IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マツダ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-下部車体構造 図1
  • 特開-下部車体構造 図2
  • 特開-下部車体構造 図3
  • 特開-下部車体構造 図4
  • 特開-下部車体構造 図5
  • 特開-下部車体構造 図6
  • 特開-下部車体構造 図7
  • 特開-下部車体構造 図8
  • 特開-下部車体構造 図9
  • 特開-下部車体構造 図10
  • 特開-下部車体構造 図11
  • 特開-下部車体構造 図12
  • 特開-下部車体構造 図13
  • 特開-下部車体構造 図14
  • 特開-下部車体構造 図15
  • 特開-下部車体構造 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145900
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】下部車体構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20231004BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B60K11/04 L
B62D25/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052799
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 郁生
(72)【発明者】
【氏名】足立 信彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】吉満 大輔
(72)【発明者】
【氏名】宮本 康平
【テーマコード(参考)】
3D038
3D203
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC05
3D038AC23
3D203AA02
3D203BB03
3D203BB33
3D203CB30
3D203DA02
3D203DA05
3D203DA07
3D203DA11
3D203DA38
3D203DA72
(57)【要約】
【課題】エンジンルームの前方からアンダーカバーの上面に沿って流れ、ガイドにおいて上方に偏向される空気流の風速を高める。
【解決手段】アンダーカバー3の上面から連続して上に延びるガイド33は、平面視で左前から右後へ直線状に延びる左前壁部331と、左前壁部よりも車幅方向で右方へ位置し、平面視で右前から左後へ直線状に延びる右前壁部332と、左前壁部331と右前壁部332の車両前後方向後端のそれぞれに連続する後壁部333とから成る。そしてガイド33は、後壁部333の少なくとも一部が平面視において車両左右方向に直線状に延びるように構成されている。これによりエンジンルーム2の前方からアンダーカバー3の上面に沿って流れる広い範囲の空気流を後壁部333に集約し風速を高め上方に偏向することで冷却に十分な風速の空気流を送風することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームの下面がアンダーカバーにより構成される車体下部構造において、
前記アンダーカバーは、その上面から連続して上に延びるガイドを有し、
該ガイドは、平面視で左前から右後へ直線状に延びる左前壁部と、
該左前壁部よりも車幅方向で右方へ位置し、平面視で右前から左後へ直線状に延びる右前壁部と、
前記左前壁部と前記右前壁部の車両前後方向後端のそれぞれに連続する後壁部とから成り、
該後壁部の少なくとも一部が平面視において車両左右方向に直線状に延びることを特徴とする車体下部構造。
【請求項2】
平面視において、前記後壁部は少なくとも1つの折曲部と、該折曲部において連続する複数の小壁部とから成り、
該複数の小壁部のうち車両前後方向において最も後方に位置するものが、車両左右方向に直線状に延びることを特徴とする
請求項1に記載の車体下部構造。
【請求項3】
前記後壁部は平面視において車両左右方向に直線状に延び、互いに離れて位置する第一後壁部と第二後壁部とを有することを特徴とする
請求項1または2に記載の車体下部構造。
【請求項4】
前記第一後壁部と前記第二後壁部は車両前後方向において異なる位置に配置されることを特徴とする
請求項3に記載の車体下部構造。
【請求項5】
前記後壁部は平面視において前記第一後壁部と前記第二後壁部との間に車両前後方向かつ車両左右方向に延びる第三後壁部を有することを特徴とする
請求項3または4に記載の車体下部構造。
【請求項6】
車両上下方向に延びパワートレインの後部に取り付けられる板状の補助ガイドを有し、
該補助ガイドは、平面視において前記パワートレインと間隔を空けて車両左右方向に直線状に延びる後板部を含み、
該後板部は車両前後方向において前記ガイドの前端と後端との間に位置し、
前記後板部は車両左右方向において前記ガイドの右端と左端との間に位置することを特徴とする
前記請求項のいずれかに記載の車体下部構造。
【請求項7】
車両上下方向に延びパワートレインの後部に取り付けられる板状の補助ガイドを有し、
該補助ガイドは、平面視において前記パワートレインと間隔を空けて車両左右方向に直線状に延びる後板部を含み、
該後板部は車両前後方向において前記第一後壁部または前記第二後壁部の後端と同じ位置またはそれよりも後方に位置し、
前記後板部の少なくとも一部は車両左右方向において前記第一後壁部または前記第二後壁部の右端と左端との間に位置することを特徴とする
請求項3乃至5のいずれかに記載の車体下部構造。
【請求項8】
前記パワートレインの排気管の下方に前記補助ガイドが配置されることを特徴とする
請求項6または7に記載の車体下部構造。
【請求項9】
前記エンジンルームの前方開口が車両中心に設けられ、
上下方向において前記排気管と前記補助ガイドとの間であって、前記排気管と車両左右方向において重なる位置にドライブシャフトブーツが配設され、
該ドライブシャフトブーツの車幅方向内端と前記エンジンルームの車幅方向中心との間に前記補助ガイドが位置することを特徴とする
請求項8に記載の下部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車のエンジンルームの下部を覆うアンダーカバーを有する下部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の前部のエンジンルームには、水や泥の侵入を防ぐとともに、自動車の下方に生じる空気抵抗を減らすために、エンジンルームの下部を覆うとともに、下面が基本的に平滑なアンダーカバーが設けられている。
【0003】
エンジンルームの下部がアンダーカバーで覆われていると、エンジンルームに流入する走行風がエンジン後方まで十分届かず、エンジン後方の排気管近傍に位置する部品の耐熱性が問題となる場合がある。その対策には、このような冷却必要部位の熱を散逸するために比較的低温のエンジンルーム下方の空気を上方の冷却必要部位に導くことが有用である。
【0004】
例えば、特許文献1にはアンダーカバーに設けた開口と、開口の後方に設けられ後上方に延びるスロープ状のガイドが開示されている。この構成により、開口からエンジンルームに入る走行風がガイドを登坂することによりエンジンルーム上方に導かれる。その結果、比較的低温で高い風速の冷却風をエンジンルーム上方の冷却必要部位に導き熱を散逸することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-139179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のようにアンダーカバーに開口を設けると、冷却必要部位に送れる空気の風速は十分であるが、開口付近で走行風が乱れ、自動車下部に作用する空気抵抗が増加してしまう。したがって、開口をアンダーカバーに設けずに、フロントグリルやラジエーターなどを通過してエンジンルームに入りエンジンなどのパワートレインとアンダーカバーとの間を後方へ流れる空気流を冷却風として活用することが考えられる。しかし、そのような空気流の風速は、走行風と比較して小さいので、そのままでは冷却必要部において熱を充分に散逸することができないため、ガイドによって風速を上げる必要がある。特許文献1のガイドの形状は車幅方向に一様であるため、前方から車幅方向に一様に流れる空気流を上方に偏向するのみで、冷却必要部での風速を上げることができない。したがってアンダーカバーに設けるガイドには改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本件発明者は上記課題に鑑みて、アンダーカバーのガイドにおいて上方に偏向される前方からの空気流の冷却必要部における風速を高める方策を検討した。その結果、特許文献1のように空気流を車幅方向に一様に上方に偏向するのではなく、前方から流れる空気流を車幅方向中央部に集約した上で上方に偏向することで、冷却必要部における風速を高めるという方策を見出した。
【0008】
この方策を具現化した本発明は、エンジンルームの下面を構成するアンダーカバーにより構成される車体下部構造を前提とする。アンダーカバーは、その上面から連続して上に延びるガイドを有する。ガイドは、平面視で左前から右後へ直線状に延びる左前壁部と、左前壁部よりも車幅方向で右方へ位置し、平面視で右前から左後へ直線状に延びる右前壁部と、左前壁部と右前壁部の車両前後方向後端のそれぞれに連続する後壁部とから成る。そしてガイドは、後壁部の少なくとも一部が平面視において車両左右方向に直線状に延びるように構成されている。
【0009】
この構成によると、エンジンルームの前方からアンダーカバーの上面に沿って流れガイドに到達した空気流のうち、左方の空気流は左前壁部により右後方に位置する後壁部に導かれる。そして、右方の空気流は右前壁部により左後方に位置する後壁部に導かれる。一方、中央を流れる空気流はそのまま後壁部に到達する。結果として、ガイドに当たる空気流の大部分が後壁部に集約される。後壁部は車両左右方向に直線状に延びているため、集約された空気流は後壁部より後方へ流れることなく、上方に偏向される。
したがって、広い範囲の空気流を後壁部に集約し風速を高め上方へ偏向することで、冷却必要部に十分な風速の空気流を送風することができる。
【0010】
本発明ではさらに、平面視において、後壁部は少なくとも1つの折曲部と、折曲部において連続する複数の小壁部とから成り、複数の小壁部のうち車両前後方向において最も後方に位置するものが、車両左右方向に直線状に延びる構成としてもよい。
【0011】
この構成によると、後壁部に導かれた空気流のうち最も後方に位置する小壁部以外の部分に当たる空気流の一部がその小壁部に到達する。その結果、その小壁部に到達する空気の流量が増し、そこで上方に偏向され冷却必要部に送風される空気流の風速をさらに高めることができる。
【0012】
本発明ではさらに、後壁部は平面視において車両左右方向に直線状に延び、互いに離れて位置する第一後壁部と第二後壁部とを有する構成としてもよい。
【0013】
この構成によると、後壁部に導かれた空気流を第一後壁部と第二後壁部に集約し、風速を高め上方へ偏向することで、車幅方向に異なる位置にある冷却必要部に十分な風速の空気流を送風することができる。
【0014】
第一後壁部と第二後壁部は車両前後方向において異なる位置に配置してもよい。
【0015】
この構成によると、後壁部に導かれた空気流を第一後壁部と第二後壁部に集約し、風速を高め上方へ偏向することで、前後方向の異なる位置に配置される冷却必要部に十分な風速の空気流を送風することができる。
【0016】
平面視において後壁部の第一後壁部と第二後壁部との間に車両前後方向かつ車両左右方向に延びる第三後壁部を有していてもよい。
【0017】
この構成によると、第三後壁部の後ろにある第一後壁部または第二後壁部に流入する風量が増し、そこで上方に偏向した空気流の風速が高まるので、第一後壁部または第二後壁部の上方に冷却必要部が位置する場合に好適である。
【0018】
本発明ではさらに、パワートレインの後部に取り付けられる補助ガイドを有し、補助ガイドは平面視においてパワートレインと間隔を空けて車両左右方向に直線状に延びる後板部を含み、後板部は車両前後方向においてガイドの前端と後端との間に位置し、後板部の少なくとも一部は車両左右方向においてガイドの右端と左端との間に位置する構成としてもよい。
【0019】
この構成によると、ガイドにより上方に偏向された空気流を、補助ガイドに沿ってさらに上方に導くことができる。特に冷却必要部とガイドとの間に上下方向において距離がある場合に好適である。
【0020】
本発明ではさらに、後壁部が平面視において車両左右方向に直線状に延び、互いに離れて位置する第一後壁部と第二後壁部とを有し、さらにパワートレインの後部に取り付けられる補助ガイドを有し、補助ガイドは平面視においてパワートレインと間隔を空けて車両左右方向に直線状に延びる後板部を含み、後板部は車両前後方向において第一後壁部または前記第二後壁部の前端と後端との間に位置し、後板部の少なくとも一部は車両左右方向におい記第一後壁部または第二後壁部の右端と左端との間に位置する構成としてもよい。
【0021】
この構成によると、後壁部により上方に偏向された空気流の一部を、補助ガイドに沿ってさらに上方に導くことができる。特に冷却必要部と後壁部との間に上下方向において距離がある場合に好適である。
【0022】
さらに補助ガイドはパワートレインの排気管の下方に配置されてもよい。
【0023】
この構成によると、高温部材である排気管の近傍に冷却必要部がある場合に好適である。
【0024】
排気管の下方に補助ガイドが配置される場合には、さらにエンジンルームの前方開口が車両中心に設けられ、上下方向において排気管と補助ガイドとの間であって、排気管と車両左右方向において重なる位置にドライブシャフトブーツが配設され、ドライブシャフトブーツの車幅方向内端とエンジンルームの車幅方向中心との間に補助ガイドが位置する構成としても良い。
【0025】
この構成によると、走行風は車両中央部に設けられた前方開口からエンジンルームに入ってくる。その空気流は、パワートレインとアンダーカバーとの間を後方に流れる。その流路の車幅方向の幅は、前方開口の幅よりも大きいので、空気流には車幅方向外側への速度成分が生成される。外側への速度成分は、空気流がガイドで上方へ偏向され、さらに補助ガイドによりドライブシャフトブーツが位置する上方へと導かれる際にも維持される。ドライブシャフトブーツは、補助ガイドよりも車幅方向外側に位置するように構成されるので、空気流を排気管とドライブシャフトブーツとの間の空間に導き、ドライブシャフトブーツの冷却を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本願発明が適用される自動車の斜視図である。
図2】本願発明が適用される自動車の下面図である。
図3図2におけるIII-III線矢視断面を含む一部破断側面図である。
図4】アンダーカバーの斜視図である。
図5】アンダーカバーの図4におけるV-V線矢視断面図である。
図6】アンダーカバーのガイドを車両上方から見た図である。
図7】アンダーカバーとその上方のドライブシャフトや排気管などを示す図である。
図8】アンダーカバーと補助ガイドの周辺を左斜め後ろから見た図である。
図9】アンダーカバーと補助ガイドの周辺を後方から見た図である。
図10】アンダーカバーと補助ガイドの周辺を右斜め下から見た図である。
図11】補助ガイドの斜視図である。
図12】エンジンルーム内を示す図7のA-A矢視断面図である。
図13】エンジンルーム内を示す図7のB-B矢視断面図である。
図14図12の断面における空気流を示す模式図である。
図15図13の断面における空気流を示す模式図である。
図16】アンダーカバーの上面を沿って流れる空気流を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明の実施形態の車体下部構造について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一態様であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0028】
図1に示される自動車1の前部に設けられるエンジンルーム2は、周知のようにボンネット、車体パネル等、そして後述するアンダーカバー3により画成された空間である。その前側にはラジエーターの後面に配置されるファンカウルの車幅方向中央部に設けられラジエータファンを収容する前方開口21が設けられている。自動車1の走行中にエンジンルーム2内の空気流の大部分は前方開口21から流入することになる。
【0029】
図2に示されるようにエンジンルーム2の下面はアンダーカバー3で画成されている。アンダーカバー3の下面は自動車1の下方に生じる空気抵抗を減らすために、平滑な形状となっている。アンダーカバー3は左右の前輪4の間のサスペンションやエンジンなどを支持するフレーム部材に直接またはブラケットを介して締結される。
【0030】
エンジンルーム2の内部には、図3に示すようにエンジンを含むパワートレイン5と排気システム6とが配置されている。パワートレイン5の後方で、排気システム6の下方には前輪4にパワートレイン5の回転出力を伝達するドライブシャフト7が配置されている。アンダーカバー3はエンジンルームの最下部のパワートレイン5の下方に配置される。
【0031】
アンダーカバー3は板状部31と補強フレーム32とガイド33とが一体成型された樹脂部品である。板状部31の板厚は約2 mmであって、折曲部31aから車両前方に向かって上方に延びる前方板状部31bと、折曲部31aから車両後方に水平に延びる後方板状部3cとから構成される。
【0032】
図4に示すように、アンダーカバー3の上面には剛性確保のために補強フレーム32が設けられている。補強フレーム32は板状部31の上面からの高さが約4 mmで板厚が約1.5 mmであって、平面視において車両前後方向に延びる5本の縦リブ32a、車両左右方向に延びる5本の横リブ32b、そして斜め方向に延びる2本の斜めリブ32cとから成る。
【0033】
図5に示すように、ガイド33は板状部31の上面から鉛直に上方に延びている。ガイド33の板厚は補強フレーム32と同じ約1.5 mmである。一方、ガイド33の板状部31の上面からの高さは補強フレーム32のそれよりも大きく約35 mmである。
【0034】
図6に示すように、ガイド33は車幅方向左側の左前壁部331と、車幅方向右側の右前壁部332と、両前壁部331,332の間にある後壁部333とから構成される。平面視において、左前壁部331は後壁部333の左端部から左前方に直線状に延び、右前壁部332は後壁部333の右端部から右前方に直線状に延びている。
【0035】
後壁部333は3つの小壁部と2つの折曲部とから成っている。3つの小壁部とは、第一後壁部333a、第二後壁部333b、そして第三後壁部333cである。最も左側にある第一後壁部333aは車両左右方向に直線状に延びている。最も右側にある第二後壁部333bは第一後壁部333aよりも車両後方において車両左右方向に直線状に延びている。第三後壁部333cは第二後壁部333bの左端から第一後壁部333aの右端に向けて左前方に、具体的には車両前後方向に対して左45度の方向に直線状に延びている。
【0036】
したがって、どちらも車両左右方向に直線状に延びる第一後壁部333aと第二後壁部333bとは互いに離れて位置している。そして、第一後壁部333aは第二後壁部333bよりも車両前後方向において前方に位置している。
【0037】
図7図11に示すように、パワートレイン5のエンジンブロック51の下部の後方に板金加工された補助ガイド8が配置されている。図8に示されるように、エンジンブロック51には、下方からオイルパン52が締結され、左方からフロントカバー53が締結され、後方からドライブシャフト7の支持ブラケット71が締結される。そして補助ガイド8はフロントカバー53と支持ブラケット71に締結される。
【0038】
図11に示されるように、補助ガイド8は上下方向に延び、後板部81、左板部82、そして右板部83とから成っている。後板部81は車両左右方向に延び、左板部82と右板部83は後板部81の左右端からそれぞれ車両前方に延びている。
【0039】
補助ガイド8の左板部82と右板部83の上端には、それぞれ左右方向に延びる左フランジ部82aと右フランジ部83aとが設けられる。左フランジ部82aはフロントカバー53の下部に締結され、右フランジ部83aはドライブシャフト7の支持ブラケット71の下部に締結される。
【0040】
後板部81は車両前後方向においてガイド33の第一後壁部333aの後方に位置し、車両左右方向において第三後壁部333cより左方かつ左前壁部331と第一後壁部333aに跨って位置する。
【0041】
図7図13に示されるように、補助ガイド8は車両側方から見ても車両後方から見ても排気システム6の一部を構成する排気管61の下方に配置される。排気管61はエンジンの左側方から後方中央部に向かって斜め後ろ方向に延びている。
【0042】
ドライブシャフト7の右端を覆うドライブシャフトブーツ72は排気管61の下方かつ補助ガイド8の上方にある。ドライブシャフトブーツ72は排気管61の下方に位置している。一方、補助ガイド8に対してドライブシャフトブーツ72は左方に位置している。
具体的には図9に示されるように、補助ガイド8の左板部82はドライブシャフトブーツ72の方向右端72aと車両左右方向に同一の位置にある。
【0043】
次に空気流がエンジンルーム2の前方からパワートレイン5の後方で上方に導かれる経路について説明する。図14に示す車幅方向位置においては、前方開口21からエンジンルーム2に流入して生成される空気流は、パワートレイン5の下方をアンダーカバー3の上面に沿って後方へ進む。そしてガイド33の第二後壁部333bに到達した空気流は上方へ偏向され、ドライブシャフト7の下方を通って後方へと流れる。その結果、排気管61の輻射熱を受けるドライブシャフト7を冷却することができる。
【0044】
一方、図15に示す車幅方向位置においては、ガイド33の第一後壁部333aにより上方に偏向された空気流が、補助ガイド8によりさらに上方に導かれ、排気管61とドライブシャフト7との間の空間を通って後方へと流れる。その結果、排気管61からドライブシャフト7が受ける輻射熱を低減できる。
【0045】
アンダーカバー3の上面に沿って流れガイド33により上方に偏向される空気流についてさらに詳細に説明する。車両左右方向において車両中央部に設けられた前方開口21から流入した空気流は、その流路の車幅方向の幅は前方開口21の幅より大きいので、車幅方向外側への速度成分が生成される。図16に示すように、アンダーカバー3の上面に沿ってガイド33に流れる空気流は、ガイドが車両開口21に対して相対的に車幅方向左側に位置するので、全体的には車両左後方への流れができている。ガイド33の左前方の空気流は左前壁部331により右後方に位置する後壁部333に導かれ、右前方の空気流は右前壁部332により左後方に位置する後壁部333に導かれる。そして中央を流れる空気流はそのまま後壁部333に到達する。その結果アンダーカバー3の上面に沿って流れる空気流は後壁部333に集約され上方へ偏向される。そして偏向された空気流はオイルパン52の後方を通り、ドライブシャフト7と排気管61との間を通ってエンジンルーム2の後方に流れる。
【0046】
次に、補助ガイド8により導かれる空気流について詳細に説明する。図15に示すように、アンダーカバー3の上面に沿って流れ車両左後方へ流れる空気流は、左方に位置する第一後壁部333aに到達する。そして図16に示すように第一後壁部333aにより上方に偏向され、オイルパン52と補助ガイド8との間を上方に流れる。その際に左方向への速度成分があるので補助ガイド8よりも車幅方向左側に位置するドライブシャフトブーツ72と排気管61との間を通ってエンジンルーム2の後方に流れる。その結果、比較的耐熱性の低いドライブシャフトブーツ72が排気管61から受ける輻射熱を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・自動車
2・・・エンジンルーム
21・・・前方開口
3・・・アンダーカバー
31・・・板状部
32・・・補強フレーム
32a・・・縦リブ、32b・・・横リブ
33・・・ガイド
331・・・左前壁部
332・・・右前壁部
333・・・後壁部
333a・・・第一後壁部、333b・・・第二後壁部、333c・・・第三後壁部
4・・・前輪
5・・・パワートレイン51・・・エンジンブロック
52・・・オイルパン
53・・・フロントカバー
6・・・排気システム
61・・・排気管
7・・・ドライブシャフト
71・・・支持ブラケット
72・・・ドライブシャフトブーツ
8・・・補助ガイド
81・・・後板部
82・・・左板部
83・・・右板部
82a・・・左フランジ部、83a・・・右フランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16