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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146026
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20231004BHJP
   B60N 2/28 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052998
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新道 隆
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CE06
3B087DA10
3B087DE03
3B087DE06
(57)【要約】
【課題】シートベルトバックルの取り付け部分、ISO-FIX対応アンカーの開口部分、または、ロック開口部分における縫製部品の数および縫製作業を削減できる技術を提供することにある。
【解決手段】車両用シートは、シートクッションと、シートバックと、を有する。シートクッションまたはシートバックは適用部位を有する。適用部位に合わせて所定の長さにされた可撓性のある材料からなる個別部品を有する。個別部品と表皮材とを縫い合わせて、適用部位が形成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、
シートバックと、を有し、
前記シートクッションまたは前記シートバックは適用部位を有し、
前記適用部位に合わせて所定の長さにされた可撓性のある材料からなる個別部品を有し、
前記個別部品と表皮材とを縫い合わせて、前記適用部位が形成される、車両用シート。
【請求項2】
請求項1において、
前記個別部品は、汎用性を持たせられる様に成形した可撓性のある材料からなる基本部品を切断して形成されている、車両用シート。
【請求項3】
請求項2において、
前記シートクッションおよび前記シートバックは、クッションパッドと、前記クッションパッドを覆うトリムカバと、を含み、
前記個別部品は、第1面と、前記第1面に連結され、かつ、前記第1面と交差する方向に設けられた第2面とを有するL字型の断面の形状を有し、
前記適用部位は、側壁を有する溝構造の開口部を有し、
前記個別部品の前記第1面は、前記側壁に配置され、
前記個別部品の前記第2面は、前記クッションパッドの下側または奥側に固定される、車両用シート。
【請求項4】
請求項3において、
前記個別部品の前記第1面は、一端と、前記一端と対向し、前記第2面が連結される他端と、を有し、
前記一端には、前記側壁を構成する前記表皮材が縫製糸により縫製され、
前記第1面は、前記溝構造の奥側に配置されている、車両用シート。
【請求項5】
請求項4において、
前記開口部は、シートベルトバックル用の開口部である、車両用シート。
【請求項6】
請求項4において、
前記開口部は、チャイルドシート装着用の開口部である、車両用シート。
【請求項7】
請求項2において、
前記個別部品は、第1面と、前記第1面に連結され、かつ、前記第1面と交差する方向に設けられた第2面とを有するL字型の断面の形状を有し、
前記個別部品の前記第1面および前記第2面には、第1開口部が設けられ、
前記シートバックは、背面と、側面と、前記側面と前記背面に設けられたロック開口部と、を含み、
前記ロック開口部において、前記個別部品は、前記シートバックの表皮材であるトリムカバの裏側から、前記トリムカバに設けた第2開口部の内部に、前記前記個別部品に設けた前記第1開口部の周縁部の淵の部分が見えるように配置されて、縫製糸により前記トリムカバに縫製されている、車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用シートに関し、特に、シートベルトバックルの取り付け部分、規格化されたISO-FIXタイプのチャイルドシートの取り付け部分(ISO-FIX対応アンカーの開口部分)、または、前倒れ可能なシートバックのシートロック装置のロック開口部分を有する車両用シートに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
後部座席用の車両用シートとして、シートベルトバックルの取り付け部分、規格化されたISO-FIXタイプのチャイルドシートの取り付け部分(ISO-FIX対応アンカーの開口部分)を有する車両用シートが知られている。また、後部座席用の車両用シートが前倒れ可能なシートバックには、シートバックの側面にロック開口部分を有するシートロック装置が設けられる。前倒れ可能なシートバックは、シートロック装置のロック開口部分に、車両に設けたストライカをロックすることにより、車両に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-102085号公報
【特許文献2】特開2010-64636号公報
【特許文献3】特開2015-227149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートベルトバックルの取り付け部分やISO-FIX対応アンカー(なお、アンカーはストライカとも呼ばれる)の開口部分はその形状を保つために、いくつもの表皮ピースを縫製しており、縫製加工費が高くなる傾向にある。また、シートロック装置のロック開口部分では見栄えや安全性のために樹脂部品を設定するなど、固定用ブラケットを含めて部品費が高くなる傾向にある。
【0005】
本発明の目的は、シートベルトバックルの取り付け部分、ISO-FIX対応アンカーの開口部分、または、ロック開口部分における縫製部品の数および縫製作業を削減できる技術を提供することにある。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0008】
車両用シートは、シートクッションと、シートバックと、を有する。シートクッションまたはシートバックは適用部位を有する。適用部位に合わせて所定の長さにされた可撓性のある材料からなる個別部品を有する。個別部品と表皮材とを縫い合わせて、適用部位が形成される。
【発明の効果】
【0009】
上記車両用シートによれば、汎用性を持たせられる様に成形した可撓性のある材料からなる基本部品を用い、適用部位に合わせて基本部品を所定の長さに切断し、切断した基本部品と表皮材とを縫い合わせることが可能であるので、縫製部品の数および縫製作業を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例にかかる車両用シートを示す斜視図である。
図2図2(A)はシートバックの部分的な後方斜視図である。図2(B)はシートクッションとシートバックの部分的な平面図である。図2(C)は車両に設けられた門型のストライカの斜視図である。
図3図3は、実施例にかかる基本部品を説明する図である。
図4図4(A)は適用部位に合わせて基本部品を所定の長さに切断した状態を示す図である。図4(B)は基本部品に表皮材を縫製した状態を示す図である。図4(C)は表皮材46を上側に折り返し、その後、基本部品を開口部の形状に合わせて湾曲させた図である。
図5図5は、図4(C)に示す基本部品をシートベルトバックル用の開口部に縫製した状態を示す図である。
図6図6(A)は、適用部位に合わせて基本部品30を所定の長さに切断した状態を示す図である。図6(B)は基本部品30に表皮材46を縫製した状態を示す図である。図6(C)は表皮材46を上側に折り返し、その後、基本部品30を開口部16の形状に合わせて折り曲げた状態を示す図である。
図7図7は、図6(C)に示す基本部品30をアンカー15用の開口部16に縫製した状態を示す図である。
図8図8(A)は、適用部位に合わせて基本部品30を所定の長さに切断した状態を示す図である。図8(B)は図8(A)に示す基本部品30をロック開口部18の内側部分に縫製した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、以下の説明においては、特別に断らない限り、前、後や上、下、左、右については、車両に対しての前、後や上、下、左、右を意味するものとする。
【実施例0013】
図1は、実施例にかかる車両用シートを示す斜視図である。図1に示す車両用シート10は、背もたれを構成するシートバック11と、座面を構成するシートクッション12と、を有する。車両用シート10は、この例では、後部座席用の3人掛けの車両用シートである。シートクッション12およびシートバック11は、クッションパッドと、クッションパッドを覆うトリムカバと、により構成されている。
【0014】
シートクッション12には、拡大して示すように、シートベルトバックル13を露出させるために設けられた3つのシートベルトバックル13用の開口部14が設けられている。シートベルトバックル13用の開口部14は、第1開口部14と言い換えることができる。シートベルトバックル13の下側は、例えば、車両の車体に固定されている。おのおのの開口部14は、この例では、上面視において、シートバック11の側が開いたU字型の溝構造とされている。開口部14の形状は、U字型の溝構造に限定されるものではなく、シートベルトバックル13を露出させることができる形状であればよい。
【0015】
シートバック11には、チャイルドシート装着用のISO-FIX方式のアンカー15を露出させるために設けられた4つのアンカー15用の開口部16が設けられている。アンカー15用の開口部16は、第2開口部16と言い換えることができる。ISO-FIX方式のアンカー15は、例えば、車両の車体に固定されている。おのおのの開口部16は、この例では、前方側から見た場合において、4つの辺を有する矩形の穴構造また溝構造とされている。開口部16の形状は、4つの辺を有する矩形の穴構造に限定されるものではなく、アンカー15を露出させることができる形状であればよい。アンカー15はストライカと言い換えることができる。
【0016】
図1に示す車両用シート10は、前倒れ可能なシートバック11とされ、シートバック11の側面17には、後述されるシートロック装置40とロック開口部18とが設けられる。ロック開口部18は、第3開口部18と言い換えることができる。
【0017】
図面を用いて、シートロック装置40とロック開口部18について説明する。図2(A)はシートバックの部分的な後方斜視図である。図2(B)はシートクッションとシートバックの部分的な平面図である。図2(C)は車両に設けられた門型のストライカの斜視図である。
【0018】
図2(A)に示すように、シートバック11の側面17には、シートロック装置40が設けられている。ロック開口部18は、シートバック11の側面17とシートバック11の背面19に設けられている。つまり、ロック開口部18は、シートバック11の側面17とシートバック11の背面19により構成される角部に設けられている。図2(B)、図2(C)に示すように、シートロック装置40は、たとえば、門型のストライカ42と、ストライカ42に係合される回動可能なラッチ44とを有して構成される。ストライカ42へのラッチ44の係合によってシートバック11は起立位置に固定される。シートロック装置40のラッチ44はシートバック11の側面上部に設けられている。そして、ラッチ44と対向したピラー45に門型のストライカ42が取り付けられる。門型のストライカ42は2本の脚(前脚42F、後脚42R)を持つ略コ字形状に形成されている。図2(C)において、Rrは車両の前方方向(前方側)を示し、Frは車両の後方方向(後方側)を示す。
【0019】
次に、図3を用いて本発明の構成について説明する。図3は、実施例にかかる基本部品を説明する図である。本発明では、図3に示すように、基本部品30が形成される。基本部品30は、汎用性を持たせられる様に断面がL字型の形状に成形され、かつ、可撓性のある材料で構成されている。つまり、基本部品30は、弾性変形のしやすい材料で構成されており、切断や縫製を比較的容易に行うことができるという特性を有する。基本部品30は、例えば、薄い板厚の樹脂材料、エラストマ材料、フェルト材料などとすることができる。基本部品30は、縦の側面を構成する第1面31と、第1面31に連結されるとともに、底面を構成する第2面32と、を有する。第1面31に対して、第2面32は、交差する方向に設けられている。図3の例では、第1面31は垂直方向にもけられており、第2面32は水平方向に設けられている。
【0020】
基本部品30は、第1面31の高さLa、第2面32の幅Lb、基本部品30の長手方向(長さ方向)の長さLcとされている。高さLaおよび幅Lbは、例えば、車両の車種に適合させるために複数の寸法を準備するのが好ましい。例えば、図示されないが、第1の基本部品30(1)、第2の基本部品30(2)および第3の基本部品30(3)の様に、3種類の基本部品を準備することができる。第1の基本部品30(1)は高さLa1と幅Lb1とを有する。第2の基本部品30(2)は高さLa2と幅Lb2とを有する。ここで、La2はLa1より長く(La1<La2)、また、Lb2はLb1より長い(Lb1<Lb2)。第3の基本部品30(3)は高さLa3と幅Lb3とを有する。ここで、La3はLa2より長く(La2<La3)、また、Lb3はLb2より長い(Lb2<Lb3)。
【0021】
長さLcについては、特に制限されないが、例えば、1m~2mなどとすることができる。基本部品30は、適用部位に基づいて基本部品30の長さ方向を切断して利用される。
【0022】
適用部位は、図3に示すように、シートベルトバックル13用の開口部14の側壁の下側部分、アンカー15用の開口部16の側壁の下側部分、あるいは、ロック開口部18の内側部分である。
【0023】
この様に、汎用性を持たせられる様に成形した可撓性のある材料からなる基本部品30を用い、適用部位に合わせて基本部品30を所定の長さに切断する。そして、切断した基本部品30と後述する表皮材とを縫い合わせて、適用部位に基本部品30を取り付ける。これにより、縫製部品の数および縫製作業を削減することができる。
【0024】
次に、図4および図5を用いて、シートベルトバックル13用の開口部14の側壁の下側部分に、切断した基本部品30aを用いる構成例について説明する。図4(A)は、適用部位に合わせて基本部品30を所定の長さに切断した状態を示す図である。図4(B)は基本部品30aに表皮材46を縫製した状態を示す図である。図4(C)は表皮材46を上側に折り返し、その後、基本部品30aを開口部14の形状に合わせて湾曲させた図である。図5図4(C)に示す基本部品30aをシートベルトバックル13用の開口部14に縫製した状態を示す図である。
【0025】
図4(A)に示すように、図3に示す基本部品30の長さLcを所定の長さLcaに切断し、切断された基本部品(第1個別部品とも言う)30aを形成する。基本部品30aの長さLcaは、開口部14を上面から見た場合のU字型の側壁の長さと一致している。そして、基本部品30aの第1面31の高さLa、第2面32の幅Lbは、適用部位である開口部14に合わせて適用な寸法値とされている。また、第2面32が切断されて、2つの切り欠き部35が第2面32に設けられている。切り欠き部35は、基本部品30aを湾曲させるために設けられる。
【0026】
次に、図4(B)に示すように、基本部品30aの第1面31の上側に、表皮材46の一端が縫製糸47により縫製される。表皮材46の一端は、第1面31の上側(上方または一端)において、長さLcaで縫製される。第1面31は、一端と、この一端と対向する他端(下方または下側:第2面32の連結部の側)とを有する。
【0027】
次に、図4(C)に示すように、図4(B)において下側に位置していた表皮材46の他の端部が上側に持ち上げられ、第1面31に設けた縫製糸47が外側となるように、切断された基本部品30aが湾曲される。基本部品30aは、開口部14の形状に合わせて、上面から見た場合にU字型になるように、湾曲されている。
【0028】
図5に示すように、図4(C)に示す基本部品30aがシートベルトバックル13用の開口部14に組み込まれ、表皮材46がシートクッション12の表皮材(トリムカバ)50に縫製糸により縫製される。図5において、表皮材46と表皮材50とを縫製する縫製糸の図示は省略されている。基本部品30aの第2面32の上側面は、シートクッション12のクッションパッド51の裏面側に固定される。
【0029】
開口部14のU字型の溝の内側の側壁は、上側が表皮材46で構成され、下側が基本部品30aの第1面31により構成される。
【0030】
このように、切断された基本部品30aは、開口部14を上面から見た場合において、U字型の溝の下側(奥側)に位置しており、目立たない位置に配置されている。また、可撓性のある材料からなる基本部品30aを開口部14のU字型の溝の下側に配置させことで、U字型の溝の形状を形成しやすくすることができる。また、表皮縫い加工を減らすことができる。さらに、可撓性のある材料からなる基本部品30aと表皮材46とを縫い合わせることが可能なので、縫製部品の数および縫製作業を削減できる。
【0031】
次に、図6および図7を用いて、アンカー15用の開口部16の側壁の下側部分に、切断した基本部品30bを用いる構成例について説明する。図6(A)は適用部位に合わせて基本部品30を所定の長さに切断した状態を示す図である。図6(B)は基本部品30bに表皮材46を縫製した状態を示す図である。図6(C)は表皮材46を上側に折り返し、その後、基本部品30bを開口部16の形状に合わせて折り曲げた状態を示す図である。図7図6(C)に示す基本部品30bをアンカー15用の開口部16に縫製した状態を示す図である。
【0032】
図6(A)に示すように、図3に示す基本部品30の長さLcを所定の長さLcbに切断し、切断された基本部品(第2個別部品とも言う)30bを形成する。基本部品30bの長さLcbは、開口部16を上面から見た場合の矩形型の3つの側壁の長さと一致している。そして、基本部品30bの第1面31の高さLa、第2面32の幅Lbは、適用部位である開口部16に合わせて適用な寸法値とされている。また、第2面32が切断されて、2つの切り欠き部35が第2面32に設けられている。切り欠き部35は、切断された基本部品30bを折り曲げるために設けられる。
【0033】
次に、図6(B)に示すように、切断された基本部品30bの第1面31の上側に、表皮材46の一端が縫製糸47により縫製される。表皮材46の一端は、第1面31の上側(上方または一端)において、長さLcbで縫製される。第1面31は、一端と、この一端と対向する他端(下方または下側:第2面32の連結部の側)とを有する。また、第2面32には、円形の切り欠き部60が設けられている。
【0034】
次に、図6(C)に示すように、図6(B)において下側に位置していた表皮材46の他の端部が上側に持ち上げられ、第1面31に設けた縫製糸47が外側となるように、切断された基本部品30bが折り曲げられる。基本部品30bは、開口部16の形状に合わせて、前方側から見た場合に矩形形状になるように、折り曲げられる。つまり、基本部品30bは、この例では、矩形形状の側壁の連続する3辺の側壁に対応するように折り曲げられる。なお、基本部品30bは、矩形形状の側壁の連続する4辺の側壁に対応するように折り曲げられるように構成することも可能である。
【0035】
図7に示すように、図6(C)に示す基本部品30bがアンカー15用の開口部16に組み込まれ、表皮材46がシートバック11の表皮材(トリムカバ)70に縫製糸により縫製される。図7において、表皮材46と表皮材70とを縫製する縫製糸の図示は省略されている。基本部品30bの第2面32の上側面は、例えば、シートバック11のクッションパッド71の裏面側に固定される。
【0036】
開口部14の矩形形状の溝の内側の側壁は、手前側(前方側)が表皮材46で構成され、奥側(後方側)が基本部品30bの第1面31により構成される。
【0037】
このように、切断された基本部品30bは、開口部16を前方側から見た場合において、矩形形状の溝の奥側(後方側)に位置しており、目立たない位置に配置されている。可撓性のある材料からなる基本部品30bを開口部16の矩形形状の溝の下側に配置させことで、アンカー15が入り込むスリット部としての開口部16の剛性を高めることができる。また、矩形形状の溝の形状を形成しやすくすることができる。また、表皮縫い加工を減らすことができる。さらに、可撓性のある材料からなる基本部品30bと表皮材46とを縫い合わせることが可能なので、縫製部品の数および縫製作業を削減できる。
【0038】
次に、図8を用いて、ロック開口部18の内側部分に、基本部品30cを用いる構成例について説明する。図8(A)は、適用部位に合わせて基本部品30を所定の長さに切断した状態を示す図である。図8(B)は図8(A)に示す基本部品30をロック開口部18の内側部分に縫製した状態を示す図である。
【0039】
図8(A)に示すように、図3に示す基本部品30の長さLcを所定の長さLccに切断し、切断された基本部品(第3個別部品とも言う)30cを形成する。する。基本部品30cの長さLccは、ロック開口部18の内側部分に適用できるようにされている。そして、基本部品30cの第1面31の高さLa、第2面32の幅Lbは、適用部位であるロック開口部18に合わせて適用な寸法値とされている。基本部品30cの第1面31および第2面32には、開口部80が設けられる。開口部80は、ロック開口部18と一致している。
【0040】
図8(B)に示すように、図8(A)に示す基本部品30cは、シートバック11の表皮材(トリムカバ)83の裏側から、表皮材(トリムカバ)83に設けた開口部82の内部に、基本部品30cに設けた開口部80の周縁部の淵の部分が見えるように配置されて、縫製糸81により表皮材83に縫製されている。表皮材83はシートバック11の側面17において表皮材83の裏側には、基本部品30cの第1面31の底面が接触するように配置される。シートバック11の背面19において表皮材83の裏側には、基本部品30cの第2面32の底面が接触するように配置される。表皮材83は、シートバック11のクッションパッド84の表面側を覆うように設けられている。なお、表皮材83はシートバック11の側面17において表皮材83の裏側に基本部品30cの第2面32の底面を配置し、シートバック11の背面19において表皮材83の裏側に基本部品30の第1面31の底面を配置しても、良い。
【0041】
このように、可撓性のある材料からなる基本部品30cをロック開口部18の内側部分に設けることで、ストライカ42が入り込むスリット部としてのロック開口部18の剛性を高めることができる。また、ロック開口部18の形状を出しやすくすることができる。可撓性のある材料からなる基本部品30cと表皮材83とを縫い合わせてことが可能なので、縫製部品の数および縫製作業を削減することができる。
【0042】
実施例に係る車両用シート10によれば、汎用性を持たせられる様に成形した可撓性のある材料からなる基本部品30を用い、適用部位(14、16、18)に合わせて基本部品30を所定の長さ(Lca、Lcb、Lcc)に切断し、切断した基本部品(30a、30b、30c)と表皮材(46、46、83)とを縫い合わせることが可能なので、縫製部品の数および縫製作業を削減できる。
【0043】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0044】
10:車両用シート
11:シートバック
12:シートクッション
13:シートベルトバックル
14:開口部
15:アンカー
16:開口部
18:ロック開口部
30:基本部品
30a、30b、30c:適用部位にあわせて切断された基本部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8