(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145865
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】支持金具
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20231004BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20231004BHJP
F16B 2/12 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
H01Q1/22 Z
F16B2/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052737
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000206668
【氏名又は名称】株式会社大谷工業
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】酒井 孝
(72)【発明者】
【氏名】石和 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】野田 茂宏
【テーマコード(参考)】
3J022
5J047
【Fターム(参考)】
3J022DA15
3J022EA41
3J022EB03
3J022EC02
3J022FB03
3J022FB06
3J022FB22
3J022GA12
3J022GB32
3J022HB02
5J047AA10
5J047BG10
5J047EF01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アンテナ設置用の支持金具を強固に固定する。
【解決手段】支持金具10は、管状に形成された本体金具11,本体金具11に取り付けられてアンテナ21aを支持する支柱金具12,パラペットPを把持する一対の管状の脚金具13、14を備える。脚金具13を構成する脚パイプ25の両サイドには高ナット29が溶接されている。高ナット29には押しボルト32の軸部が螺入し、軸部の先端側は、押さえ板31に溶接されたボルト受部31aに締結されている。この押しボルト32の軸部を高ナット29に螺入させていくに従って押さえ板31が押圧され、パラペットPが脚部13、14間に把持固定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋上に形成されたパラペットを利用して対象物を支持する支持金具であって、
管状に形成された本体金具と、
前記本体金具に取り付けられ、かつ前記対象物を支持する支持部材と、
前記本体金具の長手方向の両側に設けられ、かつ前記パラペットを把持する一対の脚金具と、
一方の前記脚金具の両サイドに固定された高ナットと、
前記高ナットに螺入する押しボルトと、
前記押しボルトを前記高ナットに螺入させていくに従って、前記パラペットを押圧して前記脚部間に把持させる押さえ板と、
を備えることを特徴とする支持金具。
【請求項2】
前記押さえ板には、前記押しボルトの軸部が締結されるボルト受部が固定されている一方、
前記押しボルトの軸部先端は、弧状の丸先形状に形成され、
前記押しボルトを前記高ナットに螺入させていくに従って、前記軸部先端が前記押さえ板を押圧し、
前記脚部間に前記パラペットが把持されることを特徴とする請求項1記載の支持金具。
【請求項3】
前記本体金具は、複数の管状金具を略並行に連結して構成され、
前記支持部材は、前記対象物を構成するアンテナを支持する支柱金具により構成され、
中央に配置された前記管状金具に前記支持金具を立設する一方、
両サイドに配置された管状金具のそれぞれに管状に形成された前記脚金具を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の支持金具。
【請求項4】
前記支持部材は、他方の前記脚金具に回転自在に軸支された第1の滑車を備え、
前記建物の側面には第2の滑車が回転自在に軸支され、
前記対象物としてのケーブルをラッシングしたワイヤを前記両滑車に巻回したことを特徴とする請求項1または2記載の支持金具。
【請求項5】
前記支持部材は、他方の前記脚金具に設けられたアイボルトにより構成され、
前記アイボルトにケーブルをラッシングしたワイヤを吊支したことを特徴とする請求項1または2記載の支持金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋上のパラペットを利用して、アンテナまたはケーブルなどの対象物を支持する支持金具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばアンテナなどを屋上のパラペットに設置する支持金具として、特許文献1が公知となっている。
図11(a)に基づき概略を説明すれば、特許文献1の支持金具1は、縦断面逆U字状に形成された金具本体2と、金具本体2に立設された支柱金具3とを備えている。
【0003】
この金具本体2は、L字金具2A,2Bを連結して構成されている。この各L字金具2A,2Bの下端部の両サイドには、一対のナット4が溶接により連装されている。
【0004】
そして、
図11(b)に示すように、連装ナット4群に押しボルト5を螺入させていくに従って押さえ板6がパラペットPを締め付けて把持する。これより支持金具1がパラペットに固定され、その後に支柱金具3にアンテナを取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、連装ナット4群を用いることでパラペットPの把持力の向上を図っている。ところが、現在では支柱金具3に従来よりも大きなアンテナなどが取り付けられることが多く、把持力の不足を招くおそれがあった。
【0007】
一方、押しボルト5による締付トルクを増加させると、L字金具2A,2Bが変形し、各ナット4の連通精度が悪化するケースを生じる場合がある。この場合には押しボルト5の通りが悪化して押圧力を弱めるため、却って把持力を低下させるおそれがある。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされ、建物屋上のパラペットに支持金具をさらに強固に固定することを解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、建物の屋上に形成されたパラペットを利用して対象物を支持する支持金具であって、
管状に形成された本体金具と、
前記本体金具に取り付けられ、かつ前記対象物を支持する支持部材と、
前記本体金具の長手方向の両側に設けられ、かつ前記パラペットを把持する一対の脚金具と、
一方の前記脚金具の両サイドに固定された高ナットと、
前記高ナットに螺入する押しボルトと、
前記押しボルトを前記高ナットに螺入させていくに従って、前記パラペットを押圧して前記脚部間に把持させる押さえ板と、を備える。
【0010】
(2)このとき前記押さえ板には、前記押しボルトの軸部が締結されるボルト受部が固定されている一方、
前記押しボルトの軸部先端は、弧状の丸先形状に形成され、
前記押しボルトを前記高ナットに螺入させていくに従って、前記軸部先端が前記押さえ板を押圧し、前記脚部間に前記パラペットが把持されるように構成することができる。
【0011】
(3)本発明の一態様において、
前記本体金具は、複数の管状金具を略並行に連結して構成され、
前記支持部材は、前記対象物を構成するアンテナを支持する支柱金具により構成され、
中央に配置された前記管状金具に前記支持金具を立設する一方、両サイドに配置された管状金具のそれぞれに管状に形成されている。
【0012】
(4)本発明の他の態様において、
前記支持部材は、他方の前記脚金具に回転自在に軸支された第1の滑車を備え、
前記建物の側面には第2の滑車が回転自在に軸支され、前記対象物としてケーブルをラッシングしたワイヤが前記両滑車に巻回されている。
【0013】
(5)なお、本発明のさらに他の態様において、
前記支持部材は、他方の前記脚金具に設けられたアイボルトにより構成され、前記アイボルトにケーブルをラッシングしたワイヤが吊支されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、建物屋上のパラペットに支持金具をさらに強固に固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】(a)は一方の脚パイプの側面図、(b)は同背面図、(c)は他方の脚金具の側面図、(d)は同背面図。
【
図6】押しボルトを高ナットに螺合して押さえ板を押圧した状態を示す拡大側面図。
【
図8】実施例2の支持金具の使用状態を示す概略図。
【
図9】(a)は
図8中の支持金具50aの側面図、(b)は同平面図、(c)は同背面図。
【
図10】(a)は
図8中の支持金具50bの正面図、(b)は同支持金具50bの固定状態を示す断面図。
【
図11】(a)は特許文献1の支持金具を示す斜視図、(b)は同連装ナットに押しボルトを螺合して押さえ板を押圧した状態を示す拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係る支持金具を説明する。この支持金具は、建物の屋上のパラペットを挟み込んで固定される。
【0017】
ここでは特許文献1の支持金具の連装ナット4群を高ナットに変更し、押しボルト5の軸部先端を丸くした先丸ボルトを使用している。これにより特許文献1の支持金具に比べてさらに強固にパラペットPに固定することを可能にしている。
【実施例0018】
図1~
図7に基づき実施例1の前記支持金具10を説明する。本実施例の前記支持金具10は、例えばアンテナなど様々な対象物をパラペットPに設置するために用いられ、特に5G通信のアンテナ(以下、5Gアンテナとする。)など質量の大きな対象物の設置に好適である。
【0019】
具体的には前記支持金具10は、
図1~3に示すように、本体金具11と、本体金具11に立設された支柱金具12と、本体金具11の前側Fに設置された脚金具13と、本体金具11の後側Bに設置された一対の脚金具14とを主体に構成されている。
【0020】
≪本体金具11,支柱金具12≫
(1)本体金具11は、
図2および
図3に示すように、三つの管状金具(パイプ状金具)111,112,113を備え、中央の管状金具111および両サイドの管状金具112,113を略並行に連結して構成され、管状金具11の前方F側には支柱金具12の固定穴111cが形成されている。
【0021】
この管状金具111,112,113の側板111a,111b,112a,112b,113a,113bには、それぞれ一列の連通孔15aが形成されている。また、管状金具112,113の上下板112d,112e,113d,113eの後方F側には、それぞれ二列の連通孔15bが形成されている。
【0022】
ここでは管状金具111,112,113の連通孔15aに連結ボルト16の軸部を挿通し、該軸部にナット17を締結することで各管状金具111,112,113が連結されている。
【0023】
(2)支柱金具12は、
図1および
図3に示すように、円柱ポール状に形成され、上端外周にアンテナ21aの支持具22が取り付けられ、上端面に避雷突針21bが立設されている。なお、避雷突針21bを立設することなく、上端面に図示省略の頂板(蓋部)を設けてもよいものとする。
【0024】
一方、支柱金具12の下端部は、管状金具111の上板111dに形成された取付穴111cに挿入されている。この支柱金具12の下端部に形成された貫通孔(図示省略)には連結ボルト16が挿通されている。この連結ボルト16の軸部にナット17を締結することで管状金具111,112,113と共締めされている。
【0025】
≪脚金具13,14≫
脚金具13は、管状パイプを主体に構成され、上端部13aが管状金具111の前方F側の端部に溶接により固定され、下端部13bが下方向を向いている。
【0026】
一方、脚金具14は、
図4に示すように、管状の脚パイプ25を主体に構成され、上端部には断面L字状の押さえ板26が溶接され、該押さえ板26の一端部26aに貫通孔20が形成され、他端部26bに貫通孔30が形成されている。この他端部26bの底面および脚パイプ25の背面には、略三角形状の押さえ板27が溶接されている。この他端部26bの底面および脚パイプ25の内側面には、略三角形状の押さえ板28が溶接されている。
【0027】
ここでは管状金具111,112,113を連結する際に連結ボルト16,24の軸部を貫通孔20,30に挿通してナット17,23を締結することで脚パイプ25が共締めされている。このとき連通孔15a,15bの選択することで脚パイプ25の取付位置をパラペットPの幅Wに応じて調整することができる。
【0028】
この脚パイプ25の両サイド(内側面・外側面)には、高ナット(長ナット)29が溶接により固定されている。この高ナット29としては、例えば全長50mmの「H=50」ナットなどが使用される。
【0029】
具体的には高ナット29には、
図6に示すように、押しボルト32の軸部32bが螺入されている。また、パラペットPの左右の押さえ板31は高ナット29に応じた位置にボルト受部(受パイプを含む。)31aが溶接され、ボルト受部31aに押しボルト32の軸部32bの先端32a側が締結されている。
【0030】
したがって、押しボルト32を高ナット29に螺入させていくに従って両押さえ板31が押圧され、両脚金具13,14間にパラペットPが把持(挟持)されて固定されている。このとき
図5に示すように、押しボルト32の軸部先端32aは弧状の先丸形状に形成され、ボルト受部31aに対する摩擦対策が施されている。
【0031】
≪取付手順≫
以下、前記支持金具10のパラペットPへの取付手順を説明する。まず、管状金具111,112,113をパラペットP上に載置する。
【0032】
つぎにパラペットPの幅Wに応じて連通孔15a,15bを選択し、連結ボルト16,24・ナット17,23を用いて脚パイプ25を共締めする。この状態のまま押しボルト30の先端30aが、ボルト受部31a側を向くように押さえ板31の位置を調整する。
【0033】
その後、各押しボルト32の軸部32bを高ナット29に螺入させ、その先端32a側をボルト受部31aに締結する。この状態のまま押しボルト32の軸部32bを一方向に回転させて高ナット29に螺入させ、押しボルト32の軸部先端32aが押さえ板31を前側Fに押圧する。
【0034】
その結果、パラペットPが脚金具13,14間に締め付けられ、両脚金具13,14間に把持(挟持)されて前記支持金具10がパラペットPに固定される。これによりパラペットPへの取付作業(特に押しボルト32の締付作業)を屋上の片方から行うことが可能となる。
【0035】
その後、支柱金具12の下端部を取付穴111cに挿入した後に連結ボルト16・ナット17を用いて共締し、管状金具111の上板111dに支柱金具12を立設する。この立設後にアンテナ21aおよび避雷突針21b(避雷突針21bを設けない場合は前記頂板)を支柱金具12に取り付けて作業を終了する。
【0036】
このとき支柱金具12はアンテナ21aだけでなく、
図7中のアンテナ21cなど各種タイプのアンテナを設置することができる。そして、このような前記支持金具10によれば、以下の効果が得られる。
【0037】
(1)すなわち、前述のように特許文献1ではパラペットPの締付トルクの増加に従ってL字金具2A,2Bが変形し、各ナット4の連通精度が悪化して把持力が低下するおそれがあった。
【0038】
これに対して前記支持金具10の本体金具11・脚金具13,14は、特許文献1のL字金具2A,2Bと比べて剛性が高く、締付トルクの増大に耐えることが可能である。また、前記支持金具10は連装ナット4群ではなく、高ナット29を採用しているため、前記連通精度の悪化によるパラペットPの把持力低下を懸念するおそれは皆無である。
【0039】
その結果、前記支持金具10によれば、押しボルト32による締付トルクを増大させて、両脚パイプ13,14による把持力を高めることができる。したがって、前記支持金具10を特許文献1より強固に固定することができ、支柱金具12に多種態様なアンテナを取り付けた場合の把持力不足を回避可能となる。
【0040】
(2)特許文献1の押しボルト5は、軸部の先端外周縁が角張っているため、ボルト受部31aに対する摩擦抵抗が増大し、ボルト軸力に悪影響を与えて締付トルクが低下するおそれがある。
【0041】
これに対して前記支持金具10の押しボルト32は、軸部先端32aを弧状の先丸形状に形成されているため、ボルト受部31aへの摩擦抵抗が小さく、ボルト軸力の低下を抑制することができ、この点でも押しボルト32による押圧力を向上させることできる。
本体金具51は、一本の管状金具(パイプ状金具)により構成され、左右の側板51aには一列の連通孔15aが形成されている。この連通孔15aに応じた位置の上下板51b,51cには二列の連通孔15bが形成されている。
脚金具52は、本体金具51の前端部(前側Fの端部)に溶接された固定部52aと、固定部52aの前端部から90度の角度で下側に延設された管状の脚パイプ52bとを備えている。この脚パイプ52bは、一対の支持板56と、支持板56間に回転自在に軸支された滑車(シーブ/シンブル)59とを備えている。
脚金具53は、管状の脚パイプ54と、脚パイプ35と約90度の角度で交差する押さえ板55とを備えている。この左右の押さえ板55の上端部には一対のL字金具60がボルト止めされ、L字金具60間はボルト61,ナット62により連結されている。
押さえ板55には連通孔15aに連通する貫通孔20が形成されている一方、L字金具60の下端部には連通孔15bに応じた位置に貫通孔63が形成されている。ここでは任意の連通孔15a,15bを選択し、連結ボルト16,24の軸部を前記各孔15a,15b・貫通孔20,63に挿通してナット17,23を締結することで脚パイプ54が固定されている。このとき連通孔15a,15bの選択することで脚金具53の取付位置をパラペットPの幅Wに応じて調整することができる。
脚パイプ54の両サイド(内側面・外側面)には、実施例1と同様に高ナット(長ナット)29が溶接により固定されている。この高ナット29には、押しボルト32の軸部32bが螺入されている。ここでは押さえ板31は左右の脚パイプ25毎に配置され、高ナット29に応じた位置にボルト受部31aが固定されている。
このボルト受部31aには押しボルト32の軸部32bの先端32a側が締結されているため、押しボルト32の軸部32bを高ナット29に螺入させていくに従って両押さえ板31が押圧され、両脚金具13,14間にパラペットPが把持(挟持)されて固定されている。
支持金具50a取付手順を説明すれば、まず本体金具51をパラペットP上に載置する。つぎにパラペットPの幅Wに応じて連通孔15a,15bを選択し、連結ボルト16,24・ナット17,23を用いて脚パイプ54を共締めする。
この状態のまま押しボルト30の軸部先端30aがボルト受部31a側を向くように押さえ板31の位置を調整する。その後、各押しボルト32の軸部32bを高ナット29に螺入させてボルト受部31aに締結する。
この状態のまま押しボルト32の軸部32bを一方向に回転させて高ナット29に螺入させれば、押しボルト32の軸部先端32aが押さえ板31を前側Fに押圧する。これによりパラペットPが脚金具52,53間に締め付けられ、両脚金具52,53間に把持(挟持)されて前記支持金具50aがパラペットPに固定される。
その後、滑車59,74にケーブルをラッシングしたメッセンジャーワイヤ42を巻回し、作業を終了する。この支持金具50a,50bによれば、以下の効果を得ることができる。
(1)すなわち、支持金具50aは、パラペットPに固定する際に実施例1と同様に高ナット29および押しボルト32を用いているため、特許文献1よりも強固にパラペットPに固定することができる。
これに対して支持金具50a,50bによれば、ダクト通さずにメッセンジャーワイヤ42を吊支できるため、保守点検の作業性が向上する。また、滑車59,74にメッセンジャーワイヤ42を巻回しているため、作業員はゴンドラなどに乗ったままメッセンジャーワイヤ42を勾引すればケーブルの保守点検の作業ができ、作業が容易となる。
(3)なお、支持金具50a,50bによれば、メッセンジャーワイヤ42を上下で固定して貼るだけなので、該ワイヤ42を中間で支持する金物が必要なく、この点でもコストの抑制・作業性の向上を図ることが可能となる。
この場合に机上検討トルクの「70N・m」で締め付けると、ボルト軸力が「10350N」となり不足した。そこで、ボルト軸力を向上させるべく、押しボルト5に油を塗布し「70N・m」で締め付けたが、「9230N」とさらに低下した。これはボルト先端の摩擦が増加したことが原因と推定される。
また、角パイプ(脚パイプ54)に連装ナット4群を溶接した構造の場合、締め付けトルク増加と同時に角パイプが変形し、2個のナット4の通りが悪くなり、ボルト軸力が逃げることも原因と推定される。
このような対策を施した支持金具50aについて、特許文献1と同様に押しボルト32に油を塗布し、「70N・m」で締め付けてボルト軸力を測定した。測定の結果として「20810N」が得られ、必要なボルト軸力を満足することができた。なお、実施例1の支持金具10も、前記対策と同様な構成を採用するため、同じく必要なボルト軸力を満足することが可能である。
この場合には、支持金具50bの滑車74を廃止し、メッセンジャーワイヤの下端部をボルト75の軸部に巻き付ければよい。また、支持金具50bを廃止し、メッセンジャーワイヤの下端部を壁面40aにコ字状金具(図示省略)などで取り付けてもよい。