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特開2023-145841平板状ワークの測定装置、及び平板状ワークの測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145841
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】平板状ワークの測定装置、及び平板状ワークの測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
G01B11/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052705
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】三浦 光
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA21
2F065BB01
2F065DD06
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ31
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、物理的な矯正を行うことなく、反りを含むワークの、当該反りを矯正して平板とした際の平板化寸法を含む外観寸法を、反りを含む見掛け上の当該ワークの画像から、画像解析により正確に測定することができる平板状ワークの測定装置を提供することである。
【解決手段】本発明の平板状ワークの測定装置は、載置面、及び、光軸上の画像取得部位Oにて測定線分を含む画像を取得する画像取得機を含み、該ワークが測定断面にて、該一端対応の点a、及び、該他端対応の点bの間の線分である、該測定線分Lで該広がり、該載置面が、該一端の該下面と接触し、かつ、該他端の該下面を支持しない状態で、さらに、点aを中心とする半径Lの円にOから引いた接線と該他端の該上面との為す角度φが70度以上、110度以下となる状態で、該ワークを載置可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面及び下面を有し一端及び他端間に広がる平板状のワークの測定装置であって、
載置面、及び、
画像取得機であって、
光軸上の画像取得部位Oにて、測定線分を含む画像を取得する、
画像取得機を含み、
該ワークが、
該光軸及び該測定線分を含む測定断面において、
該一端対応の点a、及び、該他端対応の点bの間の線分である、
該測定線分Lで該広がり、
該載置面が、
該一端の該下面と接触し、かつ、該他端の該下面を支持しない状態で、さらに、
該測定断面において、
点aを中心とする半径Lの円に、Oから引いた
接線と、該他端の該上面との為す
角度φが、70度以上、110度以下となる状態で、
該ワークを載置可能である、平板状ワークの測定装置。
【請求項2】
前記画像取得機が、
その対象角度を、前記測定断面において、
前記光軸の方向につき0度、
前記一端に向かいマイナス、前記他端に向かいプラスの角度、かつ、
前記他端の前記上面につきα、前記一端の前記上面につきβ、としたときに、
対象角度がβ以上α以下の範囲の画像を、同期取得全画像として、取得可能であり、かつ、
α+β<0度である、請求項1に記載の平板状ワークの測定装置。
【請求項3】
前記他端の前記上面が、前記一端から前記他端に向かい、前記載置面とマイナスの角度をなした際、前記他端の前記下面と接触しない、請求項1、又は2に記載の平板状ワークの測定装置。
【請求項4】
前記載置面が、
これに前記ワークを載置したときに、前記下面とその先端とが接触し、かつ、
前記載置面から高さHの、
突起部と含む、
請求項1~3のいずれかに記載の平板状ワークの測定装置。
【請求項5】
前記画像取得機で取得された、
前記一端の前記上面に対応する画像である一端画像と、
前記他端の前記上面に対応する画像である他端画像と、
に由来するデータを、前記ワークの大きさに係るデータとして出力する、
請求項1~4のいずれかに記載の平板状ワークの測定装置。
【請求項6】
前記高さHが、前記ワークの剛性を含む特性に応じ、可変である、
請求項4、又は5に記載の平板状ワークの測定装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の測定装置を用いた平板状ワークの測定方法。
【請求項8】
前記ワークが、シングリング接続された太陽電池セルである、請求項7に記載の平板状ワークの測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板状ワークの測定装置、及び平板状ワークの測定方法に関し、特に、太陽電池セルをシングリング接続したものである平板状ワークについて好適に適用できる測定装置、及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、反りの生じた平板状のワークに対し、反りを矯正して平板とした際の平板化寸法について、正確な寸法測定を行うためには、真空吸着ステージの使用や、ワークの機械的固定により、物理的に反りを矯正しながら測定を行う。特に、一般的な球面レンズを用いた光学系で、画像解析による寸法測定を行う場合、反りによってワーク載置姿勢が変化することで、撮像画像上における見かけのワーク形状への影響が顕著に現れるため、ワーク位置の固定および矯正を行うことが一般的である。ただし、前記のような矯正機構は、ワークに曲げ応力を加えるため、ワークの損傷を引き起こす可能性があり問題である。また、このような矯正機構を有する測定装置は、構造が複雑かつ大型になるため、導入および保守運用に係るコストが大きく、卓上にて手作業で実施している寸法測定作業を代替したいというニーズに応えることが難しいという問題もある。
【0003】
なお、ワークの変形を物理的に矯正するかわりに、非接触でワークの変形量を算出し、前記変形量に基づき測定データを補正することによって、ワークの表面測定を行う測定方法も知られている。例えば特許文献1は、それぞれ異なる所定の角度で設置された画像取得部1および画像取得部2を有し、第1画像データと第2画像データの視差を利用して所定基準面からのワークの変形量を算出し、変形量に基づき第1画像データまたは第2画像データを補正することで、ワークに変形が生じていても高精度に表面測定を行うことができる測定装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-182013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本発明において主眼とする、前記シングリング接続された太陽電池は、その製造過程において、しばしばシングリング接続に起因する反りを生じる。前記反りは、上面側に向かって凸に反る場合と、下面に向かって凸に反る場合があり、反りの頂点の位置は一定でない。このようなシングリング接続された太陽電池は、一般的には、これを複数枚、精密に整列させて接続、および、反りを除いた最終形態となるように封止することによって、一つの太陽電池モジュールとして機能させるものであるため、反りの有無や大きさに関わらず、反りを矯正して平板とした際の平板化寸法として、その外形寸法を正確に測定することが非常に重要である。
【0006】
特許文献1の測定装置は、反り等の変形が生じた平板上ワークに対して、物理的な矯正を行わずに高精度の表面測定を行うことができ、かつ、一般的な光学機器を用いた単純な構造により実施可能であるという利点を有するものの、ワーク変形量の算出に際して2枚の画像データの視差を利用するため、前記シングリング接続された太陽電池のような、視差発生方向における輝度変化の小さいワーク、例えば無地のワークや、視差発生方向と平行な縞模様等を有するワークに対しては、視差が正しく検出できないため、変形を補正することが困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は、この様な従来技術の問題点を解決すべく為されたものであり、物理的な矯正を行うことなく、反りを含む見掛け上の当該ワークの画像から、反りを矯正して平板とした際の平板化ワークの平板化寸法を含む外観寸法を、画像解析により正確に測定することができる平板状ワークの測定装置、及び平板状ワークの測定方法を提供することを課題とする。
【0008】
好ましくは例えば、反りの生じた平板状のワークに対して、反りの物理的な矯正を行うことなく、反りの発生方向に沿った寸法を、反りを矯正して平板とした際の平板化寸法として、画像解析により簡便に評価することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、かかる課題を解決するため検討を行なったところ、ワークの反りによって生じるワーク載置姿勢の変化と、ワーク載置姿勢の変化によって生じる、撮像画像上における見かけのワーク形状の変化が、画像解析による平板状ワークの寸法測定における測定誤差の発生要因となっていることを見出した。
【0010】
例えば、前述の下に凸のワークでは、平面視ではワークの寸法は小さく観察されることとなるものの、ワーク端部が画像取得機に近付くことにより、画像取得機では、より広い角度範囲において観察・撮像され、見掛け上大きなワークとして観察・撮像され、前述の上に凸のワークでも、平面視ではワークの寸法は小さく観察されることとなるものの、ワーク端部が画像取得機から遠ざかることにより、画像取得機では、より狭い角度範囲において観察・撮像され、見掛け上小さなワークとして観察・撮像される。
【0011】
このような状況に鑑み、種々検討を経て為された本発明は、上面及び下面を有し一端及び他端間に広がる平板状のワークの測定装置であって、
載置面、及び、
画像取得機であって、
光軸上の画像取得部位Oにて、測定線分を含む画像を取得する、
画像取得機を含み、
該ワークが、
該光軸及び該測定線分を含む測定断面において、
該一端対応の点a、及び、該他端対応の点bの間の線分である、
該測定線分Lで該広がり、
該載置面が、
該一端の該下面と接触し、かつ、該他端の該下面を支持しない状態で、さらに、
該測定断面において、
点aを中心とする半径Lの円に、Oから引いた
接線と、該他端の該上面との為す
角度φが、70度以上、110度以下となる状態で、
該ワークを載置可能である、平板状ワークの測定装置に関する。
【0012】
この様な本発明の平板状ワークの測定装置は、ワークの反りを、当該反った形態で維持可能な載置面を含むだけでなく、当該反りによって生じる、画像取得機に対するワーク載置姿勢起因の画像における見かけ上の変化を、抑制して画像取得可能な角度で設置された画像取得部を含むので、ワークを損傷することなく、かつ反りに由来する測定誤差の小さい、一定の、好ましくは、曲率がワーク全長に対し0.5以下の、一度のみ、上に凸、又は、下に凹の、反りを含むワークの、当該反りを矯正して平板とした際の、平板化寸法を含む外観寸法として、正確な寸法測定が可能であり、また、主要構成要素が、載置面を含むワーク載置部及び画像取得機を含む画像取得部のみであり、構造を単純かつ小型にできるため、手作業による卓上寸法測定の代替として、低コストで導入および保守運用が可能である。
【0013】
また、画像取得機は、
その対象角度を、前記測定断面において、
前記光前記軸の方向につき0度、
前記一端に向かいマイナス、前記他端に向かいプラスの角度、かつ、
前記他端の前記上面につきα、前記一端の前記上面につきβ、としたときに、
対象角度がβ以上α以下の範囲の画像を、同期取得全画像として、取得可能であることが好ましく、ワークに対する画像取得機の姿勢を固定し、かつ、ワーク全体を同時期に観察できるので、本発明の構成により他端に凝縮された反り量に対応した反りを含むワークについて、即ち、本発明に係る「反り形態維持機能」を介した、本発明に係る「他端反り量凝縮機能」が有効に奏されたワークについて、あたかも当該反りが矯正された平板化ワークの平板化寸法、即ち、本発明に係る「平板化寸法」に対応する測定線分が、本発明に係る測定線分Lとして観察・撮像可能な状態とすることができるとの、本発明に係る「反り疑似矯正作用」を、より効果的に奏さしめることができ、また、α+β<0度であることが好ましく、即ち、本発明に係る画像取得部位Oを、本発明に係る、一端より、他端に、より近い位置とすることが好ましく、より広い曲率範囲の反りに対して、前記「反り疑似矯正作用」を、より有効に発揮せしめることが可能となる。
【0014】
また、前記他端の前記上面が、前記一端から前記他端に向かい、前記載置面とマイナスの角度をなした際、前記他端の前記下面と接触しないことが好ましく、前述の本発明に係る「反り形態維持機能」を、より確実に発揮せしめることができる。
【0015】
また、前記載置面は、
これに前記ワークを載置したときに、前記下面とその先端とが接触し、かつ、
前記載置面から高さHの、
突起部と含むことが好ましく、このような突起部を含むことにより、前述の本発明に係る「反り形態維持機能」を具体的に実現せしめることができる。
【0016】
即ち、前述の「他端の下面を支持しない」載置面を実現する為には、載置面と接触する一端の下面以外の部分で下面を支持する必要があり、また、前述の「載置面とマイナスの角度」を為す他端の上面としつつ、前述の「載置面が他端の下面と接触」しない状態、即ち、載置面に他端の下面がめり込んだ状態としない為には、当該部分でワークを支持するとともに、載置面から当該部分を持ち上げる必要があり、例えば、当該部分を下から風力で一定の高さに持ち上げる方法等が考えられるが、より簡便に実施する観点から、載置面からの高さがHの突起部とする方法が好ましい。
【0017】
また、このような本発明の測定装置は、前記画像取得機で取得された、
前記一端の前記上面に対応する画像である一端画像と、
前記他端の前記上面に対応する画像である他端画像と、
に由来するデータを、前記ワークの大きさに係るデータとして出力することが好ましく、このような一端画像、及び他端画像は、本発明に係る同期取得全画像として、画像取得機のワークに対する姿勢を変化させることなく、基本的に同時期に取得可能なので、これらの画像を解析することで、ワークの大きさに係るデータを得ることができ、また、本発明の測定装置は、このようなワークの大きさに係るデータを、出力する。
【0018】
また、前記高さHは、前記ワークの剛性を含む特性に応じ可変であることが好ましく、可変とすることで、前述の本発明に係る「反り形態維持機能」を、サイズや剛性の異なる種類のワークに対しても、確保可能であり、本発明の測定装置の適用範囲を拡大することができる。
【0019】
さらに、本発明は、このような本発明の測定装置を用いた平板状ワークの測定方法に関する。
【0020】
また、前記ワークとしては、シングリング接続された太陽電池セルであることが好ましく、より好ましくは、シングリング接続された結晶シリコン太陽電池セルであり、本発明の効果がより効果的に奏される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の平板状ワーク測定装置は、物理的な矯正を行うことなく、反りを含むワークの、当該反りを矯正して平板とした際の平板化寸法を含む外観寸法を、反りを含む見掛け上の当該ワークの画像から、画像解析により正確に測定することができる。
【0022】
また、主要構成要素が、載置面を含むワーク載置部及び画像取得機を含む画像取得部のみであり、構造を単純かつ小型にできるため、手作業による卓上寸法測定の代替として、低コストで導入および保守運用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の平板状ワークの測定装置の一実施態様に係る概要構成図である。
図2】一実施形態のシングリング接続された太陽電池の平面図である。
図3図2のシングリング接続された太陽電池の断面図である。
図4】本発明の平板状ワーク測定に係る、構成説明図である。
図5図4に示す構成説明図の、俯瞰平面図である。
図6】載置面1上に、上に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK1、および下に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK2を載置した状態を図示したものである。
図7】比較例として、突起部11を有さない平板状の載置面1’上に、上に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK1、および下に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK2を載置した状態を図示したものである。
図8】φが好ましい範囲を満たすように画像取得機2を設置し、載置面1上に、凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK1、および下に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK2を載置した状態を図示したものである。
図9】比較例として、画像取得機2を、載置面1に正対するように設置し、上に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK1、および凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK2を載置した状態を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の平板状ワークの測定装置及び平板状ワークの測定方法の実施態様について、これを構成する構成要素の説明と共に、詳述する。
【0025】
(平板状のワークWK)
本発明に係る平板状のワークWKは、上面及び下面を有し、一端A及び他端B間に広がる、所定の例えば、板状やシート状の、本発明の測定装置の測定対象物であり、好ましくは、曲率がワーク全長に対し0.5以下の、一度のみ、上に凸、又は、下に凹の、反りを含み、後述する本発明に係る画像取得機2について、その光軸、及び、その画像内にて測定の用に供される間隔に対応する実空間内での2点間の直線である測定線分、を含む測定断面において、一端Aに対応する点a、及び、他端Bに対応する点bの間の線分である、測定線分となる、線分Lの範囲に広がる。言い換えれば、直線の線分Lは、画像取得機2から観察した、ワークWKの撮像される寸法であり、ワークWKが反りを含まず完全な平板であったと仮定した場合に、測定断面における一端A及び他端Bの間の、より詳細には、これらの上面の間の、寸法に対応する線分であり、即ち、一端A及び他端Bの上面を代表する線と、測定断面とは、点a及び点bを交点とする。そして、本発明の特徴の一つは、ワークWKが反りを含んでいても、当該測定線分Lを撮像し評価することで、反りを矯正して平板とした際の平板化寸法について、評価・測定可能である点である。
【0026】
前記平板状のワークWKは、好ましくは、シングリング接続された太陽電池であり、短冊状の太陽電池セルを短手方向に整列させ導通接着したものなので、本発明に係る反りが生じやすく、かつ、さらに複数枚を接続した後に反りを除いた最終形態となるように封止することで太陽電池モジュールを構成する部材でもあるので、反りの有無や大きさに関わらず、反りを矯正して平板とした際の平板化寸法として、その外形寸法を正確に測定することが非常に重要であるので、本発明に係る効果が効果的に奏される。
【0027】
この様なシングリング接続された太陽電池として、様々な太陽電池が本発明のワークとして測定対象となり得るが、極薄基板そのものをセルとするので、より損傷回避が必要であり、また、より反りが生じ易いといった理由で、結晶シリコン太陽電池が好適である。
【0028】
(シングリング接続された太陽電池)
図2は、一実施形態のシングリング接続された太陽電池の平面図であり、図3は、図2のシングリング接続された太陽電池の断面図である。
【0029】
シングリング接続された太陽電池は、具体的には例えば、図2図3に示すとおり、複数枚の短冊状の太陽電池セル3を、その短手方向に整列させ、隣り合う2枚の太陽電池セル3のうち、一方の上面側電極層31と、他方の下面側電極層32が導通するように、端部を重ね合わせた状態で接着したものである。
【0030】
シングリング接続された太陽電池は、その製造過程において、しばしば前記短冊状の太陽電池セル3の短手方向である整列方向に沿った、即ち、該方向の太陽電池の面内の線分が該方向の直線から上に凸や下に凸に、反りを生じ、前記反りは、上面側に向かって反る、即ち、凸となる場合と、下面に向かって反る即ち、凹となる場合があり、反りの頂点の位置は一定でない。このような前記シングリング接続された太陽電池は、一般的には、これを複数枚、精密に整列させて接続した後に反りを除いた最終形態となるように封止することにより一つの太陽電池モジュールとして製品化されるので、反りの有無や大きさに関わらず、反りを矯正して平板とした際の平板化寸法として、その外形寸法を正確に測定する必要があるため、本発明の効果が効果的に奏される。
【0031】
(平板状ワークの測定装置10)
本発明の測定装置10は、平板状のワークWKにつき、その測定を実施する装置であり、当該ワークWKを載置する為の載置面1、及び、当該測定の為にワークWKに係る画像を取得する画像取得機2を少なくも備え、測定項目としては、ワークWKに係る画像から得られる項目であれば様々な測定が可能であり、少なくともワークWKの大きさに係る項目を含み、上述の本発明に係る「平板化寸法」を含むことが、本発明の特徴の一つであり、好ましくは、このようなワークWKの大きさに係るデータを、当該測定装置の内部、又は、外部のCPU等を含む信号制御機器に出力する。
【0032】
このような本発明の測定装置10は、特定の状態のワークWKに係る画像を、特定の方法で取得することができるので、ワークWKの「平板化寸法」を含む、寸法の測定を、一定の状況に対応し実施可能であり、場合によっては、ワークWKの反りに係る形状や大きさ等も測定可能であり、また、内部に制御機器を含む様に構成すれば、寸法測定を超える、良否判定を伴う測定も可能な装置である。
【0033】
測定装置10は、蛍光灯やLED等の発光体を含む照明機器を具備していてもよい。図1は、本発明の平板状ワークの測定装置の一実施態様に係る概要構成図である。
【0034】
前記ワークWKの大きさに係るデータの具体例は、一端Aの上面に対応する画像である一端画像と、他端Bの上面に対応する画像である他端画像と、に由来するデータであり、これらの画像は本発明の測定装置10では、好ましくは、本発明に係る同期取得全画像に含まれるので、この同期取得全画像上でのAB間の距離に基づく評価・解析を介し、ワークWKの大きさに係る、少なくとも、本発明に係る「平板化寸法」を含む、データを短時間で出力可能である。
【0035】
(載置面1)
図4は、本発明の平板状ワーク測定に係る、構成説明図である。
【0036】
本発明に係る載置面1は、一端Aの下面と接触した状態で、本発明に係る「平板化寸法」の精度向上観点からは、より好ましくは、点aにて下面と接触した状態にて、かつ、他端Bの下面を支持しない状態で、ワークWKを載置可能であり、好ましくは、載置面から高さHの突起部11であって、ワークWKの下面と接触する突起部11を有し、他端Bの上面が、一端Aから他端Bの方向に向かい、載置面とマイナスの角度を為した際に、好ましくは、載置面が、他端Bの下面と接触しない。このような構成に載置面1をすることで、本発明に係る「反り形態維持機能」及び「他端反り量凝縮機能」が有効に機能し、「反り疑似矯正作用」を介して、「平板化寸法」が測定可能となる。
【0037】
このような載置面1は、ワークWK及び画像取得機2との関係において、本発明に係る、「反り疑似矯正作用」を介し「平板化寸法」を測定可能たらしめる為に、測定断面において、点aを中心とする半径Lの円に、後述の画像取得機2の画像取得部位Oから引いた接線Tと、他端Bの上面、即ち、ワークWKが反り含まず完全な平板であったと仮定した場合には、その完全平板の上面、ワークWKが下に凸の反りを有する場合には、前記完全平板上面より上に突き出て、より急峻な角度を有する現実の点bでの上面、ワークWKが上に凸の反りを有する場合には、前記完全平板上面より下に突き出て、より緩慢な角度を有する現実の点bでの上面、である傾斜面との為す角度φが、70度以上、110度以下となる状態で、前記載置可能であることを要する。
【0038】
φが、90度の状態で載置されている場合に、点b上面は、画像取得機2の画像取得部位Oから、当該点b上面でのワークWKの、前述の反りの状態に応じた、傾斜面を、当該傾斜面に垂直に見下ろすこととなる。
【0039】
このようなφを、一定角度範囲内、具体的には、上記70度以上、110度以下、好ましくは85度以上、95度以下、とすることにより、本発明に係る「反り疑似矯正作用」が得られることを見出したことが、本発明の特徴の一つであり、即ち、前述の、急峻傾斜角面、緩慢傾斜角面、のいずれにおいてでも、完全平板面に近い測定線分Lが観察・撮像され、解析結果として「平板化寸法」を得ることが可能な画像を、画像取得機2にもたらすことを、見出したものである。
【0040】
前記載置面から高さHは、ワークWKの剛性を含む特性に応じ、可変であることが好ましい。
【0041】
このような載置面1につき、具体的には、これに前記ワークWKを載置したときに、図4に示すとおり、前記ワークWKの一端Aにおける下面が載置面1と接触し、前記ワークWKの前記一端A及び他端B間における下面の一部が前記突起部11と接触し、前記他端Bは載置面1と接触しないよう支持することが可能である。
【0042】
好ましくは、載置面1は、前記突起部11に加えて、前記ワークWKの載置位置を示す、マーキングないしは、ワークWKの一端Aを接触位置決め可能な凹凸状の構造を有し、これにより毎回同じ位置に、特に、一端A、より詳細には、その下面につき、高精度で同じ位置に、ワークWKを載置することができ、本発明に係る評価・解析の簡略化、迅速化を図ることができる。
【0043】
(突起部11)
突起部11は、載置面1から突起部突端までの高さHを有する、一または複数の構造であって、前記ワークWKを前記載置面1上に載置した際に、一端Aの下面に載置面1が接触し、他端Bの下面が載置面1により支持されない、即ち、浮いた状態か、又は、軽く接触する程度の状態とするための機能を有し、突起部11のワークWKにおける当該接触部は、当該機能を発揮せしめる為に、ワークWKの重心より他端Bに近い位置とされ、重さにつき面内均一のワークWKであれば、突起部11から前記一端Aまでの距離が、突起部11から前記他端Bまでの距離よりも大きくなる位置に配置される。好ましくは、突起部11は、高さH及び突起部11から前記一端Aまでの距離を、変更可能な構造を有する。
【0044】
(画像取得機2)
画像取得機2は、その画像の取得対象に向かう方向であって、取得可能な全方向の中心の方向を、その光軸とした場合に、当該光軸上の、画像情報の集約部位である、画像取得部位Oにて、測定線分を含む画像を取得し、具体的には例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子を有するエリアカメラであって、このような撮像装置が複数個組み合わされたものであっても良いが、低コスト化及び簡便化の観点からは、一台の撮像装置から構成されるものであることが好ましく、一台の撮像装置から構成される場合には、具体的には、前記光軸は、撮像素子と、レンズ焦点とを結ぶ直線であり、前記画像取得部位Oは、大まかには、カメラや撮像素子の設置部位であるが、より詳細には、取得対象から前記光軸に平行に画像取得機2に向かう光が、レンズで焦点を結ぶ、焦点位置であり、多くは、撮像位置であり、前記ワークWKを上方から撮像するものであって、図1に示すとおり、前記載置面1上における、前記ワークWKの一端Aと平行を為す方向をx方向とし、載置面1上でこれと直交する方向をy方向とし、x-y平面に直交する方向をz方向としたときに、その撮像光軸がy-z平面上にあり、かつz方向に対し、所定の角度θの傾きを有することが好ましい。
【0045】
このような画像取得機2は、その対象角度の定義として、本発明に係る測定断面において、前記光軸の方向につき0度とし、一端Aに向かいマイナス、他端Bに向かいプラスの角度とし、他端Bの上面につきαとし、かつ、一端Aの上面につきβとしたときに、好ましくは、対象角度がβ以上α以下の範囲の画像を、同期取得全画像として、取得可能であり、好ましくは、α+β<0度である。
【0046】
また、前記所定の角度θは、前記角度φが、前記一定角度範囲を満たすよう決定される。
【0047】
また、例えば、画像取得機2は、前記x方向、y方向およびz方向により定義される三次元的位置および前記所定の角度θを、それぞれ独立して変更可能な構造を有することが好ましい。
【実施例0048】
図6は、本発明に係る載置面1上に、ワークWKを載置した状態で、ワークWKに上に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK1、およびワークWKに下に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK2を図示したものである。
【0049】
図7は、一般的な構成の一例として、本発明に係る突起部11を有さない、平板状の載置面1’上に、同様にワークWKを載置した状態で、ワークWKに上に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK1、およびワークWKに下に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK2を図示したものである。
【0050】
ワークWKは、突起部11を有さない載置面1’上に載置された場合では、図7に示す通り、反りの発生によって、点aおよび点bの両点における載置姿勢が変化するのに対し、本発明に係る載置面1上に載置された場合では、図6に示す通り、反りの有無および発生方向に関わらず、点aにおける載置姿勢が一定に維持され、本発明の「他端反り量凝縮機能」が有効に奏される。
【0051】
図8は、前記φが、本明細書にて記載の好ましい範囲を満たすように、前記画像取得機2を設置し、本発明に係る載置面1上に、ワークWKを載置した状態で、ワークWKに上に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK1、およびワークWKに下に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK2を図示したものである。
【0052】
図9は、一般的な構成の一例として、画像取得機2を、載置面1に正対するように設置し、載置面1上にワークWKを載置した状態で、ワークWKに上に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK1、およびワークWKに下に凸の反りが生じた場合の仮想ワークWK2を図示したものである。
【0053】
画像取得機2を載置面1に正対するように設置した場合では、図9に示す通り、ワークWK1上およびワークWK2上のそれぞれ点bに対応する点が、前記画像取得部位OとワークWK上の点bを結ぶ直線に対し、それぞれ図中の右下方向および左上方向に逸脱するため、取得画像における見かけの形状は、WK1はWKよりも小さく、WK2はWKよりも大きくなる。
【0054】
一方で、画像取得機2を、φが好ましい範囲を満たすよう設置した場合では、図8に示す通り、ワークWK1上およびワークWK2上のそれぞれ点bに対応する点は、画像取得部位OとワークWK上の点bを結ぶ直線に対して、どちらも図中の右下方向に逸脱し、かつ逸脱距離も図9の場合と比べて小さいため、取得画像における見かけの形状は、WK1およびWK2のいずれにおいても、WKよりわずかに小さくなるのみであり、この前記「反り疑似矯正作用」を介することで、前記「平板化寸法」について誤差の小さい評価が可能となる。
【符号の説明】
【0055】
10 平板状ワークの測定装置
1 載置面
11 突起部
1’ 突起部を有さない平板状の載置面
H 高さ
2 画像取得機
O 画像取得機2の画像取得部位O
WK 平板状ワーク
L ワークWKの画像取得機2にて取得される測定線分
WK1 WKに、上に凸の反りが生じた場合の仮想ワーク
WK2 WKに、下に凸の反りが生じた場合の仮想ワーク
3 短冊状の太陽電池セル
31 短冊状の太陽電池セルの上面側電極層
32 短冊状の太陽電池セルの下面側電極層
A 一端
a 一端に対応する測定線分上の点
B 他端
b 他端に対応する測定線分上の点
T 測定断面において、点aを中心とする半径Lの円に、Oから引いた接線
φ 接線Tと、他端Bの上面との為す角度
α 他端Bの上面に対する対象角度
β 一端Aの上面に対する対象角度
x 載置面上の、ワーク一端と平行を為す方向
y 載置面上の、xと直交する方向
z x-y平面と直交する方向
θ z方向に対する、画像取得機の傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9