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特開2023-145943空間光変調装置、加工装置、及び、位置推定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145943
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】空間光変調装置、加工装置、及び、位置推定方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20231004BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20231004BHJP
【FI】
G02F1/01 B
B23K26/064 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052867
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100206966
【弁理士】
【氏名又は名称】崎山 翔一
(72)【発明者】
【氏名】酒井 浩一
(72)【発明者】
【氏名】小林 覚
(72)【発明者】
【氏名】川合 一希
(72)【発明者】
【氏名】関根 尊史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 義則
【テーマコード(参考)】
2K102
4E168
【Fターム(参考)】
2K102BA05
2K102BB04
2K102BD10
2K102DC09
2K102EA21
2K102EA25
2K102EB02
2K102EB10
2K102EB22
2K102EB26
4E168CA02
4E168EA11
(57)【要約】
【課題】空間光変調部に対する光の入射位置が容易に推定され得る空間光変調装置を提供する。
【解決手段】空間光変調装置10において、検出部7は、空間光変調部3において変調された光を検出する。推定部35は、検出部7における検出結果に基づいて、空間光変調部3に対する光の入射位置P2を推定する。パターン設定部31によって設定される位相パターンP1は、当該位相パターンP1において変調された光によって複数の集光スポットを検出部7に形成するように構成された位相パターンを含んでいる。検出部7は、上記集光スポットの強度情報を検出する。推定部35は、検出部7において検出された複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部3に対する光の入射位置P2を推定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を変調する位相パターンを表示し、前記位相パターンによって前記光を変調する空間光変調部と、
前記空間光変調部に表示する前記位相パターンを設定するパターン設定部と、
前記空間光変調部において変調された光を検出する検出部と、
前記検出部における検出結果に基づいて、前記空間光変調部に対する前記光の入射位置を推定する推定部と、を備え、
前記パターン設定部によって設定される前記位相パターンは、当該位相パターンにおいて変調された光によって複数の集光スポットを前記検出部に形成するように構成された位相パターンを含んでおり、
前記検出部は、前記集光スポットの強度情報を検出し、
前記推定部は、前記検出部において検出された前記複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、前記空間光変調部に対する前記光の入射位置を推定する、空間光変調装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記複数の集光スポットのうち少なくとも2つの前記集光スポットの強度が互いに等しくなる、前記位相パターンへの入射光と前記位相パターンとの位置関係に基づいて、前記空間光変調部に対する前記光の入射位置を推定する、請求項1に記載の空間光変調装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記位相パターンにおいて第一方向で互いに隣接する一対の領域にそれぞれ入射した光によって形成される一対の前記集光スポットの強度情報の比較結果と、前記位相パターンにおいて第二方向で互いに隣接する一対の領域にそれぞれ入射した光によって形成される一対の前記集光スポットの強度情報の比較結果とに基づいて、前記空間光変調部に対する前記光の入射位置を推定し、
前記第一方向と前記第二方向とは、互いに交差している、請求項1又は2に記載の空間光変調装置。
【請求項4】
前記集光スポットの前記強度情報に基づいて、前記位相パターンへの入射光と前記位相パターンとの位置関係を調整する位置調整部をさらに備え、
前記検出部は、前記位置調整部によって前記位置関係が調整された後に、さらに前記複数の集光スポットの前記強度情報を検出し、
前記推定部は、前記位置関係が調整された後に検出された前記複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、前記空間光変調部に対する前記光の入射位置を推定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の空間光変調装置。
【請求項5】
前記位置調整部は、前記位置関係の調整において、前記空間光変調部に表示する前記位相パターンの変更と、前記位相パターンへの入射光の光軸位置の変更との少なくとも1つを実行する、請求項4に記載の空間光変調装置。
【請求項6】
前記集光スポットの前記強度情報に基づいて、前記位相パターンへの入射光と前記位相パターンとの位置関係を調整する位置調整部をさらに備え、
前記位置調整部は、前記位置関係の調整において、前記空間光変調部に表示する前記位相パターンの変更と、前記位相パターンへの入射光の光軸位置の変更との少なくとも1つを実行する、請求項1から3のいずれか一項に記載の空間光変調装置。
【請求項7】
前記位置調整部は、前記複数の集光スポットの前記強度情報に基づいて、前記複数の集光スポットのうち一対の前記集光スポットの強度比の値が1に近づくように前記位置関係を調整する、請求項4又は5に記載の空間光変調装置。
【請求項8】
前記パターン設定部は、前記複数の集光スポットを前記検出部に形成するように構成された前記位相パターンとして、互いに異なる構成を有している複数の前記位相パターンを設定し、
前記空間光変調部は、前記複数の位相パターンを順次表示し、
前記推定部は、前記複数の位相パターンの各々によって形成される前記集光スポットの前記強度情報に基づいて、前記空間光変調部における前記光の入射位置を推定する、請求項1から7のいずれか一項に記載の空間光変調装置。
【請求項9】
前記複数の位相パターンの各々は、当該位相パターンにおいて互いに異なる領域に位置すると共に互いに異なる前記集光スポットをそれぞれ形成する複数種のサブパターンを含んでおり、
前記複数の位相パターンは、前記複数種のサブパターンが位置する領域の配置構成が互いに異なっている、請求項8に記載の空間光変調装置。
【請求項10】
前記検出部は、撮像領域に形成された前記集光スポットの撮像画像を取得する撮像装置を含んでおり、
前記撮像画像は、前記集光スポットの強度情報と前記集光スポットの位置情報とを含んでおり、
前記推定部は、前記撮像画像に含まれている前記集光スポットの強度情報と前記集光スポットの位置情報とに基づいて、前記空間光変調部における前記光の入射位置を推定する、請求項1から9のいずれか一項に記載の空間光変調装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の空間光変調装置と、
前記空間光変調部において変調された光を被加工物に照射する加工部と、を備える、加工装置。
【請求項12】
前記パターン設定部は、前記空間光変調部に表示する前記位相パターンとして、前記入射位置の推定に用いられる入射位置推定用の位相パターンと、前記加工部による前記被加工物の加工に用いられる加工用の位相パターンとの少なくとも一方を設定する、請求項11に記載の加工装置。
【請求項13】
入射した光を変調する空間光変調部において、前記光の入射に応じて複数の集光スポットを形成するように構成された位相パターンを表示することと、
前記位相パターンに光を入射させることと、
光の入射によって形成された前記複数の集光スポットの強度情報を検出することと、
検出された前記複数の集光スポットの前記強度情報を比較することと、
前記複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、前記空間光変調部に対する前記光の入射位置を推定することと、を有する、位置推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間光変調装置、加工装置、及び、位置推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光の照射によって被加工物を加工する加工装置が知られている(非特許文献1など)。当該加工装置は、位相パターンによって光を変調し、変調した光を被加工物に照射することによって被加工物を加工する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】伊藤晴康,長谷川智士,早崎芳夫,豊田晴義,“空間光位相変調器を用いたホログラフィックレーザー加工”,レーザー研究,第43巻第4号、p.227-232
【非特許文献2】“Binary phase masks for easysystem alignment and basic aberration sensing with spatial light modulators inSTED microscopy”, SCIENTIFIC REPORTS 7, Articlenumber:15699 (2017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加工装置は、位相パターンを表示する空間光変調部において光を変調する。空間光変調部は、例えば、空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)を含んでいる。SLMによって形成された位相パターンによって、光が変調される。例えば、SLMにおいて形成されたCGH(Computer-Generated Hologram)によって、変調された光が被加工物に照射される。このような構成において、位相パターンへの入射光が位相パターンに対してずれるという問題が生じていた。
【0005】
非特許文献1において、CGHによって形成された像は、空間光変調部に表示される位相パターンを調整するために撮像装置において撮像され観察されている。この撮像装置において、位相パターンにおいて変調された光のFFP(Far Field Pattern)が撮像されている。この構成において、空間光変調部に表示されるCGHによって、像が形成されているか否かの判定は可能であるが、空間光変調部に対する光の入射位置は特定され難い。このため、位相パターンへの入射光と位相パターンとがずれた場合に、位相パターンへの入射光と位相パターンとの位置関係の調整は困難であった。
【0006】
非特許文献2には、空間光変調部によってFFPとして点広がり関数を成形し、成形された点広がり関数の像の観察することが記載されている。この構成では、光学系のミスアライメントなどに起因する収差を特定することができたとしても、空間光変調部に対する光の入射位置は特定され難い。
【0007】
位相パターンへの入射光のNFP(Near Field Pattern)を撮像装置によって撮像し、撮像画像内のNFPの移動を観察することも考えられる。撮像画像内のNFPは、空間光変調部に対する入射光と共に相対的に移動する。このため、撮像画像の視野範囲と空間光変調部の位置とが厳密に対応付けられていれば、撮像画像内のNFPの位置に応じて空間光変調部に対する入射光の入射位置も特定され得る。しかし、振動又は環境温度変化などの外的要因によって、撮像画像の視野範囲と空間光変調部の位置との間にはずれが生じ得る。したがって、NFPの撮像画像から空間光変調部に対する入射光の入射位置を推定するためには、撮像画像の視野範囲と空間光変調部の位置とのキャリブレーションが要される。
【0008】
本発明の各態様は、空間光変調部に対する光の入射位置が容易に推定され得る、空間光変調装置、加工装置、及び、位置推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの態様における空間光変調装置は、空間光変調部と、パターン設定部と、検出部と、推定部と、を備えている。空間光変調部は、入射した光を変調する位相パターンを表示し、位相パターンによって光を変調する。パターン設定部は、空間光変調部に表示する位相パターンを設定する。検出部は、空間光変調部において変調された光を検出する。推定部は、検出部における検出結果に基づいて、空間光変調部に対する光の入射位置を推定する。パターン設定部によって設定される位相パターンは、当該位相パターンにおいて変調された光によって複数の集光スポットを検出部に形成するように構成された位相パターンを含んでいる。検出部は、上記集光スポットの強度情報を検出する。推定部は、検出部において検出された複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部に対する光の入射位置を推定する。
【0010】
上記一つの態様において、パターン設定部によって設定される位相パターンは、空間光変調部において変調された光によって複数の集光スポットを検出部に形成するように構成された位相パターンを含んでいる。推定部は、複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部に対する光の入射位置を推定する。本願発明者は、複数の集光スポットの強度情報の比較結果によれば、位相パターンにおける光の入射位置が容易に推定され得ることを見出した。この構成によれば、空間光変調部に対する光の入射位置が容易に推定され得る。
【0011】
上記一つの態様において、推定部は、複数の集光スポットのうち少なくとも2つの集光スポットの強度が互いに等しくなる、位相パターンへの入射光と位相パターンとの位置関係に基づいて、空間光変調部に対する光の入射位置を推定してもよい。この場合、空間光変調部に対する光の入射位置がさらに正確に推定され得る。
【0012】
上記一つの態様において、推定部は、位相パターンにおいて第一方向で互いに隣接する一対の領域にそれぞれ入射した光によって形成される一対の集光スポットの強度情報の比較結果と、位相パターンにおいて第二方向で互いに隣接する一対の領域にそれぞれ入射した光によって形成される一対の集光スポットの強度情報の比較結果とに基づいて、空間光変調部に対する光の入射位置を推定してもよい。第二方向は、第一方向と交差している。この場合、第一方向と第二方向との双方において、空間光変調部に対する光の入射位置が推定され得る。この結果、空間光変調部に対する光の入射位置がさらに正確に推定され得る。
【0013】
上記一つの態様において、空間光変調装置は、位置調整部をさらに備えていてもよい。位置調整部は、集光スポットの強度情報に基づいて、位相パターンへの入射光と位相パターンとの位置関係を調整してもよい。検出部は、位置調整部によって上記位置関係が調整された後に、さらに複数の集光スポットの強度情報を検出してもよい。推定部は、上記位置関係が調整された後に検出された複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部に対する光の入射位置を推定してもよい。この場合、位相パターンへの入射光と位相パターンとの位置関係が調整された後の強度情報を用いて、当該位置関係がさらに調整され得る。したがって、位相パターンへの入射光と位相パターンとの位置関係がさらに容易かつ正確に調整され得る。
【0014】
上記一つの態様において、位置調整部は、位置関係の調整において、空間光変調部に表示する位相パターンの変更と、位相パターンへの入射光の光軸位置の変更との少なくとも1つを実行してもよい。この場合、位相パターンへの入射光と位相パターンとの位置関係がさらに容易に調整され得る。
【0015】
上記一つの態様において、集光スポットの強度情報に基づいて、位相パターンへの入射光と位相パターンとの位置関係を調整する位置調整部をさらに備えていてもよい。位置調整部は、位置関係の調整において、空間光変調部に表示する位相パターンの変更と、位相パターンへの入射光の光軸位置の変更との少なくとも1つを実行してもよい。この場合、位相パターンへの入射光と位相パターンとの位置関係がさらに容易に調整され得る。
【0016】
上記一つの態様において、位置調整部は、複数の集光スポットの強度情報に基づいて、複数の集光スポットの強度比の値が1に近づくように上記位置関係を調整してもよい。この場合、空間光変調部に対する光の入射位置がさらに容易かつ正確に推定され得る。
【0017】
上記一つの態様において、パターン設定部は、複数の集光スポットを検出部に形成するように構成された位相パターンとして、互いに異なる構成を有している複数の位相パターンを設定してもよい。空間光変調部は、複数の位相パターンを順次表示してもよい。推定部は、複数の位相パターンの各々によって形成される集光スポットの強度情報に基づいて、空間光変調部における光の入射位置を推定してもよい。この場合、位相パターンへの入射光と位相パターンとの位置関係がさらに容易かつ正確に調整され得る。
【0018】
上記一つの態様において、複数の位相パターンの各々は、複数種のサブパターンを含んでいてもよい。複数種のサブパターンは、当該位相パターンにおいて互いに異なる領域に位置すると共に互いに異なる集光スポットをそれぞれ形成する。複数の位相パターンは、複数種のサブパターンが位置する領域の配置構成が互いに異なっていてもよい。この場合、上記位相パターンごとに、各集光スポットの強度情報が異なり得る。このため、位相パターンにおける入射光の入射位置がより容易に推定され得る。したがって、空間光変調部における光の入射位置がさらに容易に推定され得る。
【0019】
上記一つの態様において、検出部は、撮像領域に形成された集光スポットの撮像画像を取得する撮像装置を含んでいてもよい。撮像画像は、集光スポットの強度情報と集光スポットの位置情報とを含んでいてもよい。推定部は、撮像画像に含まれている集光スポットの強度情報と集光スポットの位置情報とに基づいて、空間光変調部における光の入射位置を推定してもよい。この場合、撮像画像における集光スポットの位置情報によって、集光スポットの強度情報が容易に分類され得る。このため、位相パターンにおける入射光の入射位置がさらに容易に推定され得る。
【0020】
本発明の別の態様における加工装置は、上述した空間光変調装置と、加工部とを備えている。加工部は、空間光変調部において変調された光を被加工物に照射する。この場合、空間光変調部に対する光の入射位置の推定によって、位相パターンへの入射光と位相パターンとのずれが抑制され得る。当該加工装置によれば、空間光変調部によって変調された光は検出部だけでなく被加工物にも導かれるため、被加工物は位相パターンによって変調された光によってさらに正確に加工され得る。
【0021】
上記別の態様において、パターン設定部は、空間光変調部に表示する位相パターンとして、入射位置推定用の位相パターンと加工用の位相パターンとの少なくとも一方を設定してもよい。入射位置推定用の位相パターンは、入射位置の推定に用いられる。加工用の位相パターンは、加工部による被加工物の加工に用いられる。この場合、入射位置推定用の位相パターンによって、空間光変調部に対する光の入射位置が推定された後に、加工用の位相パターンによって被加工物が加工され得る。したがって、加工用の位相パターンへの入射光と加工用の位相パターンとのずれが抑制された状態において、被加工物が加工され得る。
【0022】
本発明のさらに別の態様における位置推定方法は、入射した光を変調する空間光変調部において位相パターンを表示することと、位相パターンに光を入射させることと、を有している。位相パターンは、光の入射に応じて複数の集光スポットが形成されるように構成されている。位相推定方法は、さらに、光の入射によって形成された複数の集光スポットの強度情報を検出することと、検出された複数の集光スポットの強度情報を比較することと、空間光変調部に対する光の入射位置を推定することと、を有している。空間光変調部に対する光の入射位置は、複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて推定される。
【0023】
上記別の態様において、位相パターンは、光の入射に応じて複数の集光スポットが形成されるように構成されている。空間光変調部に対する光の入射位置は、複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて推定される。複数の集光スポットの強度情報の比較結果によれば、位相パターンにおける光の入射位置が容易に推定され得る。したがって、空間光変調部に対する光の入射位置が容易に推定され得る。
【発明の効果】
【0024】
本発明の各態様は、空間光変調部に対する光の入射位置が容易に推定され得る、空間光変調装置、加工装置、及び、位置推定方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態に係る加工装置の一例を示す概略図である。
図2】加工用の位相パターンの一例を示す平面図である。
図3】(a)は入射位置推定用の位相パターンの一例を示す平面図であり、(b)は強度検出部において撮像された画像を示す図である。
図4】(a)は入射位置推定用の位相パターンの一例を示す平面図であり、(b)は強度検出部において撮像された画像を示す図である。
図5】(a)及び(b)は、位相パターンへの入射光と位相パターンとの位置関係を変更する例を説明するための図である。
図6】(a)から(e)は、入射位置推定用の位相パターンと集光スポットとの関係を示す図である。
図7】位置推定プロセスを説明するためのフローチャートである。
図8】位置推定プロセスを説明するためのフローチャートである。
図9】(a)及び(b)は、入射位置推定用の位相パターンごとの集光スポットの強度情報の比較結果がプロットされたグラフである。
図10】本実施形態の変形例における位置推定プロセスを説明するためのフローチャートである。
図11】本実施形態のさらに別の変形例における位置推定プロセスを説明するためのフローチャートである。
図12】(a)及び(b)は、本実施形態の変形例における入射位置推定用の位相パターンと集光スポットとの関係を示す図である。
図13】本実施形態のさらに別の変形例における入射位置推定用の位相パターンと集光スポットとの関係を示す図である。
図14】(a)から(d)は、強度検出部のずれに応じた集光スポットのずれを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有している要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0027】
まず、図1を参照して、本実施形態における加工装置の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る加工装置の一例を示す概略斜視図である。
【0028】
加工装置1は、被加工物Sに光Lを照射し、被加工物Sを所望の形状に加工する。被加工物Sに照射される光Lは、例えば、レーザ光である。加工装置1は、光学系を含んでいる。図1において、光学系によって導かれる光Lは、破線で示されている。加工装置1は、光Lを位相パターンへ入射し、位相パターンにおいて変調した光Lを被加工物Sに照射する。
【0029】
加工装置1は、光軸調整部2と、空間光変調部3と、像転送部4と、加工部5と、モニタ部6と、検出部7と、制御部9とを備えている。加工装置1は、さらに不図示の光源を備えていてもよい。当該光源は、例えば、レーザである。加工装置1は、空間光変調部3において位相パターンP1を表示し、空間光変調部3の位相パターンP1によって変調された光Lによって被加工物Sを加工する。加工装置1は、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する空間光変調装置10を含んでいる。「空間光変調部に対する光Lの入射位置の推定」は、空間光変調部3へ既に入射している光Lの入射位置P2の推定と、空間光変調部3への適切な入射位置P2の推定との少なくとも一方を意味する。空間光変調装置10は、少なくとも空間光変調部3と、検出部7と、制御部9とを含んでいる。空間光変調装置10は、光軸調整部2と像転送部4とモニタ部6とをさらに備えていてもよい。
【0030】
光軸調整部2は、上記光源から入射した光Lを空間光変調部3に導く。光軸調整部2は、例えば、レンズ11,12を含んでいる。例えば、光源から入射した光Lは、レンズ11及びレンズ12を介して空間光変調部3に導かれる。光軸調整部2は、レンズ11,12の位置及び姿勢の少なくとも1つの変更によって、レンズ11,12から出射される光Lの光軸を調整する。光軸調整部2は、レンズ11,12から出射される光Lの光軸の調整によって、当該光Lが空間光変調部3に入射する入射位置P2を変更する。
【0031】
空間光変調部3は、入射した光Lを変調し出射する。空間光変調部3は、入射した光Lを変調する位相パターンP1を表示する。空間光変調部3は、位相パターンP1を表示する表示部13を含んでいる。空間光変調部3は、位相パターンP1によって、入射した光Lを変調する。空間光変調部3は、例えば、空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)を含んでいる。この場合、表示部13は、複数の画素から構成されている。したがって、位相パターンP1は、複数の画素によって構成される。位相パターンP1は、例えば、位相パターンP1に入射した光Lを回折する。空間光変調部3に表示された位相パターンP1に入射した光Lは、当該位相パターンP1の構成に応じて変調される。空間光変調部3は、制御部9から入力される制御信号に応じて、互いに異なる複数の位相パターンP1を順次表示する。
【0032】
空間光変調部3は、位相パターンP1として、加工用の位相パターンP10と入射位置推定用の位相パターンP20との少なくとも一方を表示する。図2図3(a)、及び、図4(a)は、空間光変調部3によって表示される位相パターンP1一例を示している。図2図3(a)、及び、図4(a)において、位相パターンP1へ入射する光Lの入射位置P2は、破線で示されている。以下、空間光変調部3において表示する位相パターンを単に「位相パターン」という。
【0033】
位相パターンP10は、加工部5による被加工物Sの加工に用いられる位相パターンP1である。位相パターンP10は、当該位相パターンP10において変調された光Lによって被加工物Sを加工する光Lを形成するように構成されている。位相パターンP10は、被加工物Sの加工面SPに集光スポットを形成する。
【0034】
図2は、加工用の位相パターンP10の一例を示している。図2において、位相パターンP10は、例えば、仮想的なフレネルレンズを形成する位相パターンである。換言すれば、図2に示される位相パターンP10は、フレネルレンズ状の位相パターンである。位相パターンP10は、フレネルレンズ以外の仮想的なレンズを形成する位相パターンであってもよい。位相パターンP10は、仮想的なレンズの形成以外に用いられる位相パターンであってもよい。
【0035】
図2に示されている位相パターンP10は、同心円状に形成されている。図2に示されている入射光の入射位置P2は、位相パターンP10の中心に配置されている。入射位置P2に入射した光Lは、位相パターンP10によって変調されて、被加工物Sに導かれる。
【0036】
図3(a)及び図4(a)は、入射位置推定用の位相パターンP20の例を示している。図3(b)及び図4(b)は、検出部7によって検出される集光スポットの例を示している。図3(b)及び図4(b)は、強度検出部22おいて撮像された画像M1である。
【0037】
入射位置推定用の位相パターンP20は、入射位置の推定に用いられる位相パターンである。位相パターンP20は、光Lの入射に応じて集光スポットを検出部7に形成するように構成されている。集光スポットは、当該位相パターンP20において変調された光Lによって形成される。位相パターンP20は、複数種のサブパターンを含んでいる。複数種のサブパターンは、位相パターンP20において互いに異なる領域に位置すると共に互いに異なる集光スポットをそれぞれ形成する。
【0038】
本実施形態において、入射位置推定用の位相パターンP20は、入射位置推定用の位相パターンP21と、入射位置推定用の位相パターンP22とを含んでいる。図3(a)及び図4(a)に示されているように、位相パターンP21と位相パターンP22とは、互いに異なる種別の構成を有している。図3(b)に示されているように、位相パターンP21は、複数の集光スポットF1,F2を検出部7に形成するように構成されている。図4(b)に示されているように、位相パターンP22は、複数の集光スポットF3,F4を検出部7に形成するように構成されている。位相パターンP21によって形成される複数の集光スポットF1,F2の配列方向と、位相パターンP22によって形成される複数の集光スポットF3,F4の配列方向とは、互いに異なる。位相パターンP21によって形成される複数の集光スポットF1,F2の配列方向と、位相パターンP22によって形成される複数の集光スポットF3,F4の配列方向とは、互いに交差している。
【0039】
空間光変調部3は、例えば、互いに異なる構成を有する複数の位相パターンP21を順次表示する。複数の位相パターンP21は、各位相パターンP21において複数種のサブパターンが位置する領域の配置構成に関して互いに異なっている。さらに、空間光変調部3は、互いに異なる構成を有する複数の位相パターンP22を順次表示する。複数の位相パターンP22は、各位相パターンP22において複数種のサブパターンが位置する領域の配置構成に関して互いに異なっている。
【0040】
位相パターンP21は、領域R1に位置するサブパターンPS1と、領域R2に位置するサブパターンPS2とを含んでいる。領域R1と領域R2とは、例えば、X軸方向において表示部13を区分けする領域である。領域R1と領域R2とは、左右方向において互いに隣接している。領域R1と領域R2とは左右方向に配列されており、領域R1と領域R2とによって表示部13が構成されている。本明細書において、「左右方向」とは、水平方向、すなわちX軸方向に相当する。領域R1は、領域R2よりも左側に位置している。図3(a)に示されている例において、領域R1と領域R2とは、左右方向において位相パターンP21を二分割するように構成されている。領域R1と領域R2との境界は、Z軸方向に沿って延在している。
【0041】
サブパターンPS1とサブパターンPS2とは、左右方向に配列されている。サブパターンPS1とサブパターンPS2とは、互いに異なる位置に集光スポットF1,F2を形成するように構成されている。サブパターンPS1は、集光スポットF1を形成するように構成されている。サブパターンPS2は、集光スポットF2を形成するように構成されている。図3(b)に示されているように、位相パターンP21は、集光スポットF1,F2が左右方向に配列されるように構成されている。
【0042】
位相パターンP22は、領域R3に位置するサブパターンPS3と、領域R4に位置するサブパターンPS4とを含んでいる。領域R3と領域R4とは、例えば、Z軸方向において表示部13を区分けする領域である。領域R3と領域R4とは、上下方向において互いに隣接している。領域R3と領域R4とは上下方向に配列されており、領域R3と領域R4とによって表示部13が構成されている。本明細書において「上下方向」とは、鉛直方向、すなわちZ軸方向に相当する。領域R3は、領域R4よりも下側に位置している。図3(b)に示されている例において、領域R3と領域R4とは、上下方向において位相パターンP22を二分割するように構成されている。領域R3と領域R4との境界は、X軸方向に沿って延在している。
【0043】
サブパターンPS3とサブパターンPS4とは、上下方向に配列されている。サブパターンPS3とサブパターンPS4とは、互いに異なる位置に集光スポットF3,F4を形成するように構成されている。サブパターンPS3は、集光スポットF3を形成するように構成されている。サブパターンPS4は、集光スポットF4を形成するように構成されている。図4(b)に示されているように、位相パターンP22は、集光スポットF3,F4が上下方向に配列されるように構成されている。
【0044】
像転送部4は、空間光変調部3から出射された光Lによって像が形成される位置を調整する。像転送部4は、例えばレンズ14,15を含んでいる。例えば、空間光変調部3から出射された光Lは、レンズ14に入射した後にレンズ15に入射する。レンズ14,15は、レンズ14の焦点及びレンズ15の焦点がレンズ14とレンズ15との間に位置するように配置されている。
【0045】
加工部5は、空間光変調部3において変調された光Lを被加工物Sに照射し、被加工物Sを加工する。加工部5は、例えば、ミラー16とレンズ17とを含んでいる。空間光変調部3から出射された光Lは、像転送部4を介してミラー16に入射される。ミラー16は、空間光変調部3から出射した光Lをレンズ17へ導く。ミラー16は、例えばハーフミラーである。例えば、ミラー16は、像転送部4から出射された光Lを反射光と透過光とに分離する。図1に示されている例においては、ミラー16は、反射光をレンズ17へ導き、透過光をモニタ部6及び検出部7へ導く。レンズ17は、ミラー16から導かれた光Lを被加工物Sの加工面SP上に集光する。被加工物Sは、予め決められた位置に配置される。
【0046】
モニタ部6は、空間光変調部3において表示される位相パターンP1をモニタリングする。例えば、モニタ部6は、空間光変調部3において表示される位相パターンP1の画像を取得する。例えば、モニタ部6は、ミラー18と撮像装置19とを含んでいる。例えば、空間光変調部3から出射された光Lは、像転送部4及びミラー16を介して、ミラー18に入射される。ミラー18は、空間光変調部3から出射された光Lを撮像装置19へ導く。ミラー18は、例えばハーフミラーである。例えば、ミラー18は、空間光変調部3から出射された光Lを反射光と透過光とに分離する。図1に示されている例においては、ミラー18は、反射光を撮像装置19へ導き、透過光を検出部7へ導く。
【0047】
撮像装置19は、ミラー18から導かれた光Lによって形成される像を撮像する。撮像装置19によって撮像される像は、NFPである。撮像装置19によって撮像された像は、例えば、不図示の表示部に表示される。この場合、空間光変調部3において表示されている位相パターンP1が、撮像装置19によって撮像された像によって直接的に観察され得る。撮像装置19によって撮像された画像の観察は、ユーザによって実行されてもよいし、後述する演算装置30等によって機械的に処理されてもよい。これらの構成によれば、所望の位相パターンが空間光変調部3に表示されているかが、モニタ部6によって確認され得る。たとえば、モニタ部6におけるモニタリングによって、空間光変調部3に表示する位相パターンP1のフィードバック制御が制御部9によって実現され得る。
【0048】
検出部7は、空間光変調部3において変調された光Lを検出する。検出部7は、入射した光Lの強度情報を検出する。検出部7は、空間光変調部3に表示する位相パターンP1によって形成される集光スポットの強度情報を検出する。例えば、検出部7は、レンズ21と、強度検出部22とを含んでいる。例えば、空間光変調部3から出射された光Lは、像転送部4、ミラー16,18を介して、レンズ21に入射される。レンズ21は、空間光変調部3から出射された光Lを強度検出部22に導く。レンズ21は、空間光変調部3から出射された光Lを集光した集光スポットを形成する。本明細書において、図1に示されているように、X軸方向は水平方向に相当し、Y軸方向は強度検出部22への光Lの入射方向に相当し、Z軸方向は鉛直方向に相当する。
【0049】
強度検出部22は、レンズ21によって形成された集光スポットの強度情報を検出する。強度検出部22は、集光スポットの強度情報として、集光スポットの強度を計測する。強度検出部22は、位相パターンP20によって形成される複数の集光スポットを検出する。強度検出部22は、さらに集光スポットが形成される位置を検出してもよい。
【0050】
本実施形態において、強度検出部22は、例えば、撮像装置である。強度検出部22は、撮像領域に形成された集光スポットの撮像画像を取得する。撮像領域は、撮像素子の撮像面に相当する。撮像面は、行列状に2次元配列された複数の画素からなる。撮像画像は、撮像面を構成する複数の画素の各々において取得された情報から構成されている。取得された撮像画像は、集光スポットの強度情報と集光スポットの位置情報とを含んでいる。強度検出部22によって撮像される像は、FFPである。
【0051】
本実施形態の変形例として、強度検出部22は、撮像装置以外の光強度を計測する装置であってもよく、互いに離隔されている複数の光パワーメータであってもよい。例えば、複数の光パワーメータは、互いに離隔されている複数のフォトダイオードであってもよい。本変形例において、複数の光パワーメータは、位相パターンP20によって形成された複数の集光スポットが形成される位置にそれぞれ対応するように配置される。例えば、複数の光パワーメータは、複数の集光スポットが形成される位置に一対一の関係でそれぞれ配置される。
【0052】
制御部9は、空間光変調部3の制御、及び、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2の推定を実行する。制御部9は、さらに、光軸調整部2の制御を実行してもよい。制御部9は、演算装置30を含んでいる。演算装置30は、これらのハードウェアと、プログラム等のソフトウェアとにより構成された1又は複数のコンピュータを含んでいる。演算装置30が、複数のコンピュータによって構成される場合には、これらのコンピュータはローカルで接続されてもよいし、インターネット又はイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されてもよい。
【0053】
制御部9は、例えば、演算装置30によって構成されている。演算装置30は、例えば、プロセッサと、主記憶装置と、補助記憶装置と、通信装置と、入力装置と、出力装置と、表示装置と、を備えている。演算装置30は、クラウドを含んでいてもよい。プロセッサは、オペレーティングシステム及びアプリケーション・プログラムなどを実行する。主記憶装置は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)により構成される。補助記憶装置は、ハードディスク及びフラッシュメモリなどにより構成される記憶媒体である。通信装置は、ネットワークカード又は無線通信モジュールにより構成される。入力装置は、キーボード、マウス、及び、タッチパネルなどにより構成される。出力装置は、ディスプレイ及びプリンタなどにより構成される。
【0054】
本実施形態において、制御部9は、被加工物Sを加工する加工プロセスと、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する位置推定プロセスとを実行する。加工プロセスにおいて、加工用の位相パターンP10が用いられる。位置推定プロセスにおいて、入射位置推定用の位相パターンP20が用いられる。例えば、位置推定プロセスは、加工プロセスが実行される前に実行される。これによって、加工プロセスにおける位相パターンP10と位相パターンP10への光Lの入射位置P2との位置関係が調整され得る。当該位置関係の調整によって、加工プロセスにおいて位相パターンP10の所望の位置に光Lが入射され得る。位置推定プロセスは、加工プロセスの途中で実行されてもよい。
【0055】
本実施形態の変形例として、位置推定プロセスが実行される時間と加工プロセスが実行される時間とは重複していてもよい。この場合、加工用の位相パターンP10が、入射位置推定用の位相パターンP20を兼ねていてもよい。この場合、位相パターンP10によって変調された光Lは、加工部5における被加工物Sの加工に用いられると共に、検出部7及び制御部9による空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2の推定にも用いられる。
【0056】
本実施形態において、制御部9は、パターン設定部31と、情報取得部32と、比較部33と、位置調整部34と、推定部35と、を含んでいる。演算装置30が、複数のコンピュータによって構成される場合には、これらのコンピュータの接続によって、論理的にパターン設定部31、情報取得部32、比較部33、位置調整部34、及び、推定部35の各々が構築される。本実施形態において、1つの演算装置30が、パターン設定部31、情報取得部32、比較部33、位置調整部34、及び、推定部35を構成している。本実施形態の変形例として、パターン設定部31、情報取得部32、比較部33、位置調整部34、及び、推定部35は、互いに離間した複数の演算装置30によって構成されていてもよい。
【0057】
パターン設定部31は、位相パターンP1を制御する。パターン設定部31は、空間光変調部3に表示する位相パターンP1を設定する。パターン設定部31は、例えば、空間光変調部3に設定する位相パターンP1を生成する。
【0058】
本実施形態の変形例として、パターン設定部31は、加工装置1の外部において生成された位相パターンP1を取得してもよい。パターン設定部31は、加工装置1の外部において生成された位相パターンP1、及び、パターン設定部31によって予め生成された位相パターンP1の少なくとも1つを格納していてもよい。この場合、パターン設定部31は、予め格納されている位相パターンP1を空間光変調部3に設定してもよい。
【0059】
パターン設定部31は、空間光変調部3に表示する位相パターンP1として、加工用の位相パターンP10と入射位置推定用の位相パターンP20との少なくとも一方を設定する。本実施形態において、パターン設定部31によって設定される位相パターンP1は、位相パターンP10と位相パターンP20との双方を含んでいる。本実施形態において、パターン設定部31は、互いに異なる種別の構成を有している入射位置推定用の位相パターンP21,P22を設定する。
【0060】
例えば、パターン設定部31は、加工プロセスにおいて位相パターンP10を空間光変調部3に設定する。位相パターンP10は、加工プロセスにおいて被加工物Sに照射される光Lを形成する。この結果、空間光変調部3は、加工プロセスにおいて加工用の位相パターンP10を表示し、位相パターンP10へ入射した光Lを変調し、加工時に被加工物Sに照射される光Lを出射する。例えば、位相パターンP10によって変調された光Lは、加工部5のレンズ17によって集光され、被加工物Sの加工面SPに照射される。
【0061】
例えば、パターン設定部31は、位置推定プロセスにおいて位相パターンP20を空間光変調部3に設定する。位相パターンP20は、位置推定プロセスにおいて入射位置P2の推定に用いられる光Lを形成する。この結果、空間光変調部3は、位置推定プロセスにおいて入射位置推定用の位相パターンP20を表示し、位相パターンP20へ入射した光Lを変調し、入射位置P2の推定に用いられる光Lを出射する。位相パターンP20によって変調された光Lは、検出部7のレンズ21によって集光され、複数の集光スポットを強度検出部22に形成する。
【0062】
情報取得部32は、強度検出部22から検出結果を取得する。情報取得部32は、強度検出部22から取得された検出結果に基づいて、複数の集光スポットの各々の強度情報を取得する。本実施形態において、情報取得部32は、さらに、強度検出部22から取得された検出結果に基づいて、複数の集光スポットの各々の位置情報を取得する。情報取得部32は、例えば、強度検出部22における検出結果に基づいて、位相パターンP20によって形成された集光スポットの位置を判断する。情報取得部32は、例えば、集光スポット毎に、集光スポットの強度情報と集光スポットの位置とを紐付ける。
【0063】
強度検出部22は、集光スポットの強度情報だけでなく集光スポットの位置を検出する場合、情報取得部32は、強度検出部22によって検出された集光スポットの強度情報及び位置を取得する。本実施形態において、強度検出部22が集光スポットを撮像する。この場合、例えば、情報取得部32は、撮像画像における画素の輝度に基づいて集光スポットの強度情報を取得し、撮像画像における画素位置に基づいて集光スポットの位置情報を取得する。
【0064】
本実施形態の変形例として、複数の集光スポットの各々が複数の強度検出部22によって検出される場合、情報取得部32は、集光スポットを検出した強度検出部22の種別に基づいて、集光スポットの位置を取得する。強度検出部22の種別は、例えば、予め強度検出部22の個体番号、又は、各強度検出部22の位置などであってもよい。
【0065】
情報取得部32は、制御部9への入力情報及び出力情報、並びに、制御部9における演算結果を取得する。情報取得部32は、取得された情報を補助記憶装置に記憶する。
【0066】
比較部33は、情報取得部32において取得された情報に基づいて、複数の集光スポットの強度情報を比較する。比較部33は、例えば、強度検出部22において撮像された1つの撮像画像に含まれている複数の集光スポットの強度情報を比較する。比較部33は、例えば、複数の集光スポットの強度が互いに等しいか否かを判定する。比較部33は、例えば、位相パターンP20によって形成される2つの集光スポットの強度比を演算する。
【0067】
「複数の集光スポットの強度が互いに等しい」とは、複数の集光スポットから2つの集光スポットを選択した場合における全ての組み合わせにおいて、2つの集光スポットの強度比の値が1を基準とした所定の範囲内にあることをいう。当該所定の範囲は、例えば、強度検出部22において検出される強度の有効数字に依存する。当該所定の範囲は、例えば、0.99以上1.01以下である。同一の位相パターンP20において集光スポットの強度が複数回測定される場合、上述した強度比の値は、複数回測定された強度の平均値、最大値、中央値、又は、最頻値などに基づいて演算される。
【0068】
例えば、比較部33は、集光スポットの強度情報に基づいて、位相パターンP20に対する入射位置P2が適切であるか否かを判断してもよい。例えば、比較部33において位相パターンP20に対する入射位置P2が適切でないと判断された場合に、位置調整部34は、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を調整する。例えば、比較部33において、位相パターンP20に対する入射位置P2が適切であると判断された場合には、情報取得部32は、現在の位相パターンP20の構成に関する情報を記憶する。記憶された情報は、加工プロセスにおける加工用の位相パターンP10の設定に用いられる。
【0069】
本実施形態の変形例として、比較部33において、位相パターンP20に対する入射位置P2が適切であると判断された場合に、情報取得部32が現在の光軸調整部2の設定に関する情報を記憶してもよい。記憶された情報は、加工プロセスにおける光軸調整部2の設定に用いられる。さらなる変形例として、比較部33において、位相パターンP20に対する入射位置P2が適切であると判断された場合に、位置調整部34が、加工プロセスまで現在の光軸調整部2の設定を維持してもよい。
【0070】
位置調整部34は、位相パターンP1への入射光と位相パターンP1との位置関係を調整する。位置調整部34は、位相パターンP1への入射光と位相パターンP1との位置関係の調整において、空間光変調部3に表示する位相パターンP1の変更、及び、位相パターンP1への入射光の光軸位置の変更との少なくとも1つを実行する。
【0071】
位置調整部34は、例えば、図5(a)に示されているように、空間光変調部3に対し位相パターンP1の構成が矢印α方向に移動するように位相パターンP1を変更する。これによって、位相パターンP1への入射光と位相パターンP1との位置関係が変更される。位置調整部34は、例えば、図5(b)に示されているように、位相パターンP1への入射光の入射位置P2を矢印β方向に移動させるように入射光の光軸の位置を変更する。これによっても、位相パターンP1への入射光と位相パターンP1との位置関係とが変更される。図5(a)及び図5(b)は、位相パターンP1への入射光と位相パターンP1との位置関係を変更する例を説明するための図である。
【0072】
本実施形態において、位置調整部34は、位相パターンP1への入射光と位相パターンP1との位置関係の調整において、パターン設定部31に位相パターンP1の再設定を指示し、空間光変調部3に表示する位相パターンP1を変更する。本実施形態の変形例として、位置調整部34は、位相パターンP1への入射光と位相パターンP1との位置関係の調整において、光軸調整部2を制御し、空間光変調部3への入射光の光軸位置を調整してもよい。
【0073】
例えば、位置調整部34は、予め設定された位置関係に、位相パターンP1への入射光と位相パターンP1との位置関係を調整する。例えば、位置調整部34は、強度検出部22における検出結果に基づいて、位相パターンP1への入射光と位相パターンP1との位置関係を調整する。
【0074】
例えば、位置調整部34は、推定部35による推定結果に基づいて、加工用の位相パターンP10への入射光と位相パターンP10との位置関係を調整する。例えば、位置調整部34は、空間光変調部3に表示する位相パターンP10の変更、及び、位相パターンP10への入射光の光軸位置の変更との少なくとも1つを実行し、位相パターンP10に対して、推定部35によって推定された入射位置P2に光Lを入射させる。
【0075】
例えば、位置調整部34は、情報取得部32において取得された強度検出部22の検出結果に基づいて、入射位置推定用の位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を調整する。例えば、位置調整部34は、空間光変調部3に表示する位相パターンP20の変更、及び、位相パターンP20への入射光の光軸位置の変更との少なくとも1つを実行し、位相パターンP20に対して光Lを入射させる。
【0076】
例えば、位置調整部34は、集光スポットの強度情報に基づいて、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を調整する。位置調整部34は、集光スポットの強度情報及び集光スポットの位置情報に基づいて、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を調整する。
【0077】
位置調整部34は、複数の集光スポットの強度情報が強度検出部22において検出されるように、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を調整する。位置調整部34は、強度検出部22において1つの集光スポットのみの強度情報が検出された場合には、強度検出部22において複数の集光スポットの強度情報が検出されるように、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を調整する。
【0078】
本実施形態において、位置調整部34は、位置推定プロセスにおける位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の変更として、空間光変調部3に表示する位相パターンP20を段階的に変更する。本実施形態において、位置調整部34は、予め設定されている全ての位相パターンP20に関して、集光スポットの強度情報が取得されるまで、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を段階的に調整する。
【0079】
本実施形態の変形例として、位置調整部34は、複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を段階的に調整してもよい。例えば、位置調整部34は、複数の集光スポットのうち少なくとも2つの集光スポットの強度が互いに等しくなるまで、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を段階的に調整してもよい。
【0080】
本実施形態のさらなる変形例として、位置調整部34は、複数の集光スポットのうち一対の集光スポットの強度比の値が1に近づくように、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を調整してもよい。換言すれば、位置調整部34は、複数の集光スポットのうち一対の集光スポットの強度が互いに等しくなるように、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を調整してもよい。例えば、位置調整部34は、強度検出部22における検出結果に基づいて、複数の集光スポットの強度比の値が0.99以上1.01以下となるように、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を調整してもよい。本変形例において、位置調整部34は、例えば、空間光変調部3における位置を区間とし、強度比の値を解とした二分法を用いて、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を調整してもよい。
【0081】
本実施形態において、位置調整部34は、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の調整において、パターン設定部31に位相パターンP20の再設定を指示し、空間光変調部3に表示する位相パターンP20を変更する。例えば、パターン設定部31は、位置調整部34から位相パターンP21の再設定を指示された場合に、サブパターンPS1,PS2の配置構成が異なる位相パターンP21を空間光変調部3に表示させる。換言すれば、パターン設定部31は、位置調整部34から位相パターンP21の再設定を指示された場合に、空間光変調部3に表示させる位相パターンP21において、サブパターンPS1,PS2の配置構成を変更する。本実施形態の変形例として、位置調整部34は、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の調整において、光軸調整部2を制御し、空間光変調部3への入射光の光軸位置を調整してもよい。
【0082】
推定部35は、強度検出部22における検出結果に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。換言すれば、推定部35は、強度検出部22によって検出された強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。例えば、推定部35は、互いに異なる構成を有している複数の位相パターンP20の各々によって形成される集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。
【0083】
具体的には、推定部35は、例えば、位置調整部34によって調整された位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係と、位相パターンP20によって形成される集光スポットの強度情報の比較結果とに基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。例えば、推定部35は、複数の集光スポットのうち少なくとも2つの集光スポットの強度が互いに等しくなる、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。
【0084】
例えば、推定部35は、複数の集光スポットのうち少なくとも2つの集光スポットの強度が互いに等しくなる位相パターンP20の構成に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。例えば、推定部35は、複数の集光スポットのうち少なくとも2つの集光スポットの強度が互いに等しくなる位相パターンP21において、サブパターンPS1とサブパターンPS2との境界の位置を、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定する。同様に、推定部35は、複数の集光スポットのうち少なくとも2つの集光スポットの強度が互いに等しくなる位相パターンP22において、サブパターンPS3とサブパターンPS4との境界の位置を、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定する。
【0085】
推定部35は、一対の集光スポットF1,F2の強度情報の比較結果と、一対の集光スポットF3,F4の強度情報の比較結果とに基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定する。一対の集光スポットF1,F2は、一対の領域R1,R2にそれぞれ入射した光Lによって形成されている。一対の領域R1,R2は、位相パターンP21においてX軸方向で互いに隣接している。一対の集光スポットF3,F4は、一対の領域R3,R4にそれぞれ入射した光Lによって形成されている。一対の領域R3,R4は、位相パターンP22においてZ軸方向で互いに隣接している。例えば、X軸方向が第一方向に対応する場合、Z軸方向が第二方向に対応する。
【0086】
本実施形態の変形例として、推定部35は、複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を演算してもよい。例えば、推定部35は、複数の集光スポットの強度比に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を演算してもよい。推定部35は、複数の集光スポットの強度比の変化に基づいて、加工プロセスにおける空間光変調部3に対する入射位置P2のずれ量を演算してもよい。位置調整部34は、推定部35によって演算された入射位置P2のずれ量に基づいて、ずれが補整されるように、位相パターンP10への入射光と位相パターンP10との位置関係を調整してもよい。
【0087】
次に、図6(a)から図6(e)を参照して、位置推定プロセスにおける位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の変更について詳細に説明する。図6(a)から図6(e)は、入射位置推定用の位相パターンP20と集光スポットF1,F2との関係を示す図である。本実施形態において、位置調整部34は、位置推定プロセスにおける位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の変更として、空間光変調部3に表示する位相パターンP20を段階的に変更する。
【0088】
加工装置1は、位置推定プロセスにおいて、位相パターンP20として、例えば、複数の入射位置推定用の位相パターンP21を用いる。この場合、パターン設定部31は、複数の位相パターンP21を空間光変調部3に設定する。例えば、位置調整部34は、複数の位相パターンP21を空間光変調部3に順次表示させる。強度検出部22は、各位相パターンP21によって形成される集光スポットF1,F2を順次検出する。換言すれば、加工装置1は、位置推定プロセスにおいて、位置調整部34による位相パターンP21の変更と、強度検出部22による当該位相パターンP21によって形成される集光スポットの検出とを繰り返す。
【0089】
強度検出部22は、位相パターンP21への入射光と位相パターンP21との位置関係が位置調整部34によって調整された後に、さらに複数の集光スポットF1,F2の強度情報を検出する。推定部35は、位相パターンP21への入射光と位相パターンP21との位置関係が調整された後に検出された複数の集光スポットF1,F2の強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。位相パターンP21の変更と集光スポットの検出との組み合わせによって、位相パターンP21における光Lの入射位置P2を探索する位置探索処理が実行される。
【0090】
図6(a)から図6(e)は、位置推定プロセスにおいて空間光変調部3に表示する位相パターンP20が変更される例において、入射位置推定用の位相パターンP20と集光スポットF1,F2との関係を示している。本実施形態において、位置調整部34は、図6(a)に示されている状態から図6(e)に示されている状態まで順に、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を段階的に調整する。換言すれば、位置調整部34は、図6(a)から図6(e)に示されている複数の位相パターンP21を空間光変調部3に順次表示させる。
【0091】
各位相パターンP21は、複数種のサブパターンPS1,PS2を含んでいる。位相パターンP21におけるサブパターンPS1,PS2の配置構成は、位相パターンP21ごとに異なる。図6(a)から図6(e)に示されている位相パターンP21には、それぞれ光Lが入射されている。光Lは、位相パターンP21によって変調され、検出部7に向かって出射される。
【0092】
図6(a)から図6(e)に示されている位相パターンP21において、サブパターンPS1とサブパターンPS2とは、X軸方向に配列されている。図6(a)から図6(e)に示されている複数の位相パターンP21において、サブパターンPS1が位置する領域R1とサブパターンPS2が位置する領域R2との面積比は、位相パターンP21ごとに異なる。図6(a)から図6(e)に示されている複数の位相パターンP21において、X軸方向における領域R1と領域R2との長さ比は、位相パターンP21ごとに異なる。図6(a)から図6(e)に示されている複数の位相パターンP21において、領域R1と領域R2との境界の位置は、位相パターンP21ごとに異なる。図6(a)から図6(e)に示されている複数の位相パターンP21において、光Lが入射される位置は同一である。
【0093】
サブパターンPS1は、光LのうちサブパターンPS1に入射した光L1を変調し、強度検出部22に集光スポットF1を形成する。サブパターンPS2は、光LのうちサブパターンPS2に入射した光L2を変調し、強度検出部22に集光スポットF2を形成する。強度検出部22は、強度検出部22に形成された集光スポットが表示された画像M1を撮像する。
【0094】
図6(a)に示されている位相パターンP21において、X軸方向における領域R2の長さはX軸方向における領域R1の長さよりも大きい。図6(a)において、光Lは、位相パターンP21のうちサブパターンPS2のみに入射している。このため、集光スポットF1は強度検出部22に形成されず、集光スポットF2のみが強度検出部22に形成される。この結果、画像M1には集光スポットF2のみが表示されている。
【0095】
図6(b)に示されている位相パターンP21において、X軸方向における領域R2の長さはX軸方向における領域R1の長さよりも大きい。X軸方向において、図6(b)における領域R2の長さは図6(a)における領域R2の長さよりも小さい、図6(b)における領域R1の長さは図6(a)に示されている領域R1の長さよりも大きい。図6(b)において、光Lは、サブパターンPS1及びサブパターンPS2に入射している。この結果、画像M1には集光スポットF1及び集光スポットF2が表示されている。位相パターンP21において光L2の面積は、光L1の面積よりも大きい。このため、集光スポットF2の強度は、集光スポットF1の強度よりも大きい。
【0096】
図6(c)に示されている位相パターンP21において、X軸方向における領域R2の長さとX軸方向における領域R1の長さとは、互いに等しい。図6(c)において、光Lは、サブパターンPS1及びサブパターンPS2に入射している。この結果、画像M1には集光スポットF1及び集光スポットF2が表示されている。位相パターンP21において光L2の面積と光L1の面積とは、互いに等しい。このため、集光スポットF2の強度と集光スポットF1の強度とは、互いに等しい。
【0097】
図6(d)に示されている位相パターンP21において、X軸方向における領域R2の長さはX軸方向における領域R1の長さよりも小さい。図6(d)において、光Lは、サブパターンPS1及びサブパターンPS2に入射している。この結果、画像M1には集光スポットF1及び集光スポットF2が表示されている。位相パターンP21において、光L2の面積は、光L1の面積よりも小さい。このため、集光スポットF2の強度は、集光スポットF1の強度よりも小さい。
【0098】
図6(e)に示されている位相パターンP21において、X軸方向における領域R2の長さはX軸方向における領域R1の長さよりも小さい。X軸方向において、図6(e)における領域R2の長さは図6(d)に示されている領域R2の長さよりも小さく、図6(e)における領域R1の長さは図6(d)に示されている領域R1の長さよりも大きい。図6(e)において、光Lは、位相パターンP21のうちサブパターンPS1のみに入射している。このため、集光スポットF2は強度検出部22に形成されず、集光スポットF1のみが強度検出部22に形成される。この結果、画像M1には集光スポットF1のみが表示されている。
【0099】
図6(a)から図6(e)に示された位相パターンP21によって、互いに異なる集光スポットF1,F2の強度情報が検出される。集光スポットF1,F2の強度比の値は、図6(c)に示されている位相パターンP21において最も1に近づく。このため、推定部35は、図6(c)に示されている位相パターンP21に対応する位置に、光Lが入射していると推定する。これによって、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2が推定される。例えば、図6(c)に示されている位相パターンP21のサブパターンPS1とサブパターンPS2との境界の位置が、X軸方向における空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定される。換言すれば、領域R1と領域R2との境界の位置が、X軸方向における空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定される。
【0100】
位置推定プロセスにおける位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の変更が、空間光変調部3に表示する位相パターンP20の変更によって実行される例を説明した。当該位置関係の変更は、位相パターンP20への入射光の光軸位置の変更による同様の処理によって実現されてもよい。
【0101】
例えば、位相パターンP20への入射光の光軸位置が変更される場合において、位置調整部34は、位相パターンP21への入射光の入射位置P2を光軸位置の変更によって順次変更させる。強度検出部22は、入射位置P2が互いに異なる入射光によって形成される集光スポットを順次検出する。換言すれば、加工装置1は、位置推定プロセスにおいて、位置調整部34による位相パターンP1への入射光の光軸位置の変更と、強度検出部22による当該位相パターンP21によって形成される集光スポットの検出とを繰り返す。この場合も、強度検出部22は、位相パターンP21への入射光と位相パターンP21との位置関係が位置調整部34によって調整された後に、さらに複数の集光スポットの強度情報を検出する。このように、光軸位置の変更と集光スポットの検出との組み合わせによって、位相パターンP21における光Lの入射位置P2を探索する位置探索処理が実行されてもよい。
【0102】
次に、図7図8、並びに、図9(a)及び図9(b)を参照して、空間光変調装置10よって実行される位置推定方法の一例を説明する。図7及び図8は、位置推定プロセスを説明するためのフローチャートである。図9(a)及び図9(b)は、複数の集光スポットの強度比の値を示すグラフである。
【0103】
位置推定プロセスにおいて、制御部9は、パターン設定部31、情報取得部32、比較部33、位置調整部34、及び、推定部35によって、位置探索処理を実行する。位置推定プロセスは、例えば、図7に示されているフローチャートにしたがって実行される。
【0104】
まず、制御部9が、左右スポットによる位置探索処理を実行する(処理S1)。制御部9は、左右スポットによる位置探索処理を実行する。左右スポットは、図3(b)に示されるようにX軸方向に配列された集光スポットF1,F2に相当する。処理S1において、図3(a)に示されるように、サブパターンPS1とサブパターンPS2とが左右方向に配列されている入射位置推定用の位相パターンP21が用いられる。処理S1において、パターン設定部31は、位相パターンP21を空間光変調部3に設定する。推定部35は、位相パターンP21によって形成された集光スポットF1,F2の強度情報に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。
【0105】
次に、制御部9が、上下スポットによる位置探索処理を実行する(処理S2)。上下右スポットは、図4(b)に示されるようにZ軸方向に配列された集光スポットF3,F4に相当する。処理S2において、図4(a)に示されるように、サブパターンPS3とサブパターンPS4とが上下方向に配列されている入射位置推定用の位相パターンP22が用いられる。処理S2において、パターン設定部31は、位相パターンP22を空間光変調部3に設定する。推定部35は、位相パターンP22によって形成された集光スポットF3,F4の強度情報に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。
【0106】
処理S1と処理S2によって、左右方向及び上下方向における入射位置P2が推定される。制御部9は、処理S1及び処理S2が終了すると位置推定プロセスを終了する。本実施形態の変形例として、制御部9は、上下スポットによる位置探索処理の後に左右スポットによる位置探索処理を実行してもよい。
【0107】
次に、図8を参照して、左右スポットによる位置探索処理を詳細に説明する。この位相探索処理においては、入射位置推定用の位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の設定と、集光スポットの強度情報の検出とが、複数の位相パターンP20の全てにおいて強度情報が取得されるまで繰り返される。以下では、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の変更が、空間光変調部3に表示する位相パターンP20の変更によって実行される場合を例に説明する。
【0108】
まず、入射位置推定用の位相パターンP20が空間光変調部3に表示される(処理S11)。例えば、パターン設定部31が、位相パターンP20を空間光変調部3に表示させる。位置探索処理が実行されて初めの処理S11において、パターン設定部31は、予め決められた位相パターンP20を空間光変調部3に設定し、表示させる。例えば、予め決められた位相パターンP20は、X軸方向における領域R1に対する領域R2の長さ比が最も大きい位相パターンP21である。換言すれば、予め決められた位相パターンP20は、X軸方向における領域R2の画素数が最も大きい位相パターンP21である。変形例として、予め決められた位相パターンP20は、予め決められた位相パターンP20は、X軸方向における領域R2の画素数が最も小さい位相パターンP21であってもよい。左右スポットによる位置探索処理において、パターン設定部31は、位相パターンP21を空間光変調部3に設定する。
【0109】
次に、左右スポットの強度情報が取得される(処理S12)。例えば、処理S11において空間光変調部3に表示された位相パターンP21に光Lが入射され、強度検出部22に複数の集光スポットF1,F2が形成される。強度検出部22に形成される複数の集光スポットF1,F2は、左右スポットである。強度検出部22は、例えば、左右スポットの強度情報を検出し、情報取得部32に出力する。情報取得部32は、強度検出部22において検出された左右スポットの強度情報を取得する。例えば、情報取得部32は、強度検出部22において撮像された撮像画像を取得する。この場合、撮像画像には、左右スポットの強度情報及び位置情報が含まれている。処理S12において、同一の位相パターンP20において、左右スポットの強度が複数回取得されてもよい。この場合、情報取得部32は、複数回取得された強度の平均値、最大値、中央値、又は、最頻値などを演算し、演算結果を強度情報として取得してもよい。
【0110】
次に、全ての強度情報を取得したか否かが判断される(処理S13)。例えば、情報取得部32が、全ての強度情報を取得したか否かを判断する。例えば、処理S11において初めに設定した位相パターンP20が、X軸方向における領域R2の画素数が最も大きい位相パターンP21である場合、情報取得部32は、X軸方向における領域R2の画素数が最も小さい位相パターンP21による左右スポットの強度情報が取得されていれば、全ての強度情報を取得したと判断する。処理S11において初めに設定した位相パターンP20が、X軸方向における領域R2の画素数が最も小さい位相パターンP21である場合、情報取得部32は、X軸方向における領域R2の画素数が最も大きい位相パターンP21による左右スポットの強度情報が取得されていれば、全ての強度情報を取得したと判断する。
【0111】
全ての強度情報が取得されたと判断されなかった場合(処理S13のNO)、位相パターンP20が再設定される(処理S14)。例えば、位置調整部34が、パターン設定部31に位相パターンP20を再設定させる。例えば、処理S11において初めに設定した位相パターンP20が、X軸方向における領域R2の画素数が最も大きい位相パターンP21である場合、位置調整部34は、X軸方向における領域R2の画素数が、直前で設定された位相パターンP21よりも一段階小さい位相パターンP21を空間光変調部3に設定させる。例えば、処理S11において初めに設定した位相パターンP20が、X軸方向における領域R2の画素数が最も小さい位相パターンP21である場合、位置調整部34は、X軸方向における領域R2の画素数が、直前で設定された位相パターンP21よりも一段階大きい位相パターンP21を空間光変調部3に設定させる。処理S14が終了すると、処理S11に処理が戻される。
【0112】
全ての強度情報が取得されたと判断された場合(処理S13のYES)、左右スポットの強度情報が比較される(処理S15)。例えば、比較部33が、左右スポットの強度情報を比較する。比較部33は、位相パターンP21ごとに記憶された左右スポットの強度情報を取得し、各位相パターンP21に対応する左スポットの強度情報と右スポットの強度情報とを比較する。例えば、比較部33は、位相パターンP21ごとに記憶された左右スポットの強度情報を取得し、各位相パターンP21に対応する左スポットの強度情報と右スポットの強度情報との強度比の値を演算する。例えば、比較部33は、左右スポットの強度情報の比較結果を情報取得部32へ出力し、記憶させる。
【0113】
図9(a)は、処理S15において記憶された位相パターンP20ごとの左右スポットの強度情報の比較結果がプロットされたグラフである。図9(a)において、縦軸は、右スポットの強度に対する左スポットの強度の強度比の値を示しており、横軸は、各位相パターンP21に対応する画素位置を示している。位相パターンP21に対応する画素位置は、位相パターンP21においてサブパターンPS1とサブパターンPS2との境界が位置する画素位置である。
【0114】
処理S15が終了すると、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2が推定される(処理S16)。例えば、推定部35が、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。推定部35は、処理S15における左右スポットの強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定する。例えば、推定部35は、左スポットの強度と右スポットの強度とが等しい画素位置を、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定する。例えば、推定部35は、左右スポットの強度比の値が0.99以上1.01以下となる場合に、左スポットの強度と右スポットの強度とが等しいと判定する。例えば、推定部35は、処理S15における左右スポットの強度情報の比較結果において、左右スポットの強度比の値が最も1に近い場合に、左スポットの強度と右スポットの強度とが等しいと判定してもよい。
【0115】
例えば、図9(a)において、左右スポットの強度比の値が1.0になる場合において、サブパターンPS1とサブパターンPS2との境界が位置する画素位置は“628”である。このため、推定部35は、X軸方向における表示部13の画素位置のうち、“628”の位置に光Lが入射していると推定する。例えば、推定部35は、X軸方向における表示部13の画素位置のうち、“628”の位置に、入射位置P2の重心が位置していると推定する。
【0116】
制御部9は、上下スポットによる位置探索処理も処理S11から処理S16と同様の処理によって実行する。上下スポットによる位置探索処理は、位相パターンP21でなく位相パターンP22を用いる点、及び、上下スポットの強度情報を比較する点のみにおいて、左右スポットによる位置探索処理と異なる。図9(b)は、位相パターンP22ごとの上下スポットの強度情報の比較結果がプロットされたグラフである。図9(b)において、縦軸は、下スポットの強度に対する上スポットの強度の強度比の値を示しており、横軸は、各位相パターンP22に対応する画素位置を示している。位相パターンP22に対応する画素位置は、位相パターンP22においてサブパターンPS3とサブパターンPS4との境界が位置する画素位置である。
【0117】
例えば、図9(b)において、上下スポットの強度比の値が1.0になる場合において、サブパターンPS3とサブパターンPS4との境界が位置する画素位置は“464”である。このため、推定部35は、Z軸方向における表示部13の画素位置のうち、“464”の位置に光Lが入射していると推定する。例えば、推定部35は、Z軸方向における表示部13の画素位置のうち、“464”の位置に、入射位置P2の重心が入射していると推定する。
【0118】
以上、空間光変調装置10よって実行される位置推定方法の一例を説明したが、各処理の順序及び処理の主体はこれに限定されない。例えば、情報取得部32の代わりに、比較部33、位置調整部34、又は、推定部35が、処理S13を実行してもよい。例えば、左右スポットと上下スポットとの双方の強度情報が全て取得されてから、各強度情報が比較されてもよい。例えば、左右スポットと上下スポットとの双方の強度情報の比較結果が全て取得されてから、各強度情報が比較されてもよい。
【0119】
例えば、各位相パターンP20における左右スポット又は上下スポットの強度情報が取得された直後に当該強度情報が比較されてもよい。換言すれば、処理S12と処理S13との間に処理S15が実行されてもよい。この場合、例えば、比較部33は、直前の処理S12において取得された、左スポットの強度情報と右スポットの強度情報とを比較し、左右スポットの強度情報の比較結果を情報取得部32へ出力する。例えば、左右スポット及び上下スポットの強度情報が取得された直後に当該強度情報が比較されてもよい。
【0120】
次に、図10を参照して、空間光変調装置10によって実行される位置推定方法の変形例を説明する。図10は、本実施形態の変形例における位置推定プロセスを説明するためのフローチャートである。この位相探索処理においては、入射位置推定用の位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の設定と、集光スポットの強度情報の取得とが、左右の集光スポットの強度情報が等しいと判断されるまで繰り返される。以下では、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の変更が、空間光変調部3に表示する位相パターンの変更によって実行される場合を例に説明する。以下において、図8を参照して説明した位置推定方法と重複する説明は省略する。
【0121】
まず、入射位置推定用の位相パターンP20が空間光変調部3に表示される(処理S21)。例えば、処理S21において、上述した処理S11と同様の処理が実行される。
【0122】
次に、左右スポットの強度情報が取得される(処理S22)。例えば、処理S22において、上述した処理S12と同様の処理が実行される。
【0123】
次に、左右スポットの強度情報が比較される(処理S23)。例えば、比較部33が、左右スポットの強度情報を比較する。比較部33は、直前の処理S22において取得された、左スポットの強度情報と右スポットの強度情報とを比較する。例えば、比較部33は、直前の処理S22において取得された左スポットの強度情報と右スポットの強度情報との強度比の値を演算する。例えば、比較部33は、左右スポットの強度情報の比較結果を情報取得部32へ出力し、記憶させる。
【0124】
次に、左右スポットの強度情報が互いに等しいか否かが判断される(処理S24)。例えば、比較部33が、処理S23において取得された左右スポットの強度情報が互いに等しいか判断する。例えば、比較部33は、左スポットの強度と右スポットの強度との強度比の値を演算し、左右スポットの強度比の値が0.99以上1.01以下となる場合に左スポットの強度と右スポットの強度とが等しいと判定する。左右スポットの強度情報が互いに等しいと判断された場合(処理S24のYES)、処理は処理S27に進む。
【0125】
左右スポットの強度情報が互いに等しいと判断されなかった場合(処理S24のNO)、全ての強度情報が比較されたか否か判断される(処理S25)。例えば、比較部33が、全ての強度情報が比較されたか否かを判断する。例えば、処理S21において初めに設定した位相パターンP20が、X軸方向における領域R2の画素数が最も大きい位相パターンP21である場合、比較部33は、X軸方向における領域R2の画素数が最も小さい位相パターンP21による左右スポットの強度情報が比較された際に、全ての強度情報が比較されたと判断する。処理S21において初めに設定した位相パターンP20が、X軸方向における領域R2の画素数が最も小さい位相パターンP21である場合、比較部33は、X軸方向における領域R2の画素数が最も大きい位相パターンP21による左右スポットの強度情報が比較された際に、全ての強度情報が比較されたと判断する。
【0126】
全ての強度情報が比較されたと判断されなかった場合(処理S25のNO)、位相パターンP20が再設定される(処理S26)。例えば、位置調整部34は、パターン設定部31に位相パターンP20を再設定させる。例えば、処理S24において、上述した処理S14と同様の処理が実行される。全ての強度情報が比較されたと判断された場合(処理S25のYES)、処理は処理S27に進む。
【0127】
左右スポットの強度情報が互いに等しいと判断された場合(処理S24のYES)、又は、全ての強度情報が比較されたと判断された場合(処理S25のYES)、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2が推定される(処理S27)。例えば、推定部35が、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。
【0128】
例えば、推定部35は、左右スポットの強度情報が互いに等しいと判断された場合(処理S24のYES)、処理S24において左右スポットの強度情報が等しいと判断された位相パターンP21に対応する画素位置を、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定する。例えば、位相パターンP21に対応する画素位置は、位相パターンP21においてサブパターンPS1とサブパターンPS2との境界が位置する画素位置である。
【0129】
例えば、推定部35は、全ての強度情報が比較されたと判断された場合(処理S25のYES)、全ての強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。例えば、推定部35は、全ての左右スポットの強度情報の比較結果において、左右スポットの強度比の値が最も1に近い位相パターンP20に対応する画素位置を、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定する。例えば、位相パターンP20に対応する画素位置は、位相パターンP21においてサブパターンPS1とサブパターンPS2との境界が位置する画素位置である。
【0130】
本変形例においても、制御部9は、上下スポットによる位置探索処理を処理S21から処理S27と同様の処理によって実行する。上下スポットによる位置探索処理は、位相パターンP21でなく位相パターンP22を用いる点、及び、上下スポットの強度情報を比較する点のみにおいて、左右スポットによる位置探索処理と異なる。
【0131】
以上、空間光変調装置10よって実行される位置推定方法の変形例の1つを説明したが、各処理の順序及び処理の主体はこれに限定されない。例えば、比較部33の代わりに、位置調整部34、又は、推定部35が、処理S24を実行してもよい。例えば、比較部33の代わりに、情報取得部32、位置調整部34、又は、推定部35が、処理S25を実行してもよい。例えば、処理S24の前に処理S25が実行されてもよい。この場合、例えば、処理S25のNOであったときに処理S24が実行され、さらに、処理S24のNOであったときに処理S26が実行され、処理S24のYESであったときに処理S27が実行される。処理S25のYESであったときには、処理S27が実行され、上述した処理S16と同様の処理が実行される。
【0132】
次に、図11を参照して、空間光変調装置10によって実行される位置推定方法のさらに別の変形例を説明する。図11は、本実施形態の別の変形例における位置推定プロセスを説明するためのフローチャートである。この位相探索処理においては、二分法を用いて、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の設定と強度情報の取得とが繰り返される。この二分法において、最小値は0に設定され、最大値はX軸方向又はZ軸方向における表示部13の画素数に設定される。以下では、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の変更が、空間光変調部3に表示する位相パターンの変更によって実行される場合を例に説明する。以下において、図8又は図10を参照して説明した位置推定方法と重複する説明は省略する。
【0133】
まず、“min”に0が設定され、“max”に画素数が設定される(処理S31)。“min”は、二分法における最小値を示す変数である。“max”は、二分法における最大値を示す変数である。例えば、位置調整部34が、“min”に0を設定し、“max”にX軸方向における表示部13の画素数が設定される。
【0134】
次に、“search”に(max+min)/2が設定される(処理S32)。“search”は、空間光変調部3に表示させる位相パターンP20を特定する変数である。“search”は、例えば、空間光変調部3に表示させる位相パターンP20におけるサブパターンPS1とサブパターンPS2との境界が位置する画素位置を示す。例えば、位置調整部34が、“search”に(max+min)/2の値を設定する。
【0135】
次に、入射位置推定用の位相パターンP20が空間光変調部3に表示される(処理S33)。例えば、パターン設定部31が、処理S32において設定された“serach”に対応する位相パターンP20を空間光変調部3に設定し、表示させる。
【0136】
次に、左右スポットの強度情報が取得される(処理S34)。例えば、処理S34において、上述した処理S12と同様の処理が実行される。
【0137】
次に、左右スポットの強度情報が比較される(処理S35)。例えば、処理S35において、上述した処理S23と同様の処理が実行される。
【0138】
次に、左右スポットの強度比の値が判定される(処理S36)。例えば、比較部33が、左右スポットの強度比の値を判定する。左右スポットの強度比の値が閾値より小さい場合、処理は処理S37に進む。左右スポットの強度比の値が閾値より大きい場合、処理は処理S38に進む。左右スポットの強度比の値が閾値の範囲内である場合、処理は処理S39に進む。例えば、閾値の範囲は、左スポットの強度と右スポットの強度とが等しいと判断できる範囲である。例えば、左右スポットの強度比の値が0.99より小さい場合、処理は処理S37に進む。左右スポットの強度比の値が1.01より大きい場合、処理は処理S38に進む。左右スポットの強度比の値が0.99以上1.01以下である場合、処理は処理S39に進む。
【0139】
左右スポットの強度比の値が閾値より小さい場合、“max”が“search”に設定される(処理S37)。例えば、位置調整部34が、現在の“max”の値を“search”に設定する。処理S37が終了すると、処理は処理S32に戻される。
【0140】
左右スポットの強度比の値が閾値より大きい場合、“min”が“search”に設定される(処理S38)。例えば、パターン設定部31が、現在の“min”の値を“search”に設定する。処理S38が終了すると、処理は処理S32に戻される。
【0141】
左右スポットの強度比の値が閾値の範囲内である場合、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2が推定される(処理S39)。例えば、推定部35は、直前の処理S33において設定された位相パターンP20に対応する画素位置を、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定する。例えば、位相パターンP20に対応する画素位置は、位相パターンP21においてサブパターンPS1とサブパターンPS2との境界が位置する画素位置である。
【0142】
本変形例においても、制御部9は、上下スポットによる位置探索処理を処理S31から処理S39と同様の処理によって実行する。上下スポットによる位置探索処理は、位相パターンP21でなく位相パターンP22を用いる点、及び、上下スポットの強度情報を比較する点のみにおいて、左右スポットによる位置探索処理と異なる。
【0143】
以上、空間光変調装置10よって実行される位置推定方法の変形例の1つを説明したが、処理の主体はこれに限定されない。例えば、位置調整部34の代わりに、パターン設定部31、又は、推定部35が、処理S31を実行してもよい。例えば、位置調整部34の代わりに、パターン設定部31、又は、推定部35が、処理S32を実行してもよい。例えば、比較部33の代わりに、位置調整部34、又は、推定部35が、処理S36を実行してもよい。また、処理S36が実行されずに、処理S35における強度情報の比較結果に基づいて、処理S37、処理S38、及び、処理S39の何れかが実行されてもよい。
【0144】
図8を参照して説明した位置推定方法の例と、図10を参照して説明した位置推定方法の例と、図11を参照して説明した位置推定方法の例とは、互いに組み合わされてもよい。例えば、左右スポットによる位置探索処理と、上下スポットによる位置探索処理とは、互いに異なる例において説明された互いに異なる処理によって実行されてもよい。
【0145】
次に、図12(a)及び図12(b)を参照して、本実施形態の変形例における空間光変調装置10について説明する。図12(a)及び図12(b)は、本実施形態の変形例における入射位置推定用の位相パターンP20と集光スポットとの関係を示す図である。本変形例は、概ね、上述した実施形態及び変形例と類似又は同じである。本変形例は、位相パターンP20の構成に関して、上述した実施形態と相違する。以下、上述した実施形態と変形例との相違点を主として説明する。
【0146】
本変形例において、入射位置推定用の位相パターンP20は、上述した位相パターンP21及び位相パターンP22の代わりに、位相パターンP25を含んでいる。例えば、空間光変調部3は、互いに異なる構成を有する複数の入射位置推定用の位相パターンP25を順次表示する。複数の位相パターンP25は、各位相パターンP25において複数種のサブパターンが位置する領域の配置構成に関して互いに異なっている。換言すれば、位相パターンP25におけるサブパターンの配置構成は、位相パターンP25ごとに異なる。
【0147】
各位相パターンP25は、複数種のサブパターンPS11,PS12,PS13,PS14を含んでいる。位相パターンP25におけるサブパターンPS11,PS12,PS13,PS14の配置構成は、位相パターンP25ごとに異なる。サブパターンPS11は、領域R11に位置している。サブパターンPS12は、領域R12に位置している。サブパターンPS13は、領域R13に位置している。サブパターンPS14は、領域R14に位置している。
【0148】
領域R11,R12,R13,R14は、例えば、X軸方向及びZ軸方向において表示部13を区分けする領域である。領域R11と領域R12とは、左右方向において互いに隣接している。領域R11と領域R13とは、上下方向において互いに隣接している。領域R13と領域R14とは、左右方向において互いに隣接している。領域R12と領域R14とは、上下方向において互いに隣接している。
【0149】
領域R11と領域R12とは、左右方向に配列されている。領域R11と領域R13とは、上下方向に配列されている。領域R13と領域R14とは、左右方向に配列されている。領域R12と領域R14とは、上下方向に配列されている。領域R11,R12,R13,R14によって、表示部13が構成される。領域R11は、領域R12よりも左側に位置している。領域R11は、領域R13よりも下側に位置している。領域R13は、領域R14よりも左側に位置している。領域R12は、領域R14よりも下側に位置している。領域R11,R12,R13,R14は、X軸方向及びZ軸方向において、位相パターンP25を四分割するように構成されている。
【0150】
領域R11と領域R12との境界は、Z軸方向に沿って延在している。領域R13と領域R14との境界は、Z軸方向に沿って延在している。例えば、領域R11と領域R12との境界、及び、領域R13と領域R14との境界は、Z軸方向に平行に延在している。本明細書において、「平行」は、空間光変調部3の位置決めを考慮した公差の範囲を含んでいる。領域R11と領域R12との境界は、領域R13と領域R14との境界に連続しており、領域R13と領域R14との境界の同一直線上に位置している。
【0151】
領域R11と領域R13との境界は、X軸方向に沿って延在している。領域R12と領域R14との境界は、X軸方向に沿って延在している。例えば、領域R11と領域R13との境界、及び、領域R12と領域R14との境界は、X軸方向に平行に延在している。領域R11と領域R13との境界は、領域R12と領域R14との境界に連続しており、領域R12と領域R14との境界の同一直線上に位置している。領域R11と領域R12との境界と、領域R11と領域R13との境界とは、互いに交差している。例えば、領域R11と領域R12との境界と、領域R11と領域R13との境界とは、互いに直交している。本明細書において、「直交」は、表示部13における画素位置を考慮した公差の範囲を含んでいる。
【0152】
サブパターンPS11,PS12,PS13,PS14は、互いに異なる位置に集光スポットF11,F12,F13,F14を形成するように構成されている。サブパターンPS11は、集光スポットF11を形成するように構成されている。サブパターンPS12は、集光スポットF12を形成するように構成されている。サブパターンPS13は、集光スポットF13を形成するように構成されている。サブパターンPS14は、集光スポットF14を形成するように構成されている。
【0153】
図12(a)及び図12(b)に示されている位相パターンP25には、それぞれ光Lが入射されている。光Lは、位相パターンP25によって変調され、検出部7に向かって出射される。パターン設定部31によって設定される複数の位相パターンP25において、領域R11,R12,R13,R14の面積比は、位相パターンP25ごとに異なる。パターン設定部31によって設定される複数の位相パターンP25において、領域R11,R12,R13,R14の境界の位置は、位相パターンP25ごとに異なる。図12(a)及び図12(b)に示されている複数の位相パターンP25において、光Lが入射される位置は同一である。
【0154】
サブパターンPS11は、光LのうちサブパターンPS11に入射した光L11を変調し、強度検出部22に集光スポットF11を形成する。サブパターンPS12は、光LのうちサブパターンPS12に入射した光L12を変調し、強度検出部22に集光スポットF12を形成する。サブパターンPS13は、光LのうちサブパターンPS13に入射した光L13を変調し、強度検出部22に集光スポットF13を形成する。サブパターンPS14は、光LのうちサブパターンPS14に入射した光L14を変調し、強度検出部22に集光スポットF14を形成する。強度検出部22は、強度検出部22に形成された集光スポットが表示された画像M10を撮像する。
【0155】
図12(a)に示されている位相パターンP25において、光Lは、位相パターンP25のうちサブパターンPS11及びサブパターンPS12のみに入射している。このため、集光スポットF13,F14は強度検出部22に形成されず、集光スポットF11,F12のみが強度検出部22に形成される。この結果、画像M10には集光スポットF11,F12のみが表示されている。位相パターンP25において、光L12の面積は、光L11の面積よりも大きい。このため、集光スポットF12の強度は、集光スポットF11の強度よりも大きい。
【0156】
図12(b)に示されている位相パターンP25において、光Lは、位相パターンP25のうちサブパターンPS11,PS12,PS13,PS14の全てに入射している。この結果、画像M10には集光スポットF11,F12,F13,F14が表示されている。位相パターンP25において、光L11,L12,L13,L14のそれぞれの面積は、互いに等しい。このため、集光スポットF11,F12,F13,F14の強度は、互いに等しい。
【0157】
以上のように、互いに異なる位相パターンP25によって、互いに異なる集光スポットF11,F12,F13,F14の強度情報が検出される。集光スポットF11,F12,F13,F14の強度は、図12(b)に示されている位相パターンP25において互いに等しくなる。このため、推定部35は、図12(b)に示されている位相パターンP25に対応する位置に、光Lが入射していると推定する。これによって、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2が推定される。
【0158】
推定部35は、例えば、一対の集光スポットF11,F12の強度情報の比較結果と、一対の集光スポットF13,F14の強度情報の比較結果とに基づいて、X軸方向における空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。一対の集光スポットF11,F12は、一対の領域R11,R12にそれぞれ入射した光Lによって形成されている。一対の領域R11,R12は、位相パターンP25においてX軸方向で互いに隣接している。一対の集光スポットF13,F14は、一対の領域R13,R14にそれぞれ入射した光Lによって形成されている。一対の領域R13,R14は、位相パターンP25においてX軸方向で互いに隣接している。
【0159】
例えば、推定部35は、さらに、一対の集光スポットF11,F13の強度情報の比較結果と、一対の集光スポットF12,F14の強度情報の比較結果とに基づいて、Z軸方向における空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。一対の集光スポットF11,F13は、一対の領域R11,R13にそれぞれ入射した光Lによって形成されている。一対の領域R11,R13は、位相パターンP25においてZ軸方向で互いに隣接している。一対の集光スポットF12,F14は、一対の領域R12,R14にそれぞれ入射した光Lによって形成されている。一対の領域R12,R14は、位相パターンP25においてZ軸方向で互いに隣接している。
【0160】
本実施形態の変形例として、推定部35は、一対の集光スポットF11,F14の強度情報の比較結果と、一対の集光スポットF12,F13の強度情報の比較結果とに基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定してもよい。推定部35は、集光スポットF11,F12,F13,F14の強度情報について、上述した組み合わせ以外の組み合わせによる比較結果に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定してもよい。
【0161】
例えば、図12(b)に示されている位相パターンP25のサブパターンPS11,PS12,PS13,PS14の境界の位置が、XZ軸方向における空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定される。換言すれば、領域R11,R12,R13,R14によって形成される境界の交点の位置が、XZ軸向における空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定される。さらに換言すれば、領域R11と領域R12との境界と、領域R13と領域R14との境界とが交わる位置が、XZ軸向における空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定される。
【0162】
本変形例において、位置推定プロセスにおける位相パターンP1への入射光と位相パターンP1との位置関係の変更が、空間光変調部3に表示する位相パターンP1の変更によって実行される例を説明した。当該位置関係の変更は、位相パターンP1への入射光の光軸位置の変更による同様の処理によって実現されてもよい。
【0163】
次に、図13を参照して、本実施形態のさらに別の変形例における空間光変調装置10について説明する。図13は、本実施形態の変形例における入射位置推定用の位相パターンP20と集光スポットとの関係を示す図である。本変形例は、概ね、図12(a)及び図12(b)において説明した変形例と類似又は同じである。本変形例は、位相パターンP20の構成に関して、図12(a)及び図12(b)において説明した変形例と相違する。以下、図12(a)及び図12(b)において説明した変形例と本変形例との相違点を主として説明する。
【0164】
本変形例において、位相パターンP20は、上述した位相パターンP25の代わりに、位相パターンP26を含んでいる。例えば、空間光変調部3は、互いに異なる構成を有する複数の位相パターンP26を順次表示する。複数の位相パターンP26は、各位相パターンP26において複数種のサブパターンが位置する領域の配置構成に関して互いに異なっている。換言すれば、位相パターンP26におけるサブパターンの配置構成は、位相パターンP26ごとに異なる。
【0165】
各位相パターンP26は、位相パターンP25と同様に複数種のサブパターンPS21,PS22,PS23,PS24を含んでいる。位相パターンP26におけるサブパターンPS21,PS22,PS23,PS24の配置構成は、位相パターンP26ごとに異なる。サブパターンPS21は、領域R21に位置している。サブパターンPS22は、領域R22に位置している。サブパターンPS23は、領域R23に位置している。サブパターンPS24は、領域R24に位置している。
【0166】
領域R21,R22,R23,R24は、例えば、X軸方向及びZ軸方向において表示部13を区分けする領域である。領域R21,R22,R23,R24によって、表示部13が構成される。領域R21,R22,R23,R24は、X軸方向及びZ軸方向において、位相パターンP26を四分割するように構成されている。領域R21と領域R23とは、X軸方向及びZ軸方向に傾斜する第一傾斜方向において互いに隣接している。領域R21と領域R24とは、X軸方向及びZ軸方向に傾斜する第二傾斜方向において互いに隣接している。領域R22と領域R23とは、X軸方向及びZ軸方向に傾斜する第二傾斜方向において互いに隣接している。領域R22と領域R24とは、X軸方向及びZ軸方向に傾斜する第一傾斜方向において互いに隣接している。第一傾斜方向と第二傾斜方向とは、互いに交差している。
【0167】
領域R21と領域R23との境界は、X軸方向及びZ軸方向に対して傾斜している。領域R22と領域R24との境界は、X軸方向及びZ軸方向に対して傾斜している。領域R21と領域R23との境界は、領域R22と領域R24との境界と連続しており、領域R22と領域R24との境界の同一直線上に位置している。
【0168】
領域R21と領域R24との境界は、X軸方向及びZ軸方向に対して傾斜している。領域R22と領域R23との境界は、X軸方向及びZ軸方向に対して傾斜している。領域R21と領域R24との境界は、領域R22と領域R23との境界と連続しており、領域R22と領域R23との境界の同一直線上に位置している。領域R21と領域R23との境界と、領域R21と領域R24との境界とは、互いに交差している。領域R21と領域R23との境界と、領域R21と領域R24との境界とは、互いに直交していてもよい。
【0169】
サブパターンPS21,PS22,PS23,PS24は、互いに異なる位置に集光スポットF21,F22,F23,F24を形成するように構成されている。サブパターンPS21は、集光スポットF21を形成するように構成されている。サブパターンPS22は、集光スポットF22を形成するように構成されている。サブパターンPS23は、集光スポットF23を形成するように構成されている。サブパターンPS24は、集光スポットF24を形成するように構成されている。
【0170】
光Lは、位相パターンP26によって変調され、検出部7に向かって出射される。パターン設定部31によって設定される複数の位相パターンP26において、領域R21,R22,R23,R24の面積比は、位相パターンP26ごとに異なる。パターン設定部31によって設定される複数の位相パターンP26において、領域R21,R22,R23,R24の境界の位置は、位相パターンP26ごとに異なる。
【0171】
サブパターンPS21は、光LのうちサブパターンPS21に入射した光L21を変調し、強度検出部22に集光スポットF21を形成する。サブパターンPS22は、光LのうちサブパターンPS22に入射した光L12を変調し、強度検出部22に集光スポットF22を形成する。サブパターンPS23は、光LのうちサブパターンPS23に入射した光L23を変調し、強度検出部22に集光スポットF23を形成する。サブパターンPS24は、光LのうちサブパターンPS24に入射した光L24を変調し、強度検出部22に集光スポットF24を形成する。強度検出部22は、強度検出部22に形成された集光スポットが表示された画像M20を撮像する。
【0172】
図13に示されている位相パターンP26において、光Lは、位相パターンP26のうちサブパターンPS21,PS22,PS23,PS24の全てに入射している。この結果、画像M20には集光スポットF21,F22,F23,F24が表示されている。位相パターンP26において、光L21,L22,L23,L24のそれぞれの面積は、互いに等しい。このため、集光スポットF21,F22,F23,F24の強度は、互いに等しい。
【0173】
以上のように、集光スポットF21,F22,F23,F24の強度は、図13に示されている位相パターンP26において互いに等しくなる。このため、推定部35は、図13に示されている位相パターンP26に対応する位置に、光Lが入射していると推定する。
【0174】
推定部35は、例えば、一対の集光スポットF21,F23の強度情報の比較結果と、一対の集光スポットF22,F23の強度情報の比較結果とに基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2として推定する。一対の集光スポットF21,F23は、一対の領域R21,R23にそれぞれ入射した光Lによって形成されている。一対の領域R21,R23は、位相パターンP26において第一傾斜方向で互いに隣接している。一対の集光スポットF22,F23は、一対の領域R22,R23にそれぞれ入射した光Lによって形成されている。一対の領域R22,R23は、位相パターンP26において第二傾斜方向で互いに隣接している。例えば、第一傾斜方向が第一方向に対応する場合、第二傾斜方向が第二方向に対応する。
【0175】
本実施形態の変形例として、領域R21と領域R23との境界と領域R21と領域R24との境界とが互いに直交していなくてもよい。領域R21と領域R23との境界が、領域R22と領域R24との境界の同一直線上に位置していなくてもよい。領域R21と領域R24との境界が、領域R22と領域R23との境界の同一直線上に位置していなくてもよい。これらの場合には、領域R21,R22,R23,R24によって形成される境界の交点と各境界とによって形成される角度を考慮して、集光スポットF21,F22,F23,F24の強度情報が比較され、空間光変調部3に対する入射位置P2が推定される。
【0176】
次に、加工装置1、空間光変調装置10、及び位置推定方法の作用効果について説明する。
【0177】
空間光変調装置10において、パターン設定部31によって設定される位相パターンP1は、入射位置推定用の位相パターンP20を含んでいる。位相パターンP20は、空間光変調部3において変調された光Lによって複数の集光スポットを強度検出部22に形成するように構成されている。推定部35は、複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。複数の集光スポットの強度情報の比較結果によれば、位相パターンP1における光Lの入射位置P2が容易に推定され得る。このため、空間光変調装置10において、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2が容易に推定され得る。
【0178】
図14(a)及び図14(b)は、加工用の位相パターンP10と、撮像装置19によって撮像される像との関係を示している。図14(a)及び図14(b)において、撮像装置19が撮像する範囲D101は、空間光変調部3における範囲V101に対応している。範囲D101は撮像面に相当し、範囲V101は視野範囲に相当する。図14(a)及び図14(b)において、表示部13に表示された位相パターンP10に光が適切に入射され、位相パターンP10によって撮像装置19に像F101が形成されている。
【0179】
図14(c)及び図14(d)は、入射位置推定用の位相パターンP20と、強度検出部22によって取得される強度情報との関係を示している。図14(c)及び図14(d)において、強度検出部22が強度情報を取得できる範囲D1は、空間光変調部3における範囲V1に対応している。強度検出部22が撮像装置である場合、範囲D1は撮像面に相当し、範囲V1は視野範囲に相当する。図14(c)及び図14(d)において、表示部13に表示された位相パターンP20に光が適切に入射され、位相パターンP20によって強度検出部22に集光スポットF1,F2が形成されている。
【0180】
図14(a)において、範囲V101は、表示部13が位相パターンP10を表示する範囲に合致しており、適切に対応している。図14(c)においても、範囲V1は、表示部13が位相パターンP20を表示する範囲に合致しており、適切に対応している。図14(b)において、範囲V101は、表示部13が位相パターンP10を表示する範囲からずれている。図14(b)に示されている状態は、例えば、空間光変調部3、撮像装置19、又は、撮像装置19と空間光変調部3との間に位置する光学系が振動又は環境温度変化などの外的要因によって位置ずれした場合などに生じ得る。図14(d)においても、範囲V1は、表示部13が位相パターンP20を表示する範囲からずれている。図14(d)に示されている状態は、例えば、空間光変調部3、強度検出部22、又は、強度検出部22と空間光変調部3との間に位置する光学系が振動又は環境温度変化などの外的要因によって位置ずれした場合などに生じ得る。
【0181】
図14(b)において像F101は、図14(a)と図14(b)との間において空間光変調部3に対する光の入射位置は変化していないにもかかわらず、範囲D101に対して方向γにずれている。このように撮像装置19における像の移動と空間光変調部3に対する光の入射位置の移動とは、相関していない。このため、図14(a)に示した状態において空間光変調部3及び撮像装置19についてキャリブレーションがされていたとしても、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2は、撮像装置19において撮像される像F101の移動から推定できない。
【0182】
同様に、図14(d)において集光スポットF1,F2は、図14(c)と図14(d)とにおいて空間光変調部3に対する光の入射位置は変化していないにもかかわらず、範囲D1に対して方向γ2にずれている。このように、強度検出部22における集光スポットの移動と空間光変調部3に対する光の入射位置の移動とは、相関していない。このため、図14(c)に示した状態において空間光変調部3及び強度検出部22についてキャリブレーションがされていたとしても、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2は、強度検出部22によって検出される集光スポットF1,F2の移動から推定できない。
【0183】
以上の点に関し、推定部35は、強度検出部22において検出された複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部3に対する光の入射位置P2を推定する。入射位置推定用の位相パターンP20が用いられる場合、複数の集光スポットが強度検出部22に形成され得る。
【0184】
例えば、図14(c)及び図14(d)によって、入射位置推定用の位相パターンP20が用いられる場合には、推定部35は、集光スポットF1の強度情報と集光スポットF2の強度情報との比較結果に基づいて、空間光変調部3に対する光の入射位置が推定され得る。図14(c)に示されている状態と図14(d)に示されている状態とにおいて、集光スポットF1の強度と集光スポットF2の強度との比は変化しない。したがって、位相パターンP20が用いられる場合には、推定部35は、集光スポットF1の強度情報と集光スポットF2の強度情報との比較結果に基づいて、図14(d)において空間光変調部3に対する光の入射位置が変化していないことを推定し得る。このため、空間光変調装置10によれば、空間光変調部3、強度検出部22、及びその他の光学系についてキャリブレーションせずとも、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2が容易かつ正確に推定され得る。
【0185】
空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2が容易に推定されるため、レーザ光のずれによって、レーザ光が加工装置1の他の光学素子に意図せず照射されるも抑制され得る。この結果、加工装置1の他の光学素子へのダメージも抑制され得る。さらに、空間光変調装置10は、NFPを撮像する撮像装置19が無くとも、位相パターンP1の調整と入射位置P2の推定との双方が実現され得る。
【0186】
推定部35は、複数の集光スポットのうち少なくとも2つの集光スポットの強度が互いに等しくなる、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。このため、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2がさらに正確に推定され得る。
【0187】
推定部35は、位相パターンP20において第一方向で互いに隣接する一対の領域にそれぞれ入射した光Lによって形成される一対の集光スポットの強度情報の比較結果と、位相パターンP20において第二方向で互いに隣接する一対の領域にそれぞれ入射した光Lによって形成される一対の集光スポットの強度情報の比較結果とに基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。第二方向は、第一方向と交差している。この場合、第一方向と第二方向との双方において、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2が推定され得る。この結果、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2がさらに正確に推定され得る。
【0188】
位置調整部34は、集光スポットの強度情報に基づいて、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を調整してもよい。強度検出部22は、位置調整部34によって上記位置関係が調整された後に、さらに複数の集光スポットの強度情報を検出する。推定部35は、上記位置関係が調整された後に検出された複数の集光スポットの強度情報の比較結果に基づいて、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2を推定する。この場合、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係が調整された後の強度情報を用いて、当該位置関係がさらに調整され得る。したがって、上記位置関係がさらに容易かつ正確に調整され得る。
【0189】
位置調整部34は、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係の調整において、空間光変調部3に表示する位相パターンP20の変更と、位相パターンP20への入射光の光軸位置の変更との少なくとも1つを実行する。この場合、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係がさらに容易に調整され得る。
【0190】
位置調整部34は、複数の集光スポットの強度情報に基づいて、複数の集光スポットの強度比の値が1に近づくように、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係を調整してもよい。この場合、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2がさらに容易かつ正確に推定され得る。
【0191】
パターン設定部31は、複数の集光スポットを強度検出部22に形成するように構成された位相パターンP20として、互いに異なる構成を有している複数の位相パターンP20を設定する。空間光変調部3は、複数の位相パターンP20を順次表示する。推定部35は、複数の位相パターンP20の各々によって形成される集光スポットの強度情報に基づいて、空間光変調部3における光Lの入射位置P2を推定する。この場合、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20との位置関係がさらに容易かつ正確に調整され得る。
【0192】
複数の位相パターンP20の各々は、複数種のサブパターンを含んでいる。複数種のサブパターンは、当該位相パターンP20において互いに異なる領域に位置すると共に互いに異なる集光スポットをそれぞれ形成する。複数の位相パターンP20は、複数種のサブパターンが位置する領域の配置構成が互いに異なっている。この場合、上記位相パターンP20ごとに、各集光スポットの強度情報が異なり得る。このため、位相パターンP20における入射光の入射位置P2がより容易に推定され得る。したがって、空間光変調部3における光Lの入射位置P2がさらに容易に推定され得る。
【0193】
強度検出部22は、撮像領域に形成された集光スポットの撮像画像を取得する撮像装置を含んでいてもよい。撮像画像は、集光スポットの強度情報と集光スポットの位置情報とを含んでいてもよい。この場合、推定部35は、撮像画像に含まれている集光スポットの強度情報と集光スポットの位置情報とに基づいて、空間光変調部3における光Lの入射位置P2を推定する。撮像画像における集光スポットの位置情報によって、集光スポットの強度情報が容易に分類され得る。このため、位相パターンP20における入射光の入射位置P2がさらに容易に推定され得る。
【0194】
加工装置1は、上述した空間光変調装置10と、加工部5とを備えている。加工部5は、空間光変調部3において変調された光Lを被加工物Sに照射する。この場合、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2の推定によって、位相パターンP20への入射光と位相パターンP20とのずれが抑制され得る。当該加工装置1によれば、空間光変調部3によって変調された光Lは強度検出部22だけでなく被加工物Sにも導かれるため、被加工物Sは位相パターンによって変調された光Lによってさらに正確に加工され得る。
【0195】
パターン設定部31は、空間光変調部3に表示する位相パターンP1として、入射位置推定用の位相パターンP20と加工用の位相パターンP10との少なくとも一方を設定する。位相パターンP20は、入射位置の推定に用いられる。位相パターンP10は、加工部5による被加工物Sの加工に用いられる。この場合、位相パターンP20によって、空間光変調部3に対する光Lの入射位置P2が推定された後に、位相パターンP10によって被加工物Sが加工され得る。したがって、位相パターンP10への入射光と位相パターンP10とのずれが抑制された状態において、被加工物Sが加工され得る。
【0196】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0197】
たとえば、上述した実施形態および変形例において、空間光変調装置10は、加工装置1に備えられている。しかし、空間光変調装置10は、加工装置1とは別体で構成されていてもよい。
【0198】
加工装置1は、NFPを撮像する撮像装置19を備えている。しかし、加工装置1は、撮像装置19を備えていなくても、本発明が解決しようとする課題を解決し得る。
【符号の説明】
【0199】
1…加工装置、3…空間光変調部、5…加工部、7…検出部、10…空間光変調装置、22…強度検出部、P1,P10,P20,P21,P22,P25,P26…位相パターン、31…パターン設定部、34…位置調整部、35…推定部、F1,F2,F3,F4,F11,F12,F13,F14,F21,F22,F23,F24…集光スポット、L…光、P2…入射位置、PS1,PS2,PS3,PS4,PS11,PS12,PS13,PS14,PS21,PS22,PS23,PS24…サブパターン、R1,R2,R3,R4,R11,R12,R13,R14,R21,R22,R23,R24…領域、S…被加工物。
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