(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146014
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/02 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
B65H5/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052975
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】田中 利尚
(72)【発明者】
【氏名】植原 牧雄
(72)【発明者】
【氏名】糸崎 佑甫
(72)【発明者】
【氏名】籾山 弘行
(72)【発明者】
【氏名】松本 匡史
【テーマコード(参考)】
3F049
【Fターム(参考)】
3F049AA10
3F049DA02
3F049DB11
3F049LA07
3F049LB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シートの湾曲した搬送経路に沿って配置される複数の無端状ベルト対を備えない場合に比べて、搬送されるシートに損傷が発生するのを抑制する。
【解決手段】シートを搬送する湾曲した搬送経路と、前記搬送経路に沿って配置され搬送面どうしが互いに接触する複数の無端状ベルト対と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する湾曲した搬送経路と、
前記搬送経路に沿って配置され搬送面どうしが互いに接触する複数の無端状ベルト対と、
を備えるシート搬送装置。
【請求項2】
前記複数の無端状ベルト対のうち、前記シートの搬送方向に沿った上流側に配置される前記無端状ベルト対より下流側に配置される前記無端状ベルト対の方が、前記搬送経路の水平方向に対する傾斜角が小さい請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記シートの搬送方向に沿った下流側に配置される無端状ベルト対は、上流側に配置される無端状ベルト対より、前記搬送経路の水平方向に対する傾斜角が60度以下である請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記搬送経路は、半円形状に前記シートを搬送する経路からなる請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記複数の無端状ベルト対は、前記搬送経路に沿って4つ以上配置される請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記無端状ベルト対は、前記搬送経路の外周側に配置される搬送ベルトと、前記搬送経路の内周側に配置される搬送ベルトとを備え、前記搬送経路の外周側に配置される搬送ベルトの方が前記搬送経路の内周側に配置される搬送ベルトより周長が長い請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段へ前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
を備え、
前記搬送手段として請求項1乃至6のいずれかに記載のシート搬送装置を用いた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート搬送装置に関する技術としては、例えば、特許文献1等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、シートを搬送する第1の搬送手段と、第1の搬送手段のシート搬送方向の下流側に配置され、第1の搬送手段により搬送されてきたシートを前記第1の搬送手段のシート搬送方向と異なるシート搬送方向に挟持搬送する挟持部を形成する第2の搬送手段とを有し、前記挟持部を形成する対向対の一方は、回転することにより駆動力を伝達可能な回転搬送駆動手段であり、前記対向対の他方は、第1の搬送手段と第2の搬送手段との間に形成されるシート搬送経路の外郭方向に配置され、前記回転搬送駆動手段に従動して前記挟持部に向けてシートを搬送するベルトを備えたベルト搬送手段であり、前記ベルト搬送手段は、弾性部材からなる前記ベルトと、該ベルトを走行可能に保持する少なくとも一対のベルト保持回転部材と、該各ベルト保持回転部材を回転可能に支持する支持部材とを具備し、前記各ベルト保持回転部材は、その軸間距離を一定に保持するように前記支持部材に支持されており、前記ベルトは、該ベルトの硬度が、40~80度であり、かつ、前記各ベルト保持回転部材間に前記ベルトを巻き掛けたときにおける前記ベルト単体の周長からの伸張分の百分率割合である伸張率が、10~5%の条件を満たすように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、シートの湾曲した搬送経路に沿って配置される複数の無端状ベルト対を備えない場合に比べて、搬送されるシートに損傷が発生するのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、シートを搬送する湾曲した搬送経路と、
前記搬送経路に沿って配置され搬送面どうしが互いに接触する複数の無端状ベルト対と、
を備えるシート搬送装置である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、前記複数の無端状ベルト対のうち、前記シートの搬送方向に沿った上流側に配置される前記無端状ベルト対より下流側に配置される前記無端状ベルト対の方が、前記搬送経路の水平方向に対する傾斜角が小さい請求項1に記載のシート搬送装置である。
【0008】
請求項3に記載された発明は、前記シートの搬送方向に沿った下流側に配置される無端状ベルト対は、上流側に配置される無端状ベルト対より、前記搬送経路の水平方向に対する傾斜角が60度以下である請求項1に記載のシート搬送装置である。
【0009】
請求項4に記載された発明は、前記搬送経路は、半円形状に前記シートを搬送する経路からなる請求項1に記載のシート搬送装置である。
【0010】
請求項5に記載された発明は、前記複数の無端状ベルト対は、前記搬送経路に沿って4つ以上配置される請求項4に記載のシート搬送装置である。
【0011】
請求項6に記載された発明は、前記無端状ベルト対は、前記搬送経路の外周側に配置される搬送ベルトと、前記搬送経路の内周側に配置される搬送ベルトとを備え、前記搬送経路の外周側に配置される搬送ベルトの方が前記搬送経路の内周側に配置される搬送ベルトより周長が長い請求項1に記載のシート搬送装置である。
【0012】
請求項7に記載された発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段へ前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
を備え、
前記搬送手段として請求項1乃至6のいずれかに記載のシート搬送装置を用いた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、シートの湾曲した搬送経路に沿って配置される複数の無端状ベルト対を備えない場合に比べて、搬送されるシートに損傷が発生するのを抑制することができる。
【0014】
請求項2に記載された発明によれば、複数の無端状ベルト対のうち、シートの搬送方向に沿った上流側に配置される無端状ベルト対より下流側に配置される無端状ベルト対の方が、搬送経路の水平方向に対する傾斜角が大きい場合に比べて、使用する無端状ベルト対の数を少なくすることができる。
【0015】
請求項3に記載された発明によれば、シートの搬送方向に沿った下流側に配置される無端状ベルト対は、上流側に配置される無端状ベルト対より、前記搬送経路の水平方向に対する傾斜角が60度を超える場合に比べて、シートの座屈等が発生するのを確実に抑制することができる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、搬送経路は、半円形状にシートを搬送する経路から構成しない場合に比べて、複数の無端状ベルト対として同一のものを採用することが可能となる。
【0017】
請求項5に記載された発明によれば、複数の無端状ベルト対は、搬送経路に沿って4つより少なく配置した場合に比べて、シートを円滑に搬送することができる。
【0018】
請求項6に記載された発明によれば、搬送経路の外周側に配置される搬送ベルトの方が前記搬送経路の内周側に配置される搬送ベルトより周長が短い場合に比べて、シートを確実に搬送することが可能となる。
【0019】
請求項7に記載された発明によれば、搬送手段として請求項1乃至6のいずれかに記載のシート搬送装置を用いない場合に比べて、搬送されるシートに損傷が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を適用した画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の作像装置を示す構成図である。
【
図3】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置の要部を示す構成図である。
【
図5】用紙搬送ベルト対の成す角度を示す説明図である。
【
図6】用紙搬送ベルト対のベルト長を変更する機構を示す構成図である。
【
図7】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置における記録用紙の搬送状態を示す構成図である。
【
図8】この発明の実施の形態1に係るシート搬送装置における記録用紙の搬送状態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1に係るシート搬送装置を適用した画像形成装置の全体の概要を示す構成図である。
【0023】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、
図1に示されるように、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体(シート)の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。なお、図中の1aは画像形成装置1の装置本体を示している。この装置本体1aは支持構造部材や外装カバー等で構成されている。また、図中の一点鎖線は、装置本体1a内において記録用紙5が搬送される主な搬送経路を示す。なお、この実施の形態1においては、複数の作像装置10と、中間転写装置20と、定着装置40が画像形成手段を構成している。
【0024】
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)及び透明(T)の5色のトナー像をそれぞれ専用に形成する5つの作像装置10Y,10M,10C,10K,10Tで構成されている。これら5つの作像装置10(Y,M,C,K,T)は、装置本体1aの内部空間において水平方向に沿って1列に並べられた状態で配置されている。
【0025】
各作像装置10(Y,M,C,K,T)は、
図2に示されるように、像保持体の一例としての回転する感光体ドラム11を備えている。この感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K,T)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14(Y,M,C,K,T)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15(Y,M,C,K,T)と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16(Y,M,C,K,T)等である。
【0026】
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動手段から駆動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
【0027】
帯電装置12は、感光体ドラム11に非接触状態で配置されるスコロトロンで構成されている。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロール等を用いても勿論良い。
【0028】
露光装置13は、画像情報に応じて構成されるレーザー光を感光体ドラム11の軸方向に沿って偏向走査するものを用いている。なお、露光装置13としては、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなるものを用いても良い。
【0029】
現像装置14(Y,M,C,K,T)はいずれも、感光体ドラム11と対向する位置の開口部と現像剤の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤を攪拌しながら現像ロール141を通過させるよう供給するスクリューオーガー等からなる撹拌供給部材142と、現像剤を撹拌しながら撹拌供給部材142へ搬送するスクリューオーガー等からなる攪拌搬送部材143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成したものである。この現像装置14には、その現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。4色の現像剤としては、例えば、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
【0030】
一次転写装置15(Y,M,C,K,T)は、感光体ドラム11の周囲に中間転写ベルト21を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
【0031】
ドラム清掃装置16は、一部が開口する容器状の本体160と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板161と、清掃板161で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材162等で構成されている。清掃板161としては、ゴム等の材料からなる板状の部材(例えばブレード)が使用される。
【0032】
中間転写装置20は、
図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K,T)の鉛直方向に沿った上方の位置に存在するよう配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22~24と、ベルト支持ロール22に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写手段の一例としての二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置25とで主に構成されている。
【0033】
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22はベルト清掃装置25の対向ロールを兼ねると共に図示しない駆動装置によって回転駆動される駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は二次転写装置30と対向する対向ロールとして構成され、ベルト支持ロール24は中間転写ベルト21の画像形成面を形成する面出しロールとして構成されている。
【0034】
二次転写装置30は、
図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロール31を備えた接触型の転写装置である。また、二次転写ロール31又は中間転写装置20のベルト支持ロール23には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として図示しない電源装置から供給される。
【0035】
定着装置40は、記録用紙5の導入口及び排出口が形成された図示しない筐体の内部に、矢印で示す方向に回転するとともに表面温度が所定の温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41の軸方向にほぼ沿う状態で所定の圧力で接触して従動回転するベルト形態又はロール形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
【0036】
給紙装置50は、作像装置10(Y,M,C,K,T)及び中間転写装置20の下方側の位置に存在するよう配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体51と、用紙収容体51から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52とで主に構成されている。用紙収容体51は、例えば、装置本体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるよう取り付けられている。
【0037】
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいはOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
【0038】
また、記録用紙5としては、最近のニーズの態様化に伴って、金色や銀色等の表面が金属色を呈する金色紙や銀色紙、あるいはOHPシートやコート紙等の表面に光沢を有する特殊な記録媒体(以下、「特殊紙」という。)が用いられる。この特殊紙は、表面が金属色を呈したり、表面に光沢を有するものであり、画像形成の前後を問わず表面にわずかな擦り傷やスジ等が発生すると普通紙と比較してその品質が低下しやすいという特性を有している。
【0039】
給紙装置50と二次転写装置30との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する複数の用紙搬送ロール対53~56や図示しない搬送ガイドで構成される給紙搬送路57が設けられている。給紙搬送路57において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対56は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。また、二次転写装置30と定着装置40との間には、二次転写装置30から送り出される二次転写後の記録用紙5を定着装置40まで搬送するための用紙搬送ベルト58が設けられている。さらに、画像形成装置1の装置本体1aに形成される用紙の排出口に近い部分には、定着装置40から送り出される定着後の記録用紙5を装置本体1aの側面に配置された図示しない用紙排出部に排出するための用紙排出ロール対59~61を備えた排出搬送路62が設けられている。
【0040】
さらに、画像形成装置1は、記録用紙5の両面に画像を形成するための両面ユニット63を備えている。両面ユニット63は、片面に画像が形成された記録用紙5を用紙排出ロール対59~61によって図示しない用紙排出部へ搬送するのではなく、用紙排出ロール対60の下流側に配置された搬送路切替部62aによって記録用紙5の搬送方向を下方へと切り替えて、複数の反転搬送ロール対64,65を備えた反転搬送路66へと搬送される。反転搬送ロール対65は、回転方向を正転方向と逆転方向に切替可能に構成されている。両面ユニット63の反転搬送路66は、両面搬送路67を介して複数の用紙搬送ロール対68を備えた両面搬送路69に接続されている。両面ユニット62の反転搬送路66へと搬送された記録用紙5は、両面搬送路69を介して給紙搬送路57へと再度搬送される。
【0041】
なお、
図1中符号100は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御部を示している。制御部100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、通信インターフェイスなどを備えている。受信部101は、外部のパーソナルコンピュータ等のホスト装置や画像読取装置などから送られてくる画像情報を受信するものである。また、ユーザーインターフェイス102は、ユーザーが画像形成装置1を操作する際に種々の条件を入力して設定するものであり、ユーザーが種々の条件を設定したり、ユーザーにメッセージ等を表示する液晶表示パネル等を備えている。
【0042】
<画像形成装置の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0043】
ここでは、前記5つの作像装置10(Y,M,C,K,T)を使用して、5色(Y,M,C,K,T)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するフルカラーモードにおける動作を説明する。
【0044】
画像形成装置1は、図示しないパーソナルコンピュータ等のホスト装置や画像読取装置から画像情報及びフルカラーの画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、制御部100が5つの作像装置10(Y,M,C,K,T)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等を始動する。
【0045】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K,T)においては、
図1及び
図2に示されるように、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、各色成分(Y,M,C,K,T)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0046】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K,T)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K,T)のトナーを現像ロール141からそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された5色(Y,M,C,K,T)のトナー像として顕像化される。
【0047】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K,T)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15(Y,M,C,K,T)が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わされるような状態で一次転写させる。
【0048】
また、一次転写が終了した各作像装置10(Y,M,C,K,T)では、ドラム清掃装置16が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10(Y,M,C,K,T)は、次の作像動作が可能な状態にされる。
【0049】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路57に送り出す。給紙搬送路57では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対56が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
【0050】
二次転写位置においては、二次転写装置30が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置25が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0051】
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21から剥離された後に用紙搬送ベルト58を介して定着装置40まで搬送される。定着装置40では、回転する加熱用回転体41と加圧用回転体42との間の接触部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、用紙排出ロール対59~61により、例えば、装置本体1aの側面に設置された図示しない紙排出部に排出される。
【0052】
また、記録用紙5の両面に画像を形成する場合は、片面に画像が形成された記録用紙5をそのまま排出搬送路62を介して図示しない用紙排出部へ排出せずに、搬送路切替部62aによって記録用紙5の搬送方向を下方へと切り替えて、両面ユニット63の反転搬送路66へと搬送する。両面ユニット63の反転搬送路66へと搬送された記録用紙5は、反転搬送ロール対65によって搬送方向が切り替えられ、両面搬送路69を介して給紙搬送路57へと再度搬送される。そして、記録用紙5の裏面には、中間転写装置20の二次転写位置においてトナー像が転写された後、定着装置40によって定着処理を受けて用紙排出ロール対59~61により、装置本体1aの側面に設置された図示しない用紙排出部に排出される。
【0053】
以上の動作により、5色のトナー像を組み合わせて形成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。
【0054】
<シート搬送装置の構成>
図1及び
図3はこの発明の実施の形態1に係るシート搬送装置の一例としての用紙搬送装置を適用した画像形成装置を示す構成図である。
【0055】
従来の用紙搬送装置70は、
図4に示されるように、記録用紙5を搬送する複数の用紙搬送ロール対53,54と、記録用紙5を案内するガイド部材Gとを備えるように構成されている。
【0056】
上記の如く構成される従来の用紙搬送装置70においては、用紙搬送ロール対53,54における記録用紙5の搬送速度にバラツキや変動等が存在すると、記録用紙5の表面及び/又は裏面が給紙搬送路57のガイド部材G等に接触したり摺擦される事態が発生する場合がある。
【0057】
更に説明すると、記録用紙5の先端5aが用紙搬送ロール対53から用紙搬送ロール対54へと送られる間において、
図4に示されるように、記録用紙5の先端5aがカール(湾曲)しているカール紙等を搬送する場合には、記録用紙5の表面や裏面が給紙搬送路57のガイド部材G等に接触して擦られたり、記録用紙5の表面や裏面が給紙搬送路57のガイド部材Gに接触した後に対向するガイド部材Gに接触したりすることがある。
【0058】
また、記録用紙5の先端5aが用紙搬送ロール対53から用紙搬送ロール対54へと送られて当該用紙搬送ロール対54によって搬送される位置へと移動した後においては、
図5に示されるように、用紙搬送ロール対53と用紙搬送ロール対54との搬送速度の不整合等に起因して記録用紙5の裏面が給紙搬送路57のガイド部材Gに接触したり、記録用紙5の表面が給紙搬送路57のガイド部材Gに接触したりすることがある。さらに、記録用紙5の先端5aが用紙搬送ロール対53を通過した後に、記録用紙5の表面が給紙搬送路57のガイド部材Gに再度接触することなどがある。
【0059】
このように、記録用紙5の表面及び/又は裏面が給紙搬送路57のガイド部材Gに接触すると、記録用紙5が普通紙である場合は、それほど問題となることはないが、記録用紙5が金属色や光沢のある特殊紙である場合は、特殊紙の表面や裏面にスジ状の傷などが発生しやすく、特殊紙の品質を低下させるため問題となる。
【0060】
そこで、この実施の形態1に係る用紙搬送装置70は、シートを搬送する湾曲した搬送経路と、搬送経路に沿って配置され搬送面どうしが互いに接触する複数の無端状ベルト対とを備えるよう構成したものである。
【0061】
すなわち、この実施の形態1に係る用紙搬送装置70は、
図3に示されるように、給紙搬送路57において、給紙装置50から給紙される記録用紙5を中間転写装置20の二次転写位置へと搬送する湾曲した搬送路に沿って、搬送面どうしが互いに接触する無端状ベルト対の一例として複数の用紙搬送ベルト対71~75を配置するように構成されている。
【0062】
複数の用紙搬送ベルト対71~75は、駆動側の用紙搬送ベルト71a~75aと、従動側の用紙搬送ベルト71b~75bとから構成されている。複数の用紙搬送ベルト対71~75は、各駆動側の用紙搬送ベルト71a~75aを独自の駆動源によって駆動するよう構成しても良いし、各駆動側の用紙搬送ベルト71a~75aが駆動歯車や駆動プーリ等を介して1つ又は複数の用紙搬送ベルト対より少ない数の駆動源によって駆動されるように構成しても良い。なお、複数の用紙搬送ベルト対71~75は、互いに予め定められた間隔(3mm程度)を介して湾曲した搬送路に沿って互いに隣接するよう配置されている。
【0063】
複数の用紙搬送ベルト対71~75は、その記録用紙5の搬送速度がすべて等しくなるよう設定されている。つまり、複数の用紙搬送ベルト対71~75は、等速度で記録用紙5を湾曲した搬送路に沿って搬送するよう構成されている。
【0064】
図示の実施の形態1では、複数の用紙搬送ベルト対71~75のうち、駆動側の用紙搬送ベルト71a~75aが搬送路の外周側に位置し、従動側の用紙搬送ベルト71b~75bが搬送路の内周側に位置するように配置されている。
【0065】
このように、駆動側の用紙搬送ベルト71a~75aが搬送路57の外周側に配置している理由は、上流側から搬送される記録用紙5の先端が搬送方向に沿った接線側、つまり搬送路の外周側に位置する用紙搬送ベルト71a~75aに当接するため、記録用紙5の先端を駆動側の用紙搬送ベルト71a~75aに接触させて確実に次の用紙搬送ベルト対71~75へと搬送するためである。
【0066】
複数の用紙搬送ベルト対71a~75aは、
図5に示されるように、記録用紙5の搬送方向が互いに予め定められた角度θを成すように配置されている。用紙搬送ベルト対自体は、記録用紙5を直線状に搬送するものであるため、隣接する用紙搬送ベルト対71~75の間で記録用紙5が湾曲乃至屈曲して受け渡されることになる。
【0067】
本発明者等の検討によれば、
図5(b)(c)に示されるように、記録用紙5の材質(坪量)を種々異ならせた場合に、隣接する用紙搬送ベルト対の成す角度を変化させると、記録用紙5の坪量が300gsmを超えると、記録用紙5に座屈や紙詰まりが発生し、好ましくない。
【0068】
そこで、この実施の形態1に係る用紙搬送装置70では、隣接する用紙搬送ベルト対71~75の成す角度θを60度以下となるように設定している。隣接する用紙搬送ベルト対71~75の成す角度θを60度より小さく設定すると、記録用紙5の搬送性の上では望ましいが、搬送路によっては、用紙搬送ベルト対71~75の数が増加して構成が複雑となる。なお、記録用紙5の搬送方向を180度変化させる場合には、用紙搬送ベルト対の数は、少なくとも4つ以上あれば良く、5つ以上であることが望ましい。
【0069】
この実施の形態1に係る用紙搬送装置70では、隣接する用紙搬送ベルト対71~75の成す角度θを60度に設定することにより、記録用紙5の搬送性と構造の簡略化を両立させている。
【0070】
また、この実施の形態1に係る用紙搬送装置70では、用紙搬送ベルト対71~75を構成する一対のロール間の距離L1,L2及びL3,L4が調節可能に構成されている。用紙搬送ベルト対71~75を構成する一対のロールは、
図6に示されるように、それぞれ異なる支持基板200,201に回転可能となるよう取り付けられている。2つの支持基板200,201は、互いにスタッド202と長孔203と固定ネジ204を介して一対のロールが近接又は離間する方向に移動可能に支持されている。また、2つの支持基板200,201は、回転軸205と円弧状の移動溝206を介して回転可能に支持されており、固定ネジ207を介して一対のロールが互いに成す角度が変更可能に支持されている。なお、ベルトとしては、伸縮性を有する素材からなるものが用いられる。
【0071】
<用紙搬送装置の動作>
この実施の形態1に係る用紙搬送装置では、次のようにして、湾曲した搬送経路に沿って搬送されるシートが固定されたガイドと接触する場合に比べて、シートに損傷が発生するのを抑制することが可能となっている。
【0072】
すなわち、この実施の形態1に係る用紙搬送装置70は、
図1に示されるように、制御部100によって画像形成動作が開始されると、給紙装置50から記録用紙5の給紙を開始し、記録用紙5を給紙搬送路57に沿って中間転写装置20の二次転写位置へと搬送する。
【0073】
このとき、給紙搬送路57においては、
図3に示されるように、湾曲した搬送路に沿って複数の用紙搬送ベルト対71~75が互いに予め定められた角度θを成すように配置されている。
【0074】
給紙装置50から給紙された記録用紙5は、
図7(a)に示されるように、用紙搬送ロール対によって複数の用紙搬送ベルト対71~75のうち、1番目の用紙搬送ベルト対71へと受け渡される。このとき、用紙搬送ロール対によって搬送される記録用紙5の先端は、用紙搬送ベルト対71の外周側に位置する駆動側の用紙搬送ベルト71aに接触する。そのため、記録用紙5の先端は、駆動側の用紙搬送ベルト71aによって従動側の用紙搬送ベルト71bとのニップ部へ確実に導入される。
【0075】
その後、記録用紙5は、1番目の用紙搬送ベルト対71を構成する駆動側の用紙搬送ベルト71aと従動側の用紙搬送ベルト71bによって挟持された状態で当該1番目の用紙搬送ベルト対71の搬送方向へと直線状に搬送される。
【0076】
次に、記録用紙5は、1番目の用紙搬送ベルト対71によって挟持された状態で搬送された後、その先端が1番目の用紙搬送ベルト対71から2番目の用紙搬送ベルト対72へと受け渡される。このとき、記録用紙5は、用紙搬送ベルト対71から同じく用紙搬送ベルト対72への受け渡しであるため、記録用紙5が固定されたガイド部材等と接触する(摺擦する)ことはなく、記録用紙5の表面及び/又は裏面が損傷を受ける虞れはない。
【0077】
以下同様に、記録用紙5は、
図8に示されるように、2番目の用紙搬送ベルト対72から3番目の用紙搬送ベルト対73へと順次受け渡されていく。
【0078】
そして、最後に、記録用紙5は、5番目の用紙搬送ベルト対75から用紙搬送ロール対55へと受け渡される。用紙搬送ロール対55は、5番目の用紙搬送ベルト対75の出口近傍に配置することが可能であり、記録用紙5が他の固定されたガイド部材等と接触して(摺擦して)損傷する虞れを回避することができる。
【0079】
なお、上記実施の形態1では、給紙搬送路57の湾曲部に複数の用紙搬送ロール対71~75を配置した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、
図1に示されるように、給紙装置50から給紙搬送路57への湾曲した搬送路にも同様に適用することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
1…画像形成装置
1a…装置本体
10…作像装置
70…用紙搬送装置
71~75…用紙搬送ベルト対