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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145904
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/30 20140101AFI20231004BHJP
   E05C 21/00 20060101ALI20231004BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
E05B83/30 A
E05C21/00 A
B60R7/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052806
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昇平
【テーマコード(参考)】
2E250
3D022
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250LL11
3D022CA08
3D022CB01
3D022CC02
3D022CD14
(57)【要約】
【課題】 収納装置のロック装置において、キーシリンダをノブに設けると共に、キーシリンダの操作に対して節度感を生じさせる。
【解決手段】 ロック装置4であって、ベース15と、ボックスに係合する第1位置と、ボックスから離れる第2位置との間で変位可能にベースに支持されたラッチ16と、ベースに支持され、回動によってラッチを第1位置から第2位置に変位させるノブ17と、キーシリンダ52と、ベースと係合してノブの回動を規制する第3位置と、ベースから離れてノブの回動を可能にする第4位置との間で変位可能にノブに支持されたカム60とを有し、キーシリンダは、ノブに固定されたケース53と、ケースに回転可能に支持されたロータ54とを有し、ロータとカムとが互いに係合し、ロータの回転に応じてカムが第3位置と第4位置との間で変位し、ノブ及びカムの一方は凹凸構造48を有し、他方は凹凸構造に当接する可撓性の当接部62を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有するボックス及び前記ボックスの前記開口を閉じるリッドを備えた収納装置のロック装置であって、
前記リッドに取り付けられるベースと、
前記ボックスに係合して前記ボックスに対する前記リッドの変位を規制する第1位置と、前記ボックスから離れて前記ボックスに対する前記リッドの変位を可能にする第2位置との間で変位可能に前記ベースに支持されたラッチと、
前記ベースに回動可能に支持され、回動することによって前記ラッチを前記第1位置から前記第2位置に変位させるノブと、
前記ノブに設けられたキーシリンダと、
前記ベースと係合して前記ベースに対する前記ノブの回動を規制する第3位置と、前記ベースから離れて前記ベースに対する前記ノブの回動を可能にする第4位置との間で変位可能に前記ノブに支持されたカムとを有し、
前記キーシリンダは、前記ノブに固定されたケースと、前記ケースに回転可能に支持されたロータとを有し、
前記ロータと前記カムとが互いに係合し、前記ロータの回転に応じて前記カムが前記第3位置と前記第4位置との間で変位し、
前記ノブ及び前記カムの一方は、凹凸構造を有し、
前記ノブ及び前記カムの他方は、前記ノブに対して前記カムが所定の位置にあるときに前記凹凸構造に当接して節度感を発生させる可撓性の当接部を有するロック装置。
【請求項2】
前記ロータは、前記ロータの回転軸線に対してオフセットして延びる接続片を有し、
前記カムは、前記接続片を受容するカム溝を有し、
前記接続片が前記カム溝を押すことによって、前記カムが前記ノブに対して移動する請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記カムは、前記第3位置において前記ノブから前記ベース側に突出するロック片を有する請求項1又は請求項2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記カムは、前記ロータの回転軸線と交差する位置に配置され、前記ロータの前記回転軸線と直交する方向にスライド移動可能に前記ノブに支持されている請求項1~3のいずれか1つの項に記載のロック装置。
【請求項5】
前記カムは、前記ノブの回動軸線と平行な方向にスライド移動可能に前記ノブに支持されている請求項4に記載のロック装置。
【請求項6】
前記当接部は、前記カムのスライド方向に延びる可撓性のアーム部と、前記アーム部に設けられ、前記凹凸構造に当接する突起とを有する請求項1~5のいずれか1つの項に記載のロック装置。
【請求項7】
前記凹凸構造は、前記カムのスライド方向と直交する方向に凹み、前記突起が突入可能な凹部を有する請求項1~6のいずれか1つの項に記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納装置のロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、グローブボックスのロック装置を開示している。ロック装置は、グローブボックスのリッドに設けられるベースと、ベースに回動可能に設けられたノブと、ノブに設けられたキーシリンダとを有する。キーシリンダは、ノブに結合されたケースと、ケースに回転可能に設けられたロータと、ロータから径方向に延びるプレートとを有する。使用者がキーをロータに挿入し、キーを回転させることによってロータはロック位置に回転する。ロック位置では、ロータに設けられたプレートがベースと係合し、ベースに対するノブの回動が禁止される。特許文献1に係るロック装置では、ノブにキーシリンダが設けられているため、使用者はキーシリンダがロックする対象がノブであることを理解し易く、またスペース効率良いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-131735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に係るロック装置は、使用者のキーの回転操作に対して節度感を生じさせる構成を有しない。そのため、使用者は、操作が適切に行われたか否かを認識することが難しい。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、収納装置のロック装置において、キーシリンダをノブに設けると共に、キーシリンダの操作に対して節度感を生じさせることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、開口を有するボックス(2)及び前記ボックスの前記開口を閉じるリッド(3)を備えた収納装置(1)のロック装置(4)であって、前記リッドに取り付けられるベース(15)と、前記ボックスに係合して前記ボックスに対する前記リッドの変位を規制する第1位置と、前記ボックスから離れて前記ボックスに対する前記リッドの変位を可能にする第2位置との間で変位可能に前記ベースに支持されたラッチ(16)と、前記ベースに回動可能に支持され、回動することによって前記ラッチを前記第1位置から前記第2位置に変位させるノブ(17)と、前記ノブに設けられたキーシリンダ(52)と、前記ベースと係合して前記ベースに対する前記ノブの回動を規制する第3位置と、前記ベースから離れて前記ベースに対する前記ノブの回動を可能にする第4位置との間で変位可能に前記ノブに支持されたカム(60)とを有し、前記キーシリンダは、前記ノブに固定されたケース(53)と、前記ケースに回転可能に支持されたロータ(54)とを有し、前記ロータと前記カムとが互いに係合し、前記ロータの回転に応じて前記カムが前記第3位置と前記第4位置との間で変位し、前記ノブ及び前記カムの一方は、凹凸構造(48)を有し、前記ノブ及び前記カムの他方は、前記ノブに対して前記カムが所定の位置にあるときに前記凹凸構造に当接して節度感を発生させる可撓性の当接部(62)を有する。
【0007】
この態様によれば、収納装置のロック装置において、キーシリンダをノブに設けると共に、キーシリンダの操作に対して節度感を生じさせることができる。
【0008】
上記の態様において、前記ロータは、前記ロータの回転軸線に対してオフセットして延びる接続片(59)を有し、前記カムは、前記接続片を受容するカム溝(65)を有し、前記接続片が前記カム溝を押すことによって、前記カムが前記ノブに対して移動するとよい。
【0009】
この態様によれば、キーシリンダのロータとカムとの接続構造を簡素にすることができる。
【0010】
上記の態様において、前記カムは、前記第3位置において前記ノブから前記ベース側に突出するロック片(69)を有するとよい。
【0011】
この態様によれば、カムとベースとの係合構造を簡素にすることができる。
【0012】
上記の態様において、前記カムは、前記ロータの回転軸線と交差する位置に配置され、前記ロータの前記回転軸線と直交する方向にスライド移動可能に前記ノブに支持されているとよい。
【0013】
この態様によれば、カムをノブにスペース効率良く配置することができる。
【0014】
上記の態様において、前記カムは、前記ノブの回動軸線と平行な方向にスライド移動可能に前記ノブに支持されているとよい。
【0015】
この態様によれば、カムをノブにスペース効率良く配置することができる。
【0016】
上記の態様において、前記当接部は、前記カムのスライド方向に延びる可撓性のアーム部(70)と、前記アーム部に設けられ、前記凹凸構造に当接する突起(73)とを有するとよい。
【0017】
この態様によれば、当接部が凹凸構造と摺接することによって節度感を発生させることができる。
【0018】
上記の態様において、前記凹凸構造は、前記カムのスライド方向と直交する方向に凹み、前記突起が突入可能な凹部(49)を有するとよい。
【0019】
この態様によれば、突起が凹部に突入するときに節度感を発生させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上の構成によれば、収納装置のロック装置において、キーシリンダをノブに設けると共に、キーシリンダの操作に対して節度感を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】グローブボックスの分解斜視図
図2】ベースの斜視図
図3】ロック状態におけるロック装置の正面図
図4】ロック解除状態におけるロック装置の正面図
図5】ロック状態におけるロック装置の平面図
図6】ロック解除状態におけるロック装置の平面図
図7】ノブの後方斜視図
図8】ロック状態におけるノブ及びカムの位置関係を示す断面図
図9】ロック解除状態におけるノブ及びカムの位置関係を示す断面図
図10】カムの後方斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明を自動車のグローブボックスのロック装置に適用した実施形態を詳細に説明する。以下の説明では、自動車の進行方向を基準として各方位を定める。
【0023】
図1は、グローブボックス1の分解斜視図である。図1に示すように、収納装置であるグローブボックス1は、インストルメントパネルを構成するボックス2と、リッド3と、ロック装置4とを有する。ボックス2には、前方に向けて開口5が形成されている。リッド3は、ボックス2に回動可能に支持され、開口5を開閉する。ロック装置4は、ボックス2に対して、リッド3が開口5を閉じた閉位置に維持する。
【0024】
リッド3は、互いに接合された表部材7と裏部材8とを有する。裏部材8は、略四角形状に形成された板状部8Aと、板状部8Aの周縁に沿って表側に立設された上側壁8B、左右の側壁8C、下側壁(不図示)とを有し、浅い皿状に形成されている。裏部材8には、後述するロック装置4が取り付けられている。
【0025】
表部材7は、略四角形に形成された板状をなしている。表部材7には前後に貫通する貫通孔が形成されている。裏部材8の各側壁8B、8Cの突出端に接合される。これにより、リッド3は表部材7と裏部材8との間に内部空間を形成する。裏部材8の左右の側壁8Cの下部のそれぞれには、左右方向に突出する支持軸9が互いに同軸に形成されている。各支持軸9がボックス2に形成された軸受孔(不図示)に支持されることによって、リッド3はボックス2に回動可能に支持される。
【0026】
ボックス2の開口5は、閉位置にあるリッド3を受容可能に略四角形に形成されている。開口5の縁部11には、閉位置にあるリッド3の上側壁8Bと所定の隙間をおいて対向する上壁11Aと、左右の側壁8Bと所定の隙間をおいて対向する横壁11Bとが形成されている。左右の横壁11Bの開口端から奥側に所定の距離変位した部分には、開口5の中央側に突出すると共に、上下に延在する規制壁11Cが設けられている。規制壁11Cは、開口5の外方を向く側面を有している。左右の横壁11Bの上端部には、左右外側へ凹設されたロック孔12が形成されている。ロック孔12は、貫通孔及び有底孔のいずれでもよい。
【0027】
ロック装置4は、リッド3に取り付けられるベース15と、ボックス2のロック孔12と係合するラッチ16と、ノブ17とを有している。ベース15は、リッド3の内部空間内において裏部材8の表側面の上部に設けられている。ラッチ16は、リッド3の内部空間内において裏部材8の表側面の上部に設けられている。ノブ17は、リッド3の内部空間内において裏部材8の表側面の上部かつ左右方向における左端部に設けられている。
【0028】
以下の説明では、リッド3が閉位置にある状態を基準として、各部材の上下、前後を規定する。また、リッド3が閉位置にあり、かつロック装置4がロック状態にあるときの各部材の位置を初期位置と定義する。
【0029】
図1及び図2に示すように、ベース15は、前後方向を向く面を有している。ベース15は、第1支持部20と、ノブ支持部21と、第2支持部22とを有する。第1支持部20は、裏部材8の左右方向における中央部に取り付けられている。ノブ支持部21は、裏部材8の左右方向における左側部に取り付けられている。第2支持部22は、第1支持部20とノブ支持部21との間に左右方向に延びている。
【0030】
第1支持部20は、ラッチ16と、回動部材18とを支持している。第1支持部20は、ラッチ16を左右方向に変位可能に支持している。
【0031】
図1図3及び図4に示すように、ラッチ16は、左右に延びる第1ラッチ23と、第2ラッチ33とを有する。第1ラッチ23は、左端部において回動部材18に接続されている。第2ラッチ33は、右端部において回動部材18に接続されている。
【0032】
ラッチ16は、ベース15に対して、左右方向にスライド移動可能に支持されている。ラッチ16は、初期位置である第1位置と第2位置との間で変位可能である。第1位置では、第2位置と比較して、第1ラッチ23はベース15に対して右向きに変位している。第2ラッチ33はベース15に対して左向きに変位している。
【0033】
第1位置において、ラッチ16は、ボックス2に係合する。これにより、ラッチ16は、ボックス2に対するリッド3の変位を規制する。第2位置において、ラッチ16は、ボックス2から離れる。これにより、ラッチ16は、ボックス2に対するリッド3の変位を可能にする。ラッチ16は、ノブ17によって第1位置と第2位置との間で変位される。
【0034】
第1ラッチ23は、左右に延びている。第1ラッチ23は、第1支持部20に支持されている。第1ラッチ23は、第1支持部20に対して左右方向にスライド移動可能に設けられている。第1ラッチ23の右端部には、第1係合部24が接続されている。
【0035】
第1係合部24は、リッド3の裏部材8に取り付けられた取付部材25に支持されている。第1係合部24は、取付部材25に左右方向にスライド移動可能に支持されている。第1係合部24は、ロック孔12と係合し、ボックス2に対して係脱可能に形成されている。第1ラッチ23と取付部材25との間にはラッチ付勢部材26が介装されている。ラッチ付勢部材26は、捩じりコイルばねであるとよい。ラッチ付勢部材26によって、第1ラッチ23は、第1係合部24がリッド3の横壁11Bに対して近付くように付勢されている。
【0036】
第2ラッチ33は、左右に延びている。第2ラッチ33は、第2支持部22に支持されている。第2ラッチ33は、第2支持部22に対して左右方向にスライド移動可能に設けられている。第2ラッチ33の左端部には、第2係合部34が接続されている。第2係合部34は、ロック孔12と係合し、ボックス2に対して係脱可能に形成されている。
【0037】
回動部材18は、第1支持部20に回動可能に支持されている。回動部材18は、前後方向に延びる回動軸を有している。回動部材18は、回動軸の軸心から外向きに突出した第1突出部30と、第2突出部31とを有する。第1突出部30と第2突出部31とは、正面視で、回動軸について回転対称の位置に配置されている。回動部材18は、第1突出部30において、第1ラッチ23の左端部に接続されている。回動部材18は、第2突出部31において、第2ラッチ33の右端部に接続されている。
【0038】
図2図5及び図6に示すように、ノブ支持部21は、第1凹部37と、第2凹部38とを有している。第1凹部37は、ノブ支持部21の下部に形成されている。第1凹部37は、前方に向けて凹んでいる。第1凹部37は、左右の側壁37Aと、左右の側壁37Aの上端同士を接続する上壁37Bと、左右の側壁37Aの下端同士を接続する下壁37Cとを有する。左右の側壁37A、上壁37B、及び下壁37Cのそれぞれの前端は、底壁37Dによって接続されている。上壁37Bには、開口部39が形成されている。
【0039】
開口部39は、上壁37Bの、少なくとも左右方向における左側部分に形成されている。開口部39は、第1凹部37の上壁37Bと底壁37Dとにわたって形成されていてもよい。上壁37Bは、前後かつ左右方向において当接爪35と対応する位置に配置されている。第2凹部38は、第1凹部37の下部に形成されている。第2凹部38は、第1凹部37の下壁37Cから下方に向けて凹んでいる。ノブ支持部21は、ノブ17を支持している。
【0040】
ノブ17は、ベース15に回動可能に支持されている。ノブ17は、ノブ本体40と、ノブ本体40に接続された延出片41とを有している。ノブ17は、その後部に取り付けられたカバー42によって覆われているとよい。ノブ本体40は、箱状に形成され、第1凹部37内に配置されている。ノブ本体40の左側前部には、押出部45が形成されている。押出部45は、ノブ本体40の上面から上向きに突出している。押出部45は、開口部39に受容されている。押出部45は、当接爪35の当接面36と当接している。図7に示すように、ノブ本体40の左側部の右側面には、凹凸構造48が形成されている。凹凸構造48は、左向きに凹む凹部49を有している。ノブ本体40は、その内部に後述するカム60(図10参照)を支持している。
【0041】
図5図9に示すように、延出片41は、ノブ本体40の左後端部から左向きに延びている。延出片41は、板状に形成されている。ノブ17は、その後部であって延出片41の基端側に、上下方向に延びる回動軸を有している。ノブ17は、延出片41が前方に移動し、ノブ本体40が後方に移動するように、回動軸回りに回動する。延出片41とベース15との間にはノブ付勢部材50が介装されている。ノブ付勢部材50は、捩じりコイルばねであるとよい。ノブ付勢部材50によって、ノブ17は、延出片41の主面が前後を向くように付勢されている。ノブ17には、キーシリンダ52が設けられている。
【0042】
キーシリンダ52は、ノブ本体40に固定されたケース53と、ケース53に回転可能に支持されたロータ54とを有している。ケース53は、前後に延びる円筒形状に形成されている。ケース53は、その外周面においてノブ17に取り付けられている。
【0043】
ロータ54は、ロータ本体55を有する。ロータ本体55は、ケース53の内部に回転可能に設けられている。ロータ本体55は、前後方向に延びる回転軸線を有する。キーシリンダ52の後部には、キーホール57が形成されている。
【0044】
図3-4及び図8-9に示すようにキーホール57は、後方から操作キーを挿入可能に形成されている。キーホール57は、ロータ本体55の回転軸線に対して垂直に延びる長孔であるとよい。キーシリンダ52は、キーホール57に挿入された操作キーを回転させることによって、ロータ本体55が回転するように形成されている。キーホール57は、ロック装置4のロック状態において、左右方向に延びているとよい。キーホール57は、ロック装置4のロック解除状態において、上下方向に延びているとよい。すなわち、キーホール57に挿入した操作キーを90度回転させることによって、ロック装置4のロック/ロック解除が行われるとよい。ノブ17にカバー42が設けられている場合には、キーホール57は、カバー42から後方に露出しているとよい。
【0045】
ロータ本体55の前部には、ロータ本体55の回転軸線に対してオフセットして延びる接続片59が設けられている。接続片59は、ロータ本体55から前方に向かって延びている。ロータ54の前方であって回転軸線と交差する位置には、カム60が配置されている。
【0046】
図10に示すように、カム60は、カム本体61と、当接部62とを有する。カム本体61は、前後を向く面を有する板状の部材である。カム本体61の上下方向における中央部かつ左右方向における中央部には、カム溝65が形成されている。
【0047】
カム溝65は、カム本体61に形成されている。カム溝65は、貫通孔であってもよく、有底の穴であってもよい。カム溝65は、接続片59を受容可能になっている。カム溝65の縁部は、接続片59と当接可能になっている。カム本体61の下部右側には、ロック片69が接続されている。ロック片69は、前後を向く面を有し、下向きに延びている。
【0048】
当接部62は、カム本体61の左端部に形成されている。当接部62は、可撓性を有する材料によって形成されている。当接部62は、上下方向(すなわち、カム60のスライド方向)に延びるアーム部70を有している。アーム部70は、第1アーム部71と、第2アーム部72とを有している。
【0049】
図8-10に示すように、第1アーム部71は、カム本体61の上部と下部とを接続している。第1アーム部71は、正面視でアーチ状をなしているとよい。第1アーム部71の上下方向における中央部には、突起73が形成されている。突起73は、カム本体61から左向きに突出している。突起73は、凹凸構造48に当接している。
【0050】
第2アーム部72は、上側第2アーム部72Aと、下側第2アーム部72Bとを有する。上側第2アーム部72Aは、第1アーム部71より上方に設けられている。下側第2アーム部72Bは、第1アーム部71より下方に設けられている。第2アーム部72は、凹凸構造48に対して上方及び下方において、ノブ本体40に当接している。
【0051】
カム60は、ノブ17に対して、上下方向にスライド移動可能に支持されている。カム60は、初期位置である第3位置と第4位置との間で変位可能である。第3位置では、第4位置と比較して、カム60はノブ17に対して下方に変位している。
【0052】
図2図8及び図9に示すように、第3位置において、ロック片69はノブ17からベース15側に突出し、第2凹部38に挿入される。これにより、カム60はベース15と係合してノブ17の回動を規制する。また、第3位置において、突起73は第2凹部38に突入する。
【0053】
第4位置において、ロック片69は第2凹部38から抜去される。これにより、カム60はベース15から離れてベース15に対するノブ17の回動を可能にする。また、第4位置において、突起73は凹凸構造48に当接している。カム60は、ロータ54によって第3位置と第4位置との間で変位される。
【0054】
ロータ本体55が回転すると、接続片59は、カム溝65内を移動する。接続片59は、カム溝65の縁部に当接し、カム本体61を押す。これにより、カム60はノブ17に対して上方又は下方に変位する。カム60の変位によって、ロック片69は第2凹部38に挿抜される。したがって、カム60は、ロータ54の回転に応じて第3位置と第4位置との間で変位する。
【0055】
次に、図1に示すリッド3を開閉する際のロック装置4の作動を説明する。リッド3を閉状態から開状態にするとき、操作者は、操作キーをキーホール57に挿し込み、ロータ本体55を左回りに回転させる。これにより、図9に示すように接続片59がカム溝65内を上向きに移動する。接続片59は、カム溝65の縁部の上部に当接し、カム本体61を上方に押す。これにより、カム60は上方にスライド移動して第4位置に変位し、ノブ17はベース15に対して回動可能になる。すなわち、ロック装置4のロック状態が解除される。このとき、突起73がノブ本体40に設けられた凹凸構造48に摺接することによって、節度感が発生する。
【0056】
続いて、図4及び図6に示すように操作者はノブ17の右端を後方に引く。これにより、ノブ17が回動し、ノブ17の左端が前方に移動する。これにより、押出部45が右向きに移動する。押出部45は、続いて当接爪35に当接し、当接爪35を右側に押す。更に押出部45は開口部39の縁部に当接する。これにより、押出部45の移動は規制される。したがって、ノブ17の回動が規制される。
【0057】
当接爪35が右側に押されることにより、第2ラッチ33は右向きにスライド移動する。これにより、第2ラッチ33の右端部に接続された第2突出部31が右向きに変位する。これにより、回動部材18が右向きに回動し、第1突出部30は左向きに変位する。したがって、第1突出部30に接続された第1ラッチ23は左向きにスライド移動する。これにより、第1ラッチ23及び第2ラッチ33は図1に示すボックス2から離れて第2位置に変位する。よって、リッド3は開閉可能となる。
【0058】
リッド3を閉状態から開状態とするときには、図3及び図5に示すように、操作者は、ノブ17に対する引張力を解除する。引張力を解除すると、ノブ付勢部材50の付勢力によって、ノブ17は、延出片41の主面が前後を向くように付勢される。また、ラッチ付勢部材26の付勢力によって第1ラッチ23は左方向に移動する。これにより、第1ラッチ23の左端部に接続された第1突出部30は左向きに変位する。これにより、回動部材18が左向きに回動し、第2突出部31は左向きに変位する。よって、第2突出部31に接続された第2ラッチ33は左向きに変位して初期位置に戻る。
【0059】
操作者は、キーホール57に挿し込んだ操作キーによって、ロータ本体55を右回りに回転させる。これにより、図8に示すように接続片59がカム溝65内を下向きに移動する。接続片59は、カム溝65の縁部の下部に当接し、カム本体61を下方に押す。これにより、カム60は下方にスライド移動して第3位置に変位し、ベース15に対するノブ17の移動が規制される。すなわち、ロック装置4がロック状態となる。このとき、突起73がノブ本体40に設けられた凹凸構造48に摺接し、凹部49に突入することによって、節度感が発生する。
【0060】
次に、上記のように構成されたロック装置4の効果について説明する。本実施形態に係るロック装置4は、ノブ17に設けられたキーシリンダ52を操作することによって、ロータ本体55が回転する。ロータ本体55の回転により、カム60は、ノブ17に対して第3位置と第4位置との間で上下方向に移動する。
【0061】
また、ノブ17に凹凸構造48が形成され、カム60に当接部62が形成されている。当接部62は可撓性を有しているため、カム60がノブ17に対して第3の位置又は第4の位置に変位すると、当接部62は撓み、凹凸構造48に当接する。よって、グローブボックス1のロック装置4において、キーシリンダ52をノブ17に設けると共に、キーシリンダ52の操作に対して節度感を生じさせることができる。また、当接部62によってカム60がノブ17に係止されるため、キーシリンダ52の操作を行っていないときにはカム60の移動が規制される。
【0062】
ロータ54は、前後に延びる回転軸線に対してオフセットして延びる接続片59を有している。カム60は、接続片59を受容するカム溝65を有している。操作者がキーシリンダ52を操作してロータ本体55を回転させると、接続片59が移動してカム溝65を押すため、カム60はノブ17に対して上下方向に移動する。この構成によれば、キーシリンダ52のロータ54とカム60との接続構造を簡素にすることができる。
【0063】
カム60は、第3位置においてノブ17からベース15側に突出するロック片69を有する。第3位置において、ロック片69は第2凹部38に挿入される。これにより、第3位置ではベース15に対するカム60の前後方向の移動が規制される。よって、カム60とベース15との係合構造を簡素にすることができる。
【0064】
ロータ54の回転軸線は、前後に延びている。カム60は、ロータ54の前方に配置され、ロータ54の回転軸線と交差する位置に配置されている。また、カム60は、上下方向にスライド移動可能にノブ17に支持されている。これにより、カム60をノブ17にスペース効率良く配置することができる。
【0065】
ノブ17は、上下に延びる回動軸線を有している。カム60は、上下方向にスライド移動可能にノブ本体40に支持されている。よって、カム60は、ノブ17の回動軸線と平行な方向にスライド移動可能に、ノブ17に支持されている。これにより、カム60をノブ17にスペース効率良く配置することができる。
【0066】
当接部62は、上下方向に延びる可撓性の第1アーム部71及び第2アーム部72を有する。第1アーム部71には突起73が設けられている。突起73は、ノブ17の凹凸構造48に当接する。これにより、キーシリンダ52の操作に節度感を発生させることができる。
【0067】
凹凸構造48は、左右方向(すなわち、カム60のスライド方向と直交する方向)に凹む凹部49を有する。凹部49には、突起73が突入可能である。これにより、突起73が凹部49に突入するときに、キーシリンダ52の操作に節度感を発生させることができる。
【0068】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、上記の実施形態では、本発明のロック装置をグローブボックス1に適用した例について説明したが、本発明のロック装置は、システムキッチン等の家具や収納ボックスといった回動可能なリッドによって開口を閉じる様々な収納装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 :グローブボックス(収納装置)
2 :ボックス
3 :リッド
15 :ベース
16 :ラッチ
17 :ノブ
48 :凹凸構造
49 :凹部
52 :キーシリンダ
53 :ケース
54 :ロータ
59 :接続片
60 :カム
62 :当接部
65 :カム溝
69 :ロック片
70 :アーム部
73 :突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10