーに賭けをしたのはどの客6か(バンカーに賭けをした客6が複数いる場合は、一番高額を賭けたのはどの客6か)を、検知することができる。
【0081】
さらに、本ゲームの不正検知システムの制御装置14は、バカラゲームのルールに従い、以上のような手法で、カメラ2を使って画像分析装置12が得る情報を分析して監視する。前述の1)から5)に示す監視を行い、ルールに反する不正が行われていないか否かを判定する。不正検知時には、カード配布検知装置14Cは、カード配布装置3もしくは遊技テーブル4の両方にそれぞれ設けた異常表示ランプ16を点灯させ、カジノ管理部門等に不正の検知を無線・有線で出力15する。判定結果を受けて警告または表示を行うモニタまたはランプをさらに別の場所に備えていてもよい。
【0082】
以上のように不正な行為は、制御装置14により検知され、検知された時点または適切なタイミングで、カード配布装置3の表示ランプ13や異常表示ランプ16や異常表示ランプ16に表示信号を出すが、警告を行うほか、不正または誤りが検知された時点以降にカード配布装置3が有するカードの配布を阻止する機能を作動させて、カード1の配布を阻止してもよい。
【0083】
以下に、本発明のテーブルゲームシステムに使用する、カード配布装置3の一実施形態について、
図15から
図19を用いて説明する。カード配布装置3は複数枚のシャッフルプレイングカード1sを収容するカード収容部102と、ディーラ5等によりカード収容部102からシャッフルプレイングカード1を手動で1枚ずつ遊技テーブル4に向けて引き出される際に、シャッフルプレイングカード1を案内するカードガイド部105と、カードガイド部105より案内されたカード1を取り出すための開口部106と、シャッフルプレイングカード1が引き出される際に、シャッフルプレイングカード1が引き出されたことを検知するカード検知部(カード検知センサ22および23)と、シャッフルプレイングカード1の少なくとも数(ランク)を表す情報を読み取るカード読取部108と、カード読取部108により順次読み取られるシャッフルプレイングカード1の数(ランク)に基づいて、カードゲームの勝敗を判定する制御部109と、制御部109により判定された勝敗結果を表示する結果表示ランプ13と、開口部106に設けられ前記カード収納部102からのカード1の出入りを制限する配布制限装置30と、制御装置14と同等の機能を有する管理制御部114と、を含み、これらは一体化されており、制御装置14によりゲームにおけるディーラのミスや不正行為が検知された場合、検知された時点以降のまたは所定のタイミングで、カード配布装置3から更にカードが引き出されることを阻止する機能を有している。
【0084】
次に、カード収納部102からのカード1の出入を制限する配布制限装置30について
図17、16を用いて説明する。配布制限装置30は、カード収納部102の前方の開口106から1枚ずつ取り出されるカード1を遊技テーブル4の上に案内するカードガイド部105のカードガイド107に設けられている。配布制限装置30は、カード1がカードガイド部105とカードガイド107のガイドカバーとの間のスロット33を通過する際にロック部材34がカード1を押圧してスロット33内のカード1の出入を阻止する構造を備えている。ロック部材34は、電磁ソレノイドや圧電素子などの駆動部35により、カード1を押圧する位置(制限位置)と、カード1の通過を可能にする通過可能位置との2つの状態を取り得るように矢印mに示すように移動する。駆動部35は、制御装置14と有線または無線で直接または間接的に接続された制御部109により制御され、ロック部材34をカード1を押圧する位置と、カード1の通過を可能にする通過可能位置との2つの状態に移動させる。制御部109にはバカラゲームのルールが予めプログラムされ記憶されている。
【0085】
次に、配布制限装置30の変形例について、
図18Bにより説明する。変形例における、配布制限装置40は、カード1がカードガイド部105とカードガイド107(ガイドカバー)との間のスロット33を通過する際にロック部材36がスロット33内に突出してカード1の移動を阻止する構造を備えている。ロック部材36は、電磁ソレノイドや圧電素子などの駆動部37により、カード1の移動を阻止する位置(制限位置)と、カード1の通過を可能にする通過可能位置との2つの状態を取り得るように矢印mに示すように移動する。駆動部37は、制御装置14と接続された制御部109により制御され、ロック部材36をカード1の移動を阻止する位置と、カード1の通過を可能にする通過可能位置との2つの状態に移動させる。
【0086】
次に、カード収容部102からカード1が手動で引出される際にカード1の数字(数、ランク)を表すコード52をカード1から読み取るコード読取部108の詳細について説明する。
図17は、カード配布装置3の要部平面図である。図において、コード読取部108はカード収納部102の前方の開口106から1枚ずつ手動で取出されるカード1を遊技テーブル4の上に案内するカードガイド部105に設けられている。カードガイド部105は、傾斜面であり、両側の縁部には、センサカバーを兼ねたカードガイド107が取り付けられている。また、2本のカードガイド107の各々は、ねじ等(図示せず)で取り付け着脱可能となっている。カードガイド107を取り外すと、コード読取部108のセンサ群115が露出する。センサ群115は、4つのセンサからなり、2つの紫外線反応センサ(UVセンサ)20,21と、対象物検出センサ22,23とで構成される。
【0087】
対象物検出センサ22,23は、カード1の有無を検知する光ファイバ式のセンサでありカード1の動きを検出することができる。対象物検出センサ22は、カードガイド部105の、カード1の流れ方向に沿った上流側に位置し、もう一方の対象物検出センサ23は下流側に位置している。図に示すように、両対象物検出センサ22,23は、UVセンサ20,21を挟んで上流側と下流側に設けられている。UVセンサ20,21は、紫外線を発するLED(紫外LED)と検知器を備えている。カード1には、紫外線が当たると発色する紫外線発光インクでもって、コード52のマークMが印刷されており、紫外線(ブラックライト)がカード1に照射され、カード1のコード52のマークMの反射光が検知器で検知される。UVセンサ20,21は、ケーブルを介してコード読取部108と制御部109に接続されている。コード読取部108では、UVセンサ20,21の検知器の出力信号から、マークMの組み合わせが判定され各コード52に対応する数(ランク)が判定される。
【0088】
コード読取部108は、対象物検出センサ22、23の検出信号に基づいて、UVセンサ20、21の読取の開始と終了が制御部109により制御される。また、制御部109は、カード1が正常にカードガイド部105を通過したか否かも、対象物検出センサ22、23の検出信号に基づいて判定する。
図19に示すように、カードのランク(数)およびスート(ハートやスペードなど)を表す四角形のマークMがカード1の縁に2列、4行で配列されている。UVセンサ20,21は、マークMを検知すると、オン信号を出力する。コード読取部108では、2つのUVセンサ20,21から入力される両信号の相対関係を判定する。これにより、コード読取部108は、2つのUVセンサ20,21で検知された2つのマークMの相対的な相違等によりコードを特定し、対応するカード1の数(ランク)と種類(スート)を特定する。
【0089】
コード52と2つのUVセンサ20,21のオン信号の出力との関係を
図19に示す。UVセンサ20,21のオン信号の出力の相対変化の比較結果に基づいて、マークMの所定の組み合わせが特定できる。結果として、上下2列のマークMの組み合わせとして4種、これを4列印刷すると、4種の4乗で256種のコードが構成可能となる。トランプカードの52種のカードを256種のコードのどれかにそれぞれ割り当てて、これを対照表としてメモリあるいはプログラムで記憶おき、コード読取部108は、各コード52を特定することで、あらかじめ定めた対照表(図示せず)からカード1の数(ランク)と種類(スート)が特定される構成としている。また、256種のコードは、52種のカードに自由な組み合わせで対応付けて対照表により記憶することできるので、組み合わせを複雑にでき、時間や場所により256種のコードと52種のカードの組み合わせを変えることが出来る。コードは、紫外光を受けることにより可視化される塗料で印刷され、カードの種類表記やインデックス103と重ならない位置に印刷されていることが望ましい。
【0090】
なお、上記の実施の形態では、画像分析装置12や制御装置14が人工知能活用型もしくはディープラーニング構造を有する装置であったが、画像分析装置12や制御装置14は、具体的には、スケールが不変の特徴変換(SIFT;Scale-Invariant Feature Transform)アルゴリズム、畳み込みニューラルネットワーク(CNN;Convolutional Neutral Network)、深層学習(deep learning)、機械学習(machine learning)、又は同様のものを用いて画像の分析や上記の各種の制御を行ってよい。これらの技術は、撮像画像に対して画像認識を行って画像内に含まれる対象を認識する技術であって、特に、近年は、ニューラルネットワークを多層化したディープラーニング技術を利用して高い精度で対象を認識することが行われている。このディープラーニング技術は、一般的にはニューラルネットワークの入力層と出力層との間の中間層において複数段階に亘って層を重ねることにより高い精度で対象を認識する。このディープラーニング技術において、特に、畳み込みニューラルネットワークが、従来の画像特徴量に基づいて対象を認識するよりも高い性能を有することで注目されている。
【0091】
畳み込みニューラルネットワークでは、ラベルが付与された認識対象画像を学習し、認識対象画像に含まれる主な対象を認識する。学習画像内に主な対象が複数存在する場合には、領域矩形で指定して、当該指定された領域に対応した画像にラベルを付与して学習を行う。さらに、畳み込みニューラルネットワークにおいて、画像内の主な対象および当該対象の位置を判定することも可能である。
【0092】
畳み込みニューラルネットワークについてさらに説明すると、対象の認識プロセスは、認識対象画像に対してエッジ抽出処理等を実施することにより局所的な特徴に基づいて候補領域を抽出すると共に、候補領域を畳み込みニューラルネットワークに入力して特徴ベクトルを抽出した上で分類を行い、分類された最も確信度が高い候補領域を認識結果として得る。確信度とは、ある画像領域とラベルとともに学習された画像の主体の類似度が、他のクラスの類似度より相対的にどの程度高いかを示す量である。
【0093】
なお、人工知能活用型もしくはディープラーニング構造を有する装置については、米国特許9361577号、米国特許公開公報2016-171336号、米国公開公報2015-036920号、日本特許公開公報2016-110232号等に記載されており、これらの記載は参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
以上、本発明の各種の実施の形態を説明したが、上述の実施の形態は、本発明の範囲内で当業者により変形可能なことはもちろんであり、適用されるゲームでの必要に応じて、本実施の形態の装置が適当に変形されてよい。
【0095】
以上の第1及び第2の実施の形態によって以下の発明が開示される。
【0096】
(1)複数の遊技テーブルを有する遊技場における不正検知システムであって、
前記遊技テーブルで行われるゲームの状態をカメラにより映像として記録するゲーム記録装置と、
前記記録されたゲームの状態の映像を画像分析する画像分析装置と、
前記遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を判定する勝敗結果判定装置と、
前記画像分析装置による画像分析結果と前記勝敗結果判定装置が判定する勝敗結果とを用いて、前記遊技テーブルで行われる不正行為を検知する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記画像分析装置を介して各プレーヤが賭けるチップの位置、種類および枚数を把握するとともに、遊技テーブルのディーラのチップトレイにおけるチップの総額を把握し、
各ゲームの清算前のチップトレイにおけるチップの総額から、当該ゲームですべてのプレーヤの賭けたチップの位置、種類および枚数と当該勝敗結果判定装置で得た当該ゲームの勝敗結果とから計算される当該ゲームにおけるチップの増減額を加減算し、当該ゲームの終了時の清算後の前記チップトレイにおけるチップのあるべき総額と、前記画像分析装置を介し得た当該ゲームの終了時の当該チップトレイにおけるチップの現実の総額を比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定する、不正検知システム。
【0097】
(2)(1)の不正検知システムであって、
前記制御装置は、前記画像分析装置を介して各プレーヤが賭けるチップの位置、種類および枚数を把握し、各プレーヤの賭けた負けチップのすべての回収が終わったときに、チップトレイにおけるチップの現実の総額を把握し、各ゲームの清算前のチップトレイにおけるチップの総額から、負けたプレーヤの賭けたチップの位置、種類および枚数から当該ゲームにおけるチップトレイの増額を加算した当該チップトレイにおけるチップのあるべき総額と、当該チップトレイにおけるチップの現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定する、不正検知システム。
【0098】
(3)(2)の不正検知システムであって、
前記制御装置は、各ゲームの清算前のチップトレイにおけるチップの総額から、負けたプレーヤの賭けたチップの位置、種類および枚数から当該ゲームにおけるチップトレイの増額を加算した当該チップトレイにおけるチップのあるべき総額と、当該チップトレイにおけるチップの現実の総額とを比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがないと判定し、かつ当該ゲームの終了時の精算後の前記チップトレイにおけるあるべき総額と、前記画像分析装置を介し得た当該ゲームの終了時の当該チップトレイにおけるチップの現実の総額を比較し、あるべき総額と現実の総額との間に違いがあると判定した場合には、支払いの間違いと判定し、支払いの間違いを知らせる支払い誤りシグナルを発生させる、不正検知システム。
【0099】
(4)(2)の不正検知システムであって、
前記チップトレイには、負けたプレーヤの賭けたチップを回収して一時保管する回収チップトレイが設けられ、前記画像分析装置及び前記制御装置は、負けたプレーヤの賭けたチップの位置、種類および枚数から計算される当該回収チップトレイにおけるチップのあるべき額と、当該回収チップトレイにおけるチップの現実の総額とを比較し、回収チップトレイにおけるあるべき総額と現実の総額との間に違いがあるか否かを判定する、不正検知システム。
【0100】
(5)(1)の不正検知システムであって、
前記画像分析装置を介してゲームの終了時の清算後にチップトレイにおけるチップの現実の総額を得るのは、
1)勝ちチップに対する償還が終了したとき、
2)当該ゲームで使用されたカードが回収され、当該テーブルの廃棄エリアに廃棄されるとき、
3)前記勝敗結果判定装置に付随する所定のボタンを押したとき、
4)勝敗を示すマーカーを元に戻したとき、
のいずれかである、不正検知システム。
【0101】
(6)(1)~(3)のいずれかの不正検知システムであって、
遊技テーブルのディーラのチップトレイにおける把握されているチップの現実の総額が、すべてのプレーヤの賭けたチップ額と当該ゲームの勝敗結果とから計算されるチップの増減額に対応していない違いを前記制御装置が判定した時、前記ゲーム記録装置において前記違いが生じたゲームの記録が分析可能となるように、前記ゲーム記録装置は、取得した映像にインデックスもしくは時刻を付与するか、もしくはチップの回収シーンあるいは支払シーンを特定して再生できる構成である、不正検知システム。
【0102】
(7)(1)~(3)のいずれかの不正検知システムであって、
前記画像分析装置もしくは制御装置は、遊技テーブル上に置かれた複数のチップが前記カメラの死角により一部もしくは一枚全体が隠れた状態となっていても、賭けられたチップの種類、枚数と位置の情報を得ることが可能な構造である、不正検知システム。
【0103】
(8)(1)の不正検知システムであって、
前記制御装置は、
1)遊技テーブルの各プレー位置において賭けたチップの位置と種類と枚数とを把握し、各ゲームの勝敗結果より得られる各プレーヤの勝敗履歴と得たチップの額を、過去のゲームの統計データと比較して特異な状況として抽出するか、または
2)遊技テーブルのプレー位置において、負けた時の賭けチップの額が、勝った時の賭けチップの額より少額である状態が過去のゲームの統計データと比較して特異な状況として抽出する、
ことが可能な構造である、不正検知システム。
【0104】
(9)(1)~(3)のいずれかの不正検知システムであって、
前記制御装置は、遊技テーブルのディーラのチップトレイにおける把握されているチップの額が、お札とチップとの交換が行われた後に、交換したお札に対応したチップの支払額、または交換したチップに対応したお札の支払額に応じて増減したか否かを、比較判定可能な、不正検知システム。
【0105】
(10)(9)の不正検知システムであって、
前記制御装置はさらにお札とチップの交換の履歴を残すデータベースを備え、一定時間または一日単位で、前記データベースを参照し、遊技テーブルのディーラのチップトレイにおける把握されているチップの額が、交換したお札に対応したチップの支払額、または交換したチップに対応したお札の支払額の総額に応じて増減したか否かを、比較判定可能な、不正検知システム。
【0106】
(11)(1)~(8)のいずれかの不正検知システムであって、
前記制御装置は、前記画像分析装置を介して前記違いまたは特異な状況として抽出されたプレー位置のプレーヤの特定が可能な、不正検知システム。
【0107】
(12)(11)の不正検知システムであって、
前記制御装置は、前記特定されたプレーヤが、離席して別の遊技テーブルに着いたとき、当該別の遊技テーブルに当該特定プレーヤの存在を知らせる警告機能を有する、不正検知システム。
【0108】
(13)(1)~(3)のいずれかの不正検知システムであって、
前記制御装置は、さらに
1)各ゲームにおいて、カードの引き出しが開始されてからもしくはディーラのゲーム開始操作からカード配布装置によりゲームの勝敗結果が表示される前の間に、チップの動きがないかどうか、
2)各ゲームの終了後、ディーラがゲーム参加人のうちの敗者が賭けていたチップを回収している間に、前記敗者がチップを取っていないかどうか、
3)各ゲームの終了後、ディーラがゲーム参加人のうちの敗者が賭けていたチップを回収している間に、チップの追加がされたかどうか、
4)各ゲームの終了後、ディーラがゲーム参加人のうちの勝者が賭けていたチップの位置に、支払いを行ったかどうか、
5)各ゲームの終了後、ゲーム参加人のうちの勝者が、賭けていたチップおよび支払われたチップを取ったかどうか、
の少なくとも1つを判定する機能を備えた、不正検知システム。
【0109】
(14)(1)~(3)のいずれかの不正検知システムであって、
前記勝敗結果判定装置は、遊技テーブルにおいてカードを配布するカード配布装置であるか、または遊技テーブルにおいて配布されたカードをカメラで読取る前記画像分析装置の情報から各ゲームの勝敗結果を判定する制御装置である、不正検知システム。
【0110】
(第3の実施の形態)
カジノ施設(遊技場)におけるカジノ運営者の真の「売上」はプレイヤによってベッティングされた(賭けられた)チップの総額である。また、この売上から払い出した額を差し引いた額がカジノ運営者の利益(粗利益)となる。しかしながら、現状のカジノでは、この売上や利益が管理できていない。また、テーブルごと、ピットごとの売上や利益の推移についても詳細に把握できていない。
【0111】
そこで、本実施の形態では、カジノ全体の売上若しくは利益、又はテーブルごと若しくはピットごとの利益若しくは利益を把握することを目的とする。
【0112】
上記目的を達成するために、本実施の形態の一態様は、カジノ施設の複数のテーブルで行われるカジノゲームを管理するゲーム管理システムであって、
ベットされた遊技用代用貨幣を撮影して画像を得るカメラと、
前記画像における前記遊技用代用貨幣の位置に基づいてベット対象を特定し、前記画像における前記遊技用代用貨幣の種類及び枚数に基づいてベット額を特定する情報処理装置と、
前記カジノゲームのゲーム結果を判定するゲーム結果判定装置と、
前記ベット対象、前記ベット額、及び前記ゲーム結果に基づいて、前記複数のテーブルのテーブルごと、かつゲームごとに、カジノ運営者の利益を算出する算出装置と、
前記利益を記録する記録装置と、
を備えた、ゲーム管理システムである。
【0113】
前記ゲーム結果判定装置は、トランプカードを収容する収容部と、前記収容部からトランプカードを1枚ずつ取り出すための取出機構と、前記取出機構によって取り出される前記トランプカードの内容を検出する検出部と、前記検出部にて検出されたトランプカードの内容に基づいて、バカラゲームのルールに従って、前記バカラゲームのゲーム結果を判定する判定部とを含む電子シューであってよい。
【0114】
また、本実施の形態の他の態様は、カジノ施設で行われるカジノゲームを管理するゲーム管理システムであって、
前記カジノゲームのベット対象及びベット額を含むベット内容を検知するベット検知手段と、
前記カジノゲームのゲーム結果を判定するゲーム結果判定手段と、
前記ベット内容と前記ゲーム結果とに基づいて、カジノ運営者の利益を算出する算出手段と、
を備えた、ゲーム管理システムである。
【0115】
前記ベット検出手段は、前記カジノゲームを撮影して画像を得る撮影手段と、前記画像に基づいて前記ベット内容を特定する情報処理手段とを備えていてもよい。
【0116】
前記情報処理手段は、前記画像における遊技用代用貨幣の位置、種類、及び枚数に基づいて、前記ベット内容を特定してもよい。
【0117】
前記情報処理手段は、機械学習モデルを用いた画像認識によって、前記画像に基づいて前記ベット内容を特定してもよい。
【0118】
前記カジノゲームはトランプカードを用いたゲームであり、
前記ゲーム結果判定手段は、
前記トランプカードを収容する収容部と、前記収容部からトランプカードを1枚ずつ取り出すための取出機構と、前記取出機構によって取り出される前記トランプカードの内容を検出する検出部とを含む電子シューと、
前記検出部にて検出されたトランプカードの内容に基づいて、前記カジノゲームのルールに従って、前記カジノゲームのゲーム結果を判定する判定手段と、
を備えていてもよい。
【0119】
ディーラの遊技用代用貨幣の総額を検知するディーラ額検知手段をさらに備え、
前記算出手段は、さらに、前記総額にも基づいて、前記利益を算出してもよい。
【0120】
前記遊技用代用貨幣には、少なくともその価値を特定可能な情報を記憶したRFタグが内蔵されていてよく、
前記ディーラ額検知手段は、前記RFタグを読み取るRFリーダを含んでいてもよい。
【0121】
前記ベット検知手段は、1ゲームごとに前記ベット内容を検知してよく、
前記ゲーム結果判定手段は、1ゲームごとに前記ゲーム結果を判定してよく、
前記算出手段は、同一のゲームの前記ベット内容と前記ゲーム結果とに基づいて、1ゲームごとに利益を算出してよい。
【0122】
ゲームごとの前記利益を示す表を作成する表作成手段をさらに備えていてよい。
【0123】
前記カジノ施設は、前記カジノゲームを行う複数のテーブルを備えていてよく、
前記ベット検知手段及び前記ゲーム結果判定手段は、前記テーブルごとに設けられていてよく、
前記算出手段は、前記複数のテーブルについて、テーブルごとに前記利益を算出してよい。
【0124】
テーブルごとの前記利益を示す表を作成する表作成手段をさらに備えていてよい。
【0125】
前記算出手段は、さらに、前記ベット内容に基づいてベット総額を算出してよい。
【0126】
前記算出手段は、さらに、前記利益と前記ベット総額に基づいて、利益率を算出してよい。
【0127】
所定の閾値以下である前記利益率について警報を生成する警報手段をさらに備えていてよい。
【0128】
所定の閾値以上である前記利益率について警報を生成する警報手段をさらに備えていてよい。
【0129】
本実施の形態のさらに他の態様は、カジノ施設の複数のテーブルで行われるカジノゲームを管理するゲーム管理システムであって、
ベットされた遊技用代用貨幣を撮影して画像を得るカメラと、
前記画像における前記遊技用代用貨幣の種類及び枚数に基づいてベット額を特定する情報処理装置と、
前記複数のテーブルについてテーブルごとにベット総額を算出する算出装置と、
前記テーブルごとのベット総額を記録する記録装置と、
を備えた、ゲーム管理システムである。
【0130】
本実施の形態のさらに他の態様は、カジノ施設のテーブルで行われるカジノゲームを管理するゲーム管理システムであって、
ベットされた遊技用代用貨幣を撮影して画像を得るカメラと、
前記画像における前記遊技用代用貨幣の種類及び枚数に基づいてベット額を特定する情報処理装置と、
ゲームごとにベット総額を算出する算出装置と、
ゲームごとのベット総額の推移を記録する記録装置と、
を備えた、ゲーム管理システムである。
【0131】
本実施の形態のゲーム管理システムは、上記の構成によって、カジノ施設の全体又はその一部(テーブル)ごとに売上(ベット総額)や利益を把握することができる。
【0132】
以下、図面を参照して本実施の形態のゲーム管理システムを説明する。
図20は、本実施の形態のゲーム管理システム100を導入したカジノ施設の概略図である。
図20に示すように、カジノ施設には、複数の遊技テーブル4が設置され、各遊技テーブル4においてカジノゲームが行われる。遊技テーブル4は、一方側がディーラが位置するディーラサイドとされ、他方側がプレイヤが位置するプレイヤサイドとされる。
図20の例では、各遊技テーブル4の上側がプレイヤサイドであり、下側がディーラサイドである。
【0133】
遊技テーブル4上では、チップ9を用いて賭け(ベット)が行われる。プレイヤは各ゲームにおいて、自分が賭ける(ベットする)種類及び枚数のチップ9を遊技テーブル4上のベット対象に対応する領域に置くことで、ベットをする。
【0134】
遊技用代用貨幣(以下、「チップ」という。)9は、表面及び側面のデザインが種類ごとに異なっており、表面及び側面のいずれか一方を観察することで、種類を特定できる。本実施の形態では、チップ9には、その種類ごとに異なる価値(例えば、1000ドル、100ドル、10ドル等)が付与されている。よって、種類を特定することによってそのチップ9の価値が特定される。
【0135】
チップ9には、少なくともその種類を特定可能な情報が記録されたRFタグが内蔵されている。RFタグに記録される情報(RFタグ情報)は、そのチップ9の種類を示す情報が含まれていてもよいし、あるいは当該チップ9を唯一に特定する識別情報が含まれていてもよい。RFタグ情報が識別情報である場合には、当該識別情報に対応する種類の情報が記憶されたデータベースが用意され、当該テータベースを参照することでチップ9から読み取った識別情報に対応する種類を特定することができる。本実施の形態では、チップ9のRFタグには種類を示す情報及び識別情報が何れも記録されており、種類を示す情報によってその価値を特定可能である。
【0136】
遊技テーブル4のディーラサイドには、チップトレイ17が設けられる。チップトレイ17にはディーラのチップ9が収容される。チップトレイ17の内部ないし外側には、チップ9に内蔵されたRFタグのRFタグ情報を読み取るためのアンテナ173が設置される。アンテナ173は、チップトレイ17に収容されたチップ9のRFタグから電波を受信する。
【0137】
遊技テーブル4には、勝敗判定装置としても機能するカード配布装置3が置かれて用いられる。カード配布装置3の構成は、第1又は第2の実施の形態のカード配布装置3と同じであるための、その詳細な説明は省略する。本実施の形態では、カード配布装置3は、バカラゲームのルールに従って、1ゲームごとに、プレイヤの勝ち、バンカの勝ち、タイのいずれかの勝敗結果を判定する。すなわち、カード配布装置3は、
図15~
図19に示したように、トランプカード1sを収容するカード収容部102と、カード収容部102からトランプカード1sを1枚ずつ取り出すための取出機構を構成するカードガイド部105及び開口部106と、取出機構によって取り出されるトランプカード1の内容を検出する検出部を構成するカード検知センサ22、23及びカード読取部108と、カード読取部108にて検出されたトランプカードの内容に基づいて、バカラゲームのルールに従って、バカラゲームのゲーム結果を判定する判定部としての制御部109とを含む電子シューである。
【0138】
各遊技テーブル4には、カメラ2が設置される。カメラ2は、上方に延びるポールの先端に取り付けられ、遊技テーブル4の高所に設けられる。カメラ2は、遊技テーブル4のベットエリア(プレイヤがベットするためにチップ9を置く領域)、カード配布装置3、及びチップトレイ17を少なくとも含む範囲を撮影可能なように、その撮影方向及び画角が設定されている。カメラ2は、ベットされたチップを撮影して画像を得る。
【0139】
なお、
図20の例では、各遊技テーブル4に1つのカメラ2が設置されているが、各遊技テーブル4に、それぞれ設置位置、撮影方向、又は画角の少なくともいずれかが異なる複数のカメラ2が設置され、異なる範囲を撮影するようにしてよい。例えば、ベットエリアを撮影するカメラ2とチップトレイ17を撮影するカメラ2とが別々に設けられてもよく、あるいは、設置高さが異なり、かつ撮影方向が異なる複数のカメラで同じベットエリアを撮影するようにしてもよい。
【0140】
各遊技テーブル4にはさらに、制御装置14が設けられる。制御装置14は、当該遊技テーブル4のカメラ2(カメラ2が複数ある場合には複数のカメラ2)、カード配布装置3、及びRFアンテナ173と接続されている。制御装置14は、情報処理装置として、複数の機能を有している。
【0141】
まず、制御装置14は、アンテナ173にて受信した電波に基づいて、チップトレイ17に収容されたすべてのチップ9の種類を特定して、チップトレイ17に収容されたチップ9の総額を算出し、記録するRFリーダとしての機能を有する。また、制御装置14は、カード配布装置3から各ゲームの勝敗結果を受信して記録する機能を有する。さらに、制御装置14は、カメラ2から撮影画像を取得して、撮影画像に対して機械学習モデルを用いた画像認識を行い、第1及び第2の実施の形態と同様にして、ベット内容、即ち、どのプレイヤがどのベット対象にいくらのベット額を賭けたかを認識する画像認識装置としての機能を有する。機械学習モデルはディープラーニング構造のニューラルネットワークであってよい。具体的には、制御装置14は、撮影画像におけるチップ9の位置に基づいてプレイヤ及びベット対象を特定し、撮影画像におけるチップ9の種類及び枚数に基づいてベット額を特定する。
【0142】
このように各遊技テーブル4では、ゲームごとに、制御装置14が、アンテナ173を用いてチップトレイ17に収容されたチップ9の総額(以下、「ディーラ額」ともいう。)を把握し、カード配布装置3を用いてゲームの勝敗結果(以下、「ゲーム結果」ともいう。)を把握し、カメラ2からの画像を用いて、ベット内容を把握する。これらの情報(チップトレイ総額、ゲーム結果、及びベット内容)に基づいて、各ゲームにおけるカジノ運営者の売上及び利益を算出することができる。
【0143】
ゲーム管理システム100は、複数の遊技テーブル4の制御装置14に接続された管理装置50を備えている。管理装置50は、汎用のコンピュータによって構成される。管理装置50は、演算装置51と記録装置52とを備えている。演算装置51は、例えば汎用のプロセッサが本実施の形態のコンピュータプログラムを実行することで実現される。演算装置51は、算出部511、表作成部512、及び警報部513を備えている。
【0144】
算出部51は、複数の制御装置14から、ゲームごとのディーラ額、ゲーム結果、及びベット内容の情報を取得し、遊技テーブル4ごとの売上、利益(粗利)、及び利益率(粗利率)を算出する。表作成部512は、算出部511にて算出された売上及び利益をテーブルごとに時系列に並べた表及びグラフを作成する。
【0145】
なお、算出部511は、各遊技テーブル4のプレイヤの位置ごとに売上、利益、利益率を算出し、表作成部512も各遊技テーブル4のプレイヤの位置ごとに売上、利益、利益率を時系列に並べた表及びグラフを作成してよい。また、ゲーム管理システム100がプレイヤを認識する手段を有する場合には、プレイヤごとに、プレイヤのベットによる売上及びプレイヤから得た利益を算出して表及びグラフを作成してよい。
【0146】
記録装置52は、算出部511で算出された売上、利益、利益率を表作成部512に作成された表やグラフの形式で記録する。
【0147】
具体的には、算出部511は、複数の遊技テーブル4ごと、かつゲームごとに、ベット額の総額(売上)を算出し、ベット対象、ベット額、及びゲーム結果に基づいて、どのベット対象にいくらの回収又は償還を行うかを求め、カジノ運営者の利益を算出する。算出部511は、また、複数の遊技テーブル4ごと、かつゲームごとに、テーブルゲーム前後のディーラ額の差分を求めることで、カジノ運営者の利益を算出する。前者の利益はいわば理論値であり、後者の利益はいわば実績値であり、これらは一致しているべきである。算出部511は、理論値と実績値とが一致しているかを判断し、一致してる場合にその利益を採用し、一致していない場合にその旨の警告をするようにしてよい。
【0148】
算出部511は、さらに、複数のテーブル4ごと、かつゲームごとに、ベット額の総額(売上)を算出する。また、算出部511は、所定期間ないし所定ゲーム数の売上と利益(粗利)とに基づいて利益率(粗利率)(=利益/売上)を算出する。
【0149】
また、算出部511は、遊技テーブル4ごとに売上(ベット総額)、利益額を把握し、エリアごとに遊技テーブル4の利益額に対して異なる税率を適用してカジノ施設が支払うべき税金を算出することができる。算出部511は、例えば、VIPエリアでは利益額の10%を支払い、Massエリアでは利益額の20%を支払うというように異なる税率を設定することができる。さらに、この場合、カジノ施設が支払う税金の税率が低いVIPエリアにカジノ客を誘導するために、カジノ施設はVIPエリアのサービスを充実させたり、特別なゲームルールを適用したりすることができる。
【0150】
また、算出部511は、売上(ベット総額)、利益額、利益率について、過去(例えば昨日、昨年など)との比較を行うことができる。
【0151】
表作成部512は、算出部511で算出された売上、利益、利益率を集計して、各種の表及びグラフを作成する。
図21は、表作成部512にて作成される遊技テーブル4ごとの売上(ベット額の総額)を示す表の例である。表作成部512は、
図21に示すように、遊技テーブル4ごとに、ベットされた各種類のチップ9の枚数を示す表を作成する。各チップ9の枚数は、例えば、0時から翌日の0時までのように、所定時間ごとに集計した枚数であってよい。カジノ施設が24時間営業でない場合には、1日の営業時間ごとに集計した枚数であってもよい。さらには、作成時を基準として過去の所定時間内の集計結果であってもよい。この表はさらに、各遊技テーブル4におけるチップ総額(売上)も含まれる。この表によって、同じ時間帯の売上を遊技テーブルごとに比較することができ、当該時間帯におけるカジノ施設全体の総売上を知ることができる。
【0152】
図22は、表作成部512にて作成される各遊技テーブル4におけるゲームごとの売上を示す表の例である。
図22は、テーブル1について売り上げを示す表である。表作成部512は、
図22に示すように、ゲームごとに、ベットされた各種のチップ9の枚数を示す表を作成する。表作成部512は、一定期間(例えば、24時間又は1営業日)で区切って1つの表を作成してよいし、所定のゲーム数(例えば、80ゲーム)ごとに表を作成してもよい。また、表作成部512は、表作成時点での過去の所定時間内又は所定ゲーム数の表を作成してもよい。
【0153】
図23は、表作成部512にて作成される遊技テーブル4ごとのベット額の総額(売上)、利益(粗利)、及び利益率を示す表の例である。表作成部512は、
図23に示すように、遊技テーブル4ごとに、ベット額の総額(売上)(Total Bet Amount)と、利益(粗利)(Gross Profit)と、利益率(粗利率)(=利益/売上)(Profit Ratio)を示す表を作成する。表作成部512は、一定期間(例えば、24時間、1週間、1ヶ月等)で区切って1つの表を作成してよいし、所定のゲーム数(例えば100ゲーム、1000ゲーム等)ごとに表を作成してもよい。また、表作成部512は、表作成時点での過去の所定時間内又は所定ゲーム数の表を作成してもよい。
【0154】
図24は、表作成部512にて作成される各遊技用テーブル4における利益の推移を示す折れ線グラフの例であり、
図25は、カジノ施設全体の利益の推移を示すグラフの例である。
図24及び
図25の例では、カジノ施設が午前8時から翌午前6時まで営業している場合において、1営業日における利益の推移を示している。
図24や
図25のようなグラフによって、利益の推移を理解しやすくなり、カジノ施設の経営分析が可能になる。また、
図24のようにテーブルごとの利益の推移を表すことで、利益の推移が特異なテーブルを発見しやすくなる。
【0155】
図26は、表作成部512にて作成される遊技テーブル4ごとの利益率を示す棒グラフの例である。この棒グラフにより、各遊技テーブル4において得た利益の多少が一目瞭然となる。
【0156】
なお、上記の例では、算出部511及び表作成部512は、遊技テーブル4ごとに売上、利益、利益率を算出して表やグラフを作成したが、これに代えて、あるいはこれに加えて、複数の遊技テーブル4が集まったピットごとに売上、利益、利益率を算出して表やグラフを作成してもよい。
【0157】
算出部512は、ゲームごとのディーラ額、ゲーム結果、及びベット内容の情報を取得するごとに、売上、利益、利益率を算出してよく、表作成部512が表を作成するタイミングで売上、利益、利益率を算出してよい。
【0158】
表作成部512は、表やグラフが対象とする期間ごとに表を作成してもよい。例えば、表作成部512が各遊技テーブル4の1日(24時間)の売上の推移を示すグラフを作成する場合には、24時間ごとに(データがそろい次第)自動で作成してよい。あるいは、表作成部512は、表やグラフが対象とする期間と無関係に、手動で指示されたタイミングで表やグラフを作成してよい。あるいは、表作成部512は、表やグラフが対象とする期間よりも短いインターバルで自動で表やグラフを作成してよい。例えば、6時間ごとに過去24時間の集計を行って表やグラフを作成してよい。
【0159】
警報部513は、算出部511が算出した売上、利益、利益率と、表作成部512の集計に基づいて、特異な状況が生じていることを判断して、警報を生成する。例えば、警報部513は、算出部511が算出した利益率又は表作成部512が集計した所定の期間又は所定ゲーム数における利益率を所定の第1の閾値と比較し、第1の閾値以下であるときに警報を生成してよく、算出部511が算出した利益率又は表作成部512が集計した所定の期間又は所定ゲーム数における利益率を所定の第2の閾値と比較し、第2の閾値以上であるときに警報を生成してよい。警報部513は、また、利益、売上を所定の閾値を比較することで警報を生成してもよい。
【0160】
警報部513は、売上や利益についてより複雑な分析を行って特異な状況を発見してもよい。例えば、表作成部512が作成した表又はグラフにおける利益率の推移に基づいて警報を生成してよい。この場合に、機械学習モデルを利用して特異な状況を判定してもよい。この機械学習モデルは、表作成部512の集計で得られた利益率の推移を入力として、特異である確率を出力するモデルであってよく、警報部513は、その確率が所定の閾値以下である場合に特異な状況であると判断して警報を生成してよい。
【0161】
警報は、表作成部512にて作成された表やグラフにおいて特異であると判断された要素に印を付ける手段によって実現されてよく、これに加えて、そのような特異な状況が生じた場合に、画像、音声、警報装置(ランプ、ブザー等)の駆動信号等を生成して出力することで実現されてもよい。
図23の例では、利益率が0%を下回っているテーブル3について、網掛けをすることによって警報が実現されている。
【0162】
図20に示すように、各遊技テーブル4のディーラサイドには、メンバ登録をしたプレイヤが所持するメンバーズカードに対して読取り及び書込みを行うためのリーダライタ70が設けられる。
図27は、リーダライタ及びメンバーズカードを示す図である。メンバーズカード1Mは、プラスチック製のカードであり、その内部には、RFタグ11Mが内蔵されている。RFタグ11Mには、メンバ登録によってプレイヤ(メンバ)に付与されたメンバID及び当該プレイヤが保有しているポイント(保有ポイント)等が記憶されている。RFタグ11Mには、アンテナが備えられており、リーダライタ70によって非接触で情報の書込み及び読出しが可能である。
【0163】
リーダライタ70は、無線部71と、着席ボタン72と、離席ボタン73と、ポジション指定ボタン74とを備えている。無線部71は、メンバーズカード1Mに内蔵されたRFタグ11Mに対してRFID方式で情報の書込み及び読出しを行う。ポジション指定ボタン74は、遊技テーブル4の7つのポジションにそれぞれ対応するボタン「1」「2」「3」「5」「6」「7」「8」と、指定をキャンセルするボタン「C」とを含む。
【0164】
図28は、メンバーズカード1Mに記憶される情報を示す図である。メンバーズカード1Mには、メンバID、保有ポイント、直近の収支、直近3日の獲得ポイント、直近1ヶ月の獲得ポイント、及び直近1年の獲得ポイントが記録されている。直近の収支としては、前回の着席から離席までの間に払い出された額(プラス)と回収された額(マイナス)の合計の値が記録される。
【0165】
ディーラDは、プレイヤPが遊技テーブル4のプレイヤポジションに着くと、当該プレイヤPからメンバーズカード1Mを預かって、メンバーズカード1Mをリーダライタ70に読み取らせる。具体的には、ディーラDは、該当するプレイヤポジションのポジション指定ボタン74を押下して、着席ボタン72を押下し、無線部71にメンバーズカード1Mをかざしてメンバーズカード1Mに記録された情報を読み取らせる。これによって、リーダライタ70は、各プレイヤポジションにいるプレイヤPをメンバIDで特定することができ、リーダライタ70はプレイヤ特定手段として機能する。
【0166】
リーダライタ70は、無線部71で読み取った情報と、着席ボタン72の押下に応じた着席信号と、そのメンバIDに対応するプレイヤが着席したプレイヤポジションの情報を制御装置14に出力(送信)する。制御装置14は、リーダライタ70から受けた情報を記録するとともに、着席信号を受けた時刻を開始時間として記録する。開始時間は日時の形式で記録される。また、制御装置14は、開始時間の情報とリーダライタ70から受けたメンバIDを管理装置50に送信する。
【0167】
制御装置14では、リーダライタ70から受けたメンバIDとプレイヤポジションの情報を基に、どのプレイヤポジションでどのメンバIDのプレイヤPがプレイをしているかを把握する。すなわち、制御装置14は、遊技テーブル4の各プレイヤポジションと遊技テーブル4における特定のプレイヤPとを関連付けることができる。プレイヤPが複数回のゲームをプレイしている間は、制御装置14は、各メンバIDについて、ベット額、払出額、回収額を求めて記録していく。
【0168】
ディーラDは、プレイヤPが遊技テーブル4から離れる際には、当該プレイヤPから預かったメンバーズカード1Mをリーダライタ70に読み取らせる。この場合には、ディーラDは、離席ボタン73を押下して、無線部71にメンバーズカード1Mをかざしてメンバーズカード1MからメンバIDを読み取らせる。
【0169】
リーダライタ70は、メンバIDと離席信号を制御装置14に出力(送信)する。制御装置14は、リーダライタ70から受けたメンバIDと離席信号を受けると、離席信号を受けた時刻を終了時間として記録する。終了時間は、日時の形式で記録される。また、制御装置14は、そのメンバIDについての開始時間から終了時間までの累積のベット額及び累積の収支を求める。さらに、制御装置14は、開始時間から終了時間までの累積のベット額に基づいて獲得ポイントを算出する。
【0170】
制御装置14は、着席時にメンバーズカード1Mから読み出した保有ポイントに算出した獲得ポイントを加算して保有ポイントを更新する。また、算出した獲得ポイントに基づいて、直近3日の獲得ポイント、直近1ヶ月の獲得ポイント、直近1年の獲得ポイントをすべて更新する。制御装置14は、更新された保有ポイント、直近3日の獲得ポイント、直近1ヶ月の獲得ポイント、直近1年の獲得ポイント、開始時間から終了時間までの累積の収支をリーダライタ70に出力する。リーダライタ70は、これらの情報でメンバーズカード1Mの情報を書き換える。なお、開始時間から終了時間までの累積の収支は、直近の収支として記録される。
【0171】
制御装置14及びリーダライタ70の上記の機能により、メンバーズカード1Mには、実際のベット額に応じたポイントを付与することが可能となり、また、プレイヤPは、保有ポイントをメンバーズカード1Mに記憶しておくことができる。
【0172】
<ディスプレイ15>
ディスプレイ15(
図37参照)は、液晶ディスプレイである。なおディスプレイ15は、ランプを2次元配置したものであってもよい。ディスプレイ15は、プレイヤポジションにいるプレイヤPやその周辺にいる客から視認可能な位置及び向きに設置されている。
【0173】
ディスプレイ15は、各種の情報を表示する。例えば、遊技テーブル4がクローズしている場合には、そのことを示す表示(例えば、「CLOSED」の文字)を表示し、遊技テーブル4がオープンしている場合には最低賭け額(ミニマムベット額)(例えば「MIN.$100」の文字)及び最高賭け額(マキシマムベット額)(例えば「MAX.$100,000」の文字)等のゲーム条件を表示する。
【0174】
<チップトレイ17>
図29は、ディーラチップトレイの平面図である。チップトレイ17には、縦向きの複数の溝が横に並んで設けられている。各溝は、ディーラD側が若干低くなるように傾けて形成されている。これにより、溝に収容されたチップ9は、自重によってディーラDの手前側に移動し、よって、ディーラDの手前側から順に積み重ねられる。
【0175】
右側の2本の溝は、清算時に負けプレイヤPから回収したチップ9を一時的に収容するための回収フロート171であり、その他は価値別にチップ9を収容するための収容フロート172である。ディーラDは、遊技テーブル4から回収したチップ9をいったん回収フロート171に収容し、その後、勝ちプレイヤPに対して収容フロート172からチップ9を払い出して、最後に回収フロート171に収容しておいたチップ9を価値ごとに該当する収容フロート172に収容する。
【0176】
チップトレイ17の上辺には、ベット確認ランプ173、回収確認ランプ174、及び払出確認ランプ175の3つの確認ランプが設けられている。ベット確認ランプ173は、ゲーム開始時とゲーム終了時との間にベットされたチップ9に変動(レイトベッティング又はアンベッティング)がなかったかを確認した結果に応じて点灯する。回収確認ランプ174は、回収額及び回収したチップ9が真正である否かの確認結果に応じて点灯する。払出確認ランプ175は、払出額が正しいが否かの確認結果に応じて点灯する。
【0177】
チップトレイ17の内部にはチップ9に内蔵されたRFIDタグを読み取るためのRFIDリーダ176が設けられている。このRFIDリーダ176によって、回収フロート171及び収容フロート172を含むすべての溝に収容されたチップ9のRFIDタグを読み取ることができる。上述のように、各チップ9のRFIDタグには当該チップ9の価値を示す情報が記録されているので、RFIDリーダ176がチップトレイ17内のすべてのチップ9のRFIDタグを読み取ることで、チップトレイ17内のチップ9の総額を把握することができる。
【0178】
なお、RFIDリーダ176は、回収フロート171に収容されたチップ9のRFIDタグと収容フロート172に収容されたチップ9のRFIDタグとを読み分けることができる。すなわち、RFID176は、RFIDタグを読み取ったときに、それが回収フロート171に収容されたチップ9のものであるか、収容フロート172に収容されたチップ9のものであるかを区別できる。なお、このような読み分けを行うために、RFIDリーダ176は、回収フロート171に収容されたチップ9のRFIDタグを読み取るためのアンテナと、収容フロート172に収容されたチップ9のRFIDタグを読み取るためのアンテナとをそれぞれ別々に備えていてもよく、あるいは、溝ごとにアンテナを備えていてもよい。
【0179】
図30は、ディーラチップトレイの回収フロートの拡大斜視図である。回収フロート171において収容するチップ9の側面に沿って曲面に形成された部分には、回収フロート171の長さ方向に沿ってスリット177が形成されている。このスリット177には、ライン状の光学センサ(ラインセンサ)178が設けられている。この光学センサ178によって、回収フロート171のどの高さまでチップ9が収容されているか、あるいは、何枚のチップ9が収容されているかを把握することができる。なお、同様のスリット及び光学センサが収容フロート172にも設けられていてよい。また、溝に一続きのスリットを形成して、裏側からカメラ(例えば赤外線カメラ)でスリットを撮像し、得られた画像に対して認識処理を行うことで、当該溝に収容されたチップ9の枚数を把握するようにしてもよい。
【0180】
図31は、ディーラチップトレイの構成を示すブロック図である。チップトレイ17は、上記で説明した構成に加えて、確認部179を備えている。確認部179は、コンピュータによって構成され、所定のプログラムを実行することで、ベット情報把握確認部1791、回収確認部1792、真贋判定部1793、及び払出確認部1794が構成される。確認部179には、制御装置14から各種のデータ及び指令が入力される。
【0181】
また、確認部179は、ベット確認ランプ173、回収確認ランプ174、払出確認ランプ175と接続されており、これらのランプを制御する。具体的には、確認部179は、ベット確認ランプ173、回収確認ランプ174、払出確認ランプ175を点灯、点滅、消灯を制御し、また、その発光色を制御する。確認部179の動作については後述する。
【0182】
<ゲームごとの不正検知>
以上のとおり、制御装置14には、不正やミス(以下単に「不正」という。)を検知するための情報が、カメラ2、カード配布装置3、チップトレイ17からそれぞれ入力される。以下では、ゲームごとに不正を検知する方法について説明する。
【0183】
図32は、本実施の形態のテーブルゲームの管理のフロー図である。本実施の形態の不正検知は、ゲーム結果の把握・確認(ステップS121)、チップ9のベット情報の把握・確認(ステップS122)、チップ9の回収の確認及び真贋判定(ステップS123)、チップ9の払出しの確認(ステップS124)の4つの段階に分けられる。
【0184】
このうちのチップ9のベット情報の把握・確認(ステップS122)、チップ9の回収の確認及び真贋判定(ステップS123)、及びチップ9の払出しの確認(ステップS124)は、それぞれ、チップトレイ17の確認部179のベット情報把握確認部1791、回収確認部1792、真贋判定部1793、及び払出確認部1794によって実行される。
【0185】
制御装置14には、モニタが接続されており、チップ9のベット情報の把握・確認(ステップS122)、チップ9の回収の確認及び真贋判定(ステップS123)、チップ9の払出しの確認(ステップS124)については、確認のための画面がモニタに表示される。モニタは、制御装置14と接続されて、バックヤードに設置され、監視員によって目視確認される。なお、モニタは、バックヤードに加えて、又はバックヤードに代えて、遊技テーブル4に設置されてもよい。
【0186】
図33は、4段階の不正検知における各構成要素の役割を示すフロー図である。最左の列は遊技テーブル4におけるゲームの進行及びディーラのオペレーションのフローである。
図33のフローにおいて、カード配布装置3、カメラ2、チップトレイ17、及び制御装置14の間の連携は、制御装置14の制御によって行われる。
【0187】
まず、ディーラDの指示によりプレイヤPによるベットが開始される(ステップS01)。プレイヤPは各々ベットエリアにチップ9を置くことでベットを行う。すべてのプレイヤPのベットが終了すると、ディーラDは「ノーモアベット」の合図をし(ステップS02)、それ以降は、プレイヤPはベット対象及びベット額を変更することが許されない。
【0188】
ベットが終了すると、ディーラDは、カード配布装置3から最初のカードをドローする(ステップS03)。カード配布装置3は、前回のゲームのスタンバイボタン133が押下されて以降、最初にカードのドローを検知したときに、最初のカードのドローであると検知し(ステップS31)、打刻部40が打刻をしてその時刻を記録部41に記録し、制御装置14に報告する。
【0189】
制御装置14は、カメラ2を制御してベットエリアを撮影させる(ステップS21)。カメラ2は撮影した画像を制御装置14に送信し、制御装置14は、この画像に対して画像認識を行ってゲーム開始時のベット情報を認識する(ステップS501)。また、制御装置14は、チップトレイ17を制御して、RFIDリーダ176によってチップトレイ17内のすべてのチップ9を読み取って、チップトレイ17内のすべてのチップ9の総額を確認する(ステップS171)。
【0190】
なお、カメラ2は所定の時間間隔で常にベットエリアを撮影して制御装置14に画像を送信してもよく、この場合には、制御装置14は、カード配布装置3から最初のカードのドローを検知したことの報告を受けた後に最初にカメラ2から取得した画像について画像認識を行ってゲーム開始時のベット情報を認識してよい。ここで、ベット情報とは、どのプレイヤがどのベット対象(PLAYER、BANKER、TIE、PLAYER PAIR、BANKER PAIR)にどの価値のチップ9を何枚ベットしたかを示す情報である。制御装置14は、このゲーム開始時のベット情報を記憶しておく。
【0191】
ディーラDが順にカードをドローしていき、最後のカードをドローして(ステップS04)、プレイヤPによるスクイーズを経てすべてのカードがオープンになると(ステップS05)、遊技テーブル4上でゲーム結果が確定する。なお、上述のように、ディーラDが順にカードをドローしていくときに、カード配布装置3は、ドローされるカードのランクとスートを読み取っている。
【0192】
ディーラDは、すべてのカードがオープンになると、カード配布装置3のスタンバイボタン133を押下する(ステップS06)。カード配布装置3は、スタンバイボタン133の押下を検知すると(ステップS32)、それまでに読み取ったカードのランク及びスートと、バカラのルールとに基づいて、ゲーム結果を判定し(ステップS33)、ゲーム結果に従って表示ランプ13を点灯する(ステップS34)。
【0193】
ディーラDは、遊技テーブル4上でオープンになっているカードから判断されるゲーム結果と、カード配布装置3の表示ランプ13が示すゲーム結果とを比較して、両者が一致していることを確認する(ステップS07)。この確認が、
図32のフローのゲーム結果の把握・確認(ステップS121)に相当する。
【0194】
一方、カード配布装置3は、スタンバイボタン133の押下を検知すると(ステップS32)、これを制御装置14に報告する。制御装置14は、カメラ2を制御してベットエリア44を撮影させる(ステップS22)。カメラ2は撮影した画像を制御装置14に送信し、制御装置14は、この画像に対して画像認識を行ってゲーム終了時のベット情報を認識する(ステップS502)。
【0195】
ゲーム開始(ベット終了)からゲーム終了までは、プレイヤPはベット内容(ベット対象、ベット額)を変更することは許されないので、不正がない場合には、制御装置5で認識されたゲーム開始時のベット情報(ステップS501)とゲーム終了時のベット情報(ステップS502)とは一致しているはずである。そこで、制御装置14は、この両者を比較する(ステップS503)。
【0196】
制御装置14は、比較結果として、一致又は不一致をチップトレイ17に報告する。比較結果が不一致である場合には、ゲーム開始時よりもゲーム終了時のチップ9の総数又は総額が増加している場合(勝ちプレイヤPが試みるレイトベッティング)、及びゲーム開始時よりもゲーム終了時のチップ9の総数又は総額が減少している場合(負けプレイヤPが試みるアンベッティング)が含まれる。
【0197】
チップトレイ17のベット情報把握確認部1791は、制御装置14からの比較結果に応じて、ベット確認ランプ173を点灯させる(ステップS172)。ここで、ベット情報把握確認部1791は、比較結果が一致である場合には、ベット確認ランプ173を緑色に点灯し、比較結果が不一致である場合は、ヘッド確認ランプ173を黄色で点滅させる。
【0198】
ディーラDは、ベット確認ランプ173が緑色に点灯していることを確認して(ステップS08)、負けプレイヤPからチップ9を回収して回収フロート171に収容する(ステップS09)。制御装置14では、カード配布装置3が判定したゲーム結果と、認識したベット情報に基づいて、回収すべきチップ9の額(回収額)を算出する(ステップS504)。回収額は、回収すべきチップ9の価値と枚数から計算される。制御装置14は、算出された回収額をチップトレイ17に通知する。
【0199】
ディーラDが回収したチップ9をチップトレイ17の回収フロート171に入れると、チップトレイ17の回収確認部1792は、RFIDリーダ176から読取情報を取得して、回収フロート171に収容されたチップ9の回収額を把握し、これを制御装置14から通知された算出された回収額と比較することにより、回収額(価値ごとの枚数)が正しいか否かを確認する(ステップS173)。なお、RFIDリーダ176では、チップ9を読み取った結果、読み取り情報として価値ごとの枚数の情報が得られ、制御装置14も回収額を価値ごとの枚数として算出する。よって、比較においても、これらの価値ごとの枚数が一致するかを判断する。
【0200】
またこのとき、真贋判定部1793は、RFIDリーダ176で認識したチップ9の枚数と光学センサ178で検出したチップ9の枚数とが一致するかを判断することによって、回収したチップ9の真贋判定を行う(ステップS174)。プレイヤPからRFIDタグを内蔵していない不正なチップ9を回収した場合には、光学センサ178によっては当該不正なチップ9が検知されるが、RFIDリーダ176によっては当該不正なチップ9は検知されないため、両者に不一致が生じて、不正なチップ9の存在を検知できる。
【0201】
回収確認部1792及び真贋判定部1793は、回収額の確認及び真贋判定の結果に従って、回収確認ランプ174を点灯する(ステップS175)。具体的には、チップトレイ17は、RFIDリーダ176で検出した回収額が、制御装置14から取得した計算上の回収額と一致し、かつ、回収したチップ9が真正である場合には、回収確認ランプ174を緑色に点灯し、回収額が一致せず、あるいは不正なチップ9が存在する場合には、回収確認ランプ174を黄色で点滅させる。
【0202】
ディーラDは、回収確認ランプ174が緑色に点灯していることを確認して(ステップS10)、勝ちプレイヤに対してチップ9を払い出す(ステップS12)。制御装置14では、カード配布装置3が判定したゲーム結果と、認識したベット情報に基づいて、チップ9の払出額を算出する(ステップS505)。制御装置14は、算出された払出額をチップトレイ17に通知する。ここでも払出額は、価値ごとの枚数の情報として算出される。
【0203】
ディーラDがチップトレイ17から遊技テーブル4上にチップ9を払い出すと、チップトレイ17は、RFIDリーダ176を用いてチップトレイ17に収容されたチップ9の払出額を求め、制御装置14から通知された算出された払出額と比較することにより、払出額が正しいか否かを確認する(ステップS176)。RFIDリーダ176によって、払出額は価値ごとの枚数の情報として得られる。
【0204】
ここで、チップトレイ17における払出額の確認について説明する。チップトレイ17はゲームが開始したときにチップトレイ17の総額を確認している(ステップS171)。そして、制御装置14から計算上の回収額と払出額の通知を受けている(ステップS504、S505)。この回収額と払出額から、増減額が算出される。ステップS171で確認したゲーム開始時のチップトレイ17内のチップ9の総額に、算出された増減額を加えることで、清算後にチップトレイ17内にあるべきチップ9の総額が算出される。ここでも、チップ9の総額は、価値ごとの枚数として算出される。
【0205】
この算出された総額と、払出後にRFIDリーダ176によって読み取られたチップ9の総額とが一致していれば、回収及び払出しが正確に行われたということになる。ステップS173において回収が正しく行われていることが確認されているので、このことは払出しが正しく行われたことを意味する。よって、チップトレイ17の払出確認部1794は、計算によって得られた清算後のチップトレイ17内にあるべきチップ9の総額(価値ごとの枚数)(制御装置14から取得する)と、RFIDリーダ176によって読み取られたチップ9の総額(価値ごとの枚数)とを比較することで、払出額が正しいか否かを判断する(ステップS176)。
【0206】
なお、上記に代えて、以下の方法により払出しの確認をしてもよい。すなわち、回収が正しく行われたことを確認した後に、チップトレイ17のRFIDリーダ176がチップトレイ17内のすべてのチップ9のRFIDタグを読み取って、チップトレイ17内の回収後払出前の実際の総額(価値ごとの枚数)を把握し、払出後に再度RFIDリーダ176がチップトレイ17内のすべてのチップ9のRFIDタグを読み取って、チップトレイ17内の払出後の実際の総額(価値ごとの枚数)を把握し、それによって、実際にチップトレイ17から払い出された額を求め、この実際の払出額と制御装置14で算出された払出額とを比較することで、払出しが正しく行われたかを確認してもよい。
【0207】
チップトレイ17は、払出額の確認結果に従って、払出確認ランプ175を点灯する(ステップS177)。具体的には、チップトレイ17は、実際の払出額が計算上の払出額と一致する場合には、払出確認ランプ175を緑色に点灯し、実際の払出額が計算上の払出額と一致しない場合には、払出確認ランプ175を黄色で点滅させる。ディーラは、払出確認ランプ175が緑色に点灯していることを確認して(ステップS12)、ゲームを終了する。
【0208】
なお、本実施の形態では、確認部179をチップトレイ17に設ける例を説明したが、確認部179の一部又はすべての機能は、制御装置14に設けられていてもよい。この場合には、制御装置14にて上記の確認部179による処理を行った後に、制御装置14からチップトレイ17のベット確認ランプ173、回収確認ランプ174、及び払出確認ランプ175のそれぞれに対して、点灯、点滅、消灯の各指示がされる。
【0209】
図34は、ゲーム開始時のベット情報とゲーム終了時のベット情報との比較結果を示すモニタ画面の例である。画面の上段にはベット情報が表形式で示され、下段には、ディーラチップトレイ17の情報が示されている。ベット情報は、プレイヤポジションごとにどのベット対象にどの価値のチップ9が何枚ベットされているかが示される。
図34の例では、3番のプレイヤポジションにおいて、BANKERに4枚の10,000ドルチップがベットされ、6番のプレイヤポジションにおいて、PLAYERに3枚の1,000ドルチップがベットされている。これらの状況は、上述のように測定装置21においてカメラ2の画像に対して画像認識をすることで把握される。
【0210】
下段の「(1)1st Card」は、ゲーム開始時(最初のカードをドローした時)にチップトレイ17内に収容されているチップ9の価値ごとの枚数を示している。「(2)Game Result」は、ゲームの結果に応じた収支をチップ9の価値ごとの枚数で示している。この例では、ゲームの清算をすることでチップトレイ17から10,000ドルチップが4枚減少し、1,000ドルチップが3枚増加することを示している。
【0211】
「(3)Calculated」は、(1)に対して(2)の収支の計算をした結果、即ち、清算後にチップトレイ17内にあるべきチップ9の価値ごとの枚数を示している。「(4)Discard」は、廃棄ボックスへのカードの廃棄をトリガーにしてRFIDリーダ176で読取られたチップトレイ17内の実際のチップ9の枚数を示している。「(5)Judgement」は、(3)と(4)の比較結果を出力する。即ち、(5)Judgementは、(3)において計算された各チップ9の枚数と、(4)においてRFIDリーダ176で読み取られた実際の各チップ9の枚数との比較結果を示している。
【0212】
図35は、レイトベッティングが行われた場合のモニタ画面の例である。
図35の例では、ゲーム開始時には2番のプレイヤポジションにおいてBANKERにベットされていた1,000ドルチップは4枚であったが、ゲーム終了時には5枚に増えている。モニタ画面では、この相違があることを画面右下に「Difference」として表示している。また、上段のベット情報の表において、レイトベッティングが検知されたマス(
図35の例では、2番のプレイヤポジションのBANKER)がハイライトされている。
【0213】
図36は、アンベッティングが行われた場合のモニタ画面の例である。
図36の例では、ゲーム開始時には6番のプレイヤポジションにおいてPLAYERにベットされていた1,000ドルチップは3枚であったが、ゲーム終了時には2枚に減っている。モニタ画面では、この相違があることを画面右下に「Difference」として表示している。また、上段のベット情報の表において、アンベッティングが検知されたマス(
図36の例では、6番のプレイヤポジションのPLAYER)がハイライトされている。
【0214】
なお、
図34、
図35、
図36のようなモニタ画面が生成されなくてもよく、生成するが保存のみして表示しないようにしてもよい。また、監視員による特定の指示に応じて上記のようなモニタ画面を表示するようにしてよく、あるいは、上記のレイトベッティングやアンベッティング等の異常が検知されたときにモニタ画面を生成して、表示及び/又は保存をするようにしてよい。
【0215】
<カジノの経営分析>
以上のように、本実施の形態の遊技テーブルシステムでは、各種のセンシング技術や画像認識技術を用いることで、ゲームの各段階での不正を検出する。本実施の形態の遊技テーブルシステム及び複数の遊技テーブルシステムを含む管理システムは、これらのセンシング及び画像認識の結果をゲームごとの不正発見だけでなく、カジノの経営情報としても利用する。なお、カジノの経営情報には、ゲームごとの不正検知のみでは発見できない高度な不正検知も含まれる。このために、各遊技テーブルシステムの制御装置14は、管理装置60に接続されており、各種の情報を管理装置60に送信する。
【0216】
図37は、カジノ遊技場の構成の例を示す図である。カジノ遊技場には、複数の遊技テーブル4が設置されている。
図37の例では、4つの遊技テーブル4が示されている。また、
図37の遊技テーブル4は、バカラ用のテーブルである。以下、遊技テーブルでバカラがプレイされる場合について説明をする。
【0217】
4つの遊技テーブルには2種類のテーブル面レイアウト(以下単に「レイアウト」という。)がある。第1のタイプのレイアウト(Type-a)の遊技テーブル4Aは、7人分のプレイヤポジション(プレイヤポジション1,2,3,5,6,7,8)が用意されており、第2のタイプのレイアウト(Type-b)の遊技テーブル4Bには5人分のプレイヤポジション(プレイヤポジション1,2,3,5,6)が用意されている。
【0218】
第1のタイプの遊技テーブル4Aでは、各プレイヤポジションに対応する位置にベット対象であるPLAYER(プレイヤ)、BANKER(バンカ)、TIE(タイ)、PLAYER PAIR(プレイヤペア)、BANKER PAIR(バンカペア)のベットエリアが設けられている。一方、第2のタイプの遊技テーブル4Bでは、各プレイヤポジションに対応する位置には、ベット対象としてPLAYER(プレイヤ)及びBANKER(バンカ)のベットエリアのみが設けられ、TIE(タイ)、PLAYER PAIR(プレイヤペア)、BANKER PAIR(バンカペア)のベットエリアはそれぞれまとまって配置されている。
【0219】
図38は、ゲームごとに生成されるゲームレコードの構成を示す図である。このゲームレコードは、制御装置14において生成されて、適宜のタイミングで管理装置60に送信される。ゲームレコードには、「日時」、「テーブルID」、「レイアウト」、「最低賭け額」、「ディーラID」、「ベット時間」、「ゲーミング時間」、「チップ回収時間」、「チップ払出時間」、「ゲーム結果」、「開始時ディーラチップ額」、「清算後ディーラチップ額」、「検証結果」の各情報が含まれる。
【0220】
「日時」は、ゲームの開始日時である。なお、「日時」として、ゲーム開始日時に加えて、又は代えて、ゲームの終了日時を記録してもよい。「テーブルID」は、各テーブルに固有に与えられたIDである。テーブルIDによってテーブルを特定できる。「レイアウト」は、テーブル面のレイアウトの種類を表す。
図37の例では2種類のレイアウト(Type-a及びType-b)があるが、「レイアウト」はそのいずれの種類であるかを表している。
【0221】
「最低賭け額」は、そのゲームにおいて設定された最低のベット額(ミニマムベット額)である。ゲームに参加するプレイヤは、各ゲームにおいてこの最低賭け額以上の額のチップをベットしなければならない。なお、最低賭け額は、ゲームとゲームとの間のタイミングに適宜変更されてもよい。また、最低賭け額に加えて、当該遊技テーブル4の1ゲームでベット最高額である最高賭け額(マキシマムベット額)を設定して記録してもよい。
【0222】
「ディーラID」は、当該遊技テーブル4でディーリングを担当しているディーラDを特定するIDである。各ディーラDにはディーラIDを記憶したICタグを内蔵したディーラカードが与えられており、ディーラDが遊技テーブル4に着いたときにディーラカードのICタグをリーダライタ5に読み込ませ、リーダライタ5が読み取ったディーラIDを制御装置14に出力してよい。あるいは、制御装置14が入力装置を備え、遊技テーブル4に着いたディーラDが入力装置から自らのディーラIDを入力してもよい。
【0223】
「ベット時間」は、ベットが開始してからベットが終了するまでの時間である。制御装置14は、チップトレイ17において前のゲームの払出しが正常に完了したと判断されたときに、ベットが開始されたと認識する。また、制御装置14は、カード配布装置3において、最初のカードのドローが検知されたときに、ベットが終了したと認識する。カード配布装置3は、最初のカードがドローされたときにその時刻を打刻して制御装置14に報告しているので、制御装置14はこの報告に基づいてベット終了時刻を把握する。
【0224】
なお、遊技テーブル4に使用後のカードを廃棄する廃棄ボックスを設け、廃棄ボックスにセンサを設けてよく、その場合には、制御装置14は、当該センサによりカードの廃棄を検知したときに、(次のゲームの)ベットが開始されたと認識してよい。また、カード配布装置3等に何らかのベットの開始を指示するための操作部材を設けて、ディーラがベットの開始直前に当該操作部材を操作する運用としてよく、その場合には、制御装置14は、当該操作部材の操作を検知したときに、ベットが開始されたと認識してよい。さらには、制御装置14は、カメラ2の画像を認識することにより、ベットされたチップ9を検出することで、ベットの開始を認識してもよい。
【0225】
「ゲーミング時間」は、ディーラDがカード配布装置3から最初のカードをドローしてから、スタンバイボタン133が押下されるまでの時間である。すなわち、最後のカードがカード配布装置3から引き出された後、プレイヤPによるスクイーズを経てすべてのカードがオープンになって遊技テーブル4上でゲーム結果が明らかになり、それに応じてディーラDがスタンバイボタン133を押下するまでの時間もゲーミング時間に含まれる。
【0226】
「チップ回収時間」は、ゲームが終了してから、負けたプレイヤPからのチップ9の回収が終了するまでの時間である。上述のように、ディーラDがゲームの結果が確定した直後にスタンバイボタン133を押下した時刻がゲームの終了時刻とされる。また、制御装置14は、チップトレイ17から回収の確認の報告がされた時刻を回収の終了時刻とする。
【0227】
「チップ払出時間」は、負けたプレイヤPからのチップ9の回収が終了してから勝ったプレイヤPへのチップ9の払出しが終了するまでの時間である。制御装置14は、チップトレイ17から払出しの確認の報告がされた時刻を払出しの終了時刻とする。あるいは、制御装置14は、カメラ2の画像を分析することでチップ回収時間及びチップ払出時間を把握してもよい。あるいは、廃棄ボックスへのカードの廃棄を検知した時を「チップ払出時間」の終了としてもよい。
【0228】
「ゲーム結果」は、PLAYER、BANKER、TIEのいずれか、及びPLAYER PAIR、BANKER PAIRの有無である。上述のように、カード配布装置3から引き出されるカードのランク及びスートを読み取ることでゲーム結果を把握し、制御装置14はカード配布装置3からゲーム結果の情報を受け取る。
【0229】
「開始時ディーラチップ額」は、ゲームの開始時にディーラトレイ17に収容されているチップ9の総額であり、
図33のステップS171でチップトレイ17にて取得され、制御装置14に報告される。「清算後ディーラチップ額」は、ゲームの清算が終了した後のディーラトレイ17に収容されているチップ9の総額であり、
図33のステップS176で把握されて制御装置14に報告される。
【0230】
「検証結果」は、理論上の清算後ディーラチップ額と実際の清算後ディーラチップ額とが一致するか否かを検証した結果であり、OKかNGのいずれかで示される。テーブル管理制御装置50は、チップトレイ17で読み取られた実際の清算後のチップトレイ17のチップ9の総額(上記の「清算後ディーラチップ額」)と、カード配布装置3によるカードの読み取りで把握されるゲーム結果に基づいて、理論上の収支を算出し、この収支をチップトレイ17で読み取られた実際の開始時のチップトレイ17のチップ9の総額(上記の「開始時ディーラチップ額」)に加算することで理論上の清算後のチップトレイ17の総額(理論上の清算後ディーラチップ額))を求め、これらを比較する(
図33のステップS176に相当)。
【0231】
制御装置14は、ゲームごとに、理論上の清算後ディーラチップ額と実際の清算後ディーラチップ額とを比較して、一致する場合には検証結果を「OK」とし、不一致の場合には検証結果を「NG」とする。
【0232】
ゲームレコードには、さらに、各「プレイヤポジション」について、「メンバID」、「ベット額」、「ベット対象」、「払出(-)/回収(+)」、「売上」、「ネット利益」が含まれる。「プレイヤポジション」としては、
図3に示すように、テーブルのプレイヤポジションに応じて番号が付与されている。プレイヤPは、あらかじめメンバ登録をしている。メンバ登録をしたプレイヤPには、メンバIDが付与され、メンバIDを記憶したメンバーズカード1が与えられる。メンバーズカード1には、メンバIDのほか、当該メンバが取得しているポイントも記録されている。
【0233】
「ベット額」は、プレイヤポジションごとのベット額であり、各プレイヤポジションのチップ9の価値ごとの枚数で示される。これに加えて、又はこれに代えて、「ベット額」の情報として、カメラ2及び測定装置21で画像認識をした際のチップ9のスタックごとにベット額の情報が表されてもよい。この場合には、「ベット額」には、各プレイヤポジションについて、スタック数及びスタックごとのチップ9の価値と枚数の情報が含まれる。
【0234】
「払出(-)/回収(+)」は、各プレイヤポジションに対する払出し又は回収の額である。制御装置14は、「払出(-)/回収(+)」として、勝ったプレイヤPについては、ベットされた額とは別にディーラDから払い出す額をマイナスの符号をつけて記録し、負けたプレイヤPについてはベットされた額にプラスの符号をつけて記録する。
【0235】
「売上」は、当該ゲームにおけるすべてのプレイヤPのベット額を足し合わせた総ベット額である。制御装置14は、すべてのプレイヤPのベット額を足し合わせることで「売上」を算出して記録する。「ネット利益」は、当該ゲームにおけるすべてのプレイヤの払出額(-)と回収額(+)を足し合わせた額であり、当該ゲームにおけるゲーム主催者(ハウス)の利益である。制御装置14は、すべてのプレイヤPの払出額と回収額を足し合わせることで「ネット利益」を算出して記録する。なお、売上(総ベット額)は、チップ9の価値ごとの枚数として記録される。
【0236】
このように、制御装置14は、遊技テーブル4ごとに、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額であるネット利益(Y)、プレイヤPが置いたチップ9の合計額である賭け総額(売上)(B)を出力する。特に、カメラ2及び測定装置21は、遊技テーブル4のプレイヤポジションごとの賭け総額(B)を検知し、制御装置14は、ゲームレコードとして、プレイヤPごと、及びプレイヤポジションごとの賭け総額(B)の情報を出力する。
【0237】
制御装置14は、ゲームごとに上記のゲームレコードを生成する。各遊技テーブル4の制御装置14は、管理装置60に接続されており、制御装置14にて生成されたゲームレコードは、制御装置14から管理装置60に送信される。なお、制御装置14と管理装置60とは、有線又は無線で通信可能に接続されている。管理装置60は、複数の制御装置14から得たゲームレコードを集計して以下の処理をする。
【0238】
図39は、管理装置の構成の変形例を示すブロック図である。管理装置60は、演算装置61と、記録装置62と、通信装置63とを備えている。演算装置61は、売上収支管理部611と、損失管理部612と、オペレーション管理部613と、レイアウト管理部614と、ポイント管理部615と、ミニマムベット管理部616と、ディーラチップ管理部617とを備えている。
【0239】
管理装置60は、プロセッサ及びメモリを備えたコンピュータであり、演算装置61が本実施の形態の管理制御プログラムに従って動作することで、上記の売上収支管理部611と、損失管理部612と、オペレーション管理部613と、レイアウト管理部614と、ポイント管理部615と、ミニマムベット管理部616と、ディーラチップ管理部617とが構成される。管理装置60はさらにハードディスク等の記録装置も備えている。また、管理装置60は、制御装置14と通信するための通信機能を備えている。
【0240】
<売上及び収支の管理>
図41は、管理装置60の売上収支管理部611が生成する売上表の例を示す図である。即ち、
図40は、遊技テーブル4ごとのチップトレイ17に収容されているチップ9の額、すなわちカジノが持っているチップ9の在庫状況を示す表である。売上収支管理部611は、遊技テーブル4ごとに、所定期間ごと(例えば、1時間ごと、24時間ごと)の売上を算出する。ここで、売上とは、プレイヤによってベットされた額(ベット額)である。
【0241】
売上収支管理部611は、所定期間におけるハウスの売上を、遊技テーブル4ごとにベットされたチップ9の価値及び枚数で管理し、かつ、遊技テーブル4ごとの総売上額でも管理している。また、売上収支管理部611は、所定期間におけるハウスの売上を、チップ9の価値ごとの枚数でも管理している。さらに、売上収支管理部611は、所定期間におけるハウスの売上を、すべての遊技テーブル4の合計の総売上額でも管理している。売上表には、売上収支管理部611で管理されるそれらの数値が示されている。
【0242】
図41は、管理装置60の売上収支管理部611が生成する粗利表の例を示す図である。売上収支管理部611は、遊技テーブル4ごとに、所定期間ごと(例えば、1時間ごと、24時間ごと)の粗利(収入)を管理する。ここで、粗利とは、清算において回収したチップ9の額から、清算において払い出したチップ9の額を引いた額であり、ハウスの収入である。なお、売上に対する粗利の割合(対売上利益率)は粗利率となる。
【0243】
売上収支管理部611は、所定期間におけるハウスの収入(粗利益)を、遊技テーブル4ごとに管理する。また、売上収支管理部611は、所定期間におけるすべての遊技テーブル4の総粗利益も管理する。さらに、売上収支管理部611は、所定期間における遊技テーブル4ごとの粗利率、及びすべての遊技テーブル4の総粗利率も管理する。粗利表では、売上収支管理部611で管理されるそれらの数値が各遊技テーブル4の売上及びすべての遊技テーブル4の総売上とともに示されている。
【0244】
管理装置60は、上述のように、売上及び粗利率を管理する。ハウスの収入は、売上と粗利率との積から不正やミスによる損失を引いた額として得られる。すなわち、以下の式(1)が成り立つ。
収入=売上×粗利率-損失 ・・・(1)
よって、ゲーム主催者は、売上を大きくし、かつ粗利率を大きくし、かつ損失を小さくすることで収入(粗利益)を大きくすることができる。なお、ミスや不正による損失を減少させるのは、上述した各種のセンサを用いたテーブルシステムによって実現される。以下では、売上及び粗利率を大きくするための処理について説明する。
【0245】
売上及び粗利率の情報のみでは、それらの情報を売上及び粗利率を増大させる具体的な経営施策に結びつけることが困難である。そこで、管理装置60は、売上及び粗利率を複数の構成要素に分解して、各要素を改善するのに有用な情報を算出する。
【0246】
売上は、取引数とベット額の単価(以下、「ベット単価」という。)の積で表される。すなわち、以下の式(2)が成り立つ。
売上=取引数×ベット単価 ・・・(2)
ここで、取引数とは、1人のプレイヤPによる1ゲームのプレイをいう。例えば、1つの遊技テーブル4で3人のプレイヤPがプレイしている場合には、1ゲームにおける取引数は3となり、3つの遊技テーブル4の各々で2人のプレイヤPがプレイしている場合には、1ゲームにおける取引数は2×3=6となる。また、ベット単価とは、各プレイヤPの1ゲームにおける(1取引における)平均のベット額(売上)である。すなわち、売上を大きくするためには、取引数を大きくし、かつ、ベット単価を大きくすればよい。
【0247】
取引数は、プレイヤ数(集客数)と回転率の積で表される。すなわち、以下の式(3)が成り立つ。
取引数=プレイヤ数×回転率 ・・・(3)
ここで、プレイヤ数とは、ゲームに参加をしている(ベットをする)プレイヤの数であり、回転率とは、1ゲームに要する時間の逆数(即ち、ゲームの進行スピード)である。よって、取引数を大きくするためには、ゲームに参加するプレイヤ数とゲームの回転率を大きくすればよい。
【0248】
また、粗利率は、ゲームの結果が理論上の確率と一致する場合には控除率(ハウスエッジ)となる。したがって、粗利率は、勝越率と控除率との積で表され、以下の式(4)が成り立つ。
粗利率=勝越率×控除率 ・・・(4)
ここで、勝越率とは、ゲームのルールから導かれる理論上のハウスの勝率からハウス側がどれだけ勝ち越しているかを示す割合であり、ハウスの勝率が理論上の勝率と一致する場合に1となり、ハウスの勝率が理論上の勝率を上回る場合に1より大きくなり、ハウスの勝率が理論上の勝率を下回る場合に1より小さくなる。また、勝越率は、プレイヤPの勝率がゲームのルールから導かれる理論上の勝率と一致する場合に1となり、プレイヤPの勝率が理論上の勝率を上回る場合に1より小さくなり、プレイヤPの勝率が理論上の勝率を下回る場合に1より大きくなる。
【0249】
また、控除率とは、ベット額に対してハウス側が徴収する手数料の割合であり、オッズの設定を含むゲームのルールによって決定される。控除率は、勝越率が1、即ち、ゲームの結果が理論上の結果と一致する場合に、ハウス側が例えば1~3%の利益を受けることができるように設定される。例えば、サイコロの目を予想するゲームでは、プレイヤの勝率は1/6であるが、オッズを6倍ではなく5.9倍とすることで、約1.7%の控除率が設定される。
【0250】
控除率は、遊技テーブル4のレイアウトの種類ごと、又はベットエリアごとに異なる値が設定されてよい。例えば、バカラのTIE、PAIRには、BANKERやPLAYERとは異なる控除率が設定され、ルーレットの「0」及び「00」にも他の赤又は黒の数字とは異なる控除率が設定される。
【0251】
以上の式(1)~(4)から、ハウスの収入(粗利益)は以下の式(5)ように複数の要素に分解できる。
収入=プレイヤ数×回転率×ベット単価×勝越率×控除率-損失 ・・・(5)
【0252】
まず、式(1)の要素分解によって、収入の大まかな構造を分析できる。例えば、収入(粗利益)が1万ドルある場合に、それが100万ドル売り上げに対する1%の利益なのか、10万ドルの10%の利益なのか、1000万ドルの0.1%の利益なのか等を把握できる。そこで、売上収支管理部611は、この粗利率を所定の基準粗利率(例えば、2%)ないし基準粗利率レンジ(例えば、1~3%)と比較して、粗利率が極端に低い(例えば、1%以下)場合、及び極端に高い(例えば、3%以上)場合に警告を生成する。
【0253】
式(4)が示すように、粗利率は勝越率と控除率とに要素分解できるが、控除率はゲーム主催者が設定するものであるので、粗利率が極端に高い又は低い場合には、勝越率が極端に高い又は低いことが考えられる。そこで、粗利率が極端に高い又は低い場合には、プレイヤPやディーラDによる勝越率を操作するような不正が疑われる。
【0254】
そこで、売上収支管理部611は、プレイヤPごと、ディーラDごと、遊技テーブル4ごとに、それぞれ所定期間の粗利率を算出する。これらの粗利率についても、極端に低い場合及び極端に高い場合には警告を生成する。生成された警告は、ゲーム主催者のコミュニケーションアカウント(例えば電子メールアドレス)に通知されてもよいし、記録部62に記録されてもよい。
【0255】
売上収支管理部611は、各制御装置14から得たゲームレコードを分析することで、所定期間のゲーム数、プレイヤ数、ベット単価のそれぞれの統計を生成する。ゲーム主催者は、売上が理想的でない場合に、ゲーム数、プレイヤ数、ベット単価のいずれに改善の余地があるかを知ることができ、また、ゲーム数、プレイヤ数、ベット単価を増やすための改善策を講じた場合に、ゲーム数、プレイヤ数、ベット単価の推移をみることで、そのような改善策の効果が得られているかを検証することができる。
【0256】
売上収支管理部611は、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額であるネット利益(Y)と、プレイヤPが置いたチップ9の合計額である賭け総額(売上)(B)との比率である対売上利益率(X)を算出して出力する。また、売上収支管理部611は、対売上利益率(X)を、理論上の利益率又は過去の平均利益率と比較し比較結果を出力する。売上収支管理部611は、所定の期間ごと、又はゲームごとに、遊技テーブル4ごと、プレイヤPごと、プレイヤポジションごと、又はディーラDごとの対売上利益率(X)を算出して、必要に応じて出力する。
【0257】
また、売上収支管理部611は、ゲーム数と当該ゲーム数にかかった時間(ベット時間+ゲーミング時間+チップ回収時間+チップ払出時間)との関係を把握する。また、売上収支管理部611は、プレイヤPごと、又は遊技テーブル4ごと、及び/又は各遊技テーブル4を担当するディーラDごとに、所定ゲーム数あたりの、賭け総額(B)、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)、及び/又は対売上利益率(X)を算出して、必要に応じて出力する。
【0258】
また、売上収支管理装置611は、1)遊技テーブル4で行われる個別のゲームの賭け金(B)、2)遊技テーブル4で行われる個別のゲームの勝敗結果(W&L)、3)遊技テーブルで行われるゲームのルールに基づく粗利率(R%)を記録装置62に記録する。そして、売上収支管理装置611は、ゲームごとの1)から3)の情報、及び/又は所定の時間又は期間における1)から3)の情報を用いて、以下の式(6)を計算して粗利益(Y)を出力する。
Y=Σ(B×W&L×R%) ・・・(6)
【0259】
ここで、1)遊技テーブル4で行われる個別のゲームの賭け金(B)は、各ゲームにおける売上である。2)遊技テーブル4で行われる個別のゲームの勝敗結果(W&L)は、上記の勝越率と同義である。この勝敗結果(W&L)について、カジノ側が勝った(チップを回収する)場合は+1となるが、カジノ側が負けた(チップを払出す)場合には-1となる。3)遊技テーブルで行われるゲームのルールに基づく粗利率(R%)は、上記の控除率と同義であり、オッズの設定を含むゲームのルールによって決定される。この粗利率は、例えば、BANKER又はPLAYERに賭けた場合は100%となるが(即ち、プレイヤは勝ったらベット額と同額の払出しを受け、負けたらベット額が全額回収される)、PAIRに賭けた場合において、プレイヤが勝ったときは800%となり、ディーラが勝ったときは100%となる(即ち、プレイヤは勝ったらベット額の8倍の額の払出しを受け、負けたらベット額が全額回収される)。
【0260】
なお、遊技テーブル4のレイアウトの種類ごと又はベットエリア(ベット対象)ごとに異なる粗利率が設定される場合(例えば、TIEやPAIRのオッズを高くする場合)には、売上収支管理部611は、それらの異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)を採用して粗利(Y)を計算する。売上収支管理部611は、遊技テーブル4のレイアウトの種類ごと又はベットエリア(ベット対象)ごとに異なる粗利率が設定されている場合には、それらの異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)のレイアウトの種類ごと又はベットエリア(ベット対象)ごとに、ゲームの賭け金総額(TB)及び/又はゲームの賭け金額(B)の分布状態を出力する。これにより、例えば、TIEへの賭け金額のみを把握することができる。
【0261】
さらに、売上収支管理部611は、遊技テーブル4のレイアウトの種類ごと又はベットエリア(ベット対象)ごとに異なる粗利率が設定されている場合には、異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)ごとに、レイアウトの種類ごと又はベットエリア(ベット対象)ごとのゲームの賭け金総額(TB)及び/又はゲームの賭け金額(B)の分布状態を出力する。これにより、例えば、粗利率が極端に高くなっているベット対象のベット額を把握することができる。
【0262】
さらに、売上収支管理部611は、遊技テーブル4のレイアウトの種類ごと又はベットエリアごとに異なる粗利率が設定されている場合には、それらの異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)のレイアウトの種類又はベットエリア(ベット対象)を備えた遊技テーブル4単位でそれぞれの遊技テーブル4の粗利(Y)又は総粗利率(R%)を比較する。これにより、テーブルごとに粗利率を比較できる。
【0263】
<損失管理>
損失管理部612は、ゲームごとの不正やミスを検知するのではなく、複数の遊技テーブル4での複数のゲームのレコードを統計的に分析することで不正やミスを検知する。損失管理部612は、チップトレイ17に存在するチップ9の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とが一致するか否か比較する不一致検出の回数をカウントして出力する。この不一致は、ゲームレコード(
図38参照)の「検証結果」がNGとなっていることで検出できる。損失管理部61は、遊技テーブル4ごと、ディーラごと、プレイヤごとのカウント値を記録装置62に記録する。これにより、カウント値が高い遊技テーブル4、ディーラD、又はプレイヤPがあれば、それについてさらなる調査を行って不正を発見することが可能となる。
【0264】
また、損失管理部612は、チップトレイ17に存在するチップ9の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とを比較し、不一致があった時に不一致の額(L)をカウントして出力する。この不一致の額(L)は、損失管理部612にてゲームレコードの「開始時ディーラチップ額」と「清算後ディーラチップ額」との差分と「ネット利益」とを比較することで算出できる。損失管理部61は、遊技テーブル4ごと、各遊技テーブル4を担当するディーラDごと、プレイヤPごとのカウント値を記録装置62に記録する。損失管理部612は、定期的に記録装置62を参照して、不一致の額(L)の累積額を把握して出力する。これにより、カウント値が高い遊技テーブル4、ディーラD、又はプレイヤPがあれば、それについてさらなる調査を行って不正を発見することが可能となる。
【0265】
また、損失管理部612は、チップトレイ17に存在するチップ9の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とを比較し、不一致の額(損失額)(L)をカウントし、式(6)を以下の式(7)に補正して、粗利(Y’)を出力する。
Y’=Σ(B×W&L×R%±L) ・・・(7)
これにより、損失額(L)を考慮した粗利の計算が可能となる。
【0266】
さらに、損失管理部612は、所定のゲーム数が終了した時点で、プレイヤPごと、各遊技テーブル4を担当するディーラDごと、及び遊技テーブル4ごとに、現実の勝率及び粗利(Y)の合計額の結果と、確率統計計算上の数字または過去の蓄積データに基づく数字とを比較して、両者に有意な差があるか否かを判定し、有意な差が生じているプレイヤP、ディーラD、及び遊技テーブル4を特定する。これにより、確率統計計算上の数字または過去の蓄積データに基づく数字と比較して、極端に多く勝っている、あるいは極端に多く負けているプレイヤPやディーラDを発見することができ、遊技テーブル4で発見されなかった不正についても発見できる。
【0267】
損失管理部612は、有意な差を検知した場合には、異なる粗利率(R%)のベットエリア(賭け位置)における各遊技テーブル4の賭けチップ額を記録装置62に記録し、有意差の生じた一連のゲームにおける有意差の生じた原因が、異なる粗利率(R%)のベットエリア(賭け位置)(例えば、バカラの「TIE」)に関連するか否かを特定する。これにより、例えば、勝つ回数は標準的であるが、勝つ場合には常に高倍率のベット対象に賭けているというプレイヤPを特定することができ、不正の発見につなげることができる。
【0268】
また、損失管理部612は、チップ9の種類ごとに、各プレイヤPのチップ9の購入情報を把握可能である。この購入情報は、例えば、チップ9を購入するためのキャッシャーに備えられた装置から取得することができ、遊技テーブル4でチップ9を購入する場合には、カメラ2と測定装置21による画像認識によって取得してもよい。この購入情報には、購入したチップ9の価値ごとの枚数と、購入日時とが含まれる。
【0269】
損失管理部612は、所定の時間又は期間におけるプレイヤPのチップ9の購入情報を把握して、プレイヤPごとの賭け金額、あるいは勝ち金額又は負け金額と、購入情報とを関連付けて記録装置62に記録し、必要に応じて出力する。これにより、プレイヤPとディーラDの結託によるマネーロンダリングの疑いを検知することができる。
【0270】
<オペレーション管理>
オペレーション管理部613は、ディーラDごとに所定期間のゲーム数及びプレイヤ数を算出する。一般にプレイヤ数が多くなると、チップ9の回収及び払出しに時間がかかり、回転率(即ち、単位時間当たりのゲーム数)は大きくならない。プレイヤ数が多いにもかかわらず回転率が大きい場合には、ディーラDのゲームの進行オペレーションがスムーズであることを意味している。逆に、プレイヤ数が少ないにもかかわらず回転率が小さい場合には、ディーラDのゲームの進行オペレーションが遅いという問題があることを意味している。
【0271】
よって、オペレーション管理部613は、所定期間の回転率×プレイヤ数、即ち取引数が所定の閾値に満たないディーラDを抽出する。ゲーム主催者は、抽出されたディーラDについて、ゲームの進行を早めるようにオペレーションを改善する努力をすることにより、売上を向上させることができる。
【0272】
オペレーション管理部613は、さらに、ディーラDごとに、ベット時間、ゲーミング時間、チップ回収時間、及びチップ払出時間の統計を作成する。各ディーラDについて、回転率が大きいことが望ましいが、回転率が大きくならない要因として、ベット時間、チップ回収時間、チップ払出時間、及びゲーミング時間のいずれが長いかを分析することが有効である。ベット時間の長短は、プレイヤPのベッティング動作によるところが大きく、ディーラDがコントロールできる要素が少ない。一方で、チップ清算時間の長短は、ディーラの動作によるところが大きく、ディーラDの努力によって短くすることができる。ゲーミング時間の長短については、プレイヤPとディーラDのいずれの挙動も影響し得る(例えば、バカラにおけるプレイヤPのスクイーズはゲーミング時間に影響する)。
【0273】
そこで、オペレーション管理部613は、ゲームレコードごとに、チップ回収時間/プレイヤ数、及びチップ払出時間/プレイヤ数を算出する。そして、オペレーション管理部613は、ディーラDごとに、複数のゲームレコードについてのベット時間の平均、チップ回収時間/プレイヤ数の平均、チップ払出時間/プレイヤ数の平均、及びゲーミング時間の平均を算出し、それらの平均が所定の閾値より大きいディーラD、所定の閾値より小さいディーラDを抽出する。ゲーム主催者は、これらの統計データを用いてディーラDに対して必要な指導を行うことができる。
【0274】
また、オペレーション管理部613は、制御装置14から送られてくるゲームレコードに基づいて、各遊技テーブル4を担当するディーラを把握して、ディーラごとに、1)ベット時間、2)チップ回収時間、3)チップ支払時間、4)ゲーミング時間の少なくとも一つの要素時間を検出して、記録装置62に記憶する。
【0275】
また、オペレーション管理部613は、遊技テーブル4におけるゲーム参加人が置いたチップ9の賭け位置(ベット対象)及び/又はスタック数、あるいはスタックごとのチップ9の枚数を把握して、ゲーム数及び当該ゲーム数にかかった時間と関連付けて出力する。また、オペレーション管理部613は、遊技テーブル4におけるプレイヤ数を把握して、ゲーム数及び当該ゲーム数にかかった時間と関連付けて出力する。ここで、ゲームにかかった時間は、当該ゲーム数のベット時間、ゲーミング時間、チップ回収時間、及びチップ払出時間の合計であってよく、あるいは、各ゲームのチップ回収時間とチップ払出時間のみの合計(チップ清算時間)であってもよく、チップ回収時間、又はチップ払出時間のいずれかであってもよい。
【0276】
<レイアウト管理>
レイアウト管理部614は、レイアウトの種類ごとに、所定期間の粗利率を計算する。この粗利率を研究することで、いずれのレイアウトがより粗利率を高くできるかを知ることができる。レイアウト管理部614は、ベット対象ごとのベット額を求める。レイアウトごとの各ベット対象のベット額を分析することで、いずれのレイアウトがより望ましいかを判断することができる。
【0277】
レイアウト管理部614は、レイアウトの違いが売上に影響するか否かについて分析を行う。具体的には、レイアウト管理部614は、各ゲームレコードについて、ベット単価/最低賭け額を算出して、レイアウトごとに集計を行う。また、レイアウト管理部614は、より詳細には、レイアウトごとにどのベット対象(PLAYER、BANKER、TIE、PLAYER PAIR、BANKER PAIR)のベット回数又はベット額が大きいかを分析することで、レイアウトの評価を行う。例えば、TIE、PLAYER PAIR、BANKER PAIRへのベット額が大きいレイアウトは、売上の増大に貢献をしていると評価できる。
【0278】
上記のように、プレイヤ数及びベット単価が大きいほどハウスの売上が大きくなる。プレイヤ数及びベット単価については、ディーラへの指導によって直接的に増加できるものではないので、プレイヤに働きかけをすることが有効である。プレイヤへの働きかけとして、ポイント付与と最低賭け額の設定がある。以下、順に説明する。
【0279】
<ポイント管理>
ポイント管理部615は、メンバであるプレイヤPにポイントを付与し、ポイントに対応した特典を付与する。プレイヤPは、ポイントをその大きさに応じて各種の特典に換えることができる。ポイント管理部615が特典の設定を工夫することで、プレイヤ数及びベット単価を大きくすることができる。
【0280】
記録部62には、各メンバの所有ポイントが記憶されている。ポイント管理部615は、メンバにポイントを付与する際には、付与ポイントを制御装置14に通知するとともに、記録部62に記憶された当該メンバの所有ポイントを更新する。制御装置14は、管理装置60にて付与されたポイントを当該プレイヤPの所有ポイントに加算して、所有ポイントを更新する。リーダライタ5は、当該プレイヤPのメンバーズカード1に、更新された所有ポイントを記録する。
【0281】
ポイント管理部615は、プレイヤPのベット額に応じたポイント数のポイントを付与する。あるいは、ポイント管理部615は、所定の時間又は期間におけるプレイヤPごとの参加ゲーム数を把握して、所定の条件でプレイヤPにポイントまたはステイタスを付与してもよい。ゲーム主催者の総利益から損失額を引いた値がプラスであればゲーム主催者は利益を得ることになり、マイナスであればゲーム主催者に損失が生じる。このゲーム主催者の総利益から損失額を引いた値をゲーム主催者のネット利益といい、メンバに付与する特典に係るゲーム主催者のコストは全体でこのネット利益に応じて決定されることが望ましい。
【0282】
ポイント管理部615は、ネット利益に応じて、プレイヤPのベット額に対する付与ポイントの比率、及び特典と消費ポイントとの関係を調整する。また、ポイント管理部62は、ゲームレコードにおけるプレイヤ数やベット単価に応じて、それらを増加させるように、一時的なキャンペーンプロモーションとして、プレイヤのベット額に対する付与ポイントの比率、及び特典と消費ポイントとの関係を調整する。これらのプレイヤのベット額に対する付与ポイントの比率、及び特典と消費ポイントとの関係は、記録部62に記憶されている。
【0283】
また、ポイント管理部615は、週単位または月単位、あるいは所定の期間における、特定のゲーム参加人ごとの1)当該遊技場への訪問回数、2)賭け回数、3)勝ち金額、4)負け金額の少なくとも1つの情報を記録装置62に記録し、該当するプレイヤPがカジノ遊技場に入場する際に、1)から4)の少なくとも一つの情報を記録装置62から読み出して出力する。特定のプレイヤPが当該遊技場に訪問したことは、遊技場への入場時におけるメンバーズカード1を用いたID確認によって把握してよく、チップを購入する際にメンバーズカード1を用いたID確認を行って把握してもよく、遊技テーブル4におけるリーダライタ5でメンバーズカード1を読み取ることで把握してもよい。
【0284】
メンバは、所有ポイントを消費することで特典やステイタスを受けることができるが、所定の特典やステイタスについては、所有ポイントの消費以外に特定の付与条件が設定され、当該付与条件を満たすプレイヤPにのみ当該特典やステイタスを付与する。
【0285】
また、ポイント管理部615は、売上に応じてポイントやステイタスを付与するだけでなく、特定の付与条件を満たす場合に、特別にポイントやステイタスを付与してもよい。特定の付与条件は、所定の時間又は期間にベット金額、賭け回数、勝ち金額、負け金額が所定の条件を満たすことであってよい。ここで、所定の時間又は期間は、一日単位もしくは連続した複数日間又は一か月単位、あるいは累積(無期限)であってよい。また、ポイント管理部615は、所定の時間又は期間において集中的にポイントを付与したメンバに対して、更に追加してポイントまたはステイタスを付与してもよい。
【0286】
例えば、所定期間のネット利益が所定額以上であるメンバには翌日以降もカジノ遊技場に滞在してゲームに参加してもらうために、長期滞在を促すためのホテルのサービス(例えば、現在宿泊しているホテルのチェックアウト日を延期する、部屋をアップグレードする)等の利用料金の支払いとして、直ちに利用可能な特典を付与することが有効である。よって、ポイント管理部615は、例えば、現在滞在しているホテルのチェックアウト日の延期、部屋のアップグレードという特典には、所定期間のプレイヤのネット利益が所定額以上であるという付与条件を付ける。
【0287】
一方、所定期間のプレイヤのネット利益が所定額以下である場合には、所定期間経過後に使用できる時限チップや、ベット可能であるが換金不能なチップや、カジノ遊技場で利用できるクーポンを特典として付与することが有効である。よって、ポイント管理部615は、例えば、所定期間経過後に使用できる時限チップやカジノ遊技場で利用できるクーポンという特典には、所定期間のプレイヤの利益が所定額以下であるという付与条件を付ける。もちろん、特典の中には付与条件が設定されておらず、ポイントを消費するだけで得られるものが含まれていてもよい。
【0288】
メンバは、保有ポイントを特典と引き換える際には、メンバーズカード1を用いる。ポイント管理部615は、ポイントを特典に引き換える要求を取得して、記録部62を参照して、要求された特典について、該当するメンバIDの保有ポイントがその特典に対応する消費ポイント数に足りているか否か、付与条件が設定されている場合にはそれを満たすか否かを判断する。
【0289】
ポイント管理部615は、保有ポイントが足りており、付与条件が満たされている場合には、特典に対応するポイント数を保有ポイントから減算することで保有ポイントを更新する。ポイント管理部615は、特典の付与によって更新された保有ポイントで記録部62の保有ポイントを書き換える。
【0290】
特典は、カジノ遊技場、関連するホテル、所定の施設で利用することができる。特典をカジノ遊技場で利用する場合には、特典はVIPルームへの入室権、又は換金不能な遊技用代用貨幣であってよい。この場合に、ポイント管理部615は、所定数のポイントと引き換えにVIPルームへの入室権を付与してもよく、保有ポイントが所定値以上である場合に、ポイント数に応じた額の換金不能な遊技用代用貨幣を付与してよい。また、特典をホテルで利用する場合には、特典はホテルの各種サービスであってよい。
【0291】
ポイント管理部615は、メンバに所有ポイントに応じた特典を付与するにあたって、ポイントの消費をしないで特典を付与してもよい。すなわち、所有ポイントに応じてメンバのステイタスの設定(格付け)を行い、ステイタスに応じた特典を付与してもよい。あるいは、ポイントに代えてステイタスを付与してもよい。この場合には、ポイント管理部615は、特典を受けようとするメンバの所有ポイントを確認して、所定の値以上である場合に特典を付与する。例えば、所有ポイント数が所定の閾値を上回るメンバにVIPルームを使用する権利を付与してよい。
【0292】
また、ポイント管理部615は、ゲーム参加人ごとの累積の賭け額、又は所定の期間の賭け額を当該ゲーム参加人の与信情報として出力してもよい。
【0293】
<ミニマムベット管理>
ミニマムベット管理部616は、制御装置14から取得したゲームレコードに基づいて、各遊技テーブル4の最低賭け額(あるいはその推奨値)を決定する。カジノ遊技場における複数の遊技テーブル4の最低賭け額を適切に設定することで、ゲーム数、プレイヤ数、ベット単価を最適化して売上を向上させることができる。即ち、ある遊技テーブル4において、最低賭け額より十分に高いベット額でプレイしているプレイヤ(高額プレイヤ)と、最低賭け額又はそれよりわずかに高いベット額でプレイしているプレイヤ(低額プレイヤ)とが混在していると、カジノ遊技場全体の売上が低く抑えられてしまうことがある。
【0294】
図42は、そのような状況を説明する図である。いま、
図42の上段に示すように、ある遊技テーブルにおいて最低賭け額が1,000ドルに設定されており、そこでベット額が10,000ドル程度の高額プレイヤが1人でプレイしているとする。このとき、1ゲームの平均所要時間(ベット時間、チップ清算時間(チップ回収時間+チップ払出時間)、及びゲーミング時間を含む)は60秒であり、1時間当たりの平均売上は、60万ドルである。
【0295】
この遊技テーブル4に、ベット額が1,000ドル程度の低額プレイヤが3人加わると、この遊技テーブル4の合計ベット額は1,3000ドル程度に上昇するが、プレイヤ数の増加に伴って1ゲームの平均所要時間も増加する。1プレイヤ増加するごとにプレイ時間が10秒増加すると仮定すると、プレイヤ数が4人になると1ゲームのへ近所要時間は90秒になる。その結果、1時間当たりの売上は、60万ドル程度から52万ドル程度に減少してしまう。このように、高額プレイヤと低額プレイヤが同一の遊技テーブルに混在することで、プレイヤの数が増えてもハウスの売上は減少してしまう。
【0296】
図43A及び
図43Bは他の例を説明する図である。いま、
図43Aに示すように、2つの遊技テーブルのうちの一方の最低賭け額が10,000ドルに設定され、他方の最低賭け額が1,000ドルに設定されている。高額プレイヤの遊技テーブルにおける1ゲームの平均所要時間は70秒であり、1時間当たりの売上は103万ドル程度になる。一方、低額プレイヤの遊技テーブルにおける1ゲームの平均所要時間は90秒となり、1時間当たりの売上は16万ドル程度になる。よって、2つの遊技テーブルの1時間当たりの合計の売上は119万ドル程度になる。
【0297】
図43Bの例では、
図43Aの2人の高額プレイヤが別々の遊技テーブルに分散している。すなわち、最低賭け額が1,000ドルに設定された遊技テーブルが2つあり、いずれの遊技テーブルにおいても、ベット額が10,000ドル程度の高額プレイヤ1人と、ベット額が1,000ドル程度の低額プレイヤ2人がプレイしている。このとき、各遊技テーブル4の1ゲームの平均所要時間は80秒であり、1時間当たりの売上は54万ドル程度であり、2つの遊技テーブル4の1時間当たりの合計の売上は108万ドル程度になる。
【0298】
このように、高額プレイヤが複数の遊技テーブル4に分散して各遊技テーブル4において高額プレイヤと低額プレイヤが混在することになると、ハウスの売上は(
図43A及び
図43Bの場合は、119万ドルから108万ドルに)減少してしまう。
【0299】
上記の例のように、最低賭け額を適切に設定せずに高額プレイヤと低額プレイヤが遊技テーブル4に混在することで、ハウスの売上が減少するだけでなく、高額プレイヤにとっては1ゲームの所要時間が長くなって快適にプレイすることが困難になるという問題もある。
【0300】
そこで、ミニマムベット管理部616は、各制御装置14から送られてくるゲームレコードに基づいて、カジノ遊技場の各遊技テーブル4の適切な最低賭け額を設定する。
【0301】
ミニマムベット管理部616は、売上及び対売上粗利率を大きくするように、各遊技テーブル4の最低賭け額を設定する。また、ミニマムベット管理部616は、単位時間あたりのゲーム数又はゲームあたりのベット総額の平均値を大きくするように、各遊技テーブル4の最低賭け額を設定するものであってもよい。
【0302】
ミニマムベット管理部616には、複数段階に分けた最低賭け額の候補が設定されている。本実施の形態では、ミニマムベット管理部616には、100ドル、500ドル、1,000ドル、5,000ドル、10,000ドルという5段階の最低賭け額の候補が用意されている。ミニマムベット管理部616は、これらの最低賭け額の候補の中からいずれかを選択することで設定する。なお、ミニマムベット管理部616は、用意された候補以外に、より適切な最低賭け額の設定することで、予め設定された最低賭け額の候補では不適切な場合に、より細かくクラス分けを行うことができるものであってもよい。
【0303】
管理装置60は、設定された最低賭け額を該当する遊技テーブル4の制御装置14に出力(送信)する。制御装置14は、管理装置60から受けた最低賭け額をディスプレイ15に表示する。制御装置14は、管理装置60から設定された最低賭け額を受けたときに、当該推奨値をそのままディスプレイ15に表示してもよいし、いったんディーラにのみ示して、ディーラの判断及び操作に応じてディスプレイ15に表示するようにしてもよい。
【0304】
(実際のベット額に基づく最低賭け額の設定)
ミニマムベット管理部616は、ゲームレコードにおけるプレイヤ数の情報と、プレイヤポジションごとのベット額のうちの最低額となるベット額の情報あるいは平均ベット額の情報とを基に、複数段階に分けた最低賭け額の候補からいずれかを選択する。
【0305】
ミニマムベット管理部616は、遊技テーブル4ごとに、ゲームごと及び/又は所定の時間ごと若しくは所定の期間ごとの各プレイヤのベット総額を把握して、各遊技テーブル4の最低賭け額を設定する。本実施の形態では、ミニマムベット管理部616は、遊技テーブル4の現在の最低賭け額に対して所定の比率以上の額で賭けるプレイヤが所定の比率以上いるときに、最低賭け額を上げる。
【0306】
具体的には、ミニマムベット管理部616は、各遊技テーブル4について、プレイヤポジションごとに、過去の所定ゲーム数(本実施の形態では、5ゲーム)のベット額のうちの最低額が最低賭け額の所定の比率(本実施の形態では、150%)以上であるプレイヤを高額プレイヤとして格付けする。ミニマムベット管理部616は、遊技テーブル4に高額プレイヤが所定の比率(本実施の形態では、50%)以上いる場合には、当該遊技テーブル4について、すでに設定されている最低賭け額より高額の最低賭け額を設定する。
【0307】
図44A及び
図44Bは、実際のベット額に応じた最低賭け額の設定の例を示す図である。
図44A及び
図44Bの例では、4人のプレイヤがゲームに参加しており、最低賭け額は1,000ドルに設定されている。
【0308】
図44Aの例では、プレイヤ1の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1,000ドルであり、プレイヤ2の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は2,000ドルであり、プレイヤ3の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1,500ドルであり、プレイヤ4の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1,000ドルである。この場合、プレイヤ2とプレイヤ3については、過去5ゲームの最低ベット額が、現在の最低賭け額1,000ドルの150%である1,500ドル以上であり、高額プレイヤとして格付けされる。そして、ゲームに参加している4人のプレイヤのうちの高額プレイヤ(2人)の比率が50%であり、基準である50%に達しているので、ミニマムベット管理部616は、すでに設定されている最低賭け額1,000ドルより高額の最低賭け額を推奨値として決定する。
【0309】
一方、
図44Bの例では、プレイヤ1の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1,000ドルであり、プレイヤ2の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1,500ドルであり、プレイヤ3の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1,000ドルであり、プレイヤ4の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1100ドルである。この場合、プレイヤ2については、過去5ゲームの最低ベット額が、現在の最低賭け額1,000ドルの150%である1,500ドル以上であり、高額プレイヤとして格付けされる。そして、ゲームに参加している4人のプレイヤのうちの高額プレイヤ(1人)の比率が25%であり、基準である50%に満たないので、ミニマムベット管理部616は、すでに設定されている最低賭け額1,000ドルを変更せず、現在の最低賭け額1,000ドルを推奨値として決定する。
【0310】
ミニマムベット管理部616は、最低賭け額を上げる場合には、最低賭け額を1段階上げて上記と同様の計算を行う。
図44Aの場合には、現在の最低賭け額を1段階上の5,000ドルとした場合には、より高い最低賭け額を推奨値として決定する条件を満たさないので、5,000ドルを最低賭け額の推奨値として決定する。最低賭け額を1段階上げて同様の計算をした場合に、さらに上記の条件を満たす場合には、最低賭け額をもう1段階上げ、これを上記の条件を満たさなくなるまで繰り返す。
【0311】
上記の例では、ミニマムベット管理部616は、各プレイヤポジション(プレイヤ)の過去5ゲームのベット額のうちの最低額を評価したが、これに代えて、各遊技テーブル4について、プレイヤポジション毎に、過去の所定ゲーム数(例えば、5ゲーム)のベット額の平均値(平均ベット額)が最低賭け額の所定の比率(例えば、300%)以上であるプレイヤを高額プレイヤとして格付けしてもよい。
【0312】
また、上記の例では、高額プレイヤが所定の比率以上の場合に、最低賭け額をあらかじめ決められた候補の中から1段階高額の額に変更したが、これに代えて、最低賭け額の所定の比率(例えば、150%)に上げてもよく、すなわち上記の
図44Aの例では最低賭け額1,000ドルの150%の1,500ドルを最低賭け額として設定してもよい。また、この
図44Aの例において、現在のミニマムベット額が500ドルである場合に、ミニマムベット額をプレイヤの最低賭け額である1,000ドルまで上げてもよい。
【0313】
(テーブル混雑度に応じた最低賭け額の推奨)
次に、テーブル混雑度に応じた最低賭け額の推奨値の決定について説明する。ミニマムベット管理部616は、ゲームレコードのプレイヤの数の情報に基づき、各遊技テーブル4のテーブル混雑度を算出する。なお、テーブル混雑度は各遊技テーブル4の定員に対してゲームに参加しているプレイヤの数の比率である。ミニマムベット管理部616は、ミニマムベット管理部616にて判定されたテーブル混雑度に応じて、各遊技テーブル4の最低賭け額を設定する。
【0314】
図45A及び
図45Bは、テーブル混雑度に応じた最低賭け額の推奨値の決定の例を示す図である。いま、
図45Aに示すように、4つの遊技テーブル4a~4dがあり、そのうちの2つの遊技テーブル4a、4bは最低賭け額が10,000ドルに設定されており、他の2つの遊技テーブル4c、4dは、最低賭け額が1,000ドルに設定されている。
【0315】
図45Aに示すように、最低賭け額が10,000ドルに設定されている2つの遊技テーブル4a、4bはゲームに参加しているプレイヤの数が多く(テーブル混雑度が高く)、最低賭け額が1,000ドルに設定されている2つの遊技テーブル4c、4dはゲームに参加しているプレイヤの数が少ない(テーブル混雑度が低い)。
【0316】
ミニマムベット管理部616は、このような状況において、最低賭け額が1,000ドルである遊技テーブル4c、4dのうちゲームに参加しているプレイヤが最も少ない(テーブル混雑度が最も低い)遊技テーブル4dの最低賭け額を10,000ドルに上げる。そうすることで、
図45Bに示すように、遊技テーブル4dでゲームに参加していたプレイヤは、最低賭け額が1,000ドルである遊技テーブル4cに移動し、最低賭け額が10,000ドルの遊技テーブル4a、4bでゲームに参加していたプレイヤの一部が、最低賭け額が10,000ドルに上がった遊技テーブル4dに移動することが期待される。
【0317】
図43A及び
図43Bで説明したように、
図45Aと比較して
図45Bの方がハウスの売上が上がることは明らかである。このように、ミニマムベット管理部616は、ミニマムベット管理部616にて判定されたテーブル混雑度に応じて、高額プレイヤがより少人数の遊技テーブル4でプレイできるように、エリア毎の各遊技テーブル4の最低賭け額を設定する。
【0318】
このように、ミニマムベット管理部616は、最低賭け額が高額の遊技テーブル4における平均のゲーム参加人数をより少なくするように、各遊技テーブル4の最低賭け額の推奨値を決定する。このために、ミニマムベット管理部616は、ゲーム参加人数が所定人数以下の遊技テーブル4が所定の比率以上のときに、最低賭け額の推奨値を下げてよい。
【0319】
以上説明したように、本例では、ミニマムベット管理部616は、複数の遊技テーブル4を管理し、複数の遊技テーブル4ごとに、ゲーム毎及び/又は所定の時間毎若しくは期間毎のプレイヤ毎のベット総額を把握し、複数の遊技テーブル4の各々についてそれぞれ異なる最低賭け額を設定する。
【0320】
(エリア混雑度に基づく遊技テーブルのオープン/クローズ)
ミニマムベット管理部616は、プレイヤ数判定装置としての制御装置14が判定したプレイヤの数の情報に基づき、カジノ遊技場を複数のエリアに分けたときの各エリアのエリア混雑度を算出する。エリア混雑度は、当該エリアの総プレイヤポジション数に対するプレイヤの総数の比率である。なお、ミニマムベット管理部616は、エリアごとに、テーブル混雑度が所定の値(例えば、80%)を超える遊技テーブル4の比率をエリア混雑度としてもよい。
【0321】
ミニマムベット管理部616は、カジノ遊技場内のすべての遊技テーブル4及びそのうちのオープンしている遊技テーブル4の数を把握しており、ミニマムベット管理部616にて判定されたエリア混雑度に応じて、エリア毎にオープンすべき遊技テーブル4の推奨数を決定する。具体的には、ミニマムベット管理部616は、エリア混雑度が所定の値(本実施の形態では、80%)以上になると、当該エリアにおいて新たに遊技テーブル4をオープンすることを決定する。
【0322】
新たな遊技テーブル4をオープンさせる場合には、ミニマムベット管理部616は、遊技テーブル4の最低賭け額を設定する。ミニマムベット管理部616は、単純に、新たにオープンする遊技テーブル4の周囲の遊技テーブル4の最低賭け額と同じ最低賭け額を当該新たにオープンする遊技テーブル4に設定してよい。これにより、そのエリアにお客を誘導して、効率よくプレイしてもらうことができる。
【0323】
一方で、ミニマムベット管理部616は、新たに遊技テーブル4をオープンさせる際には、ハウスの売上が最大化するように、最低賭け額を設定してよい。
図46A~
図46Cは、あるエリアにおいて新たに遊技テーブル4をオープンさせる例を説明する図である。ここでも、プレイヤが1人でプレイしているときの1ゲームの平均所要時間は60秒であり、プレイヤが1人増加するごとに1ゲームの平均所要時間は10秒ずつ増加するものとする。また、高額プレイヤ(図においてハッチングされたプレイヤ)の平均ベット額は5,000ドルとし、低額プレイヤ(図において白色で塗りつぶされたプレイヤ)の平均ベット額は1,000ドルとする。
【0324】
図46Aの場合には、遊技テーブル4a、4cがオープンしており、8人の定員に対してそれぞれ7人のプレイヤがゲームに参加しており、そのうちの4人が高額プレイヤであり、3人が低額プレイヤである。
図46Bは、
図46Aの状況において、新たに遊技テーブル4bをオープンさせて、その最低賭け額を5,000ドルとした場合を示している。新たにオープンする遊技テーブル4bの最低賭け額を5,000ドルと設定することで、
図46Bに示すように、遊技テーブル4a、4cでプレイしていた高額プレイヤがすべて遊技テーブル4bに移動してしまうことも考えられる。
【0325】
この
図46Bの場合には、
図46Aの状況で1時間当たり138万ドルあった平均売上は、1時間当たり137.7万ドルに減少してしまう。このように、新たに遊技テーブル4をオープンする場合には、最低賭け額の設定次第では、売上が大して増加しないか、場合によっては減少してしまうことすらある。さらに、新たな遊技テーブル4をオープンすることでかかるコストも考慮すると、カジノ経営者の利益は減少してしまうことになる。
【0326】
図46Aの場合には、
図46Cのように、新たにオープンする遊技テーブル4bについて、低額の最低賭け額を設定すると同時に、すでにオープンしている遊技テーブル4a、4cについては、最低賭け額を上げることが有効である。こうすることで、
図46Aの状況で1時間当たり138万ドルあった平均売上は、1時間当たり176万ドルに増加する。
【0327】
このように、ミニマムベット管理部616は、新たにオープンする遊技テーブル4の最低賭け額を当該遊技テーブル4の周辺の遊技テーブル4の最低賭け額及び実際のベット額に基づいて決定する。また、ミニマムベット管理部616は、
図46Cの例のように、遊技テーブル4を新たにオープンするタイミングで、その周辺の遊技テーブル4の最低賭け額を変更することで、周辺の遊技テーブル4から新たにオープンする遊技テーブル4へのプレイヤの移動を促す。
【0328】
ミニマムベット管理部616は、出勤しているディーラを管理しており、ディーラの数に応じて新たな遊技テーブル4をオープンするか否かを決定する。具体的には、エリア混雑度が高くなった場合にも、待機している(出動可能な)ディーラがなくなったとき(即ち、すべてのディーラが遊技テーブル4についているとき)、及び新たにオープンできる遊技テーブル4がなくなったとき(即ちすべての遊技テーブル4をオープンしてしまっているとき)には、ミニマムベット管理部616は、新たな遊技テーブル4をオープンすることを決定せず、ミニマムベット管理部616がすでにオープンしている遊技テーブル4の最低賭け額を変更することで対応する。
【0329】
ミニマムベット管理部616は、エリア混雑度の推移をエリア毎に記録部62に記録し、記録された推移の情報を基に、エリア毎にオープンすべき遊技テーブル4の推奨数を決定してもよい。すなわち、ミニマムベット管理部616は、エリア混雑度が上昇傾向にある場合には、当該エリアにおいてエリア混雑度が所定の値になる前に、新たな遊技テーブル4をオープンするよう決定する。
【0330】
以上説明したように、本例では、ミニマムベット管理部616は、複数の遊技テーブル4を管理し、複数の遊技テーブル4ごとに、ゲーム毎及び/又は所定の時間毎若しくは期間毎のプレイヤ毎のベット総額を把握し、新たにオープンする遊技テーブルについて最低賭け額を設定する。
【0331】
(プレイヤの特定に基づく最低賭け額の設定)
ミニマムベット管理部616は、ゲームレコードに含まれるベット額及び払出/回収の情報をメンバIDと関連付けて記録部62に記録する。このようにして、ミニマムベット管理部616は、各プレイヤについて、過去のプレイ内容を記録部62に記録する。
【0332】
ミニマムベット管理部616は、さらに、ゲームレコードに基づいて、各プレイヤについて、過去のプレイ内容から、平均ベット額、同じテーブルでの平均連続プレイ時間、最低賭け額上昇時の離席率、最近の勝率及び勝ち越し額等を求めて、それらを各プレイヤの傾向情報として、メンバIDと関連付けて記録部62に記憶する。
【0333】
ミニマムベット管理部616は、各エリアについて、記録部62に記録された当該エリア内の複数のプレイヤの傾向情報に基づいて、新たにオープンすべき遊技テーブルの推奨数を決定してよい。また、ミニマムベット管理部616は、各エリアについて、記録部62に記録された当該エリア内の複数のプレイヤの傾向情報に基づいて、現在オープンしている遊技テーブル4の最低賭け額を設定し、あるいは、新たにオープンする遊技テーブル4の最低賭け額を設定してよい。
【0334】
即ち、上記では、
図46Aの状態から
図46Bに示すように新たに最低賭け額が比較的高い遊技テーブル4bをオープンさせたときに、高額プレイヤがすべて当該遊技テーブル4bに移動することを想定したが、実際には
図46Bのようにはプレイヤが移動しない可能性もある。また、
図46Cでは、遊技テーブル4a、4cにおいて最低賭け額を上昇させた場合に低額プレイヤがすべて離席することを想定したが、低額プレイヤが上昇した最低賭け額に対応してベット額を上げて同じ遊技テーブル4a、4cに残ることもあり得る。よって、ミニマムベット管理部616は、記録部62に記憶されたプレイヤごとの傾向を踏まえて確率を用いたシミュレーションを行って、売上を最大化するように最低賭け額を設定する。
【0335】
<ディーラチップ管理>
ディーラは、負けプレイヤから回収したチップ9をチップトレイ17に収容し、また、勝ちプレイヤに対してチップトレイ17からチップ9を払い出す。したがって、チップトレイ17内のチップ9は増減する。
【0336】
多くのチップ9を回収して、遊技テーブル4にて収容しきれなくなると、ディーラは最寄りのピットのスタッフ(ピットマネージャ)を呼んでチップ9を回収しに来てもらう。逆に、多くのチップ9を払い出して、ゲームの清算において払い出すチップが足りなくなる場合にも、ディーラは最寄りのピットのスタッフを呼んでチップ9を補充してもらう。
【0337】
ディーラチップ管理部617は、制御装置14から送られてくるゲームレコードにおける清算後ディーラチップ額が所定の上限閾値を上回った場合、及び所定の下限閾値を下回った場合には、その旨を当該遊技テーブル4の最寄のピットに通知する。この通知には、少なくとも該当する遊技テーブル4のテーブル番号と、回収であるか補充であるかの情報が含まれる。
【0338】
これにより、ピットマネージャは、管理装置60からの通知に従って該当する遊技テーブル4に対して、回収又は補充の作業を行うことができる。また、ディーラは、ピットマネージャを呼び出すタイミングについて注意を払う必要がなく、ゲームのディーリングに集中することができる。
【0339】
以上のように、本実施の形態のテーブルゲームの管理システムによれば、各遊技テーブル4に各種のセンサを設置することで不正やミスを自動的に発見し、不正やミスを減少させることでハウスの粗利益を増大する。また、不正やミスの発見のために取得したセンシングデータを統計的に処理することにより、ハウスの粗利益を増大させるための各種の分析を行い、ゲーム主催者に提示する。これにより、ゲーム主催者は、不正やミスによる損失という消極要因を減少させることで粗利益を増大させるだけでなく、より積極的な要因を強化することでも粗利益を増大させることができる。
【0340】
なお、上記の実施の形態では、管理システム100は、遊技テーブル4ごとに設置された複数の制御装置14と、それらの複数の制御装置14に接続された管理装置60とを備える構成を有していたが、制御装置14の一部又は全部の機能が管理装置60に備えられていてもよく、管理装置60の一部または全部の機能が各遊技テーブル4の制御装置14に備えられていてもよい。すなわち、上記の制御装置14及び管理装置60の構成及び機能は、各遊技テーブル4に備えられた装置で実現されてよいし、遊技テーブル4とは別の場所(例えば、バックヤード)に備えられた装置で実現されてもよい。
【0341】
以上のように、第3の実施の形態によれば、遊技テーブル4において、ベット内容をカメラ2と画像認識装置としての制御装置14とによって把握し、ゲーム結果をカード配布装置3で把握し、ディーラ額をアンテナとRFリーダとで把握し、それらの情報を管理装置50、60で集中管理するので、カジノ運営者の売上、利益、利益率等を自動で把握することができる。
【0342】
なお、上記の実施の形態では、勝敗判定装置がカード配布装置3によって実現されており、即ち、カード配布装置3が勝敗判定も行う構成であったが、勝敗判定は制御装置14にて行ってもよい。この場合には、カード配布装置3からは、配布されるカードから読み取った情報(カード読取情報)が制御装置14に送信され、制御装置14は、勝敗判定装置として、カード配布装置3からのカード読取情報に基づいて、ゲームルールに従ってゲームの勝敗結果を判定する。
【0343】
また、上記の実施の形態では、算出部511で売上、利益、利益率を算出して、表作成部512で、算出された売上、利益、利益率の集計を行って表やグラフを作成したが、これに代えて、算出部511で一部又は全部の集計を行って、表作成部512が算出部511での集計結果を用いて表やグラフを作成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0344】
1 プレイングカード
1s 複数枚のシャッフルプレイングカード
2 監視カメラ
3 カード配布装置
4 遊技テーブル
5 ディーラ
6 客(ゲーム参加人/プレーヤ)
7 椅子
8 賭けエリア
9 チップ
10 領域
10P プレーヤエリア
10B バンカーエリア
11 ゲーム記録装置
12 画像分析装置
13 結果表示ランプ
14 制御装置
14C カード配布検知装置
15 出力(異常判定結果等)
16 異常表示ランプ
30 配布制限装置
33 スロット
34 ロック部材
35 駆動部
36 ロック部材
37 駆動部
40 配布制限装置
50 管理装置
51 演算装置
511 算出部
512 表作成部
513 警報部
52 記録装置
102 カード収納部
103 インデックス
105 カードガイド部
106 開口部
107 カードガイド
109 制御部
112 側面モニタ