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  • 特開-電線類地中化工法および路面蓋 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145846
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】電線類地中化工法および路面蓋
(51)【国際特許分類】
   H02G 9/02 20060101AFI20231004BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H02G9/02 050
H02G1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052711
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 啓介
(72)【発明者】
【氏名】小飯塚 翔
(72)【発明者】
【氏名】富田 翔
【テーマコード(参考)】
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
5G352CG01
5G369BA01
5G369DA01
5G369EA01
(57)【要約】
【課題】資材費を削減し、且つ施工時間の短縮化を図ることができ、電力の使用量が少ない山間部や島嶼部等においても好適に適用することが可能な電線類地中化工法および路面蓋を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明にかかる電線類地中化工法の構成は、地面Gを掘削して形成した溝40に配線を埋設する電線類地中化工法であって、地面Gに溝40を掘削し、溝40に管路(FEP管10、VP管20)を敷設し、天井110と一対の側壁120からなり底面および両端が開口した断面U字形の路面蓋100を管路にかぶせ、路面蓋100の天井110の上面110aが地表面Sと一致するようにレベル合わせをした状態で溝を埋め戻すことを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面を掘削して形成した溝に配線を埋設する電線類地中化工法であって、
地面に溝を掘削し、
前記溝に砕石を敷き、
前記溝に管路を敷設し、
天井と一対の側壁からなり底面が開口した断面U字形の路面蓋を管路にかぶせ、
前記路面蓋の天井の上面が地表面と一致するようにレベル合わせをした状態で前記溝を埋め戻すことを特徴とする電線類地中化工法。
【請求項2】
地面を掘削して形成した溝に電線類を埋設する路面蓋であって、
天井と一対の側壁からなり底面および両端が開口した断面U字形であり、
前記側壁は下端に向かうにしたがって厚くなっていることを特徴とする路面蓋。
【請求項3】
当該路面蓋は、一端には凸部が形成されていて、他端には凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の路面蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面を掘削して形成した溝に配線等を埋設する電線類地中化工法、およびそれに用いられる路面蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今の自然災害の激甚化により、災害時における電力供給や通信の安定性と強化が求められている。その対策の1つとしては、無電柱化すなわち電力と通信用の配線等の地中化(電線類地中化)が挙げられる。電線類地中化では、地中に配管を埋設し、かかる配管内に電力や通信ケーブル(電線類)を敷設する。
【0003】
電線類地中化の整備手法としては、ケーブルを収容する管路と需要家への供給のための分岐・接続等を行う特殊部を用いる管路方式や、小型化したボックス内に複数のケーブルを収容し埋設する小型ボックス方式等がある。小型ボックス方式としては、例えば特許文献1に「送電用の電線を通すための少なくとも1つの軸方向貫通孔を有して地中へ埋設されるブロックを複数個順次接続してなる地中埋設型電線案内ブロック装置」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-106119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した電線類地中化の整備手法のうち管路方式では、管路や特殊部を設置する際の掘削や施工の範囲が広い。特に管路を敷設するには,舗装厚10cm下への埋設が必要であるため,車道等の舗装構造が厚くなる箇所では,管路を敷設する位置がより深くなる。このため管路方式では、多くの費用および時間を要する。
【0006】
一方、小型ボックス方式では、道路の表層付近に設備を設置する事が可能であるが、セキュリティの観点からシリンダー錠のような鍵付きの蓋を設置する必要がある。このため、小型ボックス方式では資材費が高価である。また小型ボックス方式を採用する際には、小型ボックス本体を施工する際に路面とのレベル合わせ等の作業が必要となる。この作業には熟練した技術が必要であることから、施工に時間を要することとなっている。
【0007】
近年では、都市部だけでなく、電力の使用量が少ない山間部や島嶼部等においても電線類地中化の普及が進められている。しかしながら、上述した従来の管路方式や小型ボックス方式では、資材費が高く、施工時間が多大にかかるため、山間部や島嶼部等に適用するには費用対効果の面において課題を有していた。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、資材費を削減し、且つ施工時間の短縮化を図ることができ、電力の使用量が少ない山間部や島嶼部等においても好適に適用することが可能な電線類地中化工法および路面蓋を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる電線類地中化工法の代表的な構成は、地面を掘削して形成した溝に電線類を埋設する電線類地中化工法であって、地面に溝を掘削し、溝に砕石を敷き、溝に管路を敷設し、天井と一対の側壁からなり底面および両端が開口した断面U字形の路面蓋を管路にかぶせ、路面蓋の天井の上面が地表面と一致するようにレベル合わせをした状態で溝を埋め戻すことを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明にかかる路面蓋の代表的な構成は、地面を掘削して形成した溝に電線類を埋設する路面蓋であって、天井と一対の側壁からなり底面および両端が開口した断面U字形であり、側壁は下端に向かうにしたがって厚くなっているとよい。また当該路面蓋は、一端には凸部が形成されていて、他端には凹部が形成されているとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、資材費を削減し、且つ施工時間の短縮化を図ることができ、電力の使用量が少ない山間部や島嶼部等においても好適に適用することが可能な電線類地中化工法および路面蓋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態にかかる電線類地中化工法を説明する図である。
図2図1に示す本実施形態の路面蓋の四面図である。
図3】本実施形態の電線類地中化工法の工程について説明する図である。
図4】本実施形態の電線類地中化工法の工程について説明する図である。
図5】本実施形態の路面蓋の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態にかかる電線類地中化工法を説明する図である。図1に示すように本実施形態にかかる電線類地中化工法では、後述するように地面Gを掘削して溝を形成し、かかる溝内に路面蓋100を配置する。路面蓋100は上面110aが地表面に露出するように配置する。これにより、電線類を収容した管路を路面蓋100の内部に収容することで、電線類が溝に埋設される。具体的には図1では、電力ケーブルに挿通されたFEP管10や、VP管20に挿通された通信ケーブルが電線類として溝に埋設される(電力ケーブルおよび通信ケーブルは不図示)。
【0015】
図2は、図1に示す本実施形態の路面蓋100の四面図である。図2に示す本実施形態の路面蓋100は、地面Gを掘削して形成した溝に電線類を埋設するために用いられる。本実施形態の路面蓋100は、天井110と一対の側壁120からなり、底面および両端が開口した断面U字形状を有する長尺のブロックである。
【0016】
また本実施形態の路面蓋100は、調整ねじ132を有する調整台座130を備える。
調整ねじ132は、側壁120の下面に取り付けられ、側壁120に対する調整ねじ132のねじ込み量を調整することにより、一対の側壁120の高さをそれぞれ調整することができる。
【0017】
更に本実施形態の路面蓋100は、開口した両端のうち一端には凸部122が形成されていて、他端には凹部124が形成されている。これにより、1つの路面蓋100の凹部124に他の路面蓋100の凸部122を嵌め込むことで複数の路面蓋100を連結することができる。したがって、路面蓋100の数を変更することで、様々な長さの電線類の埋設に適用することが可能となる。
【0018】
図3および図4は、本実施形態の電線類地中化工法の工程について説明する図である。図3および図4では、地面Gを上方から観察した状態を左側に示していて、地面Gの断面を観察した状態を右側に示している。なお図3および4では、図1に示したVP管20は不図示としている。
【0019】
本実施形態の電線類地中化工法では、まず図3(a)に示すように、地面Gの表層である舗装32(例えばアスファルト等)をカッター30によって切断する(カッター入れ)。そして図3(b)に示すように、切断した舗装32を剥がし、舗装32の下の路盤34(例えば砕石)を露出させる(表層剥がし)。
【0020】
次に図3(c)に示すように、路盤34の下の土36が露出するまで路盤34を掘削する。これにより、地面Gを掘削した溝40が形成される(路盤剥がし)。溝40を形成したら図4(a)に示すように、土36の上に溝40の所定深さHまで砕石42を敷いて転圧する(砕石敷き均しおよび転圧)。
【0021】
次に図4(b)に示すように、溝40の内部にFEP管10を敷設する(管路敷設)。これにより、FEP管10ひいてはその内部に挿通された電力ケーブルが溝40の所定深さHに配置される。溝40にFEP管10を配置したら、本実施形態の路面蓋100を、図4(c)に示すようにFEP管10にかぶせた状態になるように敷設する(路面蓋敷設)。
【0022】
その後、図4(d)に示すように、路面蓋100の天井110の上面110aが地面Gの表面(地表面)と一致するようにレベル合わせをし、路面蓋100の周囲の溝40(溝40の隙間)を埋め戻す(埋め戻し)。これにより、FEP管10に挿通されている電力ケーブル(電線類)が地中に埋設される。
【0023】
このとき特に本実施形態の路面蓋100では、上述したように側壁120の下面に調整台座130が取り付けられている。これにより、例えば地表面Sが傾斜している場合であっても側壁120の高さを調節して地表面Sとのレベル合わせを容易に行うことが可能である。
【0024】
上記説明したように本実施形態の路面蓋100およびそれを用いた電線類地中化工法では、電線類の埋設に用いられる路面蓋100が極めて簡素な構造であり、且つ路面蓋100の開口を下方に向けた状態で溝に配置することによって路面蓋100の設置が可能である。したがって、資材費を削減し、且つ施工時間の短縮化を図ることができる。これにより、電力の使用量が少ない山間部や島嶼部等においても電線類地中化を好適に適用することが可能となる。
【0025】
更に本実施形態の路面蓋100では、側壁120は、下端に向かうにしたがって厚くなっている。これにより、路面蓋100(厳密には側壁120の下面)と溝40に敷かれた砕石42との設置面積を増やすことができる。したがって、溝に設置された100(厳密には天井110の上面110a)にかかった荷重(車両の荷重など)を砕石42に効率的に分散することが可能となる。
【0026】
特に本実施形態の路面蓋100では図1に示すように、側壁120は、外面126が下端に向かうにしたがって外側に傾斜していて、内面128が天井110に対して略垂直となっている。このように内面128が垂直であることにより、側壁120の下面の面積を広く確保し、且つ路面蓋100の内部の収容空間を広くすることができる。
【0027】
図5は、本実施形態の路面蓋100の他の例を説明する図である。図5(a)に示す路面蓋100aでは、外面126aが天井110に対して略垂直となっていて内面128aが下端に向かうにしたがって内側に傾斜している。このように外面126aが垂直であることにより、地面Gに掘削する溝40の幅を狭めることができ、溝40を掘削する作業に要する労力や時間を削減することが可能となる。
【0028】
図5(b)に示す路面蓋100bでは、外面126bが下端に向かうにしたがって外側に傾斜していて、内面128bが下端に向かうにしたがって内側に傾斜している。かかる構成によれば、側壁120の下面の面積を側壁120および120aに比して広くすることができ、路面蓋100bにかかった荷重をより効率的に42に分散することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、地面を掘削して形成した溝に電線類を埋設する電線類地中化工法、およびそれに用いられる路面蓋に利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10…FEP管、20…VP管、30…カッター、32…舗装、34…路盤、36…土、40…溝、42…砕石、100…路面蓋、100a…路面蓋、100b…路面蓋、110…天井、110a…上面、120…側壁、122…凸部、126…外面、126a…外面、126b…外面、128…内面、128a…内面、128b…内面、130…調整台座、132…調整ねじ、G…地面、S…地表面
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面を掘削して形成した溝に配線を埋設する電線類地中化工法であって、
地面に溝を掘削し、
前記溝に管路を敷設し、
天井と一対の側壁からなり底面が開口した断面U字形の路面蓋を管路にかぶせ、
前記路面蓋の天井の上面が地表面と一致するようにレベル合わせをした状態で前記溝を埋め戻すことを特徴とする電線類地中化工法。
【請求項2】
地面を掘削して形成した溝に電線類を埋設する路面蓋であって、
天井と一対の側壁からなり底面および両端が開口した断面U字形であり、
前記側壁は下端に向かうにしたがって厚くなっていることを特徴とする路面蓋。
【請求項3】
当該路面蓋は、一端には凸部が形成されていて、他端には凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の路面蓋。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明にかかる電線類地中化工法の代表的な構成は、地面を掘削して形成した溝に電線類を埋設する電線類地中化工法であって、地面に溝を掘削し、溝に管路を敷設し、天井と一対の側壁からなり底面および両端が開口した断面U字形の路面蓋を管路にかぶせ、路面蓋の天井の上面が地表面と一致するようにレベル合わせをした状態で溝を埋め戻すことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
次に図3(c)に示すように、路盤34の下の土36が露出するまで路盤34を掘削する。これにより、地面Gを掘削した溝40が形成される(路盤剥がし)。溝40を形成したら図4(a)に示すように、土36の上に溝40の所定深さHまで砕石42を敷いて転圧する(砕石敷き均しおよび転圧)。なお、本実施形態では土36の上に溝40の所定深さHまで砕石42を敷く構成を例示したが、これに限定するものではない。現場状況によっては、砕石42に替えてまたは砕石42と併せて、モルタル等の路盤材(基礎材)を用いることも可能である。