(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145947
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】綴じ処理装置、画像形成システム、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20231004BHJP
B42B 5/00 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B65H37/04 Z
B42B5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052871
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 伸英
(72)【発明者】
【氏名】田中 久美子
(72)【発明者】
【氏名】荻野 孝
(72)【発明者】
【氏名】松本 匡史
(72)【発明者】
【氏名】上兼 拓巳
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
(57)【要約】
【課題】用紙の綴じの量と用紙に含まれる水分の量のうちの一方の要因のみ考慮して用紙の綴じ処理を行う場合に比べ、用紙の綴じがより確実に行われるようにする。
【解決手段】CPUが、綴じ部分に含まれる水分の体積の割合が特定の範囲内に収まるように、綴じ処理ユニット52および水分調整機構700の少なくとも一方の制御を行う。より具体的には、CPUは、綴じ処理が行われた後の用紙の綴じ部分の体積に対する、この綴じ部分に含まれる水分の体積の割合が、特定の範囲内に収まるように、綴じ処理ユニット52および水分調整機構700の少なくとも一方の制御を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙へ綴じ歯を進出させて用紙の綴じ処理を行う綴じ処理手段と、
前記用紙に含まれる水分の量の調整を行う水分調整手段と、
前記綴じ処理手段および前記水分調整手段のうちの一方の手段についての設定に基づき、他方の手段についての設定を行うプロセッサと、
を備える綴じ処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記綴じ処理手段により前記用紙へ進出する前記綴じ歯の進出量についての設定に基づき、前記水分調整手段により調整される水分の量についての設定を行う、
請求項1に記載の綴じ処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記進出量についての設定が、進出量が予め定められた閾値を超える設定となっている場合、前記用紙に含まれる水分が減少するように前記水分調整手段についての設定を行う、
請求項2に記載の綴じ処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記進出量についての設定が、進出量が予め定められた閾値よりも小さくなる設定となっている場合、前記用紙に含まれる水分が増加するように前記水分調整手段についての設定を行う、
請求項2に記載の綴じ処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記水分調整手段が用紙へ供給する水分の量についての設定に基づき、前記綴じ処理手段により前記用紙へ進出する前記綴じ歯の進出量についての設定を行う、
請求項1に記載の綴じ処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記水分の量についての設定が、前記用紙に含まれる水分が増加し当該水分が予め定められた閾値を超える設定となっている場合、前記綴じ歯の進出量が減少するように前記綴じ処理手段についての設定を行う、
請求項5に記載の綴じ処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記水分の量についての設定が、前記用紙に含まれる水分が減少し当該水分が予め定められた閾値よりも小さくなる設定となっている場合、前記綴じ歯の進出量が増加するように前記綴じ処理手段についての設定を行う、
請求項5に記載の綴じ処理装置。
【請求項8】
用紙へ綴じ歯を進出させて用紙の綴じ処理を行う綴じ処理手段と、
前記用紙に含まれる水分の量の調整を行う水分調整手段と、
前記綴じ処理手段および前記水分調整手段のうちの少なくとも一方の制御を行うプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記綴じ処理手段による綴じ処理が行われた後の前記用紙の綴じ部分の体積に対する、当該綴じ部分に含まれる水分の体積の割合が、特定の範囲内に収まるように、当該綴じ処理手段および前記水分調整手段の少なくとも一方の制御を行う、
綴じ処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記割合が25%~50%の範囲内に収まるように、前記綴じ処理手段および前記水分調整手段の少なくとも一方の制御を行う、
請求項8に記載の綴じ処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記用紙の綴じ処理が行われる際の条件である綴じ処理時条件が、前記特定の範囲内に前記割合が収まらないようになる条件である非該当条件にある場合、前記綴じ処理手段および前記水分調整手段の少なくとも一方についての設定の変更を行って、当該綴じ処理時条件を、当該特定の範囲内に当該割合が収まるようになる条件とする、
請求項8に記載の綴じ処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記綴じ処理時条件が、前記割合が前記特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合、前記水分調整手段による前記用紙への水分の供給が行われるようにし又は当該水分調整手段により当該用紙へ供給される水分が多くなるようにする、
請求項10に記載の綴じ処理装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、
前記綴じ処理時条件が、前記割合が前記特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合、前記綴じ処理手段が前記用紙へ前記綴じ歯を進出させる際の進出量が多くなるようにする、
請求項10に記載の綴じ処理装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記綴じ処理時条件が、前記割合が前記特定の範囲の上限よりも大きくなる条件にある場合、前記水分調整手段による前記用紙の乾燥が行われるようにし又は当該水分調整手段による当該用紙の乾燥の程度が大きくなるようにする、
請求項10に記載の綴じ処理装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記綴じ処理時条件が、前記割合が前記特定の範囲の上限よりも大きくなる条件にある場合、前記綴じ処理手段が前記用紙へ前記綴じ歯を進出させる際の進出量が少なくなるようにする、
請求項10に記載の綴じ処理装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記綴じ処理手段による前記綴じ歯の進出の量が減少する設定がなされ、前記割合が前記特定の範囲の下限よりも小さくなる場合、前記水分調整手段による水分の供給が行われるようにして又は当該水分調整手段により前記用紙へ供給される水分が多くなるようにして、当該割合が当該特定の範囲内に収まるようにする、
請求項8に記載の綴じ処理装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記綴じ処理手段による前記綴じ歯の進出の量が増加する設定がなされ、前記割合が前記特定の範囲の上限を超える場合、前記水分調整手段による用紙の乾燥が行われるようにして又は当該水分調整手段による用紙の乾燥の程度が大きくなるようにして、当該割合が当該特定の範囲内に収まるようにする、
請求項8に記載の綴じ処理装置。
【請求項17】
前記プロセッサは、
前記水分調整手段による水分の供給が行われる設定がなされ又は当該水分調整手段により供給される水分が多くなる設定がなされ、前記割合が前記特定の範囲の上限を超える場合、前記綴じ処理手段による前記綴じ歯の進出の量が減少するようにして、当該割合が当該特定の範囲内に収まるようにする、
請求項8に記載の綴じ処理装置。
【請求項18】
前記プロセッサは、
前記水分調整手段による水分の供給が行われない設定がなされ又は当該水分調整手段により供給される水分が少なくなる設定がなされ、前記割合が前記特定の範囲の下限よりも小さくなる場合、前記綴じ処理手段による前記綴じ歯の進出の量が増加するようにして、当該割合が当該特定の範囲内に収まるようにする、
請求項8に記載の綴じ処理装置。
【請求項19】
前記プロセッサは、
ユーザからの指示に応じて、前記割合が前記特定の範囲内に収まるようにする前記制御と、当該割合が当該特定の範囲外となるようにする制御とを切り替える、
請求項8に記載の綴じ処理装置。
【請求項20】
用紙への画像の形成を行う画像形成装置と、当該画像形成装置により画像が形成された用紙を綴じる綴じ処理装置と、を備え、当該綴じ処理装置が、請求項1乃至19の何れかに記載された綴じ処理装置を含んで構成された画像形成システム。
【請求項21】
用紙へ綴じ歯を進出させて用紙の綴じ処理を行う綴じ処理手段と、当該用紙に含まれる水分の量の調整を行う水分調整手段と、を備える綴じ処理装置の制御を行うコンピュータに、
前記綴じ処理手段および前記水分調整手段のうちの一方の手段についての設定に基づき、他方の手段についての設定を行う機能を実現させるためのプログラム。
【請求項22】
用紙へ綴じ歯を進出させて用紙の綴じ処理を行う綴じ処理手段と、当該用紙に含まれる水分の量の調整を行う水分調整手段と、を備える綴じ処理装置の制御を行うコンピュータに、
前記綴じ処理手段による綴じ処理が行われた後の前記用紙の綴じ部分の体積に対する、当該綴じ部分に含まれる水分の体積の割合が、特定の範囲内に収まるように、当該綴じ処理手段および前記水分調整手段の少なくとも一方の制御を行う機能を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綴じ処理装置、画像形成システム、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙の綴じ領域に対して水分を含ませる加水手段と、加水量を変更調整する制御部とを備える用紙後処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
用紙の綴じには、様々な要因が影響を与え、1つの要因を変化させた場合には、他の要因も変化させるなど、複数の要因を考慮して綴じを行うことが好ましい。
本発明は、用紙の綴じの量と用紙に含まれる水分の量のうちの一方の要因のみを考慮して用紙の綴じ処理を行う場合に比べ、用紙の綴じがより確実に行われるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、用紙へ綴じ歯を進出させて用紙の綴じ処理を行う綴じ処理手段と、前記用紙に含まれる水分の量の調整を行う水分調整手段と、前記綴じ処理手段および前記水分調整手段のうちの一方の手段についての設定に基づき、他方の手段についての設定を行うプロセッサと、を備える綴じ処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記綴じ処理手段により前記用紙へ進出する前記綴じ歯の進出量についての設定に基づき、前記水分調整手段により調整される水分の量についての設定を行う、請求項1に記載の綴じ処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プロセッサは、前記進出量についての設定が、進出量が予め定められた閾値を超える設定となっている場合、前記用紙に含まれる水分が減少するように前記水分調整手段についての設定を行う、請求項2に記載の綴じ処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセッサは、前記進出量についての設定が、進出量が予め定められた閾値よりも小さくなる設定となっている場合、前記用紙に含まれる水分が増加するように前記水分調整手段についての設定を行う、請求項2に記載の綴じ処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記プロセッサは、前記水分調整手段が用紙へ供給する水分の量についての設定に基づき、前記綴じ処理手段により前記用紙へ進出する前記綴じ歯の進出量についての設定を行う、請求項1に記載の綴じ処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、前記水分の量についての設定が、前記用紙に含まれる水分が増加し当該水分が予め定められた閾値を超える設定となっている場合、前記綴じ歯の進出量が減少するように前記綴じ処理手段についての設定を行う、請求項5に記載の綴じ処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記プロセッサは、前記水分の量についての設定が、前記用紙に含まれる水分が減少し当該水分が予め定められた閾値よりも小さくなる設定となっている場合、前記綴じ歯の進出量が増加するように前記綴じ処理手段についての設定を行う、請求項5に記載の綴じ処理装置である。
請求項8に記載の発明は、用紙へ綴じ歯を進出させて用紙の綴じ処理を行う綴じ処理手段と、前記用紙に含まれる水分の量の調整を行う水分調整手段と、前記綴じ処理手段および前記水分調整手段のうちの少なくとも一方の制御を行うプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記綴じ処理手段による綴じ処理が行われた後の前記用紙の綴じ部分の体積に対する、当該綴じ部分に含まれる水分の体積の割合が、特定の範囲内に収まるように、当該綴じ処理手段および前記水分調整手段の少なくとも一方の制御を行う、綴じ処理装置である。
請求項9に記載の発明は、前記プロセッサは、前記割合が25%~50%の範囲内に収まるように、前記綴じ処理手段および前記水分調整手段の少なくとも一方の制御を行う、請求項8に記載の綴じ処理装置である。
請求項10に記載の発明は、前記プロセッサは、前記用紙の綴じ処理が行われる際の条件である綴じ処理時条件が、前記特定の範囲内に前記割合が収まらないようになる条件である非該当条件にある場合、前記綴じ処理手段および前記水分調整手段の少なくとも一方についての設定の変更を行って、当該綴じ処理時条件を、当該特定の範囲内に当該割合が収まるようになる条件とする、請求項8に記載の綴じ処理装置である。
請求項11に記載の発明は、前記プロセッサは、前記綴じ処理時条件が、前記割合が前記特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合、前記水分調整手段による前記用紙への水分の供給が行われるようにし又は当該水分調整手段により当該用紙へ供給される水分が多くなるようにする、請求項10に記載の綴じ処理装置である。
請求項12に記載の発明は、前記プロセッサは、前記綴じ処理時条件が、前記割合が前記特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合、前記綴じ処理手段が前記用紙へ前記綴じ歯を進出させる際の進出量が多くなるようにする、請求項10に記載の綴じ処理装置である。
請求項13に記載の発明は、前記プロセッサは、前記綴じ処理時条件が、前記割合が前記特定の範囲の上限よりも大きくなる条件にある場合、前記水分調整手段による前記用紙の乾燥が行われるようにし又は当該水分調整手段による当該用紙の乾燥の程度が大きくなるようにする、請求項10に記載の綴じ処理装置である。
請求項14に記載の発明は、前記プロセッサは、前記綴じ処理時条件が、前記割合が前記特定の範囲の上限よりも大きくなる条件にある場合、前記綴じ処理手段が前記用紙へ前記綴じ歯を進出させる際の進出量が少なくなるようにする、請求項10に記載の綴じ処理装置である。
請求項15に記載の発明は、前記プロセッサは、前記綴じ処理手段による前記綴じ歯の進出の量が減少する設定がなされ、前記割合が前記特定の範囲の下限よりも小さくなる場合、前記水分調整手段による水分の供給が行われるようにして又は当該水分調整手段により前記用紙へ供給される水分が多くなるようにして、当該割合が当該特定の範囲内に収まるようにする、請求項8に記載の綴じ処理装置である。
請求項16に記載の発明は、前記プロセッサは、前記綴じ処理手段による前記綴じ歯の進出の量が増加する設定がなされ、前記割合が前記特定の範囲の上限を超える場合、前記水分調整手段による用紙の乾燥が行われるようにして又は当該水分調整手段による用紙の乾燥の程度が大きくなるようにして、当該割合が当該特定の範囲内に収まるようにする、請求項8に記載の綴じ処理装置である。
請求項17に記載の発明は、前記プロセッサは、前記水分調整手段による水分の供給が行われる設定がなされ又は当該水分調整手段により供給される水分が多くなる設定がなされ、前記割合が前記特定の範囲の上限を超える場合、前記綴じ処理手段による前記綴じ歯の進出の量が減少するようにして、当該割合が当該特定の範囲内に収まるようにする、請求項8に記載の綴じ処理装置である。
請求項18に記載の発明は、前記プロセッサは、前記水分調整手段による水分の供給が行われない設定がなされ又は当該水分調整手段により供給される水分が少なくなる設定がなされ、前記割合が前記特定の範囲の下限よりも小さくなる場合、前記綴じ処理手段による前記綴じ歯の進出の量が増加するようにして、当該割合が当該特定の範囲内に収まるようにする、請求項8に記載の綴じ処理装置である。
請求項19に記載の発明は、前記プロセッサは、ユーザからの指示に応じて、前記割合が前記特定の範囲内に収まるようにする前記制御と、当該割合が当該特定の範囲外となるようにする制御とを切り替える、請求項8に記載の綴じ処理装置である。
請求項20に記載の発明は、用紙への画像の形成を行う画像形成装置と、当該画像形成装置により画像が形成された用紙を綴じる綴じ処理装置と、を備え、当該綴じ処理装置が、請求項1乃至19の何れかに記載された綴じ処理装置を含んで構成された画像形成システムである。
請求項21に記載の発明は、用紙へ綴じ歯を進出させて用紙の綴じ処理を行う綴じ処理手段と、当該用紙に含まれる水分の量の調整を行う水分調整手段と、を備える綴じ処理装置の制御を行うコンピュータに、前記綴じ処理手段および前記水分調整手段のうちの一方の手段についての設定に基づき、他方の手段についての設定を行う機能を実現させるためのプログラムである。
請求項22に記載の発明は、用紙へ綴じ歯を進出させて用紙の綴じ処理を行う綴じ処理手段と、当該用紙に含まれる水分の量の調整を行う水分調整手段と、を備える綴じ処理装置の制御を行うコンピュータに、前記綴じ処理手段による綴じ処理が行われた後の前記用紙の綴じ部分の体積に対する、当該綴じ部分に含まれる水分の体積の割合が、特定の範囲内に収まるように、当該綴じ処理手段および前記水分調整手段の少なくとも一方の制御を行う機能を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、用紙の綴じの量と用紙に含まれる水分の量のうちの一方の要因のみを考慮して用紙の綴じ処理を行う場合に比べ、用紙の綴じがより確実に行われるようにすることができる。
請求項2の発明によれば、綴じ処理手段により用紙へ進出する綴じ歯の進出量についての設定に基づき、水分調整手段により調整される水分の量についての設定を行うことができる。
請求項3の発明によれば、進出量についての設定が、進出量が予め定められた閾値を超える設定となっている場合に、用紙に含まれる水分が減少するように水分調整手段についての設定を行うことができる。
請求項4の発明によれば、進出量についての設定が、進出量が予め定められた閾値よりも小さくなる設定となっている場合に、用紙に含まれる水分が増加するように水分調整手段についての設定を行うことができる。
請求項5の発明によれば、水分調整手段が用紙へ供給する水分の量についての設定に基づき、綴じ処理手段により用紙へ進出する綴じ歯の進出量についての設定を行うことができる。
請求項6の発明によれば、水分の量についての設定が、用紙に含まれる水分が増加し水分が予め定められた閾値を超える設定となっている場合、綴じ歯の進出量が減少するように綴じ処理手段についての設定を行うことができる。
請求項7の発明によれば、水分の量についての設定が、用紙に含まれる水分が減少し水分が予め定められた閾値よりも小さくなる設定となっている場合に、綴じ歯の進出量が増加するように綴じ処理手段についての設定を行うことができる。
請求項8の発明によれば、用紙の綴じの量と用紙に含まれる水分の量のうちの一方の要因のみを考慮して用紙の綴じ処理を行う場合に比べ、用紙の綴じがより確実に行われるようにすることができる。
請求項9の発明によれば、割合が25%~50%の範囲外となるように、綴じ処理手段および水分調整手段の少なくとも一方の制御を行う場合に比べ、用紙の綴じがより確実に行われるようにすることができる。
請求項10の発明によれば、綴じ処理時条件が、特定の範囲内に割合が収まらないようになる条件である非該当条件にある場合に、綴じ処理時条件を、特定の範囲内に割合が収まるようになる条件とすることができる。
請求項11の発明によれば、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合、水分調整手段による用紙への水分の供給が行われるようにし又は水分調整手段により用紙へ供給される水分が多くなるようにすることができる。
請求項12の発明によれば、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合に、綴じ処理手段が用紙へ綴じ歯を進出させる際の進出量が多くなるようにすることができる。
請求項13の発明によれば、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の上限よりも大きくなる条件にある場合、水分調整手段による用紙の乾燥が行われるようにし又は水分調整手段による用紙の乾燥の程度が大きくなるようにすることができる。
請求項14の発明によれば、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の上限よりも大きくなる条件にある場合に、綴じ処理手段が用紙へ綴じ歯を進出させる際の進出量が少なくなるようにすることができる。
請求項15の発明によれば、綴じ処理手段による綴じ歯の進出の量が減少する設定がなされ、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる場合でも、割合が特定の範囲内に収まるようにすることができる。
請求項16の発明によれば、綴じ処理手段による綴じ歯の進出の量が増加する設定がなされ、割合が特定の範囲の上限を超える場合でも、割合が特定の範囲内に収まるようにすることができる。
請求項17の発明によれば、水分調整手段による水分の供給が行われる設定がなされ又は水分調整手段により供給される水分が多くなる設定がなされ、割合が特定の範囲の上限を超える場合でも、割合が特定の範囲内に収まるようにすることができる。
請求項18の発明によれば、水分調整手段による水分の供給が行われない設定がなされ又は水分調整手段により供給される水分が少なくなる設定がなされ、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる場合でも、割合が特定の範囲内に収まるようにすることができる。
請求項19の発明によれば、割合が特定の範囲内に収まるようにする制御と、割合が特定の範囲外となるようにする制御とを切り替えることができる。
請求項20の発明によれば、用紙の綴じの量と用紙に含まれる水分の量のうちの一方の要因のみを考慮して用紙の綴じ処理を行う場合に比べ、用紙の綴じがより確実に行われるようにすることができる。
請求項21の発明によれば、用紙の綴じの量と用紙に含まれる水分の量のうちの一方の要因のみを考慮して用紙の綴じ処理を行う場合に比べ、用紙の綴じがより確実に行われるようにすることができる。
請求項22の発明によれば、用紙の綴じの量と用紙に含まれる水分の量のうちの一方の要因のみを考慮して用紙の綴じ処理を行う場合に比べ、用紙の綴じがより確実に行われるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】画像形成システムの全体構成を示した図である。
【
図4】
図3の矢印IVで示す方向から、綴じ処理ユニットを見た場合の図である。
【
図5】情報処理部のハードウエアの構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示した図である。
図1に示す画像形成システム1は、記録媒体の一例としての用紙Pに対して画像を形成する画像形成装置2と、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに対して予め定められた処理を施す用紙処理装置3とを備える。
【0009】
ここで、画像形成装置2には、電子写真方式やインクジェット方式を用いて、用紙Pへの画像の形成を行う画像形成部19が設けられている。
また、画像形成装置2には、定着器14が設けられている。この定着器14は、用紙Pの搬送方向において、画像形成部19の下流側に配置されている。
定着器14では、画像が形成された用紙Pの加圧および加熱が行われる。これにより、用紙P上の画像が、この用紙Pに定着される。
【0010】
処理装置の一例としての用紙処理装置3には、画像形成装置2から出力された用紙Pを下流側に搬送する搬送装置10、搬送装置10により搬送される用紙Pに対して厚紙や窓空き用紙P等の合紙を供給する合紙供給装置20が設けられている。
また、用紙処理装置3には、搬送装置10から搬送された用紙Pに対して内三折り(C折り)や外三折り(Z折り)等の折り処理を施す折り装置30が設けられている。
【0011】
また、用紙処理装置3には、折り装置30の下流側に設けられ、用紙Pに穴あけや端綴じ、中綴じ等を行う第1後処理装置40が設けられている。
付言すると、折り装置30の下流側は、画像形成装置2により画像が形成された複数枚の用紙Pによりなる用紙束に対する処理を行ったり、一枚の用紙毎に用紙Pに対する処理を行ったりする第1後処理装置40が設けられている。
【0012】
また、用紙処理装置3には、第1後処理装置40の下流側に設けられ、中折りや中綴じされた用紙P束に対する処理をさらに行う第2後処理装置590が設けられている。
また、用紙処理装置3には、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)を備え、用紙処理装置3の全体を制御する情報処理部100が設けられている。
また、用紙処理装置3には、液晶モニタなどにより構成され、ユーザへの情報の表示を行う情報表示部915が設けられている。
【0013】
第1後処理装置40には、用紙Pに穴あけ(パンチ)を施す穿孔ユニット41、用紙束の端を綴じる端綴じ部42が設けられている。
また、端綴じ部42を経た用紙Pが積載される第1積載部43、第1後処理装置40での処理が行われない用紙Pまたは穴あけだけが施された用紙Pが積載される第2積載部45が設けられている。
さらに、第1後処理装置40には、用紙束を中折り/中綴じをして見開き状の冊子を作製する中綴じユニット44が設けられている。
【0014】
図2は、第1後処理装置40の構成を説明する図である。
第1後処理装置40には、折り装置30から搬送されてきた用紙Pを受け入れる受け入れ口49が設けられている。
受け入れ口49の直後には、穿孔ユニット41が設けられている。穿孔ユニット41は、第1後処理装置40へ搬送されてきた用紙Pに対して、2穴や4穴等の穴あけ(パンチ)を施す。
【0015】
また、この受け入れ口49から端綴じ部42にかけて設けられ、受け入れ口49にて受け入れられた用紙Pの端綴じ部42への搬送に用いられる第1用紙搬送経路R11が設けられている。
さらに、第1分岐部B1にて、第1用紙搬送経路R11から分岐し、第2積載部45への用紙Pの搬送に用いられる第2用紙搬送経路R12が設けられている。
【0016】
また、第2分岐部B2にて、第1用紙搬送経路R11から分岐し、中綴じユニット44への用紙Pの搬送に用いられる第3用紙搬送経路R13が設けられている。
また、用紙Pの搬送先を、第1用紙P搬送経路R11~第3用紙P搬送経路R13の何れかに切り替える切り替えゲート70が設けられている。
【0017】
端綴じ部42には、用紙Pを必要枚数だけ集積させて用紙束を生成する用紙集積部60が設けられている。
用紙集積部60には、水平方向に対して傾斜して配置され、搬送されてきた用紙Pを下方から支持する支持板67が設けられている。本実施形態では、この支持板67の上に、用紙束が生成される。
【0018】
さらに、端綴じ部42には、用紙集積部60にて生成された用紙束の端部に対して綴じ(端綴じ)を実行する綴じ処理ユニット50が設けられている。
本実施形態では、綴じ処理ユニット50として、ステープル針を用いないで綴じ処理を行う綴じ処理ユニット52が設けられている。
また、端綴じ部42には、回転駆動を行い、用紙集積部60にて生成された用紙束を第1積載部43へ送り出す搬送ロール61が設けられている。さらに、搬送ロール61から退避した位置、および、搬送ロール61に圧接する位置へ移動可能な可動ロール62が設けられている。
【0019】
ここで、端綴じ部42による処理が行われる際には、まず、受け入れ口49にて、搬送されてきた用紙Pが受け入れられる。
その後、この用紙Pは、第1用紙搬送経路R11に沿って搬送され、端綴じ部42に達する。
そして、この用紙Pは、支持板67の上方まで搬送された後に支持板67に落下する。また、この用紙Pは、支持板67によって下方から支持されるとともに、支持板67に付与された傾斜および回転部材63によって、支持板67の上をスライド移動する。
【0020】
その後、この用紙Pは、支持板67の端部に取り付けられたエンドガイド64に突き当たる。付言すると、本実施形態では、支持板67の端部に対し、図中上方に向かって延びるエンドガイド64が設けられており、支持板67上を移動した用紙Pは、このエンドガイド64に突き当たる。
これにより、本実施形態では、用紙Pの移動が停止される。以後、用紙Pが上流側から搬送されてくる度にこの動作が行われ、支持板67上には、複数枚の用紙Pが揃えられた用紙束が生成される。
【0021】
なお、本実施形態では、用紙束の幅方向における位置を揃える用紙幅位置揃え部材65がさらに設けられている。
本実施形態では、支持板67上に用紙Pが供給される度に、用紙Pの幅方向における端部(側部)が、用紙幅位置揃え部材65により押圧され、用紙P(用紙束)の幅方向における位置が揃えられる。
【0022】
予め定められた枚数の用紙Pが支持板67上に積載されると、綴じ処理手段の一例である綴じ処理ユニット52によって、用紙束の端部に対する綴じが実行される。
綴じ処理ユニット52は、用紙束を2つの綴じ歯で挟んでこの用紙束を構成する用紙同士を圧着させて、綴じを実行する。
その後、本実施形態では、可動ロール62が搬送ロール61に向かって進出し、可動ロール62および搬送ロール61により用紙束が挟まれる。その後、搬送ロール61が回転駆動を行い、用紙束が第1積載部43へ搬送される。
【0023】
綴じ処理ユニット52は、
図2中紙面の奥側および手前側に向かって移動可能に設けられており、本実施形態では、複数の箇所にて、用紙Pに対する綴じ処理を行える。
ここで、端綴じ部42が設けられている部分は、用紙Pを綴じる綴じ処理装置として捉えることができる。
本実施形態では、用紙Pの端綴じが行われる際には、画像形成装置2により画像が形成された用紙Pが、この端綴じ部42へ搬送される。端綴じ部42では、画像形成装置2から搬送されてきたこの用紙Pに対する綴じ処理が行われる。
【0024】
図3(用紙集積部60を上方から見た場合の図)を参照し、さらに説明すると、本実施形態では、上記のとおり、綴じ処理ユニット52が設けられている。
さらに、本実施形態では、用紙集積部60に集積される用紙Pに含まれる水分の調整を行う水分調整手段の一例である水分調整機構700が設けられている。
【0025】
本実施形態では、端綴じ部42へ用紙Pが搬送されてくる度に、必要に応じ、水分調整機構700による水分の調整が行われる。言い換えると、本実施形態では、用紙1枚ごとに、必要に応じ、水分調整機構700による水分の調整が行われる。
なお、これに限らず、用紙束となった後に、水分調整機構700による水分の調整が行われようにしてもよい。
【0026】
水分調整手段の一例としてのこの水分調整機構700には、水分供給部710と、水分除去部720とが設けられている。
水分供給手段の一例としての水分供給部710は、例えば、水などの水分を含浸し用紙Pへの進退を行う含浸部を備え、この含浸部を用紙Pに接触させて、用紙Pへの水分の供給を行う。より具体的には、水分供給部710は、含浸部を、用紙Pの綴じ部分に接触させて、この綴じ部分への水分の供給を行う。
【0027】
また、水分供給部710は、例えば、ノズルやヘッドの先から用紙Pへ水分を噴射して用紙Pへの水分の供給を行う。また、水分供給部710は、例えば、用紙Pの上方から水の液滴を垂らして用紙Pへの水分の供給を行う。
なお、用紙Pに供給される水分は、水のみに限らず、水以外の他の成分を含んだものとしてもよい。
【0028】
水分除去部720は、熱源を有し、用紙Pのうちの綴じが行われる綴じ部分からの水分の除去を行う。言い換えると、水分除去部720は、熱源を有し、用紙Pの綴じ部分の乾燥を行う。
具体的には、水分除去部720は、例えば、温風を、綴じ部分へ吹き当てて、この綴じ部分の乾燥を行い、この綴じ部分からの水分の除去を行う。
また、その他に、水分除去部720は、例えば、熱源により加熱された被加熱体を綴じ部分に接触させて、綴じ部分からの水分の除去を行い、綴じ部分の乾燥を行う。
【0029】
また、水分除去部720は、例えば、水分を吸着する機能を備えた材料を綴じ部分に押し当てて、綴じ部分からの水分の除去を行って、綴じ部分の乾燥を行う。
なお、綴じ部分の乾燥にあっては、綴じ部分のみの乾燥を行うのではなく、用紙Pの全体の乾燥を行って、綴じ部分の乾燥を行ってもよい。
また、本実施形態では、水分供給部710、水分除去部720が移動する構成となっているが、水分供給部710、水分除去部720は、固定した状態で設けてもよい。
水分供給部710、水分除去部720を固定した状態で設ける場合、例えば、用紙Pの綴じ位置毎に、水分供給部710、水分除去部720を設けるようにする。
【0030】
また、綴じ部分への水分の供給や、綴じ部分の乾燥は、端綴じ部42(
図1参照)で行うのに限らず、画像形成装置2内にて行ってもよい。
また、その他に、綴じ部分への水分の供給や、綴じ部分の乾燥は、例えば、画像形成装置2から端綴じ部42へ用紙Pが搬送される過程で行ってもよい。
言い換えると、用紙Pが端綴じ部42に向かって移動する際に通る、用紙Pの搬送経路上にて、綴じ部分への水分の供給や、綴じ部分の乾燥を行ってもよい。
【0031】
綴じ処理ユニット52(
図3参照)、水分調整機構700は、第1後処理装置40の奥行き方向における位置が互いに異なるように配置されている。
本実施形態では、用紙P(用紙束)の搬送方向と直交する方向である、第1後処理装置40の奥行き方向に沿って、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700が移動する。
また、本実施形態では、1つの共通の経路に沿って、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700が移動する。
【0032】
本実施形態では、綴じ処理ユニット52が移動可能となっており、用紙束の複数の箇所に対して綴じ処理を行える。
また、本実施形態では、水分調整機構700が移動可能となっており、用紙束の複数の箇所にて、水分の供給、水分の除去を行える。
【0033】
綴じ処理ユニット52は、例えば、第1後処理装置40の奥行き方向において互いに異なる箇所に位置する2点(
図3の(A)位置と(B)位置)にて停止するとともに、この2点において綴じ処理(2点端綴じ処理)を行う。
また、綴じ処理ユニット52は、例えば、用紙束の一方の端(用紙束の一方の角部)(
図3の(D)位置)にて停止するとともに、この停止位置で綴じ処理(1点端綴じ)を行う。
また、綴じ処理ユニット52は、例えば、用紙束の他方の端(用紙束の他方の角部)(
図3の(C)位置)にて停止するとともに、この停止位置で綴じ処理(1点端綴じ)を行う。
【0034】
また、水分調整機構700も、上記の2点(
図3の(A)位置と(B)位置)にて停止するとともに、この2点において、水分の供給や水分の除去を行う。
また、水分調整機構700は、例えば、用紙束の一方の端(用紙束の一方の角部)(
図3の(D)位置)にて停止し、この停止位置で、水分の供給や水分の除去を行う。
また、水分調整機構700は、例えば、用紙束の他方の端(用紙束の他方の角部)(
図3の(C)位置)にて停止し、この停止位置で、水分の供給や水分の除去を行う。
【0035】
本実施形態では、(A)位置と(B)位置との間では、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700の各々は、直線的な移動を行う。
また、本実施形態では、(A)位置と(C)位置との間、および、(B)位置と(D)位置との間では、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700の各々は、例えば45°の回転を伴いながら移動を行う。
【0036】
綴じ処理ユニット52、水分調整機構700の各々を移動させる場合、例えば、これらに、モータなどの駆動源を設けるようにする。この場合、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700の各々は、自身で移動する。
また、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700の各々を移動させる場合、例えば、移動可能なベルトなどに、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700を取り付ける。そして、このベルトを移動させる。これにより、綴じ処理ユニット52、水分調整機構700は移動する。
【0037】
本実施形態では、
図3に示すように、エンドガイド64が、複数設けられている。
これらのエンドガイド64は、第1後処理装置40の奥行き方向(用紙Pの搬送方向と直交する方向)において、互いに異なる箇所に配置されている。
また、エンドガイド64の各々は、
図3に示すように、規制部641および対向片642を有する。
【0038】
規制部641は、支持板67に対して直交する関係で配置され、本実施形態では、この規制部641に用紙Pの端部が突き当たって用紙Pの移動が規制される。
対向片642は、規制部641に接続されるとともに支持板67に対向するように配置されている。
本実施形態では、支持板67上に用紙Pが載ると、対向片642と支持板67との間にこの用紙Pの端部が入り込む。さらに、この用紙Pの端部が規制部641に突き当たる。これにより、用紙Pの揃えが行われる。
【0039】
なお、
図3の(A)位置にて綴じ処理が行われるときには、
図3にて図中中央(上下方向における中央)に位置する、符号3Eで示す対向片642と、図中下方に位置する、符号3Fで示す対向片642との間に形成された間隙を通じて綴じ処理が行われる。
また、
図3の(A)位置にて、水分の供給や水分の除去が行われるときにも、符号3Eで示す、図中中央に位置する対向片642と、符号3Fで示す、図中下方に位置する対向片642との間に形成された間隙を通じて、水分の供給や水分の除去が行われる。
【0040】
また、
図3の(B)位置にて綴じ処理が行われるときには、符号3Gで示す、図中上方に位置する対向片642と、符号3Eで示す、図中中央に位置する対向片642との間に形成された間隙を通じて綴じ処理が行われる。
また、
図3の(B)位置にて、水分の供給や水分の除去が行われるときには、符号3Gで示す、図中上方に位置する対向片642と、符号3Eで示す、図中中央に位置する対向片642との間に形成された間隙を通じて、水分の供給や水分の除去が行われる。
【0041】
なお、本実施形態では、綴じ処理ユニット52として、ステープルなどの綴じ用部材を用いない綴じ処理ユニットを用いる場合を一例に説明するが、ステープルなどの綴じ用部材を用いる綴じ処理ユニットを追加で設けてもよい。
綴じ用部材を用いる綴じ処理ユニットを追加で設ける場合、例えば、ユーザからの指示に応じて、綴じに用いる綴じ処理ユニットを切り替えるようにする。
この場合、綴じ用部材を用いない綴じ処理、綴じ用部材を用いる綴じ処理の両方を行える。
【0042】
図4は、
図3の矢印IVで示す方向から、綴じ処理ユニット52を見た場合の図である。
綴じ処理手段の一例としての綴じ処理ユニット52には、複数枚の用紙Pからなる用紙束の綴じ処理に用いられる第1綴じ歯71が設けられている。
また、この第1綴じ歯71の上方には、第2綴じ歯72が設けられている。
【0043】
第1綴じ歯71および第2綴じ歯72の各々には、凹凸部が設けられている。
第1綴じ歯71のうちの第2綴じ歯72側に位置する面、および、第2綴じ歯72のうちの第1綴じ歯71側に位置する面には、図中矢印4Xで示す方向に凸部と凹部とが交互に並んだ凹凸部が設けられている。
言い換えると、第1綴じ歯71のうちの第2綴じ歯72側に位置する面、および、第2綴じ歯72のうちの第1綴じ歯71側に位置する面には、凸部と凹部とが、第1綴じ歯71、第2綴じ歯72の長手方向に交互に並んだ凹凸部が設けられている。
【0044】
第1綴じ歯71および第2綴じ歯72による綴じ処理が行われる際、第2綴じ歯72が、第1綴じ歯71に向かって進出する。
より具体的には、本実施形態では、綴じ処理が行われる際には、第2綴じ歯72が、図中矢印4Yで示す直線状の経路に沿って下降し、第1綴じ歯71に向かって移動する。
【0045】
そして、本実施形態では、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72との間に位置する用紙束(不図示)が、この第1綴じ歯71と第2綴じ歯72とにより挟まれ押圧される。
このとき、本実施形態では、第1綴じ歯71に設けられた凸部と、第2綴じ歯72に設けられた凹部とが互いに対向する。また、このとき、第1綴じ歯71に設けられた凹部と、第2綴じ歯72に設けられた凸部とが互いに対向する。
また、一方の綴じ歯に設けられた凹部に、他方の綴じ歯に設けられた凸部が入り込む。
【0046】
これにより、用紙束を構成する用紙同士が圧着され、用紙Pの綴じ処理が行われる。その後、本実施形態では、第2綴じ歯72が、上方へ移動し第1綴じ歯71から退避する。
なお、本実施形態では、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72の各々にて、凸部と凹部とが交互に並ぶ場合を一例に説明したが、凸部および凹部は、他の並び方で配置してもよい。
【0047】
綴じ処理ユニット52には、第2綴じ歯72を第1綴じ歯71に向けて移動させる移動手段の一例としての移動機構500が設けられている。
移動機構500は、図中上下方向に沿って延びる棒状のねじ部材510を備え、このねじ部材510を周方向に回転させて、第2綴じ歯72を第1綴じ歯71に向けて移動させる。
【0048】
本実施形態では、第2綴じ歯72に連動して移動する連動部分600が設けられている。本実施形態では、この連動部分600に対してねじ部材510が噛み合っている。言い換えると、連動部分600に対してねじ部材510が接続されている。
移動機構500は、連動部分600に噛み合うねじ部材510を周方向に回転させて、第2綴じ歯72を第1綴じ歯71に向けて移動させる。
より具体的には、本実施形態では、綴じ処理ユニット52に設けられた不図示の駆動モータを正転させると、ねじ部材510が周方向且つ一方向に回転する。
これにより、連動部分600および第2綴じ歯72が下降し、第2綴じ歯72が第1綴じ歯71へ移動する。これにより綴じ処理が行われる。
【0049】
綴じ処理が終了すると、駆動モータが逆転し、ねじ部材510が逆方向に回転する。
これにより、連動部分600および第2綴じ歯72が上昇する。第2綴じ歯72が上昇すると、第2綴じ歯72が第1綴じ歯71から退避する。
なお、本実施形態では、ねじ部材510を用いて、第2綴じ歯72を移動させたが、第2綴じ歯72を移動させる機構は、特に限定されず、その他に、カム機構やジャッキ機構などを用いてもよい。
また、本実施形態では、第2綴じ歯72を移動させたが、第1綴じ歯71を移動させてもよいし、第1綴じ歯71、第2綴じ歯72の両者を移動させてもよい。
【0050】
本実施形態では、
図3にて示したエンドガイド64を、綴じ処理ユニット52が通過できるように構成されている。
より具体的には、本実施形態では、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72との最大の離間量が、エンドガイド64の高さ寸法よりも大きくなっており、上記の受け入れ部をエンドガイド64が通過する。これにより、綴じ処理ユニット52が、エンドガイド64を通過する。
【0051】
図5は、情報処理部100のハードウエアの構成を示した図である。
情報処理部100には、処理部201と、情報を記憶する情報記憶装置202と、LAN(=Local Area Network)ケーブル等を介した通信を実現するネットワークインターフェース203とが設けられている。
【0052】
処理部201は、コンピュータにより構成されている。
処理部201は、後述する各種の処理を実行するプロセッサの一例としてのCPU(=Central Processing Unit)211を有する。また、処理部201は、ソフトウエアが記憶されたROM(=Read Only Memory)212と、ワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)213とを有する。
情報記憶装置202は、ハードディスクドライブ、半導体メモリ、磁気テープなど、既存の装置により実現される。
処理部201と、情報記憶装置202と、ネットワークインターフェース203とは、バス206や不図示の信号線を通じて接続される。
【0053】
CPU211によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、情報処理部100へ提供しうる。また、CPU211によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、情報処理部100へ提供してもよい。
【0054】
本明細書において、プロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0055】
〔処理の具体例〕
以下、情報処理部100により実行される処理を説明する。
本実施形態では、プロセッサの一例としてのCPU211が、綴じ部分に含まれる水分の体積の割合が特定の範囲内に収まるように、綴じ処理ユニット52および水分調整機構700の少なくとも一方の制御を行う。
より具体的には、CPU211は、綴じ処理が行われた後の用紙Pの綴じ部分の体積に対する、この綴じ部分に含まれる水分の体積の割合が、特定の範囲内に収まるように、綴じ処理ユニット52および水分調整機構700の少なくとも一方の制御を行う。
【0056】
これにより、綴じ処理が行われた後の綴じ部分の体積に対する、この綴じ部分に含まれる水分の体積の割合が、特定の範囲内に収まるようになる。
なお、本明細書において、「綴じ処理が行われた後の用紙Pの綴じ部分の体積」とは、
図6(綴じ処理後の用紙束を示した図)に示すように、綴じ処理後の用紙Pのうちの綴じ部分の体積をいう。
図6に示すように綴じ部分が複数存在する場合には、個々の綴じ部分の体積をいう。
「綴じ処理が行われた後の用紙Pの綴じ部分の体積」は、第2綴じ歯72が第1綴じ歯71に最も接近したときにおける、第2綴じ歯72と第1綴じ歯71との間の空間の体積とも言える。
【0057】
また、「綴じ部分に含まれる水分の体積」とは、綴じ処理が行われた後の用紙Pの綴じ部分に含まれる水分の体積である。綴じ部分が複数存在する場合には、個々の綴じ部分に含まれる水分の体積となる。
この水分の体積は、例えば、綴じ処理が行われた直後の綴じ部分の重量である直後重量から、この綴じ部分を乾燥させた後のこの綴じ部分の重量である乾燥後重量を減じることにより得られた値である減算後値を基に取得できる。より具体的には、この体積は、綴じ部分の直後重量から、この綴じ部分を「温度105℃の環境下に2時間」置いた後のこの綴じ部分の重量である乾燥後重量を減じることにより得られた値である減算後値を基に取得できる。
より具体的には、この減算後値を、例えば、水の比重である「1」で割ることにより、綴じ部分に含まれる水分の体積を取得できる。
また、その他に、綴じ部分に含まれる水分の体積は、綴じ部分の直後重量から、綴じ部分を通常環境の一例である「湿度50%RH 21℃」に24時間放置した後のこの綴じ部分の重量である放置後重量を減じることにより得られた値である減算後値に対して、この通常環境下においてこの綴じ部分に含まれるようになる標準水分(4~6%)の重量である標準重量を加算した後の重量である総水分重量を基に取得できる。
より具体的には、この総水分重量を、例えば、水の比重である「1」で割ることにより、綴じ部分に含まれる水分の体積を取得できる。
一般に、紙には、通常環境の一例である湿度50%RH、21℃において、水分が、約4~6%含まれるようになる。このため、綴じ部分に含まれる水分の体積は、上記のように、綴じ部分の直後重量と通常環境下に綴じ部分を放置した後のこの綴じ部分の重量である放置後重量との差分を取得し、この差分に対して、通常環境下における水分の重量(4~6%)である上記の標準重量を加算することにより得られる総水分重量を基に取得できる。
【0058】
本実施形態では、CPU211は、上記の割合が25%~50%の範囲内に収まるように、綴じ処理ユニット52および水分調整機構700の少なくとも一方の制御を行う。
これにより、本実施形態では、綴じ部分の体積に対する、この綴じ部分に含まれる水分の体積の割合が、25%~50%の範囲内に収まるようになる。
これにより、割合が25%よりも小さい場合や、割合が50%を超える場合に比べ、用紙束を構成する用紙同士の結着力が高まり、綴じが外れにくくなる。
【0059】
発明者による実験によると、
図7(用紙Pの付着力を示した図)の符号7Aで示すように、割合が、特定の範囲の一例である、25%~50%内にあると、用紙束を構成する用紙同士の付着力が高まり、綴じが外れにくくなることが確認された。
一方、発明者による実験によると、
図7の符号7Bで示すように、割合が、特定の範囲の一例である、25%~50%外にあると、25%~50%内にある場合に比べ、綴じの強度が低下することが確認された。
【0060】
より具体的には、割合が、特定の範囲の一例である、25%~50%内にある場合、用紙束の最上位の用紙Pを、この用紙束から離れる方向へ手動で引っ張ったとしても、綴じが外れにくかった。
これに対し、割合が、特定の範囲の一例である、25%~50%外にある場合、用紙束の最上位の用紙Pを、この用紙束から離れる方向へ手動で引っ張った場合に、綴じが外れやすかった。
【0061】
一般的には、綴じ部分の圧縮の程度が大きいほど、綴じ力が高まるようになるが、圧縮の程度が大きくなるほど、綴じ部分に占める水分の量が相対的に増え、水分の量が多すぎる状態となると、逆に綴じの強度が低下する。
また、一般的には、綴じ部分の圧縮の程度が小さいほど綴じが弱まるようになるが、この場合であっても、綴じ部分に含まれる水分を多くすると、用紙Pを構成する繊維同士が互いに付着しやすくなり、用紙同士の付着強度が増加する。
【0062】
また、一般的には、綴じ部分に含まれる水分を多くすると、用紙Pを構成する繊維同士が互いに付着しやすくなるが、水分の量が多すぎると、逆に、繊維同士の付着が起こりににくくなる。
また、一般的には、綴じ部分に含まれる水分が少ないと、用紙Pを構成する繊維同士の付着強度が低下する傾向となるが、綴じ部分の圧縮の程度を大きくすると、相対的な水分量が増え、綴じの強度が増加する。
【0063】
本実施形態では、これらの背景に鑑み、用紙束の綴じ処理が行われる際の条件である綴じ処理時条件を、用紙間の付着強度がより高まる条件とする。
本実施形態では、綴じ処理時条件が、割合を上記の特定の範囲内に収めるようにするにはふさわしくない条件となっている場合、CPU211が、割合がこの特定の範囲内に収まるようにする制御を行う。
【0064】
用紙Pの綴じ部分に含まれる水分が、多すぎたり少なすぎたり、また、第2綴じ歯72の進出量が大きすぎたり小さすぎたりする場合、綴じ処理時条件が、上記の割合を上記の特定の範囲内に収めるようにするにはふさわしくない条件となる。
この場合、CPU211が、そのとき設定されている設置値を変更し、綴じ処理時条件を、特定の範囲内に割合が収まるようになる条件とする。
【0065】
言い換えると、CPU211は、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲内に収まらないようになる条件である非該当条件に該当する場合、そのとき設定されている設置値を変更する。
言い換えると、CPU211は、この場合、その時点においてなされている設定の変更を行って、綴じ処理時条件を、特定の範囲内に割合が収まるようになる条件とする。
【0066】
そして、CPU211は、変更した後の設定に基づき、綴じ処理ユニット52や水分調整機構700の制御を行う。言い換えると、CPU211は、変更した後の設定値に基づき、綴じ処理ユニット52や水分調整機構700の制御を行う。これにより、特定の範囲内に、割合が収まるようになる。
この場合、CPU211は、綴じ部分の体積に対する、綴じ部分に含まれる水分の体積の割合が、特定の範囲内に収まるように、綴じ処理ユニット52および水分調整機構700の少なくとも一方の制御を行うことになる。
【0067】
〔綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合〕
CPU211は、例えば、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合、水分調整機構700による用紙Pへの水分の供給が行われるようにし又は水分調整機構700により用紙Pへ供給される水分が多くなるようにする設定を行う。
【0068】
水分調整機構700による用紙Pへの水分の供給がされない設定がその時点でなされている場合において、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合、CPU211は、水分調整機構700による用紙Pへの水分の供給が行われるようにする設定を行う。
また、水分調整機構700により用紙Pへ水分が供給される設定がその時点でなされている場合において、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合、CPU211は、水分調整機構700により用紙Pへ供給される水分が多くなるようにする設定を行う。
【0069】
CPU211は、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にあるか否かは、例えば、その時点で設定されている、第2綴じ歯72の進出量、水分調整機構700による水分の調整量である水分調整量を基に判断する。
本実施形態では、進出量、水分調整量と、上記の割合との関係を記した関係テーブル(
図8参照)が情報記憶装置202(
図5参照)に登録されており、CPU211は、現状設定されている進出量、水分調整量と、関係テーブルに登録されている情報とを基に、現状の割合を取得し、次いで、取得した現状の割合が、特定の範囲内にあるかを判断する。
【0070】
そして、CPU211は、現状の割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合、例えば、水分調整機構700による綴じ部分への水分の供給が行われるようにし又は水分調整機構700により綴じ部分へ供給される水分が多くなるようにする設定を行う。
より具体的には、この場合、CPU211は、上記の関係テーブルを再度参照し、割合が特定の範囲内に収まるようになる、水分調整機構700についての新たな設定値を取得する。
そして、CPU211は、取得したこの設定値を基に、水分調整機構700についての制御を行う。これにより、綴じ部分への水分の供給が行われ又は綴じ部分へ供給される水分が多くなり、割合が特定の範囲内になる。
【0071】
また、CPU211は、その他に、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合、用紙束へ第2綴じ歯72が進出する際の進出量が大きくなるようにする設定を行う。
具体的には、この設定を行うにあたっても、CPU211は、まず、上記と同様、関係テーブルを参照して、現状の割合が、特定の範囲内にあるかを判断する。
そして、CPU211は、現状の割合が、特定の範囲の下限よりも小さい場合、用紙束へ第2綴じ歯72が進出する際の進出量が多くなるようにする設定を行う。
具体的には、CPU211は、上記の関係テーブルを参照し、割合が、特定の範囲内に収まるようになる、進出量についての新たな設定値を取得する。
そして、CPU211は、取得したこの設定値を基に、綴じ処理ユニット52についての制御を行う。これにより、第2綴じ歯72の進出量が大きくなり、割合が特定の範囲内になる。
【0072】
上記では、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる条件にある場合、水分の供給についての新たな設定、進出量についての新たな設定の何れか一方を行った。
ところで、これに限らず、水分の供給についての新たな設定、および、進出量についての新たな設定の両方が行われるようにして、割合が特定の範囲内に収まるようにしてもよい。
言い換えると、用紙Pへ水分の供給が行われるようにし又は用紙Pへ供給される水分が多くなるようにする設定を行うとともに、進出量が大きくなる設定を行って、割合が特定の範囲内に収まるようにしてもよい。
【0073】
〔綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の上限よりも大きくなる条件にある場合〕
CPU211は、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の上限よりも大きくなる条件にある場合、即ち、綴じ部分の体積に対する水分量が相対的に多くなる条件にある場合、例えば、水分調整機構700による綴じ部分の乾燥が行われるようにし又は水分調整機構700による綴じ部分の乾燥の程度が大きくなるようにする設定を行う。
言い換えると、この場合、CPU211は、水分調整機構700による綴じ部分の加熱が行われるようにし又は水分調整機構700による綴じ部分の加熱の程度が大きくなるようにする設定を行う。
より具体的には、この場合も、上記と同様、CPU211は、関係テーブルを参照し、割合が、特定の範囲内に収まるようになる、水分調整機構700についての新たな設定値を取得する。
【0074】
また、その他に、CPU211は、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の上限よりも大きくなる条件にある場合、水分調整機構700による綴じ部分への水分の供給が行われないようにし又は水分調整機構700による綴じ部分への水分の供給の程度が小さくなる設定を行う。
より具体的には、この場合も、上記と同様、CPU211は、関係テーブルを参照し、割合が、特定の範囲内に収まるようになる、水分調整機構700についての新たな設定値を取得する。
【0075】
また、その他に、CPU211は、綴じ処理時条件が、割合が特定の範囲の上限よりも大きくなる条件にある場合、例えば、綴じ処理ユニット52が用紙束へ第2綴じ歯72を進出させる際の進出量が少なくなるようにする設定を行う。
より具体的には、この場合も、上記と同様、CPU211は、関係テーブルを参照し、割合が、特定の範囲内に収まるようになる、綴じ処理ユニット52についての新たな設定値を取得する。
【0076】
なお、上記と同様、割合が特定の範囲の上限よりも大きくなる条件にある場合、水分の供給についての新たな設定、および、進出量についての新たな設定の両方が行われるようにして、割合が特定の範囲内に収まるようにしてもよい。
具体的には、例えば、用紙束の乾燥が行われるようにし又はこの乾燥の程度が大きくなるようにする設定を行うとともに、進出量が少なくなる設定を行って、割合が特定の範囲内に収まるようにしてもよい。
また、例えば、用紙束への水分の供給が行われないようにし又は用紙束へ供給される水分が少なくなるようにする設定を行うとともに、進出量が少なくなる設定を行って、割合が特定の範囲内に収まるようにしてもよい。
【0077】
〔設定の変更があった場合の処理〕
本実施形態では、CPU211は、綴じ処理ユニット52および水分調整機構700うちの一方についての設定の変更があった場合、他方についての設定を行って、上記の割合が上記の特定の範囲内に収まるようにする。
例えば、CPU211は、第2綴じ歯72の進出の量が減少する設定がユーザによりなされ、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる場合、水分調整機構700による水分の供給が行われるようにし又は水分調整機構700により用紙Pへ供給される水分が多くなるようにする。
具体的には、この場合、CPU211は、上記と同様、関係テーブルを参照して、水分調整機構700についての新たな設定を行うようにする。これにより、この場合も、割合が特定の範囲内に収まるようになる。
【0078】
また、CPU211は、例えば、第2綴じ歯72の進出量が増加する設定がユーザによりなされ、割合が特定の範囲の上限を超えるようになる場合、関係テーブルを参照して、水分調整機構700についての新たな設定を行うようにする。これにより、この場合も、割合が特定の範囲内に収まるようになる。
具体的には、CPU211は、第2綴じ歯72の進出量が増加する設定がユーザによりなされ、割合が特定の範囲の上限を超えようになる場合、水分調整機構700による用紙Pの乾燥が行われるようにし又は水分調整機構700による用紙Pの乾燥の程度が大きくなるようにする。これにより、割合が特定の範囲内に収まるようになる。
また、その他に、CPU211は、第2綴じ歯72の進出量が増加する設定がユーザによりなされ、割合が特定の範囲の上限を超える場合、例えば、水分調整機構700により用紙Pに供給される水分の量を減じ、又は、水分調整機構700による用紙Pへの水分の供給が行われないようにする。この場合も、割合が特定の範囲内に収まるようになる。
【0079】
また、CPU211は、例えば、水分調整機構700による水分の供給が行われる設定がユーザによりなされ又は水分調整機構700により供給される水分が多くなる設定がユーザによりなされ、割合が特定の範囲の上限を超えるようになる場合、第2綴じ歯72の進出の量が減少するようにする。
言い換えると、この場合、CPU211は、上記と同様、関係テーブルを参照して、綴じ処理ユニット52についての新たな設定を行うようにする。これにより、この場合も、割合が特定の範囲内に収まるようになる。
【0080】
また、CPU211は、例えば、水分調整機構700による水分の供給が行われない設定がユーザによりなされ又は水分調整機構700により供給される水分が少なくなる設定がユーザによりなされ、割合が特定の範囲の下限よりも小さくなる場合、第2綴じ歯72の進出の量が増加するようにする。
言い換えると、この場合も、CPU211は、上記と同様、関係テーブルを参照して、綴じ処理ユニット52についての新たな設定を行うようにする。これにより、この場合も、割合が特定の範囲内に収まるようになる。
【0081】
本実施形態では、このように、CPU211は、綴じ処理ユニット52および水分調整機構700のうちの一方についての設定に基づき、他方についての設定を行う。
なお、上記では、関係テーブルを参照して、他方についての設定を行ったが、進出量、水分量の各々についての閾値を設定しておき、一方の設定についての値がこの閾値を超えた場合に、他方についての設定を行うようにしてもよい。
言い換えると、一方の設定についての値が閾値を超えた場合に、他方についての設定値の変更を行うようにしてもよい。
【0082】
具体的には、この場合、CPU211は、例えば、進出量について行われた新たな設定が、進出量が予め定められた閾値を超える設定となった場合に、用紙束に含まれる水分が減少するように水分調整機構700についての設定を行う。
【0083】
また、CPU211は、進出量についての新たな設定が、進出量が予め定められた閾値よりも小さくなる設定となった場合、用紙束に含まれる水分が増加するように水分調整機構700についての設定を行う。
【0084】
また、その他に、CPU211は、水分の量についての新たな設定が、水分の量が予め定められた閾値を超える設定となった場合、第2綴じ歯72の進出量が減少するように綴じ処理ユニット52についての設定を行う。
【0085】
また、CPU211は、例えば、水分の量についての新たな設定が、水分の量が予め定められた閾値よりも小さくなる設定となった場合、第2綴じ歯72の進出量が増加するように綴じ処理ユニット52についての設定を行う。
【0086】
なお、綴じ処理ユニット52および水分調整機構700のうちの一方についての設定に基づき、他方についての設定を上記のように行う場合、上記と同様、割合が特定の範囲内に収まるように、この他方についての設定を行うようにすることが最も好ましい。
但し、これに限らず、他方についての設定にあたっては、割合が特定の範囲内には収まらないが、割合が特定の範囲内に近づくようにする設定が、この他方の設定として行われるようにしてもよい。
この場合も、割合が特定の範囲に全く近づかない場合に比べ、用紙Pの綴じの強度を高められる。
【0087】
また、上記では、新たな設定がユーザにより行われる場合を一例に説明したが、装置が自動で上記の一方についての新たな設定を行う場合も想定され、この場合であっても、本実施形態では、CPU211が、この一方についての新たな設定に基づき、他方についての設定を行う。
これにより、この場合も、割合が特定の範囲内に収まり、又は、割合が特定の範囲に近づく。
【0088】
〔割合が特定の範囲外になるようにする制御〕
その他に、CPU211は、ユーザから指示に応じて、割合が特定の範囲内に収まるようにする制御と、割合が特定の範囲外となるようにする制御とを切り替えてもよい。
言い換えると、CPU211は、ユーザから指示があった場合、割合が特定の範囲外となるようにする制御を行ってもよい。
【0089】
割合が特定の範囲外となるようにする制御を行う場合、用紙束に含まれる用紙同士の付着力が低下する。この場合、用紙束からの用紙Pの分離を行いやすくなる。
ユーザによっては、用紙Pの再利用等のため、用紙束からの用紙Pの分離を行いやすい状態を望む場合もあり、割合が特定の範囲外となるようにする制御を行える構成であると、ユーザのこの希望に沿える形となる。
【0090】
〔綴じ処理後の乾燥〕
上記では、用紙Pの綴じ処理が行われる前に、用紙Pからの水分の除去が行われて、用紙Pの乾燥が行われる場合を説明した。これに限らず、用紙Pの乾燥は、用紙Pの綴じ処理が行われた後に行われるようにしてもよい。
具体的には、この場合は、CPU211が、用紙Pの綴じ処理が行われた後にこの用紙Pの綴じ部分の乾燥が行われるようにする制御を行う。
【0091】
なお、綴じ処理が行われた後に行われる綴じ部分の乾燥は、綴じ処理が行われた後に綴じ部分の加熱を行う態様に限らず、綴じ処理が行われる前の綴じ部分の加熱による余熱によって綴じ部分の加熱が行われる態様としてもよい。
また、綴じ処理後に綴じ部分の加熱を行う場合であっても、綴じ処理前の綴じ部分の加熱を排除するものではなく、綴じ処理前に加熱を行ったうえで、綴じ処理後に加熱をさらに行ってもよい。
【0092】
上記の通り、用紙Pの綴じ部分に含まれる水分の量が多いと、用紙P同士の付着強度が低下し、例えば、ユーザがページをめくった際などに、綴じが外れるなどの不具合が生じるおそれがある。
より具体的には、例えば、綴じ処理後において、上記の割合が特定の範囲の上限値よりも大きい状態にあると、用紙同士の付着強度が低下し、例えば、ユーザがページをめくった際などに、綴じが外れるなどの不具合が生じるおそれがある。
【0093】
これに対し、本実施形態のように、綴じ部分の加熱が行われて、綴じ部分の乾燥が綴じ処理後に行われるようにすると、綴じ部分の水分が減じられ、用紙同士の付着強度が増加する。
言い換えると、綴じ部分の加熱が行われて、綴じ部分の乾燥が綴じ処理後に行われるようにすると、割合が特定の範囲内に収まるようになり、又は、割合が特定の範囲に近づくようになり、用紙同士の付着強度が高まる。
【0094】
CPU211は、綴じ処理後の綴じ部分の乾燥が行われるようにするにあたっては、例えば、綴じ部分に含まれる水分が特定の範囲内に収まるようにこの綴じ部分の乾燥が行われるようにする。
より具体的には、CPU211は、例えば、上記と同様、綴じ処理が行われた後の用紙Pの綴じ部分の体積に対する、この綴じ部分に含まれる水分の体積の割合が、特定の範囲内に収まるように、綴じ部分の乾燥が行われるようにする。
上記では、綴じ処理が行われる前に、綴じ処理時条件を変更することで、割合が特定の範囲内に収まるようにした。ところで、これに限らず、綴じ処理が行われた後に乾燥が行われるようにして、割合が特定の範囲内に収まるようにしてもよい。
【0095】
綴じ処理が行われた後の綴じ部分の乾燥が行われるようにするにあたっては、例えば、まず、綴じ処理ユニット52による綴じ処理が行われる前に、水分調整機構700を用いて、綴じ部分への水分の供給を行うようにする。
そして、CPU211は、綴じ処理が行われた後に綴じ部分の加熱が行われるようにする制御を行って、この綴じ部分の乾燥が綴じ処理が行われた後に行われるようにする。
【0096】
具体的には、この場合、CPU211は、例えば、綴じ処理ユニット52よる用紙Pの綴じ処理が行われた後に、水分調整機構700に設けられた水分除去部720を作動させて、綴じ部分の加熱が行われるようにする。これにより、綴じ部分の乾燥が行われる。
より具体的には、CPU211は、例えば、温風が綴じ部分に当てられるようにし又は熱源により加熱された被加熱体が綴じ部分に接触するようにして、綴じ部分の加熱が行われるようにする。これにより、水分が供給された綴じ部分に含まれる水分が減じられる。
【0097】
なお、ここでは、水分の供給が行われたうえで、綴じ部分の乾燥が行われる場合を一例に説明したが、水分の供給は必須ではなく、水分の供給が行われない状態で、綴じ部分の乾燥が行われるようにしてもよい。
ここで、用紙Pが再生紙であったり、綴じ処理時の環境が高湿度下にあったりする場合など、特定の条件下にある場合、水分の供給を行わなくても、綴じ部分に含まれる水分が多い状況が生じうる。
この場合に、綴じ部分の乾燥が行われるようにすることで、上記と同様、割合が、特定の範囲内に収まり、又は、割合が特定の範囲に近づく。
【0098】
また、その他に、例えば、綴じ処理が行われる前に綴じ部分に対して水分を多めに供給し、綴じ処理後の乾燥によって、この水分が減じられるようにする処理を行ってもよい。
具体的には、この場合、例えば、水分調整機構700が、綴じ部分に含まれる水分が予め定められた閾値を超えるように、綴じ処理が行われる前に、綴じ部分への水分の供給を行うようにする。
その後、CPU211が、綴じ部分の乾燥が行われるようにする制御を行って、綴じ部分に含まれる水分が上記の予め定められた閾値よりも小さくなるようにする。
【0099】
より具体的には、この場合、例えば、綴じ処理の前に、割合が特定の範囲の上限を超えるように、水分の供給を行う。
さらに、この場合、綴じ部分の乾燥が綴じ処理後に行われるようにする制御を行って、特定の範囲の上限を超えた状態にある割合を、この特定の範囲内に収めるようにする。
【0100】
また、その他に、用紙Pの綴じ処理が行われる前に用紙Pの加熱が行われる構成も想定される。
この場合、CPU211は、用紙Pの綴じ処理が行われる前に行われるこの加熱の際の温度を上昇させて、綴じ処理後における綴じ部分の乾燥が行われるようにしてもよい。
【0101】
具体的には、本実施形態では、画像形成装置2(
図1参照)に定着器14が設けられ、用紙Pの綴じ処理が行われる前に用紙Pの加熱が行われて用紙P上の画像がこの用紙Pに定着される。
CPU211は、例えば、定着器14による用紙Pの加熱が行われる際の温度を上昇させて、綴じ処理後における綴じ部分の乾燥が行われるようにしてもよい。
この場合、定着器14による用紙Pの加熱が行われる際の温度を上昇させない場合に比べ、綴じ処理後における綴じ部分の温度が上昇し、綴じ部分の乾燥が促進される。
【0102】
また、綴じ部分の加熱は、例えば、
図4に示すように、第1綴じ歯71、第2綴じ歯72の加熱を行う加熱源98を設け、加熱された状態にある第1綴じ歯71、第2綴じ歯72を用いて綴じ処理を行うことで、綴じ部分の加熱が行われるようにしてもよい。
具体的には、この場合、CPU211は、例えば、綴じ部分への水分の供給が行われる場合や、割合が特定の範囲の上限を超える場合など、予め定められた条件が満たされる場合に、加熱源98による、第1綴じ歯71、第2綴じ歯72の加熱が行われるようにする。
これにより、この場合も、綴じ処理が行われた後に、綴じ部分の乾燥が行われる。
なお、ここでは、第1綴じ歯71、第2綴じ歯72の両方が加熱される場合を説明したが、第1綴じ歯71、第2綴じ歯72の一方のみが加熱される構成としてもよい。
【0103】
また、その他に、CPU211は、用紙Pの綴じ処理が行われてから予め定められた時間が経過するまでユーザがこの用紙Pに触れないようにする制御を行って、綴じ部分の自然乾燥が行われるようにしてもよい。
より具体的には、この場合、CPU211は、例えば、情報表示部915(
図1参照)を介し、ユーザへの通知処理を行って、予め定められた時間が経過するまで、ユーザが用紙Pに触れないようにする。
より具体的には、CPU211は、例えば、情報表示部915に、「5分経過するまで、用紙Pに触れないで下さい」などの情報を表示するようにする。
これにより、綴じ部分に作用する負荷が小さい状態で、綴じ部分の乾燥が行われる。
【0104】
また、その他に、例えば、第1後処理装置40(
図1参照)内などに、綴じ処理が済んだ用紙Pを停止させておく停止部を設けるようにしてもよい。
この場合、CPU211は、予め定められた時間が経過するまで、この停止部に、綴じが済んだ用紙Pを停止させておくことで、綴じが行われた用紙Pの自然乾燥が行われるようにする。
また、この場合、CPU211は、予め定められた時間が経過したら、停止部に位置する用紙Pを、第1後処理装置40の外部に位置する第1積載部43へ排出する。
【符号の説明】
【0105】
1…画像形成システム、2…画像形成装置、14…定着器、42…端綴じ部、52…綴じ処理ユニット、72…第2綴じ歯、98…加熱源、211…CPU、700…水分調整機構、710…水分供給部、P…用紙