(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146006
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】シートユニット及びシートアレンジメント
(51)【国際特許分類】
B64D 11/06 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
B64D11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052967
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000132013
【氏名又は名称】株式会社ジャムコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福冨 祥子
(72)【発明者】
【氏名】萩原 久也
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設置スペースが狭くて足りるにもかかわらず、乗客が快適にフライトを楽しめるシートユニット及びシートアレンジメントを提供する。
【解決手段】シートユニットは、航空機の前後方向に沿って配置された第1のシート、第2のシート及び第3のシートと、通路の脇に配置された境界部とを有し、第1のシートの中心軸線と、第2のシートの中心軸線とが、航空機の前後方向の軸線に対して直交する第1の直交線に対して逆側に角度付けされ、かつ通路側で交差し、また第2のシートの中心軸線と、第3のシートの中心軸線とが、航空機の前後方向の軸線に対して直交する第2の直交線に対して逆側に角度付けされ、かつ窓側で交差し、航空機の前後方向の軸線に直交し、第1のシートと第2のシートの近接中間点を通過する直交線は境界部とは重なるが、航空機の前後方向の軸線に直交し、第2のシートと第3のシートの近接中間点を通過する直交線は境界部とは重ならない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の窓と通路との間に配置されるシートユニットにおいて、
前記通路側に配置された座席と、前記窓側に配置された背もたれとをそれぞれ備え、前記航空機の前後方向に沿って配置された第1のシート、第2のシート及び第3のシートと、
前記通路の脇に配置された境界部と、を有し、
前記航空機の床面に直交する方向に沿って見たときに、前記背もたれ側から前記座席側に向かう前記第1のシートの中心軸線と、前記背もたれ側から前記座席側に向かう前記第2のシートの中心軸線とが、前記航空機の前後方向の軸線に対して直交する第1の直交線に対して逆側に角度付けされ、かつ前記第1のシートの中心軸線と前記第2のシートの中心軸線とは前記通路側で交差し、
また前記背もたれ側から前記座席側に向かう前記第2のシートの中心軸線と、前記背もたれ側から前記座席側に向かう前記第3のシートの中心軸線とが、前記航空機の前後方向の軸線に対して直交する第2の直交線に対して逆側に角度付けされ、かつ前記第2のシートの中心軸線と前記第3のシートの中心軸線とは前記窓側で交差し、
前記航空機の前後方向の軸線に直交し、前記第1のシートと前記第2のシートの近接中間点を通過する直交線は前記境界部とは重なるが、前記航空機の前後方向の軸線に直交し、前記第2のシートと前記第3のシートの近接中間点を通過する直交線は前記境界部とは重ならない、ことを特徴とするシートユニット。
【請求項2】
前記境界部は前記通路に沿って複数個配設され、隣接する前記境界部の間が、前記第2のシートまたは前記第3のシートから前記通路へのアクセスを可能とする出入口を構成する、ことを特徴とする請求項1に記載のシートユニット。
【請求項3】
前記境界部は、収納庫と、前記通路側において前記収納庫を開閉可能な蓋とを有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のシートユニット。
【請求項4】
前記境界部は、前記第1のシートまたは前記第2のシート側にテーブルを有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のシートユニット。
【請求項5】
前記第1のシートと前記第2のシートとの間に配置され、前記航空機の前後方向に沿って見たときに、前記境界部と離間して配置される中間仕切り板と、
前記第2のシートと前記第3のシートとの間に配置され、前記航空機の前後方向に沿って見たときに、前記境界部と離間して配置される側方仕切り板と、を有し、
前記航空機の前後方向において、前記中間仕切り板と前記境界部とは重なるが、前記側方仕切り板と前記境界部とは重ならない、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のシートユニット。
【請求項6】
第1のシート、第2のシート及び前記第1のシートと前記第2のシートの中間に配置された中間仕切板を有するシートユニットであって、
前記第1のシート及び前記第2のシートにおける背もたれから座席に向けたシートの中心軸線が、前記座席の前方で交わるように配置されていることを特徴とするシートユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のシートユニットを、前記座席が通路側に配置され、前記背もたれが窓側に配置されるようにして、前記通路に沿って複数組配置してなり、
隣接する前記シートユニットの間に、前記通路へのアクセス領域を形成したことを特徴とするシートアレンジメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートユニット及びシートアレンジメントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、中長距離のフライトに供する航空機は、比較的機体が大きいため複数の通路が配置され、さらにフルフラットシートと呼ばれるビジネスシートを搭載でき、それにより長時間のフライトでも、乗客は横になって体を休めることができる。
【0003】
これに対し、3時間から6時間程度の比較的短距離のフライトに供する航空機は、小型の機体を使用することが多く、単一の通路が機体の中央に航空機の前後方向軸線に沿って配置されており、その通路を挟んで前方を向いたシートが両側に複列で配置されていることが多い。
【0004】
このように小型の航空機におけるビジネスシートは、エコノミーシートよりも前後方向のスペースが多く確保され、シート幅も大きく確保されているが、足を十分に延ばせるだけの空間があるとはいいがたい。また、窓側のシートに座る乗客が通路にアクセスしようとすると、通路側のシートに座る乗客の前方を通過する必要があり、例えば通路側の乗客が寝ている場合など意図せず目覚めさせてしまうこともあり、それにより双方が気まずい思いをするおそれがある。ただし、短時間のフライトであれば、通路へのアクセスに関して乗客の不満が顕在化することも比較的少ないといえる。
【0005】
しかしながら、近年の燃費向上技術の向上などにより航空機の航続距離が伸びており、フライト時間が長くなるにつれて乗客の不満が顕在化するおそれがある。このため、短距離のフライトに供する航空機においても、中長距離のフライトに供する航空機と同様に快適なシートユニットの開発が急務とされている。
【0006】
これに対し、特許文献1に開示された輸送客用スイートによれば、1つのシートユニット内に、航空機の前後方向を向いたシートと、窓側を向いたシートとを併設しており、このためいずれのシートからも通路へのアクセスは良好となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された輸送客用スイートは、中長距離フライト用の航空機のファーストクラスに用いられるものであり、短距離フライト用の航空機に適用すると、室内の多くのスペースを消費してしまい、搭乗人数が大幅に減少するという問題がある。また、航空機の前後方向を向いたシートと、窓側を向いたシートには、他人が座る場合を想定しておらず、仮に他人同士が特許文献1に開示された輸送客用スイートを使用すると、プライベート空間が維持できないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、設置スペースが狭くて足りるにもかかわらず、乗客が快適にフライトを楽しめるシートユニット及びシートアレンジメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明によるシートユニットは、航空機の窓と通路との間に配置されるシートユニットにおいて、
航空機の窓と通路との間に配置されるシートユニットにおいて、
前記通路側に配置された座席と、前記窓側に配置された背もたれとをそれぞれ備え、前記航空機の前後方向に沿って配置された第1のシート、第2のシート及び第3のシートと、
前記通路の脇に配置された境界部と、を有し、
前記航空機の床面に直交する方向に沿って見たときに、前記背もたれ側から前記座席側に向かう前記第1のシートの中心軸線と、前記背もたれ側から前記座席側に向かう前記第2のシートの中心軸線とが、前記航空機の前後方向の軸線に対して直交する第1の直交線に対して逆側に角度付けされ、かつ前記第1のシートの中心軸線と前記第2のシートの中心軸線とは前記通路側で交差し、
また前記背もたれ側から前記座席側に向かう前記第2のシートの中心軸線と、前記背もたれ側から前記座席側に向かう前記第3のシートの中心軸線とが、前記航空機の前後方向の軸線に対して直交する第2の直交線に対して逆側に角度付けされ、かつ前記第2のシートの中心軸線と前記第3のシートの中心軸線とは前記窓側で交差し、
前記航空機の前後方向の軸線に直交し、前記第1のシートと前記第2のシートの近接中間点を通過する直交線は前記境界部とは重なるが、前記航空機の前後方向の軸線に直交し、前記第2のシートと前記第3のシートの近接中間点を通過する直交線は前記境界部とは重ならない、ことを特徴とする。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明によるシートユニットは、第1のシート、第2のシート及び前記第1のシートと前記第2のシートの中間に配置された中間仕切板を有するシートユニットであって、
前記第1のシート及び前記第2のシートにおける背もたれから座席に向けたシートの中心軸線が、前記座席の前方で交わるように配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、設置スペースが狭くて足りるにもかかわらず、乗客が快適にフライトを楽しめるシートユニット及びシートアレンジメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態にかかる航空機用のシートユニットを搭載した航空機の客室を俯瞰して示す(航空機の床面に鉛直方向に見た)上面図である。
【
図2】
図2は、シートユニットを通路側から見た斜視図であり、キャビネットの筐体部を閉鎖した状態で示す。
【
図3】
図3は、シートユニットを通路側から見た斜視図であり、キャビネットの筐体部を開放した状態で示す。
【
図4】
図4は、シートユニットを窓側から見た斜視図であり、テーブルを収納した状態で示す。
【
図5】
図5は、シートユニットを窓側から見た斜視図であり、テーブルを引き出した状態で示す。
【
図6】
図6は、変形例にかかるシートユニットを窓側から見た斜視図である。
【
図7】
図7は、別な変形例にかかるシートユニットを通路側から見た斜視図であり、キャビネットを省略して示す。
【
図8】
図8は、さらに別な変形例にかかるシートユニットを通路側から見た斜視図であり、キャビネットを省略して示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書中、「前方」、及び「後方」とは、それぞれ航空機の進行方向、及び進行方向とは逆方向をいうものとする。本実施形態のシートユニット10は、例えばビジネスクラス用のシートユニットとして利用できる。
【0015】
図1は、本実施形態にかかる航空機用のシートユニットを搭載した航空機1の客室を俯瞰して示す(航空機の床面に鉛直方向に見た)上面図である。
図1において、図示上左側が航空機1の先頭側であり、右側が航空機1後部側であり、航空機1の前後方向軸線をLとする。航空機1には、床面2上に前後方向軸線Lに沿って通路3が配設される。また通路3を挟んで両側に、シートユニット10,15が通路3に沿って2セットずつ配設されており、これによりシートアレンジメントが形成される。隣接する区画と仕切るために、通路3の両端にカーテン5が配置されている。
【0016】
シートユニット10は、航空機1の通路3側に配置された座席11aと、窓4側に配置された背もたれ11bとを備えたシート11と、シート11に対して併設され通路3側に配置された座席12aと、窓4側に配置された背もたれ12bとを備えたシート12と、仕切り板ユニット13と、シート11,12と通路3との間に配置されたキャビネット(境界部)14とを有する。ただし、境界部としては、物品を収納するキャビネット14に限られず、例えば単純な壁でもよい。
【0017】
キャビネット14は、シート11,12に対向して通路3の脇に配置される。また、航空機1の幅方向に並べられたキャビネット14の間に、通路3が形成される。シートユニット10は、床面2に固定される。
【0018】
シートユニット15は、併設されたシートユニット10に対して航空機1の前後方向両側に配置される。シートユニット15は、航空機1の通路3側に配置された座席16aと、窓4側に配置された背もたれ16bとを備えたシート16と、仕切り板ユニット17と、シート16と通路3との間に配置されたキャビネット(境界部)18とを有する。シートユニット15も、床面2に固定される。通路3を挟んで片側の仕切り板ユニット17は、同じ側の仕切り板ユニット13と一体に形成されていてもよい。
【0019】
キャビネット18は、シート16に対向して配置され、航空機1の前後方向におけるキャビネット18の長さが、キャビネット14の長さの略半分である。
【0020】
ここで、航空機1の前方側のシートユニット10に着目する。
図1に示すように航空機1の床面2に直交する方向に沿って見たときに、シート(第1のシート)11の中心軸線X1と、シート(第2のシート)12の中心軸線X2とは、前後方向軸線Lに直交する直交線(第1の直交線)O1に対して、逆側(前方側及び後方側)に角度付けされ、かつシート11の中心軸線X1と、シート12の中心軸線X2とは通路3側(シートの前方側)の点P1で交差する。また、通路3に最も近いシート11の部位と、通路3に最も近いシート12の部位との間の中間点(近接中間点という)をQ1とすると、直交線O1は近接中間点Q1を通過する。
【0021】
さらに、前方側のシートユニット10のシート(第2のシート)12の中心軸線X2と、それに隣接する後方側のシートユニット10のシート(第3のシート)11の中心軸線X3とは、前後方向軸線Lに直交する直交線(第2の直交線)O2に対して、逆側(前方側及び後方側)に角度付けされ、かつシート12の中心軸線X2と、シート11の中心軸線X3とは窓4側の点P2で交差する。また、通路3に最も近いシート12の部位と、通路3に最も近いシート11の部位との間の近接中間点をQ2とすると、直交線O2は近接中間点Q2を通過する。
【0022】
上述した中心軸線の関係は、複数のシートユニット10が航空機1の前後方向に並べている場合、いずれのシートユニット10間においても生じうるし、またシートユニット10とシートユニット15との間でも生じうる。
【0023】
ここで、シートの中心軸線とは、
図1で見て、座席の中心点(重心点)と、背もたれの中心点(重心点)とを通過し、背もたれ側から座席側に向かう直線をいう。中心軸線同士の交差角は、例えば90度以下であると好ましく、60度以下であるとより好ましく、30度±10度であればさらに好ましい。
【0024】
本実施形態によれば、2つのシートユニット10の境界を挟んで隣り合う、シート12の中心軸線X2と、シート11の中心軸線X3とが、通路側に向かうにしたがって離間するように角度付けされているため、シート11に座る乗客及びシート12に座る乗客が、互いに相手に干渉することなく、隣接するキャビネット14の間のスペース(出入口)7を介して通路3にアクセスすることができる。なお、スペース7と、隣り合うシートユニット10の境界との間を、アクセス領域とする。
【0025】
図2、3は、シートユニット10を通路側から見た斜視図であり、
図4、5は、シートユニット10を窓側から見た斜視図である。
【0026】
仕切り板ユニット13は、シート11,12の背後に配置された後壁13aと、シート11,12の間に配置された中間仕切り板13bと、シート11に隣接して配置された第1側方仕切り板13cと、シート12に隣接して配置された第2側方仕切り板13dとを、一体的に連設してなる。すなわち、後壁13aと、中間仕切り板13bと、第1側方仕切り板13cと、第2側方仕切り板13dは、
図1の方向に見て略E字状の仕切り板ユニット13を形成している。また、直交線O1,O2に沿った中間仕切り板13bの長さは、側方仕切り板13c、13dの長さより短くなっている。
【0027】
図1に示すように、航空機1の前後方向において、近接中間点Q1を通過する直交線O1及び中間仕切り板13bと、キャビネット14とは重なるが、近接中間点Q2を通過する直交線O2及び側方仕切り板13c、13dと、キャビネット14とは重ならない。好ましくは直交線O2は、航空機1の前後方向に隣接するキャビネット14の間の中間点を通過する。また、前後方向軸線Lに沿って見たときに、中間仕切り板13bおよび側方仕切り板13c、13dと、キャビネット14とは、乗客が間を通過できるように離間している。シート11,12と、側方仕切り板13c、13dの間に、ひじ掛け13gなどを配置できる。仕切り板ユニット13の床面2からの高さは、シート11,12に座る乗客の目線よりも高いと好ましい。ただし、後述する変形例に示すように、仕切り板ユニットを設ける代わりに、乗客の視線を遮るような構造物を設けてもよい。
【0028】
他人同士が、同じシートユニット10のシート11,12にそれぞれ着座したときは、中間仕切り板13bにより、お互いのプライベート空間が確保される。また、他人同士が、隣接するシートユニット10の隣接するシート12,11にそれぞれ着座したときは、側方仕切り板13cまたは13dにより、お互いのプライベート空間が確保される。
【0029】
なお、
図1を参照して、仕切り板ユニット17は、後壁17aと、シート16の両側に配置された側方仕切り板17bとを連設してなる。仕切り板ユニット17の構成は、中間仕切り板を有しない以外は、仕切り板ユニット13とほぼ同様である。
【0030】
通路3に沿って複数並べて配置されるキャビネット14は、床面2に固定される脚部14aと、脚部14aに支持された筐体部14bと、筐体部14bに対して枢動可能に配置された上蓋部14c及び下蓋部14dとを有する。
図3に示すように、上蓋部14c及び下蓋部14dを開放することで、筐体部14b内に荷物などを収容できる。一方、
図2に示すように上蓋部14c及び下蓋部14dを閉じることで、荷物が不用意に落下することを抑制できる。なお、蓋は単一でもよく、あるいは蓋の開閉は通路側のみならず、シート側または航空機の前後方向側で行えるようにしてもよい。
【0031】
図4,5に示すように、脚部14aにおいて、シート11,12側が開口しており、かかる開口内の中央に、筐体部14bの底壁を床面に対して支持する中間支持部14eが配置されている。中間支持部14eを挟んで両側にて、棚14fが床面2に対して平行に配置され、その両端が脚部14a及び中間支持部14eに固定されており、乗客がバッグなどを棚14fに載置できるようにしている。
【0032】
シート11、12に座る乗客は、自身の脚を棚14fの下方の脚部14aの開口内に差し入れることができ、脚を伸ばすことにより長時間でも快適なフライトを楽しむことができる。なお、棚14fの代わりに脚部14aにオットマンを設けてもよい。
【0033】
筐体部14bのシート11,12側の取付面14h、14hには、ディスプレイ19が配置されている。ディスプレイ19が取り付けられた筐体部14bの取付面14h、14hは、中央軸線がそれぞれ傾いたシート11,12に応じて、前後方向軸線L(
図1参照)に対して傾けられており、それによりシート11,12に座る乗客が、ディスプレイ19に表示される映像を略正面から鑑賞することができる。
【0034】
また、ディスプレイ19の下方には、筐体部14b内に収容可能なテーブル20が配置されている。
図5に示すように、テーブル20を筐体部14bから引き出すことにより、シート11,12に座る乗客が、テーブル20に飲み物や食べ物を載置した状態で飲食を行うことができる。テーブル20を引き出した状態でも、乗客はスペース7を介して通路3へと容易にアクセス可能である。また、スペース7は、これを挟んだシート11,12に座る乗客が共通に使用できるため、スペースの有効利用を図れる。
【0035】
また、
図4に示すように、テーブル20を筐体部14bに押し込んで収納することにより、シート11,12に座る乗客は寛いだ姿勢をとることができる。
【0036】
なお、キャビネット18の構成は、中間支持部を有さず、また棚14fが単一であること以外は、キャビネット14とほぼ同様である。
【0037】
(第1の変形例)
図6は、第1の変形例にかかるシートユニット10Aを窓側から見た斜視図である。上述した実施形態に対して、本変形例においては、キャビネット14Aの筐体部14Abの構成のみが異なる。具体的には、筐体部14Abは、上部が開放された有底角筒状となっており、内側に乳児などを寝かせることができるバシネット14Agが形成される。筐体部14Abは、開閉可能な蓋を有していない。それ以外の構成(脚部14a等)は、上述した実施の形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0038】
(第2の変形例)
図7は、第2の変形例にかかるシートユニット10Bを通路側から見た斜視図であり、キャビネットを省略して示す。
図2に示す実施形態に対して、本変形例においては、仕切り板ユニット13Bの形状が異なる。より具体的には、仕切り板ユニット13Bは、後壁及び側部仕切り板を有しておらず、シート11とシート12との間に配置された中間仕切り板13Bbのみを有する。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0039】
(第3の変形例)
図8は、第3の変形例にかかるシートユニット10Cを通路側から見た斜視図であり、キャビネットを省略して示す。
図2に示す実施形態に対して、本変形例においては、仕切り板ユニットを設けておらず、代わりにブラインドユニット13Cをシートごとに配設している。具体的には、ブラインドユニット13Cは、バックパネル13Caと、バックパネル13Caの両端から平行に延在するサイドパネル13Cb、13CcとをC字状に連設してなる。
【0040】
シート11とシート12の背もたれ11b、12bの上端に配設されたヘッドレスト11c、12cの背面に、バックパネル13Caをそれぞれ取り付けたとき、サイドパネル13Cb、13Ccがヘッドレスト11c、12cの両側からその前方側へと突出する。シート11またはシート12に着座した乗客は、サイドパネル13Cb、13Ccによりその視線が遮られるため、プライバシーを確保できる。サイドパネル13Cb、13Ccに、例えば機内に搭載されたAV機器に接続されたスピーカを配設してもよい。
【0041】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施例に種々の改変を施すことも可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 航空機
2 床面
3 通路
4 窓
7 スペース
10,15、10’ シートユニット
11、12、16 シート
13,13A,13B 仕切り板ユニット
13C ブラインドユニット
14、14A,18 キャビネット(境界部)