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特開2023-146010粉体収容容器、粉体供給装置、現像装置、及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146010
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】粉体収容容器、粉体供給装置、現像装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
G03G15/08 348A
G03G15/08 362
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052971
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】安西 尭
(72)【発明者】
【氏名】若井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】赤池 崇
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA06
2H077AB02
2H077AC02
2H077AD06
2H077AD14
2H077AD32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】供給口の開口時、封止手段と共に粉体収容部から除去されて粉体収容部内の粉体を崩すフィルム状部材を有し、封止手段の除去方向と反対側の端部に位置する供給口の部分にフィルム状部材の先端を仮固定した崩し手段を備えない場合に比べて、粉体収容部の構造にかかわらず粉体を確実に崩すことにある。
【解決手段】粉体を収容する粉体収容部と、前記粉体収容部から除去されることで供給口を開口可能に封止する封止手段と、前記供給口の開口時、前記粉体収容部から除去されて前記粉体収容部内の粉体を崩すフィルム状部材を有し、前記フィルム状部材は外すことが可能なように前記粉体収容部内で複数個所に固定され、前記フィルム状部材の先端を前記粉体収容部から除去するのに要する力が他の部分より大きくなるよう前記粉体収容部に固定した崩し手段と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容する粉体収容部と、
前記粉体収容部から除去されることで供給口を開口可能に封止する封止手段と、
前記供給口の開口時、前記粉体収容部から除去されて前記粉体収容部内の粉体を崩すフィルム状部材を有し、前記フィルム状部材は外すことが可能なように前記粉体収容部内で複数個所に固定され、前記フィルム状部材の先端を前記粉体収容部から除去するのに要する力が他の部分より大きくなるよう前記粉体収容部に固定した崩し手段と、
を備える粉体収容容器。
【請求項2】
前記崩し手段は、前記フィルム状部材の先端を引き抜きに応じて前記粉体収容部から離れるように固定する力が他の部分より大きい請求項1に記載の粉体収容容器。
【請求項3】
前記崩し手段は、前記フィルム状部材の仮固定された先端を剥離する角度が180度に設定される請求項2に記載の粉体収容容器。
【請求項4】
前記崩し手段は、前記封止手段が前記供給口を封止する前に前記粉体収容部の内部に配置される請求項1に記載の粉体収容容器。
【請求項5】
前記崩し手段は、前記粉体収容部の前記供給口と反対側の内壁面側の領域を通過するよう配置される請求項4に記載の粉体収容容器。
【請求項6】
前記粉体収容部には、前記崩し手段を引き出す引出口に当該崩し手段に付着した現像剤を除去する除去部材が設けられる請求項1に記載の粉体収容容器。
【請求項7】
前記崩し手段は、前記封止手段が前記供給口の開口動作を終了した後に前記現像剤の崩し動作を開始する請求項6に記載の粉体収容容器。
【請求項8】
前記崩し手段は、その一端が前記封止手段に連結され、前記封止手段が前記供給口の開口動作を終了した後に前記現像剤の崩し動作を開始する請求項7に記載の粉体収容容器。
【請求項9】
粉体を収容した粉体収容容器と、
前記粉体収容容器から供給される前記粉体を搬送して供給する搬送供給手段と、
を備え、
前記粉体収容容器として請求項1乃至8のいずれかに記載の粉体収容容器を用いた粉体供給装置。
【請求項10】
現像剤を収容した現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器から供給される前記現像剤を搬送して供給する搬送手段と、
を備え、
前記現像剤収容容器として請求項1乃至8のいずれかに記載の粉体収容容器を用いた現像装置。
【請求項11】
像を保持する像保持手段と、
前記像保持手段に保持された像を現像する現像手段と、
を備え、
前記現像手段として請求項10に記載の現像装置を用いた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉体収容容器、粉体供給装置、現像装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体収容容器に関連する技術としては、例えば、特許文献1等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、現像剤収容部内に配置され且つ現像剤収容部を仕切った仕切部の一側面および他側面に沿って配置された崩し部と、崩し部に接続され且つ現像剤収容部に形成された崩し引出口から現像剤収容部の外部に延びる引出部と、を有し、引き出し部が引き出される際に、崩し部が仕切部の一側面および他側面に交差する方向に移動して現像剤収容部内の現像剤を崩す崩し部材を備えるよう構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-107644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、供給口の開口時、封止手段と共に粉体収容部から除去されて粉体収容部内の粉体を崩すフィルム状部材を有し、封止手段の除去方向と反対側の端部に位置する供給口の部分にフィルム状部材の先端を仮固定した崩し手段を備えない場合に比べて、粉体収容部の構造にかかわらず粉体を確実に崩すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、粉体を収容する粉体収容部と、
前記粉体収容部から除去されることで供給口を開口可能に封止する封止手段と、
前記供給口の開口時、前記粉体収容部から除去されて前記粉体収容部内の粉体を崩すフィルム状部材を有し、前記フィルム状部材は外すことが可能なように前記粉体収容部内で複数個所に固定され、前記フィルム状部材の先端を前記粉体収容部から除去するのに要する力が他の部分より大きくなるよう前記粉体収容部に固定した崩し手段と、
を備える粉体収容容器である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、前記崩し手段は、前記フィルム状部材の先端を引き抜きに応じて前記粉体収容部から離れるように固定する力が他の部分より大きい請求項1に記載の粉体収容容器である。
【0008】
請求項3に記載された発明は、前記崩し手段は、前記フィルム状部材の仮固定された先端を剥離する角度が180度に設定される請求項2に記載の粉体収容容器である。
【0009】
請求項4に記載された発明は、前記崩し手段は、前記封止手段が前記供給口を封止する前に前記粉体収容部の内部に配置される請求項1に記載の粉体収容容器である。
【0010】
請求項5に記載された発明は、前記崩し手段は、前記粉体収容部の前記供給口と反対側の内壁面側の領域を通過するよう配置される請求項4に記載の粉体収容容器である。
【0011】
請求項6に記載された発明は、前記粉体収容部には、前記崩し手段を引き出す引出口に当該崩し手段に付着した現像剤を除去する除去部材が設けられる請求項1に記載の粉体収容容器である。
【0012】
請求項7に記載された発明は、前記崩し手段は、前記封止手段が前記供給口の開口動作を終了した後に前記現像剤の崩し動作を開始する請求項6に記載の粉体収容容器である。
【0013】
請求項8に記載された発明は、前記崩し手段は、その一端が前記封止手段に連結され、前記封止手段が前記供給口の開口動作を終了した後に前記現像剤の崩し動作を開始する請求項7に記載の粉体収容容器である。
【0014】
請求項9に記載された発明は、粉体を収容した粉体収容容器と、
前記粉体収容容器から供給される前記粉体を搬送して供給する搬送供給手段と、
を備え、
前記粉体収容容器として請求項1乃至8のいずれかに記載の粉体収容容器を用いた粉体供給装置である。
【0015】
請求項10に記載された発明は、現像剤を収容した現像剤収容容器と、
前記現像剤収容容器から供給される前記現像剤を搬送して供給する搬送手段と、
を備え、
前記現像剤収容容器として請求項1乃至8のいずれかに記載の粉体収容容器を用いた現像装置である。
【0016】
請求項11に記載された発明は、像を保持する像保持手段と、
前記像保持手段に保持された像を現像する現像手段と、
を備え、
前記現像手段として請求項10に記載の現像装置を用いた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された発明によれば、供給口の開口時、粉体収容部から除去されて粉体収容部内の粉体を崩すフィルム状部材を有し、封止手段の除去方向と反対側の端部に位置する供給口の部分にフィルム状部材の先端を引き抜きに応じて粉体収容部から離れるように固定した崩し手段を備えない場合に比べて、粉体収容部の構造にかかわらず粉体を確実に崩すことができる。
【0018】
請求項2に記載された発明によれば、崩し手段は、フィルム状部材の仮固定された先端を剥離する剥離力が他の仮固定された部分より小さい場合に比べて、崩し手段の先端が先に剥離するのを抑制することができる。
【0019】
請求項3に記載された発明によれば、崩し手段は、フィルム状部材の仮固定された先端を剥離する角度が180度より小さい場合に比べて、他の部分より先に剥離するのを抑制することができ、又0度に設定した場合のように剥離力が過大となることを回避することができる。
【0020】
請求項4に記載された発明によれば、崩し手段は、封止手段が供給口を封止した後に粉体収容部の内部に配置される場合に比べて、配置作業が容易となる。
【0021】
請求項5に記載された発明によれば、崩し手段は、粉体収容部の供給口と反対側の内壁面を通過するよう配置されない場合に比べて、現像剤を確実に崩すことができる。
【0022】
請求項6に記載された発明によれば、崩し手段に付着した現像剤が外部に漏れて、周囲を汚損するのを抑制することができる。
【0023】
請求項7に記載された発明によれば、崩し手段は、封止手段による供給口の開口動作と同時に現像剤の崩し動作を開始する場合に比べて、封止手段の除去力を低減することができる。
【0024】
請求項8に記載された発明によれば、崩し手段は、封止手段によって供給口が開口された後に現像剤を確実に崩し動作を開始することができる。
【0025】
請求項9に記載された発明によれば、粉体収容容器として請求項1乃至8のいずれかに記載の粉体収容容器を用いない場合に比べて、現像剤を確実に崩すことが可能となる。
【0026】
請求項10に記載された発明によれば、現像剤収容容器として請求項1乃至8のいずれかに記載の粉体収容容器を用いない場合に比べて、現像剤を確実に崩すことが可能となる。
【0027】
請求項11に記載された発明によれば、現像手段として請求項10に記載の現像装置を用いない場合に比べて、現像剤を確実に崩すことができ、凝集した現像剤による画像欠陥の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置のプロセスカートリッジを示す断面構成図である。
図3】プロセスカートリッジを示す斜視構成図である。
図4】プロセスカートリッジを示す斜視構成図である。
図5】現像剤収容容器を示す斜視構成図である。
図6】現像剤収容容器を示す斜視構成図である。
図7】プロセスカートリッジの要部を示す断面構成図である。
図8】現像剤収容容器を示す断面構成図である。
図9】現像剤収容容器の要部を示す断面構成図である
図10】現像剤収容容器の変形例における要部を示す断面構成図である
図11】現像剤収容容器の比較例における要部を示す断面構成図である
図12】現像剤収容容器の変形例における要部を示す断面構成図である
図13】現像装置を示す斜視構成図である。
図14】現像剤収容容器の要部を示す断面構成図である。
図15】こぼれシールを示す構成図である。
図16】現像剤収容容器の作用を示す構成図である。
図17】現像剤収容容器の作用を示す断面構成図である。
図18】現像剤収容容器の作用を示す断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
[実施の形態1]
図1及び図2は、実施の形態1に係る粉体収容容器や現像装置等を適用した画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の概略を示し、図2はその画像形成装置における要部(画像形成ユニット)を拡大して示している。なお、図中、矢印Xは水平方向に沿った奥行方向を、Yは鉛直方向を、Zは水平方向に沿った幅方向をそれぞれ示している。
【0031】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばモノクロプリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、図1に示されるように、奥行方向Xの長さに比較して鉛直方向Yに沿った高さが相対的に低い略直方体状に形成された装置本体1aを備えている。装置本体1aには、操作者(ユーザ)が画像形成装置1を操作する際の正面(図中、左側面)にフロントカバー101が開閉可能に設けられている。また、装置本体1aの上端面には、画像が形成された記録媒体の一例としての記録用紙5を排出する用紙排出部36が奥行方向Xに沿った端部が低くなるよう傾斜した状態で設けられている。なお、装置本体1aは、支持構造部材やフロントカバー101を含む外装カバー102等で構成されている。
【0032】
この画像形成装置1は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する作像装置10と、作像装置10の転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して供給する給紙装置20と、給紙装置20から供給された記録用紙5を図中に一点鎖線で示す搬送経路に沿って搬送する搬送装置30と、作像装置10で転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。
【0033】
作像装置10は、画像形成手段(像保持手段)の一例としての回転する感光体ドラム11を備えている。この感光体ドラム11の周囲には、次のような画像形成手段の一例としての各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置13と、その静電潜像をブラック色の現像剤のトナーで現像してトナー像にする粉体搬送装置(現像手段)の一例としての現像装置14と、そのトナー像を記録用紙5に転写する転写装置15と、転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16等である。
【0034】
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
【0035】
帯電装置12は、図2に示されるように、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロール121を備えている。帯電ロール121の背面側には、当該帯電ロール121の表面を清掃する清掃ロール122が配置されている。帯電ロール121には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11の表面に非接触状態で配置されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置を用いてもよい。
【0036】
露光装置13は、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなる。露光装置13は、後述するプロセスカートリッジ300の着脱を可能とするため、フロントカバー101の開閉動作に連動して感光体ドラム11に近接した露光位置と、感光体ドラム11の周面から離間した図中に破線で示す退避位置とに移動可能となっている。なお、露光装置13としては、画像情報に応じて構成されるレーザー光を感光体ドラム11の軸方向に沿って偏向走査するものを用いても良い。露光装置13としてレーザー光を偏向走査するものを用いた場合には、感光体ドラム11の周面から離間した位置から露光可能であるため退避させる必要はない。
【0037】
現像装置14は、図2に示されるように、開口部と現像剤4の収容室が形成された筐体140の内部に、粉体の一例としての現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像剤保持手段の一例としての現像ロール141と、現像剤4を攪拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送する2つのスクリューオーガー等からなる攪拌供給部材142及び攪拌搬送部材143と、現像ロール141に保持される現像剤4の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成したものである。この現像装置14には、現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像バイアス電圧が図示しない電源装置から供給される。現像剤4としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。なお、粉体供給装置の一例としての現像装置14については、後に詳述する。
【0038】
転写装置15は、図1に示されるように、画像形成時に感光体ドラム11の周囲に記録用紙5を介して接触し回転するとともに転写用電圧が供給される転写ロールを備えた接触型の転写装置である。転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0039】
ドラム清掃装置16は、図2に示されるように、一部が開口する容器状の本体160と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板161と、清掃板161で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収容器に送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材162等で構成されている。清掃板161としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
【0040】
定着装置40は、図1に示されるように、記録用紙5の導入口及び排出口が形成された装置ハウジング43の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して回転するベルト形態又はロール形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部(ニップ部)Nとなる。
【0041】
給紙装置20は、作像装置10の鉛直方向Yに沿った下方側の位置である装置本体1aの底部に配置されている。この給紙装置20は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載板21上に積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体22と、用紙収容体22から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置23とで主に構成される。給紙装置20は、用紙収容体22の前面に設けられた把持部24を手で把持して引き出すことにより画像形成装置1の装置本体1aに対して着脱可能となっている。
【0042】
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいはOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
【0043】
給紙装置20と転写装置15との間には、給紙装置20から送り出される記録用紙5を転写位置まで搬送する複数(又は単数)の用紙搬送ロール対31a,31bや図示しない搬送ガイドで構成される給紙搬送路32が、装置本体1aの正面の鉛直方向Yに沿った上方に向かい、途中から装置本体1aの内部に水平方向Xへ向けて湾曲した形状に設けられている。給紙搬送路32において転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対31bは、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。また、転写装置15から定着装置40までは、転写装置15から送り出される転写後の記録用紙5を定着装置40へと搬送するため用紙搬送路33が水平方向Xに沿って設けられている。
【0044】
また、定着装置40の斜め上部には、1つの搬送ロールが共通に構成された2組の搬送ロール対34,35のうち、一方の搬送ロール対34を介して用紙排出部36へと搬送して排出する排出搬送路37が設けられている。用紙排出部36は、装置本体1aの上端面に排出方向に沿った下流側が上方に位置するよう傾斜した状態で設けられている。
【0045】
排出搬送路37の出口37aには、記録用紙5を排出すると共に表裏を反転させる排出ロール対37bが配置されている。排出ロール対37bは、その回転方向が正転方向と逆転方向に切替可能となっている。
【0046】
また、排出ロール対37bの手前には、記録用紙5の搬送方向を切り替える図示しない切替ゲートが設けられている。記録用紙5の両面に画像を形成する場合には、記録用紙5の搬送方向が図示しない切替ゲートによって排出搬送路37から両面搬送路38へと切り替えられる。このとき、排出ロール対37bは、排出方向に搬送される記録用紙5の後端が図示しない切替ゲートを通過した後、回転方向が正転方向(排出方向)から逆転方向に切り替わる。排出ロール対37bによって逆転方向に搬送される記録用紙5は、図示しない切替ゲートによって搬送経路が鉛直方向Yに切り替えられ、搬送ロール対35を経由して画像形成装置1の装置本体1aの背面に沿って鉛直方向Yから水平方向Xに沿うよう湾曲して形成された両面搬送路38へと搬送される。両面搬送路38は、表裏を反転させた状態で記録用紙5を用紙搬送ロール対31bへと搬送する用紙搬送ロール対39a,39bや図示しない搬送ガイド等を備えている。
【0047】
現像装置14の上部には、図2に示されるように、当該現像装置14に供給する少なくともトナーを含む現像剤を収容したトナーカートリッジ145が配置されている。トナーカートリッジ145の下方には、当該トナーカートリッジ145に収容されたトナーを現像装置14へ供給する図示しない供給ロール等を備えたトナー供給装置が設けられている。
【0048】
また、図1中符号200は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御装置を示している。制御装置200は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、通信インターフェイスなどを備えている。
【0049】
<プロセスカートリッジ>
この実施の形態1では、図2に示されるように、露光装置13及び転写装置15を除いた作像装置10が一体的に組付けられて、画像形成装置1の装置本体1aに対して着脱可能な画像形成ユニットの一例としてのプロセスカートリッジ300を構成している。プロセスカートリッジ300は、図2乃至図4に示されるように、感光体ドラム11と、帯電装置12と、現像装置14と、ドラム清掃装置16が一体的に装着されたカートリッジ本体301を備えている。カートリッジ本体301の一側には、トナーカートリッジ145を単独で着脱可能に収容する凹形状の収容部302が設けられている。また、カートリッジ本体301の一側面(図中、左側面)には、図3に示されるように、装置本体1a側の図示しない駆動装置と連結されて当該駆動装置から駆動力が伝達される感光体連結部材303と現像装置連結部材304とトナー供給連結部材305が側方へ向けて突出乃至露出した状態で設けられている。カートリッジ本体301には、トナー供給連結部材305から駆動力を得てトナーカートリッジ145を回転駆動させることで、当該トナーカートリッジ145から現像剤を現像装置14へと供給する供給部306と、トナーカートリッジ145の長手方向に沿った端部を回転可能に支持する支持部307が設けられている。プロセスカートリッジ300は、フロントカバー101を開いた状態で、画像形成装置1の装置本体1aの斜め上方から所定位置へ装着することにより、感光体連結部材303、現像装置連結部材304及びトナー供給連結部材305を介して駆動力が伝達されるとともに、図示しない給電装置を介して所望の電圧や電流が供給される。
【0050】
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0051】
画像形成装置1は、制御装置200によって制御され、装置本体1aに装着された図示しない操作パネル、あるいは図示しないユーザインターフェイスやプリンタドライバ等からモノクロの画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、作像装置10、給紙装置20、搬送装置30及び定着装置40等が始動する。
【0052】
そして、作像装置10においては、図1及び図2に示されるように、まず感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、帯電装置12が感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位に帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される静電潜像を形成する。
【0053】
続いて、現像装置14が、感光体ドラム11に形成された静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電されたブラック色のトナーを現像ロール141から供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、感光体ドラム11に形成された静電潜像は、ブラック色のトナーで現像されたトナー像として顕像化される。プロセスカートリッジ300の現像装置14には、所要のタイミングでトナーカートリッジ145から図示しないトナー供給装置を介してトナーが供給される。
【0054】
続いて、感光体ドラム11上に形成されたトナー像が転写位置まで搬送されると、転写装置15が、そのトナー像を記録用紙5に対して転写させる。
【0055】
また、転写が終了した作像装置10では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、作像装置10は、次の作像動作が可能な状態にされる。
【0056】
給紙装置20は、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路32に送り出す。給紙搬送路32では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対31bが記録用紙5を転写時期に合わせて転写位置に送り出して供給する。
【0057】
続いて、トナー像が転写された記録用紙5は、用紙搬送路33を介して定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の定着処理部Nに転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)を施して未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。定着が終了した後の記録用紙5は、その片面への画像の形成を行うだけの画像形成動作のときは、排出搬送路37に沿って排出ロール対37bにより装置本体1aの上端部に設けられた用紙排出部36へ排出される。
【0058】
また、記録用紙5の両面に画像を形成する場合は、片面に画像が形成された記録用紙5を図示しない切替ゲートによって排出ロール対37bへと搬送し、排出ロール対37bによって記録用紙5が一旦排出方向に搬送される。その後、排出ロール対37bが記録用紙5の後端を挟持したままの状態で当該排出ロール対37bの回転方向を逆転させ、記録用紙5の表裏を反転させた後に両面搬送路38を介して再度転写装置15へと搬送し、記録用紙5の裏面にトナー像を転写する。裏面にトナー像が転写された記録用紙5は、用紙搬送路33を介して定着装置40へ搬送され、定着装置40により定着処理(加熱及び加圧)を施され、排出ロール対37bにより用紙排出部36へ排出される。
【0059】
以上の動作により、モノクロ画像が片面又は両面に形成された記録用紙5が出力される。
【0060】
<粉体収容容器及び現像装置の構成>
ところで、上記の如く構成される画像形成装置1は、最初に使用を開始するとき、プロセスカートリッジ300の現像装置14内において現像剤4が凝集すること等を回避するため、現像装置14の内部に現像剤4が予め収容されておらず出荷時は空の状態となっている。なお、現像装置14の内部には、出荷時、現像剤4を構成するキャリアのみを収容するように構成しても良い。
【0061】
また、トナーカートリッジ145は、プロセスカートリッジ300と別に構成されており、画像形成装置1の出荷時には、やはり、プロセスカートリッジ300内でトナー等が凝集するのを回避するため、プロセスカートリッジ300にトナーカートリッジ145が装着されていない。
【0062】
そこで、画像形成装置1は、ユーザの手元に届いた状態で最初に使用を開始するとき、新しいトナーカートリッジ145がプロセスカートリッジ300に装着されていなくとも画像形成動作を開始すること或いはテストプリントが可能となるように、現像装置14は、図2に示されるように、使用開始時のスタータ現像剤4S(粉体の一例)を収容する現像剤収容容器50を備えている。また、現像装置14は、粉体の一例としての現像剤4を搬送して現像ロール141へと供給する現像剤供給装置を構成している。この実施の形態1に係る粉体収容容器は、現像剤収容容器50と、当該現像剤収容容器50が装着される筐体140の上部カバー140aとで構成されている。
【0063】
ここでは、まず、現像装置14の構成について詳細に説明する。
現像装置14は、図2に示されるように、その現像装置本体の一例としての筐体140に、感光体ドラム11と対向する部位に感光体ドラム11の軸方向に沿って延びる現像用開口146が開設されている。筐体140内部の現像用開口146に面した箇所には、現像剤保持体としての現像ロール141が配置されている。現像ロール141は、周方向に沿って所定の位置に所要極性の磁極が着磁された固定配置のマグネットロール141aと、マグネットロール141aの外周に回転可能に配置された円筒形状の現像スリーブ141bを有している。また、筐体140の内部には、現像ロール141の背面側に現像剤4を撹拌しつつ現像ロール141に供給する撹拌供給部材142と、現像剤2を撹拌しつつ撹拌供給部材142へと搬送する撹拌搬送部材143とが回転可能に配置されている。
【0064】
撹拌供給部材142と撹拌搬送部材143は、回転軸の周囲に螺旋状の羽根部材を設けた所謂スクリューオーガーからなり、軸方向に沿った互いに異なる方向(逆方向)へ現像剤4を搬送しつつ、軸方向に沿った両端部において現像剤4の受け渡しを行うよう構成されている。撹拌供給部材142と撹拌搬送部材143は、筐体140を構成する仕切り壁147によって互いに仕切られている。撹拌供給部材142と撹拌搬送部材143は、略半円筒形状の凹所からなる現像剤収容部148,149にそれぞれ収容されている。また、現像ロール141の背面側の斜め上方には、当該現像ロール141の表面に供給されて保持された現像剤4の層厚を規制する層厚規制部材144が取り付けられている。尚、図2中、符号150,151は筐体140の現像用開口146の端縁に設けられ、感光体ドラム11との隙間をそれぞれ塞ぐシール部材を示している。
【0065】
この実施の形態1に係る現像装置14には、図2乃至図4に示されるように、筐体140の背面側の上端部に現像装置14の使用を開始するときのスタータ現像剤4Sが収容される粉体収容容器の一例としての現像剤収容容器50が、鉛直方向Yに沿った斜め上方へ向けてトナーカートリッジ145の外周面に沿って傾斜した状態で組付けられている。
【0066】
現像剤収容容器50は、現像装置14の筐体140へ組み付けられることによって、当該筐体140とともにスタータ現像剤4Sが収容される粉体収容部の一例としての現像剤収容室51を形成している。現像剤収容室51は、その鉛直方向Yに沿った下端部に供給口52を有している。現像剤収容室51の供給口52は、筐体140の上部カバー140aに細長い長方形状に開口されている。
【0067】
現像剤収容容器50は、図5及び図6に示されるように、断面略台形状乃至矩形状の細長い箱体状に形成されている。現像剤収容容器50の底面は、その全面が開口されている。現像剤収容容器50は、図2に示されるように、筐体140の上部カバー140aの背面側における上端部において、撹拌搬送部材143が配置された現像剤収容部149の上方に対応した位置に熱溶着やネジ止め等の手段により取り付けられている。現像剤収容容器50は、筐体140の非駆動側であって当該筐体140の長手方向に沿った略2/3程度の長さにわたり配置されている。現像剤収容容器50は、その断面形状や長さが内部に収容するスタータ現像剤4Sの量に応じて適宜設定される。上部カバー140aの駆動側の端部には、図5に示されるように、トナーカートリッジ145から少なくともトナーを含む現像剤が補給される補給口140bが開口されている。
【0068】
現像剤収容容器50は、図2に示されるように、トナーカートリッジ145側に位置して傾斜した左側壁501と、感光体ドラム11側に位置して左側壁501より低く平行に配置された右側壁502と、左側壁501及び右側壁502の長手方向に沿った両端部を閉塞する前後壁503,504と、左側壁501の上端部から幅の狭い上端部505aを介して右側壁502へ向けて斜め下方に傾斜した天井壁505と、左側壁501の上端部外側に鉛直方向に沿った上方へ向け配置されて当該左側壁501と共にトナーカートリッジ145のガイド部を構成するガイド壁506と、左側壁501、右側壁502及び前後壁503,504の下端部から外周へ向けて水平方向に沿って延在するよう配置された平面矩形の枠体状に形成されたフランジ部507を備えている。現像剤収容容器50の内部は、断面略台形状乃至断面略矩形状の細長い収容空間からなる現像剤収容室51の主要部を構成している。現像剤収容容器50の内部には、図8に示されるように、例えば、トナーのみ或いはトナーとキャリアからなるスタータ現像剤4Sが7~8割程度の体積を占めるよう充填される。なお、スタータ現像剤4Sは、通常の画像形成に使用する現像剤4と比較してキャリア濃度が高く設定されていても良い。
【0069】
現像剤収容容器50の後壁504には、図2に示されるように、現像装置14の組み立て工程が終了した後に、当該現像剤収容容器50の内部にスタータ現像剤4Sを充填するための充填口53が開口されている。この充填口53は、斜めに傾斜した状態で配置された側面略矩形状に形成されている。また、充填口53は、両面テープ等からなる封止部材54によって封止されている。この充填口53に対応した封止部材54の内面には、収容された現像剤4が凝集するのを抑制する凝集抑制手段の一例としての合成樹脂製の発泡体55が配置されている。この合成樹脂製の発泡体55は、充填口53の開口面積よりやや小さい側面略矩形状に形成されており、両面テープ等からなる封止部材54の内側面に貼り付けられた状態で設けられている。なお、充填口53の外周面は、封止部材54が不本意に他の部材と接触したりするのを回避するため、現像剤収容容器50の後壁504の外側面よりわずかに窪んだ形状となるよう形成されている。
【0070】
現像剤収容室51の供給口52は、図6に示されるように、封止手段の一例としてのシールテープ56によって開口可能に封止されている。シールテープ56は、プロセスカートリッジ300を最初に使用する際に、現像装置14の筐体140から除去されることによって供給口53を開口する部材である。現像剤収容室51の内部に収容されたスタータ現像剤4Sは、図2に示されるように、シールテープ56が除去されることで、筐体140の攪拌搬送部材143が収容された空状態の現像剤収容部149の内部に自重により落下して供給される。その後、筐体140の現像剤収容部149に供給されたスタータ現像剤4Sは、プロセスカートリッジ300が画像形成装置1の装置本体1aに装着され、攪拌搬送部材143が駆動されることで当該攪拌搬送部材143の軸方向に沿って搬送される。
【0071】
シールテープ56は、合成樹脂等によって所要の幅を有する長尺な薄いフィルム状に形成されている。シールテープ56は、図4及び図5に示されるように、上部カバー140aの供給口52に沿って剥離可能に封止される封止テープ部56aと、封止テープ部56aの長手方向の一端部で折り返され、封止テープ部56aに沿って延び当該封止テープ部56aよりも外方に引き出された引出テープ部56bとを有している。シールテープ56の封止テープ部56aは、その先端が供給口52の引き出し側の端部に位置しており、供給口52の引き出し側と反対側の端部へ向けて当該供給口52を封止している。シールテープ56は、供給口52の引き出し側と反対側の端部から再度折り返されて引き出し側へ延びた引出テープ部56bを構成している。
【0072】
ここで、シールテープ56の封止テープ部56aは、上部カバー140aの供給口52の外周端縁に熱溶着や接着剤、あるいは粘着剤によって剥離可能に固着されるテープ材料にて構成される。なお、シールテープ56は、封止テープ部56aと引出テープ部56bが異なる材料で構成されていても良い。
【0073】
この実施の形態1において、シールテープ56の封止テープ部56aが上部カバー140aの供給口52を封止した状態において、シールテープ56aの引出テープ部56bの先端側は、上部カバー140aの長手方向の一端から外方にはみ出すように配置されている。
【0074】
そして、現像装置14の組み立て時、上部カバー140aの供給口52は、スタータ現像剤4Sを収容する前に封止手段としてのシールテープ56によって塞がれる。その後、現像剤収容容器50の内部に充填口53からスタータ現像剤4Sが充填されて収容される。充填口52は、封止部材54によって封止される。
【0075】
尚、現像装置14の上部カバー140aの周縁には、筐体140の頂部開口(図示せず)縁に対して引っ掛かり可能に弾性変形する取付爪140Cが適宜数形成されており、現像装置14の筐体140の頂部開口に上部カバー140aが装着されるようになっている。
【0076】
現像装置14の筐体140の長手方向に沿った一端部には、図7に示されるように、シールテープ56の引出テープ部56bを引き出すスリット状の引出口152が形成されている。そして、本例では、筐体140の引出口152に面した箇所にシールテープ56に付着した現像剤4を擦り切る擦り切り機構153が設けられている。
【0077】
擦り切り機構153は、図6及び図7に示されるように、上部カバー140aの長手方向に沿った一端にシールテープ56の引出テープ部152の引出方向に交差する幅方向の位置を規制する規制壁153aがシールテープ56の厚みよりも僅かに大きい段差をもって形成されており、上部カバー140aの規制壁153a間で囲まれた領域に引出口152を確保するようになっている。シールテープ56は、引出口152から引き出される際に、当該シールテープ56の封止テープ部56aに付着したスタータ現像剤4Sが掻き取られる。また、上部カバー140aの引出口152の外側には、シールテープ56を保持する保持部154が設けられている。
【0078】
ところで、この実施の形態に係る現像装置14には、図7及び図8に示されるように、現像剤収容容器50の内部において、供給口52の開口時、シールテープ56と共に筐体140の上部カバー140aから除去されて粉体収容部51の内部で凝集したスタータ現像剤4Sを崩すフィルム状部材を有し、シールテープ56の除去方向と反対側の端部に位置する供給口52の部分にフィルム状部材の先端を仮固定した崩し手段の一例としての崩しテープ60が設けられている。
【0079】
ここで、供給口52の部分とは、供給口52に対応した(面した)部分を意味しており、必ずしも供給口52自体である必要はない。
【0080】
崩しテープ60は、例えば、3mm程度の所要幅及び厚さを有するマイラーフィルムからなる細長いテープ状に形成されている。崩しテープ60は、図9に示されるように、シールテープ56の除去方向と反対側の端部に位置する供給口52に対応した(面した)位置に、その先端60aが仮固定されている。崩しテープ60の先端60aは、現像剤収容容器50のフランジ部507より一段高く形成された底面部508に180度折り返した状態で両面テープ61を介して貼り付けることで仮固定されている。なお、現像剤収容容器50は、底面部508を形成するため、前壁503の下端部503aがフランジ部507より高い位置で外側へ向けて折り曲げられている。現像剤収容容器50は、前壁503の駆動部側に当該前壁503と平行に配置された前端壁509を有している。現像剤収容容器50の前壁503と前端壁509は、傾斜して配置された複数の連結板510によって互いに連結されている。なお、フランジ部507より一段高く形成された底面部508を設ける構成に限らず、図10に示されように、フランジ部507を供給口52の端部を閉塞するように設け、フランジ部507の底面に崩しテープ60の先端60aを両面テープ61によって仮固定するように構成しても良い。なお、崩しテープ60は、シールテープ56が供給口52を閉塞する以前の工程で現像剤収容容器50の内部の所定に装着される。
【0081】
崩しテープ60は、その先端60aが180度折り返した状態で両面テープ61を介して現像剤収容容器50の底面部508に貼り付けられることで、当該崩しテープ60の先端60aを剥離するのに要する力が相対的に大きく設定されている。図11に示されるように、例えば、崩しテープ60の先端60aを供給口52から離間した現像剤収容容器50の前壁503の内面に貼り付けることで仮固定した場合には、崩しテープ60を引き抜く際に当該崩しテープ60の剥離角度θが90度より小さい鋭角になるため、当該崩しテープ60の先端60aを剥離するのに要する力が相対的に小さくなり、崩しテープ60の先端60aが現像剤収容容器50の内面から剥離し易くなるため望ましくない。
【0082】
また、図12に示されるように、崩しテープ60の先端60aを剥離するのに要する力を相対的に大きくするため、崩しテープ60の先端60aを180度折り返すことなく両面テープ61を介して現像剤収容容器50の底面部508に貼り付けた場合には、崩しテープ60の先端60aを剥離する剥離力を作用させる方向と両面テープ61により仮固定された面とのなす角度が0度となり、当該崩しテープ60の先端60aを剥離するのに要する力が過大となる虞れがあるため望ましくない。
【0083】
崩しテープ60の先端部60bは、図8に示されるように、現像剤収容容器50の底面部508に貼り付けられた先端60aから現像剤収容容器50の前壁503の内面に沿うよう略90度の角度をなすよう折り曲げられており、現像剤収容容器50の前壁503の内面に沿って上方へと配置されている。また、崩しテープ60の先端部60bは、現像剤収容容器50の前壁503の上端部において両面テープ62を介して仮固定されている。
【0084】
また、崩しテープ60の中間部60cは、図8に示されるように、現像剤収容容器50の前壁503から天井壁505に沿って後壁504にわたり配置されている。崩しテープ60の中間部60cは、現像剤収容容器50の天井壁505の先端(非駆動側の端部)において両面テープ63を介して仮固定されている。
【0085】
さらに、崩しテープ60の現像剤収容容器50の内部に位置する後端部60dは、現像剤収容容器50の天井壁505から後壁504へ向けて90度より小さい鋭角をなして当該後壁504から離間するよう配置されている。
【0086】
このように、崩しテープ60の後端部60dが天井壁505から後壁504へ向けて90度より小さい鋭角をなして当該後壁504から離間するよう配置されている理由は、崩しテープ60が充填口53の一部を塞いでスタータ現像剤4Sを充填口53から充填する際に支障となるのを回避するためである。
【0087】
また、現像剤収容容器50の内部には、充填口53が形成された後壁504に沿って崩しテープ60の後端部60dが配置されておらず、当該崩しテープ60によるスタータ現像剤4Sの崩し効果を発揮することが困難である。そのため、上述したように、充填口53に対応した封止部材54の内面には、凝集抑制手段の一例としての合成樹脂製の発泡体55を配置している。充填口53に対応した封止部材54の内面に合成樹脂製の発泡体55を配置することにより、現像剤収容容器50内に収容されたスタータ現像剤4Sが振動により封止部材54の内面に突き当てられた場合であっても、合成樹脂製の発泡体55が存在するため突き当てられたときの衝撃を吸収し、スタータ現像剤4Sが振動により凝集することが抑制される。
【0088】
崩しテープ60の現像剤収容容器50の内部に位置する後端部60dは、後壁504の下端部において当該後壁504へ向けて折り曲げられており、後壁504の下端部に設けられた引出部64を介して現像剤収容容器50の外部へと引き出されて引き抜き部60eを構成している。
【0089】
現像剤収容容器50の外部に引き出された崩しテープ60の引き抜き部60eは、直ちにシールテープ56に連結され固定されているわけではなく、図13に示されるように、現像剤収容容器50の外部に引き出された後、現像剤収容容器50の右側壁502に沿って当該現像剤収容容器50の長手方向に沿った端部まで延長された延長部60fを有している。崩しテープ60の延長部60fは、現像剤収容容器50の右側壁502に沿った端部において再度折り返されて、シールテープ56に図示しない両面テープにより連結され固定されている。
【0090】
崩しテープ60の延長部60fは、シールテープ56の封止テープ部56a及び当該崩しテープ60の引き抜き部60eの端部がシールテープ56の引出テープ部152と連結固定された部分までの長さに相当する長さに設定されている。
【0091】
更に説明すると、崩しテープ60は、シールテープ56の引出テープ部56bと連結固定されることで、シールテープ56の引き抜き動作に伴って現像装置14から引き抜かれる。ただし、崩しテープ60には、シールテープ56の封止テープ部56a及び当該崩しテープ60の引き抜き部60eの端部がシールテープ56の引出テープ部152と連結固定された部分までの長さに相当する長さに設定された延長部60fを有している。そのため、崩しテープ60は、シールテープ56が引き抜かれて当該シールテープ56の引出テープ部56b及び封止テープ部56aが現像装置14から引き抜かれた後に、現像剤収容容器の内部に配置された崩しテープ60の引き抜き動作が開始するよう構成されている。
【0092】
このように構成することにより、シールテープ56を崩しテープ60とともに引き抜く引き抜き力を分散させて低減することが可能となる。
【0093】
なお、崩しテープ60は、必ずしもシールテープ56とともに引き抜かれる必要はなく、崩しテープ60の端部をシールテープ56に連結固定することなく、シールテープ56を引き抜いた後に崩しテープ60を別個に単独で引き抜きように構成しても勿論良い。
【0094】
また、現像剤収容容器50の引出部64には、崩しテープ60に付着したスタータ現像剤4Sを拭き取る拭取部材の一例としてのこぼれシール70が設けられている。こぼれシール70は、図14及び図15に示されるように、薄膜状のシール基体71を有する。シール基体71は、こぼれシール70が引出部64に装着された状態で、コの字状に折り曲げられた状態となる薄膜状に構成されており、シール基体71の中央部には、崩し案内口の一例としてのガイド口71aが形成されている。なお、シール基体71は、引出部64に装着される際に円滑に装着できるように、弾性変形可能且つ外表面の摩擦係数が低い樹脂材料を使用することが好ましく、一例として、ポリエチレンテレフタレート、いわゆるPET樹脂により構成することが可能である。
【0095】
シール基体71の内表面には、ガイド口71aを挟んだ両側に、一対の接触部材本体72が支持されている。接触部材本体72は、圧力付与部の一例として、シール基体71に支持される弾性材料の一例としてのウレタンにより構成されたクッション部72aを有する。クッション部72aの表面には、清掃部の一例として、布の一例としてのフェルトにより構成されたクリーナ部72bが支持されている。なお、接触部材本体72では、一対のクッション部72aおよびクリーナ部72bの合計の厚さは、引出部64の幅よりも厚くなるように設定されている。すなわち、こぼれシール70が引出部64に装着された場合に、主としてクッション部72bが弾性変形して、クリーナ部72bどうしが予め設定された接触圧で接触した状態で保持されるように設定されている。したがって、クリーナ部72bどうしが密着した状態で保持されると、こぼれシール70により引出部64が密閉され、現像剤収容容器50から現像剤4Sが漏出することが抑制される。
【0096】
<プロセスカートリッジの作用>
プロセスカートリッジ300を使用するときには、当該プロセスカートリッジ300を画像形成装置1の装置本体1aから一旦取り出した後、現像装置14を使用可能な状態にする上で現像装置14のシールテープ56による封止状態を解除し、現像装置14の筐体140の内部に現像剤収容容器50内に収容されたスタータ現像剤4Sを投入する必要がある。なお、プロセスカートリッジ300が画像形成装置1の装置本体1aとは別に用意されている場合は、プロセスカートリッジ300における現像装置14のシールテープ56による封止状態を解除した後に、画像形成装置1の装置本体1aの内部に装着される。
【0097】
この場合、図7に示すように、ユーザは、プロセスカートリッジ300のカートリッジ本体301の外側にはみ出しているシールテープ56の引出テープ部56bの先端部を把持し、当該引出テープ部56bを例えば上方向に引き抜くようにすればよい。
【0098】
このとき、シールテープ56の引出テープ部56bは、擦り切り機構152位置を経て引き抜き口153に向かって引っ張られて順次移動し、引出テープ部56bの移動に追従して封止テープ部56aが供給口52縁から引き剥がされて移動していく。この状態において、封止テープ部56aは現像剤収容容器50のスタータ現像剤4Sが接触していた側が外側に露呈することになるが、封止テープ部56aに付着した現像剤粉は擦り切り機構152を通過するときに擦り切られることから、シールテープ56の封止テープ部56aに現像剤粉が付着したまま引き抜かれる懸念はない。
【0099】
また、本例では、擦り切り機構152は、規制壁154にてシールテープ56の幅方向の位置を規制するため、シールテープ56の引き抜き操作時にはシールテープ56の引出テープ部56b及び封止テープ部56aは擦り切り機構152を必ず通過することになり、シールテープ56が擦り切り機構152を通過せずに引き抜かれる懸念はない。
【0100】
崩しテープ60は、図16に示されるように、シールテープ56の引出テープ部56b及び封止テープ部56aが現像装置14から引き抜かれる間、当該崩しテープ60の延長部60fがシールテープ56とともに引き抜かれる。そして、シールテープ56の引出テープ部56b及び封止テープ部56aの引き抜き工程が終了すると、つまりシールテープ56の封止テープ部56aが擦り切り機構153を通過すると、崩しテープ60の現像剤収容容器50からの引き抜き工程が開始する。
【0101】
崩しテープ60は、図17(a)に示されるように、現像剤収容容器50の内部に位置する後端部60dが引き抜かれると、当該後端部60dの引き抜きに伴って現像剤収容容器50の天井壁505に両面テープ63を介して貼り付けられた中間部60cが現像剤収容容器50の天井壁505から剥離され、現像剤収容容器50の内部に収容された現像剤4Sを右上部から崩していく。
【0102】
さらに、崩しテープ60は、図17(b)に示されるように、シールテープ56とともに引き抜かれると、崩しテープ60の中間部60cによって現像剤収容容器50の内部に位置する右上部から現像剤収容容器50内の上部に収容されたスタータ現像剤4Sがほぼ崩された状態となる。
【0103】
そして、崩しテープ60は、図17(b)に示されるように、現像剤収容容器50の内部に位置する後端部60d及び中間部60cが引き抜かれていくと、当該後端部60d及び中間部60cの引き抜きに伴って現像剤収容容器60の左壁503の上部に両面テープ62を介して貼り付けられた先端部60bが現像剤収容容器50の左壁503から剥離され、現像剤収容容器50内の左壁503側に残ったスタータ現像剤4Sを崩していく。
【0104】
最後に、崩しテープ60は、図18に示されるように、その先端60aを残して先端部60bが供給口52と略平行に配置された状態で、現像剤収容容器50の内部に収容されたスタータ現像剤4Sのすべての崩し工程を終了する。
【0105】
崩しテープ60の先端60aは、他の部分に比較して相対的に強い力で現像剤収容容器50の内面に仮固定されているので、最後まで残ることとなる。
【0106】
そして、崩しテープ60は、更に引き抜かれることにより、その先端60aが現像剤収容容器50のシールテープ56の除去方向と反対側の端部に位置する供給口52の部分に仮固定された先端60aが剥離されて、現像剤収容容器50の内部から引き抜かれて除去され、スタータ現像剤4Sの崩し工程を終了する。
【0107】
現像剤収容容器50から引き出される崩しテープ60は、こぼれシール70によって当該崩しテープ60に付着したスタータ現像剤4Sが拭き取られるため、崩しテープ60に付着したスタータ現像剤4Sによって周囲が汚損されることが防止される。
【0108】
なお、前記実施の形態では、画像形成装置としてモノクロの画像形成装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック等のフルカラーの画像を形成する画像形成装置にも同様に適用することができることは勿論である。
【0109】
また、前記実施の形態では、粉体収容容器として現像剤収容容器に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、粉体収容容器として現像剤以外の粉体を収容する粉体収容容器にも同様に適用することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0110】
1…画像形成装置
1a…装置本体
10…作像装置
14…現像装置
50…現像剤収容容器
60…崩しテープ
60a…崩しテープの先端
61…両面テープ
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