(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146009
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】経路切換部品及びこれを用いた媒体搬送装置、媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 29/58 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
B65H29/58 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052970
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】籾山 弘行
(72)【発明者】
【氏名】糸崎 佑甫
(72)【発明者】
【氏名】植原 牧雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 利尚
(72)【発明者】
【氏名】松本 匡史
【テーマコード(参考)】
3F053
【Fターム(参考)】
3F053EA01
3F053EB01
3F053EB04
3F053EC02
3F053EC07
3F053ED02
3F053LA01
3F053LB03
(57)【要約】
【課題】媒体が搬送される搬送経路が分岐する箇所において、切換手段による経路切換動作を実施するに当たり、切換手段の先端部と媒体との接触による媒体の損傷を抑制する。
【解決手段】経路切換部品1は、媒体Sが搬送される搬送経路10が分岐する箇所に設けられ、第1の分岐経路11及び第2の分岐経路12のいずれかに切換える経路切換部品1であって、搬送経路10が分岐する箇所に揺動可能に設けられる第1の腕部材3及び第1の腕部材3の先端側に可動部5を介して連結される第2の腕部材4を有し、第1の分岐経路11及び第2の分岐経路12のいずれか一方の分岐経路を塞ぎ、他方の分岐経路を開放する切換手段2と、可動部5の周囲に設けられ、第1の腕部材3及び第2の腕部材4を予め決められた位置関係に保つように弾性的に保持する弾性保持手段6と、第2の腕部材4の先端側に回転可能に設けられ、媒体Sに接触する回転手段7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が搬送される搬送経路が分岐する箇所に設けられ、第1の分岐経路及び第2の分岐経路のいずれかに切換える経路切換部品であって、
前記搬送経路が分岐する箇所に揺動可能に設けられる第1の腕部材及び前記第1の腕部材の先端側に可動部を介して連結される第2の腕部材を有し、前記第1の分岐経路及び前記第2の分岐経路のいずれか一方の分岐経路を塞ぎ、他方の分岐経路を開放する切換手段と、
前記可動部の周囲に設けられ、前記第1の腕部材及び前記第2の腕部材を予め決められた位置関係に保つように弾性的に保持する弾性保持手段と、
前記第2の腕部材の先端側に回転可能に設けられ、前記媒体に接触する回転手段と、
を備えたことを特徴とする経路切換部品。
【請求項2】
請求項1に記載の経路切換部品において、
前記第1の腕部材は前記媒体の搬送方向に交差する幅方向に沿って延びる平板状部材からなり、
前記第2の腕部材は前記媒体の幅方向に沿って予め決められた間隔毎に櫛歯状に配置される棒状部材からなり、
前記回転手段は複数の前記第2の腕部材の全部又は一部に間隔を開けて複数設けられていることを特徴とする経路切換部品。
【請求項3】
請求項2に記載の経路切換部品において、
前記第1又は第2の分岐経路を区画する区画部材は、前記切換手段の切換動作に伴って前記第2の腕部材及び前記回転手段が収容可能な凹部を備えていることを特徴とする経路切換部品。
【請求項4】
請求項1に記載の経路切換部品において、
前記回転手段は、前記第2の腕部材の取付部よりも前記第1又は第2の分岐経路側に外周部が張り出して配置されていることを特徴とする経路切換部品。
【請求項5】
請求項4に記載の経路切換部品において、
前記第2の腕部材は前記第1の腕部材との連結部側に比べて前記回転手段の取付部側が細くなる厚さ寸法に形成されていることを特徴とする経路切換部品。
【請求項6】
請求項1に記載の経路切換部品において、
前記弾性保持手段は、前記第1の腕部材及び前記第2の腕部材が略直線状に配置される位置関係になるように保たれることを特徴とする経路切換部品。
【請求項7】
請求項6に記載の経路切換部品において、
前記弾性保持手段は、前記可動部に巻き付けられ且つ両端引っ掛け片が前記第1の腕部材、前記第2の腕部材に引っ掛けられたねじりコイルバネであることを特徴とする経路切換部品。
【請求項8】
媒体が搬送される搬送経路が二つに分岐して設けられる第1、第2の分岐経路と、
前記第1、第2の分岐経路に分岐する箇所に設けられる請求項1に記載の経路切換部品と、
前記媒体を搬送させる搬送手段と、
を備えたことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項9】
請求項8に記載の媒体搬送装置と、
前記媒体搬送装置で搬送される媒体に予め決められた処理を施す処理手段と、
を備えたことを特徴とする媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体が通過する経路を切換える経路切換部品及びこれを用いた媒体搬送装置、媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の媒体搬送装置としては例えば特許文献1に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、定着装置のニップ部の下流側に、リブに搬送コロが設けられた案内部材と、案内部材に対向する位置に設けられる支持部材との間に用紙の搬送経路を確保し、支持部材は、案内部材に近接させて配置させ、支持部材に用紙が接触した場合に、用紙に対し搬送コロの方向への力を作用させる用紙搬送技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4729966号公報(発明を実施するための形態,
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、媒体が通過する搬送経路が分岐する箇所において、切換ゲートによる経路切換動作を実施するに当たって、切換ゲートの先端部と媒体との接触による媒体の損傷を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の技術的特徴は、媒体が搬送される搬送経路が分岐する箇所に設けられ、第1の分岐経路及び第2の分岐経路のいずれかに切換える経路切換部品であって、前記搬送経路が分岐する箇所に揺動可能に設けられる第1の腕部材及び前記第1の腕部材の先端側に可動部を介して連結される第2の腕部材を有し、前記第1の分岐経路及び前記第2の分岐経路のいずれか一方の分岐経路を塞ぎ、他方の分岐経路を開放する切換手段と、前記可動部の周囲に設けられ、前記第1の腕部材及び前記第2の腕部材を予め決められた位置関係に保つように弾性的に保持する弾性保持手段と、前記第2の腕部材の先端側に回転可能に設けられ、前記媒体に接触する回転手段と、を備えたことを特徴とする経路切換部品である。
【0006】
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた経路切換部品において、前記第1の腕部材は前記媒体の搬送方向に交差する幅方向に沿って延びる平板状部材からなり、前記第2の腕部材は前記媒体の幅方向に沿って予め決められた間隔毎に櫛歯状に配置される棒状部材からなり、前記回転手段は複数の前記第2の腕部材の全部又は一部に間隔を開けて複数設けられていることを特徴とする経路切換部品である。
本発明の第3の技術的特徴は、第2の技術的特徴を備えた経路切換部品において、前記第1又は第2の分岐経路を区画する区画部材は、前記切換手段の切換動作に伴って前記第2の腕部材及び前記回転手段が収容可能な凹部を備えていることを特徴とする経路切換部品である。
本発明の第4の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた経路切換部品において、前記回転手段は、前記第2の腕部材の取付部よりも前記第1又は第2の分岐経路側に外周部が張り出して配置されていることを特徴とする経路切換部品である。
本発明の第5の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた経路切換部品において、前記第2の腕部材は前記第1の腕部材との連結部側に比べて前記回動手段の取付部側が細くなる厚さ寸法に形成されていることを特徴とする経路切換部品である。
本発明の第6の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた経路切換部品において、前記弾性保持手段は、前記第1の腕部材及び前記第2の腕部材が略直線状に配置される位置関係になるように保たれることを特徴とする経路切換部品である。
本発明の第7の技術的特徴は、第6の技術的特徴を備えた経路切換部品において、前記弾性保持手段は、前記可動部に巻き付けられ且つ両端引っ掛け片が前記第1の腕部材、前記第2の腕部材に引っ掛けられたねじりコイルバネであることを特徴とする経路切換部品である。
【0007】
本発明の第8の技術的特徴は、媒体が搬送される搬送経路が二つに分岐した設けられる第1、第2の分岐経路と、前記第1、第2の分岐経路に分岐する箇所に設けられる第1の技術的特徴を備えた経路切換部品と、前記媒体を搬送させる搬送手段と、を備えたことを特徴とする媒体搬送装置である。
本発明の第9の技術的特徴は、第8の技術的特徴を備えた媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置で搬送される媒体に予め決められた処理を施す処理手段と、を備えたことを特徴とする媒体処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の技術的特徴によれば、媒体が通過する搬送経路が分岐する箇所において、切換手段による経路切換動作を実施するに当たって、切換手段の先端部と媒体との接触による媒体の損傷を抑制することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、媒体との接触による損傷を抑制するための切換手段を簡単に構築することができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、切換手段と第1又は第2の分岐経路の区画部材との干渉を防止し、切換手段による第1又は第2の分岐経路の塞ぎ動作を実施することができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、切換手段の先端部に設けられる回転手段と媒体との接触性を良好に保つことができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、第2の腕部材を同じ厚さ寸法にする場合に比べて、切換手段の先端部に設けられる回転手段と媒体との接触性を良好に保つことができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、第1の腕部材及び第2の腕部材を屈曲して配置する場合に比べて、切換手段の揺動支点からの揺動軌跡寸法を長く設定することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、ねじりコイルバネ(トーションばね)を用いて弾性保持手段を簡単に構築することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、媒体が搬送される搬送経路が分岐する箇所において、切換手段による経路切換動作を実施するに当たって、切換手段の先端部と媒体との接触による媒体の損傷を抑制することが可能な経路切換部品を含む媒体搬送装置を提供することができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、媒体が搬送される搬送経路が分岐する箇所において、切換手段による経路切換動作を実施するに当たって、切換手段の先端部と媒体との接触による損傷を抑制することが可能な媒体搬送装置を含む媒体処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)は本発明が適用される経路切換部品を用いた媒体搬送装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)で用いられる経路切換部品の要部を示す説明図である。
【
図2】実施の形態1に係る媒体処理装置としての画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【
図3】
図2中IIIで示す箇所の詳細を示す説明図である。
【
図4】本実施の形態で用いられる経路切換部品の全体構成を示す斜視説明図である。
【
図5】(a)は
図4中V方向から見た経路切換部品の説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【
図6】(a)は経路切換部品の駆動系の概要を示す説明図、(b)は(a)中切換駆動機構の構成例を示す説明図、(c)は揺動アームとリンクアームとの可動部の一例を示す説明図である。
【
図7】経路切換部品の周辺における搬送経路の構成例を示す説明図である。
【
図8】(a)は経路切換部品と搬送経路を区画するシュート部材との相互位置関係を示す説明図、(b)は(a)中B-B線断面説明図である。
【
図9】(a)は経路切換部品で第2の分岐経路を塞いで第1の分岐経路を開放するときの挙動を模式的に示す説明図、(b)は経路切換部品で第1の分岐経路を塞いで第2の分岐経路を開放するときの挙動を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明に係る経路切換部品を用いた媒体搬送装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、媒体搬送装置は、媒体Sが搬送される搬送経路10が二つに分岐した設けられる第1の分岐経路11、第2の分岐経路12と、第1の分岐経路11、第2の分岐経路12に分岐する箇所に設けられる経路切換部品1と、媒体Sを搬送させる図示外の搬送手段と、を備えたものである。
本例において、経路切換部品1は、
図1(a)(b)に示すように、媒体Sが搬送される搬送経路10が分岐する箇所に設けられ、第1の分岐経路11及び第2の分岐経路12のいずれかに切換える経路切換部品であって、搬送経路10が分岐する箇所に揺動可能に設けられる第1の腕部材3及び第1の腕部材3の先端側に可動部5を介して連結される第2の腕部材4を有し、第1の分岐経路11及び第2の分岐経路12のいずれか一方の分岐経路を塞ぎ、他方の分岐経路を開放する切換手段2と、可動部5の周囲に設けられ、第1の腕部材3及び第2の腕部材4を予め決められた位置関係に保つように弾性的に保持する弾性保持手段6と、第2の腕部材4の先端側に回転可能に設けられ、媒体Sに接触する回転手段7と、を備えたものである。
そして、この種の媒体搬送装置は、媒体Sに対して予め決められた処理を施す図示外の処理手段を備えた媒体処理装置に組み込まれ、処理手段に対して媒体Sを搬送し、あるいは、処理手段で処理された媒体を搬送する機能を具現化する装置として用いられる。
尚、ここでいう処理手段には、媒体Sに対して画像を形成する作像手段のほか、媒体に対して孔開け処理、裁断処理、仕分け処理、折り処理等の各種処理を施すものを広く含む。
【0011】
このような技術的手段において、経路切換部品1は二つの分岐経路11,12を切り換えるもので、揺動可能な切換手段2、弾性保持手段6及び回転手段7を備えている。
ここで、切換手段2は第1の腕部材3に第2の腕部材4を可動部5を介して連結した態様を有している。
本例では、第1の腕部材3は揺動支点3aを中心として揺動可能に支持されているが、この揺動支点3aは第1の分岐経路11と第2の分岐経路12との間で媒体Sが通過しない箇所に設けられていればよい。
また、第2の腕部材4は第1の腕部材3に対して可動部5の可動範囲で移動するものであるが、両者は弾性保持手段6によって所定の位置に弾性的に保持される。このため、第2の腕部材4が所定の位置から移動すると、第2の腕部材4には所定の位置に戻る方向に弾性保持手段6による付勢力が作用する。つまり、弾性保持手段6は、第2の腕部材4の先端部の位置が第1の腕部材3の先端部に対して変動した際に、その位置を元の位置に戻す働きをする弾性部材ともいえる。
更に、回転手段7は、代表的には軸周りに回転するロール状の回転コロが挙げられる。
【0012】
このような構成を有する本例では、切換手段2は揺動支点3aを中心に第1の腕部材3及び第2の腕部材4が一体的に揺動する基本的な経路切換作用に加えて、媒体Sが切換手段2の先端部に接触することに起因する媒体Sの損傷を抑制する作用を奏する。
本例の損傷抑制作用は、切換手段2の先端部に媒体Sが当たると、媒体Sは回転手段7に接触し、媒体との接触圧により弾性保持手段6の付勢力に抗して回転手段7が少し後退するため、媒体Sと回転手段7との接触圧が低減する。このため、媒体Sは切換手段2の回転手段7に強く接触することなく、回転手段7を接触回転させながら切換手段2で切換えられた分岐経路へと搬送される。よって、切換手段2の先端部には固定部ではなく、回転手段7が設けられ、この回転手段7が適切な接触圧で媒体Sに接触するため、媒体Sには回転手段7の先端部との接触により線状の傷や回転手段7による筋等の損傷は生じない。
【0013】
次に、本実施の形態に係る経路切換部品1の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、経路切換部品1の代表的態様としては、第1の腕部材3は媒体Sの搬送方向に交差する幅方向に沿って延びる平板状部材からなり、第2の腕部材4は媒体Sの幅方向に沿って予め決められた間隔毎に櫛歯状に配置される棒状部材からなり、回転手段7は複数の第2の腕部材4の全部又は一部に間隔を開けて複数設けられている態様が挙げられる。
本例において、第1の分岐経路11又は第2の分岐経路12を区画する図示外の区画部材は、切換手段2の切換動作に伴って第2の腕部材4及び回転手段7が収容可能な凹部を備えていることようにすればよい。このとき、区画部材の凹部内では、媒体Sが回転手段7に接触したときに第2の腕部材4が後退可能なスペースを有していることが好ましく、これにより、媒体Sが回転手段7に接触したときに、第2の腕部材4が可動部5を介して第1の腕部材3に対して後退移動することから、切換手段2の先端部が媒体Sに強く接触する事態は低減される。
【0014】
また、媒体Sと回転手段7との接触性を良好に保つという観点からすれば、回転手段7は、第2の腕部材4の取付部よりも第1の分岐経路11側又は第2の分岐経路12側に外周部が張り出して配置されている態様が挙げられる。この場合、第2の腕部材4は第1の腕部材3との連結部側に比べて回転手段7の取付部側が細くなる厚さ寸法に形成されている態様が好ましい。
更に、切換手段2の揺動支点3aからの揺動軌跡寸法を長く確保するという観点からすれば、弾性保持手段6は、第1の腕部材3及び第2の腕部材4が略直線状に配置される位置関係になるように保たれるのがよい。本例の場合、弾性保持手段6としては、可動部5に巻き付けられ且つ両端引っ掛け片が第1の腕部材3、第2の腕部材4に引っ掛けられたねじりコイルバネが好ましい。
【0015】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は実施の形態1に係る媒体処理装置としての画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
-画像形成装置の全体構成-
同図において、画像形成装置の基本的構成は、装置筐体20内に例えば複数の色成分画像を作製するための作像エンジン21を搭載し、この作像エンジン21の下方には作像エンジン21に対して媒体を搬送する媒体搬送系80と、作像エンジン21にて作製された画像を媒体に定着させる定着装置70とを備えたものである。
そして、本例では、作像エンジン21は、複数の色成分(本実施の形態ではイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))の一般色の画像を形成する画像形成部22(具体的には22a~22d)と、各画像形成部22にて形成された各色成分画像を順次転写(一次転写)して保持するベルト状の中間転写体30と、中間転写体30上に転写された各色成分画像を媒体(用紙又はフィルム)に二次転写(一括転写)する二次転写装置(一括転写装置)50と、を備えている。尚、
図2中、符号40は画像形成装置を操作するための操作パネルである。
【0016】
-画像形成部-
本実施の形態において、各画像形成部22(22a~22d)は、夫々ドラム状の感光体23を有し、各感光体23の周囲には、感光体23が帯電されるコロトロンや転写ロール等の帯電装置24、帯電された感光体23上に静電潜像が書き込まれるレーザ走査装置等の露光装置25、感光体23上に書き込まれた静電潜像がYMCKの各色成分トナーにて現像される現像装置26、感光体23上のトナー画像が中間転写体30に転写される転写ロール等の一次転写装置27及び感光体23上の残留トナーが除去される感光体清掃装置28を夫々配設したものである。
また、中間転写体30は、複数(本実施の形態では三つ)の張架ロール31~33に掛け渡されており、例えば張架ロール31が図示外の駆動モータにて駆動される駆動ロールとして用いられ、当該駆動ロールにて循環移動するようになっている。更に、張架ロール31,33間には二次転写後の中間転写体30上の残留トナーを除去するための中間転写体清掃装置35が設けられている。
【0017】
-二次転写装置(一括転写装置)-
更に、二次転写装置(一括転写装置)50は、例えば中間転写体30の張架ロール33に対向した部位に転写ロール55を圧接配置すると共に、中間転写体30の張架ロール33を転写ロール55の対向電極をなす対向ロール56としたものである。ここで、本例では、転写ロール55は金属製シャフトの周囲に発泡ウレタンゴムやEPDMにカーボンブラック等が配合された弾性層を被覆した構成になっており、対向ロール56(本例では張架ロール33を兼用)には導電性の給電ロール(図示せず)を介して転写電源(図示せず)からの転写電圧を印加し、一方、転写ロール55を接地することで、転写ロール55及び対向ロール56間に所定の転写電界を形成し、転写ロール55と対向ロール56との間で挟持した中間転写体30のニップ領域を二次転写域(一括転写域)TRとして機能するようにしたものである。尚、二次転写装置50は転写ロール55を使用した態様であるが、これに限られるものではなく、転写ロール55を張架ロールの一つとして転写ベルトを掛け渡した転写ベルトモジュール等を用いてもよいことは勿論である。
【0018】
-定着装置-
定着装置70は、媒体の画像保持面側に接触して配置される駆動回転可能な加熱定着ロール71と、当該加熱定着ロール71に対向して圧接配置され、加熱定着ロール71に追従して回転する加圧定着ロール72とを有し、両定着ロール71,72間の定着領域に媒体上に保持された画像を通過させ、当該画像を加熱加圧定着するものである。
ここで、加熱定着ロール71は例えばロール本体内にヒータを内蔵したり、あるいは、ロール本体外周面に外部ヒータを接触させることでロール本体を加熱するようになっており、また、加圧定着ロール72には必要に応じてヒータを付加するようにしてもよいことは勿論である。尚、本例はロール対構成例を示すものであるが、これに限られるものではなく、加熱定着ロール71を例えば電磁誘導加熱方式を採用した加熱定着ベルトで構成するなど適宜選定して差し支えない。
【0019】
-媒体搬送系-
更に、媒体搬送系80は、複数段(本例では二段)の媒体供給容器81,82を有し、媒体供給容器81,82のいずれかから供給される媒体を略鉛直方向に延びる鉛直搬送路83から略水平方向に延びる水平搬送路84を経て二次転写域TRへと至り、その後、転写された画像が保持された媒体を、搬送ベルト85を経由して定着装置70による定着部位に至り、装置筐体20の側方に設けられた媒体排出受け86に排出するものである。
そして更に、媒体搬送系80は、水平搬送路84のうち定着装置70の媒体搬送方向下流側に位置する部分から下方に向かって分岐する反転可能な分岐搬送路87を有し、当該分岐搬送路87で反転された媒体を戻し搬送路88を経て再び鉛直搬送路83から水平搬送路84へと戻し、二次転写域TRにて媒体の裏面に画像を転写し、定着装置70を経て媒体排出受け86へ排出するようになっている。尚、分岐搬送路87には途中から分岐し且つ反転された媒体を媒体排出受け86側に搬送する分岐戻し搬送路89が設けられている。
また、媒体搬送系80には媒体の位置を整合して二次転写域TRに供給する位置整合ロール90のほか、各搬送路83,84,87,88,89には適宜数の搬送ロール91が設けられていると共に、水平搬送路84の媒体排出受け86への出口部分には排出ロール92が設けられている。更にまた、装置筐体20の媒体排出受け86の反対側には水平搬送路84に向かって手差し媒体が供給可能な手差し媒体供給器95が設けられている。
【0020】
-搬送路の分岐構造例-
<水平搬送路の分岐箇所>
本例では、水平搬送路84は、
図2及び
図3に示すように、途中から下方に向かって分岐する媒体反転用の分岐搬送路87と、媒体排出受け82に向かって直進する水平搬送路84の一部である直進搬送路84aとの二つの経路に分岐される。
ここでは、直進搬送路84aが
図1(a)に示す第1の分岐経路に相当し、分岐搬送路87が
図1(a)に示す第2の分岐経路に相当する。
そして、水平搬送路84の分岐箇所E1(直進搬送路84aと分岐搬送路87との間に相当)には経路切換部品100が設置され、水平搬送路84の上流側から搬送されてきた媒体Sの搬送経路として、第1の分岐経路である直進搬送路84a及び第2の分岐経路である分岐搬送路87のいずれかに切換えられるようになっている。
【0021】
<分岐搬送路の分岐箇所>
また、分岐搬送路87には、途中から斜め上方に向かって分岐戻し搬送路89が分岐して延びており、分岐搬送路87と分岐戻し搬送路89との分岐箇所を境に下側に位置する下側分岐搬送路87bから見て、上側に位置する上側分岐搬送路87aと、分岐戻し搬送路89とは二つの経路に分岐される。
ここでは、上側分岐搬送路87aが
図1(a)に示す第1の分岐経路に相当し、分岐戻し搬送路89が
図1に示す第2の分岐経路に相当し、分岐搬送路87の分岐箇所E2には同様な経路切換部品100が設けられ、いずれかの分岐経路に切換えられるようになっている。
尚、
図2に示すように、分岐搬送路87には、更に、途中から側方に向かって戻し搬送路88が分岐して延びており、この分岐箇所にも同様な経路切換部品(図示せず)が設けられている。
<搬送ロールの配置例>
図3において、水平搬送路84の分岐箇所E1の直前には搬送ロール91a(91)が設置されており、また、分岐搬送路87の上側分岐搬送路87aには必要に応じて搬送ロール91b(91)が設置され、更に、分岐戻し搬送路89にも必要に応じて搬送ロール91c(91)が設置されている。
【0022】
-経路切換部品の構成例-
本例では、経路切換部品100は、水平搬送路84の分岐箇所E1、分岐搬送路87の分岐箇所E2その他に設置されているが、いずれも同様な構成を有しているため、本例では、水平搬送路84の分岐箇所E1に設置されたものを例に挙げて説明する。
<切換ゲート>
本例において、経路切換部品100は、
図3に示すように、第1の分岐経路としての直進搬送路84aと、第2の分岐経路としての分岐搬送路87とのいずれかに切換える切換手段としての切換部材を有している。本例では、切換部材としてゲート状に構成された切換ゲート101が用いられている。この切換ゲート101は、
図4及び
図5(a)(b)に示すように、分岐箇所E1に揺動可能に設けられる第1の腕部材としての揺動アーム102と、この揺動アーム102の先端側に可動部104を介して連結される第2の腕部材としてのリンクアーム103とで構成されている。
【0023】
ここで、揺動アーム102は、例えばABS樹脂等の合成樹脂によって一体成形されたもので、媒体Sの搬送方向に交差する幅方向に沿って延びる平板状のアーム部材110からなる。このアーム部材110の基部側には媒体Sの幅方向に沿って延び且つアーム部材110の幅方向両端から突出する揺動支点としての揺動支軸111が形成され、この揺動支軸111は図示外の軸受を介して分岐箇所E1に揺動可能に支持されている。尚、揺動支軸111は分岐箇所E1のうち媒体Sが通過しない箇所に設けられている。
また、リンクアーム103は、例えばABS樹脂等の合成樹脂により一体成形され、媒体Sの幅方向に沿って予め決められた間隔毎に櫛歯状に配置される棒状のアーム部材121からなる。このアーム部材121は、側方から見て揺動アーム102側に比べて先端側が細くなる台形状に形成されている。
【0024】
更に、可動部104は、揺動アーム102のアーム部材110の先端側にDカット面状のリンクシャフト131を幅方向に貫通させて固定的に配置する一方、リンクアーム103のアーム部材121の揺動アーム102との連結部位にはリンクシャフト131が遊び代δ(
図6(c)参照)をもって嵌合するD字状の挿通孔132を開設したものである。そして、この可動部は104、リンクアーム103の挿通孔132にリンクシャフト131を嵌合させることで、揺動アーム102に対してリンクアーム103を遊び代δ分だけ揺動可能に支持するようにしたものである。尚、リンクアーム103は単体毎に成形してもよいし、複数個をまとめて成形するようにしてもよい。
【0025】
<ねじりコイルばね>
本例では、可動部104の両端に弾性保持手段としてのねじりコイルばね140が設けられている。このねじりコイルばね140は、可動部104にコイル部分141を巻き付け、揺動アーム102,リンクアーム103に両端引っ掛け片142,143を引っ掛けた状態で、取り付けられている。
このため、本例では、ねじりコイルばね140は、揺動アーム102及びリンクアーム103を予め決められた位置関係に保つように弾性的に保持するものである。より具体的には、ねじりコイルばね140は、
図6(c)に示すように、リンクシャフト131のDカット面に挿通孔132のDカット面が接触した状態で、揺動アーム102及びリンクアーム103が略直線状に配置される位置関係に保たれる。
【0026】
<回転コロ>
本例では、複数のリンクアーム103の一部の先端側には、
図4及び
図5(b)に示すように、回転手段として回転コロ150が予め決められた間隔を開けて複数(本例では、6個)設けられている。
ここで、回転コロ150は、ロール状のコロ本体151の中心部に軸部152を設け、リンクアーム103のアーム部材121の先端側に軸部152を回転可能に支持するようにしたものである。このとき、回転コロ150は、リンクアームの103のアーム部材121の先端側の取付部よりも第1の分岐経路としての直進搬送路84a側又は第2の分岐経路としての分岐搬送路87側に外周部が張り出すように配置されている。特に、本例では、リンクアーム103は、揺動アーム102との連結部側に比べて回転コロ150側の取付部が細い形状になっているため、回転コロ150の外周部がリンクアーム103の先端取付部に比べて上下に張り出した配置状態になり易い点で好ましい。
【0027】
-経路切換部品の駆動系-
本例では、切換ゲート101は、
図6(a)に示すように、揺動アーム102の揺動支軸111の一端にゲート駆動機構160が設けられ、このゲート駆動機構160は、制御装置170からの制御信号に応じて、第1の分岐経路としての直進搬送路84aを開放する切換モードI又は第2の分岐経路としての分岐搬送路87を開放する切換モードIIによる動作を行うようになっている。
本例において、ゲート駆動機構160は、
図6(b)に示すように、ゲートモータ161軸と同期して回転する回転軸162を有し、この回転軸162の一端側に偏心カム163を固定するようにしたものである。ここで、偏心カム163は略円形状に構成されており、カム中心軸を挟んで長径と短径とカム面を形成するようになっている。一方、切換ゲート101の揺動支軸111には径方向に突出する突出アーム164を設け、この突出アーム164の先端には偏心カム163のカム面に回転可能に接触するコロ165を配置したものである。尚、突出アーム164は図示外の付勢ばねにて偏心カム163のカム面に押圧付勢されている。
【0028】
更に、本例では、偏心カム163の回転位置を検出する位置検出器166が設けられている。この位置検出器166は、偏心カム163と同軸に回転する半円形状の遮光板167を有し、この遮光板167が例えばフォトカプラからなる光学センサ168を過るか否かにより、突出アーム164のコロ165に接触するのが偏心カム163の長径部RLか短径部RSかを検出するものである。よって、制御装置170からの制御信号に応じて偏心カム163の回転位置を制御し、偏心カム163の長径部RL又は短径部RSとの係わりによって突出アーム164を所定角度範囲で回転させ、これに連動して切換ゲート101を切換動作させるようになっている。
【0029】
-経路切換部品の周辺の構造例-
本例では、経路切換部品100は、切換ゲート101のリンクアーム103が櫛歯状に配置され、このリンクアーム103の一部の先端側には回転コロ150が設けられている。このとき、第1の分岐経路としての直進搬送路84a又は第2の分岐経路としての分岐搬送路87を区画する区画部材としてのシュート部材180には、
図7及び
図8(a)(b)に示すように、切換ゲート101の切換動作に伴ってリンクアーム103及び回転コロ150が収容可能な凹部190が形成されている。
この凹部190は、切換ゲート101が切換モードI又は切換モードIIによる動作を行うとき、切換ゲート101は、いずれか一方の分岐経路を塞ぐ位置に移動するが、切換ゲート101により塞いだ分岐経路側に媒体Sが誤って引き込まれない範囲で、リンクアーム103及び回転コロ150を収容するものであればよい。
【0030】
具体的には、回転コロ150の一部が凹部190内に収容されていればよく、かつ、回転コロ150と凹部190の底部との間は非接触に配置されていることが好ましい。また、開放したいずれかの分岐経路に媒体Sを導くためには、塞いだ分岐経路を区画するシュート部材180のシュート案内面よりも回転コロ150の外周部が分岐経路内に張り出して配置されていることが必要である。
更に、リンクアーム103については、塞いだ分岐経路側に媒体Sが引き込まれず、しかも、媒体Sを開放した分岐経路に導く際に、リンクアーム103が媒体Sの案内を邪魔しない程度に凹部190内に収容されることが必要である。尚、収容されたリンクアーム103と凹部190の底部との間は非接触に配置されることが好ましい。
【0031】
-経路切換部品の動作例-
<切換モードI>
切換モードIは、
図9(a)に示すように、第2の分岐経路としての分岐搬送路87を塞ぎ、第1の分岐経路としての直進搬送路84aを開放するように、切換ゲート101を切換えるようにしたものである。
本例においては、直進搬送路84a側に導かれる媒体Sは、分岐搬送路87を塞いだ位置にある切換ゲート101の先端側の回転コロ150に接触した後、切換ゲート101のリンクアーム103、揺動アーム102による案内面に沿って案内される。
このとき、媒体Sが回転コロ150に接触すると、回転コロ150には媒体Sから下方に押し下げる外力F1が作用する。この状態において、回転コロ150に下方に押し下げる外力F1が作用すると、揺動アーム102は動かないが、リンクアーム103は、ねじりコイルばね140の付勢力に抗して、可動部104を中心に遊び代δ分だけ下方に押し下げられ、一時的に後退する。すると、媒体Sと回転コロ150との接触圧が低減することになり、媒体Sは切換ゲート101の回転コロ150に強く接触することなく、回転コロ150を接触回転させながら切換ゲート101で切換えられた分岐経路へと搬送される。
また、切換ゲート101のリンクアーム103及び回転コロ150は、塞いだ切換経路(本例では分岐搬送路87)を区画するシュート部材180に対しては凹部190内に収容されることから、媒体Sが塞いだ分岐経路側に引き込まれる懸念はない。
【0032】
<切換モードII>
切換モードIは、
図9(b)に示すように、第1の分岐経路としての直進搬送路84aを塞ぎ、第2の分岐経路としての分岐搬送路87を開放するように、切換ゲート101を切換えるようにしたものである。
本例においては、分岐搬送路87側に導かれる媒体Sは、直進搬送路84aを塞いだ位置にある切換ゲート101の先端側の回転コロ150に接触した後、切換ゲート101のリンクアーム103、揺動アーム102による案内面に沿って案内される。
このとき、媒体Sが回転コロ150に接触すると、回転コロ150には媒体Sから上方に押し挙げる外力F2が作用する。この状態において、回転コロ150に上方に押し上げる外力F2が作用すると、揺動アーム102は動かないが、リンクアーム103は、ねじりコイルばね140の付勢力に抗して、可動部104を中心に遊び代δ分だけ上方に押し上げられ、一時的に後退する。すると、媒体Sと回転コロ150との接触圧が低減することになり、媒体Sは切換ゲート101の回転コロ150に強く接触することなく、回転コロ150を接触回転させながら切換ゲート101で切換えられた分岐経路へと搬送される。
また、切換ゲート101のリンクアーム103及び回転コロ150は、塞いだ切換経路(本例では直進搬送路84a)を区画するシュート部材180に対しては凹部190内に収容されることから、媒体Sが塞いだ分岐経路側に引き込まれる懸念はない。
【0033】
ここで、実施の形態1に係る経路切換部品の性能について評価するために、以下に示す比較の形態1,2に係る経路切換部品の性能について検討する。
◎比較の形態1
比較の形態1は、切換ゲートとして揺動アームのみを使用し、揺動アームの先端部を媒体に直接接触させるようにしたものである。
このとき、切換ゲートは分岐経路との隙間をなくすために、揺動アームの先端側を櫛歯状に形成し、切換ゲートの先端部が一方の分岐経路を区画するシュート部材の案内面を乗り越えるように凹部を形成し、一方の分岐経路を塞ぐ手法が多く採られている。
しかしながら、本例の場合には、媒体が切換ゲートの先端部に接触すると、揺動アームの櫛歯状の部分が媒体に強く接触し、線状の傷が付き易くなるという懸念がある。
【0034】
◎比較の形態2
比較の形態2は、切換ゲートとして揺動アームの先端部に回転コロを付すように構成し、回転コロを媒体に直接接触させるようにしたものである。
本例においては、媒体には回転コロが回転しながら接触するため、揺動アームの先端部が媒体に直接接触する場合に比べて、媒体と回転コロとの接触部での摩擦抵抗は低減される。しかしながら、塞いだ分岐経路に位置する切換ゲートの回転コロに媒体が接触し、開放した分岐経路側に媒体を案内する際には、媒体からの外力が回転コロに作用すると、揺動アームは動かないため、媒体の外力によって回転コロが後退移動することはない。このため、媒体が回転コロに強く接触した状態で開放された分岐経路へと導かれることになり、媒体には回転コロによるコロ筋が発生し易くなるという懸念がある。
【符号の説明】
【0035】
1…経路切換部品,2…切換手段,3…第1の腕部材,3a…揺動支点,4…第2の腕部材,5…可動部,6…弾性保持手段,7…回転手段,10…搬送経路,11…第1の分岐経路,12…第2の分岐経路,S…媒体